JP2003294902A - 反射防止性光学部材及びそれを備えた液晶表示装置 - Google Patents

反射防止性光学部材及びそれを備えた液晶表示装置

Info

Publication number
JP2003294902A
JP2003294902A JP2002094491A JP2002094491A JP2003294902A JP 2003294902 A JP2003294902 A JP 2003294902A JP 2002094491 A JP2002094491 A JP 2002094491A JP 2002094491 A JP2002094491 A JP 2002094491A JP 2003294902 A JP2003294902 A JP 2003294902A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
antireflection film
antireflection
optical member
treatment
liquid crystal
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002094491A
Other languages
English (en)
Inventor
Nagahisa Deguchi
修央 出口
Makoto Namioka
誠 波岡
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Sumitomo Chemical Co Ltd
Original Assignee
Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Sumitomo Chemical Co Ltd filed Critical Sumitomo Chemical Co Ltd
Priority to JP2002094491A priority Critical patent/JP2003294902A/ja
Publication of JP2003294902A publication Critical patent/JP2003294902A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Polarising Elements (AREA)
  • Liquid Crystal (AREA)
  • Surface Treatment Of Optical Elements (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 表面に反射防止膜が設けられた透光性基材に
対し、層構成の変更をすることなく、特定の処理を施す
ことによって、埃付着を少なくした反射防止性光学部材
を提供し、それを液晶表示装置に適用する。 【解決手段】 透光性基材と、その表面に設けられた反
射防止膜とを備え、その反射防止膜の表面は、電気的表
面処理が施されて埃付着防止能が付与されている反射防
止性光学部材が提供される。電気的表面処理として、具
体的にはコロナ処理が挙げられる。ここで、透光性基材
として偏光板を用いれば、反射防止能が付与され、埃付
着の少ない偏光板となる。また、上記の反射防止性光学
部材又は偏光板の透光性基材側に液晶セルを配置すれ
ば、反射防止能が付与され、ディスプレイ表面に埃付着
の少ない液晶表示装置とすることができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表示装置(ディス
プレイ)に好適に用いられる埃付着防止能が付与された
反射防止性光学部材に関するものである。本発明はま
た、この反射防止性光学部材を備える液晶表示装置にも
関係している。
【0002】
【従来の技術】ディスプレイの表面には、摩擦や接触で
生ずる帯電により埃が付着しやすく、一度付着した埃は
除去するのが困難であり、表示のコントラスト低下や二
次的な汚れの原因となっていた。このような問題を解決
するため、その表面に帯電防止層を設けることが知られ
ている。例えば、特開平 11-42729 号公報には、導電性
の微粒子を樹脂バインダー中に分散させたハードコート
層を設けることにより、帯電防止性を付与することが記
載されており、特開平 6-157870 号公報には、イオン性
基を付与したウレタン系の共重合体組成物を基材表面に
塗布して帯電防止性を付与することが記載されており、
また特開平 6-228500 号公報には、アンチモンドープ酸
化スズのような導電性の超微粒子を金属アルコキシド中
に分散させて基材表面に塗布し、硬化させることによ
り、帯電防止性を付与することが記載されている。この
ほか、インジウム−スズ複合酸化物(ITO)のような
導電性の金属酸化物からなる透明導電膜を基材表面に形
成し、帯電防止性を付与することも知られている。
【0003】このような帯電防止層を設ければ、表面抵
抗が低下するので、帯電を漏洩させて埃の付着を防止す
る効果がある。ところで、ディスプレイ表面には、ハー
ドコート性、アンチグレア性、反射防止性、防汚性な
ど、複数の機能が同時に要求され、それらの各機能を有
する複数の層の積層体として使用されるのが一般的であ
る。そして、光学特性、物理特性、品質特性、信頼性等
の最適化がなされた積層膜に対し、新たな層を付加する
ことは、反射防止膜について光学上及び/又は材料上の
設計変更を余儀なくされたり、製造プロセスの変更を余
儀なくされたりするため、開発及び製造上の大きな負担
となっていた。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】このような状況のも
と、本発明者らは、表面に反射防止膜が設けられた透光
性基材において、その反射防止膜表面に特定の処理を施
せば、埃の付着が少なくなることを見出すに至った。し
たがって本発明の目的は、表面に反射防止膜が設けられ
た透光性基材に対し、帯電防止層を設けるなどの層構成
の変更をすることなく、特定の処理を施すことによっ
て、埃付着を少なくした反射防止性光学部材を提供する
ことにある。本発明のもう一つの目的は、かかる反射防
止性光学部材を用いて、表面に埃が付着しにくい表示装
置、特に液晶表示装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】すなわち本発明によれ
ば、透光性基材と、その表面に設けられた反射防止膜と
を備え、その反射防止膜の表面は、電気的表面処理が施
されて埃付着防止能が付与されている反射防止性光学部
材が提供される。ここで、透光性基材として偏光板を用
いれば、反射防止能が付与され、埃付着の少ない偏光板
となる。また、上記の反射防止性光学部材又は偏光板の
透光性基材側に液晶セルを配置すれば、反射防止能が付
与され、ディスプレイ表面に埃付着の少ない液晶表示装
置とすることができる。
【0006】
【発明の実施の形態】本発明において、反射防止膜が設
けられる透光性基材は、その形状が板状、フィルム状、
シート状などの平面状であってもよいし、レンズなどの
ように曲面を有する形状であってもよい。透光性基材
は、その屈折率が1.48〜1.6の範囲にあるものが好
ましい。この透光性基材は、例えば、石英ガラスやアル
カリガラスのような無機ガラス、サファイアなど、無機
質のものであってもよいし、有機の高分子材料であって
もよい。
【0007】高分子材料からなる透光性基材としては、
例えば、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロー
ス、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、ア
セチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース、ア
セテートブチレートセルロースのようなセルロース樹
脂;ポリカーボネート樹脂;ポリアリレート樹脂;ポリ
エチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、
ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘ
キサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,
2−ジフェノキシエタン−4,4′−ジカルボキシレー
トのようなポリエステル樹脂;ポリメチルメタクリレー
ト、ポリアクリロニトリル、ポリメタクリロニトリルの
ようなアクリル樹脂; “ARTON”〔ジェイエスアール
(株)製〕のようなノルボルネン系の樹脂;ポリエチレ
ン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、“ZEONEX”
〔日本ゼオン(株)製〕のようなポリオレフィン樹脂;
ポリウレタン樹脂;芳香族ポリアミドのようなポリアミ
ド樹脂;ポリスルホン樹脂;ポリエーテルスルホン樹
脂;ポリエーテルケトン樹脂;ポリエーテルイミド樹
脂;ポリイミド樹脂;ポリスチレン樹脂;ポリオキシエ
チレン樹脂;ポリエーテル樹脂;ポリビニルアルコール
樹脂;ポリ四フッ化エチレン、ポリフッ化ビニルのよう
なフッ素樹脂;ポリ塩化ビニル樹脂;ポリビニルアセタ
ール樹脂などが挙げられる。これらの樹脂は、結晶性で
あってもよいし、非晶性であってもよい。
【0008】透光性基材は、反射防止膜の下地として、
中間層を有してもよい。中間層は、例えば、反射防止膜
との密着性を向上するためや、表面の硬度を向上させる
ために用いられる。かかる中間層としては、例えば、ア
クリル樹脂、ウレタン樹脂、フルオレン骨格を有するア
クリル系樹脂(カルド樹脂)、ポリシラザン樹脂などの
高分子からなる層が挙げられる。これらの高分子からな
る中間層は、硬化性化合物を塗布した後、硬化させる通
常の方法により設けることができる。また、酸化ケイ
素、酸化アルミニウムのような金属酸化物や、クロムの
ような金属からなる層などを中間層とすることもでき
る。これらの金属酸化物や金属で中間層を形性する場
合、その厚みは通常3〜25nm程度である。
【0009】透光性基材は、その表面に凹凸を設けるこ
とにより、防眩性が付与されたものであってもよい。こ
のような凹凸を設けるには、例えば、中間層として、シ
リカゲル、樹脂ビーズ、ガラスビーズなどの粒子が樹脂
に分散された層を透光性基材の表面に設けてもよいし、
基材表面にエッチング処理、マット処理などを施しても
よい。具体的には例えば、特公昭 63-40282 号公報や特
公平 4-65095号公報に記載されるような、無定形シリカ
粒子を含有する硬化被膜を設ける方法、特開昭64-53835
号公報に記載されるような、サンドブラストにより表
面をマット処理する方法、特開昭 59-109004号公報に記
載されるような、エンボス加工を施す方法などが挙げら
れる。このような凹凸表面に反射防止膜を設ければ、反
射防止膜の表面にも凹凸が形成されて、防眩性が付与さ
れる。また、上記硬化被膜を形成するための塗料として
反射防止性のものを用いれば、その被膜がそのまま、表
面に凹凸が形成された反射防止膜となる。
【0010】透光性基材は、反射防止膜を設ける前に、
反射防止膜の密着性を上げるなどの目的で、表面処理が
施されていてもよい。このために用いる表面処理として
は、例えば、真空中での加熱処理、コロナ処理、イオン
ボンバード処理、プラズマ処理、紫外線照射処理、電子
線照射処理などが挙げられる。
【0011】透光性基材の表面には、反射防止膜が形成
される。反射防止膜は、単層で構成されてもよいし、多
層で構成されてもよい。
【0012】反射防止膜が単層膜である場合、その屈折
率は1.38〜1.45の範囲にあるのが好ましく、ま
た、その光学膜厚は0.22λ〜0.27λの範囲にある
のが好ましい。幾何学的厚みは、通常80〜100nm程
度の範囲である。ここで、λは設計波長であり、液晶表
示装置をはじめとする各種の表示装置に用いる光学部材
に対しては、通常、可視光の波長範囲から任意に設定さ
れ、一般的には550nmとして設定される。光学膜厚
は、被膜の幾何学的厚みと屈折率との積である。
【0013】反射防止膜を多層で構成する場合は、光学
設計に関する一般的知見(例えば、石黒 他,「光学技
術シリーズ11 光学薄膜」,1985年,共立出版株式会
社,p.98-109参照)をもとに、所望の屈折率を有する材
料を必要な膜厚で積層すればよい。生産性と光学特性と
の兼ね合いから、3〜5層の積層膜を形成するのが好ま
しい。多層の反射防止膜とする場合、通常は、他の層よ
りも屈折率の低い層が最表層となるようにされる。
【0014】反射防止膜は、乾式法、湿式法のいずれに
よっても形成できる。乾式法には例えば、電子ビーム蒸
着法、誘導加熱式蒸着法、抵抗加熱蒸着法、スパッタリ
ング法、イオンプレーティング法のような物理気相堆積
法(PVD:Physical VaporDeposition)や、プラズマ
CVD(Chemical Vapor Deposition)により反射防止
膜を形成する方法がある。また湿式法では、硬化性化合
物を含む塗料を用いて塗膜を形成し、硬化させて、反射
防止膜が形成される。
【0015】乾式法で反射防止膜を形成する場合は、例
えば、酸化ケイ素、弗化マグネシウム、酸化ニオブ、酸
化チタン、酸化タンタル、酸化アルミニウム、酸化ジル
コニウム、酸化インジウム、酸化スズなどの無機化合物
を用いることがができる。
【0016】また湿式法による反射防止膜の形成には、
例えば、含フッ素化合物を含む硬化性塗料を用いること
ができる。含フッ素化合物には、含フッ素有機化合物、
含フッ素有機ケイ素化合物、含フッ素無機化合物などが
ある。含フッ素無機化合物には、フッ化マグネシウムな
どが包含される。含フッ素系の硬化性塗料、特に含フッ
素有機ケイ素化合物を含む塗料としては、例えば、
“オプスター JN7212”、“オプスター JN7215”、“オ
プスター JM5010”、 “オプスター JM5025”〔以上、
ジェイエスアール(株)製〕、 “LR201”〔日産化学工
業(株)製〕などを挙げることができる。
【0017】湿式法による塗膜の形成には、例えば、エ
アドクターコーティング、ブレードコーティング、ナイ
フコーティング、リバースコーティング、トランスファ
ロールコーティング、グラビアロールコーティング、キ
スコーティング、キャストコーティング、スプレーコー
ティング、スロットオリフィスコーティング、カレンダ
ーコーティング、電着コーティング、ディップコーティ
ング、ダイコーティングのような各種コーティング方
法、フレキソ印刷をはじめとする凸版印刷、ダイレクト
グラビア印刷やオフセットグラビア印刷をはじめとする
凹版印刷、オフセット印刷をはじめとする平版印刷、ス
クリーン印刷をはじめとする孔版印刷などの印刷手法に
より、透光性基材上に塗布する方法を採用することがで
きる。塗料が溶剤を含有する場合は、塗布後に乾燥させ
ればよい。
【0018】次いで、得られた塗膜を硬化させるのであ
るが、硬化性化合物が熱硬化性である場合には、加熱に
より硬化させればよく、硬化性化合物が電離放射線硬化
性である場合には、電子線や紫外線のような電離放射線
の照射により硬化させればよい。加熱により硬化させる
場合、その加熱方法は特に限定されず、通常の方法で加
熱すればよい。電離放射線の照射により硬化させる場
合、電離放射線が電子線であれば、例えば、コックロフ
トワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア
変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型などの
電子線加速器から放出される50〜1,000KeV程度の
エネルギーを有する電子線を照射すればよい。一方、電
離放射線が紫外線であれば、例えば、超高圧水銀灯、高
圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアー
ク、メタルハライドランプなどの光源から発せられる紫
外線を照射すればよい。
【0019】こうして得られる反射防止膜は、単層であ
る場合も多層である場合も、全体としての可視光領域で
の透過率が80%以上であるのが好ましい。また、この
反射防止膜は、単層、多層のいずれであっても、透光性
基材が板状又はシート状である場合やレンズである場合
には、バッチ式、インライン式などの製造装置により形
成することができる。透光性基材が連続フィルム状であ
る場合には、巻き取り式の製造装置を用いて形成するこ
ともできる。
【0020】反射防止膜は、その最表面が、含フッ素化
合物、特に含フッ素有機化合物、含フッ素有機ケイ素化
合物及び含フッ素無機化合物のうち、少なくとも1種を
含むようにするのが有利である。
【0021】かかる反射防止膜の上には、防汚層が設け
られてもよい。防汚層を設けることにより、この後の電
気的表面処理と相俟って、汚れの付着を一層有効に防止
できるとともに、反射防止膜を保護する効果も発揮され
る。防汚層としては、反射防止膜の反射防止機能を阻害
せず、高い撥水性と撥油性を示し、汚染の付着を有効に
防止できるものであれば特に制限されず、有機化合物か
らなる層であってもよいし、無機化合物からなる層であ
ってもよい。汚れ付着の防止効果を高める観点からは、
純水に対する接触角度が90°以上、さらには100°
以上となるものが好ましい。高い撥水性と発油性を示す
防汚層として、有機ケイ素化合物からなる層や、含フッ
素有機化合物からなる層が挙げられる。
【0022】防汚層として具体的には、パーフルオロシ
ラン、フルオロカーボン、フルオロアルキル基又はフル
オロシクロアルキル基を有する有機ケイ素化合物、含フ
ッ素エポキシ重合体、エポキシ基含有フルオロシリコー
ン重合体、含フッ素アクリル酸エステル、含フッ素メタ
クリル酸エステル、含フッ素フマル酸ジエステル、含フ
ッ素不飽和二塩基酸ジエステル、末端シラノール基の有
機ポリシロキサン、フルオロアルキルアシル基含有のポ
リシロキサン、パーフルオロアルキルアクリレート又は
パーフルオロアルキルメタクリレートとアルコキシシラ
ン基を有する単量体との共重合体、長鎖のフルオロアル
キル基を有するアクリレート又はメタクリレートとシリ
コン含有の重合性不飽和単量体との共重合体、長鎖のパ
ーフルオロアルキル基又はパーフルオロアルキルエーテ
ル基を有する有機シラザンの共重合体、フッ素系界面活
性剤を含有する化合物などで形成される層が挙げられ
る。防汚層の厚みは、通常50nm以下であり、好ましく
は10nm以下である。
【0023】防汚層の形成方法は、その種類に応じて適
宜選択される。例えば、蒸着法、スパッタリング法、イ
オンプレーティング法のような物理気相堆積法(PV
D)又は化学気相堆積法(CVD)、プラズマ重合法の
ような真空プロセス、マイクログラビア法、スクリーン
コート法、ディップコート法に代表されるウェットプロ
セスなど、通常のコーティング法により、上記化合物か
らなる防汚層を形成することができる。また、反射防止
膜との密着性を向上させるために、反射防止膜と防汚層
の間に中間層を設けてもよく、例えば、乾式法によりケ
イ素やアルミニウムの酸化物などを接着層として設ける
ことができる。このような中間層を設ける場合、その厚
みは、通常3〜25nm程度である。
【0024】以上のような、表面に反射防止膜が形成さ
れた透光性基材には、本発明に従って埃付着防止処理が
施される。そして本発明では、この埃付着防止処理とし
て、電気的な処理、特に電気化学的な処理が採用され
る。具体的な電気化学的処理としては、コロナ処理が挙
げられる。コロナ処理は、電極間に数十から数百キロサ
イクル/sec の周波数で数十から数千Vの電圧をかけて
コロナ放電を発生させ、その放電域に被処理物を高速で
通過させて行う表面処理方法であり、従来から例えば、
ポリオレフィンのような不活性プラスチックの表面に、
インキや接着剤、塗料などに対する親和性を向上させる
処理として公知の手法である。
【0025】このように、コロナ処理は従来主に、他物
質との親和性を高める処理として採用されてきている
が、本発明では、反射防止膜に対してかかる処理を施せ
ば、他物質、特に埃に対する親和性が小さくなることが
見出された。このような電気的表面処理、例えばコロナ
放電処理を施すことにより、埃付着が少なくなる理由は
必ずしも定かでないが、こうした処理により反射防止膜
表面の分子がある程度酸化されて、埃付着を効果的に防
止する機能を示すようになるものと推定される。コロナ
処理以外に、例えばプラズマ放電処理なども、電気的な
処理に該当する。
【0026】コロナ処理の条件は、その放電域を通過す
る被処理物の移動速度と処理電圧によって設定される
が、本発明においては、移動速度1〜20m/min 、電
圧50〜200V、電流2〜15Aの条件で、好適な処
理を行うことができる。より好ましい移動速度は、1〜
10m/min であり、より好ましい出力は、電圧100
〜150V、電流5〜10Aである。本発明において
は、反射防止膜の表面に、コロナ処理などの電気的表面
処理が施されればよい。片面に反射防止膜が形成された
透光性基材を、例えばそのまま上記のようなコロナ放電
域に通過させてもよいし、ロールツーロールで連続処理
を行ってもよい。また小型の実験機を用いる場合は、ガ
ラスなどの不活性物質上に戴置又は貼合した状態で、放
電域を通過させればよい。
【0027】本発明の反射防止性光学部材は、表示装置
をはじめとする各種の光学製品の表面部材として利用す
ることができる。具体的には例えば、偏光板、位相差板
又はタッチパネルへの適用、画像表示端末(VDT)フ
ィルター、プラズマディスプレイパネル(PDP)前面
板、プロジェクションテレビ前面板のような光学フィル
ターへの適用、メガネ、サングラス、カメラ、望遠鏡、
顕微鏡又はプロジェクションテレビ用のレンズへの適
用、プリズム、ミラーのような反射・屈折を利用する光
学製品への適用、陰極線管(CRT)の画像表示面、有
機エレクトロルミネッセンスパネルや無機エレクトロル
ミネッセンスパネルのようなエレクトロルミネッセンス
パネル(ELP)の画像表示面への適用などが考えられ
るが、これらに限定されるものではない。
【0028】そして、これらの光学製品を本発明におけ
る透光性基材とし、そこに直接反射防止膜を形成し、さ
らに電気的表面処理を施して、本発明の反射防止性光学
部材とすることができるほか、フィルム状又はシート状
で用意された透光性基材の表面に反射防止膜を形成し、
さらに電気的表面処理を施して、フィルム又はシート状
の反射防止性光学部材とし、これを上記光学製品の表面
に粘着剤層などを介して積層することもできる。後者の
場合の透光性基材としては、透明な高分子フィルム又は
シートを用いることができ、これらのフィルム又はシー
トは、偏光板に貼合されたり、タッチパネルに貼合され
たり、上記した各種光学フィルターに貼合されたり、C
RTやELPに貼合されたりして、使用されることにな
る。
【0029】透光性基材が偏光板である場合には、通常
の偏光板と同様に液晶表示装置の最表面を構成する部材
として使用することができる。透光性基材がタッチパネ
ルや光学フィルターである場合には、CRT、PDP、
液晶表示装置、ELPなどの画像表示装置の前面に配置
して使用することができる。
【0030】偏光板を透光性基材とする場合、偏光板
は、二色性色素を吸着配向したポリビニルアルコール系
樹脂フィルムの片面又は両面に保護フィルムが積層され
たものであることができる。そして、ヨウ素を二色性色
素とするヨウ素系偏光板であってもよいし、二色性染料
を二色性色素とする染料系偏光板であってもよい。
【0031】偏光板を透光性基材とし、その片面に反射
防止膜を形成し、さらにその反射防止膜に対して、先に
説明したような電気的表面処理、例えば、コロナ処理を
施すことにより、埃付着の少ない偏光板とすることがで
きる。本発明に従って埃付着防止能を付与するのに用い
られる偏光板としては、例えば、片面にハードコート層
と反射防止膜が設けられている“スミカラン SRW862AP-
HCAR”〔住友化学工業(株)製〕などが挙げられる。ま
た、片面に防眩性の凹凸と反射防止膜が設けられている
“スミカラン SRW862AP-AG3LR”や“スミカラン SRW862
APK-GH20”〔いずれも住友化学工業(株)製〕などを対
象とすることもできる。
【0032】本発明により埃付着防止能が付与された反
射防止性光学部材、ないしは偏光板は、その透光性基材
側に液晶セルを配置することで、液晶表示装置とするこ
とができる。この場合、粘着剤層、位相差板、光拡散フ
ィルム、反射板、半透過反射板、輝度向上フィルムなど
が、適宜組み合わせて用いられる。
【0033】
【実施例】以下、実施例を示して本発明をさらに具体的
に説明するが、本発明はこれらの例によって限定される
ものではない。
【0034】実施例1 片面に防眩性の反射防止膜を形成したトリアセチルセル
ロースフィルムが、ヨウ素吸着ポリビニルアルコール系
偏光フィルムの一方の面にその反射防止膜を外側にして
貼り合わされ、偏光フィルムの他方の面には、反射防止
処理等が施されていない通常のトリアセチルセルロース
からなる保護フィルムが貼り合わされている偏光板〔商
品名“スミカラン SRW862APK-AG3LR”、住友化学工業
(株)製〕を透光性基材とした。表面積10cm2 のガラ
ス板の一方の面に、9cm2 の上記偏光板を、その反射防
止膜を外側にして貼合し、サンプルとした。そこに、コ
ロナ処理装置〔春日電機(株)製、型式 CT-212 型〕を
用い、サンプルの移動速度5m/min、電圧85V、電
流5.9A、約500Wの条件でコロナ処理を行った。
【0035】こうして得られた偏光板サンプルの反射防
止面を、温度21℃、相対湿度40%の恒温室内で、コ
ットンワイパー〔商品名“ベンコット M-3”(BEMCOT M-
3)、旭化成(株)製〕にて、荷重30g/cm2、移動速
度15cm/minで10往復して摩擦帯電させ、20秒後
に、ペーパーワイパー〔商品名“キムワイプ S-200”、
(株)クレシア製〕の小片を付着させてその付着量を測
定した。その結果、ペーパーワイパー小片の付着量は0
mgであった。また、この反射防止面について、接触角
測定装置〔協和界面科学(株)製、型式 CT-X 〕を用い
て水接触角を測定したところ、92°であり、指紋拭き
取り性は初期と同等の特性であった。さらに、温度21
℃、相対湿度40%の恒温室内で48時間放置し、同様
にペーパーワイパー小片の付着量を測定したところ0mg
であった。また、水接触角は93°で、指紋拭き取り性
は良好であった。
【0036】実施例2 反射防止膜付き偏光板〔商品名“スミカラン SRW862APK
-GH20”、住友化学工業(株)製〕に、実施例1で用い
たのと同じコロナ処理装置を用い、サンプルの移動速度
5m/min、電圧85V、電流5.8A、約500Wの条
件でコロナ処理を行った。実施例1と同様の方法で摩擦
帯電させ、20秒後に、ペーパーワイパーの小片を付着
させてその付着量を測定した。その結果、ペーパーワイ
パー小片の付着量は0mgであった。また、この反射防
止面について水接触角を測定したところ、94°であ
り、指紋拭き取り性は初期と同等の特性であった。さら
に、温度21℃、相対湿度40%の恒温室内で48時間
放置し、同様にペーパーワイパー小片の付着量を測定し
たところ0mgであった。また、水接触角は106°で指
紋拭き取り性は良好であった。
【0037】比較例1 実施例1で用いたのと同じ反射防止膜付き偏光板を、コ
ロナ処理することなく実施例1と同様の方法で摩擦帯電
させ、20秒後に、ペーパーワイパーの小片を付着させ
てその付着量を測定したところ、82mg付着していた。
また、反射防止面の水接触角は111°であった。
【0038】比較例2 実施例2で用いたのと同じ反射防止膜付き偏光板を、コ
ロナ処理することなく実施例1と同様の方法で摩擦帯電
させ、20秒後に、ペーパーワイパーの小片を付着させ
てその付着量を測定したところ、15mg付着していた。
また、反射防止面の水接触角は100°であった。
【0039】
【発明の効果】本発明の反射防止性光学部材は、埃付着
を防止する性能に優れており、これを表示装置、例えば
液晶表示装置の表示面に用いれば、埃の付着が少なく、
長期にわたって安定した表示品位を保つことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H049 BA02 BA27 BB33 BB43 BB62 BB63 BB65 BC22 2H091 FA08X FA08Z FA11X FA14Y FA14Z FA21X FA31X FA31Z FA37X FA37Z FB02 FB03 FB07 FC02 FC22 FC23 FC27 GA01 GA02 KA01 KA10 LA07 LA12 LA17 2K009 AA02 AA12 AA15 BB28 CC26 DD17 EE05

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】透光性基材と、その表面に設けられた反射
    防止膜とを備え、該反射防止膜の表面は、電気的表面処
    理が施されて埃付着防止能が付与されていることを特徴
    とする、反射防止性光学部材。
  2. 【請求項2】電気的表面処理がコロナ処理である請求項
    1に記載の反射防止性光学部材。
  3. 【請求項3】反射防止膜の表面に凹凸が形成されている
    請求項1又は2に記載の反射防止性光学部材。
  4. 【請求項4】反射防止膜の最表面が含フッ素化合物を含
    有する請求項1〜3のいずれかに記載の反射防止性光学
    部材。
  5. 【請求項5】透光性基材が偏光板である請求項1〜4の
    いずれかに記載の反射防止性光学部材。
  6. 【請求項6】請求項1〜5のいずれかに記載の反射防止
    性光学部材と、その透光性基材側に配置された液晶セル
    とを備えることを特徴とする液晶表示装置。
JP2002094491A 2002-03-29 2002-03-29 反射防止性光学部材及びそれを備えた液晶表示装置 Pending JP2003294902A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002094491A JP2003294902A (ja) 2002-03-29 2002-03-29 反射防止性光学部材及びそれを備えた液晶表示装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002094491A JP2003294902A (ja) 2002-03-29 2002-03-29 反射防止性光学部材及びそれを備えた液晶表示装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003294902A true JP2003294902A (ja) 2003-10-15

Family

ID=29238455

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002094491A Pending JP2003294902A (ja) 2002-03-29 2002-03-29 反射防止性光学部材及びそれを備えた液晶表示装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003294902A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100342249C (zh) * 2004-11-22 2007-10-10 日东电工株式会社 光学薄膜及其应用、光学薄膜的制造方法
JP2008527401A (ja) * 2004-12-21 2008-07-24 コーニング インコーポレイテッド 偏光用品及びその作成方法
JP2012068654A (ja) * 2004-12-21 2012-04-05 Corning Inc 偏光用品及びその作成方法
JP2015136929A (ja) * 2014-01-24 2015-07-30 株式会社巴川製紙所 帯電防止性光学積層体

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN100342249C (zh) * 2004-11-22 2007-10-10 日东电工株式会社 光学薄膜及其应用、光学薄膜的制造方法
JP2008527401A (ja) * 2004-12-21 2008-07-24 コーニング インコーポレイテッド 偏光用品及びその作成方法
JP4895395B2 (ja) * 2004-12-21 2012-03-14 コーニング インコーポレイテッド 偏光用品及びその作成方法
JP2012068654A (ja) * 2004-12-21 2012-04-05 Corning Inc 偏光用品及びその作成方法
JP2015136929A (ja) * 2014-01-24 2015-07-30 株式会社巴川製紙所 帯電防止性光学積層体

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5880762B2 (ja) 光学フィルム及びタッチパネル
JP6656799B2 (ja) アンチニュートンリング積層体およびそのアンチニュートンリング積層体を用いた静電容量式タッチパネル
US6319594B1 (en) Low reflective antistatic hardcoat film
JP4510124B2 (ja) 画像表示装置用防眩性ハードコートフィルム、それを用いた偏光板および画像表示装置
JP5014240B2 (ja) フラットパネルディスプレイおよびフラットパネルディスプレイ用防眩フィルム
TWI399566B (zh) Optical laminated body and optical laminate
WO2012157682A1 (ja) 反射防止フィルムの製造方法、反射防止フィルム、偏光板、及び画像表示装置
TWI480570B (zh) 防眩性硬塗薄膜、使用其之偏光板及影像顯示裝置、以及防眩性硬塗薄膜之製造方法
KR100822242B1 (ko) 반사방지막
TW201346675A (zh) 透明導電性薄膜、觸控面板及顯示裝置
TWI467215B (zh) 防眩性硬塗薄膜、使用其之偏光板及影像顯示裝置、以及防眩性硬塗薄膜之製造方法
JP2001287308A (ja) プラスチック積層体および画像表示保護フイルム
JP2003177209A (ja) 減反射フィルム及び電子画像表示装置
US20060029794A1 (en) Hardcoat laminate
US20060072197A1 (en) Optical laminate and optical element
JP2015108862A (ja) タッチパネル付き表示装置
KR101943659B1 (ko) 광학 필름, 화상 표시 장치 및 화상 표시 장치의 제조 방법
JP2011081120A (ja) 反射防止フィルム
JP2002254573A (ja) 帯電防止防眩フィルム
JP2003294902A (ja) 反射防止性光学部材及びそれを備えた液晶表示装置
JP2002006109A (ja) 反射防止材料およびそれを用いた偏光フィルム
JP2001228305A (ja) 反射防止層
JP2002190692A (ja) 電磁波シールドシートおよびそれを用いた電磁波シールド製品ならびにそれらの製造方法
JP3352921B2 (ja) 反射防止材料及びそれを用いた偏光フィルム
WO2016051247A1 (ja) アンチ二ュートンリング積層体およびそのアンチ二ュートンリング積層体を用いた静電容量式タッチパネル

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050113

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070905

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070918

RD05 Notification of revocation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7425

Effective date: 20080129

A02 Decision of refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02

Effective date: 20080325