JP2007310335A - 表面鏡 - Google Patents
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Abstract
【課題】
反射率が可視光域全域に渡って高く、リアプロジェクション映像表示装置の背面ミラーとして使用することができる耐久性を有し、大面積の表面鏡を提供する。
【解決手段】
ガラス基板の表面に、SiO2、SiOx、ZrO2、SnO2、TiO2、Nb2O5、Ta2O5、ZnO、Si3N4、Al、Cr、Al2O3から選ばれる一種以上の膜で形成されてなる密着層、厚み120〜180nmのAg−Bi合金層、該Ag−Bi合金層の上に、ITO、Alを添加させたZnO、又はGaを添加させたZnOが厚み3〜10nmで積層され、さらに、低屈折率膜と高屈折率膜とが交互に2〜5層積層して形成されてなる増反射層が、この順に積層されたこと特徴とする表面鏡である。
【選択図】 図1
反射率が可視光域全域に渡って高く、リアプロジェクション映像表示装置の背面ミラーとして使用することができる耐久性を有し、大面積の表面鏡を提供する。
【解決手段】
ガラス基板の表面に、SiO2、SiOx、ZrO2、SnO2、TiO2、Nb2O5、Ta2O5、ZnO、Si3N4、Al、Cr、Al2O3から選ばれる一種以上の膜で形成されてなる密着層、厚み120〜180nmのAg−Bi合金層、該Ag−Bi合金層の上に、ITO、Alを添加させたZnO、又はGaを添加させたZnOが厚み3〜10nmで積層され、さらに、低屈折率膜と高屈折率膜とが交互に2〜5層積層して形成されてなる増反射層が、この順に積層されたこと特徴とする表面鏡である。
【選択図】 図1
Description
本発明は、大面積薄型TVの1つであるリアプロジェクション映像表示装置に用いる背面ミラーに関し、特に、Ag−Bi合金層と増反射層でなる表面鏡に関する。
リアプロジェクション映像表示装置は大面積(大画像)TVの1つとして注目を集めている。近年の大面積TVでは、設置場所の自由度を増すため、あるいはデザイン的な側面から、奥行きの小さい薄型タイプに移行しつつある。
リアプロジェクション映像表示装置は、CRTや液晶プロジェクターなどで作り出した映像をスクリーンに投射するもので、映像は背面ミラーと呼ばれる表面鏡で折り返して反射させ、装置の奥行きを短くしている。
この、リアプロジェクション映像表示装置の背面ミラーに表面鏡が用いられ、表面鏡の光反射層は、反射率の高い金属膜と、金属膜の保護層と増反射とを目的とする透明な無機物の膜で構成することが多い。
表面鏡の多くはガラス板を基板としており、その上に形成する金属反射層には蒸着法やスパッタ法などの真空法で成膜したAl層や、これらの成膜法に加えて銀鏡反応などの湿式法で成膜した銀膜が用いられる。
このうち、Al層を金属反射層とする表面鏡として、たとえば特許文献1にはAl層の上にMgF2層とAl2O3層の2層でなる増反射層を形成した反射鏡が記載されている。また、特許文献2には、少なくともガラス基板の一方の表面を研磨して平滑にし、この研磨した平滑面上にAl、MgF2、TiO2を順次積層する手法が述べられている。
上記特許文献1や2で開示されたアルミニウムを金属反射層とした表面鏡では、可視光域の長波長側(波長600〜780nm)の反射率が低いといったアルミニウム金属自体の特性から、赤色に対する反射率が低いという問題がある。
これを解決するために銀を金属反射層とする表面鏡も開発されている。
たとえば特許文献3では無電解Niメッキ上に蒸着した銀膜上にSiO2、MgF2、YF3、SiO、Al2O3、ZnOを形成したものが、また特許文献4には基板上の少なくとも一面に、酸化アルミニウム層、銀層、フッ化マグネシウム層、およびチタンとランタンとの複合酸化物層が順次積層されたものが、開示されている。
特許文献3に開示されている、銀膜上にSiO2、MgF2、YF3、SiO、Al2O3、ZnOを形成した表面鏡を作製する場合、大面積に均一に成膜できるスパッタリング法で銀上に酸化物膜を積層するときに、雰囲気中の酸素プラズマの影響によって銀膜が著しくダメージを受けて酸化し、反射率が激減して高反射率の表面鏡が得られず、高反射率の表面鏡を作製するためには、酸素プラズマを必要としない成膜方法、つまり蒸着法などでの成膜に限定される。
特許文献4の、銀膜上にイオンビームアシスト法でフッ化マグネシウム層、およびチタンとランタンとの複合酸化物層を順次積層する表面鏡は、イオンビームアシスト法が、原料に電子銃から発生させた電子ビームを照射し、原料を加熱・蒸発して基板に膜を堆積させる、蒸着法の一種で製作されるものである。
蒸着法は原料の蒸発源が点源となるため、大面積への均一な膜厚の制御が難しい。特に表面鏡の金属反射層上に成膜する酸化物膜は、薄膜による光の干渉を利用した増反射機能を持つことが重要であり、このため薄膜の膜厚を精度良くコントロールする必要がある。
リアプロジェクション映像表示装置の背面ミラー用表面鏡は、大きさが1m×1.5mを超える大きなものが要求され、上述した理由から、特許文献3や4に開示されている表面鏡を、リアプロジェクションテレビの表面鏡として用いることは困難である。
銀を反射膜に用いた表面反射鏡は、反射率が波長によって変化せず、高い反射率を有しているが、耐久性に難点があり、特許文献5には、5wt%NaCl水溶液に5分間浸漬させても、白点の欠陥や膜の剥離の発生しないような、耐久性の良い、Pt、Au、Pd、Rh、Ru、Cu、Bi、Sbを含有させた銀合金を用いる反射鏡が開示されている。
特開平4−340905号公報
特開2001−235798号公報
特開平7−168008号公報
特開2004−347651号公報
特開2004−341433号公報
特許文献5(特開2004−341433号公報)に開示されている銀合金の反射鏡では、基板上に銀合金膜を形成し、さらに銀膜もしくは銀合金膜が積層された積層膜であり、銀ターゲットと銀合金ターゲットもしくは2種類以上の銀合金ターゲットを用意する必要があり、生産コストのアップにつながる。また、この反射鏡は、5wt%NaCl水溶液の浸漬試験において、ピンホール欠陥あるいは膜の剥離が発生しないような耐久性の点では不十分である。本発明は、より耐久性があり、反射率が可視光域全域に渡って高く、リアプロジェクション映像表示装置の背面ミラーとして使用できる大面積の表面鏡を提供することを課題とする。
本発明の表面鏡は、ガラス基板の表面に、密着層、Biが0.01〜3.0at%のAg−Bi合金層、増反射層がこの順に積層されてなる表面鏡において、厚み120〜180nmのAg−Bi合金層の上に、ITO、Alを添加させたZnO、又はGaを添加させたZnOを、厚みが3〜10nmで積層されてなることを特徴とする表面鏡である。
また、本発明の表面鏡は、前記表面鏡において、増反射層が、低屈折率膜の成膜で始まり、低屈折率膜と高屈折率膜とが交互に2〜5層積層して形成されてなることを特徴とする表面鏡である。
また、本発明の表面鏡は、前記表面鏡において、低屈折率膜が、SiO2、Al2O3、ZrO2、SnO2、SiOxNy、SiOxCyNzの中から選ばれる1種以上で構成される膜であり、該低屈折率膜の上に積膜される高屈折率膜が、TiO2、Nb2O5、Ta2O5、ZnO、Si3N4、SiOx、SiOxNy、SiOxCyNzの中から選ばれる1種以上で構成される膜であることを特徴とする表面鏡である。
また、本発明の表面鏡は、前記表面鏡において、密着層が、SiO2、SiOx、ZrO2、SnO2、TiO2、Nb2O5、Ta2O5、ZnO、Si3N4、Al、Cr、Al2O3から選ばれる一種以上の膜で形成されてなることを特徴とする表面鏡である。
本発明の表面鏡は、リアプロジェクション映像表示装置の背面ミラー用として用いられる、大面積の耐久性に優れた高反射率反射鏡を提供する。
本発明の表面鏡は、リアプロジェクション映像表示装置の背面ミラー用として用いられ、表面鏡の成膜法は、大面積の基板に均一な厚みで成膜が可能なスパッタリング法で成膜することが好ましい。
図1に、本発明による表面鏡の構成を示す。ガラス基板3には、平滑性が良く、ある程度の剛性をもって歪みにくい部材として、比較的低コストで得られる、表面の平滑性が良いフロート法によるソーダライムガラスの使用が簡便である。
また、表面鏡の表面に凹凸があると、これが濃淡状のスジとなってスクリーンに投写されて不具合となるため、ガラス表面を研磨してウネリを取り除いた研磨品をガラス基板3に用いることが好ましい。
また、ガラスが自重により歪むとスクリーンに投写された映像も歪むために、ヤング率が高いガラス、たとえば高歪点ガラスをガラス基板3として使用できる。
ガラス基板3の厚さであるが、厚いガラスの方が薄いガラスよりも、使用する際、自重による歪みが小さく、結果として像が歪まないが、厚くすると、リアプロジェクション映像表示装置自体の重量が重くなるという問題があり、また、リアプロジェクション映像表示装置の組み立て時のハンドリングが難しくなり、さらに、表面鏡の成膜時において搬送系の構造材への負担が増すといった問題があるために、通常は2〜4mmの厚さであることが望ましい。
このガラス基板3への光反射層の形成であるが、大きな面積の基板に成膜可能であり、膜厚の制御に優れ、かつ安定して長時間成膜が可能なスパッタリング法が良い。
スパッタリング法以外の成膜法として、蒸着法、イオンプレーティング法があるが、これらの方法では原料を点源から蒸発させるために、原料の蒸発がコサイン則に従って膜厚に分布が生じ(ルツボの直上部近傍が最も厚くなる)、膜厚が均一となる部分が少ない。また、均一な分布を得るためには膜厚補正板を取りつけて対策することも可能であるが、成膜速度が遅い部分に成膜レートをあわせるために原料の基板への付着効率が悪く、したがって大面積の基板への成膜法としては最適ではない。
光を反射させる金属反射層としては、アルミニウム層および銀膜が一般的である。アルミニウム層は安価であり化学的耐久性も比較的良いことから使いやすい原料であるが、波長550nm以上ではその反射率が波長の増加とともに減少し、可視光域の最長端である波長780nmでの反射率は80%程度まで減少するために、波長の長い赤色の反射率が低いという問題がある。
光を反射させる金属反射層として銀膜を用いると、アルミニウムのような波長の増加に対する反射率の減少はなく、可視光域全般に渡って均一な高い反射率を維持でき、反射特性に優れた表面鏡になる。
しかし、金属反射層として銀膜を用いると、耐久性が悪く長期にわたって使用することが困難である。
そのため、本発明では、アルミニウムよりも高い反射率を示し、銀よりも耐久性が優れた反射鏡として、Ag−Bi合金を用いる。
Ag−Bi合金として、Agに対してBiを0.01〜3.0at%含有させたものが好ましく、より好ましくは、0.05〜1.0at%で含有したものを用いることができる。
反射膜が十分な耐久性を有するためには、Ag−Bi合金のBiの含有量は、0.01at%以上であることが好ましく、より好ましくは0.05at%以上である。
Ag−Bi合金のBiの含有量を増大させると耐久性はよくなるが、Biの含有量が増大すると反射率は低下するので、高反射率を有する反射鏡を作製するためには、Ag−Bi合金のBiの含有量は、3.0at%以下とすることが好ましい。より好ましくは、1.0at%以下である。
反射膜が十分な耐久性を有するためには、Ag−Bi合金のBiの含有量は、0.01at%以上であることが好ましく、より好ましくは0.05at%以上である。
Ag−Bi合金のBiの含有量を増大させると耐久性はよくなるが、Biの含有量が増大すると反射率は低下するので、高反射率を有する反射鏡を作製するためには、Ag−Bi合金のBiの含有量は、3.0at%以下とすることが好ましい。より好ましくは、1.0at%以下である。
Ag−Bi合金層5は、図1に示すように、ガラス基板3の上に成膜される密着層の上に成膜することが望ましい。
Ag−Bi合金層5の膜厚は、120nm未満では光が透過して高反射率の表面鏡が得られず、120nm以上の厚さであることが望ましい。また、厚すぎても反射特性はあまり向上しないので、コストメリットの点から膜厚は180nm以下であることが望ましい。
従って、Ag−Bi合金層5の厚みは、120〜180nmの範囲であることが望ましく、製造のしやすさから、より好ましくは、140〜170nmとすることが望ましい。
Ag−Bi層5の上層に増反射層2を形成させて、より高い反射率を発現させることが好ましい。増反射層2としては、屈折率の異なる膜を積層したものを用いることが望ましい。また、増反射層2とAg−Bi合金層5との間には、反射鏡の耐久性をより向上させるために、ITO(酸化インジウム・スズ)層6を形成する。
ITO層は、SnO2を2〜15at%含有するITOターゲットを用いて、形成することが望ましい。
ITO層6の厚みは、3nm〜10nmとすることが好ましい。ITO層が3nmより薄いと、十分な耐久性が得られず、また10nmよりも厚くすると、反射率が低くなり、リアプロジェクションテレビに用いることが困難となる。
ITOの代わりに、Alを添加したZnO(AZOとして公知の組成、Alを1.6〜3.2at%含有するZnO)、あるいは、Gaを添加したZnO(GZOとして公知の組成、Gaを1.7〜6.1at%含有するZnO)を用いることもできる。
AZOおよびGZOは主にスパッタ法によって形成するのが好ましく、AZOの形成にはZnOにAl2O3が0.1〜15wt%添加されたターゲットを、GZOの形成にはZnOにGa2O3が0.1〜15wt%添加されたターゲットを用いて形成するのが望ましい。
また、酸素ガスを含んだガスを導入した酸化雰囲気中では、プラズマ中で活性化、イオン化した酸素ガスの影響で、Ag−Bi層5が酸化されて著しく劣化し、表面鏡の反射率が著しく低下するため、ITO、AZO、GZOを形成する際には、アルゴンガスなどの希ガスのみの雰囲気中で成膜する。
増反射層2として、低屈折率膜7を形成した後、高屈折率膜8を形成することが好ましい。従って、増反射層2は、低屈折率膜7から始まり、低屈折率膜7と高屈折率膜8とを交互に積層され、低屈折率膜7と高屈折率膜8の積層数は2〜5とすることが好ましい。
ここで、低屈折率膜とは、増反射層2として積層される屈折率の異なる膜の中で、隣接して積層される膜に対して、屈折率が小さい膜を言い、高屈折率膜とは、増反射層2として積層される屈折率の異なる膜の中で、隣接して積層される膜に対して、屈折率が大きい膜を言う。
図1は、増反射層2が低屈折率膜7と高屈折率膜8の2層でなる場合である。
低屈折率膜7としては、SiO2、Al2O3、ZrO2、SnO2、SiOxNy(0<y≦0.4、x+y=2)、SiOxCyNz(0<y≦0.4、0<z≦0.1、x+y+z=2)などを用いることができる。この中ではSiO2が最も屈折率が低く、最も反射率が高い表面鏡となる。
高屈折率膜8としては、TiO2、Nb2O5、Ta2O5、ZnO、Si3N4、SiOx、(1.0≦x≦1.4)SiOxNy(1.4≦y<2.0、x+y=2)、SiOxCyNz(1.4≦y<2.0、0<z≦0.1、x+y+z=2)が挙げられる。このうち屈折率が高いTiO2、Nb2O5、Ta2O5を用いると、反射率が高く反射特性の良い表面鏡となる。
SiOxを高屈折率膜として用いるときにはxが1になるべく近い組成が良いが、可視光域短波長側に吸収があるために、表面鏡がわずかに褐色になるという欠点がある。
厚さ160nmのAg−Bi層5を金属反射層として、その上の増反射層を考える場合、例えば低屈折率膜をSiO2、高屈折率膜をNb2O5とした際には、それぞれの膜厚を55nm、45nmとすることが望ましい。
Ag−Bi層5の上にスパッタリング法で増反射層2を積層する場合、酸素ガスを含んだガスを導入した酸化雰囲気中では、プラズマ中で活性化、イオン化した酸素ガスの影響で、Ag−Bi層5が酸化されて著しく劣化し、表面鏡の反射率が著しく低下する。
例えば、SiO2膜を積層する際、通常Siをターゲットとして酸素ガス含有雰囲気中でSiとOを反応させるDCスパッタリング法でSiO2を形成するが、厚さ160nmのAg−Bi層5上にこの方法でSiO2を積層すると、Ag−Bi層5が酸化されて波長780nmで約60%という大きな光の透過が生じる。
本発明の反射鏡の好ましい具体例は、Ag−Bi層5の上に厚さ3nm〜10nmのITO層6を積層したものである。ITO層6は、Ag−Bi層5の酸化による劣化を防ぐため不活性ガスのみを導入した雰囲気でAg−Bi層5上に積層される。Ag−Bi層5の上にITO層6を積層することにより、増反射層2を積層するときに、プラズマ中に酸素ガスを含んだガスを導入しても、ITO層6の表面が酸化するのみでAg−Bi層5が酸化して劣化することはない。 該ITO層6の厚さが3nm未満の場合には、酸素プラズマに対するAg−Bi層5の劣化を防止する効果が無いので、Ag−Bi層5は劣化してしまう。
また、前述の条件にてITO膜を作製する場合、ターゲットとしてITOターゲットを用いるが、膜中の酸素が不足しているため可視光域の短波長側に光の吸収が発現する。
このため、ITO層6の厚さが10nmを超えると、ITO層6による光の吸収の影響により、可視光域の長波長側および短波長側の反射がITO層6の膜厚とともに減少してしまい、可視光域全体に渡って均一な高反射特性が得られない。
したがって、Ag−Bi層5の上に成膜するITO層6の厚さは、3nm〜10nmとすることが好ましく、より好ましくは3nm〜5nmである。
また、耐久性が必要とされる表面鏡では、Ag−Bi層5とガラス基板3との密着性が良好である必要がある。このためにAg−Bi層5とガラス基板3との界面に密着層4を設けて、Ag−Bi合金層とガラス基板3との密着性を高めることが望ましい。
密着層4としてSiO2、SiOx、ZrO2、SnO2、TiO2、Nb2O5、Ta2O5、ZnO、Si3N4、Al、Cr、Al2O3膜のいずれかを形成することで、Ag−Bi層5とガラス基板3との密着強度を改善できる。
なお、この密着層4の光学特性は表面鏡の反射特性に関与しないため、密着層4を構成する膜の吸収、屈折率等の光学特性が問題となることはなく、どのような光学特性の膜でもよい。
密着層4の厚さは5nm未満であると十分にその機能は発現せず、密着層4の厚さは5nm以上であることが好ましい。
また、密着層4の膜厚は厚くても問題ないが、コストメリットを考えると100nm以下であることが望ましい。
図2に示すスパッタリング成膜装置10を用い、密着層、Ag−Bi合金層、ITO層および増反射層を成膜した。このスパッタリング成膜装置は、基板の搬送をインターバック方式で行うものである。
スパッタリング成膜装置10の真空チャンバー12内に、スパッタリングターゲットとして、Alターゲット13、Ag−Bi合金ターゲット14、ITOターゲット15、Siターゲット16およびNbターゲット17を取りつけ、ドライポンプ18およびターボ分子ポンプ19を用いて真空チャンバー12内を排気した。
Ag−Bi合金ターゲット14には、Biの含有量が0.5at%のものを用いた。
Ag−Bi合金ターゲット14には、Biの含有量が0.5at%のものを用いた。
1.5×1.5m角に切断した厚さ3mmのソーダライムガラスをガラス基板20として用いた。
ガラス基板20を洗浄・乾燥し、スパッタリング成膜装置10の基板搬入トレイ21に載せた。このガラス基板20をロードロック室22に搬入して真空引きし、その後、ゲートバルブ23を開いて基板20を真空チャンバー12内に搬送した。
真空計24を用いて、真空チャンバー12内の到達真空度が2×10−4Pa以下であることを確認した。真空チャンバー12内にアルゴンおよび酸素ガス25を、60体積%対40体積%の割合で導入し、所定の圧力になるようにガス流量を調整した。Alターゲット13にDC電源26を用いて電力を投入してプラズマを発生させてAlターゲット13をスパッタし、基板20を通過させ、基板20上に密着層4として、厚み50nmのAl2O3膜を形成した。
次いで雰囲気ガスをアルゴンのみにし、Ag−Bi合金ターゲット14に直流マグネトロンスパッタ法で電圧を印加して、Ag−Bi合金ターゲット14上に基板20を通過させて、Ag−Bi合金層を積層した。成膜されたAg−Bi合金層のBi含有量は、0.1at%であった。
この後、ITOターゲット15に電圧を印加し、基板20を通過させて、ITO層を積層した。
さらに、雰囲気をアルゴンおよび酸素混合ガスに戻し、増反射層として、Siターゲット16をスパッタして、SiO2膜を積層し、Nbタ−ゲット17をスパッタして、Nb2O5膜を積層した。
このようにして、ソーダライムガラス基板20の表面にガラス/Al2O3/Ag−Bi/ITO/SiO2/Nb2O5からなる表面鏡を作製した。各層の厚さは、ソーダライムガラス基板20を通過させる速度と往復回数で調整し、ソーダライムガラス基板20から順に、50nm、160nm、5nm、55nm、45nmとした。
成膜したガラス基板20をロードロック室21に戻し、大気開放して取り出した。
この表面鏡のコーナー部と中央部を50mm×50mmの大きさに裁断し、コーナー部の4枚と中央部の1枚、計5枚のサンプルについて、膜面側の45°入射光に対する反射率を測定したところ、ほとんど同じ結果が得られた。中央部のサンプルについて測定した結果を図3に示す。波長550nmでの反射率は97%を超え、著しく反射率が高かった。また、波長400nmから700nmまでの可視光域の広い範囲で反射率は92%を超え、ほぼ均一な高反射率の表面鏡であった。
この表面鏡を、50℃、95%RHに保った恒温恒湿槽中で24h放置する耐湿試験を行ったが、外観は変化せず、十分な耐湿性を示した。
さらに、35℃、99%RHに保った5wt%NaCl水溶液を用いる塩水噴霧試験を24時間行ったが、劣化は認められなかった。
ITO層6の厚みを10nmで成膜した他は、実施例1と同様にして表面鏡を作成した。
この表面鏡の膜面側の45°入射光に対する反射率を図4に示す。波長550nmでの反射率は97%を超え、著しく反射率が高かった。また、波長400nmから700nmまでの可視光域の広い範囲で反射率は90%を超え、ほぼ均一な高反射率の表面鏡であった。
この表面鏡に対して、実施例1と同様の、耐湿試験と塩水噴霧試験を行い、劣化しないことが確認された。
密着層4のAl2O3膜の厚みを10nmで成膜した他は、実施例1と同様にして表面鏡を作成した。
この表面鏡の膜面側の45°入射光に対する反射率は実施例1と同様であった。さらに、実施例1と同様の、耐湿試験と塩水噴霧試験を行い、劣化しないことが確認された。
比較例1
ITO層6の厚みを2.5nmで成膜した他は、実施例1と同様にして表面鏡を作成した。
ITO層6の厚みを2.5nmで成膜した他は、実施例1と同様にして表面鏡を作成した。
この表面鏡の膜面側の45°入射光に対する反射率は、実施例1よりも高い反射率を示した。
しかし、実施例1と同様の、耐湿試験と塩水噴霧試験を行ったところ、耐湿試験での劣化が認められなかったものの、塩水噴霧試験ではピンホール状の点欠陥が生じて、実施例に比較して耐久性の劣っていることが認められた。
比較例2
Ag−Bi合金層をAg層にした他は、全て実施例1と同様にして表面鏡を作成した。
Ag−Bi合金層をAg層にした他は、全て実施例1と同様にして表面鏡を作成した。
この表面鏡の膜面側の45°入射光に対する反射率は、実施例2とほぼ同じ反射率を示した。
しかし、実施例1と同様の、耐湿試験と塩水噴霧試験を行ったところ、耐湿試験での劣化が認められなかったものの、塩水噴霧試験では反射膜にピンホール欠陥および膜の剥離が生じて、ほとんど耐久性のないことが確認された。
1 表面鏡
2 増反射層
3 ガラス基板
4 密着層
5 Ag−Bi層
6 ITO層
7 低屈折率膜
8 高屈折率膜
10 インターバック方式のスパッタリング成膜装置
12 真空チャンバー
13 Alターゲット
14 Ag−Bi合金ターゲット
15 ITOターゲット
16 Siターゲット
17 Nbターゲット
18 ドライポンプ
19 ターボ分子ポンプ
20 ガラス基板
21 基板搬入送トレイ
22 ロードロック室
23 ゲートバルブ
24 真空計
25 アルゴンおよび酸素ガス
26 DC電源
2 増反射層
3 ガラス基板
4 密着層
5 Ag−Bi層
6 ITO層
7 低屈折率膜
8 高屈折率膜
10 インターバック方式のスパッタリング成膜装置
12 真空チャンバー
13 Alターゲット
14 Ag−Bi合金ターゲット
15 ITOターゲット
16 Siターゲット
17 Nbターゲット
18 ドライポンプ
19 ターボ分子ポンプ
20 ガラス基板
21 基板搬入送トレイ
22 ロードロック室
23 ゲートバルブ
24 真空計
25 アルゴンおよび酸素ガス
26 DC電源
Claims (4)
- ガラス基板の表面に、密着層、Biが0.01〜3.0at%のAg−Bi合金層、増反射層がこの順に積層されてなる表面鏡において、厚み120〜180nmのAg−Bi合金層の上に、ITO、Alを添加させたZnO、又はGaを添加させたZnOを、厚みが3〜10nmで積層されてなることを特徴とする表面鏡。
- 増反射層が、低屈折率膜の成膜で始まり、低屈折率膜と高屈折率膜とが交互に2〜5層積層して形成されてなることを特徴とする請求項1に記載の表面鏡。
- 低屈折率膜が、SiO2、Al2O3、ZrO2、SnO2、SiOxNy、SiOxCyNzの中から選ばれる1種以上で構成される膜であり、該低屈折率膜の上に積層される高屈折率膜が、TiO2、Nb2O5、Ta2O5、ZnO、Si3N4、SiOx、SiOxNy、SiOxCyNzの中から選ばれる1種以上で構成される膜であることを特徴とする請求項1または請求項2のいずれかに記載の表面鏡。
- 密着層が、SiO2、SiOx、ZrO2、SnO2、TiO2、Nb2O5、Ta2O5、ZnO、Si3N4、Al、Cr、Al2O3から選ばれる一種以上の膜で形成されてなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の表面鏡。
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