JP2006344479A - 透明導電膜形成用感光性塗布液及び透明導電パターン膜とその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、透明性と導電性を兼ね備えた微細なパターンを有するITO透明導電パターン膜とその製造方法、及びそのITO透明導電パターン膜を低コストかつ簡便に製造できる透明導電膜形成用感光性塗布液を提供することにある。
【解決手段】 アセチルアセトンインジウムと有機錫化合物を溶剤に溶解させた後、熱分解性又は燃焼性を有する感光性樹脂と希釈液を加えた透明導電膜形成用感光性塗布液を用い、この塗布液を基材上に塗布、乾燥し、露光、現像を行って微細なパターンを形成し、400℃以上の温度で焼成して透明導電パターン膜を形成する。
【選択図】 図1
【解決手段】 アセチルアセトンインジウムと有機錫化合物を溶剤に溶解させた後、熱分解性又は燃焼性を有する感光性樹脂と希釈液を加えた透明導電膜形成用感光性塗布液を用い、この塗布液を基材上に塗布、乾燥し、露光、現像を行って微細なパターンを形成し、400℃以上の温度で焼成して透明導電パターン膜を形成する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、透明導電膜形成用感光性塗布液及びそれを用いた透明導電パターン膜とその製造方法に関するものである。さらに詳しくは、ガラスやセラミックス等の耐熱基材上に、透明性と導電性を兼ね備えた微細な透明導電パターン膜を形成することができる塗布液及び該塗布液を用いて形成された透明導電パターン膜とその製造方法に関するものである。
従来、液晶ディスプレイ、フィールドエミッションディスプレイ(FED)、エレクトロルミネッセンス、プラズマディスプレイ等の表示素子透明電極、タッチパネルや太陽電池等の透明電極、熱線反射、電磁波シールド、帯電防止、防曇等の機能性コーティング等に用いられる透明導電膜の形成材料としては、導電性等の観点から、錫ドープ酸化インジウム(以下、「ITO」と表記する場合がある)が広く用いられている。
かかるITO透明導電膜の製造方法としては、一般に、真空蒸着法、スパッタリング法、化学蒸着法等の物理的手法が広く採用されており、これらの方法によれば、透明性と導電性に優れた均一なITO透明導電膜を基材上に形成することができるという利点がある。
しかし、これに使用する成膜形成装置は真空容器をベースとするため非常に高価であり、また基材成膜毎に製造装置内の成分ガス圧を精密に制御しなければならないため、製造コストと量産性に問題があった。
しかし、これに使用する成膜形成装置は真空容器をベースとするため非常に高価であり、また基材成膜毎に製造装置内の成分ガス圧を精密に制御しなければならないため、製造コストと量産性に問題があった。
このため、上記問題を解決する製造方法として、インジウム化合物と錫化合物を溶剤に溶解させた透明導電膜形成用塗布液を用いて基材上に塗布する方法(以下、「塗布法」と表記する場合がある)が提案されている。この方法では、透明導電膜形成用塗布液の基材上への塗布、乾燥、焼成という簡単な製造工程によりITO透明導電膜が形成されるという利点がある。
また、上記塗布法に使用される塗布液は、インジウム化合物と錫化合物を含む塗布液として従来より種々の塗布液が開発されており、例えば特許文献1には、ハロゲンイオンまたはカルボキシル基を含む硝酸インジウムとアルキル硝酸錫の混合液が、特許文献2には、アルコキシル基等を含む有機インジウム化合物と有機錫化合物の混合物が、特許文献3には、硝酸インジウムと有機錫化合物の混合物が、特許文献4には、硝酸インジウムと硝酸錫等の混合物が、特許文献5には、ジカルボン酸硝酸インジウム等の有機硝酸インジウムとアルキル硝酸錫等の有機硝酸錫の混合物が、特許文献6には、アセチルアセトンを配位した有機インジウム錯体と錫錯体からなる混合液が、特許文献7にも同様な有機化合物混合物がそれぞれ開示されている。
しかし、これらの特許文献に見られる従来の塗布液の多くはインジウムや錫の硝酸塩、ハロゲン化物からなる有機または無機化合物、あるいは金属アルコキシドなどの有機金属化合物等が用いられていることから、焼成時において窒素酸化物や塩素などの腐食性ガスが発生するため、設備腐食や環境汚染といった問題があった。
また、金属アルコキシドを用いた塗布液では、原料が加水分解し易いため、塗布液の安定性に問題があった。
更に、有機金属化合物を用いた塗布液の多くは、基材に対する濡れ性が悪く、不均一膜を形成するといった問題もあった。
しかし、これらの特許文献に見られる従来の塗布液の多くはインジウムや錫の硝酸塩、ハロゲン化物からなる有機または無機化合物、あるいは金属アルコキシドなどの有機金属化合物等が用いられていることから、焼成時において窒素酸化物や塩素などの腐食性ガスが発生するため、設備腐食や環境汚染といった問題があった。
また、金属アルコキシドを用いた塗布液では、原料が加水分解し易いため、塗布液の安定性に問題があった。
更に、有機金属化合物を用いた塗布液の多くは、基材に対する濡れ性が悪く、不均一膜を形成するといった問題もあった。
このため、これらの問題点を解消すべく、例えば特許文献8には、アセチルアセトンインジウム,アセチルアセトン錫,ヒドロキシプロピルセルロースをアルキルフェノール及び/又はアルケニルフェノールと二塩基酸エステル及び/又は酢酸ベンジルに溶解させた透明導電膜形成用塗布液が開示されている。
この塗布液は、アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の混合溶液にヒドロキシプロピルセルロースを含有させることによって基材に対する濡れ性を改善すると同時に、粘性剤であるヒドロキシプロピルセルロースの含有量によって塗布液の粘度を調整し、スピンコート、スプレーコート、ディップコート、スクリーン印刷、ワイヤーバーコート等の各種塗布法の採用を可能にしている。
この塗布液は、アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の混合溶液にヒドロキシプロピルセルロースを含有させることによって基材に対する濡れ性を改善すると同時に、粘性剤であるヒドロキシプロピルセルロースの含有量によって塗布液の粘度を調整し、スピンコート、スプレーコート、ディップコート、スクリーン印刷、ワイヤーバーコート等の各種塗布法の採用を可能にしている。
また、例えば特許文献9には、スピンコート用の改良塗布液として、有機インジウム化合物(アセチルアセトンインジウム,オクチル酸インジウム)と、有機錫(アセチルアセトン錫,オクチル酸錫)と、有機溶剤とを含み、その有機溶剤にアルキルフェノール及び/又はアルケニルフェノールを溶解したアセチルアセトン溶液、アルキルフェノール及び/又はアルケニルフェノールを溶解したアセチルアセトン溶液をアルコールで希釈した液を用いる透明導電膜形成用塗布液も開示されている。
この塗布液は、低粘度であり、スピンコートの他、スプレーコート、ディップコート、スクリーン印刷等にも使用可能であるとされている。
この塗布液は、低粘度であり、スピンコートの他、スプレーコート、ディップコート、スクリーン印刷等にも使用可能であるとされている。
しかし、かかる塗布液を用いて任意の透明導電パターン膜を形成する際にあっては、主として(1)塗布液の塗布を例えばスクリーン印刷、グラビア印刷、オフセット印刷等のパターン印刷で行う方法や、(2)全面に形成された透明導電膜に対しフォトレジストを用いウェットエッチングするフォトリソグラフィー法等が用いられるが、前者の方法は、塗布の段階で任意パターンを形成する方法であり、低コストかつ簡便に透明導電パターン膜が作製できるが、数十ミクロン以下の微細パターンの作製が困難であるという問題があり、また、後者の方法は、基材全面に透明導電膜を形成してからフォトレジストを用いて任意パターンを形成する方法であり、微細でかつシャープな輪郭を有する透明導電パターン膜を作製することができるが、フォトレジスト塗布・露光・現像、エッチング、レジスト除去といった煩雑で手間のかかる工程を要するため、製造コストに問題があった。
特開昭57−138708号公報
特開昭61−26679号公報
特開平4−255768号公報
特開昭57−36714号公報
特開昭57−212268号公報
特公昭63−25448号公報
特公昭63−19046号公報
特開平6−203658号公報
特開平6−325637号公報
本発明の目的は、透明性と導電性を兼ね備え、且つ微細なパターン形成することが可能なITO透明導電パターン膜、及びそのITO透明導電パターン膜を低コストかつ簡便に形成できる透明導電膜形成用感光性塗布液及びそれを用いた透明導電パターン膜の製造方法を提供することにある。
本発明者等は、鋭意検討を重ねた結果、アセチルアセトンインジウムと有機錫化合物を溶剤に溶解させた透明導電膜形成用塗布液に対し、感光性樹脂を含有させることによって、フォトレジスト層を別途設けることなく、乾燥膜に対し、直接、露光・現像によるパターニングを行うことが可能となり、また、この塗布液を基材に塗布、乾燥、露光、現像、焼成して得られるITO透明導電パターン膜は、透明性と導電性が良好であると共に、微細なパターンを形成することが可能であることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記の目的を達成するために本発明の第1の実施態様に係る透明導電膜形成用感光性塗布液は、アセチルアセトンインジウム、有機錫化合物、感光性樹脂、溶剤を含有する透明導電膜形成用感光性塗布液であって、前記アセチルアセトンインジウムと有機錫化合物との合計含有量が1〜30重量%であり、前記感光性樹脂の含有量が該アセチルアセトンインジウムと有機錫化合物との合計含有量の100重量部に対し15〜100重量部であり、且つ、該感光性樹脂が熱分解性又は燃焼性を有していることを特徴とするものである。
また、本発明において透明導電膜形成用感光性塗布液は、前記アセチルアセトンインジウムと有機錫化合物の合計含有量が5〜20重量%であることを特徴とするとともに、前記アセチルアセトンインジウムと有機錫化合物の含有割合が、該アセチルアセトンインジウム/有機錫化合物の重量比=99/1〜70/30であることを特徴とし、さらに、前記有機錫化合物が、アセチルアセトン錫であることを特徴とするものである。
本発明の第2の実施態様に係る透明導電パターン膜の製造方法は、前記透明導電膜形成用感光性塗布液を基材上に塗布、乾燥した後、露光、現像を行って微細パターンを形成し、次いで400℃以上の温度で焼成することを特徴とするものである。
本発明の第3の実施態様に係る透明導電パターン膜は前記した透明パターン膜の製造方法で得られたことを特徴とするものである。
本発明の第3の実施態様に係る透明導電パターン膜は前記した透明パターン膜の製造方法で得られたことを特徴とするものである。
本発明の透明導電パターン膜は、前記した組成の透明導電膜形成用感光性塗布液、及び前記した透明導電パターン膜の製造方法によって得られたものであって、本発明の透明導電膜形成用感光性塗布液を用いれば、紫外線の照射によってその溶解性が大きく変化する感光性樹脂を含有していることから、別途フォトレジスト層を設けることなく、直接、露光、現像を行うことによって、微細なパターニングをすることが可能であり、しかも、上記塗布液を耐熱基材上に塗布、乾燥、露光、現像、焼成して得られる上記透明導電パターン膜は、透明性と導電性が良好であり、ディスプレイ、タッチパネル、太陽電池等において、透明性と導電性を兼ね備えた微細なパターンを要する透明電極に適用できるので、工業的に有用である。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明の透明導電膜形成用感光性塗布液は、インジウム化合物としてアセチルアセトンインジウム(以下、「AcAcIn」と記す場合がある)、有機錫化合物、溶剤を含有する塗布液に対し、熱分解性又は燃焼性を有する感光性樹脂を添加している。その感光性樹脂としては、熱分解性又は燃焼性を有し、かつ、前記アセチルアセトンインジウムと有機錫化合物を含有する溶剤と良く相溶すれば、ポジ型またはネガ型のいずれのタイプの感光性樹脂でも適用できる。
したがって、本発明に係る透明導電膜形成用感光性塗布液をガラス等の基材上に塗布、乾燥して得られる乾燥膜は、既に熱分解性又は燃焼性を有する感光性樹脂を含有していることとなる。
本発明の透明導電膜形成用感光性塗布液は、インジウム化合物としてアセチルアセトンインジウム(以下、「AcAcIn」と記す場合がある)、有機錫化合物、溶剤を含有する塗布液に対し、熱分解性又は燃焼性を有する感光性樹脂を添加している。その感光性樹脂としては、熱分解性又は燃焼性を有し、かつ、前記アセチルアセトンインジウムと有機錫化合物を含有する溶剤と良く相溶すれば、ポジ型またはネガ型のいずれのタイプの感光性樹脂でも適用できる。
したがって、本発明に係る透明導電膜形成用感光性塗布液をガラス等の基材上に塗布、乾燥して得られる乾燥膜は、既に熱分解性又は燃焼性を有する感光性樹脂を含有していることとなる。
この乾燥パターン膜に紫外線を照射すると、照射した部分に含まれる感光性樹脂が分解して現像液に対して溶解し易くなる。すなわち、乾燥膜の上に微細なパターンを有するフォトマスクを設置して紫外線照射を行った後、現像液に浸漬して紫外線が照射された部分を溶解させることによって、微細なパターンを形成することが可能となる。このため、従来の透明導電膜を形成する際に用いられるフォトレジスト層を別途設ける必要がない。
上記感光性樹脂としては、溶剤現像型も使用できるが、作業環境や環境汚染低減という面からすると、アルカリ現像型が好ましい。
一般に、ポジ型感光性樹脂は、良好な解像能力およびパターン転写特性を有していることが知られており、例えば、アルカリ現像型のポジ型感光性樹脂としては、(a)ナフトキノンジアジド系を感光性物質として用いたもの、(b)カルボキシル基を含有するポリマーもしくはオリゴマー、多官能ビニルエーテル及び紫外線などの活性エネルギー線を照射したときに酸を発生する化合物(以下、「光酸発生剤」という)を含有するもの、(c)カルボキシル基を有するアクリル系モノマーにビニルエーテルをマイケル付加させたモノマー、又は、テトラヒドロピラニルアクリレート、t−ブチルアクリレートなどの酸による分解性を持つモノマーとアクリル系モノマーとの共重合物をベース樹脂として、光酸発生剤を添加したものなどが使用可能である。光酸発生剤としては、ジアゾニウム、ホスホニウム、スルホニウム及びヨードニウムのBF4 −、PF6 −、SbF6 −、AsF6 −、ClO4 −等の塩、トリアジン系やオキサジアゾール系の有機ハロゲン化合物などが挙げられる。
本発明においては、熱分解性又は燃焼性を有するポジ型感光性樹脂として、例えばクラリアント社製のAZ RFP−210Kを用いることができる。
一般に、ポジ型感光性樹脂は、良好な解像能力およびパターン転写特性を有していることが知られており、例えば、アルカリ現像型のポジ型感光性樹脂としては、(a)ナフトキノンジアジド系を感光性物質として用いたもの、(b)カルボキシル基を含有するポリマーもしくはオリゴマー、多官能ビニルエーテル及び紫外線などの活性エネルギー線を照射したときに酸を発生する化合物(以下、「光酸発生剤」という)を含有するもの、(c)カルボキシル基を有するアクリル系モノマーにビニルエーテルをマイケル付加させたモノマー、又は、テトラヒドロピラニルアクリレート、t−ブチルアクリレートなどの酸による分解性を持つモノマーとアクリル系モノマーとの共重合物をベース樹脂として、光酸発生剤を添加したものなどが使用可能である。光酸発生剤としては、ジアゾニウム、ホスホニウム、スルホニウム及びヨードニウムのBF4 −、PF6 −、SbF6 −、AsF6 −、ClO4 −等の塩、トリアジン系やオキサジアゾール系の有機ハロゲン化合物などが挙げられる。
本発明においては、熱分解性又は燃焼性を有するポジ型感光性樹脂として、例えばクラリアント社製のAZ RFP−210Kを用いることができる。
ネガ型感光性樹脂 としては、例えばカルボシキル基とエチレン性2重結合を有するアルカリ可溶性樹脂 、反応性モノマーおよび光重合開始剤を含むもの等が挙げられる。
上記アルカリ可溶性樹脂としてはアクリル系樹脂を代表的に挙げることができ、より具体的には、メチル(メタ)アクリレート系、エチル(メタ)アクリレート系、ブチル(メタ)アクリレート系、エチルヘキシル(メタ)アクリレート系、ラウリル(メタ)アクリレート系、イソデシル(メタ)アクリレート系、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート系を挙げることができるが、これらに限るものではない。
燃焼性という観点からすると、燃焼しやすいメタアクリレート系の方がアクリレート系よりも好ましい。
反応性モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート,2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリウレタンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとベンゾインアルキルエーテル系、アセトフェノン、2,2−ジメトキシー2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシー2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン系、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等のアミノアセトフェノン系、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン系、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール系、ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、又はキサントン系、(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−ペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィネイト等のフォスフィンオキサイド系、各種パーオキサイド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
上記アルカリ可溶性樹脂としてはアクリル系樹脂を代表的に挙げることができ、より具体的には、メチル(メタ)アクリレート系、エチル(メタ)アクリレート系、ブチル(メタ)アクリレート系、エチルヘキシル(メタ)アクリレート系、ラウリル(メタ)アクリレート系、イソデシル(メタ)アクリレート系、2−エトキシエチル(メタ)アクリレート系を挙げることができるが、これらに限るものではない。
燃焼性という観点からすると、燃焼しやすいメタアクリレート系の方がアクリレート系よりも好ましい。
反応性モノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチルアクリレート,2−ヒドロキシプロピルアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリウレタンジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリアクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等が挙げられる。
光重合開始剤としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインとベンゾインアルキルエーテル系、アセトフェノン、2,2−ジメトキシー2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシー2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン等のアセトフェノン系、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1等のアミノアセトフェノン系、2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン系、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン系、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール系、ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系、又はキサントン系、(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−ペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、エチル−2,4,6−トリメチルベンゾイルフェニルフォスフィネイト等のフォスフィンオキサイド系、各種パーオキサイド等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明に係る透明導電膜形成用感光性塗布液中の感光性樹脂の含有量は、アセチルアセトンインジウムと有機錫化合物との合計含有量100重量部に対し15〜100重量部であることが必要がある。該含有量が15重量部未満であると、基材に対する密着性が低下するため現像時に膜の剥離が起り易くなりパターニング性が損なわれるため好ましくない。一方、該含有量が100重量部より多くなると、多孔質のITO膜が形成されることとなり導電性が損なわれ好ましくない。
AcAcInと有機錫化合物は、基材上に透明導電性被膜を形成させるための主たる化合物原料であり、その合計含有量は1〜30重量%の範囲であることが必要があり、5〜20重量%とすることがより好ましい。該合計含有量が1重量%未満であるとITO膜の膜厚が薄くなり十分な導電性が得られないため好ましくなく、一方該合計含有量が30重量%より多いと膜に亀裂(クラック)が発生して導電性が損なわれるため好ましくない。またAcAcInと有機錫化合物の含有割合は、AcAcIn/有機錫化合物の重量比=99/1〜70/30程度が良く、更に好ましく95/5〜75/25程度が良い。この重量比外であるとキャリア密度、あるいはキャリア移動度が減少して導電性が悪化するので好ましくない。本発明では透明導電膜形成用塗布液を乾燥後、直接、露光・現像によるパターニングを行うためITO膜のエッチングが不要であり、そのエッチング特性を考慮する必要がない。したがって、従来エッチング性が良くないとされる錫含有量が高いITO膜(例えば、AcAcIn/有機錫化合物の重量比=85/15〜70/30)も適用範囲とすることが可能である。
さらに前記有機錫化合物としては、アセチルアセトン錫、オクチル酸錫、2−エチルヘキサン酸錫、酢酸錫、ブトキシ錫等が挙げられ、これらから選択された少なくとも1種類以上を用いることができるが、特に、アセチルアセトン錫(以下、「AcAcSn」と記す場合がある)が好ましい。
さらに前記有機錫化合物としては、アセチルアセトン錫、オクチル酸錫、2−エチルヘキサン酸錫、酢酸錫、ブトキシ錫等が挙げられ、これらから選択された少なくとも1種類以上を用いることができるが、特に、アセチルアセトン錫(以下、「AcAcSn」と記す場合がある)が好ましい。
溶剤としては、AcAcInと有機錫化合物を良く溶解するアルキルフェノール及び/又はアルケニルフェノールとニ塩基酸エステルの混合溶液、アルキルフェノール及び/又はアルケニルフェノールと酢酸ベンジルの混合溶液、N−メチル−2−ピロリジノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール等を用いる。アルキルフェノール及びアルケニルフェノールとしては、クレゾール類、パラターシャリーブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、カシューナット穀液(3−ペンタデカデシールフェノール)等が挙げられ、ニ塩基酸エステルとしては、コハク酸エステル、グルタル酸エステル、アジピン酸エステル等が挙げられる。
上述の溶剤に加えて、塗布液の粘度低下のために塗布液に希釈剤として添加可能な溶剤は、AcAcIn、AcAcSnと良好な相溶性を有すれば良く、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、ペンタノール、ベンジルアルコール、等のアルコール類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピル、メチルイソブチルケトン、イソホロン等のケトン系溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル等のエステル系溶媒、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールイソプロピルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールエチルエーテルアセテート等のグリコール誘導体、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、クロロホルム、メシチレン、ドデシルベンゼン等のベンゼン誘導体等の中から適宜選択できるが、中でも、上記相溶性、成膜性等を考慮すると、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、プロピレングリコールモノメチルエーテル等の組合せが好ましい。
本発明の透明導電膜形成用感光性塗布液は、前記インジウム化合物と有機錫化合物を溶剤に加熱溶解させた後、感光性樹脂と希釈溶剤を加えることによって作製することができる。
加熱溶解は、加熱温度を60〜200℃として0.5〜12時間攪拌することにより行われる。加熱温度が60℃よりも低いと溶解が進まず、インジウム化合物が析出し易くなり特性が低下してしまい、200℃よりも高いと溶剤の蒸発が顕著となり、塗布液組成が変化してしまうので好ましくない。また攪拌時間が0.5時間未満であると溶解が進まず、一方攪拌時間が12時間を超えても消費エネルギーが無駄になるだけで好ましくない。
加熱溶解は、加熱温度を60〜200℃として0.5〜12時間攪拌することにより行われる。加熱温度が60℃よりも低いと溶解が進まず、インジウム化合物が析出し易くなり特性が低下してしまい、200℃よりも高いと溶剤の蒸発が顕著となり、塗布液組成が変化してしまうので好ましくない。また攪拌時間が0.5時間未満であると溶解が進まず、一方攪拌時間が12時間を超えても消費エネルギーが無駄になるだけで好ましくない。
また、本発明の透明導電パターン膜は、前記透明導電膜形成用感光性塗布液を、基材上に塗布、乾燥し、露光、現像を行って微細なパターンを形成し、焼成することにより製造する。
より具体的には、アセチルアセトンインジウムと有機錫化合物を溶剤に溶解させた後、熱分解性又は燃焼性を有する感光性樹脂と希釈液を加えた透明導電膜形成用感光性塗布液を用い、この塗布液を基材上に塗布、乾燥し、露光、現像を行って微細なパターンを形成し、400℃以上の温度で焼成して透明導電パターン膜を形成する。
より具体的には、アセチルアセトンインジウムと有機錫化合物を溶剤に溶解させた後、熱分解性又は燃焼性を有する感光性樹脂と希釈液を加えた透明導電膜形成用感光性塗布液を用い、この塗布液を基材上に塗布、乾燥し、露光、現像を行って微細なパターンを形成し、400℃以上の温度で焼成して透明導電パターン膜を形成する。
塗布方法としては、一般的なものを用いることができるが、スピンコート、スプレーコート、ディップコートといった塗布方法が適用できる。
尚、上記露光、現像は、塗布液を塗布した基材を乾燥させた後、乾燥膜の上に微細なパターンを有するフォトマスクを設置して紫外線照射を行い、次に現像液(ポジ型感光性樹脂では一般的に、炭酸ナトリウム、苛性ソーダ、苛性カリ、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液)に浸漬して現像し、紫外線露光部を溶解除去し、純水で十分に現像液を洗浄(リンス)することにより行われる。
ここで、塗布膜の乾燥は、80〜160℃の温度で10〜60分保持することが好ましい。
ここで、塗布膜の乾燥は、80〜160℃の温度で10〜60分保持することが好ましい。
焼成は、露光、現像した後の基材を、焼成炉に入れ焼成することにより行われる。焼成条件としては、酸素を含む雰囲気中で、基材の耐熱性にもよるが、一般のガラス基材では400〜600℃程度に加熱し、15〜60分保持することが好ましい。
ITO透明導電膜パターンの導電性は、焼成温度が高いほどITO粒子の粒成長が促進されるので向上する。焼成雰囲気については大気雰囲気のままでも良いが、大気中焼成の後に窒素雰囲気での焼成を併用することでキャリア密度を大幅に増加させて導電性を一層向上させることが可能である。
[実施例]
ITO透明導電膜パターンの導電性は、焼成温度が高いほどITO粒子の粒成長が促進されるので向上する。焼成雰囲気については大気雰囲気のままでも良いが、大気中焼成の後に窒素雰囲気での焼成を併用することでキャリア密度を大幅に増加させて導電性を一層向上させることが可能である。
[実施例]
以下、本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
アセチルアセトンインジウム36.4重量部、アセチルアセトン錫3.6重量部、N−メチル−2−ピロリジノン40重量部を攪拌しながら130℃に加温し、130℃で5時間攪拌して溶解させた(A液)。
A液20重量部、シクロヘキサノン20重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル12重量部、メチルエチルケトン28重量部、感光性樹脂溶液(クラリアント社製、AZ RFP−210K、レジスト成分29.3%)20重量部を混合し、アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量8重量%、感光性レジスト成分を5.9重量%含有する透明導電膜形成用感光性塗布液を作製した。この塗布液をガラス基材上にスピンコート塗布した後、120℃のオーブンに入れて乾燥した。乾燥膜上に線幅/線間=50μm/50μmのパターンのフォトマスクを設置して紫外線を照射した後、テトラメチルアンモニウムハイドロキサイトを2.5重量%含有する水溶液に浸漬して露光部分を溶解除去し、更に純水で十分に洗浄した。こうして得られたパターン膜付きガラス基材を電気炉に入れて550℃で30分間焼成し、実施例1に係る透明導電パターン膜付きのガラス基材を得た。
形成した透明導電パターン膜の表面抵抗値を三菱化学製表面抵抗計(MCP−T350)、可視光線透過率とヘイズ値を村上色彩技術研究所製ヘイズメーターで測定した。表面抵抗値は3KΩ/□、透過率は95.1%、ヘイズ値は0.2%であった。また、図1に示すように、線幅/線間=50μm/50μmの微細パターンが得られ、パターン精度も良好であった。
[比較例1]
形成した透明導電パターン膜の表面抵抗値を三菱化学製表面抵抗計(MCP−T350)、可視光線透過率とヘイズ値を村上色彩技術研究所製ヘイズメーターで測定した。表面抵抗値は3KΩ/□、透過率は95.1%、ヘイズ値は0.2%であった。また、図1に示すように、線幅/線間=50μm/50μmの微細パターンが得られ、パターン精度も良好であった。
[比較例1]
A液20重量部、シクロヘキサノン20重量部、プロピレングリコールモノメチルエーテル12重量部、メチルエチルケトン43重量部、感光性樹脂溶液(クラリアント社製、AZ RFP−210K、レジスト成分29.3%)5重量部を混合し、アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量8重量%、感光性樹脂成分を1.47重量%含有する透明導電膜形成用感光性塗布液を用いた以外は、実施例1と同様にしてパターン形成を試みたが、乾燥膜が全て溶解又は剥離してしまい、パターンを形成することができなかった。
以上より、感光性樹脂をアセチルアセトンインジウムと有機錫化合物との合計含有量100重量部に対し15〜100重量部含有する透明導電膜形成用感光性塗布液は、透明性や導電性を損なうことなく、微細なパターンの透明導電膜が形成されることがわかる。
本発明の透明導電膜形成用感光性塗布液は、熱分解性又は燃焼性を有する感光性樹脂を含有するので、該塗布膜に対し、直接露光、現像処理を行うことによって透明導電パターン膜を形成することが可能である。また、この塗布液を基材上に塗布、乾燥、露光、現像、焼成して得られる透明導電パターン膜は透明性と導電性が良好であり、ディスプレイ,タッチパネル,太陽電池等の透明電極に適用できる。
Claims (6)
- アセチルアセトンインジウム、有機錫化合物、感光性樹脂、溶剤を含有する透明導電膜形成用感光性塗布液であって、前記アセチルアセトンインジウムと有機錫化合物との合計含有量が1〜30重量%であり、前記感光性樹脂の含有量が該アセチルアセトンインジウムと有機錫化合物との合計含有量の100重量部に対し15〜100重量部であり、且つ、該感光性樹脂が熱分解性又は燃焼性を有していることを特徴とする透明導電膜形成用感光性塗布液。
- 前記アセチルアセトンインジウムと有機錫化合物の合計含有量が5〜20重量%であることを特徴とする請求項1に記載の透明導電膜形成用感光性塗布液。
- 前記アセチルアセトンインジウムと有機錫化合物の含有割合が、該アセチルアセトンインジウム/有機錫化合物の重量比=99/1〜70/30であることを特徴とする請求項1又は2に記載の透明導電膜形成用感光性塗布液。
- 前記有機錫化合物が、アセチルアセトン錫であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の透明導電膜形成用感光性塗布液。
- 請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電膜形成用感光性塗布液を用いた透明導電膜パターンの製造方法であって、前記透明導電膜形成用感光性塗布液を基材上に塗布、乾燥した後、露光、現像を行って微細パターンを形成し、次いで400℃以上の温度で焼成することを特徴とする透明導電パターン膜の製造方法。
- 請求項5に記載の透明導電パターン膜の製造方法で得られた透明導電パターン膜。
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2005
- 2005-06-08 JP JP2005168592A patent/JP2006344479A/ja active Pending
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