JP4273549B2 - 低融点ガラス微粉末および感光性ペースト - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な無機微粉末、それを用いた感光性ペースト、より詳細にはプラズマディスプレイパネル(以下PDPと略す)やプラズマアドレス液晶や電子放出素子(Field Emission Display(FED)、電界放射型表示管、表面伝導型電子放出素子ともいう)などのディスプレイパネルにおける隔壁(リブ、スペーサともいう)形成用の感光性ペーストおよびそれらの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、回路材料やディスプレイにおいて、小型・高精細化が進んでおり、それに伴って、パターン加工技術の向上が望まれている。特に、プラズマディスプレイパネルの各画素の仕切である隔壁の形成には、ガラスなどの無機材料を高精度かつ高アスペクト比でパターン加工できる技術が求められている。
【0003】
プラズマディスプレイパネル(PDP)は高速の表示が可能であり、且つ大型化が容易であることから、OA機器および広報表示装置などの分野に浸透している。また高品位テレビジョンの分野などでの進展が非常に期待されている。
【0004】
このような用途の拡大にともなって、微細で多数の表示セルを有するカラーPDPが注目されている。PDPは、前面ガラス基板と背面ガラス基板との間に備えられた放電空間内で対向するアノードおよびカソード電極間にプラズマ放電を生じさせ、上記放電空間内に封入されているガスから発生した紫外線を、放電空間内に設けた蛍光体にあてることにより表示を行うものである。AC方式PDPの構造例を図1に示す。背面板には、放電空間の確保と電極間距離の規定および誤放電防止の役割を果たすために、白色または黒色の隔壁が設けられている。AC方式PDPの場合、隔壁はストライプ状に形成される。
【0005】
PDPを高精細化するためには、1画素の大きさを小さくする必要がある。この場合、上記の隔壁のピッチおよび線幅を狭くする必要がある。具体的には、42インチハイビジョンテレビ(1920×1035画素)や23インチのOA用モニター(XGA:1024×768画素)を実現しようとすると、隔壁はピッチ150μm、幅20〜40μm、高さ60〜170μm程度で形成する必要がある。通常、隔壁は背面ガラス基板にガラスからなる絶縁ペーストをスクリーン印刷法で塗布・乾燥し、この塗布・乾燥工程を10回以上も繰り返して所定の高さにした後、焼成して形成している。しかしながら、通常のスクリーン印刷法では、特にパネルサイズが大型化した場合に、予め前面基板上に形成された放電電極と絶縁ガラスペーストの印刷場所との位置合わせが難しく、位置精度が得られ難いという問題がある。しかも10回以上ガラスペーストを重ね合わせ塗布を行うことになるため、隔壁および壁体の側面エッジ部の波打ちや裾の乱れが生じ、高さの精度が得られないため、表示品質が悪くなり、また作業性が悪い、歩留まりが低いなどの問題もある。特に、パターン線幅が50μm、ピッチが150μm以下になると隔壁底部がペーストのチクソトロピー性により滲みやすく、シャープで残渣のない隔壁形成が難しくなる問題がある。
【0006】
PDPの大面積化、高解像度化に伴い、このようなスクリーン印刷による方法では、高アスペクト比、高精細の隔壁の製造がますます技術的に困難となり、かつコスト的に不利になってきている。
【0007】
これらの問題を改良する方法として、特開平1−296534号公報、特開平2−165538号公報、特開平5−342992号公報、特開平6−295676号公報では、隔壁を感光性ペーストを用いてフォトリソグラフィ技術により形成する方法が提案されている。しかしながら、これらの方法では、感光性絶縁ペーストのガラス含有量が少ないために焼成後に緻密な隔壁が得られなかったり、感光性ペーストの感度や解像度が低いという問題があった。このために高アスペクト比の隔壁を得るためには、スクリーン印刷・露光・現像の工程を繰り返し行うことが必要であった。しかし、印刷・露光・現像を繰り返し行うのでは、位置合わせの問題が生じたり、コストの問題があり限界があった。
【0008】
特開平8−50811号公報では、感光性ガラスペースト法を用いて、隔壁を1回の露光で形成する方法が提案されている。しかしながら、この方法では、ピッチが200μm以下、隔壁の線幅が50μm以下の高精細隔壁を作製する際、感光性ペースト中の無機成分と有機成分の割合によって、露光量マージンが狭く線幅の太りや残膜、隔壁の蛇行等が発生する問題があった。露光量マージンとは、露光量過多による線幅の太りや残膜、露光量不足による隔壁の蛇行が生じない適正露光量の範囲である。線幅の太りや残膜が発生すると放電空間が狭くなり放電特性が落ち、表示ムラになる。また、隔壁が蛇行すると蛍光体塗布が均一に行えず、混色が起きたりし、歩留まりが悪くなる問題があった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような欠点のない、高アスペクト比且つ高精度のパターンを形成したディスプレイの提供を目的とするものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、感光性ペースト用の低融点ガラス微粉末であって、該低融点ガラス微粉末の粒度分布が少なくとも2つ以上のピークを有することを特徴とする低融点ガラス微粉末、およびそれを用いた感光性ペーストによって達成される。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の無機微粉末は、無機粉末と感光性有機成分からなる感光性ペーストに用いられ、該感光性ペーストを塗布、乾燥、露光、現像および焼成することによってプラズマディスプレイパネル、プラズマアドレス液晶ディスプレイパネルまたは電子放出素子などの隔壁を形成することができる。得られる隔壁は、無機微粉末の焼結体である。
【0012】
感光性ペーストで形成しようとする隔壁は、高さが60〜170μmであり、焼成収縮を考慮すると隔壁パターン形成のために塗布される感光性ペーストの塗布膜の厚みは100〜220μmあることが必要となる。
【0013】
このような厚みの感光性ペースト塗布膜に高精細なパターンを露光し、高アスペクト比のパターンを解像度高く形成するためには、露光用の活性光線を塗布膜の最下部までできるだけ多く透過させることが必須である。具体的には、感光性ペーストは、50μm厚みの塗布膜で測定した全光線透過率が50%以上であることが好ましい。この場合、測定波長は、ペーストを塗布後、露光する光の波長で測定することが効果を確認する上で正確である。
【0014】
このため、感光性ペーストに配合される無機微粉末および感光性有機成分として共に光透過性の高いものを選び、且つ、これらを均一に混合し、ペースト内部に気泡などの組成ムラが無いことが要求される。しかしながら、たとえこれらを満たしても、全光線透過率が高い感光性ペーストを得ることは困難であり、全光線透過率が低いと露光用の活性光線が塗布膜の最下部まで十分に透過せず、高精細なパターンが形成できず、また、残膜を生じたり、隔壁パターンの蛇行を生じたりし、ディスプレイを製造した際に、輝度が低下したり、輝度ムラを生じたりする。
【0015】
本発明では鋭意検討の結果、無機微粉末の粒度分布を、縦軸を頻度(%)、横軸を粒子径(μm)としたヒストグラムで示したとき、粒度分布が少なくとも2つ以上のピーク(二山分布以上)を有する無機微粉末を感光性ペーストに用いることによって、感光性ペーストの塗布膜を形成した際に膜中の光散乱が抑制され、全光線透過率が高く、優れたパターン特性を示す感光性ペーストを得ることが出来ることを見いだした。本発明の無機微粉末の粒度分布の例を図2〜4に示す。本発明の無機微粉末は、粒度分布の山の頂点での粒子径および頻度は様々な組み合わせのものを用いることができる。
【0016】
本発明の無機微粉末は、調合原料の調製、溶融あるいは共沈法、熱分解法、加水分解法などの化学的合成、粉砕、分級および乾燥の工程を経て作製される。無機微粉末の具体的な態様としては、低融点ガラスからなるもの、低融点ガラス粉末と高融点ガラス粉末からなるもの、低融点ガラス粉末40〜90重量%とフィラー60〜10重量%からなるもの等が好ましく用いられる。
【0017】
本発明の無機微粉末の粒度分布は、上記の粉砕、分級工程において制御される。粉砕は、ボールミル、ジェットミル等の方法が用いられ、分級は、ふるい分け、気流式分級(ジェットミル)等の乾式分級で行う。得られた無機微粉末の粒度分布は、レーザー回折散乱法を利用した粒度分布計によって測定することができる。無機微粉末が屈折率の異なる複数種の粉末からなる場合には、まず単独粉末それぞれをレーザー回折散乱法で測定し、その後、単独粉末の粒度分布と粉末の混合比から複合粉末の粒度分布を計算して求める。また、未知の複合粉末については、平均屈折率をベッケ法で測定し、この値を用いてレーザー回折散乱法により測定することができる。
【0018】
一般に、粒子の付着力は表面積に依存するため、粒子径の2乗に比例するのに対し、粒子の重量は体積に依存するため粒径の3乗に比例する。この結果、粒子径が小さいものほど、凝集しやすく、ペースト中に均一に分散されず、塗布膜を形成した際、空隙ができやすくなるので光透過性が低くなり、所望のパターン特性が得られない。一方、粒子径が大きすぎると、焼成温度によっては、焼成後の隔壁の頂部に凹凸が生じ、封着時に前面板との間に隙間が出来てクロストークが生じたりする。また、無機微粒子が放電空間に異物として残ったりする問題がある。本発明では、鋭意検討の結果、粒度分布が少なくとも2山であることに加え、平均粒子径および最大粒子径が以下の範囲である無機微粉末が、凝集性が少ないため、パターン形成性が一層向上した感光性ペーストを得ることができ、さらに焼成後の隔壁頂部の凹凸や異物の問題がないため、高精細隔壁形成に適していることを見いだした。
1.0μm≦平均粒子径≦7μm
最大粒子径≦40μm
平均粒子径(D50ともいう)を1.0μm以上とすることで粉末の凝集を抑え、良好なパターン形成性を得ることができる。7μm以下とすることで、焼成後の隔壁頂部の凹凸を抑制しクロストークを抑えることができる。より好ましい平均粒子径の範囲は、1.5〜6.5μm、さらに好ましくは2〜6μm、さらに好ましくは2〜5μmである。
【0019】
最大粒子径を40μm以下とすることで、焼成後の隔壁頂部の凹凸や放電空間内に異物が残る問題が生じない。また、最大粒子径は7μm以上とすることが好ましい。7μm以上とすることで、充填性が良く、パターン形成性も良好となる。最大粒子径は更には10〜30μmの範囲内であることが、粉末の充填性や隔壁頂部の凹凸を抑制するためにより好ましい。
【0020】
また、無機微粉末の体積粒子径が累積で10%および90%となるときの粒径を、それぞれD10およびD90としたとき、これらの値が以下のような範囲であると、凝集性が少なく充填性の良い無機微粉末を得ることが出来る。
0.5μm≦D10≦2μm
4μm≦D90≦20μm
D10を0.5μm以上とすることで粉末の凝集を抑え、凝集した粉末間の空隙による散乱を防ぐことにより高精細なパターンを得ることが出来る。2μm以下とすることで、分級時の歩留まりが良好に保たれ、焼成後の隔壁頂部の凹凸によるクロストーク等の問題がない。更に好ましいD10の範囲は、0.7〜1.5μmである。
【0021】
D90を4μm以上とすることで、充填性が良く、パターン形成性も良好となる。20μm以下とすることで、隔壁頂部の凹凸や放電空間に異物が残る問題が生じない。更に好ましいD90の範囲は、6〜15μmである。
【0022】
無機微粉末のうち、焼成工程での加熱温度以上の軟化点または融点を有するフィラーは、そのまま隔壁中または隔壁表面に残留するので、その平均粒子径および最大粒子径はより小さいことが好ましい。すなわち、これらフィラーの平均粒子径は1〜4μm、最大粒子径は25μm以下であることが好ましい。このような粒度分布を有するものを使用することにより、充填性および分散性を満足させて、塗布性およびパターン形成性の優れた感光性ペーストを構成することが可能になる。平均粒子径を4μm以下、最大粒子径を25μm以下とすることで、隔壁の頂部の凹凸を抑え、放電時のクロストークを防ぎ、歩留まりが向上する。また、フィラーの平均粒子径を1μm以上とすることで粉末の凝集を抑え、ペースト中での分散性が良好なものとなる。
【0023】
また、感光性ペースト用無機微粉末としては、タップ密度が0.6g/cm3以上、好ましくは0.65g/cm3以上であることが、充填性がよく、ペーストのパターン形成性が向上し、高精細の隔壁形成を行うことができる。タップ密度とは、JIS Z 2500(2045)に記載の通り、振動させた容器内の粉末の単位体積当たりの質量である。
【0024】
タップ密度は、低融点ガラスおよびフィラーとして選択された組成・成分に由来する材料の真比重と粉末自体のパッキング性に関係する粒度分布に関連するものである。タップ密度を0.6g/cm3以上とすることで、ペースト作製時の無機微粉末の充填性および分散性が良好となり、塗布性の優れたペーストが得られる。
【0025】
これまでに記述してきた諸特性を有する低融点ガラス粉末と高融点ガラス粉末もしくはフィラーとからなる無機微粉末と感光性有機成分を構成成分として本発明の感光性ペーストが構成される。
【0026】
本発明で用いる低融点ガラス粉末は、ガラス転移点、軟化点の低いガラス基板上にパターン形成するため、ガラス転移温度が400〜550℃、軟化点が450〜600℃のガラス材料を用いることが好ましい。ガラス転移点を550℃以下、軟化点を600℃以下とすることで、ガラス基板のガラス転移点以下での焼き付けを行うことができる。また、低融点ガラス粉末がより低い温度で溶融し焼結され焼成工程における消費エネルギーを減少し、タクトタイムを削減するので低コスト化に有効である。ガラス転移点を400℃以上、軟化点を450℃以上とすることで、感光性ペースト中の感光性有機成分が分解、気化する前にガラスが溶けることがなく、従って炭化物などが隔壁中に取り込まれることによる誤放電が生じない。より好ましくはガラス転移点は400〜500℃、軟化点は450〜550℃の範囲である。
【0027】
感光性ペーストに用いる無機微粉末の平均屈折率は、1.5〜1.8、より好ましくは1.5〜1.7、更に好ましくは1.5〜1.65の範囲内であると、活性光線の透過性が向上するので適切である。ここでの平均屈折率は、均一に混合、分散した無機微粉末をベッケ法によって測定した値である。感光性ペーストの必須成分である感光性有機成分として使用可能なほとんどの化合物の屈折率が、1.45〜1.75の範囲にあることから、無機微粉末が上記の範囲の平均屈折率を有することで、無機微粉末と感光性有機成分それぞれの平均屈折率が±0.05の範囲内で整合し、ペースト中の光散乱を抑制し、活性光線の透過性を向上することができる。従って、塗布・露光の回数を減らして高精細の隔壁パターン形成することが可能となる。
【0028】
ガラス基板上に焼き付けが可能で、平均屈折率が1.5〜1.8の無機微粉末を得るためには、酸化ナトリウム、酸化リチウム、酸化カリウム等のアルカリ金属の酸化物のうち少なくとも1種を2〜20重量%含有する低融点ガラス粉末を用いるのが好ましい。これにより、軟化点、熱膨張係数のコントロールが容易になるだけでなく、ガラスの平均屈折率を低くすることができるため、有機物との屈折率差を小さくすることが容易になる。2%以上とすることで、熱軟化温度の制御が容易となる。20%以下とすることで、放電時のアルカリ金属酸化物の蒸発による輝度低下を防ぐことができる。さらにアルカリ金属の酸化物の添加量はペーストの安定性向上の観点から、15重量%以下であることがより好ましい。
【0029】
また、ガラス微粒子中に、酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、酸化ジルコニウムなど、特に酸化アルミニウム、酸化バリウム、酸化亜鉛を添加することにより、硬度や加工性を改良することができるが、熱軟化点、熱膨張係数、屈折率の制御の点からは、その含有量は40重量%以下が好ましい。
【0030】
酸化リチウムを含むガラス組成としては、酸化物換算表記で
酸化リチウム : 3〜15重量%
酸化珪素 :15〜50重量%
酸化ホウ素 :15〜40重量%
酸化バリウム : 2〜15重量%
酸化アルミニウム : 6〜25重量%
であることが好ましい。
【0031】
酸化リチウムが3〜15重量%配合されることによってガラス粉末の軟化点、熱膨張係数のコントロールが容易になるだけでなく、ガラスの平均屈折率を低くすることができる。ガラスの平均屈折率を低くできることは、有機成分との屈折率差を小さくすることが容易になるので重要な条件である。また、感光性ペーストの安定性を向上させる点から、酸化リチウムは15重量%以下が好ましく、より好ましくは10重量%以下、更に好ましくは8重量%以下である。
【0032】
酸化珪素は15〜50重量%配合されることが、ガラス層の緻密性、強度や安定性の点や熱膨張係数を所望の値とし、軟化点を低くし、基板への焼き付けを容易にする点で好ましい。
【0033】
酸化ホウ素は15〜40重量%配合されることが、ガラスの安定性、絶縁層の強度の点で好ましい。酸化硼素はガラス粉末を800〜1200℃付近の温度で溶融するため、さらに酸化珪素が多い場合でも電気絶縁性、強度、熱膨張係数、絶縁層の緻密性などの電気、機械および熱的特性を損なうことのないように、焼き付け温度を520〜580℃の範囲に制御するために配合されることが好ましい。
【0034】
酸化バリウムを2〜15重量%配合することは、焼き付け温度および電気絶縁性の制御、ガラス層の安定性や緻密性の点で好ましい。
【0035】
酸化アルミニウムが6〜25重量%配合されることは、ガラスの強度、ガラスの耐熱温度や緻密な絶縁層が得られやすい点で好ましい。酸化アルミニウムによってガラスの歪み点を高めることができる。
【0036】
低融点ガラス粉末が上記金属酸化物に加え、酸化カルシウム、酸化マグネシウムを配合したものであることが好ましい。
【0037】
酸化カルシウムは2〜10重量%の範囲で配合されるのが歪み点を適度に保つ点で好ましい。酸化カルシウムは、低融点ガラス粉末を溶融し易くするとともに熱膨張係数を制御することができる。
【0038】
酸化マグネシウムは1〜10重量%の範囲で配合されるのが好ましい。酸化マグネシウムは、低融点ガラス粉末を溶融し易くするとともに熱膨張係数を制御するために添加される。10重量%を超えるとガラスが失透する傾向がある。
【0039】
さらに、ガラス粉末中に酸化チタン、酸化ジルコニウムなどが配合されてもよいが、その量は2重量%以下であることが好ましい。特に酸化ジルコニウムは、軟化点、ガラス転移点および電気絶縁性を制御するのに効果がある。
【0040】
また、上記組成で、酸化リチウムの代わりに、酸化ナトリウム、酸化カリウムを用いても良いが、ペーストの安定性の点で、酸化リチウムが好ましい。
【0041】
感光性ペースト法に用いる無機微粉末の量は、無機微粉末と感光性有機成分の和に対して65〜90重量%であるのが好ましい。65重量%以上とすることで、焼成時の収縮を抑え、隔壁の断線、剥がれを防ぐことができる。またパターン太り、現像時の残膜の発生が起こりにくい。90重量%以下とすることで、感光性成分が十分な量となり、パターンの形成性が良好となる。焼成収縮率を低減するため、より好ましい無機微粉末の量は70〜80重量%である。本発明の無機微粉末は充填性が高いため、この量を達成することが出来る。
【0042】
本発明の感光性ペーストを構成する無機微粉末として、低融点ガラスと共にフィラーが好ましく用いられる。フィラーは、低融点ガラスの軟化点において溶融しない粉末であるものを用いる。これにより、隔壁パターンの体積収縮を抑制し、形状保持性が向上する。フィラーの配合比は、無機微粉末に対して10〜60重量%であることが好ましい。10重量%以上とすることで体積収縮抑制、形状保持の効果が得られ、60重量%以下とすることでガラス基板上での密着強度を保持し、焼き付けを容易に行うことができる。配合比は、より好ましくは20〜40重量%である。
【0043】
フィラーは、セラミックスまたは/および高融点ガラス粉末である。セラミック粉末は、アルミナ、ジルコニア、コーディエライト、ムライト、スピネル、チタニアおよびシリカの群から好ましく選ばれて用いられる。これらのセラミックスは高い融点を有する成分であり、高融点ガラス粉末と同様に隔壁パターンの焼成工程の温度では熱的に変化を受けず、隔壁中に分散して粉末状態のまま残留する。勿論、その存在により前記のフィラー添加の効果が得られるものである。さらに、これらのセラミックスのうち平均屈折率が1.5〜1.8の範囲のものを、低融点ガラス粉末と混合すると、平均屈折率1.5〜1.8の無機微粉末を得るのに好適である。さらに、低融点ガラス粉末との屈折率差が±0.05の範囲内のものを選定することが、活性光線の透過特性を向上するために望ましい。チタニア、ジルコニアなどの平均屈折率が1.8を越えるものは、感光性ペースト中で散乱要因となり、活性光線の透過を妨げ、パターン形成性を低下させるが、形成された隔壁が白色化し、蛍光体層からの発光を反射して表示の輝度を高める効果を発揮するため、少量添加することもできる。
【0044】
もう一つのフィラーの態様である高融点ガラスとしては、ガラス転移点570〜1200℃、軟化点620〜1200℃を有するものが好ましい。このような高融点ガラスは、酸化珪素および酸化アルミニウムをそれぞれ15重量%以上含有する組成を有するものが好ましく、これらの含有量合計が50重量%以上であることが必要な熱特性を得るのに有効である。例えば以下の酸化物換算組成を含有する高融点ガラス粉末は好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。
【0045】
酸化珪素 15〜50重量%
酸化硼素 5〜20重量%
酸化アルミニウム 15〜50重量%
酸化バリウム 2〜10重量%
この高融点ガラス粉末と前記のセラミックスとを同時にフィラーとして用いることも可能である。
【0046】
感光性有機成分は、露光に用いる光のエネルギーを吸収して生起する光反応による変化を利用してパターンを形成するものである。感光性有機成分には、光の作用した部分が溶剤に対して溶解するようになる光溶解型(ポジ型)と光の作用した部分が溶剤に対して不溶になる光不溶化型(ネガ型)が知られており、感光性ペーストに用いる感光性成分はいずれであってもよい。
【0047】
感光性ペーストの構成成分である感光性有機成分としては、感光性モノマー、感光性オリゴマー、感光性ポリマーのうち少なくとも1種類から選ばれる感光性成分を含有し、さらに必要に応じて、光重合開始剤、紫外線吸収剤、増感剤、増感助剤、重合禁止剤などの添加剤成分を加えることで感光性が付与される。この場合、ペーストをガラス基板上に塗布し、乾燥を行った後、パターン露光を行い、不要な非硬化部分を現像して除去し、硬化部分を残すことでパターン形成することができる。
【0048】
光不溶化型の感光性成分としては、
(A)分子内に不飽和基などを1つ以上有する官能性のモノマー、オリゴマー、ポリマーを含有するもの
(B)芳香族ジアゾ化合物、芳香族アジド化合物、有機ハロゲン化合物などの感光性化合物を含有するもの
(C)ジアゾ系アミンとホルムアルデヒドとの縮合物などいわゆるジアゾ樹脂といわれるもの等がある。
【0049】
また、光可溶型のものとしては、
(D)ジアゾ化合物の無機塩や有機酸とのコンプレックス、キノンジアゾ類を含有するもの
(E)キノンジアゾ類を適当なポリマーバインダーと結合させた、例えばフェノール、ノボラック樹脂のナフトキノン−1,2−ジアジド−5−スルフォン酸エステル等がある。
【0050】
本発明において用いる感光性成分は、上記のすべてのものを用いることができる。感光性ペーストとして、無機微粉末と混合して簡便に用いることができる点では、(A)のものが好ましい。
【0051】
感光性モノマーとしては、炭素−炭素不飽和結合を含有する化合物で、その具体的な例として、メチルアクリレート、エチルアクリレート、n−プロピルアクリレート、イソプロピルアクリレート、n−ブチルアクリレート、sec−ブチルアクリレート、イソブチルアクリレート、tert−ブチルアクリレート、n−ペンチルアクリレート、アリルアクリレート、ベンジルアクリレート、ブトキシエチルアクリレート、ブトキシトリエチレングリコールアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、ジシクロペンタニルアクリレート、ジシクロペンテニルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、グリセロールアクリレート、グリシジルアクリレート、ヘプタデカフロロデシルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、イソボニルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、イソデシルアクリレート、イソオクチルアクリレート、ラウリルアクリレート、2−メトキシエチルアクリレート、メトキシエチレングリコールアクリレート、メトキシジエチレングリコールアクリレート、オクタフロロペンチルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ステアリルアクリレート、トリフロロエチルアクリレート、アリル化シクロヘキシルジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタアクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、グリセロールジアクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリグリセロールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、アクリルアミド、アミノエチルアクリレート、フェニルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート、ベンジルアクリレート、1−ナフチルアクリレート、2−ナフチルアクリレート、ビスフェノールAジアクリレート、ビスフェノールA−エチレンオキサイド付加物のジアクリレート、ビスフェノールA−プロピレンオキサイド付加物のジアクリレート、チオフェノールアクリレート、ベンジルメルカプタンアクリレート等のアクリレート、また、これらの芳香環の水素原子のうち、1〜5個を塩素または臭素原子に置換したモノマー、もしくは、スチレン、p−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、塩素化スチレン、臭素化スチレン、α−メチルスチレン、塩素化α−メチルスチレン、臭素化α−メチルスチレン、クロロメチルスチレン、ヒドロキシメチルスチレン、カルボキシメチルスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、ビニルカルバゾール、および、上記化合物の分子内のアクリレートを一部もしくはすべてをメタクリレートに変えたもの、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、1−ビニル−2−ピロリドンなどが挙げられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。
【0052】
これら以外に、不飽和カルボン酸等の不飽和酸を加えることによって、感光後の現像性を向上することができる。不飽和カルボン酸の具体的な例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、またはこれらの酸無水物などがあげられる。
【0053】
これらモノマーの含有率は、ガラス粉末と感光性成分の和に対して、5〜30重量%が好ましい。この範囲内とすることにより、パターンの形成性が良好となり、硬化後の硬度も十分なものが得られる。
【0054】
また、前述の炭素−炭素二重結合を有する化合物のうち少なくとも1種類を重合して得られたオリゴマーやポリマーを用いることができる。重合する際に、これら光反応性モノマーの含有率が、10重量%以上、さらに好ましくは35重量%以上になるように、他の感光性のモノマーと共重合することができる。
【0055】
共重合するモノマーとしては、不飽和カルボン酸等の不飽和酸を共重合することによって、感光後の現像性を向上することができる。不飽和カルボン酸の具体的な例としては、アクリル酸、メタアクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸、ビニル酢酸、またはこれらの酸無水物などがあげられる。
【0056】
こうして得られた側鎖にカルボキシル基等の酸性基を有するポリマーもしくはオリゴマーの酸価(AV)は50〜180、さらには70〜140の範囲が好ましい。酸価が50未満であると、現像許容幅が狭くなる。また、酸価が180を越えると未露光部の現像液に対する溶解性が低下するようになるため現像液濃度を濃くすると露光部まで剥がれが発生し、高精細なパターンが得られにくい。
【0057】
以上に示した、ポリマーもしくはオリゴマーに対して、光反応性基を側鎖または分子末端に付加させることによって、感光性を持つ感光性ポリマーや感光性オリゴマーとして用いることができる。好ましい光反応性基は、エチレン性不飽和基を有するものである。エチレン性不飽和基としては、ビニル基、アリル基、アクリル基、メタクリル基などがあげられる。
【0058】
このような側鎖をオリゴマーやポリマーに付加させる方法は、ポリマー中のメルカプト基、アミノ基、水酸基やカルボキシル基に対して、グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライドを付加反応させて作る方法がある。
【0059】
グリシジル基を有するエチレン性不飽和化合物としては、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、アリルグリシジルエーテル、エチルアクリル酸グリシジル、クロトニルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル、イソクロトン酸グリシジルエーテルなどがあげられる。
【0060】
イソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物としては、(メタ)アクリロイルイソシアネート、(メタ)アクリロイルエチルイソシアネート等がある。
【0061】
また、グリシジル基やイソシアネート基を有するエチレン性不飽和化合物やアクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドまたはアリルクロライドは、ポリマー中のメルカプト基、アミノ基、水酸基やカルボキシル基に対して0.05〜1モル当量付加させることが好ましい。
【0062】
感光性ペースト中の感光性ポリマー、感光性オリゴマーおよびバインダーからなるポリマー成分の量としては、パターン形成性、焼成後の収縮率の点で優れていることから、ガラス粉末と感光性成分の和に対して、5〜30重量%であることが好ましい。この範囲外では、パターン形成が不可能もしくは、パターンの太りがでる傾向となる。
【0063】
光重合開始剤には、1分子系直接開裂型、イオン対間電子移動型、水素引き抜き型、2分子複合系など機構的に異なる種類があり、それらから選択して用いられるが、本発明においては、1分子系直接開裂型から選ばれた化合物が好ましい。例えば、ベンゾインアルキルエーテル類やα,α−ジメトキシ−α−モルフォリノアセトンフェノン,α,α−ジメトキシ−α−フェニルアセトンフェノンなどが挙げられる。また、過酸化物、ホスフィンオキシド、硫黄化合物、ハロゲン化合物などでもよく、これらを1種または2種以上配合してもよい。
【0064】
また、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4,4−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4−メチルジフェニルケトン、ジベンジルケトン、フルオレノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニル−2−フェニルアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、p−t−ブチルジクロロアセトフェノン、チオキサントン、2−メチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、ジエチルチオキサントン、ベンジルジメチルケタノール、ベンジルメトキシエチルアセタール、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、アントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン、β−クロルアントラキノン、アントロン、ベンズアントロン、ジベンゾスベロン、メチレンアントロン、4−アジドベンザルアセトフェノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)シクロヘキサノン、2,6−ビス(p−アジドベンジリデン)−4−メチルシクロヘキサノン、2−フェニル−1,2−ブタジオン−2−(o−メトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−プロパンジオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1,3−ジフェニル−プロパントリオン−2−(o−エトキシカルボニル)オキシム、1−フェニル−3−エトキシ−プロパントリオン−2−(o−ベンゾイル)オキシム、ミヒラーケトン、2−メチル−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−1−プロパノン、ナフタレンスルホニルクロライド、キノリンスルホニルクロライド、N−フェニルチオアクリドン、4,4−アゾビスイソブチロニトリル、ジフェニルジスルフィド、ベンズチアゾールジスルフィド、トリフェニルホスフィン、カンファーキノン、四臭素化炭素、トリブロモフェニルスルホン、過酸化ベンゾインおよびエオシン、メチレンブルーなどの光還元性の色素とアスコルビン酸、トリエタノールアミンなどの還元剤の組み合わせなどがあげられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。
【0065】
光重合開始剤は、一般的には、感光性成分に対し、0.05〜20重量%の範囲で添加され、より好ましくは1〜15重量%である。重合開始剤の量が少なすぎると、光感度が不良となり、光重合開始剤の量が多すぎれば、露光部の残存率が小さくなりすぎるおそれがある。
【0066】
光重合開始剤と共に増感剤を配合することにより、感度を向上させたり(化学増感)、反応に有効な波長範囲を拡大する(分光増感)ことができる。
【0067】
増感剤の作用機構にも種々のものがあるが、三重項増感剤と称されるものが最もよく使われる。それらの中には、炭化水素系化合物、アミノ・ニトロ化合物、キノン類、キサントン類、アンスロン類、ケトン類、有機色素類がある。これらの中には光重合開始剤としての作用を有するものも含まれている。
【0068】
本発明において1分子系直接開裂型の光重合開始剤と組み合わせて用いる増感剤として、キサントン類から選ばれた化合物が好ましく、具体的には2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントンなどが挙げられる。これらは1種または2種以上配合することができる。
【0069】
光重合開始剤および増感剤が、少な過ぎると十分な感度が得られないが、多くすることによって感度を高めることは可能であるが、硬化した部分の重合度合が十分に高くならず、露光部の残存率が小さくなるおそれがあり、また、パターン間での不要な硬化が発生して残膜が形成されるなどの不都合が起る。光重合開始剤と増感剤を適量づつ使用することが適度の感度で優れた形状を示すパターンを形成するのに重要である。
【0070】
本発明の感光性ペーストに紫外線吸収剤を配合することが、優れた形状のパターン加工のために有効である。
【0071】
紫外線吸収剤としては有機系染料からなるもの、中でも350〜450nmの波長範囲で高UV吸収係数を有する有機系染料が好ましく用いられる。具体的には、アゾ系染料、アミノケトン系染料、キサンテン系染料、キノリン系染料、アミノケトン系染料、アントラキノン系、ベンゾフェノン系、シアノアクリレート系、ベンゾトリアゾール系化合物、インドール系化合物、ジフェニルシアノアクリレート系、トリアジン系、p−アミノ安息香酸系染料などが使用できる。有機系染料は吸光剤として添加した場合にも、焼成後の絶縁膜中に残存しないで吸光剤による絶縁膜特性の低下を少なくできるので好ましい。これらの中でもアゾ系およびベンゾフェノン系染料が好ましい。
【0072】
具体例として、スダンIV(ソルベントレッド24),4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4,4’−ジメトキシ−5−スルホベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−2’−カルボキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−メトキシ−5−スルホベンゾフェノントリヒドレート、2−ヒドロキシ−4−n−オクトキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−オクタデシロキシベンゾフェノン、2,2’、4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、4−ドデシロキシ−2−ヒドロキシベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(2−ヒドロキシ−3−メタクリロキシ)プロポキシベンゾフェノン、2−(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’、5’−ジ−t−ブチルフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’−t−ブチル−5’−メチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、2−(2’−ヒドロキシ−4’−n−オクトキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、2−エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、BONASORB UV−3901(オリエント化学社製)、BONASORB UA−3902(オリエント化学社製)、SOM−2−0008(オリエント化学社製)などを挙げることができるが、これらに限定されない。本発明では、これらを1種または2種以上使用することができる。さらに、これらの紫外線吸収剤の骨格にメタクリル基などを導入し反応型として用いてもよい。
【0073】
有機染料の添加量は無機微粉末に対して0.05〜1重量部が好ましい。
【0074】
これらの範囲を外れると、h線およびi線の吸収能力が不足したり、g線の透過率が下がり、感光性ペーストの感度が低下するなどの傾向にある。0.05重量%以下では紫外線吸光剤の添加効果が減少し、1重量%を越えると焼成後の絶縁膜特性が低下する傾向にある。より好ましくは0.05〜0.2重量%である。さらに本発明の感光性ペーストは、パターン形成性を良好に保つために重合禁止剤を配合するが好ましい。
【0075】
有機染料からなる紫外線吸光剤の添加方法の一例を上げると、有機染料を予め有機溶媒に溶解した溶液を作製し、それをペースト作製時に混練する方法以外に、該有機溶媒中に無機微粉末を混合後、乾燥する方法があげられる。この方法によってガラス微粒子の個々の粒子表面に有機の膜をコートしたいわゆるカプセル状の微粒子が作製できる。
増感剤は、感度を向上させるために添加される。増感剤の具体例としては、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,3−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロペンタノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、2,6−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)−4−メチルシクロヘキサノン、ミヒラーケトン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)−ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジメチルアミノ)カルコン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)カルコン、p−ジメチルアミノシンナミリデンインダノン、p−ジメチルアミノベンジリデンインダノン、2−(p−ジメチルアミノフェニルビニレン)−イソナフトチアゾール、1,3−ビス(4−ジメチルアミノベンザル)アセトン、1,3−カルボニル−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)アセトン、3,3−カルボニル−ビス(7−ジエチルアミノクマリン)、N−フェニル−N−エチルエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、N−トリルジエタノールアミン、N−フェニルエタノールアミン、ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、ジエチルアミノ安息香酸イソアミル、3−フェニル−5−ベンゾイルチオテトラゾール、1−フェニル−5−エトキシカルボニルチオテトラゾールなどがあげられる。本発明ではこれらを1種または2種以上使用することができる。なお、増感剤の中には光重合開始剤としても使用できるものがある。増感剤を本発明の感光性ペーストに添加する場合、その添加量は感光性成分に対して通常0.05〜10重量%、より好ましくは0.1〜10重量%である。増感剤の量が少なすぎれば光感度を向上させる効果が発揮されず、増感剤の量が多すぎれば露光部の残存率が小さくなりすぎる傾向にある。
【0076】
重合禁止剤は、保存時の熱安定性を向上させるために添加される。重合禁止剤は、重合禁止剤として使用できるものであれば特に制限はなく、具体的な例としては、p−ベンゾキノン、ナフトキノン、パラ−キシロキノン、パラ−トルキノン、2,6−ジクロロキノン、2,5−ジアセトキシ−p−ベンゾキノン、2,5−ジカプロキシ−p−ベンゾキノン、2,5−ジアエロキシ−p−ベンゾキノン、ヒドロキノン、p−t−ブチルカテコール、2,5−ジブチルヒドロキノン、モノ−t−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−t−アミルヒドロキノン、ジ−t−ブチル・パラクレゾール、ヒドロキノンモノメチルエーテル、α−ナフトール、アセトアニジンアセテート、ヒドラジン塩酸塩、トリメチルベンジルアンモニウムクロリド、トリメチルベンジルアンモニウムオキザレート、フェニル−β−ナフチルアミン、パラベンジルアミノフェノール、ジ−β−ナフチルパラフェニレンジアミン、ジニトロベンゼン、トリニトロベンゼン、ピクリン酸、キノンジオキシム、シクロヘキサノンオキシム、ピロガロール、タンニン酸、レゾルミン、トリエチルアミン塩酸塩、ジメチルアニリン塩酸塩、クペロンなどが挙げられる。重合禁止剤を添加する場合、その添加量は、感光性ペースト中に、通常、0.01〜20重量%である。
【0077】
感光性ペーストは、多くの無機微粉末を分散状態で含有するものであり、露光された光はペースト内部で散乱されることが避け難く、それに起因すると考えられるパターン形状の太りやパターン間の埋まり(残膜形成)が発生しやすい。隔壁パターンは、側壁部が垂直に切り立ち、断面形状が矩形になることが好ましい。理想的には、一定の露光量以下の光の照射部分は現像液に溶解し、それ以上では現像液に不溶になることである。すなわち、散乱光によって生じるような低い露光量で硬化した部分が現像液に溶解してしまえば、パターン形状の太りや残膜形成は解消される。しかしながら、現像のラチチュードはこのようになり難いので、少ない露光量による光硬化を重合禁止剤の添加により抑止することが必要である。感光性ペーストに重合禁止剤を添加すると、少ない露光量で励起された光重合開始剤や増感剤のエネルギー状態を基底状態に戻したり、発生したラジカルを捕捉したりして重合を失活させるので、太りや残膜になる部分の硬化を抑制することができる。
【0078】
このような重合禁止剤としては、ラジカル連鎖禁止作用、三重項の消去作用、ハイドロパーオキサイドの分解作用を有するものなら限定されず、1種または2種以上を使用してもよい。その添加量は0.01〜5重量%が好ましく、より好ましくは0.03〜3重量%である。この範囲より少なければ重合禁止の効果が発揮されず、多くなると感度が低下する。
【0079】
感光性ペーストに用いる感光性有機成分には、有機バインダー、可塑剤、溶媒および必要に応じ分散剤やレベリング剤などを添加できる。有機バインダーの具体的な例としては、ポリビニルアルコール、セルロース系ポリマー、シリコンポリマー、ポリエチレン、ポリビニルピロリドン、ポリスチレン、ポリアミド、高分子量ポリエーテル、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、α−メチルスチレン重合体、ブチルメタクリレート樹脂などがあげられる。バインダーは隔壁の現像液に溶解しないものを選択する必要がある。また、ペーストの粘度を調整する際は、バインダー成分の溶媒を用いるのが好ましい。溶媒としては、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルエチルケトン、ジオキサン、アセトン、シクロヘキサノン、シクロペンタノン、イソブチルアルコール、イソプロピルアルコール、テトラヒドロフラン、ジメチルスルフォキシド、γ−ブチロラクトン、ブロモベンゼン、クロロベンゼン、ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ブロモ安息香酸、クロロ安息香酸などやこれらのうちの1種以上を含有する有機溶媒混合物が用いられる。また、ペースト中に可塑剤を含むこともできる。可塑剤の具体的な例としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート、ポリエチレングリコール、グリセリンなどがあげられる。
【0080】
上記の各成分を混合した後、3本ローラやプラネタリーミキサー等の混練機で均質に混合分散し誘電体および隔壁用ペーストを作製することができる。
【0081】
次に、本発明の無機微粉末、感光性ペースト並びにそれを用いた隔壁の作製方法を説明する。本発明のペースト中に含まれる低融点ガラス粉末およびフィラー粉末は、配合原料の調製、溶融あるいは共沈法、熱分解法、加水分解法などの化学的合成、粉砕、分級および乾燥の工程を経て作製される。分級は、ふるい分け、気流式分級などの乾式分級で行う。低融点ガラス粉末およびフィラー粉末の粒度とその分布は、上記の粉砕、分級工程において制御される。粉砕は、ボールミル、ジェットミル等の方法が用いられ、得られた粉末の粒度分布は、レーザー回折・散乱法によって測定することができる。
【0082】
次に、本発明の無機微粉末を用いてPDPを作製する工程の一例について説明するが、本発明はこれに限定されない。
【0083】
本発明の低融点ガラス並びに高融点ガラス粉末は、調合原料の調製、溶融、粉砕、分級および乾燥の各工程を経て作製される。粉砕、分級は様々な方法を用いることが出来るが、ガラス粉末の組成の安定性から、乾式法が好ましい。具体的には、粉砕は“SKジェット・オー・ミル”(セイシン企業(株)製)などのジェット粉砕機が用いられ、分級には、“スペディッククラッシファイアー”(セイシン企業(株)製)などの乾式気流分級機が好適に用いられる。
【0084】
得られたガラス粉末を含む無機微粉末および感光性有機成分を所定の組成となるように調合した後、3本ローラやプラネタリーミキサー等の混練機で均質に混合分散して調製する。
【0085】
ペーストの粘度は無機微粉末、増粘剤、有機溶媒、可塑剤および沈殿防止剤などの添加割合によって適宜調整されるが、その範囲は2000〜20万cps(センチ・ポイズ)である。例えばガラス基板への塗布をスクリーン印刷法以外にスピンコート法で行う場合は、200〜5000cpsが好ましい。スクリーン印刷法で1回塗布して膜厚10〜20μmを得るには、4000〜20万cpsが好ましい。ここで粘度は、回転粘度計法により得られる値である。
【0086】
電極、誘電体層を形成したガラス基板の上に、感光性ペーストを100〜220μmの厚みで塗布する。塗布方法としては、スクリーン印刷、バーコーター、ロールコーター、ダイコーター、ブレードコーター等の方法を用いることができる。塗布厚みは、塗布回数、ペーストの粘度を選ぶことによって調整できる。
【0087】
感光性ペーストの塗布の後、ペースト中の溶媒を除去するため、乾燥を行う。乾燥後、露光装置を用いて露光を行う。露光は通常のフォトリソグラフィーで行われるように、フォトマスクを用いてマスク露光する方法が一般的である。用いるマスクは、感光性有機成分の種類によって、ネガ型もしくはポジ型のどちらかを選定する。また、フォトマスクを用いずに、赤色や青色のレーザー光などで直接描画する方法を用いても良い。
【0088】
露光装置としては、ステッパー露光機、プロキシミティ露光機等を用いることができる。また、大面積の露光を行う場合は、ガラス基板などの基板上に感光性ペーストを塗布した後に、搬送しながら露光を行うことによって、小さな露光面積の露光機で、大きな面積を露光することができる。
【0089】
この際使用される活性光源は、たとえば、可視光線、近紫外線、紫外線、電子線、X線、レーザー光などが挙げられるが、これらの中で紫外線が好ましく、その光源としてはたとえば低圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ハロゲンランプ、殺菌灯などが使用できる。これらのなかでも超高圧水銀灯が好適である。露光条件は塗布厚みによって異なるが、1〜50mW/cm2 の出力の超高圧水銀灯を用いて10秒〜30分間露光を行う。
【0090】
露光後、感光部分と非感光部分の現像液に対する溶解度差を利用して、現像を行うが、この場合、浸漬法、シャワー法、スプレー法、ブラシ法で行う。
【0091】
用いる現像液は、感光性ペースト中の有機成分が溶解可能である有機溶媒を使用できる。また該有機溶媒にその溶解力が失われない範囲で水を添加してもよい。感光性ペースト中にカルボキシル基等の酸性基を持つ化合物が存在する場合、アルカリ水溶液で現像できる。アルカリ水溶液として水酸化ナトリウムや炭酸ナトリウム、水酸化カルシウム水溶液などのような金属アルカリ水溶液を使用できるが、有機アルカリ水溶液を用いた方が焼成時にアルカリ成分を除去しやすいので好ましい。
【0092】
有機アルカリとしては、アミン化合物を用いることができる。具体的には、テトラメチルアンモニウムヒドロキサイド、トリメチルベンジルアンモニウムヒドロキサイド、モノエタノールアミン、ジエタノールアミンなどが挙げられる。アルカリ水溶液の濃度は通常0.05〜3重量%、より好ましくは0.1〜1重量%である。アルカリ濃度が低すぎると可溶部が除去されず、アルカリ濃度が高すぎると、パターン部を剥離させ、また非可溶部を腐食させるおそれがあり好ましくない。また、現像時の現像温度は、20〜50℃で行うことが工程管理上好ましい。
【0093】
感光性ペーストの塗布膜から露光・現像の工程を経て形成された隔壁パターンは、次に焼成炉にて焼成を行う。焼成雰囲気や、温度はペーストや基板の種類によって異なるが、通常は、空気中で焼成される。焼成炉としては、バッチ式の焼成炉やベルト式の連続型焼成炉を用いることができる。バッチ式の焼成の場合は、隔壁パターンが形成されたガラス基板を室温から500℃程度まで数時間掛けてほぼ等速で昇温した後、さらに焼成温度として設定された520〜590℃に30〜40分間で上昇させて、15〜30分間保持して焼成を行う。これらの条件は一般的なものであり、低融点ガラス成分の熱特性が変化する場合には、新たな条件の設定が必要である。また、焼成温度は用いるガラス基板のガラス転移点より低い温度に設定する。
【0094】
また、以上の塗布や露光、現像、焼成の各工程中に、乾燥、予備反応の目的で、50〜300℃加熱工程を導入しても良い。
【0095】
次に、赤、青、緑の各色に発光する蛍光体ペーストをスクリーン印刷でパターン印刷することにより、フルカラー表示可能なPDP用の背面板を作製できる。
【0096】
次に、本発明の感光性ペースト並びにそれを用いた隔壁の評価方法を説明する。
【0097】
感光性ペーストの良否を判定する方法として、光線透過率測定がある。具体的には上記の方法で塗布した後、乾燥して得られた50μm厚みの塗布膜で測定した全光線透過率が50%以上あることが好ましい。この場合、測定波長は、ペーストを塗布後、露光する光の波長で測定することが効果を確認する上で正確である。
【0098】
感光性ペーストのパターン形成性の良否は、種々の要件で判断されるが、本発明において、優れたパターン形成性の基準は、フォトリソグラフィ法でのパターン形成の工程である露光・現像における露光条件のマージンの大きさで表している。通常、行われるフォトマスクを介してのパターン露光において、形成された隔壁の高さの中央地点での線幅を測定し、露光量を±10%変化しても、その線幅に僅かしか変化を生じない場合を、パターン形成性が優れていると規定した。
【0099】
さらに、作製した隔壁の良否を判断する方法として頂部の凹凸測定、焼成収縮率測定がある。頂部凹凸の測定は、光干渉を利用した表面形状測定顕微鏡(キーエンス社製)や、触針式の表面粗さ計(サーフコム1500A、東京精密社製)を用いて行われ、隔壁のストライプと平行に測定長さ約0.2mmで計測した際のRMAXで表される。RMAXが10μm以下、好ましくは5μm以下であることが望ましい。焼成収縮率は焼成前の隔壁高さと焼成後の隔壁高さから以下の式で算出する。
(1−焼成後高さ/焼成前高さ)×100 (%)
隔壁の高さは、隔壁断面を走査型電子顕微鏡で撮影するか、上記の表面形状測定顕微鏡を用いて計測する。焼成収縮率は30%以下、好ましくは25%以下、より好ましくは20%以下であることが優れた隔壁形状を保持し、焼成温度バラツキによる高さバラツキを抑制するために有効である。
【0100】
【実施例】
以下に、本発明を実施例を用いて、具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定はされない。なお、実施例、比較例中の濃度(%)は特に断らない限り重量%である。
【0101】
(測定方法)
(1)粒度分布
日機装社製(マイクロトラックHRA粒度分析計 MODEL No.9320−X100)
測定条件は下記の通りで行った。
試料量 :0.5g
分散条件 :精製水中で1〜1.5分間超音波分散、分散しにくい場合は0.2%ヘキサメタリン酸ナトリウム水溶液中で行う。
粒子屈折率:無機粉末の種類によって変更する(リチウム系ガラス粉末では、1.6、ビスマス系ガラス粉末では、1.88の値を使用した。)
溶媒屈折率:1.33
測定数 :2回
【0102】
無機微粉末が屈折率の等しい複数種の粉末からなる場合は、各粉末を混合後、該粉末を上記の方法で測定した。また無機微粉末が屈折率の異なる複数種の粉末からなる場合には、まず単独粉末それぞれをレーザー回折散乱法で測定し、その後、単独粉末の粒度分布と粉末の混合比から複合粉末の粒度分布を計算して求めた。
【0103】
(2)タップ密度
TSUTSUI SCIENTIFIC INSTRUMENTS CO. A.B.D POWDER TESTERを用い、粉末を入れた100cc容器を5分間振動した後、粉末を摺り切り、100cc当たりの粉末質量を測定して得た。
【0104】
(3)粘度
米国ブルックフィールド社製デジタル回転式粘度計を用いて測定した。
【0105】
(4)光線透過率
島津製作所製の分光光度計(UV−3101PC)を用いて測定した。
【0106】
(5)輝度
プラズマディスプレイパネルを全面点灯させ、大塚電子社製の側光機MCPD−200を用いて測定した。
【0107】
(6)隔壁パターン評価
走査型電子顕微鏡を用いて隔壁断面形状を観察し、高さ測定および形状評価を行い、良好形状を示すものを○とした。蛇行、残膜などの欠陥があったり、隔壁パターンの線幅が33〜48μm(焼成後25〜35μm相当)の範囲に入らない場合を×とした。また、露光量を400mJ/cm2に対して±10%変化させた場合の隔壁パターンの線幅変化が±5μmを越える場合も×とした。観察は1基板の9点からサンプルを採取した。また、隔壁頂部の凹凸測定は、表面形状測定顕微鏡(キーエンス社製)を用いて行った。
【0108】
実施例1
<低融点ガラス粉末>
図5に示す2山分布のガラス粉末(1)を調合原料の調製、溶融、粉砕、分級および乾燥の各工程を経て作製した。粉砕には“SKジェット・オー・ミル”(セイシン企業(株))、分級には“スペディッククラッシファイアー”(セイシン企業(株))、乾燥は気流式乾燥装置(セイシン企業(株))を用いた。
ガラス粉末(1):
D10;0.9μm、平均粒子径;2.2μm、D90;7.0μm、最大粒子径;22.0μm、
組成; Li2O 7%、Na2O 2%、SiO2 21%、B2O3 31%、BaO 4%、Al2O3 23%、ZnO 2%、MgO 6%、CaO4%。Tg(ガラス転移点)490℃、Ts(軟化点)530℃、熱膨張係数75×10-7/°K、g線(436nm)での屈折率1.58。
【0109】
<有機成分の調製>
下記の溶媒およびポリマーをそれぞれ40%溶液となるように混合し、攪拌しながら60℃まで加熱し、すべてのポリマーを均質に溶解させ、ポリマー溶液を得た。
【0110】
溶媒:ガンマブチロラクトン(γ−BL)
ポリマー:40%のメタアクリル酸(MAA)、30%のメチルメタアクリレート(MMA)および30%のスチレン(St)からなる共重合体のカルボキシル基に対して0.4当量のグリシジルメタアクリレート(GMA)を付加反応させた重量平均分子量43000、酸価95の感光性ポリマー。
【0111】
ついで室温まで冷却した上記のポリマー溶液400gに、以下に示す各有機成分を以下に示す割合で加えて溶解した後、この溶液を400メッシュのフィルターを用いて濾過し、有機ビヒクルを作製した。
【0112】
有機染料:スダンIV:アゾ系有機染料(化学式C24H20N4O) 0.5g
モノマー:TMPTA:トリメチロールプロパントリアクリレート 150g
開始剤:チバガイギー社製 ”イルガキュア”369 25g
増感剤:2,4−ジエチルチオキサントン 25g
増感助剤:p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル 10g
可塑剤:ジブチルフタレート(DBP) 20g
溶媒:γ−BL 80g
得られた有機ビヒクル40gに上記のガラス粉末(1)を60g加え、混練した後3本ローラーで均一に分散することにより隔壁用感光性ペーストを製造した。
【0113】
得られた感光性ペーストを、厚み1.3mmのソーダガラス基板上に50μm厚みで塗布、乾燥して得られた膜の全光線透過率は63%であった。
【0114】
次に背面板用ガラス基板として、サイズ240×300mm(A4サイズ)のガラス基板(旭硝子社製PD−200)を使用した。このガラス基板に、書き込み電極として感光性銀ペーストを用いてフォトリソ法により、ピッチ150μm、線幅40μm、焼成厚み6μmのストライプ状電極を形成した。
【0115】
次に、下記に示す成分からなる誘電体層用ペーストを作製した。
ガラス粉末(2): 50重量%
D10;1.1μm、平均粒子径;2.5μm、D90;4.1μm、最大粒子径;6.5μm
組成 Bi2O3 38%、SiO2 7%、B2O3 19%、BaO 12%、Al2O3 3%、ZnO 21%、Tg 476℃、Ts 525℃、熱膨張係数75×10-7/°K
白色顔料:TiO2(石原産業(株)製:TR−50) 5重量%
溶媒:テルピネオール 20重量%
ポリマー:エチルセルロース 20重量%
チキソトロピー剤:15%SiO2酢酸2-(2-ブトキシエトキシ)エチル溶液
5重量%
【0116】
溶媒およびポリマーは混合し、攪拌しながら60℃まで加熱し、すべてのポリマーを均質に溶解させ、ポリマー溶液とした。このポリマー溶液に、ガラス粉末(2)、白色顔料、チキソトロピー剤を混合した後3本ローラーで均一に分散することにより誘電体層用ペーストを製造した。これを325メッシュのスクリーンを用いてスクリーン印刷による塗布、乾燥を行い、乾燥後厚み20μmの均一な膜を得た。塗布厚みはスキージ角度と速度によって調整した。このようにして得た誘電体ペースト塗布膜を、空気中で580℃で30分間焼成を行い、厚み12μmの誘電体層を形成した。
【0117】
次に誘電体層上に感光性ペーストを上記の誘電体ペースト塗布と同じ方法で塗布、乾燥を繰り返し塗布厚みを180μmに調整した。その後、80℃で1時間保持して乾燥した。
【0118】
続いて、フォトマスクを介して上面から15mW/cm2出力の超高圧水銀灯で紫外線露光した。露光量は1J/cm2であった。フォトマスクはピッチ150μm、線幅20μmのネガ型のクロムマスクを用いた。
【0119】
次に、35℃に保持したモノエタノールアミンの0.3重量%の水溶液を120秒間シャワーすることにより現像し、その後シャワースプレーを用いて水洗浄し、光硬化していないスペース部分を除去してストライプ状の隔壁パターンを形成した。得られたパターンは、残膜や蛇行のない良好な形状であった。
【0120】
このようにして隔壁パターンを形成した基板を、空気中で570℃で30分間焼成を行い、隔壁を作製した。得られた隔壁の形状を表1に示す。
【0121】
隔壁を形成した背面板の隔壁内の所定の溝にスクリーン印刷法を用いて、蛍光体層を形成した。すなわち、赤(R)を形成する場合、Rの感光性蛍光体ペーストを用いて、位置あわせを行い印刷する。緑(G)、青(B)に関しても同様の操作を行った後、焼成(500℃、30分)を行い、3色の蛍光体を所定の位置に形成した。
【0122】
前面板は以下の工程によって作製した。先ず、ガラス基板上に、ITOをスパッタ法で形成後、レジスト塗布し、露光・現像処理、エッチング処理によって焼成厚み0.1μm、線幅200μmの透明電極を形成した。また、黒色銀粉末からなる感光性銀ペーストを用いて、フォトリソ法により、ピッチ150μm、線幅50μm、焼成厚み10μmのバス電極を形成した。
【0123】
さらに、電極形成した前面板上に透明誘電体ペーストを20μm塗布し、430℃で20分間保持して焼き付けた。次に、形成した透明電極、黒色電極、誘電体層を一様に被覆するように電子ビーム蒸着機を用いて、厚みは0.5μmのMgO膜を形成して前面板を完成させた。
【0124】
次に、前面板および背面板用ガラス基板にシール剤となる低融点ガラスペーストを設け、所定の配置になるよう位置合わせして対向配置し、450℃、30分間処理してガラス基板を封止した。その後、表示領域内内部の排気およびHe99%、Xe1%の混合ガスの封入を行ってプラズマディスプレイパネルを完成させた。このパネルに電圧を印加して表示を行った。
【0125】
作製したPDPの評価結果を表1に示す。隔壁の蛇行による蛍光体の混色、残膜による放電不良および隔壁頂部の凹凸によるクロストーク等の欠点はなく、表示は良好であった。輝度は180cd/m2であった。
【0126】
実施例2
図6に示す2山分布の低融点ガラス粉末(3)を用いた以外は、実施例1と同様にして、PDPを作製した。隔壁用感光性ペーストの全光線透過率は59%であった。
ガラス粉末(3):
D10;0.9、平均粒子径;2.7、D90;7.8、最大粒子径;22.0μm、
組成、Tg、Ts、熱膨張係数、屈折率はガラス粉末(1)と同様である。
【0127】
作製したPDPの評価結果を表1に示す。隔壁の蛇行による蛍光体の混色、残膜による放電不良および隔壁頂部の凹凸によるクロストーク等の欠点はなく、表示は良好であった。輝度は180cd/m2であった。
【0128】
実施例3
図7に示す2山分布の低融点ガラス粉末(4)を用いた以外は、実施例1と同様にして、PDPを作製した。隔壁用感光性ペーストの全光線透過率は62%であった。
ガラス粉末(4):
D10;1.3、平均粒子径;6.9、D90;12.2、最大粒子径;22.0μm、
組成、Tg、Ts、熱膨張係数、屈折率はガラス粉末(1)と同様である。
【0129】
作製したPDPの評価結果を表1に示す。隔壁の蛇行による蛍光体の混色、残膜による放電不良および隔壁頂部の凹凸によるクロストーク等の欠点はなく、表示は良好であった。輝度は180cd/m2であった。
【0130】
実施例4
図8に示す3山分布の低融点ガラス粉末(5)を用いた以外は、実施例1と同様にして、PDPを作製した。隔壁用感光性ペーストの全光線透過率は60%であった。
【0131】
ガラス粉末(5):
D10;1.0、平均粒子径;3.9、D90;12.2、最大粒子径;37.0μm、
組成、Tg、Ts、熱膨張係数、屈折率はガラス粉末(1)と同様である。
【0132】
作製したPDPの評価結果を表1に示す。隔壁の蛇行による蛍光体の混色、残膜による放電不良および隔壁頂部の凹凸によるクロストーク等の欠点はなく、表示は良好であった。輝度は180cd/m2であった。
【0133】
実施例5
無機微粉末として、以下に示す低融点ガラス粉末とフィラー粉末を混合したものを用いた。混合はクロスロータリーミキサーを用い、乾式混合で行った。
【0134】
<低融点ガラス粉末>
組成(分析値):酸化リチウム6.7%,酸化珪素22%,酸化硼素32%,酸化バリウム3.9%,酸化アルミニウム19%,酸化亜鉛2.2%,酸化マグネシウム5.5%,酸化カルシウム4.1%
ガラス転移点:497℃、軟化点:530℃、平均屈折率:1.58、D10 ;0.9μm、平均粒子径:2.2μm、D90;7.0μm、最大粒子径: 22μm、タップ密度:0.75g/cm3、形状:非球状。
【0135】
<フィラー:高融点ガラス粉末>
組成(分析値):酸化珪素38%,酸化硼素10%,酸化バリウム5.5%,酸化アルミニウム34.5%,酸化亜鉛2.2%,酸化マグネシウム4.8%,酸化カルシウム4.4%、酸化チタン0.6%
ガラス転移点:655℃、軟化点:770℃、平均屈折率:1.58、平均粒子径:2.2μm、最大粒子径:22μm、タップ密度:0.75g/cm3、形状:非球状
粒度分布は図9に示す通り2山分布であった。
【0136】
無機微粉末70重量部に感光性ポリマ(X−4007)15重量部、感光性モノマ(MGP400)15重量部、光重合開始剤(IC−369)4重量部、紫外線吸収剤(スダンIV)0.04重量部、重合禁止剤(HQME)0.1重量部および溶媒γ−ブチロラクトン30重量部を配合し、これらの成分を3本ローラーで混練して感光性ペーストを調製した。このようにして得られた感光性ペーストを用いて隔壁を形成した以外は実施例1と同様にPDPの作製を行った。得られた隔壁パターン形成性の良否、隔壁高さ、焼成収縮率(焼成後隔壁高さのばらつき)、隔壁頂部凹凸を表1に示す。いずれも良好な範囲であった。
【0137】
実施例6
無機微粉末中のフィラーとして以下に示す高融点ガラス粉末を用い、かつフィラーの添加量を30%にした以外は、実施例5と同様に隔壁作製、評価を行った。無機微粉末の平均屈折率は1.58であった。粒度分布は図10に示す通り2山分布であった。
【0138】
<フィラー:高融点ガラス粉末>
組成(分析値):酸化珪素38%,酸化硼素10%,酸化バリウム5.5%,酸化アルミニウム34.5%,酸化亜鉛2.2%,酸化マグネシウム4.8%,酸化カルシウム4.4%、酸化チタン0.6%
ガラス転移点:655℃、軟化点:770℃、平均屈折率:1.58、平均粒子径:2.4μm、最大粒子径:15μm、タップ密度:0.65g/cm3、形状:非球状。
【0139】
結果を表1に示す。パターン形成性、隔壁頂部凹凸、焼成収縮率ともに良好な範囲であった。
【0140】
実施例7
無機微粉末中のフィラーとして以下に示すコーディエライトを用いた以外は、実施例5と同様にして隔壁作製、評価を行った。無機微粉末の粒度分布は図11に示す通り2山分布であった。
【0141】
<フィラー:コーディエライト>
平均屈折率:1.54、平均粒子径:2.6μm、最大粒子径:24μm、タップ密度:1.0g/cm3、形状:球状。
【0142】
結果を表1に示す。パターン形成性、隔壁頂部凹凸、焼成収縮率ともに良好な範囲であった。
【0143】
実施例8
感光性ペーストの感光性有機成分を以下の組成とした以外は、実施例6と同様に隔壁作製、評価を行った。
【0144】
感光性ポリマ(X−4007)15重量部、感光性モノマ(MGP400)15重量部、光重合開始剤(IC−369)6重量部、紫外線吸収剤1(2−エチルヘキシル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート)1.5重量部、紫外線吸収剤2(ベーシックブルー)0.02重量部、ベンゾトリアゾール3重量部、重合禁止剤(HQME)4重量部および溶媒γ−ブチロラクトン30重量部を配合した。結果を表2に示す。パターン形成性、隔壁頂部凹凸、焼成収縮率ともに良好な範囲であった。
【0145】
比較例1
図12に示す1山分布の低融点ガラス粉末(6)を用いた以外は、実施例1と同様にして、PDPを作製した。隔壁用感光性ペーストの全光線透過率は41%であった。
ガラス粉末(6):
D10;0.9、平均粒子径;2.3、D90;4.3、最大粒子径;9.4μm、
組成、Tg、Ts、熱膨張係数、屈折率はガラス粉末(1)と同様である。
【0146】
作製したPDPの評価結果を表1に示す。隔壁の蛇行、残膜による放電不良から、輝度は150cd/m2に低下し、輝度ムラを生じた。
【0147】
比較例2
図13に示す1山分布の低融点ガラス粉末(7)を用いた以外は、実施例1と同様にして、PDPを作製した。隔壁用感光性ペーストの全光線透過率は46%であった。
ガラス粉末(7):
D10;1.2、平均粒子径;4.6、D90;9.1、最大粒子径;18.5μm、
組成、Tg、Ts、熱膨張係数、屈折率はガラス粉末(1)と同様である。
【0148】
作製したPDPの評価結果を表1に示す。隔壁の蛇行、残膜による放電不良から、輝度は140cd/m2に低下し、輝度ムラを生じた。
【0149】
比較例3
低融点ガラス粉末、フィラーとしてそれぞれ以下の粉末を用いた以外は、実施例5と同様に隔壁の作製、評価を行った。隔壁用感光性ペーストの全光線透過率は36%であった。作製したPDPの評価結果を表2に示す。パターン形成時に残膜およびパターンの太りが発生した。また、隔壁頂部の凹凸は12μmとなり、所望の隔壁が得られなかった。
【0150】
<低融点ガラス粉末>
組成(分析値):酸化ビスマス38%、酸化珪素7%、酸化硼素19%、酸化バリウム12%、酸化アルミニウム3%、酸化亜鉛21%。
【0151】
ガラス転移点:476℃、軟化点:525℃、平均屈折率 1.75、平均粒子径:3.5μm、最大粒子径11μm、タップ密度0.5g/cm3、形状 :非球状。
【0152】
<フィラー:高融点ガラス>
組成(分析値):酸化珪素38%,酸化硼素10%,酸化バリウム5.5%,酸化アルミニウム34.5%,酸化亜鉛2.2%,酸化マグネシウム4.8%,酸化カルシウム4.4%、酸化チタン0.6%
ガラス転移点:655℃、軟化点:770℃、平均屈折率:2.6、平均粒子径:3.6μm、最大粒子径:20μm、タップ密度:0.65g/cm3、形状:非球状。
【0153】
上記の低融点ガラス粉末80重量%、フィラー20重量%からなる無機微粉末の粒度分布は図14に示す通り1山分布であった。
【0154】
【表1】
【0155】
【表2】
【0156】
【発明の効果】
本発明によれば、感光性ペースト法によってPDPの隔壁を形成する際、残膜、蛇行の生じない、高アスペクト比且つ高精度のパターン加工が可能となり、輝度ムラのないPDPを高い歩留まりで製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のプラズマディスプレイパネルの断面形状を示す簡略図である。
【図2】本発明のガラス粉末の粒度分布の1例を示す粒度分布図である。
【図3】本発明のガラス粉末の粒度分布の1例を示す粒度分布図である。
【図4】本発明のガラス粉末の粒度分布の1例を示す粒度分布図である。
【図5】ガラス粉末(1)の粒度分布図である。
【図6】ガラス粉末(3)の粒度分布図である。
【図7】ガラス粉末(4)の粒度分布図である。
【図8】ガラス粉末(5)の粒度分布図である。
【図9】実施例5に用いた無機微粉末(混合粉末)の粒度分布図である。
【図10】実施例6に用いた無機微粉末(混合粉末)の粒度分布図である。
【図11】実施例7に用いた無機微粉末(混合粉末)の粒度分布を示す。
【図12】ガラス粉末(6)の粒度分布図である。
【図13】ガラス粉末(7)の粒度分布図である。
【図14】比較例3に用いた無機微粉末(混合粉末)の粒度分布図である。
【符号の説明】
1:前面ガラス基板
2:保護膜
3:透明電極
4:放電電極
5:隔壁
6:蛍光体
7:誘電体層
8:書き込み電極
9:背面ガラス基板
Claims (5)
- ガラス転移点400〜550℃、軟化点450〜600℃の感光性ペースト用の低融点ガラス微粉末であって、該低融点ガラス微粉末の粒度分布が少なくとも2つ以上のピークを有することを特徴とする低融点ガラス微粉末。
- 体積平均粒子径(D50)および最大粒子径が以下の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の低融点ガラス微粉末。
1.0μm≦体積平均粒子径(D50)≦7μm
最大粒子径≦40μm - タップ密度が0.6g/cm3以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の低融点ガラス微粉末。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の低融点ガラス微粉末と感光性有機成分を含むことを特徴とする感光性ペースト。
- プラズマディスプレイパネル、プラズマアドレス液晶ディスプレイパネルまたは電子放出素子の隔壁形成に用いることを特徴とする請求項4に記載の感光性ペースト。
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