JP7114669B2 - 反射防止フィルムおよび画像表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ハードコートフィルム上に反射防止層を備える反射防止フィルム、および当該反射防止フィルムを備える画像表示装置に関する。
液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の画像表示装置の表面には、表示画像の視認性向上を目的として反射防止フィルムが設けられる場合がある。反射防止フィルムは、フィルム基材上に、屈折率の異なる複数の薄膜からなる反射防止層を備えている。反射防止層を形成する薄膜として、無機酸化物等の無機薄膜を用いた反射防止フィルムは、屈折率や膜厚の調整が容易であるため、高い反射防止特性を実現できる。
反射防止フィルムは画像表示装置の最表面に配置されるため、外部からの接触による傷つき防止等を目的として、フィルム基材の反射防止層形成面にハードコート層が設けられる場合がある。しかし、一般に有機物により形成されるハードコート層と無機薄膜は層間の密着力が小さく、層間剥離が生じる場合がある。特に、屋外等の紫外線に晒される環境下においては、層間剥離の問題が顕著となりやすい。
特許文献1では、ハードコート層に無機微粒子を含有させることにより、ハードコート層の表面形状を調整して、ハードコート層と反射防止層との密着性を向上できることが記載されており、500時間の促進耐光試験後の、碁盤目試験における残存率が80%以上である反射防止フィルムを作製した例が示されている。
特開2017-161893号公報
反射防止フィルムが過酷な環境に長時間曝された場合にも、基材と反射防止層が密着性を維持することが要求されるようになっている。かかる現状に鑑み、本発明は、フィルム基材と反射防止層との密着性が改善された反射防止フィルムの提供を目的とする。
本発明は、フィルム基材の一主面上にハードコート層を備えるハードコートフィルムと、ハードコート層に接する無機酸化物プライマー層と、無機酸化物プライマー層上に接して設けられた反射防止層とを備える反射防止フィルムに関する。反射防止層は、屈折率が異なる複数の薄膜の積層体である。反射防止フィルムは、反射防止層上に、さらに防汚層を備えていてもよい。
ハードコート層は、バインダー樹脂および無機酸化物粒子を含む。ハードコート層の厚みは1~10μm程度が好ましい。ハードコート層の断面における無機酸化物粒子のメジアン径は、25~70nmが好ましい。ハードコート層は、無機酸化物プライマー層との界面からの深さ16~20nmの範囲において、無機酸化物粒子を構成する無機元素Mと炭素Cの存在比(原子数比)M/Cが、0.8~1.7であることが好ましい。
ハードコート層の断面において、無機酸化物プライマー層との界面から厚み方向に600nmまでの領域における無機酸化物粒子の占める面積割合は、80%より大きいことが好ましい。無機酸化物粒子の占める面積割合は、反射防止フィルムの断面観察から求められる。
ハードコート層における無機酸化物粒子の含有量は、40~80重量%が好ましい。
本発明の反射防止フィルムは、ハードコート層の表面に無機酸化物粒子による凹凸が形成されており、層間の密着性に優れている。ハードコート層とプライマー層との界面およびその近傍における無機酸化物粒子の存在比率を高めることにより、層間の密着性が向上する傾向がある。また、無機酸化微粒子の粒子径を調整することにより、層間の密着性を向上するとともに、反射光の色付きを低減することもできる。
反射防止フィルムの積層形態を示す断面図である。
図1は、反射防止フィルムの積層構成例を示す断面図である。反射防止フィルム100は、フィルム基材10の一主面上にハードコート層11が設けられたハードコートフィルム1と、ハードコート層11に接するプライマー層3と、プライマー層に接する反射防止層5とを備える。反射防止層5は、屈折率の異なる2層以上の無機薄膜の積層体である。図1に示す反射防止フィルム100において、反射防止層5は、高屈折率層51,53と低屈折率層52,54とを交互に積層した構成を有する。
[ハードコートフィルム]
<フィルム基材>
ハードコートフィルム1のフィルム基材10としては、透明フィルムが好ましく用いられる。透明フィルムの可視光透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。透明フィルムを構成する樹脂材料としては、透明性、機械強度、および熱安定性に優れる樹脂材料が好ましい。樹脂材料の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、およびこれらの混合物が挙げられる。
フィルム基材10として、複数のフィルムの積層体を用いてもよい。例えば、後述するように、偏光子の表面に保護フィルムが設けられた偏光板をフィルム基材10として用いてもよい。
フィルム基材の厚みは特に限定されないが、強度や取扱性等の作業性、薄層性等の観点から、5~300μm程度が好ましく、10~250μmがより好ましく、20~200μmがさらに好ましい。
<ハードコート層>
フィルム基材10の主面上にハードコート層11を設けることによりハードコートフィルム1が形成される。ハードコート層は、バインダー樹脂および無機酸化物粒子を含む。例えば、バインダー樹脂成分(バインダー樹脂を形成するための硬化性樹脂成分)および無機酸化物粒子を含むハードコート層形成用組成物を、フィルム基材上に塗布し、バインダー樹脂成分を硬化することによりハードコート層が形成される。
(バインダー樹脂)
ハードコート層11のバインダー樹脂としては、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等の硬化性樹脂が好ましく用いられる。硬化性樹脂の種類としてはポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、アミド系、シリコーン系、シリケート系、エポキシ系、メラミン系、オキセタン系、アクリルウレタン系等が挙げられる。これらの中でも、硬度が高く、光硬化が可能であることから、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、およびエポキシ系樹脂が好ましく、中でもアクリルウレタン系樹脂が好ましい。
バインダー樹脂の屈折率は、一般に1.4~1.6程度である。後に詳述するように、バインダー樹脂は、無機酸化物粒子との屈折率差が小さいことが好ましい。例えば、無機酸化物粒子として酸化シリコン粒子(シリカ粒子)が用いられる場合は、バインダー樹脂の波長405nmにおける屈折率は、1.40~1.57が好ましく、1.41~1.55がより好ましく、1.42~1.54がさらに好ましい。
光硬化性のバインダー樹脂成分は、2個以上の光重合性(好ましくは紫外線重合性)の官能基を有する多官能化合物を含む。多官能化合物はモノマーでもオリゴマーでもよい。光重合性の多官能化合物としては、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を含む化合物が好ましく用いられる。
1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能化合物の具体例としては、トリシクロデカンジメタノールジアクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジメチロールプロパントテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジアクリレート、1,10-デカンジオール(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジアクリレート、イソシアヌル酸トリ(メタ)アクリレート、エトキシ化グリセリントリアクリレート、エトキシ化ペンタエリスリトールテトラアクリレートおよびこれらのオリゴマーまたはプレポリマー等が挙げられる。なお、本明細書において、「(メタ)アクリル」とはアクリルおよび/またはメタクリルを意味する。
1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能化合物は、水酸基を有していてもよい。バインダー樹脂成分として、水酸基を含む多官能化合物を用いることにより、透明基材とハードコート層との密着性が向上する傾向がある。1分子中に水酸基および2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
アクリルウレタン樹脂は、多官能化合物として、ウレタン(メタ)アクリレートのモノマーまたはオリゴマーを含む。ウレタン(メタ)アクリレートが有する(メタ)アクリロイル基の数は、3以上が好ましく、4~15がより好ましく、6~12がさらに好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートオリゴマーの分子量は、例えば3000以下であり、500~2500が好ましく、800~2000がより好ましい。ウレタン(メタ)アクリレートは、例えば、(メタ)アクリル酸または(メタ)アクリル酸エステルとポリオールとから得られるヒドロキシ(メタ)アクリレートを、ジイソシアネートと反応させることにより得られる。
ハードコート層形成用組成物中の多官能化合物の含有量は、バインダー樹脂成分(硬化によりバインダー樹脂を形成するモノマー、オリゴマーおよびプレポリマー)の合計100重量部に対して、50重量部以上が好ましく、60重量部以上がより好ましく、70重量部以上がさらに好ましい。多官能モノマーの含有量が上記範囲であれば、ハードコート層の硬度が高められる傾向がある。
バインダー樹脂成分は、単官能モノマーをさらに含んでいてもよい。単官能モノマーの含有量は、バインダー樹脂成分100重量部に対して50重量部以下が好ましく、40重量部以下がより好ましく、30重量部以下がさらに好ましい。
(無機酸化物粒子)
ハードコート層11が無機酸化物粒子を含むことにより、表面に凹凸が形成され、ハードコート層11上に設けられる無機薄膜(プライマー層3および反射防止層5)との密着性を向上できる。
無機酸化物としては、酸化シリコン、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化セリウム、酸化マグネシウム等の金属または半金属の酸化物が挙げられる。無機酸化物は、複数種の(半)金属の複合酸化物でもよい。例示の無機酸化物の中でも、密着性向上効果が高く、かつ無機酸化物粒子とバインダー樹脂との屈折率差が小さく透明性が高められることから、酸化シリコンが好ましい。無機酸化物粒子の表面には、樹脂との密着性や親和性を高める目的で、アクリル基、エポキシ基等の官能基が導入されていてもよい。
ハードコート層11の表面に、プライマー層3および反射防止層5との密着性に優れる凹凸形状を形成する観点から、無機酸化物粒子の平均一次粒子径は、25~70nmが好ましく、30~60nmがより好ましい。ハードコート層表面での反射光の色付きを抑制する観点から、無機酸化物粒子の平均一次粒子径は、65nm以下が好ましく、50nm以下がより好ましく、40nm以下がさらに好ましい。無機酸化物粒子の平均一次粒子径は35nm以下であってもよい。微粒子の一次粒子径は、コールター法により求められ、粒度分布における中央値D50を平均一次粒子径とする。
無機酸化物粒子は粒子径が均一であることが好ましい。特に、界面での密着性向上および反射光の色付き抑制の観点から、粗大な粒子の含有量が少ないことが好ましい。無機酸化物粒子は、90%粒子径(D90)が、100nm以下であることが好ましく、80nm以下であることがより好ましく、70nm以下であることがさらに好ましい。粒子の凝集を防止する観点から、無機酸化物粒子の10%粒子径(D10)は、10nm以上が好ましく、15nm以上がより好ましく、20nm以上がさらに好ましい。粒子径が小さい側から累積10%となる粒子径がD10であり、粒子径が小さい側から累積50%となる粒子径がD50(メジアン径)であり、粒子径が小さい側から累積90%となる粒子径がD90である。例えば、D90が100nm以下の場合は、粒子径が100nm以上の粒子の量が重量基準で10%以下である。
粒子の形状は特に限定されないが、アスペクト比が1.5以下の(略)球形状であることが好ましい。粒子のアスペクト比は、1.2以下がより好ましく、1.1以下がさらに好ましい。球形状の無機酸化物粒子を用いることにより、ハードコート層の表面に、薄膜との密着性に優れる凹凸形状が形成されやすくなる。
無機酸化物粒子の含有割合は、ハードコート層11の固形分全量(バインダと粒子の合計)に対して40重量%以上が好ましい。上記の粒子径を有する無機酸化物粒子の含有量が40重量%以上であれば、ハードコート層11の表面(プライマー層3側の界面)近傍における粒子の存在比率が高くなり、ハードコート層11の面内全体に凹凸が均一に形成されやすく、密着性が向上する傾向がある。プライマー層3および反射防止層5との密着性向上の観点から、ハードコート層11における無機酸化物粒子の含有量は、50重量%よりも大きいことが好ましく、55重量%以上がより好ましい。ハードコート層11における無機酸化物粒子の含有量は、60重量%以上であってもよい。
ハードコート層における無機酸化物粒子の含有量が過度に大きいと、分散性の低下や、粒子の脱落により、ハードコート層11の表面の凹凸形状が不均一となる場合や、外観が損なわれる場合がある。そのため、ハードコート層11における無機酸化物粒子の含有量は、80重量%以下が好ましく、75重量%以下がより好ましく、70重量%以下がより好ましく、65重量%以下であってもよい。
(ハードコート層の形成)
ハードコート層形成用組成物は、上記のバインダー樹脂成分および無機酸化物粒子を含み、必要に応じてバインダー樹脂成分を溶解可能な溶媒を含む。バインダー樹脂成分が硬化性樹脂である場合は、組成物中に、適宜の重合開始剤が含まれていることが好ましい。例えば、バインダー樹脂成分が光硬化型樹脂である場合には、組成物中に光重合開始剤が含まれることが好ましい。ハードコート層形成用組成物は、上記の他に、レベリング剤、チクソトロピー剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、分散剤、分散安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、増粘剤、界面活性剤、滑剤等の添加剤を含んでいてもよい。
フィルム基材上にハードコート層形成用組成物を塗布し、必要に応じて溶媒の除去および樹脂の硬化を行うことにより、ハードコート層が形成される。ハードコート層形成用組成物の塗布方法としては、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、スロットオリフィスコート法、カーテンコート法、ファウンテンコート法、コンマコート法等の任意の適切な方法を採用し得る。塗布後の加熱温度は、ハードコート層形成用組成物の組成等に応じて、適切な温度に設定すればよく、例えば、50℃~150℃程度である。バインダー樹脂成分が光硬化性樹脂である場合は、紫外線等の活性エネルギー線を照射することにより光硬化が行われる。照射光の積算光量は、好ましくは100~500mJ/cm程度である。
ハードコート層11上にプライマー層3を形成する前に、ハードコート層11の表面処理が行われてもよい。表面処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、オゾン処理、グロー処理、アルカリ処理、酸処理、カップリング剤による処理等の表面改質処理が挙げられる。表面処理として真空プラズマ処理を行ってもよい。真空プラズマ処理により、ハードコート層の表面粗さを調整することもできる。例えば、高放電電力で真空プラズマ処理を行えば、ハードコート層表面の樹脂成分が選択的にエッチングされやすく、無機酸化物粒子はほとんどエッチングされずに残存するため、ハードコート層表面およびその近傍における無機酸化物粒子の存在比率が高くなり、ハードコート層表面の算術平均高さSaが大きくなる傾向がある。
真空プラズマ処理における雰囲気ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等の不活性ガスが好ましく、中でもアルゴンが好ましい。真空プラズマ処理における放電電力は、例えば、0.08~4kW程度である。放電電力が過度に高いと、バインダー樹脂のエッチングが過度に進行して、ハードコート層表面の凹凸の粗大化や、無機微粒子の脱落が生じやすく、密着性の低下を招く場合がある。放電電力が過度に低いと、放電が不安定になり処理面の均一性の低下を招く場合がある。そのため、真空プラズマ処理における放電電力は、1kW以下が好ましく、0.5kW以下がより好ましい。処理時間は、0.05~1.0秒程度が好ましく、0.1~0.6秒がより好ましい。放電時のエネルギー密度は、0.1~5.0kW/m程度が好ましく、0.15~2.0kW/mがより好ましい。
ハードコート層11の厚みは特に限定されないが、高い硬度を実現するためには、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、2.5μm以上がさらに好ましく、3.0μm以上が特に好ましい。一方、ハードコート層11の厚みが過度に大きいと、粒子による表面凹凸が適切に形成されない場合や、凝集破壊により膜強度が低下する場合がある。そのため、ハードコート層11の厚みは10μm以下が好ましく、8μm以下がより好ましく、6μm以下がさらに好ましい。
プライマー層3および反射防止層5との密着性向上の観点から、ハードコート層11の表面(プライマー層3の形成面)の算術平均高さSaは、2.2nm以上が好ましく、3.0nm以上がより好ましく、3.5nm以上がさらに好ましい。ハードコート層表面の算術平均高さSaは、4.0nm以上または4.5nm以上であってもよい。
ハードコート層の表面凹凸が粗大になると、十分な密着性を実現できない場合がある。そのため、ハードコート層表面の算術平均高さSaは、8nm以下が好ましく、7.5nm以下がより好ましく、7nm以下がさらに好ましい。ハードコート層表面の算術平均粗さSaは、6nm以下または5.5nm以下であってもよい。
無機酸化物粒子の粒子径や含有量を調整することにより、ハードコート層11の表面の凹凸形状を調整できる。プラズマ処理等のドライエッチングにより、ハードコート層11の算術平均高さSaを大きくすることもできる。また、ハードコート層11の厚みが小さいほどSaが大きくなる傾向がある。
基材とハードコート層との相溶性によって、ハードコート層の表面形状が変化する場合がある。例えば、ハードコート層形成材料中のバインダー樹脂との相溶性が高い基材を用いると、基材にバインダー樹脂が浸透しやすく、ハードコート層に含まれるバインダー樹脂の含有量が相対的に小さくなり、無機酸化物粒子の含有量が相対的に大きくなるため、ハードコート層表面の算術平均高さSaが大きくなる傾向がある。逆に、バインダー樹脂との相溶性が低い基材を用いると、ハードコート層のSaが小さくなる傾向がある。
算術平均高さSaは、原子間力顕微鏡(AFM)を用いた1μm四方の観察像から、ISO 25178に準じて算出される。
<プライマー層>
ハードコート層11上には、プライマー層3が形成される。無機酸化物粒子により表面凹凸が形成されたハードコート層11に接してプライマー層3を設け、プライマー層3上に接して反射防止層5を設けることにより、層間の密着性に優れ、紫外線等の光に長時間晒された場合でも反射防止層の剥離が生じ難い反射防止フィルムが得られる。
プライマー層3は無機酸化物層である。プライマー層を構成する無機酸化物としては、Si,In,Sn,Zn,Ti等の金属を含むものが好ましく、中でも、SiまたはInを含むものが好ましく、酸化インジウムを主たる酸化物とするインジウム系酸化物が好ましく、酸化インジウムスズ(ITO)が特に好ましい。プライマー層3は、化学量論組成よりも酸素量が少ない無機酸化物層であってもよい。
プライマー層は、例えば、酸化物ターゲットを用いてスパッタ法により成膜される。プライマー層3の厚みは、例えば、1~20nm程度であり、好ましくは1~15nm、より好ましくは1~10nmである。プライマー層の膜厚が上記範囲であれば、ハードコート層11との密着性を向上可能であるとともに、反射防止フィルムの光透過性を向上できる。
<反射防止層>
反射防止層5は、屈折率の異なる複数の薄膜の積層体である。一般に、反射防止層は、入射光と反射光の逆転した位相が互いに打ち消し合うように、薄膜の光学膜厚(屈折率と厚みの積)が調整される。屈折率の異なる複数の薄膜の多層積層体により、可視光の広帯域の波長範囲において、反射率を小さくできる。反射防止層5を構成する薄膜の材料としては、金属の酸化物、窒化物、フッ化物等が挙げられる。反射防止層5は、好ましくは、高屈折率層と低屈折率層の交互積層体である。空気界面での反射を低減するために、反射防止層5の最外層(ハードコートフィルム1から最も離れた層)として設けられる薄膜54は、低屈折率層であることが好ましい。
高屈折率層51,53は、例えば屈折率が1.9以上、好ましくは2.0以上である。高屈折率材料としては、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)等が挙げられる。中でも、酸化チタンまたは酸化ニオブが好ましい。低屈折率層52,54は、例えば屈折率が1.6以下、好ましくは1.5以下である。低屈折率材料としては、酸化シリコン、窒化チタン、フッ化マグネシウム、フッ化バリウム、フッ化カルシウム、フッ化ハフニウム、フッ化ランタン等が挙げられる。中でも酸化シリコンが好ましい。特に、高屈折率層としての酸化ニオブ(Nb)薄膜51,53と、低屈折率層としての酸化シリコン(SiO)薄膜52,54とを交互に積層することが好ましい。低屈折率層と高屈折率層に加えて、屈折率1.6~1.9程度の中屈折率層が設けられてもよい。
高屈折率層および低屈折率層の膜厚は、それぞれ、5~200nm程度であり、15~150nm程度が好ましい。屈折率や積層構成等に応じて、可視光の反射率が小さくなるように、各層の膜厚を設計すればよい。例えば、高屈折率層と低屈折率層の積層構成としては、ハードコートフィルム1側から、光学膜厚25nm~55nm程度の高屈折率層51、光学膜厚35nm~55nm程度の低屈折率層52、光学膜厚80nm~240nm程度の高屈折率層53、および光学膜厚120nm~150nm程度の低屈折率層54の4層構成が挙げられる。
プライマー層3および反射防止層5を構成する薄膜の成膜方法は特に限定されず、ウェットコーティング法、ドライコーティング法のいずれでもよい。膜厚が均一な薄膜を形成できることから、真空蒸着、CVD,スパッタ、電子線蒸等のドライコーティング法が好ましい。中でも、膜厚の均一性に優れ、かつ緻密な膜を形成しやすいことから、スパッタ法が好ましい。
スパッタ法では、ロールトゥーロール方式により、長尺のハードコートフィルムを一方向(長手方向)に搬送しながら、薄膜を連続成膜できる。そのため、ハードコートフィルム1上にプライマー層3および複数の薄膜からなる反射防止層5を備える反射防止フィルムの生産性を向上できる。
スパッタ法では、アルゴン等の不活性ガス、および必要に応じて酸素等の反応性ガスをチャンバー内に導入しながら成膜が行われる。スパッタ法による酸化物層の成膜は、酸化物ターゲットを用いる方法、および金属ターゲットを用いた反応性スパッタのいずれでも実施できる。高レートで金属酸化物を成膜するためには、金属ターゲットを用いた反応性スパッタが好ましい。
<ハードコート層の特性>
上記の通り、ハードコートフィルム1のハードコート層11形成面に、プライマー層3および反射防止層5を順に設けることにより、反射防止フィルムが得られる。ハードコート層11に含まれる無機酸化物粒子が表面に露出して表面凹凸が形成され、その上にプライマー層3が設けられることにより、ハードコート層11とプライマー層3との密着性が向上する。
密着性向上の観点から、ハードコート層11のプライマー層3側界面は、粒子の存在比率が高いことが好ましい。具体的には、ハードコート層の断面において、無機酸化物プライマー層との界面から厚み方向に600nmまでの領域では、無機酸化物粒子が占める面積比率が80%より大きいことが好ましい。
無機酸化物プライマー層との界面から600nmまでの領域における無機酸化物粒子が占める面積比率は、82%以上が好ましく、85%以上がより好ましく、90%以上がさらに好ましい。無機酸化物粒子の面積比率は、99%以下、98%以下、97%以下または96%以下であってもよい。
プライマー層3との界面近傍の無機酸化物粒子の存在比を高めることにより、ハードコート層の表面において、粒子が表面に露出している面積の比率が高くなるため、無機酸化物プライマー層との密着性が向上すると考えられる。特に、無機酸化物粒子の粒子径が小さい場合は、個々の凹凸(露出している粒子により形成される凸部)が小さいため、均一な表面形状が形成されやすく密着性が向上する傾向がある。
一方、粒子径が過度に小さい場合は、プライマー層との界面近傍の無機酸化物粒子の存在比を高めても、樹脂バインダー中に粒子が埋没しやすく、密着性が十分に向上しない場合がある。そのため、前述のように、ハードコート層に含まれる無機酸化物粒子の粒子径は25nm以上が好ましい。
ハードコート層11は、無機酸化物プライマー層3側の界面からの深さ16~20nmの範囲において、無機酸化物粒子を構成する無機元素Mと炭素Cの存在比M/Cが、原子数比で0.8~1.7であることが好ましい。例えば、無機酸化物が酸化シリコンである場合は、Si/Cの原子比が0.8~1.7であることが好ましい。原子比M/Cは、0.9~1.6がより好ましく、1.0~1.5がさらに好ましい。原子比M/Cは、1.05以上または1.1以上であってもよい。原子比M/Cは、1.5以下または1.45以下であってもよい。
原子比M/Cが0.8以上であれば、ハードコート層表面に露出する粒子の比率が多く、ハードコート層とプライマー層との密着性が向上する傾向がある。原子比M/Cが1.7以下であれば、バインダー樹脂に無機酸化物粒子が強固に固着した状態が維持されやすく、粒子の脱落に起因する密着性の低下を抑制できる。
原子比M/Cは、X線光電子分光法(XPS)により、反射防止層の表面からのデプスプロファイルを測定して、元素Mの存在量(原子%)と炭素の存在量(原子%)の比を、深さに対してプロットし、無機酸化物プライマー層3とハードコート層11との界面からの深さ16~20nmの範囲における平均値として求められる。デプスプロファイルにおいて、炭素の存在量が1原子%を超える地点を無機酸化物プライマー層3とハードコート層11との界面(ハードコート層の始点)とする。
無機酸化物粒子の粒径や添加量を調整することにより、ハードコート層11のプライマー層3との界面近傍における無機酸化物粒子の存在比や、原子比M/Cを上記範囲に調整できる。また、ハードコート層の表面処理により、無機酸化物粒子の存在比や原子比M/Cを調整できる。
具体的には、ハードコート層中の無機酸化物粒子の含有量が大きいほど、ハードコート層表面における無機酸化物粒子の存在比およびM/Cが大きくなる傾向がある。また、真空プラズマ処理等の表面処理により、バインダー樹脂の選択的なエッチングが進行すると、ハードコート層表面における無機酸化物粒子の存在比およびM/Cが大きくなる傾向がある。
無機酸化物粒子の粒子径が大きい場合は、表面への粒子の露出が制限されるため、粒子の添加量を増大させても、ハードコート層表面における無機酸化物粒子の存在比およびM/Cが十分に大きくならず、密着性が不十分となる場合がある。そのため、ハードコート層の断面における無機酸化物粒子のメジアン径D50は、70nm以下が好ましく、60nm以下がより好ましく、45nm以下さらに好ましく、40nm以下が特に好ましく、35nm以下であってもよい。ハードコート層の断面における無機酸化物粒子の粒子径の標準偏差σは、13以下が好ましく、8以下がより好ましく、5以下がより好ましい。
ハードコート層の断面において無機酸化物粒子が占める面積比率および無機酸化物粒子の粒子径は、ハードコート層の深さ方向に200nm、面方向(水平方向)に1000nmの断面の電子顕微鏡観察により得られた観察像の画像解析により求められる。無機酸化物プライマー層との界面から600nmまでの領域で、3箇所の断面像を取得し、それぞれの断面像を二値化処理して、微粒子が占める領域を特定する。それぞれの断面像における微粒子の面積比率を算出し、その平均値を微粒子が占める面積比率とする。断面像から200個の粒子を抽出して、それぞれの粒子の粒子径を求め、粒子径の頻度の累計が50%になる値を、メジアン径D50とする。ハードコート層の断面における微粒子のメジアン径は、コールター法により求められる微粒子のメジアン径と略同じである。
ハードコート層に含まれる無機酸化物粒子の粒子径は、無機薄膜との密着性に加えて、反射防止フィルムの視認性にも影響を与える場合がある。例えば、ハードコート層の表面粗さを大きくするために粒子の粒子径を大きくすると、ハードコートフィルムの拡散反射率が高くなったり、反射光が青く色付いて視認される場合がある。ハードコートフィルム上に反射防止層を備える反射防止フィルムは、反射光量が少ないため、ハードコートフィルム表面での反射光が知覚されやすい。そのため、ハードコートフィルム表面の反射光が青く色付いている場合、反射防止フィルムの反射光も青く色付いて視認されやすく、ディスプレイの画像の視認性低下を招く場合がある。
ハードコート層に含まれる無機酸化微粒子の粒子径が小さいほど、反射光の色付きが抑制される傾向がある。無機薄膜との密着性向上に加えて、反射光の色付きを抑制する観点においても、ハードコート層の断面における無機酸化物粒子のメジアン径は、70nm以下が好ましく、60nm以下がより好ましく、45nm以下がさらに好ましく、40nm以下が特に好ましく、35nm以下であってもよい。ハードコート層における微粒子の分散性を確保する観点から、ハードコート層の断面における無機酸化物粒子のメジアン径は、25nm以上が好ましい。
ハードコート層に含まれる粒子の粒子径が大きい場合に、ハードコート層表面での反射光が色付く原因として、バインダー樹脂と粒子との界面での光の屈折、反射および散乱が考えられる。粒子の粒子径が可視光の波長よりも十分に小さい場合(例えば60nm以下)は、粒子とバインダーとの界面での可視光の屈折、反射、散乱はほとんど生じない。粒子の粒子径が70~100nm程度の場合は、バインダー樹脂と粒子との界面で、紫外から短波長の可視短波長(300~500nm)の光が、屈折、反射、散乱しやすくなる。そのため、拡散反射スペクトルにおける可視光短波長成分が増大し、bが小さくなるため、反射光が青白く視認されやすくなると考えられる。
無機酸化物粒子の粒子径を小さくすれば、反射光波長が短波長側(紫外側)へシフトするため、反射光の色付きを抑制できる。粒子とバインダー樹脂との界面で屈折、反射、散乱する光の波長を紫外領域にシフトさせて反射光の着色を防止するためには、無機酸化物粒子の粒子径は小さいほど好ましい。
ハードコート層表面の拡散スペクトルから求められる反射光のbは-0.2以上が好ましく-、0.1以上がより好ましく、-0.05以上がさらに好ましい。ハードコート層表面の拡散反射光のbが上記範囲であれば、その上に反射防止層5が設けられた反射防止フィルムにおける、反射光の色付きを抑制できる。
が小さいほど反射光は青色に色付いており、bが大きいほど反射光は黄色に色付いている。bが過度に大きいと、反射光の黄色みが目立つため、ハードコート層表面の拡散反射光のbは1.5以下が好ましく、1以下がより好ましく、0.5以下がさらに好ましく、0.3以下が特に好ましい。
ハードコートフィルムの拡散反射光スペクトルは、フィルム基材10のハードコート層非形成面に黒色材料を付設して裏面反射を排除した状態で、ハードコート層11形成面側にD65光源から光を照射し、分光色測計を用いて正反射光除去(SCE)方式により測定される。得られた拡散反射スペクトルに基づいて、反射率(三刺激値のY値)、各波長の拡散反射率、およびCIE1976(L)色空間のb等が求められる。ハードコート層表面の拡散反射光のY値は0.09%以下が好ましく、波長380nmにおける拡散反射率は0.05%以下が好ましい。
ハードコート層中の無機酸化物粒子の粒子径に加えて、バインダー樹脂と無機酸化物粒子の屈折率差も、反射光の色付きも原因となり得る。粒子とバインダーの屈折率差が大きいほど、粒子とバインダー樹脂との界面での光の屈折、反射、散乱が大きくなるため、ハードコート層表面での反射光の色付きが目立ちやすくなる。
そのため、反射光の色付きを抑制する観点から、無機酸化物粒子とバインダー樹脂の屈折率差は小さいほど好ましい。無機酸化物粒子とバインダー樹脂の波長405nmにおける屈折率差(絶対値)は0.09以下が好ましく、0.07以下がより好ましい。バインダー樹脂と無機酸化物粒子の屈折率差が小さく、無機酸化物粒子の粒子径が小さいほど、ハードコート層表面の拡散反射光のbが大きくなり、色付きが低減される傾向がある。
ハードコート層表面の拡散反射光のbを-0.2以上とし、かつハードコート層と薄膜との密着性を向上するための現実的な手法として、ハードコート層と無機薄膜との密着性が低下しない範囲で無機酸化物粒子の粒子径を小さくし(例えば、上記の通り、粒子径を25~70nmとし)、かつ無機酸化物粒子とバインダー樹脂の屈折率差を小さくする方法が挙げられる。シリカ等の低屈折率粒子を用いることにより、無機酸化物粒子とバインダー樹脂との屈折率差を小さくできる。
[防汚層]
反射防止フィルムは、反射防止層5上に、付加的な機能層を備えていてもよい。反射防止層5の最表面の低屈折率層54として酸化シリコン層が配置されている場合は、酸化シリコンの濡れ性が高く、指紋や手垢等の汚染物質が付着しやすい。そのため、外部環境からの汚染防止や、付着した汚染物質の除去を容易とする等の目的で、反射防止層5上に防汚層(不図示)を設けてもよい。
反射防止フィルムの表面に防汚層を設ける場合は、界面での反射を低減する観点から、反射防止層5の最表面の低屈折率層54と防汚層との屈折率差が小さいことが好ましい。防汚層の屈折率は、1.6以下が好ましく、1.55以下がより好ましい。防汚層の材料としては、フッ素基含有のシラン系化合物や、フッ素基含有の有機化合物等が好ましい。防汚層は、リバースコート法、ダイコート法、グラビアコート法等のウエット法や、CVD法等のドライ法等により形成できる。防汚層の厚みは、通常、1~100nm程度であり、好ましくは2~50nm、より好ましくは3~30nmである。
[反射防止フィルムの使用形態]
反射防止フィルムは、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の画像表示装置の表面に配置して用いられる。例えば、液晶セルや有機ELセル等の画像表示媒体を含むパネルの視認側表面に反射防止フィルムを配置することにより、外光の反射を低減して、画像表示装置の視認性を向上できる。
前述のように、複数のフィルムの積層体をフィルム基材10として、その上にハードコート層11、プライマー層3および反射防止層5を形成してもよい。また、フィルム基材10上にハードコート層11、プライマー層3および反射防止層5を形成後に、フィルム基材10のハードコート層非形成面に他のフィルムを貼り合わせてもよい。例えば、フィルム基材10のハードコート層非形成面に、偏光子を貼り合わせることにより、反射防止層付き偏光板を形成できる。
偏光子としては、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。
中でも、高い偏光度を有することから、ポリビニルアルコールや、部分ホルマール化ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール系フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて所定方向に配向させたポリビニルアルコール(PVA)系偏光子が好ましい。例えば、ポリビニルアルコール系フィルムに、ヨウ素染色および延伸を施すことにより、PVA系偏光子が得られる。PVA系偏光子として、厚みが10μm以下の薄型の偏光子を用いることもできる。薄型の偏光子としては、例えば、特開昭51-069644号公報、特開2000-338329号公報、WO2010/100917号パンフレット、特許第4691205号明細書、特許第4751481号明細書等に記載されている薄型偏光膜を挙げることができる。このような薄型偏光子は、例えば、PVA系樹脂層と延伸用樹脂基材とを積層体の状態で延伸する工程と、ヨウ素染色する工程とを含む製法により得られる。
偏光子の表面には、偏光子の保護等を目的として透明保護フィルムが設けられていてもよい。透明保護フィルムは、偏光子の一方の面にのみ貼り合わせられていてもよく、両面に貼り合わせられていてもよい。一般には、偏光子の反射防止フィルム付設面と反対側の面に透明保護フィルムが設けられる。偏光子の反射防止フィルム付設面では、反射防止フィルムが透明保護フィルムとしての機能を兼ね備えるため、透明保護フィルムを設ける必要はないが、偏光子と反射防止フィルムとの間に、透明保護フィルムが設けられていてもよい。
透明保護フィルムの材料としては、透明フィルム基材の材料として前述したものと同様の材料が好ましく用いられる。偏光子と透明フィルムとの貼り合わせには、接着剤を用いることが好ましい。接着剤としては、アクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系ポリマー、フッ素系ポリマー、ゴム系ポリマー等をベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。PVA系偏光子の接着には、ポリビニルアルコール系の接着剤が好ましく用いられる。
以下に、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
<ハードコート層形成用組成物の調製>
紫外線硬化性アクリル系樹脂組成物(DIC製、商品名「GRANDIC PC-1070」、波長405nmにおける屈折率:1.55)に、平均一次粒子径30nm(カタログ値)のシリカ粒子(波長405nmにおける屈折率:1.47)のメチルエチルケトン分散液(信越シリコーン製「QSG-30」、固形分30重量%)を添加して混合し、ハードコート層形成用組成物を調製した。シリカ粒子の添加量は、ハードコート層の固形分全量(樹脂と粒子の合計)に対するシリカ粒子の量が45重量%となるように調整した。
<ハードコートフィルムの作製>
厚さ80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士フィルム製「フジタック」)の片面に、上記の組成物を、乾燥後の厚みが5μmとなるように塗布し、80℃で3分間乾燥した。その後、高圧水銀ランプを用いて、積算光量200mJ/cmの紫外線を照射し、塗布層を硬化させハードコート層を形成した。
<ハードコート層の表面処理>
0.5Paの真空雰囲気下でハードコートフィルムを搬送しながら、放電電力0.2kWにてハードコート層の表面にアルゴンプラズマ処理を行った。
<プライマー層および反射防止層の形成>
プラズマ処理後のハードコートフィルムをロールトゥーロール方式のスパッタ成膜装置に導入し、槽内を1×10-4Paまで減圧した後、フィルムを走行させながら、圧力が0.4Paとなるように、アルゴンガスと酸素ガスを98:2の体積比で導入し、基板温度20℃で、DCスパッタ法により厚み3nmのITOプライマー層を形成した。ITOプライマー層の形成には、ターゲット材料として、酸化インジウムと酸化スズとを90:10の重量比で含有する焼結ターゲットを用いた。
続いて、ITOプライマー層上に、反射防止層として、16nmのNb層、19nmのSiO層、102nmのNb層および71nmのSiO層を順に成膜して、反射防止フィルムを作製した。Nb層の成膜には、Nbターゲットを用い、SiO層の成膜には、Siターゲットを用いた。Nb層およびSiO層の成膜においては、スパッタガスとしてアルゴンおよび酸素を用い、プラズマ発光モニタリング(PEM)制御により、成膜モードが遷移領域を維持するように導入する酸素量を調整した。
実施例1の反射防止フィルムの断面像から求めた粒子のメジアン径D50は31nm、標準偏差σは3.7であった。
[実施例2~8、および比較例1~6]
シリカ粒子の粒子径および添加量、ならびにハードコート層のプラズマ処理時の放電電力を、表1に示すように変更した。それ以外は実施例1と同様にして、ハードコート層の形成、表面処理、ならびにプライマー層および反射防止層の形成を行った。
比較例1では、無機酸化物粒子として、平均一次粒子径(カタログ値)15nmのシリカ粒子のメチルエチルケトン分散液(信越シリコーン製「QSG-10」、固形分30重量%)を用いた。比較例1の反射防止フィルムの断面像から求めた粒子のメジアン径D50は15nm、標準偏差σは1.8であった。
実施例2~4および比較例2,3では、実施例1で用いたものと同一のシリカ粒子を用いた。
実施例5~7、および比較例4では、無機酸化物粒子として、平均一次粒子径(カタログ値)50nmのシリカ粒子のメチルエチルケトン分散液(日産化学社製「MSK-ST-L」、固形分30重量%)を用いた。比較例1の反射防止フィルムの断面像から求めた粒子のメジアン径D50は60nm、標準偏差σは3.6であった。
実施例8および比較例5では、無機酸化物粒子として、平均一次粒子径(カタログ値)50nmのシリカ粒子のメチルエチルケトン分散液(日産化学製「MEK-ST-L」、固形分30重量%)と、平均一次粒子径(カタログ値)80nmのシリカ粒子のメチルエチルケトン分散液(日産化学製「MEK-ST-ZL」、固形分30重量%)を、3:1の重量比で混合したものを用いた。実施例8の反射防止フィルムの断面像から求めた粒子のメジアン径D50は59nm、標準偏差σは11.7であった。
比較例6では、無機酸化物粒子として、平均一次粒子径(カタログ値)100nmのシリカ粒子のメチルエチルケトン分散液(信越シリコーン製「QSG-100」、固形分30重量%)と平均一次粒子径(カタログ値)80nmのシリカ粒子のメチルエチルケトン分散液(日産化学製「MEK-ST-ZL」、固形分30重量%)を、1:1の重量比で混合したもの(固形分30重量%)を用いた。比較例6の反射防止フィルムの断面像から求めた粒子のメジアン径D50は90nm、標準偏差σは9.8であった。
[評価]
<算術平均高さSa>
プラズマ処理後のハードコートフィルムを試料として、原子間力顕微鏡(AFM)を用い、下記の条件により、ハードコート層の三次元表面形状を測定し、ISO 25178に準じて算術平均表面粗さSaを測定した。
装置:Bruker製Dimemsion3100、コントローラ:NanoscopeV
測定モード:タッピングモード
カンチレバー:Si単結晶
測定視野:1μm×1μm
<ハードコート層の表面元素組成>
Arイオンエッチング銃を備える走査型X線光電子分光(XPS)装置(アルバック・ファイ製「QuanteraSXM」)を用いて、下記の条件にて、反射防止フィルムの反射防止層表面からのデプスプロファイル測定を行った。
Arイオン加速電圧:1kV
X線ビーム径:100μmφ
出力:25W(15kV)
光電子取り出し角度:試料面に対して45度
得られたナロースキャンスペクトルの光電子強度から、感度係数等を用いて、C、O、F、Si,In,SnおよびNbの合計に対する元素比率(原子%)を求めた。デプスプロファイルにおいて、炭素原子量が0.1原子%を超えた点をプライマー層とハードコート層の境界とし、境界からの深さ16nm、18nmおよび20nmの地点におけるSiとCの比(Si/C)を算出し、これら3点の平均値を、境界から16~20nmの領域におけるSi/C比とした。なお、デプスプロファイルにおける膜厚(深さ)は、SiO層のArイオンエッチング速度(2nm/分)基準として、エッチング時間を深さに換算することにより算出した。
<ハードコート層表面の粒子充填率>
反射防止フィルムを試料として、集積イオンビーム加工観察装置(日立ハイテクノロジーズ製「FB2200」)を用いたFIBマイクロサンプリング法により、断面観察用試験片を作製した。電界放射型透過電子顕微鏡(日本電子製「JEM-2800」)を用い、加速電圧200kV、倍率30,000倍でFE-TEM分析を実施した。プライマー層とハードコート層との界面からハードコート層側に600nmまでの範囲内で、500nm(深さ方向)×1000nm(面方向)の領域をランダムに3箇所選択し、それぞれの領域について、画像処理ソフト(Image-J)によりシリカ粒子を識別して、二値化処理を行い、粒子の存在比を求めた。3箇所の平均値を、ハードコート層のプライマー層との界面における粒子存在比とした。
<ハードコート層表面の粒子径>
上記の二値化処理画像から200個の粒子を抽出し、それぞれの粒子径を求めた。200の個の粒子の粒子径の頻度の累計が50%になる粒子径を、シリカ粒子のメジアン径D50とした。さらに、200個の粒子径の標準偏差σを算出した。なお、500nm×1000nmの視野内に含まれる微粒子の数が200個未満の場合は、別の500nm×1000nmの領域に含まれる微粒子の粒子径を求め、合計が200個になるまで作業を繰り返した。
<ハードコートフィルムの拡散反射光b
ハードコートフィルムのハードコート層が形成されていない主面に、透明アクリル粘着剤を介して厚み2mmの黒色のアクリル板(三菱ケミカル製)を貼り合わせて、拡散反射スペクトル(正反射光除去(SCE)スペクトル)測定用試料を作製した。この試料に、ハードコート層形成面からD65光源の光を照射して、分光測色計(コニカミノルタ製「CM2600d」)を用いて拡散反射スペクトルを測定し、得られたSCEスペクトルから、L色空間のbを求めた。
<反射防止フィルムの視認性>
反射防止フィルムのフィルム基材側の面(反射防止層非形成面)に、透明アクリル粘着剤を介して厚み2mmの黒色のアクリル板(三菱ケミカル製)を貼り合わせ、主面の法線に対して45°の方向から白色LEDの光を照射した。主面の法線に対して70~80°の方向から目視により反射光を観察し、以下の基準に従い、視認性を評価した。
A:反射光が無色である
B:反射光がやや白色に感じられる
C:反射光が青白く視認される
<密着性試験(促進耐光試験)>
反射防止フィルムのフィルム基材側の面(反射防止層非形成面)に、透明アクリル粘着剤を介してガラス板を貼り合わせ、スガ試験機製「紫外線フェードメーターU48」を用いて、温度40℃、湿度20%、放射強度(300~700nm積算照度)500±50W/mの条件で、500時間および750時間の促進耐光試験を実施した。
促進耐光試験後の試料の反射防止層表面に1mm間隔で切り目を入れ、100マスの碁盤目を形成した。次いで、反射防止層の表面が乾燥しないように、イソプロピルアルコール2mLを連続的に滴下し、20mm角のSUS製治具に固定したポリエステルワイパー(サンプラテック製「アンティコンゴールド」)を碁盤目上で摺動させた(荷重:1.5kg、1000往復)。反射防止層がマスの面積の1/4以上の領域で剥離している碁盤目の個数をカウントし、以下の基準に従い、密着性を評価した。
A:剥離碁盤目数が10個以内
B:剥離碁盤目数が11~30個
C:剥離碁盤目数が31~50個
D:剥離碁盤目数が51個以上
[評価結果]
上記の実施例および比較例のハードコート層の組成(ハードコート層の断面から求めたシリカ粒子のメジアン径D50および標準偏差σ、ならびに面積比率)、ハードコート層のプラズマ処理時の放電電力、ならびにハードコートフィルムおよび反射防止フィルムの評価結果を表1に示す。
Figure 0007114669000001
実施例1,2,4では、ハードコート層の拡散反射光がニュートラル色であり、反射防止フィルムの視認性に優れていた。また、ハードコート層中のシリカ粒子の存在比が高く、反射防止層が優れた密着性を示した。これらの例では、微粒子の含有量の増大に伴って、ハードコート層の粒子の充填率が高められるとともに、Si/Cの比率が大きくなり、密着性が向上する傾向がみられた。微粒子の含有量が少ない比較例2では、拡散反射光はニュートラル性を保っていたが、粒子の充填率およびSi/Cの比率が小さく、実施例1に比べて反射防止層の密着性が低下していた。実施例5,6と比較例2との対比においても同様の傾向がみられた。
実施例2と、実施例2よりも大きな放電電力でハードコート層の表面処理を実施した実施例3および比較例3とを対比すると、ハードコート層の粒子充填率に差はみられなかったが、放電電力の増大に伴ってSi/Cの比率が大きくなり、密着性が低下する傾向がみられた。実施例6と実施例7との対比においても同様の傾向がみられた。プラズマ処理により、ハードコート層の表層の樹脂成分が選択的にエッチングされ、放電電力の増加に伴って、プライマー層との界面における凹凸が粗大化したことが、密着性の低下に関連していると考えられる。
実施例1よりも粒子径の小さいシリカ粒子を用いた比較例1では、ハードコート層の粒子充填率およびSi/Cの比率が小さく、密着性が低下していた。粒子径が大きいシリカ粒子を用いた比較例6においても、ハードコート層の粒子充填率およびSi/Cの比率が小さく、密着性が低下していた。また、比較例6では、ハードコート層の拡散反射光のbが小さく、反射防止フィルムからの反射光が青白く着色して視認された。
実施例6と実施例8とを対比すると、両者は、ハードコート層中の粒子のメジアン径D50および粒子の含有量が略同じであるが、実施例8では、ハードコート層の拡散反射光のbが小さく、反射防止フィルムからの反射光が青白く着色して視認された。比較例4と比較例5との対比においても同様の傾向がみられた。実施例8および比較例5では、微粒子の粒径分布が大きく、粗大な粒子を含んでいるために、比較例6と同様、粗大な粒子による可視光短波長光の屈折、反射、散乱が大きいことが、b現象の原因と考えられる。
上記の実施例と比較例の対比から、ハードコート層に含まれる微粒子の粒子径および含有量を調整するとともに、ハードコート層の表層(プライマー層との界面)近傍における粒子の存在比率(Si/C比)を所定範囲とすることにより、層間の密着性が高く、反射光の色付きが少ない反射防止フィルムが得られることが分かる。
1 ハードコートフィルム
10 フィルム基材
11 ハードコート層
3 プライマー層
5 反射防止層
51,53 低屈折率層
52,54 高屈折率層
100 反射防止フィルム

Claims (7)

  1. フィルム基材の一主面上にハードコート層を備えるハードコートフィルムと;前記ハードコート層に接する無機酸化物プライマー層と;前記無機酸化物プライマー層上に接して設けられた反射防止層とを備える反射防止フィルムであって、
    前記反射防止層は、屈折率が異なる複数の薄膜の積層体であり、
    前記ハードコート層は、バインダー樹脂および無機酸化物粒子を含み、前記ハードコート層における前記無機酸化物粒子の含有量が40~80重量%であり、前記ハードコート層の断面における無機酸化物粒子のメジアン径が25~70nmであり、
    前記ハードコート層は、前記無機酸化物プライマー層との界面からの深さ16~20nmの範囲において、前記無機酸化物粒子を構成する無機元素Mと炭素Cの存在比M/Cが、原子数比で1.05~1.7である、反射防止フィルム。
  2. 前記ハードコート層は、前記無機酸化物プライマー層との界面から厚み方向に600nmまでの領域の断面において、前記無機酸化物粒子が占める面積比率が80%より大きい、請求項1に記載の反射防止フィルム。
  3. 前記ハードコート層に含まれる無機酸化物粒子がシリカ粒子である、請求項1または2に記載の反射防止フィルム。
  4. 前記ハードコート層の厚みが1~10μmである、請求項1~のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
  5. 前記ハードコート層の表面の算術平均高さSaが7nm以下である、請求項1~4のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
  6. 前記反射防止層上に、さらに防汚層を備える、請求項1~5のいずれか1項に記載の反射防止フィルム。
  7. 画像表示媒体の視認側表面に、請求項1~6のいずれか1項に記載の反射防止フィルムが配置されている、画像表示装置。
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