JP2005003707A - 反射防止体およびこれを用いたディスプレイ装置 - Google Patents

反射防止体およびこれを用いたディスプレイ装置 Download PDF

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保 森本
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昌之 布施
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Abstract

【課題】高屈折率層の積層回数を増加させることなく、高い視感透過率、低い視感反射率が得られると共に、高い生産性を備える反射防止体およびディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】透明な基材2上に反射防止層3が設けられた反射防止体1であって、前記反射防止層3が、前記基材2側から、屈折率が1.6以下である物質からなる第1の低屈折率層32と、屈折率が1.7以上、2.1未満である物質からなる中間屈折率層33と、屈折率が2.1以上である物質からなる高屈折率層34と、屈折率が1.6以下である物質からなる第2の低屈折率層35とを有する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材上に複数の層を積層させた反射防止体、該反射防止体を備えたディスプレイ装置および反射防止層を設けたディスプレイ装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、ディスプレイ等の視認性を向上させるため、表示画面上に反射防止多層コーティングを設けることが行われている。反射防止多層コーティングは、高屈折率材料からなる高屈折率薄膜と低屈折率材料からなる低屈折率薄膜とを相互に繰り返して積層した構造から成り、広範囲の波長領域において低反射性を示すように、高屈折率薄膜と低屈折率薄膜との組み合わせを2回以上積層させて、可視スペクトル内の全ての波長において反射を減じるように設計されている。例えば、プラスチック基材上に酸化チタン(TiO)からなる高屈折率薄膜と、さらにその上に二酸化ケイ素(SiO)からなる低屈折率薄膜との組み合わせを2回設けた4層からなる反射防止多層コーティングが提案されている(特許文献1参照。)。
【0003】
また、高屈折率薄膜の替わりに光吸収膜を用いることで、少ない積層構造でも低反射性を示す反射防止層コーティングも提案されている。例えば、基材上に窒化チタン(TiN)からなる光吸収膜と、その上に二酸化ケイ素の膜とが設けられている光吸収性反射防止体が提案されている(特許文献2参照。)。
【0004】
【特許文献1】
特表平10−509832号公報
【特許文献2】
特開平9−156964号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、高屈折率薄膜として用いられる酸化チタンは、低屈折率薄膜として用いられている二酸化ケイ素と比べてスパッタ速度が遅いという問題がある。そのため、酸化チタンを2回以上積層させる特許文献1に係る従来技術等では、生産性が低く、コストの上昇が著しいという問題があった。また、多数の層を積層させることによって、全体の膜厚が厚くなってしまうという問題もあった。
【0006】
一方、特許文献2では、高屈折率薄膜の替わりに光吸収膜を用いることで、少ない積層構造でも低反射性を得ることができる。しかし、光吸収膜を用いているので、透過性が低いという問題点があった。
【0007】
本発明は、上記従来技術の問題点に鑑み、高屈折率層の積層回数を増加させることなく、高い視感透過率、低い視感反射率が得られると共に、高い生産性を備える反射防止体およびディスプレイ装置を提供する。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明は、透明な基材上に反射防止層が設けられた反射防止体であって、前記反射防止層が、前記基材側から、屈折率が1.6以下である物質からなる第1の低屈折率層と、屈折率が1.7以上、2.1未満である物質からなる中間屈折率層と、屈折率が2.1以上である物質からなる高屈折率層と、屈折率が1.6以下である物質からなる第2の低屈折率層とを有することを特徴とする反射防止体を提供する。
また、本発明は、画像を表示するためのディスプレイ画面と、該ディスプレイ画面の視認側に設けられた本発明の反射防止体とを備えることを特徴とするディスプレイ装置を提供する。
【0009】
【発明の実施の形態】
<反射防止体>
以下、本発明の実施の形態に係る反射防止体の例を図面に示し、詳細に説明する。
【0010】
[第1の実施形態]
図1に、本発明の第1の実施形態に係る反射防止体1を示す。この反射防止体1は、透明な基材2上に反射防止層3が設けられ、反射防止層3上に防汚層4が設けられている。
【0011】
(基材)
基材2の材質としては、平滑透明で、可視光線を透過し得るものであればよい。例えば、プラスチック、ガラス等が挙げられる。
プラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタクリレート等を挙げることができる。
【0012】
基材2の厚さは用途に応じて適宜選定される。例えば、フィルムでもよいし、板状でもよい。また、基材2は、単一の層で構成してもよいし、複数層の積層体としてもよい。
基材2は、別のガラス板、プラスチック板等に粘着剤等で貼り付けて使用してもよい。例えば、薄いフィルム状のプラスチックの基材2を別のプラスチック板、ガラス板等に貼り付けてもよいし、ガラス板の基材2を別のガラス板、プラスチック板等に貼り付けてもよい。
【0013】
(反射防止層)
基材2の上に設けられる反射防止層3は、第1の低屈折率層32と、第1の低屈折率層32上に設けた中間屈折率層33と、中間屈折率層33上に設けた高屈折率層34と、高屈折率層34上に設けた第2の低屈折率層35とから基本的に構成されている。本実施形態では、基材2と第1の低屈折率層32との間に、導電層31を設け、導電層31と、第1の低屈折率層32と、中間屈折率層33と、高屈折率層34と、第2の低屈折率層35とから反射防止層3が構成されている。
【0014】
(低屈折率層)
第1の低屈折率層32と第2の低屈折率層35は、屈折率が1.6以下である物質によって構成されている。例えば、二酸化ケイ素(n:1.46)、フッ化マグネシウム(n:1.38)、フッ化カリウム(n:1.3〜1.4)、フッ化アルミニウム(n:1.3)、フッ化ランタン(n:1.58)、酸化アルミニウム(n:1.6)、NaAlF(n:1.35)などが挙げられるが、そのなかでも二酸化ケイ素が好ましい。
なお、本明細書における屈折率(n)とは、波長550nmの屈折率をいう。
【0015】
低屈折率層の形成方法としては、真空蒸着法、反応性蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相折出法またはプラズマCVD法等の化学気相折出法が挙げられる。しかし、これらの方法に限定されることはなく、ゾル−ゲル法による湿式成膜方式も使用できる。
第1の低屈折率層32の幾何学的膜厚は、20〜40nmが好ましく、25〜35nmがより好ましい。また、第2の低屈折率層35の幾何学的膜厚は、80〜100nmが好ましく、85〜95nmがより好ましい。
【0016】
(中間屈折率層)
中間屈折率層33は、屈折率が1.7以上、2.1未満である物質によって構成されている。中間屈折率層33を設けることにより、高屈折率層の積層回数を増加させることなく、少ない積層数で高い透過率を得ることができ、広範囲の波長領域において低い反射率が得られる。
中間屈折率層33と第1の低屈折率層32との屈折率差は、0.2以上が好ましく、0.4以上がより好ましい。
【0017】
中間屈折率層33の光学的膜厚(n×d(式中、nは屈折率、dは幾何学的膜厚。))は、高屈折率層34と中間屈折率層33との光学的膜厚の総量に対して、5〜25%とすることが好ましく、10〜25%とすることがより好ましい。
【0018】
中間屈折率層33としては、例えば、酸化亜鉛(ZnO n:1.9〜2.0)、酸化亜鉛を主成分とし、酸化アルミニウム(Al)を含有する酸化物(以下、AZOという。n:1.93)、窒化ケイ素(n:2.0)、酸化スズ(n:2.0)、酸化インジウム(n:2.0)、酸化インジウム(In)と酸化スズ(SnO)との複合酸化物(以下、ITOという。n:2.06)、窒化チタン(n:2.03)、酸化ジルコニウム(n:2.0〜2.1)、酸化セシウム(n:2.02)、酸化イットリウム(n:1.80)、酸化ハフニウム(n:2.0)などが挙げられる。そのなかでも、AZOが好ましい。
【0019】
AZOを用いることにより、450nm以下の波長領域について、高い透過率を得ることができる。また、AZOは、内部応力が低いため、層間の高い密着性を得ることができ、ひびが入りにくくなり、高い耐久性を得ることができる。
また、AZOは、速い速度で成膜をすることができるため、高い生産性が得られる。
【0020】
成膜したAZOに含有されるアルミニウムは、アルミニウムと亜鉛との総量に対して1〜7原子%であることが好ましく、2〜4原子%であることがより好ましい。
アルミニウム含有量を1原子%以上とすることにより、450nm以下の波長領域についてさらに高い透過率を得ることができる。また、中間屈折率層33の内部応力が低減するため、層間の高い密着性を得ることができる。
アルミニウム含有量を7原子%以下とすることにより、結晶粒の大きさが小さくなり、粒界に吸着される水分量が減少して、高い耐湿性を保つことができる。
【0021】
中間屈折率層33の形成方法としては、真空蒸着法、反応性蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相折出法またはプラズマCVD法等の化学気相折出法が挙げられる。
そのなかでも、DCスパッタリング法は、膜厚の制御が比較的容易であること、低温基材上に形成しても実用的な膜強度が得られること、大面積化が容易なこと、いわゆるインライン型の設備を用いれば積層膜の形成が容易なこと等の点から好ましい。
中間屈折率層33の幾何学的膜厚は、5〜30nmが好ましく、15〜25nmがより好ましい。
【0022】
(高屈折率層)
高屈折率層34は、屈折率が2.1以上である物質によって構成されている。該屈折率は、2.1以上、2.7以下であることが好ましい。
例えば、酸化ニオブ(n:2.35)、酸化チタン(n:2.4)、酸化タンタル(n:2.1〜2.2)、硫化亜鉛(n:2.3)が挙げられるが、そのなかでも酸化チタンが好ましい。
高屈折率層34と中間屈折率層33との屈折率差は、0.2以上が好ましく、0.3以上がより好ましい。また、高屈折率層34と第1の低屈折率層32との屈折率差および高屈折率層34と第2の低屈折率層35との屈折率差は、0.4以上が好ましく、0.7以上がより好ましい。
【0023】
高屈折率層34の形成方法としては、真空蒸着法、反応性蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相折出法、プラズマCVD法等の化学気相折出法、湿式成膜方式等が挙げられる。
そのなかでも、DCスパッタリング法は、膜厚の制御が比較的容易であること、低温基材上に形成しても実用的な膜強度が得られること、大面積化が容易なこと、いわゆるインライン型の設備を用いれば積層膜の形成が容易なこと等の点から好ましい。
高屈折率層34の幾何学的膜厚は、90〜115nmが好ましく、95〜105nmがより好ましい。
【0024】
(導電層)
導電層31としては、屈折率が1.7以上で、かつ導電性を有するものであればいかなるものであってもよい。該屈折率は、1.7以上、2.7以下であることが好ましい。
導電層31を設けることにより、高い導電性能による帯電防止性、電磁波遮断性という効果が得られる。また、導電層31は、屈折率が1.7以上であるため、中間屈折率層としての役割も果たす。
導電層31と第1の低屈折率層32との屈折率差は、0.2以上が好ましく、0.4以上がより好ましい。
導電層31としては、可視光線の透過率が高いことから、酸化インジウムと酸化スズとの混合物(ITO 屈折率n:2.06)、酸化スズ(n:2.0)、AZO(n:1.93)などが好ましい。
【0025】
導電層31の形成方法としては、例えば、蒸着、スパッタリング等の物理気相折出法、CVD等の化学気相折出法または特殊な湿式コーティング等を用いることができる。
導電層31の幾何学的膜厚は、通常30nm以下が好ましく、10〜20nmがより好ましい。
【0026】
本実施形態における反射防止層3を構成する導電層31、第1の低屈折率層32、中間屈折率層33、高屈折率層34、第2の低屈折率層35の各層の幾何学的膜厚は、目的の反射防止特性を考慮した光学的膜厚に基づいて、具体的に決定される。
【0027】
(防汚層)
本実施形態では、最上層に防汚層4が設けられている。防汚層4は、反射防止層3を保護し、かつ、防汚染性能を高めるために、反射防止層3上に必要に応じて設けられるものである。
防汚層4を設けることにより、反射防止層3の機能が阻害されず、また、最表面に指紋などの汚れがついた場合に拭き取りを容易にすることができる。
防汚層4としては、パーフルオロシラン、フルオロカーボン等を含む撥油性の有機膜を使用することができる。
【0028】
防汚層4の形成手法としては、蒸着法、スパッタリング法、塗布乾燥法などがある。
防汚層4の幾何学的膜厚は、通常、5nm以下が好ましく、2nm以下がより好ましい。
【0029】
なお、本実施形態では、中間屈折率層33を第1の低屈折率層32と高屈折率層34との間にのみ設ける構成としたが、さらに他の中間屈折率層を高屈折率層34と第2の低屈折率層35との間に設ける構成としてもよい。この場合、2つの中間屈折率層を合わせた光学的膜厚が、高屈折率層34と、第1の中間屈折率層と、第2の中間屈折率層との光学的膜厚の総量に対して、5〜25%とすることが好ましく、10〜25%とすることがより好ましい。
また、本実施形態の反射防止体1は、基材2上に反射防止層3を直接積層する構成としたが、基材2と反射防止層3との間に、反射防止体1に所望の硬さを付与するため、ハードコート層を設けることができる。
ハードコート層としては、透明性があり、基材2の屈折率(n)と等しいか、または、基材2の屈折率(n)に対し、±0.1以内の屈折率である材料であればよい。例えば、紫外線硬化型のアクリル樹脂、シリコン樹脂等を主体とする樹脂が挙げられる。これらの樹脂には、添加剤を含有させることもできる。
【0030】
ハードコート層の形成方法としては、バーコート法、ドクターブレード法、リバースロールコート法、グラビアロールコート法等の公知の塗布方法を用いることができる。
また、ハードコート層の幾何学的膜厚は、10μm以下が好ましい。
【0031】
また、基材2と導電層31との間、導電層31と第1の低屈折率層32との間、高屈折率層34と第2の低屈折率層35との間の全部または一部に、成膜時の酸化を防ぎ密着性を向上させるため、酸化バリア層を設けることもできる。
酸化バリア層は、その下に形成されている別の層の酸化を防ぐために形成される薄膜であり、光学的には意味を持たないものである。酸化バリア層としては、各種の金属または窒化シリコン等の金属窒化物を使用できる。
酸化バリア層の形成手法としては、蒸着法、スパッタリング法、CVD法などがある。
酸化バリア層の幾何学的膜厚は、5nm以下が好ましい。
【0032】
本発明の反射防止体1のシート抵抗は、帯電防止の点から1010Ω以下であることが好ましい。また、電磁波遮蔽能力の点から、10Ω以下であることがより好ましい。
【0033】
<ディスプレイ装置>
以下、本発明の実施の形態に係るディスプレイ装置について、詳細に説明する。
【0034】
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係るディスプレイ装置は、画像を表示するためのディスプレイ画面と、ディスプレイ画面の視認側に設けられた反射防止体とを備えている。
【0035】
ディスプレイ装置としては、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)等が挙げられる。
画像を表示するためのディスプレイ画面の視認側は、一般に、ガラス基板、プラスチック基板等の透明基板で構成されている。反射防止体としては、本発明の反射防止体であれば特に制限はないが、例えば、第1の実施形態の反射防止体1を用いることができる。
【0036】
反射防止体は、ディスプレイ画面の視認側表面に粘着剤等を用いて直接貼着してもよいし、ディスプレイ画面との間に隙間を置いて設置してもよい。
また、ディスプレイ画面の視認側に、新たにガラス、プラスチック等からなる前面板を設置し、前面板の視認側またはディスプレイ側に反射防止体を直接貼着してもよい。また、前面板の視認側またはディスプレイ側に、前面板との間に隙間を置いて反射防止体を設置してもよい。
【0037】
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係るディスプレイ装置は、画像を表示するためのディスプレイ画面と、ディスプレイ画面の視認側の面上に設けられた反射防止層とから構成されている。
このようなディスプレイ装置としては、例えば、反射防止層が、ディスプレイ画面の視認側の面上から、屈折率が1.6以下である物質からなる第1の低屈折率層と、屈折率が1.7以上、2.1未満である物質からなる中間屈折率層と、屈折率が2.1以上である物質からなる高屈折率層と、屈折率が1.6以下である物質からなる第2の低屈折率層とを有するディスプレイ装置や、係る中間屈折率層の光学的膜厚が、高屈折率層と中間屈折率層との光学的膜厚の総量に対して、5〜25%であるディスプレイ装置や、係る中間屈折率層が、酸化亜鉛を主成分とし酸化アルミニウムを含有する酸化物層であるディスプレイ装置や、係る反射防止層が、第1の低屈折率層のディスプレイ画面側に、屈折率が1.7以上である物質からなる導電層を有するディスプレイ装置などが挙げられる。
この場合、ディスプレイ画面の視認側は、一般に、ガラス基板、プラスチック基板等の透明基板で構成されている。
また、反射防止層としては、例えば、第1の実施形態の反射防止層3を用いることができる。この場合、ディスプレイ画面の視認側の面上に、導電層31、第1の低屈折率層32、中間屈折率層33、高屈折率層34、第2の低屈折率層35の順番で積層する。
反射防止層は、蒸着法、スパッタリング法、塗布乾燥法などにより、直接ディスプレイ画面の視認側表面上に形成することができる。
【0038】
【実施例】
以下、実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。
【0039】
[実施例1]
透明基材として、ポリエチレンテレフタレートフィルム(厚さ108μm)を使用した。まず、基材上に湿式塗布法によりアクリル系ハードコート層を6μm設けた。ハードコート層表面の洗浄を目的としてイオンビームソースによる乾式洗浄を行った。乾式洗浄は、アルゴンガスに酸素ガスを30質量%混合して、イオンビームソース100Wによりイオン化されたアルゴンイオンおよび酸素イオンを基材表面に照射した。
【0040】
次に、ハードコート層を設けた基材上にITO層を形成させるため、ITO(インジウム:スズ=90質量%:10質量%)をターゲットとし、マグネトロンスパッタ法により成膜を行った。その方法としては、0.35Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅10μ秒のパルススパッタを行った。ガスとしてはアルゴンガスに酸素ガスを2質量%混合し、ターゲットのパワー密度は1.5W/cmとして、20nmのITO層を形成した。
【0041】
次に、ITO層の上に、酸化ケイ素層(1)を形成した。酸化ケイ素層(1)は、旭硝子セラミックス社製炭化ケイ素(SiC 商品名SC)をターゲットとして使用し、マグネトロンスパッタ法により成膜した。まず、アルゴンガスに酸素ガスを40質量%混合したガスを導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅4.5μ秒のパルススパッタを行い、ターゲットのパワー密度は4.0W/cmとして、30nmの酸化ケイ素層(1)を形成した。
【0042】
次に、酸化ケイ素層(1)の上にAZO層を形成した。酸化アルミニウムを5質量%添加した酸化亜鉛をターゲットとして、マグネトロンスパッタ法により成膜を行った。アルゴンガスに酸素ガスを5質量%混合したガスを導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅10μ秒のパルススパッタを行い、ターゲットのパワー密度は0.64W/cmとして、20nmのAZO層を形成した。
なお、得られた反射防止体のAZO層中のアルミニウムの含有量はESCA(PHI社製、5500)を用いて測定したところ、アルミニウムと亜鉛との総量に対して、3.0原子%(酸化アルミニウム換算で4.7質量%)であった。
【0043】
次に、AZO層の上に酸化チタン層を形成した。旭硝子セラミックス社製TiOx(商品名:TXO)をターゲットとして使用し、マグネトロンスパッタ法により成膜を行った。アルゴンガスに酸素ガスを1質量%混合したガスを導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅2.5μ秒のパルススパッタを行い、ターゲットのパワー密度は4.0W/cmとして、100nmの酸化チタン層を形成した。
【0044】
次に、酸化チタン層の上には、酸化ケイ素層(2)を形成した。酸化ケイ素層(2)は、旭硝子セラミックス社製炭化ケイ素(SiC 商品名SC)をターゲットとして使用し、マグネトロンスパッタ法により成膜した。まず、アルゴンガスに酸素ガスを40質量%混合したガスを導入し、0.5Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅4.5μ秒のパルススパッタを行い、ターゲットのパワー密度は4.18W/cmとして、85nmの酸化ケイ素層(2)を形成した。
【0045】
さらに、酸化ケイ素層(2)の上には防汚層として、フルオロカーボン系撥油剤オブツールDSX(商品名、ダイキン社製)を塗布法により2nm形成した。得られた反射防止体は、防汚層が形成された面とは反対側にあたる基材面を粘着処理し、これをプラズマディスプレイパネルの前面ガラスに貼着させた。
【0046】
<評価>
(1)反射率、視感反射率および視感透過率
得られた反射防止体の反射率と視感透過率を、島津製作所社製分光光度計UV3150PCを用いて測定した。反射率の測定結果を図2に実線で示す。
反射率の測定結果から視感反射率(JIS Z 8701において規定されている反射の刺激値Y)を求めたところ、0.23%であった。
また、視感透過率(JIS Z 8701)は94%であった。
【0047】
(2)シート抵抗
得られた反射防止体のシート抵抗を、Nagy社製渦電流型抵抗測定器SRM12を用いて測定したところ、80Ωであった。
【0048】
[比較例1]
酸化ケイ素層(1)の上にAZO層を形成することなく、直接酸化チタン層を実施例1と同様の成膜条件で120nm形成した。それ以外は、実施例1と同様にして反射防止体を作製した。
【0049】
得られた反射防止体について、実施例1と同様の方法で、反射率、視感反射率、視感透過率、およびシート抵抗の評価を行った。反射率の測定結果を図2に点線で示す。
視感反射率は0.43%であった。視感透過率は94%であった。シート抵抗は80Ωであった。
【0050】
[比較例2]
比較例2として、光吸収性反射防止体を作成した。まず、実施例1と同様にして、PET基板上にハードコート層を設け、乾式洗浄を行った。
【0051】
次に、基材上にTiN層を形成させるため、チタン(JIS第2種)をターゲットとして使用し、マグネトロンスパッタ法により成膜を行った。その方法としては、0.35Paの圧力でDCスパッタを行った。ガスとしてはアルゴンガスに窒素ガスを10質量%混合し、ターゲットのパワー密度は4.92W/cmとして、10nmのTiN層を形成した。
【0052】
次に、TiN層の上には、Si層を形成した。Si層は、多結晶シリコンをターゲットとして使用し、マグネトロンスパッタ法により成膜した。まず、アルゴンガスに窒素ガスを30質量%混合したガスを導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅2.5μ秒のパルススパッタを行い、ターゲットのパワー密度は4.92W/cmとして、10nmのSi層を形成した。
【0053】
次に、Si層の上には、酸化ケイ素層を形成した。酸化ケイ素層は、旭硝子セラミックス社製炭化ケイ素(SiC 商品名SC)をターゲットとして使用し、マグネトロンスパッタ法により成膜した。まず、アルゴンガスに酸素ガスを40質量%混合したガスを導入し、0.5Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅4.5μ秒のパルススパッタを行い、ターゲットのパワー密度は4.18W/cmとして、85nmの酸化ケイ素層を形成した。
【0054】
さらに、酸化ケイ素層の上には防汚層として、フルオロカーボン系撥油剤オブツールDSX(商品名、ダイキン社製)を塗布法により2nm形成した。
得られた反射防止体は、防汚層が形成された面とは反対側にあたる基材面を粘着処理し、これをプラズマディスプレイパネルの前面ガラスに貼着させた。
【0055】
得られた反射防止体について、実施例1と同様の方法で、反射率、視感反射率、視感透過率、およびシート抵抗の評価を行った。反射率の測定結果を図2に一点鎖線で示す。
視感反射率は0.31%であった。視感透過率は68%であった。シート抵抗は280Ωであった。
【0056】
実施例1と比較例1の結果を比較すると、実施例1は、反射率、視感透過率が比較例1とほぼ同等であり、良好な反射防止体であることが確認された。また、視感反射率について、実施例1は比較例1よりも優れており、比較例1よりも良好な反射防止体であることが確認された。
また、実施例1は、シート抵抗について、比較例1とほぼ同等であることが確認された。
【0057】
実施例1と比較例2の結果を比較すると、実施例1は、反射率、視感透過率について、比較例2よりも優れており、また、視感反射率について、1.4倍比較例2よりも優れており、非常に良好な反射防止体であることが確認された。
また、実施例1は、シート抵抗について、比較例2よりも3倍優れていることが確認された。
【0058】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明の反射防止体およびディスプレイ装置は、高屈折率層の積層回数を増加させることなく、高い視感透過率、低い視感反射率が得られると共に、高い生産性を備える反射防止体およびディスプレイ装置である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の反射防止体の一実施形態に係る概略断面図である。
【図2】実施例1と、比較例1と、比較例2の反射率を示すグラフである。
【符号の説明】
1 反射防止体
2 基材
3 反射防止層
4 防汚層
31 導電層
32 第1の低屈折率層
33 中間屈折率層
34 高屈折率層
35 第2の低屈折率層

Claims (5)

  1. 透明な基材上に反射防止層が設けられた反射防止体であって、前記反射防止層が、前記基材側から、屈折率が1.6以下である物質からなる第1の低屈折率層と、
    屈折率が1.7以上、2.1未満である物質からなる中間屈折率層と、
    屈折率が2.1以上である物質からなる高屈折率層と、
    屈折率が1.6以下である物質からなる第2の低屈折率層とを有することを特徴とする反射防止体。
  2. 前記中間屈折率層の光学的膜厚が、前記高屈折率層と前記中間屈折率層との光学的膜厚の総量に対して、5〜25%である請求項1に記載の反射防止体。
  3. 前記中間屈折率層が、酸化亜鉛を主成分とし酸化アルミニウムを含有する酸化物層である請求項1または2に記載の反射防止体。
  4. 前記反射防止層が、前記第1の低屈折率層の基材側に、
    屈折率が1.7以上である物質からなる導電層を有する請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止体。
  5. 画像を表示するためのディスプレイ画面と、
    該ディスプレイ画面の視認側に設けられた請求項1〜4のいずれかに記載の反射防止体とを備えることを特徴とするディスプレイ装置。
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