JP2005173371A - 反射防止体およびこれを用いたディスプレイ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 450nm以下の波長領域について高い透過率が得られると共に、高い密着性、高い耐久性、および高い生産性を備える反射防止体とこれを用いたディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】 透明な基材2上に反射防止層3が設けられた反射防止体1であって、前記反射防止層3が、前記基材2側から、屈折率が1.6以下である物質からなる第1の低屈折率層32と、酸化亜鉛を主成分とし、酸化アルミニウムを含有する酸化物層33と、屈折率が1.6以下である物質からなる第2の低屈折率層34とを有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、基材上に複数の層を積層させた反射防止体およびこの反射防止体を備えたディスプレイ装置に関する。
従来から、ディスプレイ等の視認性を向上させるため、表示画面上に反射防止多層コーティングを設けることが行われている。この反射防止多層コーティングは、通常、少なくとも3層からなり、可視光内の全ての波長において反射を減じるように設計されている。
このような反射防止多層コーティングとしては、例えば、プラスチックフィルム上に酸化インジウム(In)またはこれと酸化スズ(SnO)との複合酸化物(以下、「ITO」という。)からなる導電性薄膜と、その上に酸化チタン(TiO)からなる高屈折率薄膜と、さらにその上に二酸化ケイ素(SiO)からなる低屈折率薄膜とを設けた導電性フィルムが提案されている(例えば特許文献1参照)。
また、このプラスチック基材上に設けた高屈折率薄膜として用いられている酸化チタン、酸化タンタル(Ta)等にかえて、酸化亜鉛(ZnO)等を用いた4層からなる反射防止多層コーティングも提案されている(例えば特許文献2参照)。
特開平2−56811号公報 特表平10−509832号公報
しかし、特許文献1に係る従来技術では、プラスチック基材上に設けた高屈折率薄膜として用いられている酸化チタン、酸化タンタル等は、低屈折率薄膜として用いられている二酸化ケイ素と比べてスパッタ速度が遅く、生産性が低いという問題があった。
それに対して、特許文献2では、この酸化チタン、酸化タンタル等にかえてスパッタ速度の速い酸化スズ、酸化亜鉛等を用いることにより、生産性の向上を図っている。
しかしながら、本発明者らの鋭意研究によれば、特許文献2に例示された酸化亜鉛にあっては、450nm以下の波長領域の光を吸収するため、高屈折率薄膜として用いるには光学特性上の問題があることがわかった。
また、酸化亜鉛からなる層は内部応力が高いため、密着性が悪く、ひびが入り易い等耐久性が低いという問題があることも見出した。
本発明にあっては、上記従来技術の問題点に鑑み、450nm以下の波長領域について高い透過率が得られると共に、高い密着性、高い耐久性、および高い生産性を備える反射防止体とこれを用いたディスプレイ装置を提供する。
かかる課題を解決するため、
請求項1にかかる発明は、透明な基材上に反射防止層が設けられた反射防止体であって、前記反射防止層が、前記基材側から、屈折率が1.6以下である物質からなる第1の低屈折率層と、酸化亜鉛を主成分とし、酸化アルミニウムを含有する酸化物層と、屈折率が1.6以下である物質からなる第2の低屈折率層とを有することを特徴とする反射防止体である。
請求項2にかかる発明は、前記酸化物層に含有されるアルミニウムが、該アルミニウムと亜鉛との総量に対して、1〜7原子%であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止体である。
請求項3にかかる発明は、前記反射防止層が、前記第1の低屈折率層の基材側に、屈折率が1.7以上である物質からなる導電層を有することを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止体である。
請求項4にかかる発明は、画像を表示するためのディスプレイ画面と、該ディスプレイ画面の視認側に設けられた請求項1〜3のいずれか1項に記載の反射防止体とを備えることを特徴とするディスプレイ装置である。
本発明の反射防止体およびディスプレイ装置にあっては、450nm以下の波長領域についても高い透過率が得られると共に、高い密着性、高い耐久性、および高い生産性を備えるものである。
[反射防止体]
以下、本発明の実施の形態に係る反射防止体の例を図面に示し、詳細に説明する。
[第1の実施形態]
図1に、本発明の第1の実施形態に係る反射防止体1を示す。この反射防止体1は、透明な基材2上に反射防止層3が設けられ、この反射防止層3上に防汚層4が設けられている。
(基材)
この基材2の材質としては、平滑透明で、可視光線を透過し得るものであれば何でもよい。このような材料としては、例えば、プラスチック、ガラス等が挙げられる。
そして、このようなプラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタクリレート等を挙げることができる。
この基材2の厚さは用途に応じて適宜選定される。例えば、フィルム状でもよいし、板状であってもよい。また、基材2は、単一の層で構成してもよいし、複数層の積層体とすることもできる。
さらに、この基材2を、別のガラス板、プラスチック板等に粘着剤等で貼り付けて使用することもできる。例えば、薄いフィルム状のプラスチックからなる基材2を、別のプラスチック板、ガラス板等に貼り付けてもよいし、ガラス板からなる基材2を、また別のガラス板、プラスチック板等に貼り付けてもよい。
(反射防止層)
この基材2上に形成された反射防止層3は、第1の低屈折率層32と、第1の低屈折率層32上に設けられた酸化物層33と、酸化物層33上に設けられた第2の低屈折率層34から基本的に構成されている。
図1に示した本実施形態では、基材2と第1の低屈折率層32との間に導電層31を設けてなるため、この反射防止層3は、導電層31と、第1の低屈折率層32と、酸化物層33と、第2の低屈折率層34から構成されている。
〈低屈折率層〉
この第1の低屈折率層32と第2の低屈折率層34は、屈折率が1.6以下である物質によって構成されている。このような物質として、例えば、二酸化ケイ素(n:1.46)、フッ化マグネシウム(n:1.38)、フッ化カリウム(n:1.3〜1.4)、フッ化アルミニウム(n:1.3)、フッ化ランタン(n:1.58)、酸化アルミニウム(n:1.6)、フッ化アルミン酸ナトリウム(Sodium fluoroaluminate:NaAlF)(n:1.35)等が挙げられる。そのなかでも、二酸化ケイ素が好ましい。
なお、本明細書における屈折率(n)とは、波長550nmにおける屈折率をいう。
このような低屈折率層の形成方法としては、真空蒸着法、反応性蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相析出法やプラズマCVD法等の化学気相析出法が挙げられる。しかし、これらの方法に限定されることはなく、ゾル−ゲル法による湿式成膜方式も使用できる。
上記方法で形成される第1の低屈折率層32の幾何学的膜厚としては、20〜40nmが好ましく、25〜35nmがより好ましい。また、第2の低屈折率層34の幾何学的膜厚としては、80〜100nmが好ましく、85〜95nmがより好ましい。
〈酸化物層〉
酸化物層33は、酸化亜鉛を主成分とし、酸化アルミニウム(Al)を含有する酸化物(以下、「AZO」という。)によって構成されている。AZOの屈折率は、酸化アルミニウムの含有量にもよるが、約1.93であり、1.7以上である。したがって、酸化物層33は、高屈折率層としての役割を果たす。
この酸化物層33と第1の低屈折率層32との屈折率差および酸化物層33と第2の低屈折率層34との屈折率差については、各々0.2以上が好ましく、0.4以上がより好ましい。
酸化物層33にAZOを用いることにより、450nm以下の波長領域について、酸化亜鉛を用いた場合と比較して、高い透過率を得ることができる。また、酸化亜鉛を用いた場合と比較して、酸化物層33の内部応力が低減することにより、層間の高い密着性を得ることができるため、ひびが入りにくくなり、高い耐久性を得ることができる。
また、酸化物層33にAZOを用いることにより、一般的な高屈折率薄膜である酸化チタン(n:2.4)または酸化タンタル(n:2.1〜2.2)を用いる場合と比較して、速い速度で成膜をすることができる。
この酸化物層33に含有されるアルミニウムの量については、アルミニウムと亜鉛との総量に対して1〜7原子%であることが好ましく、2〜4原子%であることがより好ましい。
アルミニウム含有量を1原子%以上とすることにより、450nm以下の波長領域についてさらに高い透過率を得ることができる。また、アルミニウム含有量を1原子%以上とすることにより、酸化物層33の内部応力が低減するため、層間の高い密着性を得ることができる。
一方、アルミニウム含有量を7原子%以下とすることにより、結晶粒の大きさが小さくなり、粒界に吸着される水分量が減少するため、高い耐湿性を保つことができる。
酸化物層33の形成方法としては、真空蒸着法、反応性蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相析出法またはプラズマCVD法等の化学気相析出法が挙げられる。
そのなかでも、DCスパッタリング法が、膜厚の制御が比較的容易であること、低温基材上に形成しても実用的な膜強度が得られること、大面積化が容易なこと、いわゆるインライン型の設備を用いれば積層膜の形成が容易なこと等の点から好ましい。
この酸化物層33の幾何学的膜厚については、110〜150nmが好ましく、120〜140nmがより好ましい。
〈導電層〉
導電層31としては、屈折率が1.7以上で、かつ導電性を有するものであればいかなるものであってもよい。該屈折率は、1.7以上、2.7以下であることが好ましい。
この導電層31を設けることにより、高い導電性能による帯電防止性、電磁波遮断性という効果が得られる。また、導電層31は、屈折率が1.7以上であるため、高屈折率層としての役割も果たす。
導電層31と第1の低屈折率層32との屈折率差については、0.2以上が好ましく、0.4以上がより好ましい。
このような導電層31としては、可視光線の透過率が高いという観点から、酸化インジウムと酸化スズとの混合物(ITO 屈折率n:2.06)、酸化スズ(n:2.0)、AZO(n:1.93)等が好ましい。
導電層31の形成方法としては、例えば、蒸着、スパッタリング等の物理気相析出法、CVD等の化学気相析出法または特殊な湿式コーティング等を用いることができる。
導電層31の幾何学的膜厚としては、通常30nm以下が好ましく、10〜20nmがより好ましい。
ところで、一般的に、反射防止層とは、光学的には高屈折率層と低屈折率層を交互に積層させた構造から成り立っている。この場合、高屈折率層と低屈折率層を、各々所定の光学的膜厚(n×d(式中、nは屈折率、dは幾何学的膜厚))で構成することにより、目的の反射防止特性を有する反射防止層を得ることができる。
したがって、本実施形態における反射防止層3を構成する導電層31、第1の低屈折率層32、酸化物層33、第2の低屈折率層34の各層の幾何学的膜厚についても、目的の反射防止特性を考慮した光学的膜厚に基づいて具体的に決定される。
(防汚層)
本実施形態では、最上層に防汚層4が設けられている。この防汚層4は、反射防止層3を保護し、防汚染性能を高めるために、反射防止層3上に必要に応じて設けられるものである。
この防汚層4を設けることにより、反射防止層3の機能が阻害されることなく、また、最表面に指紋等の汚れがついた場合に拭き取りを容易とすることができる。
防汚層4としては、パーフルオロシラン、フルオロカーボン等を含む撥油性の有機膜を使用することができる。
この防汚層4の形成手法としては、蒸着法、スパッタリング法、塗布乾燥法等がある。
防汚層4の幾何学的膜厚としては、通常、5nm以下が好ましく、2nm以下がより好ましい。
なお、本実施形態の反射防止体1は、基材2上に反射防止層3を直接積層する構成とした。この基材2と反射防止層3との間には、反射防止体1に所望の硬さを付与するため、ハードコート層を設けることもできる。
このようなハードコート層としては、透明性があり、基材2の屈折率(n)と等しいか、または、基材2の屈折率(n)に対し、±0.1以内の屈折率である材料を用いることができる。例えば、紫外線硬化型のアクリル樹脂、シリコン樹脂等を主体とする樹脂が挙げられる。これらの樹脂には、添加剤を含有させることもできる。
このハードコート層の形成方法としては、バーコート法、ドクターブレード法、リバースロールコート法、グラビアロールコート法等の公知の塗布方法を用いることができる。
また、ハードコート層の幾何学的膜厚としては、10μm以下が好ましい。
さらに、基材2と導電層31との間、導電層31と第1の低屈折率層32との間、酸化物層33と第2の低屈折率層34との間の全部または一部について、成膜時の酸化を防ぎ密着性を向上させるため、酸化バリア層を設けることができる。
この酸化バリア層は、その下に形成されている別の層の酸化を防ぐために形成される薄膜であり、光学的には意味を持たないものである。この酸化バリア層としては、各種の金属または窒化シリコン等の金属窒化物を使用できる。
酸化バリア層の形成手法としては、蒸着法、スパッタリング法、CVD法等がある。
また、この酸化バリア層の幾何学的膜厚としては、5nm以下が好ましい。
本発明の反射防止体1のシート抵抗については、帯電防止の点から1010Ω以下であることが好ましい。また、電磁波遮蔽能力の点から、10Ω以下であることがより好ましい。
[ディスプレイ装置]
以下、本発明の実施の形態に係るディスプレイ装置について、詳細に説明する。
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係るディスプレイ装置にあっては、画像を表示するためのディスプレイ画面と、このディスプレイ画面の視認側に設けられた反射防止体を備えた構造からなっている。
このようなディスプレイ装置としては、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)等が挙げられる。
画像を表示するためのディスプレイ画面の視認側は、一般に、ガラス基板、プラスチック基板等の透明基板で構成されている。反射防止体としては、本発明の反射防止体であれば特に制限はないが、例えば、第1の実施形態の反射防止体1を用いることができる。
本実施形態では、この反射防止体を、ディスプレイ画面の視認側表面に粘着剤等を用いて直接貼着してもよいし、ディスプレイ画面との間に隙間を置いて設置してもよい。
また、ディスプレイ画面の視認側に、新たにガラス、プラスチック等からなる前面板を設置し、この前面板の視認側またはディスプレイ側に反射防止体を直接貼着することもできる。また、前面板の視認側またはディスプレイ側に、前面板との間に隙間を置いて、この反射防止体を設置してもよい。
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係るディスプレイ装置にあっては、画像を表示するためのディスプレイ画面と、このディスプレイ画面の視認側の面上に設けられた反射防止層から構成されている。
このようなディスプレイ装置としては、例えば、反射防止層が、ディスプレイ画面の視認側の面上から、屈折率が1.6以下である物質からなる第1の低屈折率層と、酸化亜鉛を主成分とし、酸化アルミニウムを含有する酸化物層と、屈折率が1.6以下である物質からなる第2の低屈折率層を有するディスプレイ装置や、かかる酸化物層に含有されるアルミニウムが、アルミニウムと亜鉛との総量に対して、1〜7原子%であるディスプレイ装置や、かかる反射防止層が、第1の低屈折率層のディスプレイ画面側に、屈折率が1.7以上である物質からなる導電層を有するディスプレイ装置等が挙げられる。
この場合、ディスプレイ画面の視認側は、一般に、ガラス基板、プラスチック基板等の透明基板で構成されている。
また、反射防止層としては、例えば、第1の実施形態の反射防止層3を用いることができる。この場合、ディスプレイ画面の視認側の面上に、導電層31、第1の低屈折率層32、酸化物層33、第2の低屈折率層34の順番で積層する。
この反射防止層は、蒸着法、スパッタリング法、塗布乾燥法等により、直接ディスプレイ画面の視認側表面上に形成することができる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。
[実施例1]
透明基材として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ100μm)を使用した。まず、基材表面の洗浄を目的としてイオンビームソースによる乾式洗浄を行った。乾式洗浄は、アルゴンガスに酸素ガスを33体積%混合して、イオンビームソース100Wによりイオン化されたアルゴンイオンおよび酸素イオンを基材表面に照射することにより行った。
次に、基材上にITO層を形成させるため、ITO(インジウム:スズ=90質量%:10質量%)をターゲットとし、マグネトロンスパッタ法により成膜を行った。その方法としては、0.35Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅1.0μ秒のパルススパッタを行った。ガスとしてはアルゴンガスに酸素ガスを2体積%混合し、ターゲットのパワー密度は1.5W/cmとして、20nmのITO層を形成した。
次に、ITO層の上に、酸化ケイ素層(1)を形成した。酸化ケイ素層(1)は、旭硝子セラミックス社製炭化ケイ素(SiC 商品名SC)をターゲットとして使用し、マグネトロンスパッタ法により成膜した。まず、アルゴンガスに酸素ガスを40体積%混合したガスを導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅4.5μ秒のパルススパッタを行い、ターゲットのパワー密度は3.5W/cmとして、30nmの酸化ケイ素層(1)を形成した。
次に、酸化ケイ素層(1)の上にAZO層を形成した。酸化アルミニウムを5質量%添加した酸化亜鉛をターゲットとして、マグネトロンスパッタ法により成膜を行った。アルゴンガスに酸素ガスを5体積%混合したガスを導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅1.0μ秒のパルススパッタを行い、ターゲットのパワー密度は4.0W/cmとして、130nmのAZO層を形成した。
なお、得られた反射防止体のAZO層中のアルミニウムの含有量はESCA(PHI社製、5500)を用いて測定したところ、アルミニウムと亜鉛との総量に対して、3.0原子%(酸化アルミニウム換算で4.7質量%)であった。
次に、AZO層の上には、酸化ケイ素層(2)を形成した。酸化ケイ素層(2)は、旭硝子セラミックス社製炭化ケイ素(SiC 商品名SC)をターゲットとして使用し、マグネトロンスパッタ法により成膜した。まず、アルゴンガスに酸素ガスを40体積%混合したガスを導入し、0.25Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅4.5μ秒のパルススパッタを行い、ターゲットのパワー密度は4.18W/cmとして、90nmの酸化ケイ素層(2)を形成した。
さらに、酸化ケイ素層(2)の上には防汚層として、フルオロカーボン系撥油剤オブツールDSX(商品名、ダイキン社製)をグラビア塗工法により2nm形成した。
得られた反射防止体は、防汚層が形成された面とは反対側にあたる基材面を粘着処理し、これをプラズマディスプレイパネルの前面ガラスに貼着させた。
<評価>
(1)反射率、透過率、視感反射率および380〜450nmの波長領域の平均透過率
得られた反射防止体の反射率と透過率を、島津製作所社製分光光度計UV3150PCを用いて測定した。反射率の測定結果を図2に実線で示す。また、透過率の測定結果を図3に実線で示す。
反射率の測定結果から視感反射率(JIS Z 8701において規定されている反射の刺激値Y)を求めたところ、0.59%であった。
また、透過率の測定結果から380〜450nmの波長領域の平均透過率を求めたところ、平均透過率は83.7%であった。
(2)シート抵抗
得られた反射防止体のシート抵抗を、Nagy社製渦電流型抵抗測定器SRM12を用いて測定したところ、77Ωであった。
(3)密着性
密着性評価としては、反射防止体に1mm幅で100マスの碁盤目状の切込みをカッターで入れて、その表面にニチバンセロテープ(登録商標)を貼り付けた後、剥離試験(JIS D0202−1988)を行った。
その結果、反射防止体表面で剥離は見られなかった。
(4)成膜レート
酸化アルミニウムを5質量%添加した酸化亜鉛の成膜レートを成膜スピードと投入パワーを規格化して求めた。成膜レートは4.5nm/kW/(m/分)であった。
[比較例1]
AZO層に替えて酸化チタン層を形成した以外は、実施例1と同様にして反射防止体を作製した。
酸化チタン層を形成するには、旭硝子セラミックス社製TiOx(商品名:TXO)をターゲットとして使用し、マグネトロンスパッタ法により成膜を行った。アルゴンガスに酸素ガスを1体積%混合したガスを導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅2.5μ秒のパルススパッタを行い、ターゲットのパワー密度は4.0W/cmとして、120nmの酸化チタン層を形成した。
得られた反射防止体について、実施例1と同様の方法で、反射率、透過率、視感反射率、380〜450nmの波長領域の平均透過率、シート抵抗、密着性および成膜レートの評価を行った。反射率の測定結果を図2に点線で示す。また、透過率の測定結果を図3に点線で示す。
視感反射率は0.43%であった。380〜450nmの波長領域の平均透過率は88.7%であった。シート抵抗は84Ωであった。
また、密着性試験の結果、反射防止体表面で剥離は見られなかった。
この時の酸化チタンの成膜レートは、0.92nm/kW/(m/分)であった。
実施例1と比較例1の結果を比較すると、実施例1では、反射率、透過率、視感反射率、および380〜450nmの波長領域の平均透過率が比較例1とほぼ同等であり、良好な反射防止体であることが確認された。
また、実施例1は、シート抵抗について、比較例1とほぼ同等であることが確認された。
密着性についても、実施例1については、比較例1とほぼ同等であり、比較例1と同様に良好な密着性を有することが確認された。
一方、成膜レートについては、実施例1のAZO層は比較例1の酸化チタン層の成膜レートの約5倍であり、生産性が高いものであった。
本発明の反射防止体の一実施形態に係る概略断面図である。 実施例1と比較例1の反射率を示すグラフである。 実施例1と比較例1の透過率を示すグラフである
符号の説明
1 反射防止体
2 基材
3 反射防止層
31 導電層
32 第1の低屈折率層
33 酸化物層
34 第2の低屈折率層


Claims (4)

  1. 透明な基材上に反射防止層が設けられた反射防止体であって、
    前記反射防止層が、前記基材側から、屈折率が1.6以下である物質からなる第1の低屈折率層と、
    酸化亜鉛を主成分とし、酸化アルミニウムを含有する酸化物層と、
    屈折率が1.6以下である物質からなる第2の低屈折率層とを有することを特徴とする反射防止体。
  2. 前記酸化物層に含有されるアルミニウムが、
    該アルミニウムと亜鉛との総量に対して、1〜7原子%であることを特徴とする請求項1に記載の反射防止体。
  3. 前記反射防止層が、前記第1の低屈折率層の基材側に、
    屈折率が1.7以上である物質からなる導電層を有することを特徴とする請求項1または2に記載の反射防止体。
  4. 画像を表示するためのディスプレイ画面と、
    該ディスプレイ画面の視認側に設けられた請求項1〜3のいずれか1項に記載の反射防止体とを備えることを特徴とするディスプレイ装置。

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