JP2014035352A - 色調補正フィルム及びこれを用いた透明導電性フィルム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】色調補正フィルムは、光等方性基材フィルムの両面にハードコート層が積層され、一方のハードコート層上に第一色調補正層及び第二色調補正層が積層されている。ハードコート層の屈折率は1.49〜1.59、膜厚は1.3〜3.5μmである。第一色調補正層は金属酸化物微粒子を含み、屈折率が1.59〜1.82、膜厚が25〜90nmである。第二色調補正層はシリカ微粒子を含み、屈折率が1.32〜1.52、膜厚が10〜55nmである。この色調補正フィルムの第二色調補正層上に、屈折率1.85〜2.35、膜厚5〜50nmの錫ドープ酸化インジウム層を積層して透明導電性フィルムとする。
【選択図】なし
Description
本実施形態の色調補正フィルムは、透明基材としての光等方性基材フィルムの両面にハードコート層が積層され、一方のハードコート層上にはさらに第一色調補正層及び第二色調補正層がこの順で積層された構成である。以下に、この色調補正フィルムの構成要素について順に説明する。
光等方性基材フィルムは、ポリカーボネート樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ノルボルネン系樹脂、シクロオレフィン樹脂からなるフィルムを使用できる。ポリカーボネート樹脂からなるフィルムとしては帝人化成株式会社製ポリカーボネートフィルム(PC−2151)、トリアセチルセルロース樹脂からなるフィルムとしては富士フィルム株式会社製トリアセチルセルロースフィルム(フジタック)、ノルボルネン系樹脂からなるフィルムとしてはJSR株式会社製アートンフィルム、シクロオレフィン樹脂からなるフィルムとしては日本ゼオン株式会社製ゼオノアフィルム(ZF14,ZF16)等が挙げられる。光等方性基材フィルムの膜厚は通常25〜400μm程度、好ましくは25〜200μm程度である。
表面硬度向上及びカール低減のため、光等方性基材フィルムの両面にそれぞれハードコート層が設けられている。これら2つのハードコート層の材料、膜厚及び屈折率は、後述の範囲である限り相互に同一であっても良いし、異なっていても良い。
第一色調補正層は、ハードコート層よりも屈折率の大きい高屈折率層であって、第二色調補正層との屈折率の相対関係によって、互いに協働して色調補正フィルムないし透明導電性フィルムの色調を調整(透過色の着色を抑制)する層である。第一色調補正層は、金属酸化物微粒子と活性エネルギー線硬化型樹脂とを混合してなる第一色調補正層用塗液を活性エネルギー線(例えば紫外線、電子線)により硬化させた硬化物からなる。
第二色調補正層は、ハードコート層よりも屈折率の低い低屈折率層であって、第一色調補正層との屈折率の相対関係によって、互いに協働して色調補正フィルムないし透明導電性フィルムの色調を調整(透過色の着色を抑制)する層である。第二色調補正層は、シリカ微粒子と活性エネルギー線硬化型樹脂とを混合してなる第二色調補正層用塗液を活性エネルギー線(例えば紫外線、電子線)により硬化させた硬化物からなる。
ハードコート層は、光等方性基材フィルムにハードコート層用塗液を塗布した後に、活性エネルギー線照射により硬化することで形成される。第一色調補正層は、形成された一方のハードコート層上に第一色調補正層用塗液を塗布した後に、活性エネルギー線照射により硬化することで形成される。また、第二色調補正層は、形成された第一色調補正層上に第二色調補正層用塗液を塗布した後に、活性エネルギー線照射により硬化することで形成される。
透明導電性フィルムは、色調補正フィルムの第二色調補正層上に錫ドープ酸化インジウム層を積層した構成である。すなわち、透明導電性フィルムは、上(表側)から錫ドープ酸化インジウム層、第二色調補正層、第一色調補正層、ハードコート層、光等方基材フィルム、ハードコート層が順に積層した構成である。
第二色調補正層の上に積層される錫ドープ酸化インジウム層(以下、ITO層と略することがある)は、透明導電層であり、屈折率が1.85〜2.35、膜厚が5〜50nmである。屈折率がこの範囲を外れると、第一色調補正層及び第二色調補正層との光学干渉が適切に作用しなくなるため、透明導電性フィルムの透過色が着色を呈し、全光線透過率も低下する。膜厚が5nmより薄い場合は、均一に成膜することが難しく、安定した抵抗が得られないため好ましくない。また、膜厚が50nmより厚い場合は、ITO層自身による光の吸収が強くなり、透過色の着色低減効果が薄れると共に、全光線透過率が小さくなる傾向があるため好ましくない。
錫ドープ酸化インジウム層の製膜方法は、特に限定されず、例えば蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、CVD法を採用できる。これらの中では、層の厚み制御の観点より蒸着法及びスパッタリング法が特に好ましい。尚、錫ドープ酸化インジウム層を形成した後、必要に応じて、100℃〜200℃の範囲内でアニール処理を施して結晶化することができる。具体的には、高い温度で結晶化すると錫ドープ酸化インジウム層の屈折率は小さくなる傾向を示す。従って、錫ドープ酸化インジウム層の屈折率は、アニール処理の温度と時間を制御することで調整可能である。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA)100重量部、光重合開始剤[商品名:IRGACURE184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製]5重量部、及びイソブチルアルコール150重量部を混合してハードコート層用塗液(HC1−1)を調製した。ハードコート層用塗液(HC1−1)を用いて形成されるハードコート層の屈折率は1.51であった。
ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート100重量部、光重合開始剤[商品名:IRGACURE184、チバ・スペシャリティ・ケミカルズ(株)製]5重量部、アクリル系有機微粒子[商品名:MX−80H3wT、綜研化学(株)製]5重量部、及びイソブチルアルコール150重量部を混合してハードコート層用(HC1−2)を調製した。ハードコート層用塗液(HC1−2)を用いて形成されるハードコート層の屈折率は1.51であった。
第一色調補正層用塗液として次の原料を使用し、各原料を下記表1に記載した組成にて、金属酸化物微粒子及び活性エネルギー線硬化型樹脂と、光重合開始剤と、溶媒を、重量比で100:5:1000の割合で混合し、第一色調補正層用塗液C1−1〜C1−5を調製した。
<屈折率(ITO層以外の層)>
(1)屈折率が1.67のPETフィルム(商品名「A4100」、東洋紡績株式会社製)上に、ディップコーター(杉山元理化学機器株式会社製)により、各層用塗液をそれぞれ乾燥硬化後の膜厚で100〜1000nm程度になるように層の厚さを調整して塗布した。
(2)乾燥後、紫外線照射装置(岩崎電気株式会社製)により窒素雰囲気下で120W高圧水銀灯を用いて、400mJの紫外線を照射して硬化した。硬化後のPETフィルム裏面をサンドペーパーで荒らし、黒色塗料で塗りつぶしたものを反射分光膜厚計(「FE-3000」、大塚電子株式会社製)により、反射スペクトルを測定した。
(3)反射スペクトルより読み取った反射率から、下記に示すn-Cauchyの波長分散式(式1)の定数を求め、光の波長589nmにおける屈折率を求めた。
N(λ)=a/λ4+b/λ2+c (式1)
(N:屈折率、λ:波長、a、b、c:波長分散定数)
第二色調補正層用塗液として次の原料を使用し、各原料を下記表2に記載した組成にて、微粒子成分(シリカ微粒子又は金属酸化物微粒子)及び活性エネルギー線硬化型樹脂と、光重合開始剤と、溶媒を、重量比で100:5:4000の割合で混合して、第二色調補正層用塗液C2−1〜C2−5を調製した。また、得られた第二色調補正層用塗液C2−1〜C2−5を用いて形成される色調補正層の屈折率を、上記方法にて測定した。その結果も表2に示す。
光等方性基材フィルムとして日本ゼオン株式会社製ゼオノアフィルム(製品名:ZF14,膜厚:100μm)の一面に、ハードコート層用塗液(HC1−1)をバーコーターにて塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることによりハードコート層を形成した。続いて、光等方性基材フィルムの他面にハードコート層用塗液(HC1−2)をバーコーターにて塗布し、120W高圧水銀灯にて400mJの紫外線を照射して硬化させることによりハードコート層を形成した。
ハードコート層、第一色調補正層、第二色調補正層を下記表3に記載した材料及び膜厚とした以外は、実施例1−1と同様にして、色調補正フィルム(S1−2〜S1−11)を作製した。
光等方性基材フィルムとして帝人化成株式会社製パンライトフィルム(製品名:PC−2151,膜厚:125μm)を用いた以外は、実施例1−1と同様にして、色調補正フィルム(S1−12)を作製した。
ハードコート層、第一色調補正層、第二色調補正層を下記表4に記載した材料及び膜厚とした以外は、実施例1−1と同様にして、色調補正フィルム(S’1−1〜S’1−7)を作製した。
光等方性基材フィルムを厚さ125μmのPETフィルムへと変更した以外は、実施例1−1と同様にして、色調補正フィルム(S’1−8)を作製した。
上記色調補正フィルム(S1−1)の第二色調補正層上にインジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、膜厚が20nmの錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、150℃、30分のアニール処理を施し、透明導電性フィルムを作製した。
表3に記載された各色調補正フィルム(S1−1〜S1−12)を用い、実施例2−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
上記色調補正フィルム(S1−1)の第二色調補正層上にインジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、膜厚が20nmの錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、150℃、2時間のアニール処理を施し、透明導電性フィルムを作製した。
上記色調補正フィルム(S1−1)の第二色調補正層上にインジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、膜厚が20nmの錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、100℃、1時間のアニール処理を施し、透明導電性フィルムを作製した。
上記色調補正フィルム(S1−1)の第二色調補正層上にインジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、膜厚が50nmの錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、150℃、30分のアニール処理を施し、透明導電性フィルムを作製した。
(1)屈折率が1.67のPETフィルム(商品名「A4100」、東洋紡績株式会社製)上にインジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行い、実膜厚20nmの透明導電層としての錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、下記実施例および比較例のそれぞれの条件でアニーリングを施し、透明導電性フィルムを作製した。
(2)上記透明導電性フィルム裏面をサンドペーパーで荒らし、黒色塗料で塗りつぶしたものを反射分光膜厚計(「FE-3000」、大塚電子株式会社製)により、反射スペクトルを測定した。
(3)反射スペクトルより読み取った反射率から、上記(式1)を用いて、光の波長589nmにおける屈折率を求めた。
色差計(「SQ−2000」、日本電色工業株式会社製)を用いて透明導電性フィルムの透過色、b*を測定した。このb*は、JIS Z 8729に規定されているL*a*b*表色系における値である。
ヘイズメーター(「NDH2000」、日本電色工業株式会社製)により透明導電性フィルムの全光線透過率(%)及びヘイズ値を測定した。
透明導電性フィルムを偏光サングラスで観察し、下記の2段階で評価した。
○:虹ムラが見えない
×:虹ムラが見える
表4に記載された各色調補正フィルム(S’1−1〜S’1−8)を用い、実施例2−1と同様にして透明導電性フィルムを作製した。
上記色調補正フィルム(S1−1)の第二色調補正層上にインジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、膜厚が20nmの錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、150℃、2時間のアニール処理を施し、透明導電性フィルムを作製した。
上記色調補正フィルム(S1−1)の第二色調補正層上にインジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、膜厚が20nmの錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、100℃、1時間のアニール処理を施し、透明導電性フィルムを作製した。
上記色調補正フィルム(S1−1)の第二色調補正層上にインジウム:錫=10:1のITOターゲットを用いてスパッタリングを行うことにより、膜厚が50nmの錫ドープ酸化インジウム層(ITO層)を形成し、150℃、30分のアニール処理を施し、透明導電性フィルムを作製した。
Claims (2)
- 光等方性基材フィルムの両面にハードコート層が積層され、一方のハードコート層上にはさらに第一色調補正層及び第二色調補正層がこの順で積層されており、
前記ハードコート層は、屈折率が1.49〜1.59、膜厚が1.3〜3.5μmであり、
前記第一色調補正層は、金属酸化物微粒子を含み、屈折率が1.59〜1.82、膜厚が25〜90nmであり、
前記第二色調補正層は、シリカ微粒子を含み、屈折率が1.32〜1.52、膜厚が10〜55nmである、色調補正フィルム。 - 請求項1に記載の色調補正フィルムの前記第二色調補正層上に錫ドープ酸化インジウム層が積層されており、
前記錫ドープ酸化インジウム層は、屈折率が1.85〜2.35、膜厚が5〜50nmである、透明導電性フィルム。
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