JP4742648B2 - カラーフィルター用インクジェットインク及びその製造方法、カラーフィルターの製造方法、並びに液晶表示装置の製造方法 - Google Patents

カラーフィルター用インクジェットインク及びその製造方法、カラーフィルターの製造方法、並びに液晶表示装置の製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、画素部(着色層)のような所定パターンの硬化層を形成するのに用いられるカラーフィルター用インクジェットインク、当該インクジェット用インクの製造方法、当該インクジェット用インクを用いてカラーフィルターを製造する方法、並びに当該カラーフィルターを用いて液晶表示装置を製造する方法に関する。
近年、パーソナルコンピューターの発達、特に携帯用パーソナルコンピューターの発達に伴い、液晶ディスプレイ、とりわけカラー液晶ディスプレイの需要が増加する傾向にある。しかしながら、このカラー液晶ディスプレイが高価であることからコストダウンの要求が高まっており、特にコスト的に比重の高いカラーフィルターに対するコストダウンの要求が高い。
このようなカラーフィルターにおいては、通常赤(R)、緑(G)、および青(B)の3原色の着色パターンを備え、R、G、およびBのそれぞれの画素に対応する電極をON、OFFさせることで液晶がシャッタとして作動し、R、G、およびBのそれぞれの画素を光が通過してカラー表示が行われるものである。
従来より行われているカラーフィルターの製造方法としては、例えば染色法が挙げられる。この染色法は、まずガラス基板上に染色用の材料である水溶性の高分子材料を形成し、これをフォトリソグラフィー工程により所望の形状にパターニングした後、得られたパターンを染色浴に浸漬して着色されたパターンを得る。これを3回繰り返すことによりR、G、およびBのカラーフィルター層を形成する。
また、他の方法としては顔料分散法がある。この方法は、まず基板上に顔料を分散した感光性樹脂層を形成し、これをパターニングすることにより単色のパターンを得る。さらにこの工程を3回繰り返すことにより、R、G、およびBのカラーフィルター層を形成する。
さらに他の方法としては、電着法や、熱硬化樹脂に顔料を分散させてR、G、およびBの3回印刷を行った後、樹脂を熱硬化させる方法等を挙げることができる。
しかしながら、いずれの方法も、R、G、及びBの3色を着色するために、同一の工程を3回繰り返す必要があり、コスト高になるという問題や、同様の工程を繰り返すため歩留まりが低下するという問題がある。
これらの問題点を解決したカラーフィルターの製造方法として、基板表面にインクジェット方式でインクを吹き付けて着色層(画素部)を形成する方法が提案されている(特許文献1)。
インクジェット方式でインクを正確なパターンに合わせて吹き付けて画素を形成するためには、吐出ヘッドから吐出する際の直進性、安定性が求められる。しかし、インクの蒸発速度が早すぎると、吐出ヘッドのノズル先端でインクの粘度が急激に増加してインク滴の飛行曲がりが発生したり、時間を空けて間歇的に吐出すると目詰まりを起こして再吐出できなくなったりする。
さらに、ヘッド13のオリフィス表面13aにインクが塗れ広がっていると、図4に示すように正面方向Vxに吐出されたインク滴14が、インクの塗れ広がった方向Vyに引張られ、飛行曲がりが発生する。従って、オリフィス表面でのインクの塗れ広がりによって、吐出の直進性はさらに悪くなる。
また、インクジェット方式で基板上に着色インクを吹き付けた時に、乾燥速度が速すぎるとインク層表面が吐出直後の波打ったまま又は傾いたままの状態で固化してしまいレベリングが不十分となり、一方、乾燥速度が遅すぎると加熱プロセスによって完全に乾燥させることが困難になるか又は乾燥可能であっても能率が悪い。従って、吐出性能のみ考えれば乾燥し難いインクを用いれば良いことになるが、インク層を完全に乾燥させるためには適度な乾燥性も必要になる。
カラーフィルターの着色剤としては顔料を用いることが多いが、カラーフィルター用インクの顔料分散性が悪いと、顔料粒子同士の凝集により吐出ヘッドのノズル部で目詰まりを起こす。従って、着色剤として顔料を用いる場合には、顔料分散性もインクの吐出性能に影響を与える。
特許文献2には、着色剤、バインダー樹脂、及び、常圧における沸点が250℃以上の溶媒を含有するインクジェット方式カラーフィルター用樹脂組成物が開示されている。この公報に開示されたインクジェット方式カラーフィルター用樹脂組成物は高沸点の溶剤を用いているので、やはり、吐出ヘッドのノズル先端でインクが乾燥し難く、目詰まりを起こし難い。
しかし、これらの公報に開示されたインクを基板上に吐出した後は、インク層を乾燥させる過程において、乾燥し難い湿潤剤や高沸点溶剤が最後まで残り、完全に乾燥させることが困難となる。
以上の問題点を解決した、ヘッドから吐出した時の直進性、安定性に優れ、均一性の高いパターンが得られると共に、効率よく乾燥させることができるカラーフィルター用インクジェットインクとして、発明者らは、特許文献3に、少なくともバインダー成分、顔料、及び、溶剤からなり、主溶剤として沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分を、前記溶剤の全量に対して90重量%以上の割合で含有することを特徴とするカラーフィルター用インクジェットインクを開示している。
特開昭59−75205号公報 特開2000−310706号公報 特開2002−201387号公報
インクジェット方式を用いたカラーフィルターの製造に関する技術の検討が進むにつれ、インクジェット方式用の基板、すなわち、インクがそれぞれの画素に対応するブラックマトリクスの間隙にうまく収まるようにするために、所定領域のインクに対する親和性を選択的に変化させた基板が多様化してきており、カラーフィルター用のインクジェットインクに対する要求性能が更に厳しくなってきている。
例えば、インクジェット方式を用いたカラーフィルターの製造に用いられる基板上に形成されるブラックマトリックス等の隔壁も、撥水性材料を含むもの、プラズマ処理されたもの等と多様化してきている。このような中、着色インクをインクジェット方式で基板上に吹き付けて画素を形成する場合において、着弾したインク滴がブラックマトリックスのきわ部分に濡れ広がらない場合がある。このようにインク層を形成すべき領域全体の隅々にまでインクが濡れ広がらない場合には、カラーフィルターとした後に画素部分に色抜けが生じたり、色全体として薄くなったり、輝度低下等の問題となる。領域の隅にインクを付着させるために、領域の端の方にインクを着弾させる方法も考えられるが、ブラックマトリックスの間隙からインクが流出する恐れがあり、インク自体によってブラックマトリックスのきわ部分にまで濡れ広がらせる方法が望まれる。
本発明は上記実状に鑑みて成し遂げられたものであり、その第一の目的は、ヘッドから吐出し着弾したインク滴がインク層形成領域全体の隅々にまで濡れ広がり易いカラーフィルター用インクジェットインク及びその製造方法を提供することにある。
また、本発明の第二の目的は、色抜けなく均一性の高い画素部を備え、高輝度なカラーフィルターを得ることが可能なカラーフィルターの製造方法を提供することにある。
また、本発明の第三の目的は、上記目的を達成するカラーフィルターの製造方法を用いた液晶表示装置の製造方法を提供することにある。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、少なくともバインダー成分、顔料、及び、溶剤からなり、前記溶剤が、主溶剤として沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分を溶剤の全量に対して85重量%以上の割合で含有し、更に炭素数9〜14のアルカン系溶剤を、インク全量に対して0.1〜10重量%含有することを特徴とする。
本発明によれば、前記溶剤が、主溶剤として沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分を溶剤の全量に対して85重量%以上の割合で含有することにより、適度な乾燥性及び蒸発性を有するため、ヘッドから吐出した時の直進性、安定性に優れ、更に効率よく乾燥させることができ、更に、インクジェットインク中に炭素数9〜14のアルカン系溶剤がインク全量に対して0.1〜10重量%含まれることにより、上記効果を阻害することなくインクの粘度及び表面張力を適切に低下することが可能で、インク自体の濡れ広がり性が向上する結果、着弾したインク滴がインク層形成領域全体の隅々にまで濡れ広がり易くなり、且つヘッドから吐出した時の直進性、安定性に優れ、更に効率よく乾燥させることができる。その結果、多様化している基板に対しても、ブラックマトリックスのきわ部分にまで着弾したインクが濡れ広がることが可能になり、画素の色抜けや輝度低下を防止できる。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクにおいては、前記アルカン系溶剤の20℃での表面張力が28mN/m以下であることが、着弾したインク滴が隅々にまで濡れ広がり易い点から好ましい。
また、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクにおいては、前記アルカン系溶剤がN−デカン及びN−ドデカンから選ばれることが好ましい。
また、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクにおいては、前記主溶剤は、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及びコハク酸ジエチルよりなる群から選択される1種以上であることが、ヘッドから吐出した時の直進性、安定性に優れ、更に効率よく乾燥させることができる点から好ましい。
また、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクの製造方法は、顔料及び顔料分散剤を、主溶剤として沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分を含有する分散体調製溶剤に混合して顔料分散体を調製する工程と、得られた当該顔料分散体、バインダー成分及びその他の成分を、新たに用意した前記主溶剤及び炭素数9〜14のアルカン系溶剤の混合溶剤に混合するか、又は新たに用意した前記主溶剤に混合後、炭素数9〜14のアルカン系溶剤を添加することにより、溶剤全量に占める前記主溶剤の配合割合が85重量%以上、インク全量に対する炭素数9〜14のアルカン系溶剤の配合割合が0.1〜10重量%になるように調節する工程を有することを特徴とする。
更に、本発明に係るカラーフィルターの製造方法は、基板上の所定領域に上記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクを、インクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する工程と、前記インク層を硬化させて着色硬化層を形成する工程とを含むことを特徴とする。
本発明に係るカラーフィルターの製造方法は、上記本発明に係るインクジェットインクを用いてインクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する工程を有することにより、インク自体によってインク層形成領域全体の隅々にまでインクが濡れ広がり、且つヘッドから吐出した時の直進性、安定性に優れ、更に効率よく乾燥させることができるため、画素の色抜けや輝度低下が防止されたカラーフィルターを製造することが可能である。また、インクジェット方式を用いた製造方法であるため、コストダウンや歩留まりの向上を実現可能である。
上記本発明に係るカラーフィルターの製造方法においては、基板表面の所定領域内の濡れ性を選択的に変化させて、周囲と比べて親インク性の大きいインク層形成領域を形成する工程を更に含み、前記インク層形成領域に、上記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクをインクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成することが好ましい。この場合には、インク層形成領域にインクを付着させた後、インクの濡れ広がり性がより向上し、色抜けや膜厚ムラをより効果的に防止できるからである。
また、本発明に係る液晶表示装置の製造方法は、上記本発明に係るカラーフィルターの製造方法を用いてカラーフィルターを製造する工程と、当該製造されたカラーフィルターと液晶駆動側基板を対向させて組み立てる工程を有する。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、適度な表面張力及び粘度を有するため、吐出されて着弾後の濡れ広がり性に優れる。従って、多様化している基板に対しても、端の方に吐出しなくてもインク自体の力でブラックマトリックスのきわ部分等、隅々にまで濡れ広がるので、所望形状全体に色抜けなく均一性の高いパターンを、効率良く得ることができる。
本発明に係るインク及びカラーフィルター製造方法によれば、より性能の良いカラーフィルターを製造することができ、特に、透過濃度が大きく且つ均一で、しかも色抜けの無い画素部を精密に形成でき、輝度を向上させることができる。
また、本発明に係る液晶表示装置の製造方法によれば、より性能の良いカラーフィルターを用いることから、高品質な液晶表示装置とすることができる。
以下において本発明を詳しく説明する。なお本発明において光には、可視及び非可視領域の波長の電磁波、さらには放射線が含まれ、放射線には、例えばマイクロ波、電子線が含まれる。具体的には、波長5μm以下の電磁波、及び電子線のことを言う。また本発明において(メタ)アクリルとはアクリル又はメタクリルのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリレートとはアクリレート又はメタクリレートのいずれかであることを意味し、(メタ)アクリロイルとはアクリロイル又はメタクリロイルのいずれかであることを意味する。
1.カラーフィルター用インクジェットインク
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、少なくともバインダー成分、顔料、及び、溶剤からなり、前記溶剤が、主溶剤として沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分を溶剤の全量に対して85重量%以上の割合で含有し、更にアルカン系溶剤を含有することを特徴とする。
本発明によれば、前記溶剤が、主溶剤として沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分を溶剤の全量に対して85重量%以上の割合で含有することにより、適度な乾燥性及び蒸発性を有するため、ヘッドから吐出した時の直進性、安定性に優れ、更に効率よく乾燥させることができ、更に、インクジェットインク中にアルカン系溶剤が含まれることにより、上記効果を阻害することなくインクの粘度及び表面張力を適切に低下することが可能で、インク自体の濡れ広がり性が向上するため、着弾したインク滴がインク層形成領域全体の隅々にまで濡れ広がり易くなる。その結果、多様化している基板に対しても、ブラックマトリックスのきわ部分にまで着弾したインクが濡れ広がることが可能になり、画素の色抜けや輝度低下を防止できる。
以下、本発明に係るインクジェットインクに用いられる成分を説明する。
(バインダー成分)
バインダー成分としては、それ自体は重合反応性のない樹脂のみから構成されるような単に乾燥固化するバインダー成分を用いてもよい。しかしながら、塗工膜に十分な強度、耐久性、密着性を付与するためには、インクジェット方式により基板上にインク層(塗工膜)のパターンを形成後、当該インク層を重合反応により硬化させることのできるバインダー成分を用いるのが好ましく、例えば、可視光線、紫外線、電子線等により重合硬化させることができる光硬化性のバインダー成分や、加熱により重合硬化させることができる熱硬化性のバインダー成分のような、重合硬化可能なバインダー成分を用いることができる。
(1)光硬化性バインダー成分
紫外線、電子線等の光により重合硬化させることができる光硬化性樹脂を含むバインダー成分においては、成膜性や被塗工面に対する密着性を付与することを目的として比較的分子量の高い重合体を含むことが好ましい。ここでいう比較的分子量が高いとは、所謂モノマーやオリゴマーよりも分子量が高いことをいい、重量平均分子量5,000以上を目安にすることができる。比較的分子量の高い重合体としては、それ自体は重合反応性のない重合体、及び、それ自体が重合反応性を有する重合体のいずれを用いてもよく、また、2種以上を組み合わせて用いても良い。そして、比較的分子量の高い重合体を主体とし、必要に応じて、光重合性官能基を2つ以上有する多官能モノマーやオリゴマー、光重合性官能基を1つ有する単官能のモノマーやオリゴマー、光により活性化する光重合開始剤、及び、増感剤などを配合して、光硬化性バインダー成分を構成する。
それ自体は重合反応性のない重合体を比較的分子量の高い重合体として用いる場合には、バインダー成分に、光重合性官能基を2つ以上有する多官能モノマー、オリゴマーのような多官能重合性成分を配合する。この場合、バインダー系内において、多官能重合性成分が光照射によりそれ自体が自発的に重合するか、或いは、光照射により活性化した光重合開始剤等の他の成分の作用により重合して塗工膜中にネットワーク構造を形成し、当該ネットワーク構造内に重合反応性のない樹脂や顔料などの成分が包み込まれて硬化する。
そのような重合反応性のない重合体としては、例えば、次のモノマーの2種以上からなる共重合体を用いることができる:アクリル酸、メタクリル酸、メチルアクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、ベンジルアクリレート、ベンジルメタクリレート、スチレン、ポリスチレンマクロモノマー、及びポリメチルメタクリレートマクロモノマー。
より具体的には、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート共重合体、メタクリル酸/ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレート/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレートマクロモノマー/スチレン共重合体、ベンジルメタクリレート/スチレンマクロモノマー共重合体などを例示することができる。
それ自体が重合反応性を有する重合体としては、非重合性バインダーの分子に重合性の官能基を導入してなるオリゴマー又はオリゴマーよりも大分子量のポリマーであって、光照射を受けてそれ自体が重合反応を生じるか、或いは、光照射を受けて活性化した光重合開始剤などの他の成分の作用により重合反応を誘起するものを用いることができる。
各種のエチレン性二重結合含有化合物は、それ自体が重合反応性を有し、光硬化性樹脂として利用できる。従来において、例えばインク、塗料、接着剤などの各種分野で用いられているUV硬化性樹脂組成物に配合されているプレポリマーは、本発明における比較的分子量の高い重合体として使用できる。従来から知られているプレポリマーとしては、ラジカル重合型プレポリマー、カチオン重合型プレポリマー、チオール・エン付加型プレポリマーなどがあるが、いずれを用いてもよい。
この中で、ラジカル重合型プレポリマーは、市場において最も容易に入手でき、例えば、エステルアクリレート類、エーテルアクリレート類、ウレタンアクリレート類、エポキシアクリレート類、アミノ樹脂アクリレート類、アクリル樹脂アクリレート類、不飽和ポリエステル類などを例示できる。
本発明に係るインクの粘度が高すぎて吐出ヘッドからの吐出性に悪影響を及ぼさないように、それ自体が重合反応性を有する重合体として用いられるエチレン性二重結合含有化合物の分子量は、重量平均分子量で25,000以下であることが好ましい。
比較的分子量の高い重合体は、インクの固形分全量に対して、通常、1〜50重量%の割合で配合する。ここで、配合割合を特定するためのインクの固形分とは、溶剤を除く全ての成分を含み、液状の重合性モノマー等も固形分に含まれる。
それ自体が重合反応性を有する重合体を用いる場合にも、塗膜の強度や基盤に対する密着性を向上させるためには、多官能のモノマーやオリゴマーなどの多官能重合性成分を配合するのが好ましい。重合性を有する比較的分子量の高い重合体の分子は、比較的分子量の高い重合体同士で重合するだけでなく、多官能モノマー等の他の重合性成分とも重合してネットワークを形成し、硬化する。
塗工膜のネットワーク構造を形成する多官能重合性成分としては、2官能以上のモノマー又はオリゴマーを用いることができる。光硬化性樹脂に十分な膜強度や密着性を付与するために、通常は4官能以上のモノマーやオリゴマーが用いられている。
しかしながら、本発明に係るインクは、インクジェット方式のインクとして用いられるので、比較的分子量の高い重合体以外の重合性成分としては、官能基数が比較的少ない2官能乃至3官能のモノマー又はオリゴマーやモノマーを主体として用いるのが好ましく、粘度が100mPa・s以下の2乃至3官能モノマーを用いるのが特に好ましい。インクジェット方式の吹き付け作業中に、ヘッドの先端での粘度上昇が起こり難くなり、ヘッドの目詰まりが発生せず、作業中におけるインクの吐出性が安定するため、インクの吐出量や吐出方向が安定し、インクを基板上に所定のパターン通り正確に、且つ、均一に付着させることができるからである。
2官能乃至3官能のモノマーとしては、例えば、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、トリプロピレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、3−ブチレングリコールジメタクリレート等を例示することができる。
2乃至3官能モノマーの配合割合は、インクの固形分全量に対して、通常、20〜70重量%の割合で配合する。
ここで、2乃至3官能モノマーの配合割合が全固形分の20重量%に満たない場合には、インクがモノマーによって十分に希釈されず、インクの粘度が初めから高いか或いは溶剤分の揮発後に高くなり、インクジェットヘッドのノズルの目詰まりを起こすおそれがある。また、2乃至3官能モノマーの配合割合が全固形分の70重量%を超える場合には、塗膜の架橋密度が低くなり、塗膜の耐溶剤性、密着性、硬さが劣り、十分な特性が得られなくなるおそれがある。
ただし、インク中に配合される多官能モノマーが全て2乃至3官能性モノマーである場合には、インクの乾燥による粘度上昇が起こり難いので、インクジェットヘッドの吐出性が安定するが、その反面、インク層を硬化して得られた硬化層の膜強度、基板に対する密着性、耐溶剤性等が不十分となる場合がある。そこで、上記の2乃至3官能モノマーと共に、4官能以上の多官能モノマーやオリゴマーを適量配合することにより架橋密度を上げて、硬化層のパターンに十分な膜強度と密着性を付与することができる。
4官能のモノマー、オリゴマーとしては、例えば、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ペンタエリスリトールテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサメタクリレート等を例示することができる。
4官能以上の多官能成分は、インクの固形分全量に対して、通常、1〜30重量%の割合で配合する。また、2乃至3官能性モノマーによる吐出性安定化と、4官能以上の多官能成分による強度及び密着性向上のバランスをとるために、2乃至3官能性モノマー100重量部に対して、4官能以上の多官能成分の配合割合を、通常は1〜50重量部とし、好ましくは当該配合割合の下限を2重量部以上とし、且つ/又は、当該配合割合の上限を35重量部以下とする。
ここで、4官能以上の多官能成分の配合割合が前記2乃至3官能性モノマー100重量部に対して1重量部に満たない場合には、インクを硬化させた後の硬さ、耐溶剤性などの特性が十分に得られないおそれがある。また、4官能以上の多官能成分の前記配合割合が50重量部を超える場合には、インクの硬化速度が遅くなり、プロセススピードが遅くなるおそれがある。
また、光硬化性のバインダー成分には、必要に応じて、単官能のモノマー、オリゴマーを配合してもよい。
単官能のモノマー、オリゴマーとしては、例えば、スチレン、酢酸ビニル等のビニルモノマーや、n−ヘキシルアクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の単官能アクリルモノマーを例示することができる。
光硬化性バインダー成分には、通常、使用する光源の波長に対して活性を有する光重合開始剤が配合される。光重合開始剤は、バインダーや多官能モノマーの反応形式の違い(例えばラジカル重合やカチオン重合など)や、各材料の種類を考慮して適宜選択されるが、例えば、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2,2−ジメトキシ−1,2−ジフェニルエタン−1−オン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モンフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン、1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕−2−ヒドロキシ−2−メチル−1−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイド、ビスアシルフォスフィンオキサイド、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、2−イソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−(3−ジメチルアミノ−2−ヒドロキシプロポキシ)−3,4−ジメチル−9H−チオキサントン−9−オンメソクロライド、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−ベンゾイル−4'−メチル−ジフェニルサルファイド、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)、p−ジメチルアミノ安息香酸エチルエステル、p−ジメチルアミノ安息香酸イソアミルエステル、1,3,5−トリアクロイルヘキサヒドロ−s−トリアジン、2−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、メチルベンゾイルホルメート、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイドなどの光重合開始剤を用いることができる。
(2)熱硬化性バインダー成分
熱硬化性バインダーとしては、1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物と硬化剤の組み合わせが通常用いられ、更に、熱硬化反応を促進できる触媒を添加しても良い。熱硬化性官能基としてはエポキシ基が好ましく用いられる。また、これらにそれ自体は重合反応性のない重合体を更に用いても良い。
1分子中に熱硬化性官能基を2個以上有する化合物として、通常は、1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物が用いられる。1分子中にエポキシ基2個以上を有するエポキシ化合物は、エポキシ基を2個以上、好ましくは2〜50個、より好ましくは2〜20個を1分子中に有するエポキシ化合物(エポキシ樹脂と称されるものを含む)である。エポキシ基は、オキシラン環構造を有する構造であればよく、例えば、グリシジル基、オキシエチレン基、エポキシシクロヘキシル基等を示すことができる。エポキシ化合物としては、カルボン酸により硬化しうる公知の多価エポキシ化合物を挙げることができ、このようなエポキシ化合物は、例えば、新保正樹編「エポキシ樹脂ハンドブック」日刊工業新聞社刊(昭和62年)等に広く開示されており、これらを用いることが可能である。
エポキシ化合物としては、硬化膜に耐溶剤性や耐熱性を付与するために、比較的分子量の高い重合体と、硬化膜の架橋密度を高くしたり、低粘度化によりインクジェット吐出性能を向上させるために、比較的分子量の低い化合物とを併用することが好ましい。
比較的分子量の高い重合体であるエポキシ化合物(以下、「バインダー性エポキシ化合物」ということがある)としては、少なくとも下記式(1)で表される構成単位及び下記式(2)で表される構成単位から構成され且つグリシジル基を2個以上有する重合体を用いることができる。
Figure 0004742648
(R1は水素原子または炭素数1〜3のアルキル基であり、R2は炭素数1〜12
の炭化水素基である。)
Figure 0004742648
(R3は水素原子又は炭素数1〜10のアルキル基である。)
式(1)で表される構成単位は、下記式(3)で表されるモノマーから誘導される。
Figure 0004742648
(R1およびR2は式(1)と同じである。)
式(3)で表されるモノマーをバインダー性エポキシ化合物の構成単位として用いることにより、本発明の硬化性樹脂組成物から形成される硬化塗膜に充分な硬度および透明性を付与することができる。式(3)において、R2は、炭素数1〜12の炭化水素基であり、直鎖脂肪族、脂環式、芳香族いずれの炭化水素基であってもよく、さらに付加的な構造、例えば二重結合、炭化水素基の側鎖、スピロ環の側鎖、環内架橋炭化水素基等を含んでいてもよい。
上記式(3)で表されるモノマーとして具体的には、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、パラ−t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート等を例示することができる。
式(3)において、R1として好ましいのは水素またはメチル基であり、R2として好ましいのは炭素数1〜12のアルキル基であり、そのなかでも特にメチル基及びシクロヘキシル基が好ましい。上記式(3)で表されるモノマーのなかで好ましいものとして、具体的にはメチルメタクリレート(MMA)及びシクロヘキシルメタクリレート(CHMA)を挙げることができる。
重合体中の式(2)で表される構成単位は、下記式(4)で表されるモノマーから誘導される。
Figure 0004742648
(R3は式(2)と同じである。)
式(4)で表されるモノマーは、重合体中にエポキシ基(エポキシの反応点)を導入するために用いられる。当該重合体を含有する硬化性樹脂組成物は保存安定性に優れており、保存中および吐出作業中に粘度上昇を生じ難いが、その理由の一つは式(2)または式(4)中のエポキシ基がグリシジル基だからであると推測される。式(4)で表されるモノマーの代わりに脂環式エポキシアクリレートを用いると、硬化性樹脂組成物の粘度が上昇しやすい。
式(4)において、R3として好ましいのは水素またはメチル基である。式(4)で表されるモノマーとして、具体的にはグリシジル(メタ)アクリレートを例示することができ、特にグリシジルメタクリレート(GMA)が好ましい。
上記重合体は、ランダム共重合体であってもよいし、ブロック共重合体であってもよい。また、上記重合体は、カラーフィルターの各細部に必要とされる性能、例えば硬度や透明性等が確保できる限り、式(1)あるいは式(2)以外の主鎖構成単位を含んでいてもよい。そのようなモノマーとして具体的には、アクリロニトリル、スチレン等を例示することができる。
上記バインダー性エポキシ化合物中の式(1)の構成単位と式(2)の構成単位の含有量は、式(1)の構成単位を誘導する単量体と式(2)の構成単位を誘導する単量体との仕込み重量比(式(1)を誘導する単量体:式(2)を誘導する単量体)で表した時に、10:90〜90:10の範囲にあるのが好ましい。
式(1)の構成単位の量が上記の比10:90よりも過剰な場合には、硬化の反応点が少なくなって架橋密度が低くなるおそれがあり、一方、式(2)の構成単位の量が上記の比90:10よりも過剰な場合には、嵩高い骨格が少なくなって硬化収縮が大きくなるおそれがある。
また、上記バインダー性エポキシ化合物の重量平均分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で表した時に3,000以上、特に4,000以上であることが好ましい。上記バインダー性エポキシ化合物の分子量が3,000よりも小さすぎるとカラーフィルターの細部としての硬化樹脂層に要求される強度、耐溶剤性等の物性が不足し易いからである。また、本発明に係るインクはインクジェット方式に用いられるので、上記バインダー性エポキシ化合物の重量平均分子量は、ポリスチレン換算重量平均分子量で表した時に20,000以下であることが好ましく、更に15,000以下であることが特に好ましい。当該分子量が20,000よりも大きすぎると粘度上昇が起こり易くなり、吐出ヘッドから吐出する時の吐出量の安定性や吐出方向の直進性が悪くなるおそれや、長期保存の安定性が悪くなるおそれがあるからである。
上記バインダー性エポキシ化合物としては、ポリスチレン換算重量平均分子量(Mw)が上記範囲にあるグリシジルメタクリレート(GMA)/メチルメタクリレート(MMA)系共重合体を用いるのが特に好ましい。なお、GMA/MMA系共重合体は本発明の目的を達成し得るものである限り、他のモノマー成分を含有していてもよい。
上記バインダー性エポキシ化合物の合成例としては、例えば、温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、水酸基を含有しない溶剤を仕込み、攪拌しながら120℃に昇温する。水酸基を含有しない溶剤を用いるのは、合成反応の最中にエポキシ基が分解するのを避けるためである。次いで上記式(3)で表されるモノマー、上記式(4)で表されるモノマー、及び、必要に応じて他のモノマーを組み合わせた組成物と重合開始剤の混合物(滴下成分)を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下する。滴下終了後、120℃に降温して触媒を追加し3時間反応させ、130℃に昇温し2時間保ったところで反応を終了することにより、上記バインダー性エポキシ化合物が得られる。
本発明に用いられる熱硬化性バインダー成分には、一分子中にエポキシ基を2個以上有するエポキシ化合物であって、上記バインダー性エポキシ化合物よりも分子量が小さいもの(以下、「多官能エポキシ化合物」ということがある。)を添加するのが好ましい。多官能エポキシ化合物のポリスチレン換算の重量平均分子量は、これと組み合わせるバインダー性エポキシ化合物よりも小さいことを条件に、4,000以下が好ましく、3,000以下が特に好ましい。
なお、エポキシ化合物のポリスチレン換算重量平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)により求めることができ、測定条件としては、例えば、テトラヒドロフランを展開液とし、HLC−8029(東ソー株式会社製)を用いて測定することができる。
上記バインダー性エポキシ化合物には、エポキシ基(グリシジル基)が式(2)で表される構成単位によって導入されているため、上記共重合体の分子内に導入できるエポキシ量には限界がある。硬化性樹脂組成物に比較的分子量が小さい多官能エポキシ化合物を添加すると、硬化性樹脂組成物中にエポキシ基が補充されてエポキシの反応点濃度が増加し、架橋密度を高めることができる。
多官能エポキシ化合物の中でも、酸−エポキシ反応の架橋密度を上げるためには、一分子中にエポキシ基を4個以上有するエポキシ化合物を用いるのが好ましい。特に、本発明の硬化性樹脂組成物をインクジェット方式で用いる場合であって、インクジェット方式の吐出ヘッドからの吐出性を向上させるために前記バインダー性エポキシ化合物の重量平均分子量を10,000以下とした場合には、硬化樹脂層の強度や硬度が低下し易いので、そのような4官能以上の多官能エポキシ化合物を硬化性樹脂組成物に配合して架橋密度を充分に上げるのが好ましい。
多官能エポキシ化合物としては、一分子中にエポキシ基を2個以上含有するものであれば特に制限はなく、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ジフェニルエーテル型エポキシ樹脂、ハイドロキノン型エポキシ樹脂、ナフタレン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、トリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、3官能型エポキシ樹脂、テトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールA含核ポリオール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリオキザール型エポキシ樹脂、脂環型エポキシ樹脂、複素環型エポキシ樹脂などを使用できる。
より具体的には、商品名エピコート828(油化シェルエポキシ社製)などのビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名YDF−175S(東都化成社製)などのビスフェノールF型エポキシ樹脂、商品名YDB−715(東都化成社製)などの臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名EPICLON EXA1514(大日本インキ化学工業社製)などのビスフェノールS型エポキシ樹脂、商品名YDC−1312(東都化成社製)などのハイドロキノン型エポキシ樹脂、商品名EPICLON EXA4032(大日本インキ化学工業社製)などのナフタレン型エポキシ樹脂、商品名エピコートYX4000H(油化シェルエポキシ社製)などのビフェニル型エポキシ樹脂、商品名エピコート157S70(油化シェルエポキシ社製)などのビスフェノールA型ノボラック系エポキシ樹脂、商品名エピコート154(油化シェルエポキシ社製)、商品名YDPN−638(東都化成社製)などのフェノールノボラック型エポキシ樹脂、商品名YDCN−701(東都化成社製)などのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、商品名EPICLON HP−7200(大日本インキ化学工業社製)などのジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂、商品名エピコート1032H60(油化シェルエポキシ社製)などのトリスヒドロキシフェニルメタン型エポキシ樹脂、商品名VG3101M80(三井化学社製)などの3官能型エポキシ樹脂、商品名エピコート1031S(油化シェルエポキシ社製)などのテトラフェニロールエタン型エポキシ樹脂、商品名デナコールEX−411(ナガセ化成工業社製)などの4官能型エポキシ樹脂、商品名ST−3000(東都化成社製)などの水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、商品名エピコート190P(油化シェルエポキシ社製)などのグリシジルエステル型エポキシ樹脂、商品名YH−434(東都化成社製)などのグリシジルアミン型エポキシ樹脂、商品名YDG−414(東都化成社製)などのグリオキザール型エポキシ樹脂、商品名エポリードGT−401(ダイセル化学社製)などの脂環式多官能エポキシ化合物、トリグリシジルイソシアネート(TGIC)などの複素環型エポキシ樹脂などを例示することができる。また、必要であれば、エポキシ反応性希釈剤として、商品名ネオトートE(東都化成社製)などを混合することができる。
これらの多官能エポキシ化合物の中でも、商品名エピコート157S70(油化シェルエポキシ社製)などのビスフェノールA型ノボラック系エポキシ樹脂、及び、商品名YDCN−701(東都化成社製)などのクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が特に好ましい。
本発明に用いられる熱硬化性バインダー成分には、通常、硬化剤が組み合わせて配合される。硬化剤としては、例えば、多価カルボン酸無水物または多価カルボン酸を用いる。
多価カルボン酸無水物の具体例としては、無水フタル酸、無水イタコン酸、無水コハク酸、無水シトラコン酸、無水ドデセニルコハク酸、無水トリカルバリル酸、無水マレイン酸、無水ヘキサヒドロフタル酸、無水ジメチルテトラヒドロフタル酸、無水ハイミック酸、無水ナジン酸などの脂肪族または脂環族ジカルボン酸無水物;1,2,3,4−ブタンテトラカルボン酸二無水物、シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物などの脂肪族多価カルボン酸二無水物;無水ピロメリット酸、無水トリメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸無水物;エチレングリコールビストリメリテイト、グリセリントリストリメリテイトなどのエステル基含有酸無水物を挙げることができ、特に好ましくは、芳香族多価カルボン酸無水物を挙げることができる。また、市販のカルボン酸無水物からなるエポキシ樹脂硬化剤も好適に用いることができる。
また、本発明に用いられる多価カルボン酸の具体例としては、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ブタンテトラカルボン酸、マレイン酸、イタコン酸などの脂肪族多価カルボン酸;ヘキサヒドロフタル酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、シクロペンタンテトラカルボン酸などの脂肪族多価カルボン酸、およびフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸などの芳香族多価カルボン酸を挙げることができ、好ましくは芳香族多価カルボン酸を挙げることができる。
これら多価カルボン酸無水物および多価カルボン酸は、1種単独でも2種以上の混合でも用いることができる。本発明に用いられる硬化剤の配合量は、エポキシ基を含有する成分(モノマーと樹脂)100重量部当たり、通常は1〜100重量部の範囲であり、好ましくは5〜50重量部である。硬化剤の配合量が1重量部未満であると、硬化が不充分となり、強靭な塗膜を形成することができない。また、硬化剤の配合量が100重量部を超えると、塗膜の基板に対する密着性が劣るうえに、均一で平滑な塗膜を形成することができない。
また、本発明において熱硬化性バインダー成分には、硬化樹脂層の硬度および耐熱性を向上させるために、酸−エポキシ間の熱硬化反応を促進できる触媒を添加してもよい。そのような触媒としては、加熱硬化時に活性を示す熱潜在性触媒を用いることができる。
熱潜在性触媒は、加熱されたとき、触媒活性を発揮し、硬化反応を促進し、硬化物に良好な物性を与えるものであり、必要により加えられるものである。この熱潜在性触媒は、60℃以上の温度で酸触媒活性を示すものが好ましく、このようなものとしてプロトン酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸をルイス塩基で中和した化合物、ルイス酸とトリアルキルホスフェートの混合物、スルホン酸エステル類、オニウム化合物類等が挙げられ、前記特開平4−218561号公報に記載されているような各種の化合物を使用することができる。具体的には、(イ)ハロゲノカルボン酸類、スルホン酸類、リン酸モノ及びジエステル類などを、アンモニア、モノメチルアミン、トリエチルアミン、ピリジン、エタノールアミン類などの各種アミン若しくはトリアルキルホスフィン等で中和した化合
物、(ロ)BF3、FeCl3、SnCl4、AlCl3、ZnCl2などのルイス酸を前述のルイス塩基で中和した化合物、(ハ)メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸などと第一級アルコール、第二級アルコールとのエステル化合物、(ニ)第一級アルコール類、第二級アルコール類のリン酸モノエステル化合物、リン酸ジエステル化合物等を挙げることができる。また、オニウム化合物としては、アンモニウム化合物[R3NR']+X-、スルホニウム化合物[R3SR']+X-、オキソニウム化合物[R3OR']+X-等を挙げることができる。なお、ここでR及びR'はアルキル、アルケニル、アリール、アルコキシ等である。
(顔料)
着色剤としての顔料は、画素(画素部)のR、G、B等やブラックマトリックス層の求める色に合わせて、有機着色剤及び無機着色剤の中から任意のものを選んで使用することができる。有機着色剤としては、例えば、染料、有機顔料、天然色素等を用いることができる。また、無機着色剤としては、例えば、無機顔料、体質顔料等を用いることができる。これらの中で有機顔料は、発色性が高く、耐熱性も高いので、好ましく用いられる。有機顔料としては、例えばカラーインデックス(C.I.;The Society of Dyers and Colourists 社発行) においてピグメント(Pigment)に分類されている化合物、具体的には、下記のようなカラーインデックス(C.I.)番号が付されているものを挙げることができる。
C.I.ピグメントイエロー1、C.I.ピグメントイエロー3、C.I.ピグメントイエロー12、C.I.ピグメントイエロー13、C.I.ピグメントイエロー14、C.I.ピグメントイエロー15、C.I.ピグメントイエロー16、C.I.ピグメントイエロー17、C.I.ピグメントイエロー20、C.I.ピグメントイエロー24、C.I.ピグメントイエロー31、C.I.ピグメントイエロー55、C.I.ピグメントイエロー60、C.I.ピグメントイエロー61、C.I.ピグメントイエロー65、C.I.ピグメントイエロー71、C.I.ピグメントイエロー73、C.I.ピグメントイエロー74、C.I.ピグメントイエロー81、C.I.ピグメントイエロー83、C.I.ピグメントイエロー93、C.I.ピグメントイエロー95、C.I.ピグメントイエロー97、C.I.ピグメントイエロー98、C.I.ピグメントイエロー100、C.I.ピグメントイエロー101、C.I.ピグメントイエロー104、C.I.ピグメントイエロー106、C.I.ピグメントイエロー108、C.I.ピグメントイエロー109、C.I.ピグメントイエロー110、C.I.ピグメントイエロー113、C.I.ピグメントイエロー114、C.I.ピグメントイエロー116、C.I.ピグメントイエロー117、C.I.ピグメントイエロー119、C.I.ピグメントイエロー120、C.I.ピグメントイエロー126、C.I.ピグメントイエロー127、C.I.ピグメントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー129、C.I.ピグメントイエロー138、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピグメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー151、C.I.ピグメントイエロー152、C.I.ピグメントイエロー153、C.I.ピグメントイエロー154、C.I.ピグメントイエロー155、C.I.ピグメントイエロー156、C.I.ピグメントイエロー166、C.I.ピグメントイエロー168、C.I.ピグメントイエロー175;
C.I.ピグメントオレンジ1、C.I.ピグメントオレンジ5、C.I.ピグメントオレンジ13、C.I.ピグメントオレンジ14、C.I.ピグメントオレンジ16、C.I.ピグメントオレンジ17、C.I.ピグメントオレンジ24、C.I.ピグメントオレンジ34、C.I.ピグメントオレンジ36、C.I.ピグメントオレンジ38、C.I.ピグメントオレンジ40、C.I.ピグメントオレンジ43、C.I.ピグメントオレンジ46、C.I.ピグメントオレンジ49、C.I.ピグメントオレンジ51、C.I.ピグメントオレンジ61、C.I.ピグメントオレンジ63、C.I.ピグメントオレンジ64、C.I.ピグメントオレンジ71、C.I.ピグメントオレンジ73;C.I.ピグメントバイオレット1、C.I.ピグメントバイオレット19、C.I.ピグメントバイオレット23、C.I.ピグメントバイオレット29、C.I.ピグメントバイオレット32、C.I.ピグメントバイオレット36、C.I.ピグメントバイオレット38;
C.I.ピグメントレッド1、C.I.ピグメントレッド2、C.I.ピグメントレッド3、C.I.ピグメントレッド4、C.I.ピグメントレッド5、C.I.ピグメントレッド6、C.I.ピグメントレッド7、C.I.ピグメントレッド8、C.I.ピグメントレッド9、C.I.ピグメントレッド10、C.I.ピグメントレッド11、C.I.ピグメントレッド12、C.I.ピグメントレッド14、C.I.ピグメントレッド15、C.I.ピグメントレッド16、C.I.ピグメントレッド17、C.I.ピグメントレッド18、C.I.ピグメントレッド19、C.I.ピグメントレッド21、C.I.ピグメントレッド22、C.I.ピグメントレッド23、C.I.ピグメントレッド30、C.I.ピグメントレッド31、C.I.ピグメントレッド32、C.I.ピグメントレッド37、C.I.ピグメントレッド38、C.I.ピグメントレッド40、C.I.ピグメントレッド41、C.I.ピグメントレッド42、C.I.ピグメントレッド48:1、C.I.ピグメントレッド48:2、C.I.ピグメントレッド48:3、C.I.ピグメントレッド48:4、C.I.ピグメントレッド49:1、C.I.ピグメントレッド49:2、C.I.ピグメントレッド50:1、C.I.ピグメントレッド52:1、C.I.ピグメントレッド53:1、C.I.ピグメントレッド57、C.I.ピグメントレッド57:1、C.I.ピグメントレッド57:2、C.I.ピグメントレッド58:2、C.I.ピグメントレッド58:4、C.I.ピグメントレッド60:1、C.I.ピグメントレッド63:1、C.I.ピグメントレッド63:2、C.I.ピグメントレッド64:1、C.I.ピグメントレッド81:1、C.I.ピグメントレッド83、C.I.ピグメントレッド88、C.I.ピグメントレッド90:1、C.I.ピグメントレッド97、C.I.ピグメントレッド101、C.I.ピグメントレッド102、C.I.ピグメントレッド104、C.I.ピグメントレッド105、C.I.ピグメントレッド106、C.I.ピグメントレッド108、C.I.ピグメントレッド112、C.I.ピグメントレッド113、C.I.ピグメントレッド114、C.I.ピグメントレッド122、C.I.ピグメントレッド123、C.I.ピグメントレッド144、C.I.ピグメントレッド146、C.I.ピグメントレッド149、C.I.ピグメントレッド150、C.I.ピグメントレッド151、C.I.ピグメントレッド166、C.I.ピグメントレッド168、C.I.ピグメントレッド170、C.I.ピグメントレッド171、C.I.ピグメントレッド172、C.I.ピグメントレッド174、C.I.ピグメントレッド175、C.I.ピグメントレッド176、C.I.ピグメントレッド177、C.I.ピグメントレッド178、C.I.ピグメントレッド179、C.I.ピグメントレッド180、C.I.ピグメントレッド185、C.I.ピグメントレッド187、C.I.ピグメントレッド188、C.I.ピグメントレッド190、C.I.ピグメントレッド193、C.I.ピグメントレッド194、C.I.ピグメントレッド202、C.I.ピグメントレッド206、C.I.ピグメントレッド207、C.I.ピグメントレッド208、C.I.ピグメントレッド209、C.I.ピグメントレッド215、C.I.ピグメントレッド216、C.I.ピグメントレッド220、C.I.ピグメントレッド224、C.I.ピグメントレッド226、C.I.ピグメントレッド242、C.I.ピグメントレッド243、C.I.ピグメントレッド245、C.I.ピグメントレッド254、C.I.ピグメントレッド255、C.I.ピグメントレッド264、C.I.ピグメントレッド265;
C.I.ピグメントブルー15、C.I.ピグメントブルー15:3、C.I.ピグメントブルー15:4、C.I.ピグメントブルー15:6、C.I.ピグメントブルー60;C.I.ピグメントグリーン7、C.I.ピグメントグリーン36;C.I.ピグメントブラウン23、C.I.ピグメントブラウン25;C.I.ピグメントブラック1、ピグメントブラック7。
また、前記無機顔料あるいは体質顔料の具体例としては、酸化チタン、硫酸バリウム、炭酸カルシウム、亜鉛華、硫酸鉛、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑、アンバー、チタンブラック、合成鉄黒、カーボンブラック等を挙げることができる。本発明において、顔料は、単独でまたは2種以上を混合して使用することができる。
カラーフィルターの基板上に、本発明のインクジェットインクを用いてブラックマトリックス層のパターンを形成する場合には、インクジェットインク中に遮光性の高い黒色顔料を配合する。遮光性の高い黒色顔料としては、例えば、カーボンブラックや四三酸化鉄などの無機系着色剤、或いは、シアニンブラックなどの有機系着色剤を使用できる。
遮光性の高い顔料を含有するインクジェットインクで形成したインク層は、内部にまで光が到達し難いので、本発明のインクジェットインクを用いてブラックマトリックス層のパターンを形成する場合には、後述するバインダーは、光硬化性のバインダーを用いるよりも、熱硬化性バインダーを用いるのが好ましい。ただし、インク層の厚さや露光時間を長くするなど硬化方法を調節することによって、光でも硬化させることが可能である。
画素を形成する場合には、顔料をインクジェットインクの固形分全量に対して、通常は1〜60重量%、好ましくは15〜40重量%の割合で配合する。顔料が少なすぎると、インクジェットインクを所定の膜厚(通常は0.1〜2.0μm)に塗布した際の透過濃度が十分でないおそれがある。また、顔料が多すぎると、インクジェットインクを基板上へ塗布し硬化させた際の基板への密着性、硬化膜の表面荒れ、塗膜硬さ等の塗膜としての特性が不十分となるおそれがある。
(顔料分散剤)
顔料分散剤は、顔料を良好に分散させるためにインク中に必要に応じて配合される。顔料分散剤としては、例えば、カチオン系、アニオン系、ノニオン系、両性、シリコーン系、フッ素系等の界面活性剤を使用できる。界面活性剤の中でも、次に例示するような高分子界面活性剤(高分子分散剤)が好ましい。
すなわち、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルエーテル類;ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル等のポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル類;ポリエチレングリコールジラウレート、ポリエチレングリコールジステアレート等のポリエチレングリコールジエステル類;ソルビタン脂肪酸エステル類;脂肪酸変性ポリエステル類;3級アミン変性ポリウレタン類などの高分子界面活性剤が好ましく用いられる。
(溶剤)
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクに用いられる溶剤は、主溶剤として沸点が180℃〜260℃、好ましくは210℃〜260℃で且つ常温(特に18℃〜25℃の範囲)の蒸気圧が0.5mmHg以下、好ましくは0.1mmHg以下の溶剤成分を溶剤の全量に対して85重量%以上、好ましくは90重量%以上の割合で含有し、更にアルカン系溶剤を含有することを特徴とする。また、主溶剤の表面張力は、29mN/m以上であることが好ましい。
沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分は適度な乾燥性及び蒸発性を有している。そのため、このような溶剤成分を高い配合割合で含有する本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、間歇吐出及び連続吐出のいずれを行う場合でも急速には乾燥しないので、インクジェットヘッドのノズル先端において急激な粘度の上昇や目詰まりを起こし難く、オリフィス表面の濡れ広がりも生じ難く、吐出方向や吐出量の安定性に優れている。従って、本発明のインクを用いてインクジェット方式により基板表面に所定のパターンに合わせて吐出することにより、画素部や遮光部等の着色硬化層を正確且つ均一に形成することができる。
更に、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、インクジェットヘッドのノズル先端においては急速に乾燥しないが、適度な乾燥性を有する。従って、基板上に吐出された後は、基板表面になじんで十分にレベリングさせてから、自然乾燥や一般的な加熱方法によって比較的短時間に且つ完全に乾燥させることができる。従って、本発明のインクを用いると、均一性の高いパターンが得られると共に、効率よく乾燥させることができる。
本発明のインクは着色剤として顔料を用いるので、あらかじめ顔料を全使用量の一部の溶剤中で分散剤と混合して分散性を付与し、得られた顔料分散体(すなわち高濃度の顔料分散液)を他の配合成分と共に残部の溶剤中に投入して混合しインクとすることが多い。顔料分散体を調製するためには、3−メトキシブチルアセテートやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)ような顔料を分散させやすい溶剤を用いる必要がある。
本発明に用いられるインクの溶剤は、顔料分散体を調製するために用いる分散溶剤のように、必要に応じて主溶剤以外の溶剤成分を少量ならば含有していても良い。しかしながら、その場合でも、上記した沸点と蒸気圧を有する主溶剤を溶剤全量に対して85重量%以上の割合で使用する必要がある。主溶剤の割合が溶剤全量の85重量%に満たない場合には、インクジェット方式に適した乾燥性、蒸発性を確実に得ることができない場合がある。
主溶剤は、できるだけ高い配合割合で用いるのが望ましく、具体的には溶剤全量の85重量%以上、好ましくは90重量%以上とするのが望ましい。従って、主溶剤を適切に選択することにより、顔料分散体の調製時に分散溶剤と混合使用するか、或いは、主溶剤をそのまま分散溶剤として使用するのが好ましい。
基板表面に濡れ性可変層を形成し露光することにより、基板上のインク層を形成したい部分に親インク性領域を形成し、当該親インク性領域にインクジェット方式によって本発明のインクを選択的に付着させる場合には、主溶剤として、JIS K6768に規定する濡れ性試験において示された標準液を用い、液滴を接触させて30秒後の接触角(θ)を測定し、ジスマンプロットのグラフにより求めた臨界表面張力が30mN/mの試験片の表面に対する接触角が25°以上、好ましくは30°以上を示し、且つ、同じ測定法により求めた臨界表面張力が70mN/mの試験片の表面に対する接触角が10°以下を示すものを選択して用いてもよい。
濡れ性に関して上記挙動を示す溶剤を用いてインクを調製すると、インクは、後述する濡れ性可変層の濡れ性を変化させる前は当該濡れ性可変層の表面に対して大きな反撥性を示し、当該濡れ性可変層の濡れ性を変化させて親水性が大きくなる方向に変化させた後は当該濡れ性可変層の表面に対して大きな親和性を示す。従って、濡れ性可変層の表面の一部を選択的に露光して形成した親インク性領域に対するインクの濡れ性と、その周囲の領域に対する撥インク性領域の濡れ性の差を大きくとることができるようになり、親インク性領域にインクジェット方式で吹き付けたインクが、親インク性領域の隅々にまで均一に濡れ広がる。
ここで、臨界表面張力に関し上記特性を有する試験片は如何なる材料で形成されていても差し支えない。臨界表面張力30mN/mを示す試験片としては、例えば、表面が平滑なポリメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレンテレフタレート、平滑なガラス表面に前記ポリマーや表面改質剤等を塗布したものの中から実際に上記試験を行って該当するものを選択することができる。また、臨界表面張力70mN/mを示す試験片としては、例えば、ナイロンや親水化処理したガラス表面等を塗布したものの中から実際に上記試験を行って該当するものを選択することができる。
主溶剤は、以下に示すような溶剤の中から選んで用いることができる:エチレングリコールモノエチルエーテルのようなグリコールエーテル類;エチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールエーテルエステル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルのようなグリコールオリゴマーエーテル類;ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテートのようなグリコールオリゴマーエーテルエステル類;酢酸、2−エチルヘキサン酸、無水酢酸のような脂肪族カルボン酸類又はその酸無水物;酢酸エチル、安息香酸プロピルのような脂肪族又は芳香族エステル類;炭酸ジエチルのようなジカルボン酸ジエステル類;3−メトキシプロピオン酸メチルのようなアルコキシカルボン酸エステル類;アセト酢酸エチルのようなケトカルボン酸エステル類;クロロ酢酸、ジクロロ酢酸のようなハロゲン化カルボン酸類;エタノール、イソプロパノール、フェノールのようなアルコール類又はフェノール類;ジエチルエーテル、アニソールのような脂肪族又は芳香族エーテル類;2−エトキシエタノール、1−メトキシ−2−プロパノールのようなアルコキシアルコール類;ジエチレングリコール、トリプロピレングリコールのようなグリコールオリゴマー類;2−ジエチルアミノエタノール、トリエタノールアミンのようなアミノアルコール類;2−エトキシエチルアセテートのようなアルコキシアルコールエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトンのようなケトン類;N−エチルモルホリン、フェニルモルホリンのようなモルホリン類;ペンチルアミン、トリペンチルアミン、アニリンのような脂肪族又は芳香族アミン類。
主溶剤として使用できる溶剤の具体例としては、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及び、コハク酸ジエチルなどを例示することができる。これらの溶剤は、沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の要求を満たしているだけでなく、顔料の分散性、分散安定性も比較的良好であり、3−メトキシブチルアセテートやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)のような従来から顔料分散体の調製に用いられている溶剤と混合し或いは混合せずそのまま分散溶剤として用い、顔料分散体を調製することができる。
さらに、具体例として挙げたこれらの溶剤は、JIS K6768に規定する濡れ性試験において示された標準液を用い、液滴を接触させて30秒後の接触角(θ)を測定し、ジスマンプロットのグラフにより求めた臨界表面張力が30mN/mの試験片の表面に対する接触角が25°以上を示し、且つ、同じ測定法により求めた臨界表面張力が70mN/mの試験片の表面に対する接触角が10°以下を示すという要求も満たしている。従って、これらの溶剤は、基板表面に濡れ性可変層を設けて露光し、露光部分と非露光部分の間の濡れ性の差を利用してインクを選択的に付着させる場合にも、主溶剤として好適に用いることができる。
また、本発明は、溶剤中にアルカン系溶剤を含有することが特徴である。
ここで、アルカン系溶剤とは、飽和炭化水素系溶剤のことであり、直鎖状脂肪族飽和炭化水素、分岐鎖状脂肪族飽和炭化水素、または脂環式飽和炭化水素からなるものである。アルカン系溶剤は、表面張力が低く、反応性が低く、また上述のように主溶剤が溶剤全量の85重量%以上となる範囲内で添加するのであれば顔料分散性を阻害しない。従って、アルカン系溶剤が含まれることにより、上記主溶剤が奏する効果を阻害することなくインクの粘度及び表面張力を適切に低下することが可能で、インク自体の濡れ広がり性が向上するため、着弾したインク滴がインク層形成領域全体の隅々にまで濡れ広がり易くなる。その結果、多様化している基板に対しても、ブラックマトリックスのきわ部分にまで着弾したインクが濡れ広がることが可能になり、画素の色抜けや輝度低下を防止できる。本発明に用いられるアルカン系溶剤としては、2種以上混合して用いても良い。
アルカン系溶剤の表面張力は、20℃において28mN/m以下であることが、更に27.5mN/m以下であることが、着弾したインク滴が隅々にまで濡れ広がり易い点から好ましい。アルカン系溶剤が2種以上混合して用いられる場合には、1種では上記範囲外であっても混合溶剤の表面張力が上記範囲であれば、好適に用いられる。
また、アルカン系溶剤の粘度は、20℃において2.5mPa・s以下であることが、更に2mPa・s以下であることが、着弾したインク滴が隅々にまで濡れ広がり易い点から好ましい。アルカン系溶剤が2種以上混合して用いられる場合には、1種では上記範囲外であっても混合溶剤の粘度が上記範囲であれば好適に用いられる。
また、アルカン系溶剤の沸点は、100℃〜260℃であることが、更に120℃〜255℃、特に170℃〜220℃であることが、着弾したインク滴が隅々にまで濡れ広がり易い点から好ましい。アルカン系溶剤が2種以上混合して用いられる場合には、1種では上記範囲外であっても混合溶剤の沸点が上記範囲であれば好適に用いられる。
また、前記アルカン系溶剤の炭素数は8〜14であることが着弾したインク滴が隅々にまで濡れ広がり易い点から好ましい。n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ウンデカン、n−ドデカン、イソドデカン、n−トリデカン、n−テトラデカン、2−メチルヘプタン、3−メチルヘプタン、2,2−ジメチルヘキサン、2,5−ジメチルヘキサン、2,2,3−トリメチルペンタン、2,2,4−トリメチルペンタン、2,2,2,6,6−ペンタメチルヘプタン、2−メチルオクタンなどが挙げられ、特に、n−デカン、n−ドデカンが好適に用いられる。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクにおいては、前記アルカン系溶剤の含有量がインク全量に対して0.1〜10重量%であることが、更に2.5〜7.5重量%であることが、着弾したインク滴が隅々にまで濡れ広がり易く、且つ上記主溶剤の効果を阻害することなく、ヘッドから吐出した時の直進性、安定性に優れ、更に効率よく乾燥させることができる点から好ましい。
上述したように、本発明に係るインクの溶剤は、主溶剤を85重量%以上の割合で含有し、更にアルカン系溶剤を含有し、必要に応じて分散溶剤のような他の溶剤成分が配合されてなるものである。このような溶剤を、当該溶剤を含むインクの全量に対して、通常は40〜95重量%の割合で用いて吐出させるインクを調製する。溶剤が少なすぎると、インクの粘度が高く、インクジェットヘッドからの吐出が困難になる。また、溶剤が多すぎると、所定の濡れ性変化部位(インク層形成部位)に対するインク盛り量(インク堆積量)が十分でないうちに、当該濡れ性変化部位に堆積させたインクの膜が決壊し、周囲の非露光部へはみ出し、さらには、隣の濡れ性変化部位(インク層形成部位)にまで濡れ広がってしまう。言い換えれば、インクを付着させるべき濡れ性変化部位(インク層形成部位)からはみ出さないで堆積させることのできるインク盛り量が不十分となり、乾燥後の膜厚が薄すぎて、それに伴い十分な透過濃度を得ることができなくなる。
(その他の成分)
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクには、必要に応じて、その他の添加剤を1種又は2種以上配合することができる。そのような添加剤としては、次のようなものを例示できる。
a)増感剤:例えば、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、エチル−4−ジメチルアミノベンゾエート、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエートなど。
b)硬化促進剤(連鎖移動剤):例えば、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2,5−ジメルカプト−1,3,4−チアジアゾールなど、
c)高分子化合物からなる光架橋剤又は光増感剤:高分子光架橋・増感剤は、光架橋剤あるいは光増感剤として機能しうる官能基を主鎖および/または側鎖中に有する高分子化合物であり、その例としては、4−アジドベンズアルデヒドとポリビニルアルコールとの縮合物、4−アジドベンズアルデヒドとフェノールノボラック樹脂との縮合物、4−(メタ)アクリロイルフェニルシンナモイルエステルの(共)重合体、1,4−ポリブタジエン、1,2−ポリブタジエン等を挙げることができる。
d)分散助剤:例えば、銅フタロシアニン誘導体等の青色顔料誘導体や黄色顔料誘導体等など。
e)充填剤:例えば、ガラス、アルミナなど。
f)密着促進剤:例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなど。
g)酸化防止剤:例えば、2,2−チオビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,6−ジ−t−ブチルフェノールなど。
h)紫外線吸収剤:例えば、2−(3−t−ブチル−5−メチル−2−ヒドロキシフェニル)−5−クロロベンゾトリアゾール、アルコキシベンゾフェノンなど。
i)凝集防止剤:例えば、ポリアクリル酸ナトリウム、或いは各種の界面活性剤など。
(インクの製造方法)
本発明のカラーフィルター用インクジェットインクは、各成分を上記溶剤に投入して混合し、固形成分を溶解又は分散させて製造しても良い。
しかしながら、顔料をバインダー等の他の成分と共に溶剤全体中に直接投入し攪拌混合すると、顔料を溶剤中に十分に分散させられないことが多い。そこで通常は、顔料の分散性及び分散安定性が良好な溶剤を用意し、そこに顔料を必要に応じて顔料分散剤と共に投入してディソルバーなどにより十分攪拌し、顔料分散液を調製する。そして、得られた顔料分散液を、顔料以外の成分と共に、ほとんど主溶剤からなるか又は主溶剤のみからなる溶剤に投入し、ディソルバーなどにより十分に攪拌混合し、最後にアルカン系溶剤を添加することによって、本発明に係るインクジェットインクとすることができる。或いは、得られた顔料分散液を、顔料以外の成分と共に、ほとんど主溶剤からなるか又は主溶剤のみからなる溶剤にアルカン系溶剤を添加した混合溶剤に投入し、ディソルバーなどにより十分に攪拌混合し、本発明に係るインクジェットインクとすることができる。
すなわち、本発明に係るインクジェットインクの製造方法は、顔料及び必要に応じて顔料分散剤を、主溶剤として沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分を含有する分散体調製溶剤に混合して顔料分散体を調製する工程と、得られた当該顔料分散体、バインダー成分及び必要に応じてその他の成分を、新たに用意した前記主溶剤及びアルカン系溶剤の混合溶剤に混合するか、或いは、新たに用意した前記主溶剤に混合後、アルカン系溶剤を添加することにより、溶剤全量に占める前記主溶剤の配合割合が85重量%以上になるように調節する工程を有することを特徴とする。
中でも、得られた当該顔料分散体、バインダー成分及び必要に応じてその他の成分を、新たに用意した前記主溶剤に混合後、アルカン系溶剤を添加することにより、溶剤全量に占める前記主溶剤の配合割合が85重量%以上になるように調節する工程を有する方が、好ましい。アルカン系の溶剤は分散剤やバインダー成分に対する溶解性が低いか無いことが多いため、分散時にアルカンを添加すると分散状態を崩したりする恐れがあるからである。表面張力を調整するために少量添加するという目的において、インクを調整した最終段階で添加することが好ましい。
顔料分散液を投入する残部の溶剤としては、最終的な溶剤全体の組成から顔料分散液の調製に用いた溶剤の分を差し引いた組成を有するものを用い、最終濃度にまで希釈してインクジェットインクを完成させても良い。また、顔料分散液を比較的少量の主溶剤に投入して高濃度のインクジェットインクを調製しても良い。高濃度のインクジェットインクは、そのまま保存し、使用直前に最終濃度に希釈してインクジェット方式に使用することができる。
本発明においては、特に、主溶剤として沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分の配合割合を溶剤全体の85重量%以上用いるので、顔料分散液の調製時に3−メトキシブチルアセテートやプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)のような従来から用いられている分散溶剤を十分な量だけ用いることができない場合がある。その場合には、主溶剤として使用可能な溶剤の中から顔料の分散性、分散安定性が比較的良好なものを選択し、従来から用いられている分散溶剤と混合したものを分散溶剤として用いるか、或いは、主溶剤をそのまま分散溶剤として用いる。
(用途)
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクは、カラーフィルターにおいて画素やブラックマトリックス等、所定のパターンを有する膜を形成するのに特に好適に用いられる。カラーフィルターとしては、液晶表示装置等の画像出力装置に用いられるカラーフィルター、或いは固体撮像素子等の画像入力装置に用いられるカラーフィルターのいずれにも好適に用いることができる。
2.カラーフィルターの製造方法
本発明に係るカラーフィルターの製造方法は、基板上の所定領域に上記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクを、インクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する工程と、前記インク層を硬化させて着色硬化層を形成する工程とを含むことを特徴とする。
本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクにR、G、B又はブラック等の所望の顔料を配合し、カラーフィルターの透明基板上の所定領域にインクジェット方式により選択的に付着させ、硬化させることによって、画素部や遮光層などの着色硬化層を形成することができる。
上記のような工程を含むカラーフィルターの製造方法の一例を、以下に説明する。先ず、図1(A)に示すようにカラーフィルターの透明基板1を準備する。この透明基板としては、従来よりカラーフィルターに用いられているものであれば特に限定されるものではないが、例えば石英ガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、合成石英板等の可とう性のない透明なリジット材、あるいは透明樹脂フィルム、光学用樹脂板等の可とう性を有する透明なフレキシブル材を用いることができる。この中で特にコーニング社製7059ガラスは、熱膨脹率の小さい素材であり寸法安定性および高温加熱処理における作業性に優れ、また、ガラス中にアルカリ成分を含まない無アルカリガラスであるため、アクティブマトリックス方式によるカラー液晶表示装置用のカラーフィルターに適している。本発明においては、通常、透明基板を用いるが、反射性の基板や白色に着色した基板でも用いることは可能である。また、基板は、必要に応じてアルカリ溶出防止やガスバリア性付与その他の目的で表面処理を施したものを用いてもよい。
次に、図1(B)に示すように、透明基板1の一面側の画素部間の境界となる領域に遮光部2を形成する。遮光部2は、スパッタリング法、真空蒸着法等により厚み1000〜2000Å程度のクロム等の金属薄膜を形成し、この薄膜をパターニングすることにより形成することができる。このパターニングの方法としては、スパッタ等の通常のパターニング方法を用いることができる。
また、遮光部2としては、樹脂バインダー中にカーボン微粒子、金属酸化物、無機顔料、有機顔料等の遮光性粒子を含有させた層であってもよい。用いられる樹脂バインダーとしては、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の樹脂を1種または2種以上混合したものや、感光性樹脂、さらにはO/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を用いることができる。このような樹脂製遮光部の厚みとしては、0.5〜10μmの範囲内で設定することができる。このような樹脂製遮光部のパターニングの方法としては、フォトリソ法、印刷法等一般的に用いられている方法を用いることができる。
次に、図1(C)に示すように、遮光部のパターン上に、撥インク性凸部を必要に応じて形成する。このような撥インク性凸部の組成は、撥インク性を有する樹脂組成物であれば、特に限定されるものではない。また、特に透明である必要はなく、着色されたものであってもよい。例えば、遮光部に用いられる材料であって、黒色の材料を混入しない材料等を用いることができる。具体的には、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール、ゼラチン、カゼイン、セルロース等の水性樹脂を1種または2種以上混合した組成物や、O/Wエマルジョン型の樹脂組成物、例えば、反応性シリコーンをエマルジョン化したもの等を挙げることができる。本発明においては、取扱性および硬化が容易である点等の理由から、光硬化性樹脂が好適に用いられる。また、この撥インク性凸部は、撥インク性が強いほど好ましいので、その表面をシリコーン化合物や含フッ素化合物等の撥インク処理剤で処理したものでもよい。
撥インク性凸部のパターニングは、撥インク性樹脂組成物の塗工液を用いる印刷や、光硬化性塗工液を用いるフォトリソグラフィーにより行うことができる。撥インク性凸部の高さは、上述したようにインクジェット法により着色する際にインクが混色することを防止するために設けられるものであることから、ある程度高いことが好ましいが、カラーフィルターとした場合の全体の平坦性を考慮すると、画素部の厚さに近い厚さであることが好ましい。具体的には、吹き付けるインクの堆積量によっても異なるが、通常は0.1〜2.0μmの範囲内であることが好ましい。
また、撥インク性凸部の形成において、撥インク性を付与するのに、プラズマ処理等の表面処理を用いても良い。表面処理としては、例えば、導入ガスにフッ素又はフッ素化合物を含んだガスを使用し、減圧雰囲気下や大気圧雰囲気下でプラズマ照射をする減圧プラズマ処理や大気圧プラズマ処理が挙げられる。フッ素系化合物及び酸素を含んだガス中でプラズマ処理を行なうと、有機材料においては上記反応と並行してフッ素系化合物が有機材料表面に入り込む現象が生ずる。特にフッ素系化合物が酸素よりも多い場合、例えば、フッ素系化合物及び酸素の総量に対するフッ素系化合物の含有量が60%以上に設定されているような、フッ素系化合物の量が過多のガス雰囲気下では、酸素による酸化反応よりもフッ素系化合物混入化現象の方が盛んになるため、混入化現象によって有機材料表面が非極性化され、撥インク性が付与される。
次に、各色の画素部形成用インクとして、各色の上記本発明に係るインクジェットインクを用意する。そして、図1(D)に示すように、透明基板1の表面に、遮光層2のパターンにより画成された各色の画素部形成領域4R、4G、4Bに、対応する色の画素部形成用インクをインクジェット方式により吹き付けてインク層を形成する。このインクの吹き付け工程において、画素部形成用インクは、ヘッド5の先端部で粘度増大を起こし難く、良好な吐出性を維持し続けることができる。従って、所定の画素部形成領域内に、対応する色のインクを正確に、且つ、均一に付着させることができ、且つ、隅々にまで濡れ広がるため正確なパターンで色ムラや色抜けのない画素部を形成することができる。また、各色の画素部形成用インクを、複数のヘッドを使って同時に基板上に吹き付けることもできるので、各色ごとに画素部を形成する場合と比べて作業効率を向上させることができる。
次に、図1(E)に示すように、各色のインク層6R、6G、6Bを乾燥し必要に応じてプリベークした後、適宜露光及び/又は加熱することにより硬化させる。インク層を適宜露光及び/又は加熱すると、インクジェットインク中に含まれる硬化性樹脂の架橋要素が架橋反応を起こし、インク層が硬化する。画素部の厚さは、光学特性等を考慮して、通常は0.1〜2.0μm程度とする。
次に、図1(F)に示すように、透明基板の画素部7R、7G、7Bを形成した側に、保護層8を形成する。保護層は、カラーフィルターを平坦化するとともに、画素部等に含有される成分が、液晶表示装置の液晶層へ溶出するのを防止するために設けられる。保護層の厚みは、使用される材料の光透過率、カラーフィルターの表面状態等を考慮して設定することができ、例えば、0.1〜2.0μmの範囲で設定することができる。保護層は、例えば、公知の透明感光性樹脂、二液硬化型透明樹脂等の中から、透明保護層として要求される光透過率等を有するものを用いて形成することができる。
このようにして、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクを用いてカラーフィルター101が製造される。この例においては、本発明のインクを用いて画素部を形成するが、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクを用いるインクジェット方式によれば、画素部以外にも遮光部2などを所望のパターン状に形成することができる。
遮光部2を形成したい場合には、本発明のカラーフィルター用インクジェットインクであって黒色顔料などの遮光性着色剤を配合してなる遮光部形成用インクを調製し、この遮光部形成用インクを、透明基板1の表面の所定領域にインクジェット方式により選択的に付着させてインク層を所定のパターン状に形成し、当該インク層を電離放射線照射などの方法で硬化させ、必要に応じてベークすることによって遮光部を形成できる。
また、上記例においては、図1(B)に示すように、透明基板1の一面側の画素部間の境界となる領域に遮光部2を形成し、更にその上に、図1(C)に示すように、撥インク性凸部3を形成しているが、図3に示すように、遮光部2と撥インク性凸部3の機能を兼ね備えたような、比較的高さがあって隔壁の役割も果たす遮光部2のみを基板上に設けても良い。この場合の遮光部2としては、撥インク性を有することが好ましく、例えば、撥水性材料を混合した撥水性遮光部、撥水性材料が表面に塗布された撥水性遮光部や、プラズマ処理により撥水性が付与された遮光部などが挙げられる。これら撥水性を付与する手段は、上記撥水性凸部において説明したのと同様の手段を用いることができる。
また、本発明に係るカラーフィルターの製造方法においては、基板表面の所定領域内の濡れ性を選択的に変化させて、周囲と比べて親インク性の大きいインク層形成領域を形成する工程を更に含み、前記インク層形成領域に、上記本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクをインクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成することが好ましい。親インク性の大きいインク層形成領域にインクを付着させると、インクの濡れ広がり性がより向上し、色抜けや膜厚ムラをより効果的に防止でき、明るさや色むらが生じない画素を得ることができるからである。
基板表面の所定領域内の濡れ性を選択的に変化させて、周囲と比べて親インク性の大きいインク層形成領域を形成する工程としては、特に限定されず、上述したようなプラズマ処理等の表面処理を用いても良い。例えば、フッ素系化合物及び酸素を含んだガス中でプラズマ処理を行なうと、無機材料の表面にはプラズマ放電により未反応基が発生し、酸素により未反応基が酸化されてカルボニル基や水酸基等の極性基が発生し、親インク性が付与される。一方、有機材料においては上記反応と並行してフッ素系化合物が有機材料表面に入り込む現象が生ずる。特にフッ素系化合物が酸素よりも多い場合、例えばフッ素系化合物及び酸素の総量に対するフッ素系化合物の含有量が60%以上に設定されているような、フッ素系化合物の量が過多のガス雰囲気下では、酸素による酸化反応よりもフッ素系化合物混入化現象の方が盛んになるため、混入化現象によって有機材料表面が非極性化され、撥インク性が付与される。したがって、ガラス基板上に有機材料により遮光部2や凸部を形成した後に、上記のようなフッ素形化合物が過多の条件でプラズマ処理を行なうと、インク層形成領域に該当するガラス基板上は周囲に比べて親インク性が大きくなり、遮光部2や凸部は撥インク性となり、凸部は撥インク性凸部3となる。このようにして得られたインク層形成領域はインクが濡れ広がり易く、色抜けや膜厚ムラが防止される上、他のインク形成領域との境界に該当する凸部からのインク流出が防止される。また、この場合において、遮光部2を無機材料で形成し、その上に凸部を有機材料で形成すると、ガラス基板と遮光部2は、親インク性が大きくなり、凸部は撥インク性となる。
一方、基板表面の所定領域内の濡れ性を選択的に変化させて、周囲と比べて親インク性の大きいインク層形成領域を形成する工程の他の方法としては、カラーフィルターの透明基板上に、光触媒の作用により親インク性が大きくなる方向に濡れ性を変化させる濡れ性可変層を形成し、当該濡れ性可変層の表面の所定領域内の濡れ性を露光により選択的に変化させて、周囲と比べて親インク性の大きいインク層形成領域を形成する方法がある。
このような濡れ性可変層を基板上に設ける場合には、主溶剤として、JIS K6768に規定する濡れ性試験において示された標準液を用い、液滴を接触させて30秒後の接触角(θ)を測定し、ジスマンプロットのグラフにより求めた臨界表面張力が30mN/mの試験片の表面に対する接触角が25°以上を示し、且つ、同じ測定法により求めた臨界表面張力が70mN/mの試験片の表面に対する接触角が10°以下を示すものを用いて調製したインクを用いるのが好ましい。
本発明に係るカラーフィルターの製造方法において、上記のような濡れ性可変層を基板上に設ける態様の一例を、以下に説明する。先ず、図2(A)に示すように、カラーフィルターの透明基板1の一面側の画素部間の境界となる領域に遮光部2を形成する。この遮光部のパターンによって、各色の画素部形成領域4R、4G、4Bが画成される。透明基板1としては、図1を用いて述べた例において説明したものと同じものを用いることができ、遮光部2も、図1を用いて述べた例において説明したものと同様のものを設けることができる。
次に、図2(B)に示すように、透明基板1の表面の少なくとも一部領域、特に、この例では、画素部形成領域を含む領域に、濡れ性可変層としての光触媒含有層9をベタ塗りのパターン(ソリッドパターン状)に形成する。
次に、図2(C)に示すように、光触媒含有層9にフォトマスク10を介して光線12を照射して露光を行い、画素部形成領域4R、4G、4Bの親インク性を増大させる。
上記光触媒含有層9のような濡れ性可変層の画素部形成領域の濡れ性を選択的に変化させて親インク性を大きくすると、本発明のインクは、画素部形成領域に容易に付着して均一に広がり、一方、画素部形成領域の周囲領域では強く反撥して排除されるので、画素部形成領域に選択的に且つ均一に付着し、その結果、正確なパターンで色ムラや色抜けのない画素部を形成することができる。
この方法において用いる濡れ性可変層は、JIS K6768に規定する濡れ試験において示された標準液を用い、液滴を接触させて30秒後の接触角(θ)を測定し、ジスマンプロットのグラフにより求めた臨界表面張力が、濡れ性を変化させる前においては20〜50mN/mを示し、且つ、濡れ性を変化させた後においては40〜120mN/m、更に好ましくは70〜110mN/mを示すものであることが好ましい。
臨界表面張力をこのように変化させることのできる濡れ性可変層を用いると、インクは、濡れ性を変化させて親インク性を大きくした画素部形成領域等のパターン形成領域において、非常に小さな接触角を示し、一方、パターン形成領域の周囲においては非常に大きな接触角を示し、濡れ性の差を非常に大きくとることができる。
フォトマスク10を用いて露光を行う場合は、隣接し合う画素部形成領域間の境界部に非露光部を確保しつつ、露光部11の幅を画素部形成領域4の幅よりも広くとるようにすることが好ましい。このようにすることにより、画素部形成領域4の隅々まで十分に露光され、親インク性が増大するので、画素部の色抜け等の不都合が生じ難くなる。光触媒含有層9は、フォトマスクを用いずとも、レーザー光線の走査によるフォトリソグラフィーなどの他の方法で所定のパターン状に露光してもよい。また、透明基板の裏面側(光触媒含有層9が設けられているのとは反対側)から露光を行うと、遮光部2がフォトマスクとして機能するので、フォトマスクが不要である。
光触媒含有層9に照射される光は、光触媒を活性化できるものであれば可視光線であっても不可視光線であっても差し支えないが、通常は、紫外光を含む光を用いる。このような紫外光を含む光源としては、例えば、水銀ランプ、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を挙げることができる。この露光に用いる光の波長は400nm以下の範囲、好ましくは380nm以下の範囲から設定することができ、また、露光に際しての光の照射量は、露光された部位が光触媒の作用により親水性を増大させるのに必要な照射量とすることができる。
親インク性が大きくなる方向に濡れ性を変化させることのできる濡れ性可変層としては、例えば、a)図示した光触媒含有層9のように光触媒を含有し且つ光触媒の作用により濡れ性可変層自体の親水性が増大するもののほか、b)濡れ性可変層の下側(透明基板側)に光触媒含有層を備え、光触媒含有層内に存在する光触媒の作用によって濡れ性可変層の親水性が増大するもの、c)光触媒及び当該光触媒の作用により分解するバインダーからなる分解性濡れ性可変層であって、当該分解性濡れ性可変層の露光部分が分解、除去されて親水性を有する下地、例えば透明基板等が露出するもの、或いは、d)光触媒の作用により分解するバインダーからなる分解性濡れ性可変層の下側に光触媒含有層を備え、光触媒含有層内に存在する光触媒の作用によって当該分解性濡れ性可変層の露光部分が分解、除去されて親水性を有する下地、例えば光触媒含有層等が露出するものなどを例示することができる。
本発明における「親インク性が大きくなる方向に濡れ性を変化させることのできる濡れ性可変層」は、基板に濡れ性可変層を設けてなる積層体において、濡れ性可変層形成面の濡れ性を親インク性が大きくなる方向に変化させるものであればよく、上記例示a)、b)のように、濡れ性可変層自体の親インク性が増大するものだけでなく、上記例示c)、d)のように、濡れ性可変層が分解して親インク性の下地が露出するものも、これに含まれる。
なお、上記a)図示した光触媒含有層9のように光触媒を含有し且つ光触媒の作用により濡れ性可変層自体の親水性が増大するもの、及びb)濡れ性可変層の下側(透明基板側)に光触媒含有層を備え、光触媒含有層内に存在する光触媒の作用によって濡れ性可変層の親水性が増大するものについては、特開2001−350012号公報の段落番号149〜段落番号174記載のものを好適に用いることができる。
次に、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクであって、1又は2以上の顔料を配合してなる、各色の画素部形成用インクを用意する。そして、上述した図2(C)の工程において親インク性を増大させた画素部形成領域4R、4G、4Bに、対応する色の画素部形成用インクを選択的に付着させて、図2(D)に示すようなインク層6R、6G、6Bを形成する。
次に、図2(E)に示すように、各色のインク層6R、6G、6Bをバインダー系に応じて光照射するか又は加熱することにより硬化させ、さらに必要に応じて、ベークを行って各色の画素部7R、7G、7Bを形成する。次に、図2(F)に示すように、透明基板の画素部7R、7G、7Bを形成した側に、保護層8を形成する。図2(E)及び図2(F)に示すような光硬化工程及び保護層形成工程は、図1を用いて述べた例において説明したものと同様に行うことができる。
他の例においては、このようにしてカラーフィルター102が製造される。この例においては、本発明に係るカラーフィルター用インクジェットインクである画素部形成用インクを用いて画素部を形成するが、本発明に係るインクを、基板表面の濡れ性の差を利用して親インク性領域だけに選択的に付着させることによって、遮光部2のような画素部以外の着色硬化層も所望のパターン状に形成することができる。
3.液晶表示装置の製造方法
本発明に係る液晶表示装置の製造方法は、上記本発明に係るカラーフィルターの製造方法を用いてカラーフィルターを製造する工程と、当該製造されたカラーフィルターと液晶駆動側基板を対向させて組み立てる工程を有する。
本発明に係る液晶表示装置の製造方法によれば、上記本発明に係るインクジェットインクを用い、より性能の良いカラーフィルターが得られる上記本発明に係るカラーフィルターの製造方法を用いた工程を有することから、高品質な液晶表示装置とすることができる。
上記のようにして製造されたカラーフィルターと、液晶駆動側基板(TFTアレイ基板)を対向させ、両基板の内面側周縁部をシール剤により接合すると、両基板は所定距離のセルギャップを保持した状態で貼り合わされる。そして、基板間の間隙部に液晶を満たして密封することにより、本発明に係る製造方法により製造される液晶表示装置に属する、アクティブマトリックス方式のカラー液晶表示装置が得られる。
液晶表示装置におけるその他の製造方法及び構成は、通常用いられる方法及び構成を用いることができるので、ここでは説明を省略する。
本発明に係る製造方法によって得られる液晶表示装置としては、上述したカラーフィルターを有するものであれば特に限定はされず、公知の液晶表示装置を挙げることができる。具体的には、IPS(In-Plane Switching)型、STN(Super Twisted Nematic)型、TN(Twisted Nematic)型、強誘電性型、反強誘電性型、MVAモード型等を挙げることができる。
なお、本発明は、上記実施形態に限定されるものではない。上記実施形態は例示であり、本発明の特許請求の範囲に記載された技術的思想と実質的に同一な構成を有し、同様な作用効果を奏するものは、いかなるものであっても本発明の技術的範囲に包含される。
(製造例1:バインダー性エポキシ化合物の合成)
温度計、還流冷却器、攪拌機、滴下ロートを備えた4つ口フラスコに、表1に示す配合割合に従って、水酸基を含有しない溶剤ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(別名ブチルカルビトールアセテート、以下、BCAと示すことがある。)を40.7重量部仕込み、攪拌しながら加熱して140℃に昇温した。次いで、140℃の温度で第1表に記載した組成の単量体、及び、重合開始剤の混合物(滴下成分)54.7重量部を、2時間かけて滴下ロートより等速滴下した。滴下終了後、110℃に降温し重合開始剤及び水酸基を含有しない溶剤ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート(BCA)の混合物(追加触媒成分)4.6重量部を添加し、110℃の温度を2時間保ったところで反応を終了することにより、表1に記載の特性を有するバインダー性エポキシ化合物が得られた。
Figure 0004742648
*1)表中の略号は以下の通りである。
GMA:グリシジルメタクリレート
MMA:メチルメタクリレート
パーブチルO:t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサノエート(日本油脂(株)製商品名)
*2)重量平均分子量:GPC法によるポリスチレン換算の値である。
(実施例1〜5:カラーフィルター用青色インクジェットインクの調製)
(1)顔料分散液の調製
各顔料、顔料分散剤、及び有機溶剤を下記の割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて4時間分散し、PB15:6(C.I.ピグメントブルー15:6)顔料分散液及びPV23(C.I.ピグメントバイオレット23)顔料分散液を調製した。
[顔料分散液の組成]
・各顔料:10重量部
・顔料分散剤(Disperbyk161(ビックケミー・ジャパン製)(溶剤BCA中に固形分30重量%)):10重量部
・顔料分散補助剤(N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート共重合体(溶剤BCA中に固形分30重量%)):10重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):70重量部
(2)バインダーの調製
サンプル瓶にテフロン(登録商標)被覆した回転子を入れ、マグネチックスターラーに設置した。このサンプル瓶の中に、下記の割合に従って前記製造例1に記載のバインダー性エポキシ化合物、多官能エポキシ樹脂等を加え、室温で十分に攪拌溶解し、次いで、粘度調整のために希釈溶剤を加えて攪拌溶解した後、これを濾過してバインダー組成物を得た。
[バインダー組成物の配合割合]
・製造例1のバインダー性エポキシ化合物(溶剤BCA中に固形分30重量%):15重量部
・多官能エポキシ樹脂(商品名エピコート154、油化シェルエポキシ製):3重量部
・ネオペンチルグリコールグリシジルエーテル:1.5重量部
・トリメリット酸:3重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):7.5重量部
上記調製したPB15:6顔料分散液46.8重量部及びPV23顔料分散液3.2重量部、及び、バインダー組成物30重量部、BCA15重量部を充分に混合した後、各アルカン系溶剤をインク全量に対して5重量%となるように添加し、表3に示されるような配合割合を有する実施例1〜5のカラーフィルター用青色インクジェットインクを得た。表2に、実施例1〜5に用いられたアルカン系溶剤の炭素数、沸点、粘度、表面張力を示す。
Figure 0004742648
(比較例1〜3:比較カラーフィルター用青色インクジェットインクの調製)
実施例と同じ顔料分散液及びバインダー組成物を用いて、PB15:6顔料分散液46.8重量部及びPV23顔料分散液3.2重量部、及び、バインダー組成物30重量部、BCA20重量部を充分に混合し、アルカン系溶剤を含まない比較例1のカラーフィルター用青色インクジェットインクを得た。
また、実施例と同じ顔料分散液及びバインダー組成物を用いて、PB15:6顔料分散液46.8重量部及びPV23顔料分散液3.2重量部、及び、バインダー組成物30重量部、BCA5重量部を充分に混合した後、アルカン系溶剤をインク全量に対して15重量%となるように添加し、表3に示されるように溶剤の全量に対してBCAが85重量%以上含まれない比較例2のカラーフィルター用青色インクジェットインクを得た。
更に、実施例と同じ顔料分散液及びバインダー組成物を用いて、PB15:6顔料分散液46.8重量部及びPV23顔料分散液3.2重量部、及び、バインダー組成物30重量部を充分に混合した後、アルカン系溶剤をインク全量に対して20重量%となるように添加し、表3に示されるように溶剤の全量に対してBCAが85重量%以上含まれない比較例3のカラーフィルター用青色インクジェットインクを得た。
[評価]
1.インクの粘度
23℃で、回転振動型粘度計(VM-1G、山一電機社製)を用い測定した。
2.インクの基材表面に対する接触角
ガラス基板上に光触媒含有の濡れ性可変層を下記のように形成し、濡れ性の異なる基材上でのインクの接触角を測定した。
(1)光触媒含有濡れ性可変層の形成
[濡れ性可変層用組成物]
イソプロピルアルコール30gとフルオロアルキルシランが主成分であるMF−160E(トーケムプロダクツ(株)製)0.4gとテトラメトキシシラン(GE東芝シリコーン製TSL8114)3gと、光触媒である酸化チタン水分散体であるST−K01(石原産業(株)製)20gとを混合し、100℃で20分間攪拌した。これをイソプロピルアルコール(純正化学製)により3倍希釈し濡れ性可変層用組成物とした。
[濡れ性可変層作製]
上記組成物を上記遮蔽部パターンが形成されたガラス基板上に遮蔽部を覆うようにスピンコートにより塗布し、150℃で10分間の乾燥処理を行うことにより、透明な濡れ性可変層(0.2μm)を形成した。
[濡れ性変化:露光]
光触媒含有濡れ性可変層に超高圧水銀ランプを用いて、365nmの波長で35.5mW/cm2の照度を300秒間、遮蔽部が形成されている側(表面)から照射し露光することにより、濡れ性を変化させた部位を形成した。濡れ性可変層は、非露光部は撥液性部となり、露光部は親液性部となる。
(2)濡れ性変化させた部位の表面自由エネルギー測定
非露光部の濡れ性を変化させていない撥液性部、及び露光を行った濡れ性を変化させた親液性部の表面自由エネルギーを測定した。JIS K6768に規定する濡れ性試験において示された標準液を用い、液滴を接触させて30秒後の接触角(θ)を測定し、ジスマンプロットのグラフにより求めた臨海表面張力を固体の表面エネルギーとした。その結果、濡れ性を変化させていない撥液性部は30mN/m、露光を行った濡れ性を変化させた親液性部は100mN/mであった。
(3)インクの接触角測定
非露光である、濡れ性を変化させていない撥液性部及び、露光を行った濡れ性を変化させた親液性部位に3μLインクを滴下し、30秒後のインクの接触角をθ/2法で測定した。測定機器としては、協和界面科学社製のDrop06Masterを用いた。
3.インクジェット吐出性
[吐出安定性の試験]
インクジェットヘッドにインクを充填し当該ヘッドから吐出して、上述と同様に光触媒含有濡れ性可変層を設けて所定のパターン状に露光したガラス製透明基板の画素部形成領域の中心部に、ドロップ径30μmで滴下した。さらに、初期吐出を停止してヘッドを30分間静止させた後、同じヘッドから別の画素部形成領域の中心部に、ドロップ径30μmで滴下した。このような間歇吐出において、最初に吐出動作を行った時の吐出性(初期吐出性)と、その後に再吐出を行った時の吐出性(間歇吐出安定性)を観察し、下記基準に従って評価した。
[初期吐出性の評価基準]
○:ヘッドの全部の穴(オリフィス)からインクを吐出することが可能である。
△:ヘッドにインクの出ない穴が一部ある。
×:ヘッドのほとんどの穴からインクが出ない。
[間歇吐出安定性の評価基準]
○:ヘッドの全部の穴からインクを再吐出することが可能である。
△:ヘッドにインクの出ない穴が一部ある。
×:ヘッドのほとんどの穴からインクが出ない。
4.インクの濡れ広がり性
ブラックマトリックス近傍における濡れ広がり性を簡易的に見る方法として、以下を行なった。
(1)パターニングしたBMの作製
厚み0.7mmで10cm×10cmのガラス基板(NHテクノガラス製NA−35)上にカーボンブラックを含有するDN−83(東京応化(株)製)をスピンコートにより塗布し、80℃3分間乾燥後、10mm×10mmを遮蔽したパターンを有する石英ガラスのマスクをDN−83塗布面上部に100μmのギャップを開けて設置し、マスク上部から超高圧水銀ランプにおいて365nmで35.5mW/cm2の波長を10秒間照射した。現像後、230℃のオーブン中で30分焼成することで、BM膜厚1.2μm、10mm×10mmの開口部を有する遮蔽部パターンを作製した。
(2)光触媒を含む濡れ性変化層の作製
上記「2.インクの基材表面に対する接触角」において用いたのと同じ濡れ性可変層用組成物を、上記遮蔽部パターンが形成されたガラス基板上に、遮蔽部を覆うようにスピンコートにより塗布し、150℃で10分間の乾燥処理を行うことにより、透明な濡れ性変化層(0.2μm)を形成した。
(3)濡れ性変化
光触媒含有濡れ性可変層に超高圧水銀ランプを用いて、365nmの波長で35.5mW/cm2の照度で300秒間、遮蔽部が形成されていない側(裏面)から露光を行い、10mm×10mmの開口部領域のみ濡れ性を変化させた部位を形成した。非露光部(撥液性)位及び、露光部(親液性部)位の41mN/mの濡れ性標準試薬(純正化学製)の接触角を測定したところ、撥液性部おいては、60〜70°であり、親液性部は5°以下であった。
(4)インクの濡れ広がり性の評価
濡れ性を変化させた10mm×10mm(面積100mm)の親液性部領域中央に各アルカンを添加したインクをマイクロピペット(GILSON社製pipetman−P)で1.5μL滴下し、水平に30秒間放置した後の濡れ広がりを観察した。濡れ広がり面積が親液性部領域100mmに対して90%以上の場合○、70〜90%の場合△、70%以下のものを×とした。
Figure 0004742648
*1)顔料分散液やバインダー成分等は固形分のみの重量部を表示し、インク中に含まれる溶剤は全て最下段に計上した。
表3の結果より、溶剤の組成が規定の範囲となるようにアルカン系溶剤を添加した実施例のインクは、インクの濡れ広がり性に優れ、インクジェット吐出性も良好であった。一方、アルカン系溶剤を添加していない比較例1のインクは、濡れ広がり性が劣っていた。また、アルカン系溶剤が多すぎて溶剤の組成が規定の範囲である比較例2と比較例3のインクは、インクの吐出安定性に劣り、更にインクの濡れ広がり性に劣っていた。また、溶剤の組成が規定の範囲となるようにアルカン系溶剤を添加した実施例のインクは、濡れ性の異なる基材上でのインクの接触角についても問題が無く、濡れ性の異なる基材に対しても好適に用いることができることがわかった。
(実施例6:カラーフィルター用赤色インクジェットインクの調製)
(1)顔料分散液の調製
各顔料、顔料分散剤、及び有機溶剤を下記の割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて4時間分散し、PR254(C.I.ピグメントレッド254)顔料分散液及びPR177(C.I.ピグメントレッド177)顔料分散液を調製した。
[顔料分散液の組成]
・各顔料:10重量部
・顔料分散剤(Disperbyk161(ビックケミー・ジャパン製)(溶剤BCA中に固形分30重量%)):10重量部
・顔料分散補助剤(N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート共重合体((溶剤BCA中に固形分30重量%))):10重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):70重量部
(2)インクの調製
上記調製したPR254顔料分散液68.85重量部及びPR177顔料分散液6.15重量部、及び、実施例1と同じバインダー組成物20重量部とBCA5重量部を充分に混合した。その後、n−ドデカンを5重量部添加し、表4に示される配合割合の実施例6のカラーフィルター用赤色インクジェットインクを得た。
(比較例4:カラーフィルター用赤色インクジェットインクの調製)
実施例6と同じ顔料分散液及びバインダー組成物を用いて、PR254顔料分散液68.85重量部及びPR177顔料分散液6.15重量部、及びバインダー組成物20重量部とBCA10重量部を充分に混合し、アルカン系溶剤を含まない表4に示される配合割合の比較例4のカラーフィルター用赤色インクジェットインクを得た。
Figure 0004742648
(実施例7:カラーフィルター用緑色インクジェットインクの調製)
(1)顔料分散液の調製
各顔料、顔料分散剤、及び有機溶剤を下記の割合で混合し、直径0.3mmのジルコニアビーズを500重量部加え、ペイントシェーカー(浅田鉄鋼社製)を用いて4時間分散し、PG36(C.I.ピグメントグリーン36)顔料分散液、PG7(C.I.ピグメントグリーン7)顔料分散液、PY138(C.I.ピグメントイエロー138)顔料分散液及びPY150(C.I.ピグメントイエロー150)顔料分散液を調製した。
[顔料分散液の組成]
・各顔料:10重量部
・顔料分散剤(Disperbyk161(ビックケミー・ジャパン製)(溶剤BCA中に固形分30重量%)):10重量部
・顔料分散補助剤(N−フェニルマレイミド/ベンジルメタクリレート共重合体(溶剤BCA中に固形分30重量%)):10重量部
・BCA(ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート):70重量部
(2)インクの調製
上記調製したPG36顔料分散液19.25重量部、PG7顔料分散液13.65重量部、PY138顔料分散液24.64重量部及びPY150顔料分散液12.46重量部、及び、実施例1と同じバインダー組成物22重量部とBCA3重量部を充分に混合した。その後、n−ドデカンを5重量部添加し、表5に示される配合割合の実施例7のカラーフィルター用緑色インクジェットインクを得た。
(比較例5:カラーフィルター用緑色インクジェットインクの調製)
実施例4と同じ顔料分散液及びバインダー組成物を用いて、PG36顔料分散液19.25重量部、PG7顔料分散液13.65重量部、PY138顔料分散液24.64重量部及びPY150顔料分散液12.46重量部、及び、バインダー組成物22重量部とBCA8重量部を充分に混合し、アルカン系溶剤を含まない表5に示される配合割合の比較例5のカラーフィルター用緑色インクジェットインクを得た。
Figure 0004742648
(実施例8:カラーフィルターの作製)
厚み0.7mmで10cm×10cmのガラス基板(旭硝子(株)製)上に、ブラックマトリックス用硬化性樹脂組成物を用いてフォトリソグラフィー法により線幅20μm、膜厚1.2μmのブラックマトリックスパターンを形成した。
上記基板のブラックマトリックスにより区画された青色画素形成部に、実施例1の青色インクジェットインクをインクジェット方式によって、正確且つ均一に付着させた。次に、同じ基板の緑色画素形成部に、実施例7の緑色用インクジェットインクをインクジェット方式によって正確且つ均一に付着させた。次に、同じ基板の赤色画素形成部に、実施例6の赤色用インクジェットインクをインクジェット方式によって正確且つ均一に付着させた。
その後、120秒間10Torrで減圧乾燥を行い、更に、80℃のホットプレート上で10分間プリベークを行った。その後、クリーンオーブン内で、200℃で30分加熱してポストベークを行い、更に230℃で30分加熱してポストベークを行って、基板上に乾燥硬化後の平均膜厚が1.8μmのRGB3色の画素パターンを形成した。
RGB画素パターンを形成した基板を、IPAに5分間浸漬させ、次いでIPA蒸気にて乾燥を行ない洗浄した後、基板設定温度200℃にて、6×10−3Torrの真空下でITO(酸化インジウムスズ)電極を120nmの厚さになるように成膜した。このITO成膜を行った基板を更にIPAに5分間浸漬し、IPAで蒸気洗浄を行った後、ポリイミドをスピンコートし、180℃、60分間の焼成を行って配向膜を形成し、カラーフィルターを得た。
得られたカラーフィルターの色度座標を表6に示す。
Figure 0004742648
また、得られた画素の透過写真を図5に示す。図5に示されるように、画素の隅までインクが濡れ広がり、色抜けがない画素が形成されることが明らかになった。
(比較例6:カラーフィルターの作製)
青色インクジェットインクとして、比較例1の青色インクジェットインク、緑色インクジェットインクとして、比較例5の緑色インクジェットインク、赤色インクジェットインクとして、比較例4の赤色インクジェットインクを用いた以外は、実施例8と同様にして基板上にRGB3色の画素パターンを形成し、同様にカラーフィルターを製造した。
アルカン系溶剤が含まれないインクを用いた比較例6の画素の色度座標を表7に示す。
また、得られた画素の透過写真を図5に実施例8と併せて示す。図5に示されるように、画素の隅までインクが濡れ広がらず、画素の隅に色抜けが発生してしまった。
Figure 0004742648
表6と表7を比較すると、アルカン系溶剤を添加した実施例8においては、添加しない比較例7と比べて、RGBの画素のいずれもY(輝度)が5.6%も向上することが明らかになった。
本発明に係るインクジェットインクを用いてカラーフィルターを製造する方法の説明図である。 本発明に係るインクジェットインクを用いてカラーフィルターを製造する別の方法を説明する図である。 本発明に係るインクジェットインクを用いてカラーフィルターを製造する方法の他の例を説明する図である。 インクのオリフィス表面への濡れ広がり及びインク滴の飛行曲がりを説明する図である。 実施例8と比較例6で得られたカラーフィルターの画素の透過写真である。
符号の説明
1…透明基板
2…遮光部
3…撥インキ性凸部
4…画素部形成領域
5…インクジェットヘッド
6…インキ層
7…画素部
8…保護膜
9…光触媒含有層
10…フォトマスク
11…露光部
12…光線
13…オリフィス
14…インク滴
101、102…カラーフィルター

Claims (8)

  1. 少なくともバインダー成分、顔料、及び、溶剤からなり、前記溶剤が、主溶剤として沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分を溶剤の全量に対して85重量%以上の割合で含有し、更に炭素数9〜14のアルカン系溶剤を、インク全量に対して0.1〜10重量%含有することを特徴とする、カラーフィルター用インクジェットインク。
  2. 前記アルカン系溶剤の20℃での表面張力が28mN/m以下であることを特徴とする、請求項1に記載のカラーフィルター用インクジェットインク。
  3. 前記アルカン系溶剤がN−デカン及びN−ドデカンから選ばれることを特徴とする、請求項1又は2に記載のカラーフィルター用インクジェットインク。
  4. 前記主溶剤が、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル、アジピン酸ジエチル、シュウ酸ジブチル、マロン酸ジメチル、マロン酸ジエチル、コハク酸ジメチル、及びコハク酸ジエチルよりなる群から選択される1種以上であることを特徴とする、請求項1乃至3のいずれかに記載のカラーフィルター用インクジェットインク。
  5. 顔料及び顔料分散剤を、主溶剤として沸点が180℃〜260℃で且つ常温での蒸気圧が0.5mmHg以下の溶剤成分を含有する分散体調製溶剤に混合して顔料分散体を調製する工程と、
    得られた当該顔料分散体、バインダー成分及びその他の成分を、新たに用意した前記主溶剤及び炭素数9〜14のアルカン系溶剤の混合溶剤に混合するか、又は新たに用意した前記主溶剤に混合後、炭素数9〜14のアルカン系溶剤を添加することにより、溶剤全量に占める前記主溶剤の配合割合が85重量%以上、インク全量に対する炭素数9〜14のアルカン系溶剤の配合割合が0.1〜10重量%になるように調節する工程を有することを特徴とする、カラーフィルター用インクジェットインクの製造方法。
  6. 基板上の所定領域に前記請求項1乃至4のいずれかに記載のカラーフィルター用インクジェットインクを、インクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成する工程と、
    前記インク層を硬化させて着色硬化層を形成する工程とを含むことを特徴とする、カラーフィルターの製造方法。
  7. 基板表面の所定領域内の濡れ性を選択的に変化させて、周囲と比べて親インク性の大きいインク層形成領域を形成する工程を更に含み、前記インク層形成領域に、前記請求項1乃至4のいずれかに記載のカラーフィルター用インクジェットインクをインクジェット方式によって選択的に付着させてインク層を形成することを特徴とする、請求項6に記載のカラーフィルターの製造方法。
  8. 前記請求項6又は7に記載のカラーフィルターの製造方法を用いてカラーフィルターを製造する工程と、当該製造されたカラーフィルターと液晶駆動側基板を対向させて組み立てる工程を有する、液晶表示装置の製造方法。
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