JP2010053173A - 樹脂被覆金属酸化物粒子分散液の製造方法および該樹脂被覆金属酸化物粒子を含む透明被膜形成用塗布液ならびに透明被膜付基材 - Google Patents

樹脂被覆金属酸化物粒子分散液の製造方法および該樹脂被覆金属酸化物粒子を含む透明被膜形成用塗布液ならびに透明被膜付基材 Download PDF

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Abstract

【課題】高濃度でも分散性に優れた樹脂被覆金属酸化物粒子分散液の製造方法を提供する。
【解決手段】予め加熱処理した平均粒子径が0.3〜20μmの範囲にある金属酸化物粒子の有機溶媒分散液にアクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂からなる樹脂被覆材を添加し、ついで、メカノケミカル処理することを特徴とする樹脂被覆金属酸化物粒子分散液の製造方法。かかる方法で得られた樹脂被覆金属酸化物粒子分散液とマトリックス形成成分と有機溶媒とを含んでなる透明被膜形成用塗布液。
【選択図】なし

Description

本発明は、高濃度でも分散性に優れた樹脂被覆金属酸化物粒子分散液の製造方法および樹脂被覆金属酸化物粒子を含む透明被膜形成用塗布液および透明被膜付基材とに関する。
従来より、ガラス、プラスチックシート、プラスチックレンズ等の基材表面の耐擦傷性を向上させるため、基材表面にハードコート機能を有する透明被膜を形成することが知られており、このような透明被膜として有機樹脂膜あるいは無機膜をガラスやプラスチック等の表面に形成することが行われている。さらに、有機樹脂膜あるいは無機膜中に樹脂粒子あるいはシリカ等の無機粒子を配合してさらに耐擦傷性を向上させることが行われている。
しかしながら、透明被膜を形成するための透明被膜形成用塗布液に微粒子を分散させると、マトリックス成分または分散媒と粒子の親和性が低い場合は粒子が凝集したり、塗布液の安定性が低下し、得られる透明被膜の透明性、ヘーズ等の他、耐擦傷性、強度、スクラッチ強度等が不充分となることがあった。
このため、粒子の分散性を向上させて凝集を防止したり、塗布液の安定性を向上させるために粒子をシランカップリング剤で表面処理して用いることが公知である。また、粒子にメカノケミカル法、グラフト重合法等で樹脂を被覆してマトリックス成分または分散媒との親和性を高めることが行われている。(特開平3−163172号公報(特許文献1)、特開平6−336558号公報(特許文献2)、特開平6−49251号公報(特許文献3)、特開2000−143230号公報(特許文献4))
特に、基材がPET等の樹脂基材の場合、従来の透明被膜では耐擦傷性が充分でなくさらに改良が求められていた。
このため、本願出願人は、ハードコート膜と該ハードコート膜上に形成された反射防止膜とからなる反射防止膜付基材において、ハードコート膜にハードコート膜の厚さとの比が0.2〜1.0の範囲にある比較的大きな粒子径を有するシリカ、アルミナ等の無機物粒子を用いることを提案している。このとき、表面を樹脂で被覆した無機粒子の分散性を向上させるために表面をシランカップリング剤で処理した無機粒子を用いることができることを開示している。(特開2003−236991号公報、特許文献5)
特開平3−163172号公報 特開平6−336558号公報 特開平6−49251号公報 特開2000−143230号公報 特開2003−236991号公報
しかしながら、シランカップリング剤で表面処理した粒子は、シランカップリング剤処理の際に好適な分散媒(通常、水および/またはアルコール)と、透明被膜形成用塗布液に用いる分散媒と異なることが多く、このため塗布液用の分散媒に溶媒置換する必要があった。また、塗布液に用いる分散媒によってはシランカップリング剤が脱離することがあり、このため粒子が凝集したり、塗布液の安定性が不充分となることがあった。
また、従来のメカノケミカル法、グラフト重合法等で樹脂を被覆した粒子は、個々の粒子に均一に樹脂を被覆することが困難で、被覆できたとしても樹脂が塗布液の溶媒に溶解することがあり、これを用いて得られる透明被膜は、透明性の低下、ヘイズの上昇、耐擦傷性の低下等の問題があった。
さらに、透明被膜に応力が加わった場合に粒子が大きいために粒子とマトリックスとが剥離してボイドが生じる場合があった。
本発明者らは、このような問題点に鑑み鋭意検討した結果、予め加熱処理した金属酸化物粒子のケトン類有機溶媒分散液に、アクリル系樹脂を添加し、ついで、メカノケミカル処理すると個々の粒子に均一に樹脂を被覆することができ、高濃度でも分散性、安定性に優れた樹脂被覆金属酸化物粒子が得られることを見出して本発明を完成するに至った。
[1]予め加熱処理した平均粒子径が0.3〜20μmの範囲にある金属酸化物粒子の有機溶媒分散液にアクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂からなる樹脂被覆材を添加し、ついで、メカノケミカル処理することを特徴とする樹脂被覆金属酸化物粒子分散液の製造方法。
[2]前記有機溶媒がエーテル類、エステル類、ケトン類から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂被覆金属酸化物粒子分散液の製造方法。
[3]前記樹脂被覆材の固形分としての濃度(CR)と金属酸化物微粒子の固形分としての濃度(CMO)の濃度比(CR)/(CMO)が0.005〜0.5の範囲にある[1]または[2]の樹脂被覆金属酸化物粒子分散液の製造方法。
[4]前記メカノケミカル処理時の金属酸化物粒子と樹脂被覆材との全固形分濃度が1〜50重量%の範囲にある[1]〜[3]の樹脂被覆金属酸化物粒子分散液の製造方法。
[5]前記金属酸化物粒子が、TiO2、SiO2、ZrO2、Al23、Sb25、ZnO、およびこれらの複合酸化物、酸化錫、SbまたはPがドープされた酸化錫、酸化インジウム、SnまたはFがドーピングされた酸化インジウム、酸化アンチモン、低次酸化チタンから選ばれる1種以上である[1]〜[4]の樹脂被覆金属酸化物粒子分散液の製造方法。
[5]樹脂被覆金属酸化物粒子の平均粒子径が0.3〜20μmの範囲にある[1]〜[4]の樹脂被覆金属酸化物粒子分散液の製造方法。
[6]前記[1]〜[5]の方法で得られた樹脂被覆金属酸化物粒子分散液とマトリックス形成成分と有機溶媒とを含んでなる透明被膜形成用塗布液。
[7]基材と、基材上に形成された透明被膜とからなり、該透明被膜が前記[1]〜[5]の方法で得られた樹脂被覆金属酸化物粒子とマトリックス成分とからなり、樹脂被覆金属酸化物粒子の平均粒子径(Dp)と前記透明被膜の厚さ(Th)との比(Dp/Th)が0.3〜1.0の範囲にある透明被膜付基材。
[8]前記樹脂被覆金属酸化物粒子の屈折率と前記マトリックス成分の屈折率との屈折率差が0.2以下である[7]の透明被膜付基材。
本発明によれば、発明によれば、予め加熱処理した、特定の平均粒子径にある金属酸化物粒子の有機溶媒分散液に、特定の樹脂被覆材を添加してメカノケミカル処理しているので、溶剤を用いた透明被膜形成用塗布液に凝集することなく安定に分散可能であり、高濃度にしても分散性、安定性に優れた樹脂被覆金属酸化物粒子分散液が製造される。
この分散液は、膜厚に近い大きさの平均粒子径を有し、かつマトリックス成分との結合性を有する樹脂で被覆した金属酸化物粒子を含むために、粒子と形成成分とが結合性を有しており、このため透明性、ヘーズ、基材との密着性に優れるとともに膜強度、耐擦傷性に優れ、加えて樹脂被覆金属酸化物粒子の平均粒子径と透明被膜の厚さとの比が0.3〜1.0の範囲にある比較的大きな粒子を用いるためにPETのような樹脂基材においても
耐擦傷性に優れた透明被膜の形成の好適に用いることのできる透明被膜形成用塗布液および透明被膜付基材を提供することができる。
以下、先ず、樹脂被覆金属酸化物粒子分散液の製造方法について説明する。
[樹脂被覆金属酸化物粒子分散液の製造方法]
本発明に係る樹脂被覆金属酸化物粒子分散液の製造方法は、発明に係る樹脂被覆金属酸化物粒子分散液の製造方法は、平均粒子径が0.3〜20μmの範囲にある金属酸化物粒子の有機溶媒分散液に特定の樹脂被覆剤を添加し、ついで、メカノケミカル処理する。
金属酸化物粒子
本発明に用いる金属酸化物粒子としては、従来、透明被膜に用いられる公知の金属酸化物粒子を用いることができる。
具体的にはTiO2、SiO2、ZrO2、Al23、Sb25、ZnO、およびこれらの複合酸化物、酸化錫、SbまたはPがドープされた酸化錫、酸化インジウム、SnまたはFがドーピングされた酸化インジウム、酸化アンチモン、低次酸化チタンから選ばれる1種以上であることが好ましい。
なお、本発明では、屈折率が1.4未満あるいは1.8以上の粒子を単独で用いると得られる樹脂被覆金属酸化物粒子の屈折率と使用するマトリックス成分の屈折率との差が大きくなりヘイズが悪化することから屈折率が1.4〜1.8の範囲にある金属酸化物粒子、複合金属酸化物粒子を用いることが好ましい。
金属酸化物粒子の平均粒子径は、得られる樹脂被覆金属酸化物粒子の平均粒子径が0.3〜20μmとなるような金属酸化物粒子を用いるが、概ね0.3〜20μm、さらには0.5〜15μmの範囲にあることが好ましい。
このような平均粒子径であれば、樹脂被覆金属酸化物粒子の平均粒子径と透明被膜の厚さとの比が0.3〜1.0の範囲となり、PETのような樹脂基材においても耐擦傷性に優れた透明被膜を形成できる。
金属酸化物粒子の平均粒子径が小さすぎる場合は、得られる樹脂被覆金属酸化物粒子も小さく、後述する透明被膜付基材に用いた場合、透明被膜の厚さに対して粒子が小さすぎるので、基材との密着性、膜強度、耐擦傷性等の向上効果が充分得られない場合がある。
金属酸化物粒子の平均粒子径が大きすぎると場合、得られる樹脂被覆金属酸化物粒子の平均粒子径も大きくなり、後述する透明被膜付基材に用いた場合、透明被膜の表面に凹凸が生じ、このため耐擦傷性が不充分となり、外観ムラが生じる場合がある。
本発明で用いる金属酸化物粒子は、後述するメカノケミカル処理する前に、加熱処理(乾燥および/または焼成)されている。加熱処理温度は100〜800℃、さらには105〜500℃の範囲にあることが好ましい。
なお、金属酸化物粒子を調製する際に、前記温度範囲の加熱履歴のある場合は、その必要がない場合がある。
また、前記温度範囲の加熱履歴があってもその後に水分散履歴のある場合は加熱処理することが好ましい。
かかる加熱処理によって、樹脂被覆量を高く、かつ均一にでき、その結果、得られる樹脂被覆金属酸化物粒子分散ゾルの安定性を高めることが可能となる。
その理由は明確ではないものの、加熱処理によって、付着水が除去され、金属酸化物粒
子表面が活性が失活するため、粒子と樹脂との結合を高く維持できると考えられる。
加熱処理温度が低すぎると、付着水が残存する等のために金属酸化物粒子の表面が不活性なためか、粒子と樹脂との結合が不充分となり、樹脂被覆量が不充分となる場合があり、得られる樹脂被覆金属酸化物粒子分散液の分散性が不充分となることがある。このような樹脂被覆金属酸化物粒子分散液を用いると透明被膜形成用塗料中での粒子の分散が不均一となり、最終的に得られる透明被膜の透明性、ヘーズ、膜強度、耐擦傷性、基材との密着性等が不充分となることがある。一方、加熱処理温度が高すぎると金属酸化物粒子が過度に凝集したり、金属酸化物粒子の種類によっては焼結し、得られる樹脂被覆金属酸化物粒子分散液の安定性が不充分となり、このような樹脂被覆金属酸化物粒子分散液を用いると透明被膜形成用塗料中での分散が不均一となり、最終的に得られる透明被膜の透明性、ヘーズ、膜強度、耐擦傷性、基材との密着性等が不充分となることがある。
樹脂被覆材としては、アクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂が使用される。
アクリル系樹脂としては、アクリル酸、2-ヒドロキシエチルアクリレート、2-ヒドロキシプロピルアクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート、2-アクリロイロキシエチルコハク酸、2-アクリロイロキシエチルフタル酸、2-アクリロイロキシエチル2-ヒドロキシエチル-フタル酸、モノ2-アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート、ジ2-アクリロイルオキシエチルアシッドフォスフェート2-ヒドロキシブチルアクリレート、2-アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、グリセリンジグリシジルエーテル、2-ヒドロキシ-3フェノキシプロピルアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、O-フェニルフェノールグリシジルエーテルアクリレート、1,4-ブタンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジアクリレート、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテルジアクリレート、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルアクリレート、2-チル2エチル1,3プロパンジオールジグリシジルエーテルアクリレート、シクロヘキサンジメタノールジグリシジルエーテルアクリレート、1,6ヘキサンジオールジグリシジルエーテルアクリレート、グリセリンポリグリシジルエーテルアクリレート、エチレングリコールジグリシジルエーテルアクリレート、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテルアクリレート、ジプロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリレート、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルアクリレート、2-ヒドロキシ、1-アクリロキシ、3-メタクリロキシプロパン、β-カルボキシエチルアクリレート等のアクリル系モノマー、これらアクリル系モノマーのホモ重合体、アクリル系モノマーとスチレン、シリコン、ポリエステル等との共重合体が挙げられる。
メタクリル系樹脂としては、メタクリル酸、2-ヒドロキシエチルメタクリレート、2-ヒドロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシブチルメタクリレート、2-メタクリロイロキシエチルコハク酸、2-メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、モノ2-メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、ジ2-メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、グリセリンジメタクリレート、2-ヒドロキシ-3-アクリロイロキシプロピルメタクリレート、2-ヒドロキシ-3アクリロイロキシプロピルメタクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルメタクリル酸付加物、ジグリセリンポリグリシジルエーテルメタクレート、3-クロロ-2-ヒドロキシプロピルメタクレート等のメタクリル系モノマー、これらメタクリル系モノマーのホモ重合体、メタクリル系モノマーとスチレン、シリコン、ポリエステル等との共重合物が挙げられる。さらに、ジ2-メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート、ジ2-アクリロイロキシエチルアシッドホスフェートなどの(メタ)アクリル基を含むリン酸エステル、(メタ)アクリル酸のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、ホスホニウム塩、エステルなどを使用することも可能である。
なお、これら樹脂被覆材が好ましい理由は明らかではないが、(メタ)アクリル系樹脂
は親水性であるため、金属酸化物粒子表面に結合しやすく、特に、特に水酸基を有する場合、この水酸基が金属酸化物粒子表面への樹脂被覆材の結合を容易にしているものと推測される。
樹脂被覆材は、通常、モノマーであっても、ある程度重合したオリゴマーやダイマーであっても、さらに重合が進んだポリマーであってもよい。重合が進んでいなくとも、メカノケミカル処理や加熱処理によって、重合は進行する。
有機溶媒
有機溶媒としては、従来公知の有機溶媒を用いることができる。
例えば、メタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノール(IPA)、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール等のアルコール類;エチレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソプルピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル等のエーテル類;酢酸プルピル、酢酸イソブチル、酢酸ブチル、酢酸イソペンチル、酢酸ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸シクロヘキシル、エチレングリコールモノアセタート等のエステル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルメチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジプロピルケトン、メチルペンチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステル等のケトン類;トルエン、キシレン等が挙げられる。
なかでも、前記エーテル類、エステル類、ケトン類は樹脂の被覆効率がよく、得られる樹脂被覆金属酸化物粒子に凝集粒子が少なく、分散性に優れ、沈降も起きず安定であるので好ましい。
また、前記エーテル類、エステル類、ケトン類は透明被膜形成用塗布液の溶媒として用いた場合、塗工性が良く、外観異常が起こりにくいことから多用され、このため得られる樹脂被覆金属酸化物粒子分散ゾルを塗布液用の溶媒に置換する必要が無いことから生産効率、経済性の点からも好ましい。
特にエーテル類はメカノケミカル処理において金属酸化物粒子が凝集しにくく、均一に樹脂被覆できるので好適に用いることができる。
混合比
メカノケミカル処理する際の樹脂被覆材の固形分としての濃度(CR)と金属酸化物粒子の固形分としての濃度(CMO)の濃度比(CR/CMO)は0.005〜0.5、さらには0.01〜0.3の範囲にあることが好ましい。
濃度比(CR/CMO)が小さすぎると、得られる樹脂被覆金属酸化物粒子分散液およびこれを用いた透明被膜形成用塗布液での分散性、安定性が不充分となり、さらに得られる透明被膜も透明性が低く、ヘイズが高くなる場合がある。また、金属酸化物粒子表面の樹脂が少ないためにマトリックス形成成分樹脂との結合が不充分となり充分な膜強度が得られない場合がある。さらに、透明被膜に応力が加わった場合に粒子とマトリックスとが剥離してボイドが生じる場合がある。濃度比(CR/CMO)が高すぎても、さらに分散性、透明被膜の透明性、ヘイズが向上することもなく、用いる金属酸化物粒子の屈折率あるいは導電性等の特性が充分発揮できない場合がある。
また、メカノケミカル処理時の金属酸化物粒子と樹脂被覆材との全固形分濃度が1〜50重量%、さらには2〜45重量%の範囲にあることが好ましい。全固形分濃度が低すぎると、処理に長時間を要し、また全部の粒子を均一に処理することが困難となり、樹脂被覆が不均一になり、得られる樹脂被覆金属酸化物粒子分散ゾルおよびこれを用いた透明被膜形成用塗布液での分散性、安定性が不充分となり、さらに得られる透明被膜も透明性が低く、ヘーズが高くなる場合がある。全固形分濃度が高すぎると、金属酸化物粒子の種類、溶媒、樹脂の種類によっては処理の進行に伴い急激に粘度が上昇したり、粒子が凝集することがあり、得られる樹脂被覆金属酸化物粒子分散ゾルおよびこれを用いた透明被膜形成用塗布液での分散性、安定性が不充分となり、さらに得られる透明被膜も透明性が低く、ヘーズが高くなる場合がある。
本発明のメカノケミカル処理方法は、前記金属酸化物粒子、樹脂被覆材、前記比率および濃度を採用する以外は従来公知の方法を採用することができる。例えば、ヘンシェルミキサー、ホモミキサー、ホモジナイザー、ビーズミル等に有機溶媒、金属酸化物粒子および樹脂被覆材を所定量計量し、高速で撹拌する。
撹拌速度は使用する装置、方式等によって異なるが、あまりに低速であると樹脂被覆量が不足したり、粒子と樹脂との結合が不充分となるためか樹脂被覆金属酸化物粒子分散液の安定性が不充分となることがあり、このような樹脂被覆金属酸化物粒子分散液を用いた透明被膜形成用塗料の安定性が低下し、最終的に得られる透明被膜の透明性、ヘイズ、膜強度、耐擦傷性、基材との密着性等が不充分となることがある。
なお、従来、上記のような方法で樹脂を被覆する際に重合開始剤を添加したり、紫外線照射、プラズマ照射することが行われるが、重合開始剤を添加したり、紫外線照射すると被覆用樹脂が粒子表面に積層して被覆しない場合や、被覆しても樹脂の重合、硬化が進みすぎるためか、後述する透明被膜形成用塗布液に用いた場合、マトリックス成分との結合が起きないために透明被膜の強度、耐擦傷性、耐擦傷性、基材との密着性が低下するため好ましくない。
このようにして得られる樹脂被覆金属酸化物粒子の平均粒子径は、後述する透明被膜の厚さと特定の関係を満たしていれば特に制限はないが、通常、0.3〜20μm、さらには0.5〜10μmの範囲にあることが好ましい。
被覆層は少しで付着していれば良く、実質的に樹脂被覆前と後の金属酸化物粒子の平均粒子径は同じであってもよく、当然被覆後の平均粒子径は大きくなっていても良い。得られた粒子の平均粒子径が、上記範囲であれば、透明性やヘーズ、膜強度、耐擦傷性、基材との密着性が高く、所望の特性および用途の点で好適となる。
得られる樹脂被覆金属酸化物粒子分散液の濃度は固形分として概ね1〜50重量%、好ましくは2〜45重量%の範囲にある。
なお濃度が薄いと透明被膜形成用塗布液の濃度が低くなりすぎて厚膜の透明被膜を形成できない場合があり、厚膜にするために塗布、乾燥、硬化を繰り返し行う必要が生じ、濃度が高すぎると、粘度が高すぎたり、凝集して分散性が不充分になる場合がある。
本発明では、得られた樹脂被覆金属酸化物粒子分散液は必要に応じて濃縮または希釈して用いることができる。
つぎに、本発明に係る透明被膜形成用塗布液について説明する。
[透明被膜形成用塗布液]
本発明に係る透明被膜形成用塗布液は、マトリックス形成成分と前記樹脂被覆金属酸化物粒子分散ゾルと有機溶媒とを含んでなることを特徴としている。
樹脂被覆金属酸化物粒子分散液
本発明の透明被膜形成用塗布液には前記した樹脂被覆金属酸化物粒子分散液を用いる。樹脂被覆金属酸化物粒子の透明被膜形成用塗布液中の固形分としての濃度は0.1〜48重量%、さらには0.2〜40重量%の範囲にあることが好ましい。
この範囲あればゾルが塗布液中にマトリックス成分とともに均一に分散できるとともに、粒子の特性も充分に発揮でき、目的とする透明被膜を形成できる。
なお、前記濃度が低すぎると、粒子の量が少ないために粒子の特性(耐擦傷性、低屈折率、高屈折率、導電性等)による耐擦傷性、反射防止性能、帯電防止性能等が不充分となる場合があり、高すぎても、マトリックス成分が少なく、基材との密着性、透明性、ヘーズ、耐擦傷性等が不充分となる場合がある。
マトリックス形成成分
マトリックス形成成分としては、有機樹脂系マトリックス形成成分が好適に用いられる。
有機樹脂系マトリックス形成成分として、具体的には塗料用樹脂として公知の熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂等のいずれも採用することができる。たとえば、従来から用いられているポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、熱可塑性アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、フッ素樹脂、酢酸ビニル樹脂、シリコーンゴムなどの熱可塑性樹脂、ウレタン樹脂、メラミン樹脂、ケイ素樹脂、ブチラール樹脂、反応性シリコーン樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、熱硬化性アクリル樹脂などの熱硬化性樹脂などが挙げられる。さらにはこれら樹脂の2種以上の共重合体や変性体であってもよい。熱可塑性樹脂の場合、マトリックス形成成分はそのままマトリックス成分となり、硬化性樹脂の場合、一般にマトリックス形成成分は未硬化(重合)のモノマーがマトリックス形成成分となり、硬化(重合)物がマトリックス成分となる。
これらの樹脂は、エマルジョン樹脂、水溶性樹脂、親水性樹脂であってもよい。さらに、熱硬化性樹脂、あるいは紫外線硬化型のものであっても、電子線硬化型のものであってもよく、熱硬化性樹脂の場合、硬化触媒が含まれていてもよい。
本発明では、樹脂被覆金属酸化物粒子に用いた樹脂とマトリックス形成成分との結合性を有し、膜強度、耐擦傷性が向上することから有機樹脂系マトリックス形成成分として、具体的には水酸基、アミノ基、カルボキシル基、スルホ基等の官能基を有する多官能(メタ)アクリル酸エステル樹脂が挙げられ、具体的には2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシ−3−アクリロイロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート、ペンタエリスリトールポログリシジルエーテルアクリレート、ジエチルアミノメチルメタクリレート、ジメチルアミノメチルメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールジメタクリレート、ブトキシジエチレングリコールメタクリレート、2アクロイロキシエチルコハク酸、2アクロイロキシエチルフタル酸およびこれらの混合物あるいはこれら樹脂の2種以上の共重合体や変性体であってもよい。
また、ビニル基、ウレタン基、エポキシ基、(メタ)アクリロイル基、CF2基等の官能基を有する多官能(メタ)アクリル酸エステル樹脂が挙げられ、具体的にはペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ジトリメチロ
ールプロパンテトラアクリレート、テトラメチロールメタントリアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、メトキシトリエチレングリコールジメタクリレート、1,6−ヘキサンジオールジメタクリレート、パーフルオロオクチルエチルメタクリレート、トリフロロエチルメタクリレート、フェニルグリシジルエーテルアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサメチレンジイソシアネートウレタンプレポリマー、クレゾールノボラック型エポキシアクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルアクリル酸付加物、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテルアクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルアクリレート、2ブチル−2エチル−1,3プロパンジオールジグリシジルエーテルアクリレート等およびこれらの混合物が挙げられる。

透明被膜形成用塗布液中のマトリックス形成成分の濃度は、固形分として1〜60重量%、さらには2〜50重量%の範囲にあることが好ましい。マトリックス形成成分の濃度が少なすぎると一回の塗布では所定の膜厚が得られないことがあり、塗布、乾燥を繰り返すと密着性等が不充分となったり、経済性において不利である。マトリックス形成成分の濃度が高すぎると、得られる透明被膜の厚さが不均一になる傾向がある。
透明被膜形成用塗布液中のマトリックス形成成分の濃度は、固形分として1〜60重量%、さらには2〜50重量%の範囲にあることが好ましい。マトリックス形成成分の濃度が少なすぎると一回の塗布では所定の膜厚が得られないことがあり、塗布、乾燥を繰り返すと密着性等が不充分となったり、経済性において不利である。マトリックス形成成分の濃度が高すぎると、得られる透明被膜の厚さが不均一になる傾向がある。
透明被膜形成用塗布液中のマトリックス形成成分の濃度は、固形分として概ね0.2〜60重量%、さらには1〜50重量%の範囲にあることが好ましい。
マトリックス形成成分の濃度が少なすぎると一回の塗布では所定の膜厚が得られないことがあり、塗布、乾燥を繰り返すと密着性等が不充分となったり、経済性において不利である。マトリックス形成成分の濃度が高すぎると、得られる透明被膜の厚さが不均一になる傾向がある。
有機溶媒
本発明に用いる有機溶媒としては前記マトリックス形成成分、必用に応じて用いる重合開始剤を溶解あるいは分散できるとともに前記した樹脂被覆金属酸化物粒子を均一に分散することができれば特に制限はなく、従来公知の溶媒を用いることができる。
具体的には、メタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノール(IPA)、ブタノール、ジアセトンアルコール、フルフリルアルコール、テトラヒドロフルフリルアルコール、エチレングリコール、ヘキシレングリコール、イソプロピルグリコールなどのアルコール類;酢酸メチルエステル、酢酸エチルエステル、酢酸ブチルなどのエステル類;ジエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールイソプルピルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プルピレングリコールモノエチルエーテルなどのエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ブチルメチルケトン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、ジプロピルケトン、メチルペンチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、アセチルアセトン、アセト酢酸エステルなどのケトン類、トルエン、キシレン等が挙げられる。これらは単独で使用してもよく、また2種以上混合して使用することもできる。
本発明では、樹脂被覆金属酸化物粒子分散液の製造に好適に用いることのできる前記したエーテル類、エステル類、ケトン類が好ましい。
これらエーテル類、エステル類、ケトン類を有機溶媒として用いると透明被膜形成用塗布
液はマトリックス成分との相溶性に優れ、これを用いて得られる透明被膜は表面の均一性が高く、透明性、ヘイズ、耐擦傷性等に優れている。
重合開始剤
本発明では、上記樹脂被覆金属酸化物粒子、マトリックス形成成分とともに、必要に応じて重合開始剤が含まれていてもよい。重合開始剤としては、公知のものを特に制限なく使用することが可能であり、例えば、ビス(2、4、6−トリメチルベンゾイル)フェニルフォスフィンオキサイド、ビス(2、6−ジメトキシベンゾイル)2、4、4−トリメチル-ペンチルフォスフィンオキサイド、2−ヒドロキシ-メチル-2-メチル-フェニル-プロパン-1-ケトン、2、2-ジメトキシ-1、2-ジフェニルエタン-1-オン、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-メチル-1-[4-(メチルチオ)フェニル]-2-モルフォリノプロパン-1-オン等が挙げられる。
重合開始剤の使用量は特に制限されない。
上記した透明被膜形成用塗布液をディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、バーコート法、グラビア印刷法、マイクログラビア印刷法等の周知の方法で基材に塗布し、乾燥し、硬化性樹脂の場合は、紫外線照射、加熱処理等常法によって硬化させることによって透明被膜を形成することができる。
得られた透明被膜の膜厚は、0.3〜20μmの範囲にあることが好ましい。
つぎに、本発明に係る透明被膜付基材について説明する。
[透明被膜付基材]
本発明に係る透明被膜付基材は、基材と、基材上に形成された透明被膜とからなり、該透明被膜が前記塗布液から形成されてなる樹脂被覆金属酸化物粒子とマトリックス成分とからなり、樹脂被覆金属酸化物粒子の平均粒子径(Dp)と前記透明被膜の厚さ(Th)との比(Dp/Th)が0.3〜1.0の範囲にあることを特徴としている。
基材
本発明に用いる基材としては、従来公知のものを特に制限なく使用することが可能であり、ガラス、ポリカーボネート、アクリル系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)、トリアセチルセルロース(TAC)、シクロポリオレフィン、ノルボルネン等のプラスチックシート、プラスチックフィルム等、プラスチックパネル等があげられる。中でも樹脂系基材を好適に用いることができる。また、このような基材上に、他の被膜が形成された被膜付基材を用いこともできる。他の被膜としては従来公知のプライマー膜、ハードコート膜、高屈折率膜、導電性膜等が挙げられる。
樹脂被覆金属酸化物粒子
樹脂被覆金属酸化物粒子としては前記したとおりである。
本発明に用いる樹脂被覆金属酸化物粒子の平均粒子径(Dp)は、0.3〜20μmの範囲にあり、かつ平均粒子径(Dp)と前記透明被膜の厚さ(Th)との比(Dp/Th)が0.3〜1.00.3〜1.0、さらには0.5〜0.9の範囲にあることが好ましい。
前記(Dp/Th)が小さすぎると基材との密着性を向上させる効果、鉛筆硬度を向上させる効果等が不充分となり、前記(Dp/Th)が大きすぎると透明被膜表面に凹凸が形成される場合があり、耐擦傷性、鉛筆硬度等が低下する場合がある。
また、樹脂被覆金属酸化物粒子の屈折率とマトリックス成分の屈折率との屈折率差が0.2以下、さらには0.1以下であることが好ましい。
前記屈折率差が大きすぎるとヘイズが悪化するので好ましくない。
透明被膜中の樹脂被覆金属酸化物微粒子の含有量は固形分として0.2〜80重量%、さらには2〜50重量%の範囲にあることが好ましい。含有量が少なすぎると、粒子の量
が少ないために粒子の特性(耐擦傷性向上、低屈折率、高屈折率、導電性等)による耐擦傷性、反射防止性能、帯電防止性能等が不充分となる場合があり、多すぎてもマトリックス成分が少なく、基材との密着性、透明性、ヘーズ、耐擦傷性等が不充分となる場合がある。
マトリックス成分
マトリックス成分は、前記有機樹脂系マトリックス形成成分に由来するものであり、詳細は前記したとおりである。
透明被膜中のマトリックス成分の含有量は固形分として10〜99.8重量%、さらには20〜99.5重量%の範囲にあることが好ましい。
透明被膜中のマトリックス成分の含有量が少なすぎると、基材との密着性、透明性、ヘーズ、耐擦傷性等が不充分となる場合がある。含有量が多すぎると、粒子の量が少ないために粒子の特性(耐擦傷性、低屈折率、高屈折率、導電性等)による耐擦傷性、反射防止性能、帯電防止性能等が不充分となる場合がある。
本発明に係る透明被膜の膜厚は、用途によっても異なるが概ね30nm〜20μm、さらには、70nm〜15μmの範囲にあることが好ましい。
透明被膜の膜厚が薄すぎると、用途によっては膜強度、耐擦傷性が不充分となる場合がある。透明被膜の膜厚が厚すぎると、透明被膜にクラックを生じたり、プラスチック等の基材ではカーリング(湾曲あるいは反り)を生じる場合がある。
本発明に係る透明被膜付基材は、前記した透明被膜形成用塗布液を基材上に塗布し、乾燥し、硬化させることによって製造することができる。
具体的には、透明被膜形成用塗料をディップ法、スプレー法、スピナー法、ロールコート法、バーコート法、スリットコーター印刷法、グラビア印刷法、マイクログラビア印刷法等の周知の方法で基材に塗布し、乾燥し、紫外線照射、加熱処理等常法によって硬化させることによって透明被膜を形成することができる。防弦性を有する透明被膜付基材を製造する場合はロールコート法、スリットコーター印刷法、グラビア印刷法、マイクログラビア印刷法が推奨される。
さらに、本発明の透明被膜付基材には、基材と前記透明被膜との間に前記透明被膜と異なる他の被膜を設けることができる。他の被膜としては、従来公知のプライマー膜、ハードコート膜、高屈折率膜、導電性膜、低屈折率膜、アンチグレア膜、赤外線遮蔽膜、紫外線遮蔽膜等が挙げられる。
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
[実施例1]
樹脂被覆粒子(1)分散液の調製
金属酸化物粒子として200℃で2時間加熱処理したシリカ・ジルコニア粒子(日揮触媒化成(株)製:オグリナイトP−500XZ−18、ZrO2含有量:18重量%、平均粒子径3μm、屈折率1.51)201g、有機溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)374g、被覆用樹脂としてジ2-メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート(共栄社化学(株)製:ライトエステルP-2M)14.5gを、ガラスビーズ(0.4mm)1135gを入れたビーズミルに充填し、1700rpmの回転数で1時間処理した後、ガラスビーズを分離し、ついでPGMEを加えて固形分濃度30重量%の樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(1)分散液を調製した。
樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(1)の平均粒子径および屈折率を測定し、結果を表1
に示した。なお、平均粒子径はレーザー粒径解析システム(大塚電子製:PAR-III)により測定した。また、粒子の屈折率は、以下の方法によった。
屈折率
屈折率は標準屈折液としてCARGILL製のSeriesA、AAを用い、以下の方法で測定した。
(1)樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(1)分散液をエバポレーターに採り、分散媒を蒸発させる。
(2)これを80℃で12時間乾燥し、粉末とする。
(3)屈折率が既知の標準屈折液を2、3滴ガラス板上に滴下し、これに上記粉末を混合する。
(4)上記(3)の操作を種々の標準屈折液で行い、混合液が透明になったときの標準屈折液の屈折率を樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(1)の屈折率とする。
透明被膜形成用塗布液(1)の調製
固形分濃度30重量%の樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(1)分散液50gに、グリコール系アクリレート樹脂としてポリエチレングリコールジアクリレート(新中村化学(株)製:NKエステルA−400)3.5gと、非グリコール系2官能アクリレート樹脂として1、6−ヘサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製:カヤラッドKS−HDDA)3.5gと非グリコール系6官能アクリレート樹脂としてジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-6A)28gとイソプロピルアルコール53.6gとブチルセロソルブ26.7gと光開始剤2.4.6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(ビ−エーエスジャパン(株)製:ルシリンTPO)1.4gとを混合して透明被膜形成用塗布液(1)を調製した。
透明被膜付基材(F-1)の製造
透明被膜形成用塗布液(1)をTACフィルム(厚さ:80μm、屈折率1.49、基材透過率92.0%、ヘーズ0.2%)にバーコーター法(バー#14)で塗布し、80℃で1分間乾燥した後、高圧水銀灯(120W/cm)を搭載した紫外線照射装置(日本電池製UV照射装置CS30L21−3)で600mJ/cm2照射して硬化させ、透明被膜付基材(F-1)を調製した。このときの透明被膜の厚さは4μmであった。
得られた透明被膜の全光線透過率およびヘーズをヘーズメーター(スガ試験機(株)製)により測定し、結果を表1に示す。また、透明被膜の屈折率をエリプソメーター(ULVAC社製:EMS−1)により測定し、結果を表1に示す。さらに、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を以下の方法および評価基準で評価し、結果を表1に示す。
鉛筆硬度の測定
JIS−K−5400に準じて鉛筆硬度試験器により測定した。
耐擦傷性の測定
#0000スチールウールを用い、荷重500g/cm2で50回摺動し、膜の表面を目視観察し、以下の基準で評価し、結果を表1に示す。
評価基準:
筋条の傷が認められない :◎
筋条に傷が僅かに認められる:○
筋条に傷が多数認められる :△
面が全体的に削られている :×
密着性
透明被膜付基材(F-1)の表面にナイフで縦横1mmの間隔で11本の平行な傷を付け100個の升目を作り、これにセロハンテープ(登録商標)を接着し、ついで、セロハンテープ(登録商標)を剥離したときに被膜が剥離せず残存している升目の数を、以下の4段階に分類することによって密着性を評価した。結果を表1に示す。
残存升目の数100個 :◎
残存升目の数93〜97個:○
残存升目の数85〜92個:△
残存升目の数84個以下 :×
[実施例2]
樹脂被覆粒子(2)分散液の調製
実施例1において、被覆用樹脂としてジ2-メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート(共栄社化学(株)製:ライトエステルP-2M)7.3gを用いた以外は同様にして固形分濃度30重量%の樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(2)分散液を調製した。樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(2)の平均粒子径および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
透明被膜形成用塗布液(2)の調製
実施例1において、樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(2)分散液を用いた以外は同様にして透明被膜形成用塗布液(2)を調製した。
透明被膜付基材(F-2)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(2)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(F-2)を調製した。このときの透明被膜の厚さは4μmであった。得られた透明被膜の全光線透過率、ヘーズ、屈折率、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を測定し、結果を表1に示す。
[実施例3]
樹脂被覆粒子(3)分散液の調製
実施例1において、被覆用樹脂としてジ2-メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート(共栄社化学(株)製:ライトエステルP-2M)29.0gを用いた以外は同様にして固形分濃度30重量%の樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(3)分散液を調製した。
樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(3)の平均粒子径および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
透明被膜形成用塗布液(3)の調製
実施例1において、樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(3)分散液を用いた以外は同様にして透明被膜形成用塗布液(3)を調製した。
透明被膜付基材(F-3)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(3)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(F-3)を調製した。このときの透明被膜の厚さは4μmであった。得られた透明被膜の全光線透過率、ヘーズ、屈折率、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を測定し、結果を表1に示す。
[実施例4]
樹脂被覆粒子(4)分散液の調製
実施例1において、被覆用樹脂としてジ2-メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート14.5gの代わりに2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート(新中村化学工業(株)製:NKエステル702A)14.5gを混合した以外は、同様にして固形分濃度30重量%の樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(4)分散液を調製した。
樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(4)の平均粒子径および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
透明被膜形成用塗布液(4)の調製
固形分濃度30重量%の樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(4)分散液233.3gに、グリコール系アクリレート樹脂としてポリプロピレングリコールジアクリレート(新中村化学(株)製:NKエステルAPG−700)6gと、非グリコール系2官能アクリレート樹脂としてジメチロールトリシクロデカンジアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトア
クリレートDCP−A)3gと、非グリコール系4官能アクリレート樹脂としてペンタエリスリトールテトラアクリレート(共栄社化学(株)製:ライトアクリレートDPE-4A)24gとイソプロピルアルコール40gとプロピレングリコールモノメチルエーテル30gと光開始剤2.4.6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(ビ−エーエスジャパン(株)製:ルシリンTPO)1.5gとを混合して透明被膜形成用塗布液(4)を調製した。
透明被膜付基材(F-4)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(4)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(F-4)を調製した。このときの透明被膜の厚さは4μmであった。得られた透明被膜の全光線透過率、ヘーズ、屈折率、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を測定し、結果を表1に示す。
[実施例5]
樹脂被覆粒子(5)分散液の調製
実施例4において、被覆用樹脂2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート(新中村化学工業(株)製:NKエステル702A)7.3gを混合した以外は同様にして固形分濃度30重量%の樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(5)分散液を調製した。樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(5)の平均粒子径および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
透明被膜形成用塗布液(5)の調製
実施例4において、固形分濃度30重量%の樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(5)分散液を用いた以外は同様にして透明被膜形成用塗布液(5)を調製した。
透明被膜付基材(F-5)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(5)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(F-5)を調製した。このときの透明被膜の厚さは4μmであった。得られた透明被膜の全光線透過率、ヘーズ、屈折率、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を測定し、結果を表1に示す。
[実施例6]
樹脂被覆粒子(6)分散液の調製
実施例4において、被覆用樹脂2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート(新中村化学工業(株)製:NKエステル702A)29gを混合した以外は同様にして固形分濃度30重量%の樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(6)分散液を調製した。
樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(6)の平均粒子径および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
透明被膜形成用塗布液(6)の調製
実施例4において、固形分濃度30重量%の樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(6)分散液を用いた以外は同様にして透明被膜形成用塗布液(6)を調製した。
透明被膜付基材(F-6)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(6)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(F-6)を調製した。このときの透明被膜の厚さは4μmであった。得られた透明被膜の全光線透過率、ヘーズ、屈折率、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を測定し、結果を表1に示す。
[実施例7]
樹脂被覆粒子(7)分散液の調製
実施例1において、有機溶媒としてプロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)374gの代わりにメチルイソブチルケトン(MIBK)374gを用い、被覆用樹脂としてジ2-メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート(共栄社化学(株)製:ライトエステルP-2M)7.3gと、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピルアクリレート(新中村化学工業(株)製:NKエステル702A)7.3gとを混合した以外は同様にして固形分濃度30重量%の樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(7)分散液を調製した。
樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(7)の平均粒子径および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
透明被膜形成用塗布液(7)の調製
実施例1において、固形分濃度30重量%の樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(7)分散液を用いた以外は同様にして透明被膜形成用塗布液(7)を調製した。
透明被膜付基材(F-7)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(7)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(F-7)を調製した。このときの透明被膜の厚さは4μmであった。得られた透明被膜の全光線透過率、ヘーズ、屈折率、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を測定し、結果を表1に示す。
[実施例8]
樹脂被覆粒子(8)分散液の調製
実施例1において、被覆用樹脂としてジ2-メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート14.5gの代わりに2-アクリロイロキシエチルコハク酸(共栄社(株)製:ライトアクリレートHOA−MS)14.5gを混合した以外は同様にして固形分濃度30重量%の樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(8)分散液を調製した。
樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(8)の平均粒子径および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
透明被膜形成用塗布液(8)の調製
実施例1において、固形分濃度30重量%の樹脂被覆Pドープ酸化錫微粒子(8)分散ゾルを用いた以外は同様にして透明被膜形成用塗布液(8)を調製した。
透明被膜付基材(F-8)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(8)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(F-4)を調製した。このときの透明被膜の厚さは4μmであった。
得られた透明被膜の全光線透過率、ヘーズ、屈折率、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を測定し、結果を表1に示す。
[実施例9]
樹脂被覆粒子(9)分散液の調製
実施例1において、金属酸化物粒子として201gを用いた以外200℃で2時間加熱処理したシリカ・ジルコニア粒子(日揮触媒化成(株)製:P−500K、ZrO2含有量:7.7重量%、平均粒子径2μm、屈折率1.49)は同様にして固形分濃度30重量%の樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(9)分散液を調製した。
樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(9)の平均粒子径および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
透明被膜形成用塗布液(9)の調製
実施例1において、固形分濃度30重量%の樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(9)分散液を用いた以外は同様にして透明被膜形成用塗布液(9)を調製した。
透明被膜付基材(F-9)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(9)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(F-9)を調製した。このときの透明被膜の厚さは4μmであった。
得られた透明被膜の全光線透過率、ヘーズ、屈折率、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を測定し、結果を表1に示す。
[実施例10]
樹脂被覆粒子(10)分散液の調製
実施例1において、金属酸化物粒子として200℃で2時間加熱処理したシリカ・ジル
コニア粒子(日揮触媒化成(株)製:P−1500K、ZrO2含有量:7.3重量%、平均粒子径5μm、屈折率1.49)201gを用いた以外は同様にして固形分濃度30重量%の樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(10)分散液を調製した。
樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(10)の平均粒子径および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
透明被膜形成用塗布液(10)の調製
実施例1において、固形分濃度30重量%の樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(10)分散液を用い、イソプロピルアルコール量を11.9gに変えた以外は同様にして透明被膜形成用塗布液(10)を調製した。
透明被膜付基材(F-10)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(10)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(F-10)を調製した。このときの透明被膜の厚さは6μmであった。得られた透明被膜の全光線透過率、ヘーズ、屈折率、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を測定し、結果を表1に示す。
[実施例11]
樹脂被覆粒子(11)分散液の調製
実施例1において、金属酸化物粒子として200℃で2時間加熱処理したシリカ粒子(日揮触媒化成(株)製:真絲球SW、平均粒子径4μm、屈折率:1.46)201gを用いた以外は同様にして固形分濃度30重量%の樹脂被覆シリカ粒子(11)分散液を調製した。
樹脂被覆シリカ粒子(11)の平均粒子径および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
透明被膜形成用塗布液(11)の調製
固形分濃度30重量%の樹脂被覆シリカ粒子(11)分散液50gに、シリコーン樹脂(信越化学工業(株)製:X−12−2400、固形分濃度30重量%、溶媒メタノール30%、ジアセトンアルコール30%、イソブタノール10%)110gと、2官能アクリレート樹脂として1、6−ヘサンジオールジアクリレート(日本化薬(株)製:カヤラッドKS−HDDA)2gと、光開始剤2.4.6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(ビ−エーエスジャパン(株)製:ルシリンTPO)1.4gとを混合して透明被膜形成用塗布液(11)を調製した。
透明被膜付基材(F-11)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(11)を用い、バーコーター法のバーを#18に変えた以外は同様にして透明被膜付基材(F-11)を調製した。このときの透明被膜の厚さは5μmであった。得られた透明被膜の全光線透過率、ヘーズ、屈折率、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を測定し、結果を表1に示す。
[実施例12]
透明被膜付基材(F-12)の製造
実施例1において、基材としてPETフィルム(厚さ:188μm、屈折率:1.65、全光線透過率90.0%、ヘーズ0.6%)に塗布した以外は同様にして透明被膜付基材(F-12)を調製した。このときの透明被膜の厚さは4μmであった。
得られた透明被膜の全光線透過率、ヘーズ、屈折率、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を測定し、結果を表1に示す。
[比較例1]
樹脂被覆粒子(R1)分散液の調製
金属酸化物粒子として水分散シリカ粒子(日揮触媒化成(株)製:スフェリカスラリー120、平均粒子径0.12μm、屈折率1.46、固形分濃度30重量%)に両性イオン交換樹脂を等量加え脱イオンを行い、110℃20時間加熱で水分を除去した後、200℃で2時間加熱処理したシリカ粒子201gを用いた以外は同様にして固形分濃度30
重量%の樹脂被覆シリカ粒子(R1)分散液を調製した。
樹脂被覆シリカ粒子(R1)の平均粒子径および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
透明被膜形成用塗布液(R1)の調製
実施例1において、樹脂被覆シリカ粒子(R1)分散液を用いた以外は同様にして透明被膜形成用塗布液(R1)を調製した。
透明被膜付基材(RF-1)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(R1)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(RF-1)を調製した。このときの透明被膜の厚さは4μmであった。
得られた透明被膜の全光線透過率、ヘーズ、屈折率、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を測定し、結果を表1に示す。
[比較例2]
樹脂被覆粒子(R2)分散液の調製
金属酸化物粒子として200℃で2時間加熱処理したシリカ・ジルコニア粒子(日揮触媒化成(株)製:P−1500Kの分球粗粒子品、ZrO2含有量:7.3重量%、平均粒子径22μm、屈折率1.49)201gを用いた以外は同様にして固形分濃度30重量%の樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(R2)分散液を調製した。
樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(R2)の平均粒子径および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
透明被膜形成用塗布液(R2)の調製
実施例1において、樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(R2)分散液を用いた以外は同様にして透明被膜形成用塗布液(R2)を調製した。
透明被膜付基材(RF-2)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(R2)を用い、バーコーター法のバーを#65に変えたた以外は同様にして透明被膜付基材(RF-2)を調製した。このときの透明被膜の厚さは24μmであった。
得られた透明被膜の全光線透過率、ヘーズ、屈折率、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を測定し、結果を表1に示す。
[比較例3]
シランカップリング剤処理金属酸化物粒子(R3)分散液の調製
金属酸化物粒子として200℃で2時間加熱処理したシリカ・ジルコニア粒子(日揮触媒化成(株)製:オグリナイトP−500XZ−18、ZrO2含有量:18重量%、平均粒子径3μm、屈折率1.51)200gを水1800gに分散させた分散液2000gに、カップリング剤として正珪酸エチル(TEOS)(多摩化学製:エチルシリケート28、SiO2成分28.8重量%)20.8g(シリカ・ジルコニア粒子との重量比=3/100)とメタノール2000gを入れ50℃で18時間攪拌した。
ついで、γ-アクリロオキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学(株)製:KBM−5103、SiO2成分81.2重量%)7.4gを入れ、再び50℃で18時間攪拌して表面処理を行った。
このあと、エタノールに溶媒置換して固形分濃度30重量%のシランカップリング剤で表面処理したシリカ・ジルコニア粒子(R3)分散液を調製した。
固形分濃度30重量%のシランカップリング剤で表面処理したシリカ・ジルコニア粒子(R3)分散液の平均粒子径および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
透明被膜形成用塗布液(R3)の調製
実施例1において、固形分濃度重量%のシランカップリング材で表面処理したシリカ・ジルコニア粒子(R3)分散液を用いた以外は同様にして透明被膜形成用塗布液(R3)を調製した。
透明被膜付基材(RF-3)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(R3)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(RF-3)を調製した。このときの透明被膜の厚さは4μmであった。
得られた透明被膜の全光線透過率、ヘーズ、屈折率、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を測定し、結果を表1に示す。
[比較例4]
樹脂被覆粒子(R4)分散液の調製
実施例1において、被覆用樹脂としてジ2-メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート(共栄社化学(株)製:ライトエステルP-2M)14.5gの代わりに非アクリル系樹脂ポリビニルピロリドン(関東化学製:K-30、平均分子量10000)14.5gを混合した以外は同様にして固形分濃度30重量%の樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(R4)分散液を調製した。
樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(R4)の平均粒子径および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
透明被膜形成用塗布液(R4)の調製
実施例1において、固形分濃度30重量%の樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(R4)分散液を用いた以外は同様にして透明被膜形成用塗布液(R4)を調製した。
透明被膜付基材(RF-4)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(R4)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(RF-4)を調製した。このときの透明被膜の厚さは4μmであった。
得られた透明被膜の全光線透過率、ヘーズ、屈折率、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を測定し、結果を表1に示す。
[比較例5]
樹脂被覆粒子(R5)分散液の調製
実施例1において、被覆用樹脂としてジ2-メタクリロイロキシエチルアシッドホスフェート(共栄社化学(株)製:ライトエステルP-2M)14.5gの代わりに非アクリル系樹脂ポリビニルアルコール(関東化学製:平均分子量10000)14.5gを混合した以外は同様にして固形分濃度30重量%の樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(R5)分散液を調製した。
樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(R5)の平均粒子径および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
透明被膜形成用塗布液(R5)の調製
実施例1において、固形分濃度30重量%の樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(R5)分散液を用いた以外は同様にして透明被膜形成用塗布液(R5)を調製した。
透明被膜付基材(RF-5)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(R5)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(RF-5)を調製した。このときの透明被膜の厚さは4μmであった。
得られた透明被膜の全光線透過率、ヘーズ、屈折率、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を測定し、結果を表1に示す。
[比較例6]
樹脂被覆粒子(R6)分散液の調製
実施例1において、金属酸化物粒子として50℃で2時間加熱処理したシリカ・ジルコニア粒子(日揮触媒化成(株)製:オグリナイトP−500XZ−18、ZrO2含有量:18重量%、平均粒子径3μm、屈折率1.51)201gを用いた以外は同様にして固形分濃度30重量%の樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(R6)分散液を調製した。
樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(R6)の平均粒子径および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
透明被膜形成用塗布液(R6)の調製
実施例1において、固形分濃度30重量%の樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(R6)分散液を用いた以外は同様にして透明被膜形成用塗布液(R6)を調製した。
透明被膜付基材(RF-6)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(R6)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(RF-6)を調製した。このときの透明被膜の厚さは4μmであった。得られた透明被膜の全光線透過率、ヘーズ、屈折率、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を測定し、結果を表1に示す。
[参考例1]
樹脂被覆粒子(S1)分散液の調製
実施例1において、シリカ・ジルコニア粒子、有機溶媒、被覆用樹脂に加えて開始剤として2.4.6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド(ビ−エーエスジャパン(株)製:ルシリンTPO)1.4gとを混合した以外は同様にして固形分濃度30重量%の樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(S1)分散液を調製した。
樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(S1)の平均粒子径および屈折率を測定し、結果を表1に示した。
透明被膜形成用塗布液(S1)の調製
実施例1において、固形分濃度30重量%の樹脂被覆シリカ・ジルコニア粒子(S1)分散液を用いた以外は同様にして透明被膜形成用塗布液(S1)を調製した。
透明被膜付基材(SF-1)の製造
実施例1において、透明被膜形成用塗布液(S1)を用いた以外は同様にして透明被膜付基材(SF-1)を調製した。このときの透明被膜の厚さは4μmであった。得られた透明被膜の全光線透過率、ヘーズ、鉛筆硬度、耐擦傷性および密着性を測定し、結果を表1に示す。
Figure 2010053173

Claims (9)

  1. 予め加熱処理した平均粒子径が0.3〜20μmの範囲にある金属酸化物粒子の有機溶媒分散液にアクリル系樹脂および/またはメタクリル系樹脂からなる樹脂被覆材を添加し、ついで、メカノケミカル処理することを特徴とする樹脂被覆金属酸化物粒子分散液の製造方法。
  2. 前記有機溶媒がエーテル類、エステル類、ケトン類から選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂被覆金属酸化物粒子分散液の製造方法。
  3. 前記樹脂被覆材の固形分としての濃度(CR)と金属酸化物微粒子の固形分としての濃度(CMO)の濃度比(CR)/(CMO)が0.005〜0.5の範囲にあることを特徴とする請求項1または2に記載の樹脂被覆金属酸化物粒子分散液の製造方法。
  4. 前記メカノケミカル処理時の金属酸化物粒子と樹脂被覆材との全固形分濃度が1〜50重量%の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の樹脂被覆金属酸化物粒子分散液の製造方法。
  5. 前記金属酸化物粒子が、TiO2、SiO2、ZrO2、Al23、Sb25、ZnO、およびこれらの複合酸化物、酸化錫、SbまたはPがドープされた酸化錫、酸化インジウム、SnまたはFがドーピングされた酸化インジウム、酸化アンチモン、低次酸化チタンから選ばれる1種以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂被覆金属酸化物粒子分散液の製造方法。
  6. 樹脂被覆金属酸化物粒子の平均粒子径が0.3〜20μmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の樹脂被覆金属酸化物粒子分散液の製造方法。
  7. 請求項1〜5のいずれかに記載の方法で得られた樹脂被覆金属酸化物粒子分散液とマトリックス形成成分と有機溶媒とを含んでなることを特徴とする透明被膜形成用塗布液。
  8. 基材と、基材上に形成された透明被膜とからなり、該透明被膜が請求項1〜5のいずれかに記載の方法で得られた樹脂被覆金属酸化物粒子とマトリックス成分とからなり、樹脂被覆金属酸化物粒子の平均粒子径(Dp)と前記透明被膜の厚さ(Th)との比(Dp/Th)が0.3〜1.0の範囲にあることを特徴とすることを特徴とする透明被膜付基材。
  9. 前記樹脂被覆金属酸化物粒子の屈折率と前記マトリックス成分の屈折率との屈折率差が0.2以下であることを特徴とする請求項7に記載の透明被膜付基材。
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