JP4991332B2 - 光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置 - Google Patents

光学フィルム、偏光板、及び画像表示装置 Download PDF

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Description

本発明は光学フィルム、特に反射防止フィルム、塗布組成物、偏光板及び画像表示装置に関する。
近年、ディスプレイ装置は家庭で使用され一般ユーザーの取り扱いに対してもタフネスが要求されるようになってきている。例えば液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)、陰極管表示装置(CRT)、SED(Surface−Conduction Electron−emitter Display)などのような様々な画像表示装置においては、その表面に用いられる光学フィルムには、高い物理強度(耐擦傷性など)、透明性、耐薬品性、耐候性(耐湿熱性、耐光性など)が要求される。また、外光の反射や像の映り込みによるコントラスト低下を防止するために、防眩性能や反射防止性能が要求されている。さらにまた、ディスプレイの視認性を低下させる塵埃(埃など)が、光学フィルムの表面に付着するのを防止する対策が要求される。
汚れ付着防止の観点から、光学フィルムの表面自由エネルギーを低下させることが有効であり、含フッ素防汚剤の使用が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
一方、塵埃付着防止の観点から、導電性粒子を含有する帯電防止層を設けることが知られている(例えば、特許文献2)。
導電性粒子の屈折率を低下させるという観点から、シリカ粒子の表面を酸化アンチモンで被覆した粒子が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
特開平9−127305号公報 特開2005−196122号公報 特開2005−119909号公報
しかし、特許文献1などに記載の含フッ素防汚剤は帯電しやすく、その使用量が増えると、塵埃が光学フィルム表面に付着しやすくなる。含フッ素防汚剤の使用量を制限しないで、十分な防汚性を付与することが望まれている。
また、特許文献2に記載の方法は、層を新たに設けることが必要であり、製造での時間的、経済的負荷が生じる。また、従来用いられている導電性粒子は、屈折率が1.6〜2.2程度のものが多く、該粒子を含有する帯電防止層の屈折率は高くなることがある。帯電防止層の屈折率が高い場合、光学フィルムにおいて、隣接層との屈折率の違いにより、意図せぬ干渉ムラや反射色の色味が強くなることがあり、これらの改善が望まれている。
特許文献3などの粒子に対しても防汚性の点で更なる改良が求められている。
従来、含フッ素防汚剤は、帯電しやすいため、使用量を増やすことができない、又は帯電防止層と組み合わせて使用される。含フッ素防汚剤と導電粒子とを導入(例えば、低屈折率層等)することができれば、簡易な層構成で防汚性と帯電防止性を両立できる。よって、本発明の課題は、防汚性、防塵性に優れる、光学フィルムを提供することにある。
本発明者らは、上記課題に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、本発明で規定される特定の構造を有する光学フィルムを見出し、予想外にも光学フィルムとして格別な性能を有することを見出し、本発明を完成した。
<1>
支持体上に、
粒子内部が多孔質または中空である導電性粒子とオルガノシランの加水分解物及び/又は縮合反応物の少なくともいずれか1種の硬化物とを含有する層を有し、
該層の上層に、パーフルオロポリエーテル基を含有する含フッ素シラン化合物を含有する防汚層を有する光学フィルムであって、
前記含フッ素シラン化合物が、下記一般式[3]または一般式[5]で表される化合物であり、
該光学フィルムのX線光電子分光法により測定した、膜表面のシリコン原子(Si2p)とフッ素原子(F1s)のピーク面積比(Si2p/F1s)が0.05以上0.15以下であり、
光学フィルムの表面抵抗をlog(SR)で表したときの値が7〜8.9である光学フィルム。
一般式[3]
Figure 0004991332

(式中、R f は炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基、Xはヨウ素原子または水素原子、Yは水素原子または低級アルキル基、Zはフッ素原子またはトリフルオロメチル基、R 1 は加水分解可能な基、R 2 は水素または不活性な一価の有機基、a、b、c、dは0〜200の整数、eは0または1、mおよびnは0〜2の整数、及びpは1〜10の整数を表す。)
一般式[5]
Rf 5 [−(L 5 −X−R 51 −Si(OR 52 3 ]
(式中、Rf 5 はパーフルオロポリエーテル基を、R 51 はアルキレン基を、R 52 はアルキル基を、L 5 は−CO−を、Xは−O−、−NR 53 −、−S−、−SO −、−SO NR 53 −、−NR 53 CO−から選ばれる基を、nは0又は1、mは2以下の自然数をそれぞれ表す。R 53 は水素原子又は炭素数3以下のアルキル基を表す。)
<2>
前記一般式[3]で表される含フッ素シラン化合物が、下記一般式[4]で表される化合物である<1>に記載の光学フィルム。
一般式[4]
Figure 0004991332

(式中、Yは水素原子または低級アルキル基、R 1 は加水分解可能な基、qは1〜50の整数を、mは0〜2の整数、pは2〜10の整数を表す。)
<3>
光学フィルムのX線光電子分光法により測定した、膜表面のシリコン原子(Si2p)とフッ素原子(F1s)のピーク面積比(Si2p/F1s)が0.05以上0.08以下である<1>または<2>に記載の光学フィルム。
<4>
前記導電性粒子を含有する層が低屈折率層であり、膜厚が130nm以上500nm以下である<1>〜<3>のいずれか一項に記載の光学フィルム。
<5>
前記含フッ素シラン化合物を含有する層に、更に下記一般式[7]で表される化合物を含有する<1>〜<4>のいずれか一項に記載の光学フィルム。
一般式[7]
71 −Si(OR 72 3
(式中、R 71 は炭素数10以上の長鎖炭化水素基を、R 72 はアルキル基を表す。)
<6>
動摩擦係数が0.02以上0.30以下である<1>〜<5>のいずれか一項に記載の光学フィルム。
<7>
水の接触角が95度以上である<1>〜<6>のいずれか一項に記載の光学フィルム。
<8>
<1>〜<7>のいずれか一項に記載の光学フィルムを有する偏光板。
<9>
<1>〜<7>のいずれか一項に記載の光学フィルムを有する画像表示装置。
なお、本発明は上記<1>〜<9>に関するものであるが、参考のためその他の事項(例えば下記(1)〜(20)に記載の事項など)についても記載した。
(1)
支持体上に、粒子内部が多孔質または中空である導電性粒子を含有する層を有する光学フィルムであって、該光学フィルムが含フッ素シラン化合物を含有する光学フィルム。
(2)
該導電性粒子を含有する層の上層に、含フッ素シラン化合物を含有する防汚層を有する(1)に記載の光学フィルム。
(3)
粒子内部が多孔質または中空である導電性粒子を含有する層に、オルガノシランの加水分解物及び/又は縮合反応物の少なくともいずれか1種の硬化物を含有する(1)又は(2)に記載の光学フィルム。
(4)
粒子内部が多孔質または中空である導電性粒子を含有する層が、含フッ素シラン化合物を含有し、かつ該層が最表面層である(1)または(3)に記載の光学フィルム。
(5)
前記含フッ素シラン化合物が、下記一般式[1]で表される化合物である(1)〜(4)に記載の光学フィルム。
一般式[1] (Rf−L1n−Si(R114-n
(式中、Rfは炭素数1〜20の直鎖、分岐、環状の含フッ素アルキル基、または炭素数6〜14の含フッ素芳香族基を表す。L1は炭素数10以下の2価の連結基を表し、R11はアルキル基、水酸基または加水分解可能な基を表す。nは1〜3の整数を表す。)
(6)
前記一般式[1]で表される含フッ素シラン化合物が下記一般式[2]で表される(5)に記載の光学フィルム。
一般式[2] Cn2n+1−(CH2m−Si(R)3
(式中、nは10以上の整数を表し、mは1〜5の整数を表す。Rは炭素数1〜5のアルコキシ基またはハロゲン原子を表す。)
(7)
前記含フッ素シラン化合物が、パーフルオロポリエーテル基を含有する(1)〜(4)に記載の光学フィルム。
(8)
前記含フッ素シラン化合物が、下記一般式[3]で表される化合物である(7)に記載の光学フィルム。
一般式[3]
Figure 0004991332
(式中、Rf は炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基、Xはヨウ素原子または水素原子、Yは水素原子または低級アルキル基、Zはフッ素原子またはトリフルオロメチル基、R1は加水分解可能な基、R2 は水素または不活性な一価の有機基、a、b、c、dは0〜200の整数、eは0または1、mおよびnは0〜2の整数、及びpは1〜10の整数を表す。)
(9)
前記一般式[3]で表される含フッ素シラン化合物が、下記一般式[4]で表される化合物である(8)に記載の光学フィルム。
一般式[4]
Figure 0004991332
(式中、Yは水素原子または低級アルキル基、R1は加水分解可能な基、qは1〜50の
整数を、mは0〜2の整数、pは2〜10の整数を表す。)
(10)
前記含フッ素シラン化合物が、下記一般式[5]で表される化合物である(1)〜(4)に記載の光学フィルム。
一般式[5]
Rf5[−(L5−X−R51 −Si(OR523 ]
(式中、Rf5はパーフルオロポリエーテル基を、R51 はアルキレン基を、R52はアルキル基を、L5は−CO−を、Xは−O−、−NR53−、−S−、−SO−、−SONR53−、−NR53CO−から選ばれる基を、nは0又は1、mは2以下の自然数をそれぞれ表す。R53は水素原子又は炭素数3以下のアルキル基を表す。)
(11)
前記含フッ素シラン化合物を含有する層に、更に下記一般式[7]で表される化合物を含有する(1)〜(10)に記載の光学フィルム。
一般式[7]
71 −Si(OR72 3
(式中、R71 は炭素数10以上の長鎖炭化水素基を、R72はアルキル基を表す。)
(12)
X線光電子分光法により測定した、膜表面のシリコン原子(Si2p)とフッ素原子(
F1s)のピーク面積比(Si2p/F1s)が0.0以上0.4以下である(1)〜(11)に記載の光学フィルム。
(13)
動摩擦係数が0.02以上0.30以下である(1)〜(12)に記載の光学フィルム。
(14)
水の接触角が95度以上である(1)〜(13)に記載の光学フィルム。
(15)
光学フィルムの表面抵抗をlog(SR)で表したときの値が12以下である(1)〜(14)に記載の光学フィルム。
(16)
前記導電性粒子を含有する層が低屈折率層であり、膜厚が130nm以上500nm以下である(1)〜(15)に記載の光学フィルム。
(17)
以下の(A)、(B)、(C)の各成分を含有する塗布組成物。
(A)粒子内部が多孔質または中空である導電性粒子。(B)オルガノシラン、及び/又はその加水分解物、及び/又はその縮合反応物の少なくともいずれか1種。
(C)含フッ素シラン化合物及び/又はその加水分解物、及び/又はその縮合反応物の少なくともいずれか1種。
(18)
前記(C)成分である含フッ素シラン化合物が、前記一般式[1]〜[5]のいずれかで表される(17)記載の塗布組成物。
(19)
(1)〜(16)のいずれかに記載の光学フィルムを有する偏光板。
(20)
(1)〜(16)のいずれかに記載の光学フィルムを有する画像表示装置。
本発明の光学フィルムは、防汚性・防塵性に優れ、特に防汚耐久性に優れる。また、本発明の光学フィルムは、耐擦傷性に優れ、塗布ムラが低減され、生産性の高い光学フィルムである。また、表面層に導電性を付与できる構成は、帯電防止剤の量が少なくても表面の導電性が改良され、コスト的にも有利である効果を有する。更に、本発明の光学フィルムは、粒子内部が多孔質または中空である導電性粒子を使用するために、反射率が低い。本発明の光学フィルムを用いた偏光板やディスプレイ装置は取り扱い性に優れ、外光や背景の映り込みが少なく、視認性が高い。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本明細書において、数値が物性値、特性値等を表す場合に、「(数値1)〜(数値2)」という記載は「(数値1)以上(数値2)以下」の意味を表す。また、本明細書において、「(メタ)アクリレート」との記載は、「アクリレート及びメタクリレートの少なくともいずれか」の意味を表す。「(メタ)アクリル酸」等も同様である。
本発明の光学フィルムは、粒子内部が多孔質または中空である導電性粒子と含フッ素シラン化合物を含有する光学フィルムである。好ましくは、該粒子を含有する層が、オルガノシランの加水分解物及び又は縮合反応物の少なくともいずれか1種の硬化物を含有する。該導電性粒子を含有する層は、光学フィルムにおいて、その機能に特に制限はなく、導電層、ハードコート層、防眩層、低屈折率層などの機能を有することができる。特に好ましくは低屈折率層であり、該導電粒子含有層自身及び/又は隣接する上層の防汚層に含フッ素オルガノシラン化合物を含有する態様が最も本発明の効果が大きい。本発明において、粒子内部が多孔質または中空である導電性粒子と含フッ素シラン化合物を併用することで、単に導電性と防汚性が付与できるだけでなく、防汚耐久性が改良できることは全く予想外であった。含フッ素シラン化合物のフィルム上での反応性や固定性に、粒子内部が多孔質または中空である導電性粒子が何らかの影響を与えている可能性があり、今後の解析で明らかとなろう。
以下に、本発明の構成成分について詳細に説明する。
<粒子内部が多孔質または中空である導電性粒子>
本発明に用いる粒子内部が多孔質または中空である導電性粒子について説明する。発明の導電性微粒子は、粒子内部が多孔質または中空であってかつ導電性を有する微粒子である限り、如何なる組成や構造の微粒子であってもよい。本発明の好ましい導電性微粒子は、高気孔率(高空隙率)の微粒子を核としてその外側に導電性物質のシェル層を設けたコア/シェル型複合微粒子と、酸、アルカリ又は有機溶剤可溶の微粒子を核としてその外側に導電性物質のシェル層を設けて複合微粒子を形成させた後、酸、アルカリ又は有機溶剤の処理を行なって核粒子を除去して内部空孔を形成させた内部空孔型中空微粒子とが挙げられる。
いずれにおいても、核粒子は導電性であっても、非導電性であってもかまわない。
前者、すなわちコア/シェル型複合微粒子の場合、核粒子としては、高気孔率微粒子でかつシェル付け可能である限り種類を問わないが、好ましい核粒子はシリカゲル、合成又は天然ゼオライト、カーボンブラック、フラーレン、多孔酸化チタンを挙げることができる。特にシリカゲルが好ましい。
後者、すなわち内部空包型中空微粒子の場合、製造過程に用いる核粒子としては、酸、アルカリ又は有機溶剤の処理によってシェル層を通して溶解・流失可能である限り種類を問わないが、好ましい核粒子は周期律表の2A,2B,3A及び5B族元素から選ばれる金属の金属酸化物微粒子であり、中でもZnO、Y、Sb微粒子が好ましい。
コア/シェル型複合微粒子の場合、シェル付けの方法としては、金属アルコキシドを用いるゾルゲル変換法、カップリング剤又はその加水分解物を介する金属超微粒子付加法、導電性物質のドーピング法などを挙げることができる。
例えば、特開平7−133105号や特開2001−233611号に記載の方法で製造したSiO粒子表面にこれらの金属のアルコキシドなどを用いてゾルゲル法により上記無機微粒子を直接形成してもよい。
また、内部空包型中空微粒子の場合、核粒子とシェル物質の組合せとしては、ZnO、Y、Sbなどの微粒子の表面をATO、ITO、SnOなどの超微粒子もしくはこれらの薄膜で被覆したのち、内部の微粒子を酸又はアルカリ水溶液で溶出させることにより中空の導電性無機微粒子を形成する方法を用いることができる。シリカ粒子の表面を酸化アンチモンで被覆した粒子については、特開2005−119909号公報に記載されている。
一方、Au、Ag、Cu、Sn、Al、Ni、Fe、Rhなどの金属やAl−Cu、Cu−Niなどの合金は、着色しているものの1.7以下の比較的低い屈折率を有し、かつ高い導電性を示すことが知られている。したがってこれらの金属(合金)超微粒子を導電性微粒子のシェルとして少量用いることでも実質的に高い透明性を有し、かつ低い屈折率の導電性微粒子が形成できる。
次に、本発明の中空の導電性微粒子の好ましい形態であるカップリング剤によるシェル付けによるコア/シェル型複合微粒子についてさらに説明する。
この導電性微粒子は、平均粒子径が2〜100nmである半導体微粒子又は絶縁体微粒子を核粒子としてその表面に、少なくとも1種のカップリング剤もしくはその加水分解物を介して、平均粒子径1〜20nmの金属超微粒子フィラーを結合させた複合微粒子である。本発明においては上記半導体微粒子又は絶縁体微粒子の核粒子は透明でかつ屈折率1.70以下の化合物が望ましい。かかる化合物としてはAl、SiOなどが挙げられる。カップリング剤は、分子中に反応基を2つ以上有し、その中の少なくとも一つが半導体又は絶縁体微粒子と結合し、残りの少なくとも一つが金属超微粒子と結合することにより、半導体又は絶縁体微粒子と金属超微粒子との橋かけを行なうものである。カップリング剤はその加水分解物が半導体又は絶縁体微粒子と金属超微粒子との橋かけを行なうものであってもよい。好ましいカップリング剤は下記一般式[A]で表わせる化合物である。
一般式〔A〕 M―(R)
一般式〔A〕において、MはSi又はAlを表わし、nはMの原子価に相当する整数を
表わす。Rは有機性基を表し、n個のRは同じでも異なっていてもよく、n個のRのうちの少なくとも2つは半導体微粒子、絶縁体微粒子又は金属超微粒子と反応性を有する基である。
Rで表わされる有機性基のうち、半導体微粒子、絶縁体微粒子又は金属超微粒子と反応性を有する基としては、例えば、(1)ビニル基、アリルオキシ基、アクリロキシ基、メタクリロキシ基、イソシアナト基、ホルミル基、エポキシ基、スチリル基、ウレイド基、ハロゲンなどの反応性基、又はこれらを末端に有するアルキル基、(2)末端に−SH、−CN、−NH、−SOOH、−SOOH、−OPO(OH)、−COOHなどの吸着性の基を有するアルキル基、(3)メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−プロポキシ基、t−ブトキシ基、n−ブトキシ基などアルコキシ基、及び(4)フェノキシ基が挙げられる。これらのアルキル基、アルコキシ基及びフェノキシ基としては、炭素数が8以下のものが望ましい。また、これらのアルキル基、アルコキシ基及びフェノキシ基はさらに置換基を有していてもよい。Rで表わされる残りの有機性基としては任意のものでよいが、好ましくは炭素数が8以下のものである。
以下にカップリング剤の具体例を列挙するが、これらの化合物に限定されるものではない。
N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノフェノキシジメチルビニルシラン、アミノフェニルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、ビス(トリメトキシシリルプロピル)アミン、(p−クロロメチル)フェニルトリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)トリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、(3−グリシドキシプロピル)−3−メルカプトプロピルジメトキシシラン、ビニルトリクロロシラン、テトラエトキシシラン、アミノフェニルアルミニウムジメトキシド、アルミニウムイソプロポキシドなど。
金属超微粒子は、20℃における比抵抗が20μΩ・cm以下(好ましくは10μΩ・cm以下、より好ましくは6μΩ・cm以下)である金属または合金(複合金属)からなるものであることが好ましい。一般的に、金属または合金の物性値は、バルクと粒子とでは異なることが知られているが、前記比抵抗の範囲は、金属または合金のバルクの値をいう。したがって、かかる物性値は「化学便覧(日本化学会編)」、「分析化学便覧(日本分析化学会編)」などの文献に記載されている。
上記条件を満足する金属としては、Au、Ag、Cu、Zn、Cd、Al、In、Tl、Sn、Co、Ni、Fe、Pd、Ir、Mo、Pt、Ru、Rh、Wなどが挙げられる。これらの中でもAu、Ag、Cu、Pt、Pd、Ni、RuおよびSnが比抵抗が小さくかつ酸化されにくいので好ましい。前記金属超微粒子が合金からなる場合、Au、Ag、Cu、Pt、Pd、Ni、RuおよびSnの少なくとも1種含有する合金を用いるのが好ましい。かかる合金としては、Cu−Zn、Cu−Sn、Al−Cu、Cu−Sn−P、Cu−Ni、Au−Ag−Cu、Au−Zn、Au−Ni、Ag−Cu−Zn、Ag−Cu−Zn−Sn、Sn−Pb、Ag−In、Cu−Ag−Ni、Ag−Pdなどが挙げ
られるが、これらに限定されるものではない。合金中の各金属の組成比については特に制限はなく、種々選択できる。また、金属および合金は不純物元素を含んでいてもよいが、その量は1%未満であるのが好ましい。不純物元素としては、Cr、Sb、Bi、Rhなどの金属、また金属以外にも、P、B、C、N、Sなどの非金属、Na、Kなどのアルカリ金属、およびMg、Caなどのアルカリ土類金属が挙げられる。これらの不純物元素は、1種もしくは2種以上含有されていてもよい。
コア/シェル型複合微粒子は、核粒子の質量当たり、金属超微粒子が少なくとも1/10倍質量結合していることが好ましく、1/5倍質量結合していることがさらに好ましい。
本発明において導電性微粒子は、屈折率が1.20〜2.00であることが好ましく、1.30〜1.80であることがさらに好ましく、1.30〜1.70であることが特に好ましく、1.35〜1.65であることが最も好ましい。
導電性微粒子の粉体抵抗は低いほどよく、好ましくは1×10Ω・cm以下、より好ましくは1×10Ω・cm以下、さらに好ましくは1×10Ω・cm以下、特に好ましくは1×10Ω・cm以下である。粉体抵抗は、例えば試料粉体を9.8MPa(100kg/cm)の圧力で成形して、圧粉体とし、その直流抵抗を測定して求めることができる。例えば、特開平6−92636に記載されている。
導電性微粒子の一次粒子の平均粒子径は可視光波長領域以下(すなわち400nm以下)であることが好ましいが、1〜200nmであることがより好ましく、さらに好ましくは1〜100nm、特に好ましくは1〜80nmである。粒子が内部空包型粒子の場合、粒子の外殻を形成するシエル部の厚みは、1〜100nmが好ましく、より好ましくは1〜50nm、最も好ましくは1〜20nmである。導電性微粒子の形状は、米粒状、球形状、立方体状、紡錘形状、棒状、不定形状又はそれらの混合形状のいずれであってもよい。ここでいう平均粒子径は、それぞれの微粒子の最大径の平均値で表し、例えば紡錘状などの場合、各微粒子の長軸径の平均値を平均粒子径とする。導電性微粒子の粒子径は、電子顕微鏡写真により少なくとも1000個の粒子について測定した平均粒子径によって定義される。
<本発明の導電性粒子を含有する層に用いるオルガノシラン化合物>
本発明に用いるオルガノシラン化合物について詳細に説明する。この化合物はそのまま、又は加水分解物、又は縮合物として本発明の導電性粒子を含有する層のバインダーとして用いることができる。一般式を以下に示す。
一般式(B):(R10m−Si(X)4-m
上記一般式(B)においてR10は、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表す。アルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ヘキシル基、t-ブチル基、sec-ブチル基、ヘキシル基、デシル基、ヘキサデ
シル基等が挙げられる。アルキル基として好ましくは炭素数1〜30、より好ましくは炭素数1〜16、特に好ましくは1〜6のものである。アリール基としてはフェニル基、ナフチル基等が挙げられ、好ましくはフェニル基である。
Xは、水酸基または加水分解可能な基を表す。加水分解可能な基としては、例えばアルコキシ基(炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。例えばメトキシ基、エトキシ基等が挙げられる)、ハロゲン原子(例えばCl、Br、I等)、およびR2COO基(R2は水素原子または炭素数1〜5のアルキル基が好ましい。例えばCH3COO基、C25COO基等が挙げられる)が挙げられ、好ましくはアルコキシ基であり、特に好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。
mは0〜3の整数を表す。R10もしくはXが複数存在するとき、複数のR10もしくはXはそれぞれ同じであっても異なっていても良い。mとして好ましくは0、1または2である。
10に含まれる置換基としては特に制限はないが、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子、臭素原子等)、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基(メチル基、エチル基、i-プロピル基、プロピル基、t-ブチル基等)、アリール基(フェニル基、ナフチル基等)、芳香族ヘテロ環基(フリル基、ピラゾリル基、ピリジル基等)、アルコキシ基(メトキシ基、エトキシ基、i-プロポキシ基、ヘキシルオキシ基等)、アリールオキシ基(フェノキシ基等)、アルキルチオ基(メチルチオ基、エチルチオ基等)、アリールチオ基(フェニルチオ基等)、アルケニル基(ビニル基、1-プロペニル基等)、アシルオキシ基(アセトキシ基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基等)、アルコキシカルボニル基(メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基等)、アリールオキシカルボニル基(フェノキシカルボニル基等)、カルバモイル基(カルバモイル基、N-メチルカルバモイル基、N,N-ジメチルカルバモイル基、N-メチル-N-オクチルカルバモイル基等)、アシルアミノ基(アセチルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、アクリルアミノ基、メタクリルアミノ基等)等が挙げられ、これら置換基は更に置換されていても良い。なお、本明細書においては、水素原子を置換するものが単一の原子であっても、便宜上置換基として取り扱う。
10が複数ある場合は、少なくとも一つが、置換アルキル基もしくは置換アリール基であることが好ましい。中でも該置換アルキル基もしくは置換アリール基がさらにビニル重合性基を有することが好ましい。
本発明において好ましい化合物は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン等のテトラアルコキシシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、ペンチルトリメトキシシラン、ペンチルトリエトキシシラン、ヘプチルトリメトキシシラン、ヘプチルトリエトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ドデシルトリメトキシシラン、ドデシルトリエトキシシラン、ヘキサデシルトリメトキシシラン、ヘキサデシルトリエトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリエトキシシラン等のトリアルコキシシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン等のジアルコキシシラン等が挙げられる。この中でも硬化組成物中での無機粒子の分散安定性、耐擦傷性の観点からテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、γ−アクリロキシプロピルトリメトキシシランが好ましい。
(オルガノシランの加水分解、縮合反応)
本発明においてオルガノシラン化合物は、あらかじめ加水分解又はそれらを部分縮合させて塗布組成物に用いることができる。オルガノシランの加水分解および縮合反応の少なくともいずれかの反応は、触媒の存在下で行われることが好ましい。触媒としては、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸類;シュウ酸、酢酸、ギ酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸等の有機酸類;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア等の無機塩基類;トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基類;トリイソプロポキシアルミニウム、テトラブトキシジルコニウム等の金属アルコキシド類等が挙げられるが、無機酸化物微粒子液の製造安定性や保存安定性の点から、本発明においては、酸触媒(無機酸類、有機酸類)及び金属キレート化合物の少なくともいずれかが用いられる。無機酸では塩酸、硫酸、硝酸、有機酸では、水中での酸解離定数(pKa値(25℃))が4.5以下のものが好ましい。有機酸の中では、メタンスルホン酸、シュウ酸、フタル酸、マロン酸が好ましく、シュウ酸が特に好ましい。
本発明において、オルガノシランの加水分解物の生成および縮合反応に用いる金属キレート化合物は、一般式R3OH(式中、R3は炭素数1〜10のアルキル基を示す。)で表されるアルコールと一般式R4COCH2COR5(式中、R4は炭素数1〜10のアルキル基を、R5は炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のアルコキシ基を示す。)で表される化合物とを配位子とした、Zr、TiおよびAlから選ばれる金属を中心金属とする少なくとも1種の金属キレート化合物が好ましい。
金属キレート化合物は、Zr、TiまたはAlから選ばれる金属を中心金属とするものであれば特に制限なく好適に用いることができる。この範疇であれば、2種以上の金属キレート化合物を併用しても良い。本発明に用いられる金属キレート化合物の具体例としては、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジ−n−ブトキシビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、n−ブトキシトリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(n−プロピルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウムなどのジルコニウムキレート化合物;ジイソプロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセテート)チタニウム、ジイソプロポキシ・ビス(アセチルアセトン)チタニウムなどのチタニウムキレート化合物;ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、ジイソプロポキシアセチルアセトナートアルミニウム、イソプロポキシビス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、イソプロポキシビス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム、トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、モノアセチルアセトナート・ビス(エチルアセトアセテート)アルミニウムなどのアルミニウムキレート化合物などが挙げられる。
これらの金属キレート化合物のうち好ましいものは、トリ−n−ブトキシエチルアセトアセテートジルコニウム、ジイソプロポキシビス(アセチルアセトナート)チタニウム、ジイソプロポキシエチルアセトアセテートアルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウムである。これらの金属キレート化合物は、1種単独であるいは2種以上混合して使用することができる。また、これらの金属キレート化合物の部分加水分解物を使用することもできる。
オルガノシランの加水分解および縮合反応は、無溶媒でも、溶媒中でも行うことができる。この反応により、本発明の硬化性組成物を製造することができる。溶媒を用いる場合はオルガノシランの加水分解物およびその部分縮合物の濃度を適宜に定めることができる。溶媒としては成分を均一に混合するために有機溶媒を用いることが好ましく、例えばアルコール類、芳香族炭化水素類、エーテル類、ケトン類、エステル類などが好適である。溶媒はオルガノシランと触媒を溶解させるものが好ましい。また、有機溶媒が塗布液あるいは塗布液の一部として用いられることが工程上好ましく、含フッ素ポリマーなどのその他の素材と混合した場合に、溶解性あるいは分散性を損なわないものが好ましい。
このうち、アルコール類としては、例えば1価アルコールまたは2価アルコールを挙げることができ、このうち1価アルコールとしては炭素数1〜8の飽和脂肪族アルコールが好ましい。これらのアルコール類の具体例としては、メタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、i−プロピルアルコール、n−ブチルアルコール、sec −ブチルアルコール、tert−ブチルアルコール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノブチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテルなどを挙げることができる。
また、芳香族炭化水素類の具体例としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどを、エーテル類の具体例としては、テトラヒドロフラン、ジオキサンなど、ケトン類の具体例としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトンなどを、エステル類の具体例としては、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、炭酸プロピレンなどを挙げることができる。これらの有機溶媒は、1種単独であるいは2種以上を混合して使用することもできる。該反応における溶媒に対する固形分の濃度は特に限定されるものではないが通常1質量%〜90質量%の範囲であり、好ましくは20質量%〜70質量%の範囲である。
加水分解および縮合反応は、通常、オルガノシランの加水分解性基1モルに対して0.3〜2モル、好ましくは0.5〜1モルの水を添加し、上記溶媒の存在下あるいは非存在下に、そして酸触媒の存在下に、25〜100℃で、撹拌することにより行われる。 加水分解性基がアルコキシ基で酸触媒が有機酸の場合には、有機酸のカルボキシル基やスルホ基がプロトンを供給するために、水の添加量を減らすことができ、オルガノシランのアルコキシ基等の加水分解性基1モルに対する水の添加量は、0〜2モル、好ましくは0〜1.5モル、より好ましくは、0〜1モル、特に好ましくは、0〜0.5モルである。アルコールを溶媒に用いた場合には、実質的に水を添加しない場合も好適である。
酸触媒の使用量は、酸触媒が無機酸の場合には加水分解性基に対して0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%であり、酸触媒が有機酸の場合には、水の添加量によって最適な使用量が異なるが、水を添加する場合には加水分解性基に対して0.01〜10モル%、好ましくは0.1〜5モル%であり、実質的に水を添加しない場合には、加水分解性基に対して1〜500モル%、好ましくは10〜200モル%であり、より好ましくは20〜200モル%であり、更に好ましくは50〜150モル%であり、特に好ましくは50〜120モル%である。 反応は25〜100℃で撹拌することにより行われるがオルガノシランの反応性により調節されることが好ましい。
(オルガノシランの加水分解物および縮合反応物の形状及び分子量)
本発明に用いられるオルガノシランの加水分解物および縮合反応物の形状は鎖状であっても3次元の網目構造であっても良い。また、これらの化合物の質量平均分子量は、エチレングリコール換算による質量平均分子量が300〜10000であることが好ましい。質量平均分子量が上記範囲にあると、硬化性組成物の塗工および保存安定性が良好であると共に、硬化膜の耐擦傷性を充分に確保でき、好ましい。エチレングリコール換算による質量平均分子量が300〜9000であることがさらに好ましく、300〜8000であることが特に好ましい。
前記質量平均分子量は、TSKgel GMHxL、TSKgel G4000HxL、TSKgel G2000HxL(何れも東ソー(株)製の商品名)のカラムを使用したGPC分析装置により、DMF、示差屈折計検出によるエチレングリコール換算で表した分子量である。
<本発明の光学フィルムの表面に含有される含フッ素オルガノシラン化合物>
以下に、本発明の光学フィルムの表面に含有される含フッ素オルガノシラン化合物について説明する。該化合物は、フッ素原子を含むオルガノシラン化合物である限り制限はないが、以下に示す一般式[1]〜[4]で表される化合物が好ましい。以下順次説明する。
一般式[1] (Rf−L1n−Si(R114-n
上記式中、Rfは炭素数1〜20の直鎖、分岐、環状の含フッ素アルキル基、または炭素数6〜14の含フッ素芳香族基を表す。Rfは更に別の置換基で置換されていても良い。Rfは、炭素数3〜14の直鎖、分岐、環状のフルオロアルキル基が好ましく、炭素数4〜14の直鎖のフルオロアルキル基が更に好ましい。L1は炭素数10以下の2価の連結基を表し、好ましくは炭素数1〜10のアルキレン基、更に好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基を表す。アルキレン基は、直鎖もしくは分岐の、置換もしくは無置換の、内部に連結基(例えば、エーテル、エステル、アミド)を有していてもよいアルキレン基である。アルキレン基は置換基を有していてもよく、その場合の好ましい置換基は、ハロゲン原子、水酸基、メルカプト基、カルボキシル基、エポキシ基、アルキル基、アリール基等が挙げられる。R11はアルキル基、水酸基または加水分解可能な基を表し、炭素数1〜5のアルコキシ基またはハロゲン原子が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、及び塩素原子が更に好ましい。Rf、L1、R11が複数存在するときはそれぞれは、同じでも異なっていても良い。nは1〜3の整数を表す。
一般式[1]で表される含フッ素シラン化合物の中でも、下記一般式[2]で表される含フッ素シラン化合物が好ましい。
一般式[2] Cn2n+1−(CH2m−Si(R)3
上記式中、nは10以上の整数、mは1〜5の整数を表す。Rは炭素数1〜5のアルコキシ基またはハロゲン原子を表す。nは10〜14が好ましく、mは1〜3が好ましく、Rはメトキシ基、エトキシ基、及び塩素原子が好ましい。一般式[2]で表される化合物を用いることで、防汚耐久性が向上する。特に、日常の清掃で用いられることのある弱アルカリ性の洗剤を含む布で擦られた後の防汚耐久性に優れる。これは、表面がフッ素原子で覆われ、かつ含フッ素化合物の固定性が高いことによりアルカリ性下で擦られても含フッ素化合物が脱落しないためと推定される。
以下に、一般式[1]または[2]で表される含フッ素シランカップリング剤の具体例を示すが、これに限定されるものではない。
Figure 0004991332
Figure 0004991332
Figure 0004991332
CHCHSi(OCA−41
17CHCHSi(CH)(OCH A−42
1021CHCHSi(OCHA−43
1021CHCHSi(OCA−44
1224CHCHSi(OCHA−45
1429CHCHSi(OCHA−46
これら具体例のなかで、(A−43)、(A−45)、(A−46)が好ましく、特に(A−43)が好ましい。これらの化合物は例えば特開平11−189599に記載の方法によって合成することができる。
また、本発明において防汚性に加えて表面の潤滑性を向上させる観点からは、パーフルオロポリエーテル基を含有する含フッ素シラン化合物が好ましい。該化合物について以下好ましい構造の化合物を順次説明する。
一般式[3]
Figure 0004991332
(式中、Rf は炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基、Xはヨウ素原子または水素原子、Yは水素原子または低級アルキル基、Zはフッ素原子またはトリフルオロメチル基、R1は加水分解可能な基、R2 は水素または不活性な一価の有機基、a、b、c、dは0〜200の整数、eは0または1、mおよびnは0〜2の整数、及びpは1〜10の整数を表す。)
一般式[3]中のRf は、通常、炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基であり、好ましくはCF3基、C25 基、C37基である。Yにおける低級アルキル基としては通常、炭素数1〜5のものが挙げられる。R1の加水分解可能な基として
は、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等のハロゲン原子、R3 O基、R3 COO基、(R42C=C(R3 )CO基、(R32 C=NO基、R5C=NO基、(R42 N基、及びR3 CONR4 基が好ましい。(ここで、R3はアルキル基等の通常は炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基またはフェニル基等の通常は炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、R4は水素原子またはアルキル基等の通常は炭素数1〜5の低級脂肪族炭化水素基、R5はアルキリデン基等の通常は炭素数3〜6の二価の脂肪族炭化水素基である。)さらに好ましくは、塩素原子、CH3O基、C25 O基である。R2 は水素原子または不活性な一価の有機基であり、好ましくは、アルキル基等の通常は炭素数1〜4の一価の炭化水素基である。a、b、c、dは0〜200の整数であり、好ましくは1〜50である。mおよびnは、0〜2の整数であり、好ましくは0である。pは1または2以上の整数であり、好ましくは1〜10の整数であり、さらに好ましくは1〜5の整数である。また、数平均分子量は5×102〜1×105が好ましく、更に好ましくは1×103〜1×104 である。
また、上記の一般式[3]で表される含フッ素シラン化合物の好ましい構造のものとして、Rf がC3 7 基であり、aが1〜50の整数であり、b、c及びdが0であり、eが1であり、Zがフッ素原子であり、nが0であり、pが2〜10である化合物、即ち下記の一般式[4]で表される化合物がある。
一般式[4]
Figure 0004991332
(式中、Y、m及びR1は前記と同じ意味を表し、qは1〜50の整数を表し、pは2〜10の整数を表す。)
本発明において、防汚耐久性、特にアルカリ洗剤で擦られた後の防汚耐久性向上のためには、pは2以上であることが好ましく、3以上であることが最も好ましい。含フッ素エーテル化合物がpが2以上の複数個の結合基でマトリックス本体と結合することで耐久性が向上すると推定される。
これらの含フッ素シラン化合物は、市販のパーフルオロポリエーテルをシラン処理することによって得ることができる。例えば、特開平1−294709号公報に開示のあるごとくである。
また、下記一般式で表されるパーフルオロポリエーテル基を有する化合物も防汚性に優れ好ましい。
一般式[5]
Rf5[−(L5−X−R51 −Si(OR523 ]
(式中、Rf5はパーフルオロポリエーテル基を、R51 はアルキレン基を、R52はアルキル基を、L5は−CO−を、Xは−O−、−NR53−、−S−、−SO−、−SONR53ー、−NR53CO−から選ばれる基を、nは0又は1、mは2以下の自然数をそれぞれ表す。R53は水素原子又は炭素数3以下のアルキル基を表す。)
一般式[5]中のパーフルオロポリエーテル基Rf5のうち、一価のものとしては、例えば下記一般式[51]、[52]あるいは[53]等が例示されるが、これら構造式に限定されることはない。また二価のものであってもよい。この場合にはRf5基の両末端にアルコキシシラン化合物が結合する。パーフルオロポリエーテル基の分子量はこれも特に限定はないが、安定性や取り扱い易さの観点からは数平均分子量で500〜10,000、さらに好ましくは500〜2,000のものが使用される。
一般式[51] F(CF2 CF2 CF2 O)j
一般式[52] CF3 (OCF(CF3 )CF2 m (OCF2 l
一般式[53] F(CF(CF3 )CF2 O)k
ここで上記一般式[51]、[52]あるいは[53]中のj、k、lおよびmは、1以上の自然数を表す。
好ましい化合物の具体例は、例えば特開平10−148701号公報に記載されている。
また、硬化の際の反応性が高いオルガノシラザン化合物として以下の一般式の化合物が挙げられる。
一般式[6]
[C2n+12mSi(CH]−NH
式中、nは4以上の整数であり、mは2又は3である。このようなジシラザン化合物として例えば以下のものが挙げられる。
〔C4 9 2 4 (CH3 2 Si〕2 NH
〔C4 9 3 6 (CH3 2 Si〕2 NH
〔C8 172 4 (CH3 2 Si〕2 NH
〔C8 173 6 (CH3 2 Si〕2 NH
〔C8 173 6 (CH3 )(C2 5 )Si〕2 NH
〔C10213 6 (CH3 2 Si〕2 NH
これらの化合物は単独又は混合して使用される。これらは、特開平10−26703に開示されている。
本発明において、用いるフッ素化合物としては、上記一般式[3]〜[5]で表されるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物が、単純なパーフルオロアルキル基を有する化合物よりも耐磨耗性や撥水性の点で好ましい。この理由は必ずしも明らかではないが、フッ素化合物基同士の相互作用が少なからずあること、あるいは極性基であるアルコキシシラン化合物基と下地の層との相互作用が変化すること等が考えられる。
また、高分子の含フッ素シラン化合物として、特開2000−191977号公報、特開2000−204319号公報、特開2000−328001号公報等に記載の化合物を用いることも塗布故障が少なく好ましい。
(含フッ素シラン化合物を光学フィルム上に配置せしめる方法)
本発明の含フッ素シラン化合物は、上述の本発明の導電性粒子とオルガノシラン化合物、加水分解物、又は縮合物とともに同一塗布組成物の中に含有させ塗膜を形成しても良いし、本発明の導電性粒子を含有する層の上に別層の防汚層として設けても良い。また、両方法を併用することもできる。同一塗布組成物に含有させる方法は、新たな防汚層を設ける必要がなく生産性が高い。また、新たな防汚層として設ける場合には、難溶性の含フッ素シラン化合物を用いても、専用の溶媒を用いたり、溶媒無しの真空蒸着などの方法で使用することができる。防汚耐久性を向上させる点では、防汚層に添加することが好ましい。
含フッ素シラン化合物は、本発明のオルガノシラン化合物とあらかじめ部分的に縮合させて使用することも塗布面状の安定性に優れ好ましい。また、含フッ素オルガノシラン化合物含有層に下記一般式[7]で表されるオルガノシラン化合物を併用することが防汚性耐久性の点で特に好ましい。
一般式[7]
71 −Si(OR72 3
(式中、R71 は炭素数10以上の長鎖炭化水素基を、R72はアルキル基を表す。長鎖炭化水素基R71 は、その構成炭素数が10以上のものが好まく、直鎖、分岐の別は問わない。また不飽和結合や、芳香環等の環状構造を含んでいても良い。しかしながら、好ましくは、炭素数12〜20の範囲で直鎖状のものが選ばれる。かかる分子設計により、一般式(7)のアルコキシシラノ基部分は反射防止層のSiO2 等との相互作用が得られるとともに、長鎖炭化水素基R71 部分の疏水性が大きくなり、疏水基同士の分子間相互作用すなわちファンデルワールス力が高まる。これを一般式[3]〜[5]で示されるパーフルオロポリエーテル基を有するアルコキシシラン化合物と併用することにより、これらの効果が相乗され、耐溶剤性、撥水性、耐磨耗性が大きく改良される。
含フッ素シラン化合物を防汚層に用いる場合には、含フッ素オルガノシラン化合物100質量部に対する、フッ素非含有オルガノシランの割合は1質量部以上150質量部以下が好ましく、更に好ましくは1質量部以上50質量部である。この範囲にすることで、防汚性と耐擦傷性が優れる。
本発明の光学フィルムは、粒子内部が多孔質または中空である導電性粒子を含有する層が、含フッ素シラン化合物を含有し、かつ該層が最表面層であることも好ましい。
<本発明の導電性粒子を含有する層の塗布組成物>
本発明の導電性粒子を含有する層は、該粒子と本発明のオルガノシラン化合物と場合により本発明の含フッ素シラン化合物を含有する塗布組成物を用いて成膜することが好ましい。具体的な成膜方法としては、スピン塗布、浸漬塗布、ロールコート塗布、グラビアコート塗布、カーテンフロー塗布、ダイコート塗布等が用いられる。
(導電性粒子の表面改質)
本発明の導電性粒子は、塗布液での安定性、塗布膜の導電性向上、塗膜強度向上の観点から、必要により表面処理を行うことができる。本発明においては、大別して、粒子表面と共有結合を形成する化合物で処理する方法と共有結合を形成しない化合物で処理する方法が挙げられる。
共有結合を形成しない化合物としては、特に限定するわけではないが、好ましくはHLB値が4以下または10以上のノニオン系界面活性剤、直鎖アルキル基を有するカチオン系界面活性剤、等が挙げられる。
また、塩基性の低分子アミンも塗膜の導電性が高く好ましい分散剤である。
粒子表面と共有結合を形成する化合物として、好ましくは、シランカップリング剤およびチタネートカップリング剤が含まれる。シランカップリング剤が最も好ましい。特にシランカップリング剤(オルガノシラン化合物)、その部分加水分解物、およびその縮合物の少なくとも一種で表面処理されていることが好ましい。
具体的化合物例については、前述の本発明のフッ素非含有又はフッ素含有オルガノシラン化合物を挙げることができる。本発明においては、特に(メタ)アクリロイル基、エポキシ基、オキセタニル基、フッ素置換アルキル基を有するオルガノシラン化合物が好ましい。シランカップリング剤の使用量に特に制限はないが、導電性粒子当たり1質量%〜300質量%が好ましく、更に好ましくは1質量%〜100質量%、最も好ましくは3質量%〜50質量%である。
オルガノシラン化合物の使用量が上記範囲であると、分散液の安定化効果が充分得られ、塗膜の強度上昇や、高い導電性が得られる。
(塗布組成物の溶媒)
以上説明した本発明に係る導電性粒子は、バインダーと必要により希釈溶媒と組み合わせてコーティング組成物となし、この組成物から光学フィルムの各層を形成することができる。コーティング組成物の溶媒に制限は無いが、少なくとも2種類の揮発性溶媒を含有することが好ましい。例えば、アルコールとその誘導体類、エーテル類、ケトン類、炭化水素類、エステル類、の中から選ばれる少なくとも2種を組み合わせて用いることが好ましい。バインダー成分の溶解度、無機微粒子の安定性、コーティング液の粘度調節などの観点から溶媒を選択することができる。本発明に用いられる溶媒の好ましい沸点は、50℃以上250℃以下が好ましく、更に好ましくは65℃以上200℃以下である。また、好ましい誘電率は20℃において、1以上50以下が好ましく、5以上30以下が更に好ましい。誘電率が10以上の溶媒を導電性微粒子に対して10質量%以上含むと分散安定性上好ましい。
以下に本発明に用いることのできる溶媒を挙げるが、これらに限定されるものではない。
・アルコールとその誘導体類(メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロピルアルコール、n−ブタノール、イソブタノール、第二ブタノール、第三ブタノール、n−アミルアルコール、イソアミルアルコール、第二アミルアルコール、3−ペンタノール、第三アミルアルコール、n−ヘキサノール、メチルアミルアルコール、2−エチルブタノール、n−ヘプタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタノール、n−オクタノール、2−オクタノール、2−エチルヘキサノール、3,5,5−トリメチルヘキサノール、ノナノール、ベンジルアルコール、エチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、エチレングリコールイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、エチレングリコールイソアミルエーテル、メトキシメトキシエタノール、メトキシプロパノール、ブトキシエタノール、エチレングリコールモノアセテート、エチレングリコールジアセテート、ジエチレングリコール、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、プロピレングリコール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル)
・エーテル類(イソプロピルエーテル、n−ブチルエーテル、ジイソアミルエーテル、メチルフェニルエーテル、エチルフェニルエーテル)
・ケトン類(アセトン、メチルアセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチル、メチルイソブチルケトン、メチル−n−アミルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジエチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、ジイソブチルケトン、アセトニルアセトン、ジアセトンアルコール、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン)
・炭化水素類(n−へキサン、イソへキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、イソオクタン、n−デカン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、アミルベンゼン)
・エステル類(ギ酸プロピル、ギ酸−n−ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸アミル、酢酸エチル、酢酸−n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸−n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸第二ブチル、酢酸−n−アミル、酢酸イソアミル、酢酸メチルイソアミル、酢酸メトキシブチル、酢酸第二へキシル、酢酸−2−エチルブチル、酢酸−2−エチルヘキシル、酢酸シクロへキシル、酢酸メチルシクロへキシル、酢酸ベンジル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸−n−ブチル、プロピオン酸イソアミル、酪酸メチル、酪酸エチル、酪酸−n−ブチル、酪酸イソアミル、オキシイソ酪酸エチル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、イソ吉草酸イソアミル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸−n−ブチル、乳酸イソブチル、乳酸−n−アミル、乳酸イソアミル、安息香酸メチル、シュウ酸ジエチル)
特に好ましい組み合わせはアルコールとその誘導体類、ケトン類、エステル類の中から少なくとも2種類、更に好ましくは3種類用いることである。好ましい例としては、例えば、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、酢酸ブチル、2−メトキシプロパノール、2−ブトキシエタノール、イソプロピルアルコール、メチルアルコール、エチルアルコールの中から2種又は3種を併用して用いることができる。
<防汚層の溶媒>
本発明の含フッ素シラン化合物は、本発明の導電性粒子を含有する層の上に設けることのできる防汚層に含有させることもできる。防汚層を塗布で形成する場合には、溶剤で希釈して行うことが該フッ素シラン化合物からなる層の厚みを制御する点で、また作業性の点で好ましい。該溶剤としては、例えばパーフルオロヘキサン、パーフルオロメチルシクロヘキサン、パーフルオロ−1、3−ジメチルシクロヘキサン等の通常は炭素数5〜12のパーフルオロ脂肪族炭化水素、ビス(トリフルオロメチル)ベンゼン等の多フッ素化芳香族炭化水素、多フッ素化脂肪族炭化水素等が挙げられる。塗布液中の該フッ素シラン化合物濃度は0.05〜0.5質量%が好ましい。
<塗膜の硬化方法>
本発明の導電性粒子を含有する層は、支持体上の塗布組成物を塗布した後、溶媒を蒸発させ硬化させることにより形成される。硬化の条件は使用するオルガノシラン化合物や触媒によって異なるが、通常20℃〜200℃の範囲が好ましく。更に好ましくは60℃〜140℃、最も好ましくは80℃〜110℃である。上記範囲にすることで、十分な硬化速度が得られ支持体に対してのダメージも少なくできる。硬化時間は特に制限はないが、例えば、60℃の場合通常1時間〜50時間、140℃の場合1分〜30分が好ましい。硬化触媒については、前述のオルガノシランの加水分解の触媒で述べた酸を用いることが好ましい。
防汚層の硬化条件も上記と同様である。防汚層は、隣接する下層を硬化させた後に塗布・硬化しても良いが、硬化無し又は部分硬化させた後に塗布・硬化することも含フッ素シラン化合物の固定性が向上して防汚性が改良され好ましい。
また、導電性粒子を含む層の下面に多官能アクリレートに代表されるラジカル重合性化合物が含有されている場合には、上記熱硬化の前、途中、又は後に電離放射線を照射することもできる。両層の界面結合が強化され、塗膜の耐擦傷性が向上する。下層に使用できる材料については後に1−(1)バインダーの頁で述べる。
<塗膜の組成・物性>
本発明の導電性粒子を含有する層において、導電性粒子の占める体積分率としては、15%以上90%以下が好ましく、更に好ましくは30%以上80%以下、最も好ましくは40%以上70%以下である。上記範囲にすることで導電性と耐擦傷性を好ましい範囲にすることができる。
また、該導電性粒子を含有する層において、導電性粒子以外の成分の内で、本発明のオルガノシラン化合物の加水分解物及び/又は縮合反応物が硬化した成分の体積分率は、5%以上100%以下が好ましく、更に好ましくは10%以上100%以下である。
本発明の含フッ素シラン化合物を、本発明の導電性粒子及び本発明のオルガノシラン化合物と同一層に使用する場合には、含フッ素シラン化合物は、該層の全固形分に対して、0.01質量%以上50質量%以下で使用するのが好ましく、更に好ましくは0.1質量%以上20質量%以下、最も好ましくは、0.2質量%以上10質量%以下である。
また、本発明の導電性粒子を含有する層には、更に別の無機微粒子を併用することもできる。例えば、後述の、導電性成分を含有しない多孔質又は中空の粒子を用いることで低屈折率化が計られ、また内部が稠密の汎用のシリカ粒子を併用することで塗膜の耐擦傷性を向上させることができる。具体的な材料については、後に<低屈折率粒子>の頁で述べる。
塗布組成物の組成は、膜の硬化後に上記組成となるように各成分を混合して用いることができる。塗布組成物の固形分濃度としては、1質量%以上10質量%が好ましく、更に好ましくは、1質量%以上5質量%以下である。
本発明の導電性粒子を含有する層の厚みは、特に制限はなく、ハードコート層に使用する場合には0.1μm以上50μm以下が好ましく、更に好ましくは1.0μm以上20μ以下である。低屈折率層に用いる場合には、30nm以上500nm以下が好ましく、更に好ましくは70nm以上500nmである。導電性を上げるという観点では低屈折率層の厚さは、130nm以上500nm以下が好ましく、最も好ましくは230nm以上330nm以下である。
本発明の導電粒子を使用する層の屈折率は、特に制限はなく、使用する層に要求される屈折率にすることができる。低屈折率層に使用する場合には、1.30以上1.48以下が好ましく、更に好ましくは1.35以上1.46以下、最も好ましくは1.35以上1.45以下である。屈折率をこの範囲にすることで、反射率の低下と導電性を両立することができる。
本発明の含フッ素シラン化合物を含有する防汚層を設けた場合には、該層の膜厚は0.5nm以上150nm以下が好ましく、更に好ましくは1.0nm以上10nm以下である。防汚層の直下の層がフッ素原子を含む化合物を含有する場合には、防汚層は必ずしも均一な層を形成せずとも本発明の目的である防汚性を付与できる場合もある。
(光学フィルムの表面の元素組成)
本発明の光学フィルムの表面の元素組成は、以下に述べるX線光電子分光法により測定した、表面のシリコン原子(Si2p)とフッ素原子(F1s)のピーク面積比(Si2p/F1s)が0.0以上0.4以下であることが好ましい。更に好ましくは、0.0以上0.3以下、最も好ましくは0.05以上0.15以下である。この比が小さい程、膜表面のシリコーン原子に対するフッ素原子の割合が大きく、表面自由エネルギーの低下が期待される。
本発明においては、上記ピーク面積比は、島津製作所(株)製“ESCA−3400”で(真空度1×10-5Pa、X線源;ターゲットMg、電圧12kV、電流20mA)で測定した最表面のSi2p及びF1sの光電子スペクトルの面積を用いて算出したものと定義する。
(光学フィルムの表面抵抗)
光学フィルムの表面抵抗は、10〜1012Ω/sqであることが好ましく、10〜1011Ω/sqであることがさらに好ましく、10〜1010Ω/sqであることが最も好ましい。帯電防止層の表面抵抗は、25℃60%RH下で四探針法により測定することができる。
(光学フィルムの接触角)
本発明のフィルムの接触角は純水に対して95度以上であることが好ましく。100度以上であることがさらに好ましく、105度以上であることが最も好ましい。例えば以下のように測定することができる。
接触角計[‘CA−V’型接触角計、協和界面科学(株)製]を用い、乾燥状態(25℃/60%RH)で、液体として純水を使用して2μlの液滴をフィルムの表面に作った。フィルムと液体とが接する点における、液体表面に対する接線とフィルム表面がなす角で、液体を含む側の角度を接触角とする。
(光学フィルムの表面自由エネルギー)
表面エネルギーは、「ぬれの基礎と応用」,リアライズ社,1989.12.10発行に記載のように接触角法、湿潤熱法、および吸着法により求めることができる。本発明のフィルムの場合、接触角法を用いることが好ましい。
具体的には、表面エネルギーが既知である2種の溶液を滴下し、液滴の表面とフィルム表面との交点において、液滴に引いた接線とフィルム表面のなす角で、液滴を含む方の角を接触角と定義し、計算によりフィルムの表面エネルギーを算出できる。
本発明のフィルムの表面自由エネルギー(γs:単位、mN/m)とはD.K.Owens:J.Appl.Polym.Sci.,13,1741(1969)を参考に、光学フィルム上で実験的に求めた純水H2Oとヨウ化メチレンCH2I2のそれぞれの接触角から求めたγsとγsの和で表される値γs(=γs+γs)で定義する表面張力を表す。このγsが小さく、低表面自由エネルギーであるほど表面のはじき性が高く、一般に防汚性に優れる。
接触角の測定はフィルムを25℃60%RHの条件下で、協和界面科学(株)製、自動接触角計CA−V型を用いて2μlの液滴をフィルム上に滴下してから30秒後に接触角を求めた。
本発明の光学フィルムの表面自由エネルギーは25mN/m以下であることが好ましく、更に好ましくは20mN/mである。
(光学フィルムの動摩擦係数)
表面滑り性の指標として動摩擦係数を用いることができる。本発明の光学フィルムは、0.02以上0.30以下が好ましく、更に好ましくは0.02以上0.25以下、最も好ましくは0.05以上0.20以下である。上記範囲にすることで防汚性と耐擦傷性を良好に保つことができる。
動摩擦係数は試料を25℃60%RHで24時間調湿した後、HEIDON−14動摩擦測定機により5mmφステンレス鋼球、荷重100g、速度60cm/minにて測定した値を用いた。
1.本発明の構成物
まず、本発明のフィルムに使用することのできる各種化合物について記載する。
1−(1)バインダー
本発明のフィルムは、熱及び/または電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成することができる。すなわち、バインダーとして電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。特に好ましくは下記の1分子内に2つ以上の(メタ)アクリロイル基を含有する化合物を用いることができる。
光重合性官能基を有する光重合性多官能モノマーの具体例としては、
ネオペンチルグリコールアクリレート、1,6−ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレングリコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート等の多価アルコールの(メタ)アクリル酸ジエステル類;
2,2−ビス{4−(アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル}プロパン、2−2−ビス{4−(アクリロキシ・ポリプロポキシ)フェニル}プロパン等のエチレンオキシドあるいはプロピレンオキシド付加物の(メタ)アクリル酸ジエステル類;
等を挙げることができる。
さらにはエポキシ(メタ)アクリレート類、ウレタン(メタ)アクリレート類、ポリエステル(メタ)アクリレート類も、光重合性多官能モノマーとして、好ましく用いられる。
中でも、多価アルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類が好ましい。さらに好ましくは、1分子中に3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する多官能モノマーが好ましい。具体的には、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、1,2,4−シクロヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタグリセロールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールトリアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールペンタアクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、(ジ)ペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールトリアクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサトリアクリレート等が挙げられる。本明細書において、「(メタ)アクリレート」、「(メタ)アクリル酸」、「(メタ)アクリロイル」は、それぞれ「アクリレートまたはメタクリレート」、「アクリル酸またはメタクリル酸」、「アクリロイルまたはメタクリロイル」を表す。
モノマーバインダーとしては、各層の屈折率を制御するために、屈折率の異なるモノマーを用いることが出来る。特に高屈折率モノマーの例としては、ビス(4−メタクリロイルチオフェニル)スルフィド、ビニルナフタレン、ビニルフェニルスルフィド、4−メタクリロキシフェニル−4’−メトキシフェニルチオエーテル等が含まれる。
また、例えば特開2005−76005号、同2005−36105号に記載されたデンドリマーや、例えば特開2005−60425号記載のようなノルボルネン環含有モノマーを用いることもできる。
多官能モノマーは、二種類以上を併用してもよい。
これらのエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
光重合性多官能モノマーの重合反応には、光重合開始剤を用いることが好ましい。光重合開始剤としては、光ラジカル重合開始剤と光カチオン重合開始剤が好ましく、特に好ましいのは光ラジカル重合開始剤である。
1−(2)ポリマ−バインダー
本発明にはバインダーとして、ポリマーあるいは架橋しているポリマーを用いることができる。架橋しているポリマーはアニオン性基を有するのが好ましい。架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有するポリマーの主鎖が架橋している構造を有する。
ポリマーの主鎖の例には、ポリオレフィン(飽和炭化水素)、ポリエーテル、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエステル、ポリアミン、ポリアミドおよびメラミン樹脂が含まれる。ポリオレフィン主鎖、ポリエーテル主鎖およびポリウレア主鎖が好ましく、ポリオレフィン主鎖およびポリエーテル主鎖がさらに好ましく、ポリオレフィン主鎖が最も好ましい。
ポリオレフィン主鎖は飽和炭化水素からなる。ポリオレフィン主鎖は、例えば、不飽和重合性基の付加重合反応により得られる。ポリエーテル主鎖は、エーテル結合(−O−)によって繰り返し単位が結合している。ポリエーテル主鎖は、例えば、エポキシ基の開環重合反応により得られる。ポリウレア主鎖は、ウレア結合(−NH−CO−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレア主鎖は、例えば、イソシアネート基とアミノ基との縮重合反応により得られる。ポリウレタン主鎖はウレタン結合(−NH−CO−O−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリウレタン主鎖は、例えば、イソシアネート基と、水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリエステル主鎖は、エステル結合(−CO−O−)によって繰り返し単位が結合している。ポリエステル主鎖は、例えば、カルボキシル基(酸ハライド基を含む)と水酸基(N−メチロール基を含む)との縮重合反応により得られる。ポリアミン主鎖はイミノ結合(−NH−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミン主鎖は、例えば、エチレンイミン基の開環重合反応により得られる。ポリアミド主鎖は、アミド結合(−NH−CO−)によって、繰り返し単位が結合している。ポリアミド主鎖は、例えば、イソシアネート基とカルボキシル基(酸ハライド基を含む)との反応により得られる。メラミン樹脂主鎖は、例えば、トリアジン基(例、メラミン)とアルデヒド(例、ホルムアルデヒド)との縮重合反応により得られる。なお、メラミン樹脂は、主鎖そのものが架橋構造を有する。
アニオン性基は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。アニオン性基は、連結基を介して側鎖として主鎖に結合させることが好ましい。
アニオン性基の例としては、カルボン酸基(カルボキシル)、スルホン酸基(スルホ)およびリン酸基(ホスホノ)などが挙げられ、スルホン酸基およびリン酸基が好ましい。
アニオン性基は塩の状態であってもよい。アニオン性基と塩を形成するカチオンは、アルカリ金属イオンであることが好ましい。また、アニオン性基のプロトンは解離していてもよい。
アニオン性基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。
架橋構造は二以上の主鎖を化学的に結合(好ましくは共有結合)するものであるが、三以上の主鎖を共有結合することが好ましい。架橋構造は、−CO−、−O−、−S−、窒素原子、リン原子、脂肪族残基、芳香族残基およびこれらの組み合わせから選ばれる二価以上の基からなることが好ましい。
架橋しているアニオン性基を有するポリマーは、アニオン性基を有する繰り返し単位と、架橋構造を有する繰り返し単位とを有するコポリマーであることが好ましい。コポリマー中のアニオン性基を有する繰り返し単位の割合は、2〜96質量%であることが好ましく、4〜94質量%であることがさらに好ましく、6〜92質量%であることが最も好ましい。繰り返し単位は、二以上のアニオン性基を有していてもよい。コポリマー中の架橋構造を有する繰り返し単位の割合は、4〜98質量%であることが好ましく、6〜96質量%であることがさらに好ましく、8〜94質量%であることが最も好ましい。
架橋しているアニオン性基を有するポリマーの繰り返し単位は、アニオン性基と架橋構造の双方を有していてもよい。また、その他の繰り返し単位(アニオン性基も架橋構造もない繰り返し単位)が含まれていてもよい。
その他の繰り返し単位としては、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位およびベンゼン環を有する繰り返し単位が好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基は、アニオン性基と同様に無機粒子の分散状態を維持する機能を有する。なお、アミノ基、四級アンモニウム基およびベンゼン環は、アニオン性基を有する繰り返し単位あるいは架橋構造を有する繰り返し単位に含まれていても同様の効果が得られる。
アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位では、アミノ基または四級アンモニウム基は、ポリマーの主鎖に直接結合させるか、あるいは連結基を介して主鎖に結合させる。アミノ基または四級アンモニウム基は、連結基を介して側鎖として、主鎖に結合させることが好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基は、二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることが好ましく、三級アミノ基または四級アンモニウム基であることがさらに好ましい。二級アミノ基、三級アミノ基または四級アンモニウム基の窒素原子に結合する基は、アルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜12のアルキル基であることが好ましく、炭素原子数が1〜6のアルキル基であることがさらに好ましい。四級アンモニウム基の対イオンは、ハライドイオンであることが好ましい。アミノ基または四級アンモニウム基とポリマーの主鎖とを結合する連結基は、−CO−、−NH−、−O−、アルキレン基、アリーレン基、およびこれらの組み合わせから選ばれる二価の基であることが好ましい。架橋しているアニオン性基を有するポリマーが、アミノ基または四級アンモニウム基を有する繰り返し単位を含む場合、その割合は0.06〜32質量%であることが好ましく、0.08〜30質量%であることがさらに好ましく、0.1〜28質量%であることが最も好ましい。
1−(3)オルガノシラン化合物
本発明のフィルムには、オルガノシラン化合物又は、該オルガノシラン化合物の加水分解物および/またはその部分縮合物等(以下、得られた反応溶液を「ゾル成分」とも称する)を含有させることが、耐擦傷性の点で好ましい。
これら化合物は、硬化性組成物を塗布後、乾燥、加熱工程で縮合して硬化物を形成することによりバインダーとして機能する。本発明の導電性粒子含有層に用いることのできる具体的化合物は、前記一般式(B)で表される化合物に代表される。
本発明においては、一般式(B)で表されるオルガノシラン化合物の使用量について説明する。
(A)無機微粒子の表面処理に使用する場合
特に制限はないが、無機酸化物微粒子当たり1質量%〜300質量%が好ましく、更に好ましくは3質量%〜100質量%、最も好ましくは5質量%〜50質量%である。無機酸化物の表面の水酸基基準の規定度濃度(Formol)当たりでは1〜300モル%が好ましく、更に好ましくは5〜300モル%、最も好ましくは10〜200モル%である。
オルガノシラン化合物の使用量が上記範囲であると、分散液の安定化効果が充分得られ、塗膜形成時に膜強度も上昇する。複数種のオルガノシラン化合物を併用することも好ましく、複数種の化合物を同時に添加することも、添加時間をずらして反応させることもできる。また、複数種の化合物を予め部分縮合物にしてから添加すると反応制御が容易であり好ましい。
(B)光学フィルムの構成層に使用する場合
光学フィルムの構成層の全固形分の0.1〜90質量%が好ましく、0.5〜30質量%がより好ましく、1〜20質量%が最も好ましい。
前記オルガノシラン化合物は硬化性組成物(防眩層用、低屈折率層用等の塗布液)に直接添加してもよいが、前記オルガノシラン化合物をあらかじめ触媒の存在下に処理して前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物を調製し、得られた反応溶液(ゾル液)を用いて前記硬化性組成物を調整するのが好ましく、本発明においてはまず前記オルガノシラン化合物の加水分解物および/または部分縮合物および金属キレート化合物を含有する組成物を調製し、これにβ−ジケトン化合物および/またはβ−ケトエステル化合物を添加した液を防眩層もしくは低屈折率層の少なくとも1層の塗布液に含有せしめて塗設することが好ましい。
1−(4)開始剤
各種のエチレン性不飽和基を有するモノマーの重合は、光ラジカル開始剤あるいは熱ラジカル開始剤の存在下、電離放射線の照射または加熱により行うことができる。
本発明のフィルムを作成するに当り、光開始剤あるいは熱開始剤を併用することができる。
<光開始剤>
光ラジカル重合開始剤としては、アセトフェノン類、ベンゾイン類、ベンゾフェノン類、ホスフィンオキシド類、ケタール類、アントラキノン類、チオキサントン類、アゾ化合物、過酸化物類(特開2001−139663号等)、2,3−ジアルキルジオン化合物類、ジスルフィド化合物類、フルオロアミン化合物類、芳香族スルホニウム類、ロフィンダイマー類、オニウム塩類、ボレート塩類、活性エステル類、活性ハロゲン類、無機錯体、クマリン類などが挙げられる。
アセトフェノン類の例には、2,2−ジメトキシアセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、1−ヒドロキシ−ジメチルフェニルケトン、1−ヒドロキシ−ジメチル−p−イソプロピルフェニルケトン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−4−メチルチオ−2−モルフォリノプロピオフェノン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタノン、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、が含まれる。
ベンゾイン類の例には、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール、ベンゾインベンゼンスルホン酸エステル、ベンゾイントルエンスルホン酸エステル、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテルおよびベンゾインイソプロピルエーテルが含まれる。ベンゾフェノン類の例には、ベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、2,4−ジクロロベンゾフェノン、4,4−ジクロロベンゾフェノンおよびp−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジメチルアミノベンゾフェノン(ミヒラーケトン)、3,3’、4、4’−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノンなどが含まれる。
ボレート塩としては、例えば、特許第2764769号、特開2002−116539号等の各公報、および、Kunz,Martin“Rad Tech’98.Proceeding April 19〜22頁,1998年,Chicago”等に記載される有機ホウ酸塩記載される化合物があげられる。例えば、前記特開2002−116539号明細書の段落番号[0022]〜[0027]記載の化合物が挙げられる。またその他の有機ホウ素化合物としては、特開平6−348011号公報、特開平7−128785号公報、特開平7−140589号公報、特開平7−306527号公報、特開平7−292014号公報等の有機ホウ素遷移金属配位錯体等が具体例として挙げられ、具体例にはカチオン性色素とのイオンコンプレックス類が挙げられる。
ホスフィンオキシド類の例には、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキシドが含まれる。
活性エステル類の例には1、2−オクタンジオン、1−[4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)]、スルホン酸エステル類、環状活性エステル化合物などが含まれる。
具体的には特開2000−80068記載の実施例記載化合物1〜21が特に好ましい。
オニウム塩類の例には、芳香族ジアゾニウム塩、芳香族ヨードニウム塩、芳香族スルホニウム塩が挙げられる。
活性ハロゲン類としては、具体的には、若林 等の“Bull Chem.Soc Japan“42巻、2924頁(1969年)、米国特許第3,905,815号明細書、特開平5−27830号、M.P.Hutt“Jurnal of Heterocyclic Chemistry”1巻(3号),(1970年)等に記載の化合物が挙げられ、特に、トリハロメチル基が置換したオキサゾール化合物:s−トリアジン化合物が挙げられる。より好適には、少なくとも一つのモノ、ジまたはトリハロゲン置換メチル基がs−トリアジン環に結合したs−トリアジン誘導体が挙げられる。具体的な例にはS−トリアジンやオキサチアゾール化合物が知られており、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(p−スチリルフェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−(3−Br−4−ジ(エチル酢酸エステル)アミノ)フェニル)−4,6−ビス(トリクロルメチル)−s−トリアジン、2−トリハロメチル−5−(p−メトキシフェニル)−1,3,4−オキサジアゾールが含まれる。具体的には特開昭58−15503のp14〜p30、特開昭55−77742のp6〜p10、特公昭60−27673のp287記載のNo.1〜No.8、特開昭60−239736のp443〜p444のNo.1〜No.17、US−4701399のNo.1〜19などの化合物が特に好ましい。
無機錯体の例にはビス(η−2,4−シクロペンタジエン−1−イル)−ビス(2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピロール−1−イル)−フェニル)チタニウムが挙げられる。
クマリン類の例には3−ケトクマリンが挙げられる。
これらの開始剤は単独でも混合して用いても良い。
「最新UV硬化技術」,(株)技術情報協会,1991年,p.159、及び、「紫外線硬化システム」 加藤清視著、平成元年、総合技術センター発行、p.65〜148にも種々の例が記載されており本発明に有用である。
市販の光ラジカル重合開始剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DETX−S,BP−100,BDMK,CTX,BMS,2−EAQ,ABQ,CPTX,EPD,ITX,QTX,BTC,MCAなど)、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製のイルガキュア(651,184,500,819,907,369,1173,1870,2959,4265,4263など)、サートマー社製のEsacure(KIP100F,KB1,EB3,BP,X33,KT046,KT37,KIP150,TZT)等およびそれらの組み合わせが好ましい例として挙げられる。
光重合開始剤は、多官能モノマー100質量部に対して、0.1〜15質量部の範囲で使用することが好ましく、より好ましくは1〜10質量部の範囲である。
<光増感剤>
光重合開始剤に加えて、光増感剤を用いてもよい。光増感剤の具体例として、n−ブチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−ブチルホスフィン、ミヒラーケトンおよびチオキサントン、などを挙げることができる。
更にアジド化合物、チオ尿素化合物、メルカプト化合物などの助剤を1種以上組み合わせて用いてもよい。
市販の光増感剤としては、日本化薬(株)製のKAYACURE(DMBI,EPA)などが挙げられる。
<熱開始剤>
熱ラジカル開始剤としては、有機あるいは無機過酸化物、有機アゾ及びジアゾ化合物等を用いることができる。
具体的には、有機過酸化物として過酸化ベンゾイル、過酸化ハロゲンベンゾイル、過酸化ラウロイル、過酸化アセチル、過酸化ジブチル、クメンヒドロぺルオキシド、ブチルヒドロぺルオキシド、無機過酸化物として、過酸化水素、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等、アゾ化合物として2,2‘−アゾビス(イソブチロニトリル)、2,2’−アゾビス(プロピオニトリル)、1,1‘−アゾビス(シクロヘキサンカルボニトリル)等、ジアゾ化合物としてジアゾアミノベンゼン、p−ニトロベンゼンジアゾニウム等が挙げられる。
本発明では上述した熱酸発生剤の他に光照射により酸を発生する化合物、すなわち感光性酸発生剤をさらに添加しても良い。該感光性酸発生剤は当該硬化性樹脂組成物の塗膜に感光性を付与し、例えば、光等の放射線を照射することによって当該塗膜を光硬化させることを可能にする物質である。この感光性酸発生剤としては、例えば、(1)ヨードニウム塩、スルホニウム塩、ホスホニウム塩、ジアゾニウム塩、アンモニウム塩、ピリジニウム塩等の各種オニウム塩;(2)β−ケトエステル、β−スルホニルスルホンとこれらのα−ジアゾ化合物等のスルホン化合物;(3)アルキルスルホン酸エステル、ハロアルキルスルホン酸エステル、アリールスルホン酸エステル、イミノスルホネート等のスルホン酸エステル類;(4)スルホンイミド化合物類;(5)ジアゾメタン化合物類;その他を挙げることができ、適宜使用することができる。
感光性酸発生剤は、単独で、又は2種以上を併用することができ、さらに前記熱酸発生剤と併用することもできる。感光性酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物中の含フッ素ポリマー100質量部に対して、好ましくは0〜20質量部、さらに好ましくは0.1〜10質量部である。感光性酸発生剤の割合が該上限値以下であれば、得られる硬化膜の強度が優れたものとなり、透明性も良好なので好ましい。
感光性酸発生剤の使用割合は、硬化性樹脂組成物100質量部に対して、好ましくは0.01〜10質量部、さらに好ましくは0.1〜5質量部である。
その他、具体的な化合物や使用法として、例えば特開2005―43876号記載の内容などを用いることができる。
1−(5)透光性粒子
本発明のフィルム、特に防眩層やハードコート層には、防眩性(表面散乱性)や内部散乱性を付与するため、各種の透光性粒子を用いることが出来る。
透光性粒子は有機粒子であっても、無機粒子であってもよい。粒径にばらつきがないほど、散乱特性にばらつきが少なくなり、ヘイズ値の設計が容易となる。透光性粒子としては、プラスチックビーズが好適であり、特に透明度が高く、バインダーとの屈折率差が前述のような数値になるものが好ましい。
有機粒子としては、ポリメチルメタクリレート粒子(屈折率1.49)、架橋ポリ(アクリル−スチレン)共重合体粒子(屈折率1.54)、メラミン樹脂粒子(屈折率1.57)、ポリカーボネート粒子(屈折率1.57)、ポリスチレン粒子(屈折率1.60)、架橋ポリスチレン粒子(屈折率1.61)、ポリ塩化ビニル粒子(屈折率1.60)、ベンゾグアナミン−メラミンホルムアルデヒド粒子(屈折率1.68)等が用いられる。
無機粒子としては、シリカ粒子(屈折率1.44)、アルミナ粒子(屈折率1.63)、ジルコニア粒子、チタニア粒子、また中空や細孔を有する無機粒子が挙げられる。
なかでも架橋ポリスチレン粒子、架橋ポリ((メタ)アクリレート)粒子、架橋ポリ(アクリル−スチレン)粒子が好ましく用いられ、これらの粒子の中から選ばれた各透光性粒子の屈折率にあわせてバインダーの屈折率を調整することにより、本発明の内部ヘイズ、表面ヘイズ、中心線平均粗さを達成することができる。
さらに、3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分としたバインダー(硬化後の屈折率が1.50〜1.53)とアクリル含率50〜100質量パーセントである架橋ポリ(メタ)アクリレート重合体からなる透光性粒子を組合せて用いることが好ましく、特にバインダーと架橋ポリ(スチレン−アクリル)共重合体からなる透光性粒子(屈折率が1.48〜1.54)との組合せが好ましい。
本発明におけるバインダー(透光性樹脂)と透光性粒子との屈折率は、1.45〜1.70であることが好ましく、より好ましくは1.48〜1.65である。屈折率を前記範囲とするには、バインダー及び透光性粒子の種類及び量割合を適宜選択すればよい。どのように選択するかは、予め実験的に容易に知ることができる。
また、本発明においては、バインダーと透光性粒子との屈折率の差(透光性粒子の屈折率−バインダーの屈折率)は、絶対値として好ましくは0.001〜0.030であり、より好ましくは0.001〜0.020、更に好ましくは0.001〜0.015である。この差が0.030を超えると、フィルム文字ボケ、暗室コントラストの低下、表面の白濁等の問題が生じる。
ここで、バインダーの屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。前記透光性粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
上記のような透光性粒子の場合には、バインダー中で透光性粒子が沈降し易いので、沈降防止のためにシリカ等の無機フィラーを添加してもよい。なお、無機フィラーは添加量が増す程、透光性粒子の沈降防止に有効であるが、塗膜の透明性に悪影響を与える。従って、好ましくは、粒径0.5μm以下の無機フィラーを、バインダーに対して塗膜の透明性を損なわない程度に、0.1質量%未満程度含有させるとよい。
透光性粒子の平均粒径は0.5〜20μmが好ましく、より好ましくは2.0〜15.0μmである。平均粒径が0.5μm以上であると、光の散乱角度分布が広角にまで広がることがないため、ディスプレイの文字ボケを引き起こさないので好ましい。一方、20μm以下であると、添加する層の膜厚を厚くする必要がないので、カールやコストの面から好ましい。
また、粒子径の異なる2種以上の透光性粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径の透光性粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径の透光性粒子で表面のザラツキ感を低減することが可能である。
前記透光性粒子は、添加層全固形分中に3〜30質量%含有されるように配合されることが画像ボケ、表面の白濁、ギラツキ等の観点から好ましい。より好ましくは5〜20質量%である。
また、透光性粒子の密度は、好ましくは10〜1000mg/m、より好ましくは100〜700mg/mである。
<透光性粒子調製、分級法>
本発明に係る透光性粒子の製造法は、懸濁重合法、乳化重合法、ソープフリー乳化重合法、分散重合法、シード重合法等を挙げることができ、いずれの方法で製造されてもよい。これらの製造法は、例えば「高分子合成の実験法」(大津隆行、木下雅悦共著、化学同人社)130頁及び146頁から147頁の記載、「合成高分子」1巻、p.246〜290、同3巻、p.1〜108等に記載の方法、及び特許第2543503号明細書、同第3508304号明細書、同第2746275号明細書、同第3521560号明細書、同第3580320号明細書、特開平10−1561号公報、特開平7−2908号公報、特開平5−297506号公報、特開2002−145919号公報等に記載の方法を参考にすることができる。
透光性粒子の粒度分布はヘイズ値と拡散性の制御、塗布面状の均質性から単分散性粒子が好ましい。例えば平均粒子径よりも20%以上粒子径が大きな粒子を粗大粒子と規定した場合、この粗大粒子の割合は全粒子数の1%以下であることが好ましく、より好ましくは0.1%以下であり、さらに好ましくは0.01%以下である。このような粒度分布を持つ粒子は、調製または合成反応後に、分級することも有力な手段であり、分級の回数を上げることやその程度を強くすることで、望ましい分布の粒子を得ることができる。
分級には風力分級法、遠心分級法、沈降分級法、濾過分級法、静電分級法等の方法を用いることが好ましい。
1−(6)無機粒子
本発明には硬度などの物理特性、反射率、散乱性などの光学特性などの向上のため、各種無機粒子を用いることができる。
無機粒子としては、珪素、ジルコニウム、チタン、アルミニウム、インジウム、亜鉛、錫、アンチモンのうちより選ばれる少なくとも一つ金属の酸化物、具体例としては、ZrO、TiO、Al、In、ZnO、SnO、Sb、ITO等が挙げられる。その他BaSO、CaCO、タルクおよびカオリンなどが含まれる。
本発明に使用する無機粒子の粒径は、分散媒体中でなるべく微細化されていることが好ましく、質量平均径は1〜200nmである。好ましくは5〜150nmであり、さらに好ましくは10〜100nm、特に好ましくは10〜80nmである。無機粒子を100nm以下に微細化することで透明性を損なわないフィルムを形成できる。無機粒子の粒子径は、光散乱法や電子顕微鏡写真により測定できる。
無機粒子の比表面積は、10〜400m/gであることが好ましく、20〜200m/gであることがさらに好ましく、30〜150m/gであることが最も好ましい。
本発明に使用する無機粒子は分散媒体中に分散物として使用する層の塗布液に添加することが好ましい。
無機粒子の分散媒体は、沸点が60〜170℃の液体を用いることが好ましい。分散媒体の例には、水、アルコール(例、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、ベンジルアルコール)、ケトン(例、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン)、エステル(例、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、蟻酸メチル、蟻酸エチル、蟻酸プロピル、蟻酸ブチル)、脂肪族炭化水素(例、ヘキサン、シクロヘキサン)、ハロゲン化炭化水素(例、メチレンクロライド、クロロホルム、四塩化炭素)、芳香族炭化水素(例、ベンゼン、トルエン、キシレン)、アミド(例、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、n−メチルピロリドン)、エーテル(例、ジエチルエーテル、ジオキサン、テトラハイドロフラン)、エーテルアルコール(例、1−メトキシ−2−プロパノール)が含まれる。トルエン、キシレン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンおよびブタノールが特に好ましい。
特に好ましい分散媒体は、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノンである。
無機粒子は、分散機を用いて分散する。分散機の例には、サンドグラインダーミル(例、ピン付きビーズミル)、高速インペラーミル、ペッブルミル、ローラーミル、アトライターおよびコロイドミルが含まれる。サンドグラインダーミルおよび高速インペラーミルが特に好ましい。また、予備分散処理を実施してもよい。予備分散処理に用いる分散機の例には、ボールミル、三本ロールミル、ニーダーおよびエクストルーダーが含まれる。
<高屈折率粒子>
本発明を構成する層を高屈折率化する目的に対しては、屈折率の高い無機粒子をモノマーと開始剤、有機置換されたケイ素化合物中に分散した組成物の硬化物が好ましく用いられる。
この場合の無機粒子としては、屈折率の観点から、特にZrO、TiO好ましくましく用いられる。ハードコート層の高屈折率化に対してはZrOが、高屈折率層、中屈折率層用の粒子としてはTiOの微粒子が最も好ましい。
上記TiOの粒子としては、コバルト、アルミニウム、ジルコニウムから選ばれる少なくとも1つの元素を含有するTiOを主成分とする無機粒子が特に好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
本発明におけるTiOを主成分とする粒子は、屈折率が1.90〜2.80であることが好ましく、2.10〜2.80であることがさらに好ましく、2.20〜2.80であることが最も好ましい。
TiOを主成分とする粒子の一次粒子の質量平均径は1〜200nmであることが好ましく、より好ましくは1〜150nm、さらに好ましくは1〜100nm、特に好ましくは1〜80nmである。
TiOを主成分とする粒子の結晶構造は、ルチル、ルチル/アナターゼの混晶、アナターゼ、アモルファス構造が主成分であることが好ましく、特にルチル構造が主成分であることが好ましい。主成分とは、粒子を構成する成分の中で最も含有量(質量%)が多い成分を意味する。
TiOを主成分とする粒子に、Co(コバルト)、Al(アルミニウム)及びZr(ジルコニウム)から選ばれる少なくとも1つの元素を含有することで、TiO2が有する光触媒活性を抑えることができ、本発明のフィルムの耐候性を改良することができる。
特に、好ましい元素はCo(コバルト)である。また、2種類以上を併用することも好ましい。
本発明のTiOを主成分とする無機粒子は、表面処理により特開2001−166104号公報記載のごとく、コア/シェル構造を有していても良い。
層中のモノマーや無機粒子の添加量は、バインダーの全質量の10〜90質量%であることが好ましく、20〜80質量%であると更に好ましい。無機粒子は層内で二種類以上用いても良い。
<低屈折率粒子>
低屈折率層に含有させる無機粒子は、低屈折率であることが望ましく、フッ化マグネシウムやシリカの微粒子が挙げられる。特に、屈折率、分散安定性、コストの点でシリカ微粒子が好ましい。
シリカ微粒子の平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、シリカ微粒子の粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上80nm以下、更に好ましくは、40nm以上60nm以下である。
シリカ微粒子の平均粒径を上記範囲にすることは、耐擦傷性の改良効果、低屈折率層表面の微細な凹凸、黒の締まりといった外観、積分反射率などの観点で好ましい。シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子でも、所定の粒径を満たすならば凝集粒子でも構わない。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
また、平均粒径が低屈折率層の厚みの25%未満であるシリカ微粒子(「小サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)の少なくとも1種を上記の粒径のシリカ微粒子(「大サイズ粒径のシリカ微粒子」と称す)と併用することが好ましい。
小サイズ粒径のシリカ微粒子は、大サイズ粒径のシリカ微粒子同士の隙間に存在することができるため、大サイズ粒径のシリカ微粒子の保持剤として寄与することができる。
小サイズ粒径のシリカ微粒子の平均粒径は、低屈折率層が100nmの場合、1nm以上20nm以下が好ましく、5nm以上15nm以下が更に好ましく、10nm以上15nm以下が特に好ましい。このようなシリカ微粒子を用いると、原料コストおよび保持剤効果の点で好ましい。
低屈折率粒子の塗設量は、1mg/m〜100mg/mが好ましく、より好ましくは5mg/m〜80mg/m、更に好ましくは10mg/m〜60mg/mである。上記範囲にすることは、耐擦傷性の改良効果、低屈折率層表面の微細な凹凸、黒の締まりといった外観、積分反射率などの観点で好ましい。
<中空シリカ粒子>
屈折率をより低下させる目的のためには、中空のシリカ微粒子を用いることが好ましい。
中空のシリカ微粒子は屈折率が1.15〜1.40が好ましく、更に好ましくは1.17〜1.35、最もに好ましくは1.17〜1.30である。ここでの屈折率は粒子全体として屈折率を表し、中空シリカ粒子を形成している外殻のシリカのみの屈折率を表すものではない。この時、粒子内の空腔の半径をa、粒子外殻の半径をbとすると、下記数式(VIII)で表される空隙率xは
(数式VIII)
x=(4πa/3)/(4πb/3)×100
好ましくは10〜60%、更に好ましくは20〜60%、最も好ましくは30〜60%である。中空のシリカ粒子をより低屈折率に、より空隙率を大きくしようとすると、外殻の厚みが薄くなり、粒子の強度としては弱くなるため、耐擦傷性の観点から1.15以上の粒子が好ましい。
中空シリカの製造方法は、例えば特開2001−233611や特開2002−79616に記載されている。特にシェルの内部に空洞を有している粒子で、そのシェルの細孔が閉塞されている粒子が特に好ましい。なお、これら中空シリカ粒子の屈折率は特開2002−79616に記載の方法で算出することができる。
中空シリカの塗設量は、1mg/m〜100mg/mが好ましく、より好ましくは5mg/m〜80mg/m、更に好ましくは10mg/m〜60mg/mである。上記範囲にすることは、耐擦傷性の改良効果、低屈折率層表面の微細な凹凸、黒の締まりといった外観、積分反射率などの観点で好ましい。
中空シリカの平均粒径は、低屈折率層の厚みの30%以上150%以下が好ましく、より好ましくは35%以上80%以下、更に好ましくは40%以上60%以下である。即ち、低屈折率層の厚みが100nmであれば、中空シリカの粒径は30nm以上150nm以下が好ましく、より好ましくは35nm以上100nm以下、更に好ましくは、40nm以上65nm以下である。
シリカ微粒子の粒径が小さすぎると、空腔部の割合が減り屈折率の低下が見込めず、大きすぎると低屈折率層表面に微細な凹凸ができ、黒の締まりといった外観、積分反射率が悪化する。シリカ微粒子は、結晶質でも、アモルファスのいずれでも良く、また単分散粒子が好ましい。形状は、球径が最も好ましいが、不定形であっても問題無い。
また、中空シリカは粒子平均粒子サイズの異なるものを2種以上併用して用いることができる。ここで、中空シリカの平均粒径は電子顕微鏡写真から求めることができる。
本発明において中空シリカの比表面積は、20〜300m/gが好ましく、更に好ましくは30〜120m/g、最も好ましくは40〜90m/gである。表面積は窒素を用いBET法で求めることが出来る。
本発明においては、中空シリカと併用して空腔のないシリカ粒子を用いることができる。空腔のないシリカの好ましい粒子サイズは、30nm以上150nm以下、更に好ましくは35nm以上100nm以下、最も好ましくは40nm以上80nm以下である。
1−(7)導電性粒子
本発明のフィルムには導電性を付与するために、各種の導電性粒子を用いることができる。使用できる粒子については、例えば特開2005−196122号公報等に記載されている。
1−(8)界面活性剤
本発明のフィルムには、特に塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状均一性を確保するために、フッ素系、シリコーン系の何れかの界面活性剤、あるいはその両者を光拡散層形成用の塗布組成物中に含有することが好ましい。特にフッ素系の界面活性剤は、より少ない添加量において、塗布ムラ、乾燥ムラ、点欠陥等の面状故障を改良する効果が現れるため、好ましく用いることができる。面状均一性を高めつつ、高速塗布適性を持たせることにより生産性を高めることができる。
フッ素系の界面活性剤の好ましい例としては、フルオロ脂肪族基含有共重合体(「フッ素系ポリマー」と略記することもある)が挙げられ、該フッ素系ポリマーは、下記(i)のモノマーに相当する繰り返し単位を含むことを特徴とする、あるいは下記(ii)のモノマーに相当する繰り返し単位を含むことを特徴とするアクリル樹脂、メタアクリル樹脂、及びこれらに共重合可能なビニル系モノマーとの共重合体が有用である。
(i)下記一般式イで表されるフルオロ脂肪族基含有モノマー
一般式イ
Figure 0004991332
一般式イにおいてR11は水素原子またはメチル基を表し、Xは酸素原子、イオウ原子または−N(R12)−を表し、mは1以上6以下の整数、nは2〜4の整数を表す。R12は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。Xは酸素原子が好ましい。
(ii)前記(i)と共重合可能な下記一般式ロで示されるモノマー
一般式ロ
Figure 0004991332
一般式ロにおいて、R13は水素原子またはメチル基を表し、Yは酸素原子、イオウ原子または−N(R15)−を表し、R15は水素原子または炭素数1〜4のアルキル基、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基を表し、好ましくは水素原子またはメチル基である。Yは酸素原子、−N(H)−、および−N(CH)−が好ましい。
14は置換基を有しても良い炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基を表す。R14のアルキル基の置換基としては、水酸基、アルキルカルボニル基、アリールカルボニル基、カルボキシル基、アルキルエーテル基、アリールエーテル基、フッ素原子、塩素原子、臭素原子などのハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基等があげられるがこの限りではない。炭素数4以上20以下の直鎖、分岐または環状のアルキル基としては、直鎖及び分岐してもよいブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、オクタデシル基、エイコサニル基等、また、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基等の単環シクロアルキル基及びビシクロヘプチル基、ビシクロデシル基、トリシクロウンデシル基、テトラシクロドデシル基、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロデシル基、等の多環シクロアルキル基が好適に用いられる。
本発明で用いられるフッ素系ポリマー中に用いられるこれらの一般式イで示されるフルオロ脂肪族基含有モノマーの量は、該フッ素系ポリマーの各単量体に基づいて10モル%以上であり、好ましくは15〜70モル%であり、より好ましくは20〜60モル%の範囲である。
本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい質量平均分子量は、3000〜100,000が好ましく、5,000〜80,000がより好ましい。
更に、本発明で用いられるフッ素系ポリマーの好ましい添加量は、塗布液に対して0.001〜5質量%の範囲であり、好ましくは0.005〜3質量%の範囲であり、更に好ましくは0.01〜1質量%の範囲である。フッ素系ポリマーの添加量が0.001質量%未満では効果が不十分であり、また5質量%より多くなると、塗膜の乾燥が十分に行われなくなったり、塗膜としての性能(例えば反射率、耐擦傷性)に悪影響を及ぼす。
1−(9)増粘剤
本発明のフィルムは、塗布液の粘度を調整するために増粘剤を用いてもよい。
ここでいう増粘剤とは、それを添加することにより液の粘度が増大するものを意味し、添加することにより塗布液の粘度が上昇する大きさとして好ましくは0.05〜50cP(0.05〜50mPa.s)であり、さらに好ましくは0.10〜20cP(0.1〜20mPa.s)であり、最も好ましくは0.10〜10cP(0.10〜10mPa.s)である。
このような増粘剤としては以下のものが挙げられるが、これに限定されない。
ポリ−ε−カプロラクトン
ポリ−ε−カプロラクトン ジオール
ポリ−ε−カプロラクトン トリオール
ポリビニルアセテート
ポリ(エチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン アジペート)
ポリ(1,4−ブチレン グルタレート)
ポリ(1,4−ブチレン スクシネート)
ポリ(1,4−ブチレン テレフタレート)
ポリ(エチレンテレフタレート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(2−メチル−1,3−プロピレン グルタレート)
ポリ(ネオペンチルグリコールアジペート)
ポリ(ネオペンチルグリコール セバケート)
ポリ(1,3−プロピレンアジペート)
ポリ(1,3−プロピレン グルタレート)
ポリビニルブチラール
ポリビニルホルマール
ポリビニルアセタール
ポリビニルプロパナール
ポリビニルヘキサナール
ポリビニルピロリドン
ポリアクリル酸エステル
ポリメタクリル酸エステル
セルロースアセテート
セルロースプロピオネート
セルロースアセテートブチレート
この他にも特開平8−325491号記載のスメクタイト、フッ素四珪素雲母、ベントナイト、シリカ、モンモリロナイト及びポリアクリル酸ソーダ、特開平10−219136エチルセルロース、ポリアクリル酸、有機粘土など、公知の粘度調整剤やチキソトロピー性付与剤を使用することが出来る。
1−(10)塗布溶剤
本発明の各層を形成するための塗布組成物に用いられる溶剤としては、各成分を溶解または分散可能であること、塗布工程、乾燥工程において均一な面状となり易いこと、液保存性が確保できること、適度な飽和蒸気圧を有すること、等の観点で選ばれる各種の溶剤が使用できる。
溶媒は2種類以上のものを混合して用いることができる。特に、乾燥負荷の観点から、常圧室温における沸点が100℃以下の溶剤を主成分とし、乾燥速度の調整のために沸点が100℃以上の溶剤を少量含有することが好ましい。
沸点が100℃以下の溶剤としては、例えば、ヘキサン(沸点68.7℃)、ヘプタン(98.4℃)、シクロヘキサン(80.7℃)、ベンゼン(80.1℃)などの炭化水素類、ジクロロメタン(39.8℃)、クロロホルム(61.2℃)、四塩化炭素(76.8℃)、1,2−ジクロロエタン(83.5℃)、トリクロロエチレン(87.2℃)などのハロゲン化炭化水素類、ジエチルエーテル(34.6℃)、ジイソプロピルエーテル(68.5℃)、ジプロピルエーテル (90.5℃)、テトラヒドロフラン(66℃)などのエーテル類、ギ酸エチル(54.2℃)、酢酸メチル(57.8℃)、酢酸エチル(77.1℃)、酢酸イソプロピル(89℃)などのエステル類、アセトン(56.1℃)、2−ブタノン(メチルエチルケトンと同じ、79.6℃)などのケトン類、メタノール(64.5℃)、エタノール(78.3℃)、2−プロパノール(82.4℃)、1−プロパノール(97.2℃)などのアルコール類、アセトニトリル(81.6℃)、プロピオニトリル(97.4℃)などのシアノ化合物類、二硫化炭素(46.2℃)などがある。このうちケトン類、エステル類が好ましく、特に好ましくはケトン類である。ケトン類の中では2−ブタノンが特に好ましい。
沸点が100℃を以上の溶剤としては、例えば、オクタン(125.7℃)、トルエン(110.6℃)、キシレン(138℃)、テトラクロロエチレン(121.2℃)、クロロベンゼン(131.7℃)、ジオキサン(101.3℃)、ジブチルエーテル(142.4℃)、酢酸イソブチル(118℃)、シクロヘキサノン(155.7℃)、2−メチル−4−ペンタノン(MIBKと同じ、115.9℃)、1−ブタノール(117.7℃)、N,N−ジメチルホルムアミド(153℃)、N,N−ジメチルアセトアミド(166℃)、ジメチルスルホキシド(189℃)などがある。好ましくは、シクロヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノンである。
1−(11)その他
本発明のフィルムには、前記の成分以外に、樹脂、カップリング剤、着色防止剤、着色剤(顔料、染料)、消泡剤、レベリング剤、難燃剤、紫外線吸収剤、赤外線吸収剤、接着付与剤、重合禁止剤、酸化防止剤、表面改質剤などを添加することもできる。
1−(12)支持体
本発明のフィルムの支持体としては、透明樹脂フィルム、透明樹脂板、透明樹脂シートや透明ガラスなど、特に限定は無い。透明樹脂フィルムとしては、セルロースアシレートフィルム(例えば、セルローストリアセテートフィルム(屈折率1.48)、セルロースジアセテートフィルム、セルロースアセテートブチレートフィルム、セルロースアセテートプロピオネートフィルム)、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリエーテルスルホンフィルム、ポリアクリル系樹脂フィルム、ポリウレタン系樹脂フィルム、ポリエステルフィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリスルホンフィルム、ポリエーテルフィルム、ポリメチルペンテンフィルム、ポリエーテルケトンフィルム、(メタ)アクリルニトリルフィルム等が使用できる。
<セルロースアシレートフィルム>
その中でも、透明性が高く、光学的に複屈折が少なく、製造が容易であり、偏光板の保護フィルムとして一般に用いられているセルロースアシレートフィルムが好ましく、セルローストリアセテートフィルムが特に好ましい。又、透明支持体の厚さは通常25μm〜1000μm程度とする。
本発明ではセルロースアシレートフィルムに、酢化度が59.0〜61.5%であるセルロースアセテートを使用することが好ましい。
酢化度とは、セルロース単位質量当たりの結合酢酸量を意味する。酢化度は、ASTM:D−817−91(セルロースアセテート等の試験法)におけるアセチル化度の測定および計算に従う。
セルロースアシレートの粘度平均重合度(DP)は、250以上であることが好ましく、290以上であることがさらに好ましい。
また、本発明に使用するセルロースアシレートは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるMw/Mn(Mwは質量平均分子量、Mnは数平均分子量)の値が1.0に近いこと、換言すれば分子量分布が狭いことが好ましい。具体的なMw/Mnの値としては、1.0〜1.7であることが好ましく、1.3〜1.65であることがさらに好ましく、1.4〜1.6であることが最も好ましい。
一般に、セルロースアシレートの2,3,6位の水酸基は全体の置換度の1/3づつに均等に分配されるわけではなく、6位水酸基の置換度が小さくなる傾向がある。本発明ではセルロースアシレートの6位水酸基の置換度が、2,3位に比べて多いほうが好ましい。
全体の置換度に対して6位の水酸基が32%以上アシル基で置換されていることが好ましく、更には33%以上、特に34%以上であることが好ましい。さらにセルロースアシレートの6位アシル基の置換度が0.88以上であることが好ましい。6位水酸基は、アセチル基以外に炭素数3以上のアシル基であるプロピオニル基、ブチロイル基、バレロイル基、ベンゾイル基、アクリロイル基などで置換されていてもよい。各位置の置換度の測定は、NMRによって求めることができる。
本発明ではセルロースアシレートとして、特開平11−5851号公報の段落「0043」〜「0044」[実施例][合成例1]、段落「0048」〜「0049」[合成例2]、段落「0051」〜「0052」[合成例3]に記載の方法で得られたセルロースアセテートを用いることができる。
<ポリエチレンテレフタレートフィルム>
本発明では、ポリエチレンテレフタレートフィルムも、透明性、機械的強度、平面性、耐薬品性および耐湿性共に優れており、その上安価であり好ましく用いられる。
透明プラスチックフィルムとその上に設けられるハードコート層との密着強度をより向上させるため、透明プラスチックフィルムは易接着処理が施されたされたものであることが更に好ましい。
市販されている光学用易接着層付きPETフィルムとしては東洋紡績社製コスモシャインA4100、A4300等が挙げられる。
2.フィルムを構成する層
本発明のフィルムは、上記の各種化合物を混合、塗設することによって得られるものであるが、次に、本発明のフィルムを構成する層について記載する。
2−(1)防眩層
防眩層は、表面散乱による防眩性と、好ましくはフィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で形成される。
防眩性を形成する方法としては、特開平6−16851号記載のような表面に微細な凹凸を有するマット状の賦型フィルムをラミネートして形成する方法、特開2000−206317号記載のように電離放射線照射量の差による電離放射線硬化型樹脂の硬化収縮により形成する方法、特開2000−338310号記載のように乾燥にて透光性樹脂に対する良溶媒の質量比が減少することにより透光性微粒子および透光性樹脂とをゲル化させつつ固化させて塗膜表面に凹凸を形成する方法、特開2000−275404号記載のように外部からの圧力により表面凹凸を付与する方法などが知られており、これら公知の方法を利用することができる。
本発明で用いることができる防眩層は好ましくはハードコート性を付与することのできるバインダー、防眩性を付与するための透光性粒子、および溶媒を必須成分として含有し、透光性粒子自体の突起あるいは複数の粒子の集合体で形成される突起によって表面の凹凸を形成されるものであることが好ましい。
マット粒子の分散によって形成される防眩層は、バインダーとバインダー中に分散された透光性粒子とからなる。防眩性を有する防眩層は、防眩性とハードコート性を兼ね備えていることが好ましい。
上記マット粒子の具体例としては、例えばシリカ粒子、TiO粒子等の無機化合物の粒子;アクリル粒子、架橋アクリル粒子、ポリスチレン粒子、架橋スチレン粒子、メラミン樹脂粒子、ベンゾグアナミン樹脂粒子等の樹脂粒子が好ましく挙げられる。なかでも架橋スチレン粒子、架橋アクリル粒子、シリカ粒子が好ましい。
マット粒子の形状は、球形あるいは不定形のいずれも使用できる。
マット粒子の粒度分布はコールターカウンター法により測定し、測定された分布を粒子数分布に換算する。
これらの粒子の中から選ばれた各透光性粒子の屈折率にあわせて透光性樹脂の屈折率を調整することにより、本発明の内部ヘイズ、表面ヘイズを達成することができる。具体的には、後述する本発明の防眩層に好ましく用いられる3官能以上の(メタ)アクリレートモノマーを主成分としてなる透光性樹脂(硬化後の屈折率が1.55〜1.70)と、スチレン含率50〜100質量%である架橋ポリ(メタ)アクリレート重合体からなる透光性粒子および/またはベンゾグアナミン粒子との組合せが好ましく、特に前記透光性樹脂とスチレン含率50〜100質量%である架橋ポリ(スチレン−アクリレート)共重合体からなる透光性粒子(屈折率が1.54〜1.59)との組合せが特に好ましい。
透光性粒子は、形成された防眩層中に、防眩層全固形分中に3〜30質量%含有されるように配合されることが防眩性、画像ボケ、表面の白濁、ギラツキ等の観点から好ましい。より好ましくは5〜20質量%である。3質量%未満であると、防眩性が不足し、30質量%を超えると、画像ボケや表面の白濁やギラツキ等の問題が生じる。
また、透光性粒子の密度は、好ましくは10〜1000mg/m2、より好ましくは1
00〜700mg/m2である。
また、透光性樹脂の屈折率と透光性粒子の屈折率の差の絶対値が0.04以下が好ましい。透光性樹脂の屈折率と透光性粒子の屈折率の差の絶対値は好ましくは0.001〜0.030であり、より好ましくは0.001〜0.020、更に好ましくは0.001〜0.015である。この差が0.040を超えると、フィルム文字ボケ、暗室コントラストの低下、表面の白濁等の問題が生じる。
ここで、前記透光性樹脂の屈折率は、アッベ屈折計で直接測定するか、分光反射スペクトルや分光エリプソメトリーを測定するなどして定量評価できる。前記透光性粒子の屈折率は、屈折率の異なる2種類の溶媒の混合比を変化させて屈折率を変化させた溶媒中に透光性粒子を等量分散して濁度を測定し、濁度が極小になった時の溶媒の屈折率をアッベ屈折計で測定することで測定される。
また、粒子径の異なる2種以上のマット粒子を併用して用いてもよい。より大きな粒子径のマット粒子で防眩性を付与し、より小さな粒子径のマット粒子で別の光学特性を付与することが可能である。例えば、133ppi以上の高精細ディスプレイに防眩性反射防止フィルムを貼り付けた場合に、「ギラツキ」と呼ばれる表示画像品位上の不具合が発生する場合がある。「ギラツキ」は、防眩性反射防止防止フィルム表面に存在する凹凸により、画素が拡大もしくは縮小され、輝度の均一性を失うことに由来するが、防眩性を付与するマット粒子よりも小さな粒子径で、バインダーの屈折率と異なるマット粒子を併用することにより大きく改善することができる。
防眩層の膜厚は、1〜10μmが好ましく、1.2〜8μmがより好ましい。薄すぎるとハード性が不足し、厚すぎるとカールや脆性が悪化して加工適性が低下する場合があるので、前記範囲内とするのが好ましい。
一方、防眩層の中心線平均粗さ(Ra)を0.10〜0.40μmの範囲が好ましい。0.40μmを超えると、ギラツキや外光が反射した際の表面の白化等の問題が発生する。また、透過画像鮮明度の値は、5〜60%とするのが好ましい。
防眩層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
2−(2)ハードコート層
本発明のフィルムには、フィルムの物理的強度を付与するために、防眩層に加えてハードコート層を設けることができる。
好ましくは、その上に低屈折率層が設けられ、更に好ましくはハードコート層と低屈折率層の間に中屈折率層、高屈折率層が設けられ、反射防止フィルムを構成する。
ハードコート層は、二層以上の積層から構成されてもよい。
本発明におけるハードコート層の屈折率は、反射防止性のフィルムを得るための光学設計から、屈折率が1.48〜2.00の範囲にあることが好ましく、より好ましくは1.52〜1.90であり、更に好ましくは1.55〜1.80である。本発明では、ハードコート層の上に低屈折率層が少なくとも1層あるので、屈折率がこの範囲より小さ過ぎると反射防止性が低下し、大き過ぎると反射光の色味が強くなる傾向がある。
ハードコート層の膜厚は、フィルムに充分な耐久性、耐衝撃性を付与する観点から、ハードコート層の厚さは通常0.5μm〜50μm程度とし、好ましくは1μm〜20μm、さらに好ましくは2μm〜10μm、最も好ましくは3μm〜7μmである。
また、ハードコート層の強度は、鉛筆硬度試験で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
さらに、JIS K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量が少ないほど好ましい。
ハードコート層は、電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成されることが好ましい。例えば、電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーを含む塗布組成物を透明支持体上に塗布し、多官能モノマーや多官能オリゴマーを架橋反応、又は、重合反応させることにより形成することができる。
電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーの官能基としては、光、電子線、放射線重合性のものが好ましく、中でも光重合性官能基が好ましい。
光重合性官能基としては、(メタ)アクリロイル基、ビニル基、スチリル基、アリル基等の不飽和の重合性官能基等が挙げられ、中でも、(メタ)アクリロイル基が好ましい。
ハードコート層には、内部散乱性付与の目的で、平均粒径が1.0〜10.0μm、好ましくは1.5〜7.0μmのマット粒子、例えば無機化合物の粒子または樹脂粒子を含有してもよい。
ハードコート層のバインダーには、ハードコート層の屈折率を制御する目的で、高屈折率モノマーまたは無機粒子、或いは両者を加えることができる。無機粒子には屈折率を制御する効果に加えて、架橋反応による硬化収縮を抑える効果もある。本発明では、ハードコート層形成後において、前記多官能モノマーおよび/又は高屈折率モノマー等が重合して生成した重合体、その中に分散された無機粒子を含んでバインダーと称する。
画像の鮮明性を維持する目的では、表面の凹凸形状を調整することに加えて、透過画像鮮明度を調整することが好ましい。クリアな反射防止フィルムの透過画像鮮明度は60%以上が好ましい。透過画像鮮明度は、一般にフィルムを透過して映す画像の呆け具合を示す指標であり、この値が大きい程、フィルムを通して見る画像が鮮明で良好であることを示す。透過画像鮮明度は好ましくは70%以上であり、更に好ましくは80%以上である。
2−(3)高屈折率層、中屈折率層
本発明のフィルムには、高屈折率層、中屈折率層を設け、反射防止性を高めることができる。
以下の本明細書では、この高屈折率層と中屈折率層を高屈折率層と総称して呼ぶことがある。なお、本発明において、高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層の「高」、「中」、「低」とは層相互の相対的な屈折率の大小関係を表す。また、透明支持体との関係で言えば屈性率は、透明支持体>低屈折率層、高屈折率層>透明支持体の関係を満たすことが好ましい。
また、本明細書では高屈折率層、中屈折率層、低屈折率層を総称して反射防止層と総称して呼ぶことがある。
高屈折率層の上に低屈折率層を構築して、反射防止フィルムを作製するためには、高屈折率層の屈折率は1.55〜2.40であることが好ましく、より好ましくは1.60〜2.20、更に好ましくは、1.65〜2.10、最も好ましくは1.80〜2.00である。
支持体から近い順に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層を塗設し、反射防止フィルムを作成する場合、高屈折率層の屈折率は、1.65乃至2.40であることが好ましく、1.70乃至2.20であることがさらに好ましい。中屈折率層の屈折率は、低屈折率層の屈折率と高屈折率層の屈折率との間の値となるように調整する。中屈折率層の屈折率は、1.55乃至1.80であることが好ましい。
高屈折率層および中屈折率層に用いるTiOを主成分とする無機粒子は、分散物の状態で高屈折率層および中屈折率層の形成に使用する。
無機粒子の分散において、分散剤の存在下で分散媒体中に分散する。
本発明に用いる高屈折率層および中屈折率層は、分散媒体中に無機粒子を分散した分散液に、好ましくは、さらにマトリックス形成に必要なバインダー前駆体(例えば、後述する電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)、光重合開始剤等を加えて高屈折率層および中屈折率層形成用の塗布組成物とし、透明支持体上に高屈折率層および中屈折率層形成用の塗布組成物を塗布して、電離放射線硬化性化合物(例えば、多官能モノマーや多官能オリゴマーなど)の架橋反応又は重合反応により硬化させて形成することが好ましい。
さらに、高屈折率層および中屈折率層のバインダーを層の塗布と同時または塗布後に、分散剤と架橋反応又は重合反応させることが好ましい。
このようにして作製した高屈折率層および中屈折率層のバインダーは、例えば、上記の好ましい分散剤と電離放射線硬化性の多官能モノマーや多官能オリゴマーとが、架橋又は重合反応し、バインダーに分散剤のアニオン性基が取りこまれた形となる。さらに高屈折率層および中屈折率層のバインダーは、アニオン性基が無機粒子の分散状態を維持する機能を有し、架橋又は重合構造がバインダーに皮膜形成能を付与して、無機粒子を含有する高屈折率層および中屈折率層の物理強度、耐薬品性、耐候性を改良する。
高屈折率層のバインダーは、該層の塗布組成物の固形分量に対して、5〜80質量%添加する。
高屈折率層における無機粒子の含有量は、高屈折率層の質量に対し10〜90質量%であることが好ましく、より好ましくは15〜80質量%、特に好ましくは15〜75質量%である。無機粒子は高屈折率層内で二種類以上を併用してもよい。
高屈折率層の上に低屈折率層を有する場合、高屈折率層の屈折率は透明支持体の屈折率より高いことが好ましい。
高屈折率層に、芳香環を含む電離放射線硬化性化合物、フッ素以外のハロゲン化元素(例えば、Br,I,Cl等)を含む電離放射線硬化性化合物、S,N,P等の原子を含む電離放射線硬化性化合物などの架橋又は重合反応で得られるバインダーも好ましく用いることができる。
高屈折率層の膜厚は用途により適切に設計することができる。高屈折率層を後述する光学干渉層として用いる場合、30〜200nmが好ましく、より好ましくは50〜170nm、特に好ましくは60〜150nmである。
高屈折率層のヘイズは、防眩機能を付与する粒子を含有しない場合、低いほど好ましい。5%以下であることが好ましく、さらに好ましくは3%以下、特に好ましくは1%以下である。
高屈折率層は、前記透明支持体上に直接、又は、他の層を介して構築することが好ましい。
2−(4)低屈折率層
本発明のフィルムの反射率を低減するため、低屈折率層を用いることができる。低屈折率層の屈折率は、1.20〜1.46であることが好ましく、1.25〜1.46であることがより好ましく、1.30〜1.46であることが特に好ましい。
低屈折率層の厚さは、30〜500nmであることが好ましく、70〜500nmであることがさらに好ましい。導電性付与のためには、低屈折率層を130〜500nmの厚みにすることが好ましい。低屈折率層のヘイズは、3%以下であることが好ましく、2%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。具体的な低屈折率層の強度は、500g荷重の鉛筆硬度試験でH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
2−(5)帯電防止層、導電性層
本発明においては、粒子内部が多孔質または中空である導電性粒子を含有する層以外に、更に帯電防止層を設けることがフィルム表面での静電気防止の点で好ましい。帯電防止層を形成する方法は、例えば、導電性微粒子と反応性硬化樹脂を含む導電性塗工液を塗工する方法、或いは透明膜を形成する金属や金属酸化物等を蒸着やスパッタリングして導電性薄膜を形成する方法、ポリチオフェンやポリアニリンのような導電性の高分子を含有させる等の従来公知の方法を挙げることができる。導電性層は、支持体に直接又は支持体との接着を強固にするプライマー層を介して形成することができる。また、帯電防止層を反射防止膜の一部として使用することもできる。
帯電防止層の厚さは、0.01〜10μmが好ましく、0.03〜7μmであることがより好ましく、0.05〜5μmであることがさらに好ましい。帯電防止層の表面抵抗は、10〜1012Ω/sqであることが好ましく、10〜10Ω/sqであることがさらに好ましく、10〜10Ω/sqであることが最も好ましい。帯電防止層の表面抵抗は、四探針法により測定することができる。
帯電防止層は、実質的に透明であることが好ましい。具体的には、帯電防止層のヘイズが、10%以下であることが好ましく、5%以下であることがより好ましく、3%以下であることがさらに好ましく、1%以下であることが最も好ましい。波長550nmの光の透過率が、50%以上であることが好ましく、60%以上であることがより好ましく、65%以上であることがさらに好ましく、70%以上であることが最も好ましい。
本発明の帯電防止層は、強度が優れており、具体的な帯電防止層の強度は、1kg荷重の鉛筆硬度で、H以上であることが好ましく、2H以上であることがより好ましく、3H以上であることがさらに好ましく、4H以上であることが最も好ましい。
2−(6)干渉ムラ(虹ムラ)防止層
透明支持体とハードコート層、または透明支持体と防眩層に実質的な屈折率差(屈折率差が0.03以上)がある場合、透明支持体/ハードコート層、または透明支持体/防眩層界面で反射光が生じる。この反射光は反射防止層表面での反射光と干渉し、ハードコート層(または防眩層)の微妙な膜厚ムラに起因した干渉ムラを生じることがある。この様な干渉ムラを防止するために、例えば透明支持体とハードコート層(または防眩層)の間に中間の屈折率nを有し、膜厚dが下記式を満たす様な干渉ムラ防止層を設けることもできる。
数式(C)
=(2N−1)×λ/(4n
但し、λは可視光の波長で450〜650nmの範囲の何れかの値、Nは自然数を表す。
また、光学フィルムを画像表示装置等に貼合する場合、透明支持体の反射防止層を積層していない側に粘着剤層(または接着剤層)を積層する場合がある。この様な態様で、透明支持体と粘着剤層(または接着剤層)の間に実質的な屈折率差(0.03以上)がある場合、透明支持体/粘着剤層(または接着剤層)の反射光が生じ、この反射光が、反射防止層表面の反射光などと干渉し、上記と同様に支持体やハードコート層の膜厚ムラに起因した干渉ムラを生じることがある。この様な干渉ムラを防止する目的で透明支持体の反射防止層を積層していない側に上記と同様の干渉ムラ防止層を設けることもできる。
尚、この様な干渉ムラ防止層に関しては特開2004−345333号公報に詳しく記載されており、本発明ではここで紹介されている干渉ムラ防止層を用いることもできる。
2−(7)易接着層
本発明のフィルムには易接着層を塗設することもできる。易接着層とは、例えば、偏光板用保護フィルムとその隣接層、あるいはハードコート層と支持体とを接着し易くする機能を付与する層のことをいう。
易接着処理としては、ポリエステル、アクリル酸エステル、ポリウレタン、ポリエチレンイミン、シランカップリング剤等からなる易接着剤により透明プラスチックフィルム上に易接着層を設ける処理が挙げられる。
本発明にて好ましく用いられる易接着層の例としては、−COOM(Mは水素原子またはカチオンを表す)基を有する高分子化合物を含有する層を含むものであり、さらに好ましい態様はフィルム基材側に−COOM基を有する高分子化合物を含有する層を設け、それに隣接させて偏光膜側に親水性高分子化合物を主たる成分として含む層を設けたものである。ここでいう−COOM基を有する高分子化合物としては例えば−COOM基を有するスチレン−マレイン酸共重合体や−COOM基を有する酢酸ビニル−マレイン酸共重合体、酢酸ビニル−マレイン酸−無水マレイン酸共重合体などであり、特に−COOM基を有する酢酸ビニル−マレイン酸共重合体を用いると好ましい。このような高分子化合物を単独でまたは2種以上併用して用い、好ましい質量平均分子量としては500〜500,000程度のものであるとよい。−COOM基を有する高分子化合物の特に好ましい例は特開平6−094915号、特開平7−333436号各公報記載のものが好ましく用いられる。
また親水性高分子化合物として好ましくは、親水性セルロース誘導体(例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシセルロース等)、ポリビニルアルコール誘導体(例えば、ポリビニルアルコール、酢酸ビニルービニルアルコール共重合体、ポリビニルアセタール、ポリビニルホルマール、ポリビニルベンザール等)、天然高分子化合物(例えば、ゼラチン、カゼイン、アラビアゴム等)、親水性ポリエステル誘導体(例えば、部分的にスルホン化されたポリエチレンテレフタレート等)、親水性ポリビニル誘導体(例えば、ポリ−N−ビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、ポリビニルインダゾール、ポリビニルピラゾール等)が挙げられ、単独或いは2種以上併用して用いられる。
易接着層の厚みとしては接着性の効果の観点から0.05〜1.0μmの範囲が好ましい。
2−(8)カール防止層
本発明のフィルムには、カール防止加工を施すこともできる。カール防止加工とは、これを施した面を内側にして丸まろうとする機能を付与するものであるが、この加工を施すことによって、透明樹脂フィルムの片面に何らかの表面加工をして、両面に異なる程度・種類の表面加工を施した際に、その面を内側にしてカールしようとするのを防止する働きをするものである。
カール防止層は基材の防眩層または反射防止層を有する側と反対側に設ける態様或いは、例えば透明樹脂フィルムの片面に易接着層を塗設する場合もあり、また逆面にカール防止加工を塗設するような態様が挙げられる。
カール防止加工の具体的方法としては、溶剤塗布によるもの、溶剤とセルローストリアセテート、セルロースジアセテート、セルロースアセテートプロピオネート等の透明樹脂層を塗設するもの等が挙げられる。溶剤による方法とは、具体的には偏光板用保護フィルムとして用いるセルロースアシレートフィルムを溶解させる溶剤または膨潤させる溶剤を含む組成物を塗布することによって行われる。これらのカールを防止する機能を有する層の塗布液は従ってケトン系、エステル系の有機溶剤を含有するものが好ましい。好ましいケトン系の有機溶媒の例としてはアセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、乳酸エチル、アセチルアセトン、ジアセトンアルコール、イソホロン、エチル−n−ブチルケトン、ジイソプロピルケトン、ジエチルケトン、ジ−n−プロピルケトン、メチルシクロヘキサノン、メチル−n−ブチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、メチル−n−へプチルケトン等であり、好ましいエステル系の有機溶剤の例としては酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル等が挙げられる。しかしながら、用いる溶剤としては溶解させる溶剤および/または膨潤させる溶剤の混合物の他、さらに溶解させない溶剤を含む場合もあり、これらを透明樹脂フィルムのカール度合や樹脂の種類によって適宜の割合で混合した組成物および塗布量を用いて行う。この他にも、透明ハード加工や帯電防止加工を施してもカール防止機能を発揮する。
2−(9)水吸収層
本発明のフィルムには水吸収剤を使用することができる。水吸収剤は、アルカリ土類金属を中心に、水吸収機能を有する化合物から選択することができる。例えば、BaO、SrO、CaO、およびMgOなどが挙げられる。さらに、Ti、Mg、Ba、Caの様な金属元素から選択することもできる。これらの吸収剤粒子の粒子サイズは、好ましくは100nm以下であり、50nm以下で使用されるのがさらに好ましい。
これらの水吸収剤を含む層はバリア層と同様に真空下蒸着法等を使って作成してもよいし、ナノ粒子を各種方法で作成して用いてもよい。層の厚みは1〜100nmが好ましく、1〜10nmがより好ましい。水吸収剤を含む層は、支持体と積層体(バリア層と有機層の積層体)の間、積層体の最上層、積層体の間、或いは、積層体中の有機層或いはバリア層中に添加されていてもよい。バリア層に添加する場合には共蒸着法を用いることが好ましい。
2−(10)プライマー層・無機薄膜層
本発明のフィルムでは、支持体と積層体との間に、公知のプライマー層または無機薄膜層を設置することでガスバリアー性を高めたりすることができる。
プライマー層としては、例えばアクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、シリコーン樹脂等を用いることが可能であるが、本発明においてはこのプライマー層として有機無機ハイブリッド層を、無機薄膜層として無機蒸着層またはゾルーゲル法による緻密な無機コーティング薄膜が好ましい。無機蒸着層としては、シリカ、ジルコニア、アルミナ等の蒸着層が好ましい。無機蒸着層は真空蒸着法、スパッタリング法等により形成することができる。
3.フィルムの層構成
本発明のフィルムについては、上記のような層を用い、公知の層構成を使用することができる。たとえば、代表的な例としては以下のようなものがある。
a.支持体/ハードコート層
b.支持体/ハードコート層/低屈折率層(図1)
c.支持体/ハードコート層/高屈折率層/低屈折率層(図2)
d.支持体/ハードコート層/中屈折率層/高屈折率層/低屈折率層(図3)
b(図1)のように、支持体上にハードコート層を塗布した上に、低屈折率層を積層すると、反射防止フィルムとして好適に用いることができる。低屈折率層はハードコート層の上に低屈折率層を光の波長の1/4前後の膜厚で形成することにより、薄膜干渉の原理により表面反射を低減することができる。
また、c(図2)のように支持体上にハードコート層を塗布した上に、高屈折率層、低屈折率層を積層しても反射防止フィルムとして好適に用いることができる。さらに、d(図3)のように支持体、ハードコート層、中屈折率層、高屈折率層、そして低屈折率層の順序の層構成を設置することにより、反射率を1%以下とすることができる。
aないしdの構成において、ハードコート層(2)は防眩性を有する防眩層とすることができる。防眩性は図4に示されるようなマット粒子の分散によるものでも、図5に示されるようなエンボス加工などの方法による表面の賦形によって形成されてもよい。マット粒子の分散によって形成される防眩層は、バインダーとバインダー中に分散された透光性粒子とからなる。防眩性を有する防眩層は、好ましくは防眩性とハードコート性を兼ね備えており、複数層、例えば2層〜4層で構成されていてもよい。
また透持体とそれよりも表面側の層の間あるいは最表面に設けても良い層として、干渉ムラ(虹ムラ)防止層、帯電防止層(ディスプレイ側からの表面抵抗値を下げる等の要求がある場合、表面等へのゴミつきが問題となる場合)、別のハードコート層(1層のハードコート層ないし防眩層だけで硬度が不足する場合)、ガスバリアー層、水吸収層(防湿層)、密着改良層、防汚層(汚染防止層)、等が挙げられる。
本発明における反射防止層を有する防眩性反射防止フィルムを構成する各層の屈折率は以下の関係を満たすことが好ましい。
ハードコート層の屈折率>透明支持体の屈折率>低屈折率層の屈折率
4.製造方法
本発明のフィルムは以下の方法で形成することができるが、この方法に制限されない。4−(1)塗布液の調整
<調製>
まず、各層を形成するための成分を含有した塗布液が調製される。その際、溶剤の揮発量を最小限に抑制することにより、塗布液中の含水率の上昇を抑制できる。塗布液中の含水率は5%以下が好ましく、2%以下がより好ましい。溶剤の揮発量の抑制は、各素材をタンクに投入後の攪拌時の密閉性を向上すること、移液作業時の塗布液の空気接触面積を最小化すること等で達成される。また、塗布中、或いはその前後に塗布液中の含水率を低減する手段を設けてもよい。
<塗布液物性>
本発明の塗布方式は液物性により塗布可能な上限の速度が大きく影響を受けるため、塗布する瞬間の液物性、特に粘度及び表面張力を制御する必要がある。
粘度については2.0[mPa・sec]以下であることが好ましく、更に好ましくは1.5[mPa・sec]以下、最も好ましくは1.0[mPa・sec]以下である。塗布液によってはせん断速度により粘度が変化するものもあるため、上記の値は塗布される瞬間のせん断速度における粘度を示している。塗布液にチキソトロピー剤を添加して、高せん断のかかる塗布時は粘度が低く、塗布液にせん断が殆どかからない乾燥時は粘度が高くなると乾燥時のムラが発生しにくくなり、好ましい。
また、液物性ではないが、透明支持体に塗り付けられる塗布液の量も塗布可能な上限の速度に影響を与える。透明支持体に塗り付けられる塗布液の量は2.0〜5.0[cm3
/m]であることが好ましい。透明支持体に塗り付けられる塗布液の量を増やすと塗布可能な上限の速度が上がるため好ましいが、透明支持体に塗り付けられる塗布液の量を増やしすぎると乾燥にかかる負荷が大きくなるため、液処方・工程条件によって最適な透明支持体に塗り付けられる塗布液の量を決めることが好ましい。
表面張力については、15〜36[mN/m]の範囲にあることが好ましい。レベリング剤を添加するなどして表面張力を低下させることは乾燥時のムラが抑止されるため好ましい。一方、表面張力が下がりすぎると塗布可能な上限の速度が低下してしまうため、17[mN/m]から32[mN/m]の範囲がより好まく、19[mN/m]から26[mN/m]の範囲が更に好ましい。
<濾過>
塗布に用いる塗布液は、塗布前に濾過することが好ましい。濾過のフィルターは、塗布液中の成分が除去されない範囲でできるだけ孔径の小さいものを使うことが好ましい。濾過には絶対濾過精度が0.1〜10μmのフィルターが用いられ、さらには絶対濾過精度が0.1〜5μmであるフィルタを用いることが好ましく用いられる。フィルターの厚さは、0.1〜10mmが好ましく、更には0.2〜2mmが好ましい。その場合、ろ過圧力は1.5MPa以下、より好ましくは1.0MPa以下、更には0.2MPa以下で濾過することが好ましい。
ろ過フィルター部材は、塗布液に影響を及ぼさなければ特に限定されない。具体的には、無機化合物の湿式分散物のろ過部材と同様のものが挙げられる。
また、濾過した塗布液を、塗布直前に超音波分散して、脱泡、分散物の分散保持を補助することも好ましい。
4−(2)塗布前の処理
本発明で使用する支持体は、塗布前に表面処理を施すことが好ましい。具体的方法としては、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、酸処理、アルカリ処理または紫外線照射処理が挙げられる。また、特開平7−333433号公報に記載のように、下塗り層を設けることも好ましく利用される。
さらに、塗布が行われる前工程としての除塵工程に用いられる除塵方法として、特開昭59−150571号公報に記載のフィルム表面に不織布や、ブレード等を押しつける方法、特開平10−309553号公報に記載の清浄度の高い空気を高速で吹き付けて付着物をフィルム表面から剥離させ、近接した吸い込み口で吸引する方法、特開平7−333613号公報に記載される超音波振動する圧縮空気を吹き付けて付着物を剥離させ、吸引する方法(伸興社製、ニューウルトラクリーナー等)等の乾式除塵法が挙げられる。
また、洗浄槽中にフィルムを導入し、超音波振動子により付着物を剥離させる方法、特公昭49−13020号公報に記載されているフィルムに洗浄液を供給したあと、高速空気の吹き付け、吸い込みを行なう方法、特開2001−38306号に記載のように、ウェブを液体でぬらしたロールで連続的に擦った後、擦った面に液体を噴射して洗浄する方法等の湿式除塵法を用いることができる。このような除塵方法の内、超音波除塵による方法もしくは湿式除塵による方法が、除塵効果の点で特に好ましい。
また、このような除塵工程を行う前に、フィルム支持体上の静電気を除電しておくことは、除塵効率を上げ、ゴミの付着を抑える点で特に好ましい。このような除電方法としては、コロナ放電式のイオナイザ、UV、軟X線等の光照射式のイオナイザ等を用いることができる。除塵、塗布前後のフィルム支持体の帯電圧は、1000V以下が望ましく、好ましくは300V以下、特に好ましくは、100V以下である。
フィルムの平面性を保持する観点から、これら処理において支持体(好ましくはセルロースアシレートフィルム)の温度をTg以下、具体的には150℃以下とすることが好ましい。
本発明のフィルムを偏光板の保護フィルムとして使用する場合のようにセルロースアシレートフィルムを偏光膜と接着させる場合には、偏光膜との接着性の観点から、酸処理またはアルカリ処理、すなわちセルロースアシレートに対するケン化処理を実施することが特に好ましい。
接着性などの観点から、セルロースアシレートフィルムの表面エネルギーは、55mN/m以上であることが好ましく、60mN/m以上75mN/m以下であることが更に好ましく、上記表面処理により調整することができる。
4−(3)塗布
本発明のフィルムの各層は以下の塗布方法により形成することができるが、この方法に制限されない。
ディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法やエクストルージョンコート法(ダイコート法)(米国特許2681294号明細書参照)、マイクログラビアコート法等の公知の方法が用いられ、その中でもマイクログラビアコート法、ダイコート法が好ましい。
本発明で用いられるマイクログラビアコート法とは、直径が約10〜100mm、好ましくは約20〜50mmで全周にグラビアパターンが刻印されたグラビアロールを支持体の下方に、かつ支持体の搬送方向に対してグラビアロールを逆回転させると共に、該グラビアロールの表面からドクターブレードによって余剰の塗布液を掻き落として、定量の塗布液を前記支持体の上面が自由状態にある位置におけるその支持体の下面に塗布液を転写させて塗工することを特徴とするコート法である。ロール形態の透明支持体を連続的に巻き出し、該巻き出された支持体の一方の側に、少なくともハードコート層乃至フッ素含有オレフィン系重合体を含む低屈折率層の内の少なくとも一層をマイクログラビアコート法によって塗工することができる。
マイクログラビアコート法による塗工条件としては、グラビアロールに刻印されたグラビアパターンの線数は50〜800本/インチが好ましく、100〜300本/インチがより好ましく、グラビアパターンの深度は1〜600μmが好ましく、5〜200μmがより好ましく、グラビアロールの回転数は3〜800rpmであることが好ましく、5〜200rpmであることがより好ましく、支持体の搬送速度は0.5〜100m/分であることが好ましく、1〜50m/分がより好ましい。
本発明のフィルムを高い生産性で供給するために、エクストルージョン法(ダイコート法)が好ましく用いられる。特に、ハードコート層や反射防止層のような、ウエット塗布量の少ない領域(20cm3/m以下)で好ましく用いることができる。
4−(4)<乾燥>
本発明のフィルムは、支持体上に直接又は他の層を介して塗布された後、溶剤を乾燥するために加熱されたゾーンにウェブで搬送されることが好ましい。
溶剤を乾燥する方法としては、各種の知見を利用することができる。具体的な知見としては特開2001−286817号、同2001−314798号、同2003−126768号、同2003−315505号、同2004−34002号などが挙げられる。
乾燥ゾーンの温度は25℃〜140℃が好ましく、乾燥ゾーンの前半は比較的低温であり、後半は比較的高温であることが好ましい。但し、各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。例えば、紫外線硬化樹脂と併用される市販の光ラジカル発生剤のなかには120℃の温風中で数分以内にその数10%前後が揮発してしまうものもあり、また、単官能、2官能のアクリレートモノマー等は100℃の温風中で揮発が進行するものもある。そのような場合には、前記のように各層の塗布組成物に含有される溶剤以外の成分の揮発が始まる温度以下であることが好ましい。
また、各層の塗布組成物を支持体上に塗布した後の乾燥風は、前記塗布組成物の固形分濃度が1〜50%の間は塗膜表面の風速が0.1〜2m/秒の範囲にあることが、乾燥ムラを防止するために好ましい。
また、各層の塗布組成物を支持体上に塗布した後、乾燥ゾーン内で支持体の塗布面とは反対の面に接触する搬送ロールと支持体との温度差が0℃〜20℃以内とすると、搬送ロール上での伝熱ムラによる乾燥ムラが防止でき、好ましい。
4−(5)硬化
本発明のフィルムは溶剤の乾燥の後に、ウェブで電離放射線および/または熱により各塗膜を硬化させるゾーンを通過させ、塗膜を硬化することができる。
本発明における電離放射線種は特に制限されるものではなく、皮膜を形成する硬化性組成物の種類に応じて、紫外線、電子線、近紫外線、可視光、近赤外線、赤外線、X線などから適宜選択することができが、紫外線、電子線が好ましく、特に取り扱いが簡便で高エネルギーが容易に得られるという点で紫外線が好ましい。
紫外線反応性化合物を光重合させる紫外線の光源としては、紫外線を発生する光源であれば何れも使用できる。例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、カーボンアーク灯、メタルハライドランプ、キセノンランプ等を用いることができる。また、ArFエキシマレーザ、KrFエキシマレーザ、エキシマランプまたはシンクロトロン放射光等も用いることができる。このうち、超高圧水銀灯、高圧水銀灯、低圧水銀灯、カーボンアーク、キセノンアーク、メタルハライドランプを好ましく利用できる。
また、電子線も同様に使用できる。電子線としては、コックロフトワルトン型、バンデグラフ型、共振変圧型、絶縁コア変圧器型、直線型、ダイナミトロン型、高周波型等の各種電子線加速器から放出される50〜1000keV、好ましくは100〜300keVのエネルギーを有する電子線を挙げることができる。
照射条件はそれぞれのランプによって異なるが、照射光量は10mJ/cm以上が好ましく、更に好ましくは、50mJ/cm〜10000mJ/cmであり、特に好ましくは、50mJ/cm〜2000mJ/cmである。その際、ウェブの幅方向の照射量分布は中央の最大照射量に対して両端まで含めて50〜100%の分布が好ましく、80〜100%の分布がより好ましい。
本発明では、支持体上に積層された少なくとも一層を、電離放射線を照射しかつ電離放射線照射開始から0.5秒以上の間、膜面温度60℃以上に加熱した状態で、酸素濃度10体積%以下の雰囲気で電離放射線を照射する工程によって硬化することが好ましい。
また電離放射線照射と同時および/または連続して酸素濃度3体積%以下の雰囲気で加熱されることも好ましい。
特に膜厚が薄い低屈折率層がこの方法で硬化されることが好ましい。硬化反応が熱で加速され、物理強度、耐薬品性に優れた皮膜を形成することができる。
電離放射線を照射する時間については0.7秒以上60秒以下が好ましく、0.7秒以上10秒以下がより好ましい。0.7秒以上とすることで、硬化反応が完了し、十分な硬化を行うことができる。また60秒以下とすることで、長時間低酸素条件を維持する必要がないため、設備の大型化を避けることができる、多量の不活性ガスが不要である、などの観点で優れている。
酸素濃度は6体積%以下の雰囲気で電離放射線硬化性化合物の架橋反応、又は、重合反応により形成することが好ましく、更に好ましくは酸素濃度が4体積%以下、特に好ましくは酸素濃度が2体積%以下、最も好ましくは1体積%以下である。必要以上に酸素濃度を低減するためには、窒素などの不活性ガスの多量の使用量が必要であり、製造コストの観点から好ましくない。
酸素濃度を10体積%以下にする手法としては、大気(窒素濃度約79体積%、酸素濃度約21体積%)を別の気体で置換することが好ましく、特に好ましくは窒素で置換(窒素パージ)することである。
不活性ガスを電離放射線照射室に供給し、かつ照射室のウェッブ入り口側にやや吹き出す条件にすることで、ウェッブ搬送にともなう導搬エアーを排除し反応室の酸素濃度を有効に下げられるとともに、酸素による硬化阻害の大きい極表面の実質の酸素濃度を効率よく低減することができる。照射室のウェッブ入り口側での不活性ガスの流れの方向は、照射室の給気、排気のバランスを調整することなどで制御できる。
不活性ガスをウェッブ表面に直接吹き付けることも、導搬エアーを除去する方法として好ましく用いられる。
また前記反応室の前に前室を設け、事前にウェッブ表面の酸素を排除することで、より硬化を効率よく進めることができる。また電離放射線反応室または前室のウェッブ入口側を構成する側面は、不活性ガスを効率的に使用するために、ウェッブ表面とのギャップは0.2〜15mmが好ましく、より好ましくは、0.2〜10mmとするのがよく、0.2〜5mmとするのがもっとも好ましい。しかし、ウェッブを連続製造するには、ウェッブを接合して繋げていく必要があり、接合には接合テープなどで貼る方法が広く用いられている。このため、電離放射線反応室または前室の入口面とウェッブのギャップをあまり狭くすると、接合テープなど接合部材が引っかかる問題が生じる。このためギャップを狭くするためには、電離放射線反応室または前室の入口面の少なくとも一部を可動とし、接合部が入るときは接合厚み分ギャップを広げるのが好ましい。この実現のためには、電離放射線反応室または前室の入口面を進行方向前後に可動にしておき、接合部が通過する際に前後に動いてギャップを広げるやり方や、電離放射線反応室または前室の入口面をウェッブ面に対し、垂直方向に可動にし、接合部が通過する際に上下に動いてギャップを広げるやり方を取ることができる。
硬化の際、フィルム面が60℃以上170℃以下で加熱されることが好ましい。60℃以下では加熱の硬化は少なく、170℃以上では基材の変形などの問題が生じる。更に好ましい温度は60℃〜100℃である。フィルム面とは硬化しようとする層の膜面温度を指す。またフィルムが前記温度になる時間は、UV照射開始から0.1秒以上、300秒以下が好ましく、更に10秒以下が好ましい。フィルム面の温度を上記の温度範囲に保つ時間が短すぎると、皮膜を形成する硬化性組成物の反応を促進できず、逆に長すぎてもフィルムの光学性能が低下し、また設備が大きくなるなどの製造上の問題も生じる。
加熱する方法に特に限定はないが、ロールを加熱してフィルムに接触させる方法、加熱した窒素を吹き付ける方法、遠赤外線あるいは赤外線の照射などが好ましい。特許2523574号に記載の回転金属ロールに温水や蒸気・オイルなどの媒体を流して加熱する方法も利用できる。加熱の手段としては誘電加熱ロールなどを使用しても良い。
紫外線照射は、構成する複数の層それぞれに対して1層設ける毎に照射してもよいし、積層後照射してもよい。あるいはこれらを組み合わせて照射してもよい。生産性の点から、多層を積層後、紫外線を照射することが好ましい。
本発明では、支持体上に積層された少なくとも一層を複数回の電離放射線により硬化することができる。この場合、少なくとも2回の電離放射線が酸素濃度3体積%を超えることのない連続した反応室で行われることが好ましい。複数回の電離放射線照射を同一の低酸素濃度の反応室で行うことにより、硬化に必要な反応時間を有効に確保することができる。
特に高生産性のため製造速度をあげた場合には、硬化反応に必要な電離放射線のエネルギーを確保するために複数回の電離放射線照射が必要となる。
また、硬化率(100−残存官能基含率)が100%未満のある値となった場合、その上に層を設けて電離放射線および/または熱により硬化した際に下層の硬化率が上層を設ける前よりも高くなると、下層と上層との間の密着性が改良され、好ましい。
4−(6)ハンドリング
本発明のフィルムを連続的に製造するために、ロール状の支持体フィルムを連続的に送り出す工程、塗布液を塗布・乾燥する工程、塗膜を硬化する工程、硬化した層を有する支持体フィルムを巻き取る工程が行われることがある。
ロール状のフィルム支持体からフィルム支持体がクリーン室に連続的に送り出され、クリーン室内で、フィルム支持体に帯電している静電気を静電除電装置により除電し、引き続きフィルム支持体上に付着している異物を、除塵装置により除去する。引き続きクリーン室内に設置されている塗布部で塗布液がフィルム支持体上に塗布され、塗布されたフィルム支持体は乾燥室に送られて乾燥される。
乾燥した塗布層を有するフィルム支持体は乾燥室から硬化室へ送り出され、塗布層に含有されるモノマーが重合して硬化する。さらに、硬化した層を有するフィルム支持体は硬化部へ送られ硬化を完結させ、硬化が完結した層を有するフィルム支持体は巻き取られてロール状となる。
上記工程は、各層の形成毎に行ってもよいし、塗布部−乾燥室−硬化部を複数設けて、各層の形成を連続的に行うことも可能である。
本発明のフィルムを作成するためには、前記したように塗布液の精密濾過操作と同時に、塗布部における塗布工程および乾燥室で行われる乾燥工程が高い清浄度の空気雰囲気下で行われ、かつ塗布が行われる前に、フィルム上のゴミ、ほこりが充分に除かれていることが好ましい。塗布工程および乾燥工程の空気清浄度は、米国連邦規格209Eにおける空気清浄度の規格に基づき、クラス10(0.5μm以上の粒子が353個/(立方メートル)以下)以上であることが望ましく、更に好ましくはクラス1(0.5μm以上の粒子が35.5個/(立方メートル)以下)以上であることが望ましい。また、空気清浄度は、塗布−乾燥工程以外の送り出し、巻き取り部等においても高いことがより好ましい。
4−(7)鹸化処理
本発明のフィルムを2枚の偏光膜の表面保護フィルムの内の一方として用いて偏光板を作成する際には、偏光膜と貼り合わせる側の表面を親水化することで、接着面における接着性を改良することが好ましい。
a.アルカリ液に浸漬する法
アルカリ液の中にフィルムを適切な条件で浸漬して、フィルム全表面のアルカリと反応性を有する全ての面を鹸化処理する手法であり、特別な設備を必要としないため、コストの観点で好ましい。アルカリ液は、水酸化ナトリウム水溶液であることが好ましい。好ましい濃度は0.5〜3mol/Lであり、特に好ましくは1〜2mol/Lである。好ましいアルカリ液の液温は30〜75℃、特に好ましくは40〜60℃である。
前記の鹸化条件の組合せは比較的穏和な条件同士の組合せであることが好ましいが、フィルムの素材や構成、目標とする接触角によって設定することができる。
アルカリ液に浸漬した後は、フィルムの中にアルカリ成分が残留しないように、水で十分に水洗したり、希薄な酸に浸漬してアルカリ成分を中和することが好ましい。
鹸化処理することにより、塗布層を有する表面と反対の表面が親水化される。偏光板用保護フィルムは、透明支持体の親水化された表面を偏光膜と接着させて使用する。
親水化された表面は、ポリビニルアルコールを主成分とする接着層などとの接着性を改良するのに有効である。
鹸化処理は、塗布層を有する側とは反対側の透明支持体の表面の水に対する接触角が低いほど、偏光膜との接着性の観点では好ましいが、一方、浸漬法では同時に塗布層を有する表面から内部までアルカリによるダメージを受ける為、必要最小限の反応条件とすることが重要となる。アルカリによる各層の受けるダメージの指標として、反対側の表面の透明支持体の水に対する接触角を用いた場合、特に透明支持体がトリアセチルセルロースであれば、好ましくは10度〜50度、より好ましくは30度〜50度、さらに好ましくは40度〜50度となる。50度以上では、偏光膜との接着性に問題が生じる為、好ましくない。一方、10度未満では、フィルムが受けるダメージが大きすぎる為、物理強度を損ない、好ましくない。
b.アルカリ液を塗布する方法
上述の浸漬法における各膜へのダメージを回避する手段として、適切な条件でアルカリ液を塗布層を有する表面と反対側の表面のみに塗布、加熱、水洗、乾燥するアルカリ液塗布法が好ましく用いられる。なお、この場合の塗布とは、鹸化を行う面に対してのみアルカリ液などを接触させることを意味し、塗布以外にも噴霧、液を含んだベルト等に接触させる、などによって行われることも含む。これらの方法を採ることにより、別途、アルカリ液を塗布する設備、工程が必要となるため、コストの観点ではa.の浸漬法に劣る。一方で、鹸化処理を施す面にのみアルカリ液が接触するため、反対側の面にはアルカリ液に弱い素材を用いた層を有することができる。例えば、蒸着膜やゾル−ゲル膜では、アルカリ液によって、腐食、溶解、剥離など様々な影響が起こるため、浸漬法では設けることが望ましくないが、この塗布法では液と接触しないため問題なく使用することが可能である。
前記a.、b.のどちらの鹸化方法においても、ロール状の支持体から巻き出して各層を形成後に行うことができるため、フィルム製造工程の後に加えて一連の操作で行っても良い。さらに、同様に巻き出した支持体からなる偏光板との張り合わせ工程もあわせて連続で行うことにより、枚葉で同様の操作をするよりもより効率良く偏光板を作成することができる。
c.ラミネートフィルムで保護して鹸化する方法
前記b.と同様に、塗布層がアルカリ液に対する耐性が不足している場合に、最終層まで形成した後に該最終層を形成した面にラミネートフィルムを貼り合せてからアルカリ液に浸漬することで最終層を形成した面とは反対側のトリアセチルセルロース面だけを親水化し、然る後にラミネートフィルムを剥離することができる。この方法でも、塗布層へのダメージなしに偏光板保護フィルムとして必要なだけの親水化処理をトリアセチルセルロースフィルムの最終層を形成した面とは反対の面だけに施すことができる。前記b.の方法と比較して、ラミネートフィルムが廃棄物として発生する半面、特別なアルカリ液を塗布する装置が不要である利点がある。
d.中途層まで形成後にアルカリ液に浸漬する方法
下層層まではアルカリ液に対する耐性があるが、上層のアルカリ液に対する耐性不足である場合には、下層まで形成後にアルカリ液に浸漬して両面を親水化処理し、然る後に上層を形成することもできる。製造工程が煩雑になるが、たとえば防眩層とフッ素含有ゾル−ゲル膜の低屈折率層とからなるフィルムにおいて、親水基を有する場合には防眩層と低屈折率層との層間密着性が向上する利点がある。
e.予め鹸化済のトリアセチルセルロースフィルムに塗布層層を形成する方法
トリアセチルセルロースフィルムを予めアルカリ液に浸漬するなどして鹸化し、何れか一方の面に直接または他の層を介して塗布層を形成してもよい。アルカリ液に浸漬して鹸化する場合には、鹸化により親水化されたトリアセチルセルロース面との層間密着性が悪化することがある。そのような場合には、鹸化後、塗布層を形成する面だけにコロナ放電、グロー放電等の処理をすることで親水化面を除去してから塗布層を形成することで対処できる。また、塗布層が親水性基を有する場合には層間密着が良好なこともある。
4−(8)偏光膜の作製
本発明のフィルムは、偏光膜およびその片側ないし両側に配置された保護フィルムとして使用し、偏光膜として使用することができる。
一方の保護フィルムとして、本発明のフィルムを用いる、他方の保護フィルムは、通常のセルロースアセテートフィルムを用いてもよいが、上述の溶液製膜法で製造され、且つ10〜100%の延伸倍率でロールフィルム形態における巾方向に延伸したセルロースアセテートフィルムを用いることが好ましい。
更には、本発明の偏光板において、片面が反射防止フィルムであるのに対して他方の保護フィルムが液晶性化合物からなる光学異方性層を有する光学補償フィルムであることが好ましい。
偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。
反射防止フィルムの透明支持体やセルロースアセテートフィルムの遅相軸と偏光膜の透過軸とは、実質的に平行になるように配置する。
偏光板の生産性には保護フィルムの透湿性が重要である。偏光膜と保護フィルムは水系接着剤で貼り合わせられており、この接着剤溶剤は保護フィルム中を拡散することで、乾燥される。保護フィルムの透湿性が高ければ、高いほど乾燥は早くなり、生産性は向上するが、高くなりすぎると、液晶表示装置の使用環境(高湿下)により、水分が偏光膜中に入ることで偏光能が低下する。
保護フィルムの透湿性は、透明支持体やポリマーフィルム(および重合性液晶化合物)の厚み、自由体積、親疎水性、等により決定される。
本発明のフィルムを偏光板の保護フィルムとして用いる場合、透湿性は100〜1000g/m・24hrsであることが好ましく、300〜700g/m・24hrsであることが更に好ましい。
透明支持体の厚みは、製膜の場合、リップ流量とラインスピード、あるいは、延伸、圧縮により調整することができる。使用する主素材により透湿性が異なるので、厚み調整により好ましい範囲にすることが可能である。
透明支持体の自由体積は、製膜の場合、乾燥温度と時間により調整することができる。
この場合もまた、使用する主素材により透湿性が異なるので、自由体積調整により好ましい範囲にすることが可能である。
透明支持体の親疎水性は、添加剤により調整することが出来る。上記自由体積中に親水的添加剤を添加することで透湿性は高くなり、逆に疎水性添加剤を添加することで透湿性を低くすることができる。
上記透湿性を独立に制御することにより、光学補償能を有する偏光板を安価に高い生産性で製造することが可能となる。
偏光膜としては公知の偏光膜や、偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜から切り出された偏光膜を用いてもよい。偏光膜の吸収軸が長手方向に平行でも垂直でもない長尺の偏光膜は以下の方法により作成される。
即ち、連続的に供給されるポリマーフィルムの両端を保持手段により保持しつつ張力を付与して延伸した偏光膜で、少なくともフィルム幅方向に1.1〜20.0倍に延伸し、フィルム両端の保持装置の長手方向進行速度差が3%以内であり、フィルム両端を保持する工程の出口におけるフィルムの進行方向と、フィルムの実質延伸方向のなす角が、20〜70゜傾斜するようにフィルム進行方向を、フィルム両端を保持させた状態で屈曲させてなる延伸方法によって製造することができる。特に45°傾斜させたものが生産性の観点から好ましく用いられる。
ポリマーフィルムの延伸方法については、特開2002−86554号公報の段落0020〜0030に詳しい記載がある。
偏光子の2枚の保護フィルムのうち、反射防止フィルム以外のフィルムが、光学異方層を含んでなる光学補償層を有する光学補償フィルムであることも好ましい。光学補償フィルム(位相差フィルム)は、液晶表示画面の視野角特性を改良することができる。
光学補償フィルムとしては、公知のものを用いることができるが、視野角を広げるという点では、特開2001−100042号公報に記載されている光学補償フィルムが好ましい。
6.本発明の使用形態
本発明のフィルムは、液晶表示装置(LCD)、プラズマディスプレイパネル(PDP)、エレクトロルミネッセンスディスプレイ(ELD)や陰極管表示装置(CRT)のような画像表示装置に用いられる。本発明に従う光学フィルターは、プラズマディスプレイパネル(PDP)または陰極管表示装置(CRT)など公知のディスプレー上に用いることが出来る。
6−(1)液晶表示装置
本発明のフィルム、偏光板は、液晶表示装置等の画像表示装置に有利に用いることができ、ディスプレイの最表層に用いることが好ましい。
液晶表示装置は、液晶セルおよびその両側に配置された二枚の偏光板を有し、液晶セルは、二枚の電極基板の間に液晶を担持している。さらに、光学異方性層が、液晶セルと一方の偏光板との間に一枚配置されるか、あるいは液晶セルと双方の偏光板との間に二枚配置されることもある。
液晶セルは、TNモード、VAモード、OCBモード、IPSモードまたはECBモードであることが好ましい。
<TNモード>
TNモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向し、さらに60〜120゜にねじれ配向している。
TNモードの液晶セルは、カラーTFT液晶表示装置として最も多く利用されており、多数の文献に記載がある。
<VAモード>
VAモードの液晶セルでは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に垂直に配向している。
VAモードの液晶セルには、(1)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直に配向させ、電圧印加時に実質的に水平に配向させる狭義のVAモードの液晶セル(特開平2−176625号公報記載)に加えて、(2)視野角拡大のため、VAモードをマルチドメイン化した(MVAモードの)液晶セル(SID97、Digest of Tech. Papers(予稿集)28(1997)845記載)、(3)棒状液晶性分子を電圧無印加時に実質的に垂直配向させ、電圧印加時にねじれマルチドメイン配向させるモード(n−ASMモード)の液晶セル(日本液晶討論会の予稿集58〜59(1998)記載)および(4)SURVAIVALモードの液晶セル(LCDインターナショナル98で発表)が含まれる。
<OCBモード>
OCBモードの液晶セルは、棒状液晶性分子を液晶セルの上部と下部とで実質的に逆の方向に(対称的に)配向させるベンド配向モードの液晶セルであり、米国特許第4583825号、同5410422号の各明細書に開示されている。棒状液晶性分子が液晶セルの上部と下部とで対称的に配向しているため、ベンド配向モードの液晶セルは、自己光学補償機能を有する。そのため、この液晶モードは、OCB(Optically Compensatory Bend)液晶モードと呼ばれる。ベンド配向モードの液晶表示装置は、応答速度が速いとの利点がある。
<IPSモード>
IPSモードの液晶セルは、ネマチック液晶に横電界をかけてスイッチングする方式であり、詳しくはProc.IDRC(Asia Display ’95),p.577−580及び同p.707−710に記載されている。
<ECBモード>
ECBモードの液晶セルは、電圧無印加時に棒状液晶性分子が実質的に水平配向している。ECBモードは、最も単純な構造を有する液晶表示モードの一つであって、例えば特開平5−203946号公報に詳細が記載されている。
5―(2)液晶表示装置以外のディスプレイ
<PDP>
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、一般に、ガス、ガラス基板、電極、電極リード材料、厚膜印刷材料、蛍光体により構成される。ガラス基板は、前面ガラス基板と後面ガラス基板の二枚である。二枚のガラス基板には電極と絶縁層を形成する。後面ガラス基板には、さらに蛍光体層を形成する。二枚のガラス基板を組み立てて、その間にガスを封入する。
プラズマディスプレイパネル(PDP)は、既に市販されている。プラズマディスプレイパネルについては、特開平5−205643号、同9−306366号の各公報に記載がある。
前面板をプラズマディスプレイパネルの前面に配置することがある。前面板はプラズマディスプレイパネルを保護するために充分な強度を備えていることが好ましい。前面板は、プラズマディスプレイパネルと隙間を置いて使用することもできるし、プラズマディスプレイ本体に直貼りして使用することもできる。
プラズマディスプレイパネルのような画像表示装置では、光学フィルターをディスプレイ表面に直接貼り付けることができる。また、ディスプレイの前に前面板が設けられている場合は、前面板の表側(外側)または裏側(ディスプレイ側)に光学フィルターを貼り付けることもできる。
<タッチパネル>
本発明のフィルムは、特開平5−127822号公報、特開2002−48913号公報等に記載されるタッチパネルなどに応用することができる。
<有機EL素子>
本発明のフィルムは、有機EL素子等の基板(基材フィルム)や保護フィルムとして用いることができる。
本発明のフィルムを有機EL素子等に用いる場合には、特開平11−335661号、特開平11−335368号、特開2001−192651号、特開2001−192652号、特開2001−192653号、特開2001−335776号、特開2001−247859号、特開2001−181616号、特開2001−181617号、特開2002−181816号、特開2002−181617号、特開2002−056976号等の各公報記載の内容を応用することができる。また、特開2001−148291号、特開2001−221916号、特開2001−231443号の各公報記載の内容と併せて用いることが好ましい。
6.各種特性値
以下に本発明に関する各種測定法と、好ましい特性値を示す。
6−(1)反射率
鏡面反射率及び色味の測定は、分光光度計‘V−550’[日本分光(株)製]にアダプター‘ARV−474’を装着して、380〜780nmの波長領域において、入射角5°における出射角−5゜の鏡面反射率を測定し、視感反射率を算出し、反射防止性を評価することができる。
本発明の防眩性反射防止フィルムは、鏡面反射率2.5%以下、透過率90%以上とするのが、外光の反射を抑制でき、視認性が向上するため、好ましい。鏡面反射率は1.5%以下が特に好ましく、3−d記載のような層構成を用いることにより反射率を1.0%以下とすることが最も好ましい。
6−(2)色味
本発明の反射防止能付き偏光板は、CIE標準光源D65の、波長380nmから780nmの領域における入射角5゜の入射光に対して、正反射光の色味、すなわちCIE1976L色空間のL、a、b値を求めることで色味を評価することができる。
、a、b値は、それぞれ3≦L≦20、−7≦a≦7、且つ、−10≦b≦10の範囲内であることが好ましい。この範囲とすることで、従来の偏光板で問題となっていた赤紫色から青紫色の反射光の色味が低減され、さらに3≦L≦10、0≦a≦5、且つ、−7≦b≦0の範囲内とすることで大幅に低減され、液晶表示装置に適用した場合、室内の蛍光灯のような、輝度の高い外光が僅かに映り込んだ場合の色味がニュートラルで、気にならない。詳しくはa≦7であれば赤味が強くなりすぎることがなく、a≧−7であればシアン味が強くなりすぎることがなく好ましい。またb≧−7であれば青味が強くなりすぎることがなく、b≦0であれば黄味が強くなりすぎることがなく好ましい。
更には、反射光の色味均一性は、反射光の380nm〜680nmの反射スペクトルにより求めたL色度図上でのa、bより、下記の数式に従って色味の変化率として得ることができる。
Figure 0004991332
ここで、a max及びa minは、それぞれa値の最大値及び最小値;b max及びb minは、それぞれb値の最大値及び最小値;a av及びb avは、それぞれa値及びb値の平均値である。色の変化率は、それぞれ30%以下であることが好ましく、20%以下であることがより好ましく、8%以下であることが最も好ましい。
また、本発明のフィルムは、耐候性試験前後の色味の変化であるΔEが15以下であることが好ましく、10以下であることがより好ましく、5以下であることが最も好ましい。この範囲において、低反射と反射光の色味の低減を両立することができるため、例えば画像表示装置の最表面に適用した場合、室内の蛍光灯のような、輝度の高い外光が僅かに映り込んだ場合の色味が、ニュートラルで、表示画像の品位が良好となり、好ましい。
上記の色味の変化ΔEは、下記の数式(22)に従って求めることができる。
数式(22):ΔE=[(ΔL+(Δa+(Δb1/2
ここで、ΔL,Δa,Δbは、耐候性試験前後のL値,a値,b値それぞれの変化量である。
6−(3)透過画像鮮明度
透過画像鮮明度は、JIS−K7105に従い、スガ試験機(株)製の写像性測定器(ICM−2D型)にて、スリット幅が0.5mmの光学櫛を用いて測定できる。
本発明のフィルムの透過画像鮮明度は60%以上が好ましい。透過画像鮮明度は、一般にフィルムを透過して映す画像の呆け具合を示す指標であり、この値が大きい程、フィルムを通して見る画像が鮮明で良好であることを示す。本発明のフィルムの透過画像鮮明製は5%〜30%であるのが、充分な防眩性と画像ボケ、暗室コントラスト低下の改善が両立されるので、好ましい。
6−(4)表面粗さ
中心線平均粗さ(Ra)の測定は、JIS−B0601に準じて行なうことができる。
本発明の光学フィルムは、その表面凹凸形状として、中心線平均粗さRaが0.001〜0.30μm、10点平均粗さRzがRaの10倍以下、平均山谷距離Smが1〜100μmが好ましい。また、本発明の多孔質又は中空の導電性粒子を光学フィルムの低屈折率層に用いる態様では、従来の高屈折率の導電性粒子を含む導電層を含む態様に比較して、防眩性の低い領域でも干渉ムラの発生が低減されるため、Raが0.001〜0.15μmで特に本発明の効果が顕著である。
6−(5)ヘイズ
本発明のフィルムのヘイズはJIS−K7105に規定されたヘイズ値のことであり、JIS−K7361−1で規定された測定法に基づき、日本電色工業(株)製の濁度計「NDH−1001DP」を用いて測定したヘイズ=(拡散光/全透過光)×100(%)として自動計測される。
なお、表面ヘイズと内部ヘイズは以下の手順で測定することができる。
(1)JIS−K7136に準じてフィルムの全ヘイズ値(H)を測定する。
(2)フィルムの低屈折率層側の表面および裏面にシリコーンオイルを数滴添加し、厚さ1mmのガラス板(ミクロスライドガラス品番S 9111、MATSUNAMI製)を2枚用いて裏表より挟んで、完全に2枚のガラス板とフィルムを光学的に密着させ、表面ヘイズを除去した状態でヘイズを測定し、別途測定したガラス板2枚の間にシリコーンオイルのみを挟みこんで測定したヘイズを引いた値をフィルムの内部ヘイズ(Hi)として算出する。
(3)上記(1)で測定した全ヘイズ(H)から上記(2)で算出した内部ヘイズ(Hi)を引いた値をフィルムの表面ヘイズ(Hs)として算出する。
6−(7)耐擦傷性
<スチールウール耐傷性評価>
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストをおこなうことで、耐擦傷性の指標とすることが出来る。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:スチールウール(日本スチールウール(株)製、ゲレードNo.0000)
試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)に巻いて、バンド固定。
移動距離(片道):13cm、
こすり速度:13cm/秒、
荷重:500g/cm、および200g/cm
先端部接触面積:1cm×1cm、こすり回数:10往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、こすり部分の傷を反射光で目視観察したり、擦った部分以外との反射光量との差によって評価する。
<消しゴム擦り耐傷性評価>
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストをおこなうことで、耐擦傷性の指標とすることが出来る。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:プラスチック消しゴム((株)トンボ鉛筆性 MONO)
試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)に固定
移動距離(片道):4cm、
こすり速度:2cm/秒、
荷重:500g/cm
先端部接触面積:1cm×1cm、
こすり回数:100往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、こすり部分の傷を反射光で目視観察したり、擦った部分以外との反射光量との差によって評価する。
<テーパー試験>
JIS―K5400に従うテーバー試験で、試験前後の試験片の摩耗量から擦傷性を評価することができる。
この摩耗量が少ないほど好ましい。
6−(8)硬度
<鉛筆硬度>
本発明のフィルムの強度は、JIS―K5400に従う鉛筆硬度試験で評価することが出来る。
鉛筆硬度はH以上であることが好ましく、2H以上であることがさらに好ましく、3H以上であることが最も好ましい。
<表面弾性率>
本発明における表面弾性率は微小表面硬度計((株)フィッシャー・インスツルメンツ製:フィッシャースコープH100VP−HCU)を用いて求めた値である。具体的には、ダイヤモンド製の四角錐圧子(先端対面角度;136°)を使用し、押し込み深さが1μmを超えない範囲で、適当な試験荷重下での押し込み深さを測定し、除荷重時の荷重と変位の変化から求められる弾性率である。
また、前述の微小表面硬度計を用いて表面硬度をユニバーサル硬度として求めることもできる。ユニバーサル硬度は四角錐圧子の試験荷重下での押し込み深さを測定し、試験荷重をその試験荷重で生じた圧痕の幾何学的形状から計算される圧痕の表面積で割った値である。上記の表面弾性率とユニバーサル硬度の間には、正の相関を有することが知られている。
本発明で定義する架橋性ポリマーのユニバーサル硬度とはガラス板上に硬化形成した約20〜30μm厚の該架橋性ポリマー膜についてフィッシャーインストルメンツ(株)製の微小硬度計H100によって以下測定手順で求めたユニバーサル硬度(N/mm)によって表わされる。
架橋性ポリマーの他に必要な触媒や架橋剤、重合開始剤等を含んだ固形分濃度約25%の塗布液を硬化後の膜厚が約20〜30μmになるように適切なバーコーターを選択してTOSHINRIKO.CO.LTD製、(26mm×76mm×1.2mm)みがきスライドガラス板上に塗布する。架橋性ポリマーが熱硬化性の場合には膜が十分硬化される熱硬化条件をあらかじめ求めておき(一例として125℃10分)、架橋性ポリマーが電離放射線硬化性の場合にも同様に膜が十分硬化される硬化条件をあらかじめ求めておく(一例として酸素濃度12ppm、UV照射量750mJ/cm)。それぞれの膜に対して荷重を0から4mNまで連続的に増加させ、基材のガラス板硬度の影響がでない1/10膜厚を最大として円錐ダイヤモンド圧子を押し込んだ際の各荷重Fに対する窪み面積A(mm)から求めたF/AのN=6測定平均値からユニバーサル硬度を算出する。
また、特開2004−354828記載のナノインデンテーションによって表面硬度をもとめることができ、この場合の硬度としては2GPa〜4GPa、ナノインデンテーション弾性率は10GPa〜30GPaであることが好ましい。
6−(9)防汚性試験
<マジック拭き取り性>
フィルムをガラス面上に粘着剤で固定し、25℃60RH%の条件下で黒マジック「マッキー極細(商品名:ZEBRA製)」のペン先(細)にて直径5mmの円形を3周書き込み、5秒後に10枚重ねに折り束ねたベンコット(商品名、旭化成(株))でベンコットの束がへこむ程度の荷重で20往復拭き取る。マジック後が拭き取りで消えなくなるまで前記の書き込みと拭き取りを前記条件で繰り返し、拭き取りできた回数により防汚性を評価することが出来る。
消えなくなるまでの回数は5回以上であることが好ましく、10回以上であることが更に好ましい。
黒マジックについてはマジックインキ No.700(M700―T1 黒)極細を用い試料の上に直径1cmの円を描いて塗りつぶし、24時間放置後にベンコット(旭化成(株)製)で擦り、マジックがふき取れるかによっても評価することができる。
6−(10)密着性評価
フィルムの層間、あるいは支持体と塗布層との密着性は以下の方法により評価することが出来る。
塗布層を有する側の表面にカッターナイフで碁盤目状に縦11本、横11本の切り込みを1mm間隔で入れて合計100個の正方形の升目を刻み、日東電工(株)製のポリエステル粘着テープ(NO.31B)を圧着し、24時間放置後引き剥がす試験を同じ場所で繰り返し3回行い、剥がれの有無を目視で観察する。
100個の升目中、剥がれが10升以内であることが好ましく、2升以内であることが更に好ましい。
6−(11)脆性試験(耐ひび割れ性)
耐ひび割れ性は、フィルムの塗布、加工、裁断、粘着剤の塗布、種々の物体への貼りつけ等のハンドリングで割れ欠陥を出さないための重要な特性である。
フィルム試料を35mm×140mmに切断し、温度25℃、相対湿度60%の条件で2時間放置した後、筒状に丸めたときにひび割れが発生し始める曲率直径を測定し、表面のひび割れを評価することができる。
本発明のフィルムの耐ひび割れ性は、塗布層側を外側にして丸めたときに、ひび割れが発生する曲率直径が、50mm以下であることが好ましく、40mm以下がより好ましく、30mm以下が最も好ましい。エッジ部のひび割れについては、ひび割れがないか、ひび割れの長さが平均で1mm未満であることが好ましい。
6−(12)塵埃除去性
本発明のフィルムをモニターに張り付け、モニター表面に塵埃(布団、衣服の繊維屑)を振りかけ、クリーニングクロスで塵埃を拭き取り、塵埃除去性を評価することができる。
6回の拭取りで完全に取除けることが好ましく、3回以内の拭き取りで塵埃が完全に取り除けることが更に好ましい。
本発明を詳細に説明するために、以下に実施例を挙げて説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、特別の断りの無い限り、「部」及び「%」は質量基準である。
[粒子の合成例]
合成例1
[SiO微粒子へAu超微粒子を結合した中空の導電性微粒子A−1の合成]
中空シリカ微粒子のIPA(イソプロピルアルコール)分散物(特開2002−79616の調製例4に準じて作成;平均粒子径約40nm、シェル厚み約10nm、シリカ粒子の屈折率1.31、シリカ濃度20質量%)39g、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン3ml、およびアルミニウムイソプロポキシド15mgをMEK(エチルメチルケトン)200mlに添加し混合した。さらに水3mlを加えて60℃に昇温し,4時間撹拌し,反応させた。その後、塩化金(III)酸四水和物8.4gをMEK80mlに溶解して添加し、さらにヒドロキシアセトン15mlを添加して30分撹拌した。液温を室温まで下げて得られた分散物をTEMおよびXRDで解析したところ、中空シリカ微粒子表面上一面に粒子径3〜5nmのAuの超微粒子が結合しているのが観察された。
シリカ(SiO)に対するAuの質量比は0.62であった。導電性微粒子の粉体比抵抗は、90Ω・cmであった。
尚、粉体比抵抗は、試料粉末を9.8MPa(100kg/cm)の圧力で成形して
円柱状の粉体成形物(直径18mm、厚さ3mm)とし、その直流抵抗を測定して、下記の式によって粉体比抵抗(Ω・cm)を求めた。
粉体比抵抗(Ω・cm)=測定値(Ω)×[2.54(cm)/0.3(cm)]
合成例2
[SiO微粒子を酸化アンチモン被覆した中空の導電性微粒子A−2の合成]
[中空シリカ系微粒子(C-1)の調製]
平均粒径5nm、SiO2濃度20質量%のシリカゾル100gと純水1900gの混
合物を80℃に加温した。この反応母液のpHは10.5であり、同母液にSiO2とし
て1.17質量%の珪酸ナトリウム水溶液9000gとAl23として0.83質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液9000gとを同時に添加した。その間、反応液の温度を80℃に保持した。反応液のpHは添加直後、12.5に上昇し、その後、殆ど変化しなかった。添加終了後、反応液を室温まで冷却し、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度20質量%のSiO2・Al23一次粒子分散液を調製した。
この一次粒子分散液500gに純水1,700gを加えて98℃に加温し、この温度を保持しながら、濃度0.5質量%の硫酸アンモニウム53,200gを添加し、ついでSiO2として濃度1.17質量%の珪酸ナトリウム水溶液3,000gとAl23としての濃度0.5質量%のアルミン酸ナトリウム水溶液9,000gを添加して複合酸化物微粒子(1)の分散液を得た。
ついで、限外濾過膜で洗浄して固形分濃度13質量%になった複合酸化物微粒子(1)の
分散液500gに純水1,125gを加え、さらに濃塩酸(濃度35.5質量%)を滴下してpH1.0とし、脱アルミニウム処理を行った。次いで、pH3の塩酸水溶液10Lと純水5Lを加えながら限外濾過膜で溶解したアルミニウム塩を分離して固形分濃度20質量%の中空シリカ系微粒子(C-1)分散液とした。
このシリカ系微粒子(C-1)の平均粒子径は58nm、MOx/SiO2(モル比)は0.0097、屈折率は1.30であった。
[アンチモン酸の調製]
純水1800gに苛性カリ(旭硝子(株)製:純度85質量%)57gを溶解した溶液中に三酸化アンチモン(住友金属鉱山(株)製:KN 純度98.5質量%)111gを懸濁させた。この懸濁液を95℃に加熱し、次いで、過酸化水素水(林純薬(株)製:特級、純度35質量%)32.8gを純水110.7gで希釈した水溶液を9時間で添加(0.1mole/hr)し、三酸化アンチモンを溶解し、その後11時間熟成した。冷却後、得られた溶液から1000gを取り、この溶液を純水6000gで希釈した後、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:pk-216)に通して脱イオン処理を行った。このときのpHは2.1、電導度は2.4mS/cmであった。
ついで、上記で調製した中空シリカ系微粒子(C-1)分散液を固形分濃度1質量%に希釈した分散液400gに固形分濃度1質量%のアンチモン酸40gを加え、70℃で11時間撹拌し、限外濾過膜で濃縮し、固形分濃度20質量%の酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子(P-1)分散液を調製した。この酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子の平均粒子径は60nm、酸化アンチモン被覆層の厚さは約2nmであった。
この酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子分散液100gに純水300gとメタノール400gを加え、これに正珪酸エチル(SiO2濃度28質量%)3.57gを混合し、50℃で15時間加熱撹拌してシリカ被覆層を形成した酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子(A−2)分散液を調製した。この分散液を限外濾過膜を用い、メタノールにて溶媒置換するとともに固形分濃度20質量%になるまで濃縮した。ついで、ロータリーエバポレーターにてイソプロピルアルコールに溶媒置換して濃度20質量%のシリカ系微粒子のイソプロピルアルコール分散液とした。
ついで、このシリカ被覆層を形成した酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子のイソプロピルアルコール分散液100gにメタクリル系シランカップリング剤(信越化学(株)製:KBM−503)0.73gを加え、50℃で15時間加熱撹拌してシリカ被覆層を形成し、表面処理した酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子(A−2)分散液を調製した。
シリカ(SiO)に対する酸化アンチモンの質量比は0.11であった。導電性微粒子の粉体比抵抗は、1600Ω・cm、屈折率1.41であった
合成例3
[SiO微粒子を酸化アンチモン被覆した中空の導電性微粒子A−3の合成]
合成例2の中空シリカ系粒子(C−1)の調製の条件を変更し、平均粒子径76nm、屈折率1.26の粒子を得た。その粒子に対して、約4nmの酸化アンチモン被覆層を形成させ、平均粒子径78nmの酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子を形成し、濃度20質量%のシリカ系微粒子のイソプロピルアルコール分散液とした。
ついで、合成例2に準じて表面処理を行い、表面処理した酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子(A−3)分散液を調製した。
シリカ(SiO)に対する酸化アンチモンの質量比は0.20であった。導電性微粒子の粉体比抵抗は、600Ω・cm、屈折率1.41であった
合成例4(比較用)
[シリカ系微粒子(B−1)の調製]
合成例2で使用したシリカ系微粒子(C−1)を固形分濃度20質量%の水分散液とし、その水分散液100gに純水300gとメタノール400gを加え、これに正珪酸エチル(SiO2濃度28質量%)3.57gを混合し、50℃で15時間加熱撹拌してシリカ被覆層を形成したシリカ系微粒子水分散液を調製した。この分散液を限外濾過膜を用い、メタノールにて溶媒置換するとともに固形分濃度20質量%になるまで濃縮した。ついで、ロータリーエバポレーターにてイソプロピルアルコールに溶媒置換して濃度20質量%のシリカ系微粒子のイソプロピルアルコール分散液とした。
ついで、このシリカ系微粒子のイソプロピルアルコール分散液100gにメタクリル系シランカップリング剤(信越化学(株)製:KBM−503)0.73gを加え、50℃で15時間加熱撹拌してシリカ被覆層を形成し、表面処理したシリカ系微粒子(B−1)を調製した。このシリカ被覆層を形成し、表面処理したシリカ系微粒子(B−1)の平均粒子径は58nmであった。該微粒子の粉体は絶縁体であった。
合成例5(比較用)
[酸化アンチモン微粒子(B−2)の調製]
純水1800gに苛性カリ(旭硝子(株)製:純度85質量%)57gを溶解した溶液中に三酸化アンチモン(住友金属鉱山(株)製:KN 純度98.5質量%)111gを懸濁させた。この懸濁液を95℃に加熱し、次いで、過酸化水素水(林純薬(株)製:特級、純度35質量%)59.2gを純水194.9gで希釈した水溶液を6時間で添加(0.27mole/hr)し、三酸化アンチモンを溶解し、その後14時間熟成した。冷却後、得られた溶液から1000gを取り、この溶液を純水6000gで希釈した後、陽イオン交換樹脂(三菱化学(株)製:pk-216)に通して脱イオン処理を行った。このときのpHは2.0、電導度は3.1mS/cmであった。
ついで、温度70℃で10時間熟成した後、限外膜で濃縮して固形分濃度14質量%の酸化アンチモン微粒子分散液を調製した。得られた酸化アンチモン微粒子分散液(R-1)の
pHは2.1、電導度は1.2mS/cmであった。
酸化アンチモン微粒子分散液(R−1)を希釈して固形分濃度5質量%の分散液とし、この分散液100gにメタノール100gを加え、これに正珪酸エチル(SiO2濃度28質量%)1.79gを混合し、50℃で15時間加熱撹拌してシリカ被覆層を形成した酸化アンチモン微粒子分散液を調製した。この分散液を限外濾過膜を用い、メタノールにて溶媒置換するとともに固形分濃度20質量%になるまで濃縮した。ついで、ロータリーエバポレーターにてイソプロピルアルコールに溶媒置換して濃度20質量%の酸化アンチモン微粒子のイソプロピルアルコール分散液とした。
ついで、このシリカ被覆層を形成した酸化アンチモン微粒子のイソプロピルアルコール分散液100gにメタクリル系シランカップリング剤(信越化学(株)製:KBM-503)1.5gを加え、50℃で15時間加熱撹拌してシリカ被覆層を形成し、表面処理した酸化アンチモン微粒子(B-2)分散液を調製した。
平均粒子径は20nm、導電性微粒子の粉体比抵抗は、500Ω・cm、屈折率1.63であった
光学フィルムの作成例
[実施例1]
表1に示すハードコート層用塗布液(HC−1)〜(HC−6)を調製した。
Figure 0004991332
表中の構成成分は固形分の質量百分率で示す。使用した化合物の詳細を以下に示す。
PETA:(ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレートの混合物 日本化薬(株)製)
DPHA:(ジペンタエリスリトールペンタアクリレートとジペンタエリスリトールヘキサアクリレートの混合物 日本化薬(株)製)
オルガノシラン化合物:(3−アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、KBM−5103 信越化学工業(株)製)
重合開始剤:(イルガキュア184 日本チバガイギー(株)製)
架橋スチレン粒子:(3.5μm架橋ポリスチレン粒子、 SX−350、綜研化学(株)製)
架橋アクリルースチレン粒子:(3.5μm架橋アクリルースチレン粒子、
綜研化学(株)製)
架橋アクリル粒子:(3μm架橋PMMA粒子、MXS−300、
綜研化学(株)製)
シリカ粒子:(1.5μmシリカ粒子、KE−P150、日本触媒(株)製)
MIBK:(メチルイソブチルケトン)
IPA:(イソプロピルアルコール)
MEK:(メチルエチルケトン)
低屈折率層の塗布液を以下のようにして調製した。
(低屈折率層用塗布液(LL−1)の調製)
正珪酸エチル(SiO2濃度28質量%)32.1gとヘンイコサフルオロドデシルトリメトキシシラン1.22gをイソプロピルアルコール55.0g、純水10g、濃度61質量%の硝酸1.69gとの混合液に混合し、50℃で1時間撹拌し、固形分濃度10質量%のマトリックス形成成分液(M−1)を調製した。
ついで、マトリックス形成成分液(M−1)6.7gに、上記で調製した酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子(A−2)分散液1.65gを混合し、イソプロピルアルコールで希釈
し、固形分濃度1.0質量%の低屈折率層用塗布液(LL−1)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(LL−2)の調製)
低屈折率層用塗布液(LL−1)の調製において、酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子(A−2)の代わりに、上記比較用シリカ系粒子(B−1)を使用した以外は、(LL−1)と同様にして、固形分濃度1.0質量%の低屈折率層用塗布液(LL−2)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(LL−3)の調製)
正珪酸エチル(SiO2濃度28質量%)36.5gをイソプロピルアルコール51.8g、純水10g、濃度61質量%の硝酸1.69gとの混合液に混合し、50℃で1時間撹拌し、固形分濃度10質量%のマトリックス形成成分液(M−2)を調製した。
ついで、マトリックス形成成分液(M−2)7gに、上記で調製した酸化アンチモン被覆シリカ系微粒子(A−2)分散液1.5gを混合し、イソプロピルアルコールで希釈し、固形分濃度1.0質量%の低屈折率層用塗布液(LL−3)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(LL−4)の調製)
正珪酸エチル(SiO2濃度28質量%)34.3gとヘンイコサフルオロドデシルトリメトキシシラン0.61gをイソプロピルアルコール55.0g、純水10g、濃度61質量%の硝酸1.69gとの混合液に混合し、50℃で1時間撹拌し、固形分濃度10質量%のマトリックス形成成分液(M−3)を調製した。
ついで、マトリックス形成成分液(M−3)6.7gに、上記で調製した比較用シリカ粒子(B−1)分散液を1.65g混合し、イソプロピルアルコールで希釈し、固形分濃度1.0質量%の低屈折率層用塗布液(LL−4)を調製した。
(低屈折率層用塗布液(LL−7)の調製)
低屈折率層用塗布液(LL−1)において、含フッ素オルガノシラン化合物を同量のヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランに変更した以外は同様にして、低屈折率層用塗布液(LL−7)を作製した。
(防汚層用塗布液(OC−1)の調製)
ヘンイコサフルオロドデシルトリメトキシシランをイソプロピルアルコールに溶解し、0.1質量%の防汚層用塗布液(OC−1)を調製した。
上記のようにして得られた塗布液を用いて以下の光学フィルムを作製した。
(光学フィルム(101)の作製)
膜厚80μm、幅1340mmのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士フイルム(株)製}上に、ハードコート層用塗料(HC-1)をマイクログラビア塗工方式で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、窒素パージ(酸素濃度0.05%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、放射照度400mW/cm、照射エネルギー量100mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、膜厚4μmのハードコート層を作製した。このようにして得られたハードコート層付光学フィルムを(HC−1A)とする。
上記(HC−1A)の上に、上記低屈折率層用塗布液(LL−1)をマクログラビア方式で塗設して、硬化後の低屈折率層膜厚が95nmになるように調節して試料101を作製した。低屈折率層塗布直前に、低屈折率層用塗布液に全固形分に対して1.5質量%の3−イソシアネ−トプロピルトリエトキシシランを添加した。塗布後90℃、150秒で溶剤を蒸発させ、熱硬化を120℃、10分かけて行った。その後、酸素濃度が0.01体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、放射照度120mW/cm2、照射
エネルギー量240mJ/cm2の照射量で紫外線を照射した。硬化後の低屈折率層の屈
折率は1.43であった。このようにして光学フィルム(101)を作製した。
(光学フィルム(102)の作製)
膜厚80μm、幅1340mmのトリアセチルセルロースフィルム“TAC−TD80U”{富士フイルム(株)製}上に、ハードコート層用塗料(HC-1)をマイクロ
グラビア塗工方式で、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、窒素パージ(酸素濃度0.05%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、放射照度400mW/cm、照射エネルギー量100mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させ、膜厚3.7μmのハードコート層(HC−2A)を作製した。
上記(HC−2A)の上に、上記ハードコート層用塗料(HC−2)をマイクログラビア塗工方式で、硬化後の膜厚が0.3μmになるように調節しながら、搬送速度30m/分の条件で塗布し、60℃で150秒乾燥の後、窒素パージ(酸素濃度0.05%以下)しながら、160W/cmの空冷メタルハライドランプ{アイグラフィックス(株)製}を用いて、放射照度400mW/cm、照射エネルギー量100mJ/cmの紫外線を照射して塗布層を硬化させた。このようにして得られたハードコート層付光学フィルムを(HC−2B)とする。
上記(HC−2B)のハードコート層の上に、上記低屈折率層用塗布液(LL−2)をマクログラビア方式で塗設して、硬化後の低屈折率層膜厚が95nmになるように調節して試料102を作製した。低屈折率層塗布直前に、低屈折率層用塗布液に全固形分に対して1.5質量%の3−イソシアネ−トプロピルトリエトキシシランを添加した。塗布後90℃、150秒で溶剤を蒸発させ、熱硬化を120℃、10分かけて行った。その後、酸素濃度が0.01体積%以下の雰囲気になるように窒素パージしながら240W/cmの空冷メタルハライドランプ(アイグラフィックス(株)製)を用いて、放射照度120mW/cm2、照射エネルギー量240mJ/cm2の照射量で紫外線を照射した。このようにして光学フィルム(102)を作製した。
(光学フィルム(103)〜(105)の作製)
上記光学フィルム(101)の作製において、低屈折率層用塗布液を(LL−2)〜(LL−4))に変更した以外は(101)同様にして反射防止フィルム(103)〜(105)を作製した。
(光学フィルム(106)の作製)
上記光学フィルム((103)の上に、上記防汚層用塗布液(OC−1)を塗布し、110℃10分で硬化させ防汚層を形成した。防汚層の厚みは2nmであった。
光学フィルム(101)〜(106)の構成を表2に示す。これらフィルムの表面粗さ(Ra)を測定した結果、0.03〜0.05の範囲にあり、クリアーな面状を呈していた。
Figure 0004991332
上記表2において、試料No.101、106、及び107は、「本発明」と記載されているのを「参考例」と読み替えるものとする。
(光学フィルムの評価)
得られたフィルムについて、25℃60%RH条件下に試料を24時間置いた後に以下の項目の評価を行った。
(評価1)表面抵抗値(LogSR)
表面抵抗値(SR)を円電極法で測定した。表面抵抗値の常用対数をとりlog(SR)を算出した。表面の電荷が漏洩し、埃付着の低減が顕著なのはlog(SR)で12以下であり、10以下が特に好ましい。
(評価2)接触角
協和界面科学(株)製、自動接触角計CA−V型を用いて2μlの純水の液滴をフィルム上に滴下してから30秒後に接触角を求めた。本発明のフィルムの接触角は純水に対して95度以上であることが好ましく、105度以上であることが最も好ましい。
(評価3)動摩擦係数
HEIDON−14動摩擦測定機により5mmφステンレス鋼球、荷重100g、速度60cm/minにて測定した。0.30以下が好ましく、0.20が最も好ましい。
(評価4)(Si2p/F1s)
島津製作所(株)製“ESCA−3400”で(真空度1×10-5Pa、X線源;ターゲットMg、電圧12kV、電流20mA)で測定した光学フィルム最表面のSi2p及びF1sの光電子スペクトルの面積を用いて、表面のシリコン原子(Si2p)とフッ素原子(F1s)のピーク面積比(Si2p/F1s)を算出した。この比が小さい程、膜表面のシリコン原子に対するフッ素原子の割合が大きく、表面自由エネルギーの低下が期待される。
(評価5)防汚性・防汚耐久性
光学フィルムをガラス面上に粘着剤で固定し、25℃60RH%の条件下で黒マジック「マッキー極細(商品名:ZEBRA製)」のペン先(細)にて直径5mmの円形を3周書き込み、5秒後に10枚重ねに折り束ねたベンコット(商品名、旭化成(株))でベンコットの束がへこむ程度の荷重で20往復拭き取る。マジック後が拭き取りで消えなくなるまで前記の書き込みと拭き取りを前記条件で繰り返し、拭き取りできた回数により防汚性を評価した。消えなくなるまでの回数は15回以上であることが好ましく、50回以上であることが更に好ましい。
また、ラビングテスターで以下の条件で光学フィルムを擦った後に上記防汚性の評価と同じ操作を行うことで、防汚耐久性の評価を行った。
こすり材:試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)にベンコットM−3((株)旭化成製)を巻いて、動かないようバンド固定した。こすり先端部のベンコットに弱アルカリ性の家庭用洗剤(ガラスマイペット 花王(株)製))を1.0g含浸させた。
移動距離(片道):13cm、こすり速度:13cm/秒、
荷重:200g/cm、先端部接触面積:1cm×1cm、
こすり回数:10往復。
(評価6)防塵性
各反射防止フィルム試料の透明支持体側をCRT表面に張り付け、0.5μm以上のホコリ及びティッシュペーパー屑を、1ft3(立方フィート)当たり100〜200万個有する部屋で24時間使用した。反射防止膜100cm2当たり、付着したホコリとティッシュペーパー屑の数を測定し、それぞれの結果の平均値が20個未満の場合をA、20〜49個の場合をB、50〜199個の場合をC、200個以上の場合をDとして評価した。
(評価7)スチールウール耐擦傷性評価(SW)
ラビングテスターを用いて、以下の条件でこすりテストを行った。
評価環境条件:25℃、60%RH
こすり材:試料と接触するテスターのこすり先端部(1cm×1cm)にスチールウール((株)日本スチールウール製、No.0000)を巻いて、動かないようバンド固定した。その上で下記条件の往復こすり運動を与えた。
移動距離(片道):13cm、こすり速度:13cm/秒、
荷重:200g/cm、先端部接触面積:1cm×1cm、
こすり回数:10往復。
こすり終えた試料の裏側に油性黒インキを塗り、反射光で目視観察して、こすり部分の傷を、以下の基準で評価した。
○:非常に注意深く見ても、全く傷が見えない。
○△:非常に注意深く見ると僅かに弱い傷が見える。
△:弱い傷が見える。
△×:中程度の傷が見える。
×:一目見ただけで分かる傷がある。
(評価8)塗布ムラの評価
光学フィルムをA4の大きさのシートに切り出し、裏面に黒色粘着剤付きPETフィルムを貼り付け、3波長蛍光灯1000ルックス下で目視で、以下の基準で評価した。A4のシート5枚を観察し、ムラの発生の頻度を評価した。
◎:ムラが認められない。
○:1個以下のムラが認められる。通常の使用では満足できる。
△:1〜3個のムラが認められる。
×:3個以上のムラが認められる。
評価結果を表3に示す。
Figure 0004991332
上記表3において、試料No.101、106、及び107は、「本発明」と記載されているのを「参考例」と読み替えるものとする。
本発明に従い、内部が多孔質または中空である導電性粒子含有する層を有し、かつ、含フッ素シラン化合物を含有する光学フィルムは、表面抵抗が低く、高接触角、動摩擦係数が低く、光学フィルムの防塵性・耐擦傷性を悪化することなく防汚性、防汚耐久性に優れることが分かる。また、本発明の構成では、また、防塵性付与のために低屈折率層が帯電防止層を兼ねており、帯電防止のための新たな層の設置が不要であり、かつ、高屈折率の帯電防止層の設置がないため塗布ムラの発生が抑制されている。更に光学フィルムの最表面の表面抵抗を下げるのに必要な導電性粒子の絶対量が少なくコスト的にも有利である(試料101と102の比較)。また、本発明の内部が多孔質または中空である導電性粒子を含有する層又はその隣接層に含フッ素オルガノシラン化合物を含有する本発明の試料は、表面のフッ素原子の割合が同一でも、防汚耐久性に優れることが分かる(試料101と102、104の比較)。また、弱アルカリの洗剤を含有する不織布で擦った後の防汚耐久性は、炭素数が10以上のフルオロアルキル基(C1021−)を有するフッ素シラン化合物を用いると悪化が少なく、更に防汚層に用いると効果が高いことがわかる(試料101、105、107の比較)。また、本発明の光学フィルム(101)及び(106)は視感反射率が2.1と低反射であり、反射防止性能にも優れていた。
[実施例2]
(低屈折率層用塗布液(LL−5)の調製)
低屈折率層用塗布液(LL−1)において、含フッ素オルガノシラン化合物を同量の下記化合物(21)に変更した以外は同様にして、低屈折率層用塗布液(LL−5)を作製した。
化合物(21)
(CO)SiCNHCOCFO(CFO)
−(CFCFO)CFCONHCSi(OC
(式中、bおよびcはそれぞれ、2<b<16、3<c<14の自然数を表し、
1/2≦b/c≦2である。)
(低屈折率層用塗布液(LL−6)の調製)
低屈折率層用塗布液(LL−1)において、含フッ素オルガノシラン化合物を同量の下記化合物(22)に変更した以外は同様にして、低屈折率層用塗布液(LL−6)を作製した。
化合物(22)

〔C10213 6 (CH3 2 Si〕2 NH
(防汚用塗布液(OC−2)の調製)
ヘプタデカフルオロデシルトリメトキシシランをイソプロピルアルコールに溶解し、0.1質量%の防汚層用塗布液(OC−2)を調製した。
(防汚用塗布液(OC−3)の調製)
下記化合物(23)で表される含フッ素シラン化合物(分子量約5000、p=2〜10の混合物、ダイキン工業(株)製)をパーフルオロへキサンで希釈して、0.1質量%の防汚層用塗布液(OC−3)を調製した。
化合物(23)
Figure 0004991332
(防汚用塗布液(OC−4)の調製)
下記化合物(24)で表される含フッ素シラン化合物4質量部、と下記化合物(25)で表される長鎖炭化水素基を有するアルコキシシラン1質量部を、エチルアルコール200質量部に溶解した。更にアセチルアセトン1質量部と濃塩酸0.001質量部を添加して均一な溶液とした後、エチルアルコールで希釈して濃度0.1%の防汚層用塗布液(OC−4)を調製した
化合物(24)
CFO(CF(CF)CFO)CFCONHCSi(OC
(式中、aは、3≦a<12を表す。)
化合物(25)
1837Si(OC
(防汚用塗布液(OC−5)の調製)
フルオロポリエーテル基含有オルガノシラン化合物であるダイキン工業(株)製DSXをフロリナートFC−77(住友スリーエム(株)製)で希釈して、0.1質量%の防汚層用塗布液(OC−5)を調製した。
(光学フィルム(201)の作製)
実施例1のハードコート層付光学フィルム(HC−1A)において、ハードコート層用塗布液を(HC−5)に変更した以外は同様にして、ハードコート層付光学フィルム(HC−5A)を作製した。
(HC−5A)上に、実施例1の試料(101)に準じて低屈折率層用塗布液(LL−1)を塗布・硬化して光学フィルム(201)を作製した。
(光学フィルム(202〜203)の作製)
光学フィルム(201)の作製において、低屈折率層用塗布液種を表4に示すように変更して、光学フィルム(202〜203)を作製した。
(光学フィルム(204)の作製)
上記ハードコート層付光学フィルム(HC−5A)上に、実施例1の試料(103)に準じて低屈折率層用塗布液(LL−3)を塗布・硬化し低屈折率層まで塗布した光学フィルム(204)を得た。その上層に更に、上記防汚層用塗布液(OC−2)塗布し、110℃10分で硬化させ防汚層を形成した。防汚層の厚みは2nmであった。
(光学フィルム(205〜208)の作製)
光学フィルム(204)の作製において、防汚層用塗布液を表4に示すように変更して、光学フィルム(205〜208)を作製した。
光学フィルム(201)〜(208)の構成を表4に示す。
Figure 0004991332
これら光学フィルムを実施例1に準じた評価を行った。結果を表5に示す。
上記表4及び下記表5において、試料No.201〜208は、「本発明」と記載されているのを「参考例」と読み替えるものとする。
Figure 0004991332
表5から、本発明に従えば表面抵抗が低く、高接触角、動摩擦係数が低く、光学フィルムの防塵性・耐擦傷性を悪化することなく防汚性、防汚耐久性に優れることが分かる。特に、フルオロエーテル系化合物を用いた場合には、動摩擦係数が低く、防汚性・防汚耐久性ともに優れることが分かる。
[実施例3]
(光学フィルム(301)の作製)
実施例2の光学フィルム(206)において、低屈折率層の厚みを280nmに変更した以外は全く同様にして光学フィルム(301)を作製した。
(光学フィルム(302)の作製)
実施例2の光学フィルム(206)において、低屈折率層の導電性粒子を(A−2)から(A−3)に変更した以外は全く同様にして光学フィルム(302)を作製した。
(光学フィルム(303)の作製)
実施例2の光学フィルム(206)において、低屈折率層の導電性粒子を(A−2)から(A−1)に変更した以外は全く同様にして光学フィルム(303)を作製した。
これら光学フィルムを実施例1に準じた評価を行った。また、防塵性については、相対湿度を40%に低下させた条件の評価も追加で行った。結果を表6に示す。
Figure 0004991332
上記表6において、試料No.206は、「本発明」と記載されているのを「参考例」と読み替えるものとする。
表6から、導電性粒子を含む低屈折率層の膜厚を厚くすることや、導電性粒子自身の抵抗を下げることで、光学フィルムの表面抵抗が低下し、低湿度下での防塵性が改良されることが分かる。
光学フィルム(206)、(301)ともに視感反射率は1.9であった。導電性粒子を含有する層の膜厚を光学干渉の最適な条件に設定することにより視感反射率を実質上げることなく防塵性改良が達成できることが分かる。
[実施例5]
実施例1の光学フィルム(206)においてハードコート層の組成を表7に示すように変更した試料501〜504を作成した。
Figure 0004991332
上記表7において、試料No.501〜504は、「本発明」と記載されているのを「参考例」と読み替えるものとする。
各試料の表面粗さ、表面ヘイズ、内部ヘイズを測定した結果、以下の値を示した。
試料501(Ra=0.19μm、内部ヘイズ35%、表面へイズ6%)
試料502(Ra=0.06μm、内部ヘイズ15%、表面へイズ1%)
試料503(Ra=0.10μm、内部ヘイズ20%、表面へイズ3%)
試料504(Ra=0.10μm、内部ヘイズ 2%、表面へイズ8%)
実施例2に準じた評価を行った結果、どの試料も実施例2の試料206と同様に、表面抵抗が低く、防塵性と防汚耐久性に優れることが分かった。
[実施例6]
[光学フィルムの鹸化処理]
実施例2の光学フィルムの裏面を以下に示す条件で鹸化処理を行った。
アルカリ浴:1.5mol/dm水酸化ナトリウム水溶液、55℃−120秒。
第1水洗浴:水道水、60秒。
中和浴:0.05mol/dm硫酸、30℃−20秒。
第2水洗浴:水道水、60秒。
乾燥:120℃、60秒
[光学フィルム付き偏光板の作製]
延伸したポリビニルアルコールフィルムに、ヨウ素を吸着させて偏光膜を作製した。実施例2の鹸化処理済みの反射防止フィルムに、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、該反射防止フィルムの支持体(トリアセチルセルロース)側が偏光膜側となるように偏光膜の片側に貼り付けた。光学補償層を有する視野角拡大フィルム「ワイドビューフィルムSA12B」{富士写真フイルム(株)製}を鹸化処理し、ポリビニルアルコール系接着剤を用いて、偏光膜のもう一方の側に貼り付けた。このようにして偏光板を作製した。
作製した本発明の偏光板を装着したTNのモードの透過型液晶表示装置を評価した結果、視認性、防塵性、耐擦傷性、防汚性に優れた表示装置が作製できることが確認された。
[実施例7]
実施例2の光学フィルム試料を、有機EL表示装置の表面のガラス板に粘着剤を介して貼り合わせたところ、防汚性に優れ、低反射で、視認性の高い表示装置が得られた。
本発明のフィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明のフィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明のフィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明のフィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。 本発明のフィルムの好ましい実施形態を模式的に示す概略断面図である。
符号の説明
(1)支持体
(2)ハードコート層
(3)中屈折率層
(4)高屈折率層
(5)低屈折率層

Claims (9)

  1. 支持体上に、
    粒子内部が多孔質または中空である導電性粒子とオルガノシランの加水分解物及び/又は縮合反応物の少なくともいずれか1種の硬化物とを含有する層を有し、
    該層の上層に、パーフルオロポリエーテル基を含有する含フッ素シラン化合物を含有する防汚層を有する光学フィルムであって、
    前記含フッ素シラン化合物が、下記一般式[3]または一般式[5]で表される化合物であり、
    該光学フィルムのX線光電子分光法により測定した、膜表面のシリコン原子(Si2p)とフッ素原子(F1s)のピーク面積比(Si2p/F1s)が0.05以上0.15以下であり、
    光学フィルムの表面抵抗をlog(SR)で表したときの値が7〜8.9である光学フィルム。
    一般式[3]
    Figure 0004991332

    (式中、R f は炭素数1〜16の直鎖状または分岐状パーフルオロアルキル基、Xはヨウ素原子または水素原子、Yは水素原子または低級アルキル基、Zはフッ素原子またはトリフルオロメチル基、R 1 は加水分解可能な基、R 2 は水素または不活性な一価の有機基、a、b、c、dは0〜200の整数、eは0または1、mおよびnは0〜2の整数、及びpは1〜10の整数を表す。)
    一般式[5]
    Rf 5 [−(L 5 −X−R 51 −Si(OR 52 3 ]
    (式中、Rf 5 はパーフルオロポリエーテル基を、R 51 はアルキレン基を、R 52 はアルキル基を、L 5 は−CO−を、Xは−O−、−NR 53 −、−S−、−SO −、−SO NR 53 −、−NR 53 CO−から選ばれる基を、nは0又は1、mは2以下の自然数をそれぞれ表す。R 53 は水素原子又は炭素数3以下のアルキル基を表す。)
  2. 前記一般式[3]で表される含フッ素シラン化合物が、下記一般式[4]で表される化合物である請求項に記載の光学フィルム。
    一般式[4]
    Figure 0004991332

    (式中、Yは水素原子または低級アルキル基、R1は加水分解可能な基、qは1〜50の整数を、mは0〜2の整数、pは2〜10の整数を表す。)
  3. 光学フィルムのX線光電子分光法により測定した、膜表面のシリコン原子(Si2p)とフッ素原子(F1s)のピーク面積比(Si2p/F1s)が0.05以上0.08以下である請求項1または2に記載の光学フィルム。
  4. 前記導電性粒子を含有する層が低屈折率層であり、膜厚が130nm以上500nm以下である請求項1〜のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  5. 前記含フッ素シラン化合物を含有する層に、更に下記一般式[7]で表される化合物を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の光学フィルム。
    一般式[7]
    71−Si(OR723
    (式中、R71は炭素数10以上の長鎖炭化水素基を、R72はアルキル基を表す。)
  6. 動摩擦係数が0.02以上0.30以下である請求項1〜のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  7. 水の接触角が95度以上である請求項1〜6のいずれか一項に記載の光学フィルム。
  8. 請求項1〜のいずれか一項に記載の光学フィルムを有する偏光板。
  9. 請求項1〜のいずれか一項に記載の光学フィルムを有する画像表示装置。
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