JP2013142793A - ハードコートフィルム及びその製造方法、反射防止フィルム - Google Patents

ハードコートフィルム及びその製造方法、反射防止フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】高硬度であることに加えて、中乃至高屈折率層として機能できる高屈折率性を兼ね備え、透明性にも優れたハードコート層を有するハードコートフィルム、その製造方法、及び該ハードコートフィルムを用いた反射防止フィルムを提供する。
【解決手段】透明基材上に、ハードコート層を設けたハードコートフィルムであって、前記ハードコート層は、平均粒径5〜50nmの金属酸化物微粒子を含有し、当該ハードコート層内において、前記金属酸化物微粒子が、ハードコート層の上面側界面に沿って面方向に平坦な広がりをもち、厚み方向には当該金属酸化物微粒子の平均粒径1〜2個分の領域的広がりをもって、高密度に分布し、当該ハードコート層の屈折率が1.545〜1.560であることを特徴とする、ハードコートフィルム。
【選択図】図1

Description

本発明はハードコートフィルム及びその製造方法、反射防止フィルムに関する。
液晶ディスプレイ、CRTディスプレイ、プロジェクションディスプレイ、プラズマディスプレイ、エレクトロルミネッセンスディスプレイ、反射スクリーン等の画像表示装置における画像表示面は、取り扱い時に傷がつかないように、耐擦傷性を付与することが要求される。
これに対して、基材にハードコート(以下、HCともいうことがある)層を設けたハードコートフィルムや光学フィルムを利用することにより、画像表示装置の画像表示面の耐擦傷性を向上させることが一般になされている。
ハードコート層は硬化後硬度の高いバインダー成分を用いて形成するが、バインダー成分のみが硬化したハードコート層は耐擦傷性や硬度が不十分となることが多いため、バインダー成分に加えて高硬度微粒子を含む組成物を硬化させてハードコート層を形成することにより光学シートの耐擦傷性や硬度を向上させることが一般になされている(例えば特許文献1)。
また、上記の様なディスプレイ等においては、その表示面の視認性を高めるために、蛍光灯などの外部光源から照射された光線の反射が少ないことが求められる。斯かる外部光の反射を抑える方法として、表示面最表面となる層の屈折率を低く、且つ、当該層のディスプレイ側に隣接した層の屈折率を高くした反射防止フィルム等をディスプレイの前面に設ける方法が一般に知られている。
例えば、基材上に高屈折率層と低屈折率層をこの順序で設けたものや、当該基材上に中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層をこの順序で設けたものなどが考えられる。
また、光学フィルムに帯電防止性を付与するために、光学フィルムの機能層として導電性を有する帯電防止層を設けることが一般になされている。
ハードコート性と反射防止性及び/又は帯電防止性を兼ね備えた光学フィルムは、基材上にハードコート層を設け、さらにハードコート層上に上述したような低屈折率の層と高屈折率の層を交互に積層した積層構造を設けたり、導電層を基材とハードコート層の間やハードコート層上に設けることで得られるが、光学フィルムに含まれる機能層の数が多くなると製造の際に工程数が増え、製造コストが高くなってしまう。
機能層の数を増やさずに多機能化する方法として、中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層等の機能層に、他の機能を付与する成分を含有させることが提案されている。例えば特許文献1(請求項13)には、ハードコート層に帯電防止剤を含有させることが記載されている。
特開2008−165040号公報
本発明者らは、ハードコート層に高硬度で且つ高屈折率の微粒子を含有させて、中乃至高屈折率ハードコート層として機能できる高い屈折率を持たせようと試みた。
しかし、ハードコート層はハードコート性能を出す必要があるため、屈折率の調節のみを目的とする中乃至高屈折率層と比べて厚い。そのため、ハードコート層に高硬度で且つ高屈折率の微粒子を含有させて、中乃至高屈折率層として機能できる高い屈折率を持たせようとすると、ハードコート性を出すだけなら充分な量であっても、中乃至高屈折率層として機能させるためには足りないため、ハードコート層の厚さが大きい分だけ当該微粒子の使用量が増えてしまう。
また、ハードコート層は上述したように比較的厚いため、高い屈折率を持たせるために充分な量の高屈折率微粒子を含有させると、透明性が損なわれてしまう。
本発明は、上記事情を鑑みて成し遂げられたものであり、高硬度であることに加えて、中乃至高屈折率層として機能できる高屈折率性を兼ね備え、透明性にも優れたハードコート層を有するハードコートフィルム、その製造方法、及び該ハードコートフィルムを用いた反射防止フィルムを提供することを目的とする。
本発明に係るハードコートフィルムは、透明基材上に、ハードコート層を設けたハードコートフィルムであって、
前記ハードコート層は、平均粒径5〜50nmの金属酸化物微粒子を含有し、
当該ハードコート層内において、前記金属酸化物微粒子が、ハードコート層の上面側界面に沿って面方向に平坦な広がりをもち、厚み方向には当該金属酸化物微粒子の平均粒径1〜2個分の領域的広がりをもって、高密度に分布し、
当該ハードコート層の屈折率が1.545〜1.560であることを特徴とする。
前記ハードコート層を上面側界面に対し垂直に切断して得られた厚さ80nmの切片をSEM観察したときに、当該ハードコート層の上面側界面に沿って金属酸化物微粒子が高密度に分布した領域において前記金属酸化物微粒子が占める割合は65面積%以上であり、当該高密度に分布した領域よりも深い部分において前記金属酸化物微粒子が占める割合は50面積%以下であることが好ましい。
前記金属酸化物微粒子はSb、ATO、ITO、PTO、GZO、ZnSbからなる群より選ばれることが好ましい。
また、本発明に係るハードコートフィルムの製造方法は、下記工程を含むことを特徴とする:
(i)次の第1及び第2ハードコート層用塗工組成物を準備する工程;
<第1ハードコート層用塗工組成物>
電離放射線硬化性樹脂及び溶剤を含み、当該溶剤中にアセトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロルメタン、トリクロルエチレン、1,2−ジクロルエタン、テトラヒドロフランからなる群より選ばれる速乾性溶剤を溶剤全体の50重量%以上80重量%以下の割合で含む第1ハードコート層用塗工組成物、
<第2ハードコート層用塗工組成物>
金属酸化物微粒子、電離放射線硬化性樹脂及び溶剤を含む第2ハードコート層用塗工組成物、
(ii)透明基材上に、前記第1ハードコート層用塗工組成物を塗工する工程;
(iii)前記第1ハードコート層用塗工組成物の塗膜が乾燥する前に、当該塗膜上に第2ハードコート層用塗工組成物を塗工する工程;
(iv)前記第1ハードコート層用塗工組成物の塗膜及び前記第2ハードコート層用塗工組成物の塗膜からなる多層塗膜を乾燥し、硬化する工程。
さらに、本発明に係る反射防止フィルムは、上記ハードコートフィルムのハードコート層上に、直接、又は、高屈折率層及び中屈折率層から選ばれる少なくとも一層を介して、低屈折率層を積層してなることを特徴とする。
本発明に係るハードコートフィルムは、高硬度であることに加えて、中乃至高屈折率層として機能できる高屈折率性を兼ね備え、透明性にも優れる。
また、本発明に係るハードコートフィルムの製造方法は、高硬度であることに加えて、中乃至高屈折率層として機能できる高屈折率性を兼ね備え、透明性にも優れたハードコート層を有するハードコートフィルムを効率よく製造することができる。
さらに、本発明に係る反射防止フィルムは、ハードコートフィルムが高硬度であることに加えて、中乃至高屈折率層として機能できる高屈折率性を兼ね備え、透明性にも優れるため、製造コストを低減でき、且つ、反射防止性、及びハードコート性に優れる。
図1は、本発明に係るハードコートフィルムの層構成を模式的に示した図である。 図2は、本発明に係るハードコートフィルム(実施例1)のHC層内の膜厚方向断面(拡大)における金属酸化物微粒子の分布を示したSEM写真である。 図3は、本発明に係る反射防止フィルムの層構成の一例を模式的に示した断面図である。 図4は、本発明に係る反射防止フィルムの層構成の他の一例を模式的に示した断面図である。 図5は、比較例1で作製されたハードコートフィルムのHC層内の膜厚方向断面(拡大)における金属酸化物微粒子の分布を示したSEM写真である。 図6は、比較例3で作製されたハードコートフィルムのHC層内の膜厚方向断面(拡大)における金属酸化物微粒子の分布を示したSEM写真である。
以下、まず本発明のハードコートフィルムについて説明し、次にハードコートフィルムの製造方法について説明し、更に反射防止フィルムについて説明する。
<ハードコートフィルム>
本発明に係るハードコートフィルムは、透明基材上に、ハードコート層を設けたハードコートフィルムであって、
前記ハードコート層は、平均粒径5〜50nmの金属酸化物微粒子を含有し、
当該ハードコート層内において、前記金属酸化物微粒子が、ハードコート層の上面側界面に沿って面方向に平坦な広がりをもち、厚み方向には当該金属酸化物微粒子の平均粒径1〜2個分の領域的広がりをもって、高密度に分布し、
当該ハードコート層の屈折率が1.545〜1.560であることを特徴とする。
図1は、本発明に係るハードコートフィルム1(後述する実施例1)の層構成の一例を模式的に示した断面図である。透明基材10上に、ハードコート層20が設けられている。
以下、本発明に係るハードコートフィルムを形成するハードコート層及び透明基材について順に説明する。
尚、図1以下の図において、説明の容易化のために、厚み方向(図の上下方向)を面方向(図の左右方向)の縮尺よりも大幅に拡大誇張して図示してある。また、説明の簡略化のため、HC層内の微粒子は省略されている。
(ハードコート層)
本発明に係るハードコート層は、金属酸化物微粒子、バインダー成分である電離放射線硬化性樹脂、及び溶剤を含むハードコート層用硬化性樹脂組成物の硬化物からなる。後述するように本発明におけるハードコート層は、電離放射線硬化性樹脂及び溶剤を含む樹脂組成物と金属酸化物微粒子、電離放射線硬化性樹脂及び溶剤を含む樹脂組成物とを同時塗布して硬化させた硬化物であってもよい。当該ハードコート層用硬化性樹脂組成物は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、耐擦傷性を向上する等の目的に応じて、適宜、反応性無機微粒子、重合開始剤、レベリング剤等のその他の成分を含有しても良い。本発明のハードコートフィルムに用いられる各成分については、後述するハードコートフィルムの製造方法において詳細に説明する。
本発明に係るハードコート層においては、ハードコートフィルムの厚み方向の拡大断面図である図2に示すように、平均粒径5〜50nmの金属酸化物微粒子がハードコート層の上面側界面に沿って面方向に平坦な広がりをもち、厚み方向には当該金属酸化物微粒子の平均粒径1〜2個分の領域的広がりをもって、高密度に分布している。
ここで、「上面側」とは、ハードコート層の透明基材と接していない方の面側を意味する。
「沿って」とは、HC層の上面側界面の直下又は近傍に、上面側界面と平行に広がっていることを意味する。具体的には、分布界面が平均粒径の2倍以内の深さに上面側界面と平行に広がっていることである。
「平坦な」とは、HC層の上面側界面に面する金属酸化物微粒子の分布の境界が平坦である、凹凸がほとんどないことを意味する。
「高密度」とは、HC層内において他の位置と比べたときに相対的に密度が高いこと、また別の言い方をすれば「偏在している」ことを意味する。
本発明に係るハードコート層は、高硬度で高屈折率の微粒子である金属酸化物微粒子を上面側界面に沿って平坦な広がりをもって密集させて配列することにより、高硬度にすることができることに加えて、中乃至高屈折率層として機能できる高屈折率性を兼ね備えることができる。所望の硬度及び屈折率を得るために必要な金属酸化物微粒子の量を少なくできるため、透明性を高くすることができ、製造コストも低減できる。従って、本発明により、視認性及び硬度に優れ、且つ、製造コストを低減したハードコートフィルムを得ることが可能となる。また、本発明に係るハードコート層には干渉縞が生じるような屈折率が急変する界面は存在しない。
前記ハードコート層を上面側界面に対し垂直に切断して得られた厚さ80nmの切片(断面)をSEM観察したとき(SEM写真の画像を観察したとき)に、当該ハードコート層の上面側界面に沿って金属酸化物微粒子が高密度に分布した領域において前記金属酸化物微粒子が占める割合は65面積%以上であり、当該高密度に分布した領域よりも深い部分(ハードコート層の厚み方向において上面側界面から離れた位置)において前記金属酸化物微粒子が占める割合は50面積%以下である。
好ましくは、当該ハードコート層の上面側界面に沿って金属酸化物微粒子が高密度に分布した領域において前記金属酸化物微粒子が占める割合は75面積%以上であり、当該高密度に分布した領域よりも深い部分において前記金属酸化物微粒子が占める割合は40面積%以下である。
上記範囲以外であると、ハードコート層の上面から深い部分にかけての金属酸化物微粒子の分布の濃淡の度合いが少なくなり、同じ微粒子の使用量でハードコート層の上面側界面に沿って金属酸化物微粒子を高密度に分布させた場合よりも高い屈折率を発現することができない。
金属酸化物微粒子の割合(面積%)はSEM写真の画像から算出する。ハードコート層の界面(上面)から深さ方向の微小な厚み(粒子径よりも十分に長く)の領域を界面と平行に抽出し、その面積を100面積%とする。金属酸化物微粒子の割合はその領域における粒子が占める割合として求める。
前記金属酸化物微粒子が、ハードコート層の上面側界面に沿って面方向に平坦な広がりをもち、厚み方向には当該金属酸化物微粒子の平均粒径1〜2個分の領域的広がりをもって、高密度に分布する理由は、速乾性溶剤が塗工直後から乾燥し、界面に存在する粒子が対流や拡散によって塗膜内部に移動する前に、樹脂が流動性を失い粒子が運動できなくなる。その上、速乾性溶剤の蒸発により急激に塗膜が凝縮されるためである。
尚、ハードコート層における金属酸化物微粒子の分布状態は、ハードコート層の透過型電子顕微鏡(TEM)写真、走査電子顕微鏡(SEM)写真等により確認することができ、ハードコート層の拡大断面を見た時に、金属酸化物微粒子が拡大断面の空気界面に沿って直線的に配列しており、金属酸化物微粒子が偏在している領域の境界を目視で明瞭に判別することができる。
本発明の金属酸化物微粒子は平均粒径が5〜50nmである。金属酸化物微粒子の平均粒径は、透明性の点から30nm以下であることが好ましく、20nm以下であることがより好ましい。
一般に、高屈折率微粒子の粒径が大きいと、下層である第1の組成物の塗膜に拡散し、ハードコート層の表面に金属酸化物微粒子を偏在させることができない。
金属酸化物微粒子の平均粒径は、硬化膜(HC層)の断面の透過型電子顕微鏡(TEM)写真により観察される粒子20個の平均値を意味し、5〜50nmであれば1次粒径及び2次粒径のいずれであっても良い。
金属酸化物微粒子の形状は、特に限定されず、球状、鎖状及び針状等のものを用いることができる。
金属酸化物微粒子としては、バインダー樹脂を主体とするマトリックスに混合した時に中屈折率層又は高屈折率層として機能できる屈折率値に調節できるものであれば特に限定されず、従来公知の高屈折率微粒子である金属酸化物微粒子を用いることができるが、屈折率が1.6〜2.5程度の微粒子が好適である。
金属酸化物微粒子としては、具体的には、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO、屈折率:2.10)、酸化アンチモン(Sb、屈折率:2.04)、アンチモン錫酸化物(ATO、屈折率:1.75〜1.95)、インジウム錫酸化物(ITO、屈折率:1.95〜2.00)、燐錫化合物(PTO、屈折率:1.75〜1.85)、ガリウム亜鉛酸化物(1.90〜2.00)、β−Al(屈折率:1.63〜1.76)、γ−Al(屈折率:1.63〜1.76)、BaTiO(屈折率:2.4)、ZnSb(屈折率:1.9〜2.0)、酸化チタン(TiO、屈折率:2.71)、酸化セリウム(CeO、屈折率:2.20)、酸化錫(SnO、屈折率:2.00、)、アルミニウム亜鉛酸化物(AZO、屈折率:1.90〜2.00)、ガリウム亜鉛酸化物(GZO、屈折率:1.90〜2.00)及びアンチモン酸亜鉛(ZnSb、屈折率:1.90〜2.00)等が挙げられる。
上記金属酸化物微粒子の中でもSb、ATO、ITO、PTO、GZO、ZnSbは、高導電性金属酸化物であり、導電性微粒子が高密度に分布することによって導電性パスが形成されるので、導電性微粒子を多量に含有させなくても、優れた帯電防止性が付与されるという利点がある。これにより、ハードコート層は帯電防止層として機能することができ、別途帯電防止層を設ける工程を省くことができる。
本発明に係るハードコート層の膜厚は、2μm以上30μm以下が好ましく、5μm以上20μm以下であることがより好ましい。また、「ハードコート層」とは、一般にJIS5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものをいうが、本発明に用いられるハードコート層は、当該ハードコート層表面の硬度が「2H」以上であることが好ましく、「3H」以上であることが更に好ましい。
(透明基材)
透明基材は、可視光に対して透明性を有し、種々の機能層が積層可能であれば、その種類は特に限定されるものではないが、複屈折の小さいものであれば、なお好ましい。
具体的には透明基材としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、環状ポリオレフィン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン等のポリオレフィン類、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等のビニル系樹脂、ポリカーボネート、ポリメタクリレート等のアクリル樹脂、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、酢酸セルロース等のセルロース系樹脂、ナイロンー6、ナイロンー6・6等のポリアミド系樹脂、ポリイミド系樹脂、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール、ポリエーテルサルホン、もしくはポリエーテルケトン等の樹脂からなるフィルムを挙げることができ、単独で、又は同種もしくは異種のものを積層して用いることができる。
これらのうち、PETとTACが、取り扱い性が良好な点から好ましい透明基材であるが、特にPETを使用したときには、ハードコート層を設ける場合、PETの屈折率と該ハードコート層との屈折率の差が絶対値で0.03以内の素材を使用することが、又、TACを使用する場合には、TACを溶解又は膨潤する溶剤を使用したハードコート層を使用する方が、それぞれ好ましい。
その他、本発明の透明基材として、脂環構造を有した非晶質オレフィンポリマー(Cyclo−Olefin−Polymer:COP)フィルムも使用することができる。これは、ノルボルネン系重合体、単環の環状オレフィン系重合体、環状共役ジエン系重合体、ビニル脂環式炭化水素系重合体樹脂等が用いられる基材で、例えば、日本ゼオン(株)製の「ゼオネックス」や「ゼオノア」(ノルボルネン系樹脂)、住友ベークライト(株)製「スミライトFS-1700」、JSR(株)製「アートン」(変性ノルボルネン系樹脂)、三井化学(株)製「アペル」(環状オレフィン共重合体)、Ticona社製の「Topas」(環状オレフィン共重合体)、日立化成工業(株)製「オプトレッツOZ-1000シリーズ」(脂環式アクリル樹脂)等が挙げられる。また、TACの代替基材として旭化成ケミカルズ(株)製のFVシリーズ(低複屈折率、低光弾性率フィルム)も好ましい。
本発明の透明基材としては、これらの熱可塑性樹脂を薄膜の柔軟性に富んだフィルム状として使用することが好ましいが、硬化性が要求される使用態様に応じて、これら熱可塑性樹脂の板状体のものを使用することも可能である。
透明基材は、その上にハードコート層又は防眩層を形成するに際して、接着性向上のために、コロナ放電処理、酸化処理等の物理的な処理のほか、アンカー剤もしくはプライマーと呼ばれる塗料の塗布を予め行ってもよい。
透明基材の透明性としては、透明基材が単層の場合、可視領域の光線透過率が80%以上であることが好ましい。また、透明性を有するとは、無色透明であることが好ましいが、必ずしも無色透明であることに限ることはなく、本発明の目的を妨げない程度であれば、着色された着色透明であってもよい。
可視領域の光線透過率は、出来る限り高いことが好ましいが、最終製品としては50%以上の光線透過率が必要なことから、最低2枚を積層する場合でも、それぞれの透明基材としては光線透過率が80%であれば、目的に適う。もちろん、光線透過率が高ければ高いほど、透明基材を複数枚積層出来るため、透明基材の単層の光線透過率は、より好ましくは85%以上であり、最も好ましくは90%以上である。
光線透過率を向上させるには、厚みを薄くするのも有効な手段である。
本発明において、透明基材の厚さは、20μm以上300μm以下、好ましくは30μm以上200μm以下である。
<ハードコートフィルムの製造方法>
本願に係るハードコートフィルムの製造方法は、下記工程を含むことを特徴とする。
(i)次の第1及び第2ハードコート層用塗工組成物を準備する工程;
<第1ハードコート層用塗工組成物>
電離放射線硬化性樹脂及び溶剤を含み、当該溶剤中にアセトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロルメタン、トリクロルエチレン、1,2−ジクロルエタン、テトラヒドロフランからなる群より選ばれる速乾性溶剤を溶剤全体の50重量%以上80重量%以下の割合で含む第1ハードコート層用塗工組成物、
<第2ハードコート層用塗工組成物>
金属酸化物微粒子、電離放射線硬化性樹脂及び溶剤を含む第2ハードコート層用塗工組成物、
(ii)透明基材上に、前記第1ハードコート層用塗工組成物を塗工する工程;
(iii)前記第1ハードコート層用塗工組成物の塗膜が乾燥する前に、当該塗膜上に第2ハードコート層用塗工組成物を塗工する工程;
(iv)前記第1ハードコート層用塗工組成物の塗膜及び前記第2ハードコート層用塗工組成物の塗膜からなる多層塗膜を乾燥し、硬化する工程。
本発明においては、透明基材の上に金属酸化物微粒子を含まない第1ハードコート層用塗工組成物を塗工し、その塗膜が乾燥して流動性を失う前に、引き続き又は同時に、金属酸化物微粒子を含む第2ハードコート層用塗工組成物を塗工して光照射を行い硬化させ、ハードコート層を形成することによって、上述した金属酸化物微粒子がハードコート層の上面側界面に沿って面方向に平坦な広がりをもち、厚み方向には当該金属酸化物微粒子の平均粒径1〜2個分の領域的広がりをもって、高密度に分布したハードコートフィルム1を得ることができる。
第1ハードコート層用塗工組成物の塗膜は、その上に第2ハードコート層用塗工組成物を塗工できる程度の硬さが必要であるが、第1ハードコート層用塗工組成物の塗膜と第2ハードコート層用塗工組成物の塗膜を十分に密着させ、さらに金属酸化物微粒子をハードコート層の上面側界面近傍に密集させるためには、ある程度の流動性を残した状態で第2ハードコート層用塗工組成物を塗工する必要がある。
第1ハードコート層用塗工組成物の塗膜が保持すべき「流動性」は、第2ハードコート層塗布後に両層が界面において適度に混合して界面が消失し、塗膜硬化後に干渉縞が発生しない程度である。
(i)第1及び第2ハードコート層用塗工組成物を準備する工程
以下、第1及び第2ハードコート層用塗工組成物の電離放射線硬化性樹脂、溶剤、金属酸化物微粒子、必要に応じて適宜配合される重合開始剤、レベリング剤等のその他の成分について順に説明する。
(第1ハードコート層用塗工組成物)
本発明のハードコートフィルムの製造方法において用いる第1の組成物は、第1の電離放射線硬化性樹脂(バインダー成分)及び第1の溶剤を含み、高屈折率微粒子である金属酸化物微粒子を含まない。そして第1の組成物は、後述する第2の組成物よりも透明基材側に位置するように隣接して塗布される。
金属酸化物微粒子を含まない第1の組成物が金属酸化物微粒子を含む第2の組成物よりも透明基材側に塗布されることで、これら2種の組成物により形成されるHC層において、当該HC層の膜厚方向では、金属酸化物微粒子の存在量が透明基材側に近いほど少なくなる。また、第1の組成物と第2の組成物を同時塗布する場合は、当該2種の組成物を別々に塗布、硬化させる逐次塗布の場合に比べて、第1の組成物と第2の組成物が一体となって膜を形成し、第2の組成物に含まれる金属酸化物微粒子が当該一体となった膜に透明基材側に近いほど少なくなるように適度に分布する。これにより、第1の組成物は、HC層の透明基材側界面において、金属酸化物微粒子と透明基材等の下層の屈折率差により干渉縞が発生することを抑制し、光学フィルムの外観が悪化することを防止するはたらきを有する。
以下、第1の組成物に含まれる第1の電離放射線硬化性樹脂及び第1の溶剤並びに必要に応じて含まれていても良いその他の成分について説明する。
(第1の電離放射線硬化性樹脂)
電離放射線硬化性樹脂は、光硬化性バインダーの中でも塗工適性に優れたコーティング組成物を調製することができ、均一な大面積塗膜を形成しやすい。また、塗膜中の電離放射線により硬化するバインダー成分を塗工後に光重合により硬化させることにより比較的強度の高い硬化膜が得られる。
第1の電離放射線硬化性樹脂としては、電離放射線の照射を受けた時に直接、又は開始剤の作用を受けて間接的に、重合や二量化等の大分子化を進行させる反応を起こす重合性官能基を有するモノマー、オリゴマー及びポリマーを用いることが出来る。本発明においては、主に、アクリル基、ビニル基、アリル基等のエチレン性不飽和結合を有するラジカル重合性のモノマーやオリゴマーを用いることができ、必要に応じて光開始剤が組み合わせられる。しかしながら、その他の電離放射線硬化性のバインダー成分を用いることも可能であり、例えば、エポキシ基含有化合物のような光カチオン重合性のモノマーやオリゴマーを用いてもよい。光カチオン重合性のバインダー成分には、必要に応じて光カチオン開始剤が組み合わせて用いられる。バインダー成分の分子間で架橋結合が生じるように、バインダー成分は、一分子内に重合性官能基を2個以上有する多官能性のバインダー成分であることが好ましい。
エチレン性不飽和結合を有するモノマー及びオリゴマーとしては、具体的には、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチルアクリレート、2−ヒドロキシ3−フェノキシプロピルアクリレート、カルボキシポリカプロラクトンアクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド等の単官能(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレートモノステアレート等のジアクリレート;トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート等のトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート誘導体やジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、多官能ウレタンアクリレート等の多官能(メタ)アクリレート、或いは、これらのラジカル重合性モノマーが重合したオリゴマーを例示することができる。
また、エチレン性不飽和結合を有するポリマーは、一分子内にエチレン性不飽和結合と共に付加又は縮合反応を起こし得る極性基を有するモノマー又はオリゴマーをラジカル(共)重合させて中間体ポリマーを合成した後、一分子内にエチレン性不飽和結合と共に、中間体ポリマーの極性基と反応し得る官能基を有する化合物を反応させることによって得られる。そのようなラジカル重合性基と極性基を有するモノマー又はオリゴマーとしては、エポキシ(メタ)アクリレート類、グリシジル(メタ)アクリレート類、グリセロールモノ(メタ)アクリレート類、グリセロールジ(メタ)アクリレート類、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート及びそのカプロラクトン変性品、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート及びそのカプロラクトン変性品、リン酸(メタ)アクリレート類、ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート類、ポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート類、ポリエチレングリコール−ポリプロピレングリコール共重合体の(メタ)アクリレート類、コハク酸アクリレート類、アクリルアミド等を例示することができる。また、中間体ポリマーにエチレン性不飽和結合のペンダント構造を導入するために用いる化合物としては、すでに例示したようなエチレン性不飽和結合と共に極性基を有するモノマー又はオリゴマーの中から、中間体ポリマーの極性基と反応可能なものを選択し用いることができる。
また、電離放射線硬化性のバインダー成分には、非反応性のポリマーや、エポキシ樹脂に代表される熱硬化性バインダー成分のような他の反応形式の重合性モノマー、オリゴマー、ポリマーをバインダー成分として組み合わせてもよい。それ自体は反応硬化性のないバインダー成分としては、光学薄膜を形成するために従来から用いられている非重合反応性の透明樹脂、例えば、ポリアクリル酸、ポリメタクリル酸、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、ポリオレフィン、ポリスチロール、ポリアミド、ポリイミド、ポリビニルクロライド、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート等を例示することができる。
第1の電離放射線硬化性樹脂の含有量は、塗工適性及び得られる塗膜の硬度の観点から、第1ハードコート層用塗工組成物の全固形分に対して20〜70重量%で用いることが好ましく、40〜60重量%で用いることがより好ましい。
(第1の溶剤)
第1の溶剤は、第1の組成物の粘度を調整し、第1の組成物に塗工性を付与するはたらきを有する。
第1の溶剤は、アセトン、メチルエチルケトン(MEK)、酢酸メチル、酢酸エチル、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロルメタン、トリクロルエチレン、1,2−ジクロルエタン、テトラヒドロフランからなる群より選ばれる速乾性溶剤を溶剤全体の50重量%以上80重量%以下の割合で含んでいれば、特に限定されず、使用する透明基材に応じて適宜選択して用いることができる。
速乾性溶剤は、溶剤の種類によって好ましい添加量の下限は異なるが、溶剤全体の50重量%未満であると、第1ハードコート層用塗工組成物が第2ハードコート層用塗工組成物よりも早く乾かないため、第2の組成物に含まれる金属酸化物微粒子が、第1の組成物の塗膜に移動する粒子量、移動距離が大きくなり、金属酸化物微粒子がハードコート層の上面側界面に並んで配置されにくくなる。
速乾性溶剤が80重量%を超えると乾燥するまで時間が早すぎるために塗工適性が悪くなり、塗膜面の性質が悪化する。速乾溶剤は、75重量%以下であることがより好ましい。
第1の溶剤における、上記速乾性溶剤以外の溶剤としては、例えば、アルコール類、ケトン類、エステル類、ハロゲン化炭化水素類、芳香族炭化水素類が挙げられる。具体的には、エチルアルコール、イソプロピルアルコール、n-プロピルアルコール、n-ブチルアルコール、メチルイソブチルケトン(MIBK)、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、酢酸プロピル、トルエン、キシレン、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどが挙げられる。
干渉縞の発生を防止するためには、透明基材に対して浸透性のある溶剤(浸透性溶剤)を使用(又は併用)することが好ましい。なお、本発明において浸透性とは、透明基材に対する浸透する性質の他、光透過性基材を膨潤又は湿潤させる概念を含む意味である。
浸透性溶剤の具体例としては、イソプロピルアルコール、メタノール及びエタノール等のアルコール類、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン及びシクロヘキサノン等のケトン類、酢酸メチル、酢酸エチル及び酢酸ブチル等のエステル類、ハロゲン化炭化水素、トルエン及びキシレン等の芳香族炭化水素並びにフェノール類が挙げられる。
特に、透明基材がトリアセチルセルロース(TAC)の場合に使用する溶剤は、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル及びメチルエチルケトンが好ましい。
透明基材がポリエチレンテレフタレート(PET)の場合に使用する溶剤は、フェノール、クロロベンゼン、ニトロベンゼン、クロロフェノール及びヘキサフルオロイソプロパノールが好ましい。
また、上記ケトン類の溶剤は、浸透性の他に、第1の組成物を透明基材表面に容易に均一に塗布することができ、かつ、塗布後において溶剤の蒸発速度が適度で乾燥むらを起こし難いという効果を有する。このため、均一な厚さの大面積塗膜を容易に得ることができる。
上記溶剤を1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
第1の溶剤の含有量は、第1ハードコート層用塗工組成物の全固形分に対して30〜70重量%で用いることが好ましく、40〜60重量%で用いることがより好ましい。
(第1の組成物のその他の成分)
第1の組成物には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、第1の電離放射線硬化性樹脂の硬化促進を目的とする光重合開始剤、硬度を付与する微粒子、レベリング剤、帯電防止剤、粘度を調整する有機化合物及び/又は無機化合物の増粘剤等のその他の成分が含まれていても良い。
(光重合開始剤)
光重合開始剤としては、例えば、アセトフェノン類及びベンゾフェノン類等の光開始剤を用いることができる。
中でも、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン及び2−メチル−1[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンは、少量でも光重合反応を開始し促進するので、本発明において好ましく用いられる。
上記光重合開始剤は、1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
上記光重合開始剤は市販品を用いても良く、例えば、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトンはイルガキュアー 184(IRGACURE 184)の商品名でチバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)から入手できる。
光重合開始剤を用いる場合、その含有量は、第1ハードコート層用塗工組成物の全固形分に対して0.5〜20重量%で用いることが好ましい。尚、固形分とは、溶剤を除く組成物の成分を意味する。
(微粒子)
金属酸化物微粒子以外の微粒子を、HC層の硬度向上を目的として用いることもできる。
添加する微粒子の粒径は200nm以下程度、好ましくは100nm以下であると、透明性と硬度とを両立することができるので、好ましい。添加する微粒子としては、無機微粒子、有機微粒子ともに用いることができるが、硬度の観点からは無機微粒子が好ましく、特にシリカ微粒子が好ましい。シリカ微粒子の具体例としては、日産化学工業(株)の製品群である「IPA−ST」、「IPA−ST−L」、「IPA−ST−ZL」、「IPA−ST−UP」、「MEK−ST」、「MIBK−ST」、「PGM−ST」、及び「PMA−ST」等が挙げられる。
また、これらの微粒子は分散性の向上、コーティング組成物の粘度低下、加工性の向上、金属酸化物微粒子の高充填化、界面空隙の減少(凝集塊の低下)、及び粒子表面への反応性基付与の目的で、表面処理を行ってもよい。特に硬度向上のために、微粒子表面への光硬化性及び/又は熱硬化性反応基付与は効果的であり、好ましい。
硬度付与のための微粒子を用いる場合、その含有量は、第1ハードコート層用塗工組成物の全固形分に対して20〜80重量%で用いることが好ましい。
(レベリング剤)
レベリング剤は、HC層の形成時にその表面に対して、塗工性及び/又は平滑性を付与するはたらきを有する。
レベリング剤としては、従来公知の反射防止フィルムに用いられているフッ素系、シリコーン系及びアクリル系等のレベリング剤を用いることができる。例えば、DIC(株)製メガファックシリーズ(MCF350−5)等の電離放射線硬化性基を有しないレベリング剤、信越化学工業(株)製のX−22−163A等の電離放射線硬化性基を有するレベリング剤のいずれも使用することができる。
レベリング剤を用いる場合、その含有量は、第1ハードコート層用塗工組成物の全固形分に対して0.01〜5重量%で用いることが好ましく、0.05〜0.5重量%で用いることがより好ましい。
第1の組成物は、通常、第1の溶剤に、必須成分及び光重合開始剤等の任意に用いることができる成分を一般的な調製法に従って、混合し分散処理することにより調製される。混合分散には、ペイントシェーカー又はビーズミル等を用いることができる。
(第2ハードコート層用塗工組成物)
本発明のハードコートフィルムの製造方法において用いる第2の組成物は、金属酸化物微粒子、第2の電離放射線硬化性樹脂及び第2の溶剤を含む。そして上記第1の組成物が当該第2の組成物よりも透明基材側に位置するように隣接して塗布される。
第2の組成物は、硬度を付与するだけでなく、HC層の透明基材とは反対側の界面及びその近傍を、効率的に高屈折率化するはたらきも有する。これにより、図3に示すように、HC層の透明基材と反対側の面(HC層上)に低屈折率層を設けた場合や、図4に示すように、HC層上に当該HC層側から高屈折率層及び低屈折率層を設けることにより、光学フィルムの反射防止性をより高めることができる。
以下、第2の組成物に含まれる、金属酸化物微粒子、第2の電離放射線硬化性樹脂及び第2の溶剤並びに必要に応じて含まれていても良いその他の成分について説明する。
(金属酸化物微粒子)
金属酸化物微粒子については、上述したため、ここでは説明を省略する。金属酸化物微粒子の含有量は、高屈折率を付与する観点から、第2ハードコート層用塗工組成物の全固形分に対して20〜70重量%で用いることが好ましく、40〜60重量%で用いることがより好ましい。
第2の組成物に含まれる金属酸化物微粒子は、平均粒径、形状、屈折率及び材料等が異なるものを1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
(第2の電離放射線硬化性樹脂)
第2の電離放射線硬化性樹脂は、第1の電離放射線硬化性樹脂で挙げたものを用いることができる。
この他、芳香環を含む樹脂、フッ素以外の塩素、臭素及びヨウ素等のハロゲン元素を含む樹脂並びに硫黄原子、窒素原子及びリン原子等の原子を含む樹脂等の高屈折率バインダー成分を用いることもできる。
第1の電離放射線硬化性樹脂と第2の電離放射線硬化性樹脂は同じであっても良いし、異なっていても良い。
第2の電離放射線硬化性樹脂も、1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
第2の電離放射線硬化性樹脂の含有量は、塗工適性及び得られる塗膜の硬度の観点から、第2ハードコート層用塗工組成物の全固形分に対して20〜70重量%で用いることが好ましく、30〜60重量%で用いることがより好ましい。
(第2の溶剤)
第2の溶剤としては、特に限定はなく、第1の溶剤において溶剤として挙げたものを用いることができる。第2の溶剤は、速乾性溶剤を含まない、又は、第1の溶剤よりも少ない量しか含まないことが好ましい。これにより、第1の組成物の方が第2の組成物よりも乾きやすく、第2の組成物に含まれる金属酸化物微粒子が、第1の組成物の塗膜に移動することを防ぐことができ、本発明のハードコートフィルムを形成することができる。
第2の溶剤も、1種単独で用いても良いし、2種以上を組み合わせて用いても良い。
第2の溶剤の含有量は、第2ハードコート層用塗工組成物の全固形分に対して10〜60重量%で用いることが好ましく、20〜50重量%で用いることがより好ましい。
(第2の組成物のその他の成分)
第2の組成物には、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、第2の電離放射線硬化性樹脂の硬化促進を目的とする光重合開始剤、硬度を付与する微粒子、レベリング剤、帯電防止剤、粘度を調整する有機化合物及び/又は無機化合物の増粘剤等のその他の成分が含まれていても良く、上記第1の組成物で挙げたものを用いることができる。これらは、第1及び第2の組成物において、それぞれ同じであっても良いし、異なっていても良い。
(分散剤)
第2の組成物には、金属酸化物微粒子の分散性を制御するために、分散剤を用いても良い。このような分散剤としては、アニオン性の極性基を有する分散剤が、高屈折率微粒子に対して親和性が高く、好適に用いられる。例えば、ビッグケミー・ジャパン(株)製のDisperbykシリーズ等のアニオン性の極性基を有する分散剤が挙げられる。
分散剤を用いる場合、その含有量は、金属酸化物微粒子の重量に対して0.05〜10重量%で用いることが好ましく、0.1〜5重量%で用いることがより好ましい。
(ii)透明基材上に、第1ハードコート層用塗工組成物を塗工する工程
本発明に係るハードコートフィルムの製造方法の(ii)工程において、第1の組成物を塗布する方法は特に限定されず、従来公知の塗布方法を用いることができる。例えば、第1ハードコート層用塗工組成物を塗布する方法として、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ビードコーター法等を挙げることができる。
(iii)第1ハードコート層用塗工組成物の塗膜が乾燥する前に、当該塗膜上に第2ハードコート層用塗工組成物を塗工する工程
本発明に係るハードコートフィルムの製造方法の(iii)工程においては、第1ハードコート層用塗工組成物の塗膜が乾燥する前に、当該塗膜上に第2ハードコート層用塗工組成物を塗工する。塗布方法は、上記に記載のものが挙げられる。
第1ハードコート層用塗工組成物の塗膜が乾燥する前に、当該塗膜上に第2ハードコート層用塗工組成物を塗工するとは、第1の組成物が流動性を失う前に、引き続き又は同時に第2の組成物を塗工することを意味する。
中でも、第1と第2の組成物を同時に塗布することが好ましく、同時塗布方法としては、例えば、2以上のスリット(吐出口)を有するダイコーティング及びスライドコーティング等が挙げられる。
第1の組成物と第2の組成物のウェット膜厚は、要求される性能等に応じて適宜調節すれば良いが、2〜40μmであることが好ましい。ウェット膜厚は、被塗工体の搬送速度及び面積並びに組成物の吐出量から求めることができる。
(iv)第1ハードコート層用塗工組成物の塗膜及び第2ハードコート層用塗工組成物の塗膜からなる多層塗膜を乾燥し、硬化する工程
本発明に係るハードコートフィルムの製造方法の(iv)工程において、光照射には、主に、紫外線、可視光、電子線又は電離放射線等が使用される。紫外線硬化の場合には、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク又はメタルハライドランプ等の光線から発する紫外線等を使用する。光照射量は、紫外線波長365nmでの積算露光量として、50〜300mJ/cmであれば良い。
また、(iv)工程においては、光照射の前に必要に応じて適宜乾燥を行っても良い。乾燥方法としては、例えば、減圧乾燥又は加熱乾燥、更にはこれらの乾燥を組み合わせる方法等が挙げられる。また、常圧で乾燥させる場合は、30〜110℃で乾燥させることが好ましい。例えば、第1又は第2の溶剤としてメチルイソブチルケトンを用いる場合は、通常室温〜80℃、好ましくは40℃〜70℃の範囲内の温度で、20秒〜3分、好ましくは30秒〜1分程度の時間で乾燥が行われる。
(iv)工程において形成されるHC層の膜厚は、要求される硬度及び反射防止性等に応じて適宜調節すれば良い。HC層の膜厚は、例えば、1〜20μmとすることができる。
このようにして得られるハードコートフィルムは、以下の物性を有する。
1.屈折率が高く、1.545〜1.560である。得られたハードコートフィルムのハードコート層の屈折率は、以下の方法で測定する。日本分光(株)製の商品名V7100型紫外可視分光光度計及び日本分光(株)製の商品名VAR−7010絶対反射率測定装置を用いて、入射角を5°、偏光子をN偏光、測定波長範囲を380〜780nmとして、光学フィルムの基材側に黒テープを貼合し、それを装置に設置して測定を行う。測定波長範囲にて求められた測定結果の平均値を反射率とし、反射率と屈折率の関係式から屈折率を算出する。
2.透明性がヘイズ0.5%以下であると優れる。測定方法としては、日本電色工業(株)製の商品名NDH2000型ヘイズメーターでハードコートフィルムを測定する。
3.干渉縞の発生はほとんど見られない。測定方法としては、ハードコートフィルムのハードコート層の反対面をサンドペーパーで擦り、その後その面に黒テープを貼合し、フナテック(株)製の干渉縞ランプ(Na)ランプを用い、目視にて検査する。
4.鉛筆硬度は2H以上(好ましくは3H以上)であり、高い硬度を有する。ハードコートフィルムのハードコート層表面をJIS K5400に準じて鉛筆硬度を評価する。試験は5回行い、1回以上傷などの外観異常が認められなかった場合に使用していた鉛筆の硬度で表記する。
(反射防止フィルム)
本発明の反射防止フィルムは、上記ハードコートフィルムのハードコート層上に、直接、又は、高屈折率層及び中屈折率層から選ばれる少なくとも一層を介して、低屈折率層を積層してなることを特徴とする。ここで高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層とは屈折率の高低を相対的に表したものである。
具体的には、ハードコート層上に低屈折率層を直接積層した層構造、ハードコート層上に高屈折率層を介して低屈折率層を積層した層構造、ハードコート層上に中屈折率層、高屈折率層及び低屈折率層の順に積層した層構造、ハードコート層上に中屈折率層と高屈折率層を交互に2回以上積層し、一番上に低屈折率層を積層した積層構造などがある。
図3にハードコートフィルム1のハードコート層20上に低屈折率層40が直接積層された反射防止フィルム2を示す。また、図4にハードコートフィルム1のハードコート層20上に高屈折率層50を介して低屈折率層40が積層された反射防止フィルム2を示す(この場合、ハードコート層は中屈折率のHC層となる)。
このように低屈折率層等を積層することで、光学フィルムの反射防止性をより高めることができる。
高屈折率層は、HC層よりも屈折率が高い層であり、HC層と低屈折率層との間などに設けられることで、光学フィルムの反射防止性をより高める働きを有する。
高屈折率層は、従来公知の反射防止フィルムにおいて用いられている高屈折率層とすることができる。
例えば、上記HC層で挙げた高屈折率微粒子、バインダー成分及び溶剤を含む組成物を用いて形成することができる。
高屈折率層の屈折率は、当該高屈折率層の光透過性基材側に設けられるHC層よりも高ければ良い。
高屈折率層の膜厚は、適宜設定すれば良く、例えば、10〜300nmであることが好ましい。
低屈折率層は、HC層上、又は高屈折率層の透明基材とは反対側の面に設けられることで、反射防止フィルムの反射防止性をより高めるはたらきを有する。
低屈折率層の屈折率は、HC層及び高屈折率層よりも低ければよく、例えば、1.49以下であることが好ましく、1.47以下であることがより好ましく、1.42以下であることが特に好ましい。
低屈折率層は、バインダー成分、溶剤の他、低屈折率化のための低屈折率微粒子、低屈折率樹脂等を含有する組成物を用いて形成することができる。
低屈折率微粒子としては、空隙を有する微粒子(中空粒子)を用いることが好ましい。空隙を有する微粒子の材料は、低屈折率層の屈折率を低減するために、シリカ又はフッ素樹脂を用いることが好ましい。空隙を有する微粒子の平均粒径は、5〜300nmであることが好ましく、10〜80nmであることが特に好ましい。
低屈折率微粒子の含有量は、適宜調節して用いればよく、低屈折率層用塗工組成物の全固形分に対して10〜95重量%が好ましく、より好ましくは、20〜90重量%である。
低屈折率層の膜厚は、適宜設定すれば良く、例えば、10〜300nmであることが好ましい。
中屈折率層は、本発明のハードコートフィルム上に設けられた高屈折率層よりも低い屈折率を有する層であり、当該中屈折率層の上に高屈折率層を介して設けられる低屈折率層よりも高い屈折率を有する。
中屈折率層は、適宜屈折率を調整して選択される高屈折率微粒子、バインダー成分及び溶剤を含む組成物を用いて形成することができる。
中屈折率層の膜厚は、適宜設定すれば良く、例えば、10〜300nmであることが好ましい。
本発明に係る反射防止フィルムは、前記(iv)工程の後に、さらに前記ハードコート層上に、高屈折率層用塗工組成物又は低屈折率層用塗工組成物、中屈折率層用塗工組成物を塗布して形成することができる。
高、中、低屈折率層用塗工組成物を塗布する方法としては、例えば、スピンコート法、ディップ法、スプレー法、スライドコート法、バーコート法、ロールコーター法、メニスカスコーター法、フレキソ印刷法、スクリーン印刷法、ビードコーター法等が挙げることができる。また、塗布後の、乾燥や電離放射線の照射及び/又は加熱は、周知の方法を適宜用いればよい。
本発明に係る反射防止フィルムは、ハードコートフィルムが高硬度であることに加えて、中乃至高屈折率層として機能できる高屈折率性を兼ね備え、透明性にも優れるため、製造コストを低減でき、且つ、反射防止性、及びハードコート性に優れる。
本発明は、上記形態に限定されるものではない。上記形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。これらの記載により本発明を制限するものではない。尚、実施例中、部は別途記載がない場合は、重量部を意味する。組成物の全成分100重量部に対する重量部である。また、ハードコート層の厚さとは、ハードコート層の透明基材側界面からハードコート層の透明基材とは反対側の界面(ハードコート層の低屈折率層側界面が凹凸を有する場合は、当該凹部表面)までの厚さを意味し、ハードコートフィルム断面のSEM写真において、5箇所を測定し、その平均値とした。
(実施例1)
下記材料を十分混合し、この混合物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して固形分40重量%の第1ハードコート層用塗工組成物(1)を調製した。
・溶剤(酢酸メチル/PGME(プロピレングリコールモノメチルエーテル)=5/5):60重量部
・多官能ウレタンアクリレート(製品名:U−4HA(4官能)、新中村化学工業(株)製:40重量部
・光重合開始剤(製品名:イルガキュアー184、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製):4重量部
また、下記材料を十分混合し、この混合物を孔径30μmのポリプロピレン製フィルターでろ過して固形分30重量%の第2ハードコート層用塗工組成物(1)を調製した。
・Sb分散液(製品名:ELCOM V−4562、日揮触媒化成(株)製;金属酸化物の粒径:20nm):47重量部(溶剤兼)
・DPHA(ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、製品名:KAYARAD、日本化薬(株)製):19重量部
・光重合開始剤(イルガキュアー184):4重量部
厚さ80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(透明基材)の一方の面側に、上記第1ハードコート層用塗工組成物(1)が下層、第2ハードコート層用塗工組成物(1)が上層になるように塗工速度20m/分のダイコーターで12g/m(第1及び第2の組成物の合計量)、同時重層塗工を行った。塗布後、70℃で1分かけて乾燥し、溶剤を除去した。溶剤乾燥後、紫外線照射装置で約100mJ/cmで紫外線硬化させ、二層あわせた膜厚が8μmのハードコートフィルムを得た。
(実施例2)
実施例1において、第1ハードコート層用塗工組成物(1)の溶剤を酢酸メチル/PGME=5/5からMEK(メチルエチルケトン)/PGME=7/3に変更して第1ハードコート層用塗工組成物(2)を調製した以外は、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを得た。
(実施例3)
実施例1において、第2ハードコート層用塗工組成物(1)のSb分散液(日揮触媒化成(株)製)をZrO分散液(製品名:ナノユース OZ−S30K−AC、日産化学工業(株)製)に変更して第2ハードコート層用塗工組成物(2)を調製した以外は、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを得た。
(比較例1)
実施例1において、第1ハードコート層用塗工組成物(1)の溶剤を酢酸メチル/PGME=5/5からMIBK(メチルイソブチルケトン)/PGME=7/3に変更して第1ハードコート層用塗工組成物(3)を調製した以外は、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを得た。
(比較例2)
実施例1において、第1ハードコート層用塗工組成物(1)の溶剤を酢酸メチル/PGME=5/5から酢酸メチル/PGME=4/6に変更して第1ハードコート層用塗工組成物(4)を調製した以外は、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを得た。
(比較例3)
実施例1において、第2ハードコート層用塗工組成物(1)のSb分散液(日揮触媒化成製)をSb分散液(製品名:XJB−0101、ペルノックス(株)製;金属酸化物の粒径:80nm)に変更して第2ハードコート層用塗工組成物(4)を調製した以外は、実施例1と同様にして、ハードコートフィルムを得た。
(比較例4)
実施例1において、厚さ80μmのトリアセチルセルロース(TAC)フィルム(透明基材)の一方の面側に、上記ハードコート層用塗工組成物(1)をバーコーターで6g/m塗布した。塗布後、70℃で1分かけて乾燥し、溶剤を除去した。溶剤乾燥後、紫外線照射装置で約100mJ/cmで紫外線硬化させた。
次いで、第2ハードコート層用塗工組成物(1)をバーコーターで6g/m、塗布した。塗布後、70℃で1分かけて乾燥し、溶剤を除去した。溶剤乾燥後、紫外線照射装置で約100mJ/cmで紫外線硬化させ、二層あわせた膜厚が8μmのハードコートフィルムを得た。
〔評価方法〕
上記、各実施例、及び各比較例で得られたハードコートフィルムについて、以下の1〜4の評価を行った。その結果を表1に示す。
評価1.屈折率
得られたハードコートフィルムのハードコート層の屈折率を以下の方法で測定し、以下の基準で評価した。日本分光(株)製の商品名V7100型紫外可視分光光度計及び日本分光(株)製の商品名VAR−7010絶対反射率測定装置を用いて、入射角を5°、偏光子をN偏光、測定波長範囲を380〜780nmとして、光学フィルムの基材側に黒テープを貼合し、それを装置に設置して測定を行った。測定波長範囲にて求められた測定結果の平均値を反射率とし、反射率と屈折率の関係式から屈折率を算出した。
評価○:屈折率が1.545〜1.560
評価×:屈折率が1.545未満
評価2.透明性
得られたハードコートフィルムの透明性を以下の方法で測定し、以下の基準で評価した。日本電色工業(株)製の商品名NDH2000型ヘイズメーターでハードコートフィルムを測定した。
評価○:0.5%以下
評価×:0.5%より大きい
評価3.干渉縞
得られたハードコートフィルムの干渉縞を以下の方法で測定し、以下の基準で評価した。ハードコートフィルムのハードコート層の反対面をサンドペーパーで擦り、その後その面に黒テープを貼合し、フナテック(株)製の干渉縞ランプ(Na)ランプを用い、目視にて検査し、下記の基準で評価した。
評価○:干渉縞の発生がほとんど見られなかったもの
評価×:干渉縞がはっきり見えたもの
評価4.鉛筆硬度
得られたハードコートフィルムの鉛筆硬度を以下の方法で測定した。ハードコートフィルムのハードコート層表面をJIS K5400に準じて評価した。試験は5回行い、1回以上傷などの外観異常が認められなかった場合に使用していた鉛筆の硬度で表記した。
実施例1で作製されたハードコートフィルムのHC層内の膜厚方向断面(拡大)における金属酸化物微粒子の分布を示したSEM写真を図1に示す。ハードコート層内において、金属酸化物微粒子が、ハードコート層の上面側界面に沿って面方向に平坦な広がりをもち、厚み方向には当該金属酸化物微粒子の平均粒径1〜2個分の領域的広がりをもって、高密度に分布していることが分かる。実施例2及び3で作製されたハードコートフィルムのHC層内の金属酸化物微粒子の分布も、図2と同じような状態になった。これにより、本発明の実施例1〜3においては、屈折率、干渉縞、鉛筆硬度の点で優れている。また、実施例1〜3においては平均粒径5〜50nmの金属酸化物微粒子が使用されていることから、透明性も優れている。
これに対して、比較例1では、金属酸化物粒子の粒径は実施例1と同じであるため透明性は良好であったが、速乾性の溶剤を用いなかったため、干渉縞が見られ、図5に示すように、ハードコート層の上面側界面における金属酸化物微粒子の配列が悪く表面の凹凸が大きく、金属酸化物微粒子が密集しなかったことから、屈折率の点で実施例1〜3よりも劣り、また、鉛筆硬度は2Hで要求性能に到達していたが、実施例1〜3よりも低かった。
比較例2では、金属酸化物粒子の粒径は実施例1と同じであるため透明性は良好であったが、速乾性の溶剤を50重量%以上の割合で用いなかったため、干渉縞が見られ、図5と同じような状態でハードコート層の上面側界面に金属酸化物微粒子の配列が悪く表面の凹凸が大きく、金属酸化物微粒子が密集しなかったことから、屈折率の点で実施例1〜3よりも劣り、また、鉛筆硬度は2Hで要求性能に到達していたが、実施例1〜3よりも低かった。
比較例3では、速乾性の溶剤を用いたため干渉縞は見られず、図6に示すように、ハードコート層の上面側界面に金属酸化物粒子が配列されたことから、屈折率及び鉛筆硬度は良好であった。しかし、金属酸化物の粒径が本発明の範囲よりも大きいため、透明性の点で本発明よりも劣った。
比較例4では、金属酸化物粒子の粒径は実施例1と同じであるため透明性は良好であったが、第1の組成物が乾いてから、第2の組成物を塗布してハードコート層を作製したことから、干渉縞が見られた。また、第1の組成物が乾いてから、第2の組成物を塗布してハードコート層を作製したことから、金属酸化物微粒子が第1ハードコート層に移動することなく第2ハードコート層に存在したため屈折率は良好であったが、ハードコート層の上面側界面における金属酸化物微粒子の配列が悪く第2ハードコート層中でやや拡散したため、鉛筆硬度は2Hで要求性能に到達していたが、実施例1〜3よりも低かった。
1…ハードコートフィルム
2…反射防止フィルム
10…透明基材
20…ハードコート層
40…低屈折率層
50…高屈折率層

Claims (5)

  1. 透明基材上に、ハードコート層を設けたハードコートフィルムであって、
    前記ハードコート層は、平均粒径5〜50nmの金属酸化物微粒子を含有し、
    当該ハードコート層内において、前記金属酸化物微粒子が、ハードコート層の上面側界面に沿って面方向に平坦な広がりをもち、厚み方向には当該金属酸化物微粒子の平均粒径1〜2個分の領域的広がりをもって、高密度に分布し、
    当該ハードコート層の屈折率が1.545〜1.560であることを特徴とする、ハードコートフィルム。
  2. 前記ハードコート層を上面側界面に対し垂直に切断して得られた厚さ80nmの切片をSEM観察したときに、当該ハードコート層の上面側界面に沿って金属酸化物微粒子が高密度に分布した領域において前記金属酸化物微粒子が占める割合は65面積%以上であり、当該高密度に分布した領域よりも深い部分において前記金属酸化物微粒子が占める割合は50面積%以下である、請求項1に記載のハードコートフィルム。
  3. 前記金属酸化物微粒子がSb、ATO、ITO、PTO、GZO、ZnSbからなる群より選ばれるものである、請求項1又は2に記載のハードコートフィルム。
  4. 下記工程を含むことを特徴とする、ハードコートフィルムの製造方法:
    (i)次の第1及び第2ハードコート層用塗工組成物を準備する工程;
    <第1ハードコート層用塗工組成物>
    電離放射線硬化性樹脂及び溶剤を含み、当該溶剤中にアセトン、メチルエチルケトン、酢酸メチル、酢酸エチル、n−ヘキサン、シクロヘキサン、ジクロルメタン、トリクロルエチレン、1,2−ジクロルエタン、テトラヒドロフランからなる群より選ばれる速乾性溶剤を溶剤全体の50重量%以上80重量%以下の割合で含む第1ハードコート層用塗工組成物、
    <第2ハードコート層用塗工組成物>
    金属酸化物微粒子、電離放射線硬化性樹脂及び溶剤を含む第2ハードコート層用塗工組成物、
    (ii)透明基材上に、前記第1ハードコート層用塗工組成物を塗工する工程;
    (iii)前記第1ハードコート層用塗工組成物の塗膜が乾燥する前に、当該塗膜上に第2ハードコート層用塗工組成物を塗工する工程;
    (iv)前記第1ハードコート層用塗工組成物の塗膜及び前記第2ハードコート層用塗工組成物の塗膜からなる多層塗膜を乾燥し、硬化する工程。
  5. 請求項1乃至3のいずれか一項に記載のハードコートフィルムのハードコート層上に、直接、又は、高屈折率層及び中屈折率層から選ばれる少なくとも一層を介して、低屈折率層を積層してなることを特徴とする反射防止フィルム。
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