JP3541606B2 - 低反射樹脂基材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、低反射樹脂基材に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、オフィスや各種測定などにおいて、ディスプレイ画面を用いた作業が増加している。これらの作業においては、窓や室内照明などの外光がディスプレイ画面の表面で反射することにより画面が見難くなったり、反射により周囲の像が画面に映り込んだりするため、疲労低減のためにもかかる反射を防止することが必要となっている。そのための方法の一つとして、ディスプレイ画面の表面に反射防止層を設ける方法が知られている。かかる反射防止層として、ガラスが基材である場合には、二酸化ケイ素、酸化チタン、酸化ジルコニウム、フッ化マグネシウムなどの透明誘電体層が知られているが、これらの透明導電体層を樹脂基材に適用した場合には、耐擦傷性や密着性、耐久性が十分でなくなる傾向にあり、特にフッ化マグネシウムを用いた場合には、この傾向が顕著であった。
【0003】
かかる問題を解決するものとして、樹脂基材の表面に酸化アルミニウム層を形成させ、その上に反射防止層(フッ化マグネシウム層)を形成させた低反射樹脂基材(特公昭61−602号公報)、樹脂基材の表面に酸化ケイ素層を形成させ、その上に反射防止層(フッ化マグネシウム層)を形成させた低反射樹脂基材(特開昭62−186203号公報)などが知られている。しかしながら、これらはいずれも、実用上の耐擦傷性が未だ必ずしも十分でないという問題があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者らは、十分な耐擦傷性、密着性および耐久性を備えた低反射樹脂基材を開発するべく鋭意検討した結果、樹脂基材上にノングレア層を設け、その上に酸化アルミニウム層を形成させ、さらにその上に反射防止層を形成させることによって、耐擦傷性、密着性および耐久性のいずれもが十分な性能を示す低反射樹脂基材が得られることを見出し、本発明に至った。
【0005】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、樹脂基材の上に設けられたノングレア層と、該ノングレア層の上に形成された酸化アルミニウム層と、該酸化アルミニウム層の上に形成された反射防止層とを有することを特徴とする低反射樹脂基材を提供するものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明の低反射樹脂基材における樹脂基材としては、透明性のあるものであれば特に限定されず、例えば、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート等のアクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のエステル系樹脂、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系樹脂などが挙げられる。
【0007】
かかる樹脂基材の上にはノングレア層が設けられるが、このノングレア層は、例えば、微小なフィラーを分散させたハードコート剤を樹脂基材の表面に塗布した後、紫外線硬化または熱硬化などにより硬化させる方法、エンボス加工によりハードコート層に凹凸を形成させる方法、ハードコート層を機械的に擦傷する方法など、通常の方法によって容易に設けることができる。ハードコート剤としては、アクリルウレタン系ハードコート剤、アクリル系ハードコート剤などが用いられる。かかるノングレア層を設けることにより、外光等の反射を防止し得るばかりでなく、耐擦傷性を向上することができる。
【0008】
ノングレア層の表面は、JIS B 0601(1994)に従って測定される十点平均粗さが1μm 以上10μm 以下、さらには1μm以上5μm以下であり、かつ凹凸の平均間隔が20μm 以上400μm 以下、さらには30μm以上90μm以下であることが好ましい。十点平均粗さが1μm 未満であるか又は凹凸の平均間隔が20μm 未満では、耐擦傷性が低下する傾向にあり、十点平均粗さが10μm を超えるか又は凹凸の平均間隔が400μm を超えると、透過光の散乱が大きくなり、ディスプレイ画面がぼやけた感じとなる傾向にある。
【0009】
かかるノングレア層の上には酸化アルミニウム層が形成されるが、酸化アルミニウム層を形成させる方法は特に限定されず、通常の方法、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などにより、形成させることができる。酸化アルミニウム層の膜厚(d)は、通常50Å以上である。膜厚(d)の上限は特に限定されないが、反射防止性能を損なわないためには、反射防止の目的とする光の波長をλ、酸化アルミニウムの屈折率をnとして、式(1)
d0=λ/2n (1)
で示される値d0 以下であることが好ましい。なお、通常の場合、λは概ね550nm、d0 は概ね1700Å程度である。
【0010】
酸化アルミニウム層を形成させる前に、ノングレア層の表面には、プラズマを用いた処理が施されてもよい。プラズマを用いた処理を施すことにより、得られる低反射樹脂基材は、その耐擦傷性がさらに向上する。プラズマを用いた処理としては、例えば、コロナ処理や、1×10-4Torr〜1×10-1Torr程度の真空下で、アルゴンガスや酸素ガスなどを用いた放電プラズマ中にノングレア層表面をさらす方法などが挙げられる。コロナ処理は通常、放電領域に樹脂基材を通過させることにより行われ、放電領域に投入されるエネルギーをその放電領域を通過する樹脂基材の速度で除した値として計算される処理エネルギーは、特に限定されないが、20W/m以上1kW/m以下であることが好ましい。処理エネルギーが20W/m未満であると、酸化アルミニウム層との密着性向上の効果が十分に得られない傾向にあり、またそれが1kW/mを超えると、得られる低反射樹脂基板の反射光に色がついたり、反射防止層の耐久性が低下したりする傾向にある。
【0011】
酸化アルミニウム層の上に形成される反射防止層は1層であってもよいし、2層以上であってもよい。かかる反射防止層としては、例えば、フッ化マグネシウム等の金属フッ化物、酸化シリコンや酸化チタン等の金属酸化物などからなる層が挙げられる。中でも金属フッ化物、特にはフッ化マグネシウムを用いた場合には、耐擦傷性および耐久性の向上が顕著である。これらの反射防止層は、通常の方法、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などにより形成させることができ、その厚みは、反射防止層が1層である場合には通常600〜1100Å、好ましくは700〜950Åの範囲である。
【0012】
かかる本発明の低反射樹脂基材は、その反射防止層の表面に撥水層を形成させて用いてもよい。撥水層としては、例えば、フッ素を含む重合層が挙げられ、かかる重合膜としては、例えば、テフロンコート、フッ素系オイルの塗布膜、フッ素系シランカップリング剤によるコートなどが挙げられる。撥水層は、純水を用いた測定による接触角が100°以上であると、耐擦傷性の向上に十分な効果があるため好ましい。
【0013】
かかる撥水層は、接着性の点で、金属酸化物、特には酸化ケイ素からなる層の上に形成されることが好ましい。そのため、反射防止層として金属フッ化物からなる層を用いた場合には、その上にさらに金属酸化物からなる保護層を形成させ、その上に撥水層を形成させることが好ましい。ここで保護層は、通常の方法、例えば、真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などにより形成させることができ、その厚みは通常30〜300Å、好ましくは50〜200Åの範囲である。
【0014】
本発明の低反射樹脂基材は、予め目的とする大きさに切断された樹脂基材ごとに製造してもよいし、フィルムもしくはシートを用いた連続プロセスよって製造した後、目的の大きさに切断してもよい。
【0015】
【発明の効果】
本発明の低反射樹脂基材は、十分な耐擦傷性、密着性および耐久性を備えており、偏光フィルターなどの各種光学フィルターとして有用である。
【0016】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
【0017】
評価方法
以下の実施例で得た低反射樹脂基材は、下記の方法により評価した。
【0018】
(1)耐擦傷性
スチールウール#0000を使用して、荷重250g/cm2 で表面を20回こすり、目視により表面の傷つき状態を観察し、以下の基準で評価した。
◎:傷が確認できない。
○:傷がほとんど確認できない。
△:わずかに傷が確認できる。
×:はっきりと傷が確認できる。
【0019】
(2)耐擦傷性の再現性
各実施例について同様の操作を行って低反射樹脂基材を製造し、得られた低反射樹脂基材の耐擦傷性を再び評価した。
【0020】
(3)密着性
碁盤目に切り込みを入れた表面にセロハンテープ(ニチバン社製)を貼り付け、90°の角度で引き剥がしたときの反射防止層の剥離状況を目視により観察し、以下の基準で評価した。
○:剥離しない。
×:剥離する。
【0021】
(4)耐久性
得られた低反射樹脂基材を切断して、それぞれを以下の(A)〜(D)に示す条件下で200時間放置した。
(A)温度80℃/乾燥状態
(B)温度90℃/乾燥状態
(C)温度60℃/湿度90%
(D)温度65℃/湿度95%
放置後の反射防止層におけるクラックの発生状況および上記と同様の密着性評価の結果から、以下の基準で評価した。
○:いずれの条件下でも、クラックなどの発生がなく、かつ密着性の低下を生じない。
×:条件(C)、条件(D)において、反射防止層に密着性の低下を生じる。
【0022】
(5)映り込み防止性
黒色の紙の上に低反射基材を置いた状態で、該低反射基材の表面に周囲の像が映り込む様子を目視により観察し、以下の基準で評価した。
◎:像が認識できない。
○:像が認識されるが、その輪郭は認識できない。
×:像が、その輪郭まで認識できる。
【0023】
なお、ノングレア層の表面の十点平均粗さおよび凹凸の平均間隔は、表面粗さ計(東京精密社製、surfcom-570A)を用い、JIS B 0601(1994)に基づいて測定した。
【0024】
実施例1
トリアセチルセルロース(以下、TACと称する。)のフィルムの一方の表面に、アクリルウレタン系ハードコート剤にシリカ微粒子を分散させたものを塗布し、紫外線硬化させてノングレア層(厚み3μm、十点平均粗さ3.0μm、凹凸の平均間隔113μm)を形成させ、次いでコロナ処理(処理エネルギー150W/m)を行った。その後、ノングレア層表面上に、真空度1.2×10-4Torr で電子ビームによる真空蒸着法によって酸化アルミニウム層(厚み100Å)を形成させ、次いで真空度8×10-5Torrで電子ビームによる真空蒸着法によってフッ化マグネシウム層(厚み850Å)を形成させ、さらに真空度1×10-4Torrで電子ビームによる真空蒸着法によって酸化ケイ素層(厚み100Å)を形成させた。その後、真空容器内で撥水処理剤(オプトロン社製、OF-110)を電子ビームにより加熱、気化させて、酸化ケイ素層の上に撥水層(純水を用いた接触角104°)を形成させて、低反射樹脂基材を得た。評価結果を表1に示す。
【0025】
この低反射樹脂基材を、ポリビニルアルコールフィルムを延伸して得た偏光フィルムに貼合して、偏光板を得た。この偏光板を液晶表示装置に適用したところ、外光が画面に反射することがほとんどなく、しかも視認性は十分であった。
【0026】
実施例2
TACのフィルムの一方の表面に、アクリルウレタン系のハードコート剤にシリカ微粒子を分散させたものを使用して紫外線硬化によりノングレア層(厚み3μm 、十点平均粗さ4.7μm、凹凸の平均間隔85μm )を形成させ、次いでコロナ処理(処理エネルギー400W/m)を行った。その後、ノングレア層表面上に、真空度1.2×10-4Torr で電子ビームによる真空蒸着法によって酸化アルミニウム層(厚み60Å)を形成させ、次いで真空度8×10-5Torrで電子ビームによる真空蒸着法によってフッ化マグネシウム層(厚み950Å)を形成させて、低反射樹脂基材を得た。評価結果を表1に示す。
【0027】
この低反射樹脂基材を、ポリビニルアルコールフィルムを延伸して得た偏光フィルムに貼合して、偏光板を得た。この偏光板を液晶表示装置に適用したところ、外光が画面に反射することがほとんどなく、しかも視認性は十分であった。
【0028】
実施例3
TACのフィルムの一方の表面に、紫外線硬化によりアクリル系のハードコートを形成し、エンボス加工してノングレア層(厚み5μm 、十点平均粗さ8.1μm、凹凸の平均間隔190μm )を形成させ、次いでコロナ処理(処理エネルギー80W/m)を行った。その後、ノングレア層表面上に、真空度1.2×10-4Torr で電子ビームによる真空蒸着法によって酸化アルミニウム層(厚み150Å)を形成させ、次いで真空度8×10-5Torrで電子ビームによる真空蒸着法によってフッ化マグネシウム層(厚み950Å)を形成させて、低反射樹脂基材を得た。評価結果を表1に示す。
【0029】
この低反射樹脂基材を、ポリビニルアルコールフィルムを延伸して得た偏光フィルムに貼合して、偏光板を得た。この偏光板を液晶表示装置に適用したところ、外光が画面に反射することがほとんどなく、しかも視認性は十分であった。
【0030】
実施例4
TACのフィルムの一方の表面に、紫外線硬化によりアクリル系のハードコートを形成し、エンボス加工してノングレア層(厚み5μm 、十点平均粗さ8.7μm、凹凸の平均間隔134μm )を形成させ、次いで真空度1×10-2Torrのアルゴンガス雰囲気下で放電プラズマ(放電パワー1.2W/cm2)の放電領域に20秒間さらした。その後、ノングレア層表面上に、スパッタ法によって酸化アルミニウム層(厚み100Å)を形成させ、次いでスパッタ法によって酸化ケイ素層(厚み850Å)を形成させて、低反射樹脂基材を得た。評価結果を表1に示す。
【0031】
この低反射樹脂基材を、ポリビニルアルコールフィルムを延伸して得た偏光フィルムに貼合して、偏光板を得た。この偏光板を液晶表示装置に適用したところ、外光が画面に反射することがほとんどなく、しかも視認性は十分であった。
【0032】
実施例5
メチルメタアクリレート板(グレーに着色、光透過率85%)の一方の表面に、アクリルウレタン系ハードコート剤にシリカ微粒子を分散させたものを塗布し、紫外線硬化させてノングレア層(厚み3μm 、十点平均粗さ3.5μm、凹凸の平均間隔68μm )を形成させ、次いでコロナ処理(処理エネルギー400W/m)を行った。その後、ノングレア層表面上に、真空度1.2×10-4Torr で電子ビームによる真空蒸着法によって酸化アルミニウム層(厚み100Å)を形成させ、次いで真空度8×10-5Torrで電子ビームによる真空蒸着法によってフッ化マグネシウム層(厚み850Å)を形成させ、さらに真空度1×10-4Torrで電子ビームによる真空蒸着法によって酸化ケイ素層(厚み120Å)を形成させた。その後、真空容器内で撥水処理剤(オプトロン社製、OF-110)を電子ビームにより加熱、気化させて、酸化ケイ素層の上に撥水層(純水を用いた接触角108°)を形成させて、低反射樹脂基材を得た。評価結果を表1に示す。
【0033】
この低反射樹脂基材をCRTディスプレーの前面に配置する光学フィルターとして適用したところ、外光が画面に映り込むことがほとんどなく、コントラストは良好であり、かつ視認性も良好であった。
【0034】
実施例6
TACのフィルムの一方の表面に、アクリルウレタン系ハードコート剤にシリカ微粒子を分散させたものを塗布し、加熱してノングレア層(厚み3μm 、十点平均粗さ4.7μm、凹凸の平均間隔85μm )を形成させ、次いでノングレア層表面上に、真空度 1.2×10-4Torrで電子ビームによる真空蒸着法によって酸化アルミニウム層(厚み100Å)を形成させ、さらに真空度8×10-5Torrで電子ビームによる真空蒸着法によってフッ化マグネシウム層(厚み950Å)を形成させて、低反射樹脂基材を得た。評価結果を表1に示す。
【0035】
この低反射樹脂基材を、ポリビニルアルコールフィルムを延伸して得た偏光フィルムに貼合して、偏光板を得た。この偏光板を液晶表示装置に適用したところ、外光が画面に反射することがほとんどなく、しかも視認性は十分であった。
【0036】
比較例1
TACのフィルムの一方の表面に、紫外線硬化により平滑なアクリルウレタン系ハードコート層を形成させ(厚み3μm )、次いでコロナ処理(処理エネルギー150W/m)を行った。その後、このハードコート層表面上に、真空度1.2×10-4Torr で電子ビームによる真空蒸着法によって酸化アルミニウム層(厚み100Å)を形成させ、次いで真空度8×10-5Torrで電子ビームによる真空蒸着法によってフッ化マグネシウム層(厚み950Å)を形成させて、低反射樹脂基材を得た。評価結果を表1に示す。
【0037】
この低反射樹脂基材を、ポリビニルアルコールフィルムを延伸して得た偏光フィルムに貼合して、偏光板を得た。この偏光板を液晶表示装置に適用したところ、視認性は十分であったが、外光が画面上でわずかに反射した。
【0038】
比較例2
TACのフィルムの一方の表面に、アクリルウレタン系ハードコート剤にシリカ微粒子を分散させたものを塗布し、紫外線硬化させてノングレア層(厚み3μm 、十点平均粗さ3.0μm、凹凸の平均間隔113μm )を形成させ、次いでコロナ処理(処理エネルギー150W/m)を行った。その後、ノングレア層表面上に、真空度1.2×10-4Torr で電子ビームによる真空蒸着法によって酸化ケイ素層(厚み100Å)を形成させ、次いで真空度8×10-5Torrで電子ビームによる真空蒸着法によってフッ化マグネシウム層(厚み850Å)を形成させて、低反射樹脂基材を得た。評価結果を表1に示す。
【0039】
この低反射樹脂基材を、ポリビニルアルコールフィルムを延伸して得た偏光フィルムに貼合して、偏光板を得た。この偏光板を液晶表示装置に適用したところ、外光が画面に反射することがほとんどなく、しかも視認性は十分であった。
【0040】
比較例3
TACのフィルムの一方の表面に、紫外線硬化によりアクリル系のハードコートを形成させ、エンボス加工によりノングレア層(厚み5μm 、十点平均粗さ11.8μm、凹凸の平均間隔140μm )を形成させ、次いでコロナ処理(処理エネルギー150W/m)を行った。その後、ノングレア層表面上に真空度8×10-5Torrで電子ビームによる真空蒸着法によってフッ化マグネシウム層(厚み950Å)を形成させて、低反射樹脂基材を得た。評価結果を表1に示す。
【0041】
この低反射樹脂基材を、ポリビニルアルコールフィルムを延伸して得た偏光フィルムに貼合して、偏光板を得た。この偏光板を液晶表示装置に適用したところ、外光が画面に反射することはほとんどなかったが、透過光の散乱が大きく、表示画面がぼやけた感じとなった。
【0042】
【表1】
【0043】
表1に示すように、本発明の実施例はいずれも、耐擦傷性に優れ、かつ耐久性と密着性も十分なレベルであり、低反射樹脂基材として優れている。
Claims (12)
- 樹脂基材の上に設けられたノングレア層と、該ノングレア層の上に形成された酸化アルミニウム層(ただし、バインダーと酸化アルミニウムからなる塗料の塗工で構成されるものを除く)と、該酸化アルミニウム層の上に形成された反射防止層とを有することを特徴とする低反射樹脂基材。
- 樹脂基材の上に設けられたノングレア層と、該ノングレア層の上に形成された実質的に酸化アルミニウムのみからなる層と、該酸化アルミニウム層の上に形成された反射防止層とを有することを特徴とする低反射樹脂基材。
- 樹脂基材がセルロース系樹脂である請求項1または請求項2に記載の低反射樹脂基材。
- ノングレア層の表面は、十点平均粗さが1μ m 以上10μ m 以下であり、かつ凹凸の平均間隔が20μ m 以上400μ m 以下である請求項1または請求項2に記載の低反射樹脂基材。
- 酸化アルミニウム層は、真空蒸着法、スパッタ法またはイオンプレーティング法により形成されている請求項1〜請求項4のいずれかに記載の低反射樹脂基材。
- ノングレア層は、その表面にプラズマを用いた処理が施されてなる請求項1〜請求項5のいずれかに記載の低反射樹脂基材。
- プラズマを用いた処理がコロナ処理である請求項6に記載の低反射樹脂基材。
- 反射防止層は、金属フッ化物または金属酸化物からなる層である請求項1〜請求項7のいずれかに記載の低反射樹脂基材。
- 金属フッ化物からなる反射防止層の上に金属酸化物からなる保護層が形成されてなる請求項8に記載の低反射樹脂基材。
- 金属酸化物からなる保護層の上に撥水層が形成されてなる請求項9に記載の低反射樹脂基材。
- 撥水層は、フッ素を含む重合層である請求項10に記載の低反射樹脂基材。
- 撥水層は、純水を用いて測定される接触角が100°以上である請求項10または請求項11に記載の低反射樹脂基材。
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