JP4941043B2 - 着色組成物およびこれを用いた着色パターン欠陥修正方法 - Google Patents

着色組成物およびこれを用いた着色パターン欠陥修正方法 Download PDF

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Description

本発明は、基板上に形成された特定のパターンにおけるパターン欠陥を修正するために有効な着色組成物、およびこれを用いた着色パターン欠陥修正方法に関するものである。
例えば液晶表示素子用カラーフィルターなどのように、基板上にBk(黒)、R(赤)、G(緑)、B(青)の微小着色パターンを形成せしめる場合には、製造工程中、あるいは材料中に存在する微小な異物などに起因して、少なくともある程度の確率でパターン欠陥が生じる。特に、しかるべき箇所に色が付いていない、いわゆる色ヌケ(ピンホール)欠陥、あるいはパターン欠け欠陥は、液晶表示素子を組み立て、表示した場合に、たとえそれが数十ミクロンの小さい欠陥でもピンホールのように光り、目立つため、最も避けるべき欠陥である。最近では液晶表示素子の大画面化に伴うパターン面積の増大に伴い、パターン欠陥、ひいては色ヌケ欠陥、パターン欠け欠陥も出易くなってきており、そのような問題解決に対する重要度はますます増してきている。
欠陥部を生じても、歩留まりを向上させて生産性を損なわないために、特許文献1に示されるような部分的に欠陥部を修正する技術が確立されるようになった。
この欠陥部修正装置は、欠陥部をレーザーで焼きとばしたり、色ヌケ部に紫外線硬化樹脂からなる組成物を塗布して、紫外線で硬化させるものである。
組成物を塗布する手段としては、上記公報のようにディスペンサによって組成物を必要量垂らす方法、インクジェットによる方法、または特開特許文献2に提示されているような、先端が平面を形成している針状物の先端に組成物を付着させ、それを欠陥部に押しつける手段等がある。この中で針状物により直接組成物を塗布する方法が、より微小な色ヌケ欠陥に対応できるので好ましく用いられている。
ところが、修正用カラー組成物を塗布してカラーフィルターの欠陥部を修正する場合、色ヌケ部分のみならず、正常な色画素部分にまで修正用カラー組成物が乗りかかって重なり、重なり部分が突起になり正常部分との段差を生じる場合がある。段差が大きい場合には、カラーフィルターをTFT基板と貼り合わせ表示パネルを組んだ際に、突起がTFT基板にまで到達してしまうことがあり、表示不良の原因になりうる。最近ではカラーフィルター側基板とTFT側基板間の間隔、いわゆるセルギャップは4μm程度と小さくなり、許容される段差、すなわち突起高さは4μm以下と厳しい条件である。
なお、針状媒体を利用してカラーフィルターの欠陥部分を修正する方法に使用される組成物としては、例えば特許文献3、特許文献4、及び特許文献5などに記載されたものが挙げられる。しかしこれらの組成物を用いて着色パターンにおける欠陥部部を修正すると、組成物が糸を引いたり、修正部分へ転写した組成物のレベリングが悪く、突起が高くなってしまうという問題が生じたり、また修正部分への転写が悪く、未修正部分ができやすいという問題が生じるため、問題解決には組成物の更なる改善がもとめられている。
特開平6−109919号公報 特開平8−182949号公報 特開平11−142635号公報 特開2004−67777号公報 特開2005−292306号公報
本発明者らは、着色パターンの欠陥修正時に、修正された欠陥部分が不均一となり未修正部分が出来たり、修正部分の突起高さが高くなったりする問題を解決するべく、鋭意検討した結果、特定の性質を有する溶媒を複数種併用することにより、当該修正に適した着色組成物が得られることを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明の第一は、(A)バインダ樹脂および/またはモノマー、(B)着色剤、(C)沸点が200℃以上の溶媒、及び、(D)沸点が150℃以下の溶媒を含み、(C)沸点が200℃以上の溶媒の表面張力が(D)沸点が150℃以下の溶媒の表面張力よりも3.0以上大きく、且つ、固形分濃度が40重量%以上であることを特徴とする着色組成物に存する。
また本発明の第二は、上記着色組成物を使用する着色パターン欠陥修正方法であり、針状の塗布媒体に着色組成物を付着させる工程、針状の塗布媒体に付着した着色組成物をパターン欠陥部に転写させる工程、転写された着色組成物を加熱乾燥させる工程を含む、着色パターン欠陥修正方法に存する。
本発明の着色組成物を使用することにより、着色パターンにおける修正された欠陥部分がレベリングされ均一となり、未修正部分の発生が抑制され、また修正部分周辺に生じる突起高さが低くなる。結果、このように修正された着色パターンを有するカラーフィルターを用いて、液晶表示パネルを作成した場合にも、表示不良の欠陥発生が抑制され、高品位な液晶表示装置を提供することができる。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明するが、これらは本発明の実施態様の一例であり、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
尚、「(メタ)アクリル」、「(メタ)アクリレート」等は、「アクリル及び/又はメタクリル」、「アクリレート及び/又はメタクリレート」等を意味するものとし、例えば「(メタ)アクリル酸」は「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味するものとする。また「全固形分」とは、後記する溶媒成分以外の本発明の硬化性組成物の全成分を意味するものとする。
まず、本発明における着色組成物について、具体的に説明する。
本発明の着色組成物は、(A)バインダ樹脂および/またはモノマー、(B)着色剤、(C)沸点が200℃以上の溶媒、及び、(D)沸点が150℃以下の溶媒を含有する。[(A)バインダ樹脂および/またはモノマー]
本発明の着色組成物は、バインダ樹脂および/またはモノマーを含有する。バインダ樹脂とモノマーは、一方のみを使用してもよく、また併用してもよい。併用する場合、バインダ樹脂のモノマーに対するの割合(P/M比)は、その種類にもよるが、通常1/99〜90/10程度、好ましくは5/95〜50/50程度である。
本発明の着色組成物に使用されるバインダ樹脂および/またはモノマー(以下、これらを併せて「透明樹脂」と称する事がある。)としては、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上のバインダ樹脂およびその前駆体であるモノマーが用いられる。バインダ樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれ、その前駆体であるモノマーには、加熱や露光などにより硬化しうるモノマーもしくはオリゴマーが含まれ、これらを単独で、または2種以上混合して用いることができる。
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共
重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
これらの中で、本発明に使用する透明樹脂としては、現在、カラーフィルターの着色画素や、ブラックマトリクスの製造に広く使用されている、感光性樹脂が好ましい。
[(A−1)バインダ樹脂]
本発明における(A−1)バインダ樹脂としては、例えば、現在、例えばカラーフィルターの着色画素や、ブラックマトリクスの製造に広く使用されているバインダ樹脂から適宜選択して使用することができる。
具体的には、例えば特開平11−142635号公報、特開2004−67777号公報、特開2005−292306号公報、特開2006−79064号公報、特開2006−16545号公報などに記載された着色組成物中で使用されているバインダ樹脂などが使用できる。
中でも、以下に記載する(A−1−1)「エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させ、更に該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる密着性アップ樹脂」(以下、単に(A−1−1)樹脂と称する)が特に好ましい。
この(A−1−1)樹脂の中でも、特に好ましい樹脂の一つとして、「エポキシ基含有(メタ)アクリレート5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体10〜95モル%との共重合体に対し、該共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に不飽和一塩基酸を付加させ、更に該付加反応により生じた水酸基の10〜100モル%に多塩基酸無水物を付加させて得られるアルカリ可溶性樹脂」が挙げられる。
エポキシ基含有(メタ)アクリレートとしては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が例示できる。中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらのエポキシ基含有(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと共重合させる他のラジカル重合性単量体としては、下記一般式(1)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
Figure 0004941043
式(1)中、R1〜R6は各々独立して、水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基を示し、R7及びR8は各々独立して、水素原子、炭素数1〜3のアルキル基、又は連結して環を形成していてもよい。
式(1)において、R7とR8が連結して形成される環は、脂肪族環であるのが好ましく、飽和又は不飽和の何れでもよく、又、炭素数が5〜6であるのが好ましい。
中でも、一般式(1)で表される構造としては、下記式(1a)、(1b)、又は(1c)で表される構造が好ましい。
バインダ樹脂にこれらの構造を導入することによって、本発明の硬化性組成物をカラーフィルターや液晶表示素子に使用する場合に、該硬化性組成物の耐熱性を向上させたり、該硬化性組成物を用いて形成された画素の強度を増すことが可能である。
尚、一般式(1)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
Figure 0004941043
前記一般式(1)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートとしては、当該構造を有する限り公知の各種のものが使用できるが、特に下記一般式(2)で表されるものが好ましい。
Figure 0004941043
式(2)中、R9は水素原子又はメチル基を示し、R10は前記一般式(1)の構造を示
す。
前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体において、前記一般式(1) で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位は、「他のラジカル重合性単量体」に由来する繰返し単位中、5〜90モル%含有するものが好ましく、10〜70モル%含有するものが更に好ましく、15〜50モル%含有するものが特に好ましい。
尚、前記一般式(1)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレート以外の、「他のラジカル重合性単量体」としては、特に限定されるものではない。具体的には、例えば、スチレン、スチレンのα−、o−、m−、p−アルキル、ニトロ、シアノ、アミド、エステル誘導体等のビニル芳香族類;ブタジエン、2,3−ジメチルブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン類;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸−n−プロピル、(メタ)アクリル酸−iso−プロピル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸−sec−ブチル、(メタ)アクリル酸−tert−ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸ネオペンチル、(メタ)アクリル酸イソアミル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸ドデシル、(メタ)アクリル酸シクロペンチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシル、(メタ)アクリル酸−2−メチルシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸ジシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸イソボロニル、(メタ)アクリル酸アダマンチル、(メタ)アクリル酸プロパギル、(メタ)アクリル酸フェニル、(メタ)アクリル酸ナフチル、(メタ)アクリル酸アントラセニル、(メタ)アクリル酸アントラニノニル、(メタ)アクリル酸ピペロニル、(メタ)アクリル酸サリチル、(メタ)アクリル酸フリル、(メタ)アクリル酸フルフリル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロフリル、(メタ)アクリル酸ピラニル、(メタ)アクリル酸ベンジル、(メタ)アクリル酸フェネチル、(メタ)アクリル酸クレジル、(メタ)アクリル酸−1,1,1−トリフルオロエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオルエチル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−n−プロピル、(メタ)アクリル酸パーフルオロ−iso−プロピル、(メタ)アクリル酸トリフェニルメチル、(メタ)アクリル酸クミル、(メタ)アクリル酸3−(N,N−ジメチルアミノ)プロピル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシエチル、(メタ)アクリル酸−2−ヒドロキシプロピル等の(メタ)アクリル酸エステル類;(メタ)アクリル酸アミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジメチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジエチルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジプロピルアミド、(メタ)アクリル酸N,N−ジ−iso−プロピルアミド、(メタ)アクリル酸アントラセニルアミド等の(メタ)アクリル酸アミド;(メタ)アクリル酸アニリド、(メタ)アクリロイルニトリル、アクロレイン、塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル、フッ化ビニリデン、N−ビニルピロリドン、ビニルピリジン、酢酸ビニル等のビニル化合物類;シトラコン酸ジエチル、マレイン酸ジエチル、フマル酸ジエチル、イタコン酸ジエチル等の不飽和ジカルボン酸ジエステル類;N−フェニルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド等のモノマレイミド類;N−(メタ)アクリロイルフタルイミド等が挙げられる。
これら「他のラジカル重合性単量体」の中で、硬化性組成物に優れた耐熱性及び強度を付与させるためには、スチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、及びモノマレイミドから選択された少なくとも一種を使用することが有効である。特に「他のラジカル重合性単量体」に由来する繰返し単位中、これらスチレン、ベンジル(メタ)アクリレート、及びモノマレイミドから選択された少なくとも一種に由来する繰返し単位の含有割合が、1〜70モル%であるものが好ましく、3〜50モル%であるものが更に好ましい。
尚、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、前記他のラジカル重合性単量体との共重合反応には、公知の溶液重合法が適用される。使用する溶媒はラジカル重合に不活性なものであれば特に限定されるものではなく、通常用いられている有機溶媒を使用することができる。
その溶媒の具体例としては、酢酸エチル、酢酸イソプロピル、セロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート等のエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート、ブチルカルビトールアセテート等のジエチレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;プロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類;ジプロピレングリコールモノアルキルエーテルアセテート類等の酢酸エステル類;エチレングリコールジアルキルエーテル類;メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール等のジエチレングリコールジアルキルエーテル類;トリエチレングリコールジアルキルエーテル類;プロピレングリコールジアルキルエーテル類;ジプロピレングリコールジアルキルエーテル類;1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル類;アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、キシレン、オクタン、デカン等の炭化水素類;石油エーテル、石油ナフサ、水添石油ナフサ、ソルベントナフサ等の石油系溶媒;乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸ブチル等の乳酸エステル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン等が挙げられる。これらの溶媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの溶媒の使用量は得られる共重合体100重量部に対し、通常30〜1000重量部、好ましくは50〜800重量部である。溶媒の使用量がこの範囲外では共重合体の分子量の制御が困難となる。
又、共重合反応に使用されるラジカル重合開始剤は、ラジカル重合を開始できるものであれば特に限定されるものではなく、通常用いられている有機過酸化物触媒やアゾ化合物触媒を使用することができる。その有機過酸化物触媒としては、公知のケトンパーオキサイド、パーオキシケタール、ハイドロパーオキサイド、ジアリルパーオキサイド、ジアシルパーオキサイド、パーオキシエステル、パーオキシジカーボネートに分類されるものが挙げられる。その具体例としては、ベンゾイルパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジイソプロピルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルパーオキシベンゾエート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ヘキシルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシル−3、3−イソプロピルヒドロパーオキサイド、t−ブチルヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、ジクミルヒドロパーオキサイド、アセチルパーオキサイド、ビス(4−t−ブチルシクロヘキシル)パーオキシジカーボネート、ジイソプロピルパーオキシジカーボネート、イソブチルパーオキサイド、3,3,5−トリメチルヘキサノイルパーオキサイド、ラウリルパーオキサイド、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)3,3,5−トリメチルシクロヘキサン等が挙げられる。又、アゾ化合物触媒としては、アゾビスイソブチロニトリル、アゾビスカルボンアミド等が挙げられる。これらの中から、重合温度に応じて、適当な半減期のラジカル重合開始剤が1種又は2種以上使用される。ラジカル重合開始剤の使用量は、共重合反応に使用される単量体の合計100重量部に対して、0.5〜20重量部、好ましくは1〜10重量部である。
共重合反応は、共重合反応に使用される単量体及びラジカル重合開始剤を溶媒に溶解し、攪拌しながら昇温して行ってもよいし、ラジカル重合開始剤を添加した単量体を、昇温、攪拌した溶媒中に滴下して行ってもよい。又、溶媒中にラジカル重合開始剤を添加し昇温した中に単量体を滴下してもよい。反応条件は目標とする分子量に応じて自由に変えることができる。
本発明において、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと前記他のラジカル重合性単量体との共重合体としては、エポキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体に由来する繰返し単位10〜95モル%と、からなるものが好ましく、前者20〜80モル%と、後者80〜20モル%とからなるものが更に好ましく、前者30〜70モル%と、後者70〜30モル%とからなるものが特に好ましい。
エポキシ基含有(メタ)アクリレートが少なすぎると、後述する重合性成分及び密着性向上成分の付加量が不十分となるおそれがあり、一方、エポキシ基含有(メタ)アクリレートが多すぎて、他のラジカル重合性単量体が少なすぎると、耐熱性や強度が不十分となる可能性がある。
続いて、エポキシ樹脂含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共
重合体のエポキシ基部分に、不飽和一塩基酸(重合性成分)と、多塩基酸無水物(密着性向上成分)とを反応させる。
エポキシ基に付加させる不飽和一塩基酸としては、公知のものを使用することができ、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和カルボン酸が挙げられる。
具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、α−位がハロアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基などで置換された(メタ)アクリル酸等のモノカルボン酸等が挙げられる。中でも好ましくは(メタ)アクリル酸である。これらの1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このような成分を付加させることにより、本発明で用いるバインダ樹脂に重合性を付与することができる。
これらの不飽和一塩基酸は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは30〜100モル%、より好ましくは50〜100モル%に付加させる。不飽和一塩基酸の付加割合が少なすぎると、硬化性組成物の経時安定性等に関して、残存エポキシ基による悪影響が懸念される。尚、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
更に、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させたときに生じる水酸基に付加させる多塩基酸無水物としては、公知のものが使用できる。
例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の三塩基以上の酸の無水物が挙げられる。中でも、テトラヒドロ無水フタル酸、及び/又は無水コハク酸が好ましい。これらの多塩基酸無水物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このような成分を付加させることにより、本発明で用いるバインダ樹脂に被修正部分への高い密着性を付与することができる。
これらの多塩基酸無水物は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基に、不飽和一塩基酸を付加させることにより生じる水酸基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは20〜90モル%、より好ましくは30〜80モル%に付加させる。この付加割合が多すぎると、耐アリカリ性が低下するおそれがあり、少なすぎると被修正部分への密着性(以下、単に密着性と称する事がある)が不十分となる可能性がある。尚、当該水酸基に多塩基酸無水物を付加させる方法としては、公知の方法を採用することができる。
更に、光感度を向上させるために、前述の多塩基酸無水物を付加させた後、生成したカルボキシル基の一部にグリシジル(メタ)アクリレートや重合性不飽和基を有するグリシジルエーテル化合物を付加させてもよい。
また、密着性を調整する為に、生成したカルボキシル基の一部に、重合性不飽和基を有さないグリシジルエーテル化合物を付加させてもよい。
又、この両方を付加させてもよい。
重合性不飽和基を有さないグリシジルエーテル化合物の具体例としては、フェニル基やアルキル基を有するグリシジルエーテル化合物等が挙げられる。市販品として、例えば、ナガセ化成工業社製の商品名「デナコールEX−111」、「デナコールEX−121」、「デナコールEX−141」、「デナコールEX−145」、「デナコールEX−146」、「デナコールEX−171」、「デナコールEX−192」等がある。
上述のバインダ樹脂の、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、2000〜100000が好ましく、5000〜50000が特に好ましい。
分子量が上記範囲における下限値未満であると、耐熱性や膜強度に劣る可能性があり、上限値を超えると組成物を、後述する針状媒体(リペア針と称することがある)に付着した時に糸を引きやすくなる。又、分子量分布の目安として、重量平均分子量(Mw)/数平均分子量(Mn)の比は、2.0〜5.0が好ましい。
なお、本発明の着色組成物に使用されるバインダ樹脂として、修復部分との密着性、馴染み易さの観点からは、修復しようとする着色パターンの形成時に使用された組成物中に含まれるバインダ樹脂を使用することも好ましい。
本発明の着色組成物中に含まれるバインダ樹脂の量は、全固形分中、通常0〜90重量%、好ましくは5〜50重量%である。
[(A−2)モノマー]
本発明の着色組成物に使用されるモノマーとしては、単独で、または前述したバインダ樹脂とともに成膜性や、被塗工面に対する密着性を付与するためのバインダ成分を構成し、特に硬化反応性を付与する作用をする。また、このモノマーは、溶媒の一部と置き換えられる成分であり、溶媒の使用量を減らせる効果を付与すると共に、インキの粘度等の物性を調整するための成分でもある。
従って、本発明の着色組成物に使用できるモノマーは、反応性官能基を有し、重合反応の構成単位となり得る化合物であり、例えば、2以上のモノマーが重合したオリゴマーであっても反応性官能基を有し、常温で流動性があるものであれば、本発明において、モノマーとして用いることができる。
このような反応性官能基を有するモノマーは、単独で又は2種以上混合して用いることができる。
反応性官能基を有するモノマーとして、反応性官能基を1分子内に2以上有する多官能の反応性モノマーを用いる場合には、高い架橋密度が得られ、十分な硬化性を示すので好ましい。
反応性官能基の反応形式は硬化反応であれば特に限定されず、例えば、反応エネルギーの点では光反応又は熱反応のいずれに属するものであってもよいし、活性種の点ではラジカル重合、カチオン重合、アニオン重合、光二量化反応等のいずれに属するものであってもよい。具体的には、例えば、モノマーが反応性官能基としてエチレン性不飽和結合を有する場合には光ラジカル重合及び熱ラジカル重合が可能であり、モノマーが反応性官能基としてエポキシ基を有する場合には熱硬化及び光カチオン重合が可能である。
光反応性のモノマーとしては、エチレン性不飽和結合を有するモノマーが好ましく用いられる。光ラジカル重合性基としてのエチレン性不飽和結合を有するモノマーは、光照射により直接、又は開始剤の作用を受けて間接的に重合反応を生じるものであり、微小着色パターン欠陥部に修正用インキを塗布した後、光照射により短時間にインキを定着させるのに好ましく用いられる。
エチレン性不飽和結合を有するモノマーとして具体的には、次のような多官能アクリレート系のモノマー、すなわち、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジアリルフタレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートプロピレンオキサイド付加物、エチレングリコール(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、グリセリンジ(メタ)アクリレート、グリセリントリ(メタ)アクリレート、グリセリンテトラ(メタ)アクリレート、テトラトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、などを例示することができるが、中でも、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートが、高い架橋密度が得られ、十分な硬化性を示すので好ましい。
光カチオン重合反応性モノマーとしては、例えば、エポキシ基、オキセタニル基等の環状エーテル基、チオエーテル基、ビニルエーテル基等を有するモノマーが挙げられる。
光アニオン重合性モノマーとしては、例えば、電子吸引性基をもつビニル基、環状ウレタン基、環状尿素類、環状シロキサン基等を有するモノマーが挙げられる。
熱反応性の系としては、例えば、エポキシ基と活性水素、環状尿素基と水酸基等の開環付加反応系等を用いることができる。特に好ましくは、経時安定性の点からグリシジル基、脂環式エポキシ基、オキセタニル基を有するモノマー(オリゴマーも含む)と多価カルボン酸無水物又は多価カルボン酸の組み合わせを例示することができる。また、硬化性の点からは、グリシジル基、脂環式エポキシ基、オキセタニル基を有するモノマーと特許第2682256号公報、同第2850897号公報、同第2894317号公報、および特開2001−350010号公報に開示されているようなブロックカルボン酸の組み合わせを使用するのが特に好ましい。
また、グリシジル基、脂環式エポキシ基、オキセタニル基を有するモノマーとしては、常温で液状のノボラック系エポキシ、脂環式エポキシ、カルドエポキシ等を例示でき、例えば具体的には、商品名BPEFG(ナガセケムテックス製)、セロキサイド2021P、3000、2000、スチレンオキサイド、エポリードGT300、GT400(以上、ダイセル化学工業製)、エピコート901、801P、802、802XA、806、806L、807、815、819、825、827、828、815XA、828EL、828XA、152、604、630(以上、油化シェルエポキシ製)等を例示することができる。中でも、脂環式エポキシであるエポリードGT400が、粘度、反応性の点から、好ましい。
エポキシ基を有するモノマーと組み合わせて用いる多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸などの脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイトなどのエステル基含有酸無水物を挙げることができ、特に好ましくは、芳香族多価カルボン酸無水物を挙げることができる。また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。
また、エポキシ基を有するモノマーと組み合わせて用いる多価カルボン酸の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸などの脂肪族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボ
ン酸などの脂肪族多価カルボン酸、およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸を挙げることができ、好ましくは芳香族多価カルボン酸を挙げることができる。
これら多価カルボン酸無水物および多価カルボン酸は、1種単独でも2種以上の混合でも用いることができる。硬化剤の配合量は、エポキシ基を有するモノマー100重量部当たり、通常は50〜200重量部の範囲とする。
また、光反応及び熱反応性モノマーとしては、エチレン性不飽和結合とエポキシ基を有するモノマーが挙げられ、具体的には、アクリル酸グリシジル、メタクリル酸グリシジル、α−エチルアクリル酸グリシジル、α−n−プロピルアクリル酸グリシジル、α−n−ブチルアクリル酸グリシジル、アクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−3,4−エポキシブチル、メタクリル酸−4,5−エポキシペンチル、アクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、メタクリル酸−6,7−エポキシヘプチル、α−エチルアクリル酸−6,7−エポキシヘプチルなどの(メタ)アクリレート類;o−ビニルフェニルグリシジルエーテル、m−ビニルフェニルグリシジルエーテル、p−ビニルフェニルグリシジルエーテル、o−ビニルベンジルグリシジルエーテル、m−ビニルベンジルグリシジルエーテル、p−ビニルベンジルグリシジルエーテルなどのビニルグリシジルエーテル類;2,3−ジグリシジルオキシスチレン、3,4−ジグリシジルオキシスチレン、2,4−ジグリシジルオキシスチレン、3,5−ジグリシジルオキシスチレン、2,6−ジグリシジルオキシスチレン、5−ビニルピロガロールトリグリシジルエーテル、4−ビニルピロガロールトリグリシジルエーテル、ビニルフロログリシノールトリグリシジルエーテル、2,3−ジヒドロキシメチルスチレンジグリシジルエーテル、3,4−ジヒドロキシメチルスチレンジグリシジルエーテル、2,4−ジヒドロキシメチルスチレンジグリシジルエーテル、3,5−ジヒドロキシメチルスチレンジグリシジルエーテル、2,6−ジヒドロキシメチルスチレンジグリシジルエーテル、2,3,4−トリヒドロキシメチルスチレントリグリシジルエーテル、及び、1,3,5−トリヒドロキシメチルスチレントリグリシジルエーテル、脂環式エポキシ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
本発明の着色組成物における(A−2)モノマーの配合量は、全固形分中、通常0〜95重量%、好ましくは3〜90重量%である。
なお、前述した(A−1)バインダ樹脂と、この(A−2)モノマーを併用する場合、(A−2)モノマーは全固形分中、通常0〜90重量%程度であり、好ましくは3〜85重量%程度である。一方、(A−1)バインダ樹脂を含有しない場合は、(A−2)モノマーは全固形分中、通常20〜95重量%、好ましくは30〜90重量%程度である。
[(B)着色剤]
本発明の着色組成物に含まれる着色剤としては、特に制限はなく、一般の染料、顔料を用いることができる。ただし、染料は、一般的に耐光性、耐熱性、耐溶媒性などが顔料より劣っていることが多く、顔料の方がより好ましく用いられる。
着色剤の色としては、特に制限はないが、修正される着色パターンの色に応じて選ばれるのが好ましい。例えばカラーフィルターの着色パターンの場合は、普通R、G、Bの3色で構成される。従って本発明の修正用カラー組成物をカラーフィルターの着色パターン修正用に用いる場合には、それぞれ赤色顔料、緑色顔料、青色顔料単独で着色剤としてもよいし、あるいは実際のカラーフィルターの着色パターン形成用着色組成物に多く用いられているように、複数の顔料を混合して組み合わせることにより、色を合わせて着色剤としてもよい。複数の顔料を組み合わせる場合には、Rは赤色顔料と黄色顔料または橙色顔料の組み合わせ、Gは緑色顔料と黄色顔料または橙色顔料、Bは青色顔料と紫色顔料の組み合わせなどを好ましく用いることができる。
本発明に用いられる顔料については、特に制限はないものの、耐光性、耐熱性、耐薬品性に優れたものが好ましい。好ましく用いられる代表的な顔料の例を具体的にカラーインデックス(CI)ナンバーで示す。
黄色顔料の例としてはピグメントイエロー20、24、83、86、93、94、109、110、117、125、137、138、139、147、148、153、154、166、173などがあげられる。橙色顔料の例としてはピグメントオレンジ13、31、36、38、40、42、43、51、55、59、61、64、65などがあげられる。赤色顔料の例としてはピグメントレッド9、97、122、123、144、149、166、168、177、180、192、215、216、224などがあげられる。紫色顔料の例としてはピグメントバイオレット19、23、29、32、33、36、37、38などがあげられる。青色顔料の例としてはピグメントブルー15(15:3、15:4、15:6など)、21、22、60、64などがあげられる。緑色顔料の例としてはピグメントグリーン7、10、36、47などがあげられる。本発明ではこれらに限定されずに種々の顔料を使用することができる。なお、顔料は必要に応じて、ロジン処理、酸性処理、塩基性処理などの表面処理が施されているものを使用してもよい。
また、カラーフィルターのブラックマトリクス(BM)は、金属クロム、または2層クロム、3層クロムといったクロムを含む金属多層膜、あるいは樹脂と遮光剤よりなる、いわゆる樹脂ブラックマトリクスにより構成されていることが多い。従って本発明の着色組成物をカラーフィルターのブラックマトリクス修正用に用いる場合には、これに応じた黒色の遮光剤を着色剤として用いるのが好ましい。
本発明の着色組成物が黒色である場合、用いられる遮光剤の例としては一般的なものでよく、カーボンブラックや、酸化チタン、四酸化鉄などの金属酸化物粉や、金属硫化物粉や、金属粉の他に、赤、青、緑色の顔料混合物などを用いることができる。この中でも特にカーボンブラックは、遮光性に優れており好ましい。カーボンブラックにはチャネルブラック、ローラーブラック、ディスクブラック、ファーネストブラック、サーマルブラック、アセチレンブラックなどの種類があり、これらすべてを好ましく用いることができるが、特にチャネルブラック、ファーネストブラックが好ましい。
遮光剤として、カーボンブラックを使用して、本発明の黒色着色組成物を作製する場合、色調を対象とする修正個所に合わせるため、カーボンブラックの補色の顔料を混合して無彩色にすることも好ましく行われる。補色用の顔料としては、青色顔料、及び紫色顔料をそれぞれ単独、あるいは両者を混合して使用することができる。
本発明の着色組成物における(B)着色剤の含有量は、全固形分に対して、通常5〜70重量%程度、好ましくは10〜50重量%程度である。
着色剤の含有量は上記範囲を下回ると、組成物の着色力が低下し、修正部分において所定の色濃度を確保するには厚く付着させる必要があり、付着高さが高くなるおそれがある。逆に、上記範囲を上回ると成膜成分が少なくなり、リペア針や被修正部分への付着性や密着性、耐熱・耐溶剤性が低下する場合がある。
[(C)沸点が200℃以上の溶媒、および(D)沸点が150℃以下の溶媒]
本発明の着色組成物は、少なくとも(C)沸点が200度以上である高沸点溶媒と、(D)沸点が150度以下である低沸点溶媒とを含む。(C)高沸点溶媒と(D)低沸点溶媒との重量比(C)/(D)は、通常0.1/99.9〜99/1程度、好ましくは1/99〜49/51程度である。重量比が上記範囲を下回る場合も上回る場合も、少量の方の溶媒の影響が表れず、本発明の2溶媒の組み合わせによるレベリング効果が現われにくい。
着色パターン上の欠陥修正部分に付着した本発明の着色組成物は、その表面で低沸点溶
媒の揮発がおこり、組成物の表面は高沸点溶媒の多い組成となる。
ここで、本発明で使用される(C)高沸点溶媒は、(D)低沸点溶媒よりも表面張力が高く、その差が3.0以上、好ましくは4.0以上、より好ましくは
5.0以上である。
そのため、(C)高沸点溶媒を多く含む組成物表面の表面張力が大きくなり、表面張力の大きい液滴表面から、低い内部へと組成物の流動がおこるため、レベリングされ修正部分が均一となる。
(C)沸点が200度以上の高沸点溶媒として、具体的にはジエチレングリコールモノエチルエーテル(沸点:202℃,表面張力:31.3dyn/cm。以下()内は同様)、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートC(217℃,30.9)、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(247℃,29.7)、3,5,5−トリメチル−2−シクロヘキセンー1−オン(213℃,30.7)1.3−ブチレングリコール(208℃、36.1)トリアセチン(260℃,35.2)、トリプロピレングリコールメチルエーテル(242℃,30.0)、トリプロピレングリコールn−ブチルエーテル(274℃,29.7)、プロピレングリコールフェニルエーテルエーテル(243℃、38.1)、1,3−ブチレングリコールジアセテート(232℃,30.5)があげられる。
特に、沸点と表面張力とも高い1.3−ブチレングリコール(208℃、36.1)、トリアセチン(260℃,35.2)、プロピレングリコールフェニルエーテルエーテル(243℃、38.1)が好ましい。
(C)高沸点溶媒の沸点は200℃以上であるが、塗布部分表面からの揮発が起こりにくい点から、好ましくは230℃以上である。また(C)高沸点溶媒の沸点が高すぎると、加熱乾燥しても膜中に残留溶媒となって残り、液晶成分の影響を受けやすくなるという問題が生じるおそれがある為、(C)溶媒の沸点は、通常350℃以下、好ましくは300℃以下である。
また、(D)沸点が150℃以下の低沸点溶媒としては、メチルアセテート(56℃,23.9)、n−プロピルアセテート(102℃,23.8)、n−プロピルアルコール(97℃,23.3)、ブチルアセテート(126℃,24.3)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(121℃,27.7)、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)(146℃,26.7),エチレングリコールモノエチルエーテル(135℃,27.8)などがあげられる。
(D)低沸点溶媒の沸点は150℃以下であるが,高沸点溶媒と低沸点溶媒を混合した時に,室温で低沸点溶媒の揮発によると思われるレベリング効果が見られやすいという点から、好ましくは146℃以下である。また(D)低沸点溶媒の沸点が低すぎると、針媒体に付着させた時に乾燥しやすく、欠陥部分の修正がうまくいかなくなるおそれがある為、(D)溶媒の沸点は、通常55℃以上、好ましくは120℃以上である。
これら、(D)低沸点溶媒に求められる条件を勘案すると、上記の中でも特にプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(146℃,26.7)が好ましい。
表面張力差が3.0以上となる溶媒の、具体的な組み合わせを以下に示す。
Figure 0004941043
特に表面張力差が5.0以上である、NO.1、2および3の組み合わせが好ましい。
(C)高沸点溶媒と、(D)低沸点溶媒は、それぞれ単独で使用してもよいし、複数種併用してもよい。例えば、本発明の着色組成物中が、(C)高沸点溶媒および(D)低沸点溶媒のうち、少なくとも一方を複数種含む場合には、(C)高沸点溶媒のうち最も表面張力高い溶媒と、(D)低沸点溶媒のうち最も表面張力の低い溶媒との差は必ず3.0以上となるよう、組み合わせを選択する。
本発明の着色組成物における溶媒の含有量は、着色組成物の全量を基準として5〜60重量%であるが、より好ましくは10〜50重量%である。その内、(C)高沸点溶媒の量は、溶媒全量に対して通常0.1〜99重量%であるが、より好ましくは1〜49重量%である。
また、(D)低沸点溶媒の量は、溶媒全量に対して1〜99.9重量%であるが、蒸発して表面張力差が出易い点からは、51〜99重量がより好ましい。
なお本発明の着色組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の溶媒、つまり(C)高沸点溶媒および(C)低沸点溶媒の定義に当てはまらない溶媒を含有させることができる。このような溶媒の含有量は、溶媒全量に対し、通常0〜50重量%、好ましくは0〜10重量%程度である。
なお、本発明の着色組成物における固形分濃度は、通常40〜95重量%程度、好ましくは50〜90重量%程度である。
固形分濃度が上記範囲を下回ると、リペア針への付着量、欠陥部への転写量が少なく、未修正部分が残る可能性があり、逆に上回ると針への付着量、欠陥部への転写量が多くなり修正部の高さが高くなるという問題が生じるおそれがある。
[(E)光重合開始系]
本発明の着色組成物において、(A)バインダ樹脂および/またはモノマーとして感光性の化合物を使用した場合、(E)光重合開始系を含有することが好ましい。
(E)光重合開始系は、通常、光重合開始剤、及び必要に応じて添加される増感色素、重合加速剤等の付加剤との混合物として用いられ、光を直接吸収し、或いは光増感されて分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。
光重合開始系を構成する光重合開始剤としては、例えば、チタノセン誘導体類としては、ジシクロペンタジエニルチタニウムジクロライド、ジシクロペンタジエニルチタニウムビスフェニル、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1一イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムジ(2,6−ジフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムジ(2,4−ジフルオロフェニ−1−イル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,6−ジフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウム〔2,6−ジ−フルオロ−3−(ピロ−1−イル)−フェニ−1−イル〕等が挙げられる。
又、ビイミダゾール誘導体類としては、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダソール2量体、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ビス(3’−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(2’−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2’−メトキシフエニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、(4’−メトキシフエニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体等が挙げられる。
又、ハロメチル化オキサジアゾール誘導体類としては、2−トリクロロメチル−5−(2’−ベンゾフリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2’−ベンゾフリル)ビニル〕−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2’−(6''−ベンゾフリル)ビニル)〕−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5一フリル−1,3,4−オキサジアゾール等が挙げられる。
又、ハロメチル化トリアジン誘導体類としては、2−(4−メトキシフェニル)−4,
6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4
,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
又、α−アミノアルキルフェノン誘導体類としては、2−メチル−1〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、4−ジメチルアミノエチ
ルベンゾエ−ト、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエ−ト、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノ
ン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等が挙げられる。
又、オキシムエステル系誘導体類としては、1,2−オクタンジオン、1−〔4−(フェニルチオ)フェニル〕、2−(o−ベンゾイルオキシム)、エタノン、1−〔9−エチル−6−(2−メチルベンゾイル)−9H−カルバゾール−3−イル〕、1−(o−アセチルオキシム)等が挙げられる。
その他に、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン誘導体類;ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体類;2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4’−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p一ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体類;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体類;p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体類;9−フェニルアクリジン、9−(pメトキシフェニル)アクリジン等のアクリジン誘導体類;9,10−ジメチルベンズフェナジン等のフェナジン誘導体類;ベンズアンスロン等のアンスロン誘導体類等も挙げられる。
必要に応じて用いられる重合加速剤としては、例えば、N,N−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル等のN,N−ジアルキルアミノ安息香酸アルキルエステル類;2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール等の複素環を有するメルカプト化合物;又は脂肪族多官能メルカプト化合物等のメルカプト化合物類等が挙げられる。
これらの光重合開始剤及び重合加速剤は、それぞれ1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明の着色組成物において、これらの光重合開始系の含有割合は、全固形分中、通常1〜30重量%、好ましくは5〜10重量%である。この含有割合が著しく低いと光感度が低くなり十分な硬化膜が得られないという問題が生じる場合があり、反対に著しく高いと、成膜成分が少なくなり針への付着性、被修正部分への転写性が低下するという問題が生じるおそれがある。
なお、必要に応じて感応感度を高める目的で、増感色素が用いられる。増感色素は、画像露光光源の波長に応じて、適切なものが用いられるが、例えばキサンテン系色素、クマリン系色素、3−ケトクマリン系色素、ピロメテン系色素、ジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等を挙げることができる。
本発明の着色組成物における、これら増感色素の割合は、全固形分中、通常0.1〜10重量%、好ましくは1〜5重量%である。
[(F)分散剤]
本発明の着色組成物において、(B)着色剤として顔料を使用する場合には、(E)分散剤を使用することが好ましい。(F)分散剤としては、例えばカラーフィルターの着色画素や、ブラックマトリクスの製造に使用される分散剤から適宜選択して使用することができる。
(F)分散剤としては、高分子分散剤が好ましく、中でもブロック共重合体および/またはグラフト共重合体である高分子分散剤が好ましい。
特に好ましいものの一つに、(F−1):窒素原子を含有するグラフト共重合体、が挙げられる。以下、これについて詳述する。
[(F−1):窒素原子を含有するグラフト共重合体]
窒素原子を含有するグラフト共重合体は、(B)着色剤である顔料を極めて効率よく分散しうる点で好ましい。その理由は明らかではないが、顔料と分散剤との吸着の障害となる部分(分子)が、顔料への吸着部周辺に配置することを、積極的に排斥し得る構造を有しているためと推察される。窒素原子を含有するグラフト共重合体としては、主鎖に窒素原子を含有する繰り返し単位を有するものが好ましい。中でも、式(I)で表される繰り
返し単位または/及び式(II)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
Figure 0004941043

式中、R51は炭素数1〜5のアルキレン基を表し、Aは水素原子または下記式(III)
〜(V)のいずれかを表す。
式(I)中、R51は、メチレン、エチレン、プロピレン等の直鎖状または分岐状の炭素数1〜5のアルキレン基を表し、好ましくは炭素数2〜3であり、更に好ましくはエチレン基である。Aは水素原子または下記式(III)〜(V)のいずれかを表すが、好ましく
は式(III)である。
Figure 0004941043

式(II)中、R51、Aは、式(I)のR51、Aと同義である。
Figure 0004941043
式(III)中、W1は炭素数2〜10の直鎖状または分岐状のアルキレン基を表し、中でもブチレン、ペンチレン、ヘキシレン等の炭素数4〜7のアルキレン基が好ましい。pは1〜20の整数を表し、好ましくは5〜10の整数である。
Figure 0004941043

式(IV)中、Y1は2価の連結基を表し、中でもエチレン、プロピレン等の炭素数1〜
4のアルキレン基、又はエチレンオキシ、プロピレンオキシ等の炭素数1〜4のアルキレンオキシ基が好ましい。W2はエチレン、プロピレン、ブチレン等の直鎖状または分岐状
の炭素数2〜10のアルキレン基を表し、中でもエチレン、プロピレン等の炭素数2〜3のアルキレン基が好ましい。Y2は水素原子または−CO−R52(R52はエチル、プロピ
ル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等の炭素数1〜10のアルキル基を表し、中でもエチル、プロピル、ブチル、ペンチル等の炭素数2〜5のアルキル基が好ましい。)を表す。qは、1〜20の整数を表し、好ましくは5〜10の整数である。
Figure 0004941043

式(V)中、W3は炭素数1〜50のアルキル基または水酸基を1〜5有する炭素数1
〜50のヒドロキシアルキル基を表し、中でもステアリル等の炭素数10〜20のアルキル基、モノヒドロキシステアリル等の水酸基を1〜2個有する炭素数10〜20のヒドロキシアルキル基が好ましい。
本発明のグラフト共重合体における式(I)または(II)で表される繰り返し単位の含有率は、高い方が好ましく、通常50モル%以上であり、好ましくは70モル%以上である。式(I)で表される繰り返し単位と、式(II)で表される繰り返し単位の、両方を併有してもよく、その含有比率に特に制限は無いが、式(I)の繰り返し単位を多く含有していた方が好ましい。式(I)または式(II)で表される繰り返し単位の合計数は、1分子中に通常1〜100、好ましくは10〜70、更に好ましくは20〜50である。
また、式(I)及び式(II)以外の繰り返し単位を含んでいてもよく、他の繰り返し単位としては、例えばアルキレン基、アルキレンオキシ基などが例示できる。本発明のグラフト共重合体は、その末端が−NH2及び−R51−NH2(R51は、前記R51と同義)のものが好ましい。
尚、本発明のグラフト共重合体であれば、主鎖が直鎖状であっても分岐していてもよい。
本発明のグラフト共重合体のアミン価は、通常5〜100mgKOH/gであり、好ま
しくは10〜70mgKOH/gであり、更に好ましくは15〜40mgKOH/g以下である。アミン価が低すぎると分散安定性が低下し、粘度が不安定になることがあり、逆に高すぎると残渣が増加したり、液晶パネルを形成した後の電気特性が低下することがある。
上記分散剤のGPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、3000〜100000が好ましく、5000〜50000が特に好ましい。重量平均分子量が3000未満であると、顔料の凝集を防ぐことができず、高粘度化ないしはゲル化してしまうことがあり、100000を超えるとそれ自体が高粘度となり、また有機溶媒への溶解性が不足する場合がある。
上記分散剤の合成方法は、公知の方法が採用でき、例えば特公昭63−30057号公報に記載の方法を用いることができる。
本発明においては、上述のものと同様の構造を有する市販のグラフト共重合体を適用することもできる。
[(F−2):アクリル系ブロック共重合体]
本発明の着色組成物は、(F)分散剤として(F−2):アクリル系ブロック共重合体を含有していてもよい。(F−2)アクリル系ブロック共重合体は、顔料を極めて効率よく分散しうる点で好ましい。その理由は明らかではないが、分子配列が制御されていることにより、分散剤が顔料に吸着する際に障害となる構造が少ないためと推察される。
アクリル系ブロック共重合体としては、側鎖に4級アンモニウム塩基及び/又はアミノ基を有するAブロックと、4級アンモニウム塩基及び/又はアミノ基を有さないBブロックとからなる、A−Bブロック共重合体及び/又はB−A−Bブロック共重合体が好ましい。
アクリル系ブロック共重合体のブロック共重合体を構成するAブロックは、4級アンモニウム塩基及び/又はアミノ基を有する。
4級アンモニウム塩基は、好ましくは−N+313233・Z(但し、R31、R32
びR33は、各々独立に、水素原子、又は置換されていてもよい環状若しくは鎖状の炭化水素基を表す。或いは、R31、R32及びR33のうち2つ以上が互いに結合して、環状構造を形成していてもよい。Zは、対アニオンを表す。)で表わされる4級アンモニウム塩基を有する。この4級アンモニウム塩基は、直接主鎖に結合していてもよいが、2価の連結基を介して主鎖に結合していてもよい。
−N+313233・Zにおいて、R31、R32及びR33のうち2つ以上が互いに結合
して形成する環状構造としては、例えば5〜7員環の含窒素複素環単環又はこれらが2個縮合してなる縮合環が挙げられる。該含窒素複素環は芳香性を有さないものが好ましく、飽和環であればより好ましい。具体的には、例えば下記のものが挙げられる。
Figure 0004941043
上記式中、RはR31、R32、及びR33のうち何れかの基を表す。
これらの環状構造は、更に置換基を有していてもよい。
−N+313233におけるR31、R32、R33としては、それぞれ独立に、より好まし
いのは、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよいベンジル基である。
4級アンモニウム塩基を有するAブロックとしては、下記一般式(VI)で表わされる部分構造を含有するものが好ましい。
Figure 0004941043
上記一般式(VI)中、R31、R32、R33は各々独立に、水素原子、又は置換されていてもよい環状若しくは鎖状の炭化水素基を表す。或いは、R31、R32、及びR33のうち2つ以上が互いに結合して、環状構造を形成していてもよい。R34は、水素原子又はメチル基を表す。X1は、2価の連結基を表し、Zは、対アニオンを表す。
一般式(VI)において、R31、R32、R33の炭化水素基は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20の芳香族基を有する置換基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ベンジル基、フェニル基等を挙げることができる。中でもメチル基、エチル基、プロピル基、ベンジル基が好ましい。
一般式(VI)において、2価の連結基X1としては、例えば、炭素数1〜10のアルキ
レン基、アリーレン基、−CONH−R35−、−COO−R36−(但し、R35及びR36は、それぞれ独立に、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、又は炭素数1〜10のエーテル基(−R37−O−R38−:R37及びR38は、各々独立にアルキレン基)を表わす。)等が挙げられ、好ましくは−COO−R36−である。
また、対アニオンのZとしては、Cl、Br、I、ClO4 、BF4 、CH3COO、PF6 等が挙げられる。
Aブロックとしては、アミノ基を有するものが特に好ましい。アミノ基は、好ましくは−NR4142(但し、R41及びR42は、各々独立に、置換基を有していてもよい環状又は鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリル基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。)で表わされ、更に好ましくは、下記式で表されるアミノ基が挙げられる。
Figure 0004941043
但し、R41及びR42は、上記のR41及びR42と同義、R43は炭素数1以上のアルキレン基、R44は水素原子又はメチル基を表す。)
中でも、R41及びR42はメチル基が好ましく、R43はメチレン基、エチレン基が好ましく、R44は水素原子であるのが好ましい。このような化合物として下記式で表される置換基が挙げられる。
Figure 0004941043
上記の如き特定の4級アンモニウム塩基及び/又はアミノ基を含有する部分構造は、1つのAブロック中に2種以上含有されていてもよい。その場合、2種以上の4級アンモニウム塩基及び/又はアミノ基含有部分構造は、該Aブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。また、該4級アンモニウム塩基及び/又はアミノ基を含有しない部分構造が、Aブロック中に含まれていてもよく、該部分構造の例としては、後述の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造等が挙げられる。かかる4級アンモニウム塩基及び/又はアミノ基を含まない部分構造の、Aブロック中の含有量は、好ましくは0〜50重量%、より好ましくは0〜20重量%であ
るが、かかる4級アンモニウム塩基及び/又はアミノ基非含有部分構造はAブロック中に含まれないことが最も好ましい。
一方、分散剤のブロック共重合体を構成するBブロックとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチルアクリル酸グリシジルなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリル酸クロライドなどの(メタ)アクリル酸塩系モノマー;酢酸ビニル系モノマー;アリルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテルなどのグリシジルエーテル系モノマーなどのコモノマーを共重合させたポリマー構造が挙げられる。
Bブロックは、特に下記一般式(VII)で表される、(メタ)アクリル酸エステル系モ
ノマー由来の部分構造であることが好ましい。
Figure 0004941043
(一般式(VII)中、R39は、水素原子又はメチル基を表す。R40は、置換基を有してい
てもよい環状又は鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリル基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。)
上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造は、1つのBブロック中に2種以上含有されていてもよい。もちろん該Bブロックは、更にこれら以外の部分構造を含有していてもよい。2種以上のモノマー由来の部分構造が、4級アンモニウム塩基を含有しないBブロック中に存在する場合、各部分構造は該Bブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。Bブロック中に上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造以外の部分構成を含有する場合、当該(メタ)アクリル酸エステル系モノマー以外の部分構造の、Bブロック中の含有量は、好ましくは0〜99重量%、より好ましくは0〜85重量%である。
本発明で用いるアクリル系分散剤は、このようなAブロックとBブロックとからなる、A−Bブロック又はB−A−Bブロック共重合型高分子化合物であるが、このようなブロック共重合体は、例えば特開2002−31713号公報などに記載されたリビング重合法にて調製される。
本発明に係るA−Bブロック共重合体およびB−A−Bブロック共重合体の、1g中のアミン価は、通常1〜300mgKOH/g程度であるが、その好ましい範囲は、Aブロックが4級アンモニウム塩基を有する場合と有さない場合とで異なる。
本発明に係るA−Bブロック共重合体およびB−A−Bブロック共重合体の、Aブロックが4級アンモニウム塩基を有する場合、該共重合体1g中の4級アンモニウム塩基の量
は、0.1〜10mmolであることが好ましい。この範囲外では、良好な耐熱性と分散性を兼備することができない場合がある。このようなブロック共重合体中には、製造過程で生じたアミノ基が含有される場合があり、そのアミン価は、通常、共重合体1gあたり1〜100mgKOH/g程度、好ましくは1〜50mgKOH/g、より好ましくは1〜30mgKOH/gである。
また、Aブロックに4級アンモニウム塩基を含まない場合、該共重合体のアミン価は、通常、1gあたり50〜300mgKOH/g程度、好ましくは50〜200mgKOH/gである。なおアミン価は、アミノ基を酸により中和滴定し、酸価に対応させてKOHのmg数で表した値である。
また、このブロック共重合体の酸価は、該酸価の元となる酸性基の有無及び種類にもよるが、一般に低い方が好ましく、通常100mgKOH/g以下であり、その分子量は、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)で通常1000以上、100,000以下の範囲である。ブロック共重合体の分子量が小さすぎると分散安定性が低下し、大きすぎるとリペア針への付着時に糸引きが生じたり、欠陥修正部の高さが高くなる。
本発明においては、上述のものと同様の構造を有する市販のアクリル系ブロック共重合体を適用することもできる。
[(F−3):ウレタン樹脂分散剤]
また、本発明の着色組成物は、(F)分散剤として、(F−3)ウレタン樹脂分散剤を含有していてもよい。(F−3)ウレタン樹脂分散剤としては、ポリイソシアネート化合物と、同一分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物と、同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物とを反応させることによって得られるウレタン樹脂が特に好ましい。
上記ポリイソシアネート化合物の例としては、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート;ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート;イソホロンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ω,ω′−ジイソシネートジメチルシクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート;キシリレンジイソシアネート、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート;リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニルメタン)、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等のトリイソシアネート;及び、これらの3量体、水付加物、並びにこれらのポリオール付加物等が挙げられる。ポリイソシアネートとして好ましいのは有機ジイソシアネートの三量体で、最も好ましいのはトリレンジイソシアネートの三量体とイソホロンジイソシアネートの三量体であり、これらを単独で用いても、複数種併用してもよい。
イソシアネートの三量体の製造方法としては、前記ポリイソシアネート類を適当な三量化触媒、例えば第3級アミン類、ホスフィン類、アルコキシド類、金属酸化物、カルボン酸塩類等を用いてイソシアネート基の部分的な三量化を行い、触媒毒の添加により三量化を停止させた後、未反応のポリイソシアネートを溶剤抽出、薄膜蒸留により除去して目的のイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを得る方法が挙げられる。
上記同一分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物としては、ポリエーテルグリコール、ポリエステルグリコール、ポリカーボネートグリコール、ポリオレフィングリコール等、又はこれらの化合物の片末端水酸基が炭素数1〜25のアルキル基でアルコキシ化さ

れたもの、若しくはこれら2種類以上の混合物が挙げられる。
ポリエーテルグリコールとしては、ポリエーテルジオール、ポリエーテルエステルジオール、又はこれら2種類以上の混合物が挙げられる。ポリエーテルジオールとしては、アルキレンオキシドを単独又は共重合させて得られるもの、例えば、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−プロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシヘキサメチレングリコール、ポリオキシオクタメチレングリコール、又はそれらの2種以上の混合物が挙げられる。ポリエーテルエステルジオールとしては、エーテル基含有ジオール若しくは他のグリコールとの混合物をジカルボン酸又はそれらの無水物と反応させるか、ポリエステルグリコールにアルキレンオキシドを反応させることによって得られるもの、例えば、ポリ(ポリオキシテトラメチレン)アジペート等が挙げられる。ポリエーテルグリコールとして最も好ましいのは、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、又はこれらの化合物の片末端水酸基が炭素数1〜25のアルキル基でアルコキシ化された化合物である。
ポリエステルグリコールとしては、例えば、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸等のジカルボン酸類又はそれらの無水物と、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジーオル、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,8−オクタメチレングリコール、2−メチル−1,8−オクタメチレングリコール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族グリコール;ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン等の脂環族グリコール;キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール;N−メチルジエタノールアミン等のN−アルキルジアルカノールアミン等のジオール類と、を重縮合させて得られたもの、例えば、ポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリエチレン/プロピレンアジペート等、又は前記ジオール類若しくは炭素数1〜25の1価アルコールを開始剤として用いて得られるポリラクトンジオールあるいはポリラクトンモノオール、例えば、ポリカプロラクトングリコール、ポリメチルバレロラクトン、又はこれらの2種以上の混合物が挙げられる。ポリエステルグリコールとして最も好ましいのは、ポリカプロラクトングリコール又は炭素数1〜25のアルコールを開始剤としたポリカプロラクトン、より具体的には、モノオールにε−カプロラクトンを開環付加重合して得られる化合物である。
ポリカーボネートグリコールとしては、ポリ(1,6−ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)カーボネート等が挙げられる。
又、ポリオレフィングリコールとしては、ポリブタジエングリコール、水素添加型ポリブタジエングリコール、水素添加型ポリイソプレングリコール等が挙げられる。
これらの同一分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物のうち、特にポリエーテルグリコールとポリエステルグリコールが好ましい。尚、同一分子内に水酸基を1個又は2個
有する化合物の数平均分子量は、通常300〜10,000、好ましくは500〜6,000、更に好ましくは1,000〜4,000である。
上記同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物において、活性水素、即ち、酸素原子、窒素原子、又は硫黄原子に直接結合している水素原子としては、水酸基、アミノ基、チオール基等の官能基中の水素原子が挙げられ、中でもアミノ基、特に1級のアミノ基の水素原子が好ましい。又、3級アミノ基としては、例えば、メチル、エチル、イソプロピル、n−ブチル等の炭素数1〜4のアルキル基を有するジアルキルアミノ基や、該ジアルキルアミノ基が連結してヘテロ環構造を形成している基、より具体的には、イミダゾール環、又はトリアゾール環が挙げられるが、中でもジメチルアミノ基及びイミダゾール環が分散安定性に優れるため好ましい。
このような同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物を例示するならば、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジプロピル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジプロピルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジエチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジプロピル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジブチル−1,4−ブタンジアミン等か挙げられる。
又、3級アミノ基が窒素含有ヘテロ環であるものとして、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、インドール環、カルバゾール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチアジアゾール環等の窒素原子含有ヘテロ5員環;ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、アクリジン環、イソキノリン環等の窒素原子含有ヘテロ6員環が挙げられる。これらのイミダゾール環と1級アミノ基を有する化合物を具体的に例示するならば、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、ヒスチジン、2−アミノイミダゾール、1−(2−アミノエチル)イミダゾール等が挙げられる。又、トリアゾール環と1級アミノ基を有する化合物を具体的に例示するならば、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、5−(2−アミノ−5−クロロフェニル)−3−フェニル−1H−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−4H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジオール、3−アミノ−5−フェニル−1H−1,3,4−トリアゾール、5−アミノ−1,4−ジフェニル−1,2,3−トリアゾール、3−アミノ−1−ベンジル−1H−2,4−トリアゾール等が挙げられる。これらの中でも、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール等が好ましい。
これらのウレタン樹脂分散剤原料の好ましい使用比率は、ポリイソシアネート化合物100重量部に対し、同一分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物が、通常10〜200重量部、好ましくは20〜190重量部、更に好ましくは30〜180重量部、同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物が、通常0.2〜25重量部、好ましくは0.3〜24重量部である。
又、ウレタン樹脂分散剤の製造は、ウレタン樹脂製造の公知の方法に従って行われる。製造する際の溶媒としては、通常、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類;酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ等のエステル類;ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類;ダイアセトンアルコール、イソプロパノール、第二ブタノール、第三ブタノール等の一部のアルコール類;塩化メチレン、クロロホルム等のハロゲン化炭化水素類
;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類;ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキサイド等の非プロトン性極性溶媒等が用いられる。又、製造する際の触媒としては、通常のウレタン化反応触媒が用いられる。例えば、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジオクトエート、スタナスオクトエート等の錫系;鉄アセチルアセトナート、塩化第二鉄等の鉄系;トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン系等が挙げられる。
又、同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物の導入量は、反応後の分散樹脂のアミン価で1〜100mgKOH/gの範囲に制御するのが好ましく、より好ましくは5〜80mgKOH/gの範囲であり、更に好ましくは10〜60mgKOH/gの範囲である。アミン価が上記範囲以下であると分散能力が低下する傾向があり、又、上記範囲を超えると、金属製のリペア針へ吸着しやすくなり、針の洗浄時に汚れが落ちにくくなる。尚、以上の反応で分散樹脂にイソシアネート基が残存する場合には、更にアルコールやアミノ化合物でイソシアネート基を潰すと分散樹脂の経時安定性が高くなるので好ましい。
尚、これらウレタン樹脂分散剤のGPCで測定されるポリスチレン換算の重量平均分子量は、通常1,000〜200,000、好ましくは2,000〜100,000、より好ましくは3,000〜50,000の範囲である。分子量1,000以下では分散性及び分散安定性が劣り、200,000以上では溶媒への溶解性が低下し分散性が劣ると同時に反応の制御が困難となる。
[(F−4):その他の分散剤]
本発明の着色組成物に用いられる(F)分散剤としては、上記の各種分散剤以外に、その他の分散剤を含有していてもよい。
その他の分散剤としては、例えば、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンジエステル系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性ポリエステル系分散剤等を挙げることができる。
上述してきた分散剤の具体例としては、商品名で、EFKA(エフカーケミカルズビーブイ(EFKA)社製)、Disperbyk(ビックケミー社製)、ディスパロン(楠本化成社製)、SOLSPERSE(ゼネカ社製)、KP(信越化学工業社製)、ポリフロー(共栄社化学社製)、アジスパー(味の素社製)等を挙げることができる。これらの高分子分散剤は1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を併用してもよい。
本発明の硬化性組成物において、(F)分散剤の含有割合は、(B)着色剤である顔料に対して、通常5〜95重量%、好ましくは7〜65重量%、更に好ましくは10〜50重量%である。
分散剤の含有割合が少なすぎると、色材への吸着が不足し、凝集を防ぐことができず、高粘度化ないしゲル化してしまうことがあるため、分散安定性が悪化し、再凝集や増粘等の問題が発生する可能性がある。逆に多すぎると、相対的に顔料の割合が減るため、着色力が低くなり、色濃度に対して欠陥修正部分への組成物の付着量を多く(厚く)する必要があり、カラーフィルタに用いた場合、液晶セル化工程でのセルギャップ制御不良が出ることがある。
本発明の(F)分散剤として特に好ましいのは、顔料への吸着部の窒素原子がイオン性を持たないものである。つまり3級アミン、2級アミン、1級アミン、環状アミン、またはイミノ基等4級化していない窒素原子であることが好ましい。これは、おそらく分散剤の種類によらず、前記(F−1)、(F−2)、(F−3)のいずれの分散剤においても同様である。これによりリペア針に付着した着色組成物を洗浄する時の洗浄性が良好となる。
詳細な機構は不明だが、おそらく窒素原子に残存する共有電子対が、該機構に関与している可能性が考えられる。上述した各分散剤の構造は、一般に、anchor部分(顔料への吸着部)と、tail部分(分散性を司る部分)を有している。吸着部に、イオン性を持たない窒素原子を含有する分散剤の場合、該窒素原子が有する電子対に対して溶剤分子、または溶剤中の水分子が水素結合を作り、分散剤分子が有する複数のtail間に入り込む。このため、吸着部に4級アミン基等、その他の基を有する分散剤と較べて、tail間が大きく広がった構造になると考えられる。
したがってリペア針洗浄時に、洗浄溶媒に浸漬されるとすぐに溶剤になじむ。 顔料に吸着した分散剤のtail間の距離が開いている場合、そこに溶剤分子が入り込みやすくなる。例えば水が水素結合を作っている場合には、溶剤分子の一部が、水分子または窒素原子の電子対と結合を作る形で、より分散剤のtail間に入り込みやすくなり、洗浄溶媒に溶けやすくなる。
なお、本発明の硬化性組成物は、後述する該硬化性組成物調製時の分散処理工程において、上記(F)分散剤とともに、前述の(A)バインダ樹脂の一部を含有させることにより、共に分散剤としての役割を担わせてもよい。
[その他成分]
本発明の着色組成物は、前記各成分の外に、界面活性剤、分散助剤、有機カルボン酸又は/及び有機カルボン酸無水物、可塑剤、染料、熱重合防止剤、保存安定剤、表面保護剤、密着向上剤、現像改良剤等を含有していてもよい。
[着色組成物の調製]
本発明の着色組成物の調製には、溶媒と着色剤を混合してあらかじめ分散した顔料分散液に、樹脂溶液を混合する方法、あるいは、樹脂と溶媒と顔料とを混合して分散する方法などを用いることができる。これら製造方法の選択については、顔料の種類により、適宜適当なものを選ぶのが好ましい。
本発明の着色組成物において、(B)着色剤が顔料である場合、その分散方法は特に限定されず、ホモジナイザー、ボールミル、サンドグラインダー、3本ロール、高速度衝撃ミルなど、種々の方法をとりうる。
本発明において、着色組成物の粘度、及び固形分中の着色剤濃度は以下の様である。
着色組成物の粘度が低すぎると塗布後にスポットがにじんで広がってしまう。逆に粘度が高すぎると、塗布スポットの膜厚は大きくなり色は濃くなるものの、塗布スポット上面がなだらかでなくなり、糸を引いたように尖るため、突起高さが大きくなる。特にカラーフィルターの場合には、表示パネルのセルギャップは一般的には4μm程度であるために、突起高さが4μmより大きくなると、対向基板にまで突起が到達し、表示不良が生じる。従って、好ましい突起高さの範囲内としては4μm以内、より好ましくは3μm以内、さらに好ましくは2μm以内、さらにいうならば1μm以内が好ましい。なお、ここでいう突起高さとは、正常画素部上面と着色組成物にて修正後のスポットにおける最上部との高さの差のことをいう。突起高さを測定する手段としては、一般的な方法を用いることができ、例えば触針式膜厚計、レーザー顕微鏡、あるいは簡便な方法として、光学顕微鏡観察における焦点深度の差より概算する方法などがある。
着色組成物の粘度について本発明者らが鋭意検討した結果、好ましくは5〜700cPの範囲、より好ましくは10〜600cPの範囲、さらに好ましくは15〜500cPの範囲にあれば、なだらかな形状の塗布スポットになり、にじみも起こらず、突起高さも許容範囲内である。
この範囲を超えて、粘度が低いか高いかすれば、界面活性剤を添加しても効果が十分で
なく、突起高さが大きくなり、上記のような問題が生じる可能性がある。
本発明における着色組成物の粘度値としては、E型粘度計において測定した値が好ましい。E型粘度計で測定する際、組成物に構造粘性がある場合、測定回転数を速くすると顔料凝集構造がほぐれ、粘度の指示値が小さくなることがある。あるいは逆に、組成物によっては、測定中のローターの回転により顔料凝集が促進され、指示値が上昇しつづけたりすることがある。本発明では、このような混乱を避けるために、E型粘度計で2分間測定した時点の測定値を粘度値とする。測定回転数は、組成物の粘度、また測定装置によって最適回転数があるので、これに従うものとする。例えば、東機産業(株)製ELD型粘度計(RE115)の場合には、0.5rpmで1200〜120cP、1.0rpmで600〜60cP、2.5rpmで240〜24cP、5rpmで120〜12cP、10rpmで60〜6cPの粘度範囲を測定するのが推奨されており、この条件で粘度測定をするのが好ましい。同じ粘度であっても、測定可能な回転数は2つ以上有るが、いずれかの回転数で請求項記載の粘度範囲に含まれていれば、本発明における好ましい組成物と考えることができる。
粘度を測定するときは、測定温度により測定値が異なるので、測定温度は重要である。通常、粘度計には温度コントローラが取り付けられており、自由に温度を設定することができる。本発明では、実際に修正に用いる際の雰囲気温度と同一温度で測定することが好ましい。例えばカラーフィルターの場合などは、通常、23℃で温度管理されたクリーンルーム内で製造されるので、23℃での測定値を用いるのが特に好ましい。
粘度が好ましい範囲内であっても固形分中の着色剤濃度が低すぎれば、乾燥前の塗布スポットはなだらかな形状で上に凸になるものの、スポットの色が薄くなるため、色ヌケ欠陥の修正となり得ないことがある。あるいは逆に、固形分中の着色剤濃度が高すぎるときは、相対的に樹脂成分の含有量が少なくなるため、修正した後のスポットの耐薬品性が実用に適さなくなることがある。本発明者らが鋭意検討した結果、好ましい着色剤濃度としては、固形分中の5〜70wt%、より好ましくは10〜50wt%である。この範囲を超えて、着色剤濃度が低いか高いかすれば、上記のような諸問題が生じる可能性がある。
着色組成物の粘度、及び固形分中の着色剤濃度が好ましい範囲内であるなら良好な修正を行うことができるが、本発明者らが鋭意検討した結果、組成物中の固形分濃度が好ましくは40〜95wt%、より好ましくは50〜90wt%、さらに好ましくは55〜85wt%であるならば、さらに良好な修正を行うことができる着色組成物となりうる。
なんとなれば、固形分濃度が低すぎれば、乾燥前の塗布スポットはなだらかな形状で上に凸になるものの、乾燥後のスポットの膜厚が小さくなりやすく、従ってスポットの色が薄くなりやすく、あるいは逆に固形分濃度が高すぎれば、組成物保存安定性に問題が生じ、ゲル化したり、顔料凝集に起因して粘度上昇が生じたりしやすいからである。
なお、本発明でいうところの固形分濃度とは、溶媒以外の着色組成物の含有物、すなわち(A)バインダ樹脂および/またはモノマー、(B)着色剤、(E)光重合開始系、(F)分散剤などの正味の重量の組成物総重量に対する重量%のことである。また、固形分中の着色剤濃度は、組成物中に含まれる固形分の重量に対する着色剤の重量%で表す。これらの値は、組成物作製の際に調合比を計算して算出できる。
以上、本発明の着色組成物の粘度、着色剤濃度、固形分濃度について述べたが、以下では、本発明の着色組成物の代表的な用途である液晶ディスプレー用カラーフィルタの修正を例に使用方法の一例を説明する。
[着色パターン欠陥修正方法]
カラーフィルター製造プロセスの概略としては、一般的には、まず透明基板上にブラッ
クマトリクスを形成し、続いてR、G、B3色のストライプパターンを1色ずつ形成していく。さらに、必要があればRGBストライプ上に保護膜を形成させて、さらにその上部に透明導電膜を積層してカラーフィルターとする。
本発明の着色組成物でのパターン修正は、カラーフィルター製造工程のどの時点で行ってもよい。すなわち、ブラックマトリクス形成後に、ブラックマトリクスの修正、続いてRGBのうち1色の形成後に対応する色の修正、と1色の形成工程が終わるごとに対応する色の組成物で修正を行ってもよいし、また、ブラックマトリクス、RGBストライプすべての形成が終わった後にまとめて修正を行ってもよい。ただし、保護膜あるいは透明導電膜形成後に修正を行うと、修正個所上には保護膜、透明導電膜層は積層されないので、保護膜、あるいは透明導電膜層形成前に修正するのが好ましい。
本発明の着色組成物で修正されるパターン欠陥の種類としては、特に限定はなく、例えば異物欠陥やあるいは顔料凝集による濃色欠陥などは、レーザー等で欠陥部分近傍を焼きとばした後に本発明の修正組成物を塗布し修正すればよく、また、色ヌケ欠陥などはそのまま本発明の着色組成物で修正すればよい。
本発明の着色組成物を用いれば、正常画素上面からの突起も十分小さいので、液晶表示パネルを組んだ際でも表示不良などは起こりえず、また色にじみがないので、修正部分の面積が大きくなって修正個所が目立つこともない。
本発明の着色組成物を塗布する方法としては、特に限定はないが、針状の塗布媒体に組成物を付着させ、続いてパターン欠陥部に転写する方法が、微小な修正スポットに対応できるため好ましい。修正すべき欠陥の大きさに合わせて針状塗布媒体先端の径を変化させると、様々な大きさの欠陥に対応できるため、さらに好ましい。
本発明の着色組成物を塗布した後に乾燥する方法としては、特に限定はなく、風乾、加熱乾燥、真空乾燥などにより乾燥する。加熱乾燥の場合、オーブン、ホットプレートなどを使用し、50〜300℃の範囲で1分〜3時間行うのが好ましい。また、修正の場合、局所的かつ短時間での乾燥が要求されることが多いので、例えば赤外線スポットヒーターなどを用いて、修正箇所だけを加熱して乾燥する方法も好ましく使用できる。着色剤の著しい昇華、あるいはスポット自体の熱破壊などが生じない範囲で、なるべく高温短時間で硬化させるのが効率的であり、好ましい。また、赤外線の場合は修正組成物の色によって吸収強度が異なり、長波長側に吸収がある、例えば青色などは効率的に硬化が進むが、長波長側の透過が大きい赤色などは、吸収効率が悪く、熱硬化が進みにくい。従って色毎に赤外線照射条件を変化させることが好ましい。ブラックマトリクス、R、G、Bストライプのパターンニングをした後のカラーフィルターを赤外線吸収効率の比較的悪い赤色組成物等で修正する場合は、修正個所周辺に位置するブラックマトリクスなど、赤外線吸収効率のよい箇所からの伝熱で、間接的に熱を与え、硬化を進ませることもできる。
本発明の着色組成物が光重合性組成物である場合には、該組成物をパターン欠陥部に塗布した後に、光照射する工程を備えることにより、修正部の表面を瞬時に一次硬化させたり、又は修正部の全体を短時間に硬化させることができるため、好ましい。修正部の表面を瞬時に一次硬化させる場合には、インキの流動性を瞬時にとめることができ、修正部のインキ形状の安定化が図れるというメリットがあり、好ましい。また、加熱工程により短時間で硬化させようとする場合には、着色剤の昇華や欠陥部の熱破壊が生じる場合があるが、光照射する場合には、このようなデメリットは起こり難い。
露光波長は、使用するバインダ樹脂やモノマーの種類により、適宜選択すればよく、例えば紫外線又は可視光線の光源を照射して行う。上記の画像露光に使用される光源は、特に限定されるものではない。光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、
低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプ等のランプ光源;アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザー等のレーザー光源等が挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルターを利用することもできる。
前記本発明に着色組成物中に熱反応性官能基を有するモノマー又はポリマーを有する場合には、修正用インキを欠陥部に塗布した後に、加熱工程を備えるようにする。特に好ましくは、光照射後、加熱工程を備えるようにすればよい。
以上の方法により、本発明の修正組成物により欠陥部分の修正を行い、必要があれば、保護膜、透明導電膜を形成せしめ、無欠陥品と同等の性能を有するカラーフィルターを製造する。
本発明のカラーフィルターは、パソコン、ワードプロセッサー、エンジニアリング・ワークステーション、ナビゲーションシステム、液晶テレビ、ビデオなどの表示パネルの構成部品に用いられ、また、鮮明な画質の液晶プロジェクションなどの構成部品にも好適に用いられる。
以下に、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
なお、実施例および比較例中、「部」とは「重量部」を意味する。
まず、実施例および比較例で用いたバインダ樹脂の合成について説明する。樹脂の分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィ)により測定したポリスチレン換算
の重量平均分子量である。
<バインダ樹脂の合成>
先ず、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート145部及びアゾ系重合開始剤(和光純薬(株)製「V−59」)5.1部を反応容器に仕込み、窒素置換しながら攪拌し90℃に昇温した。ここに、スチレン20部、グリシジルメタクリレート57部およびトリシクロデカン骨格を有するモノアクリレート(日立化成社製「FA−513M」)82部を2時間かけて滴下し、更に、90℃で4時間攪拌し続けた。
次いで、反応容器内を空気置換し、アクリル酸27.0部、トリスジメチルアミノメチルフェノール0.7部およびハイドロキノン0.12部を投入し、120℃で6時間反応を続けた。その後、テトラヒドロ無水フタル酸(THPA)52.0部、トリエチルアミン0.7部を加え、120℃で3.5時間反応させて重合反応液を得た。
得られた重合反応液を反応液の4倍量のヘキサン中に滴下し、重合体を析出させた。次いで、デカンテーションにより樹脂固形物を回収し、乾燥させた。
得られた樹脂の重量平均分子量は、約30000であった。
(実施例1:緑色着色組成物の調製)
まず、下記に示す顔料、分散剤、及び溶剤を混合、攪拌しミルベースを作った。これをペイントシェーカーで0.5mmジルコニアビーズを用い、室温で4時間分散処理して、緑色分散液を調製した。この分散液に、残りの成分を加えて、10μフィルターでろ過し、緑色着色組成物を得た。
顔料 C.I.Pigment Green 36
(東洋インキ社製「リオノールグリーン6YK」) 15.7部
C.I.Pigment Yellow 150
(バイエル社製「ファンチョンファーストエローY5688」)9.5部
分散剤
ウレタン系顔料分散剤
(ビッグケミー社製「Disperbyk161」) 10.3部
モノマー
ペンタエリスリトールトリアクリレート
(日本化薬社製「PET−30」) 28.4部
重合開始剤
アセトフェノン系開始剤
(チバスペシャルティケミカルズ社製「イルガキュア907」)
4.1部
低沸点溶剤
プロピレングリコールメチルエーテルアセテート
(ダイセル社製「PGMEA(MMPGAC)」) 24.7部
高沸点溶剤
トリアセチン
(ダイセル社製「DRA−150」) 7.2部
(実施例2,3:赤色および黒色着色組成物の調製)
顔料、分散剤、樹脂、モノマー、開始剤、溶剤の組成を以下の表−1に示す割合(但し、表中の数値は、着色組成物全量を100とした重量比)に変えた以外は、実施例1と同様にして各色の着色組成物を得た。
Figure 0004941043
*1 リオノールグリーン6YK(東洋インキ社製)
*2 イルガフォ−レッドB−CF(チバスペシャルティケミカルズ社製)
*3 ファンチョンファーストエローY5688(バイエル社製)
*4 Printex75(デグサ社製)
*5 Disperbyk161(ビッグケミー社製)
*6 <バインダ樹脂の合成>にて得られた樹脂
*7 PET−30(日本化薬社製)
*8 イルガキュア907(チバスペシャルティケミカルズ社製)
*9 PGMEA(MMPGAC)(ダイセル社製)
*10 DRA−150(ダイセル社製)
(実施例1および4−8、比較例1−9:緑色着色組成物の調製とレベリング性評価)
実施例1にて調製した緑色着色組成物において、低沸点溶媒と高沸点溶媒を各々以下の表−2に示した様に変えた以外は、実施例1と同様に緑色着色組成物を調製した。各溶媒の沸点、表面張力とその差、およびレべリング性について、以下に示す。
Figure 0004941043
(レベリング性の評価)
実施例及び比較例で得られた着色組成物をリペア針の先端に付着させ、ガラス基板に接触、付着させた。付着させるリペア針の先端は直径50μmで平坦になっており、基板に組成物を付着させる時は、針取り付け部の重量(約20g)が、この先端にかかるため約800kg/cmと大きな荷重がかかる。そのため、基板への付着直後は針先端の平坦部のリペアインクが押し出され、組成物が輪状に付着するのが、実体顕微鏡で観察される。
その後、レベリングが良い着色組成物は中央部に液が寄り、全体が円状に均一となるが、レベリング性の悪い着色組成物は、輪状のままである。
実体顕微鏡で、この付着部を付着直後30秒間観察し、レベリング性を以下の様に評価した。
◎:付着後5秒以内にレベリングし円状になる。
○:付着後30秒以内にレベリングし円状になる。
×:付着後30秒以内でもレベリングせず輪状のままである。
表−2に示す様に、高沸点溶媒と低沸点溶媒の表面張力差が3以上のものは、レベリング性が良好で付着後30秒以内に付着部が輪状から円状になった。 又、高沸点溶媒と低沸点溶媒の表面張力差が3以下のもの、又は、表面張力差が3以上のものでも高沸点溶媒の沸点が200度以下の物、又は低沸点溶媒の沸点が150℃以上の物は付着後のレベリング性が悪く付着部形状が輪状のままであった。
(実施例2及び比較例10:赤色着色組成物の調製とレベリング性評価)
高沸点溶媒として、トリアセチンの代わりにPGMEAを用いた以外は、実施例2と同様に着色組成物の調製を行った。(比較例10)。
ここで得られた赤色着色組成物(比較例10)と、実施例2にて得られた赤色着色組成物につき、各溶媒の沸点、表面張力とその差、およびレべリング性を以下に示す。
Figure 0004941043
実施例2及び比較例10で得られた着色組成物をリペア針の先端に付着させ、ガラス基板に接触、付着させ前述した緑色着色組成物と同様に、レベリング性を評価した。結果を表−3に示す。比較例10の低沸点溶媒のみを含有する組成物は、レベリング性が悪く転写形状が輪状になるのに対し、実施例2は高沸点溶媒をも含有するため,レベリング性が良くなり、転写形状が円状に均一になった。
(実施例3及び比較例11:黒色着色組成物の調製とレベリング性評価)
高沸点溶媒として、トリアセチンの代わりにPGMEAを用いた以外は、実施例3と同様に着色組成物の調整を行った(比較例11)。
ここで得られた黒色着色組成物(比較例11)と、実施例3にて得られた黒色着色組成物につき、各溶媒の沸点、表面張力とその差、およびレベリング性を以下に示す。
Figure 0004941043
実施例3及び比較例11で得られた着色組成物をリペア針の先端に付着させ、ガラス基板に接触、付着させ前述した緑色および赤色着色組成物と同様にレベリング性を評価した。結果を表−4に示す。比較例11の低沸点溶媒のみを含有する組成物は、基板に付着した後30秒までには転写形状が輪状から円状に均一化したが、実施例3は高沸点溶媒をも含有するため,さらにレベリングが良くなり基板への付着後5秒までで転写形状が円状に均一になった。
(欠陥部分の修正評価)
実施例1、2、3、5、及び比較例1、10、11のリペアインクをリペア針に付着させ、各Green,Red,Black画素内にある色抜け欠陥上にスポット状に転写塗布した。続けて、3kw超高圧水銀灯により500mj/cmで露光した後、熱風オーブン内で230℃*15分間、乾燥キュアした。各着色組成物のレベリング性(上述の「レベリング性の評価」参照)、及び熱風乾燥後の修正スポットの突起高さを評価した。
Figure 0004941043
表5に示す様に、低沸点溶媒のみしか含まない比較例1、10および11は、レベリング性が悪く形状不良で白抜けが残ったり、付着部の突起高さが高かったのに対し、高沸点溶剤と低沸点溶剤を含む実施例1、2、3および5は、レベリング性が良くなり、白抜けがなくなり、付着部の突起高さも低減することができた。
本発明によれば、着色パターンにおける修正された欠陥部分が平坦になり、また未修正部分の発生が抑制され、さらに修正部分の周辺に生じる突起の高さが低くなる。よって、このように修正された着色パターンを有するカラーフィルターを用いて液晶表示パネルを作成した場合にも、表示不良などの欠陥発生が抑制され、高品位な液晶表示装置を提供することができる。したがって、液晶表示装置等の表示部材であるカラーフィルター、及び液晶表示装置の分野において、産業上の利用可能性は極めて高い。

Claims (6)

  1. (A)バインダ樹脂および/またはモノマー、(B)着色剤、(C)沸点が200℃以上の溶媒、及び、(D)沸点が150℃以下の溶媒を含み、(C)沸点が200℃以上の溶媒の表面張力が(D)沸点が150℃以下の溶媒の表面張力よりも3.0以上大きく、また、(C)溶媒と(D)溶媒との重量比が(C)/(D)=1/99〜49/51であり、且つ、固形分濃度が40重量%以上であることを特徴とする着色組成物。
  2. (C)溶媒が、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、トリアセチン、1,3−ブチレングリコール、およびプロピレングリコールフェニルエーテルの群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1記載の着色組成物。
  3. (C)溶媒が、トリアセチン、1,3−ブチレングリコール、およびプロピレングリコールフェニルエーテルの群から選ばれる少なくとも1つを含む、請求項1または2記載の着色組成物。
  4. (D)溶媒が、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートである、請求項1ないし3のいずれか一項に記載の着色組成物。
  5. 着色剤が顔料である、請求項1ないしのいずれか一項に記載の着色組成物。
  6. 請求項1ないしのいずれか一項に記載の着色組成物を使用する着色パターン欠陥修正方法であり、針状の塗布媒体に着色組成物を付着させる工程、針状の塗布媒体に付着した着色組成物をパターン欠陥部に転写させる工程、転写された着色組成物を加熱乾燥させる工程を含む、着色パターン欠陥修正方法。
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