JP2005266665A - 反射防止体およびこれを用いたディスプレイ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面の機械的強度に優れ、良好な光学特性を有する反射防止体およびディスプレイ装置を提供する
【解決手段】透明な基材2上に反射防止層3が設けられた反射防止体1であって、反射防止層3が、基材2側から、屈折率が1.6以下である物質からなる第1の低屈折率層32と、屈折率が1.7以上である物質からなる高屈折率層33と、屈折率が1.6以下である物質からなる第2の低屈折率層34と、第2の低屈折率層34上に設けられた保護膜35を有しており、保護膜35は、被酸化元素としてジルコニウムおよびチタンのうちの少なくとも1種と、ホウ素およびケイ素のうちの少なくとも1種とを含む酸化物からなり、第2の低屈折率層34の幾何学的膜厚と保護膜35の幾何学的膜厚の合計を100とするとき、第2の低屈折率層の幾何学的膜厚:保護膜の幾何学的膜厚の比の値が93:7〜83:17の範囲内であることを特徴とする反射防止体、およびこれを備えたディスプレイ装置。
【選択図】 図1

Description

本発明は、基材上に複数の層を積層してなる反射防止体、および該反射防止体を備えたディスプレイ装置に関する。
従来から、ディスプレイ等の視認性を向上させるため、表示画面上に反射を防止できる多層コーティング層を備えた反射防止体を設けることが行われている。かかる多層コーティング層は、通常、少なくとも3層からなり、可視スペクトル内の全ての波長において反射を減じるように設計されている。例えば、プラスチックフィルム上に酸化インジウム(In)またはこれと酸化スズ(SnO)との複合酸化物(以下、ITOという。)からなる導電性薄膜と、その上に酸化チタン(TiO)からなる高屈折率薄膜と、さらにその上に二酸化ケイ素(SiO)からなる低屈折率薄膜とが設けられている導電性フィルムが提案されている(特許文献1参照。)。
ところで、近年では各種ディスプレイの用途多様化に伴い、表示画面の表面強度に対する要求がより厳しくなってきている。そして、そのような要求に対応するために、反射防止体の表面強度をより向上させることが望まれている。
例えば、ディスプレイの用途によっては、表示画面の付着物を除去するために表示画面を強く擦る場合等が想定され、そのような強い機械的外力によっても反射防止体に傷が生じないことが要求される。
下記特許文献2には、耐摩耗性に優れた光学体として、基板上に窒化物膜、または透明誘電体膜および窒化物膜を設け、最外層として非晶質酸化物膜を設けた光学体が記載されている。該非晶質酸化物膜は、チタン、ジルコニウム、ハフニウム、錫、タンタル、およびインジウムからなる群から選ばれる少なくとも1種の元素と、ホウ素とケイ素のうち少なくとも1種の元素とを含む酸化物からなる。
またSiとZrとを含有する酸化物合金層を備えた反射防止フィルムに関しては、下記特許文献3に、反射防止層を構成する層のうち、基体から最も離れた位置の低屈折率層を、SiとZrとを含有する酸化物合金層で形成すると、優れた耐アルカリ性が得られることが記載されている。
特開平2−56811号公報 特開平3−223703号公報 特開2003−62920号公報
しかしながら、前記特許文献2に記載されているような非晶質酸化物膜を単に反射防止体の最外層に適用しようとしても、構成によって十分な表面の機械的強度が得られなかったり、あるいは機械的強度は向上できても光の反射率が高くなって反射防止特性が不十分になるなどの問題があった。
本発明は、前記事情に鑑みてなされたもので、表面の機械的強度が優れており、かつ良好な光学特性を有する反射防止体およびディスプレイ装置を提供することを目的とする。
前記課題を解決するために本発明の反射防止体は、透明な基材上に反射防止層が設けられた反射防止体であって、前記反射防止層が、前記基材側から順に、屈折率が1.6以下である物質からなる第1の低屈折率層と、屈折率が1.7以上である物質からなる高屈折率層と、屈折率が1.6以下である物質からなる第2の低屈折率層と、前記第2の低屈折率層上に設けられた保護膜を有しており、前記保護膜は、被酸化元素としてジルコニウムおよびチタンのうちの少なくとも1種と、ホウ素およびケイ素のうちの少なくとも1種とを含む酸化物からなり、前記第2の低屈折率層の幾何学的膜厚と前記保護膜の幾何学的膜厚の合計を100とするとき、第2の低屈折率層の幾何学的膜厚:保護膜の幾何学的膜厚の比の値が93:7〜83:17の範囲内であることを特徴とする。
なお、被酸化元素とは、酸化物において酸化されている元素(例えば酸化チタンにおけるチタン)をいう。
また、上記第1の低屈折率層と第2の低屈折率層との間に設けられている高屈折率層を、下記第2の高屈折率層と区別するために、以下、第1の高屈折率層という。
また、本発明の反射防止体は上記第1の低屈折率層の基材側に第2の高屈折率層を有していることが好ましい。
さらに、本発明は、画像を表示するためのディスプレイ画面と、該ディスプレイ画面の視認側に設けられた本発明の反射防止体とを備えることを特徴とするディスプレイ装置を提供する。
本発明によれば、耐摩耗性や耐擦傷性など表面の機械的強度に優れており、かつ良好な光学特性を有する反射防止体、および該反射防止体を備えたディスプレイ装置が得られる。
<反射防止体>
以下、本発明の実施の形態に係る反射防止体の例を図面に示し、詳細に説明する。
なお、本明細書における屈折率(以下、単にnで表すこともある。)は、波長550nmにおける屈折率である。
[第1の実施形態]
図1に、本発明の第1の実施形態に係る反射防止体1を示す。この反射防止体1は、透明な基材2上にハードコート層4が設けられ、該ハードコート層4上に反射防止層3が設けられている。反射防止層3は第2の高屈折率層31を有している。
(基材)
基材2の材質としては、平滑透明で、可視光線を透過し得るものであればよい。例えば、プラスチック、ガラス等が挙げられる。
プラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタクリレート等を挙げることができる。
基材2の厚さは用途に応じて適宜選定される。例えば、フィルム状でもよいし、板状でもよい。また、基材2は、単一の層で構成してもよいし、複数層の積層体でもよい。
基材2を、これとは別体のガラス板、プラスチック板等に粘着剤等で貼り付けて反射防止体を構成してもよい。例えば、薄いフィルム状のプラスチックの基材2を別のプラスチック板、ガラス板等に貼り付けてもよいし、ガラス板の基材2を別のガラス板、プラスチック板等に貼り付けてもよい。
(ハードコート層)
ハードコート層4は、透明性があり、基材2の屈折率(n)と等しいか、または、基材2の屈折率(n)との差が±0.1以内の屈折率を有する硬い材料で構成される。例えば、紫外線硬化型のアクリル樹脂の硬化物、硬化性シリコーン樹脂の硬化物等を主体とする樹脂が挙げられる。これらの樹脂には、添加剤を含有させることもできる。
ハードコート層4は、バーコート法、ドクターブレード法、リバースロールコート法、グラビアロールコート法等の公知の塗布方法で硬化性樹脂層を形成し、これを硬化させて形成することができる。
ハードコート層4の幾何学的膜厚は、10μm以下が好ましい。
なお本発明では、ハードコート層4を設けずに基材2上に反射防止層3を直接積層する構成とすることもできるが、基材2と反射防止層3との間にハードコート層4を設けることにより、反射防止体1に所望の硬さを付与することができる。
(反射防止層)
本実施形態の反射防止層3は、第2の高屈折率層31と、該第2の高屈折率層31上に設けた第1の低屈折率層32と、第1の低屈折率層32上に設けた第1の高屈折率層33と、第1の高屈折率層33上に設けた第2の低屈折率層34と該第2の低屈折率層34上に設けた保護膜35から構成されている。
(第2の高屈折率層)
第2の高屈折率層31としては、第1の低屈折率層32の材料よりも高屈折率の材料からなり、その屈折率は1.7以上であることが好ましい。該屈折率は、1.7以上、2.7以下であることがより好ましい。
また、この層の材料は導電性の材料、特に導電性の金属酸化物からなることが好ましい。
第2の高屈折率層31の材料としては、可視光線の透過率が高いこと、および導電性を有することから、導電性金属酸化物として公知の酸化インジウムと酸化スズとの混合物(以下ITOという。屈折率n:2.06)、酸化スズ(n:2.0)、酸化亜鉛を主成分とし酸化アルミニウム(Al)を含有する酸化物(以下AZOという。)などが好ましい。AZOの屈折率は、酸化アルミニウムの含有量にもよるが、約1.93である。中でもITOがより好ましい。
第2の高屈折率層31と第1の低屈折率層32との屈折率差は、0.2以上が好ましく、0.4以上がより好ましい。
本発明においては第2の高屈折率層31は反射防止の効果からは必須の構成ではないが、この層を導電層として使用することにより、反射防止の効果に加えて、高い導電性能による帯電防止性、電磁波遮断性という効果が得られる。
第2の高屈折率層31の形成方法としては、例えば、蒸着、スパッタリング等の物理気相折出法、CVD等の化学気相折出法または特殊な湿式コーティング等を用いることができる。
(低屈折率層)
第1および第2の低屈折率層32、34は、屈折率が1.6以下である物質によって構成される。例えば、二酸化ケイ素(n:1.46)、フッ化マグネシウム(n:1.38)、フッ化カリウム(n:1.3〜1.4)、フッ化アルミニウム(n:1.3)、フッ化ランタン(n:1.58)、酸化アルミニウム(n:1.6)、NaAlF(n:1.35)などが挙げられるが、そのなかでも二酸化ケイ素が好ましい。
第1および第2の低屈折率層32、34の形成方法としては、真空蒸着法、反応性蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相折出法またはプラズマCVD法等の化学気相折出法が挙げられる。しかし、これらの方法に限定されることはなく、ゾル−ゲル法による湿式成膜方式も使用できる。
(第1の高屈折率層)
第1の高屈折率層33は、屈折率が1.7以上である物質によって構成される。第1の高屈折率層33の屈折率のより好ましい範囲は1.7以上、2.7以下である。
第1の高屈折率層33と第1の低屈折率層32との屈折率差および第1の高屈折率層33と第2の低屈折率層34との屈折率差は、0.2以上が好ましく、0.4以上がより好ましい。
第1の高屈折率層33の材料としては酸化チタン(n:2.4)、酸化タンタル(n:2.1〜2.2)、酸化亜鉛(n:2.1)、酸化スズ(n:2.0)、AZO(n:約1.93)等を用いることができる。
これらの中でも特にAZOは、例えば酸化亜鉛に比べて、450nm以下の波長領域について高い透過率を得ることができる点、酸化物層33の内部応力が低いので層間の高い密着性を得ることができる点、速い速度で成膜できる点において好ましい。
第1の高屈折率層33をAZOで構成する場合、該第1の高屈折率層33に含有されるアルミニウムは、アルミニウムと亜鉛との総量に対して1〜7原子%であることが好ましく、2〜4原子%であることがより好ましい。アルミニウム含有量を1原子%以上とすることにより、450nm以下の波長領域についてさらに高い透過率を得ることができる。また、酸化物層33の内部応力が低減するため、層間の高い密着性を得ることができる。アルミニウム含有量を7原子%以下とすることにより、結晶粒の大きさが小さくなり、粒界に吸着される水分量が減少して、高い耐湿性を保つことができる。
第1の高屈折率層33の形成方法としては、真空蒸着法、反応性蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相折出法またはプラズマCVD法等の化学気相折出法が挙げられる。
そのなかでも、DCスパッタリング法は、膜厚の制御が比較的容易であること、低温基材上に形成しても実用的な膜強度が得られること、大面積化が容易なこと、いわゆるインライン型の設備を用いれば積層膜の形成が容易なこと等の点から好ましい。
(保護膜)
保護膜35は、被酸化元素としてジルコニウムおよびチタンのうちの少なくとも1種と、ホウ素およびケイ素のうちの少なくとも1種とを含む酸化物で構成される。好ましい例としては、ZrB、ZrSi、ZrBSi、TiSiからなる膜が挙げられる。
これらの中でも、特に、被酸化元素としてジルコニウムとケイ素を含む複合酸化物膜(ZrSi、ZrBSi)は、機械的強度に優れるとともに耐薬品性などの化学的安定性にも優れているので好ましい。
保護膜35は、ホウ素原子(B)、ケイ素原子(Si)および酸素原子(O)の含有割合や成膜条件を変えることにより、膜の硬さや屈折率を変えることができる。したがって、ホウ素原子(B)、ケイ素原子(Si)、および酸素原子(O)の含有割合や成膜条件を調整して、所望の硬さ、所望の屈折率の膜とすることができる。
保護膜35の硬さについては明らかではないが、該膜が非晶質の膜であると緻密な膜となるため、硬く耐擦傷性に優れた膜となると考えられる。保護膜35の硬さは、テイバー試験(JIS K 7204-1995)前後でのヘイズの増加が4.5以下であることが好ましい。
保護膜35の屈折率については、保護膜35と第2の低屈折率層34との屈折率差が大きすぎると、良好な反射防止性能が得られなくなるので、両者の差が0.4以下となるように設定するのが好ましい。保護膜35の屈折率は、例えば1.3〜1.8の範囲内に設定されることが好ましい。
保護膜35の形成方法としては、真空蒸着法、反応性蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相折出法またはプラズマCVD法等の化学気相折出法を用いることができる。
特に、反応性スパッタリング法は、膜厚の制御が比較的容易であること、低温基材上に形成しても実用的な膜強度が得られること、大面積化が容易なこと、いわゆるインライン型の設備を用いれば積層膜の形成が容易なこと等の点から好ましい。
例えばターゲットとして、ZrB−B、ZrB−ZrO、ZrSi、ZrSi−Si、ZrB−ZrSi−Si、TiSi−Si等を用いた反応性スパッタリングが好ましく用いられる。
(幾何学的膜厚)
一般的に、反射防止層は、光学的には高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層させた構造から成り立っている。この場合、高屈折率層と低屈折率層とを、各々所定の光学的膜厚(n×d(式中、nは屈折率、dは幾何学的膜厚。))で構成することにより、目的の反射防止特性が得られる。
また、本発明者等は、保護層35の幾何学的膜厚と、その下層である第2の低屈折率層34の幾何学的膜厚が反射防止層表面の機械的強度の向上に寄与することを見出した。
したがって、本実施形態における反射防止層3を構成する第2の高屈折率層31、第1の低屈折率層32、第1の高屈折率層33、第2の低屈折率層34、および保護層35の各層の幾何学的膜厚は、目的の反射防止特性が得られる光学的膜厚に基づいて、かつ良好な表面強度が得られるように決定される。
本実施形態において、第2の高屈折率層31の幾何学的膜厚は、通常30nm以下が好ましく、10〜20nmがより好ましい。第1の低屈折率層32の幾何学的膜厚は、20〜40nmが好ましく、25〜35nmがより好ましい。第1の高屈折率層33の幾何学的膜厚は、110〜150nmが好ましく、120〜140nmがより好ましい。
また、第2の低屈折率層34の幾何学的膜厚と保護膜35の幾何学的膜厚の合計を100とするとき、第2の低屈折率層34の幾何学的膜厚:保護膜35の幾何学的膜厚の比の値は93:7〜83:17の範囲内である。該比の好ましい範囲は、91:9〜85:15である。第2の低屈折率層34と保護膜35の幾何学的膜厚の比率を上記の範囲内とすることにより、良好な反射特性を確保できるとともに、優れた表面強度を達成することができる。
本発明の反射防止体の視感反射率は、0.8%以下が好ましく、0.6%以下がより好ましい。
本実施形態において、第2の低屈折率層34の幾何学的膜厚が60.75〜74.25nmの範囲内で、かつ保護膜35の幾何学的膜厚が8.1〜9.9nmの範囲内であることが好ましい。
(防汚層)
なお、図示していないが、必要に応じて保護膜35上に防汚層を設けてもよい。
防汚層の材料としては、パーフルオロシラン、フルオロカーボン等を含む撥油性の有機膜を使用することができる。
防汚層の形成手法としては、蒸着法、スパッタリング法、塗布乾燥法などがある。
防汚層の幾何学的膜厚は、通常、5nm以下が好ましく、2nm以下がより好ましい。
防汚層を設けることにより、反射防止層3が保護され、かつ、防汚染性能が向上して汚れの拭き取りが容易になる。
(酸化バリア層)
また、ハードコート層4と第2の高屈折率層31との間、第2の高屈折率層31と第1の低屈折率層32との間、第1の高屈折率層33と第2の低屈折率層34との間の全部または一部に、成膜時の下地膜材料の酸化を防ぎ隣接する層間の密着性を向上させるため、酸化バリア層を設けることもできる。
酸化バリア層は、その下に形成されている既存の層の酸化を防ぐために形成される薄膜であり、光学的には意味を持たないものである。酸化バリア層としては、酸化ケイ素等の金属酸化物または窒化ケイ素等の金属窒化物を使用できる。
酸化バリア層の形成手法としては、蒸着法、スパッタリング法、CVD法などがある。
酸化バリア層の幾何学的膜厚は、5nm以下が好ましい。
本発明の反射防止体1のシート抵抗は、帯電防止の点から1010Ω以下であることが好ましい。また、電磁波遮蔽能力の点から、10Ω以下であることがより好ましい。
<ディスプレイ装置>
以下、本発明の実施の形態に係るディスプレイ装置について、詳細に説明する。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係るディスプレイ装置は、画像を表示するためのディスプレイ画面と、ディスプレイ画面の視認側に設けられた反射防止体とを備えている。
ディスプレイ装置としては、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)等が挙げられる。
画像を表示するためのディスプレイ画面の視認側は、一般に、ガラス基板、プラスチック基板等の透明基板で構成されている。反射防止体としては、本発明の反射防止体であれば特に制限はないが、例えば、第1の実施形態の反射防止体1を用いることができる。
反射防止体は、ディスプレイ画面の視認側表面に粘着剤等を用いて直接貼着してもよいし、ディスプレイ画面との間に隙間を置いて設置してもよい。
また、ディスプレイ画面の視認側に、新たにガラス、プラスチック等からなる前面板を設置し、前面板の視認側またはディスプレイ側に反射防止体を直接貼着してもよい。また、前面板の視認側またはディスプレイ側に、前面板との間に隙間を置いて反射防止体を設置してもよい。
本発明の反射防止体を有するディスプレイ装置としては、画像を表示するためのディスプレイ画面の視認側の面上に、本発明の反射防止体における反射防止層が設けられた構成を有しているものであってもよい。この場合、ディスプレイ画面の視認側は、一般に、ガラス基板、プラスチック基板等の透明基板で構成されている。この透明基板が、本発明における基材となる。
反射防止層としては、例えば、第1の実施形態の反射防止層3を用いることができる。この場合、ディスプレイ画面の視認側の面(基材)上に、第2の高屈折率層31、第1の低屈折率層32、第1の高屈折率層33、第2の低屈折率層34、保護膜35の順番で積層する。
反射防止層は、蒸着法、スパッタリング法、塗布乾燥法などにより、直接ディスプレイ画面の視認側表面上に形成することができる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。
[例1]
透明な基材2として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ188μm)を使用した。まず、基材2上に紫外線硬化型の多官能アクリル樹脂をリバースロールコート法にて塗布した後、紫外線を照射して硬化させ、厚さ6μmのハードコート層4を形成した。
次に、ハードコート層4上にITO層(第2の高屈折率層31)を形成させるため、ITO(インジウム:スズ=90質量%:10質量%)をターゲットとし、マグネトロンスパッタ法により成膜を行った。具体的には、1.0Paの圧力で周波数50kHz、反転パルス幅2.0μ秒のパルススパッタを行った。ガスとしてはアルゴンガスに酸素ガスを2体積%混合し、ターゲットのパワー密度は2.7W/cmとして、膜厚20nm目標にITO層(n:2.0)を成膜した。
次に、ITO層(第2の高屈折率層31)の上に、第1の低屈折率層32を形成した。具体的にはボロンドープした多結晶シリコンターゲット(抵抗率:0.004Ω・cm)を使用し、マグネトロンスパッタ法により成膜した。このとき、アルゴンガスに酸素ガスを40体積%混合したガスを導入し、0.57Paの圧力で周波数50kHz、反転パルス幅5.0μ秒のパルススパッタを行い、ターゲットのパワー密度を3.8W/cmとして、膜厚30nm目標に二酸化ケイ素層(n:1.46)を成膜した。
次に第1の低屈折率層32の上に第1の高屈折率層33を形成した。具体的には、酸化アルミニウムを5質量%添加した酸化亜鉛をターゲットとして、マグネトロンスパッタ法により成膜を行った。このときアルゴンガスに酸素ガスを5体積%混合したガスを導入し、1.0Paの圧力で周波数50kHz、反転パルス幅2.0μ秒のパルススパッタを行い、ターゲットのパワー密度を2.7W/cmとして、膜厚120nm目標にAZO層(n:1.93)を成膜した。
なお、形成されたAZO層中のアルミニウムの含有量はESCA(PHI社製、5500)を用いて測定したところ、アルミニウムと亜鉛との総量に対して、3.0原子%(酸化アルミニウム換算で4.7質量%)であった。
次に、第1の高屈折率層33上に第2の低屈折率層34を形成した。具体的には、ボロンドープした多結晶シリコンターゲット(抵抗率:0.004Ω・cm)を使用し、マグネトロンスパッタ法により成膜した。このとき、アルゴンガスに酸素ガスを40体積%混合したガスを導入し、0.57Paの圧力で周波数50kHz、反転パルス幅5.0μ秒のパルススパッタを行い、ターゲットのパワー密度を3.8W/cmとして、二酸化ケイ素層(n:1.46)を成膜した。成膜時間は135秒とした。
また、予め同条件下における成膜時間と幾何学的膜厚との関係を求めておき、該関係に基づいて本例で形成した二酸化ケイ素層の幾何学的膜厚を求めたところ67.5nmであった。
次に、第2の低屈折率層34上に保護膜35を形成して反射防止体を得た。
すなわち、Zrを33.3質量%含有したZrSiターゲット(旭硝子セラミック社製、商品名:SX)を使用し、マグネトロンスパッタ法により成膜した。このとき、アルゴンガスに酸素ガスを30体積%混合したガスを導入し、0.57Paの圧力で周波数50kHz、反転パルス幅5.0μ秒のパルススパッタを行い、ターゲットのパワー密度を3.8W/cmとして、ZrSi層を成膜した。成膜時間は20秒とした。
また、予め同条件下における成膜時間と幾何学的膜厚との関係を求めておき、該関係に基づいて本例で形成したZrSi層の幾何学的膜厚を求めたところ9.0nmであった。 形成されたZrSi層の屈折率は1.7であった。
[例2〜6]
例1において、第2の低屈折率層34の成膜時間、および保護膜35の成膜時間を表1に示す通りに変更した他は例1と同様にして、それぞれ反射防止体を製造した。
<評価>
例1〜6で得られた反射防止体について、以下の評価を行った。その結果を下記表1に示す。
(1)視感反射率
反射防止体の視感反射率(JIS Z 8701において規定されている反射の刺激値Y)を、島津製作所社製分光光度計UV3150PCを用いて測定した。
(2)密着性
反射防止体に1mm幅で100マスの碁盤目状の切込みをカッターで入れて、その表面にニチバンセロテープを貼り付けた後、剥離試験(JIS D0202−1988)を行った。
100マスのうち、剥離が認められなかったマスの数Xを「X/100」で表す。
(3)表面の機械的強度(テイバー試験)
摺動特性として温度23℃、相対湿度50%の試験環境において、安田精機社製のテイバー式アブレーションテスターを用い、反射防止体表面に荷重250gf(約2.45N)の下で、軟質摩耗輪(TABER INDUSTRIES社製 商品名CALIBRASE CS-10F)を圧着させた状態で、前記軟質摩耗輪を60rpmの回転速度で50回転させるテイバー試験を実施した(JIS K 7204-1995)。試験前後の反射防止体表面のヘイズ(くもり価、単位%)をスガ試験機社製HGM-2Kにより測定した。測定結果として「テイバー試験後のヘイズ/テイバー試験前のヘイズ」を下記表に示す。
Figure 2005266665
テイバー試験では、例1が試験前後におけるヘイズの変化量が最も小さく、表面強度に優れていた。保護膜の幾何学的膜厚がこれより増大しても減少してもヘイズの変化量が増大する傾向が見られた。
特に例1は全特性において優れており、良好な表面強度と反射防止特性が得られた。
本発明の反射防止体の一実施形態に係る概略断面図である。
符号の説明
1 反射防止体
2 基材
3 反射防止層
4 ハードコート層
31 第2の高屈折率層
32 第1の低屈折率層
33 第1の高屈折率層
34 第2の低屈折率層
35 保護膜

Claims (4)

  1. 透明な基材上に反射防止層が設けられた反射防止体であって、
    前記反射防止層が、前記基材側から順に、屈折率が1.6以下である物質からなる第1の低屈折率層と、屈折率が1.7以上である物質からなる高屈折率層と、屈折率が1.6以下である物質からなる第2の低屈折率層と、前記第2の低屈折率層上に設けられた保護膜を有しており、
    前記保護膜は、被酸化元素としてジルコニウムおよびチタンのうちの少なくとも1種と、ホウ素およびケイ素のうちの少なくとも1種とを含む酸化物からなり、
    前記第2の低屈折率層の幾何学的膜厚と前記保護膜の幾何学的膜厚の合計を100とするとき、第2の低屈折率層の幾何学的膜厚:保護膜の幾何学的膜厚の比の値が93:7〜83:17の範囲内であることを特徴とする反射防止体。
  2. 前記第2の低屈折率層の幾何学的膜厚が60.75〜74.25nmの範囲内であり、かつ前記保護膜の幾何学的膜厚が8.1〜9.9nmの範囲内であることを特徴とする請求項1記載の反射防止体。
  3. 前記反射防止層が、前記第1の低屈折率層の基材側に、屈折率が1.7以上である物質からなる第2の高屈折率層を有する請求項1または2に記載の反射防止体。
  4. 画像を表示するためのディスプレイ画面と、
    該ディスプレイ画面の視認側に設けられた請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止体とを備えることを特徴とするディスプレイ装置。

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