JP6337600B2 - 色調補正フィルム及びこれを用いた透明導電性フィルム - Google Patents
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すなわち、本発明は、以下の色調補正フィルムおよび透明導電性フィルムである。
上記課題を解決するための本願第1発明は、透明基材フィルムの一方の面に、第一ハードコート層、第一色調補正層、第二色調補正層がこの順に積層され、前記透明基材フィルムの他方の面に、第二ハードコート層がこの順に積層されており、前記第一ハードコート層は、屈折率が1.51〜1.53、膜厚が1.3〜1.8μmであり、前記第一色調補正層は、屈折率が1.65〜1.71、膜厚が35〜45nmであり、前記第二色調補正層は、屈折率が1.51〜1.53、膜厚が30〜40nmであり、前記第二ハードコート層は、屈折率が1.51〜1.53、膜厚が1.3〜1.8μmである、ことを特徴とする色調補正フィルムである。
(本願第2発明)
上記課題を解決するための本願第2発明は、本願第1発明に記載の色調補正フィルムの前記第二色調補正層上に錫ドープ酸化インジウム層が積層されており、前記錫ドープ酸化インジウム層は、屈折率が1.85〜2.35、膜厚が5〜50nmであることを特徴とする透明導電性フィルムである。
(本願第3発明)
上記課題を解決するための本願第3発明は、ヘイズ値が1.0%未満であることを特徴とする本願第2発明に記載の透明導電性フィルムである。
<透明基材フィルム>
透明基材フィルムは、透明性を有している限り特に制限されないが、屈折率が1.55〜1.70の範囲内のものが好ましい。このような透明基材フィルムを形成する材料としては、例えばポリエチレンテレフタレート(PET、屈折率:1.67)等のポリエステル、ポリカーボネート(PC、屈折率:1.59)、ポリアリレート(PAR、屈折率:1.60)及びポリエーテルスルフォン(PES、屈折率:1.65)等が好ましい。これらのうち、ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートフィルムが成形の容易性で好ましい。
表面硬度向上及びカール低減のために透明基材フィルムの両面にそれぞれ第一ハードコート層、第二ハードコート層が設けられている。これら2つのハードコート層の材料、膜厚及び屈折率は、後述の範囲である限り相互に同一であっても良いし、異なっていても良い。
そのような活性エネルギー線硬化型樹脂を含む組成物としては特に限定されるものではないが、例えば、公知の活性エネルギー線硬化型樹脂、又は公知の活性エネルギー線硬化型樹脂を2種類以上混合したもの、紫外線硬化性ハードコート材として市販されているものを用いることができる。
更に、第一ハードコート層及び第二ハードコート層は、その他添加剤を含有していても良い。その他の添加剤としては、表面調整剤やスリップ剤等が挙げられる。
第一色調補正層は、第二色調補正層との屈折率の相対関係によって、互いに協働して色調補正フィルムないし透明導電性フィルムの色調を調整(透過色の着色を抑制)する層である。第一色調補正層は、金属酸化物微粒子と活性エネルギー線硬化型樹脂とを混合してなる第一色調補正層用塗液を活性エネルギー線(例えば紫外線、電子線)により硬化させた硬化物からなる。
第二色調補正層は、第一色調補正層との屈折率の相対関係によって、互いに協働して色調補正フィルムないし透明導電性フィルムの色調を調整(透過色の着色を抑制)する層である。第二色調補正層は、活性エネルギー線硬化型樹脂からなる第二色調補正層用塗液を活性エネルギー線(例えば紫外線、電子線)により硬化させた硬化物からなる。
第一ハードコート層は、透明基材フィルムに第一ハードコート層用塗液を塗布した後に、活性エネルギー線照射により硬化することで形成される。第二ハードコート層は、第一ハードコート層とは反対側の面に、第二ハードコート層用塗液を塗布した後に、活性エネルギー線照射により硬化することで形成される。
透明導電性フィルムは、色調補正フィルムの第二色調補正層上に錫ドープ酸化インジウム層を積層した構成である。すなわち、透明導電性フィルムは、上(表側)から錫ドープ酸化インジウム層、第二色調補正層、第一色調補正層、第一ハードコート層、透明基材フィルム、第二ハードコート層が順に積層した構成である。
第二色調補正層の上に積層される錫ドープ酸化インジウム層(以下、ITO層と略することがある)は、透明導電層であり、屈折率が1.85〜2.35、膜厚が5〜50nmである。屈折率がこの範囲を外れると、第一色調補正層及び第二色調補正層との光学干渉が適切に作用しなくなるため、透明導電性フィルムの透過色が着色を呈し、全光線透過率も低下する。膜厚が5nmより薄い場合は、均一に成膜することが難しく、安定した抵抗が得られないため好ましくない。また、膜厚が50nmより厚い場合は、ITO層自身による光の吸収が強くなり、透過色の着色低減効果が薄れると共に、全光線透過率が小さくなる傾向があるため好ましくない。
錫ドープ酸化インジウム層の製膜方法は、特に限定されず、例えば蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法を採用できる。これらの中では、層の厚み制御の観点より蒸着法及びスパッタリング法が特に好ましい。尚、錫ドープ酸化インジウム層を形成した後、必要に応じて、100℃〜200℃の範囲内でアニール処理を施して結晶化することができる。具体的には、高い温度で結晶化すると錫ドープ酸化インジウム層の屈折率は小さくなる傾向を示す。従って、錫ドープ酸化インジウム層の屈折率は、アニール処理の温度と時間を制御することで調整可能である。
<屈折率(ITO層以外の層)>
(1)屈折率が1.67のPETフィルム(商品名「A4100」、東洋紡績株式会社製)上に、ディップコーター(杉山元理化学機器株式会社製)により、各層用塗液をそれぞれ乾燥硬化後の膜厚で100〜1000nm程度になるように層の厚さを調整して塗布した。
(2)乾燥後、紫外線照射装置(岩崎電気株式会社製)により窒素雰囲気下で120W高圧水銀灯を用いて、400mJの紫外線を照射して硬化した。硬化後のPETフィルム裏面をサンドペーパーで荒らし、黒色塗料で塗りつぶしたものを反射分光膜厚計(「FE-3000」、大塚電子株式会社製)により、反射スペクトルを測定した。
(3)反射スペクトルより読み取った反射率から、下記に示すn-Cauchyの波長分散式(式1)の定数を求め、光の波長589nmにおける屈折率を求めた。
N(λ)=a/λ4+b/λ2+c (式1)
(N:屈折率、λ:波長、a、b、c:波長分散定数)
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)100質量部、光重合開始剤[商品名:IRGACURE184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製]5質量部及びイソブチルアルコール150質量部を混合して第一ハードコート層用塗液(HC1−1)を調製した。ハードコート層用塗液(HC1−1)を用いて形成されるハードコート層の屈折率は1.51であった。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート100質量部、光重合開始剤[商品名:IRGACURE184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製]5質量部、アクリル系有機微粒子[商品名:MX−80H3wT、綜研化学(株)製]5質量部及びイソブチルアルコール150質量部を混合して第二ハードコート層用(HC2−1)を調製した。ハードコート層用塗液(HC2−1)を用いて形成されるハードコート層の屈折率は1.51であった。
第一色調補正層用塗液として次の原料を使用し、各原料を下記表1に記載した組成にて、金属酸化物微粒子及び活性エネルギー線硬化型樹脂と、光重合開始剤と、溶媒を、質量比で100:5:1000の割合で混合し、第一色調補正層用塗液C1−1を調製した。得られた第一色調補正層用塗液C1−1を用いて形成される色調補正層の屈折率を測定した。その結果を表1に示す。
第二色調補正層用塗液として次の原料を使用し、各原料を下記表2に記載した組成にて、活性エネルギー線硬化型樹脂と、光重合開始剤と、溶媒を、質量比で100:5:4000の割合で混合して、第二色調補正層用塗液C2−1を調製した。得られた第二色調補正層用塗液C2−1を用いて形成される色調補正層の屈折率を測定した。その結果を表2に示す。
屈折率が1.67、全光線透過率が91.5%、厚さ125μmのPETフィルムの一面に、第一ハードコート層用塗液(HC1−1)をバーコーターにて塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより第一ハードコート層を形成した。続いて、PETフィルムの他面に第二ハードコート層用塗液(HC2−1)をバーコーターにて塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることにより第二ハードコート層を形成した。
作成した色調補正フィルム(S1−1)の反射スペクトルを測定した。図1に測定した反射スペクトルを示す。
反射スペクトル測定法:測定面の裏面反射を除くため、裏面をサンドペーパーで粗し、5°正反射測定装置を備えた分光光度計〔日本分光(株)製、商品名:U-best50〕を用いて反射率を測定した。
第一ハードコート層、第一色調補正層、第二色調補正層、第二ハードコート層、低屈折率層を下記表3に記載した材料及び膜厚とした以外は、実施例1−1と同様にして、色調補正フィルム(S1−2〜S1−5)を作製した。
第一ハードコート層、第一色調補正層、第二色調補正層、第二ハードコート層、低屈折率層を下記表4に記載した材料及び膜厚とした以外は、実施例1−1と同様にして、色調補正フィルム(S'1−1〜S'1−4)を作製した。
上記色調補正フィルム(S1−1)の第二色調補正層上にインジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、膜厚が20nmの錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、150℃、30分のアニール処理を施し、透明導電性フィルムを作製した。得られた透明導電性フィルムについて、透過色b*、全光線透過率、ヘイズ値を次の方法で測定した。その結果を下記表5に示す。
色差計(「SQ−2000」、日本電色工業株式会社製)を用いて透明導電性フィルムの透過色、b*を測定した。このb*は、JIS Z 8729に規定されているL*a*b*表色系における値である。
ヘイズメーター(「NDH2000」、日本電色工業株式会社製)により透明導電性フィルムの全光線透過率(%)及びヘイズ値を測定した。
表5に記載された各色調補正フィルム(S1−2〜S1−5)を用い、実施例2−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
得られた実施例2−2〜実施例2−5の透明導電性フィルムについて、実施例2−1と同様に透過色b*、全光線透過率、ヘイズ値を測定した。その結果を下記表5に示す。
表6に記載された各色調補正フィルム(S'1−1〜S'1−4)を用い、実施例2−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
得られた比較例2−1〜比較例2−4の透明導電性フィルムについて、実施例2−1と同様に透過色b*、全光線透過率、ヘイズ値を測定した。その結果を下記表6に示す。
<屈折率(ITO層)>
(1)屈折率が1.67のPETフィルム(商品名「A4100」、東洋紡績株式会社製)上にインジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行い、実膜厚20nmの透明導電層としての錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、下記実施例および比較例のそれぞれの条件でアニーリングを施し、透明導電性フィルムを作製した。
(2)上記透明導電性フィルム裏面をサンドペーパーで荒らし、黒色塗料で塗りつぶしたものを反射分光膜厚計(「FE-3000」、大塚電子株式会社製)により、反射スペクトルを測定した。
(3)反射スペクトルより読み取った反射率から、上記(式1)を用いて、光の波長589nmにおける屈折率を求めた。
なお、各表に記載の各層の屈折率は、上記屈折率測定用サンプルから求めた屈折率である。
実施例2−1〜実施例2−5(表3、表5)の結果から明らかなように、第一及び第二ハードコート層の屈折率を1.51〜1.53とし、膜厚を1.3〜1.8μmとし、第一色調補正層の屈折率を1.65〜1.71、膜厚を35〜45nmとし、第二色調補正層の屈折率を1.51〜1.53、膜厚を30〜40nmとすると、透過色b*の値が小さく、透明導電性フィルムの着色を十分に抑え、更に、優れた全光線透過率を実現することが出来た。
Claims (3)
- 透明基材フィルムの一方の面に、第一ハードコート層、第一色調補正層、第二色調補正層がこの順に積層され、前記透明基材フィルムの他方の面に、第二ハードコート層がこの順に積層されており、
前記第一ハードコート層は、屈折率が1.51〜1.53、膜厚が1.3〜1.8μmであり、
前記第一色調補正層は、屈折率が1.65〜1.71、膜厚が35〜45nmであり、
前記第二色調補正層は、屈折率が1.51〜1.53、膜厚が30〜40nmであり、シリカ微粒子を含有せず、
前記第二ハードコート層は、屈折率が1.51〜1.53、膜厚が1.3〜1.8μmである、
ことを特徴とする色調補正フィルム。 - 請求項1に記載の色調補正フィルムの前記第二色調補正層上に錫ドープ酸化インジウム層が積層されており、前記錫ドープ酸化インジウム層は、屈折率が1.85〜2.35、膜厚が5〜50nmであることを特徴とする透明導電性フィルム。
- ヘイズ値が1.0%未満であることを特徴とする請求項2に記載の透明導電性フィルム。
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