JP5126654B2 - 透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液及び透明導電パターン膜とその製造方法 - Google Patents
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Description
しかし、これに使用する成膜形成装置は真空容器をベースとするため非常に高価であり、また基材成膜毎に製造装置内の成分ガス圧を精密に制御しなければならないため、製造コストと量産性に問題があった。
しかし、これらの特許文献に見られる従来の塗布液の多くはインジウムや錫の硝酸塩、ハロゲン化物からなる有機または無機化合物、あるいは金属アルコキシドなどの有機金属化合物等が用いられていることから、焼成時において窒素酸化物や塩素などの腐食性ガスが発生するため、設備腐食や環境汚染等の問題があった。
また、金属アルコキシドを用いた塗布液では、原料が加水分解し易いため、塗布液の安定性に問題があった。
更に、有機金属化合物を用いた塗布液の多くは、基材に対する濡れ性が悪く、不均一膜を形成するといった問題もあった。
この塗布液は、アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の混合溶液にヒドロキシプロピルセルロースを含有させることによって基材に対する濡れ性を改善すると同時に、粘性剤であるヒドロキシプロピルセルロースの含有量によって塗布液の粘度を調整し、スピンコート、スプレーコート、ディップコート、スクリーン印刷、ワイヤーバーコート等の各種塗布法の採用を可能にしている。
この塗布液は、低粘度であり、スピンコートの他、スプレーコート、ディップコート、スクリーン印刷等にも使用可能であるとされている。
また、特許文献11には、インジウムと錫を含む化合物と酢酸等の有機酸から生成したヒドロキシ化合物に有機配位子が配位したキレート錯体に対し、市販のポジ型、ネガ型の感光性樹脂液を配合して透明導電膜形成用感光性塗布液を得ており、この塗布液を基材に塗布、乾燥、露光、現像、焼成して透明導電パターン膜を形成する方法が提案されている。この場合、市販の感光性樹脂液を用いているため、感光性成分は、有機インジウムや錫化合物との配合を前提として最適化されてはおらず、アルカリ水溶液による現像が可能であるものの、現像性やフォトパターニングのプロセスマージンが十分とは言えない問題がある。
(A)有機インジウム化合物、(B)ドーパント用有機金属化合物、(C)アルカリ可溶性ラジカル重合性モノマー、(D)アルカリ可溶性樹脂、(E)光重合開始剤、(F)溶剤を含有する透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液である。
前記(C)アルカリ可溶性ラジカル重合性モノマーが、少なくとも3官能以上のアルカリ可溶性多官能モノマーを含有し、
前記(D)アルカリ可溶性樹脂が、50mg−KOH/g以上の平均酸価のアクリル系、メタアクリル系の1種以上からなり、
前記(C)アルカリ可溶性ラジカル重合性モノマーと(D)アルカリ可溶性樹脂からなるアルカリ可溶成分における重量平均官能基数(アルカリ可溶性樹脂は架橋しないため官能基数をゼロとし、各アルカリ可溶性ラジカル重合性モノマーはモノマー分子当りの架橋可能な官能基数を用いて計算した値)が2.5以上で、かつアルカリ可溶成分の重量平均酸価が50mg−KOH/g以上のアクリル系、メタアクリル系の1種以上からなり、
前記アルカリ可溶成分の含有量が、前記(A)有機インジウム化合物と(B)ドーパント用有機金属化合物の合計含有量100重量部に対し30〜150重量部、且つ、前記アルカリ可溶成分が熱分解性又は燃焼性を有することを特徴とするものである。
本発明の透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液は、(A)有機インジウム化合物と(B)ドーパント用有機金属化合物を(F)溶剤に溶解させた溶液に対し、感光性樹脂成分として、(C)アルカリ可溶性ラジカル重合性モノマー、(D)アルカリ可溶性樹脂、(E)光重合開始剤を添加しているが、特に、(C)アルカリ可溶性ラジカル重合性モノマーを配合することで、得られる透明導電パターン膜において、良好なフォトパターニング性と優れた導電性を両立できることを見出してなされている。
上記感光性樹脂成分は、感光性機能に加え、更に、熱分解性又は燃焼性を有し、かつ、前記(A)有機インジウム化合物と(B)ドーパント用有機金属化合物を含有する(F)溶剤と良く相溶する必要があり、用いる溶剤を含め適切に選択する必要がある。
したがって、本発明に係る透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液をガラス等の基材上に塗布、乾燥して得られる乾燥膜は、既に熱分解性又は燃焼性を有するネガ型の感光性樹脂成分を含有していることとなる。
上記感光性樹脂成分としては、作業環境や環境汚染低減という面からすると、有機溶剤現像タイプよりも、アルカリ水溶液現像タイプが好ましい。
単官能のアルカリ可溶性ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、ω−カルボキシ−ポリカプロラクトンモノアクリレート(酸価=160〜250mg−KOH/g)、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート(酸価=190〜220mg−KOH/g)、アクリル酸ダイマー(酸価=200〜400mg−KOH/g)、2−アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸(酸価=200mg−KOH/g)、2−メタクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸(酸価=191mg−KOH/g)、2−メタクリロイロキシプロピルヘキサヒドロフタル酸(酸価=188mg−KOH/g)、2−アクリロイロキシエチルコハク酸(酸価=260mg−KOH/g、燃焼又は熱分解温度=約460℃、大気中)、2−メタクリロイロキシエチルコハク酸(酸価=242mg−KOH/g、燃焼又は熱分解温度=約440℃、大気中)、2−メタクリロイロキシエチルフタル酸(酸価=197mg−KOH/g)等が挙げられる。
中でも、比較的酸価が高く、かつ燃焼又は熱分解温度が低い、フタル酸モノヒドロキシエチルアクリレート(燃焼又は熱分解温度=約220℃、大気中)、アクリル酸ダイマー(燃焼又は熱分解温度=約210℃、大気中)が好ましい。
多官能のアルカリ可溶性ラジカル重合性モノマーとしては、例えば、3〜4官能のラジカル重合性モノマー(ペンタエリスリトールトリ及びテトラアクリレート[PETA]骨格にカルボン酸基を導入したもの(酸価=80〜120mg−KOH/g)、5〜6官能のラジカル重合性モノマー(ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート[DPHA]骨格にカルボン酸基を導入したもの(酸価=25〜70mg−KOH/g)等が挙げられる。具体的な名称は記載していないが、必要に応じ、2官能のアルカリ可溶性ラジカル重合性モノマーを用いても良い。
アルカリ可溶成分における重量平均官能基数が2.5未満だと、露光工程で紫外線等が照射された塗膜部分(パターンとして残る部分)は硬化するものの、架橋密度が低くなるため、現像液に対する不溶性が不十分となり、現像後に残存する膜厚が薄くなる(膜減りが大きくなる)ため、好ましくない。
アルカリ可溶成分の重量平均酸価が50mg−KOH/g未満だと、乾燥塗膜のアルカリ現像液への溶解性が低下するため、露光工程で紫外線等が照射されない塗膜部分(パターンとして残らない部分)が完全に溶解せず、一部残渣を生じる場合があり好ましくない。
前記アルカリ可溶性を有しない通常のラジカル重合性モノマーは、少なくとも1つの付加重合可能なエチレン性二重結合を有するモノマーであり、例えば、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート,2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレート等の単官能の(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリウレタンジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンエチレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンプロピレンオキサイド変性トリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
前記(D)アルカリ可溶性樹脂は、酸価=50mg−KOH/g以上であることが好ましい。50mg−KOH/g未満だと、前述と同様に、露光工程で紫外線等が照射されない塗膜部分が完全に溶解せず、一部残渣を生じ易くなるため好ましくない。
該(D)アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量が1000未満では、透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液で形成される塗膜の強度や、基材との密着力、が低下する可能性があるため好ましくなく、また、該(D)アルカリ可溶性樹脂の重量平均分子量が200000を超えると、露光・現像で得られるパターンの解像度が低下する可能性があるため好ましくないからである。
上記光重合開始剤としては、例えばベンゾフェノン、N,N,N’,N’−テトラメチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、N,N,N’,N’−テトラエチル−4,4’−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−[4−(2−ヒドロキシエトキシ)−フェニル]−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−1−{4−[4−(2−ヒドロキシ−2−メチル−プロピオニル)−ベンジル]−フェニル}−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニル−ケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン等の芳香族ケトン系、2−エチルチオキサントン、2−プロピルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系、2−エチルアントラキノン、フェナントレンキノン、2−t−ブチルアントラキノン、オクタメチルアントラキノン、1,2−ベンズアントラキノン、2,3−ベンズアントラキノン、2−フェニルアントラキノン、2,3−ジフェニルアントラキノン、1−クロロアントラキノン、2−メチルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10−フェナンタラキノン、2−メチル−1,4−ナフトキノン、2,3−ジメチルアントラキノン等のキノン系、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル等のベンゾインエーテル系、ベンゾイン、メチルベンゾイン、エチルベンゾイン等のベンゾイン系、ベンジルメチルケタール等のベンジル誘導体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(o−クロロフェニル)−4,5−ジ(m−メトキシフェニル)イミダゾール二量体、2−(o−フルオロフェニル)−4,5−フェニルイミダゾール二量体、2−(o−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2−(p−メトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体、2,4−ジ(p−メトキシフェニル)−5−フェニルイミダゾール二量体、2−(2,4−ジメトキシフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール二量体等の2,4,5−トリアリールイミダゾール二量体系、2−メルカプトベンゾイミダゾール等のベンゾイミダゾール系、9−フェニルアクリジン、1,7−ビス(9,9’−アクリジニル)ヘプタン等のアクリジン誘導体、N−フェニルグリシン、N−フェニルグリシン誘導体、クマリン系化合物などが挙げられる。酸素を含む雰囲気下での露光では、酸素による架橋阻害作用が生じて塗布膜表面において架橋(重合)反応が阻害され、パターン形状不良や膜減り(現像時の膜表面溶解による膜厚減少)を生じるため、例えば大気中で露光する場合には、上記阻害作用を受けにくい2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンを用いることが好ましい。
上記(G)増感剤の配合量については、場合によっては配合する必要がないため、特に制限はないが、通常(E)光重合開始剤100重量部に対して10〜50重量部である。(E)光重合開始剤の配合量と同様に、少ない方が得られる透明導電パターン膜の導電性や膜強度は良好であるが、少なすぎると、場合によっては感度が著しく低下してパターン形状不良や膜減り生ずる場合があるからである。
上記重合防止剤には、例えば、ハイドロキノン、p−メトキシフェノール、ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ピロガロール、t−ブチルカテコール、ベンゾキノン、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンゾイミダゾール等が挙げられる。
また(A)有機インジウム化合物と(B)ドーパント用有機金属化合物の含有割合は、(A)有機インジウム化合物/(B)ドーパント用有機金属化合物のモル比=99.5/0.5〜35/65程度が良く、更に好ましくは95/5〜75/25程度が良い。このモル比外であるとキャリア密度、あるいはキャリア移動度が減少して導電性が悪化するので好ましくない。本発明では透明導電膜形成用塗布液を乾燥後、直接、露光・現像によるパターニングを行うため透明導電膜のエッチングが不要であり、そのエッチング特性を考慮する必要がない。したがって、例えば、インジウム−錫酸化物(ITO)系の透明導電膜において、従来エッチング性が良くないとされる錫含有量が高い組成(例えば、有機インジウム化合物/ドーパント用有機金属化合物のモル比=85/15〜35/65)も適用範囲とすることが可能である。
さらに前記ドーパント用有機金属化合物としては、有機錫化合物、有機チタン化合物、有機亜鉛化合物、有機ジルコニウム化合物、有機タングステン化合物、有機アルミニウム化合物等が挙げられ、これらから選択された少なくとも1種類以上を用いることができる。これらの中では有機錫化合物が好ましく(化合物中の錫の価数は2価、4価にこだわらない)、例えば、アセチルアセトン錫、オクチル酸錫、2−エチルヘキサン酸錫、酢酸錫、蟻酸錫、ブトキシ錫等が挙げられ、これらから選択された少なくとも1種類以上を用いることができるが、特に、アセチルアセトン錫[正式名称:ビスアセチルアセトナートジブチル錫、Sn(C4H9)2(C5H7O2)2、分子量=431.14](以下、「AcAcSn」と記す場合がある)がより好ましい。
例えば、AcAcInとドーパント用有機金属化合物を良く溶解する溶剤としては、アルキルフェノール及び/又はアルケニルフェノールとニ塩基酸エステルの混合溶液、アルキルフェノール及び/又はアルケニルフェノールと酢酸ベンジルの混合溶液、N−メチル−2−ピロリジノン、γ−ブチロラクトン、シクロヘキサノン、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール等を用いる。アルキルフェノール及びアルケニルフェノールとしては、クレゾール類、パラターシャリーブチルフェノール、オクチルフェノール、ノニルフェノール、カシューナット穀液(3−ペンタデカデシールフェノール)等が挙げられ、ニ塩基酸エステルとしては、コハク酸エステル、グルタル酸エステル、アジピン酸エステル等が挙げられる。
前記(C)アルカリ可溶性ラジカル重合性モノマーと(D)アルカリ可溶性樹脂の配合割合は、前述の通り、アルカリ可溶成分[=(C)+(D)]における重量平均官能基数が2.5以上で、かつアルカリ可溶成分の重量平均酸価が50mg−KOH/g以上となるようであれば、任意に設定可能である。ただし、(D)アルカリ可溶性樹脂の配合割合があまりに少ないと、透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液の乾燥塗膜の強度や、基材への密着力、が低下するため、その配合割合は、適用する(C)アルカリ可溶性ラジカル重合性モノマーの種類にもよるが、(C):(D)[重量比]=50:50〜95:5、好ましくは70:30〜90:10程度に設定することが好ましい。
加熱溶解は、加熱温度を60〜200℃として0.5〜12時間攪拌することにより行われる。加熱温度が60℃よりも低いと溶解が進まず、(A)有機インジウム化合物が析出し易くなり特性が低下してしまい、200℃よりも高いと溶剤の蒸発が顕著となり、塗布液組成が変化してしまうので好ましくない。また攪拌時間が0.5時間未満であると溶解が進まず、一方攪拌時間が12時間を超えても消費エネルギーが無駄になるだけで好ましくない。
より具体的には、アセチルアセトンインジウム等の有機インジウム化合物とドーパント用有機金属化合物を溶剤に溶解させた後、熱分解性又は燃焼性を有する感光性樹脂成分を加えた透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液を用い、この塗布液を耐熱基材上に塗布、乾燥し、露光、現像を行って微細なパターンを形成し、350℃以上の温度で焼成して透明導電パターン膜を形成する。
本発明に用いる上記耐熱基板は、特に限定されないが、例えば、一般的なソーダライムガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、高歪み点ガラス(旭硝子製PD−200、日本電気硝子製PP−8A、PP−8M、セントラル硝子製CP600V等)、アルミナ等の各種セラミックを用いることができる。
ここで、塗布膜の乾燥は、80〜160℃の温度で5〜60分保持することが好ましい。
ITO透明導電膜パターンの導電性は、焼成温度が高いほどITO粒子の粒成長が促進されるので向上する。焼成雰囲気については大気雰囲気のままでも良いが、大気中焼成の後に窒素および/または水素等の中性雰囲気や還元性雰囲気での焼成を併用することで酸素空孔を膜中に導入しキャリア密度を大幅に増加させて導電性を一層向上させることが可能である。
この透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液は、室温に1ヶ月遮光保管しても有機インジウム等の析出も含めインク外観の変化は認められなかった。この透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液を、25℃のソーダライムガラス基材(10cm×10cm×2mm- t)上の全面にスピンコーティング(200rpm×1分間)した後、100℃で10分間乾燥した。露光・現像は、乾燥膜上に線幅/線間=20μm/20μm〜200μm/200μm、及び30mm×40mm(ベタ四角形)のパターンのフォトマスクを設置して紫外線を大気中で照射(高圧水銀ランプ、400mJ/cm2)した後、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)を0.5重量%含有する水溶液に浸漬(25℃、70秒)して露光部分を溶解除去し、更に純水で十分に洗浄した。露光後の現像による膜残存率は90%以上であった。こうして得られたパターン膜付きガラス基材を電気炉に入れて大気中550℃で30分間焼成し、実施例1に係る透明導電パターン膜を得た。
この透明導電パターン膜の膜厚は約140nmであった。尚、膜厚は透過電子顕微鏡による断面観察により求めている。
形成した透明導電パターン膜の表面抵抗率を三菱化学製表面抵抗計(MCP−T350)、可視光線透過率とヘイズ値を村上色彩技術研究所製ヘイズメーターで測定した。表面抵抗率は2.8KΩ/□、透過率は98.6%、ヘイズ値は0.1%であった。また、図1に示すように、線幅/線間=20μm/20μmの微細パターンが得られ、パターン精度も良好であった。
透明導電パターン膜の透過率(%)
=[(透明導電パターン膜付ガラス基材ごと測定した透過率)/(ガラス基材の透過率)]×100
膜の比抵抗値(Ω・cm)=表面抵抗率(Ω/□)×膜厚(cm)
この透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液は、室温に1ヶ月遮光保管しても有機インジウム等の析出も含めインク外観の変化は認められなかった。この透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、実施例2に係る透明導電パターン膜を得た。
尚、露光後の現像による膜残存率は90%以上であった。この透明導電パターン膜の膜厚は約140nmであった。
形成した透明導電パターン膜の表面抵抗率は2.9KΩ/□、透過率は98.8%、ヘイズ値は0.2%であった。また、線幅/線間=20μm/20μmの微細パターンが得られ、パターン精度も良好であった。
形成した透明導電パターン膜の表面抵抗率は650Ω/□、透過率は97.2%、ヘイズ値は0.1%であった。また、線幅/線間=20μm/20μmの微細パターンが得られ、パターン精度も良好であった。
この透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液は、室温に1ヶ月遮光保管しても有機インジウム等の析出も含めインク外観の変化は認められなかった。この透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液を用い、実施例1と同様に露光・現像、及び焼成を行い、実施例4に係る透明導電パターン膜を得た。尚、露光後の現像による膜残存率は90%以上であった。
この透明導電パターン膜の膜厚は約145nmであった。尚、膜厚は透過電子顕微鏡による断面観察により求めている。
形成した透明導電パターン膜の表面抵抗率を三菱化学製表面抵抗計(MCP−T350)、可視光線透過率とヘイズ値を村上色彩技術研究所製ヘイズメーターで測定した。表面抵抗率は2.8KΩ/□、透過率は98.5%、ヘイズ値は0.1%であった。線幅/線間=20μm/20μmの微細パターンが得られ、パターン精度も良好であった。
この透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液は、室温に1ヶ月遮光保管しても有機インジウム等の析出も含めインク外観の変化は認められなかった。この透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液を用い、かつスピンコーティングによる塗布を200rpm×30秒で行った以外は実施例1と同様に行い、実施例5に係る透明導電パターン膜を得た。
尚、露光後の現像による膜残存率は85%以上であった。この透明導電パターン膜の膜厚は約150nmであった。
形成した透明導電パターン膜の表面抵抗率は2.2KΩ/□、透過率は99.4%、ヘイズ値は0.1%であった。また、線幅/線間=20μm/20μmの微細パターンが得られ、パターン精度も良好であった。
この塗布液の粘度を、液温25℃でB型粘度計を用いて測定したところ、4.8mPa・sであった。上記アルカリ可溶成分の重量平均官能基数は3.53であり(ただし、上記アルカリ可溶性樹脂は架橋しないため官能基数をゼロとし、上記5〜6官能のアルカリ可溶性ラジカル重合性モノマーの官能基数は5.5として計算)、アルカリ可溶成分の重量平均酸価は70.0mg−KOH/gである。
この透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液は、室温に1ヶ月遮光保管しても有機インジウム等の析出も含めインク外観の変化は認められなかった。この透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液を用い、露光時に紫外線を窒素中で照射(高圧水銀ランプ、400mJ/cm2)した以外は、実施例1と同様に行い、実施例6に係る透明導電パターン膜を得た。
尚、露光後の現像による膜残存率は95%以上であった。この透明導電パターン膜の膜厚は約145nmであった。
形成した透明導電パターン膜の表面抵抗率は2.0KΩ/□、透過率は98.9%、ヘイズ値は0.1%であった。また、線幅/線間=20μm/20μmの微細パターンが得られ、パターン精度も良好であった。
この塗布液の粘度を、液温25℃でB型粘度計を用いて測定したところ、4.7mPa・sであった。上記アルカリ可溶成分の重量平均官能基数は3.53であり(ただし、上記アルカリ可溶性樹脂は架橋しないため官能基数をゼロとし、上記5〜6官能のアルカリ可溶性ラジカル重合性モノマーの官能基数は5.5として計算)、アルカリ可溶成分の重量平均酸価は70.0mg−KOH/gである。
この透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液は、室温に1ヶ月遮光保管しても有機インジウム等の析出も含めインク外観の変化は認められなかった。この透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液を用い、露光時に紫外線を窒素中で照射(高圧水銀ランプ、400mJ/cm2)した以外は、実施例1と同様に行い、実施例7に係る透明導電パターン膜を得た。
尚、露光後の現像による膜残存率は95%以上であった。この透明導電パターン膜の膜厚は約150nmであった。
形成した透明導電パターン膜の表面抵抗率は1.8KΩ/□、透過率は99.3%、ヘイズ値は0.1%であった。また、線幅/線間=20μm/20μmの微細パターンが得られ、パターン精度も良好であった。
実施例1のA液25gに、単官能のアルカリ可溶性のないラジカル重合性モノマーである2−ヒドロキシ−3−フェノキシプロピルアクリレート(酸価=0[0.5mg−KOH/g以下])2.1g、5〜6官能のアルカリ可溶性のないラジカル重合性モノマー(ジペンタエリスリトールペンタ及びヘキサアクリレート[DPHA]、酸価=約0[0.5mg−KOH/g以下])6.3g、アルカリ可溶性樹脂であるカルボン酸変性したアクリル樹脂(分子量Mw=10000、酸価=75mg−KOH/g)2.0g、光重合開始剤である2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オン1.66g、増感剤である2,4−ジエチルチオキサントン0.33g、青色染料0.05g、シクロヘキサノン52.56g、メチルエチルケトン(MEK)10gを加え、よく攪拌・混合した後、ろ過(ろ過精度:1μm)し、アセチルアセトンインジウムとアセチルアセトン錫の合計含有量10重量%、アルカリ可溶性のないラジカル重合性モノマーとアルカリ可溶性樹脂の合計含有量10.4重量%含有する比較例1に係る透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液を得た。この塗布液の粘度を、液温25℃でB型粘度計を用いて測定したところ、4.7mPa・sであった。アルカリ可溶成分の重量平均官能基数は3.53であり(ただし、上記アルカリ可溶性樹脂は架橋しないため官能基数をゼロとし、上記5〜6官能のアルカリ可溶性のないラジカル重合性モノマーの官能基数は5.5として計算)、アルカリ可溶成分の重量平均酸価は14.4mg−KOH/gである。
この透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液は、室温に1ヶ月遮光保管しても有機インジウム等の析出も含めインク外観の変化は認められなかった。この透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液を用いた以外は実施例1と同様に行い、露光・現像を試みたが、未露光部分の現像液への溶解性が悪く、膜残渣が生じたため、透明導電パターン膜を得ることができなかった。
Claims (12)
- (A)有機インジウム化合物、(B)ドーパント用有機金属化合物、(C)アルカリ可溶性ラジカル重合性モノマー、(D)アルカリ可溶性樹脂、(E)光重合開始剤、(F)溶剤を含有する透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液であって、
前記(A)有機インジウム化合物と(B)ドーパント用有機金属化合物の合計含有量が1〜30重量%で、その含有割合が、(A)有機インジウム化合物/(B)ドーパント用有機金属化合物のモル比=99.5/0.5〜35/65であり、
前記(B)ドーパント用有機金属化合物が、有機錫化合物、有機チタン化合物、有機亜鉛化合物、有機ジルコニウム化合物、有機タングステン化合物、有機アルミニウム化合物のいずれか一種以上からなり、
前記(C)アルカリ可溶性ラジカル重合性モノマーが、少なくとも3官能以上のアルカリ可溶性多官能モノマーを含有し、
前記(D)アルカリ可溶性樹脂が、50mg−KOH/g以上の平均酸価のアクリル系、メタアクリル系の1種以上からなり、
前記(C)アルカリ可溶性ラジカル重合性モノマーと(D)アルカリ可溶性樹脂からなるアルカリ可溶成分における重量平均官能基数(アルカリ可溶性樹脂は架橋しないため官能基数をゼロとし、各アルカリ可溶性ラジカル重合性モノマーはモノマー分子当りの架橋可能な官能基数を用いて計算した値)が2.5以上で、かつ前記アルカリ可溶成分の重量平均酸価が50mg−KOH/g以上のアクリル系、メタアクリル系の1種以上からなり、前記アルカリ可溶成分の含有量が、前記(A)有機インジウム化合物と(B)ドーパント用有機金属化合物の合計含有量100重量部に対し30〜150重量部、且つ、前記アルカリ可溶成分が熱分解性又は燃焼性を有していることを特徴とする透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液。 - 前記(A)有機インジウム化合物と(B)ドーパント用有機金属化合物の合計含有量が5〜20重量%であることを特徴とする請求項1に記載の透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液。
- 前記(A)有機インジウム化合物が、アセチルアセトンインジウムであることを特徴とする請求項1または2に記載の透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液。
- 前記有機錫化合物が、アセチルアセトン錫であることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液。
- 前記(E)光重合開始剤が、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノプロパン−1−オンであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液。
- 前記(F)溶剤が、少なくともアルキルフェノール及び/又はアルケニルフェノールと二塩基酸エステルを含有することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液。
- (G)増感剤が更に含有されていることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液。
- 前記(G)増感剤がチオキサントン系増感剤であることを特徴とする請求項7に記載の透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液。
- (H)セルロース系樹脂が更に含有され、その含有量が3重量%以下であることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液。
- 請求項1〜9のいずれか1項に記載の透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液を用いた透明導電膜パターンの製造方法であって、前記透明導電膜形成用ネガ型感光性塗布液を耐熱基材上に塗布、乾燥した後、露光、現像を行って微細パターンを形成し、次いで350℃以上の温度で焼成することを特徴とする透明導電パターン膜の製造方法。
- 前記現像をアルカリ水溶液で行うことを特徴とする請求項10に記載の透明導電パターン膜の製造方法。
- 請求項10又は11に記載の透明導電パターン膜の製造方法で得られた透明導電パターン膜。
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