JP2006171648A - 反射防止体およびこれを用いたディスプレイ装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】 生産性と耐水性とが共に優れた反射防止体とディスプレイ装置を提供する。
【解決手段】 本発明の反射防止体1は、透明な基材10上に反射防止層20が設けられた反射防止体1であって、反射防止層20が、基材10側から、屈折率が1.6以下である物質からなる第1の低屈折率層21と、酸化スズを主成分として含む酸化物層22と、屈折率が1.6以下である物質からなる第2の低屈折率層23とを有する。
【選択図】 図1

Description

本発明は、基材上に複数の層を積層させた反射防止体およびこの反射防止体を備えたディスプレイ装置に関する。
従来から、ディスプレイ等の視認性を向上させるため、表示画面上に反射防止多層コーティング(反射防止体)を設けることが行われている。この反射防止多層コーティングは、通常、少なくとも3層からなり、可視光内の全ての波長において反射を減じるように設計されている。
このような反射防止多層コーティングとしては、例えば、プラスチック基材上に酸化インジウム(In)または酸化インジウムと酸化スズ(SnO)との複合酸化物(以下、「ITO」という。)からなる導電性薄膜と、その上に酸化チタン(TiO)または酸化タンタル(Ta)からなる高屈折率薄膜と、さらにその上に二酸化ケイ素(SiO)からなる低屈折率薄膜とを設けた導電性フィルムが提案されている(例えば特許文献1参照)。
特開平2−56811号公報
しかし、特許文献1に係る従来技術では、プラスチック基材上に設けた高屈折率薄膜として用いられている酸化チタン、酸化タンタル等は、低屈折率薄膜として用いられている二酸化ケイ素に比べてスパッタ速度が遅いため、生産性が低いという問題があった。
そこで、スパッタ速度を速くし、生産性を向上させるために、酸化アルミニウムをドープした酸化亜鉛(以下、AZOという。)を高屈折率薄膜の材料として使用することが考えられる。しかし、AZOは耐水性が低いという問題があるため、AZOからなる高屈折率薄膜を有する反射防止体は、水に触れる場合がある環境下での使用に充分に耐えられなかった。
本発明では、上記従来技術の問題点に鑑み、生産性と耐水性とが共に優れた反射防止体とこれを用いたディスプレイ装置を提供する。
本発明の反射防止体は、透明な基材上に反射防止層が設けられた反射防止体であって、
前記反射防止層が、前記基材側から、屈折率が1.6以下である物質からなる第1の低屈折率層と、酸化スズを主成分として含む酸化物層と、屈折率が1.6以下である物質からなる第2の低屈折率層とを有することを特徴とする。
本発明の反射防止体においては、酸化物層が酸化ガリウムおよび/または酸化インジウムを含有してもよい。
本発明の反射防止体においては、前記反射防止層が、前記第1の低屈折率層の基材側に、屈折率が1.7以上である物質からなる導電層を有することが好ましい。
本発明のディスプレイ装置は、画像を表示するためのディスプレイ画面と、該ディスプレイ画面の視認側に設けられた上記反射防止体とを備えることを特徴とする。
本発明の反射防止体およびディスプレイ装置にあっては、生産性と耐水性とが共に優れる。そして、本発明の反射防止体は耐水性が高いため、浴室やプール等、水使用環境下にも適用できる。
「反射防止体」
[第1の実施形態]
図1に、本発明の第1の実施形態に係る反射防止体1を示す。この反射防止体1は、基材10と、基材10上に設けられた透明な反射防止層20と、この反射防止層20上に設けられた防汚層30とを有して構成されている。
(基材)
基材10の材質としては、平滑透明で、可視光線を透過し得るものであれば特に制限されず、例えば、プラスチック、ガラス等が挙げられる。
そして、プラスチックとしては、例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、トリアセチルセルロース、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタクリレート等が挙げられる。
基材10の厚さは用途に応じて適宜選定される。例えば、フィルム状でもよいし、板状であってもよい。また、基材10は、単一の層で構成されていてもよいし、複数の層からなる積層体であってもよい。
さらに、基材10を、別のガラス板、プラスチック板等に粘着剤等で貼り付けて使用することもできる。例えば、薄いフィルム状のプラスチックからなる基材10を、別のプラスチック板、ガラス板等に貼り付けてもよいし、ガラス板からなる基材10を、また別のガラス板、プラスチック板等に貼り付けてもよい。
(反射防止層)
基材10上に形成された反射防止層20は、第1の低屈折率層21と、第1の低屈折率層21上に設けられた酸化物層22と、酸化物層22上に設けられた第2の低屈折率層23から基本的に構成されている。
図1に示した本実施形態では、基材10と第1の低屈折率層21との間に導電層24を設けてなるため、この反射防止層20は、導電層24と、第1の低屈折率層21と、酸化物層22と、第2の低屈折率層23から構成されている。
<低屈折率層>
第1の低屈折率層21と第2の低屈折率層23は、屈折率(n)が1.6以下である物質によって構成されている。屈折率(n)が1.6以下の物質としては、例えば、二酸化ケイ素(n:1.46)、フッ化マグネシウム(n:1.38)、フッ化カリウム(n:1.3〜1.4)、フッ化アルミニウム(n:1.3)、フッ化ランタン(n:1.58)、酸化アルミニウム(n:1.6)、フッ化アルミン酸ナトリウム(Sodium fluoroaluminate:NaAlF)(n:1.35)等が挙げられる。そのなかでも、二酸化ケイ素が好ましい。
なお、本明細書における屈折率(n)とは、波長550nmの光における屈折率をいう。
低屈折率層の形成方法としては、例えば、真空蒸着法、反応性蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相析出法やプラズマCVD法等の化学気相析出法、さらには、ゾル−ゲル法による湿式成膜方式等が挙げられる。
第1の低屈折率層21の幾何学的膜厚としては、20〜40nmが好ましく、25〜35nmがより好ましい。また、第2の低屈折率層23の幾何学的膜厚としては、80〜100nmが好ましく、85〜95nmがより好ましい。
<酸化物層>
酸化物層22は、酸化スズ(SnO)を主成分として含有する酸化物によって構成されている。酸化スズの屈折率は共存成分の組成にもよるが1.7以上、具体的には1.9〜2.2であることが好ましく、酸化物層22は高屈折率層としての役割を果たす。
酸化物層22と第1の低屈折率層21との屈折率差および酸化物層22と第2の低屈折率層23との屈折率差については、各々0.2以上が好ましく、0.4以上がより好ましい。
酸化物層22に酸化スズを用いることにより、420〜450nmの波長領域について高い透過率を得ることができ、また、高い耐水性を得ることができる。
しかも、一般的な高屈折率薄膜である酸化チタン(n:2.4)または酸化タンタル(n:2.1〜2.2)を用いる場合と比較して、速い速度で成膜できる。
酸化物層22の形成方法としては、真空蒸着法、反応性蒸着法、イオンビームアシスト蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理気相析出法またはプラズマCVD法等の化学気相析出法が挙げられる。
そのなかでも、DCスパッタリング法が、膜厚の制御が比較的容易であること、低温基材上に形成しても実用的な膜強度が得られること、大面積化が容易なこと、いわゆるインライン型の設備を用いれば積層膜の形成が容易なこと等の点から好ましい。
酸化物層22の形成においては、導電性の付与により安価なDCスパッタリング法を容易に適用できることから、スパッタリングで使用されるターゲットが、酸化スズ以外に酸化ガリウムおよび/または酸化インジウムを含有することが好ましい。ただし、光学的には、酸化ガリウムおよび/または酸化インジウムの含有量は少ない方がよい。したがって、酸化ガリウム・酸化インジウム・酸化スズ複合酸化物(GIT)ターゲット中の酸化ガリウム含有量を1〜30質量%とすることが好ましく、酸化インジウム含有量を1〜30質量%とすることが好ましい。
このようなGITターゲットを使用してスパッタリング法により酸化物層22を形成する場合には、酸化物層22中の酸化ガリウムの含有量は1〜10mol%であることが好ましく、3〜7mol%であることがより好ましい。また、酸化物層22中に酸化インジウムを含有する場合、酸化インジウムの含有量は1〜10mol%であることが好ましく、3〜7mol%であることがより好ましい。酸化物層22中の酸化ガリウムおよび酸化インジウム含有量が前記範囲であれば、前記GITターゲットを用いたDCスパッタリング法を容易に適用できる。
また、酸化物層22の幾何学的膜厚については、110〜150nmが好ましく、120〜140nmがより好ましい。
<導電層>
導電層24としては、屈折率が1.7以上で、かつ導電性を有するものであればいかなるものであってもよい。該屈折率は、1.7以上、2.7以下であることが好ましい。
この導電層24を設けることにより、高い導電性能による帯電防止性、電磁波遮断性が発揮される。また、導電層24は、屈折率が1.7以上であるため、高屈折率層としての役割も果たす。
導電層24と第1の低屈折率層21との屈折率差については、0.2以上が好ましく、0.4以上がより好ましい。
このような導電層24としては、可視光線の透過率が高いという観点から、酸化インジウムと酸化スズとの混合物(ITO、屈折率n:2.06)、酸化スズ(n:2.0)、酸化アルミニウムをドープした酸化亜鉛(AZO、n:1.93)等が好ましい。
導電層24の形成方法としては、例えば、蒸着、スパッタリング等の物理気相析出法、CVD等の化学気相析出法または特殊な湿式コーティング等を用いることができる。
導電層24の幾何学的膜厚としては、通常30nm以下が好ましく、10〜20nmがより好ましい。
ところで、一般的に、反射防止層とは、光学的には高屈折率層と低屈折率層とを交互に積層させた構造から成り立っている。この場合、高屈折率層と低屈折率層を、各々所定の光学的膜厚(n×d(式中、nは屈折率、dは幾何学的膜厚))で構成することにより、目的の反射防止特性を有する反射防止層を得ることができる。
したがって、本実施形態における反射防止層20を構成する導電層24、第1の低屈折率層21、酸化物層22、第2の低屈折率層23の各層の幾何学的膜厚についても、目的の反射防止特性を考慮した光学的膜厚に基づいて具体的に決定される。
(防汚層)
防汚層30は、反射防止層20を保護し、防汚染性能を高めるために、反射防止層20上に必要に応じて設けられるものである。
この防汚層30を設けることにより、反射防止層20の機能が阻害されることなく、また、最表面に指紋等の汚れがついた場合に容易に拭き取れる。
防汚層30としては、パーフルオロシラン、フルオロカーボン等を含む撥油性の膜を使用することができる。
この防汚層30の形成手法としては、例えば、蒸着法、スパッタリング法、塗布乾燥法等が挙げられる。
防汚層30の幾何学的膜厚としては、通常、5nm以下が好ましく、2nm以下がより好ましい。
上記構成の反射防止体1においては、帯電防止の点から、シート抵抗が1010Ω以下であることが好ましい。また、電磁波遮蔽能力の点から、シート抵抗が10Ω以下であることがより好ましい。
なお、本実施形態の反射防止体1は、基材10上に反射防止層20を直接積層する構成としたが、本発明はその構成に限定されない。例えば、基材10と反射防止層20との間に、反射防止体1に所望の硬さを付与するため、ハードコート層を設けることもできる。
ハードコート層としては、透明性があり、基材10の屈折率(n)と等しいか、または、基材10の屈折率(n)に対し、±0.1以内の屈折率である材料を用いることができる。ハードコート層の材料としては、例えば、紫外線硬化型のアクリル樹脂、シリコーン樹脂等を主体とする樹脂、または、前記樹脂に添加剤を含有させたものが挙げられる。
このハードコート層の形成方法としては、バーコート法、ドクターブレード法、リバースロールコート法、グラビアロールコート法等の公知の塗布方法を採ることができる。
また、ハードコート層の幾何学的膜厚としては、10μm以下が好ましい。
さらに、基材10と導電層24との間、導電層24と第1の低屈折率層21との間、酸化物層22と第2の低屈折率層23との間の全部または一部について、成膜時の酸化を防ぎ密着性を向上させるため、酸化バリア層を設けることができる。
この酸化バリア層は、その下に形成されている別の層の酸化を防ぐために形成される薄膜であり、光学的には意味を持たないものである。この酸化バリア層としては、各種の金属または窒化シリコン等の金属窒化物を使用できる。
酸化バリア層の形成手法としては、蒸着法、スパッタリング法、CVD法等が挙げられる。
また、この酸化バリア層の幾何学的膜厚としては、5nm以下が好ましい。
「ディスプレイ装置」
[第2の実施形態]
本発明の第2の実施形態に係るディスプレイ装置は、画像を表示するためのディスプレイ画面と、このディスプレイ画面の視認側に設けられた反射防止体とを有して構成されている。
このようなディスプレイ装置としては、プラズマディスプレイパネル(PDP)、液晶表示装置(LCD)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)等が挙げられる。
よって、画像を表示するためのディスプレイ画面としては、PDPの画面、LCDの画面、ELDの画面、CRTの画面等が挙げられる。
ディスプレイ画面の視認側は、一般に、ガラス基板、プラスチック基板等の透明基板で構成されている。本実施形態では、ディスプレイ画面の視認側表面に粘着剤等を用いて反射防止体を直接貼着してもよいし、ディスプレイ画面との間に隙間を置いて反射防止体を設置してもよい。
また、ディスプレイ画面の視認側に、新たにガラス、プラスチック等からなる前面板を設置し、この前面板の視認側またはディスプレイ側に反射防止体を直接貼着することもできる。また、前面板の視認側またはディスプレイ側に、前面板との間に隙間を置いて、この反射防止体を設置してもよい。
ディスプレイ画面の視認側に設けられる反射防止体としては、本発明の反射防止体であれば特に制限はないが、例えば、第1の実施形態の反射防止体1を用いることができる。
[第3の実施形態]
本発明の第3の実施形態に係るディスプレイ装置は、画像を表示するためのディスプレイ画面と、このディスプレイ画面の視認側の面上に設けられた反射防止層とを有して構成されている。この場合、ディスプレイ画面の視認側は、ガラス基板、プラスチック基板等の透明基板で構成されている。したがって、ディスプレイ画面の透明基板と、その透明基板上の反射防止層とで反射防止体が形成されている。
この場合の反射防止層としては、例えば、第1の実施形態の反射防止体1における反射防止層20を用いることができる。この場合、ディスプレイ画面の視認側の面上に、導電層24、第1の低屈折率層21、酸化物層22、第2の低屈折率層23の順番で積層する。その際、蒸着法、スパッタリング法、塗布乾燥法等により、直接ディスプレイ画面の視認側表面上に反射防止層を形成できる。
以下、実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。
(実施例1)
透明性を有する基材として、厚さ100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムを使用した。まず、基材表面の洗浄を目的としてイオンビームソースによる乾式洗浄を行った。その乾式洗浄では、アルゴンガス67体積%と酸素ガス33体積%とを混合した混合ガスをスパッタリング装置内に導入し、イオンビームソース100Wによりイオン化されたアルゴンイオンおよび酸素イオンを基材表面に照射した。
つぎに、基材上に導電層であるITO層を形成させるため、ITO(酸化インジウム:酸化スズ=90:10(質量比))をターゲットとし、マグネトロンスパッタ法により成膜した。その際、0.35Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅1.0μ秒のパルススパッタを行った。ガスとしては、アルゴンガス98体積%と酸素ガスを2体積%とを混合した混合ガスを使用した。そして、ターゲットのパワー密度を1.5W/cmとし、膜厚20nmのITO層を形成した。
つぎに、ITO層の上に、第1の低屈折率層である酸化ケイ素層(1)を形成した。酸化ケイ素層(1)は、旭硝子セラミックス(株)製炭化ケイ素(SiC、商品名SC)をターゲットとして使用し、マグネトロンスパッタ法により成膜した。まず、アルゴンガス60体積%と酸素ガス40体積%とを混合した混合ガスをスパッタリング装置内に導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅4.5μ秒のパルススパッタを行い、ターゲットのパワー密度を3.5W/cmとして、膜厚30nmの酸化ケイ素層(1)を形成した。
つぎに、酸化ケイ素層(1)の上に、酸化物層である酸化スズ層を形成した。純度99.99原子%の金属スズをターゲットとして、マグネトロンスパッタ法により成膜した。このとき、アルゴンガス45体積%と酸素ガス55体積%とを混合した混合ガスを導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅4.5μ秒のパルススパッタを行い、ターゲットのパワー密度を4.5W/cmとして、膜厚125nmの酸化スズ層(n:2.0)を形成した。酸化スズ層の成膜速度は18nm/分であった。
つぎに、酸化スズ層の上に、第2の低屈折率層である酸化ケイ素層(2)を形成した。酸化ケイ素層(2)は、多結晶シリコンをターゲットとして使用し、マグネトロンスパッタにより成膜した。このとき、まず、アルゴンガス60体積%と酸素ガス40体積%とを混合した混合ガスをスパッタリング装置内に導入し、0.25Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅4.5μ秒のパルススパッタを行い、ターゲットのパワー密度を5.0W/cmとして、膜厚90nmの酸化ケイ素層(2)を形成した。
さらに、酸化ケイ素層(2)の上に、フッ素系撥油剤であるオプツールDSX(商品名、ダイキン工業社製)を塗布して厚さ5nmの防汚層を形成した。
このようにして反射防止体を製造し、この反射防止体を、防汚層が形成された面とは反対側にあたる基材面を粘着処理し、これをガラスに貼合した。
(実施例2)
ターゲットとしてGIT(酸化ガリウム:酸化インジウム:酸化スズ=4:5:91(質量比))を使用し、次に示す方法で酸化スズ層を設けた以外は実施例1と同様にして反射防止体を得た。酸化スズ層形成の際、アルゴンガス85体積%と酸素ガス15体積%とを混合した混合ガスを導入し、0.35Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅4.5μ秒のパルススパッタを行い、ターゲットのパワー密度を2.86W/cmとして、膜厚125nmの酸化スズ層(GIT層)を形成した。GIT層の成膜速度は23nm/分であった。
これにより得られた反射防止体の酸化スズ層中の酸化スズ含有量は90.1mol%、酸化ガリウム含有量は4.5mol%、酸化インジウム含有量は5.4mol%であった。
(実施例3)
防汚層を設けなかった以外は実施例1と同様にして反射防止体を得た。
(比較例1)
酸化スズ層を設ける代わりに下記方法で酸化チタン層を設けた以外は実施例1と同様にして反射防止体を得た。
すなわち、酸化チタン(商品名TXO)ターゲット(旭硝子セラミックス社製)を用い、アルゴンガス97体積%と酸素ガス3体積%とを混合した混合ガスをマグネトロンスパッタリング装置内に導入した。そして、0.35Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅2.5μ秒のパルススパッタを行い、ターゲットのパワー密度を4.0W/cmとして、膜厚120nmの酸化チタン層を形成した。酸化チタン層の成膜速度は2.4nm/分であった。
(比較例2)
酸化スズ層を設ける代わりに下記方法でAZO層を設けた以外は実施例1と同様にして反射防止体を得た。
酸化アルミニウム(Al23)が5質量%ドープされたZnO(AZO)ターゲットを用い、アルゴンガス95体積%と酸素ガス5体積%とを混合した混合ガスを導入した。そして、0.35Paの圧力で周波数100kHz、反転パルス幅1.0μ秒のパルススパッタを行い、ターゲットのパワー密度を3.7W/cmとして膜厚130nmのAZO層を形成した。AZO層の成膜速度は40nm/分であった。
実施例1〜3および比較例1,2にて得られた反射防止体の反射率を(株)島津製作所製分光光度計UV3150PCにより測定し、その反射率から視感反射率(JIS Z 8701において規定されている反射の刺激値Y)を求めた。
また、得られた反射防止体を60℃の温水に12時間浸漬し、12時間後の外観を目視で観察して耐水性を調べた。浸漬前と浸漬後とで、反射防止体の浸漬部分が変色していない場合を○とし、変色した場合を×とした。
さらに、反射防止体に1mm幅の100マス碁盤目状の切り込みをカッターで形成し、その表面にニチバン社製セロテープ(登録商標)を貼り付けた後に剥離して密着性を評価した(JIS D0202−1988)。反射防止体の表面が剥離しなかった場合を○、剥離した場合を×とした。
これらの結果を表1に示す。
Figure 2006171648
酸化スズを主成分として含有する酸化物層を有する実施例1〜3の反射防止体は、視感反射率が充分に低い上に、温水に浸漬しても浸漬部分が変色せず、耐水性に優れていた。しかも、実施例1〜3では、酸化物層を形成する際のスパッタ速度が速く、生産性に優れていた。特に、GITターゲットを用いた実施例2はより生産性に優れていた。
一方、酸化物層が酸化チタン層である比較例1は、酸化物層を形成する際のスパッタ速度が遅く、生産性が低かった。
また、酸化物層がAZO層である比較例2は、温水に浸漬した後に浸漬部分が変色しており、耐水性に劣っていた。
本発明の反射防止体の一実施形態に係る概略断面図である。
符号の説明
1 反射防止体、10 基材、20 反射防止層、21 第1の低屈折率層、22 酸化物層、23 第2の低屈折率層、24 導電層

Claims (4)

  1. 透明な基材上に反射防止層が設けられた反射防止体であって、
    前記反射防止層が、前記基材側から、屈折率が1.6以下である物質からなる第1の低屈折率層と、酸化スズを主成分として含む酸化物層と、屈折率が1.6以下である物質からなる第2の低屈折率層とを有することを特徴とする反射防止体。
  2. 酸化物層が酸化ガリウムおよび/または酸化インジウムを含有する請求項1に記載の反射防止体。
  3. 前記反射防止層が、前記第1の低屈折率層の基材側に、屈折率が1.7以上である物質からなる導電層を有する請求項1または2に記載の反射防止体。
  4. 画像を表示するためのディスプレイ画面と、該ディスプレイ画面の視認側に設けられた請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止体とを備えるディスプレイ装置。
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