JP2007140282A - 透明導電性ハードコートフィルムならびに該フィルムを用いた偏光板及び画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】銀塩含有層のパターン状露光と化学現像とによって、導電性金属部と導電性金属部がない可視光透過性部のパターンが形成された導電層を透明支持体上に有し、該導電層の上に少なくとも1層の硬化性組成物の硬化層を直接設置する。
【選択図】図1
Description
また、ディスプレー表面のフラット化にともない、光源や白い物体の映り込みによる視認性の低下が問題となる。
たとえば、導電性付与のために、フイルム中に各種金属微粒子(たとえば特許文献1、2)、導電性酸化物粒子(たとえば特許文献3)、導電性高分子(たとえば特許文献4)を使用する検討がなされてきた。また、これらの導電性物質を導入する方法については、支持体から最も遠い位置に塗設する方法(たとえば特許文献5,6)、支持体と硬化層の間(たとえば特許文献7)、複数の硬化層の間(たとえば特許文献8)などが検討されてきた。
本発明の目的は導電性と光透過性を両立できる透明導電性ハードコートフィルムであって、かつ防眩フィルムや反射防止フィルムあるいは保護フィルムとして機能する透明導電性ハードコートフィルムを提供すること、及びこれらを用いた偏光板や画像表示装置を提供することにある。
(2)導電層の導電性金属部分が、パターン状に形成された現像銀上にさらに導電性金属を担持させることによって形成されたものであることを特徴とする上記(1)に記載の透明導電性ハードコートフィルム。
(3)導電性金属を担持が、物理現像、無電海めっき及び電解めっきから選ばれる担持手段によって行なわれることを特徴とする上記(2)に記載の透明導電性ハードコートフィルム。
(4)導電層のパターンが、導電性金属部が1μmから40μmのメッシュ状の細線から形成されたものであることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の透明導電性ハードコートフィルム。
(5)硬化層として表面粗さRa0.1μ以上である防眩層を有する導電性防眩フィルムであることを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに記載の導電性ハードコートフィルム。
(6)支持体からもっとも離れた側に、屈折率1.2以上1.5以下であり、膜厚50nm以上200nm以下の低屈折率層を有する反射防止フィルムであることを特徴とする上記(1)〜(5)のいずれかに記載の導電性反射防止フイルム。
(7)低屈折率層中に粒子サイズ1nm以上100nm以下の無機酸化物粒子を含有することを特徴とする上記(1)〜(6)のいずれかに記載の導電性反射防止フィルム。
(8)偏光板における偏光膜の2枚の保護フィルムのうちの一方に上記(1)〜(7)のいずれかに記載の導電性反射防止フィルムが用いられていることを特徴とする偏光板。
(9)請求項1〜7のいずれかに記載の導電性反射防止フィルム、又は上記(8)に記載の偏光板がディスプレイの最表面に用いられていることを特徴とする画像表示装置。
なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロイル」等も同様である。
従来の銀塩拡散転写法を利用した方法(アナリティカル・ケミストリー(AnalyticalChemistry)、第72巻、645項、2000年発刊、国際公開WO 01/51276号公報、特開2000−149773号公報に記載の方法)では、物理現像核層が金属画像部及び透光性部に均一に設けられるため、金属画像部の他に透光性部にも物理現像核が残存する。したがって、銀塩拡散転写法では、残存した物理現像核が光を吸収してしまうため、透光性部における透過性が損なわれるという原理的な問題点を有していた。
なお、本発明における光透過性部の「透過率」とは、支持体の光吸収及び反射の寄与を除いた380〜780nmの波長領域における透過率の最小値で示される透過率を指し、(透光性電磁波シールド材料の透過率)/(支持体の透過率)×100(%)で表される。光透過性部の透過率は90%以上であることが好ましく、95%以上であることがより好ましく、97%以上であることがさらに好ましく、98%以上であることがさらにより好ましく、99%以上であることが最も好ましい。
本発明において、光センサーとして銀塩を含有する層(銀塩含有層)が支持体上に設けられる。銀塩含有層は、銀塩のほか、バインダー、溶媒等を含有することができる。
本発明で用いられる銀塩としては、ハロゲン化銀などの無機銀塩及び酢酸銀などの有機銀塩が挙げられるが、光センサーとしての特性に優れるハロゲン化銀を用いることが好ましい。
本発明では、光センサーとして機能させるためにハロゲン化銀を使用する。ハロゲン化銀に関する銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等で用いられる技術は、本発明においてもそのまま用いることもできる。
本発明において、ハロゲン化銀に含有されるロジウム化合物及び/又はイリジウム化合物の含有率は、ハロゲン化銀の銀のモル数に対して、10-10〜10-2モル/モルAgであることが好ましく、10-9〜10-3モル/モルAgであることがさらに好ましい。
このPd含有ハロゲン化銀粒子は、物理現像や無電解メッキの速度を速め、所望の電磁波シールド材の生産効率を上げ、生産コストの低減に寄与する。Pdは、無電解メッキ触媒としてよく知られて用いられているが、本発明では、ハロゲン化銀粒子の表層にPdを偏在させることが可能なため、極めて高価なPdを節約することが可能である。
本発明において、ハロゲン化銀に含まれるPdイオン及び/又はPd金属の含有率は、ハロゲン化銀の銀のモル数に対して10-4〜0.5モル/モルAgであることが好ましく、0.01〜0.3モル/モルAgであることがさらに好ましい。
使用するPd化合物の例としては、PdCl4やNa2PdCl4等が挙げられる。
本発明で使用できる乳剤としては、例えば、特開平11−305396号公報、特開2000−321698号公報、特開平13−281815号公報、特開2002−72429号公報の実施例に記載されたカラーネガフィルム用乳剤、特開2002−214731号公報に記載されたカラーリバーサルフィルム用乳剤、特開2002−107865号公報に記載されたカラー印画紙用乳剤などを好適に用いることができる。
本発明に係る銀塩含有層において、バインダーは、銀塩粒子を均一に分散させ、かつ銀塩含有層と支持体との密着を補助する目的で用いることができる。本発明においては、非水溶性ポリマー及び水溶性ポリマーのいずれもバインダーとして用いることができるが、水溶性ポリマーを用いることが好ましい。
バインダーとしては、例えば、ゼラチン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース等が挙げられる。これらは、官能基のイオン性によって中性、陰イオン性、陽イオン性の性質を有する。
銀塩含有層で用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノールなどのアルコール類、アセトンなどのケトン類、ホルムアミドなどのアミド類、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド類、酢酸エチルなどのエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
銀塩含有層に用いられる溶媒の含有量は、前記銀含有層に含まれる銀塩、バインダー等の合計の質量に対して30〜90質量%の範囲であることが好ましく、50〜80質量%の範囲であることがより好ましい。
本発明では、支持体上に設けられた銀塩含有層の露光を行う。露光は、電磁波を用いて行うことができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線などの光、X線などの放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
本発明では、銀塩含有層を露光した後、さらに現像処理が行われる。現像処理は、銀塩写真フィルムや印画紙、印刷製版用フィルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。現像液については特に限定はしないが、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもでき、例えば、富士フィルム社製のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトール、KODAK社製のC−41、E−6、RA−4、D−19、D−72などの現像液、又はそのキットに含まれる現像液、また、D−85などのリス現像液を用いることができる。
本発明では、上記の露光及び現像処理を行うことにより金属銀部、好ましくはパターン状金属銀部が形成されると共に、後述する光透過性部が形成される。
本発明では、前記露光及び現像処理により形成された金属銀部に導電性を付与する目的で、前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させるための物理現像及び/又はメッキ処理を行う。本発明では物理現像又はメッキ処理のみで導電性金属粒子を金属性部に担持させることが可能であるが、さらに物理現像とメッキ処理を組み合わせて導電性金属粒子を金属銀部に担持させることもできる。
本発明における「物理現像」とは、金属や金属化合物の核上に、銀イオンなどの金属イオンを還元剤で還元して金属粒子を析出させることをいう。この物理現象は、インスタントB&Wフィルム、インスタントスライドフィルムや、印刷版製造等に利用されており、本発明ではその技術を用いることができる。
また、物理現像は、露光後の現像処理と同時に行っても、現像処理後に別途行ってもよい。
無電解銅メッキ液に含まれる化学種としては、硫酸銅や塩化銅、還元剤としてホルマリンやグリオキシル酸、銅の配位子としてEDTAやトリエタノールアミン等、その他、浴の安定化やメッキ皮膜の平滑性を向上させるための添加剤としてポリエチレングリコール、黄血塩、ビピリジン等が挙げられる。電解銅メッキ浴としては、硫酸銅浴やピロリン酸銅浴が挙げられる。
本発明では、現像処理後の金属銀部、並びに物理現像及び/又はメッキ処理後に形成される導電性金属部には、好ましくは酸化処理が行われる。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることができる。
酸化処理としては、例えば、Fe(III)イオン処理など、種々の酸化剤を用いた公知の方法が挙げられる。酸化処理は、銀塩含有層の露光及び現像処理後、あるいは物理現像又はメッキ処理後に行うことができ、さらに現像処理後と物理現像又はメッキ処理後のそれぞれで行ってもよい。
次に、本発明における導電性金属部について説明する。
本発明では、導電性金属部は、前述した露光及び現像処理により形成された金属銀部を物理現像又はメッキ処理することにより前記金属銀部に導電性金属粒子を担持させることにより形成される。
金属銀は、露光部に形成させる場合と、未露光部に形成させる場合がある。物理現像核を利用した銀塩拡散転写法(DTR法)は、未露光部に金属銀を形成させるものである。本発明においては、透明性を高めるために露光部に金属銀を形成させることが好ましい。
前記金属部に担持させる導電性金属粒子としては、上述した銀のほか、銅、アルミニウム、ニッケル、鉄、金、コバルト、スズ、ステンレス、タングステン、クロム、チタン、パラジウム、白金、マンガン、亜鉛、ロジウムなどの金属、又はこれらを組み合わせた合金の粒子を挙げることができる。導電性、価格等の観点から導電性金属粒子は、銅、アルミニウム又はニッケルの粒子であることが好ましい。また、磁場シールド性を付与する場合、導電性金属粒子として常磁性金属粒子を用いることが好ましい。
さらに、導電性金属部を形成する導電性金属粒子として銅及びパラジウムが用いられる場合、銀、銅及びパラジウムの合計の質量が導電性金属部に含まれる金属の全質量に対して80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがさらに好ましい。
なお、導電性配線材料の用途である場合、前記導電性金属部の形状は特に限定されず、目的に応じて任意の形状を適宜決定することができる。
本発明における「光透過性部」とは、透光性電磁波シールド膜のうち導電性金属部以外の透明性を有する部分を意味する。光透過性部における透過率は、前述のとおり、支持体の光吸収及び反射の寄与を除いた380〜780nmの波長領域における透過率の最小値で示される透過率が90%以上、好ましくは95%以上、さらに好ましくは97%以上であり、さらにより好ましくは98%以上であり、最も好ましくは99%以上である。
ここに、「実質的に物理現像核を有しない」とは、光透過性部における物理現像核の存在率が0〜5%の範囲であることをいう。
透光性電磁波シールド膜が設けられた支持体の厚さは、5〜200μmであることが好ましく、30〜150μmであることがさらに好ましい。5〜200μmの範囲であれば所望の可視光の透過率が得られ、かつ取り扱いも容易である。
本発明では、上述した銀塩含有層の塗布厚みをコントロールすることにより所望の厚さの金属銀部を形成し、さらに物理現像及び/又はメッキ処理により導電性金属粒子からなる層の厚みを自在にコントロールできるため、5μm未満、好ましくは3μm未満の厚みを有する透光性電磁波シールド膜であっても容易に形成することができる。
本発明のフィルムは、以上の導電性層を付与したフィルム上にハードコート層、防眩性層あるいは反射防止層を付与することで、透明で導電性であってかつハードコートフィルム、防眩性フィルムあるいは導電性反射防止フィルムとしても機能する透明導電性ハードコートフィルムである。以下に詳記する説明では、これら本発明の透明で導電性であってかつ好ましくは防眩性、反射防止性、保護性、防汚性などの機能性の一つ以上を備えた導電性反射防止フィルムハードコートフィルムをまとめていう場合には、「透明導電性ハードコートフィルム」又は単に「フィルム」と略称する。
以下に導電層以外の機能性層の構成物、構成、その特性について記載する。
〔電離放射線硬化性化合物〕
本発明のフィルムは、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成される少なくとも1層を含んで構成されることができる。すなわち、バインダーとして電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布液(以下、硬化性組成物ともいう)を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより、該支持体上に反射防止機能に寄与する少なくとも1層の機能層を形成することができる。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシド又はプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;等を挙げることができる。
多官能モノマーは、2種類以上を併用してもよい。
本発明にはバインダーとして、無架橋のポリマー又は架橋しているポリマーを用いることができる。架橋しているポリマーはアニオン性基を有するのが好ましい。架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有するポリマーの主鎖が架橋している構造を有する。
本発明のフイルムに反射防止機能を持たせる場合には、特に低屈折率層にはポリマーのバインダーのうち含フッ素共重合体化合物を好ましく用いることができる。
本発明において、低屈折率層の形成に用いられる含フッ素ポリマーに含まれる含フッ素ビニルモノマー重合単位の構造には、特に制限なく、例えば含フッ素オレフィン、ペルフルオロアルキルビニルエーテル、含フッ素アルキル基を有するビニルエーテルや(メタ)アクリレートなどに基づく重合単位を挙げることができる。製造適性と、屈折率や膜強度など低屈折率層に必要とされる性質から、該含フッ素ポリマーは、含フッ素オレフィンとビニルエーテルとの共重合体であることが好ましく、ペルフルオロオレフィンとビニルエーテルとの共重合体であることがより好ましい。また、共重合成分として屈折率を低下させる目的でペルフルオロアルキルビニルエーテル、含フッ素アルキル基を有するビニルエーテルや(メタ)アクリレートなどを含んでいてもよい。
一般式M2
一般式M1
本発明で好ましく用いられる含フッ素ポリマーは、水酸基含有ビニルモノマー重合単位を含むことが好ましいが、その含率には特に制限はない。水酸基は架橋剤と反応して硬化する機能を有するため、水酸基の含有率が高いほど硬い膜を形成できて好ましく、その含有率は10モル%以上70モル%以下であることが好ましく、20モル%を超えて60モル%以下であることがより好ましく、25モル%以上55モル%以下であることが更に好ましい。
本発明で好ましく用いられる含フッ素ポリマーは、防汚性を付与するためにポリシロキサン構造を有する構成単位を有することが好ましい。
本発明で有用なポリシロキサン構造を有する含フッ素ポリマーとしては、先ず、(a)含フッ素ビニルモノマー重合単位、(b)水酸基含有ビニルモノマー重合単位、及び(c)側鎖に下記一般式(1)で表されるポリシロキサン繰り返し単位を含んでなるグラフト部位を有する重合単位をそれぞれ少なくとも1種類含み、主鎖が炭素原子のみからなる含フッ素ポリマーが挙げられる。
一般式(1):
本発明では、前記の側鎖にポリシロキサン繰り返し単位を含んでなる含フッ素ポリマーと共に、主鎖にポリシロキサン構造を有する含フッ素ポリマー、すなわち(a)含フッ素ビニルモノマー重合単位、(b)水酸基含有ビニルモノマー重合単位をそれぞれ少なくとも1種類含み、(d)主鎖に下記一般式(1)で表されるポリシロキサン繰り返し単位を含んでなる含フッ素ポリマーも好ましく用いることができる。
一般式(1):
上記以外の重合単位を形成する共重合成分としては、硬度、基材への密着性、溶媒への溶解性、透明性等種々の観点から適宜選択することができ、例えば、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、t−ブチルビニルエーテル、n−ブチルビニルエーテル、シクロへキシルビニルエーテル、イソプロピルビニルエーテル等のビニルエーテル類、酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニル、シクロヘキサンカルボン酸ビニル等のビニルエステル類を例として挙げることができる。これらの共重合成分の導入量は、0〜40モル%の範囲であり、0〜30モル%の範囲であることが好ましく、0〜20モル%の範囲であることが特に好ましい。
本発明で特に好ましいポリマーの形態は、下記一般式(4)で表わされる形態である。
一般式(4):
本発明の反射防止フィルムにおける機能層には、オルガノシラン化合物の加水分解物及び/又はその部分縮合物等(以下、得られた反応溶液を「ゾル成分」とも称する)を含有させることが、耐擦傷性の点で好ましい。
一般式(5):(R30)m1−Si(X31)4−m1
上記一般式(5)において、R30は置換もしくは無置換のアルキル基、又は置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ヘキシル、デシル、ヘキサデシル等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは炭素数1〜6のものである。アリール基としてはフェニル、ナフチル等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
m1は1〜3の整数を表し、好ましくは1又は2であり、特に好ましくは1である。
一般式(5−1):
R30は一般式(5)におけるR30と同義であり、置換もしくは無置換のアルキル基、又は無置換のアリール基が好ましく、無置換のアルキル基、又は無置換のアリール基が更に好ましい。
X31は一般式(5)におけるX31と同義であり、ハロゲン原子、水酸基、無置換のアルコキシ基が好ましく、塩素原子、水酸基、無置換の炭素数1〜6のアルコキシ基が更に好ましく、水酸基、炭素数1〜3のアルコキシ基が更に好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
以上述べたバインダーに対しては、以下の反応性有機珪素化合物を併用することもできる。反応性有機珪素化合物は、電離放射線硬化性化合物と反応性有機珪素化合物の合計に対して10〜100質量%の範囲で使用される。
(珪素アルコキシド)
珪素アルコキシドは、前記一般式(5)で表される化合物のうち、X31がアルコキシ基(OR32)であって、R30、R32が炭素数1〜10のアルキル基を表す化合物に該当する。これらの化合物としては、例えば、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−i−プロポキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシシラン、テトラ−s−ブトキシシラン、テトラ−t−ブトキシシラン、テトラペンタエトキシシラン、テトラペンタ−i−プロポキシシラン、テトラペンタ−n−プロキシシラン、テトラペンタ−n−ブトキシシラン、テトラペンタ−s−ブトキシシラン、テトラペンタ−t−ブトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、メチルトリブトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルエトキシシラン、ジメチルメトキシシラン、ジメチルプロポキシシラン、ジメチルブトキシシラン、メチルジメトキシシラン、メチルジエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン等が挙げられる。
シランカップリング剤としては、例えば、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、N−β−(N−ビニルベンジルアミノエチル)−γ−アミノプロピルメトキシシラン・塩酸塩、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、アミノシラン、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、オクタデシルジメチル[3−(トリメトキシシリル)プロピル]アンモニウムクロリド、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン等が挙げられる。
電離放射線によって反応架橋する複数の基、例えば、重合性二重結合基を有する分子量5,000以下の有機珪素化合物が挙げられる。このような反応性有機珪素化合物は、片末端ビニル官能性ポリシラン、両末端ビニル官能性ポリシラン、片末端ビニル官能ポリシロキサン、両末端ビニル官能性ポリシロキサン、或いはこれらの化合物を反応させたビニル官能性ポリシラン、又はビニル官能性ポリシロキサン等が挙げられる。
その他の化合物としては、3−(メタ)アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−(メタ)アクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン等の(メタ)アクリロキシシラン化合物等が挙げられる。
本発明において用いられるエチレン性不飽和基を有する各種モノマーの重合は、光ラジカル重合開始剤又は熱ラジカル重合開始剤の存在下、電離放射線の照射又は加熱により行うことができる。本発明の反射防止フィルムを作製するに際しては、光ラジカル重合開始剤及び熱ラジカル重合開始剤を併用することもできる。
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号公報記載のもの等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いてもよい。
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトン及びチオキサントン、などを挙げることができる。
更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製の「カヤキュアー(DMBI,EPA)」などが挙げられる。
熱ラジカル開始剤としては、有機又は無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
〔硬化剤〕
本発明における機能層の一つである低屈折率層は、水酸基を含む含フッ素ポリマー、及び該含フッ素ポリマー中の水酸基と反応し得る化合物(硬化剤)を含む硬化可能な組成物、いわゆる硬化性樹脂組成物を用いて形成されることが好ましい。硬化剤は水酸基と反応する部位を2個以上有することが好ましく、4個以上有することが更に好ましい。
中でも、本発明では、保存時の安定性と架橋反応の活性の両立の観点、及び形成される膜の強度の観点から、酸性条件下で水酸基含有化合物と架橋反応するアミノプラスト類が好ましい。アミノプラスト類は、含フッ素ポリマー中に存在する水酸基と反応可能なアミノ基、すなわちヒドロキシアルキルアミノ基もしくはアルコキシアルキルアミノ基、又は窒素原子に隣接し、且つアルコキシ基で置換された炭素原子を含有する化合物である。具体的には、例えばメラミン系化合物、尿素系化合物、ベンゾグアナミン系化合物等を挙げることができる。
本発明のフィルムは、ハードコート層などの機能性層用塗布組成物を塗布した後、加熱しながらバインダーの水酸基と上記硬化剤との架橋反応で膜を硬化する。この系では酸により硬化が促進されるため、硬化性樹脂組成物に、酸性物質を添加することが望ましいが、通常の酸を添加すると塗布液中でも架橋反応が進行してしまい、故障(ムラ、ハジキなど)の原因となる。従って、熱硬化系で保存安定性と硬化活性を両立するために、加熱により酸を発生する化合物(以下、熱酸発生剤ともいう)を硬化触媒として添加する。
本発明で使用される硬化触媒は、酸と有機塩基からなる塩であることが好ましい。酸としては、スルホン酸、ホスホン酸、カルボン酸など有機酸や硫酸、リン酸のような無機酸が挙げられ、ポリマーに対する相溶性の観点から有機酸がより好ましく、スルホン酸、ホスホン酸が更に好ましく、スルホン酸が最も好ましい。好ましいスルホン酸としては、p−トルエンスルホン酸(PTS)、ベンゼンスルホン酸(BS)、p−ドデシルベンゼンスルホン酸(DBS)、p−クロロベンゼンスルホン酸(CBS)、1,4−ナフタレンジスルホン酸(NDS)、メタンスルホン酸(MsOH)、ノナフルオロブタン−1−スルホン酸(NFBS)などが挙げられ、何れも好ましく用いることができる(( )内は略称)。
b−3:ピリジン(115℃)、b−14:4−メチルモルホリン(115℃)、b−20:ジアリルメチルアミン(111℃)、b−19:トリエチルアミン(88.8℃)、b−21:t−ブチルメチルアミン(67〜69℃)、b−22:ジメチルイソプロピルアミン(66℃)、b−23:ジエチルメチルアミン(63〜65℃)、b−24:ジメチルエチルアミン(36〜38℃)、b−18:トリメチルアミン(3〜5℃)。
本発明では、上述した熱酸発生剤の他に、光照射により酸を発生する化合物、すなわち感光性酸発生剤をさらに添加してもよい。該感光性酸発生剤は当該硬化性樹脂組成物の塗膜に感光性を付与し、例えば、光等の放射線を照射することによって当該塗膜を光硬化させることを可能にする物質である。
中でも、ジアゾニウム塩、ヨードニウム塩、スルホニウム塩、イミニウム塩が、光重合開始の光感度、化合物の素材安定性等の点から好ましい。例えば特開2002−29162号明細書の段落番号[0058]〜[0059]に記載の化合物等が挙げられる。
本発明のフイルムを反射防止フィルムとする場合、の機能層、特に防眩層やハードコート層には、防眩性(表面散乱性)や内部散乱性を付与するため、各種の透光性粒子を用いることができる。
分級には風力分級法、遠心分級法、沈降分級法、濾過分級法、静電分級法等の方法を用いることが好ましい。
本発明には硬度などの物理特性、反射率、散乱性などの光学特性などの向上のため、各種無機粒子を用いることができる。
無機粒子としては、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも一つ金属の酸化物、具体例としては、ZrO2、TiO2、Al2O3、In2O3、ZnO、SnO2、Sb2O3、ITO等が挙げられる。その他BaSO4、CaCO3、タルク及びカオリンなどが含まれる。
本発明を構成する層を高屈折率化する目的に対しては、屈折率の高い無機粒子をモノマーと開始剤、有機置換された珪素化合物中に分散した組成物の硬化物が好ましく用いられる。
この場合の無機粒子としては、屈折率の観点から、特にZrO2、TiO2好ましく用いられる。ハードコート層の高屈折率化に対してはZrO2が、高屈折率層、中屈折率層用の粒子としてはTiO2の微粒子が最も好ましい。
低屈折率層に含有させる無機粒子は、低屈折率であることが望ましく、フッ化マグネシウムやシリカの微粒子が挙げられる。特に、屈折率、分散安定性、コストの点でシリカ微粒子が好ましい。
ここで、無機粒子の平均粒径はコールターカウンターにより測定される。
屈折率をより低下させる目的のためには、中空のシリカ微粒子を用いることが好ましい。
数式(1):x={(4πri 3/3)/(4πro 3/3)}×100
本発明においては、中空シリカと併用して空腔のないシリカ粒子を用いることができる。併用する際の空腔のないシリカの好ましい粒子サイズは、30nm以上150nm以下、更に好ましくは35nm以上100nm以下、最も好ましくは40nm以上80nm以下である。
本発明の反射防止フィルムには導電性を付与するためには、導電性金属部と導電性金属部がない可視光透過性部のパターンが形成された導電層を使用するが、補助的に導電層を設け、そこに各種の導電性粒子を用いることができる。導電性粒子は、金属の酸化物又は窒化物から形成することが好ましい。金属の酸化物又は窒化物の例には、酸化錫、酸化インジウム、酸化亜鉛及び窒化チタンが含まれる。酸化錫及び酸化インジウムが特に好ましい。
本発明で使用する無機粒子は、分散液中又は塗布液中で、分散安定化を図るために、あるいはバインダー成分との親和性、結合性を高めるために、プラズマ放電処理やコロナ放電処理のような物理的表面処理、界面活性剤やカップリング剤等による化学的表面処理がなされていてもよい。
本発明に使用する粒子の分散には各種の分散剤を使用することができる。
分散剤は、さらに架橋又は重合性官能基を含有することが好ましい。架橋又は重合性官能基としては、ラジカル種による付加反応・重合反応が可能なエチレン性不飽和基(例えば(メタ)アクリロイル基、アリル基、スチリル基、ビニルオキシ基等)、カチオン重合性基(エポキシ基、オキサタニル基、ビニルオキシ基等)、重縮合反応性基(加水分解性シリル基等、N−メチロール基)等が挙げられ、好ましくはエチレン性不飽和基を有する官能基である。
本発明のフィルム、特にその最上層には防汚性、耐水性、耐薬品性、滑り性等の特性を付与する目的で、公知のシリコーン系又はフッ素系の防汚剤、滑り剤等を適宜添加することが好ましい。
本発明の反射防止フィルムには、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、又はその両者を光拡散層形成用の塗布液中に含有することが好ましい。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いることができる。面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることができる。
一般式(6):
一般式(7):
本発明の反射防止フィルムは、機能層形成用の塗布液の粘度を調整するために増粘剤を用いてもよい。
ここでいう増粘剤とは、それを添加することにより液の粘度が増大するものを意味し、添加することにより塗布液の粘度が上昇する大きさとして好ましくは0.05〜50cP(10−3Pa・s)であり、さらに好ましくは0.10〜20cP(10−3Pa・s)であり、最も好ましくは0.10〜10cP(10−3Pa・s)である。
ポリ−ε−カプロラクトン、ポリ−ε−カプロラクトンジオール、ポリ−ε−カプロラクトントリオール、ポリビニルアセテート、ポリ(エチレンアジペート)、ポリ(1,4−ブチレンアジペート)、ポリ(1,4−ブチレングルタレート)、ポリ(1,4−ブチレンスクシネート)、ポリ(1,4−ブチレンテレフタレート)、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリ(2−メチル−1,3−プロピレンアジペート)、ポリ(2−メチル−1,3−プロピレングルタレート)、ポリ(ネオペンチルグリコールアジペート)、ポリ(ネオペンチルグリコールセバケート)、ポリ(1,3−プロピレンアジペート)、ポリ(1,3−プロピレングルタレート)、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルプロパナール、ポリビニルヘキサナール、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、セルロースアセテート、セルロースプロピオネート、セルロースアセテートブチレート。
本発明において、各層を形成するための塗布液に用いられる溶媒としては、各成分を溶解又は分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で選ばれる各種の溶媒が使用できる。溶媒は2種類以上のものを混合して用いることができる。特に、乾燥負荷の観点から、常圧室温における沸点が100℃以下の溶媒を主成分とし、乾燥速度の調整のために沸点が100℃以上の溶媒を少量含有することが好ましい。
本発明のフィルムには、前記の成分以外に、樹脂、カップリング剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤などを層形成用塗布液に添加することもできる。
本発明のフィルムの支持体としては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シート、透明ガラスなど特に限定はない。透明樹脂フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム{例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム等}、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム等が使用できる。
その中でも、透明性が高く、光学的に複屈折が少なく、製造が容易であり、偏光板の保護フィルムの支持体として一般に用いられているセルロースアシレートフィルムが好ましく、セルローストリアセテートフィルムが特に好ましい。又、透明支持体の厚さは通常25μm〜1000μm程度とする。
本発明ではセルロースアシレートフィルムに、酢化度が59.0〜61.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定及び計算に従う。
本発明では、ポリエチレンテレフタレートフィルムも、透明性、機械的強度、平面性、耐薬品性及び耐湿性共に優れており、その上安価であり支持体として好ましく用いられる。
本発明の透明導電性ハードコート反射防止フィルムの構成層は、ハードコート層、反射防止層、防眩層、低屈折率層、中屈折率層、高屈折率層などの各種の機能性層として作用する。これらの機能性層は、上記の各種化合物を混合、塗設して各種の機能層を形成することによって得られるものである。特に各種機能層を設置し、反射防止フィルムとして用いることが特に好ましい。以下に次に、本発明の透明導電性ハードコートフィルムを構成する各機能層について記載する。
防眩層は、本発明で規定される表面散乱による防眩性と共に、好ましくは得られる反射防止フィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性を該フィルムに寄与する目的で形成される。
マット粒子の形状は、球形又は不定形のいずれも使用できる。
本発明に係る反射防止フィルムには、フィルムの物理的強度を付与するために、防眩層に加えてハードコート層を設けることができる。また、ハードコート層は、透光性粒子を含有することにより、防眩層を兼ねることもできる。好ましくは、そのハードコート層の上に低屈折率層が設けられ、更に好ましくはハードコート層と低屈折率層の間に中屈折率層、高屈折率層が設けられ、反射防止フィルムを構成することが好ましい。
ハードコート層は、2層以上の積層から構成されてもよい。
さらに、JIS K−5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
なお、本明細書において、「ハードコート層」は、以上に述べてきたように、ハードコート層としての機能のみを有する場合、ハードコート層であって反射防止層としても機能する場合、同様に防眩機能をも有する場合を含んでいる。
本発明の反射防止フィルムには、前記のように、高屈折率層、中屈折率層を設け、反射防止性を高めることができる。
また、本明細書では高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層を総称して反射防止層と総称して呼ぶことがある。
無機粒子は、分散剤の存在下で分散媒体中に分散するのがよい。
本発明の反射防止フィルムの反射率を低減するため、低屈折率層を用いられる。
本発明においては、補助的に帯電防止層を設けることもできる。帯電防止層を形成する方法は、例えば、導電性微粒子と反応性硬化樹脂を含む導電性塗工液を塗工する方法、又は透明膜を形成する金属や金属酸化物等を蒸着やスパッタリングして導電性薄膜を形成する方法等の従来公知の方法を挙げることができる。導電性層は、支持体に直接又は、支持体との接着を強固にするプライマー層を介して形成することができる。また、帯電防止層を反射防止膜の一部として使用することもできる。この場合、最表層から近い層で使用する場合には、膜の厚さが薄くても十分に帯電防止性を得ることができる。
本発明のフィルム特に反射防止フィルムの最表面には防汚層を設けることができる。防汚層は反射防止層の表面エネルギーを下げ、親水性又は親油性の汚れを付きにくくするものである。
防汚層には含フッ素ポリマーや防汚剤を用いて形成することができる。
防汚層の厚さは2〜100nmであることが好ましく、5〜30nmであることがさらに好ましい。
本発明のフィルム特に反射防止フィルムにおける透明支持体とハードコート層、又は透明支持体と防眩層に実質的な屈折率差(屈折率差が0.03以上)がある場合、透明支持体/ハードコート層、又は透明支持体/防眩界面で反射光が生じる。この反射光は反射防止層表面での反射光と干渉し、ハードコート層(又は防眩層)の微妙な膜厚ムラに起因した干渉ムラを生じることがある。この様な干渉ムラを防止するために、例えば透明支持体とハードコート層(又は防眩層)の間に中間の屈折率nPを有し、膜厚dPが下記数式(2)を満たす様な干渉ムラ防止層を設けることもできる。
数式(2):dP=(2N−1)×λ/(4nP)
但し、λは可視光の波長で450〜650nmの範囲の何れかの値、Nは自然数。
本発明のフィルム特に反射防止フィルムには易接着層を塗設することもできる。易接着層とは、例えば、本発明のフィルムを偏光板用保護フィルムとして用いるときの、該保護フィルムとその隣接層、又はハードコート層と支持体とを接着し易くする機能を付与する層のことをいう。
本発明のフィルムには、カール防止加工を施すこともできる。カール防止加工とは、これを施した面を内側にして丸まろうとする機能を付与するものである。透明樹脂フィルムの片面にのみ前記の各種機能層などを形成したフィルムには、その各種機能層などを形成した側の面を内側にしてカールしようとする傾向を生じる。カール防止層はこうしたカールの発生を防止する働きをするものである。
本発明のフィルムには水吸収剤を含む層を設けることができる。水吸収剤は、アルカリ土類金属を中心に、水吸収機能を有する化合物から選択することができる。例えば、BaO、SrO、CaO、及びMgOなどが挙げられる。さらに、Ti、Mg、Ba、Caの様な金属元素から選択することもできる。これらの吸収剤粒子の粒子サイズは、好ましくは100nm以下であり、50nm以下で使用されるのがさらに好ましい。
本発明のフィルムでは、支持体と積層体との間に、公知のプライマー層又は無機薄膜層を設置することで、ガスバリアー性を高めたりすることができる。
本発明のハードコートフィルムについては、上記のような層を用い、公知の層構成を使用することができる。たとえば、代表的な例としては以下のようなものがある。
a.支持体/ハードコート層
b.支持体/ハードコート層/低屈折率層(図1)
c.支持体/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層(図2)
d.支持体/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層(図3)
ハードコート層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
本発明のフィルムは、以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。
[各層形成用塗布液の調製]
まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。その際、溶媒の揮発量を最小限に抑制することにより、塗布液中の含水率の上昇を抑制できる。塗布液中の含水率は5質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましい。溶媒の揮発量の抑制は、各素材をタンクに投入後の攪拌時の密閉性を向上すること、移液作業時の塗布液の空気接触面積を最小化すること等で達成される。また、塗布中、或いはその前後に塗布液中の含水率を低減する手段を設けてもよい。
本発明における塗布方式は、液物性により塗布可能な上限の速度が大きく影響を受けるため、塗布する瞬間の液物性、特に粘度及び表面張力を制御する必要がある。
塗布に用いる塗布液は、塗布前に濾過することが好ましい。濾過のフィルターは、塗布液中の成分が除去されない範囲でできるだけ孔径の小さいものを使うことが好ましい。濾過には絶対濾過精度が0.1〜10μmのフィルターが用いられ、さらには絶対濾過精度が0.1〜5μmであるフィルターを用いることが好ましく用いられる。フィルターの厚さは、0.1〜10mmが好ましく、更には0.2〜2mmが好ましい。その場合、濾過圧力は1.5MPa以下、より好ましくは1.0MPa以下、更には0.2MPa以下で濾過することが好ましい。
また、濾過した塗布液を、塗布直前に超音波分散して、脱泡、分散物の分散保持を補助することも好ましい。
本発明で使用する支持体は、塗布前に表面処理を施すことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理又は紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−333433号公報に記載のように、下塗り層を設けることも好ましく利用される。
本発明のフィルムの各層は、以下の塗布方法により形成することができるが、この方法に制限されない。
ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(ダイコート法)(米国特許第2681294号明細書参照)、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられ、その中でもマイクログラビアコート法、ダイコート法が好ましい。
本発明のフィルムは、支持体上に直接又は他の層を介して塗布された後、溶媒を乾燥するために加熱されたゾーンにウェブで搬送されることが好ましい。溶媒を乾燥する方法としては、各種の知見を利用することができる。具体的な知見としては特開2001−286817号公報、同2001−314798号公報、同2003−126768号公報、同2003−315505号公報、同2004−34002号公報などの記載が挙げられる。
本発明のフィルムは、溶媒の乾燥の後に、ウェブで電離放射線及び/又は熱により各塗膜を硬化させるゾーンを通過させ、塗膜を硬化することができる。
本発明のフィルムを連続的に製造するために、ロール状の支持体フィルムを連続的に送り出す工程、塗布液を塗布・乾燥する工程、塗膜を硬化する工程、硬化した層を有する支持体フィルムを巻き取る工程が行われる。
本発明のフィルムを、偏光膜の2枚の表面保護フィルムの内の一方として用いて偏光板を作製する際には、偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化することで、接着面における接着性を改良することが好ましい。
アルカリ液の中にフィルムを適切な条件で浸漬して、フィルム全表面の、アルカリと反応性を有する部分を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3mol/Lであり、特に好ましくは1〜2mol/Lである。好ましいアルカリ液の液温は30〜75℃、特に好ましくは40〜60℃である。該鹸化条件の組合せは比較的穏和な条件同士の組合せであることが好ましいが、フィルムの素材や構成、目標とする接触角によって設定することができる。
上記の浸漬法における、各膜へのダメージを回避する手段として、適切な条件で、アルカリ液を、塗布層を有する側とは反対側の表面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。なお、この場合の塗布とは、鹸化を行う面に対してのみアルカリ液などを接触させることを意味し、塗布以外にも噴霧、液を含んだベルト等への接触などによって行うことも含む。これらの方法を採ることにより、別途、アルカリ液を塗布する設備、工程が必要となるため、コストの観点ではaの浸漬法に劣る。一方で、鹸化処理を施す面にのみアルカリ液が接触するため、反対側の面にはアルカリ液に弱い素材を用いた層を有することができる。例えば蒸着膜やゾル−ゲル膜は、アルカリ液によって、腐食、溶解、剥離など様々な影響を受けることがあるため、浸漬法ではこれらの層を設けることは容易ではないが、この塗布法では液と接触しないため問題なくこれらの層を設けることが可能となる。
上記bと同様に、塗布層がアルカリ液に対する耐性が不足している場合には、最終層まで形成した後に、該最終層を形成した面にラミネートフィルムを貼り合せてからアルカリ液に浸漬することで、最終層を形成した面とは反対側のトリアセチルセルロース面だけを親水化することができる。この場合、鹸化処理の後にラミネートフィルムを剥離すればよい。この方法でも、塗布層へのダメージなしに、偏光板保護フィルムとして必要なだけの親水化処理を、トリアセチルセルロースフィルムの最終層を形成した面とは反対の面だけに施すことができる。上記bの方法と比較して、ラミネートフィルムが廃棄物として発生する半面、アルカリ液を塗布する特別な装置が不要である利点がある。
下層まではアルカリ液に対する耐性があるが、上層がアルカリ液に対する耐性不足である場合には、下層まで形成後にアルカリ液に浸漬して両面を親水化処理し、然る後に上層を形成することもできる。製造工程が煩雑になるが、例えば防眩層とフッ素含有ゾル/ゲル膜の低屈折率層とからなるフィルムにおいては、低屈折率層が親水基を有する場合には、防眩層と低屈折率層との層間密着性が向上する利点がある。
トリアセチルセルロースフィルムを、予めアルカリ液に浸漬するなどして鹸化し、何れか一方の面に直接又は他の層を介して塗布層を形成してもよい。アルカリ液に浸漬して鹸化する場合には、鹸化により親水化されたトリアセチルセルロース面と形成される塗布層との層間密着性が悪化することがある。そのような場合には、鹸化後、塗布層を形成する面だけにコロナ放電、グロー放電等の処理をすることで、親水化面を除去してから塗布層を形成することで対処できる。また、塗布層が親水性基を有する場合には層間密着が良好なこともある。
本発明のフィルムは、偏光膜の片側又は両側に配置される保護フィルムとして使用して偏光板を製造することができる。
本発明のフィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に用いられる。本発明に従う反射防止フィルターは、プラズマディスプレイパネル(PDP)又は陰極管表示装置(CRT)など公知のディスプレイ上に用いることができる。
本発明のフィルム及びそれを用いた偏光板は、液晶表示装置等の画像表示装置に有利に用いることができ、ディスプレイの最表層に用いることが好ましい。
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60〜120゜にねじれ配向している。
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、
(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル{“SID97,Digest of tech.Papers”(予稿集)、28集(1997年)、845頁記載}、
(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59頁(1998)記載)及び、
(4)SURVAIVALモードの液晶セル(「LCDインターナショナル98」で発表)が含まれる。
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルであり、米国特許第4,583,825号、同第5,410,422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードとも呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
IPSモードの液晶セルは、ネマチック液晶に横電界をかけてスイッチングする方式であり、詳しくは“Proc.IDRC”(Asia Display ’95),577−580頁及び同707−710頁に記載されている。
ECBモードの液晶セルは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向している。ECBモードは、最も単純な構造を有する液晶表示モードの1つであって、例えば特開平5−203946号公報に詳細が記載されている。
[PDP]
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、一般に、ガス、ガラス基板、電極、電極リード材料、厚膜印刷材料、蛍光体により構成される。ガラス基板は、前面ガラス基板と後面ガラス基板の2枚である。2枚のガラス基板には電極と絶縁層を形成する。後面ガラス基板には、さらに蛍光体層を形成する。2枚のガラス基板を組み立てて、その間にガスを封入する。
本発明のフィルムは、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載されるタッチパネルなどに応用することができる。
本発明のフィルムは、有機EL素子等の基板(基材フィルム)や保護フィルムとして用いることができる。
以下に本発明のフィルムに関する各種測定法と、好ましい特性値を示す。
鏡面反射率及び色味の測定は、分光光度計“V−550”[日本分光(株)製]にアダプター“ARV−474”を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5゜の鏡面反射率を測定し、450〜650nmの平均反射率を算出し、反射防止性を評価することができる。
本発明のフィルムをその保護フィルムとして用いた偏光板は、CIE標準光源D65の、波長380nmから780nmの領域における入射角5゜の入射光に対して、正反射光の色味、すなわちCIE1976L*a*b*色空間のL*、a*、b*値を求めることで色味を評価することができる。
数式(3):
数式(4):ΔEw=[(ΔLw)2+(Δaw)2+(Δbw)2]1/2
ここで、ΔLw,Δaw,Δbwは、耐候性試験前後のL*値,a*値,b*値それぞれの変化量である。
透過画像鮮明度は、JIS K−7105に従い、スガ試験機(株)製の写像性測定器「ICM−2D型」にて、スリット幅が0.5mmの光学櫛を用いて測定できる。
中心線平均粗さ(Ra)の測定は、JIS B−0601に準じて行うことができる。
本発明の防眩性反射防止フィルムは、その表面凹凸形状として、中心線平均粗さRaが0.08〜0.30μm、10点平均粗さRzがRaの10倍以下、平均山谷距離Smが1〜100μm、凹凸最深部からの凸部高さの標準偏差が0.5μm以下、中心線を基準とした平均山谷距離Smの標準偏差が20μm以下、傾斜角0〜5゜の面が10%以上となるように設計するのが、十分な防眩性と目視での均一なマット感が達成されるので、好ましい。Raが0.08以上であれば、充分な防眩性が得られ、0.30以下であれば、ギラツキや外光が反射した際の表面の白化等の問題が発生することがない。
本発明の反射防止フィルムのヘイズとは、JIS K−7105に規定されたヘイズ値のことであり、JIS K−7361−1で規定された測定法に基づき、日本電色工業(株)製の濁度計“NDH−1001DP”を用いて測定したヘイズ=(拡散光/全透過光)×100(%)として自動計測される。
表面ヘイズ、内部ヘイズは、透光性粒子の屈折率を調節することで、所望の範囲とすることができる。
(1)JIS K−7136に準じて、フィルムの全ヘイズ値(H)を測定する。
(2)フィルムの低屈折率層側の表面及び裏面にシリコーンオイルを数滴滴下し、厚さ1mmのガラス板{「ミクロスライドガラス品番S9111」、松浪硝子工業(株)製}を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板とフィルムとを光学的に密着させ、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出する。
(3)上記(1)で測定した全ヘイズ(H)から上記(2)で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出する。
[スチールウール耐傷性評価]
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストを行うことで、耐擦傷性の指標とすることができる。
評価環境条件:25℃、60%RH、
こすり材:スチールウール{日本スチールウール(株)製、ゲレードNo.0000}を試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)に巻いて、バンド固定、
移動距離(片道):13cm、
こすり速度:13cm/秒、
荷重:500g/cm2、及び200g/cm2、
先端部接触面積:1cm×1cm、
こすり回数:10往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、こすり部分の傷を反射光で目視観察したり、擦った部分以外との反射光量との差を目視観察することによって評価する。
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストを行うことで、耐擦傷性の指標とすることができる。
評価環境条件:25℃、60%RH、
こすり材:プラスチック消しゴム{(株)トンボ鉛筆製“MONO”}を試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)に固定、
移動距離(片道):4cm、
こすり速度:2cm/秒、
荷重:500g/cm2、
先端部接触面積:1cm×1cm、
こすり回数:100往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、こすり部分の傷を反射光で目視観察したり、擦った部分以外との反射光量との差によって評価する。
JIS K−5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量から擦傷性を評価することができる。この摩耗量が少ないほど好ましい。
[鉛筆硬度]
本発明のフィルムの硬度は、JIS K−5400に従う鉛筆硬度試験で評価することができる。鉛筆硬度はH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
本発明のフィルムにおける表面弾性率は、微小表面硬度計{(株)フィッシャー・インスツルメンツ製:「フィッシャースコープH100VP−HCU」}を用いて求めた値である。具体的には、ダイヤモンド製の四角錐圧子(先端対面角度;136°)を使用し、押し込み深さが1μmを超えない範囲で、適当な試験荷重下での押し込み深さを測定し、除荷重時の荷重と変位の変化から求められる弾性率である。
また上記の微小表面硬度計を用いて、表面硬度をユニバーサル硬度として求めることもできる。ユニバーサル硬度は四角錐圧子の試験荷重下での押し込み深さを測定し、試験荷重をその試験荷重で生じた圧痕の幾何学的形状から計算される圧痕の表面積で割った値である。上記の表面弾性率とユニバーサル硬度の間には、正の相関を有することが知られている。
[マジック拭き取り性]
フィルムをガラス面上に粘着剤で固定し、25℃、60RH%の条件下で黒「マジックインキ」(「マッキー極細」){商品名:ゼブラ(株)製}のペン先(細)にて直径5mmの円形を3周書き込み、5秒後に10枚重ねに折り束ねた「ベンコット」{商品名:旭化成(株)}で「ベンコット」の束がへこむ程度の荷重で20往復拭き取る。「マジックインキ」跡が拭き取りで消えなくなるまで、この書き込みと拭き取りを同一の条件で繰り返し、拭き取りできた回数により防汚性を評価することができる。
消えなくなるまでの回数は5回以上であることが好ましく、10回以上であることが更に好ましい。
接触角計[“CA−X”型接触角計、協和界面科学(株)製]を用い、乾燥状態(20℃、65%RH)で、液体として純水を使用して直径1.0mmの液滴を針先に作り、これをフィルムの表面に接触させてフィルム上に液滴を作った。フィルムと液体とが接する点における、液体表面に対する接線とフィルム表面がなす角で、液体を含む側の角度を接触角とする。
本発明のフィルムの接触角は純水に対して94゜以上であることが好ましく。97゜以上であることがさらに好ましく、101゜以上であることが最も好ましい。
表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」、(株)リアライズ社出版、1989.12.10発行に記載のように、接触角法、湿潤熱法、及び吸着法により求めることができる。本発明のフィルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液をセルロースアシレートフィルムに滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面エネルギーを算出できる。
b.1+cosθCH2I2=2√γsd(√γCH2I2 d/γCH2I2 v)+2√γsh(√γCH2I2 h/γCH2I2 v)
γH2O d=21.8、γH2O h=51.0、γH2O v=72.8、
γCH2I2 d=49.5、γCH2I2 h=1.3、γCH2I2 v=50.8
で、接触角の測定はフィルムを25℃、60%RHの条件下で1時間以上調湿した後に、協和界面科学(株)製、自動接触角計「CA−V150型」を用いて、2μLの液滴をフィルム上に滴下してから30秒後に接触角を求めた。
カールの測定は、JIS K−7619−1988の「写真フィルムのカールの測定法」中の方法Aのカール測定用型板を用いて行われる。
測定条件は25℃、60%RH、調湿時間10時間である。
数式(5):カール=1/R
Rは曲率半径(m)
フィルムの層間、又は支持体と塗布層との密着性は以下の方法により評価することができる。
塗布層を有する側の表面に、カッターナイフで碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを1mm間隔で入れて合計100個の正方形の升目を刻み、日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ“NO.31B”を圧着し、24時間放置後引き剥がす試験を同じ場所で繰り返し3回行い、剥がれの有無を目視で観察する。
耐ひび割れ性は、フィルムの塗布、加工、裁断、粘着剤の塗布、種々の物体への貼りつけ等のハンドリングで割れ欠陥を出さないための重要な特性である。
フィルム試料を35mm×140mmに切断し、温度25℃、60%RHの条件で2時間放置した後、筒状に丸めたときにひび割れが発生し始める曲率直径を測定し、表面のひび割れを評価することができる。
本発明のフィルムをモニターに張り付け、モニター表面に塵埃(布団、衣服の繊維屑)を振りかけ、クリーニングクロスで塵埃を拭き取り、塵埃除去性を評価することができる。
6回の拭取りで完全に取除けることが好ましく、3回以内の拭き取りで塵埃が完全に取り除けることが更に好ましい。
以下に、本発明のフィルムを表示装置上に用いたときの特性の評価方法と好ましい状況について記載する。
作製した液晶表示装置を用いて、黒表示(L1)時のムラや色味変化を複数の観察者により目視評価する。
10人が評価し、ムラ、左右色味変化、温湿度による色味変化、白ボケを認識できるものが3人以下であることが好ましく、1人も認識できないことがより好ましい。
また、外光の映り込みは蛍光灯を用いて行い、目視にて映り込みの変化を相対的に評価することができる。
液晶表示装置正面からの方位方向45゜、極角方向70゜における黒表示の光漏れ率を測定する。光漏れ率が0.4%以下であることが好ましく、0.1%以下であることがより好ましい。
コントラスト及び視野角は、測定機“EZ−Contrast 160D”(ELDIM社製)を用いて、コントラスト比及び左右方向(セルのラビング方向と直交方向)の視野角(コントラスト比が10以上となる角度範囲の広さ)を調べることができる。
水媒体中のAg60gに対してゼラチン7.5gを含む、球相当径平均0.05μmの沃臭化銀粒子(I=2モル%)を含有する乳剤を調製した。この際、Ag/ゼラチン体積比は1/1とし、ゼラチン種としては平均分子量2万の低分子量ゼラチンを用いた。
また、この乳剤中にはK3Rh2Br9及びK2IrCl6を濃度が10-7(モル/モル銀)になるように添加し、臭化銀粒子にRhイオンとIrイオンをドープした。この乳剤にNa2PdCl4を添加し、更に塩化金酸とチオ硫酸ナトリウムを用いて金硫黄増感を行った後、ゼラチン硬膜剤と共に、銀の塗布量が1g/m2(銀量基準)となるようにポリエチレンテレフタレート(PET)上に塗布した。PETは塗布前にあらかじめ親水化処理したものを用いた。乾燥させた塗布膜にライン/スペース=5μm/195μmの現像銀像を与えうる格子状のフォトマスク(ライン/スペース=195μm/5μm(ピッチ200μm)の、スペースが格子状であるフォトマスク)を介して紫外線ランプを用いて露光し、下記の現像液を用いて25℃で45秒間現像し、さらに定着液(スーパーフジフィックス:富士写真フイルム社製)を用いて現像処理を行った後、純水でリンスした。
現像液1リットル中に、以下の化合物が含まれる。
ハイドロキノン 0.037mol/L
N−メチルアミノフェノール 0.016mol/L
メタホウ酸ナトリウム 0.140mol/L
水酸化ナトリウム 0.360mol/L
臭化ナトリウム 0.031mol/L
メタ重亜硫酸カリウム 0.187mol/L
注:N−メチルアミノフェノールは、1/2硫酸塩を使用し、現像液のpHが、10.3となるように水酸化ナトリウム又はホウ酸でpH調製を行った。
このサンプルは特開2003−46293号公報の実施例1と同様の操作を行って作成した。尚、本発明のサンプルとメッシュ形状(線幅、ピッチ)を一致させるために、上記と同じピッチ200μmのフォトマスクを利用した。
評価結果を、比較例のデータと共に表1に示す。
前述の従来技術欄の「銀塩を利用した導電性金属銀の形成方法」である、物理現像核に銀を沈着させる銀塩拡散転写法(特開2000−149773号公報及び国際公開WO01/51276号公報等)との比較を以下の様に行った。
特開2000−149773号公報に記載の方法と同様の方法で、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士写真フイルム(株)製}をロール形態で巻き出し、その上に物理現像核層と感光層を塗布し、ピッチ200μmのメッシュ状フォトマスクを介して露光を与え、DTR法による現像を行い、比較サンプルbを作製した。
また、80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士写真フイルム(株)製}をロール形態で巻き出して、実施例1―1と同様の方法により、4cm×4cmの大きさの塗布試料を用い、本発明サンプルCを作製した。
本発明サンプルCと比較サンプルbのメッシュ形態は、線幅12μm、ピッチ200μmであり、どちらも開口率88%であった。
これらのサンプルの光透過性部の透過率と、表面抵抗とを測定した結果を表2に示す。
以上のように、光透過性部の透明性の観点から、特開2000−149773号公報等に記載の銀塩拡散転写法を用いた方法ではディスプレイ前面に設置する電磁波シールド膜として十分透明なものを得ることは困難であり、これに対し物理現像核を塗布しない方法が透明性の高いシールド膜を得ることができディスプレイ用途として、より適している。
銀塩拡散転写法を用いないで導電性金属部を得る場合、より高い導電性を得るために、高いAg/ゼラチン体積比が重要な要件であることを示すため、以下の実験を行った。
実施例1―2におけるゼラチン量を変更して、Ag/ゼラチン体積比が1/4〜1/0.6とし、メッシュをなす金属細線の線幅は12μm、開口率は88%である本発明サンプルD〜Gを作製した。本願の実施例1と同様の方法により表面抵抗を測定した。
また、通常のカラーネガフィルムを用いる場合に関して、比較のために述べる。市販のカラーネガフィルムのAg/バインダー(ゼラチン)体積比は、約1/17と非常に小さいため、実施例1―1におけるゼラチン量を変更して、Ag/ゼラチン体積比が1/17であるサンプルDを作製し、本願の実施例1―1、1−2と同様の実験を行い表面抵抗等を測定した。
結果を表3に示す。
表面電気抵抗率が300Ω/sq以下の導電性が要求されるディスプレー用としては、Ag/ゼラチン比は1/4以上が好ましく、表面電気抵抗率が2.5Ω/sq以下の導電性が要求されるPDP用としては、Ag/ゼラチン比は1/3以上が好ましい。
また、通常のカラーネガフィルムのようなAg/ゼラチン比の小さい感光材料を用いると、導電性パターンの形成は可能であっても、透光性電磁波シールド材料として十分な導電性を満たすことは困難である。
〔含フッ素ポリマーの合成〕
合成例1:含フッ素ポリマー(P2)の合成
内容量100mLのステンレス製撹拌機付オートクレーブに、酢酸エチル18.5g、ヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE)8.8g、「サイラプレーンFM−0725」{チッソ(株)製}1.0g、及び“V−65”{熱ラジカル発生剤、和光純薬(株)製}0.40gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)15gを、オートクレーブ中に導入して62℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が62℃に達した時点の圧力は、8.9kg/cm2であった。オートクレーブ内を62℃に保持して9時間反応を続け、圧力が6.2kg/cm2に達した時点で加熱をやめ放冷した。
内容量100mLのステンレス製撹拌機付オートクレーブに、酢酸エチル30g、ヒドロキシエチルビニルエーテル(HEVE)8.8g、“VPS−1001”{マクロアゾ開始剤:和光純薬(株)製}0.88g、及び過酸化ラウロイル0.29gを仕込み、系内を脱気して窒素ガスで置換した。さらにヘキサフルオロプロピレン(HFP)15gを、オートクレーブ中に導入して70℃まで昇温した。オートクレーブ内の温度が70℃に達した時点の圧力は、9.0kg/cm2であった。オートクレーブ内を70℃に保持して9時間反応を続け、圧力が6.0kg/cm2に達した時点で加熱をやめ放冷した。
上記合成例1とほぼ同様にして、含フッ素ポリマー(P1)及び(P12)を合成した。得られた含フッ素ポリマーそれぞれの数平均分子量はP1:1.5万、P12:3.2万であった。
HFP:ヘキサフルオロプロピレン、
M1−(1):ペルフルオロメチルビニルエーテル、
HEVE:2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、
HBVE:4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、
EVE:エチルビニルエーテル、
FM−0721:「サイラプレーンFM−0721」{チッソ(株)製}
FM−0725:「サイラプレーンFM−0725」(同上)
VPS−0501:マクロアゾ開始剤“VPS−0501”{和光純薬工業(株)製}
ジエチルメチルアミン3.0gを2−ブタノン30mLに溶解し、攪拌しながらp−トルエンスルホン酸一水和物5.7gを少量ずつ添加した。さらに1時間攪拌した後溶媒を減圧留去し、得られた固体をアセトンから再結晶してp−トルエンスルホン酸のジエチルメチルアミン塩を得た。
[低屈折率層用塗布液(LLL−1〜LLL−31)の調製]
表5に示す各成分を混合し、メチルエチルケトン(MEK)及びメチルイソブチルケトン(MIBK)の混合溶液(混合比30:70)に溶解して固形分6%の低屈折率層用塗布液を作製した。
CY303:「サイメル303」、日本サイテックインダストリーズ(株)製、メチロール化メラミン。
MEK−STL:“MEK−STL”、日産化学工業(株)製、コロイダルシリカ、粒子サイズ45nm。
使用した硬化触媒の塩基のpKaと沸点を以下に示す。
塩基 pKa 沸点
b−23 10.5 64
b−19 10.7 88.5
b−3 5.7 115
“PET−30” 50.0g
「イルガキュア184」 2.0g
“SX−350”(30%) 1.5g
架橋アクリル−スチレン粒子(30%) 13.9g
“KBM−5103” 10.0g
トルエン 38.5g
“PET−30”:ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物{日本化薬(株)製}、
「イルガキュア184」:重合開始剤{チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製}、
“SX−350”:平均粒径3.5μm架橋ポリスチレン粒子{屈折率1.60、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用}。
架橋アクリル−スチレン粒子:平均粒径3.5μm{屈折率1.55、綜研化学(株)製、30%トルエン分散液。ポリトロン分散機にて10000rpmで20分分散後使用}(表4中には、Ac-Stと略記)。
“KBM−5103”:アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン{信越化学工業(株)製}。
各種内部散乱、表面散乱によるヘイズをもったフィルムを作製するため、上記HCL―1に含まれる透光性粒子の添加法を変化させた、HCL−2〜HCL−3を調製した。使用した各成分の種類及び使用量を表6に示す。
80μmの厚さのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士写真フイルム(株)製}をロール形態で巻き出して、直接、上記のハードコート層用塗布液(HCL−1)を、線数180本/in、深度40μmのグラビアパターンを有する直径50mmのマイクログラビアロールとドクターブレードを用いて、グラビアロール回転数30rpm、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、さらに窒素パージ下酸素濃度0.1体積%で160W/cmの「空冷メタルハライドランプ」{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照射強度400mW/cm2、照射エネルギー量110mJ/cm2の紫外線を照射して塗布層を硬化させ、厚さ6μmの層を形成し、巻き取った。このようにして作製して得られた試料1のハードコート層の表面粗さは、Ra=0.18μm、Rz=1.40μm、表面ヘイズは12%、内部ヘイズは29%で防眩性を有するものであった。
上記導電性ハードコートフィルム試料1に対し、用いたトリアセチルセルロースベースフィルムを実施例1−1ないし1−3で作成した導電性フィルムとしたり、ハードコート層用塗布液をHCL−2、3とすることにより、表7記載の各種導電性ハードコートフィルムを得た。
このようにして得られたハードコートフィルムあるいは導電性ハードコートフィルムの上に、上記低屈折率層用塗布液を用い、低屈折率層膜厚が95nmになるように調節して、導電性反射防止フィルムの各試料を作製した。反射防止フィルム試料101は、導電性ハードコートフィルム試料1を用い、低屈折率層の乾燥条件は120℃、10分とし、紫外線硬化条件は、酸素濃度が0.01体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら、240W/cmの「空冷メタルハライドランプ」{アイグラフィックス(株)製}を用いて、照射強度120mW/cm2、照射エネルギー量240mJ/cm2の照射量とした。
上記反射防止フィルム試料101の作製において、低屈折率層用塗布液およびハードコート層用塗布液を表7の組み合わせで用いることにより表7記載の反射防止フィルム102〜125を作製した。
得られた反射防止フィルムは、以下の鹸化標準条件で処理・乾燥した。
アルカリ浴:1.5mol/dm3水酸化ナトリウム水溶液、55℃−120秒。
第1水洗浴:水道水、60秒。
中和浴:0.05mol/dm3硫酸、30℃−20秒。
第2水洗浴:水道水、60秒。
乾燥:120℃、60秒。
このようにして得られた、鹸化済みのハードコートフィルムを用いて以下の評価を行った。
本文記載の方法により450〜650nmの平均反射率を用いた。偏光板に加工されている試料は、偏光板形態のものをそのまま用い、フィルムそのものや偏光板を使用しない形態の表示装置の場合には、反射防止フィルムの裏面を粗面化処理した後、黒色のインクで光吸収処理(380〜780nmにおける透過率が10%未満)を行い、黒色の台上にて測定した。
本文記載の方法により試験し、こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。
○ :非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
△ :弱い傷が見える。
× :一目見ただけで分かる傷がある。
本文記載の方法により付着試験を行い、それをクリーニングクロスで拭き取ったときの状態を観察して、以下のようにマジック付着性を評価した。
○:マジックの跡がわずかに見える。
△:マジックの跡が少し見える。
×:マジックの跡がほとんど拭き取れない。
本発明のフィルムをガラス板に張り付け、表面に塵埃(布団、衣服の繊維屑)を振りかけ、クリーニングクロスで塵埃を拭き取り、6回の拭取りで完全に取除ける場合に△、3回以内の拭き取りで塵埃が完全に取り除ける場合を○、6回の拭取りで取除けない場合に×として評価した。
<反射防止フィルム付き偏光板の作製>
延伸したポリビニルアルコールフィルムに、ヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。実施例1の鹸化処理済みの反射防止フィルムに、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、該反射防止フィルムの支持体(トリアセチルセルロース)側が偏光膜側となるように偏光膜の片側に貼り付けた。光学補償層を有する視野角拡大フィルム「ワイドビューフィルムSA12B」{富士写真フイルム(株)製}を鹸化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜のもう一方の側に貼り付けた。このようにして偏光板を作製した。この偏光板状態で実施例1に準じた評価を行った結果、本発明のフィルムを用いた偏光板を用いることにより同様の効果が得られた。
[実施例3]
実施例2で作製した本発明の偏光板を装着したTN、IPS、VA、OCBのモードの透過型液晶表示装置の視認性、耐擦傷性、防汚性、防塵性が優れていることが確認できた。
実施例1の反射防止フィルム試料及び実施例2の偏光板試料を、それぞれ有機EL表示装置の表面のガラス板に粘着剤を介して貼り合わせたところ、いずれもガラス表面での反射が抑えられ、防塵性や視認性の高い表示装置が得られた。
(2)ハードコート層
(3)中屈折率層
(4)高屈折率層
(5)低屈折率層
Claims (9)
- 銀塩含有層のパターン状露光と化学現像とによって、導電性金属部と導電性金属部がない可視光透過性部とのパターンが形成された導電層を透明支持体上に有し、該導電層の上に少なくとも1層の硬化性組成物の硬化層が直接設置されてなることを特徴とする透明導電性ハードコートフィルム。
- 導電層の導電性金属部分が、パターン状に形成された現像銀上にさらに導電性金属を担持させることによって形成されていることを特徴とする請求項1に記載の透明導電性ハードコートフィルム。
- 導電性金属の担持が、物理現像、無電海めっき及び電解めっきから選ばれる担持手段によって行なわれることを特徴とする請求項2に記載の透明導電性ハードコートフィルム。
- 導電層のパターンが、導電性金属部が1μmから40μmのメッシュ状の細線から形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電性ハードコートフィルム。
- 硬化層として表面粗さRa0.1μ以上である防眩層を有する導電性防眩フィルムであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の透明導電性ハードコートフィルム。
- 支持体からもっとも離れた側に、屈折率1.2以上1.5以下であり、膜厚50nm以上200nm以下の低屈折率層を有する反射防止フィルムであることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の導電性ハードコートフイルム。
- 低屈折率層中に粒子サイズ1nm以上100nm以下の無機酸化物粒子を含有することを特徴とする請求項6に記載の導電性ハードコートフィルム。
- 偏光板における偏光膜の2枚の保護フィルムのうちの一方に請求項1〜7のいずれかに記載の導電性ハードコートフィルムが用いられていることを特徴とする偏光板。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の導電性ハードコートフィルム、又は請求項8に記載の偏光板がディスプレイの最表面に用いられていることを特徴とする画像表示装置。
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