JP2005227469A - 高反射鏡 - Google Patents
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Abstract
【課題】可視光域で高い反射率を有し、耐湿性、特に高温高湿の条件にさらされた後でも高い反射率を維持できる高反射鏡の提供。
【解決手段】フィルム基板上に、下地膜、銀膜、酸化防止膜、保護膜がこの順で積層された高反射鏡であって、前記酸化防止膜が酸化物膜であり、かつ前記酸化防止膜の消衰係数が0.1以下であり、前記保護膜の消衰係数が0.01以下であることを特徴とする高反射鏡。前記下地膜が酸化物膜であり、スパッタリング法により形成され、かつスパッタリング法におけるスパッタガスは酸化性ガスを実質的に含まないことが好ましい。
【選択図】なし
【解決手段】フィルム基板上に、下地膜、銀膜、酸化防止膜、保護膜がこの順で積層された高反射鏡であって、前記酸化防止膜が酸化物膜であり、かつ前記酸化防止膜の消衰係数が0.1以下であり、前記保護膜の消衰係数が0.01以下であることを特徴とする高反射鏡。前記下地膜が酸化物膜であり、スパッタリング法により形成され、かつスパッタリング法におけるスパッタガスは酸化性ガスを実質的に含まないことが好ましい。
【選択図】なし
Description
本発明は、主として携帯電話等の小型の液晶ディスプレィ用バックライトモジュールに用いられる高反射鏡に関する。
従来、フラットパネルディスプレィ等の電子機器に使用される反射鏡としてメタル膜を反射に利用した鏡が広く用いられている。電子機器の輝度向上および省エネルギー化のためには反射鏡の反射率を高くすることが重要である。例えば、携帯電話等に使用される液晶ディスプレィでは、バックライトを反射させる鏡が使用されているが、これらの鏡は軽量化のために基板としてフィルムが用いられ、反射率の高い反射鏡が求められる。
反射鏡のメタル膜の材料として、従来よりアルミニウムが用いられている。しかし、メタル膜の材料としてアルミニウムを使用した場合、光の入射角によって反射率が変化し、反射色がばらつく問題を生じる。また、反射率を高くするためには低屈折率膜と高屈折率膜とを積層させ、多層構造とすることが有効であることが知られており、またこのような多層構造とすることで耐擦傷性等の向上も期待できるが成膜プロセスが複雑になるといった問題があった。
上記問題点を解決するために、アルミニウムよりも可視光域の反射率が高い銀をメタル膜の材料として使用することが行われている。しかし、銀はアルミニウムと比較して可視光域での反射率は高いものの、フィルム基板との密着性が悪いため耐湿性や耐塩水性等の耐久性が低いという問題点があった。
メタル膜としてAg膜を用いた、高反射率を有し、かつ耐久性に優れた鏡として、ガラス基板上にAl2O3膜、Ag膜、Al2O3膜、TiO2膜と順に積層した高反射鏡が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。また、ポリカの基板上にTiOx膜、Ag膜、Al2O3膜、TiO2膜と順に積層した高反射鏡が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。また、ポリカの基板上にCrOx膜、Ag膜、Al2O3膜と順に積層した高反射鏡が開示されている(例えば、特許文献6参照。)。しかし、これらの高反射鏡は、Ag膜の基板と反対側のAl2O3膜を製造する場合に酸素を導入しているため銀が酸化されやすく、反射率が低くなるという問題がある。
また、Ag膜と基板との密着性を改善するために、AgにCe、Ndといった金属を混合させた反射膜も開示されている(例えば、特許文献2参照。)。しかし、この反射膜は銀の単膜であるため、Ag膜と基板との密着性について記載されているのみであり、Ag膜と他の層との密着性については全く評価されていない。
また、基板との密着力を向上させるために、Ag膜と基板との間に金属としてクロム、ニッケル、チタン系合金を成膜した反射鏡が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかし、この反射鏡は下地膜とAg膜のみの積層構造であり、保護膜は塩化ビニル等のフィルムをラミネートした後の密着性評価であり、保護膜として酸化物膜を形成した構造での評価はされていない。
本発明は、可視光域で高い反射率を有し、耐湿性、特に高温高湿の条件にさらされた後でも高い反射率を維持できる高反射鏡を提供することを目的とする。
本発明は以下に示す(1)〜(3)を提供する。
(1)フィルム基板上に、下地膜、銀膜、酸化防止膜、保護膜がこの順で積層された高反射鏡であって、前記酸化防止膜が酸化物膜であり、かつ前記酸化防止膜の消衰係数が0.1以下であり、前記保護膜の消衰係数が0.01以下であることを特徴とする高反射鏡。
(2)前記下地膜が酸化物膜であり、スパッタリング法により形成され、かつスパッタリング法におけるスパッタガスは酸化性ガスを実質的に含まない(1)に記載の高反射鏡。
(3)前記下地膜の幾何学的膜厚が1〜50nmであり、前記銀膜の幾何学的膜厚が60〜300nmであり、前記酸化防止膜の幾何学的膜厚が2〜12nmであり、前記保護膜の幾何学的膜厚が5〜50nmである請求項1または2に記載の高反射鏡。
(1)フィルム基板上に、下地膜、銀膜、酸化防止膜、保護膜がこの順で積層された高反射鏡であって、前記酸化防止膜が酸化物膜であり、かつ前記酸化防止膜の消衰係数が0.1以下であり、前記保護膜の消衰係数が0.01以下であることを特徴とする高反射鏡。
(2)前記下地膜が酸化物膜であり、スパッタリング法により形成され、かつスパッタリング法におけるスパッタガスは酸化性ガスを実質的に含まない(1)に記載の高反射鏡。
(3)前記下地膜の幾何学的膜厚が1〜50nmであり、前記銀膜の幾何学的膜厚が60〜300nmであり、前記酸化防止膜の幾何学的膜厚が2〜12nmであり、前記保護膜の幾何学的膜厚が5〜50nmである請求項1または2に記載の高反射鏡。
本発明の高反射鏡は、メタル膜の材料として銀を用いているので可視光域の反射率を高めることができ、さらに耐湿性、特に高温高湿の条件にさらされた後でも高い反射率を維持できるのでディスプレィ用の光学部品、特に使用環境の厳しい携帯電話等の小型の液晶ディスプレィ用バックライトモジュールとして有用であり、ディスプレィの輝度向上および光学設計の容易化にも寄与する。
本発明の高反射鏡において、フィルム基板の種類は、特に制限されず、例えば、PET(ポリエチレンテレフタラート)樹脂、アクリル樹脂、ポリカーボネート等のフィルムなどが挙げられる。フィルム基板の厚さは30〜500μmであることが軽量化できる点で好ましい。基板の形状は、平面、拡散面、凹面、凸面、台形などの各種の反射用光学部材の基体として求められる形状であれば特に限定されない。また、フィルム基板は、プラズマ処理等を施すことが基板との密着性を向上できる点で好ましい。
光を有効に反射させる銀膜は、銀を主成分とする膜であり、銀を90at%以上含むことが可視光域の反射率の点で好ましい。銀膜を用いることで可視光域の反射率を高め、入射角による反射率の依存性を低減させることができる。銀膜は、銅等の不純物を含んでいてもよいが、その含有量は10at%以下であることが好ましい。なお、本発明において「可視光域」とは、400〜700nmの波長域を意味する。
また、銀膜は、銀とその他の金属との合金膜であってもよい。その他の金属としては、具体的にはAuが挙げられる。Auとの合金膜にすることにより銀膜の耐久性が向上するため好ましい。合金膜中のその他の金属の含有量は、0.5〜10at%であることが耐久性向上の点で好ましい。また、合金膜中における銀の含有量は、90at%以上であることが可視光域の反射率の点で好ましい。
銀膜の幾何学的膜厚は、60〜300nm、特に80〜200nmであることが好ましい。60nm未満では可視光域の反射率が低下し、300nm超では表面の凹凸により光吸収が生じ、結果的に可視光域の反射率が低下するため好ましくない。
本発明の保護膜は、波長550nmにおける屈折率が2.1以下であることが好ましい。また、保護膜は、反射率の点から透明な膜である必要があり、具体的には消衰係数が0.01以下であり、0.008以下、特に0.005以下であることが好ましい。また、保護膜は単層でも、複数の層から形成されていてもよい。保護膜は具体的には、酸化珪素膜等の酸化物膜であることが光学的特性の変動が少ない点で好ましい。保護膜の幾何学的膜厚は、5〜50nm、特に10〜25nmであることが最適な反射率が得られる点で好ましい。また、保護膜が酸化珪素膜であるとき、酸化珪素膜の珪素の含有量は、酸化珪素膜中の全金属・半導体元素に対して90質量%以上であることが所望の保護膜を得ることができる点で好ましい。酸化珪素膜中にアルミニウム等の他の金属を含んでいてもよい。なお、屈折率とは複素屈折率の実数部を意味し、消衰係数とは可視光域における複素屈折率の虚数部を意味し、それぞれ分光エリプソメーター(例えば、WVASE32TM):J.A.Woollam社製)により測定できる。
本発明の高反射鏡は、銀膜のフィルム基板側に下地膜を形成する。下地膜を形成することにより、銀膜とフィルム基板との密着性を高めることが可能となり、耐湿性の優れる高反射鏡を得ることができる。下地膜は、フィルム基板と銀との密着性の点から、酸化物膜であることが好ましく、スパッタリング法により形成され、かつスパッタガスは酸素を実質的に含まないことがフィルム基板に影響を与えない点で好ましい。下地膜は、具体的には酸化チタン、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化アルミニウム、酸化クロム、酸化ニオブからなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。また、下地膜は単層でも、複数の層であってもよい。下地層の膜厚は、1〜50nm、特に3〜15nmであることが好ましい。1nm未満では密着性向上の効果が現われにくく、50nm超では表面の凹凸が大きくなり反射率が低くなったり、内部応力が高くなって密着性が低下したりするため好ましくない。
下地膜は、スパッタリング法により形成され、かつスパッタリング法におけるスパッタガスは酸化性ガスを実質的に含まないことが好ましい。スパッタガスが酸化性ガスを実質的に含まない条件とは、フィルム基板に密着性等の影響を与えるような酸化性ガスがスパッタガス中に含まれていないことを意味し、具体的には、スパッタガス中に酸化性ガスが18体積%以下であることが好ましい。スパッタガスとしては、希ガスであることが好ましく、アルゴン等が例示される。酸化性ガスとしては、具体的には、酸素、二酸化炭素等が例示される。よって、下地膜を形成する際に用いられるターゲットは、スパッタガス中に酸化性ガスを実質的に含まなくとも酸化物膜が形成できる点で、酸化チタン等の酸化物ターゲットやTiOx(1.5≦x<2.0)ターゲット等の酸素欠損ターゲットであることが好ましい。
本発明の高反射鏡は、銀膜の基板と反対側に酸化防止膜を設ける。酸化防止膜により、銀膜の酸化を防止し、高反射鏡の耐湿性の向上に寄与するとともに、保護膜と銀膜との密着性をも向上させることができる。酸化防止膜は、反射率の点から透明な膜であることが必要であり、具体的には消衰係数が0.1以下であり、好ましくは0.08以下、特に好ましくは0.05以下である。酸化防止膜の材料は、銀膜との密着性の点から酸化物であり、具体的には、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化インジウム、酸化シリコン、酸化ニオブおよび酸化クロムからなる群から選ばれる1種以上であることが好ましい。また、酸化防止膜の材料は、複合酸化物であってもよい。酸化防止膜は、単層であっても、複数の層であってもよい。酸化防止膜の膜厚は、2〜12nm、特に4〜6nmであることが好ましい。2nm未満では密着性向上の効果が現われにくく、12nm超では反射率が低くなるため好ましくない。
酸化防止膜が酸化亜鉛膜である場合、酸化亜鉛膜中の亜鉛の含有量は、酸化亜鉛膜中の全金属元素に対して90質量%以上であることが好ましい。酸化亜鉛膜中に他の金属を含んでいてもよい。他の金属としては、具体的には、ガリウム、スズ、チタン、シリコン、アルミニウム、イットリウムが挙げられ、その含有量は、酸化亜鉛膜中の全金属元素に対して3〜10質量%であることが応力緩和の点で好ましい。酸化防止膜を形成する場合、下層である銀膜の酸化を防止するため、酸素等の酸化性ガスが存在しない雰囲気で酸化防止膜を形成することが好ましい。
本発明の高反射鏡は、前述したとおり、フィルム基板の片面に、銀膜、保護膜の構成を含む多層膜を形成しているが、これらの多層膜をフィルム基板の両面に設けてもよい。また、両面に有する多層膜の構成は、同じであってもよく、異なっていてもよい。
本発明の高反射鏡は、該鏡の空気に接する層への膜面の入射光に対する反射率(以下、膜面反射率という。)の可視光域全域における最低値が、入射角によらず、85%以上、特に88%以上であることが好ましい。本発明の高反射鏡は、入射角に依存することなく、膜面反射率が上記のように高い値となるため、プロジェクションテレビや液晶ディスプレィのような電子機器において反射を繰り返しても、輝度を下げることなく画像を映し出すことが可能となる。なお、入射角とは、膜面に対して垂直な線に対する角度を意味する。また、膜面反射率は、可視光域の人間の感ずる反射率を明確に表すことができる点で、JIS−Z 8701(1982年)に規定する視感反射率を使用することが多い。
本発明の高反射鏡は、金属ターゲットおよび金属酸化物ターゲットを用いてスパッタリング法により形成することができる。高反射鏡が、フィルム基板から順に、下地膜、銀膜、酸化防止膜、保護膜のような構成を有する場合の高反射鏡の製造方法を下記に説明する。まず、フィルム基板上に、1)下地膜を酸化物ターゲットを用いてスパッタリング法により形成し、2)この下地膜の上に銀膜を銀または銀合金のターゲットを用いてスパッタリング法により形成し、3)この銀膜の上に酸化防止膜を酸化物ターゲットを用いてスパッタリング法により形成し、4)この酸化防止膜の上に保護膜を金属ターゲットを用いて反応性スパッタリング法により形成する。
スパッタリング法としては、交流(AC)、直流(DC)または高周波(RF)スパッタリング法を用いることができる。DCスパッタリング法には、パルスDCスパッタリング法を含む。ACスパッタリング法またはパルスDCスパッタリング法は異常放電の防止の点で有効である。また、緻密な膜を形成できる点では、ACまたはDC反応性スパッタリング法が有効である。
本発明の積層体は、フラットパネルディスプレィ、プロジェクションテレビ、携帯電話等に用いられる表示ディスプレィ等の光源の反射部材として有効である。
以下に、本発明の高反射鏡の実施例(例1)、および比較例(例2〜4)について詳細に説明する。ただし、本発明は下記実施例に限定されない。
(例1)
真空槽内に、基板として、アクリルハードコートを施した平坦なPETフィルムを設置し、ターゲットとしてTiOxターゲット、Auを添加した銀合金ターゲット(Au含有率2at%、銀の含有率98at%)、ガリウムを添加した酸化亜鉛ターゲット(酸化ガリウムの含有率5.7質量%、酸化亜鉛の含有率94.3質量%)、金属シリコンターゲット(ボロンドープの多結晶ターゲット、シリコンの含有率99.999質量%)、金属チタンターゲット(チタンの含有率99.99質量%)をそれぞれカソード上部のフィルム基板の対向位置に設置し、真空槽内を2×10−3Paまで排気した。ターゲット表面のサイズは、それぞれ50.8mm×177.8mmであった。そして、下記のA)〜E)の処理を行うことにより高反射鏡を得た。
真空槽内に、基板として、アクリルハードコートを施した平坦なPETフィルムを設置し、ターゲットとしてTiOxターゲット、Auを添加した銀合金ターゲット(Au含有率2at%、銀の含有率98at%)、ガリウムを添加した酸化亜鉛ターゲット(酸化ガリウムの含有率5.7質量%、酸化亜鉛の含有率94.3質量%)、金属シリコンターゲット(ボロンドープの多結晶ターゲット、シリコンの含有率99.999質量%)、金属チタンターゲット(チタンの含有率99.99質量%)をそれぞれカソード上部のフィルム基板の対向位置に設置し、真空槽内を2×10−3Paまで排気した。ターゲット表面のサイズは、それぞれ50.8mm×177.8mmであった。そして、下記のA)〜E)の処理を行うことにより高反射鏡を得た。
A)・・・(フィルム基板の前処理工程)
スパッタリングガスとしてアルゴンガスを80sccm、酸素ガスを20sccmの流量で真空槽内へ導入し、投入電力0.3kW、フィルムの搬送速度0.33m/minの条件でRFプラズマ処理を行った。
スパッタリングガスとしてアルゴンガスを80sccm、酸素ガスを20sccmの流量で真空槽内へ導入し、投入電力0.3kW、フィルムの搬送速度0.33m/minの条件でRFプラズマ処理を行った。
B)・・・(下地膜(酸化チタン膜)の形成)
スパッタリングガスとしてアルゴンガスを100sccmの流量で真空槽内へ導入し、DCスパッタリング法により、投入電力0.5kWの条件で、TiOxターゲットを用いて、PETフィルム上に酸化チタン膜を10nmの膜厚で形成した。酸化チタン膜の成分はターゲットと同等であった。
スパッタリングガスとしてアルゴンガスを100sccmの流量で真空槽内へ導入し、DCスパッタリング法により、投入電力0.5kWの条件で、TiOxターゲットを用いて、PETフィルム上に酸化チタン膜を10nmの膜厚で形成した。酸化チタン膜の成分はターゲットと同等であった。
C)・・・(銀膜の形成)
残存ガスを排気後、スパッタリングガスとしてアルゴンガスを100sccmの流量で真空槽内へ導入し、DCスパッタリング法により、投入電力0.5kWの条件で、金を添加した銀合金ターゲットを用いて、下地膜上に銀膜を150nmの膜厚で形成した。銀膜の成分はターゲットと同等であった。
残存ガスを排気後、スパッタリングガスとしてアルゴンガスを100sccmの流量で真空槽内へ導入し、DCスパッタリング法により、投入電力0.5kWの条件で、金を添加した銀合金ターゲットを用いて、下地膜上に銀膜を150nmの膜厚で形成した。銀膜の成分はターゲットと同等であった。
D)・・・(酸化防止膜(酸化亜鉛膜)の形成)
残存ガスを排気後、スパッタリングガスとしてアルゴンガスを100sccmの流量で真空槽内へ導入し、DCスパッタリング法により銀膜上にガリウムドープ酸化亜鉛膜(波長550nmにおける屈折率:1.99、消衰係数:0.017)を5nmの膜厚で形成した。ガリウムドープ酸化亜鉛膜の成分はターゲットと同等であった。
残存ガスを排気後、スパッタリングガスとしてアルゴンガスを100sccmの流量で真空槽内へ導入し、DCスパッタリング法により銀膜上にガリウムドープ酸化亜鉛膜(波長550nmにおける屈折率:1.99、消衰係数:0.017)を5nmの膜厚で形成した。ガリウムドープ酸化亜鉛膜の成分はターゲットと同等であった。
E)・・・(保護膜(酸化珪素膜)の形成)
残存ガスを排気後、スパッタリングガスとしてアルゴンガスを50sccm、酸素ガスを50sccmの速度で真空槽内へ導入し、ACスパッタリング法により、投入電力0.5kWの条件で、金属シリコンターゲットを用いて、酸化防止膜上に酸化珪素膜(波長550nmにおける屈折率:1.46、消衰係数:0)を20nmの膜厚で形成した。酸化珪素膜の成分はターゲットと同等であった。
残存ガスを排気後、スパッタリングガスとしてアルゴンガスを50sccm、酸素ガスを50sccmの速度で真空槽内へ導入し、ACスパッタリング法により、投入電力0.5kWの条件で、金属シリコンターゲットを用いて、酸化防止膜上に酸化珪素膜(波長550nmにおける屈折率:1.46、消衰係数:0)を20nmの膜厚で形成した。酸化珪素膜の成分はターゲットと同等であった。
形成された高反射鏡の耐久性を下記の方法で評価し、(1)〜(3)の結果を表1に示す。
(1)高温耐湿試験
形成した高反射鏡を50mm×100mmに切り出しサンプルに供した。温度60℃、相対湿度90%の雰囲気中にサンプルを100時間放置し、放置後の膜剥離や腐食の有無を確認した。○:膜の剥離もなく、腐食の検出も見られなかった。×:膜に剥離や腐食の検出が見られた。
形成した高反射鏡を50mm×100mmに切り出しサンプルに供した。温度60℃、相対湿度90%の雰囲気中にサンプルを100時間放置し、放置後の膜剥離や腐食の有無を確認した。○:膜の剥離もなく、腐食の検出も見られなかった。×:膜に剥離や腐食の検出が見られた。
(2)テープ剥離試験
形成した高反射鏡の膜面をカッターを用いて切断し、ます目を100個形成した。接着テープ(ニチバン社製)を手の力で強く膜面に貼り付け、勢い良く剥がした後の膜面のます目の剥離の有無を確認した。全く剥離がない場合を100/100、全て剥離の場合を0/100とした。剥離試験は成膜後および高温耐湿試験後に行った。
形成した高反射鏡の膜面をカッターを用いて切断し、ます目を100個形成した。接着テープ(ニチバン社製)を手の力で強く膜面に貼り付け、勢い良く剥がした後の膜面のます目の剥離の有無を確認した。全く剥離がない場合を100/100、全て剥離の場合を0/100とした。剥離試験は成膜後および高温耐湿試験後に行った。
(3)視感反射率
カラーアナライザー(TOPSCAN:東京電色製)を用いて反射率を測定し、JIS−Z 8701(1982年)に規定する三刺激値の色度Yを計算により求め視感反射率とした。測定はSCI方式で行った。視感反射率は成膜後および高温耐湿試験後に測定した。
カラーアナライザー(TOPSCAN:東京電色製)を用いて反射率を測定し、JIS−Z 8701(1982年)に規定する三刺激値の色度Yを計算により求め視感反射率とした。測定はSCI方式で行った。視感反射率は成膜後および高温耐湿試験後に測定した。
(例2)(比較例)
例1において、下地膜を形成する方法として、酸化チタンターゲットを用いる代わりに、スパッタリングガスとしてアルゴンガスを100sccm真空槽内へ導入し、DCスパッタリング法により、投入電力0.5kWの条件で金属チタンターゲット(チタンの含有率99.99質量%)を用いて下地膜としてチタン膜を49nmの膜厚で形成した以外は、例1と同様に処理して高反射鏡を形成した。形成された高反射鏡を例1と同様の方法で評価した。(1)〜(3)の結果を表1に示す。
例1において、下地膜を形成する方法として、酸化チタンターゲットを用いる代わりに、スパッタリングガスとしてアルゴンガスを100sccm真空槽内へ導入し、DCスパッタリング法により、投入電力0.5kWの条件で金属チタンターゲット(チタンの含有率99.99質量%)を用いて下地膜としてチタン膜を49nmの膜厚で形成した以外は、例1と同様に処理して高反射鏡を形成した。形成された高反射鏡を例1と同様の方法で評価した。(1)〜(3)の結果を表1に示す。
(例3)(比較例)
下地膜を形成しない以外は例1と同様に処理して高反射鏡を形成した。形成された高反射鏡を例1と同様の方法で評価した。(1)〜(3)の結果を表1に示す。
下地膜を形成しない以外は例1と同様に処理して高反射鏡を形成した。形成された高反射鏡を例1と同様の方法で評価した。(1)〜(3)の結果を表1に示す。
(例4)(比較例)
例1において、下地膜である酸化チタン膜を形成する方法として、スパッタリングガスとしてアルゴンガスを50sccmおよび酸素ガスを50sccm真空槽内へ導入し、DC反応性スパッタリング法により投入電力0.5kWの条件で、金属チタンターゲット(チタンの含有率99.999at%)を用いて酸化チタン膜を形成する以外は例1と同様に処理して高反射鏡を形成した。形成された高反射鏡を例1と同様の方法で評価した。(1)〜(3)の結果を表1に示す。
例1において、下地膜である酸化チタン膜を形成する方法として、スパッタリングガスとしてアルゴンガスを50sccmおよび酸素ガスを50sccm真空槽内へ導入し、DC反応性スパッタリング法により投入電力0.5kWの条件で、金属チタンターゲット(チタンの含有率99.999at%)を用いて酸化チタン膜を形成する以外は例1と同様に処理して高反射鏡を形成した。形成された高反射鏡を例1と同様の方法で評価した。(1)〜(3)の結果を表1に示す。
例1の高反射鏡は、メタル膜の材料として銀を用いているため、可視光域において反射率が高くなっており、不活性ガスによるスパッタリングにより得られた下地膜の形成により耐湿性等の耐久性に優れている。
これに対し、例2では、下地層として酸化物膜ではない金属チタン膜を用いているため、密着性が十分でなくフィルム基板との間で剥離等が見られ、例3では、下地層がないため、銀膜とフィルム基板との間の密着性が十分でなく剥離が見られ、例4では、下地層を反応性スパッタリング法により形成するため、反応性スパッタリングでスパッタガスとして用いられる酸素がフィルムに影響を及ぼし、銀膜とフィルム基板との間で剥離等が見られ好ましくない。
本発明の高反射鏡は、携帯電話等の小型の液晶ディスプレィ用バックライトモジュールに用いられる高反射鏡として有用である。
Claims (3)
- フィルム基板上に、下地膜、銀膜、酸化防止膜、保護膜がこの順で積層された高反射鏡であって、前記酸化防止膜が酸化物膜であり、かつ前記酸化防止膜の消衰係数が0.1以下であり、前記保護膜の消衰係数が0.01以下であることを特徴とする高反射鏡。
- 前記下地膜が酸化物膜であり、スパッタリング法により形成され、かつスパッタリング法におけるスパッタガスは酸化性ガスを実質的に含まない請求項1に記載の高反射鏡。
- 前記下地膜の幾何学的膜厚が1〜50nmであり、前記銀膜の幾何学的膜厚が60〜300nmであり、前記酸化防止膜の幾何学的膜厚が2〜12nmであり、前記保護膜の幾何学的膜厚が5〜50nmである請求項1または2に記載の高反射鏡。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2010137367A1 (ja) * | 2009-05-25 | 2010-12-02 | コニカミノルタオプト株式会社 | フィルムミラー、その製造方法、それを用いた太陽光反射用ミラー |
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