JP6344108B2 - 感光性樹脂組成物、これを硬化させてなる硬化物、ブラックマトリックス及び画像表示装置 - Google Patents

感光性樹脂組成物、これを硬化させてなる硬化物、ブラックマトリックス及び画像表示装置 Download PDF

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本発明は、感光性樹脂組成物、これを硬化させてなる硬化物、ブラックマトリックス及び画像表示装置に関するものである。詳しくは、特に基板への密着性に優れた感光性樹脂組成物と、その用途に関する。
ノートパソコンや液晶テレビ等に代表される液晶ディスプレイ(LCD)等の画像表示装置には画素及びブラックマトリックス(以下、BMと略記する場合がある。)を有するカラーフィルター、スペーサーなどが必要であり、デジタルカメラやカラーコピー機等の入力デバイスとして使用される電荷結合素子(CCD、CMOS)を代表する固体撮像素子のカラー化にもカラーフィルターが必要である。
現在一般に行われている顔料分散法による画素の形成方法においては、先ず感光性樹脂組成物をガラス基板やウェーハのような基板上に塗布し、次いでプリベークを行い膜を形成した後、所定のマスクを通して紫外線を照射し、照射部分を硬化し、アルカリ現像処理により未照射部分を取り除き、更に200℃以上の温度で熱処理を行うことにより、着色した硬化膜(着色画素)を得ている。この方法は、紫外線照射により、光重合開始剤が活性ラジカルを生成し、これが光重合性化合物を攻撃し、重合反応を誘発するという原理を応用したものである。つまり、活性ラジカルが存在し、初めて重合が開始される。
これらの画像表示装置や固体撮像素子に用いられている感光性樹脂組成物は、装置そのものの軽薄短小化に伴い、微細化、薄膜化の要求が高まっており、組成物中の樹脂成分の低減や有機下地膜を省くことが検討されている。また、高遮光度や高色濃度再現も要求され、色材濃度もますます高くなってきている。そのため、感度低下や、それに伴う基板への密着の低下が起こり、光重合開始剤など、さまざまな方法での改善が試みられている。
紫外線を照射したときに、共存する色材も紫外線を吸収するために、色材の含有量が多くなると、活性ラジカルの生成が妨げられ、硬化不足となり、基板との密着性が低下する。一方、活性ラジカルの発生を増やすために光重合開始剤の量を増加させると、表層部の開始剤によって紫外線が吸収されてしまい、内部まで紫外線が届かず、硬化不足の改善が十分ではない。
さらに近年、市場では省エネルギー化の為に、BMの線幅をますます細くして輝度を上げる検討が行われている。また、液晶パネル作成時における製造工程を減らすために、従来の額縁部をBMで作成し、その上にシール剤を塗布して、TFT基板を張り合わせるなどの検討も行われている。また、増大する海外向けへの輸送時や、高温・高湿の環境下におけるBMの基板密着性が要求される。
BMの微細化、薄膜化の状況の中、室温下、さらには高温度、高湿度下における基板密着性への要求が高まりつつある中、画素やBMの基板への密着を改善する方法として、感光性樹脂組成物に密着向上剤を添加する方法が検討されており、例えば特許文献1には、エポキシ、(メタ)アクリル、ビニルなどのシランカップリング剤を用いることで、BMの密着性を改善することが記載されている。また、特許文献2には、2級、3級アミン系、ケチミン系、イソシアネート系のシランカップリング剤を用いることで現像密着性を改善することが記載されている。
特開平10−133370号公報 特開2008−129463号公報
本発明者らが鋭意検討を重ねた結果、特許文献1や2に記載されている密着向上剤では、高色材濃度の場合や、高微細化の場合には、室温下及び高温高湿下における基板密着性が実用上十分ではないことが見出された。
そこで本発明は、高色材濃度の場合や、高微細化の場合において、室温下及び高温高湿下における基板密着性が良好となる、感光性樹脂組成物を提供することを目的とする。
本発明者らは前記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、感光性樹脂組成物に、特定の有機ケイ素化合物を含有させることにより、上記課題を解決することができることを見出した。
即ち、本発明は以下を要旨とする。
[1] アルカリ可溶性樹脂(a)、光重合性モノマー(b)、光重合開始剤(c)、色材(d)、分散剤(e)及び有機ケイ素化合物(f)を含む感光性樹脂組成物であって、
有機ケイ素化合物(f)が、少なくとも下記一般式(1)で表される構造を有する有機ケイ素化合物(f−1)を含有することを特徴とする感光性樹脂組成物。
Figure 0006344108
(上記式中、R1は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基である。Raは下記式(1−1)で表される基である。*は結合手である。)
Figure 0006344108
(上記式中、R2及びR3はそれぞれ独立に炭素数1〜8のアルキレン基であり、R4は水素原子又はメチル基である。*はSi原子との結合手である。)
[2] 有機ケイ素化合物(f−1)が、下記一般式(2)で表される有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする、[1]に記載の感光性樹脂組成物。
Figure 0006344108
(上記式中、R1及びRaは前記一般式(1)と同義である。式中に複数含まれるR1同士は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
[3] 有機ケイ素化合物(f−1)が、下記一般式(3)で表される有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする、[1]又は[2]に記載の感光性樹脂組成物。
Figure 0006344108
(上記式中、R1及びRaは前記一般式(1)と同義である。また、nは2〜10の整数を表す。式中に複数含まれるR1及びRa同士は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
[4] 光重合性モノマー(b)が下記一般式(b1)〜(b4)の少なくともいずれかで表される化合物を含むことを特徴とする、[1]〜[3]の何れかに記載の感光性樹脂組成物。
Figure 0006344108
(上記式中、Rbは下記式(b5)に示す基であり、R9は炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数7〜10のアリーレンアルキレン基、又は炭素数6〜10のアリーレン基である。)
Figure 0006344108
(上記式中、R6は主鎖の炭素数が2〜6の分岐があってもよいアルキレン基を表し、R7は水素原子又はメチル基を表す。mは0〜3の整数を表す。mが2又は3の場合、複数のR6は同じであっても異なっていてもよい。)
[5] 光重合開始剤(c)が、オキシムエステルであることを特徴とする、[1]〜[4]の何れかに記載の感光性樹脂組成物。
[6] 色材(d)が黒色色材であることを特徴とする、[1]〜[5]の何れかに記載の感光性樹脂組成物。
[7] 色材(d)の含有量が全固形分量に対して40質量%以上であることを特徴とする、[1]〜[6]の何れかに記載の感光性樹脂組成物。
[8] 分散剤(e)が塩基性官能基を有する高分子分散剤であることを特徴とする、[1]〜[7]の何れかに記載の感光性樹脂組成物。
[9] アルカリ可溶性樹脂(a)が、エチレン性不飽和基を含有することを特徴とする、[1]〜[8]の何れかに記載の感光性樹脂組成物。
[10] アルカリ可溶性樹脂(a)が、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂を含有することを特徴とする、[9]に記載の感光性樹脂組成物。
[11] 前記カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂が、下記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−1)及び/又は下記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−2)を含有することを特徴とする、[10]に記載の感光性樹脂組成物。
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−1):エポキシ樹脂に、α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多塩基酸及び/又はその無水物を反応させることによって得られたエポキシ(メタ)アクリレート樹脂
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−2):エポキシ樹脂に、α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多価アルコールと、多塩基酸及び/又はその無水物と反応させることによって得られたエポキシ(メタ)アクリレート樹脂
[12] [1]〜[11]の何れかに記載の感光性樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
[13] [12]に記載の硬化物からなるブラックマトリックス。
[14] 膜厚1μmあたりの光学濃度が4.0以上であることを特徴とする、[13]に記載のブラックマトリックス。
[15] [13]又は[14]に記載のブラックマトリックスを用いて作製された画像表示装置。
本発明によれば、高色材濃度の場合や、高微細化の場合において、室温下及び高温高湿下における基板密着性が良好となる、感光性樹脂組成物を提供することができる。
本発明のカラーフィルターを備えた有機EL素子の一例を示す断面概略図である。
以下、本発明の実施の形態を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更して実施することができる。
なお、本発明において、「(メタ)アクリル」とは「アクリル及び/又はメタクリル」を意味し、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリロイル」についても同様である。
本発明において「全固形分」とは、感光性樹脂組成物中又は後述するインク中に含まれる、溶剤以外の全成分を意味するものとする。
本発明において、重量平均分子量とは、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)をさす。
また、本発明において、「アミン価」とは、特に断りのない限り、有効固形分換算のアミン価を表し、分散剤の固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの重量で表される値である。なお、測定方法については後述する。
[感光性樹脂組成物]
本発明の感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(a)、光重合性モノマー(b)、光重合開始剤(c)、色材(d)、分散剤(e)及び有機ケイ素化合物(f)を含む感光性樹脂組成物であって、有機ケイ素化合物(f)が下記式(1)で表される構造を有する有機ケイ素化合物(f−1)を含有することを特徴とする。
Figure 0006344108
上記式中、R1は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基である。Raは下記式(1−1)で表される基である。*は結合手である。
Figure 0006344108
上記式中、R2及びR3はそれぞれ独立に炭素数1〜8のアルキレン基であり、R4は水素原子又はメチル基である。*はSi原子との結合手である。
本発明の感光性樹脂組成物は更に、分散助剤、多官能チオール化合物を含有していてもよく、必要に応じて、更にその他の密着向上剤、塗布性向上剤、現像改良剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤等、その他の配合成分を含んでいてもよく、通常、各配合成分が、有機溶剤に溶解又は分散した状態で使用される。
本発明の特徴の1つは、感光性樹脂組成物が有機ケイ素化合物(f)を含有することにある。まず、有機ケイ素化合物(f)について説明する。
<有機ケイ素化合物(f)>
本発明における有機ケイ素化合物(f)は少なくとも下記式(1)で表される構造を有する有機ケイ素化合物(f−1)を含有する。
Figure 0006344108
上記式中、R1は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基である。Raは下記式(1−1)で表される基である。*は結合手である。
Figure 0006344108
上記式中、R2及びR3はそれぞれ独立に炭素数1〜8のアルキレン基であり、R4は水素原子又はメチル基である。*はSi原子との結合手である。
前記一般式(1)のR1における、炭素原子数1〜8のアルキル基は、直鎖状でも分岐状でも、環状でもよい。取扱い易さや反応性の観点から、炭素数は4以下であることが好ましく、3以下であることがより好ましい。
例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。これらの中でも、反応性の観点から、メチル基、エチル基、プロピル基、又はブチル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましい。
また前記一般式(1−1)のR2及びR3における、炭素原子数1〜8のアルキレン基は、直鎖状でも分岐状でも、環状でもよい。取扱い易さや反応性の観点から、炭素数は通常1以上であり、2以上であることが好ましく、また、6以下であることが好ましく、4以下であることがより好ましい。
例えば、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,2−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,2−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、シクロヘキシレン基、メチレンシクロヘキシレン基などがあげられる。これらの中でも、取扱い易さや反応性の観点から、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,2−プロピレン基、1,4−ブチレン基、又は1,2−ブチレン基が好ましく、エチレン基、1,3−プロピレン基、又は1,2−プロピレン基がより好ましい。
前記一般式(1)で表される構造を有する有機ケイ素化合物としては、例えば、下記一般式(2)で表される有機ケイ素化合物の単量体が挙げられる。
Figure 0006344108
上記式中、R1及びRaは前記一般式(1)と同義である。式中に複数含まれるR1同士は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
前記一般式(2)の単量体自身も前記一般式(1)の構造を有するが、該単量体同士のオリゴマーや、該単量体と他の構造を有する有機ケイ素化合物とのオリゴマーも、前記一般式(1)の構造を有するものとすることができる。
前記一般式(1)で表される構造を有する有機ケイ素化合物(f−1)としては、以下4つの実施形態を挙げることができる。
・実施形態1:前記一般式(2)の単量体を含む有機ケイ素化合物。
・実施形態2:前記一般式(2)の単量体同士のオリゴマーを含む有機ケイ素化合物。
・実施形態3:前記一般式(2)の単量体と、前記一般式(2)以外の単量体とのオリゴマーを含む有機ケイ素化合物。
・実施形態4:実施形態2のオリゴマーと前記一般式(2)以外の単量体とのオリゴマーを含む有機ケイ素化合物。
<実施形態1の有機ケイ素化合物>
実施形態1の有機ケイ素化合物(f−1)は、下記一般式(2)で表される単量体を含む有機ケイ素化合物である。
Figure 0006344108
上記式中、R1及びRaは前記一般式(1)と同義である。式中に複数含まれるR1同士は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
前記一般式(2)で表される単量体は、下記一般式(2−1)で表されるイソシアネート基を有する有機シラン化合物と、下記一般式(2−2)で表される水酸基を有する(メタ)アクリロイルオキシ化合物とを触媒の存在下でウレタン化反応させる公知の方法で得ることができる。
(R1O)3Si−R2−N=C=O (2−1)
(上記式中、R1及びR2は前記一般式(1)及び(1−1)と同義である。)
HO−R3−O−CO−CR4=CH2 (2−2)
(上記式中、R3及びR4は前記一般式(1−1)と同義である。)
この反応における触媒としては、例えばジブチルスズマレート、トリブチルスズアセテ−ト、ジメチルスズジクロリド、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズジラウレート等の有機スズ化合物;N−メチルモルホリン、トリエチルアミン、N−メチルピペリジン、N、N−ジメチルシクロヘキシルアミン、ピリジン等の第3級アミンが有用であり、その添加量は、前記一般式(2−1)のシラン化合物に対し、0.001〜1質量%、特に、0.01〜0.1質量%が好ましい。反応温度は、0〜50℃が好ましく、20〜40℃がより好ましい。反応時間は1〜24時間の間で適宜選択することができる。上記の反応は、通常無溶媒で良いが、必要に応じ、例えば、ヘキサン、シクロヘキサン、ベンゼン、トルエン、キシレン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル等の有機溶媒を用いてもよい。
前記一般式(2)で表される単量体の具体例としては、以下のものが挙げられるが、その他、前記一般式(2)を満足するものであれば特に限定されない。
Figure 0006344108
ただし、実施形態1の単量体は、前記一般式(2)を満足する複数種類の単量体の混合物であっても良い。また、実施形態1の有機ケイ素化合物は単量体を主成分とするものであることが好ましいが、保存時の経時などにより、水分や熱の影響を受けて一部オリゴマー化したものを含んでいてもよい。実施形態1の有機ケイ素化合物(f)は、本願の効果に影響を及ぼさない範囲で、前記一般式(2)以外の構造を有する単量体を含んでいてもよい。
実施形態1において、有機ケイ素化合物(f−1)に対する前記一般式(2)で表される単量体の含有割合は、好ましくは10モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは65モル%以上、特に好ましくは80モル%以上、また通常100モル%以下である。前記下限値以上とすることで、基板との密着を良好にできる傾向がある。
また、有機ケイ素化合物(f)に対する前記一般式(2)で表される単量体の含有割合は、好ましくは10モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは65モル%以上、特に好ましくは80モル%以上、また通常100モル%以下である。前記下限値以上とすることで、基板との密着を良好にできる傾向がある。
<実施形態2の有機ケイ素化合物>
実施形態2の有機ケイ素化合物(f−1)は、下記一般式(3)で表されるオリゴマーを含む有機ケイ素化合物である。
Figure 0006344108
上記式中、R1及びRaは前記一般式(1)と同義である。また、nは2〜10の整数を表す。式中に複数含まれるR1及びRa同士は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。
基板との良好な密着性を得るには、nは2〜8の整数であることが好ましく、2〜5の整数であることがさらに好ましい。前記一般式(3)で表されるオリゴマーは、実施形態1で述べた前記一般式(2)で表される単量体を加水分解、加熱などの一般的方法でオリゴマー化することにより得られる。詳細については後に述べる。
実施形態2における有機ケイ素化合物(f−1)は、前記一般式(3)で表されるオリゴマーだけでなく、前記一般式(2)で表される単量体を含んでも良い。また、実施形態2における有機ケイ素不化合物(f)は、前記一般式(2)以外の単量体や、前記一般式(3)以外のオリゴマーを、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲で含んでいても良い。
実施形態2における有機ケイ素化合物(f−1)は、前記一般式(2)で表される単量体と前記一般式(3)で表されるオリゴマーを両方含有する場合が好ましい。その理由としては、単量体のみでは、カラーフィルター作成時の高温処理で揮発減少してしまう場合があるが、オリゴマーのみでは高温処理によってオリゴマー同士がさらに加水分解して多量体化し、分子量が大きくなることでアルカリ現像時に基板に残渣として残りやすくなる傾向があるからである。
前記一般式(3)で表されるオリゴマーの具体例としては、以下のものが挙げられるが、前記一般式(3)で表される構造を満たすものであれば、特に限定されない。
Figure 0006344108
実施形態2の有機ケイ素化合物(f)は、密着効果に影響を及ぼさない範囲で、その他の単量体やオリゴマーを含有しても良い。
実施形態2において、有機ケイ素化合物(f−1)に対する前記一般式(3)で表されるオリゴマーの含有割合は、好ましくは10モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは65モル%以上、特に好ましくは80モル%以上、また通常100モル%以下である。前記下限値以上とすることで、基板との密着を良好にできる傾向がある。
また、有機ケイ素化合物(f)に対する前記一般式(3)で表されるオリゴマーの含有割合は、好ましくは10モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは65モル%以上、特に好ましくは80モル%以上、また通常100モル%以下である。前記下限値以上とすることで、基板との密着を良好にできる傾向がある。
また、有機ケイ素化合物(f−1)として、前記一般式(2)で表される単量体及び前記一般式(3)で表されるオリゴマーの両者を含む場合、有機ケイ素化合物(f)に対する、前記一般式(2)で表される単量体及び前記一般式(3)で表されるオリゴマーの含有割合の合計は、好ましくは10モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは65モル%以上、特に好ましくは80モル%以上、また通常100モル%以下である。前記下限値以上とすることで、基板との密着を良好にできる傾向がある。
また、前記一般式(2)で表される単量体に対する前記一般式(3)で表されるオリゴマーの含有質量の比率は、前記一般式(2)で表される単量体の含有質量:前記一般式(3)で表されるオリゴマーの含有質量=0.1:99.9〜99.9:0.1の範囲であることが好ましい。前記範囲内とすることで、基板密着性を良好にできる傾向がある。
また、前記一般式(3)で表されるオリゴマーの重量平均分子量は10000以下であることが好ましく、6500以下であることがより好ましく、3500以下であることがさらに好ましく、2000以下であることが特に好ましい。前記上限値以下とすることで、アルカリ現像時における基板への残渣を良好にすることができる傾向がある。
前記一般式(3)で表されるオリゴマーを得る方法については特に限定されないが、例えば前記一般式(2)で表される単量体を加水分解反応させることにより得られる。具体的には、アルコールやプロピレングルコールメチルエーテルアセテートなど、後に蒸留除去しやすい溶媒中に単量体を投入し、少量のシュウ酸などの酸を触媒として添加したり、イオン水を添加し、50〜150℃で1〜12時間加熱させたりすることによりオリゴマーが得られる。これらの加水分解反応は、一般的な公知の方法で行われ、たとえば特開2012−27480号公報の段落[0098]〜[0099]に述べられている方法や合成例で述べられている方法にて得ることができる。
<実施形態3の有機ケイ素化合物>
実施形態3の有機ケイ素化合物(f−1)は、前記一般式(2)で表される単量体と前記一般式(2)以外の単量体とのオリゴマー(以下、「共重合オリゴマー」と略記する場合がある)含む有機ケイ素化合物である。
実施形態3の有機ケイ素化合物(f−1)は例えば、前記一般式(2)で表される単量体と、前記一般式(2)以外の単量体とを、実施形態2で述べたような加水分解反応によりオリゴマー化する方法によって得られる。
前記一般式(2)で表される単量体に由来する前記一般式(1)の構造に加えて、前記一般式(2)以外の単量体に由来する構造を導入することにより、感光性樹脂組成物中のアルカリ可溶性樹脂、光重合性モノマー、光重合開始剤、色材、分散剤などとの相互作用や相溶性などを調整でき、前記一般式(1)の構造に起因する効果に加えて、さらなる密着性向上、感度向上、良好なパターン形状形成性向上などが得られる傾向がある。特に、アルカリ現像性の良い水酸基やカルボキシル基を有する単量体を用いて、該単量体に由来する構造を導入することにより、アルカリ現像残渣を改善することができる傾向がある。
前記一般式(2)以外の単量体の具体例としては、以下のような、ビニル基、エポキシ基、スチリル基、メタクリル基、アクリル基、1級、2級、3級アミノ基、ウレイド基、メルカプト基、イソシアネート基などを有するものが挙げられる。
Figure 0006344108
それ以外にも、エポキシ基、オキセタニル基、エピスルフィド基、ビニル基、アリル基、(メタ)アクリロイル基、カルボキシル基、ヒドロキシル基、メルカプト基、イソシアネート基、アミノ基、ウレイド基、スチリル基を有する単量体の具体例が特開2012−27480号公報の[0082]段落〜[0095]段落に記載されており、これらも実施形態3の単量体として用いることができる。
また、同公報中の[0096]段落〜[0097]段落に記載されている単量体も、本発明の効果に影響のない範囲で実施形態3の単量体として用いてもよい。
また、上述以外の単量体も本発明の効果に影響のない範囲で実施形態3の単量体として用いることもできる。
また、実施形態3の有機ケイ素化合物(f−1)は、前記一般式(3)で表されるオリゴマーを含んでいてもよく、また、前記一般式(2)で表される単量体を含んでいてもよい。さらに、本発明の密着効果などに影響を及ぼさない程度に、有機ケイ素化合物(f)がその他のシラン単量体を含有しても良い。
実施形態3において、有機ケイ素化合物(f−1)に対する、共重合オリゴマーの含有割合は、好ましくは10モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは65モル%以上、特に好ましくは80モル%以上、また通常100モル%以下である。前記下限値以上とすることで、基板との密着を良好にできる傾向がある。
また、有機ケイ素化合物(f)に対する、共重合オリゴマーの含有割合は、好ましくは5モル%以上、より好ましくは30モル%以上、さらに好ましくは50モル%以上、特に好ましくは65モル%以上、また通常100モル%以下である。前記下限値以上とすることで、基板との密着を良好にできる傾向がある。
実施形態3の共重合オリゴマーの重量平均分子量は、30000以下であることが好ましく、10000以下であることがより好ましく、5000以下であることがさらに好ましい。前記上限値以下とすることで、アルカリ現像時に基板に残渣が残ることを抑制できる傾向がある。
<実施形態4の有機ケイ素化合物>
実施形態4の有機ケイ素化合物(f−1)は、前記一般式(3)で表されるオリゴマーと前記一般式(2)以外の単量体とのオリゴマー(以下、「ブロックオリゴマー」と略記する場合がある)を含む有機ケイ素化合物である。
実施形態4の有機ケイ素化合物(f−1)は例えば、前記一般式(3)で表されるオリゴマーと、前記一般式(2)以外の単量体とを、実施形態2で述べたような加水分解反応によりオリゴマー化する方法によって得られる。
前記一般式(3)で表されるオリゴマーに由来する前記一般式(1)の構造に加えて、前記一般式(2)以外の単量体に由来する構造を導入することにより、実施形態3で述べたような、さらなる密着性向上、感度向上、良好なパターン形状形成性向上などが得られる傾向がある。特に、アルカリ現像性の良い水酸基やカルボキシル基を有する単量体を用いて、該単量体に由来する構造を導入することにより、アルカリ現像残渣を改善することができる傾向がある。
前記一般式(2)以外の単量体としては、実施形態3で述べた単量体を適用することができる。
また、実施形態4の有機ケイ素化合物(f−1)は、前記共重合オリゴマーを含んでいてもよく、前記一般式(3)で表されるオリゴマーを含んでいてもよく、また、前記一般式(2)で表される単量体を含んでいてもよい。さらに、本発明の密着効果などに影響を及ぼさない程度に、有機ケイ素化合物(f)がその他のシラン単量体などを含有しても良い。
実施形態4において、有機ケイ素化合物(f−1)に対する、ブロックオリゴマーの含有割合は、好ましくは10モル%以上、より好ましくは50モル%以上、さらに好ましくは65モル%以上、特に好ましくは80モル%以上、また通常100モル%以下である。前記下限値以上とすることで、基板との密着を良好にできる傾向がある。
また、有機ケイ素化合物(f)に対する、ブロックオリゴマーの含有割合は、好ましくは5モル%以上、より好ましくは30モル%以上、さらに好ましくは50モル%以上、特に好ましくは65モル%以上、また通常100モル%以下である。前記下限値以上とすることで、基板との密着を良好にできる傾向がある。
また、実施形態4のブロックオリゴマーの重量平均分子量は、20000以下であることが好ましく、8000以下であることがより好ましく、4000以下であることがさらに好ましい。前記上限値以下とすることで、アルカリ現像時に基板に残渣が残ることを抑制できる傾向がある。
また、実施形態1〜4において、感光性樹脂組成物中の有機ケイ素化合物(f)の含有割合は、全固形分中0.01質量%以上であることが好ましく、0.1質量%以上であることがより好ましく、また、25質量%以下であることが好ましく、20質量%以下であることがより好ましく、10質量%以下であることがさらに好ましく、5質量%以下であることが特に好ましい。前記下限値以上とすることで基板との密着を良好にできる傾向があり、また、前記上限値以下とすることでアルカリ現像時に基板に残渣が残ることを抑制できる傾向がある。
以上、実施形態1〜4を詳細に説明したが、有機ケイ素化合物(f−1)としては、実施形態1又は実施形態2の有機ケイ素化合物(f−1)が好ましく、特に前記一般式(3)で表されるオリゴマーと、前記一般式(2)で表される単量体との混合物であることが好ましい。
<(1)式構造のエチレン性不飽和基の多官能化>
前記一般式(1−1)におけるエチレン性不飽和基は、以下のように多官能化することもできる。多官能化した有機ケイ素化合物(f−1)を得る方法としては例えば、前記一般式(2)の単量体において、そのエチレン性不飽和基を多官能化した単量体を用いる方法が挙げられる。具体的には、下記一般式(2−1)と下記一般式(2−3)の化合物を用いて、実施形態1と同じ方法によって得ることができる。
(R1O)3Si−R2−N=C=O (2−1)
(上記式中、R1及びR2は前記一般式(1)及び(1−1)と同義である。)
X−Y−(O−CO−CR4=CH2m (2−3)
(上記式中、Xは水酸基、チオール基、1級アミノ基、又は2級アミノ基を表し、Yはm+1価の有機基を表し、R4は前記一般式(1−1)と同義である。mは2〜6の整数である)。
前記一般式(2−3)の化合物の具体例としては、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートなどが挙げられる。その他、前記一般式(2−3)を満たす化合物であれば適用することができる。
また、多官能化のその他の方法としては例えば、前記一般式(2)の単量体において、そのウレタン結合の窒素上の活性水素をエチレン性不飽和基と塩化アルキル基を有する化合物で脱塩化水素反応をする方法などが挙げられる。具体的には、ウレタン結合中のNHを、4−ビニルベンジルクロライドなどを付加させて、不飽和基をさらに加えても良い。その他さまざまな公知の一般的な方法を適用することができる。
<その他の有機ケイ素化合物>
上述のとおり、有機ケイ素化合物(f)は、少なくとも前記一般式(1)で表される構造を有する有機ケイ素化合物(f−1)を含有するものであるが、前記一般式(1)で表される構造を有さないその他の有機ケイ素化合物を含んでいてもよい。例えば、前記一般式(2)に類似する、下記式(4)又は(5)で表される単量体が挙げられる。
Figure 0006344108
上記式中、R1〜R4は前記式(2)と同義である。また、Rαは−S−基又は−NH−基を表す。
Figure 0006344108
上記式中、R1〜R4は前記式(2)と同義である。また、Rβは−O−基、−S−基又は−NH−基を表す。
前記一般式(4)で表されるシラン単量体は、下記一般式(4―1)で表されるイソシアネートを含有するシラン化合物と、下記一般式(4−2)又は(4−3)で表される(メタ)アクリロイルオキシ化合物とを、実施形態1で述べた公知の方法のように、触媒の存在下でチオウレタン反応又はウレア反応させることにより合成することができる。
(R1O)3Si−R2−N=C=O (4−1)
(上記式中、R1及びR2は前記一般式(4)と同義である。)
HS−R3−O−CO−CR4=CH2 (4−2)
2N−R3−O−CO−CR4=CH2 (4−3)
(上記式中、R3及びR4は前記一般式(4)と同義である。)
一方で、前記一般式(5)で表されるシラン単量体は、下記一般式(5−1)で表わされるイソシアネート基を含んだ(メタ)アクリロイルオキシ化合物と、下記一般式(5−2)〜(5−4)のいずれかのシラン化合物とを、実施形態1で述べた公知の方法のように、触媒の存在下でウレタン反応、チオウレタン反応、又はウレア反応させることにより合成することができる。
CH2=CR4−CO−O−R3−N=C=O (5−1)
(上記式中、R3及びR4は前記一般式(5)と同義である。)
(R1O)3Si−R2−OH (5−2)
(R1O)3Si−R2−SH (5−3)
(R1O)3Si−R2−NH2 (5−4)
(上記式中、R1及びR2は前記一般式(5)と同義である)
これらの中でも、一般式(4)で表されるシラン単量体が好ましい。
その理由としては、イソシアネートと反応するチオール基、1級アミノ基、2級アミノ基などの官能基を含んだ(メタ)アクリロイルオキシ化合物におけるこれらの官能基が、イソシアネート基を有するシラン化合物の該イソシアネート基との反応によるウレタン結合が選択的に形成されやすく、(メタ)アクリロイルオキシ基中の不飽和基との反応が起こりにくく合成されやすいこと、さらにはこの構造が密着性向上に効果的であることなどがあげられる。また、イソシアネート基と反応するチオール基、1級アミノ基、2級アミノ基などの官能基を有する(メタ)アクリロイルオキシ化合物のこれらの官能基が、チオール基やアミノ基などの場合、カラーフィルターを製造する際のアルカリ現像時に基板に残留物として残りにくいことや、前記一般式(4)中のウレタン結合部位が、基板との密着性向上に特に効果的に働くと考えられるからである。
前記一般式(4)、又は(5)のシラン単量体は単独で用いてもよく、複数種類の単量体を混合した単量体の混合物として用いてもよい。また、これらの単量体を加水分解してオリゴマーを得てそれを用いても良い。これらは、その他のアルコキシシラン単量体やオリゴマーと混合して用いても良い。また、前記一般式(4)、又は(5)式の単量体と、その他のアルコキシシラン単量体とを加水分解してオリゴマーを得てそれを用いても良い。
前記一般式(4)、又は(5)のシラン単量体も、実施形態2、3、4と同様の形態にして用いてもよい。
<高温高湿度下での基板密着効果>
前記一般式(1)の構造により、特に高温高湿度下において基板と硬化膜との密着向上との効果をもたらすが、その作用は以下のとおりと考えられる。
まず、シラン部位を有することにより、そのシラノール基が基板の極性基と水素結合などの相互作用で吸着し、また、アルコキシ基も高湿下の水分の作用によって加水分解などによりシラノール基となって同様に吸着することで、基板との密着性が向上するものと考えられる。特に基板がガラス基板の時は、ガラス基板表面のシラノール基と水素結合し、また、高温下による脱水反応によっても強固な化学結合を形成するものと考えられる。
このような強固な結合は、カラーフィルター製造時の塗布乾燥処理時やアルカリ現像液処理時や200℃以上の高温加熱処理時において、高湿度高温度条件下で処理された場合や、カラーフィルター製造後においても高湿度高温度下での海外輸送時や使用時においても形成される。
また、前記一般式(1−1)中のウレタン結合部位は、感光性樹脂組成物中のアルカリ可溶性樹脂、光重合性モノマー、分散剤などに含まれるカルボキシル基、エステル基、エポキシアクリレート基などの極性基と、水素結合や電荷的な相互作用による結合を行うことによって、有機ケイ素化合物(f−1)を介して感光性樹脂組成物と基板とがより強固に密着すると考えられる。
特に光重合性モノマー中にエステル結合を有する場合や分散剤中にウレタン結合を有する場合には、特に、この効果が相乗的に向上する。
さらに前記一般式(1−1)中の不飽和基は、感光性樹脂組成物中のアルカリ可溶性樹脂や光重合性モノマー中の不飽和基と、カラーフィルター製造時の紫外線照射や高熱処理に架橋すると考えられる。特に感光性樹脂組成物中の光重合開始剤が、オキシムエステルのような高感度のものを含有する場合は、その効果が相乗的に向上すると考えられる。
このように、前記一般式(1)中のシラン部位、前記一般式(1−1)中のウレタン結合部位、及び不飽和基部位の相乗的な効果により、基板と感光性樹脂組成物との密着性が大きく向上するものと考えられる。
<室温下での基板密着効果>
前記一般式(1)の構造により、室温下でも基板と硬化膜との密着向上に効果を有するが、その作用は以下のとおりと考えられる。
シラン部位を有することによる基板表面との密着効果は、高温高湿度下における効果に比べると大きくはない傾向があるが、感光性樹脂組成物中に含まれる水分や、アルカリ現像水溶液で処理される時に基板表面や感光層に取り込まれる水分が、その後、200度以上の高温度でポストベークされることによって、加水分解され基板との密着力が向上する。また、ウレタン結合部位、及び不飽和基部位の相乗的な効果により、室温においても本願の有機ケイ素化合物によって基板と感光性組成物の密着性が大きく向上する。
<アルカリ可溶性樹脂(a)>
本発明の感光性樹脂組成物はアルカリ可溶性樹脂(a)を含む。アルカリ可溶性樹脂(a)は、これと光重合性モノマー(b)、光重合開始剤(c)、色材(d)及び有機ケイ素化合物(f)を含む感光性樹脂組成物を塗布、乾燥して得られる硬化膜を露光後、露光部と非露光部のアルカリ現像に対する溶解性が変化するようなものであれば特に限定されてないが、カルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂であるのが好ましい。また、エチレン性不飽和基を有するものが好ましく、エチレン性不飽和基とカルボキシル基を有するアルカリ可溶性樹脂が、更に好ましい。具体的には、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂やアクリル共重合樹脂が挙げられ、好ましいものとしてより具体的には、後述の(A1−1)、(A1−2)、(A2−1)、(A2−2)、(A2−3)及び(A2−4)として記載のものが挙げられ、これらは1種を用いても2種以上を用いてもよい。上記の中でも、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−1)、(A1−2)が特に望ましい。
カラーフィルター作成時、アルカリ現像液に非露光部が溶解するために、高分子樹脂として、水酸基、カルボキシル基、リン酸基、スルホン酸基などの酸性の官能基を有した高分子樹脂が適用される。これらの中でもアルカリ現像液に対する溶解性の観点から、カルボキシル基を有した高分子樹脂が好ましい。また、リン酸基やスルホン酸基は、カルボキシル基よりも酸性度は高いものの、感光性樹脂組成物中の塩基性基を有する開始剤、モノマー、分散剤、その他の添加剤などと反応しやすく、保存安定性が悪くなる場合がある。
また、前記一般式(1)で表される、ウレタン結合部位を有する有機ケイ素化合物(f−1)が、アルカリ可溶性樹脂におけるカルボキシル基等の極性基と、水素結合や電荷的な相互作用による結合をし、感光性樹脂組成物と基板との密着性をより向上させる傾向がある。
さらに、前記一般式(1)で表される、不飽和基を有する有機ケイ素化合物(f−1)は、アルカリ可溶性樹脂におけるエチレン性不飽和基と、カラーフィルター製造時の紫外線照射時や高熱処理時に互いに架橋し、さらに基板との密着性を向上させる傾向がある。
また、カルボキシル基とエチレン性不飽和基を有するアルカリ可溶性樹脂としてエポキシアクリレート樹脂を用いた場合には、この樹脂中の不飽和結合やカルボキシル基をより多く付加させることが可能となり、また、芳香環構造を多く含ませたり、立体的に嵩高い脂環式構造を含ませたりすることが可能となり、有機ケイ素化合物(f−1)との相互作用がさらに大きくなり、基板との密着性がより一層向上する傾向がある。
カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂としては、例えば、以下のエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−1)及び/又はエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−2)が挙げられる。
<エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−1)>
エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多塩基酸及び/又はその無水物を反応させることによって得られたアルカリ可溶性樹脂。
<エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−2)>
エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多価アルコール、及び多塩基酸及び/又はその無水物と反応させることによって得られたアルカリ可溶性樹脂。
(カルボキシル基とエチレン性不飽和基結合を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−1))
原料となるエポキシ樹脂として、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(例えば、三菱化学社製の「エピコート(登録商標。以下同じ。)828」、「エピコート1001」、「エピコート1002」、「エピコート1004」等)、ビスフェノールA型エポキシ樹脂のアルコール性水酸基とエピクロルヒドリンの反応により得られるエポキシ(例えば、日本化薬社製の「NER−1302」(エポキシ当量323,軟化点76℃))、ビスフェノールF型樹脂(例えば、三菱化学社製の「エピコート807」、「EP−4001」、「EP−4002」、「EP−4004等」)、ビスフェノールF型エポキシ樹脂のアルコール性水酸基とエピクロルヒドリンの反応により得られるエポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「NER−7406」(エポキシ当量350,軟化点66℃))、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビフェニルグリシジルエーテル(例えば、三菱化学社製の「YX−4000」)、フェノールノボラック型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「EPPN−201」、三菱化学社製の「EP−152」、「EP−154」、ダウケミカル社製の「DEN−438」)、(o,m,p−)クレゾールノボラック型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「EOCN(登録商標。以下同じ。)−102S」、「EOCN−1020」、「EOCN−104S」)、トリグリシジルイソシアヌレート(例えば、日産化学社製の「TEPIC(登録商標)」)、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂(例えば、日本化薬社製の「EPPN(登録商標。以下同じ。)−501」、「EPN−502」、「EPPN−503」)、脂環式エポキシ樹脂(ダイセル化学工業社製の「セロキサイド(登録商標。以下同じ。)2021P」、「セロキサイドEHPE」)、ジシクロペンタジエンとフェノールの反応によるフェノール樹脂をグリシジル化したエポキシ樹脂(例えば、大日本インキ社製の「EXA−7200」、日本化薬社製の「NC−7300」)、下記一般式(a1)〜(a4)で表されるエポキシ樹脂、等を好適に用いることができる。具体的には、下記一般式(a1)で表されるエポキシ樹脂として日本化薬社製の「XD−1000」、下記一般式(a2)で表されるエポキシ樹脂として日本化薬社製の「NC−3000」、下記一般式(a4)で表されるエポキシ樹脂として新日鐵化学社製の「ESF−300」等が挙げられる。
Figure 0006344108
上記一般式(a1)において、b11は平均値を示し0〜10の数を示す。R11は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、又はビフェニル基を表す。なお、1分子中に存在する複数のR11は互いに同一であっても異なっていてもよい。
Figure 0006344108
上記一般式(a2)において、b12は平均値を示し0〜10の数を示す。R21は水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数3〜10のシクロアルキル基、フェニル基、ナフチル基、又はビフェニル基を表す。なお、1分子中に存在する複数のR21は互いに同一であっても異なっていてもよい。
Figure 0006344108
上記一般式(a3)において、Xは下記一般式(a3−1)又は(a3−2)で表される連結基を示す。但し、分子構造中に1つ以上のアダマンタン構造を含む。b13は2又は3の整数を示す。
Figure 0006344108
上記一般式(a3−1)及び(a3−2)において、R31〜R34及びR35〜R37は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアダマンチル基、水素原子、置換基を有していてもよい炭素数1〜12のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を示す。また、式中の*印は(a3)中の結合部位を表す。
Figure 0006344108
上記一般式(a4)において、p及びqはそれぞれ独立に0〜4の整数を表し、R41及びR42はそれぞれ独立してアルキル基又はハロゲン原子を表す。R43及びR44はそれぞれ独立してアルキレン基を表す。x及びyはそれぞれ独立して0以上の整数を表す。
これらの中で、一般式(a1)〜(a4)のいずれかで表されるエポキシ樹脂を用いるのが好ましい。
α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、p−ビニル安息香酸、(メタ)アクリル酸のα位ハロアルキル、アルコキシル、ハロゲン、ニトロ、シアノ置換体などのモノカルボン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルテトラヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシブチルマレイン酸、
(メタ)アクリル酸エステルとしては、(メタ)アクリル酸にε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を付加させ末端に1個の水酸基を有する単量体や、
或いはヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートのような末端に1個の水酸基を有する単量体や、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートのような末端に11個の水酸基を有する化合物に、(無水)コハク酸、(無水)フタル酸、(無水)マレイン酸などの酸(無水物)を付加させ、1個以上のエチレン不飽和基と末端に1個のカルボキシル基を有する(メタ)アクリル酸エステルなどが挙げられる。また、(メタ)アクリル酸ダイマーなども挙げられる。
これらの内、感度の点から、特に好ましいものは(メタ)アクリル酸である。
エポキシ樹脂にα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させる方法としては、公知の手法を用いることができる。例えば、エステル化触媒の存在下、50〜150℃の温度で、α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとエポキシ樹脂とを反応させることができる。ここで用いるエステル化触媒としては、トリエチルアミン、トリメチルアミン、ベンジルジメチルアミン、ベンジルジエチルアミン等の3級アミン、テトラメチルアンモニウムクロライド、テトラエチルアンモニウムクロライド、ドデシルトリメチルアンモニウムクロライド等の4級アンモニウム塩等を用いることができる。
なお、エポキシ樹脂、α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステル、及びエステル化触媒は、いずれも1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルの使用量は、エポキシ樹脂のエポキシ基1当量に対し0.5〜1.2当量の範囲が好ましく、さらに好ましくは0.7〜1.1当量の範囲である。
α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルの使用量が少ないと不飽和基の導入量が不足し、引き続く多塩基酸及び/又はその無水物との反応も不十分となる。また、多量のエポキシ基が残存することも有利ではない。一方、該使用量が多いとα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルが未反応物として残存する。いずれの場合も硬化特性が悪化する傾向が認められる。
多塩基酸及び/又はその無水物としては、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、エンドメチレンテトラヒドロフタル酸、クロレンド酸、メチルテトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸、及びこれらの無水物等から選ばれた、1種又は2種以上が挙げられる。
好ましくは、マレイン酸、コハク酸、イタコン酸、フタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、ビフェニルテトラカルボン酸、又はこれらの無水物である。特に好ましくは、テトラヒドロフタル酸、ビフェニルテトラカルボン酸、無水テトラヒドロフタル酸、又はビフェニルテトラカルボン酸二無水物である。
多塩基酸及び/又はその無水物の付加反応に関しても公知の手法を用いることができ、エポキシ樹脂へのα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルの付加反応と同様な条件下で、継続反応させて目的物を得ることができる。多塩基酸及び/又はその無水物成分の付加量は、生成するカルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の酸価が10〜150mgKOH/gの範囲となるような程度であることが好ましく、さらに20〜140mgKOH/gの範囲となるような程度であることが好ましい。カルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂の酸価が上記範囲未満であるとアルカリ現像性に乏しくなる傾向があり、また、上記範囲を超えると硬化性能に劣る傾向が認められる。
((A1−1)樹脂の合成と(A1−1)樹脂に多価アルコールを添加し分岐構造を導入した(A1−2)樹脂の合成)
上記(A1−1)樹脂の多塩基酸及び/又はその無水物の付加反応合成時に、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトールなどの多価アルコールを添加し、多分岐構造を導入したものとしてもよい。
カルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、通常、エポキシ樹脂とα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物に、多塩基酸及び/又はその無水物を混合した後、もしくは、エポキシ樹脂とα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物に、多塩基酸及び/又はその無水物及び多価アルコールを混合した後に、加温することにより得られる。この場合、多塩基酸及び/又はその無水物と多価アルコールの混合順序に、特に制限はない。加温により、エポキシ樹脂とα,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルとの反応物と多価アルコールとの混合物中に存在するいずれかの水酸基に対して多塩基酸及び/又はその無水物が付加反応する。
カルボキシル基含有エポキシ(メタ)アクリレート樹脂は、1種を単独で用いても、2種以上の樹脂を混合して用いても良い。
多価アルコールの使用量は、少な過ぎると効果が薄く、多過ぎると増粘やゲル化の可能性があるので、エポキシ樹脂成分とα,β−不飽和モノカルボン酸又はエステル部分にカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステル成分との反応物に対して、通常0.01〜0.5質量倍程度、好ましくは0.02〜0.2質量倍程度である。
このようにして得られるエポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−1、A1−2)の酸価は、通常10mgKOH/g以上、好ましくは50mgKOH/g以上である。酸価が10mgKOH/g未満では現像性が不足する場合がある。また酸価が過度に高いと、感光性組樹脂成物のアルカリ耐性に問題がある(すなわち、アルカリ性現像液により、パターン表面の粗面化や、膜減りが生じる)場合があるので、酸価は200mgKOH/g以下であることが好ましく、150mgKOH/g以下であることがより好ましい。
エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−1、A1−2)のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定によるポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、1,000以上であることが好ましく、1,500以上であることがより好ましい。また、10,000以下であることが好ましく、8,000以下であることがより好ましく、6,000以下であることが更に好ましい。重量平均分子量が小さ過ぎると感度や塗膜強度、アルカリ耐性に問題が生じる可能性があり、大き過ぎると現像性や再溶解性に問題が生じる場合がある。
(アクリル共重合樹脂(A2−1)(A2−2)(A2−3)(A2−4)
アクリル共重合樹脂としては、例えば、特開平7−207211号、特開平8−259876号、特開平10−300922号、特開平11−140144号、特開平11−174224号、特開2000−56118号、特開2003−233179号、特開2007−270147号などの各公報等に記載された様々な高分子化合物を使用することができるが、好ましくは、以下の(A2−1)〜(A2−4)の樹脂等が挙げられ、中でも、(A2−1)樹脂が特に好ましい。
(A2−1):エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、当該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは当該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂(以下「(A2−1)樹脂」と称す場合がある。)
(A2−2):主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂(以下「(A2−2)樹脂」と称す場合がある。)
(A2−3):前記(A2−2)樹脂のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂(以下「(A2−3)樹脂」と称す場合がある。)
(A2−4):(メタ)アクリル系樹脂(以下「(A2−4)樹脂」と称す場合がある。)
尚、上記(A2−1)の樹脂もエポキシ(メタ)アクリレート樹脂の概念に包含される。
以下、これらの各樹脂について説明する。
<(A2−1)エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体に対し、当該共重合体が有するエポキシ基の少なくとも一部に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは当該付加反応により生じた水酸基の少なくとも一部に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂>
(A2−1)樹脂としては、より具体的には、「エポキシ基含有(メタ)アクリレート5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体10〜95モル%との共重合体に対し、当該共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に不飽和一塩基酸を付加させてなる樹脂、或いは当該付加反応により生じた水酸基の10〜100モル%に、更に多塩基酸無水物を付加させて得られる樹脂」が挙げられる。
(A2−1)樹脂を構成する「エポキシ基含有(メタ)アクリレート」としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシブチル(メタ)アクリレート、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等が例示できる。中でもグリシジル(メタ)アクリレートが好ましい。これらのエポキシ基含有(メタ)アクリレートは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
上記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと共重合させる他のラジカル重合性単量体としては、下記一般式(11)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートが好ましい。
Figure 0006344108
上記一般式(11)において、R81〜R88は各々独立して、水素原子、又は炭素数1〜3のアルキル基を示すが、R87及びR88は互いに連結して環を形成していてもよい。
上記一般式(11)において、R87とR88が連結して形成される環は、脂肪族環であるのが好ましく、飽和又は不飽和の何れでもよく、炭素数が5〜6であるのが好ましい。
中でも、上記一般式(11)で表される構造としては、下記式(11a)、(11b)、又は(11c)で表される構造が好ましい。
Figure 0006344108
アルカリ可溶性樹脂にこれらの構造を導入することによって、本発明の感光性樹脂組成物をカラーフィルターや画像表示装置に使用する場合に、その耐熱性や強度を高めることができる。
前記一般式(11)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートとしては、当該構造を有する限り様々なものが使用できるが、特に下記一般式(12)で表されるものが好ましい。
Figure 0006344108
(上記一般式(12)中、R89は水素原子又はメチル基を示し、R90は前記一般式(11)で表される構造を示す。)
前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体において、前記一般式(11)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位は、「他のラジカル重合性単量体」に由来する繰返し単位中、5〜90モル%含有するものが好ましく、15〜50モル%含有するものが特に好ましい。
なお、前記一般式(11)で表される構造を有するモノ(メタ)アクリレート以外の、「他のラジカル重合性単量体」としては、特に限定されるものではない。
(A2−1)樹脂の、前記エポキシ基含有(メタ)アクリレートと前記他のラジカル重合性単量体との共重合体としては、エポキシ基含有(メタ)アクリレートに由来する繰返し単位5〜90モル%と、他のラジカル重合性単量体に由来する繰返し単位10〜95モル%とからなるものが好ましく、前者30〜70モル%と、後者70〜30モル%とからなるものが特に好ましい。
(A2−1)樹脂では、上記のエポキシ樹脂含有(メタ)アクリレートと、他のラジカル重合性単量体との共重合体のエポキシ基部分に、不飽和一塩基酸(重合性成分)と、多塩基酸無水物とを反応させる。
エポキシ基に付加させる「不飽和一塩基酸」としては、様々なものを使用することができ、例えば、エチレン性不飽和二重結合を有する不飽和カルボン酸が挙げられる。具体例としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、o−、m−、又はp−ビニル安息香酸、α−位がハロアルキル基、アルコキシル基、ハロゲン原子、ニトロ基、又はシアノ基などで置換された(メタ)アクリル酸等のモノカルボン酸等が挙げられる。中でも好ましくは(メタ)アクリル酸である。これらは1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このような成分を付加させることにより、(A2−1)樹脂に重合性を付与することができる。
これらの不飽和一塩基酸は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは50〜100モル%に付加させる。
更に、共重合体のエポキシ基に不飽和一塩基酸を付加させたときに生じる水酸基に付加させる「多塩基酸無水物」としては、様々なものが使用できる。
例えば、無水マレイン酸、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水フタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、無水クロレンド酸等の二塩基酸無水物;無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸無水物、ビフェニルテトラカルボン酸無水物等の三塩基以上の酸の無水物が挙げられる。中でも、テトラヒドロ無水フタル酸及び無水コハク酸が好ましい。これらの多塩基酸無水物は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
このような成分を付加させることにより、(A2−1)樹脂にアルカリ可溶性を付与することができる。
これらの多塩基酸無水物は、通常、前記共重合体が有するエポキシ基に、不飽和一塩基酸を付加させることにより生じる水酸基の10〜100モル%に付加させるが、好ましくは30〜80モル%に付加させる。
<(A2−2)主鎖にカルボキシル基を含有する直鎖状アルカリ可溶性樹脂>
(A2−2)樹脂としては、カルボキシル基を有していれば特に限定されず、通常、カルボキシル基を含有する重合性モノマーを重合して得られる。
カルボキシル基含有重合性モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸、マレイン酸、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピルフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルアジピン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルマレイン酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルヒドロフタル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシブチルフタル酸等のビニル系モノマー;アクリル酸にε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、γ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン等のラクトン類を付加させたものであるモノマー;ヒドロキシアルキル(メタ)アクリレートにコハク酸、マレイン酸、フタル酸、或いはそれらの無水物等の酸或いは無水物を付加させたモノマー等が挙げられる。これらは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
中でも好ましいのは、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルコハク酸であり、更に好ましいのは(メタ)アクリル酸である。
また、(A2−2)樹脂は、上記のカルボキシル基含有重合性モノマーに、カルボキシル基を有さない他の重合性モノマーを共重合させたものであってもよい。
この場合、他の重合性モノマーとしては、特に限定されないが、特開2009−52010号公報に記載されているもの等が挙げられる。また、これら重合性モノマーのうち、顔料分散性に優れる点からは、特にベンジル(メタ)アクリレートを含む共重合体樹脂が好ましい。
<(A2−3)前記(2−2)樹脂のカルボキシル基部分に、エポキシ基含有不飽和化合物を付加させた樹脂>
(A2−3)樹脂において、(A2−2)樹脂のカルボキシル基部分に付加させるエポキシ基含有不飽和化合物としては、分子内にエチレン性不飽和基及びエポキシ基を有するものであれば、特に限定されるものではない。
このエポキシ基含有不飽和化合物としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル、グリシジル−α−エチルアクリレート、クロトニルグリシジルエーテル、(イソ)クロトン酸グリシジルエーテル、N−(3,5−ジメチル−4−グリシジル)ベンジルアクリルアミド、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル等の非環式エポキシ基含有不飽和化合物を挙げることができるが、耐熱性や、顔料の分散性の観点から、以下に記載する脂環式エポキシ基含有不飽和化合物が好ましい。
ここで、脂環式エポキシ基含有不飽和化合物の脂環式エポキシ基として、例えば、2,3−エポキシシクロペンチル基、3,4−エポキシシクロヘキシル基、7,8−エポキシ〔トリシクロ[5.2.1.0]デシ−2−イル〕基等が挙げられる。また、エチレン性不飽和基としては、(メタ)アクリロイル基に由来するものであるのが好ましい。
<(A2−4)(メタ)アクリル系樹脂>
(A2−4)樹脂としては、下記一般式(6)で表される化合物を必須とするモノマー成分を重合してなる(メタ)アクリル系樹脂を挙げることができる。
Figure 0006344108
上記一般式(6)中、R71及びR72は、それぞれ独立に、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基を示す。
以下、一般式(6)の化合物について詳述する。
一般式(6)で表されるエーテルダイマーにおいて、R71及びR72で表される置換基を有していてもよい炭素数1〜25の炭化水素基としては、特に制限はないが、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、t−ブチル、t−アミル、ステアリル、ラウリル、2−エチルヘキシル等の直鎖状又は分岐状のアルキル基;フェニル等のアリール基;シクロヘキシル、t−ブチルシクロヘキシル、ジシクロペンタジエニル、トリシクロデカニル、イソボルニル、アダマンチル、2−メチル−2−アダマンチル等の脂環式基;1−メトキシエチル、1−エトキシエチル等のアルコキシ基で置換されたアルキル基;ベンジル等のアリール基で置換されたアルキル基等が挙げられる。これらの中でも特に、メチル、エチル、シクロヘキシル、ベンジル等のような酸や熱で脱離しにくい1級又は2級炭素原子を有する置換基が耐熱性の点で好ましい。なお、R71及びR72は、同種の置換基であってもよいし、異なる置換基であってもよい。
特に、ジメチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジエチル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジシクロヘキシル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエート、ジベンジル−2,2′−[オキシビス(メチレン)]ビス−2−プロペノエートが好ましい。
これらエーテルダイマーは、1種のみ単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
(A2−4)樹脂を得る際の、モノマー成分中における前記エーテルダイマーの割合は、特に制限されないが、全モノマー成分中、通常2〜60質量%、好ましくは5〜50質量%である。
(A2−4)樹脂は、酸基を有することが好ましい。酸基を有することにより、これを用いて得られる本発明の感光性樹脂組成物が、酸基とエポキシ基が反応してエステル結合を形成する架橋反応(以下、「酸−エポキシ硬化」と略することがある。)により硬化が可能な感光性樹脂組成物、あるいは未硬化部をアルカリ現像液で顕像可能な感光性樹脂組成物、とすることができる。前記酸基としては、特に制限されないが、例えば、カルボキシル基、フェノール性水酸基、カルボン酸無水物基等が挙げられる。樹脂1分子中に含まれるこれらの酸基は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
(A2−4)樹脂に酸基を導入するには、例えば、酸基を有するモノマー、及び/又は「重合後に酸基を付与しうるモノマー」(以下「酸基を導入するためのモノマー」と称することもある。)を、モノマー成分として使用すればよい。なお、「重合後に酸基を付与しうるモノマー」をモノマー成分として使用する場合には、重合後に、後述するような酸基を付与するための処理が必要となる。
前記酸基を有するモノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸やイタコン酸等のカルボキシル基を有するモノマー;N−ヒドロキシフェニルマレイミド等のフェノール性水酸基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等のカルボン酸無水物基を有するモノマー等が挙げられるが、これらの中でも特に、(メタ)アクリル酸が好ましい。
前記重合後に酸基を付与しうるモノマーとしては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等の水酸基を有するモノマー;グリシジル(メタ)アクリレート等のエポキシ基を有するモノマー;2−イソシアナートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネート基を有するモノマー等が挙げられる。
これら酸基を導入するためのモノマーは、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。(A2−4)樹脂を得る際のモノマー成分が、前記酸基を導入するためのモノマーをも含む場合、その含有割合は、通常は全モノマー成分中5〜70質量%、好ましくは10〜60質量%である。
(A2−4)樹脂を得る際のモノマー成分は、上記必須のモノマー成分のほかに、必要に応じて、他の共重合可能なモノマーを含んでいてもよい。
上述の通り、本発明の感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂として(A1−1)、(A1−2)、(A2−1)、(A2−2)、(A2−3)、(A2−4)の少なくとも何れかを含むのが好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、エチレン性不飽和基を含有するアルカリ可溶性樹脂として(A1−1)、(A1−2)、(A2−1)、(A2−3)の少なくとも何れかを含むのがさらに好ましい。本発明の感光性樹脂組成物は、エチレン性不飽和基を含有するアルカリ可溶性樹脂としてエポキシアクリレート樹脂である(A1−1)、(A1−2)の少なくとも何れかを含むのが特に好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、その他のアルカリ可溶性樹脂を併用してもよい。
その他のアルカリ可溶性樹脂に制限は無く、カラーフィルター用感光性樹脂組成物に通常使用される樹脂から選択すれば良い。例えば、特開2007−271727号公報、特開2007−316620号公報、特開2007−334290号公報などに記載のアルカリ可溶性樹脂などが挙げられる。
アルカリ可溶性樹脂(a)の含有量は、本発明の感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常5質量%以上、好ましくは10質量%以上であり、通常85質量%以下、好ましくは80質量%以下である。アルカリ可溶性樹脂(a)の含有量が著しく少ないと、未露光部分の現像液に対する溶解性が低下し、現像不良を誘起させやすくなる傾向がある。逆に、アルカリ可溶性樹脂(a)の含有量が多すぎると、露光部への現像液の浸透性が高くなる傾向があり、画素のシャープ性や密着性が低下する場合がある。
尚、上述のように、本発明の感光性樹脂組成物は、アルカリ可溶性樹脂(a)として、前述の(A1−1)、(A1−2)、(A2−1)、(A2−2)、(A2−3)及び(A2−4)の少なくとも1種を含むのが好ましく、その他のアルカリ可溶性樹脂を含む場合、その含有割合は、アルカリ可溶性樹脂(a)の合計に対して、20質量%以下、好ましくは10質量%以下である。
アルカリ可溶性樹脂(a)としては、エチレン性不飽和基を有する(A1−1)、(A1−2)、(A2−1)、(A2−3)が、より好ましい。アルカリ可溶性樹脂(a)としては、エチレン性不飽和基を有するエポキシアクリレート樹脂である(A1−1)、(A1−2)が、特に好ましい。これらに樹脂は単独で用いても、2種以上併用して用いても良い。
<光重合性モノマー(b)>
本発明の感光性樹脂組成物は、感度等の点から光重合性モノマー(b)を含有する。
本発明に用いられる光重合性モノマーとしては、分子内にエチレン性不飽和基を少なくとも1個有する化合物(以下、「エチレン性単量体」と称することがある)を挙げることができる。具体的には、例えば(メタ)アクリル酸、(メタ)アクリル酸アルキルエステル、アクリロニトリル、スチレン、及びエチレン性不飽和結合を1個有するカルボン酸と、多価又は1価アルコールのモノエステル、等が挙げられる。
本発明においては、特に、1分子中にエチレン性不飽和基を二個以上有する多官能エチレン性単量体を使用することが望ましい。
かかる多官能エチレン性単量体の例としては、例えば脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステル;脂肪族ポリヒドロキシ化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物等の多価ヒドロキシ化合物と、不飽和カルボン酸及び多塩基性カルボン酸とのエステル化反応により得られるエステルなどが挙げられる。
前記脂肪族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、エチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、トリメチロールエタントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート、グリセロールアクリレート等の脂肪族ポリヒドロキシ化合物のアクリル酸エステル、これら例示化合物のアクリレートをメタクリレートに代えたメタクリル酸エステル、同様にイタコネートに代えたイタコン酸エステル、クロネートに代えたクロトン酸エステルもしくはマレエートに代えたマレイン酸エステル等が挙げられる。
芳香族ポリヒドロキシ化合物と不飽和カルボン酸とのエステルとしては、ハイドロキノンジアクリレート、ハイドロキノンジメタクリレート、レゾルシンジアクリレート、レゾルシンジメタクリレート、ピロガロールトリアクリレート等の芳香族ポリヒドロキシ化合物のアクリル酸エステル及びメタクリル酸エステル等が挙げられる。
多塩基性カルボン酸及び不飽和カルボン酸と、多価ヒドロキシ化合物のエステル化反応により得られるエステルとしては必ずしも単一物ではないが、代表的な具体例を挙げれば、アクリル酸、フタル酸、及びエチレングリコールの縮合物、アクリル酸、マレイン酸、及びジエチレングリコールの縮合物、メタクリル酸、テレフタル酸及びペンタエリスリトールの縮合物、アクリル酸、アジピン酸、ブタンジオール及びグリセリンの縮合物等が挙げられる。
その他、本発明に用いられる多官能エチレン性単量体の例としては、ポリイソシアネート化合物と水酸基含有(メタ)アクリル酸エステル又はポリイソシアネート化合物とポリオール及び水酸基含有(メタ)アクリル酸エステルを反応させて得られるようなウレタン(メタ)アクリレート類;多価エポキシ化合物とヒドロキシ(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル酸との付加反応物のようなエポキシアクリレート類;エチレンビスアクリルアミド等のアクリルアミド類;フタル酸ジアリル等のアリルエステル類;ジビニルフタレート等のビニル基含有化合物等が有用である。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
特に、基板との密着性の観点から、本発明で用いる光重合性モノマー(b)は、下記一般式(b1)〜(b4)のいずれかで表される化合物を含むことが好ましい。
Figure 0006344108
上記式中、Rbは下記式(b5)に示す基であり、R9は炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数7〜10のアリーレンアルキレン基、又は炭素数6〜10のアリーレン基である。
Figure 0006344108
上記式中、R6は主鎖の炭素数が2〜6の分岐があってもよいアルキレン基を表し、R7は水素原子又はメチル基を表す。mは0〜3の整数を表す。mが2又は3の場合、複数のR6は同じであっても異なっていてもよい。
前記一般式(b3)におけるR8は、炭素数1〜6のアルキル基であるが、基板との密着性 の観点から、その炭素数は通常1以上、好ましくは2以上、また、好ましくは5以下、より好ましくは4以下である。炭素数1〜6のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、1−プロピル基、2−プロピル基、1−ブチル基、2−ブチル基、1−ペンチル基、1−ヘキシル基、シクロヘキシル基などが挙げられるが、これらの中でも基板との密着性の観点から、好ましくはメチル基又はエチル基であり、より好ましくはエチル基である。
前記一般式(b4)において、R9のアルキレン基の炭素数は、基板との密着性の観点から、通常1以上、好ましくは2以上、また、好ましくは6以下、より好ましくは3以下である。炭素数1〜10のアルキル基としては、例えば、
メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,2−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,2−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、シクロヘキシレン基、メチレンシクロヘキシレン基などが挙げられるが、これらの中でも基板との密着性の観点から、好ましくはメチレン基、エチレン基、又は1,3−プロピレン基であり、より好ましくはエチレン基である。
前記一般式(b4)において、R9のアリーレンアルキレン基の炭素数は、基板との密着性の観点から、好ましくは7以上、また、好ましくは9以下である。炭素数7〜10のアリーレンアルキレン基としては、例えば、フェニレンメチレン基、フェニレンエチレン基、フェニレンプロピレン基などが挙げられるが、これらの中でも基板との密着性の観点から、好ましくはフェニレンメチレン基、又はフェニレンエチレン基であり、より好ましくはフェニレンメチレン基である。
前記一般式(b4)において、R9のアリーレン基の炭素数は、基板との密着性の観点から、好ましくは6以上、また、好ましくは10以下である。炭素数6〜10のアリーレン基としては、例えば、フェニレン基、ナフチレン基などが挙げられるが、これらの中でも基板との密着性の観点から、好ましくはフェニレン基である。
これらの中でも、基板との密着性の観点から、R9がメチレン基、エチレン基、又はプロピレン基であることが好ましく、エチレン基であることがより好ましい。
前記一般式(b5)において、R6は主鎖の炭素数が2〜6の分岐があってもよいアルキレン基を表すが、基板との密着性の観点から、その炭素数は3以上が好ましく、4以上がより好ましく、また、6以下が好ましく、5以下がより好ましい。アルキレン基は分岐を有していても有していなくとも良いが、基板との密着性の観点からは分岐を有さないことが好ましい。主鎖の炭素数が2〜6の分岐があってもよいアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、1,3−プロピレン基、1,2−プロピレン基、1,4−ブチレン基、1,2−ブチレン基、1,3−ブチレン基、1,5−ペンチレン基、1,2−ペンチレン基、1,3−ペンチレン基、1,6−ヘキシレン基、シクロヘキシレン基などが挙げられるが、これらの中でも基板との密着性の観点から、好ましくは1,4−ブチレン基又は 1,5−ペンチレン基であり、より好ましくは1,5−ペンチレン基である。
mは0〜3の整数を表す。上記一般式(b1)〜(b4)中にはRb基が複数含まれるが、Rb基同士は同じであっても異なっていてもよい。基板との密着性の観点から、Rb同士が異なることが好ましく、mが異なるRb基を有することがより好ましい。具体的には、mが0のRb基(以下、Rb1基と略記する)と、mが1〜3のいずれかの整数のRb基(以下、Rb2基と略記する)とを有することが好ましい。なお、Rb2基におけるmは、基板との密着性の観点から1又は2であることが好ましく、1であることがより好ましい。
前記一般式(b1)中に複数含まれるRb基のうち、少なくとも1個がRb2基であることが好ましく、少なくとも2個がRb2基であることがより好ましい。
前記一般式(b2)中に複数含まれるRb基のうち、少なくとも1個がRb2基であることが好ましく、少なくとも2個がRb2基であることがより好ましい。
前記一般式(b3)中に複数含まれるRb基のうち、少なくとも1個がRb2基であることが好ましく、少なくとも2個がRb2基であることがより好ましい。
前記一般式(b4)中に複数含まれるRb基のうち、少なくとも1個がRb2基であることが好ましく、少なくとも2個がRb2基であることがより好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物において、光重合性モノマー(b)がこのような特定の化合物を含むことが好ましい理由は以下のとおりである。
このような特定化合物は、そのポリエステル構造の極性成分により、ガラス基板のシラノール基のような極性基と相互作用し基板との密着性を向上させると考えられる。さらに、この特定化合物が(メタ)アクリロイルオキシ基の不飽和基を有する有機ケイ素化合物(f−1)と、カラーフィルター製造時の紫外線照射時や高熱処理時に架橋しさらに基板との密着性を大きく向上させることができると考えられる。
また、有機ケイ素化合物(f−1)中のウレタン結合部位も、この特定化合物中のポリエステル構造の極性成分と、水素結合や電荷的な相互作用による結合を行い、さらに密着性を向上させることができると考えられる。
前記一般式(b1)〜(b4)で表される化合物は、下記一般式(b1’)〜(b4’)で示される多価アルコールの水酸基の一部もしくは全部にラクトン類を付加反応させ、次いで(メタ)アクリル化させて得ることが出来る。
Figure 0006344108
上記式中、R8及びR9は前記一般式(a3)及び(a4)と同義である。
多価アルコールに付加反応させるラクトン類としては、β−プロピオラクトン、β−ブチロラクトン、γ−ブチロラクトン、α−メチル−γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、δ−バレロラクトン、α,α−ジメチル−γ−ブチロラクトン、ε−カプロラクトン、δ−ヘキサノラクトン、γ−ヘキサノラクトン、γ−ヘプタノラクトン等が挙げられる。この中でγ−ブチロラクトン、δ−バレロラクトン、ε−カプロラクトンが好ましく、特にε−カプロラクトンが好ましい。
これら一般式(b1)〜(b4)のいずれかで表される構造の化合物の光重合性モノマー(b)は、単独で使用しても、複数の化合物を併用しても良い。また、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート等、一般式(b1)〜(b4)のいずれかで表される構造の化合物以外の光重合性単量体と併用して用いることも出来る。ただし、一般式(b1)〜(b4)のいずれかで表される構造の化合物以外の光重合性単量体を併用する場合、光重合性モノマー(b)中の一般式(b1)〜(b4)のいずれかで表される構造の化合物以外の光重合性モノマーの割合は50質量%以下、特に0〜25質量%とすることが好ましい。
光重合性モノマー(b)の割合は、感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常90質量%以下、好ましくは80質量%以下である。光重合性モノマーの含有量が上記上限以下であることで、露光部への現像液の浸透性が適度となり良好な画像を得ることができる傾向にある。光重合性モノマー(b)の含有量の下限は、通常1質量%以上、好ましくは5質量%以上である。上記下限以上であることで、紫外線照射による光硬化を向上させるとともにアルカリ現像性も良好となる傾向にある。
<光重合開始剤(c)>
光重合開始剤は、光を直接吸収し、分解反応又は水素引き抜き反応を起こし、重合活性ラジカルを発生する機能を有する成分である。必要に応じて増感色素等の付加剤を添加して使用しても良い。
光重合開始剤としては、例えば、特開昭59−152396号公報、特開昭61−151197号各公報に記載のチタノセン化合物を含むメタロセン化合物;特開2000−56118号公報に記載のヘキサアリールビイミダゾール誘導体;特開平10−39503号公報記載のハロメチル化オキサジアゾール誘導体、ハロメチル−s−トリアジン誘導体、N−フェニルグリシン等のN−アリール−α−アミノ酸類、N−アリール−α−アミノ酸塩類、N−アリール−α−アミノ酸エステル類等のラジカル活性剤、α−アミノアルキルフェノン誘導体;特開2000−80068号公報、特開2006−36750号公報等に記載されているオキシムエステル誘導体等が挙げられる。
具体的には、例えば、チタノセン誘導体類としては、ジシクロペンタジエニルチタニウムジクロライド、ジシクロペンタジエニルチタニウムビスフェニル、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,3,5,6−テトラフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムビス(2,4,6−トリフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムジ(2,6−ジフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウムジ(2,4−ジフルオロフェニ−1−イル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,3,4,5,6−ペンタフルオロフェニ−1−イル)、ジ(メチルシクロペンタジエニル)チタニウムビス(2,6−ジフルオロフェニ−1−イル)、ジシクロペンタジエニルチタニウム〔2,6−ジ−フルオロ−3−(ピロ−1−イル)−フェニ−1−イル〕等が挙げられる。
また、ビイミダゾール誘導体類としては、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2’−クロロフェニル)−4,5−ビス(3’−メトキシフェニル)イミダゾール2量体、2−(2’−フルオロフェニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、2−(2’−メトキシフエニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体、(4’−メトキシフエニル)−4,5−ジフェニルイミダゾール2量体等が挙げられる。
また、ハロメチル化オキサジアゾール誘導体類としては、2−トリクロロメチル−5−(2’−ベンゾフリル)−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2’−ベンゾフリル)ビニル〕−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−〔β−(2’−(6”−ベンゾフリル)ビニル)〕−1,3,4−オキサジアゾール、2−トリクロロメチル−5−フリル−1,3,4−オキサジアゾール等が挙げられる。
また、ハロメチル−s−トリアジン誘導体類としては、2−(4−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−エトキシカルボニルナフチル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン等が挙げられる。
また、α−アミノアルキルフェノン誘導体類としては、2−メチル−1〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルフォリノプロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン−1、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタン−1−オン、4−ジメチルアミノエチルベンゾエ−ト、4−ジメチルアミノイソアミルベンゾエ−ト、4−ジエチルアミノアセトフェノン、4−ジメチルアミノプロピオフェノン、2−エチルヘキシル−1,4−ジメチルアミノベンゾエート、2,5−ビス(4−ジエチルアミノベンザル)シクロヘキサノン、7−ジエチルアミノ−3−(4−ジエチルアミノベンゾイル)クマリン、4−(ジエチルアミノ)カルコン等が挙げられる。
光重合開始剤としては、特に、感度の点でオキシム誘導体類(オキシム系及びケトオキシム系化合物)が有効であり、フェノール性水酸基を含むアルカリ可溶性樹脂を用いる場合などは、感度の点で不利になる場合があるため、特にこのような感度に優れたオキシム誘導体類(オキシム系及びケトオキシム系化合物)が有用である。オキシム誘導体類の中でも特に、基板との密着性の観点からオキシムエステルが好ましい。
オキシムエステルの光重合開始剤は、その構造の中に紫外線を吸収する構造と光エネルギーを伝達する構造とラジカルを発生する構造を併せ持っているために、少量で感度が高く、かつ熱反応に対しては安定であり、少量で高感度な感光性樹脂組成物の設計が可能である。特にカルバゾール基を含有するオキシムエステルの場合に、この構造特性が良好に発現されより好ましい。現在、市場では、遮光度が高く、薄膜なBM(ブラックマトリックス)が要求されており、顔料濃度も、ますます大きくなっている。このような状況においては、特に有効である。
前述のとおり、有機ケイ素化合物(f−1)は(メタ)アクリロイルオキシ基の不飽和基を有しており、これが感光性樹脂組成物に含まれるアルカリ可溶性樹脂や光重合性モノマー中の不飽和基と、カラーフィルター製造時の紫外線照射時や高熱処理時に架橋し、基板との密着性を大きく向上させることができると考えられる。特に感光性樹脂組成物中の開始剤が前記の特徴を持ったオキシムエステルを含有する場合は、その効果が相乗的に向上するものと考えられる。
オキシム系化合物としては、下記一般式(22)で示される構造部分を含む化合物が挙げられ、好ましくは、下記一般式(23)で示されるオキシムエステル系化合物が挙げられる。
Figure 0006344108
上記式(22)中、R22は、それぞれ置換されていてもよい、炭素数2〜12のアルカノイル、炭素数1〜20のヘテロアリールアルカノイル基、炭素数3〜25のアルケノイル基、炭素数3〜8のシクロアルカノイル基、炭素数3〜20のアルコキシカルボニルアルカノイル基、炭素数8〜20のフェノキシカルボニルアルカノイル基、炭素数3〜20のヘテロアリ−ルオキシカルボニルアルカノイル基、炭素数2〜10のアミノアルキルカルボニル基、炭素数7〜20のアリーロイル基、炭素数1〜20のヘテロアリーロイル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、又は炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基を示す。
Figure 0006344108
(式(23)中、R21aは、水素、またはそれぞれ置換されていてもよい、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜25のアルケニル基、炭素数1〜20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3〜20のアルコキシカルボニルアルキル基、炭素数8〜20のフェノキシカルボニルアルキル基、炭素数1〜20のヘテロアリールオキシカルボニルアルキル基もしくはヘテロアリールチオアルキル基、炭素数1〜20のアミノアルキル基、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数3〜25のアルケノイル基、炭素数3〜8のシクロアルカノイル基、炭素数7〜20のアリーロイル基、炭素数1〜20のヘテロアリーロイル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、又は炭素数1〜10のシクロアルキルアルキル基を示す。
21bは芳香環あるいはヘテロ芳香環を含む任意の置換基を示す。
なお、R21aはR21bと共に環を形成してもよく、その連結基は、それぞれ置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、ポリエチレン基(−(CH=CH)r−)、ポリエチニレン基(−(C≡C)r−)あるいはこれらを組み合わせてなる基が挙げられる(なお、rは0〜3の整数である。)。
22aは、上記式(22)のおけるR22と同様の基を示す。
上記一般式(22)におけるR22及び上記一般式(23)におけるR22aとしては、好ましくは、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数1〜20のヘテロアリールアルカノイル基、炭素数3〜8のシクロアルカノイル基が挙げられる。
上記一般式(23)におけるR21aとしては、好ましくは無置換のメチル基、エチル基、プロピル基などの直鎖アルキル基又はシクロアルキルアルキル基や、N−アセチル−N−アセトキシアミノ基で置換されたプロピル基が挙げられる。
また、上記一般式(23)におけるR21bとしては、好ましくは置換されていてもよいカルバゾール基、置換されていてもよいチオキサントニル基、置換されていてもよいフェニルスルフィド基が挙げられる。
オキシムエステル光重合開始剤(c)としては、R21bとして置換されていてもよいカルバゾール基を含有するものが、前述の理由からより好ましい。さらに、置換されていてもよい炭素数6〜25のアリール基、置換されていてもよい炭素数7〜25のアリールカルボニル基、置換されていてもよい炭素数5〜25のヘテロアリール基、置換されていてもよい炭素数6〜25のヘテロアリールカルボニル基、及びニトロ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するカルバゾール基が好ましい。特に、ベンゾイル基、トルオイル基、ナフトイル基、チエニルカルボニル基、及びニトロ基からなる群から選ばれる少なくとも1種の基を有するカルバゾール基が好ましい。また、これらの基はカルバゾール基の3位に結合していることが望ましい。
このようなオキシムエステル光重合開始剤(c)の市販品として、BASF社製のOXE−02、常州強力電子社製のTR−PBG−304やTR−PBG−314などがある。
オキシムエステル光重合開始剤(c)として、本発明に好適なオキシムエステル系化合物として具体的には、以下に例示されるような化合物が挙げられるが、何らこれらの化合物に限定されるものではない。
Figure 0006344108
Figure 0006344108
Figure 0006344108
ケトオキシム系化合物としては、下記一般式(24)で示される構造部分を含む化合物が挙げられ、好ましくは、下記一般式(25)で示されるオキシムエステル系化合物が挙げられる。
Figure 0006344108
(上記一般式(24)において、R24は、前記一般式(22)におけるR22と同義である。)
Figure 0006344108
(上記一般式(25)において、R23aは、それぞれ置換されていてもよい、フェニル基、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数2〜25のアルケニル基、炭素数1〜20のヘテロアリールアルキル基、炭素数3〜20のアルコキシカルボニルアルキル基、炭素数8〜20のフェノキシカルボニルアルキル基、炭素数2〜20のアルキルチオアルキル基、炭素数1〜20のヘテロアリールオキシカルボニルアルキル基もしくはヘテロアリールチオアルキル基、炭素数1〜20のアミノアルキル基、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数3〜25のアルケノイル基、炭素数3〜8のシクロアルカノイル基、炭素数7〜20のアリーロイル基、炭素数1〜20のヘテロアリーロイル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、又は炭素数1〜10のシクロアルキルアルキル基を示す。
23bは芳香環あるいはヘテロ芳香環を含む任意の置換基を示す。
なお、R23aはR23bと共に環を形成してもよく、その連結基は、それぞれ置換基を有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基、ポリエチレン基(−(CH=CH)r−)、ポリエチニレン基(−(C≡C)r−)あるいはこれらを組み合わせてなる基が挙げられる(なお、rは0〜3の整数である。)。
24aは、それぞれ置換されていてもよい、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数3〜25のアルケノイル基、炭素数4〜8のシクロアルカノイル基、炭素数7〜20のベンゾイル基、炭素数3〜20のヘテロアリーロイル基、炭素数2〜10のアルコキシカルボニル基、炭素数7〜20のアリールオキシカルボニル基、炭素数2〜20のヘテロアリール基、又は炭素数2〜20のアルキルアミノカルボニル基を表す。)
上記一般式(24)におけるR24及び上記一般式(25)におけるR24aとしては、好ましくは、炭素数2〜12のアルカノイル基、炭素数1〜20のヘテロアリールアルカノイル基、炭素数3〜8のシクロアルカノイル基、炭素数7〜20のアリーロイル基が挙げられる。
上記一般式(25)におけるR23aとしては、好ましくは無置換のエチル基、プロピル基、ブチル基や、メトキシカルボニル基で置換されたエチル基またはプロピル基が挙げられる。
また、上記一般式(25)におけるR23bとしては、好ましくは置換されていてもよいカルバゾイル基、置換されていてもよいフェニルスルフィド基が挙げられる。
本発明に好適なケトオキシムエステル系化合物として具体的には、以下に例示されるような化合物が挙げられるが、何らこれらの化合物に限定されるものではない。
Figure 0006344108
Figure 0006344108
Figure 0006344108
このようなオキシムエステル光重合開始剤(c)の市販品として、BASF社製のOXE−01、常州強力電子社製のTR−PBG−305などがある。
これらのオキシム及びケトオキシムエステル系化合物は、それ自体公知の化合物であり、例えば、特開2000−80068号公報や、特開2006−36750号公報に記載されている一連の化合物の一種である。
上記光重合開始剤は1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
その他に、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインフェニルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾインアルキルエーテル類;2−メチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2−t−ブチルアントラキノン、1−クロロアントラキノン等のアントラキノン誘導体類;ベンゾフェノン、ミヒラーズケトン、2−メチルベンゾフェノン、3−メチルベンゾフェノン、4−メチルベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4−ブロモベンゾフェノン、2−カルボキシベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体類;2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロへキシルフェニルケトン、α−ヒドロキシ−2−メチルフェニルプロパノン、1−ヒドロキシ−1−メチルエチル−(p−イソプロピルフェニル)ケトン、1−ヒドロキシ−1−(p−ドデシルフェニル)ケトン、2−メチル−(4’−メチルチオフェニル)−2−モルホリノ−1−プロパノン、1,1,1−トリクロロメチル−(p−ブチルフェニル)ケトン等のアセトフェノン誘導体類;チオキサントン、2−エチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン誘導体類;p−ジメチルアミノ安息香酸エチル、p−ジエチルアミノ安息香酸エチル等の安息香酸エステル誘導体類;9−フェニルアクリジン、9−(p−メトキシフェニル)アクリジン等のアクリジン誘導体類;9,10−ジメチルベンズフェナジン等のフェナジン誘導体類;ベンズアンスロン等のアンスロン誘導体類等も挙げられる。
これらの光重合開始剤の中では、前述の理由からオキシムエステル誘導体類が特に好ましい。
<増感色素>
光重合開始剤には、必要に応じて、感応感度を高める目的で、画像露光光源の波長に応じた増感色素を併用させることができる。これら増感色素としては、特開平4−221958号、同4−219756号公報に記載のキサンテン色素、特開平3−239703号、同5−289335号公報に記載の複素環を有するクマリン色素、特開平3−239703号、同5−289335号に記載の3−ケトクマリン化合物、特開平6−19240号公報に記載のピロメテン色素、その他、特開昭47−2528号、同54−155292号、特公昭45−37377号、特開昭48−84183号、同52−112681号、同58−15503号、同60−88005号、同59−56403号、特開平2−69号、特開昭57−168088号、特開平5−107761号、特開平5−210240号、特開平4−288818号公報に記載のジアルキルアミノベンゼン骨格を有する色素等を挙げることができる。
これらの増感色素のうち好ましいものは、アミノ基含有増感色素であり、更に好ましいものは、アミノ基及びフェニル基を同一分子内に有する化合物である。特に、好ましいのは、例えば、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン、4,4’−ジエチルアミノベンゾフェノン、2−アミノベンゾフェノン、4−アミノベンゾフェノン、4,4’−ジアミノベンゾフェノン、3,3’−ジアミノベンゾフェノン、3,4−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物;2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[4,5]ベンゾオキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾ[6,7]ベンゾオキサゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−オキサゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンゾチアゾール、2−(p−ジメチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2−(p−ジエチルアミノフェニル)ベンズイミダゾール、2,5−ビス(p−ジエチルアミノフェニル)1,3,4−チアジアゾール、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリジン、(p−ジメチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジエチルアミノフェニル)キノリン、(p−ジメチルアミノフェニル)ピリミジン、(p−ジエチルアミノフェニル)ピリミジン等のp−ジアルキルアミノフェニル基含有化合物等である。
このうち最も好ましいものは、4,4’−ジアルキルアミノベンゾフェノンである。
増感色素もまた1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
光重合開始剤(c)の含有量は、本発明の感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常0.1質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、更に好ましくは0.7質量以上であり、通常30質量%以下、好ましくは20質量%以下である。光重合開始剤(c)の含有量が少なすぎると感度低下を起こすことがあり、反対に多すぎると未露光部分の現像液に対する溶解性が低下し、現像不良を誘起させやすい。
特に、光重合開始剤(c)中のオキシムエステルが占める割合は、通常10質量%以上であり、好ましくは50質量%以上、より好ましくは90質量%以上である。前記下限値以上とすることで、本願の感光性樹脂組成物として、本発明の有機ケイ素化合物(f−1)とアルカリ可溶性樹脂と組み合わせたとき、紫外線照射後、基板との密着性をさらに向上できる傾向がある。
光重合開始剤(c)と共に加速剤を用いる場合、加速剤の含有量は、本発明の感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常0質量%以上、好ましくは0.02質量%以上で、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下であり、加速剤は、光重合開始剤(c)に対して0.1〜50質量%、特に0.1〜10質量%の割合で用いることが好ましい。光重合開始剤(c)と加速剤等よりなる光重合開始剤系成分の配合割合が著しく低いと露光光線に対する感度が低下する原因となることがあり、反対に著しく高いと未露光部分の現像液に対する溶解性が低下し、現像不良を誘起させることがある。
また、増感色素を用いる場合、本発明の感光性樹脂組成物中に占める増感色素の配合割合は感光性樹脂組成物中の全固形分中、通常0〜20質量%、好ましくは0〜15質量%、更に好ましくは0〜10質量%である。
<色材(d)>
本発明の感光性樹脂組成物は、カラーフィルターの画素やブラックマトリックスの形成等に用いられる場合には、色材を含有する。色材は、本発明の感光性樹脂組成物を着色するものをいう。色材としては、染顔料が使用できるが、耐熱性、耐光性等の点から顔料が好ましい。
顔料としては青色顔料、緑色顔料、赤色顔料、黄色顔料、紫色顔料、オレンジ顔料、ブラウン顔料、黒色顔料等各種の色の顔料を使用することができる。また、その構造としてはアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、インダンスレン系、ペリレン系等の有機顔料の他に種々の無機顔料等も利用可能である。
以下に、本発明に使用できる顔料の具体例をピグメントナンバーで示す。なお、以下に挙げる「C.I.ピグメントレッド2」等の用語は、カラーインデックス(C.I.)を意味する。
赤色顔料としては、C.I.ピグメントレッド1、2、3、4、5、6、7、8、9、12、14、15、16、17、21、22、23、31、32、37、38、41、47、48、48:1、48:2、48:3、48:4、49、49:1、49:2、50:1、52:1、52:2、53、53:1、53:2、53:3、57、57:1、57:2、58:4、60、63、63:1、63:2、64、64:1、68、69、81、81:1、81:2、81:3、81:4、83、88、90:1、101、101:1、104、108、108:1、109、112、113、114、122、123、144、146、147、149、151、166、168、169、170、172、173、174、175、176、177、178、179、181、184、185、187、188、190、193、194、200、202、206、207、208、209、210、214、216、220、221、224、230、231、232、233、235、236、237、238、239、242、243、245、247、249、250、251、253、254、255、256、257、258、259、260、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントレッド48:1、122、168、177、202、206、207、209、224、242、254、更に好ましくはC.I.ピグメントレッド177、209、224、254を挙げることができる。
青色顔料としては、C.I.ピグメントブルー1、1:2、9、14、15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、17、19、25、27、28、29、33、35、36、56、56:1、60、61、61:1、62、63、66、67、68、71、72、73、74、75、76、78、79を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントブルー15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、更に好ましくはC.I.ピグメントブルー15:6を挙げることができる。
緑色顔料としては、C.I.ピグメントグリーン1、2、4、7、8、10、13、14、15、17、18、19、26、36、45、48、50、51、54、55を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントグリーン7、36、58を挙げることができる。
黄色顔料としては、C.I.ピグメントイエロー1、1:1、2、3、4、5、6、9、10、12、13、14、16、17、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、41、42、43、48、53、55、61、62、62:1、63、65、73、74、75、81、83、87、93、94、95、97、100、101、104、105、108、109、110、111、116、117、119、120、126、127、127:1、128、129、133、134、136、138、139、142、147、148、150、151、153、154、155、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、172、173、174、175、176、180、181、182、183、184、185、188、189、190、191、191:1、192、193、194、195、196、197、198、199、200、202、203、204、205、206、207、208を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、117、129、138、139、150、154、155、180、185、更に好ましくはC.I.ピグメントイエロー83、138、139、150、180を挙げることができる。
オレンジ顔料としては、C.I.ピグメントオレンジ1、2、5、13、16、17、19、20、21、22、23、24、34、36、38、39、43、46、48、49、61、62、64、65、67、68、69、70、71、72、73、74、75、77、78、79を挙げることができる。この中でも、好ましくは、C.I.ピグメントオレンジ38、71を挙げることができる。
紫色顔料としては、C.I.ピグメントバイオレット1、1:1、2、2:2、3、3:1、3:3、5、5:1、14、15、16、19、23、25、27、29、31、32、37、39、42、44、47、49、50を挙げることができる。この中でも、好ましくはC.I.ピグメントバイオレット19、23、更に好ましくはC.I.ピグメントバイオレット23を挙げることができる。
また、本発明の感光性樹脂組成物が、カラーフィルターの樹脂ブラックマトリックス用感光性樹脂組成物である場合、色材(d)としては、黒色の色材を用いることができる。黒色色材は、黒色色材を単独でも良く、又は赤、緑、青等の混合によるものでも良い。また、これら色材は無機又は有機の顔料、染料の中から適宜選択することができる。
黒色色材を調製するために混合使用可能な色材としては、ビクトリアピュアブルー(42595)、オーラミンO(41000)、カチロンブリリアントフラビン(ベーシック13)、ローダミン6GCP(45160)、ローダミンB(45170)、サフラニンOK70:100(50240)、エリオグラウシンX(42080)、No.120/リオノールイエロー(21090)、リオノールイエローGRO(21090)、シムラーファーストイエロー8GF(21105)、ベンジジンイエロー4T−564D(21095)、シムラーファーストレッド4015(12355)、リオノールレッド7B4401(15850)、ファーストゲンブルーTGR−L(74160)、リオノールブルーSM(26150)、リオノールブルーES(ピグメントブルー15:6)、リオノーゲンレッドGD(ピグメントレッド168)、リオノールグリーン2YS(ピグメントグリーン36)等が挙げられる(なお、上記の( )内の数字は、カラーインデックス(C.I.)を意味する)。
また、更に他の混合使用可能な顔料についてC.I.ナンバーにて示すと、例えば、C.I.黄色顔料20、24、86、93、109、110、117、125、137、138、147、148、153、154、166、C.I.オレンジ顔料36、43、51、55、59、61、C.I.赤色顔料9、97、122、123、149、168、177、180、192、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、C.I.バイオレット顔料19、23、29、30、37、40、50、C.I.青色顔料15、15:1、15:4、22、60、64、C.I.緑色顔料7、C.I.ブラウン顔料23、25、26等を挙げることができる。
また、単独使用可能な黒色色材としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、ランプブラック、ボーンブラック、黒鉛、鉄黒、アニリンブラック、シアニンブラック、チタンブラック等が挙げられる。
これらの色材(d)の中では、感光性樹脂組成物が黒色の色材を用いる場合には、カーボンブラックが遮光率、画像特性の観点から好ましい。カーボンブラックの例としては、以下のようなカーボンブラックが挙げられる。
三菱化学社製:MA7、MA77、MA8、MA11、MA100、MA100R、MA220、MA230、MA600、#5、#10、#20、#25、#30、#32、#33、#40、#44、#45、#47、#50、#52、#55、#650、#750、#850、#950、#960、#970、#980、#990、#1000、#2200、#2300、#2350、#2400、#2600、#3050、#3150、#3250、#3600、#3750、#3950、#4000、#4010、OIL7B、OIL9B、OIL11B、OIL30B、OIL31B デグサ社製:Printex(登録商標。以下同じ。)3、Printex3OP、Printex30、Printex30OP、Printex40、Printex45、Printex55、Printex60、Printex75、Printex80、Printex85、Printex90、Printex A、Printex L、Printex G、Printex P、Printex U、Printex V、PrintexG、SpecialBlack550、SpecialBlack350、SpecialBlack250、SpecialBlack100、SpecialBlack6、SpecialBlack5、SpecialBlack4、Color Black FW1、Color Black FW2、Color Black FW2V、Color Black FW18、Color Black FW18、Color Black FW200、Color Black S160、Color Black S170 キャボット社製:Monarch(登録商標。以下同じ。)120、Monarch280、Monarch460、Monarch800、Monarch880、Monarch900、Monarch1000、Monarch1100、Monarch1300、Monarch1400、Monarch4630、REGAL(登録商標。以下同じ。)99、REGAL99R、REGAL415、REGAL415R、REGAL250、REGAL250R、REGAL330、REGAL400R、REGAL55R0、REGAL660R、BLACK PEARLS480、PEARLS130、VULCAN(登録商標) XC72R、ELFTEX(登録商標)−8
コロンビヤンカーボン社製:RAVEN11、RAVEN14、RAVEN15、RAVEN16、RAVEN22RAVEN30、RAVEN35、RAVEN40、RAVEN410、RAVEN420、RAVEN450、RAVEN500、RAVEN780、RAVEN850、RAVEN890H、RAVEN1000、RAVEN1020、RAVEN1040、RAVEN1060U、RAVEN1080U、RAVEN1170、RAVEN1190U、RAVEN1250、RAVEN1500、RAVEN2000、RAVEN2500U、RAVEN3500、RAVEN5000、RAVEN5250、RAVEN5750、RAVEN7000
他の黒色顔料の例としては、チタンブラック、アニリンブラック、酸化鉄系黒色顔料、及び、赤色、緑色、青色の三色の有機顔料を混合して黒色顔料として用いることができる。
カーボンブラックは、樹脂で被覆されたものを使用しても構わない。樹脂で被覆されたカーボンブラックを使用すると、ガラス基板への密着性や体積抵抗値を向上させる効果がある。樹脂で被覆されたカーボンブラックとしては、例えば特開平09−71733号公報に記載されているカーボンブラック等が好適に使用できる。
被覆処理するカーボンブラックとしては、NaとCaの合計含有量が100ppm以下であることが好ましい。カーボンブラックは、通常製造時の原料油や燃焼油(又はガス)、反応停止水や造粒水、更には反応炉の炉材等から混入したNaや、Ca,K,Mg,Al,Fe等を組成とする灰分がパーセントのオーダーで含有されている。この内、NaやCaは、各々数百ppm以上含有されているのが一般的であるが、これらが多く存在すると、透明電極(ITO)やその他の電極に浸透し、電気的短絡の原因となる場合があるからである。
これらのNaやCaを含む灰分の含有量を低減する方法としては、カーボンブラックを製造する際の原料油や燃料油(又はガス)並びに反応停止水として、これらの含有量が極力少ない物を厳選すること及びストラクチャーを調整するアルカリ物質の添加量を極力少なくすることにより可能である。他の方法としては、炉から製出したカーボンブラックを水や塩酸等で洗いNaやCaを溶解し除去する方法が挙げられる。
また、顔料として、硫酸バリウム、硫酸鉛、酸化チタン、黄色鉛、ベンガラ、酸化クロム等を用いることもできる。これら各種の顔料は、複数種を併用することもできる。例えば、色度の調整のために、緑色顔料と黄色顔料とを併用したり、青色顔料と紫色顔料とを併用することができる。
<顔料の粒径>
本発明に用いられる顔料の平均粒径としては、カラーフィルターの着色層とした場合に、所望の発色が可能なものであればよく、特に限定されず、用いる顔料の種類によっても異なるが、10〜100nmの範囲内であることが好ましく、10〜70nmの範囲内であることがより好ましい。該顔料の平均粒径が上記範囲であることにより、本発明の感光性樹脂組成物を用いて製造された液晶表示装置の色特性を高品質なものとすることができる。
また、顔料がカーボンブラックの場合の顔料平均粒径は、60nm以下が好ましく、50nm以下がさらに好ましい。また、顔料がカーボンブラックの場合の顔料平均粒径は、20nm以上が好ましい。顔料が大きくなりすぎると、散乱が大きくなり、遮光性やコントラストなどの色特性が低下する傾向がある。また、顔料粒径が小さすぎると、分散剤の量が多く必要になり、分散性が低下してくる傾向がある。
なお、上記顔料の平均粒径は、電子顕微鏡写真から一次粒子の大きさを直接計測する方法で求めることができる。具体的には、個々の一次粒子の短軸径と長軸径を計測し、その平均をその粒子の粒径とする。次に、100個以上の粒子について、それぞれの粒子の体積(質量)を、求めた粒径の直方体と近似して求め、体積平均粒径を求めそれを平均粒径とする。なお、電子顕微鏡は透過型(TEM)または走査型(SEM)のいずれを用いても同じ結果を得ることができる。
また、本願の感光性樹脂組成物は、少なくとも顔料を含むことが好ましいが、その他に、本願効果に影響を及ぼさない範囲で染料を併用しても良い。併用できる染料としては、アゾ系染料、アントラキノン系染料、フタロシアニン系染料、キノンイミン系染料、キノリン系染料、ニトロ系染料、カルボニル系染料、メチン系染料等が挙げられる。
アゾ系染料としては、例えば、C.I.アシッドイエロー11、C.I.アシッドオレンジ7、C.I.アシッドレッド37、C.I.アシッドレッド180、C.I.アシッドブルー29、C.I.ダイレクトレッド28、C.I.ダイレクトレッド83、C.I.ダイレクトイエロー12、C.I.ダイレクトオレンジ26、C.I.ダイレクトグリーン28、C.I.ダイレクトグリーン59、C.I.リアクティブイエロー2、C.I.リアクティブレッド17、C.I.リアクティブレッド120、C.I.リアクティブブラック5、C.I.ディスパースオレンジ5、C.I.ディスパースレッド58、C.I.ディスパースブルー165、C.I.ベーシックブルー41、C.I.ベーシックレッド18、C.I.モルダントレッド7、C.I.モルダントイエロー5、C.I.モルダントブラック7等が挙げられる。
アントラキノン系染料としては、例えば、C.I.バットブルー4、C.I.アシッドブルー40、C.I.アシッドグリーン25、C.I.リアクティブブルー19、C.I.リアクティブブルー49、C.I.ディスパースレッド60、C.I.ディスパースブルー56、C.I.ディスパースブルー60等が挙げられる。
この他、フタロシアニン系染料として、例えば、C.I.パッドブルー5等が、キノンイミン系染料として、例えば、C.I.ベーシックブルー3、C.I.ベーシックブルー9等が、キノリン系染料として、例えば、C.I.ソルベントイエロー33、C.I.アシッドイエロー3、C.I.ディスパースイエロー64等が、ニトロ系染料として、例えば、C.I.アシッドイエロー1、C.I.アシッドオレンジ3、C.I.ディスパースイエロー42等が挙げられる。
色材(d)の含有量は、感光性樹脂組成物中の全固形分量に対して通常1〜70質量%の範囲で選ぶことができる。この範囲の中では、20質量%以上がより好ましく、40質量%以上がさらに好ましく、また、70質量%以下がより好ましい。
本発明の感光性樹脂組成物は、前述したように種々な用途に使用することができるが、優れた画像形成性は、カラーフィルター用ブラックマトリックスの形成に使用した場合に、特に効果的である。ブラックマトリックス形成に使用する場合には色材(d)として、前述したカーボンブラックやチタンブラック等の黒色色材を使用するか、黒色以外の色材を複数種類混合し黒色に調整して使用すれば良い。その中でもカーボンブラックを使用することが、特に好ましい。
本発明は特に黒色顔料の顔料濃度が大きくなる領域で効果が大きい。特に近年は遮光度を上げるために黒色顔料濃度を多くする必要がある。上記、効果の大きい領域の黒色顔料の含有量は着色感光性樹脂組成物の固形分に対し40質量%以上の領域である。45質量%以上であることが、より効果が大きく、50質量%以上であることが、さらに効果が大きく発揮できる。
感光性樹脂組成物において、黒色顔料が上記含有量の範囲内で含有されることにより、遮光性(光学密度、OD値)の高い着色感光性樹脂組成物を得ることができる。具体的には、黒色顔料の含有量を45質量%以上とすることにより、本発明の感光性樹脂組成物を用いて厚さ1μmのブラックマトリックスを形成した場合における光学濃度を4.0以上の値とすることができる。光学濃度は、より好ましくは4.2以上である。遮光性が高い領域では、紫外線が深部に透過しにくく、光重合による架橋が、特に基板と細線の密着する部分で弱いが、本願の感光性樹脂組成物を用いた場合は、特に顔料濃度が大きく場合に、本願効果をよく確認できる。顔料濃度としては40〜65質量%が特に効果的である。色材の含有量が少なすぎると、色濃度に対する膜厚が大きくなりすぎて、液晶セル化の際のギャップ制御などに悪影響を及ぼす場合がある。また、逆に色材の含有量が多すぎると、十分な画像形成性が得られなくなることがある。
なお感光性樹脂組成物において、色材(d)に対する量は、アルカリ可溶性樹脂(a)100質量部あたり、通常20〜500質量部、好ましくは30〜300質量部、より好ましくは40〜200質量部の範囲である。色材(d)に対するアルカリ可溶性樹脂(a)の含有量が低すぎると、未露光部分の現像液に対する溶解性が低下し、現像不良を誘起させやすく、著しく高いと、所望の画素膜厚が得られ難くなる傾向がある。
<分散剤(e)>
本発明においては、色材を微細に分散させ、且つその分散状態を安定化させることが品質の安定性確保には重要なため、分散剤を含むことが好ましい。
分散剤としては、官能基を有する高分子分散剤が好ましく、更には、分散安定性の面からカルボキシル基;リン酸基;スルホン酸基;又はこれらの塩基;一級、二級又は三級アミノ基;四級アンモニウム塩基;ピリジン、ピリミジン、ピラジン等の含窒素ヘテロ環由来の基、等の官能基を有する高分子分散剤が好ましい。中でも特に、一級、二級又は三級アミノ基;四級アンモニウム塩基;ピリジン、ピリミジン、ピラジン等の含窒素ヘテロ環由来の基、等の塩基性官能基を有する高分子分散剤が特に好ましい。これら塩基性官能基を有する高分子分散剤を使用することにより、分散性を良好にでき、高い遮光性を達成できる傾向がある。
また高分子分散剤としては、例えばウレタン系分散剤、アクリル系分散剤、ポリエチレンイミン系分散剤、ポリアリルアミン系分散剤、アミノ基を持つモノマーとマクロモノマーからなる分散剤、ポリオキシエチレンアルキルエーテル系分散剤、ポリオキシエチレンジエステル系分散剤、ポリエーテルリン酸系分散剤、ポリエステルリン酸系分散剤、ソルビタン脂肪族エステル系分散剤、脂肪族変性ポリエステル系分散剤等を挙げることができる。
このような分散剤の具体例としては、商品名で、EFKA(登録商標。エフカーケミカルズビーブイ(EFKA)社製。)、Disperbyk(登録商標。ビックケミー社製。)、ディスパロン(登録商標。楠本化成社製。)、SOLSPERSE(登録商標。ルーブリゾール社製。)、KP(信越化学工業社製)、ポリフロー又はフローレン(登録商標。共栄社化学社製。)、アジスパー(登録商標。味の素ファインテクノ社製。)等を挙げることができる。
これらの高分子分散剤は1種を単独で使用してもよく、又は2種以上を併用してもよい。
これらの内、密着性及び直線性の面から、分散剤(e)は塩基性官能基を有するウレタン系高分子分散剤及び/又はアクリル系高分子分散剤を含むことが、特に好ましい。特にはウレタン系高分子分散剤が密着性の面で好ましい。また分散性、保存性の面から、塩基性官能基を有し、ポリエステル及び/又はポリエーテル結合を有する高分子分散剤が好ましい。
本発明の有機ケイ素化合物(f−1)は、前述のように、その有機シラン部位、ウレタン結合部位、エチレン性不飽和基部位が相乗的に作用して、高温高湿度下や室温下での硬化物と基板との密着性を向上させる。この有機ケイ素化合物(f−1)のウレタン結合部位が、ウレタン系高分子分散剤のウレタン結合部位と水素結合などの親和力で結合をつくり、さらに基板との密着性を向上させることができると考えられる。そのために、本発明にはウレタン系高分子分散剤が特に好ましい。
高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)は通常700以上、好ましくは1000以上であり、また通常100,000以下、好ましくは50,000以下であり、30,000以下が特別に好ましい。重量平均分子量が30,000以下であることにより、顔料濃度が高い時でもアルカリ現像性が良好となる傾向がある。
ウレタン系及びアクリル系高分子分散剤としては、例えばDisperbyk160〜167、182シリーズ(いずれもウレタン系)、Disperbyk2000,2001等(いずれもアクリル系)(以上すべてビックケミー社製)が挙げられる。上記の塩基性官能基を有し、ポリエステル及び/又はポリエーテル結合を有するウレタン系高分子分散剤で重量平均分子量30,000以下の得に好ましいものとしてDisperbyk167、182などが上げられる。
(ウレタン系高分子分散剤)
ウレタン系高分子分散剤として好ましい化学構造を具体的に例示するならば、例えば、ポリイソシアネート化合物と、分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300〜10,000の化合物と、同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物とを反応させることによって得られる、重量平均分子量1,000〜200,000の分散樹脂等が挙げられる。
上記のポリイソシアネート化合物の例としては、パラフェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、4,4′−ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフタレン−1,5−ジイソシアネート、トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、リジンメチルエステルジイソシアネート、2,4,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4′−メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、ω,ω′−ジイソシネートジメチルシクロヘキサン等の脂環族ジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネート等の芳香環を有する脂肪族ジイソシアネート、リジンエステルトリイソシアネート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニルメタン)、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート等のトリイソシアネート、及びこれらの3量体、水付加物、及びこれらのポリオール付加物等が挙げられる。ポリイソシアネートとして好ましいのは有機ジイソシアネートの三量体で、最も好ましいのはトリレンジイソシアネートの三量体とイソホロンジイソシアネートの三量体である。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
イソシアネートの三量体の製造方法としては、前記ポリイソシアネート類を適当な三量化触媒、例えば第3級アミン類、ホスフィン類、アルコキシド類、金属酸化物、カルボン酸塩類等を用いてイソシアネート基の部分的な三量化を行い、触媒毒の添加により三量化を停止させた後、未反応のポリイソシアネートを溶剤抽出、薄膜蒸留により除去して目的のイソシアヌレート基含有ポリイソシアネートを得る方法が挙げられる。
同一分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300〜10,000の化合物としては、ポリエーテルグリコール、ポリエステルグリコール、ポリカーボネートグリコール、ポリオレフィングリコール等、及びこれらの化合物の片末端水酸基が炭素数1〜25のアルキル基でアルコキシ化されたもの及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。
ポリエーテルグリコールとしては、ポリエーテルジオール、ポリエーテルエステルジオール、及びこれら2種類以上の混合物が挙げられる。ポリエーテルジオールとしては、アルキレンオキシドを単独又は共重合させて得られるもの、例えばポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリエチレン−プロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール、ポリオキシヘキサメチレングリコール、ポリオキシオクタメチレングリコール及びそれらの2種以上の混合物が挙げられる。
ポリエーテルエステルジオールとしては、エーテル基含有ジオールもしくは他のグリコールとの混合物をジカルボン酸又はそれらの無水物と反応させるか、又はポリエステルグリコールにアルキレンオキシドを反応させることによって得られるもの、例えばポリ(ポリオキシテトラメチレン)アジペート等が挙げられる。ポリエーテルグリコールとして最も好ましいのはポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリオキシテトラメチレングリコール又はこれらの化合物の片末端水酸基が炭素数1〜25のアルキル基でアルコキシ化された化合物である。
ポリエステルグリコールとしては、ジカルボン酸(コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、フタル酸等)又はそれらの無水物とグリコール(エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2−メチル−2,4−ペンタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、1,8−オクタメチレングリコール、2−メチル−1,8−オクタメチレングリコール、1,9−ノナンジオール等の脂肪族グリコール、ビスヒドロキシメチルシクロヘキサン等の脂環族グリコール、キシリレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン等の芳香族グリコール、N−メチルジエタノールアミン等のN−アルキルジアルカノールアミン等)とを重縮合させて得られたもの、例えばポリエチレンアジペート、ポリブチレンアジペート、ポリヘキサメチレンアジペート、ポリエチレン/プロピレンアジペート等、又は前記ジオール類又は炭素数1〜25の1価アルコールを開始剤として用いて得られるポリラクトンジオール又はポリラクトンモノオール、例えばポリカプロラクトングリコール、ポリメチルバレロラクトン及びこれらの2種以上の混合物が挙げられる。ポリエステルグリコールとして最も好ましいのはポリカプロラクトングリコール又は炭素数1〜25のアルコールを開始剤としたポリカプロラクトンである。
ポリカーボネートグリコールとしては、ポリ(1,6−ヘキシレン)カーボネート、ポリ(3−メチル−1,5−ペンチレン)カーボネート等、ポリオレフィングリコールとしてはポリブタジエングリコール、水素添加型ポリブタジエングリコール、水素添加型ポリイソプレングリコール等が挙げられる。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
同一分子内に水酸基を1個又は2個有する化合物の数平均分子量は、通常300〜10,000、好ましくは500〜6,000、更に好ましくは1,000〜4,000である。
本発明に用いられる同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物を説明する。活性水素、即ち、酸素原子、窒素原子又はイオウ原子に直接結合している水素原子としては、水酸基、アミノ基、チオール基等の官能基中の水素原子が挙げられ、中でもアミノ基、特に1級のアミノ基の水素原子が好ましい。
3級アミノ基は、特に限定されないが、例えば炭素数1〜4のアルキル基を有するアミノ基、又はヘテロ環構造、より具体的にはイミダゾール環又はトリアゾール環、などが挙げられる。
このような同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物を例示するならば、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジプロピル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジブチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジエチルエチレンジアミン、N,N−ジプロピルエチレンジアミン、N,N−ジブチルエチレンジアミン、N,N−ジメチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジエチル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジプロピル−1,4−ブタンジアミン、N,N−ジブチル−1,4−ブタンジアミン等が挙げられる。
また、3級アミノ基が含窒素ヘテロ環構造である場合の該含窒素ヘテロ環としては、ピラゾール環、イミダゾール環、トリアゾール環、テトラゾール環、インドール環、カルバゾール環、インダゾール環、ベンズイミダゾール環、ベンゾトリアゾール環、ベンゾオキサゾール環、ベンゾチアゾール環、ベンゾチアジアゾール環等のN含有ヘテロ5員環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、アクリジン環、イソキノリン環等の含窒素ヘテロ6員環が挙げられる。これらの含窒素ヘテロ環のうち好ましいものはイミダゾール環又はトリアゾール環である。
これらのイミダゾール環とアミノ基を有する化合物を具体的に例示するならば、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、ヒスチジン、2−アミノイミダゾール、1−(2−アミノエチル)イミダゾール等が挙げられる。また、トリアゾール環とアミノ基を有する化合物を具体的に例示するならば、3−アミノ−1,2,4−トリアゾール、5−(2−アミノ−5−クロロフェニル)−3−フェニル−1H−1,2,4−トリアゾール、4−アミノ−4H−1,2,4−トリアゾール−3,5−ジオール、3−アミノ−5−フェニル−1H−1,3,4−トリアゾール、5−アミノ−1,4−ジフェニル−1,2,3−トリアゾール、3−アミノ−1−ベンジル−1H−2,4−トリアゾール等が挙げられる。中でも、N,N−ジメチル−1,3−プロパンジアミン、N,N−ジエチル−1,3−プロパンジアミン、1−(3−アミノプロピル)イミダゾール、3−アミノ−1,2,4−トリアゾールが好ましい。
これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
ウレタン系高分子分散剤を製造する際の原料の好ましい配合比率はポリイソシアネート化合物100質量部に対し、同一分子内に水酸基を1個又は2個有する数平均分子量300〜10,000の化合物が10〜200質量部、好ましくは20〜190質量部、更に好ましくは30〜180質量部、同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物が0.2〜25質量部、好ましくは0.3〜24質量部である。
ウレタン系高分子分散剤の製造はポリウレタン樹脂製造の公知の方法に従って行われる。製造する際の溶媒としては、通常、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、イソホロン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸セロソルブ等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、ヘキサン等の炭化水素類、ダイアセトンアルコール、イソプロパノール、第二ブタノール、第三ブタノール等一部のアルコール類、塩化メチレン、クロロホルム等の塩化物、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、ジメチルスルホキサイド等の非プロトン性極性溶媒等が用いられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
上記製造に際して、通常、ウレタン化反応触媒が用いられる。この触媒としては、例えば、ジブチルチンジラウレート、ジオクチルチンジラウレート、ジブチルチンジオクトエート、スタナスオクトエート等の錫系、鉄アセチルアセトナート、塩化第二鉄等の鉄系、トリエチルアミン、トリエチレンジアミン等の3級アミン系等の1種又は2種以上が挙げられる。
<アミン価の測定方法>
分散剤の3級アミン価は、分散剤試料中の溶剤を除いた固形分1gあたりの塩基量と当量のKOHの質量で表し、次の方法により測定することができる。
100mLのビーカーに分散剤試料の0.5〜1.5gを精秤し、50mLの酢酸で溶解する。pH電極を備えた自動滴定装置を使って、この溶液を0.1mol/LのHClO4(過塩素酸)酢酸溶液にて中和滴定する。滴定pH曲線の変曲点を滴定終点とし次式によりアミン価を求める。
アミン価[mgKOH/g]=(561×V)/(W×S)
〔但し、W:分散剤試料秤取量[g]、V:滴定終点での滴定量[mL]、S:分散剤試料の固形分濃度[質量%]を表す。〕
同一分子内に活性水素と3級アミノ基を有する化合物の導入量は反応後のアミン価で1〜100mgKOH/gの範囲に制御するのが好ましい。より好ましくは5〜95mgKOH/gの範囲である。アミン価は、塩基性アミノ基を酸により中和滴定し、酸価に対応させてKOHのmg数で表した値である。アミン価が上記範囲より低いと分散能力が低下する傾向があり、また、上記範囲を超えると現像性が低下しやすくなる。
なお、以上の反応で高分子分散剤にイソシアネート基が残存する場合には更に、アルコールやアミノ化合物でイソシアネート基を潰すと生成物の経時安定性が高くなるので好ましい。
ウレタン系高分子分散剤の重量平均分子量(Mw)は通常1,000〜200,000、好ましくは2,000〜100,000、より好ましくは3,000〜50,000の範囲である。特に30,000以下が好ましい。この分子量が1,000未満では分散性及び分散安定性が劣り、200,000を超えると溶解性が低下し分散性が劣ると同時に反応の制御が困難となる傾向がある。分子量が30,000以下であると、特に顔料濃度の高い場合でも、アルカリ現像性が良好となる傾向がある。このような特に好ましい市販のウレタン分散剤の例としてDisperbyk167、182(ビックケミー社)などが挙げられる。
(アクリル系高分子分散剤)
アクリル系高分子分散剤としては、官能基(ここでいう官能基とは、高分子分散剤に含有される官能基として前述した官能基である。)を有する不飽和基含有単量体と、官能基を有さない不飽和基含有単量体とのランダム重合体、グラフト共重合体、ブロック共重合体を使用することが好ましい。これらの共重合体は公知の方法で製造することができる。
官能基を有する不飽和基含有単量体としては、(メタ)アクリル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルフタル酸、2−(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、アクリル酸ダイマー等のカルボキシル基を有する不飽和単量体、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート及びこれらの4級化物などの3級アミノ基、4級アンモニウム塩基を有する不飽和単量体が具体例として挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
官能基を有さない不飽和基含有単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシメチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、トリシクロデカン(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、N−ビニルピロリドン、スチレン及びその誘導体、α−メチルスチレン、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−ベンジルマレイミドなどのN−置換マレイミド、アクリロニトリル、酢酸ビニル及びポリメチル(メタ)アクリレートマクロモノマー、ポリスチレンマクロモノマー、ポリ2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートマクロモノマー、ポリエチレングリコールマクロモノマー、ポリプロピレングリコールマクロモノマー、ポリカプロラクトンマクロモノマーなどのマクロモノマー等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
(アクリル系ブロック共重合体)
本発明の感光性樹脂組成物は、着色剤の分散性の向上、分散安定性の向上のために、分散剤として窒素原子を含有するアクリル系ブロック共重合体を用いてもよい。このような窒素原子を含有するアクリル系ブロック共重合体は、それに含まれる窒素原子が着色剤表面に対して親和性を持ち、窒素原子以外の部分が媒質に対する親和性を高めることにより、全体として分散安定性の向上に寄与するものと推定される。
分散剤の性能は、その固体表面に対する吸着挙動である。ブロック共重合体が吸着挙動に優れている理由は、詳しいメカニズムは不明だが、以下のことが推察される。
即ち、通常のランダム共重合体の場合、共重合体を構成するモノマーは、共重合時において、立体的に、及び/又は電気的に共重合体中に安定的に配置される確立が高くなる。モノマーが安定的に配置された部分(分子)は、立体的に、及び/又は電気的に安定しているため、着色剤に吸着するとき、かえって障害となる場合がある。これに対し、ブロック共重合体のように分子配列が制御された樹脂は、分散剤の吸着を妨げる部分を、顔料と分散剤との吸着部から離れた位置に配置することができる。つまり、着色剤と分散剤との吸着部には吸着に最適な部分を、溶媒親和性が必要な部分にはそれに適した部分を配置することができる。特に結晶子サイズの小さい着色剤を含有する色材の分散は、この分子配置が良好な分散性に影響するものと推察される。
窒素原子を含有するアクリル系ブロック共重合体は、本発明に用いられる着色剤を極めて効率よく分散しうる点で好ましい。その理由は明らかではないが、分子配列が制御されていることにより、分散剤が着色剤に吸着する際に障害となる構造が少ないためと推察される。アクリル系ブロック共重合体としては、側鎖に4級アンモニウム塩基及び/又はアミノ基を有するAブロックと、4級アンモニウム塩基及びアミノ基を有さないBブロックからなる、A−Bブロック共重合体及び/又はB−A−Bブロック共重合体が好ましい。
Aブロックが4級アンモニウム塩基を有する場合、当該4級アンモニウム塩基は、好ましくは−N+515253・M-(但し、R51、R52及びR53は、各々独立に、水素原子、又は置換されていてもよい環状若しくは鎖状の炭化水素基を表す。或いは、R51、R52及びR53のうち2つ以上が互いに結合して、環状構造を形成していてもよい。M-は、対アニオンを表す。)で表される。この4級アンモニウム塩基は、直接主鎖に結合していてもよいが、2価の連結基を介して主鎖に結合していてもよい。
−N+515253において、R51、R52及びR53のうち2つ以上が互いに結合して形成する環状構造としては、例えば5〜7員環の含窒素複素環単環又はこれらが2個縮合してなる縮合環が挙げられる。該含窒素複素環は芳香性を有さないものが好ましく、飽和環であればより好ましい。具体的には、例えば下記のものが挙げられる。これらの環状構造は、更に置換基を有していてもよい。
Figure 0006344108
上記式中、RはR51〜R53のうち何れかの基を表す。
−N+515253におけるR51〜R53として、より好ましいのは、置換基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基、又は置換基を有していてもよいベンジル基である。
又、4級アンモニウム塩基を有するAブロックとしては、特に、下記一般式(VI)で表される部分構造を含有するものが好ましい。
Figure 0006344108
上記式(VI)中、R51、R52、R53は各々独立に、水素原子、又は置換されていてもよい環状若しくは鎖状の炭化水素基を表す。或いは、R51、R52及びR53のうち2つ以上が互いに結合して、環状構造を形成していてもよい。R54は、水素原子又はメチル基を表す。Xは、2価の連結基を表し、M-は、対アニオンを表す。
上記一般式(VI)において、R51、R52、R53の炭化水素基は、それぞれ独立して、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20の芳香族基を有する置換基が好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ベンジル基、フェニル基等を挙げることができる。中でもメチル基、エチル基、プロピル基、ベンジル基が好ましい。
上記一般式(VI)において、2価の連結基Xとしては、例えば、炭素数1〜10のアルキレン基、アリーレン基、−CONH−R55−、−COO−R56−(但し、R55及びR56は、直接結合、炭素数1〜10のアルキレン基、又は炭素数1〜10のエーテル基(−R57−O−R58−:R57及びR58は、各々独立にアルキレン基)を表す。)
等が挙げられ、好ましくは−COO−R56−である。
また、対アニオンのM-としては、Cl-、Br-、I-、ClO4 -、BF4 -、CH3COO-、PF6 -等が挙げられる。
上記の如き特定の4級アンモニウム塩基を含有する部分構造は、1つのAブロック中に2種以上含有されていてもよい。その場合、2種以上の4級アンモニウム塩基含有部分構造は、該Aブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。また、該4級アンモニウム塩基を含有しない部分構造が、Aブロック中に含まれていてもよく、該部分構造の例としては、後述の(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造等が挙げられる。
かかる4級アンモニウム塩基を含まない部分構造の、Aブロック中の含有量は、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは0〜20質量%であるが、かかる4級アンモニウム塩基非含有部分構造はAブロック中に含まれないことが最も好ましい。
尚、上述するアクリル系ブロック共重合体のAブロックは、4級化されていない未反応の3級アミノ基を有していてもよい。
Aブロックがアミノ基を有する場合、アミノ基は1〜3級のいずれでもよい。当該1〜3級アミノ基を有する単量体の含有割合は、当該アクリル系ブロック共重合体を構成する単量体組成において、20モル%以上であることが好適であり、より好ましくは50モル%以上である。
このアミノ基は、直接主鎖に結合していてもよいが、2価の連結基を介して主鎖に結合していてもよい。
又、上記1〜3級アミノ基としては、好ましくは−NR6162(但し、R61及びR62は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい環状又は鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を示す。)で表され、又、これを含む部分構造(繰返し単位)として好ましいものは、例えば下記一般式で表されるような構造が挙げられる。
Figure 0006344108
但し、R61及びR62は、上記のR61及びR62と同義であり、R63は炭素数1以上のアルキレン基、R64は水素原子又はメチル基を示す。
中でも、R61及びR62はメチル基が好ましく、R63はメチレン基、エチレン基が好ましく、R64は水素原子もしくはメチル基であるのが好ましい。このような部分構造としては下記一般式で表されるジメチルアミノエチルアクリレートやジメチルアミノエチルメタアクリレート由来の構造等が、特に好適に用いられる。
Figure 0006344108
上記一般式中、R64は前述と同義である。
更に、上記アミノ基を含有する部分構造は、1つのAブロック中に2種以上含有されていてもよい。その場合、2種以上のアミノ基含有部分構造は、該Aブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。又、アミノ基を含有しない部分構造が、Aブロック中に一部含まれていてもよく、そのような部分構造の例としては、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造等が挙げられる。係るアミノ基を含まない部分構造の、Aブロック中の含有量は、好ましくは0〜50質量%、より好ましくは0〜20質量%であるが、係るアミノ基非含有部分構造はAブロック中に含まれないことが最も好ましい。
Aブロック中に4級アンモニウム塩基又はアミノ基のいずれか一方を有してもよく、両方を有してもよい。
一方、アクリル系ブロック共重合体を構成するBブロックは、上述した4級アンモニウム塩基及びアミノ基を有さず、上述したAブロックを構成するモノマーと共重合しうるモノマーから成るものであれば、特に制限は無い。Bブロックは、顔料吸着基となる窒素原子含有官能基を有さない親溶媒性の部位であり、溶媒に親和性があるため、分散剤に吸着した顔料を溶媒中に安定化させる働きがある。
Bブロックとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレンなどのスチレン系モノマー;(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、グリシジル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、エチルアクリル酸グリシジル、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸エステル系モノマー;(メタ)アクリル酸クロライドなどの(メタ)アクリル酸塩系モノマー;(メタ)アクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチルアクリルアミドなどの(メタ)アクリルアミド系モノマー;酢酸ビニル;アクリロニトリル;アリルグリシジルエーテル、クロトン酸グリシジルエーテル;N−メタクリロイルモルホリン、などのコモノマーを共重合させたポリマー構造が挙げられる。
Bブロックとしては、特に下記式(VIII)で表される、(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造を含有するものが好ましい。
Figure 0006344108
上記式(VIII)中、R61は、水素原子又はメチル基を表す。R62は、置換基を有していてもよい環状又は鎖状のアルキル基、置換基を有していてもよいアリル基、又は置換基を有していてもよいアラルキル基を表す。
上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造は、1つのBブロック中に2種以上含有されていてもよい。もちろん該Bブロックは、更にこれら以外の部分構造を含有していてもよい。2種以上のモノマー由来の部分構造が、4級アンモニウム塩基を含有しないBブロック中に存在する場合、各部分構造は該Bブロック中においてランダム共重合又はブロック共重合の何れの態様で含有されていてもよい。
Bブロック中に上記(メタ)アクリル酸エステル系モノマー由来の部分構造以外の部分構成を含有する場合、当該(メタ)アクリル酸エステル系モノマー以外の部分構造の、Bブロック中の含有量は、好ましくは0〜99質量%、より好ましくは0〜85質量%である。
本発明で用いるアクリル系分散剤は、このようなAブロックとBブロックとからなる、A−Bブロック又はB−A−Bブロック共重合型高分子化合物であるが、このようなブロック共重合体は、例えばリビング重合法にて調製される。
リビング重合法にはアニオンリビング重合法、カチオンリビング重合法、ラジカルリビング重合法がある。例えば、特開2007−270147号公報に記載の方法が挙げられる。
尚、上記アクリル系ブロック共重合体のアミン価は、有効固形分換算で通常1〜300mgKOH/g程度であるが、その好ましい範囲は、Aブロックが4級アンモニウム塩基を有する場合とそうでない場合とで異なる。なお、アミン価は、共重合体1g中のアミノ基を中和するのに必要な酸のモル当量に対応したKOHのmg数で表した値である。
即ち、本発明に係るA−Bブロック共重合体及びB−A−Bブロック共重合体において、Aブロックが4級アンモニウム塩基を有する場合、当該共重合体1g中の4級アンモニウム塩基の量は、通常0.1〜10mmolであることが好ましく、この範囲外では、良好な耐熱性と分散性を兼備することができない場合がある。
なお、このようなブロック共重合体中には、通常、製造過程で生じたアミノ基が含有される場合があるが、そのアミン価は通常1〜100mgKOH/g程度、好ましくは1〜80mgKOH/g。より好ましくは1〜50mgKOH/gである。
又、Aブロックに4級アンモニウム塩基を含まない場合、当該共重合体のアミン価は、通常、50〜300mgKOH/g程度、好ましくは50〜200mgKOH/g、より好ましくは80mgKOH/g以上150mgKOH/g以下、更に好ましくは90〜150mgKOH/gである。
このようなアクリル系ブロック共重合体の酸価は、該酸価の元となる酸性基の有無及び種類にもよるが、一般に低い方が好ましく、通常100mgKOH/g以下であり、好ましくは50mgKOH/g以下、より好ましくは40mgKOH/g以下である。
また、アクリル系ブロック共重合体の分子量は、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)では、通常1000以上、100,000以下の範囲である。アクリル系ブロック共重合体の分子量が小さすぎると分散安定性が低下し、大きすぎると現像性、解像性が低下する傾向にある。
本発明においては、上述のものと同様の構造を有する市販のアクリル系ブロック共重合体を適用することもできる。
(窒素原子を含有するグラフト共重合体)
窒素原子を含有するグラフト共重合体としては、主鎖に窒素原子を含有する繰り返し単位を有するものが好ましい。中でも、下記一般式(i)で表される繰り返し単位又は/及び下記一般式(ii)で表される繰り返し単位を有することが好ましい。
Figure 0006344108
(一般式(i)、(ii)中、R91は、メチレン、エチレン、プロピレン等の直鎖状又は分岐状の炭素数1〜5のアルキレン基を表し、好ましくは炭素数2〜3のアルキレン基であり、更に好ましくはエチレン基である。Aは水素原子又は下記一般式(iii)〜(v)のいずれかを表すが、好ましくは下記一般式(iii)である。)
Figure 0006344108
(一般式(iii)中、W1は炭素数2〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を表し、中でもブチレン、ペンチレン、ヘキシレン等の炭素数4〜7のアルキレン基が好ましい。pは1〜20の整数を表し、好ましくは5〜10の整数である。)
Figure 0006344108
(一般式(iv)中、G1は2価の連結基を表し、中でもエチレン、プロピレン等の炭素数1〜4のアルキレン基とエチレンオキシ、プロピレンオキシ等の炭素数1〜4のアルキレンオキシ基が好ましい。W2はエチレン、プロピレン、ブチレン等の直鎖状又は分岐状の炭素数2〜10のアルキレン基を表し、中でもエチレン、プロピレン等の炭素数2〜3のアルキレン基が好ましい。G2は水素原子又は−CO−R92(R92はエチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル等の炭素数1〜10のアルキル基を表し、中でもエチル、プロピル、ブチル、ペンチル等の炭素数2〜5のアルキル基が好ましい)を表す。qは、1〜20の整数を表し、好ましくは5〜10の整数である。)
Figure 0006344108
(一般式(v)中、W3は炭素数1〜50のアルキル基又は水酸基を1〜5有する炭素数1〜50のヒドロキシアルキル基を表し、中でもステアリル等の炭素数10〜20のアルキル基、モノヒドロキシステアリル等の水酸基を1〜2個有する炭素数10〜20のヒドロキシアルキル基が好ましい。)
窒素原子を含有するグラフト共重合体における一般式(i)又は(ii)で表される繰り返し単位の含有率は、高い方が好ましく、合計で通常50モル%以上であり、好ましくは70モル%以上である。一般式(i)で表される繰り返し単位と、一般式(ii)で表される繰り返し単位の、両方を併有してもよく、その含有比率に特に制限は無いが、好ましくは一般式(i)の繰り返し単位の方を多く含有していた方が好ましい。グラフト共重合体中の一般式(i)又は一般式(ii)で表される繰り返し単位の合計数は、1以上、好ましくは10以上、更に好ましくは20以上で、通常100以下、好ましくは70以下、更に好ましくは50以下である。また、グラフト共重合体中には一般式(i)及び一般式(ii)以外の繰り返し単位を含んでいてもよく、他の繰り返し単位としては、例えばアルキレン基、アルキレンオキシ基等が例示できる。本発明におけるグラフト共重合体は、その末端が−NH2及び−R91−NH2(R91は、一般式(i)、(ii)におけると同義)のものが好ましい。
なお、上述したようなグラフト共重合体であれば、主鎖が直鎖状であっても分岐していてもよい。
このグラフト共重合体のGPCで測定した質量平均分子量としては、3,000以上、特に5,000以上が好ましく、100,000以下、特に50,000以下が好ましい。この質量平均分子量が3,000未満であると、色材の凝集を防ぐことができず、高粘度化ないしはゲル化してしまうことがあり、100,000を超えるとそれ自体が高粘度となり、また有機溶媒への溶解性が不足するため好ましくない。
上記分散剤の合成方法は、公知の方法が採用でき、例えば特公昭63−30057号公報に記載の方法を用いることができる。
分散剤の含有量は、感光性樹脂組成物の固形分中、通常50質量%以下、好ましくは30質量%以下、通常1質量%以上、好ましくは3質量%以上である。また、分散剤の含有量は、色材(d)に対して、通常5質量%以上、特に10質量%以上であり、通常200%質量%以下、特に80質量%以下であることが好ましい。分散剤の含有量が少な過ぎると、十分な分散性が得られない場合があり、多過ぎると相対的に他の成分の割合が減って色濃度、感度、成膜性等が低下する傾向がある。
特に、分散剤としては、高分子分散剤と顔料誘導体とを併用することが好ましいが、この場合、顔料誘導体の配合割合は本発明の感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常0.1質量%以上で、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下とすることが好ましい。
界面活性剤を用いる場合、その含有量は、感光性樹脂組成物中の全固形分に対して通常0.001〜10質量%、好ましくは0.005〜1質量%、さらに好ましくは0.01〜0.5質量%、最も好ましくは0.03〜0.3質量%である。界面活性剤の含有量が上記範囲よりも少ないと塗布膜の平滑性、均一性が発現できない可能性があり、多いと塗布膜の平滑性、均一性が発現できない他、他の特性が悪化する場合がある。 なお、本発明の感光性樹脂組成物は、前述の有機溶剤を使用して、その固形分濃度が通常5〜50質量%、好ましくは10〜30質量%となるように、調液される。
<チオール類>
本発明の感光性樹脂組成物は、高感度化、基板への密着性の向上のため、チオール類を添加することが好ましい。チオール類の種類としては、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、ブタンジオールビスチオプロピオネート、ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ブタンジオールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、トリスヒドロキシエチルトリスチオプロピオネート、エチレングリコールビス(3−メルカプトブチレート)、プロピレングリコールビス(3−メルカプトブチレート);(略してPGMB),ブタンジオールビス(3−メルカプトブチレート)、1,4−ビス(3−メルカプトブチリルオキシ)ブタン;(商品名;カレンズMT BD1、昭和電工(株)製)、ブタンジオールトリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキス(3−メルカプトブチレート);(商品名;カレンズMT PE1、昭和電工(株)製)、ペンタエリスリトールトリス(3− メルカプトブチレート)、エチレングリコールビス(3−メルカプトイソブチレート)、ブタンジオールビス(3−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトイソブチレート)、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート);(略してTPMB) トリメチロールプロパントリス(2−メルカプトイソブチレート);(略してTPMIB)、1,3,5−トリス(3−メルカプトブチルオキシエチル)−1,3,5−トリアジン−2,4,6(1H,3H,5H)−トリオン;(商品名;カレンズMT NR1、昭和電工(株)製)等が挙げられ、これらは種々のものが1種を単独で、或いは2種以上を混合して使用できる。好ましくは上記、PGMB、TPMB、TPMIB、カレンズMT BD1、カレンズMT PE1、カレンズMT NR1などの多官能チオールが好ましく、その中でもカレンズMT BD1、カレンズMT PE1、カレンズMT NR1がさらに好ましく、カレンズMT PE1が特に好ましい。
チオール化合物を用いる場合、チオール化合物の含有量は、本発明の感光性樹脂組成物の全固形分に対して、通常0.1質量%以上、好ましくは0.3質量%以上、更に好ましくは0.5質量以上であり、通常10質量%以下、好ましくは5質量%以下である。チオール化合物の含有量が少なすぎると感度低下を起こすことがあり、反対に多すぎると保存安定性が悪くなる場合がある。
<溶剤>
本発明の感光性樹脂組成物は、通常、エチレン性不飽和基を含有するアルカリ可溶性樹脂(a)、光重合性モノマー(b)、光重合開始剤(c)、色材(d)、分散剤(e)、及び必要に応じて使用される各種材料が、有機溶剤に溶解又は分散した状態で使用される。
有機溶剤としては、沸点(圧力1013.25[hPa]条件下。以下、沸点に関しては全て同様。)が100〜300℃の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは120〜280℃の沸点をもつ溶剤である。
このような有機溶剤としては、例えば、次のようなものが挙げられる。
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、プロピレングリコール−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、メトキシメチルペンタノール、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、3−メチル−3−メトキシブタノール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテルのようなグリコールモノアルキルエーテル類;
エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジプロピルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテルのようなグリコールジアルキルエーテル類; エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノプロピルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノブチルエーテルアセテート、メトキシブチルアセテート、3−メトキシブチルアセテート、メトキシペンチルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、トリエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテートのようなグリコールアルキルエーテルアセテート類;
エチレングリコールジアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテートなどのグリコールジアセテート類; シクロヘキサノールアセテートなどのアルキルアセテート類; アミルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、ジアミルエーテル、エチルイソブチルエーテル、ジヘキシルエーテルのようなエーテル類; アセトン、メチルエチルケトン、メチルアミルケトン、メチルイソプロピルケトン、メチルイソアミルケトン、ジイソプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、エチルアミルケトン、メチルブチルケトン、メチルヘキシルケトン、メチルノニルケトン、メトキシメチルペンタノンのようなケトン類; エタノール、プロパノール、ブタノール、ヘキサノール、シクロヘキサノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、メトキシメチルペンタノール、グリセリン、ベンジルアルコールのような1価又は多価アルコール類; n−ペンタン、n−オクタン、ジイソブチレン、n−ヘキサン、ヘキセン、イソプレン、ジペンテン、ドデカンのような脂肪族炭化水素類; シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、メチルシクロヘキセン、ビシクロヘキシルのような脂環式炭化水素類;
ベンゼン、トルエン、キシレン、クメンのような芳香族炭化水素類; アミルホルメート、エチルホルメート、酢酸エチル、酢酸ブチル、酢酸プロピル、酢酸アミル、メチルイソブチレート、エチレングリコールアセテート、エチルプロピオネート、プロピルプロピオネート、酪酸ブチル、酪酸イソブチル、イソ酪酸メチル、エチルカプリレート、ブチルステアレート、エチルベンゾエート、3−エトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−メトキシプロピオン酸エチル、3−メトキシプロピオン酸プロピル、3−メトキシプロピオン酸ブチル、γ−ブチロラクトンのような鎖状又は環状エステル類; 3−メトキシプロピオン酸、3−エトキシプロピオン酸のようなアルコキシカルボン酸類;
ブチルクロライド、アミルクロライドのようなハロゲン化炭化水素類; メトキシメチルペンタノンのようなエーテルケトン類; アセトニトリル、ベンゾニトリルのようなニトリル類等: 上記に該当する市販の溶剤としては、ミネラルスピリット、バルソル#2、アプコ#18ソルベント、アプコシンナー、ソーカルソルベントNo.1及びNo.2、ソルベッソ#150、シェルTS28 ソルベント、カルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、メチルセロソルブ(「セロソルブ」は登録商標。以下同じ。)、エチルセロソルブ、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート、ジグライム(いずれも商品名)などが挙げられる。
これらの有機溶剤は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
フォトリソグラフィー法にてカラーフィルターの画素又はブラックマトリックスを形成する場合、有機溶剤としては沸点が100〜200℃の範囲のものを選択するのが好ましい。より好ましくは120〜170℃の沸点を持つものである。
上記有機溶剤のうち、塗布性、表面張力などのバランスが良く、組成物中の構成成分の溶解度が比較的高い点からは、グリコールアルキルエーテルアセテート類が好ましい。
また、グリコールアルキルエーテルアセテート類は、単独で使用してもよいが、他の有機溶剤を併用してもよい。併用する有機溶剤として、特に好ましいのはグリコールモノアルキルエーテル類である。中でも、特に組成物中の構成成分の溶解性からプロピレングリコールモノメチルエーテルが好ましい。なお、グリコールモノアルキルエーテル類は極性が高く、添加量が多すぎると顔料が凝集しやすく、後に得られる感光性樹脂組成物の粘度が上がっていくなどの保存安定性が低下する傾向があるので、溶剤中のグリコールモノアルキルエーテル類の割合は5質量%〜30質量%が好ましく、5質量%〜20質量%がより好ましい。
また、150℃以上の沸点をもつ有機溶剤(以下「高沸点溶剤」と称す場合がある。)を併用することも好ましい。このような高沸点溶剤を併用することにより、感光性樹脂組成物は乾きにくくなるが、組成物中における顔料の均一な分散状態が、急激な乾燥により破壊されることを防止する効果がある。すなわち、例えばスリットノズル先端における、色材などの析出・固化による異物欠陥の発生を防止する効果がある。このような効果が高い点から、上述の各種溶剤の中でも、特にジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、及びジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテートが好ましい。
有機溶剤中の高沸点溶剤の含有割合は、3質量%〜50質量%が好ましく、5質量%〜40質量%がより好ましく、5質量%〜30質量%が特に好ましい。高沸点溶剤の量が少なすぎると、例えばスリットノズル先端で色材などが析出・固化して異物欠陥を惹き起こす可能性があり、また多すぎると組成物の乾燥温度が遅くなり、後述するカラーフィルター製造工程における、減圧乾燥プロセスのタクト不良や、プリベークのピン跡といった問題を惹き起こすことが懸念される。
なお沸点150℃以上の高沸点溶剤が、グリコールアルキルエーテルアセテート類であってもよく、またグリコールアルキルエーテル類であってもよく、この場合は、沸点150℃以上の高沸点溶剤を別途含有させなくてもかまわない。 好ましい高沸点溶剤として、例えば前述の各種溶剤の中ではジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、1,3−ブチレングリコールジアセテート、1,6−ヘキサノールジアセテート、トリアセチンなどが挙げられる。
本発明の感光性樹脂組成物において、有機溶剤の含有量は特に限定されないが、塗布し易さや粘度安定性の観点から、好ましくは5質量%以上、より好ましくは8質量%以上、さらに好ましくは10質量%以上、また、好ましくは40質量%以下、より好ましくは30質量%以下、さらに好ましくは25質量%以下である。
<感光性樹脂組成物のその他の配合成分>
本発明の感光性樹脂組成物には、上述の成分の他、密着向上剤、塗布性向上剤、現像改良剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、界面活性剤、顔料誘導体等を適宜配合することができる。
(密着向上剤)
基板との密着性を改善するため、有機ケイ素化合物(f)以外の密着向上剤を本発明の感光性樹脂組成物に含有させてもよく、例えば、リン酸系密着向上剤、その他の密着向上剤等が挙げられる。
リン酸系密着向上剤としては、(メタ)アクリロイルオキシ基含有ホスフェート類が好ましく、中でも下記一般式(g1)、(g2)、(g3)で表されるものが好ましい。
Figure 0006344108
上記一般式(g1)、(g2)、(g3)において、R51は水素原子又はメチル基を示し、l及びl’は1〜10の整数、mは1、2又は3である。
その他の密着向上剤としては、TEGO*Add Bond LTH(Evonik社製)などが上げられる。これらの燐酸基含有化合物やその他の密着剤も1種類を単独で用いても、2種以上を組み合わせて使用してもよい。
(界面活性剤)
本発明の感光性着色組成物には、塗布性向上ため、界面活性剤を含有させてもよい。界面活性剤としては、例えば、アニオン系、カチオン系、非イオン系、両性界面活性剤等各種のものを用いることができる。中でも、諸特性に悪影響を及ぼす可能性が低い点で、非イオン系界面活性剤を用いるのが好ましく、中でもフッ素系やシリコン系の界面活性剤が塗布性の面で効果的である。
このような界面活性剤としては、例えば、TSF4460(ジーイー東芝シリコーン社製)、DFX−18(ネオス社製)、BYK−300、BYK−325、BYK−330(ビックケミー社製)、KP340(信越シリコーン社製)、F−470、F−475、F−478、F−559(大日本インキ化学工業社製)、SH7PA(トーレシリコーン社製)、DS−401(ダイキン社製)、L−77(日本ユニカー社製)、FC4430(住友3M社製)等が挙げられる。
なお、界面活性剤は、1種を用いてもよく、2種以上を任意の組み合わせ及び比率で併用しても良い。
[その他の成分]
本発明の遮光性感光性樹脂組成物には、上記の成分の他に、さらに重合加速剤、光酸発生剤、架橋剤、可塑剤、保存安定剤、表面保護剤、有機カルボン酸、有機カルボン酸無水物、現像改良剤、熱重合防止剤等を含んでいてもよい。
(顔料誘導体)
本発明の感光性着色組成物には、分散性、保存性向上のため、顔料誘導体を含有させてもよい。顔料誘導体としてはアゾ系、フタロシアニン系、キナクリドン系、ベンズイミダゾロン系、キノフタロン系、イソインドリノン系、ジオキサジン系、アントラキノン系、インダンスレン系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、ジオキサジン系等の誘導体が挙げられるが、中でもフタロシアニン系、キノフタロン系が好ましい。
顔料誘導体の置換基としてはスルホン酸基、スルホンアミド基及びその4級塩、フタルイミドメチル基、ジアルキルアミノアルキル基、水酸基、カルボキシル基、アミド基等が顔料骨格に直接又はアルキル基、アリール基、複素環基等を介して結合したものが挙げられ、好ましくはスルホン酸基である。またこれら置換基は一つの顔料骨格に複数置換していても良い。顔料誘導体の具体例としてはフタロシアニンのスルホン酸誘導体、キノフタロンのスルホン酸誘導体、アントラキノンのスルホン酸誘導体、キナクリドンのスルホン酸誘導体、ジケトピロロピロールのスルホン酸誘導体、ジオキサジンのスルホン酸誘導体等が挙げられる。これらは1種を単独で用いても良く、2種以上を併用しても良い。
<感光性樹脂組成物の製造方法>
本発明の感光性樹脂組成物(以下、「レジスト」と称することがある。)は、常法に従って製造される。
通常、色材(d)は、予めペイントコンディショナー、サンドグラインダー、ボールミル、ロールミル、ストーンミル、ジェットミル、ホモジナイザー等を用いて分散処理するのが好ましい。分散処理により色材(d)が微粒子化されるため、レジストの塗布特性が向上する。また、色材(d)として黒色色材を使用した場合は遮光能力の向上に寄与する。
分散処理は、通常、色材(d)、分散剤(e)、有機溶剤、及び必要に応じて並びにアルカリ可溶性樹脂(a)の一部又は全部を併用した系にて行うことが好ましい。(以下、分散処理に供する混合物、及び該処理にて得られた組成物を「インク」又は「顔料分散液」と称することがある。)特に分散剤として高分子分散剤を用いると、得られたインク及びレジストの経時の増粘が抑制される(分散安定性に優れる)ので好ましい。
なお、感光性樹脂組成物に配合する全成分を含有する液に対して分散処理を行った場合、分散処理時に生じる発熱のため、高反応性の成分が変性する可能性がある。従って、高分子分散剤を含む系にて分散処理を行うことが好ましい。
サンドグラインダーで色材(d)を分散させる場合には、0.1〜8mm程度の径のガラスビーズ又はジルコニアビーズが好ましく用いられる。分散処理条件は、温度は通常、0℃から100℃であり、好ましくは、室温から80℃の範囲である。分散時間は液の組成及び分散処理装置のサイズ等により適正時間が異なるため適宜調節する。レジストの20度鏡面光沢度(JIS Z8741)が100〜200の範囲となるように、インキの光沢を制御するのが分散の目安である。レジストの光沢度が低い場合には、分散処理が十分でなく荒い顔料(色材)粒子が残っていることが多く、現像性、密着性、解像性等が不十分となる可能性がある。また、光沢値が上記範囲を超えるまで分散処理を行うと、顔料が破砕して超微粒子が多数生じるため、却って分散安定性が損なわれる傾向がある。
次に、上記分散処理により得られたインキと、レジスト中に含まれる、上記の他の成分を混合し、均一な溶液とする。レジストの製造工程においては、微細なゴミが液中に混じることが多いため、得られたレジストはフィルター等により濾過処理するのが望ましい。
[硬化物]
本発明の感光性樹脂組成物を硬化させることで、硬化物を得ることができる。感光性樹脂組成物を硬化してなる硬化物は、ブラックマトリックスや着色スペーサーとして好適に用いることができる。
[ブラックマトリックス]
次に、本発明の感光性樹脂組成物を用いたブラックマトリックスについて、その製造方法に従って説明する。
(1) 支持体
ブラックマトリックスを形成するための支持体としては、適度の強度があれば、その材質は特に限定されるものではない。おもに透明基板が使用されるが、材質としては、例えば、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンなどのポリオレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレート、ポリスルフォンなどの熱可塑性樹脂製シート、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ポリ(メタ)アクリル系樹脂などの熱硬化性樹脂シート、又は各種ガラスなどが挙げられる。この中でも、耐熱性の観点からガラス、耐熱性樹脂が好ましい。また、基板の表面にITO、IZO等の透明電極が成膜されている場合も有る。透明基板以外では、TFTアレイ上に形成することも可能である。
支持体には、接着性などの表面物性の改良のため、必要に応じ、コロナ放電処理、オゾン処理、シランカップリング剤や、ウレタン系樹脂などの各種樹脂の薄膜形成処理などを行っても良い。
透明基板の厚さは、通常0.05〜10mm、好ましくは0.1〜7mmの範囲とされる。また各種樹脂の薄膜形成処理を行う場合、その膜厚は、通常0.01〜10μm、好ましくは0.05〜5μmの範囲である。
(2) ブラックマトリックス
上述の本発明の感光性樹脂組成物により、本発明のブラックマトリックスを形成するには、透明基板上に本発明の感光性樹脂組成物を塗布して乾燥した後、該試料の上にフォトマスクを置き、該フォトマスクを介して画像露光、現像、必要に応じて熱硬化或いは光硬化することによりブラックマトリックスを形成させる。
(3) ブラックマトリックスの形成
(3−1) 感光性樹脂組成物の塗布
ブラックマトリックス用の感光性樹脂組成物の透明基板上への塗布は、スピナー法、ワイヤーバー法、フローコート法、ダイコート法、ロールコート法、又はスプレーコート法などによって行うことができる。中でも、ダイコート法によれば、塗布液使用量が大幅に削減され、かつ、スピンコート法によった際に付着するミストなどの影響が全くなく、異物発生が抑制されるなど、総合的な観点から好ましい。
塗膜の厚さは、厚すぎると、パターン現像が困難となるとともに、液晶セル化工程でのギャップ調整が困難となることがあり、薄すぎると顔料濃度を高めることが困難となり所望の色発現が不可能となることがある。塗膜の厚さは、乾燥後の膜厚として、通常0.2〜10μmの範囲とするのが好ましく、より好ましいのは0.5〜6μmの範囲、更に好ましいのは1〜4μmの範囲である。
(3−2) 塗膜の乾燥
基板に感光性樹脂組成物を塗布した後の塗膜の乾燥は、ホットプレート、IRオーブン、又はコンベクションオーブンを使用した乾燥法によるのが好ましい。乾燥の条件は、前記溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて適宜選択することができる。乾燥時間は、溶剤成分の種類、使用する乾燥機の性能などに応じて、通常は、40〜200℃の温度で15秒〜5分間の範囲で選ばれ、好ましくは50〜130℃の温度で30秒〜3分間の範囲で選ばれる。
乾燥温度は、高いほど透明基板に対する塗膜の接着性が向上するが、高すぎるとアルカリ可溶性樹脂が分解し、熱重合を誘発して現像不良を生ずる場合がある。なお、この塗膜の乾燥工程は、温度を高めず、減圧チャンバー内で乾燥を行う、減圧乾燥法であっても良い。
(3−3)露光
画像露光は、感光性樹脂組成物の塗膜上に、ネガのマスクパターンを重ね、このマスクパターンを介し、紫外線又は可視光線の光源を照射して行う。この際、必要に応じ、酸素による光重合性層の感度の低下を防ぐため、光重合性の塗膜上にポリビニルアルコール層などの酸素遮断層を形成した後に露光を行っても良い。上記の画像露光に使用される光源は、特に限定されるものではない。光源としては、例えば、キセノンランプ、ハロゲンランプ、タングステンランプ、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、メタルハライドランプ、中圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、蛍光ランプなどのランプ光源や、アルゴンイオンレーザー、YAGレーザー、エキシマレーザー、窒素レーザー、ヘリウムカドミニウムレーザー、半導体レーザーなどのレーザー光源などが挙げられる。特定の波長の光を照射して使用する場合には、光学フィルタを利用することもできる。
(3−4)現像
本発明に係るブラックマトリックスは、感光性樹脂組成物による塗膜を、上記の光源によって画像露光を行った後、有機溶剤、又は、界面活性剤とアルカリ性化合物とを含む水溶液を用いる現像によって、基板上に画像を形成して作製することができる。この水溶液には、更に有機溶剤、緩衝剤、錯化剤、染料又は顔料を含ませることができる。
アルカリ性化合物としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウム、メタケイ酸ナトリウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム、リン酸水素ナトリウム、リン酸水素カリウム、リン酸二水素ナトリウム、リン酸二水素カリウム、水酸化アンモニウムなどの無機アルカリ性化合物や、モノ−・ジ−又はトリエタノールアミン、モノ−・ジ−又はトリメチルアミン、モノ−・ジ−又はトリエチルアミン、モノ−又はジイソプロピルアミン、n−ブチルアミン、モノ−・ジ−又はトリイソプロパノールアミン、エチレンイミン、エチレンジイミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、コリンなどの有機アルカリ性化合物が挙げられる。これらのアルカリ性化合物は、2種以上の混合物であっても良い。
界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテル類、ポリオキシエチレンアルキルエステル類、ソルビタンアルキルエステル類、モノグリセリドアルキルエステル類などのノニオン系界面活性剤、アルキルベンゼンスルホン酸塩類、アルキルナフタレンスルホン酸塩類、アルキル硫酸塩類、アルキルスルホン酸塩類、スルホコハク酸エステル塩類などのアニオン性界面活性剤、アルキルベタイン類、アミノ酸類などの両性界面活性剤が挙げられる。
有機溶剤としては、例えば、イソプロピルアルコール、ベンジルアルコール、エチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、フェニルセロソルブ、プロピレングリコール、ジアセトンアルコールなどが挙げられる。有機溶剤は、単独で用いても良く、また、水溶液と併用しても良い。
現像処理の条件は特に制限はなく、通常、現像温度は10〜50℃の範囲、中でも15〜45℃、特に好ましくは20〜40℃で、現像方法は、浸漬現像法、スプレー現像法、ブラシ現像法、超音波現像法などのいずれかの方法によることができる。
(3−5)熱硬化処理
現像の後の基板には、熱硬化処理又は光硬化処理、好ましくは熱硬化処理を施す。この際の熱硬化処理条件は、温度は100〜280℃の範囲、好ましくは150〜250℃の範囲で選ばれ、時間は5〜60分間の範囲で選ばれる。
以上のようにして形成させたブラックマトリックスは底部の幅は通常3〜50μm、好ましくは4〜30μm、特に高細線の場合には4〜8μmが好ましく、高さは通常0.5〜5μm、好ましくは1〜4μmである。また、体積低効率は1×1013Ω・cm以上、好ましくは1×1014Ω・cm以上であり、比誘電率は6以下、好ましくは5以下である。 さらに、厚さ1μm当たりの光学濃度(OD)が3.0以上、好ましくは3.5以上、より好ましくは4.0以上、特に好ましくは4.2以上である。
[その他のカラーフィルター画像の形成]
ブラックマトリックスを設けた透明基板上に、上記(3−1)〜(3−5)と同じプロセスで赤色、緑色、青色のうち一色の色材を含有する感光性着色樹脂組成物を塗布し、乾燥した後、塗膜の上にフォトマスクを重ね、このフォトマスクを介して画像露光、現像、必要に応じて熱硬化又は光硬化により画素画像を形成させ、着色層を作成する。この操作を、赤色、緑色、青色の三色の感光性着色樹脂組成物についてそれぞれ行うことによって、カラーフィルター画像を形成することができる。これらの順番は上記に限定されるものではない。
[着色スペーサー]
本実施の形態の着色感光性組成物は、ブラックマトリックス以外に着色スペーサー用のレジストとして使用することも可能である。スペーサーをTFT型LCDに使用する場合、TFTに入射する光によりスイッチング素子としてTFTが誤作動を起こすことがあり、着色スペーサーはこれを防止するために用いられ、例えば、特開平8−234212号公報にスペーサーを遮光性とすることが記載されている。着色スペーサーは着色スペーサー用のマスクを用いる以外は前述のブラックマトリックスと同様の方法で形成することができる。
(3−6) 透明電極の形成
カラーフィルターは、このままの状態で画像上にITOなどの透明電極を形成して、カラーディスプレー、液晶表示装置などの部品の一部として使用されるが、表面平滑性や耐久性を高めるため、必要に応じ、画像上にポリアミド、ポリイミドなどのトップコート層を設けることもできる。また一部、平面配向型駆動方式(IPSモード)などの用途においては、透明電極を形成しないこともある。
[画像表示装置]
本発明の画像表示装置としては、画像や映像を表示する装置であれば特に限定は受けないが、後述する液晶表示装置や有機ELディスプレイ等が挙げられる。
[液晶表示装置]
本発明の液晶表示装置は、上述の本発明のブラックマトリックスを用いて作製されたものであり、カラー画素やブラックマトリックスの形成順序や形成位置等特に制限を受けるものではない。
液晶表示装置は、通常、カラーフィルター上に配向膜を形成し、この配向膜上にスペーサーを散布した後、対向基板と貼り合わせて液晶セルを形成し、形成した液晶セルに液晶を注入し、対向電極に結線して完成する。配向膜としては、ポリイミド等の樹脂膜が好適である。配向膜の形成には、通常、グラビア印刷法及び/又はフレキソ印刷法が採用され、配向膜の厚さは数10nmとされる。熱焼成によって配向膜の硬化処理を行った後、紫外線の照射やラビング布による処理によって表面処理し、液晶の傾きを調整しうる表面状態に加工される。
スペーサーとしては、対向基板とのギャップ(隙間)に応じた大きさのものが用いられ、通常2〜8μmのものが好適である。カラーフィルター基板上に、フォトリソグラフィ法によって透明樹脂膜のフォトスペーサー(PS)を形成し、これをスペーサーの代わりに活用することもできる。対向基板としては、通常、アレイ基板が用いられ、特にTFT(薄膜トランジスタ)基板が好適である。
対向基板との貼り合わせのギャップは、液晶表示装置の用途によって異なるが、通常2〜8μmの範囲で選ばれる。対向基板と貼り合わせた後、液晶注入口以外の部分は、エポキシ樹脂等のシール材によって封止する。シール材は、UV照射及び/又は加熱することによって硬化させ、液晶セル周辺がシールされる。
周辺をシールされた液晶セルは、パネル単位に切断した後、真空チャンバー内で減圧とし、上記液晶注入口を液晶に浸漬した後、チャンバー内をリークすることによって、液晶
を液晶セル内に注入する。液晶セル内の減圧度は、通常、1×10-2〜1×10-7Paであるが、好ましくは1×10-3〜1×10-6Paである。また、減圧時に液晶セルを加温するのが好ましく、加温温度は通常30〜100℃であり、より好ましくは50〜90℃である。減圧時の加温保持は、通常10〜60分間の範囲とされ、その後液晶中に浸漬される。液晶を注入した液晶セルは、液晶注入口をUV硬化樹脂を硬化させて封止することによって、液晶表示装置(パネル)が完成する。
液晶の種類には特に制限がなく、芳香族系、脂肪族系、多環状化合物等、従来から知られている液晶であって、リオトロピック液晶、サーモトロピック液晶等のいずれでも良い。サーモトロピック液晶には、ネマティック液晶、スメスティック液晶及びコレステリック液晶等が知られているが、いずれであっても良い。
[有機ELディスプレイ]
本発明の有機ELディスプレイは、本発明のカラーフィルターを用いて作製されたものである。
本発明のカラーフィルターを用いて有機ELディスプレイを作成する場合、例えば図1に示すように、まず透明支持基板10上に、着色樹脂組成物により形成されたパターン(すなわち、画素20、及び隣接する画素20の間に設けられた樹脂ブラックマトリックス(図示せず))が形成されてなるカラーフィルターを作製し、該カラーフィルター上に有機保護層30及び無機酸化膜40を介して有機発光体500を積層することによって、有機EL素子100を作製することができる。なお、画素20及び樹脂ブラックマトリックスの内、少なくとも一つは本発明の感光性着色樹脂組成物を用いて作製されたものである。有機発光体500の積層方法としては、カラーフィルター上面へ透明陽極50、正孔注入層51、正孔輸送層52、発光層53、電子注入層54、及び陰極55を逐次形成していく方法や、別基板上へ形成した有機発光体500を無機酸化膜40上に貼り合わせる方法などが挙げられる。このようにして作製された有機EL素子100を用い、例えば「有機ELディスプレイ」(オーム社,2004年8月20日発光,時任静士、安達千波矢、村田英幸著)に記載された方法等にて、有機ELディスプレイを作製することができる。
なお、本発明のカラーフィルターは、パッシブ駆動方式の有機ELディスプレイにもアクティブ駆動方式の有機ELディスプレイにも適用可能である。
次に、合成例、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り以下の実施例に限定されるものではない。
<カーボンブラックインクの調整>
以下の組成で顔料、分散剤、分散助剤、溶剤を調合し、以下の方法でカーボンブラックインクを調整した。
まず、顔料、分散剤、分散助剤の固形分と溶剤が以下の量比となるように調合した。
・顔料:R1060(コロンビア社製カーボンブラック);100質量部
・分散剤:BYK167(ビックケミー社製塩基性ウレタン分散剤);20質量部(固形分換算)
・分散助剤(顔料誘導体):S12000(ルーブリゾール社製、酸性基を有するフタロシアニン系顔料誘導体);2.0質量部
・溶剤;プロピレングリコールメチルエーテルアセテート:226.6質量部
まずこれらを十分に攪拌・混合し、分散液を得た。
次に、ペイントシェーカーにより25〜45℃の範囲で6時間分散処理を行った。ビーズとしては、直径0.5mmのジルコニアビーズを用い、分散液60質量部に対しビーズ180質量部の割合で加えた。分散終了後、フィルターによりビーズと分散液を分離して、固形分35質量%の分散インキを調製した。
<合成例1:アルカリ可溶性樹脂(1)の合成>
Figure 0006344108
上記構造のエポキシ化合物(エポキシ当量264)50g、アクリル酸13.65g、メトキシブチルアセテート60.5g、トリフェニルホスフィン0.936g、及びパラメトキシフェノール0.032gを、温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら90℃で酸価が5mgKOH/g以下になるまで反応させた。反応には12時間を要し、エポキシアクリレート溶液を得た。
上記エポキシアクリレート溶液25質量部及び、トリメチロールプロパン(TMP)0.76質量部、ビフェニルテトラカルボン酸2無水物(BPDA)3.3質量部、テトラヒドロフタル酸無水物(THPA)3.5質量部を、温度計、攪拌機、冷却管を取り付けたフラスコに入れ、攪拌しながら105℃までゆっくり昇温し反応させた。
樹脂溶液が透明になったところで、メトキシブチルアセテートで希釈し、固形分50質量%となるよう調製し、酸価115mgKOH/g、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)2600のアルカリ可溶性樹脂(1)を得た。
<合成例2:光重合開始剤(1)の合成>
(ジケトン体)
エチルカルバゾール(5g、25.61mmol)とo−ナフトイルクロリド(5.13g、26.89mmol)を30mlのジクロロメタンに溶解し、氷水バスにて2℃に冷却して攪拌し、AlCl3(3.41g、25.61mmol)を添加した。さらに室温にて3時間攪拌後、反応液にクロトノイルクロリド(2.81g、26.89mmol)の15mlジクロロメタン溶液を加え、AlCl3(4.1g、30.73mmol)を添加し、さらに1時間30分攪拌した。反応液を氷水200mlにあけ、ジクロロメタン200mlを添加し有機層を分液した。回収した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧下濃縮し、白色固体(10g)のジケトン体を得た。
(オキシム体)
ジケトン体(3.00g、7.19mmol)、NH2OH・HCl(1.09g、15.81mmol)、及び酢酸ナトリウム(1.23g、15.08mmol)をイソプロパノール30mlに混合し、3時間還流した。
反応終了後、反応液を濃縮し、得られた残渣に酢酸エチル30mlを加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液30ml、飽和食塩水30mlで洗浄、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。ろ過後、有機層を減圧下濃縮し、固体1.82gを得た。これをカラムクロマトグラフィーで精製し、淡黄色固体2.22gのオキシム体を得た。
(オキシムエステル体)
オキシム体(2.22g、4.77mmol)とアセチルクロリド(1.34g、17.0mmol)をジクロロメタン20mlに加えて氷冷し、トリエチルアミン(1.77g、17.5mmol)を滴下して、そのまま1時間反応した。薄層クロマトグラフィーにより原料の消失を確認した後、水を加えて反応を停止した。反応液を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液5mlで2回、飽和食塩水5mlで2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。濾過後、有機層を減圧下濃縮し、得られた残渣をカラムクロマトグラフィー(酢酸
エチル/ヘキサン=2/1)で精製して、0.79gの淡黄色固体の光重合開始剤(1)を得た。光重合開始剤(1)の1H−NMRの化学シフトを以下に示す。
1H−NMR(CDCl3):σ1.17(d,3H),1.48(t,3H),1.53(s,3H),1.81(s,3H), 2.16(s,3H), 2.30(s,3H), 3.17−3.32(m,2H),4.42(q,2H),4.78−4.94(br,1H),7.45−7.59(m,5H),7.65(dd,1H),7.95(m,2H),8.04(m,2H),8.14(dd,1H),8.42(d,1H),8.64(d,1H)
光重合開始剤(1)の構造は以下の通りである。
Figure 0006344108
<有機ケイ素化合物>
以下の有機ケイ素化合物1〜3を準備した。
(有機ケイ素化合物1)
下記式(A)で表されるアルコキシシラン単量体、下記式(B)で表される2量体、下記式(C)で表される3量体、下記式(D)で表される4量体の重量比率が、1:14:4:1の混合物。
Figure 0006344108
(有機ケイ素化合物2)
前記式(A)で表されるアルコキシシラン単量体、前記式(B)で表される2量体、前記式(C)で表される3量体、前記式(D)で表される4量体の重量比率が、17:1:1:1の混合物。
(有機ケイ素化合物3)
前記式(A)で表されるアルコキシシラン単量体、前記式(B)で表される2量体、前記式(C)で表される3量体、前記式(D)で表される4量体の重量比率が、1:8:8:3の混合物。
なお、これらの有機ケイ素化合物は、<特定の有機ケイ素化合物(f)>で述べられた方法で得られる。
これらの構造は、1H−NMR、13C−NMR,IR及びIPC発光装置によるシリカ濃度やSEM−EDXの元素分析などにより特定し、また、単量体、2、3、4量体の割合は、液体クロマトグラムで分離したピークの面積と各ピークのマススペクトルグラムの親イオンピークなどから特定した。
1H−NMR)
δ(ppm)
0.55ppm (t、Si−CH2,2H)
1.55ppm (m、―C−CH2−C,2H)
3.10ppm (q、CH2―N,2H)
3.50ppm (s、Si−OCH3,約9H)
4.25ppm (s、O−CH2−CH2−O,約4H)
5.10ppm (s、N−H,1H)
5.7〜6.5ppm (m、C(=O)CH=CH2、3H)
(IRスペクトル)
特性吸収(cm-1
3350(N−H): 1726(C=O): 1636,1620(C=C)
(IPC発光装置によるシリカ濃度)
試料を湿式灰化しアルカリ溶融させたのち、水で回収・定容した。この水溶液をIPC発光装置にて測定した。
試料中のSi濃度は7.4質量%であった。
また、SEM−EDX分析により窒素元素の存在を確認し、その簡易的元素分析により窒素原子とSi原子のモル比率は、約1:1であった。
<光重合性モノマー>
以下の光重合性モノマー(b−I)〜(b−V)を準備した。
b−I:下記構造(b11)で示されるジペンタエリスリトールカプロラクトンのアク
リル酸エステル化合物1(DPCA−20(日本化薬社製))
b−II:下記構造(b12)で示されるジペンタエリスリトールカプロラクトンのアク
リル酸エステル化合物2(DPCA−30(日本化薬社製))
b−III:下記構造(b13)で示されるジペンタエリスリトールカプロラクトンのアクリル酸エステル化合物3(DPCA−60(日本化薬社製))
b−IV下記構造(b14)で示されるジペンタエリスリトールカプロラクトンのアクリル酸エステル化合物4(DPCA−120(日本化薬社製))
b−V下記構造(b15)で示されるペンタエリスリトールカプロラクトンのアクリル酸エステル化合物5(新中村化学工業株式会社製)
b−VI下記構造(b16)で示されるトリス−(2−カプロラクトンエチル)イソシアヌレートのアクリル酸エステル化合物6(A−9300−1CL(新中村化学工業株式会社製))
b−VII下記構造(b17)で示されるトリス−(2−カプロラクトンエチル)イソシアヌレートのアクリル酸エステル化合物7(新中村化学工業株式会社製)
Figure 0006344108
<実施例1>
(ブラックレジスト1の調合)
<カーボンブラックインクの調整>で調整したカーボンブラックインクを用いて、表1に記載の各成分を表1に示す割合で加え、スターラーにより攪拌、溶解させて、ブラックレジスト1を調製した。
Figure 0006344108
また、表中のアルカリ可溶性樹脂(2)及びジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの詳細は以下のとおりである。
アルカリ可溶性樹脂(2):ZCR1642H。日本化薬社製のエポキシアクリレート樹脂(B1−1樹脂)。ビフェニル系エポキシ樹脂(日本化薬社製、NC3000H)にアクリル酸を付加させ、テトラヒドロフタリックアンハイドライドを反応させて合成したもの。エチレン性不飽和基とカルボン酸基を有する。酸価99mgKOH/g、GPCで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)6400。ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート:日本化薬社製のKAYARAD DPHA。
<実施例2〜3>
(ブラックレジスト2〜3の調合)
実施例1の有機ケイ素化合物1を表2−1記載の有機ケイ素化合物2、有機ケイ素化合物3に変更した以外は、実施例1のブラックレジスト1と同様にブラックレジスト2〜3を調製した。
<実施例4〜7及び9〜11>
(ブラックレジスト4〜7及び9〜11の調合)
実施例1の光重合性モノマーDPHAを表2−1、2記載の光重合性モノマーに変更した以外は、実施例1のブラックレジスト1と同様にブラックレジスト4〜7及び9〜11を調製した。
<実施例8>
(ブラックレジスト8の調合)
実施例1の有機ケイ素化合物1の含有量を0.5質量%から0.2質量%に変更した以外は、実施例1のブラックレジスト1と同様にブラックレジスト8を調製した。
<比較例1>
(比較ブラックレジスト1の調合)
実施例1において有機ケイ素化合物を添加しなかった以外は、実施例1のブラックレジスト1と同様に比較ブラックレジスト1を調製した。
<比較例2〜4>
(比較ブラックレジスト2〜4の調合)
実施例1の有機ケイ素化合物を表2−2記載の市販のシランカップリング剤にした以外は、実施例1のブラックレジスト1と同様に比較ブラックレジスト2〜4を調製した。
なお、比較例2〜4において、シランカップリング剤は以下のものを用いた。
・SH6040:エポキシシランカップリング剤(東レ株式会社製)。
・KBM−503:3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業株式会社製)
・KBE−9007:3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン(信越化学工業株式会社製)
(レジストの評価)
(1)ブラックマトリックス(BM)の作製
調製したブラックレジスト1〜11、比較ブラックレジスト1〜4をスピンコーターにてガラス基板に塗布し、減圧乾燥後、ホットプレートで100℃にて120秒間乾燥した。続いて、得られた乾燥塗布膜に対し、高圧水銀灯により40mJで露光マスクを通してパターン露光を行った後、室温(23℃)下、超純水で0.04質量%KOH水溶液に調整したアルカリ現像液で溶解時間の1.6倍の時間、スプレー現像することによりレジストパターンを得た。その後、230℃のオーブンで30分間、ポストベークを行って、膜厚約1μmのブラックマトリックスを作成した。なお、溶解時間とは、現状処理時に未露光部の感光層が溶解して基板全体が見え始める時間であり、各々のブラックレジスト、及び比較ブラックレジストの溶解時間は30〜60秒であった。
(2)遮光度:BMの光学密度(OD値)と膜厚の評価
調製したブラックレジスト1〜11、比較ブラックレジスト1〜4を用いて(1)で作製したBMの膜厚を段差測定装置Alpha−Step−500(KLA−Tencor社)で測定し、OD値を透過濃度測定装置GretagMacbeth D200−II(GretagMacbeth社)で測定した。これより1μmあたりのOD値(単位OD値)を求めたところ、ブラックレジスト1〜11で作製したBMは、いずれも4.2/μmであった。
(3)基板密着力評価(高温高湿度下)
調製したブラックレジスト1〜11、比較ブラックレジスト1〜4を用いて以下のようにして作製したブラックマトリックスにて、高温高湿度下での基板密着力を評価した。
詳細には、「(1)ブラックマトリックス(BM)の作製」において露光時にマスクを用いなかったこと、及び現像処理を行なわなかった以外は同じプロセスで膜厚が1.20μmのブラックマトリックスの5cm角のベタ板を形成させた。それを120℃、2気圧、相対湿度100%の水蒸気雰囲気下で2時間暴露させた(プレッシャークッカー試験、PCT)。その後、表面を碁盤目状にクロスカットし、その部分にセロハンテープ(登録商標CT−18S (18mm幅)、ニチバン社製)をJIS−K5600−5−6で指定された方法で引きはがした時の剥離の状況を以下基準で評価した。
(基板密着評価判定基準)
◎:PCT後、テープ剥離により基板/BM界面でのはがれ無。BM表面のはがれ無。
○:PCT後、テープ剥離によりBM表面のはがれが微小観察されるが、基板/BM界面でのはがれは無。
△:PCT後、テープ剥離により基板/BM界面でのはがれが観察される。評価面積に対して0%を超過し10%以内。
×:PCT後、テープ剥離により基板/BM界面でのはがれが観察される。評価面積に対して10%を超過し40%以内。
××:PCT後、テープ剥離により基板/BM界面でのはがれが観察される。評価面積に対して40%を超過し100%未満。
×××:PCT後、テープ剥離により基板全体で基板/BM界面でのはがれが観察される。
(4)基板密着力評価(室温)
調製したブラックレジスト1〜11、比較ブラックレジスト1〜4を用いて以下のようにして作製したブラックマトリックスで室温下での基板密着力を評価した。
「(1)ブラックマトリックス(BM)の作製」において露光時にマスクを用いなかったこと、及び現像処理を行わなかった以外は同じプロセスで膜厚1.20μmのブラックマトリックスの2.5cm角のベタ板を形成させ、シール剤(三井化学社製)を利用し、アルミ製スタッドピン(Quad社製)を接合して測定用サンプルを作製した。サンプルについて、Romulus(Quad社製)を用いて、2.0kg/sの速さで引っ張り試験を行い、ブラックマトリックスとガラス基板が破断したときの破断強度と接着面積から以下の式により密着応力を求めた。
密着応力(kg/cm2)=破断強度(kg)/接着面積(cm2
結果を表2−1、2−2に示した。なお、表2−1、2−2における基板密着力(%)は、比較例1における基板密着力を100%とした時の相対値(%)を求めた。
(基板密着評価判定基準)
・3A:比較例1の基盤密着強度を100%とした時、基板密着強度が150%以上。
・2A:比較例1の基盤密着強度を100%とした時、基板密着強度が150%未満〜120%以上。
・1A:比較例1の基盤密着強度を100%とした時、基板密着強度が120%未満〜110%以上。
・B:比較例1の基盤密着強度を100%とした時、基板密着強度が110%未満。
Figure 0006344108
表2−1、及び2−2に示されるように、本発明の感光性樹脂組成物は、有機ケイ素化合物(f−1)を含有していることにより、高温高湿度下においてBMと基板との密着性が良好であり、また、室温下においてもBMと基板との密着性が良好であった。
実施例1、2、3のブラックレジスト1、2、3は、前記一般式(2)シラン単量体と前記一般式(3)のシランオリゴマーとの混合物である有機ケイ素化合物(f−1)を含有しており、前述のとおり、構造中のシラン部位、ウレタン結合部位、エチレン性不飽和基部位の相乗効果によって、高温高湿度下での基板とBMとの密着が非常に良好となり、また、室温下においても基板とBMとの密着が良好であったと考えられる。
また、有機ケイ素化合物(f−1)だけでなく、さらに光重合性モノマー(b)としてカプロラクトン構造を有する多官能(メタ)アクリレートモノマーを用いた実施例4〜7、9〜11は、そのエステル結合部位と有機ケイ素化合物(f−1)のウレタン結合部位との極性基同士の相互作用により、相互の架橋構造を作りやすいと思われ、高温高湿度下における基板密着効果もさらに向上し、室温におけるBMと基板密着効果が非常に大きく向上した。
それに対し、有機ケイ素化合物(f)を含有しない比較例1の比較ブラックレジスト1はもちろんのこと、比較例2〜4の比較ブラックレジスト2〜4はその他の有機ケイ素化合物を含有するもののエポキシ基、(メタ)アクリロイルオキシ基、イソシアネート基のみであり、ウレタン結合部位に起因する相乗効果を得ることができず、実施例でみられたような高温高湿度下や室温下での大きな基板密着性の向上は見られなかった。

Claims (14)

  1. アルカリ可溶性樹脂(a)、光重合性モノマー(b)、光重合開始剤(c)、色材(d)、分散剤(e)及び有機ケイ素化合物(f)を含む感光性樹脂組成物であって、
    有機ケイ素化合物(f)が、少なくとも下記一般式(1)で表される構造を有する有機ケイ素化合物(f−1)を含有し、
    有機ケイ素化合物(f−1)が、下記一般式(3)で表される有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする感光性樹脂組成物。
    Figure 0006344108
    (上記式中、R1は水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基である。Raは下記式(1−1)で表される基である。*は結合手である。)
    Figure 0006344108
    (上記式中、R2及びR3はそれぞれ独立に炭素数1〜8のアルキレン基であり、R4は水素原子又はメチル基である。*はSi原子との結合手である。)
    Figure 0006344108
    (上記式中、R1及びRaは前記一般式(1)と同義である。また、nは2〜10の整数を表す。式中に複数含まれるR1及びRa同士は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
  2. 有機ケイ素化合物(f−1)が、下記一般式(2)で表される有機ケイ素化合物を含むことを特徴とする、請求項1に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 0006344108
    (上記式中、R1及びRaは前記一般式(1)と同義である。式中に複数含まれるR1同士は、それぞれ同じであっても異なっていてもよい。)
  3. 光重合性モノマー(b)が下記一般式(b1)〜(b4)の少なくともいずれかで表される化合物を含むことを特徴とする、請求項1又は2に記載の感光性樹脂組成物。
    Figure 0006344108
    (上記式中、Rbは下記式(b5)に示す基であり、 8 は、炭素数1〜6のアルキル基であり、9は炭素数1〜10のアルキレン基、炭素数7〜10のアリーレンアルキレン基、又は炭素数6〜10のアリーレン基である。)
    Figure 0006344108
    (上記式中、R6は主鎖の炭素数が2〜6の分岐があってもよいアルキレン基を表し、R7は水素原子又はメチル基を表す。mは0〜3の整数を表す。mが2又は3の場合、複数のR6は同じであっても異なっていてもよい。)
  4. 光重合開始剤(c)が、オキシムエステルであることを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  5. 色材(d)が黒色色材であることを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  6. 色材(d)の含有量が全固形分量に対して40質量%以上であることを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  7. 分散剤(e)が塩基性官能基を有する高分子分散剤であることを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  8. アルカリ可溶性樹脂(a)が、エチレン性不飽和基を含有することを特徴とする、請求項1〜の何れか1項に記載の感光性樹脂組成物。
  9. アルカリ可溶性樹脂(a)が、カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂を含有することを特徴とする、請求項に記載の感光性樹脂組成物。
  10. 前記カルボキシル基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂が、下記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−1)及び/又は下記エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−2)を含有することを特徴とする、請求項に記載の感光性樹脂組成物。
    エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−1):エポキシ樹脂に、α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多塩基酸及び/又はその無水物を反応させることによって得られたエポキシ(メタ)アクリレート樹脂
    エポキシ(メタ)アクリレート樹脂(A1−2):エポキシ樹脂に、α,β−不飽和モノカルボン酸又はカルボキシル基を有するα,β−不飽和モノカルボン酸エステルを付加させ、さらに、多価アルコールと、多塩基酸及び/又はその無水物と反応させることによって得られたエポキシ(メタ)アクリレート樹脂
  11. 請求項1〜10の何れか1項に記載の感光性樹脂組成物を硬化させてなる硬化物。
  12. 請求項11に記載の硬化物からなるブラックマトリックス。
  13. 膜厚1μmあたりの光学濃度が4.0以上であることを特徴とする、請求項12に記載のブラックマトリックス。
  14. 請求項12又は13に記載のブラックマトリックスを用いて作製された画像表示装置。
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