JP2001279457A - 常圧プラズマを用いた連続表面処理法又は連続成膜法及び連続表面処理装置又は連続成膜装置 - Google Patents

常圧プラズマを用いた連続表面処理法又は連続成膜法及び連続表面処理装置又は連続成膜装置

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JP2001279457A
JP2001279457A JP2000134870A JP2000134870A JP2001279457A JP 2001279457 A JP2001279457 A JP 2001279457A JP 2000134870 A JP2000134870 A JP 2000134870A JP 2000134870 A JP2000134870 A JP 2000134870A JP 2001279457 A JP2001279457 A JP 2001279457A
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discharge
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continuous film
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Naoki Nishiguchi
直樹 西口
Minoru Suezaki
穣 末崎
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Sekisui Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sekisui Chemical Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 常圧プラズマを用いた連続表面処理法又は連
続成膜法にあって、経時的なプラズマ放電電極の汚れを
更に抑制し、連続表面処理性又は連続成膜性を著しく改
善し、生産性を顕著に高め得る常圧プラズマを用いた連
続表面処理法又は連続成膜法及び連続表面処理装置又は
連続成膜装置を提供する。 【解決手段】 大気圧近傍の圧力下、混合ガス雰囲気中
で、放電プラズマ処理を行う連続表面処理法又は連続成
膜法であって、一定放電空間を隔てて対向して設けられ
た電極が互いにロール状である放電プラズマ処理電極間
に混合ガスを供給し、放電プラズマ処理することを特徴
とする常圧プラズマを用いた連続表面処理法又は連続成
膜法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、常圧プラズマを用
いた連続表面処理法又は連続成膜法及び連続表面処理装
置又は連続成膜装置に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックフィルム等からなる基材表
面に特定機能を付与する目的で各種薄膜を積層する表面
処理法として、従来より、真空蒸着法、スパッタリング
法、イオンビーム法、イオンプレーティング法、減圧下
でのグロー放電を利用したプラズマ・ケミカルベーパー
デポジット(CVD)法等が用いられてきた。しかしな
がら、これらの方法はいずれも真空系処理手段からなる
ものであって、処理系を相当程度に減圧する必要がある
ため、使用する成膜装置が、大型処理チャンバーや大型
真空ポンプ等の大がかりな機器や機器ユニットとなり、
又、高度減圧下の煩瑣な作業を要するものである上、更
には、これら機器や機器ユニットの性能上、ロール状に
巻回された基材の巻径、巾等のサイズ、薄膜形成用原料
等の容量、その他各種の制限・限界がある。
【0003】こうした真空系処理手段からなる表面処理
法の問題を排除するため、大気、常圧プラズマCVD法
によって薄膜を形成しようとする試みがある。これらの
常圧プラズマを用いた連続表面処理又は連続成膜に用い
られる装置としては、尖端放電を防止するため周縁部を
滑らかな曲面で縁取りした一対の平行平板電極が放電プ
ラズマ処理電極として用いられている。
【0004】上記平行平板電極は、電極の製作、電極間
距離の設定が容易であり、電極面積が広くとれるので、
電極間を移送される被処理フィルムは、移送方向に逐次
処理され、成膜速度を速めることができる上に、前記す
る低圧プラズマに比してプラズマ処理ガス密度を高くと
ることができ、処理効率に優れた方法である(特開平1
0−154598号公報等)。しかしながら、反面、電
極等の設備コストが大きく、設備費用の圧縮、或いは処
理能力アップによるコスト低減が実用化の鍵になってい
る。上記処理能力アップのために、更に、プラズマ密度
を高め、或いは電界強度を高める等、エネルギーアップ
させることが考えられるが、電界強度を高めた場合、ア
ークによる大電流の集中放電のおそれがある。
【0005】更に、上記電極は固定電極であるために、
成膜するための混合ガスの流れに常時曝され、プラズマ
放電が続けられているので、上記電極表面は、次第に汚
染されて行き、遂には放電状態に変化を及ぼし、形成さ
れる被膜や処理面の性能にバラツキを与え、著しい場合
にはスジ、ムラ等の外見上判然と認知される欠点の発生
に至るという問題点を有する。
【0006】本発明者らは先に特願平11−36287
3号で、常圧プラズマを用いた二酸化珪素や二酸化チタ
ン等の薄膜の連続成膜法及び連続成膜装置を提案した。
上記常圧プラズマを用いた連続成膜法及び連続成膜装置
は、図4に示すように、ロール状電極20と該ロール状
電極20表面と一定間隔を隔てて同軸回転面を表面とす
る曲面電極30を対向して配置し、両電極20及び30
間に略等間隔に湾曲した放電空間40を備えた連続成膜
装置を用い、上記放電空間40の一端より、反応ガスを
含む混合ガスを供給し、他端から真空ポンプ50等の排
気装置によって、上記放電空間40内の混合ガス流量が
一定となるように調整しながら上記両電極20及び30
間に電圧を印加してプラズマ処理が行われるものであっ
た。
【0007】上記公報に開示した常圧プラズマを用いた
連続成膜法及び連続成膜装置は、一方の電極をロール状
にすることにより前記する従来装置の問題点を解決し得
るものではあったが、本発明者は、経時的なプラズマ放
電電極の汚れを更に抑制し、連続表面処理性又は連続成
膜性の改善を目指して鋭意研究し、常圧プラズマを用い
た連続成膜法では、着目されることのなかった対向して
設けられた電極が互いにロール状であることにより、上
記目的を見事に達成し得ることを見出し、本発明を完成
するに至ったのである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述のよう
な問題を解決するためになされたものであって、常圧プ
ラズマを用いた連続表面処理法又は連続成膜法にあっ
て、経時的なプラズマ放電電極の汚れを更に抑制し、連
続成膜性を著しく改善し、生産性を顕著に高め得る常圧
プラズマを用いた連続表面処理法又は連続成膜法及び連
続表面処理装置又は連続成膜装置を提供することを目的
とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】請求項1記載の発明の常
圧プラズマを用いた連続表面処理法又は連続成膜法は、
大気圧近傍の圧力下、混合ガス雰囲気中で、放電プラズ
マ処理を行う連続表面処理法又は連続成膜法であって、
一定放電空間を隔てて対向して設けられた電極が互いに
ロール状である放電プラズマ処理電極間に混合ガスを供
給し、放電プラズマ処理するものである。
【0010】請求項2記載の発明の常圧プラズマを用い
た連続表面処理法又は連続成膜法は、請求項1記載の発
明の常圧プラズマを用いた連続表面処理法又は連続成膜
法において、上記放電空間を、ロール状電極のいずれか
一方に密着して搬送される基材上に連続的に成膜又は表
面処理されるものである。
【0011】請求項3記載の発明の常圧プラズマを用い
た連続表面処理法又は連続成膜法は、請求項1又は2記
載の発明の常圧プラズマを用いた連続表面処理法又は連
続成膜法において、上記対向して設けられたロール状放
電プラズマ処理両電極の周速度に差を設けて回転させる
ものである。
【0012】請求項4記載の発明の常圧プラズマを用い
た連続表面処理装置又は連続成膜装置は、請求項1〜3
記載の常圧プラズマを用いた連続表面処理法又は連続成
膜法で用いられる連続表面処理装置又は連続成膜装置で
あって、放電プラズマ処理電極が一定放電空間を隔てて
対向して設けられた電極が互いにロール状であるもので
ある。
【0013】請求項5記載の発明の常圧プラズマを用い
た連続表面処理装置又は連続成膜装置は、請求項1〜3
記載の常圧プラズマを用いた連続表面処理法又は連続成
膜法で用いられる連続表面処理装置又は連続成膜装置で
あって、放電プラズマ処理電極が一定放電空間を隔てて
対向して設けられた電極が互いにロール状であり、上記
放電空間に、基材を該電極の各々に密着させて搬送する
2系統の基材搬送装置が付設されてなるものである。
【0014】本発明の常圧プラズマを用いた連続表面処
理法又は連続成膜法において、大気圧近傍の圧力とは、
100〜800Torrの圧力をいい、中でも、圧力調
整が容易で装置構成が容易となる700〜780Tor
rの圧力範囲とすることが好ましい。
【0015】本発明においては用いられる混合ガスは、
原料ガス、反応ガス及び希釈ガスからなり、上記原料ガ
スとは、形成される薄膜の原料ガスであって、例えば、
SiO2 薄膜を形成させる場合には、テトラメトキシシ
ラン、テトラエトキシシラン、メチルトリエトキシシラ
ン、テトラメチルシラン、テトラエチルシラン等の反応
性有機珪素化合物、TiO2 薄膜を形成させる場合に
は、チタンイソプロポキシド、チタンブトキシド等の反
応性有機チタン化合物等が挙げられ、その他形成される
薄膜の種類に応じて、例えば、四フッ化炭素(C
4 )、六フッ化炭素(C2 6 )、六フッ化プロピレ
ン(CF3 CFCF2 )、八フッ化シクロブタン(C4
8 )等のフッ素−炭素化合物、一塩化三フッ化炭素
(CClF3 )等のハロゲン−炭素化合物、六フッ化硫
黄(SF6 )等のフッ素−硫黄化合物等の反応性フッ素
化合物、二酸化硫黄、三酸化硫黄等が挙げられる。
【0016】又、分子内に親水性基と重合性不飽和結合
を有するモノマーの雰囲気下で放電プラズマ処理を行う
ことにより、親水性の重合膜を堆積させることもでき
る。上記親水性基としては、水酸基、スルホン酸基、ス
ルホン酸塩基、1級若しくは2級又は3級アミノ基、ア
ミド基、4級アンモニウム塩基、カルボン酸基、カルボ
ン酸塩基等の親水性基等が挙げられる。又、ポリエチレ
ングリコール鎖を有するモノマーを用いても同様に親水
性重合膜の堆積が可能である。
【0017】上記モノマーとしては、アクリル酸、メタ
クリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、N,N
−ジメチルアクリルアミド、アクリル酸ナトリウム、メ
タクリル酸ナトリウム、アクリル酸カリウム、メタクリ
ル酸カリウム、スチレンスルホン酸ナトリウム、アリル
アルコール、アリルアミン、ポリエチレングリコールジ
メタクリル酸エステル、ポリエチレングリコールジアク
リル酸エステル等が挙げられる。これらのモノマーは、
単独又は混合して用いられる。
【0018】上記親水性モノマーは一般に固体であるの
で、溶媒に溶解させたものを減圧等の手段により気化さ
せて用いる。上記溶媒としては、メタノール、エタノー
ル、アセトン等の有機溶媒、水及びこれらの混合物等が
挙げられる。
【0019】又、原料ガスとして、金属含有ガスが好適
に使用できる。金属としては前記するSi、Tiの他、
例えば、Al、As、Bi、B、Ca、Cd、Cr、C
o、Cu、Ga、Ge、Au、In、Ir、Hf、F
e、Pb、Li、Na、Mg、Mn、Hg、Mo、N
i、P、Pt、Po、Rh、Sb、Se、Sn、Ta、
Te、V、W、Y、Zn、Zr等の金属が挙げられ、該
金属を含有するガスとしては、金属有機化合物、金属−
ハロゲン化合物、金属−水素化合物、金属−ハロゲン化
合物、金属アルコキシド等の処理用ガスが挙げられる。
これらは単独で使用されてもよいし、2種類以上併用さ
れてもよい。本発明において用いられる原料ガスは、所
望薄膜に応じて適宜選択使用されるものであるのでこれ
らに限定されるものではない。
【0020】上記原料ガスの混合ガス中における含有比
率は、好ましくは0.01〜5容量%である。
【0021】上記反応ガスは、原料ガスに反応して所望
薄膜を構成する化合物を生成し、もしくはその生成を容
易にするものであって、例えば、酸素ガス、オゾン、水
(水蒸気)、一酸化炭素、二酸化炭素、一酸化窒素、二
酸化窒素の他、メタノール、エタノール等のアルコール
類、アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類、メタ
ナール、エタナール等のアルデヒド類等の酸素元素を含
有する有機化合物、窒素ガス、アンモニア、二酸化硫
黄、三酸化硫黄等が挙げられる。上記反応ガスの混合ガ
ス中における含有比率は、好ましくは0〜99.99容
量%である。
【0022】上記希釈ガスは、上記原料ガスと反応ガス
の反応の程度や形成される無機質薄膜の性状を制御する
ためのものであって、例えば、活性の低いヘリウム、ア
ルゴン、ネオン、窒素ガス等が挙げられる。これらは単
独で用いられてもよいが、2種以上を組み合わせて用い
られてもよい。上記希釈ガスの混合ガス中における含有
比率は、好ましくは0〜99.99容量%である。
【0023】本発明において連続的に成膜される薄膜
は、前記するように原料ガス由来の金属の酸化物薄膜、
分子内に親水性基と重合性不飽和結合を有する原料ガス
由来の親水性の重合膜等の堆積物からなるもの及び原料
ガス由来の官能基が、上記放電空間に搬送される基材表
面を構成する分子と反応し、該基材表面を構成する分子
内に原料ガス由来の親水性或いは撥水性等の官能基が導
入されて形成される薄膜(表面処理膜)を包含するもの
である。例えば、上記基材表面の親水化処理では、原料
ガスとして、二酸化硫黄、三酸化硫黄等のプラズマ処理
によって極性基を生じるようなガスが用いられ、上記基
材表面の撥水化処理では、原料ガスとして、四フッ化炭
素、六フッ化炭素等のプラズマ処理によって極性基を生
じるようなガスが用いられ、基材表面を構成する分子中
に親水性基或いは撥水性基が導入される。かかる意味か
ら、発明の名称を「連続表面処理法又は連続成膜法」及
び「連続表面処理装置又は連続成膜装置」とした。
【0024】本発明の常圧プラズマを用いた連続表面処
理法又は連続成膜法において、放電プラズマ処理装置の
放電電極としては、2本のロール状電極を一定間隔を隔
てて対向して配置し、両電極間に略等間隔の放電空間を
備えたものが使用される。
【0025】上記ロール状電極は、円柱状もしくは円筒
状の電極であって、電極本体を構成する導電材料として
は、好ましくは、銅、アルミニウム等の金属、ステンレ
ス鋼、真鍮等の合金、金属間化合物等が挙げられる。上
記両ロール状電極間に略等間隔に形成された放電空間が
成膜空間となる。
【0026】上記ロール状電極の直径は、余り小さいと
放電が雷状になり、放電の均一性を損ない易く、又、基
材のダメージが大きくなるおそれがあり、ロール状電極
の直径は大きくなる程、プラズマ放電領域を基材の進行
方向に広げ、成膜有効幅を広げることができるが、余り
大きくなっても放電の均一性は十分に確保されるもの
の、徒に装置を膨大なものとするばかりか、作業性及び
メンテナンス性を著しく悪化させるものであるので、好
ましくは10〜1000mm程度、より好ましくは30
〜500mm程度である。
【0027】上記ロール状電極は、対向する両電極の直
径が同じものであってもよく、各々異なるものであって
もよい。対向する電極の各々の直径を異なるものとする
ことによって、もしくは、同じ直径の電極であっても、
回転速度を互いに異なるものとすることによって両電極
間の周速度に差を設けて回転させ、対向する電極の位置
を常に変位させ、両電極が常に同じ位置を対面させて回
転させたときに、電極上の何らかの瑕疵が徐々に悪化し
て行き惹き起される特定位置におけるアーク放電等のト
ラブルを抑制させることができるので好ましい方法であ
る。
【0028】上記両ロール状電極間距離は、混合ガスの
圧力・酸素濃度、固体誘電体の厚さ、印加電圧の大き
さ、得られる薄膜の用途等から決定されるが、余り小さ
いと被処理基材を該電極間に導入し難くなり、余り大き
いと均一な放電プラズマを発生させることが難しくなる
ので、好ましくは0.2〜20mmである。
【0029】上記両ロール状電極間の放電空間は、Ti
2 薄膜を、Ar99.9容量%、反応性有機チタン化
合物0.1容量%含有混合ガス中で成膜させる場合で、
1〜3mm、SiO2 薄膜を、N2 16容量%、Ar6
7.9容量%、O2 16容量%及び反応性有機珪素化合
物0.1容量%含有混合ガス中で成膜させる場合で、1
〜3mm程度で安定した放電プラズマがたち、安定した
TiO2 薄膜ないしはSiO2 薄膜の成膜が可能であ
る。
【0030】上記ロール状電極の少なくとも一方の電極
表面に固体誘電体で被覆されていることが好ましい。上
記ロール状電極に固体誘電体が被覆された場合、上記成
膜空間は、露出電極表面と固体誘電体被覆面との間の空
間もしくは固体誘電体被覆面同志間の空間となる。
【0031】上記固体誘電体としては、好ましくは比誘
電率2以上(25℃環境下、以下同じ)であることが好
ましい。これらの固体誘電体としては、例えば、ポリテ
トラフルオロエチレン、ポリエチレンテレフタレート等
のプラスチック、ガラス、二酸化珪素、酸化アルミニウ
ム、二酸化ジルコニウム、二酸化チタン等の金属酸化
物、チタン酸バリウム等の複酸化物等が挙げられる。特
に、固体誘電体が比誘電率7以上の固体誘電体によれ
ば、低電圧であっても高密度の放電プラズマを発生させ
ることができる。
【0032】更に比誘電率10以上の固体誘電体が用い
られるとが好ましい。比誘電率が10以上であると、低
電圧で高密度の放電プラズマを発生させることができ、
短時間表面処理や高速表裏処理ができる。比誘電率の上
限は特に限定されるものではないが、現実の材料では1
8,500程度のものが知られている。比誘電率が10
付近及びそれ以上である固体誘電体としては、例えば、
酸化チタニウム5〜50重量%、酸化アルミニウム50
〜95重量%の範囲で混合された金属酸化物又は、酸化
ジルコニウムを含有する金属酸化物が挙げられる。
【0033】固体誘電体の形状は、シート状でもフィル
ム状でもよいが、厚みが10〜1000μmであること
が好ましい。厚過ぎると、放電プラズマを発生するのに
高電圧を要し、薄過ぎると、電圧印加時に絶縁破壊が起
こりアーク放電が発生する。
【0034】上記ロール状電極は、その表面に無機質薄
膜が形成される基材の搬送速度に同期して回転可能とな
されていてもよい。上記ロール状電極の回転方法は、フ
リー駆動で基材に連動して回転する方式であってもよい
し、モーター等の駆動装置により回転する方式でもよ
い。
【0035】上記ロール状電極は、プラズマ放電処理
時、混合ガス温度に応じてその表面温度を設定するた
め、加熱調温手段が付設されていることが好ましい。上
記ロール状電極の加熱調温手段は、特に限定されるもの
ではなく、ロール状物体の公知の加熱調温方法から適宜
選択使用することができる。
【0036】上記ガス導入ノズルは、上記両ロール状電
極とガス導入ノズルとの間での放電を防ぐため、両ロー
ル状電極とガス導入ノズルとの間に絶縁体が配設され
る。
【0037】上記ガス導入ノズルの構造は、特に限定さ
れるものではないが、例えば、加圧ポンプを用いたジェ
ットノズル方式であってもよい。又、ガス導入方向に対
向する斜板を設け、ガス供給通路を次第に狭めてガス導
入口付近に狭窄部を設け、該狭窄部通過後、混合ガスを
拡散させると同時に、基材の搬送方向に略平行に混合ガ
ス流を変更させた後、スリット状もしくは多数の小孔が
一列に並べられた吹出口より上記プラズマ空間に吹き出
す方式であってもよい。
【0038】上記ガス導入ノズルの吹出口が開口する上
記両ロール状電極表面は、導入ノズルから上記放電空間
に混合ガスを、均一な組成と被処理基材の幅方向に等し
い厚さの層流を形成して供給させる際の外乱を防止する
ため、更には、無用に混合ガスがプラズマ放電処理の系
外に漏洩することを防止するために、ガス漏れ防止手段
が講ぜられることが好ましい。
【0039】上記ガス漏れ防止手段としては、特に限定
されるものではないが、例えば、導入ノズルの吹出口か
ら供給される基材が上記ロール状電極と接する位置付近
までの間を上記ロール状電極表面にできるだけ接近させ
て被覆するガス漏れ防止スカート等が挙げられる。上記
ガス漏れ防止手段は、吸引ノズルの吸込口が開口する上
記両ロール状電極の反対側の表面についても同様に設置
されることが好ましい。
【0040】上記ガス漏れ防止手段としては、特に限定
されるものではないが、例えば、導入ノズルの吹出口か
ら供給される基材が上記ロール状電極と接する位置付近
までの間を上記ロール状電極表面にできるだけ接近させ
て被覆するガス漏れ防止スカート等が挙げられる。上記
ガス漏れ防止手段は、吸引ノズルの吸込口が開口する上
記両ロール状電極の反対側の表面についても同様に設置
されることが好ましい。
【0041】上記導入ノズル側のガス漏れ防止スカート
と吸引ノズル側のガス漏れ防止スカートは、各々の側端
縁において上記両ロール状電極の側面を取り囲むよう
に、上記両ガス漏れ防止スカートと同じ幅で両側端縁ガ
ス漏れ防止スカートを連結し、上記両ロール状電極の側
面からの供給混合ガス及び処理後の排ガスが系外に逸散
することを防止することが好ましい。
【0042】上記放電空間に供給される基材は、上記ロ
ール状電極に密着させて搬送させることが好ましい。
又、本発明の常圧プラズマを用いた連続表面処理法又は
連続成膜法で用いられる連続表面処理装置又は連続成膜
装置は、上記放電空間を2本の対向するロール状電極に
よって形成しているものであるので、上記ロール状電極
表面において、同時に2枚の基材に無機質薄膜等を連続
表面処理又は連続成膜させることができる。上記基材及
び表面処理され、もしくは無機質薄膜等の薄膜が形成さ
れた基材を搬送するための装置としては、特に限定され
るものではないが、公知の巻出ロール、巻取ロール及び
必要に応じてガイドロール等を装備した搬送系が用いら
れる。
【0043】上記ロール状電極は、基材を密着させ、基
材の搬送速度に同調させて回転し、プラズマ空間に基材
を導入し、ガス導入口から導入される混合ガス雰囲気中
で、ロール状電極間に電界を印加することにより発生さ
せた放電プラズマによって、基材表面を連続的に表面処
理し、もしくは基材上に連続的に無機質薄膜が形成され
る。
【0044】上記ロール状電極間に印加される電界は、
均一に放電プラズマを発生し得るものであれば特に限定
されるものではないが、パルス化された電界であること
が好ましい。大気圧近傍の圧力下では、上記プラズマ放
電状態からアーク放電状態に至る時間が長いガス成分以
外は、安定してプラズマ放電状態が保持されずに瞬時に
アーク放電状態に移行するので、パルス化された電界を
印加することにより、ロール状電極間の放電をグロー放
電からアーク放電に移行する前に停止させる。電極間に
このような周期的なパルス電界を形成することにより、
微視的にパルス的なグロー放電が繰り返し発生し、結果
として安定したグロー放電状態で放電プラズマを長期に
渡って発生させることが可能となるからである。
【0045】上記パルス電圧波形は、特に限定されるも
のではないが、例えば、インパルス型、方形波型、変調
型が挙げられ、印加電圧が正負の繰り返しであっても、
正又は負の何れかの極性側に電圧を印加される片波状の
波形であってもよい。
【0046】パルスの立ち上がり時間が短いほどプラズ
マ発生の際のガスの電離が効率よく行われる。パルスの
立ち上がり時間が長くなると、放電状態がアークに移行
し易く不安定なものとなり、パルス電界による高密度プ
ラズマ状態を期待できなくなりるので、好ましくは10
0μs以下である。このような高速のパルスを印加する
ことは、高密度のプラズマの発生につながり、プラズマ
処理を高速連続化する上で重要である。ここでパルスの
立ち上がり時間とは、電圧変化が連続して正である時間
を指す。
【0047】又、パルスの立ち上がり時間が短い方がよ
いが、常圧でプラズマが発生する程度の大きさの電界強
度を有し、且つ、立ち上がり時間が短い電界を発生させ
る装置には製作上の制約があり、40nm未満の立ち上
がり時間のパルス電界を実現することは困難である。よ
って、より好ましいパルスの立ち上がり時間は、50n
m〜5μsである。
【0048】又、パルス電界の立ち下がり時間も短い方
が好ましく、立ち上がり時間と同程度の100μs以下
である。パルス電界発生技術によっても異なるが、後述
する本発明の実施例で使用した電源装置では、立ち上が
り時間と立ち下がり時間を同じ時間に設定することがで
きる。
【0049】更に、パルス波形、立ち上がり時間、周波
数の異なるパルスを用いて変調を行ってもよい。このよ
うな変調は高速連続表面処理又は連続成膜を行う上で有
効である。又、パルス周波数が高く、パルス幅は短い方
が高速連続表面処理又は連続成膜に適している。
【0050】本発明の常圧プラズマを用いた連続表面処
理法又は連続成膜法は、大気圧近傍の圧力下、混合ガス
雰囲気中で、放電プラズマ処理を行うものであるが、対
向するロール状電極間の放電電流密度が0.2〜300
mA/cm2 であって、パルス化された電界の印加にお
ける電圧の立ち上がり時間が100μs以下であり、パ
ルスの電界の強さが1〜50kV/cmとなる範囲であ
り、パルス化された電界の周波数が0.5〜100kH
zである。
【0051】上記パルス化された電界の周波数が0.5
kHz未満であると、プラズマ密度が低くなり処理に時
間がかかり過ぎ、100kHzを超えるとアーク放電が
起こり易くなるため上記範囲で処理することが好まし
く、より好ましくは1〜100kHzである。このよう
な高周波数のパルス電界を印加することにより、処理速
度を更に高めることができる。
【0052】又、上記パルス電界におけるパルス継続時
間は、余り短いと放電が不安定なものとなり、余り長い
とアーク放電に移行し易くなるので、好ましくは1〜1
000μs、より好ましくは3〜200μsである。こ
こで、パルス継続時間とは、ON、OFFの繰返しから
なるパルス電界において、パルスが連続する時間をい
う。
【0053】上記プラズマ放電において、更に、放電の
安定のために、放電時間1ms内に、少なくとも1μs
継続するOFF時間を設定することが有効である。
【0054】上記薄膜を形成させる基材としては、特に
限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン、ポ
リプロピレン、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリ
エチレンテレフタレート、ポリテトラフルオロエチレ
ン、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース、アルカリ
処理されたトリアセチルセルロース等のプラスチック、
ガラス、セラミック、金属等が挙げられ、これらの形状
としては、板状、フィルム状等のものが挙げられるが、
特に限定されるものではない。これらの基材の厚さは、
特に限定されるものではないが、例えば、50〜200
μm程度である。
【0055】上記基材表面は、必要に応じて、薄膜との
密着性を高めるために、コロナ放電処理等の表面活性化
処理が施されてもよい。
【0056】上記プラズマ放電による薄膜の形成は、単
一回の処理であってもよいが、複数回の処理による複数
層の薄膜の形成がなされてもよい。例えば、高屈折率膜
としてTiO2 薄膜、低屈折率膜としてSiO2 薄膜を
上記プラズマ放電により交互に複数層積層させることに
よって、更に、上記薄膜に反射防止機能を付加すること
ができる。勿論、反射防止膜として用いられてもよい。
【0057】請求項1記載の発明の常圧プラズマを用い
た連続表面処理法又は連続成膜法は、大気圧近傍の圧力
下、混合ガス雰囲気中で、放電プラズマ処理を行う連続
表面処理法又は連続成膜法であって、一定放電空間を隔
てて対向して設けられた電極が互いにロール状である放
電プラズマ処理電極間に混合ガスを供給し、放電プラズ
マ処理するものであるので、連続表面処理又は連続成膜
の操作が極めて良好であり、高い電界強度で効率的に且
つ確実にプラズマ処理することができ、更には、連続表
面処理又は連続成膜における放電電極の汚れが少なく、
長時間連続表面処理又は連続成膜が可能となり、特に高
度の性能が要求される光学用途に供される無機質薄膜を
精密な厚さ、屈折率等の光学特性をもって安定して生産
性高く製造することができる。
【0058】請求項2記載の発明の常圧プラズマを用い
た連続表面処理又は連続成膜法は、請求項1記載の常圧
プラズマを用いた連続表面処理又は連続成膜法におい
て、上記放電空間中を、ロール状電極のいずれか一方に
密着して搬送される基材上に連続的に表面処理又は成膜
されるものであるので、前項で記載した作用に加えて、
アーク放電等のトラブルをより確実に抑制でき、高い電
界強度で効率的に且つ確実にプラズマ処理することがで
きるものである。
【0059】請求項3記載の発明の常圧プラズマを用い
た連続表面処理法又は連続成膜法は、請求項1又は2記
載の常圧プラズマを用いた連続表面処理法又は連続成膜
法において、上記対向して設けられたロール状放電プラ
ズマ処理電極の周速度に差を設けて回転させるものであ
るので、前各項で記載した作用に加えて、アーク放電等
のトラブルをより確実に抑制でき、高い電界強度で効率
的に且つ確実にプラズマ処理することができるものであ
る。
【0060】請求項4記載の発明の常圧プラズマを用い
た連続表面処理装置又は連続成膜装置は、請求項1〜3
記載の常圧プラズマを用いた連続表面処理法又は連続成
膜法で用いられる連続表面処理装置又は連続成膜装置で
あって、放電プラズマ処理電極が一定放電空間を隔てて
対向して設けられた電極が互いにロール状であるので、
前各項の発明の常圧プラズマを用いた連続表面処理法又
は連続成膜法において奏する効果に加えて、極めてコン
パクトに装備され、作業性にも優れるものである。
【0061】請求項5記載の発明の常圧プラズマを用い
た連続表面処理装置又は連続成膜装置は、請求項1〜3
記載の常圧プラズマを用いた連続表面処理法又は連続成
膜法で用いられる連続表面処理法又は連続成膜装置であ
って、放電プラズマ処理電極が一定放電空間を隔てて対
向して設けられた電極が互いにロール状であり、上記放
電空間に、基材を該電極の各々に密着させて搬送する2
系統の基材搬送装置が付設されてなるものであるので、
前各項の発明の常圧プラズマを用いた連続表面処理法又
は連続成膜法において奏する効果に加えて、一度に2枚
の基材を連続表面処理又は連続成膜でき、生産性は単純
に2倍になり、更に、極めてコンパクトに装備されてお
り、作業性にも優れるものである。
【0062】
【発明の実施の形態】以下、本発明の常圧プラズマを用
いた連続表面処理法又は連続成膜法及び連続表面処理装
置又は連続成膜装置の実施例を示す。図1は、本発明の
常圧プラズマを用いた連続表面処理法又は連続成膜法を
実施するための、連続表面処理装置又は連続成膜装置の
一例につき、その要部を示す説明図である。図2は、本
発明の常圧プラズマを用いた連続表面処理法又は連続成
膜法を実施するための、連続表面処理装置又は連続成膜
装置の他の例につき、その要部を示す説明図である。図
3及び図4は、各々、従来法による常圧プラズマを用い
た連続表面処理法又は連続成膜法を実施するための装置
を示すものである。
【0063】図1において、1及び2はロール状電極で
あり、両ロール状電極1及び2は、一定放電空間を隔て
て対向して設けられ、上記両ロール状電極1及び2間
に、略等間隔の放電空間3が形成されている。尚、上記
両ロール状電極1及び2表面には固体誘電体4が密着し
て被覆されている。上記ロール状電極1及び2によって
形成される放電空間3は、減圧可能なチャンバー内に収
納されていてもよい。上記ロール状電極2は接地され、
上記ロール状電極1及び2間にはパルス電圧印加電源5
からパルス電界が印加され、上記放電空間3でプラズマ
が発生する。
【0064】上記放電空間3の一端にガス導入ノズル6
が設けられ、ガスボンベ等の混合ガス供給装置より配管
61で供給され、導入ノズル6から上記放電空間3に供
給される混合ガスは、対向する両電極1及び2の間の放
電空間3を充満し、プラズマ処理され、該放電空間3に
供給される基材10上に混合ガスによって薄膜11が連
続的に形成される。
【0065】一方、上記放電空間3の他端に吸引ノズル
7が設けられ、プラズマ処理された処理ガス及び未反応
ガスからなる排気ガスは、上記吸引ノズル7から排気さ
れる。
【0066】上記吸引ノズル7よりの排気は、排気配管
71内を真空ポンプ等で排気される。尚、62は、導入
ノズル6側のガス漏れ防止スカートであり、72は、吸
引ノズル7側のガス漏れ防止スカートである。上記両ガ
ス漏れ防止スカート62及び72は、図示されていない
が、各々の側端縁において上記両ガス漏れ防止スカート
62及び72と同じ幅で側端縁ガス漏れ防止スカートが
連結されている。
【0067】上記放電空間3に供給される基材の搬送系
は、上記ロール状電極1及び2の表面に各々密着して搬
送される2系統が設けられている。即ち、第1の系統
は、第1巻出ロール101から巻き出され、ガイドロー
ルを経て、略ロール電極1の半周を抱くようにして基材
10を供給し、上記放電空間3で放電プラズマ処理され
た後、ガイドロールを経て、第1巻取ロール102に巻
き取られるように装備され、第2の系統についても、第
2巻出ロール201、第2巻取ロール202が同様に装
備されている。
【0068】又、その表面に連続成膜される基材10
は、清浄化装置によって基材表面に付着した塵埃・異物
が除去された後、上記放電空間3に供給されるものであ
ってもよい。
【0069】(実施例1)図1に示された連続表面処理
装置又は連続成膜装置を用いて、ポリエチレンテレフタ
レート(PET)フィルム上にSiO2 の薄膜を連続成
膜した。上記連続表面処理装置又は連続成膜装置の放電
プラズマ処理電極は、100mm×700mmの2本の
ロール電極を、長さ方向に均一に2mmの放電空間が設
けられるように対向して配置した。上記ロール状電極
は、その表面に厚さ1.6mmのアルミナ被膜からなる
誘電体層が設けられ、且つ、ロール状電極表面温度が7
0℃に温度制御されるように装備されている。
【0070】又、供給される混合ガスは、アルゴン:窒
素:酸素:TEOS=67.8:16:16:0.2
(重量比)の組成であり、80℃に温度制御された導入
ノズル6から50リットル/分の総流量で上記放電空間
に供給された。
【0071】上記2本のロール状電極それぞれに、独立
した搬送系を装備し、2枚の基材フィルムが供給され
る。
【0072】上記のように準備された反応系に、立上り
速度5μsec のパルス電界を電極間に印加し、プラズマ
を発生させ、同時に、ロール状電極表面の回転によって
厚さ75μmのPETフィルムを上記放電空間に供給
し、該フィルム上にSiO2 の薄膜を連続成膜した。
尚、使用電源は、ハイデン研究所社製、パルス電源であ
り、液体材料気化供給装置:日本パイオニクス社製(パ
ルス立上り時間5μs以下)が用いられた。
【0073】(比較例1)実施例で用いたロール電極に
替えて、放電面が100mm×700mmである2枚の
対向する平行平板電極32を備え、実施例で用いたロー
ル電極と略等しい放電エネルギーを有する、ヘリウム常
圧プラズマによる従来の連続表面処理装置又は連続成膜
装置によって実施例と同様にPETフィルム100上に
SiO2 の薄膜を連続成膜した。
【0074】実施例及び比較例の常圧プラズマを用いた
連続表面処理法又は連続成膜法及び連続表面処理装置又
は連続成膜装置の性能を評価するため、製造開始直後及
び400m製造時(製造開始後、約34時間経過時)に
得られた試料につき、SiO 2 の薄膜の膜厚及び屈折率
は、常法により測定し、SiO2 薄膜の外観は、目視に
よる官能検査によって、製造開始直後と400m製造時
点における品質の変化(悪化)の有無で評価した。測定
結果は表1に示した。
【0075】
【表1】
【0076】表1より明らかなように、実施例1におい
ては、同時に2枚の基材にSiO2の薄膜を成膜でき、
且つ、得られるSiO2 薄膜は、生産開始直後から40
0m(約34時間)の連続生産後においても、その厚さ
及び屈折率が全く変化せず、目視による外観検査結果も
スジ、ムラ等の欠陥も全く認められず極めて高い生産性
で連続表面処理又は連続成膜できるものであり、連続表
面処理装置又は連続成膜装置としても極めてコンパクト
に装備され、作業性にも優れるものであった。これに対
して、比較例1においては、同じSiO2 薄膜が、生産
開始直後から25m(約2時間)で既に厚さの減少が認
められ、50m(約4時間)で73%程度に減少し、バ
ラツキも大きいものであり、目視による外観検査結果も
スジ、ムラ等が相当数明確に確認され、既に連続表面処
理又は連続成膜の限界を超すものであると判断された。
【0077】図2は、本発明の常圧プラズマを用いた連
続表面処理法又は連続成膜法を実施例2について実施し
た状態の説明図である。図2に示された連続表面処理装
置又は連続成膜装置は、対向して設けられたロール状電
極12及び13間に形成される放電空間が、上記ロール
状電極13の両端に嵌着されているスペーサー14によ
って規制される点及びロール状電極13の回転力が上記
スペーサー14を介してロール状電極12に伝達される
点、更に、被処理基材が単一枚である等の点において、
図1の連続表面処理装置又は連続成膜装置を用いた連続
表面処理法又は連続成膜法の細部が異なっているが、基
本的には、図1に示された連続表面処理法又は連続成膜
法と同じであるので、具体的には、以下に示す実施例2
中で詳述する。
【0078】(実施例2)図2において、ステンレス鋼
製のチャンバー8内に、60mmφ×300mm(ロー
ル長)の誘電体(アルミナ、被覆厚さ0.5mm)コー
トのロール状電極(上下)12及び13を、リング状の
スペーサー14によってクリアランス1mmを設けて対
向して設置される。ここでは下部電極13は、密着して
搬送される基材100との摩擦によって連回転し、該回
転力は、電極13表面両端縁に嵌着されているスペーサ
ー14を介して上部ロール電極12に伝達され、下部電
極13より僅かに早い周速度で上部電極12は回転す
る。
【0079】幅250mmのポリプロピレン繊維不織布
からなる基材100を気密に保たれたシール入口91よ
りチャンバー8内に導入し、上記処理電極間に誘導し
た。チャンバー8内は、真空排気され1Torrにさ
れ、ガス導入管93より、アルゴンガス:酸素ガス=
7:3(体積比)混合ガスを導入し、チャンバー8内が
大気圧と等しくなった時、排気口94を開口し、以後、
ガス導入管93より混合ガスを10リットル/分でチャ
ンバー8内に供給する。
【0080】この状態で、上部ロール電極12を5μs
の立上がり速度を持つ高速パルス電源31に接続し、下
部ロール電極13をアースして、Vp-p =10kV、出
力電力=0.5kW、繰返し周波数=10kHzのパル
ス電圧を上記両ロール電極12及び13間に印加してプ
ラズマを励起する。プラズマ放電は、対向する上記両ロ
ール電極12及び13間の最近接部を中心に周方向に2
4mm幅で、均一な帯状にロール長方向に発生した。
【0081】下部ロール電極cを抱くようにこれと密着
して0.1〜1m/分の搬送速度で供給された基材10
0は、上記プラズマ放電雰囲気内で、その表面を親水化
処理された。親水化処理された基材100表面の対水接
触角を、協和界面科学社製、接触角計「CA−X150
型」を測定した。測定結果は表2に示す。又、親水化処
理された基材100表面の外観を目視により検査した
が、外観上特に変化は認められなかった。
【0082】(比較例2)実施例2のロール電極12及
び13に替えて、図4に示す放電面積が200mm×3
00mmの平行平板電極32を用いたこと以外は、実施
例2と同様にして基材100表面を親水化処理した。親
水化処理された基材100表面の対水接触角の測定及び
外観検査は、実施例2と同様にして行われた。測定結果
は表2に示す。又、外観検査は、外観上特に変化は認め
られなかった。
【0083】(比較例3)比較例2において、Vp-p
10kV、出力電力=0.5kW、繰返し周波数=10
kHzのパルス電圧を、Vp-p =13kV、出力電力=
0.8kW、繰返し周波数=10kHzのパルス電圧
と、Vp-p 及び出力電力を各々上げたこと以外は、比較
例2と同様にして行われた。測定結果は表2に示す。
又、外観検査の結果、アーク放電によると思われる孔が
数多く認められた。
【0084】
【表2】
【0085】表2より明らかなように、ロール状電極を
用いる実施例2の常圧プラズマを用いた連続表面処理法
又は連続成膜法においては、平行平板電極を用いる比較
例2及び3の常圧プラズマを用いた連続表面処理法又は
連続成膜法に比して、約3分の1のプラズマ照射時間
で、同等の親水化効果がえられ、大幅に処理効率が向上
した。又、比較例3に見られるように、印加電圧・電力
を高めると、アーク放電によると思われる無数の孔によ
って基材ポリプロピレン不織布を損傷したが、実施例2
においては、処理効率が高いにも拘らず、かかる外観欠
陥は全く認められなかった。
【0086】
【発明の効果】本発明の常圧プラズマを用いた連続表面
処理法又は連続成膜法は、叙上のように構成されている
ので、連続表面処理又は連続成膜の操作が極めて良好で
あり、高い電界強度で効率的に且つ確実にプラズマ処理
することができ、更には、連続表面処理又は連続成膜に
おける放電電極の汚れが少なく、長時間連続成膜が可能
となり、特に高度の性能が要求される光学用途に供され
る無機質薄膜を精密な厚さ、屈折率等の光学特性をもっ
て安定して生産性高く製造することができる。
【0087】特に被処理基材をロール状電極のいずれか
一方に密着して放電空間に搬送し、或いは/更に両ロー
ル状電極に周速度の差を設けることによって、更に前述
する諸効果を高からしめるものである。
【0088】本発明の常圧プラズマを用いた連続表面処
理装置又は連続成膜装置は、叙上のように構成されてい
るので、本発明の常圧プラズマを用いた連続表面処理法
又は連続成膜法において奏する効果に加えて、極めてコ
ンパクトに装備され、作業性にも優れるものである。特
に、基材を上記ロール状電極の各々に密着させて搬送す
る2系統が付設されたものでは、一度に2枚の基材を表
面処理でき、もしくは連続成膜できるので、生産性は単
純に2倍になり、更に、極めてコンパクトに装備されて
おり、作業性にも優れたものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の常圧プラズマを用いた連続表面処理法
又は連続成膜法を実施するための、連続表面処理装置又
は連続成膜装置の一例を示す説明図である。
【図2】本発明の常圧プラズマを用いた連続表面処理法
又は連続成膜法を実施するための、連続表面処理装置又
は連続成膜装置の他の例を示す説明図である。
【図3】対向する平行平板電極を放電電極とする常圧プ
ラズマを用いた連続表面処理装置又は連続成膜装置の一
例を示す説明図である。
【図4】ロール状電極と同軸回転面を表面とする曲面電
極を放電電極とする常圧プラズマを用いた連続表面処理
装置又は連続成膜装置の一例を示す説明図である。
【符号の説明】
1、2、12、13、20 ロール電極 14 スペーサー 30 曲面電極 31 パルス電源 32 平行平板電極 3、40 放電空間 4 固体誘電体 50 吸引装置 5 高圧パルス電源 6 導入ノズル 61 配管 62 導入ノズルガス漏れ防止スカート 7 吸引ノズル 71 配管 72 吸引ノズルガス漏れ防止スカート 8 チャンバー 91 シール入口 92 シール出口 93 ガス導入管 94 排気口 10、100 基材 11 薄膜 101、201 巻出ロール 102、202 巻取ロール

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大気圧近傍の圧力下、混合ガス雰囲気中
    で、放電プラズマ処理を行う連続表面処理法又は連続成
    膜法であって、一定放電空間を隔てて対向して設けられ
    た電極が互いにロール状である放電プラズマ処理電極間
    に混合ガスを供給し、放電プラズマ処理することを特徴
    とする常圧プラズマを用いた連続表面処理法又は連続成
    膜法。
  2. 【請求項2】 上記放電空間を、ロール状電極のいずれ
    か一方に密着して搬送される基材上に連続的に成膜又は
    表面処理されることを特徴とする請求項1記載の常圧プ
    ラズマを用いた連続表面処理法又は連続成膜法。
  3. 【請求項3】 上記対向して設けられたロール状放電プ
    ラズマ処理両電極の周速度に差を設けて回転させること
    を特徴とする請求項1又は2記載の常圧プラズマを用い
    た連続表面処理法又は連続成膜法。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3記載の常圧プラズマを用い
    た連続表面処理法又は連続成膜法で用いられる連続表面
    処理装置又は連続成膜装置であって、放電プラズマ処理
    電極が一定放電空間を隔てて対向して設けられた電極が
    互いにロール状であることを特徴とする常圧プラズマを
    用いた連続表面処理装置又は連続成膜装置。
  5. 【請求項5】 請求項1〜3記載の常圧プラズマを用い
    た連続表面処理法又は連続成膜法で用いられる連続表面
    処理装置又は連続成膜装置であって、放電プラズマ処理
    電極が一定放電空間を隔てて対向して設けられた電極が
    互いにロール状であり、上記放電空間に、基材を該電極
    の各々に密着させて搬送する2系統の基材搬送装置が付
    設されてなることを特徴とする常圧プラズマを用いた連
    続表面処理装置又は連続成膜装置。
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