JPWO2007013269A1 - 反射膜用積層体 - Google Patents
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Abstract
可視光域全域にわたって高い反射率を有し、耐湿性や耐塩水性等の耐久性に優れた積層体を提供する。基板上に、銀膜、密着改善膜、低屈折率膜、高屈折率膜がこの順で積層された積層体であって、前記低屈折率膜中の少なくとも密着改善膜側の層が、酸化物ターゲットを用い、かつ窒素を含有したスパッタガスを用いた高周波スパッタリング法により形成され、前記密着改善膜の消衰係数が0.1以下で膜厚が0.5〜4nmであり、前記低屈折率膜の消衰係数が0.01以下であり、前記高屈折率膜の消衰係数が0.01以下であることを特徴とする積層体。
Description
本発明は、主としてプロジェクションテレビの反射部材に用いられる積層体に関する。
従来、表示ディスプレィ等の電子機器に使用される反射鏡としてメタル膜を反射に利用した鏡が広く用いられている。電子機器の輝度向上および省エネルギー化のためには反射鏡の反射率を高くすることが重要である。例えば、携帯電話等に使用される液晶ディスプレィでは、バックライトを反射させる鏡が使用されているが、この鏡は軽量化のために基板としてフィルムが用いられ、反射率の高い反射鏡が求められる。また、プロジェクションテレビのような大画面のスクリーンへ画像を映し出すためには、光学系において複数枚の反射鏡が必要であるため、反射回数が増加するにつれて光量は低下する。その結果、最終的に得られる光量が小さくなり画面の輝度が低下してしまうという問題があり、従来よりもさらに反射率の高い反射鏡が求められる。
従来より、メタル膜の材料としてアルミニウムが用いられている。しかし、メタル膜の材料としてアルミニウムを使用した場合、光の入射角によって反射率が変化し、反射色がばらつく問題を生じる。
上記問題点を解決するために、アルミニウムよりも可視光域の反射率が高い銀をメタル膜の材料として使用することが行われている。しかし、銀はアルミニウムと比較して可視光域での反射率は高いものの、耐湿性や耐塩水性等の耐久性が低く、また膜の強度も弱く、基板との密着性が悪いため傷つきやすいという問題があった。
メタル膜としてAg膜を用い、高反射率を有しかつ耐久性に優れた鏡として、ガラス基板上にAl2O3膜、Ag膜、Al2O3膜、TiO2膜と順に積層した積層体が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。しかし、この積層体は、Ag膜の基板と反対側のAl2O3膜を製造する場合に酸素を導入しているため銀が酸化されやすく、反射率が低くなるという問題がある。
また、Ag膜と基板との密着性を改善するために、AgにCe、Ndといった金属を混合させた反射膜も開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、この反射膜は銀の単膜であるため、Ag膜と基板との密着性について記載されているのみであり、Ag膜と他の層との密着性については全く評価されていない。
また、Ag膜の上にAl2O3膜、ZrO2膜、SiO2膜を形成した反射鏡が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。ここで、Al2O3膜はAg膜の耐久性を上げるための保護膜であり、ZrO2膜は反射効率向上のための膜であり、SiO2膜は保護膜である旨が記載されている。また、基板とAg膜との密着性を向上させるために、基板とAg膜との間に酸化クロムからなる膜を形成することが開示されている(例えば、特許文献4参照。)。また、Ag膜の上にAl2O3膜を形成し、さらに耐久性を向上させるために、酸化ジルコニウム、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ハフニウム、酸化スズ、酸化アンチモン、酸化タングステン等の層を設けることが記載されている(例えば、特許文献5参照。)。また、耐久性向上のために、基板とAg膜との間に酸化ケイ素からなる下地膜を設けることが開示されている(例えば、特許文献6参照。)。しかし、これらの反射膜は可視光域の反射率が低いという点で問題がある。
本発明は、可視光域全域にわたって高い反射率を有し、耐湿性や耐塩水性等の耐久性や密着性に優れた積層体を提供することを目的とする。
本発明は以下に示す構成を有している。
(1)基板上に、銀膜、密着改善膜、低屈折率膜、高屈折率膜がこの順で積層された積層体であって、前記低屈折率膜中の少なくとも密着改善膜側の層が、酸化物ターゲットを用い、かつ窒素を含有したスパッタガスを用いた高周波スパッタリング法により形成され、前記密着改善膜の消衰係数が0.1以下で膜厚が0.5〜4nmであり、前記低屈折率膜の消衰係数が0.01以下であり、前記高屈折率膜の消衰係数が0.01以下であることを特徴とする積層体。
(1)基板上に、銀膜、密着改善膜、低屈折率膜、高屈折率膜がこの順で積層された積層体であって、前記低屈折率膜中の少なくとも密着改善膜側の層が、酸化物ターゲットを用い、かつ窒素を含有したスパッタガスを用いた高周波スパッタリング法により形成され、前記密着改善膜の消衰係数が0.1以下で膜厚が0.5〜4nmであり、前記低屈折率膜の消衰係数が0.01以下であり、前記高屈折率膜の消衰係数が0.01以下であることを特徴とする積層体。
(2)基板上に、銀膜、密着改善膜、低屈折率膜、高屈折率膜をこの順で積層する積層体の製造方法であって、前記低屈折率膜中の少なくとも密着改善膜側の層が、スパッタガス中に酸素を含まないようなスパッタリング法により形成され、前記密着改善膜の消衰係数が0.1以下で膜厚が0.5〜4nmであり、前記低屈折率膜の消衰係数が0.01以下であり、前記高屈折率膜の消衰係数が0.01以下であることを特徴とする積層体の製造方法。
なお、膜厚とは、本発明においては幾何学的膜厚を意味する。
本発明の積層体は、メタル膜の材料として銀を用いているので可視光域の反射率を高めることができ、さらに耐久性にも優れるのでディスプレィ用の光学部品として有用であり、ディスプレィの輝度向上および光学設計の容易化にも寄与する。また、本発明の積層体は、酸化防止のための余分な層の形成が不要であり生産性に優れる。また、高反射率を有し、かつ耐湿性等の耐久性に優れるため、特に反射の回数が多いリアプロジェクションテレビの光学部品として有用である。
1:基板
2:下地膜
3:銀膜
4:密着改善膜
5:低屈折率膜
6:高屈折率膜
10:積層体
2:下地膜
3:銀膜
4:密着改善膜
5:低屈折率膜
6:高屈折率膜
10:積層体
本発明の積層体において、基板の種類は、特に制限されず、例えば、1)ソーダライムガラス等のガラス、2)PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート等のフィルムなどが挙げられる。ガラスを用いることが大面積であっても反りや曲がりが生じにくい点で好ましく、フィルムを用いることが軽量化できる点で好ましい。基板の厚さは、基板がガラスの場合は0.4〜8.0mmであることが積層体の強度や使いやすさの点で好ましい。基板がフィルムの場合は30〜500μmであることが軽量化できる点で好ましい。
基板の形状は、平面鏡、凹面鏡、凸面鏡、台形鏡などの各種の反射用光学部材の基体として求められる形状であれば特に限定されない。本発明の積層体をスパッタリング法で形成する場合、スパッタリング法で形成された膜は、蒸着法等で形成された膜よりも膜の均一性に優れるため、大きい基板に膜を形成することが可能である。例えば、基板の面積が0.1〜5m2であるような大きい面積を有する基板であっても成膜することが可能であるため、特に大面積のリアプロジェクションテレビ用の光学部品として有用である。
光を有効に反射させる銀膜は、銀を主成分とする膜であり、銀を90原子%以上含むことが可視光域の反射率の点で好ましい。銀膜を用いることで可視光域の反射率を高め、入射角による反射率の依存性を低減させることができる。銀膜は、銅等の不純物を含んでいてもよいが、その含有量は10原子%以下であることが好ましい。なお、本発明において「可視光域」とは、400〜700nmの波長域を意味する。
また、銀膜は、銀とその他の金属との合金膜であってもよい。その他の金属としては、具体的にはAuが挙げられる。Auとの合金膜にすることにより銀膜の耐久性が向上するため好ましい。合金膜中のその他の金属の含有量は、0.5〜10原子%であることが耐久性向上の点で好ましい。また、合金膜中における銀の含有量は、90原子%以上であることが可視光域の反射率の点で好ましい。
銀膜の膜厚は、60〜200nm、特に80〜120nmであることが好ましい。60nm未満では可視光域の反射率が低下し、200nm超では表面の凹凸により光吸収が生じ、結果的に可視光域の反射率が低下するため好ましくない。
本発明の低屈折率膜は、波長550nmにおける屈折率が1.35〜1.75であることが好ましい。また、低屈折率膜は、反射率の点から透明な膜である必要があり、具体的には可視光域の消衰係数(以下、単に消衰係数という。)が0.01以下であり、0.008以下、特に0.005以下であることが好ましい。低屈折率膜の材料は具体的には、酸化ケイ素等の酸化物であることが光学的特性の変動が少ない点で好ましい。また、低屈折率膜が酸化ケイ素膜であるとき、酸化ケイ素膜のケイ素の含有量は、酸化ケイ素膜中の全金属元素(半導体元素を含む。以下も同様。)に対して90質量%以上であることが所望の屈折率を有する膜を得ることができる点で好ましい。酸化ケイ素膜中にアルミニウム等の他の金属を含んでいてもよい。なお、屈折率とは複素屈折率の実数部を意味し、消衰係数とは可視光域における複素屈折率の虚数部を意味し、それぞれ分光エリプソメーター(例えば、VASE:J.A.Woollam社製)により測定できる。
本発明の積層体は、前記低屈折率膜中の少なくとも密着改善膜側の層が酸化物ターゲットを用いた高周波スパッタリング法(以下、RFスパッタリング法ということもある。)により形成される。酸化物ターゲットを用いることにより、低屈折率膜の形成時に酸素を導入する必要がなくなるため、銀膜の酸化を防止できる。
なお、本発明と似通った構成を有する積層体が特開2006−010930号(以下、文献1という。)に記載されている。文献1においては、低屈折率膜を金属ターゲットによる反応性スパッタリング法により形成することとしている。この場合、密着改善膜は酸化防止の機能をも有しているが、密着改善膜の膜厚が薄い場合(例えば0.5〜4nm程度の場合)、酸化防止の効果は充分でなく、高反射鏡の反射率が低くなることが分かった。また、膜厚が厚い場合(例えば4nm超)、密着改善膜の吸収により、高反射鏡の反射率が低くなることが分かった。つまり、酸化物ターゲットを用いたRFスパッタリング法により低屈折率膜の形成を行うことで、低屈折率膜の形成を、酸素を導入せずに行うことができ、密着改善膜に酸化防止の機能を付与する必要がなくなる。従って、密着性の観点のみから密着改善膜の膜厚を設計することが可能となる。
また、上記反射率の低下を防止するため、文献1には、酸化防止層の形成が提案されている。しかし、本発明においては、そのような酸化防止層といった新たな層を形成する必要がなく、生産性の点で優れている。
本発明においては、低屈折率膜中の少なくとも密着改善膜側の層を、窒素ガスを含むスパッタガス中で形成する。低屈折率膜中の少なくとも密着改善膜側の層とは、低屈折率膜のうち密着改善膜に近い方の層または層の一部を意味し、密着改善層上に直接低屈折率膜を形成する場合は、低屈折率膜中の密着改善膜と接する層または層の一部を意味する。
酸化物ターゲットを用いた高周波スパッタリング法により低屈折率膜の形成を行うと、微少ながらも密着改善膜に吸収が生じ、積層体の反射率が低くなる傾向にある。一方、低屈折率膜の形成時に、少量の窒素を含むガスをスパッタガスとして用いることにより、密着改善膜の吸収化が抑制され、高反射鏡の反射率の低下を防止できる。この密着改善膜の吸収化が抑制される理由は、現時点ではよく分かっていない。低屈折率膜の形成を、酸化物ターゲットを用いたRFスパッタリング法で行うと、密着改善膜に何らかの膜質の変質が起きる可能性があるが、スパッタガス中に窒素を含有させることで、この膜質の変質が抑えられるために、密着改善膜の吸収化が抑制されると推測している。
窒素の添加は、低屈折率膜の形成において、全体の層に渡って行ってもよいし、密着改善膜側の一部の層にのみに行ってもよい。窒素を含むスパッタガスを用いることにより、成膜速度の低下が生じやすいので、密着改善膜側の層のみに窒素の添加を行うことが生産性の観点から好ましい。密着改善膜側の層に窒素の添加を行う場合、窒素添加の層の膜厚は1〜5nmとすることが、密着改善膜の吸収化抑制や生産性の観点から好ましい。スパッタガス中の窒素ガスの含有率は、スパッタガス全体の2〜20体積%であることが密着改善膜の吸収化防止の点で好ましい。
低屈折率膜の膜厚は、25〜60nm、特に35〜50nmであることが最適な反射率が得られる点で好ましい。また、低屈折率膜が酸化ケイ素膜であるとき、酸化ケイ素膜のケイ素の含有量は、酸化ケイ素膜中の全金属および半導体元素に対して90質量%以上であることが所望の屈折率を有する膜を得ることができる点で好ましい。酸化ケイ素膜中にアルミニウム等の他の金属を含んでいてもよい。
前記低屈折率膜は単層でもよく、複数層からなっていてもよい。複数層からなる場合は、すべての層が、波長550nmにおける屈折率が1.35〜1.75であることが好ましい。低屈折率膜は複数層であってもそれぞれ透明である必要があり、すべての層の消衰係数が0.01以下であり、0.008以下、特に0.005以下であることが好ましい。また、複数層の膜厚の合計が、25〜60nm、特に35〜50nmであることが最適な反射率が得られる点で好ましい。
本発明の高屈折率膜は、波長550nmにおける屈折率が1.8〜2.8であることが好ましい。また、高屈折率膜は、反射率の点から透明な膜である必要があり、具体的には消衰係数が0.01以下であり、さらに0.008以下、特に0.005以下であることが好ましい。高屈折率膜の材料は、具体的には、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化チタンおよび酸化スズからなる群から選ばれる1種以上であることが反射率の点で好ましい。特に、酸化ニオブであることが、屈折率が高く、吸収率が低く、かつ成膜速度が速い点で好ましい。また、高屈折率膜の材料は、複合酸化物であってもよい。高屈折率膜の膜厚は、35〜70nm、特に45〜65nmであることが最適な反射率が得られる点で好ましい。高屈折率膜が酸化ニオブ膜であるとき、酸化ニオブ膜中のニオブの含有量は、酸化ニオブ膜中の全金属元素に対して90質量%以上であることが所望の屈折率膜を得ることができる点で好ましい。
前記高屈折率膜は単層でもよく、複数層からなっていてもよい。複数層からなる場合は、すべての層が、波長550nmにおける屈折率が1.8〜2.8であることが好ましい。高屈折率膜は複数層であってもそれぞれ透明である必要があり、すべての層の消衰係数が0.01以下であり、さらに0.008以下、特に0.005以下であることが好ましい。また、複数層の膜厚の合計が、35〜70nm、特に45〜65nmであることが最適な反射率が得られる点で好ましい。
本発明においては、低屈折率膜と高屈折率膜とをこの順で1回積層した例を説明したが、1回のみならず、低屈折率膜と高屈折率膜とをこの順で複数回積層してもよい。複数回積層することにより、さらに反射率を向上させた積層体を形成することができる。さらに基板から最も離れた層として、耐久性を向上させるための層を形成させることも可能である。
本発明の積層体は、銀膜の基板側に下地膜を形成することが好ましい。下地膜を形成することにより、銀膜と基板との密着性を高めることが可能となり、耐久性の優れる積層体を得ることができる。下地膜の材料は、基板と銀膜との密着性の点から、酸化物、酸窒化物および窒化物からなる群から選ばれる1種以上であることが好ましく、具体的には酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ニオブおよび酸化クロムからなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。また、酸化ケイ素は銀との密着性が劣るため、酸化ケイ素膜と銀膜とは接触しないような構成であれば下地膜として使用することが可能である。また、下地膜の材料は、複合酸化物であってもよい。下地膜の膜厚は、1〜20nm、さらに2〜10nm、特に3〜7nmであることが好ましい。1nm未満では密着性向上の効果が現われにくく、20nm超では表面の凹凸が大きくなり反射率が低くなる。また、前記下地膜は単層でもよく、複数層からなっていてもよい。複数層である場合は、膜厚の合計が上記範囲であることが好ましい。
下地膜が酸化亜鉛膜である場合、酸化亜鉛膜中の亜鉛の含有量は、酸化亜鉛膜中の全金属元素に対して90質量%以上であることが好ましい。酸化亜鉛膜中に他の金属を含んでいてもよい。他の金属を含有することでさらに基板と銀膜との密着性を改善できる。他の金属としては、アルミニウム、ガリウム、スズ、チタン、シリコン等が挙げられ、その含有量は、酸化物換算で2〜10質量%であることが基板と銀膜との密着性を改善できる点で好ましい。
本発明の積層体は、銀膜の基板と反対側に密着改善膜を設ける。密着改善膜により、積層体の耐湿性の向上に寄与するとともに、低屈折率膜と銀膜との密着性をも向上させることができる。密着改善膜は、反射率の点から、消衰係数が0.1以下であり、好ましくは0.05以下、特に好ましくは0.02以下である。密着改善膜の材料は、隣接する低屈折率膜の材料とは異なる材料であって、低屈折率膜と銀膜との密着性の点から消衰係数が0.1以下の酸化物であり、具体的には、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化アルミニウムおよび酸化チタンからなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。また、低屈折率膜である酸化ケイ素は銀との密着性が劣るため、酸化ケイ素膜と銀膜とは接触しないような構成であれば密着改善膜として使用することが可能である。また、密着改善膜の材料は、複合酸化物であってもよい。密着改善膜の膜厚は、0.5〜4nmであり、特に0.5〜2nmであることが好ましい。0.5nm未満では密着性向上の効果が現われにくく、4nm超では密着改善膜の吸収により、積層体の反射率が低くなるため好ましくない。前記密着改善膜は単層でもよく、複数層からなっていてもよい。複数層である場合は、膜厚の合計が上記範囲であることが好ましい。
密着改善膜が酸化亜鉛膜である場合、酸化亜鉛膜中の亜鉛の含有量は、酸化亜鉛膜中の全金属元素に対して90質量%以上であることが好ましい。酸化亜鉛膜中に他の金属を含んでいてもよい。他の金属を含有することでさらに低屈折率膜と銀膜との密着性を改善できる。他の金属としては、具体的には、ガリウム、スズ、シリコンおよびチタンからなる群から選ばれる1種以上が挙げられ、他の金属の含有量は、酸化物換算で合計で2〜10質量%であることが応力緩和の点で好ましい。なお、他の金属として、アルミニウムは、可視光域での吸収がある点で好ましくない。
密着改善膜がガリウム、スズおよびチタンからなる群から選ばれる1種以上を含む酸化亜鉛膜(以下、GSTZO膜という。)である場合、さらにシリコンを含んでいてもよい。シリコンを含有させることで膜が還元されにくくなり、安定的な光学特性を有する膜を形成できる。GSTZO膜中のシリコンの含有量は、GSTZO膜中の全金属元素に対して0.05〜1質量%であることが好ましい。
密着改善膜が酸化インジウム膜である場合、さらに他の金属を含んでもよい。前記他の金属は亜鉛であることが密着性の点で好ましい。亜鉛を含む酸化インジウム膜は、アモルファス構造を示し、全面に渡って均質な膜が形成されやすいという特徴がある。そのため、亜鉛を含む酸化インジウム膜を密着改善膜に用いた場合、比較的膜厚が薄くても均質な膜が銀膜と低屈折率膜との間に形成されるため、密着性がさらに良好となると推測している。この場合、密着改善膜の膜厚は、0.5〜4nmであることが反射率の点で好ましい。亜鉛を含む酸化インジウム膜中の亜鉛の含有量は、亜鉛を含む酸化インジウム膜中の全金属元素に対して5〜15質量%であることが、密着性および反射率を良好にできる点で好ましい。
本発明の積層体は、前述したとおり、基板の片面に、銀膜、密着改善膜、低屈折率膜、高屈折率膜の構成を含む多層膜を形成しているが、これらの多層膜を基板の両面に設けてもよい。また、両面に有する多層膜の構成は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
本発明の積層体は、積層体の空気に接する層への膜面の入射光に対する反射率(以下、膜面反射率という。)の可視光域全域における最低値が、入射角が0〜75度の範囲で93%以上、特に94%以上であることが好ましい。特に、入射角が5度で93%以上、特に94%以上であることが好ましい。また、可視光域の膜面反射率の平均値が、入射角が0〜75度の範囲で97.5%以上、特に98%以上であることが好ましい。特に、入射角が5度で97.5%以上、特に98%以上であることが好ましい。本発明の積層体は、膜面反射率が上記のように高い値となるため、プロジェクションテレビなどの電子機器において反射を繰り返しても、輝度を下げることなく画像を映し出すことが可能となる。なお、入射角とは、膜面に対して垂直な線に対する角度を意味し、可視光域の膜面反射率の平均値とは、波長400〜700nmにおいて、5nm毎に測定した膜面反射率を単純平均した値である。
また、本発明の積層体は、入射角依存性が小さい(光の入射角によって反射率が変動しにくい)点でも優れている。
本発明の積層体は、金属ターゲットや金属酸化物ターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。積層体が、基板から順に、下地膜、銀膜、密着改善膜、低屈折率膜、高屈折率膜のような構成を有する場合の積層体の製造方法を下記に説明する。まず、基板上に、1)下地膜を、金属酸化物ターゲットを用いてスパッタリング法により形成し、2)この下地膜の上に銀膜を銀または銀合金のターゲットを用いてスパッタリング法により形成し、3)この銀膜の上に密着改善膜を、金属酸化物ターゲットを用いてスパッタリング法により形成し、4)この密着改善膜の上に低屈折率膜を、酸化物ターゲットを用いて高周波スパッタリング法により形成し、5)この低屈折率膜の上に高屈折率膜を金属酸化物ターゲットまたは金属酸化物の酸素欠損ターゲットを用いて反応性スパッタリング法により形成する。3)の密着改善膜を形成する場合、銀の酸化を防止するため、酸素等の酸化性ガスが存在しない雰囲気で密着改善膜を形成することが好ましい。密着改善膜を形成する場合、スパッタガス中の酸化性ガスの含有量は、10体積%以下であることが好ましい。また、4)の低屈折率膜を形成する場合、スパッタガス中に窒素ガスを含む。スパッタガス中の窒素の含有量は、2〜20体積%であることが好ましい。窒素の添加は、低屈折率膜の形成において、全体の層に渡って行ってもよいし、密着改善膜側の一部の層にのみに行ってもよい。
本発明の積層体10は、図1に示すとおり、基板1から順に、下地膜2、銀膜3、密着改善膜4、低屈折率膜5、高屈折率膜6のような構成を有する。
スパッタリング法としては、高周波(RF)または直流(DC)スパッタリング法を用いることができる。DCスパッタリング法には、パルスDCスパッタリング法を含む。パルスDCスパッタリング法は異常放電の防止の点で有効である。また、蒸着法と比較して、スパッタリング法は大面積の基板に成膜でき、かつ膜厚の膜面分布の偏差が小さい点で、反射を繰り返しても面内の光度分布の変動が少ない点で優れている。
本発明の積層体は、非常に高い反射率を有するため、フラットパネルディスプレィ、プロジェクションテレビ、携帯電話等に用いられる表示ディスプレィ等の光源の反射部材である光学部材として有効である。
以下に実施例を示すが、これに限定されるものではない。
(例1〜4)
厚さ1.1mmのソーダライムガラス基板を洗浄後、バッチ式のスパッタ装置にガラス基板を設置し、ターゲットとしてガリウムを添加した酸化亜鉛ターゲット(酸化ガリウムの含有率5.7質量%、酸化亜鉛の含有率94.3質量%)、Auを添加した銀合金ターゲット(Au含有率1原子%、銀の含有率99原子%)、シリカターゲット(SiO2含有率99.9原子%)、酸素欠損型酸化ニオブターゲット(Nb2O5−x(X=0〜1))をそれぞれ基板の対向位置に設置し、真空槽内を8×10−4Paまで排気した。そして、下記のA)〜E)の膜を順に形成することにより積層体を得た。
厚さ1.1mmのソーダライムガラス基板を洗浄後、バッチ式のスパッタ装置にガラス基板を設置し、ターゲットとしてガリウムを添加した酸化亜鉛ターゲット(酸化ガリウムの含有率5.7質量%、酸化亜鉛の含有率94.3質量%)、Auを添加した銀合金ターゲット(Au含有率1原子%、銀の含有率99原子%)、シリカターゲット(SiO2含有率99.9原子%)、酸素欠損型酸化ニオブターゲット(Nb2O5−x(X=0〜1))をそれぞれ基板の対向位置に設置し、真空槽内を8×10−4Paまで排気した。そして、下記のA)〜E)の膜を順に形成することにより積層体を得た。
A)・(下地膜(酸化亜鉛膜)の形成)
ガリウムを添加した酸化亜鉛ターゲットを用いて、RFスパッタリング法により、Arガス雰囲気下、投入電力密度1.6W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、ガラス基板上にガリウムドープ酸化亜鉛膜を6nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。ガリウムドープ酸化亜鉛膜の組成はターゲットと同等であった。
ガリウムを添加した酸化亜鉛ターゲットを用いて、RFスパッタリング法により、Arガス雰囲気下、投入電力密度1.6W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、ガラス基板上にガリウムドープ酸化亜鉛膜を6nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。ガリウムドープ酸化亜鉛膜の組成はターゲットと同等であった。
なお、膜厚は、別途準備したガラス基板上に、例1と同様の条件(成膜時間のみを10倍にした)で下地膜を形成し、その膜厚を触針式表面形状測定器DEKTAK3-ST(Veeco社製)を用いて測定し、その測定値から下地膜の膜厚を算出した。以下の膜厚も同様の方法で測定した。
B)・(銀合金膜の形成)
残存ガスを排気後、Auを添加した銀合金ターゲットを用いて、DCスパッタリング法により、Arガス雰囲気下、投入電力密度1.4W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、下地膜上に銀合金膜を100nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。銀合金膜の組成はターゲットと同等であった。
残存ガスを排気後、Auを添加した銀合金ターゲットを用いて、DCスパッタリング法により、Arガス雰囲気下、投入電力密度1.4W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、下地膜上に銀合金膜を100nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。銀合金膜の組成はターゲットと同等であった。
C)・(密着改善膜(酸化亜鉛膜)の形成)
残存ガスを排気後、ガリウムを添加した酸化亜鉛ターゲットを用いて、RFスパッタリング法により、Arガス雰囲気下、投入電力密度0.5W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、銀合金膜上にガリウムドープ酸化亜鉛膜(波長550nmにおける屈折率:1.99、消衰係数:0.017)を2nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。ガリウムドープ酸化亜鉛膜の組成はターゲットと同等であった。
残存ガスを排気後、ガリウムを添加した酸化亜鉛ターゲットを用いて、RFスパッタリング法により、Arガス雰囲気下、投入電力密度0.5W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、銀合金膜上にガリウムドープ酸化亜鉛膜(波長550nmにおける屈折率:1.99、消衰係数:0.017)を2nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。ガリウムドープ酸化亜鉛膜の組成はターゲットと同等であった。
D)・(低屈折率膜(酸化ケイ素膜)の形成)
残存ガスを排気後、シリカターゲットを用いて、RFスパッタリング法により、表1に記載の体積割合のArと窒素との混合ガス(酸素を含有せず)を用い、表1に記載の投入電力密度、スパッタ圧力0.3Paの条件で、密着改善膜上に低屈折率膜の初期層として、酸化ケイ素膜を3nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。続いて、残存ガスを排気後、シリカターゲットを用いて、RFスパッタリング法により、Arガス(酸素を含有せず)雰囲気下、投入電力密度2.4W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、酸化ケイ素膜(波長550nmにおける屈折率:1.47、消衰係数:0)を41nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。
残存ガスを排気後、シリカターゲットを用いて、RFスパッタリング法により、表1に記載の体積割合のArと窒素との混合ガス(酸素を含有せず)を用い、表1に記載の投入電力密度、スパッタ圧力0.3Paの条件で、密着改善膜上に低屈折率膜の初期層として、酸化ケイ素膜を3nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。続いて、残存ガスを排気後、シリカターゲットを用いて、RFスパッタリング法により、Arガス(酸素を含有せず)雰囲気下、投入電力密度2.4W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、酸化ケイ素膜(波長550nmにおける屈折率:1.47、消衰係数:0)を41nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。
E)・(高屈折率膜(酸化ニオブ膜)の形成)
残存ガスを排気後、酸化ニオブターゲットを用いて、DCスパッタリング法により、Arと酸素との混合ガス(スパッタガス中の酸素ガスの含有率:10体積%)雰囲気下、投入電力密度3.3W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、低屈折率膜上に酸化ニオブ膜(波長550nmにおける屈折率:2.31、消衰係数:0)を57nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。
形成された積層体の耐久性と反射率を(1)〜(4)の方法で評価し、その結果を表2に示した。
残存ガスを排気後、酸化ニオブターゲットを用いて、DCスパッタリング法により、Arと酸素との混合ガス(スパッタガス中の酸素ガスの含有率:10体積%)雰囲気下、投入電力密度3.3W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、低屈折率膜上に酸化ニオブ膜(波長550nmにおける屈折率:2.31、消衰係数:0)を57nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。
形成された積層体の耐久性と反射率を(1)〜(4)の方法で評価し、その結果を表2に示した。
(1)高温高湿試験
形成した積層体を50mm角に切り出しサンプルに供した。温度80℃、相対湿度95%の雰囲気中にサンプルを24時間放置し、放置後の膜剥離や腐食の有無を確認した。表2中の○は、膜の剥離もなく、腐食の検出も見られなかった、×は、膜に剥離や腐食の検出が見られた、を意味する。○が実用上好ましい。
形成した積層体を50mm角に切り出しサンプルに供した。温度80℃、相対湿度95%の雰囲気中にサンプルを24時間放置し、放置後の膜剥離や腐食の有無を確認した。表2中の○は、膜の剥離もなく、腐食の検出も見られなかった、×は、膜に剥離や腐食の検出が見られた、を意味する。○が実用上好ましい。
(2)高温試験
形成した積層体を50mm角に切り出しサンプルとして供した。温度200℃の雰囲気中にサンプルを48時間放置し、放置後の膜剥離や腐食の有無を確認した。表2中の○は、膜の剥離もなく、腐食の検出も見られなかった、×は、膜に剥離や腐食の検出が見られた、を意味する。○が実用上好ましい。
形成した積層体を50mm角に切り出しサンプルとして供した。温度200℃の雰囲気中にサンプルを48時間放置し、放置後の膜剥離や腐食の有無を確認した。表2中の○は、膜の剥離もなく、腐食の検出も見られなかった、×は、膜に剥離や腐食の検出が見られた、を意味する。○が実用上好ましい。
(3)密着性(A)
形成した積層体の膜面に、セロハンテープCT−18(ニチバン社製)を手の力で強く貼り付け、勢い良く剥がした後の膜剥離の有無を確認した。○:膜の剥離がなかった。×:膜の剥離が見られた。○が実用上好ましい。
形成した積層体の膜面に、セロハンテープCT−18(ニチバン社製)を手の力で強く貼り付け、勢い良く剥がした後の膜剥離の有無を確認した。○:膜の剥離がなかった。×:膜の剥離が見られた。○が実用上好ましい。
(4)膜面反射率
形成した積層体の膜面反射率(銀膜における基板と反対方向から見た場合の反射率)を、入射角5度において、分光光度計U−4000(日立製作所製)を用いて測定し、可視光域全域における最低値および平均値を算出した。なお、入射角とは、膜面に対して垂直な線に対する角度を意味する。反射率の最低値が93%以上、かつ反射率の平均値が97.5%以上のときを○、反射率の最低値が93%未満、または反射率の平均値が97.5%未満のときを×とした。○が実用上好ましい。
形成した積層体の膜面反射率(銀膜における基板と反対方向から見た場合の反射率)を、入射角5度において、分光光度計U−4000(日立製作所製)を用いて測定し、可視光域全域における最低値および平均値を算出した。なお、入射角とは、膜面に対して垂直な線に対する角度を意味する。反射率の最低値が93%以上、かつ反射率の平均値が97.5%以上のときを○、反射率の最低値が93%未満、または反射率の平均値が97.5%未満のときを×とした。○が実用上好ましい。
(5)密着性(B)
JIS−K5600−5−6(1999年)で定義されるクロスカット法に準じて測定した。一辺が1mmの升目を膜面に100個形成し、升目にセロハンテープCT−18(ニチバン製)を付着し、勢い良く剥がした後の膜剥離の有無を確認した。○:膜の剥離がなかった。△:膜の剥離が見られたが実用上問題なかった。×:膜の剥離が見られた。○および△が実用上好ましく、○がさらに好ましい。
JIS−K5600−5−6(1999年)で定義されるクロスカット法に準じて測定した。一辺が1mmの升目を膜面に100個形成し、升目にセロハンテープCT−18(ニチバン製)を付着し、勢い良く剥がした後の膜剥離の有無を確認した。○:膜の剥離がなかった。△:膜の剥離が見られたが実用上問題なかった。×:膜の剥離が見られた。○および△が実用上好ましく、○がさらに好ましい。
(例5)(比較例)
例1において、低屈折率膜の初期層として、シリカターゲットを用いて、RFスパッタリング法により、Arガス雰囲気(つまり、窒素を含まない雰囲気)下、投入電力密度2.4W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、酸化ケイ素膜を3nmの膜厚で形成した以外は、例1と同様な方法と条件により、積層体を形成した。この積層体について例1と同様の方法で評価し、その結果を表2に示した。
例1において、低屈折率膜の初期層として、シリカターゲットを用いて、RFスパッタリング法により、Arガス雰囲気(つまり、窒素を含まない雰囲気)下、投入電力密度2.4W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、酸化ケイ素膜を3nmの膜厚で形成した以外は、例1と同様な方法と条件により、積層体を形成した。この積層体について例1と同様の方法で評価し、その結果を表2に示した。
(例6)(比較例)
例2において、密着改善膜を形成しなかった以外は、例2と同様な方法と条件により、積層体を形成した。この積層体について例1と同様の方法で評価し、その結果を表2に示した。
例2において、密着改善膜を形成しなかった以外は、例2と同様な方法と条件により、積層体を形成した。この積層体について例1と同様の方法で評価し、その結果を表2に示した。
(例7)
例2において、密着改善膜の膜厚を1nmとした以外は、例2と同様な方法と条件により、積層体を形成した。この積層体について例1と同様の方法で評価し、その結果を表2に示した。
例2において、密着改善膜の膜厚を1nmとした以外は、例2と同様な方法と条件により、積層体を形成した。この積層体について例1と同様の方法で評価し、その結果を表2に示した。
(例8)(比較例)
例2において、密着改善膜の膜厚を5nmとした以外は、例2と同様な方法と条件により、積層体を形成した。この積層体について例1と同様の方法で評価し、その結果を表2に示した。
例2において、密着改善膜の膜厚を5nmとした以外は、例2と同様な方法と条件により、積層体を形成した。この積層体について例1と同様の方法で評価し、その結果を表2に示した。
(例9〜11)(比較例)
厚さ1.1mmのソーダライムガラス基板を洗浄後、バッチ式のスパッタ装置にガラス基板を設置し、ターゲットとしてガリウムを添加した酸化亜鉛ターゲット(酸化ガリウムの含有率5.7質量%、酸化亜鉛の含有率94.3質量%)、Auを添加した銀合金ターゲット(Au含有率1原子%、銀の含有率99原子%)、金属シリコンターゲット(Si含有率99.9原子%)、酸素欠損型酸化ニオブターゲット(Nb2O5−x(X=0〜1))をそれぞれ基板の対向位置に設置し、真空槽内を8×10−4Paまで排気した。そして、下記のA)〜E)の膜を順に形成することにより積層体を得た。
厚さ1.1mmのソーダライムガラス基板を洗浄後、バッチ式のスパッタ装置にガラス基板を設置し、ターゲットとしてガリウムを添加した酸化亜鉛ターゲット(酸化ガリウムの含有率5.7質量%、酸化亜鉛の含有率94.3質量%)、Auを添加した銀合金ターゲット(Au含有率1原子%、銀の含有率99原子%)、金属シリコンターゲット(Si含有率99.9原子%)、酸素欠損型酸化ニオブターゲット(Nb2O5−x(X=0〜1))をそれぞれ基板の対向位置に設置し、真空槽内を8×10−4Paまで排気した。そして、下記のA)〜E)の膜を順に形成することにより積層体を得た。
A) (下地膜(酸化亜鉛膜)の形成)
ガリウムを添加した酸化亜鉛ターゲットを用いて、RFスパッタリング法により、Arガス雰囲気下、投入電力密度1.6W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、ガラス基板上にガリウムドープ酸化亜鉛膜を6nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。ガリウムドープ酸化亜鉛膜の組成はターゲットと同等であった。
ガリウムを添加した酸化亜鉛ターゲットを用いて、RFスパッタリング法により、Arガス雰囲気下、投入電力密度1.6W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、ガラス基板上にガリウムドープ酸化亜鉛膜を6nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。ガリウムドープ酸化亜鉛膜の組成はターゲットと同等であった。
B) (銀合金膜の形成)
残存ガスを排気後、Auを添加した銀合金ターゲットを用いて、DCスパッタリング法により、Arガス雰囲気下、投入電力密度1.4W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、下地膜上に銀合金膜を100nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。銀合金膜の組成はターゲットと同等であった。
残存ガスを排気後、Auを添加した銀合金ターゲットを用いて、DCスパッタリング法により、Arガス雰囲気下、投入電力密度1.4W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、下地膜上に銀合金膜を100nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。銀合金膜の組成はターゲットと同等であった。
C) (密着改善膜(酸化亜鉛膜)の形成)
残存ガスを排気後、ガリウムを添加した酸化亜鉛ターゲットを用いて、RFスパッタリング法により、Arガス雰囲気下、投入電力密度0.5W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、銀合金膜上にガリウムドープ酸化亜鉛膜(波長550nmにおける屈折率:1.99、消衰係数:0.017)を表1記載の膜厚で形成した(例9は密着改善膜なし)。基板の加熱はしなかった。ガリウムドープ酸化亜鉛膜の組成はターゲットと同等であった。
残存ガスを排気後、ガリウムを添加した酸化亜鉛ターゲットを用いて、RFスパッタリング法により、Arガス雰囲気下、投入電力密度0.5W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、銀合金膜上にガリウムドープ酸化亜鉛膜(波長550nmにおける屈折率:1.99、消衰係数:0.017)を表1記載の膜厚で形成した(例9は密着改善膜なし)。基板の加熱はしなかった。ガリウムドープ酸化亜鉛膜の組成はターゲットと同等であった。
D) (低屈折率膜(酸化ケイ素膜)の形成)
残存ガスを排気後、金属シリコンターゲットを用いて、パルスDCスパッタリング法により、Arと酸素との混合ガス(スパッタガス中の酸素ガスの含有率:34体積%)雰囲気下、投入電力密度2.4W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、酸化ケイ素膜(波長550nmにおける屈折率:1.46、消衰係数:0)を42nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。
残存ガスを排気後、金属シリコンターゲットを用いて、パルスDCスパッタリング法により、Arと酸素との混合ガス(スパッタガス中の酸素ガスの含有率:34体積%)雰囲気下、投入電力密度2.4W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、酸化ケイ素膜(波長550nmにおける屈折率:1.46、消衰係数:0)を42nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。
E) (高屈折率膜(酸化ニオブ膜)の形成)
残存ガスを排気後、酸化ニオブターゲットを用いて、DCスパッタリング法により、Arと酸素との混合ガス(スパッタガス中の酸素ガスの含有率:10体積%)雰囲気下、投入電力密度3.3W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、低屈折率膜上に酸化ニオブ膜(波長550nmにおける屈折率:2.31、消衰係数:0)を57nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。この積層体について、例1と同様の方法で評価し、その結果を表2に示した。なお、例9は銀合金膜の酸化により透明な膜となっていた。
残存ガスを排気後、酸化ニオブターゲットを用いて、DCスパッタリング法により、Arと酸素との混合ガス(スパッタガス中の酸素ガスの含有率:10体積%)雰囲気下、投入電力密度3.3W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、低屈折率膜上に酸化ニオブ膜(波長550nmにおける屈折率:2.31、消衰係数:0)を57nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。この積層体について、例1と同様の方法で評価し、その結果を表2に示した。なお、例9は銀合金膜の酸化により透明な膜となっていた。
例1〜4および例7の積層体は、密着改善膜の膜厚が薄く、また、低屈折率膜の初期層形成時に窒素ガスを含むスパッタガスを用いているため、密着改善膜の吸収が小さく、膜面反射率が優れている。また、密着改善膜の形成により、耐湿性、耐熱性等の耐久性に優れている。密着性についても、密着性(A)、密着性(B)の両方の試験において、実用上問題のないレベルである。
これに対し、例5では、低屈折率膜の初期層形成時に窒素を含まないスパッタガスを用いているため、密着改善膜の吸収化が生じ、膜面反射率が劣り、好ましくない。
例6の積層体は、密着改善膜を形成していないため、密着性や耐湿性等の耐久性が劣り、好ましくない。
また、例8の積層体は、密着改善膜の膜厚が5nmと厚いため密着性の性能は十分だが、密着改善膜の吸収が大きく、膜面反射率が劣り、好ましくない。
例9の積層体は、低屈折率膜の形成時に酸素を導入しているため、銀合金膜が酸化し透明な膜となり、膜面反射率が大幅に劣り、好ましくない。
例10および例11の積層体は、密着改善膜を形成しているため銀合金膜の酸化がある程度抑えられ、透明な膜とはなっていないが、低屈折率膜の形成時に酸素を導入しているため、膜面反射率が劣っている。
(例12〜14)
厚さ1.1mmのソーダライムガラス基板を洗浄後、バッチ式のスパッタ装置にガラス基板を設置し、ターゲットとして亜鉛を添加した酸化インジウムターゲット(酸化亜鉛の含有率10.7質量%、酸化インジウムの含有率89.3質量%)、Auを添加した銀合金ターゲット(Au含有率1原子%、銀の含有率99原子%)、シリカターゲット(SiO2含有率99.9原子%)、酸素欠損型酸化ニオブターゲット(Nb2O5ーx(X=0〜1))をそれぞれ基板の対向位置に設置し、真空槽内を8×10−4Paまで排気した。そして、下記のA)〜E)の膜を順に形成することにより積層体を得た。
厚さ1.1mmのソーダライムガラス基板を洗浄後、バッチ式のスパッタ装置にガラス基板を設置し、ターゲットとして亜鉛を添加した酸化インジウムターゲット(酸化亜鉛の含有率10.7質量%、酸化インジウムの含有率89.3質量%)、Auを添加した銀合金ターゲット(Au含有率1原子%、銀の含有率99原子%)、シリカターゲット(SiO2含有率99.9原子%)、酸素欠損型酸化ニオブターゲット(Nb2O5ーx(X=0〜1))をそれぞれ基板の対向位置に設置し、真空槽内を8×10−4Paまで排気した。そして、下記のA)〜E)の膜を順に形成することにより積層体を得た。
A) (下地膜(亜鉛ドープ酸化インジウム膜)の形成)
亜鉛を添加した酸化インジウムターゲットを用いて、RFスパッタリング法により、Arガス雰囲気下、投入電力密度1.6W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、ガラス基板上に亜鉛ドープ酸化インジウム膜を6nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。亜鉛ドープ酸化インジウム膜の組成はターゲットと同等であった。
亜鉛を添加した酸化インジウムターゲットを用いて、RFスパッタリング法により、Arガス雰囲気下、投入電力密度1.6W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、ガラス基板上に亜鉛ドープ酸化インジウム膜を6nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。亜鉛ドープ酸化インジウム膜の組成はターゲットと同等であった。
B) (銀合金膜の形成)
残存ガスを排気後、Auを添加した銀合金ターゲットを用いて、DCスパッタリング法により、Arガス雰囲気下、投入電力密度1.4W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、下地膜上に銀合金膜を100nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。銀合金膜の組成はターゲットと同等であった。
残存ガスを排気後、Auを添加した銀合金ターゲットを用いて、DCスパッタリング法により、Arガス雰囲気下、投入電力密度1.4W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、下地膜上に銀合金膜を100nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。銀合金膜の組成はターゲットと同等であった。
C) (密着改善膜(亜鉛ドープ酸化インジウム膜)の形成)
残存ガスを排気後、亜鉛を添加した酸化インジウムターゲットを用いて、RFスパッタリング法により、Arガス雰囲気下、投入電力密度0.5W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、銀合金膜上に亜鉛ドープ酸化インジウム膜(波長550nmにおける屈折率:1.99、消衰係数:0.015)を表3記載の膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。亜鉛ドープ酸化インジウム膜の組成はターゲットと同等であった。
残存ガスを排気後、亜鉛を添加した酸化インジウムターゲットを用いて、RFスパッタリング法により、Arガス雰囲気下、投入電力密度0.5W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、銀合金膜上に亜鉛ドープ酸化インジウム膜(波長550nmにおける屈折率:1.99、消衰係数:0.015)を表3記載の膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。亜鉛ドープ酸化インジウム膜の組成はターゲットと同等であった。
D) (低屈折率膜(酸化ケイ素膜)の形成)
残存ガスを排気後、シリカターゲットを用いて、RFスパッタリング法により、Arと窒素との混合ガス(スパッタガス中の窒素ガスの含有率:9体積%)雰囲気下、投入電力密度2.4W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、密着改善膜上に低屈折率膜の初期層として、酸化ケイ素膜を3nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。続いて、残存ガスを排気後、シリカターゲットを用いて、RFスパッタリング法により、Arガス(酸素を含有せず)雰囲気下、投入電力密度2.4W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、酸化ケイ素膜(波長550nmにおける屈折率:1.47、消衰係数:0)を41nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。
残存ガスを排気後、シリカターゲットを用いて、RFスパッタリング法により、Arと窒素との混合ガス(スパッタガス中の窒素ガスの含有率:9体積%)雰囲気下、投入電力密度2.4W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、密着改善膜上に低屈折率膜の初期層として、酸化ケイ素膜を3nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。続いて、残存ガスを排気後、シリカターゲットを用いて、RFスパッタリング法により、Arガス(酸素を含有せず)雰囲気下、投入電力密度2.4W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、酸化ケイ素膜(波長550nmにおける屈折率:1.47、消衰係数:0)を41nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。
E) (高屈折率膜(酸化ニオブ膜)の形成)
残存ガスを排気後、酸化ニオブターゲットを用いて、DCスパッタリング法により、Arと酸素との混合ガス(スパッタガス中の酸素ガスの含有率:10体積%)雰囲気下、投入電力密度3.3W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、低屈折率膜上に酸化ニオブ膜(波長550nmにおける屈折率:2.31、消衰係数:0)を57nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。この積層体について例1と同様の方法で評価し、その結果を表4に示した。
残存ガスを排気後、酸化ニオブターゲットを用いて、DCスパッタリング法により、Arと酸素との混合ガス(スパッタガス中の酸素ガスの含有率:10体積%)雰囲気下、投入電力密度3.3W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、低屈折率膜上に酸化ニオブ膜(波長550nmにおける屈折率:2.31、消衰係数:0)を57nmの膜厚で形成した。基板の加熱はしなかった。この積層体について例1と同様の方法で評価し、その結果を表4に示した。
(例15)(比較例)
例12において、密着改善膜の膜厚を5nmとした以外は、例12と同様な方法と条件により、積層体を形成した。この積層体について例1と同様の方法で評価し、その結果を表4に示した。
例12において、密着改善膜の膜厚を5nmとした以外は、例12と同様な方法と条件により、積層体を形成した。この積層体について例1と同様の方法で評価し、その結果を表4に示した。
(例16)(比較例)
例13において、低屈折率膜の初期層として、シリカターゲットを用いて、RFスパッタリング法により、Arガス雰囲気(つまり、窒素を含まない雰囲気)下、投入電力密度2.4W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、酸化ケイ素膜を3nmの膜厚で形成した以外は、例13と同様な方法と条件により、積層体を形成した。この積層体について例1と同様の方法で評価し、その結果を表4に示した。
例13において、低屈折率膜の初期層として、シリカターゲットを用いて、RFスパッタリング法により、Arガス雰囲気(つまり、窒素を含まない雰囲気)下、投入電力密度2.4W/cm2、スパッタ圧力0.3Paの条件で、酸化ケイ素膜を3nmの膜厚で形成した以外は、例13と同様な方法と条件により、積層体を形成した。この積層体について例1と同様の方法で評価し、その結果を表4に示した。
例12〜14の積層体は、密着改善膜の膜厚が薄く、また、低屈折率膜の初期層形成時に窒素ガスを含むスパッタガスを用いているため、密着改善膜の吸収が小さく、膜面反射率が優れている。また、密着改善膜の形成により、耐湿性、耐熱性等の耐久性に優れている。更に、密着改善膜として亜鉛ドープ酸化インジウム膜を使用しているため、特に密着性に優れている。
これに対し、例15の積層体は、密着改善膜の膜厚が5nmと厚いため、密着改善膜の吸収が大きく、膜面反射率が劣り、好ましくない。
また、例16では、低屈折率膜の初期層形成時に窒素を含まないスパッタガスを用いているため、密着改善膜の吸収化が生じ、膜面反射率が劣り、好ましくない。
本発明の積層体は、プロジェクションテレビや携帯電話等の小型の液晶ディスプレィ用バックライトモジュールに用いられる積層体として有用である。
なお、2005年7月29日に出願された日本特許出願2005−220927号、および2006年4月27日に出願された日本特許出願2006−123827号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
なお、2005年7月29日に出願された日本特許出願2005−220927号、および2006年4月27日に出願された日本特許出願2006−123827号の明細書、特許請求の範囲、図面及び要約書の全内容をここに引用し、本発明の明細書の開示として、取り入れるものである。
Claims (18)
- 基板上に、銀膜、密着改善膜、低屈折率膜、高屈折率膜がこの順で積層された積層体であって、前記低屈折率膜中の少なくとも密着改善膜側の層が窒素を含有したスパッタガスを用いたスパッタリング法により形成されており、前記密着改善膜の消衰係数が0.1以下で膜厚が0.5〜4nmであり、前記低屈折率膜の消衰係数が0.01以下であり、前記高屈折率膜の消衰係数が0.01以下であることを特徴とする積層体。
- 前記低屈折率膜中の少なくとも前記密着改善膜側の層の膜厚が1〜5nmである請求項1に記載の積層体。
- 前記スパッタガス中の窒素の含有率が、スパッタガス全体に対して5〜20体積%である請求項1または2に記載の積層体。
- 前記銀膜が銀と金との合金膜である請求項1、2または3に記載の積層体。
- 前記銀膜中の金の含有率が0.5〜10原子%である請求項4に記載の積層体。
- 前記低屈折率膜の材料の主成分が酸化ケイ素である請求項1〜5のいずれかに記載の積層体。
- 前記高屈折率膜の材料が酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化ハフニウム、酸化チタンおよび酸化スズからなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
- 前記高屈折率膜の材料が酸化ニオブである請求項1〜6のいずれかに記載の積層体。
- 前記密着改善膜の材料が酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化アルミニウムおよび酸化チタンからなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜8のいずれかに記載の積層体。
- 前記密着改善膜が酸化亜鉛膜であり、前記酸化亜鉛膜は他の金属を含み、かつ前記他の金属はガリウム、スズ、シリコンおよびチタンからなる群から選ばれる1種以上である請求項9に記載の積層体。
- 前記他の金属の含有量は、酸化亜鉛膜中の全金属元素に対して酸化物換算で合計で2〜10質量%である請求項10に記載の積層体。
- 前記密着改善膜が酸化インジウム膜であり、前記酸化インジウム膜は亜鉛を含んでいる請求項9に記載の積層体。
- 前記亜鉛の含有量は、密着改善膜中の全金属元素に対して5〜15質量%である請求項12に記載の積層体。
- 前記銀膜の基板側には下地膜が形成され、前記下地膜の幾何学的膜厚が1〜20nmであり、前記下地膜の材料が酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ニオブおよび酸化クロムからなる群から選ばれる1種以上である請求項1〜13のいずれかに記載の積層体。
- 前記銀膜、前記密着改善膜、前記高屈折率膜および前記下地膜がスパッタリング法により形成される請求項1〜14のいずれかに記載の積層体。
- 前記銀膜の膜厚が60〜200nmであり、前記低屈折率膜の膜厚が25〜60nmであり、前記高屈折率膜の膜厚が35〜70nmである請求項1〜15のいずれかに記載の積層体。
- 請求項1〜16のいずれかに記載の積層体が、表示ディスプレィの光源の反射部材として使用される表示ディスプレィ。
- 基板上に、銀膜、密着改善膜、低屈折率膜、高屈折率膜をこの順で積層する積層体の製造方法であって、前記低屈折率膜中の少なくとも密着改善膜側の層が窒素を含有したスパッタガスを用いたスパッタリング法により形成され、前記密着改善膜の消衰係数が0.1以下で膜厚が0.5〜4nmであり、前記低屈折率膜の消衰係数が0.01以下であり、前記高屈折率膜の消衰係数が0.01以下となるように形成されることを特徴とする積層体の製造方法。
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