JP2012079238A - センサー電極アレイ、センサー電極アレイの使用方法及び静電容量方式タッチパネル - Google Patents
センサー電極アレイ、センサー電極アレイの使用方法及び静電容量方式タッチパネル Download PDFInfo
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Abstract
【解決手段】第一のセンサー電極アレイと第二のセンサー電極アレイが直交配列している静電容量方式のタッチパネルにおいて、タッチ者側に配置された第一のセンサー電極アレイは、易接着層を有する可撓性透明基板上に導電性金属細線がパターン化されていることを特徴とする静電容量方式のタッチパネル。
【選択図】図1
Description
近年、このようなタッチパネルへは、マルチタッチと大画面化の要請が強まっており、上記の投影型の静電容量方式のタッチパネルの開発が進んでいる。電極材料には透明導電体であるITOなどが用いられてきたが、大画面化に必要な電極細線化にはその抵抗値が高いことが細線化及びタッチパネル応答性の障害となっている。これらの問題を解決するため金、銀、銅などの金属薄膜を微細加工し、タッチ者に視認されない線幅の導電性細線により電極群を構成する技術の開発が進められている(特許文献1)。
また、金属薄膜を利用する場合の微妙な金属色、光沢が画面に与える影響の問題については、特許文献2に金属表面を黒色化処理する方法が記載されているが、耐久性においては不十分である。
金属薄膜の微細加工により低抵抗の導電性細線を形成することは可能としても、実際に大面積の電極パターンを金属細線の剥離や割れを生じさせずに安定的に製造することは容易ではない。また形成された金属細線がタッチパネル形成後の環境変化に対し、マイグレーションを起こしタッチパネルとしての応答性を低下させる問題や、色味変動の問題も解決されていない。
2)該タッチパネルが静電容量方式のタッチパネルであることを特徴とする項1に記載の静電容量方式のタッチパネル。
3)更に第二のセンサー電極アレイを含み、該第一のセンサー電極アレイと第二のセンサー電極アレイが直交配列していることを特徴とする項1又は項2に記載の静電容量方式のタッチパネル。
4)該パターン化された導電性金属細線と該可撓性透明基板との間に少なくとも1以上の易接着層を有することを特徴とする項1から項3のいずれか1項に記載の静電容量方式のタッチパネル。
5)第一のセンサー電極アレイと第二のセンサー電極アレイが直交配列している静電容量方式のタッチパネルにおいて、タッチ者側に配置された第一のセンサー電極アレイは、易接着層を有する可撓性透明基板上に導電性金属細線がパターン化されていることを特徴とする静電容量方式のタッチパネル。
6)該パターン化された導電性金属細線はタッチ面側に黒色不透明層を有することを特徴とする項1から項5のいずれか1項に記載の静電容量タッチパネル。
7)該黒化層の表面粗さRaが0.15以下であることを特徴とする項6に記載の静電容量方式のタッチパネル。
8)該センサー電極アレイの反射色度L*a*b*の L* が6〜13,a* が−0.7〜1.5,b* が−5.0〜1.2であることを特徴とする項5から項7のいずれか1項に記載の静電容量タッチパネル。
9)該第一のセンサー電極アレイを構成するセンサー電極は、該導電性金属細線から形成されるメッシュからなるダイヤモンド構造の連続体又は帯状体であり、該第二のセンサー電極アレイを構成するセンサー電極は、前記第一のセンサー電極アレイを構成するセンサー電極と同じ構造又はbar構造であることを特徴とする項3から項8のいずれか1項に記載の静電容量タッチパネル。
10)直交配列している該第一のセンサー電極アレイと第二のセンサー電極アレイを透視したとき、パターン化された導電性金属細線が、タッチ面全体にほぼ均一な格子模様を形成していることを特徴とする項3から項9のいずれか1項に記載の静電容量方式のタッチパネル。
11)該導電性金属細線層が、スパッタ法、イオンプレーティング法あるいはメッキ法により形成された、厚さが100nmから3000nmの金属薄膜層をフォトリソグラフィーの方法、あるいはレーザーアブレイションの方法を用いて、線幅1000nmから8000nmの細線パターンにパターニングしたことを特徴とする項1から項10のいずれか1項に記載の静電容量方式のタッチパネル。
12)該導電性金属細線の幅が厚さの2.5倍以上であることを特徴とする項11に記載の静電容量方式のタッチパネル。
13)該可撓性透明基板がポリエステル樹脂からなり、易接着層がポリエステル樹脂、アクリル樹脂あるいはウレタン樹脂からなり、易接着層に架橋剤が添加されていることを特徴とする項4から項12のいずれか1項に記載の静電容量方式のタッチパネル。
14)該易接着層が、第一と第二の易接着層からなり、該可撓性透明基板に接する第一の易接着層がポリエステル樹脂からなり、第二の易接着層がアクリル樹脂あるいはウレタン樹脂からなることを特徴とする項13に記載の静電容量方式のタッチパネル。
15)該架橋剤がオキサゾリジン化合物、エポキシ化合物、あるいはイソシアネート化合物であることを特徴とする項13又は項14のいずれか1項に記載の静電容量方式のタッチパネル。
上記の本発明のタッチパネルについて、以下に詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
上記図1の(a)は、上部電極と下部電極を別々の透明基板上に形成する場合に好ましい構成を示し、(b)は一枚の透明基版の表裏面に第一と第二のセンサー電極アレイを形成する場合に好ましい構成を示している。
なお、図では表示していないが、第一のセンサー電極アレイの配置方向と、第二のセンサー電極アレイの配置方向とは、可撓性透明基板を介して互いに直交配置となるように設定され、マルチタッチ検出が可能な構成となっている。
以下で、上記のセンサー電極に用いられる材料及び電極の製造方法について順次説明する。
上記のタッチ面を構成する透明材料層16、可撓性透明基板15、15’に用いられる透明な材料は同じ材料でもよいし、それぞれ別々の材料を用いてもよく、プラスチックフィルム、プラスチック板、ガラス板等が用いられる。層の厚みはそれぞれの用途に応じて適宜選択することが望ましい。これらの材料は可撓性を持つことが好ましい。
本発明の易接着層18、18’は 透明基板上に一層若しくは二層の易接着層を有し、該層にバインダー樹脂、架橋剤及び添加剤を含有する。
本発明に用いられるバインダー樹脂としては、特に制限されるものではないが、(a)アクリル樹脂、(b)ポリウレタン樹脂、(c)ポリエステル樹脂、(d)ゴム系樹脂等のポリマーを好ましく用いることができる。
二層構成の場合、可撓性透明基板に接する第一の易接着層がポリエステルからなり、第二の易接着層がアクリル樹脂あるいはウレタン樹脂からなる構成とすると易接着性を発現させやすい。第一と第二の易接着層に用いる架橋剤は、オキサゾリジン化合物、エポキシ化合物、あるいはイソシアネート化合物であることが好ましい。第二の易接着層は最外層となるためすべり剤を用いることが好ましい。
図2(c)及び図2(d)は、図2(b)の2層の電極上にタッチパネルを構成するために必要な層が設けられ、図1(a)及び図1(b)と同様なタッチパネルが形成される様子を示している。
上記の第二の本発明に用いられる〔透明材料層、透明基板〕、〔易接着層〕の材料及び形成方法は、第一の本発明の項で説明した材料及び形成方法を用いることができる。
本発明のセンサー電極アレイは、導電性金属層が固有の反射色を有するためできるだけニュートラルに反射色を調整する必要があり、反射色度をL*a*b*表色系において、L* が6〜13,a* が−0.7〜1.5,b* が−5.0〜1.2に調整することが好ましい。
更に好ましくは、L* が6〜12,a* が−0.6〜1.2,b* が−4.8〜1.0である。
なお、L*a*b*表色系は、国際照明委員会(CIE)において1976年に定められた表色の方法であり、本発明におけるL*値、a*値、b*値は、JIS−Z8729:1994に規定される方法によって測定して得られた値である。JIS−Z8729の測定方法としては、反射による測定方法、透過による測定方法があるが、本実施の形態では反射で測定した値を用いる。
L*a*b*表色系におけるL*値、a*値、b*値は、広く知られているようにL*値が明度、a*値とb*値とが、色相と彩度を表している。具体的には、a*値が正の符号であれば赤色の色相、負の符号であれば緑色の色相であることを示す。b*値が正の符号であれば黄色の色相、負の符号であれば青色の色相である。また、a*値とb*値とも、絶対値が大きいほどその色の彩度が大きく鮮やかな色であることを示し、絶対値が小さいほど彩度が小さいことを示す。本発明においては、a*値ははっきりした赤系からできるだけ小さい値へ、b*値ははっきりした黄色から極わずかな青色へ変更することで視認しやすいタッチパネルを得ることを意図している。測定方法の詳細は実施例の項に記載する。
図3は、本発明の第一のセンサー電極アレイ11を説明する図であり、直交格子状のメッシュが2本の導電性細線でX方向に連結し一本の電極を構成している。このような電極がY方向に配列され電極アレイを形成している。ここでX方向、Y方向はタッチパネルを作成したときのタッチ画面の縦方向をX方向、横方向をY方向と定義する。図3のメッシュ構造は正方格子で外形も略正方形であり、電極方向から見た外形は菱形である。このメッシュの外形部分にはiで表される導電性の短線が形成されている。図4は、本発明の第二のセンサー電極アレイ12を説明する図であり、直交格子状のメッシュが2本の導電性細線でY方向に連結している以外は、第一のセンサー電極アレイ11と同じである。
図5は上記の第一と第二のセンサー電極アレイを直交配置したときの透視図を表しており、タッチ面全体に導電性細線のほぼ均一な格子模様が形成されている。センサー電極の部分はダイヤモンド構造と通称され、電極間にあり電極を隔てる非導電部には、電極とは導通しない導電性細線iが配置されている。電極を隔てる非導電部に前記の導電性細線iが配置されていないと、電極部と非導電部との反射率、屈折率、わずかな色味の違い等により非導電部のパターンが認識される可能性があるため、導通していない細線iを配置している。図3〜5の導通していない細線iは孤立した導線として記載されているが、これらの細線iを、電極とは別に連結し、寄生容量の制御に用いてもよい。
メッシュを構成する格子の1辺の長さは100μm以上600μm以下が好ましく、150μm以上350μm以下が更に好ましい。100μm以上600μm以下とすることで、光の透過性と抵抗値の低さとの両立が図れる。
電極を隔てる非導電部の幅は、高周波駆動による導通を避けるため、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、150μm以上350μm以下が更に好ましい。
センサー電極アレイの電極の間隔は、2mm以上8mm以下が好ましく、3mm以上7mm以下が更に好ましい。
図6は、帯状の第一のセンサー電極アレイを表し、アレイを構成する電極r−iがY方向に延出し、X方向にi個配列していることが例示されている。図中のrwはセンサー電極r-iの幅を表し、rdはセンサー電極間の非導電性の境界域の幅を表している。
電極r-iは、図6ではY方向に伸びる直線状の細線4本を連結し、この4本を結ぶX方向の連結線cを数本含むの細部構造となっている。連結線cは、Y方向に伸びる直線状の細線4本のいずれかに破断等の障害が発生してもセンサー電極としての機能を損なわないように設けられている。この連結線cの延長上に導電性の細線の短線iが形成されている。この単線iは電極とは連結していない孤立した線である。なお、図6では一電極を構成する直線状の細線を4本連結としたが、以下に記載する電極間の距離と細線間距離とから選択することができる。
電極を構成する細線の間隔は、100μm以上600μm以下が好ましく、150μm以上350μm以下が更に好ましい。100μm以上600μm以下とすることで、光の透過性と抵抗値の低さとの両立を図ることができる。
電極を隔てる非導電部の幅cd、rdは、高周波駆動による導通を避けるため、50μm以上が好ましく、100μm以上がより好ましく、150μm以上350μm以下が更に好ましい。
センサー電極アレイの電極の間隔(rw+rd又はcw+cd)は、2mm以上8mm以下が好ましく、3mm以上7mm以下が更に好ましい。
本発明において黒化層は、導電性金属細線を形成する導電性金属が有する金属光沢による着色、高い反射率に起因するタッチパネル画面の見にくさを緩和すること、あるいは導電性金属の腐食やマイグレーションを防止すること、などの目的で設置される層である。黒化層の色は、実質的に黒色と認知できるものが好ましいが、金属光沢を抑えることができれば必ずしも純黒色でなくともよい。黒化層の位置は、前記の目的から、導電性金属層に接してタッチ者側であることが好ましい。この観点からは、図9(b)の第二センサー電極アレイの黒化層よりは、図9(a)の第二センサー電極アレイの黒化層の位置構成が、腐食やマイグレーション防止の観点でより好ましい。
本発明の第一及び第二のセンサー電極を形成することのできる導電性材料ついて以下に説明する。
従来、センサー電極を構成する材料として、ITOなどの光透過性のある導電性材料が用いられてきたが、本発明のセンサー電極は、10μm以下の導電性細線を利用するため、従来のITOなどよりも低抵抗の材料を用いる必要があり、導電性の高い金属又は合金を用いることが好ましい。このような金属としては、例えば、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、アルミニウム、コバルト、ロジウム、イリジウム、鉄、ルテニウム、オスミウム、マンガン、モリブデン、タングステン、ニオブ、タンテル、チタン、ビスマス、アンチモン、鉛などをあげることができる。これらの中で導電性に優れる点で、銅、銀、金、白金、パラジウム、ニッケル、錫、アルミニウム、及びこれらとの合金が好ましい。
これらの金属あるいは合金での電極形成には、以下のA)〜C)に記載の材料と方法の利用ができる。本発明で特に好ましいのは、A)とB)の材料と方法である。
薄膜として利用するには、まず、基材上に上記の金属あるいは合金を、真空蒸着法、スパッターリング法、イオンプレーティング法などによって、あるいは鍍金法や金属箔の貼り合わせなどで金属薄膜を形成する。次いでこの金属薄膜に以下のパターニングを施してメッシュ電極を形成する。上記メッシュパターンをフォトエッチングにより形成する場合、金属薄膜上にフォトレジスト膜を形成しフォトマスクを用いて露光し、現像液で現像することによりレジスト膜のメッシュパターンを形成する。これをエッチング液によりエッチングし、レジスト膜を剥離除去することにより細線金属線からなるメッシュパターンを形成する。あるいは、印刷レジストにより形成する場合は、金属薄膜上にスクリーン印刷、グラビア印刷、インクジェット等の方法でレジスト膜のメッシュパターンを印刷し、エッチング液により金属薄膜におけるレジスト被覆部以外をエッチングし、レジスト膜を剥離することにより金属細線のメッシュパターンを形成する。
導電性ナノ粒子は、上記の金属の微粒子の他にカーボンを用いてもよい。導電性ナノ粒子は金、銀、パラジウム、白金、銅、カーボン、又はそれらの混合物を含む粒子が好ましい。ナノ粒子の平均粒径は2μ以下、好ましくは200から500nmであり、従来のミクロン粒子よりも粒径が小さいものがメッシュパターンを形成する上で好ましい。メッシュパターン印刷には、スクリーン印刷法又はグラビア印刷法が用いられる。
インク(又はペースト)が含む導電材料は、金属粒子でなく、導電性繊維であってもよい。本件においては、導電性繊維には、金属ワイヤー、ナノワイヤーと呼ばれる繊維状の物質、中空構造のチューブ、ナノチューブを含めて呼称する。金属ナノワイヤーの平均短軸長さ(「平均短軸径」、「平均直径」と称することがある)としては、100nm以下が好ましく、1nm〜50nmがより好ましく、10nm〜40nmが更に好ましく、15nm〜35nmが特に好ましい。導電性繊維を用いて導電層を形成する場合には、例えば、特開2009−215594、特開2009−242880、特開2009−299162、特開2010−84173、特開2010−87105、特開2010−86714に開示の技術を組み合わせて形成することができる。
本発明における導電性の細線パターンを得る方法には、感光材料と現像処理の形態によって、次の3通りの形態が含まれる。
(1) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を化学現像又は熱現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
(2) 物理現像核をハロゲン化銀乳剤層中に含む感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を溶解物理現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる態様。
(3) 物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して金属銀部を非感光性受像シート上に形成させる態様。
上記(2)の態様は、露光部では、物理現像核近縁のハロゲン化銀粒子が溶解されて現像核上に沈積することによって感光材料上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。これも一体型黒白現像タイプである。現像作用が、物理現像核上への析出であるので高活性であるが、現像銀は比表面の小さい球形である。
上記(3)の態様は、未露光部においてハロゲン化銀粒子が溶解されて拡散して受像シート上の現像核上に沈積することによって受像シート上に光透過性導電性膜等の透光性導電性膜が形成される。いわゆるセパレートタイプであって、受像シートを感光材料から剥離して用いる態様である。
また、本発明に用いる材料と導電性パターンの製法については、メッシュ状の電磁波シールド膜の発明である特開2006−352073号の記載と技術、静電容量方式のタッチパネルの発明である特願2009−265467号の記載と技術を用いることができる。
次に本発明の第一及び第二のセンサー電極の形成方法について説明する。
はじめに電極を形成する材料として、金属箔、あるいは薄膜としての利用(上記A))の場合の形成方法を図10を参照しながら説明する。図10の(a)は絶縁層を兼ねる透明基体15であり、たとえば約100μmのPETフィルムである。このフィルムの表面を清浄化し、次いでこのフィルムの表面に、金属あるいは合金の薄層21を設ける(図10の(b))。薄層を設ける方法には真空製膜法と化学的製膜法とがあるが、膜が薄い場合は蒸着法などの真空製膜法が用いられる。スパッタ法やイオンプレーティング法は蒸着法よりも導電性のよい膜が得られやすく好ましい方法である。膜厚が500nmを超える場合には電解メッキ法や無電解メッキ法を用いることができ、低コストで製膜でき好ましい。
次に上記で形成した金属薄膜上にフォトレジスト膜を形成しフォトマスク(図3、4、6、7などからマスクを起こしたもの)を用いて露光し、現像液で現像することにより硬化したレジスト膜のメッシュパターンを形成する。これをエッチング液によりエッチングし、硬化したレジスト膜を剥離除去することにより細線金属線からなるメッシュパターンを形成する(図10の(c))。図10の(c)の31が形成されたメッシュパターンの導電性細線を表している。
次に上記で形成されたセンサー電極に被覆層32を設ける(図10の(d))。本発明においてはこの被覆層を黒化層と呼ぶ。黒化層は、金属あるいは合金の金属光沢を目立たなくする視覚的機能と、金属の防錆、マイグレーション防止による耐久性向上の機能を持つ。この黒化層(被覆層)の材料については以下で別途説明する。黒化層(被覆層)の厚みは、5μm以下が好ましく、3μm以下がより好ましく、0.2μm以上2μm以下が特に好ましい。
次にこの黒化層(被覆層)の電極細線を被覆していない視認部上の黒化層を除去することにより、視認性、耐久性に優れたメッシュパターンの電極を形成することができる(図10の(e))。
本発明の黒化層を構成する主成分はニッケル、クロム、亜鉛、錫、及び銅の中から選択される元素を含む少なくとも1種の化合物であれば良く、導電性であっても非導電性であっても良い。本発明の方法に加えて、染色法等の方法を組み合わせて使用してもよい。
本発明における黒化層の好適な積層方法の例としては、メッキ処理とケミカルエッチング法が挙げられる。
メッキ処理としては公知の黒色メッキと呼ばれるものであれば特に制限はなく、黒色ニッケルメッキ、黒色クロムメッキ、黒色Sn−Ni合金メッキ、Sn−Ni−Cu合金メッキ、黒色亜鉛クロメート処理等が例として挙げられる。具体的には、日本化学産業(株)製の黒色メッキ浴(商品名、ニッカブラック、Sn−ni合金系)、(株)金属化学工業製の黒色メッキ浴(商品名、エボニ−クロム85シリ−ズ、Cr系)、ディップソール(株)性クロメート剤(商品名、ZB−541、亜鉛メッキ黒色クロメート剤)を使用することができる。メッキ法としては無電解メッキ、電解メッキのどちらの方法でも良く、緩やかな条件であっても高速メッキであっても良い。メッキ厚みは黒色として認知できれば厚みは限定されないが、通常のメッキ厚みは5μm以下が好適である。
Raの測定法としては、大別して面を直線的に触針で測定するもの(触針)と、光学的に測定するもの(光切断法、光線反射法)と分類され、そのどちらで測定してもよい。
導電性細線の線幅が狭く、測定エリアが確保できない場合は、露光エリアを拡げる以外は同じ操作で作成した導電性ベタ部分を測定し、Raを算出する。
はじめに本発明の実施例における評価方法について説明する。
サンプルをBCRA黒タイル(光沢版)の上に載せ、0°方向から照射、45°方向で受光した光の分光反射率を測定する。
なお、好ましいタイルは、サカタインクスエンジニアリング株式会社製のBCRA黒タイル(光沢版)であり、黒タイルの反射色度は、L*が 3.6、a*が −0.9、b* が−0.6である。反射濃度計としてはGretagMacbeth(グレタグマクベス)製 Spectro Eye LT を用いることができる。
サンプルを極細繊維の布であるTORAY製「トレシー」にて、500gの加重で往復10回擦る。擦った後のサンプルを次の5段階で評価する。
1:全く変化無し。
2:擦れ痕が微弱であり、少量である。
3:擦れ痕が微弱であり、全体的に発生。
4:擦れ痕が強いが、少量である。
5:擦れ痕が強く、全体的に発生。
サンプルをクロスカット法で密着評価し、その後のサンプルを次の5段階で評価する。
1:全く剥れ無し。
2:5%以下の部分で剥れ有り。
3:5%を超え、10%以下の部分で剥れ有り。
4:10%を超え、50%以下の部分で剥れ有り。
5:50%を超える部分で剥れ有り。
試料に5cm×5cmのベタ露光したエリアを設け、株式会社ミツトヨ製の小形表面粗さ測定機サーフテストSJ−301を用いて測定した。
〔2層構成の易接着層を形成した透明基板Aの製造〕
厚さが100μmのポリエチレンテレフタレート(以下、PETと記載)フィルム支持体の両面にコロナ放電処理を行った後、この両面に下記の第1層塗布液をバーコート法により塗布、乾燥して第1層を形成した。その後、形成した第1層の表面に下記の第2層塗布液をバーコート法により塗布、乾燥することにより、フィルムの両面に2層構成の易接着層を有するPETフィルムを製造した。なお、第1層、第2層の乾燥後の厚みは、それぞれ0.08μm、0.09μmであった。
・ポリエステル樹脂バインダ(大日本インキ化学工業(株)製、ファインテックス
ES650、固形分29質量%) 49.7質量部
・架橋剤としてエポキシ系化合物(ナガセ化成(株)製、ディナコールEX−314
樹脂バインダに対し6質量%
・界面活性剤A(三洋化成工業(株)、サンデットBL、固形分10質量%、アニオン性)
2.3質量部
・界面活性剤B(三洋化成工業(株)、ナロアクティー HN−100、固形分5%、
ノニオン性) 5.36質量部
・マット剤Aとしてシリカ微粒子分散液(日本アエロジル(株)製、OX−50の
水分散物、固形分10%) 2.4質量部
・マット剤Bとしてコロイダルシリカ分散液(日産化学(株)製、スノーテックス
−XL、固形分10%) 4.6質量部
全体が1000質量部となるように蒸留水を添加して調製。
・アクリル樹脂バインダ(MMA59モル%、St9モル%、2EHA26モル%、
HEMA5モル%、AA1モル%のラテックス、固形分濃度28質量%)
62.7質量部
・架橋剤としてエポキシ系化合物(ナガセ化成(株)製、ディナコール
EX−314) 上記の樹脂バインダに対し6質量%
・上記のマット剤A 2.7質量部
・上記のマット剤B 4.6質量部
・界面活性剤A 1.9質量部
・界面活性剤B 5.36質量部
・すべり剤(中京油脂(株)、カルナバワックス分散物 セロゾール524 固形分3質量%)
7.6質量部
全体が1000質量部となるように蒸留水を添加して調製した。
上記の易接着層を形成した透明基板Aの易接着層の一方の面上に、メッキ法により銅の薄膜を形成した。メッキは無電解メッキの後、電解メッキを行い2μmの厚みの銅の薄層を形成した。
次に上記で形成した銅薄膜上に、フォトレジスト膜を形成し、このフォトレジスト膜に、フォトマスクを用いて露光し、現像液で現像することにより硬化したレジスト膜のメッシュパターンを形成した。フォトマスクは、図6において、導電性細線の幅が5μm、細線のピッチが300μmとするパターンで、露光により導電性細線の部分のフォトレジストが硬化するパターンとする。これをエッチング液を用いてエッチングし、その後硬化したレジスト膜を剥離除去することにより、図6のパターンの導電性細線からなるセンサー電極アレイを形成した。
実施例1の電極の形状が図6の帯状であるのに対し、実施例2では図3のダイヤモンド状とするとともに導電性細線の線幅を6μmとすること以外は実施例1と同様な操作を施し、実施例2のセンサー電極アレイを作った。
実施例2の導電性細線のピッチを500μmとすること以外は実施例2と同様な操作を施し、実施例3のセンサー電極アレイを作った。
実施例1に用いた易接着層を形成した透明基板Aの代わりに、特公平5−74463号の実施例1に記載の積層ポリエステルフィルム(透明基板Bという)を用いる以外は実施例1と同様な操作を施し、実施例4のセンサー電極アレイを作った。なお、透明基板Bの積層ポリエステルフィルムは、改質層(本件の易接着層)にメラミン系架橋剤ニカラックMW−12LF(三和ケミカル(株)製)を含む。
実施例2の銅薄膜をスパッタ法で形成し、その厚みを0.2μmとすること、電極の導電性細線の幅を3μm、そのピッチを200μmとすること以外は実施例2と同様な操作を施し、実施例5のセンサー電極アレイを作った。
実施例1の透明基板Aの易接着層に用いたエポキシ系化合物ディナコールEX−314の代わりに、メラミン系化合物(三和ケミカル(株)製、ニカラックMW−12LF)を樹脂バインダに対し6質量%用いること以外は実施例1と同様な操作を施し、実施例6のセンサー電極アレイを作った。
実施例1の透明基板Aの易接着層に用いたエポキシ系化合物ディナコールEX−314の代わりに、トリレンジイソシアネートとトリメチロールプロパンの付加物を樹脂バインダに対し6質量%用いること以外は実施例1と同様な操作を施し、実施例7のセンサー電極アレイを作った。なお、易接着層塗布液には架橋剤の溶解のために一部の水をアセトンに置換した。
実施例1の透明基板Aの易接着層に用いたエポキシ系化合物ディナコールEX−314の代わりに、2−ビニル−2−オキサゾリンモノマーとメチルメタアクリレートとの共重合体を樹脂バインダに対し6質量%用いること以外は実施例1と同様な操作を施し、実施例7のセンサー電極アレイを作った。なお、易接着層塗布液には架橋剤の溶解のために一部の水をアセトンに置換した。
実施例1の導電性細線の線幅を5.5μmとすること以外は実施例1と同様な操作を施し、実施例9のセンサー電極アレイを作った。
実施例1の導電性細線の線幅を4μmとすること以外は実施例1と同様な操作を施し、実施例10のセンサー電極アレイを作った。
実施例1の第二の易接着層に架橋剤を用いないこと以外は実施例1と同様な操作を施し、比較例1のセンサー電極アレイを作った。
比較例1の導電性細線の線幅を3μmとすること以外は比較例1と同様な操作を施し、比較例2のセンサー電極アレイを作った。
実施例4の透明基板Bのメラミン系架橋剤を除くこと以外は実施例4と同様な操作を施し、比較例3のセンサー電極アレイを作った。
上記の実施例と比較例の試料の密着性について表1にまとめた。
実施例1で作成した透明基板A(2層構成の易接着層を有する)の易接着層の一方の面上に、メッキ法により銅の薄膜を形成した。メッキは無電解メッキの後、電解メッキを行い2μmの厚みの銅の薄層を形成した。この銅薄膜上に実施例1と同様な方法をもちいて、図6のパターン(導電性細線の幅が5μm、細線のピッチが300μm)の導電性細線からなるセンサー電極アレイを形成した。このセンサー電極アレイを試料21−1とする。このセンサー電極アレイの銅薄膜からなる導電性細線部分に、下記の還元処理又は、酸化処理方法により黒化層を設けた。
処理条件:40℃の下記液に3分浸漬し、その後洗浄する。
液の組成:水素化ホウ素ナトリウム 3.8g
水を加えて1リットルとする。
〔黒化処理方法その2〕
処理条件:85℃の下記液に4分浸漬し、その後洗浄する。
液の組成:亜塩素酸ナトリウム 55g
水酸化ナトリウム 15g
リン酸三ナトリウム 10g
水を加えて1リットルとする。
実施例1で作成した透明基板A(2層構成の易接着層を有する)の易接着層の一方の面上に、メッキ法により銅の薄膜を形成した。メッキは無電解メッキの後、電解メッキを行い2μmの厚みの銅の薄層を形成した。この銅薄膜上に実施例1と同様な方法をもちいて、図6のパターン(導電性細線の幅が5μm、細線のピッチが300μm)の導電性細線からなるセンサー電極アレイを形成した。このセンサー電極アレイを試料31−1とする。このセンサー電極アレイの銅薄膜からなる導電性細線部分に、下記の電気メッキによる黒化処理を施し、黒化層を設けた。
処理条件:40℃の下記メッキ液に浸漬し、3.2A/cmで0.5分メッキし
その後洗浄する。
メッキ液の組成(補充液も同組成)
硫酸ニッケル6水塩 123g
チオシアン酸アンモニウム 17g
硫酸亜鉛7水塩 3g
硫酸ナトリウム 16g
水を加えて 1リットル
pH(硫酸と水酸化ナトリウムで調整)5.0
処理条件: 40℃の下記メッキ液に浸漬し、3.2A/cmで0.5分メッキし
その後洗浄する。
メッキ液の組成(補充液も同組成)
硫酸ニッケル6水塩 123g
チオシアン酸アンモニウム 17g
硫酸亜鉛7水塩 28g
硫酸ナトリウム 16g
水を加えて 1リットル
pH(硫酸と水酸化ナトリウムで調整)5.0
このようにして得られた試料31−1から31−5について反射色度、密着、耐傷性の試験を行い、その結果を表3に示した。
上記の試料31−4及び31−5を、60℃90%の環境下に500時間保存し、その後24時間通常の環境下で保存した後、表3と同様な測定を行った。その結果、試料31−4では、誤差範囲の変動しか観測されなかったのに対し、試料31−5では、
L*が15.0まで増加、Raも0.20まで増加し、本発明での好ましくない色度と、好ましくない表面粗さの方向に変動したことがわかった。
11 第一のセンサー電極アレイ
12 第二のセンサー電極アレイ
15、15’ 可撓性透明基板
16 タッチ面となる透明材料層
17 剥離フィルム
18、18’ 易接着層
19、19’、19” 接着剤層
20、20’ 黒化層
21 センサー電極の形成層
31 メッシュ状のセンサー電極
32 センサー電極の被覆層
33 メッシュ状のセンサー電極の被覆層
c-j 下部電極層のセンサー電極の番号を示す。
cw 下部電極層のセンサー電極の電極幅を表す。
cb 下部電極層のセンサー電極の電極間にある非導電性の境界域を示す。
i 孤立導線
r-i 上部電極層のセンサー電極の番号を示す。
rw 上部電極層のセンサー電極の電極幅を表す。
rb 上部電極層のセンサー電極の電極間にある非導電性の境界域を示す。
rd 上部電極層のセンサー電極の電極間にある非導電性の境界域の幅を示す。
Claims (15)
- 第一のセンサー電極アレイを有するタッチパネルであって、該第一のセンサー電極アレイは可撓性透明基板上に導電性金属細線がパターン化されており、該センサー電極アレイの反射色度L*a*b*の L* が6〜13,a* が−0.7〜1.5,b* が−5.0〜1.2であることを特徴とするタッチパネル。
- 該タッチパネルが静電容量方式のタッチパネルであることを特徴とする請求項1に記載の静電容量方式のタッチパネル。
- 更に第二のセンサー電極アレイを含み、該第一のセンサー電極アレイと第二のセンサー電極アレイが直交配列していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の静電容量方式のタッチパネル。
- 該パターン化された導電性金属細線と該可撓性透明基板との間に少なくとも1以上の易接着層を有することを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の静電容量方式のタッチパネル。
- 第一のセンサー電極アレイと第二のセンサー電極アレイが直交配列している静電容量方式のタッチパネルにおいて、タッチ者側に配置された第一のセンサー電極アレイは、易接着層を有する可撓性透明基板上に導電性金属細線がパターン化されていることを特徴とする静電容量方式のタッチパネル。
- 該パターン化された導電性金属細線はタッチ面側に黒色不透明層を有することを特徴とする請求項1から請求項5のいずれか1項に記載の静電容量タッチパネル。
- 該黒化層の表面粗さRaが0.15以下であることを特徴とする請求項6に記載の静電容量方式のタッチパネル。
- 該センサー電極アレイの反射色度L*a*b*の L* が6〜13,a* が−0.7〜1.5,b* が−5.0〜1.2であることを特徴とする請求項5から請求項7のいずれか1項に記載の静電容量タッチパネル。
- 該第一のセンサー電極アレイを構成するセンサー電極は、該導電性金属細線から形成されるメッシュからなるダイヤモンド構造の連続体又は帯状体であり、該第二のセンサー電極アレイを構成するセンサー電極は、前記第一のセンサー電極アレイを構成するセンサー電極と同じ構造又はbar構造であることを特徴とする請求項3から請求項8のいずれか1項に記載の静電容量タッチパネル。
- 直交配列している該第一のセンサー電極アレイと第二のセンサー電極アレイを透視したとき、パターン化された導電性金属細線が、タッチ面全体にほぼ均一な格子模様を形成していることを特徴とする請求項3から請求項9のいずれか1項に記載の静電容量方式のタッチパネル。
- 該導電性金属細線層が、スパッタ法、イオンプレーティング法あるいはメッキ法により形成された、厚さが100nmから3000nmの金属薄膜層をフォトリソグラフィーの方法、あるいはレーザーアブレイションの方法を用いて、線幅1000nmから8000nmの細線パターンにパターニングしたことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の静電容量方式のタッチパネル。
- 該導電性金属細線の幅が厚さの2.5倍以上であることを特徴とする請求項11に記載の静電容量方式のタッチパネル。
- 該可撓性透明基板がポリエステル樹脂からなり、易接着層がポリエステル樹脂、アクリル樹脂あるいはウレタン樹脂からなり、易接着層に架橋剤が添加されていることを特徴とする請求項4から請求項12のいずれか1項に記載の静電容量方式のタッチパネル。
- 該易接着層が、第一と第二の易接着層からなり、該可撓性透明基板に接する第一の易接着層がポリエステル樹脂からなり、第二の易接着層がアクリル樹脂あるいはウレタン樹脂からなることを特徴とする請求項13に記載の静電容量方式のタッチパネル。
- 該架橋剤がオキサゾリジン化合物、エポキシ化合物、あるいはイソシアネート化合物であることを特徴とする請求項13又は請求項14のいずれか1項に記載の静電容量方式のタッチパネル。
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