JP7455777B2 - 光学積層体および画像表示装置 - Google Patents

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Description

本発明は、ハードコートフィルム上に無機薄膜を備える光学積層体、および当該光学積層体を備える画像表示装置に関する。
液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の画像表示装置の表面には、表示画像の視認性向上を目的として、反射防止フィルム等の光学フィルムが設けられる場合がある。反射防止フィルムは、フィルム基材上に、屈折率の異なる複数の薄膜からなる反射防止層を備えている。反射防止層を形成する薄膜として、無機酸化物等の無機薄膜を用いた反射防止フィルムは、屈折率や膜厚の調整が容易であるため、高い反射防止特性を実現できる。
反射防止フィルム等の光学フィルムは、画像表示装置の最表面に配置されるため、外部からの接触による傷つき防止等を目的として、フィルム基材の薄膜形成面にハードコート層が設けられる場合がある。特許文献1では、微粒子を含むハードコート層上に、プライマー層を介して反射防止層を形成することにより、ハードコート層と反射防止層との密着性を向上できることが記載されている。
特開2017-161893号公報
一般に、画像表示装置の表面には、外部衝撃からの表示パネルを保護すること等を目的として、ガラスや剛性のプラスチック基板からなる透明カバー層が設けられているが、画像表示装置の薄型化の観点から、剛性のカバー層を設けない構成も採用されている。カバー層を設けない構成では、最表面に設けられる反射防止フィルムに、より高い硬度が要求される。また、近年では、ノートパソコンを中心に、ペンタッチ方式のタッチパネルの搭載が進んでおり、反射防止フィルムにより高レベルの耐摺動性が要求されるようになっている。
反射防止層の直下に設けられるハードコート層の厚みを大きくすれば、反射防止フィルムの硬度や耐摺動性を向上可能である。しかしながら、微粒子を含むハードコート層の厚みを大きくすると、ハードコート層の耐屈曲性が低下し、ロール搬送時や他の部材との貼り合わせ等のハンドリング時にハードコート層に割れやクラックが生じやすく、ハンドリング性が低下する傾向がある。
ハードコート層が微粒子を含まない場合は、ハードコート層の割れやクラックが抑制される傾向があるが、ハードコート層上に設けられる反射防止層等の無機薄膜との密着性が低下する傾向があり、従来技術では、無機薄膜の密着性とハンドリング性とを両立することは容易ではない。
上記に鑑み、本発明は、硬度が高く、ハードコート層と反射防止層等の無機薄膜との密着性に優れ、かつ割れやクラックが生じ難く良好なハンドリング性を有する光学積層体の提供を目的とする。
本発明は、フィルム基材の一方の主面上に、前面ハードコート層、およびその上に接する無機薄膜を備える光学積層体に関する。フィルム基材の他方の主面には裏面ハードコート層が設けられていてもよい。
光学積層体の一例として、ハードコート層上に屈折率の異なる複数の無機薄膜からなる反射防止層を備える反射防止フィルムが挙げられる。反射防止層は、前面ハードコート層に接する面に無機プライマー層を備えていてもよい。このような光学積層体は、例えば画像表示装置の視認側表面に配置される。
前面ハードコート層は、バインダー樹脂および無機微粒子を含む。前面ハードコート層の厚みは7~50μmが好ましい。前面ハードコート層の無機薄膜と接する面の算術平均高さSaは、1.0nm以上が好ましい。
前面ハードコート層は、無機薄膜との界面近傍において、無機微粒子の粒子径がハートコート層全体と比べて相対的に大きいか、または無機微粒子の含有量がハードコート層全体と比べて相対的に大きい。
一実施形態では、前面ハードコート層の無機薄膜との界面から厚み方向に1μmの範囲における無機微粒子の平均一次粒子径Daが30~70nmであり、前面ハードコート層全体に含まれる無機微粒子の平均一次粒子径Dが、Daよりも小さい。
一実施形態では、前面ハードコート層の無機薄膜との界面から厚み方向に1μmの範囲における無機微粒子の平均一次粒子径Daが30~70nmであり、前面ハードコート層の無機薄膜との界面から厚み方向に1μmの範囲における無機微粒子の重量濃度が、前面ハードコート層全体の無機微粒子の重量濃度よりも大きい。
前面ハードコート層の無機薄膜との界面から厚み方向に1μmの範囲における無機微粒子の平均一次粒子径Daが、前面ハードコート層全体に含まれる無機微粒子の平均一次粒子径Dよりも大きく、かつ、前面ハードコート層の無機薄膜との界面から厚み方向に1μmの範囲における無機微粒子の重量濃度が、前面ハードコート層全体の無機微粒子の重量濃度よりも大きくてもよい。前面ハードコート層の前記無機薄膜との界面から厚み方向に1μmの範囲における無機微粒子の重量濃度が、20重量%以上であってもよい。
一実施形態では、前面ハードコート層は、無機薄膜に接する第一ハードコート層、および前記ハードコート層よりも前記フィルム基材に近い側に配置された第二ハードコート層を含む、2層以上の積層構成であり、少なくとも第一ハードコート層は無機微粒子を含む。前面ハードコート層は、第一ハードコート層と第二ハードコート層の2層構成でもよく、3層以上の積層構成でもよい。
第一ハードコート層の無機微粒子の平均一次粒子径D1は、30~70nmが好ましい。第二ハードコート層が無機微粒子を含む場合、第二ハードコート層の無機微粒子の平均一次粒子径D2は、D1よりも小さいことが好ましい。D2は、5nm以上、30nm未満であってもよい。
第一ハードコート層の無機微粒子の重量濃度は、前面ハードコート層全体の無機微粒子の重量濃度よりも大きくてもよい。第一ハードコート層の無機微粒子の重量濃度は、20~80重量%であってもよい。第二ハードコート層の無機微粒子の重量濃度は、第一ハードコート層の無機微粒子の重量濃度よりも小さくてもよい。第二ハードコート層は微粒子を含んでいなくてもよい。
第一ハードコート層の厚みは、1~15μmであってもよい。第二ハードコート層の厚みは、5~30μmであってもよい。第一ハードコート層の厚みは、前面ハードコート層全体の厚みの50%以下であってもよい。第一ハードコート層の厚みは、第二ハードコート層の厚みよりも小さくてもよい。
前面ハードコート層の厚みが7μm以上であり、無機薄膜との界面近傍において、上記粒子径の無機微粒子を有するため、光学積層体は、高い表面硬度を示すとともに、ハードコート層と無機薄膜との密着性に優れる。また、ハードコート層全体をバルクでみると、無機薄膜との界面近傍に比べて、無機微粒子の平均粒子径が小さい、または/および無機微粒子の含有割合が小さいため、ハードコート層が耐屈曲性に優れ、割れやクラックに起因するハンドリング性の低下を抑制できる。
一実施形態の光学積層体の積層形態を示す断面図である。 一実施形態の光学積層体の積層形態を示す断面図である。
本発明の光学積層体は、ハードコートフィルムのハードコート層に接して無機薄膜を備える。このような光学積層体としては、反射防止フィルムおよび透明電極フィルム等の画像表示装置用フィルム、日射調整フィルム、遮熱・断熱フィルム、調光フィルムおよび電磁波遮蔽フィルム等の窓ガラスやショーウィンドウ等に設けられるフィルム、ガスバリアフィルム等が挙げられる。
図1は、光学積層体の一実施形態である反射防止フィルムの積層構成例を示す断面図である。反射防止フィルム100は、ハードコートフィルム1のハードコート層11上に、反射防止層5を備える。反射防止層5は、屈折率の異なる2層以上の無機薄膜の積層体である。図1に示す反射防止フィルム100において、反射防止層5は、ハードコート層11と接する面に無機プライマー層50を備え、その上に高屈折率層51,53と低屈折率層52,54とが交互に積層されている。
以下では、図1に示す反射防止フィルムの好ましい形態に沿って、各層の材料や特性等ついて順に説明する。
[ハードコートフィルム]
ハードコートフィルム1は、フィルム基材10の少なくとも一方の面にハードコート層11を備え、ハードコート層11上に無機薄膜5を設けることにより光学積層体が形成される。図2に示す様に、ハードコートフィルムは、フィルム基材10の両方の主面にハードコート層11,12を備えていてもよい。ハードコートフィルムが両面にハードコート層を備える場合は、一方のハードコート層11(前面ハードコート層)上に、無機薄膜5が設けられる。光学積層体は、ハードコートフィルムの両面に無機薄膜を備えていてもよい。
<フィルム基材>
ハードコートフィルム1のフィルム基材10としては、透明フィルムが好ましく用いられる。透明フィルムの可視光透過率は、好ましくは80%以上、より好ましくは90%以上である。透明フィルムを構成する樹脂材料としては、透明性、機械強度、および熱安定性に優れる樹脂材料が好ましい。樹脂材料の具体例としては、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリエーテルスルホン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、(メタ)アクリル系樹脂、環状ポリオレフィン系樹脂(ノルボルネン系樹脂)、ポリアリレート系樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、およびこれらの混合物が挙げられる。
フィルム基材10は必ずしも透明である必要はない。また、フィルム基材10として、複数のフィルムの積層体を用いてもよい。例えば、後述するように、偏光子の表面に保護フィルムが設けられた偏光板をフィルム基材10として用いてもよい。
フィルム基材の厚みは特に限定されないが、強度や取扱性等の作業性、薄層性等の観点から、5~300μm程度が好ましく、10~250μmがより好ましく、20~200μmがさらに好ましい。
<前面ハードコート層>
フィルム基材10の主面上にハードコート層11を設けることによりハードコートフィルム1が形成される。硬度を高める観点から、ハードコート層11の厚み(積層構成である場合は合計厚み)は、7μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、12μm以上がさらに好ましく、15μm以上、18μm以上または20μm以上であってもよい。硬度の観点からはハードコート層11の厚みの上限は特に制限されないが、ハードコート層の形成性や、透明性の観点からは50μm以下が好ましく、45μm以下がより好ましく、40μm以下がさらに好ましく、35μm以下または30μm以下であってもよい。
一実施形態において、ハードコート層11は、2層以上のハードコート層の積層構成であり、最外表面(無機薄膜5形成面)の第一ハードコート層111、および第一ハードコート層111よりもフィルム基材10に近い側に配置された第二ハードコート層112を含む。例えば、フィルム基材10上に、第二ハードコート層112を形成し、その上に第一ハードコート層111を形成することにより、2層の積層構成を有するハードコート層が得られる。ハードコート層11は、3層以上を含んでいてもよい。2層以上の積層構成とすることにより、厚みが大きいハードコート層を容易に形成できる。
(第一ハードコート層)
最表面の第一ハードコート層111は、無機微粒子を含む。第一ハードコート層111が無機微粒子を含むことにより、ハードコート層11の表面硬度が高められるとともに、表面に凹凸が形成され、ハードコート層11上に設けられる無機薄膜5との密着性を向上できる。
無機微粒子の材料としては、シリカ、酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化亜鉛、酸化スズ、酸化セリウム、酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、カオリン等が挙げられる。これらの中でも、屈折率が低く、バインダー樹脂との屈折率差を小さくできることから、シリカ粒子が好ましい。無機微粒子として、多孔質粒子や中空粒子を用いてもよい。無機微粒子の表面には、樹脂との密着性や親和性を高める目的で、アクリル基、エポキシ基等の官能基が導入されていてもよい。
無機微粒子の形状は特に限定されないが、アスペクト比が1.5以下の(略)球形状であることが好ましい。無機微粒子のアスペクト比は、1.2以下がより好ましく、1.1以下がさらに好ましい。球形状の無機微粒子を用いることにより、ハードコート層11の表面に、無機薄膜との密着性に優れる凹凸形状が形成されやすくなる。
無機薄膜5との密着性を向上に適した表面凹凸を形成する観点から、第一ハードコート層111に含まれる無機微粒子の平均一次粒子径D1は、好ましくは30~70nmであり、35~65nm、または40~60nmであってもよい。微粒子の一次粒子径は、コールター法により求められ、粒度分布における中央値D50を平均一次粒子径とする。
微粒子での光散乱等に起因する反射光および透過光の色付きを抑制する観点から、第一ハードコート層111は、粗大な粒子の含有量が少ないことが好ましい。第一ハードコート層111に含まれる無機微粒子の90%粒子径(D90)は、100nm以下が好ましく、80nm以下がより好ましく、70nm以下がさらに好ましい。凝集を防止する観点から、無機微粒子の10%粒子径(D10)は、5nm以上が好ましく、10nm以上がより好ましく、15nm以上がさらに好ましい。コールターカウント法による累積粒度分布(重量基準)において、粒子径が小さい側から累積10%となる粒子径がD10であり、粒子径が小さい側から累積90%となる粒子径がD90である。例えば、D90が100nm以下の場合は、粒子径が100nm以上の粒子の量が重量基準で10%以下である。
第一ハードコート層111は、無機微粒子に加えて有機微粒子を含んでいてもよいが、有機微粒子を含む場合も、第一ハードコート層111に含まれる微粒子全体のD90およびD10が上記範囲内であることが好ましい。無機薄膜5との密着性向上の観点から、第一ハードコート層111は、有機微粒子を含まないことが好ましく、有機微粒子を含む場合であっても、その含有量が無機微粒子の含有量よりも少ないことが好ましい。第一ハードコート層における有機微粒子の含有量(重量濃度)は、無機微粒子の含有量の50%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下、3%以下、1%以下または0であってもよい。
第一ハードコート層111における無機微粒子の含有量は、固形分全量(バインダと微粒子の合計)に対して、20~80重量%が好ましい。無機微粒子の含有量が上記範囲内であれば、バインダー樹脂中への微粒子の分散性に優れ、凸部が面内に均一に分布した凹凸形状が形成されやすい。特に、ハードコート層の表面粗さを大きくして、ハードコート層と無機薄膜との密着性を高めるためには、第一ハードコート層における無機微粒子の含有量は、25~75重量%が好ましく、30~70重量%、35~65重量%または40~60重量%であってもよい。
第一ハードコート層111は、厚み方向で微粒子含有量の分布を有していてもよく、表面(無機薄膜との界面)近傍の微粒子含有量が大きくてもよい。例えば、第一ハードコート層の形成時に表面に微粒子を偏在させることにより、表面近傍の微粒子含有量が相対的に大きいハードコート層が得られる。また、ハードコート層を形成後(バインダーを硬化後)に、プラズマ処理等のドライエッチングやウェットエッチングにより、表面近傍のバインダーを選択的にエッチングすることにより、表面近傍の微粒子含有量が相対的に大きいハードコート層が得られる。
ハードコート層11は、表面(無機薄膜との界面)から厚み方向に1μmの範囲における無機微粒子の含有量が、20重量%以上であることが好ましく、30重量%以上がより好ましく、40重量%以上がさらに好ましく、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、75重量%以上または80重量%以上であってもよい。無機薄膜5との界面近傍の無機微粒子の存在比を高めることにより、ハードコート層11の表面において、微粒子が表面に露出している面積の比率が高くなり、無機薄膜との密着性が向上する傾向がある。
ハードコート層の表面近傍の微粒子の含有量が過度に大きい場合は、粒子が脱落しやすく、ハードコート層11の表面の凹凸形状が不均一となる場合がある。そのため、ハードコート層11の表面から厚み方向に1μmの範囲における無機微粒子の含有量は、97重量%以下が好ましく、95重量%以下がより好ましく、93重量%以下または90重量%以下であってもよい。
無機薄膜との密着性を確保しつつ、微粒子の脱落等を抑制する観点から、ハードコート層11の断面において、表面(無機薄膜との界面)から厚み方向に1μmの範囲における無機微粒子が占める面積比率は、20~97%が好ましく、30~95%がより好ましく、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、75%以上または80%以上であってもよく、93%以下または90%以下であってもよい。
ハードコート層の断面において無機微粒子が占める面積比率は、断面の電子顕微鏡観察により得られた観察像(断面像)を二値化処理して、微粒子が占める領域を特定し、その面積比率を算出することにより求められる。
無機薄膜との密着性向上の観点から、ハードコート層11の表面(無機薄膜形成面)の算術平均高さSaは、1.0nm以上が好ましく、1.5nm以上がより好ましく、2.0nm以上がさらに好ましく、2.5nm以上、3.0nm以上、3.5nm以上、4.0nm以上または4.5nm以上であってもよい。一方、ハードコート層の表面凹凸が粗大になると、十分な密着性を実現できない場合がある。そのため、ハードコート層11の表面の算術平均高さSaは、8nm以下が好ましく、7.5nm以下がより好ましく、7nm以下がさらに好ましく、6nm以下または5.5nm以下であってもよい。算術平均高さSaは、原子間力顕微鏡(AFM)を用いた1μm四方の観察像から、ISO 25178に準じて算出される。
上記の様に、第一ハードコート層111が無機微粒子を含むことにより表面凹凸が形成され、無機微粒子の粒子径および含有量を調整することにより、上記のSaを有するハードコート層11が得られる。また、微粒子を含むハードコート層をドライエッチングまたはウェットエッチングして、微粒子を表面に露出させることにより、ハードコート層11の算術平均高さSaを大きくすることもできる。
(第二ハードコート層)
ハードコート層11は、第一ハードコート層111よりもフィルム基材10に近い側に配置された第二ハードコート層112を備える。
上記の様に、ハードコート層11の最表面の第一ハードコート層が、平均一次粒子径D1が30~70nmである無機微粒子を含むことにより、ハードコート層11上に形成される無機薄膜5との密着性が高められる。一方、ハードコート層の硬度向上等を目的として、平均一次粒子径が30nm以上の微粒子を含むハードコート層の厚みを大きくすると、ハードコート層の耐屈曲性が低下し、ロール搬送時や他の部材との貼り合わせ等のハンドリング時にハードコート層に割れやクラックが生じやすく、ハンドリング性が低下する傾向がある。
第一ハードコート層111よりもフィルム基材10に近い側に、第一ハードコート層の微粒子よりも粒子径が小さい無機粒子を含むか、または第一ハードコート層よりも無機微粒子の含有量が少ない(または無機微粒子を含まない)第二ハードコート層112を設け、ハードコート層11を多層構成とすることにより、第一ハードコート層111による無機薄膜との密着性を維持したまま、ハードコート層全体の厚みを大きくして硬度を高めつつ、ハードコート層11の耐屈曲性が向上する傾向がある。
(第二ハードコート層の第1形態)
1つの実施形態では、第二ハードコート層112が無機微粒子を含み、その平均一次粒子径D2が、第一ハードコート層111の無機微粒子の平均一次粒子径D1よりも小さい。D2がD1よりも小さいことにより、ハードコート層11全体に含まれる無機微粒子の平均一次粒子径Dが、D1よりも小さいため、ハードコート層11の耐屈曲性が向上する傾向がある。換言すると、第一ハードコート層111の無機微粒子の平均一次粒子径D1が、ハードコート層全体に含まれる無機微粒子の平均一次粒子径Dよりも大きいことにより、ハードコート層11の耐屈曲性を低下させることなく、無機薄膜5との密着性を向上できる。
ハードコート層の耐屈曲性を向上して、割れやクラックの発生を抑制する観点から、第二ハードコート層112に含まれる無機微粒子の平均一次粒子径D2は、30nm未満が好ましく、28nm以下がより好ましく、25nm以下または20nm以下であってもよい。無機微粒子の分散性を確保する観点から、D2は5nm以上が好ましく、10nm以上であってもよい。ハードコート層11全体に含まれる無機微粒子の平均一次粒子径Dは、10~70nmが好ましく、15~60nmがより好ましく、20~55nm、または23~50nmであってもよい。
ハードコート層の割れやクラックを防止する観点から、第二ハードコート層112は、粗大な粒子の含有量が少ないことが好ましい。第二ハードコート層112に含まれる無機微粒子の90%粒子径(D90)は、60nm以下が好ましく、40nm以下がより好ましく、30nm以下がさらに好ましい。凝集を防止する観点から、無機微粒子の10%粒子径(D10)は、3nm以上が好ましく、5nm以上がより好ましい。
第二ハードコート層112は、無機微粒子に加えて有機微粒子を含んでいてもよいが、有機微粒子を含む場合も、第二ハードコート層112に含まれる微粒子全体のD90およびD10が上記範囲内であることが好ましい。無機薄膜5との密着性向上の観点から、第二ハードコート層112は、有機微粒子を含まないことが好ましく、有機微粒子を含む場合であっても、その含有量が無機微粒子の含有量よりも少ないことが好ましい。第二ハードコート層における有機微粒子の含有量(重量濃度)は、無機微粒子の含有量の50%以下が好ましく、30%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましく、5%以下、3%以下、1%以下または0であってもよい。
第二ハードコート層に含まれる無機微粒子の材料および形状の好ましい形態は、第一ハードコート層の無機微粒子について前述したものと同様である。
ハードコート層の耐屈曲性向上の観点から、第二ハードコート層112における無機微粒子の含有量は、固形分全量(バインダと微粒子の合計)に対して、80重量%以下が好ましく、70重量%以下がより好ましく、60重量%以下がさらに好ましく、50重量%以下または40重量%以下であってもよい。
後述のように、第二ハードコート層112は無機微粒子を含まないものであってもよい。ハードコート層11の硬度を高める観点においては、第二ハードコート層112は無機微粒子を含むことが好ましく、第二ハードコート層112における無機微粒子の含有量は、固形分全量に対して5重量%以上が好ましく、10重量%以上がより好ましく、15重量%以上、20重量%以上または25重量%以上であってもよい。
第二ハードコート層112の無機微粒子の重量濃度は、第一ハードコート層111の無機微粒子の重量濃度と同じでもよく、第一ハードコート層111の無機微粒子の重量濃度よりも大きくてもよく、第一ハードコート層111の無機微粒子の重量濃度よりも小さくてもよい。
(第二ハードコート層の第2形態)
1つの実施形態では、第二ハードコート層112の無機微粒子の重量濃度が、第一ハードコート層111の無機微粒子の重量濃度よりも小さく、第二ハードコート層112は微粒子を含まないものであってもよい。第二ハードコート層の微粒子濃度が小さいことにより、ハードコート層の全体(バルク)の微粒子濃度が、第一ハードコート層の微粒子の濃度よりも小さくなり、ハードコート層の耐屈曲性が向上する場合がある。換言すると、第一ハードコート層111の無機微粒子の重量濃度が、ハードコート層11全体の無機微粒子の重量濃度よりも大きいことにより、ハードコート層11の耐屈曲性を低下させることなく、無機薄膜5との密着性を向上できる。第二ハードコート層112の無機微粒子の重量濃度は、第一ハードコート層111の無機微粒子の重量濃度の0.9倍以下、0.8倍以下、0.7倍以下、0.6倍以下、0.5倍以下、0.4倍以下、0.3倍以下または0.2倍以下であってもよく、第二ハードコート層112は無機微粒子を含まないものであってもよい。
第二ハードコート層が無機微粒子を含む場合、その平均一次粒子径D2は、第一ハードコート層111の無機微粒子の平均一次粒子径D1と同じでもよく、D1よりも大きくてもよく、D1よりも小さくてもよい。ハードコート層の割れやクラックの発生を抑制する観点から、上記の第1形態と同様、D2は、D1よりも小さいことが好ましく、30nm未満が好ましく、28nm以下がより好ましく、25nm以下または20nm以下であってもよい。無機微粒子の分散性を確保する観点から、D2は5nm以上が好ましく、10nm以上であってもよい。
第2形態において、第二ハードコート層112の無機微粒子の種類、粒子径の分布、および含有量(重量濃度)の好ましい範囲は、第1形態について上述したものと同様である。
(ハードコート層の形成)
バインダー樹脂成分(バインダー樹脂を形成するための硬化性樹脂成分)および無機微粒子を含むハードコート層形成用組成物を、フィルム基材上に塗布し、バインダー樹脂成分を硬化することによりハードコート層11が形成される。フィルム基材10上に、第二ハードコート層112を形成した後、第二ハードコート層112上に第一ハードコート層111を形成することにより、フィルム基材10上に、第二ハードコート層112および第一ハードコート層111を順に備えるハードコートフィルム1が得られる。
多層ダイ等を用いて、2層以上のハードコート層を同時に形成してもよい。第二ハードコート層の形成前、および/または第二ハードコート層を形成後第一ハードコート層の形成前に、他のハードコート層を形成して、3層以上の積層構成を有するハードコート層を形成してもよい。
ハードコート層のバインダー樹脂としては、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等の硬化性樹脂が好ましく用いられる。硬化性樹脂の種類としてはポリエステル系、アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、アミド系、シリコーン系、シリケート系、エポキシ系、メラミン系、オキセタン系、アクリルウレタン系等が挙げられる。これらの中でも、硬度が高く、光硬化が可能であることから、アクリル系樹脂、アクリルウレタン系樹脂、およびエポキシ系樹脂が好ましい。
光硬化性のバインダー樹脂成分は、2個以上の光重合性(好ましくは紫外線重合性)の官能基を有する多官能化合物を含む。多官能化合物はモノマーでもオリゴマーでもよい。光重合性の多官能化合物としては、1分子中に2個以上の(メタ)アクリロイル基を含む化合物が好ましく用いられる。
第一ハードコート層のバインダー樹脂の組成と第二ハードコート層のバインダー樹脂の組成は同一でもよく異なっていてもよい。
ハードコート層形成用組成物は、上記のバインダー樹脂成分および無機微粒子を含み、必要に応じてバインダー樹脂成分を溶解可能な溶媒を含む。第二ハードコート層が無機微粒子を含まない場合は、第二ハードコート層形成用の組成物には無機微粒子を含める必要はない。
バインダー樹脂成分が硬化性樹脂である場合は、組成物中に、適宜の重合開始剤が含まれていることが好ましい。例えば、バインダー樹脂成分が光硬化型樹脂である場合には、組成物中に光重合開始剤が含まれることが好ましい。ハードコート層形成用組成物は、上記の他に、レベリング剤、チクソトロピー剤、帯電防止剤、ブロッキング防止剤、分散剤、分散安定剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、消泡剤、増粘剤、界面活性剤、滑剤等の添加剤を含んでいてもよい。
フィルム基材上にハードコート層形成用組成物を塗布し、必要に応じて溶媒の除去および樹脂の硬化を行うことにより、ハードコート層が形成される。ハードコート層形成用組成物の塗布方法としては、バーコート法、ロールコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、スロットオリフィスコート法、カーテンコート法、ファウンテンコート法、コンマコート法等の任意の適切な方法を採用し得る。上記の様に、多層ダイ等を用いて、フィルム基材上に2層以上を同時に塗布してもよい。
塗布後の加熱温度は、ハードコート層形成用組成物の組成等に応じて、適切な温度に設定すればよく、例えば、50℃~150℃程度である。バインダー樹脂成分が光硬化性樹脂である場合は、紫外線等の活性エネルギー線を照射することにより光硬化が行われる。照射光の積算光量は、好ましくは100~500mJ/cm程度である。
第二ハードコート層と第一ハードコート層を順に製膜する場合は、第二ハードコート層の硬化前に第一ハードコート層を塗布してもよく、第二ハードコート層を硬化後に第一ハードコート層を塗布してもよい。第二ハードコート層を塗布し、溶媒を除去後に第一ハードコート層の塗布および溶媒の除去を行い、第二ハードコート層の硬化と第一ハードコート層の硬化を同時に実施してもよい。
ハードコート層11上に無機薄膜5を形成する前に、ハードコート層11の表面(第一ハードコート層111の表面)の表面処理を行ってもよい。表面処理としては、コロナ処理、プラズマ処理、フレーム処理、オゾン処理、プライマー処理、グロー処理、アルカリ処理、酸処理、カップリング剤による処理等の表面改質処理が挙げられる。表面処理として真空プラズマ処理を行ってもよい。
表面処理によりハードコート層をエッチングして、ハードコート層11の表面粗さを調整することもできる。例えば、高放電電力で真空プラズマ処理を行えば、ハードコート層表面の樹脂成分が選択的にエッチングされやすく、無機微粒子はほとんどエッチングされずに残存するため、ハードコート層表面およびその近傍における無機微粒子の存在比率が高くなり、ハードコート層表面の算術平均高さSaが大きくなる傾向がある。
真空プラズマ処理における雰囲気ガスとしては、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等の不活性ガスが好ましく、中でもアルゴンが好ましい。真空プラズマ処理における放電電力は、例えば、0.08~4kW程度である。放電電力が過度に高いと、バインダー樹脂のエッチングが過度に進行して、ハードコート層表面の凹凸の粗大化や、無機微粒子の脱落が生じやすく、密着性の低下を招く場合がある。放電電力が過度に低いと、放電が不安定になり処理面の均一性の低下を招く場合がある。そのため、真空プラズマ処理における放電電力は、1kW以下が好ましく、0.5kW以下がより好ましい。処理時間は、0.05~1.0秒程度が好ましく、0.1~0.6秒がより好ましい。放電時のエネルギー密度は、0.1~5.0kW/m程度が好ましく、0.15~2.0kW/mがより好ましい。
(ハードコート層の厚み)
前述のように、ハードコート層11の厚みは、好ましくは7~50μmである。ハードコート層11が第一ハードコート層111と第二ハードコート層112の2層構成の場合は、第一ハードコート層111の厚みと第二ハードコート層112の厚みの合計が上記範囲であることが好ましい。
ハードコート層11上に無機薄膜5を備える光学積層体の硬度は、ハードコート層11の最表面層であり、無機薄膜5の下地である、第一ハードコート層111の影響が大きい。平均一次粒子径D1が30~70nmの無機微粒子を含む第一ハードコート層111の厚みが大きいほど、硬度が高くなる傾向がある。そのため、第一ハードコート層111の厚みは、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、2.5μm以上、3μm以上、4μm以上または5μm以上であってもよい。一方、第一ハードコート層111の厚みが過度に大きいと、ハードコート層の耐屈曲性の低下や、表面形状の平滑化(Saの減少)に伴う無機薄膜の密着性低下の原因となる場合がある。そのため、第一ハードコート層111の厚みは、15μm以下が好ましく、12μm以下がより好ましく、10μm以下または8μm以下であってもよい。
ハードコート層の耐屈曲性を高めるためには、第一ハードコート層111は、無機薄膜との密着性および表面硬度を確保可能な範囲で、できる限り厚みが小さいことが好ましい。第一ハードコート層111の厚みは、ハードコート層11の全体の厚みの50%以下が好ましく、40%以下、30%以下または25%以下であってもよい。硬度向上の観点から、第一ハードコート層111の厚みは、ハードコート層11の全体の厚みの5%以上が好ましく、10%以上がより好ましく、15%以上または20%以上であってもよい。
ハードコート層11の耐屈曲性を向上しつつ、硬度を高める観点から、第二ハードコート層112の厚みは、5μm以上が好ましく、8μm以上がより好ましく、10μm以上、12μm以上または14μm以上であってもよい。ハードコート層の厚みの均一化および耐屈曲性向上の観点から、第二ハードコート層112の厚みは、30μm以下が好ましく、25μm以下がより好ましく、22μm以下または20μm以下であってもよい。
ハードコート層の耐屈曲性を高めるためには、第一ハードコート層111の厚みは第二ハードコート層112の厚みよりも小さいことが好ましい。第一ハードコート層111の厚みは、第二ハードコート層112の厚みの0.9倍以下、0.8倍以下、0.7倍以下、0.6倍以下、0.5倍以下、0.4倍以下または0.3倍以下であってもよい。硬度向上の観点から、第一ハードコート層111の厚みは、第二ハードコート層112の厚みの0.1倍以上が好ましく、0.15倍以上、0.2倍以上または0.25倍以上であってもよい。
(ハードコート層の微粒子の分布)
本発明においては、ハードコート層11の無機薄膜5との界面近傍に、粒子径が30~70nm程度である無機微粒子が相対的に多く存在することにより、ハードコート層11の耐屈曲性を維持しつつ、表面硬度および無機薄膜との密着性を向上できる。
ハードコート層11の表面(無機薄膜5との界面)から厚み方向に1μmの範囲における無機微粒子の平均一次粒子径Daは、30~70nmが好ましく、35~65nm、または40~60nmであってもよい。ハードコート層11全体に含まれる無機微粒子の平均一次粒子径Dは、Daよりも小さいことが好ましい。
前述の通り、ハードコート層11の表面から厚み方向に1μmの範囲における無機微粒子の含有量(重量濃度)は、20重量%以上が好ましく、30~97重量%より好ましく、40重量~96重量%がさらに好ましく、50重量%以上、60重量%以上、70重量%以上、75重量%以上または80重量%以上であってもよく、95重量%以下、93重量%以下または90重量%以下であってもよい。ハードコート層11の表面から厚み方向に1μmの範囲における無機微粒子の重量濃度は、ハードコート層11全体の無機微粒子の重量濃度よりも大きくてもよい。ハードコート層11において、無機微粒子は、表面(無機薄膜5との界面)近傍に偏在していてもよい。
ハードコート層11の断面において、表面から厚み方向に1μmの範囲における無機微粒子が占める面積比率は、20~97%が好ましく、30~95%がより好ましく、40%以上、50%以上、60%以上、70%以上、75%以上または80%以上であってもよく、93%以下または90%以下であってもよい。
<裏面ハードコート層>
前述のように、ハードコートフィルムは、フィルム基材10の一方の主面(無機薄膜5形成面)に前面ハードコート層11を備え、フィルム基材10の他方の面に裏面ハードコート層12を備えていてもよい。裏面ハードコート層12が設けられることにより、光学積層体全体の硬度が高められ、無機薄膜5側の表面硬度が向上する場合がある。
裏面ハードコート層12の組成は特に限定されず、微粒子を含んでいてもよく含んでいなくてもよい。裏面ハードコート層12は単層でもよく、2層以上の積層構成でもよい。硬度向上の観点から、裏面ハードコート層12の厚みは、1μm以上が好ましく、2μm以上がより好ましく、3μm以上、4μm以上または5μm以上であってもよい。
裏面ハードコート層12の厚みは、40μm以下、30μm以下または20μm以下であってもよい。裏面ハードコート層12の厚みは、前面ハードコート層11の厚みよりも小さくてもよい。裏面ハードコート層の厚みは、前面ハードコート層11の厚みの0.9倍以下、0.8倍以下、0.7倍以下、0.6倍以下、0.5倍以下、0.4倍以下、または0.3倍以下であってもよい。表面硬度向上の観点から、裏面ハードコート層12が設けられる場合、その厚みは、前面ハードコート層11の厚みの0.1倍以上が好ましく、0.2倍以上または0.25倍以上であってもよい。
[無機薄膜]
ハードコートフィルム1のハードコート層11上に無機薄膜5を形成することにより、光学積層体が得られる。無機薄膜の材料としては、金属や金属化合物(金属または半金属の酸化物、窒化物、炭化物、硫化物、フッ化物等)等が挙げられる。無機薄膜は、導電性でも絶縁性でもよく、半導体でもよい。ハードコート層上に無機薄膜が設けられることにより、各種の機能が付与される。例えば、図1に示すように、無機薄膜として屈折率の異なる複数の薄膜を積層することにより、反射防止層が形成され、ハードコート付き反射防止フィルムが得られる。無機薄膜5の膜厚(複数の薄膜を含む場合は合計膜厚)は、例えば1nm~1μm程度であり、薄膜の種類や光学積層体の機能等に応じて、適宜に調整すればよい。
<反射防止層>
以下では、無機薄膜として、屈折率の異なる複数の薄膜からなる反射防止層を形成する実施形態について説明する。
一般に、反射防止層は、入射光と反射光の逆転した位相が互いに打ち消し合うように、薄膜の光学膜厚(屈折率と厚みの積)が調整される。屈折率の異なる複数の薄膜の多層積層体により、可視光の広帯域の波長範囲において、反射率を小さくできる。反射防止層5を構成する薄膜の材料としては、金属の酸化物、窒化物、フッ化物等の無機材料が挙げられる。反射防止層5は、好ましくは、高屈折率層と低屈折率層の交互積層体である。空気界面での反射を低減するために、反射防止層5の最外層(ハードコートフィルム1から最も離れた層)として設けられる薄膜54は、低屈折率層であることが好ましい。
高屈折率層51,53は、例えば屈折率が1.9以上、好ましくは2.0以上である。高屈折率材料としては、酸化チタン、酸化ニオブ、酸化ジルコニウム、酸化タンタル、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、アンチモンドープ酸化スズ(ATO)等が挙げられる。中でも、酸化チタンまたは酸化ニオブが好ましい。低屈折率層52,54は、例えば屈折率が1.6以下、好ましくは1.5以下である。低屈折率材料としては、酸化シリコン、窒化チタン、フッ化マグネシウム、フッ化バリウム、フッ化カルシウム、フッ化ハフニウム、フッ化ランタン等が挙げられる。中でも酸化シリコンが好ましい。特に、高屈折率層としての酸化ニオブ(Nb)薄膜51,53と、低屈折率層としての酸化シリコン(SiO)薄膜52,54とを交互に積層することが好ましい。低屈折率層と高屈折率層に加えて、屈折率1.6~1.9程度の中屈折率層が設けられてもよい。
高屈折率層および低屈折率層の膜厚は、それぞれ、5~200nm程度であり、15~150nm程度が好ましい。屈折率や積層構成等に応じて、可視光の反射率が小さくなるように、各層の膜厚を設計すればよい。例えば、高屈折率層と低屈折率層の積層構成としては、ハードコートフィルム1側から、光学膜厚25nm~55nm程度の高屈折率層51、光学膜厚35nm~55nm程度の低屈折率層52、光学膜厚80nm~240nm程度の高屈折率層53、および光学膜厚120nm~150nm程度の低屈折率層54の4層構成が挙げられる。
反射防止層5は、好ましくは、ハードコートフィルム1のハードコート層11と接する面に無機プライマー層50を備え、その上に、高屈折率層および低屈折率層を備える。無機微粒子による表面凹凸が形成されたハードコート層11に接して無機プライマー層50を設け、無機プライマー層50上に接して高屈折率層や低屈折率層等の無機薄膜を設けることにより、層間の密着性に優れ、紫外線等の光に長時間晒された場合でも無機薄膜の剥離が生じ難い光学積層体(反射防止フィルム)が得られる。
プライマー層50を構成する無機材料としては、例えば、シリコン、ニッケル、クロム、スズ、インジウム、金、銀、白金、亜鉛、チタン、タングステン、アルミニウム、ジルコニウム、パラジウム等の金属;これらの金属の合金;これらの金属の酸化物、フッ化物、硫化物または窒化物;等の無機材料が挙げられる。中でも、プライマー層の無機材料は酸化物が好ましく、中でも、Si,In,Sn,Zn,Ti等の金属を含むものが好ましい。プライマー層50は、化学量論組成よりも酸素量が少ない無機酸化物層であってもよい。
無機プライマー層50の厚みは、例えば、1~20nm程度であり、好ましくは2~15nm、より好ましくは3~10nmである。無機プライマー層の膜厚が上記範囲であれば、ハードコート層11との密着性と高い光透過性とを両立できる。
反射防止層5を構成する薄膜の成膜方法は特に限定されず、ウェットコーティング法、ドライコーティング法のいずれでもよい。膜厚が均一な薄膜を形成できることから、真空蒸着、CVD,スパッタ、電子線蒸等のドライコーティング法が好ましい。中でも、膜厚の均一性に優れ、かつ緻密な膜を形成しやすいことから、スパッタ法が好ましい。
スパッタ法では、ロールトゥーロール方式により、長尺のハードコートフィルムを一方向(長手方向)に搬送しながら、薄膜を連続成膜できる。そのため、ハードコートフィルム上に無機薄膜を備える光学積層体無機薄膜フィルムの生産性を向上できる。特に、ハードコート層上に、反射防止層等の複数の薄膜を形成する場合は、フィルム搬送方向に沿って複数のターゲットを配置することにより、複数の薄膜を連続成膜可能であるため、ロールトゥーロールスパッタにより無機薄膜を成膜することが好ましい。反射防止フィルムの生産性を向上するためには、反射防止層5を構成する全ての薄膜をスパッタ法により成膜することが好ましい。
スパッタ法では、アルゴン等の不活性ガス、および必要に応じて酸素等の反応性ガスをチャンバー内に導入しながら成膜が行われる。スパッタ法による酸化物層の成膜は、酸化物ターゲットを用いる方法、および金属ターゲットを用いた反応性スパッタのいずれでも実施できる。高レートで金属酸化物を成膜するためには、金属ターゲットを用いた反応性スパッタが好ましい。
無機薄膜5の表面(ハードコート層11と反対側の面)の算術平均高さSaは、1.0nm以上が好ましく、1.5nm以上がより好ましく、2.0nm以上がさらに好ましく、2.5nm以上、3.0nm以上、3.5nm以上、4.0nm以上または4.5nm以上であってもよい。スパッタ法等のドライプロセスにより無機薄膜5を成膜すると、無機薄膜5の表面には、下地となるハードコート層11の表面形状を反映した凹凸形状が形成されやすい。前述のように、ハードコート層11(第一ハードコート層111)が無機微粒子を含み、表面に凹凸が形成されているため、無機薄膜5も、ハードコート層11の無機微粒子による凹凸形状を反映した表面形状が形成されやすい。無機薄膜5の表面の算術平均高さSaは、8nm以下が好ましく、7.5nm以下がより好ましく、7nm以下がさらに好ましく、6nm以下または5.5nm以下であってもよい。
[無機薄膜への付加層]
光学積層体は、無機薄膜5上に、付加的な機能層を備えていてもよい。例えば、画像表示装置の最表面に配置される反射防止フィルムや、窓ガラスやショーウィンドウに貼り合わせられる日射調整フィルム等は、外部環境からの汚染(指紋、手垢、埃等)の影響を受けやすい。特に、反射防止フィルム100の最表面に、低屈折率層54として酸化シリコン層が配置されている場合は、酸化シリコンの濡れ性が高く、指紋や手垢等の汚染物質が付着しやすい。そのため、外部環境からの汚染防止や、付着した汚染物質の除去を容易とする等の目的で、反射防止層5上に防汚層(不図示)を設けてもよい。
反射防止フィルムの表面に防汚層を設ける場合は、界面での反射を低減する観点から、反射防止層5の最表面の低屈折率層54と防汚層との屈折率差が小さいことが好ましい。防汚層の屈折率は、1.6以下が好ましく、1.55以下がより好ましい。防汚層の材料としては、フッ素基含有のシラン系化合物や、フッ素基含有の有機化合物等が好ましい。防汚層は、リバースコート法、ダイコート法、グラビアコート法等のウエット法や、CVD法等のドライ法等により形成できる。防汚層の厚みは、通常、1~100nm程度であり、好ましくは2~50nm、より好ましくは3~30nmである。
[反射防止フィルムの使用形態]
光学積層体の一形態である反射防止フィルムは、例えば液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等の画像表示装置の表面に配置して用いられる。例えば、液晶セルや有機ELセル等の画像表示媒体を含むパネルの視認側表面に反射防止フィルムを配置することにより、外光の反射を低減して、画像表示装置の視認性を向上できる。
上記のハードコート層上に無機薄膜が形成された反射防止フィルム等の光学積層体は、ハードコート層の厚みが大きいために表面硬度が高く、無機薄膜との界面においてハードコート層が所定の粒子径の無機微粒子を含むことにより、無機薄膜の密着性に優れている。そのため、光学積層体は、耐衝撃性および耐摺動性が高く、ガラス等の剛性のカバー層を設けない画像表示装置や、ペンタッチ方式の位置検出手段を備える画像表示装置にも好適に用いられる。
前述のように、複数のフィルムの積層体をフィルム基材10として、その上にハードコート層11および反射防止層5を形成してもよい。また、フィルム基材10上にハードコート層11および反射防止層5を形成後に、フィルム基材10のハードコート層非形成面に他のフィルムを貼り合わせてもよい。例えば、フィルム基材10のハードコート層非形成面に、偏光子を貼り合わせることにより、反射防止層付き偏光板を形成できる。
偏光子としては、ポリビニルアルコール系フィルム、部分ホルマール化ポリビニルアルコール系フィルム、エチレン・酢酸ビニル共重合体系部分ケン化フィルム等の親水性高分子フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて一軸延伸したもの、ポリビニルアルコールの脱水処理物やポリ塩化ビニルの脱塩酸処理物等のポリエン系配向フィルム等が挙げられる。
中でも、高い偏光度を有することから、ポリビニルアルコールや、部分ホルマール化ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール系フィルムに、ヨウ素や二色性染料等の二色性物質を吸着させて所定方向に配向させたポリビニルアルコール(PVA)系偏光子が好ましい。例えば、ポリビニルアルコール系フィルムに、ヨウ素染色および延伸を施すことにより、PVA系偏光子が得られる。PVA系偏光子として、厚みが10μm以下の薄型の偏光子を用いることもできる。薄型の偏光子としては、例えば、特開昭51-069644号公報、特開2000-338329号公報、WO2010/100917号パンフレット、特許第4691205号明細書、特許第4751481号明細書等に記載されている薄型偏光膜を挙げることができる。このような薄型偏光子は、例えば、PVA系樹脂層と延伸用樹脂基材とを積層体の状態で延伸する工程と、ヨウ素染色する工程とを含む製法により得られる。
偏光子の表面には、偏光子の保護等を目的として透明保護フィルムが設けられていてもよい。透明保護フィルムは、偏光子の一方の面にのみ貼り合わせられていてもよく、両面に貼り合わせられていてもよい。一般には、偏光子の反射防止フィルム付設面と反対側の面に透明保護フィルムが設けられる。偏光子の反射防止フィルム付設面では、反射防止フィルムが透明保護フィルムとしての機能を兼ね備えるため、透明保護フィルムを設ける必要はないが、偏光子と反射防止フィルムとの間に、透明保護フィルムが設けられていてもよい。
透明保護フィルムの材料としては、透明フィルム基材の材料として前述したものと同様の材料が好ましく用いられる。偏光子と透明フィルムとの貼り合わせには、接着剤を用いることが好ましい。接着剤としては、アクリル系重合体、シリコーン系ポリマー、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルアルコール、ポリビニルエーテル、酢酸ビニル/塩化ビニルコポリマー、変性ポリオレフィン、エポキシ系ポリマー、フッ素系ポリマー、ゴム系ポリマー等をベースポリマーとするものを適宜に選択して用いることができる。PVA系偏光子の接着には、ポリビニルアルコール系の接着剤が好ましく用いられる。
以下に、実施例を挙げて本発明をより詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
<ハードコートフィルムの作製>
厚み80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士フィルム製「フジタック」)の片面に、平均一次粒子径15nmのナノシリカ粒子を全固形分に対して40重量%含有するハードコート樹脂組成物(荒川化学工業製「オプスタ― Z7540」)を、乾燥後の厚みが10μmとなるように塗布し、80℃で3分間乾燥した。その後、高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射して、塗布層を硬化してハードコート層(第二ハードコート層)を形成した。
上記のハードコート層上に、平均一次粒子径45nmのナノシリカ粒子を全固形分に対して60重量%含有するハードコート樹脂組成物(荒川化学工業製「NC035」)を、乾燥後の厚みが5μmとなるように塗布し、80℃で3分間乾燥した。その後、高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射し、塗布層を硬化させ、ハードコート層(第一ハードコート層)を形成し、TACフィルム基材上に2層構成のハードコート層(合計厚み15μm)を備えるハードコートフィルムを得た。
<反射防止層の形成>
(ハードコート層の表面処理)
0.5Paの真空雰囲気下でハードコートフィルムを搬送しながら、放電電力0.2kWにてハードコート層の表面にアルゴンプラズマ処理を行った。
(無機プライマー層および反射防止層の形成)
プラズマ処理後のハードコートフィルムをロールトゥートール方式のスパッタ成膜装置に導入し、槽内を1×10-4Paまで減圧した後、フィルムを走行させながら、圧力が0.4Paとなるように、アルゴンガスと酸素ガスを98:2の体積比で導入し、基板温度20℃で、DCスパッタ法により厚み3nmのITOプライマー層を形成した。ITOプライマー層の形成には、ターゲット材料として、酸化インジウムと酸化スズとを90:10の重量比で含有する焼結ターゲットを用いた。
続いて、ITOプライマー層上に、反射防止層として、16nmのNb層、19nmのSiO層、102nmのNb層および71nmのSiO層を順に成膜して、反射防止フィルムを作製した。Nb層の成膜には、Nbターゲットを用い、SiO層の成膜には、Siターゲットを用いた。Nb層およびSiO層の成膜においては、スパッタガスとしてアルゴンおよび酸素を用い、プラズマ発光モニタリング(PEM)制御により、成膜モードが遷移領域を維持するように導入する酸素量を調整した。
[実施例2~4]
ハードコート層の厚みを表1に示すように変更したこと以外は、実施例1と同様にして、ハードコート層の形成、表面処理、ならびにITOプライマー層および反射防止層の形成を行った。
[実施例5]
実施例3と同様にTACフィルムの一方の面に2層構成のハードコート層を形成した後、TACフィルムの他方の面に、ハードコート樹脂組成物(荒川化学工業製「オプスタ― Z7540」)を用いて、厚みが10μmのハードコート層を形成した。その後、実施例1と同様にして、2層構成のハードコート層の表面処理を行い、その上にITOプライマー層および反射防止層を形成した。
[実施例6]
ハードコート層の厚みを表1に示すように変更したこと以外は、実施例5と同様にして、両面にハードコート層を備えるハードコートフィルム上に、ITOプライマー層および反射防止層を形成した。
[比較例1]
厚み80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(富士フィルム製「フジタック」)の片面に、平均一次粒子径45nmのナノシリカ粒子を全固形分に対して50重量%含有するハードコート樹脂組成物を、乾燥後の厚みが4μmとなるように塗布し、80℃で3分間乾燥した。その後、高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射して、塗布層を硬化してハードコート層を形成した。
上記の1層からなるハードコート層を備えるハードコートフィルムを用い、実施例1と同様にして、ハードコート層の表面処理、ならびにITOプライマー層および反射防止層の形成を行った。
[比較例2,3]
比較例2では、ハードコート組成物として、平均一次粒子径15nmのナノシリカ粒子を全固形分に対して40重量%含有するハードコート樹脂組成物(荒川化学工業製「オプスタ― Z7540」)を用いた。比較例3では、ハードコート組成物として、平均一次粒子径45nmのナノシリカ粒子を全固形分に対して60重量%含有するハードコート樹脂組成物(荒川化学工業製「NC035」)を用いた。これらのハードコート組成物を用い、ハードコート層の厚みを表1に示すように変更したこと以外は、比較例1と同様にして、ハードコート層の形成、表面処理、ならびにITOプライマー層および反射防止層の形成を行った。
[評価]
<ハードコート層の粒子径>
第一ハードコート層の微粒子の平均一次粒子径D1および第二ハードコート層の微粒子の平均一次粒子径D2は、それぞれのハードコート層の形成に用いた組成物に含まれる微粒子の平均一次粒子径を、そのままハードコート層の微粒子の粒子径とした。いずれの例においても、第一ハードコート層(最表面のハードコート層)の厚みが1μm以上であるため、ハードコート層の表面から厚み方向に1μmの範囲における微粒子の平均一次粒子径Daは、第一ハードコート層の微粒子の平均一次粒子径D1と同一とした。実施例1~6のハードコート層全体の微粒子の平均一次粒子径Dは、第一ハードコート層および第二ハードコート層の微粒子の平均一次粒子径D1,D2,各層における微粒子の含有量、および厚みの比率に基づいて計算した。
<鉛筆硬度>
JIS K5600-5-4の鉛筆硬度試験に準じ、荷重500gの条件で、反射防止層表面の鉛筆硬度を測定した。
<耐屈曲性>
反射防止フィルムを100mm×100mmの正方形に切り出し、TACフィルム側の面(反射防止層非形成面)を内側として、直径35mmの円柱形状の棒に巻き付け、反射防止フィルム(ハードコート層)のクラックの有無を目視にて観察した。クラックが確認されなかったものをOK、クラックが発生していたものをNGとした。
<密着性試験(促進耐光試験)>
反射防止フィルムのフィルム基材側の面(反射防止層非形成面)に、透明アクリル粘着剤を介してガラス板を貼り合わせ、スガ試験機製「紫外線フェードメーターU48」を用いて、温度40℃、湿度20%、放射強度(300~700nm積算照度)500±50W/mの条件で、500時間および750時間の促進耐光試験を実施した。
促進耐久試験後の試料の反射防止層表面に1mm間隔で切り目を入れ、100マスの碁盤目を形成した。次いで、反射防止層の表面が乾燥しないように、イソプロピルアルコール2mLを連続的に滴下し、20mm角のSUS製治具に固定したポリエステルワイパー(サンプラテック製「アンティコンゴールド」)を碁盤目上で摺動させた(荷重:1.5kg、1000往復)。反射防止層がマスの面積の1/4以上の領域で剥離している碁盤目の個数をカウントし、以下の基準に従い、密着性を評価した。
A:剥離碁盤目数が10個以内
B:剥離碁盤目数が11~30個
C:剥離碁盤目数が31個以上
[評価結果]
上記の実施例および比較例の反射防止フィルムにおけるハードコート層の構成(各層の微粒子含有量、微粒子の平均一次粒子径および厚み)、および反射防止フィルムの評価結果を表1に示す。
Figure 0007455777000001
ハードコート層の厚みが4μmである比較例1では、鉛筆硬度が3Hであり、表面硬度が十分ではなかった。ハードコート層が厚み20μmの単層であり、平均一次粒子径が15nmである比較例2では、比較例1に比べると鉛筆硬度が向上していたが、微粒子の粒子径が小さいために、反射防止層の密着性が低下していた。ハードコート層が厚み15μmの単層であり、平均一次粒子径が45nmである比較例3では、反射防止層と密着性は比較例1と同等であり、鉛筆硬度が向上していたが、耐屈曲性が低下していた。
実施例1~5では、5H以上の高い鉛筆硬度を示し、かつ耐屈曲性および密着性のいずれも良好であった。第一ハードコート層の厚みが大きい実施例2では、他の実施例よりも表面硬度がさらに向上していたが、反射防止層の密着性は低下していた。実施例2では、第一ハードコート層の厚みの増大に伴って、表面凹凸が小さくなったことが密着性に関与していると考えられる
以上の結果から、相対的に粒子径の小さい第二ハードコート層上に、相対的に粒子径の大きい第一ハードコート層を設けてハードコート層の厚みを大きくすることにより、硬度が高く、ハードコート層と無機薄膜との密着性に優れ、かつ耐屈曲性に優れる積層体が得られることが分かる。
1,2 ハードコートフィルム
10 フィルム基材
11,12 ハードコート層
5 無機薄膜(反射防止層)
50 無機プライマー層
51,53 低屈折率層
52,54 高屈折率層
100,101 光学積層体(反射防止フィルム)

Claims (10)

  1. 第一主面および第二主面を有するフィルム基材の第一主面上に、前面ハードコート層と、前面ハードコート層に接して設けられた無機薄膜とを順に備える光学積層体であって、
    前記前面ハードコート層は、前記無機薄膜に接する第一ハードコート層、および前記第一ハードコート層よりも前記フィルム基材に近い側に配置された第二ハードコート層2層からなる積層構成であり、
    前記前面ハードコート層の厚みが10~30μmであり、前記第一ハードコート層の厚みが1~12μmであり、前記第二ハードコート層の厚みが8~25μmであり、
    前記第一ハードコート層および前記第二ハードコート層は無機微粒子を含み、
    前記第一ハードコート層の無機微粒子の平均一次粒子径D1が30~70nmであり、前記第二ハードコート層の無機微粒子の平均一次粒子径D2が5nm以上30nm未満であり、
    前記第一ハードコート層の無機微粒子の重量濃度が20~80重量%であり、前記第二ハードコート層の無機微粒子の重量濃度が5~50重量%であり、前記第二ハードコート層の無機微粒子の重量濃度が前記第一ハードコート層の無機微粒子の重量濃度よりも小さい、
    光学積層体。
  2. 前記第一ハードコート層の厚みが、前記第二ハードコート層の厚みよりも小さい、請求項1に記載の光学積層体。
  3. 前記前面ハードコート層は、前記無機薄膜と接する面の算術平均高さSaが、1.0nm以上である、請求項1または2に記載の光学積層体。
  4. 前記第一ハードコート層および前記第二ハードコート層に含まれる無機微粒子がシリカ粒子である、請求項1~のいずれか1項に記載の光学積層体。
  5. 前記フィルム基材の第二主面上に裏面ハードコート層を備える、請求項1~のいずれか1項に記載の光学積層体。
  6. 前記無機薄膜は、屈折率の異なる複数の無機薄膜からなる反射防止層である、請求項1~のいずれか1項に記載の光学積層体。
  7. 前記反射防止層は、前記前面ハードコート層に接する面に無機プライマー層を備える、請求項に記載の光学積層体。
  8. 前記無機プライマー層が、Si,In,Sn,ZnおよびTiからなる群から選択される1種以上の元素の酸化物を含む、請求項に記載の光学積層体。
  9. 前記無機薄膜上に、さらに防汚層を備える、請求項1~のいずれか1項に記載の光学積層体。
  10. 画像表示媒体の視認側表面に、請求項1~のいずれか1項に記載の光学積層体が配置されている、画像表示装置。
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