JP2016020459A - 粘着層付導電フィルムの製造方法、および導電フィルム - Google Patents

粘着層付導電フィルムの製造方法、および導電フィルム Download PDF

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Abstract

【課題】ハンドリング性が優れた粘着層付導電フィルムの製造方法、および導電フィルムを提供する。
【解決手段】粘着層付導電フィルムの製造方法は、厚さが70μm未満の支持体に導電層が形成された導電層付支持体の支持体の一方の面に、粘着層を備える仮支持体を設ける工程と、仮支持体が設けられた導電層付支持体を固定する工程と、導電層付支持体の他方の面に剥離可能な剥離シート付き光学用透明粘着シートを設ける工程と、剥離シートを剥す工程を有する。仮支持体は、曲げ剛性が幅1cmあたり1×10−7Nm以上であり、仮支持体に対する支持体の粘着力が0.20N/25mm以上1N/25mm以下である。
【選択図】図1

Description

本発明は、タッチパネル等に使用される粘着層付導電フィルムの製造方法、および導電フィルムに関し、特に、ハンドリング性が優れた粘着層付導電フィルムの製造方法、および導電フィルムに関する。
近年、スマートフォンまたはタブレット型PCのような携帯型電子機器、およびコンピュータの入力装置としてタッチパネルが採用されることが増えている。さらに、軽量化、薄型化、または視認性向上のため、導電フィルムの支持体が多様化している。
特表2008−520463号公報
上述の軽量化、薄型化、または視認性向上のために、導電フィルムの支持体が薄膜化、または腰の弱い材質に変えることで、モジュール化工程でのハンドリングが困難となってくると考えられる。
具体的には、モジュール化工程の一例であるカバーガラスの貼合工程にて、吸引台の上で保護フィルム/導電膜/支持体/光学用透明粘着シート(OCA)を設置し、光学用透明粘着シート(OCA)のセパレーターを剥離するとき、吸引台と保護フィルム間、保護フィルムと導電膜との間でしわまたは剥離が生じるという問題が発生し、ハンドリング性が悪い。
ここで、特許文献1に、可撓性の機械的に補償された積層物質を調製する方法が記載されている。特許文献1では、2の仮の基板を用意し、仮の基板のそれぞれ上に透明無機物質層を施与する。そして、透明無機物質層上に透明担体、または透明無機物質層上に重合化透明担体のための重合性前駆体を施与する。引き続いて重合性前駆体を重合して、透明担体にし、仮の基板を除去することの一連の段階を含み、その両側が透明無機物質で少なくとも部分的に被覆されている透明担体を含んでいることが記載されている。
特許文献1では、仮の基板を除去することがなされており、この場合でも、上述のように、積層物質の各層の界面で剥離する恐れがあり、ハンドリング性が悪い。
本発明の目的は、前述の従来技術に基づく問題点を解消し、ハンドリング性が優れた粘着層付導電フィルムの製造方法、および導電フィルムを提供することにある。
上述の目的を達成するために、本発明は、厚さが70μm未満の支持体に導電層が形成された導電層付支持体の一方の面に、粘着層を備える仮支持体を設ける工程と、仮支持体が設けられた導電層付支持体を固定する工程と、導電層付支持体の他方の面に剥離可能な剥離シート付き光学用透明粘着シートを設ける工程と、剥離シートを剥す工程を有し、仮支持体は、曲げ剛性が幅1cmあたり1×10−7Nm以上であり、仮支持体に対する支持体の粘着力が0.20N/25mm以上1N/25mm以下であることを特徴とする粘着層付導電フィルムの製造方法を提供するものである。
また、本発明は、厚さが70μm未満の支持体に導電層が形成された導電層付支持体と、導電層を保護する保護フィルムとを有し、保護フィルムは、曲げ剛性が幅1cmあたり1×10−7Nm以上であり、保護フィルムに対する導電層の粘着力が0.20N/25mm以上1N/25mm以下であることを特徴とする導電フィルムを提供するものである。
支持体は、厚さが50μm以下であることが好ましく、支持体は、PET、COPまたはCOCで形成されていることが好ましい。
また、導電層は、支持体の両面に形成されていることが好ましい。
例えば、支持体を複数備え、導電層が各支持体の片面に形成されている場合には、支持体の厚さは複数の支持体の総厚を指すものとする。
導電層は、金属細線で構成されたメッシュ構造の導電パターンを有することが好ましい。金属細線は、表面の算術平均粗さが0.1μm以下であることが好ましく、0.05μm以下であることがより好ましい。
導電フィルムでは、一方の保護フィルムに対する導電層の粘着力は、他方の保護フィルムに対する粘着力に比して小さくすることもできる。
本発明によれば、支持体の厚みが70μm未満と薄い場合でも、ハンドリング性が良好であり、モジュール化工程の一例であるカバーガラスに貼り合せる等の後に工程において、歩留まりを向上させることができる。
(a)は、本発明の実施形態の導電フィルムの第1例を示す模式的断面図であり、(b)は、導電性細線により形成される導電パターンの一例を示す平面図である。 (a)〜(c)は、図1(a)に示す導電フィルムを用いたカバーガラスへの貼合工程を工程順に示す模式的断面図である。 (a)は、本発明の実施形態の導電フィルムの第2例を示す模式的断面図であり、(b)は、本発明の実施形態の導電フィルムの第3例を示す模式的断面図である。 (a)〜(c)は、図3(a)に示す導電フィルムを用いたカバーガラスへの貼合工程を工程順に示す模式的断面図である。
以下に、添付の図面に示す好適実施形態に基づいて、本発明の粘着層付導電フィルムの製造方法、および導電フィルムを詳細に説明する。
なお、以下において数値範囲を示す「〜」とは両側に記載された数値を含む。例えば、εが数値α〜数値βとは、εの範囲は数値αと数値βを含む範囲であり、数学記号で示せばα≦ε≦βである。
光学用透明、光学的透明、および単に透明とは、いずれも光透過率が可視光波長(波長400〜800nm)において、少なくとも60%以上のことであり、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上、さらにより好ましくは95%以上のことである。
図1(a)は、本発明の実施形態の導電フィルムの第1例を示す模式的断面図であり、(b)は、導電性細線により形成される導電パターンの一例を示す平面図である。
図1(a)に示す導電フィルム10は、導電層付き支持体12と保護フィルム20とを有し、導電層付き支持体12の両面に保護フィルム20が設けられている。
導電層付き支持体12は、支持体14と、第1の導電層16と、第2の導電層18とを有する。支持体14の裏面14bに第1の導電層16が形成され、支持体14の表面14aに複数の第2の導電層18が形成されている。第1の導電層16および第2の導電層18は、それぞれ導電性細線19で構成される。
導電層付き支持体12では、1つの支持体14の裏面14bに第1の導電層16を、表面14aに第2の導電層18を形成することにより、支持体14が伸縮しても、第1の導電層16と第2の導電層18との位置関係のズレを小さくできる。
支持体14は、可撓性を有し、第1の導電層16および第2の導電層18を支持するものであり、電気絶縁材料で構成される。支持体14は、例えば、プラスチックフィルム、プラスチック板、ガラス板等を用いることができる。プラスチックフィルムおよびプラスチック板は、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、エチレンビニルアセテート(EVA)、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)等のポリオレフィン類、ビニル系樹脂、その他、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)等で構成することができる。光透過性、熱収縮性、および加工性等の観点から、ポリエチレンテレフタレート(PET)、シクロオレフィンポリマー(COP)、シクロオレフィンコポリマー(COC)等のポリオレフィン類で構成することが好ましい。
支持体14としては、大気圧プラズマ処理、コロナ放電処理、および紫外線照射処理のうち、少なくとも1つの処理が施された処理済支持体を用いることもできる。上述の処理が施されることにより、処理済支持体表面にはOH基等の親水性基が導入され、第1の導電層16および第2の導電層18との密着性がより向上する。上述の処理の中でも、第1の導電層16および第2の導電層18との密着性がより向上する点で、大気圧プラズマ処理が好ましい。
支持体14の厚さtは70μm未満である。支持体14の厚さtが70μm以上では、導電層付き支持体12全体の厚さが厚くなってしまい、軽量化および薄型化のメリットが少なくなる。なお、支持体14の厚さtは50μm以下であることが好ましい。
第1の導電層16と第2の導電層18は、それぞれ、タッチパネルに用いた場合には、検出電極として機能するものである。
第1の導電層16と第2の導電層18を構成する導電性細線19は、例えば、導電性を有する金属細線で構成される。
金属細線は、特に限定されるものではなく、例えば、ITO、Au、AgまたはCuで形成される。また、金属細線は、ITO、Au、AgまたはCuに、さらにバインダーを含むもので構成してもよい。金属細線は、バインダーを含むことにより、曲げ加工しやすくなり、かつ曲げ耐性が向上する。このため、導電性細線19はバインダーを含む導体で構成することが好ましい。バインダーとしては、導電性フィルムの配線に利用されるものを適宜用いることができ、例えば、特開2013−149236号公報に記載されているものを用いることができる。
導電性細線19の線幅は特に制限されないが、30μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましく、7μm以下が特に好ましく、4μm以下が最も好ましく、0.5μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましい。上述の範囲であれば、第1の導電層16と第2の導電層18を比較的容易に低抵抗にできる。
導電性細線19がタッチパネル用導電フィルムにおける周辺配線(引き出し配線)として適用される場合には、導電性細線19の線幅は500μm以下が好ましく、50μm以下がより好ましく、30μm以下が特に好ましい。上述の範囲であれば、低抵抗のタッチパネル電極を比較的容易に形成できる。
また、導電性細線19がタッチパネル用導電フィルムにおける周辺配線として適用される場合、タッチパネル用導電フィルムにおける周辺配線は、メッシュパターン電極とすることもでき、その場合線幅は特に制限されないが、30μm以下が好ましく、15μm以下がより好ましく、10μm以下がさらに好ましく、9μm以下が特に好ましく、7μm以下が最も好ましく、0.5μm以上が好ましく、1.0μm以上がより好ましい。上述の範囲であれば、低抵抗の電極を比較的容易に形成できる。タッチパネル用導電フィルムにおける周辺配線をメッシュパターン電極とすることでキセノンフラッシュランプからのパルス光を照射する工程において、感知電極と周辺配線の照射による低抵抗化の均一性を高めることができるほか、透明粘着層を貼合した場合に、感知電極と周辺配線のピール強度を一定にでき、面内分布が小さくできる点で好ましい。
導電性細線19の厚みは特に制限されないが、0.001mm〜0.2mmが好ましく、30μm以下であることがより好ましく、20μm以下であることがさらに好ましく、0.01〜9μmであることが特に好ましく、0.05〜5μmであることが最も好ましい。上述の範囲であれば、低抵抗の電極で、耐久性に優れた電極を比較的容易に形成できる。
導電性細線19は、その表面19aの表面粗さは、算術平均粗さRa(JIS B 0601−1994)で0.1μm以下であることが好ましく、0.05μm以下であることがより好ましい。算術平均粗さRaが0.1μm以下であれば、導電性細線19の表面19aに保護フィルム20があり、この保護フィルム20を剥す際に、保護フィルム20に導電性細線19の少なくとも一部が付着することを抑制することができる。このように導電性細線19の少なくとも一部が他の部材に付着してしまうことを配線転写という。
導電性細線19で形成される導電パターンは特に制限されず、正三角形、二等辺三角形、直角三角形等の三角形、正方形、長方形、菱形、平行四辺形、台形等の四角形、(正)六角形、(正)八角形等の(正)n角形、円、楕円、星形等を組み合わせた幾何学図形であることが好ましく、これらの幾何学図形からなるメッシュ構造であることがさらに好ましい。メッシュ構造とは、図1(b)に示すように、交差する導電性細線19により構成される複数の正方形状の格子17を含んでいる形状を意図する。この格子17で開口部が形成される。このように、第1の導電層16と第2の導電層18は、金属細線により、例えば、メッシュ構造の導電パターンが形成される。
格子17の一辺の長さPaは特に制限されないが、50〜500μmであることが好ましく、150〜400μmであることがさらに好ましい。単位格子の辺の長さが上述の範囲である場合には、さらに透明性も良好に保つことが可能であり、表示装置の前面にとりつけた際に、違和感なく表示を視認することができる。
可視光透過率の点から、導電性細線19より形成される導電パターンの開口部の開口率は85%以上であることが好ましく、90%以上であることがより好ましく、95%以上であることが最も好ましい。開口率とは、導電性細線19がある領域を除いた支持体上の領域が全体に占める割合に相当する。
第1の導電層16と第2の導電層18を、金属細線が交差してメッシュ状となったメッシュ構造とすることで、抵抗を低くでき、3次元形状に成形する際に断線しにくく、さらには断線が発生した場合にも検出電極の抵抗値への影響を低減できる。
メッシュ構造の場合、メッシュ形状は同じ形が規則的に配列した定型形状でも良く、ランダム形状でも良い。定型形状の場合は、正方形、菱形、正六角形が好ましく、特に菱形が好ましい。菱形の場合、その鋭角の角度は、50°〜80°であることが、表示装置とのモアレを低減する観点から好ましい。メッシュピッチは50μm〜500μmであることが好ましく、メッシュの開口率は92%〜99%であることが好ましい。メッシュの開口率は、メッシュ部における導体細線の非占有面積率で定義される。
なお、メッシュ状金属電極としては、例えば、特開2011−129501号公報、および特開2013−149236号公報等に開示されている網目状のメッシュ状金属電極を用いることができる。これ以外にも、例えば、静電容量式のタッチパネルに用いられる検出電極を適宜用いることができる。
第1の導電層16および第2の導電層18の形成方法は、特に限定されるものではない。例えば、感光性ハロゲン化銀塩を含有する乳剤層を有する感光材料を露光し、現像処理を施すことによって形成することができる。また、支持体14上に金属箔を形成し、各金属箔上にレジストをパターン状に印刷するか、または全面塗布したレジストを露光し、現像することでパターン化して、開口部の金属をエッチングすることにより第1の導電層16、第2の導電層18を形成することができる。これ以外にも、第1の導電層16と第2の導電層18の形成方法としては、上述の導体を構成する材料の微粒子を含むペーストを印刷し、ペーストに金属めっきを施す方法、および上述の導体を構成する材料の微粒子を含むインクを用いたインクジェット法を用いる方法が挙げられる。
保護フィルム20は、導電層付き支持体12、特に第1の導電層16と第2の導電層18を保護するためのものである。保護フィルム20は、粘着層22と、この粘着層22が設けられる基材24とを有し、剥離可能なものである。
保護フィルム20は、曲げ剛性が幅1cmあたり1×10−7Nm以上であり、保護フィルム20に対する第1の導電層16と第2の導電層18の粘着力が0.20N/25mm以上1N/25mm以下である。粘着力は0.20N/25mm以上0.50N/25mm以下が好ましく、0.20N/25mm以上0.26N/25mm以下がより好ましい。なお、曲げ剛性の上限値は、例えば、幅1cmあたり20×10−7Nmである。
曲げ剛性は、ヤング率と断面二次モーメントとの積で表されることが知られている。保護フィルムの断面を矩形とみなした場合、保護フィルムの曲げ剛性は、保護フィルムのヤング率×((膜厚)×サンプル幅/12)で算出された値である。サンプル幅には、0.01mmを用いる。
ヤング率は、保護フィルム20に用いられる材料の物性値、または保護フィルム20を引張試験で求めた値を用いる。
粘着力は、保護フィルムに対する導電層の剥離力とした。なお、剥離力は、ピール速度300mm/sとして求めた値である。
導電フィルム10の支持体14の厚さを70μm未満にしたことで、従来の保護フィルムを用いた場合、カバーガラスの貼合工程(図2(c)参照)のようなモジュール化工程で、例えば、吸引台30(図2(a)参照)に,導電フィルム10を第1の導電層16を吸引台に向けて固定し、第2の導電層18上の保護フィルム20を剥し、カバーガラス32((図2(c)参照))と接合するための光学用透明粘着シート26(図2(b)参照)の剥離可能な剥離シート27(図2(b)参照)を剥す際に、吸引台30と保護フィルム20間、保護フィルム20と第1の導電層16との間でしわが生じたり、剥離が生じるという問題がある。このため、カバーガラス32を張り合わせた際に、気泡が入り込んでしまったり、異物の巻き込み等が発生してしまい、ハンドリング性が悪い。なお、上述の吸引台30との剥離については、単に吸引力を大きくしただけでは吸引台と保護フィルム20間の剥離が防止できないことを確認している。
そこで、本発明者は、この問題を解決するため、鋭意実験研究を重ねた結果、導電フィルム10の支持体14の材質と厚みを調整してコシを持たせることで、吸引台30と保護フィルム20との間の剥離、またはしわの発生を抑制することができることを見出した。
さらには、保護フィルム20と第1の導電層16と第2の導電層18との粘着性を上げることで、保護フィルム20と第1の導電層16の剥離を抑制することができることも見出した。特に、保護フィルム20のコシ、すなわち、曲げ剛性は重要であり、コシのない保護フィルム20を用いた場合は、支持体14にしわが発生しやすく局所的に応力が働くため、例え、粘着力が0.20N/25mm以上であっても保護フィルム20と第1の導電層16との剥離も同時に生じることが推測される。以上のことから、カバーガラスの貼合工程のような後工程において、ハンドリング性の良い導電フィルム10が得られ、モジュール化の際歩留まりが向上することが分かった。
本発明では、保護フィルム20について、曲げ剛性を幅1cmあたり1×10−7Nm以上とし、上述の粘着力を0.20N/25mm以上1N/25mm以下とすることにより、ハンドリング性の良い導電フィルム10を得ることができる。
曲げ剛性が幅1cmあたり1×10−7Nm未満であると、後述するカバーガラス貼合工程のようなモジュール化工程で、カバーガラス32と接合するための光学用透明粘着シート26の剥離可能な剥離シート27を剥す際に、保護フィルム20と吸引台30との間での剥離、保護フィルム20と導電層との間での剥離が生じてしまう。
上述の粘着力が0.20N/25mm未満であると、上述の剥離シート27を剥す際に、保護フィルム20と吸引台30との間での剥離、保護フィルム20と導電層との間での剥離が生じてしまう。一方、上述の粘着力が1N/25mmを超えると、配線転写が生じる。
なお、保護フィルム20は、上述の曲げ剛性および粘着力の範囲であれば、第1の導電層16に対する粘着力と、第2の導電層18に対する粘着力とは、同じでなくてもよく、一方の粘着力を他方に比して小さくしてもよい。導電フィルム10の場合、第2の導電層18側にカバーガラスが貼合されるため、第2の導電層18側の保護フィルム20の粘着力を小さくしてもよい。
導電フィルム10は、種々の用途に用いることができる。例えば、タッチパネル用電極、無機EL素子用電極、有機EL素子用電極または太陽電池用電極等の各種電極、発熱シート、またはプリント配線基板として使用することができる。なかでも、導電フィルム10は、タッチパネルに用いられることが好ましく、静電容量方式のタッチパネルに用いられることが特に好ましい。その場合、第1の導電層16、第2の導電層18は、例えば、静電容量式タッチパネルの検出電極、および検出電極に接続された引き出し配線等を構成していてもよい。
また、導電フィルム10は、耐久性に優れているため、センサー部が曲面上に設けられたような、立体的な形状を有するタッチパネルにも応用することができる。
また、他の用途としては、導電フィルム10は、パーソナルコンピュータ、ワークステーション等から発生する電波またはマイクロ波(極超短波)等の電磁波を遮断し、かつ静電気を防止する電磁波シールドとして用いることもできる。なお、パソコン本体に使用される電磁波シールド以外にも、映像撮影機器および電子医療機器等で使用される電磁波シールドとしても用いることができる。さらには、導電フィルム10は、透明発熱体としても用いることができる。
次に、導電フィルム10のモジュール化工程の一例として、カバーガラスへの貼合工程について説明する。
図2(a)〜(c)は、図1(a)に示す導電フィルム10を用いたカバーガラスへの貼合工程を工程順に示す模式的断面図である。
まず、図2(a)に示すように、吸引台30に導電フィルム10を、第1の導電層16を吸引台30に向けて固定する。吸引台30は、その表面30aに、例えば、複数の貫通孔(図示せず)が形成されており、この貫通孔が空気を吸い込むポンプ(図示せず)に接続されており、ポンプにより貫通孔を介して空気が吸い込まれ、この吸い込み力により、導電フィルム10が吸引されて固定される。なお、導電フィルム10を固定することができればよいため、導電フィルム10を固定するものは吸引台30に限定されるものではない。そして、第2の導電層18側の保護フィルム20を剥して、第2の導電層18を露出させる。
次に、図2(b)に示すように、第2の導電層18上に光学用透明粘着シート26を貼り付ける。この光学用透明粘着シート26は、剥離可能な剥離シート27上に光学用透明粘着層28が設けられている。剥離シート27を剥し、光学用透明粘着層28を露出させる。この状態のもののことを粘着層付導電フィルム29(図2(c)参照)という。このとき、上述のように保護フィルム20の曲げ剛性および粘着力を上述の範囲とすることで、保護フィルム20と吸引台30との間の剥離、保護フィルム20と第1の導電層16との間での剥離、またはしわが生じることが抑制される。
なお、光学用透明粘着層28は、光学的に透明で絶縁性を有するものであれば、特に限定されるものではない。
次に、図2(c)に示すように、第2の導電層18上の光学用透明粘着層28の上方にカバーガラス32を配置する。そして、導電フィルム10をカバーガラス32に光学用透明粘着層28を介して貼合する。この場合、上述のように、保護フィルム20と吸引台30との間の剥離、保護フィルム20と第1の導電層16との間での剥離、またはしわが生じることが抑制されているため、導電フィルム10とカバーガラス32との間に気泡が入り込んでしまったり、異物の巻き込むこと等がなく、ハンドリング性が良い。これにより、モジュール化の歩留まりが向上し、生産性を高くすることができる。
なお、第2の導電層18側の保護フィルム20を剥す際にも、保護フィルム20と吸引台30との間の剥離、保護フィルム20と第1の導電層16との間での剥離、またはしわが生じることが抑制されることは言うまでもない。さらには、第2の導電層18が保護フィルム20に配線転写することもない。このように、ハンドリング性が良い。
次に、導電フィルム10の別形態について説明する。
図3(a)は、本発明の実施形態の導電フィルムの第2例を示す模式的断面図であり、(b)は、本発明の実施形態の導電フィルムの第3例を示す模式的断面図である。なお、図3(a)、(b)において、図1に示す導電フィルム10と同一構成物には、同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
図3(a)に示す導電フィルム40は、図1(a)、(b)に示す導電フィルム10と同じ機能を有するものであり、用途等は同じである。
導電フィルム40は、導電フィルム10に比して、1つの支持体14に第1の導電層16と第2の導電層18が形成されているのではなく、1つの支持体48の表面48aに第1の導電層16が形成された導電部材42と、1つの支持体48の表面48aに第2の導電層18が形成された導電部材44とが、第1の導電層16上に配置された光学的透明な粘着剤層46(OCA)を挟んで接合されており、第2の導電層18上に保護フィルム20が設けられている点が異なり、それ以外の構成は、図1(a)に示す導電フィルム10と同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。図3(a)に示す導電フィルム40では、保護フィルム20が1つしか設けられていない。
光学的透明な粘着剤層46は、光学的に透明で絶縁性を有するものであれば、特に限定されるものではない。
図3(a)に示す導電フィルム40では、2つの支持体48があるが、2つの支持体48の合計の厚みが70μm未満であり、好ましくは50μm以下である。
次に、図3(b)に示す導電フィルム50について説明する。
図3(b)に示す導電フィルム50において、図1(a)、(b)に示す導電フィルム10と同じ機能を有するものであり、用途等は同じである。
導電フィルム50は、導電フィルム10に比して、1つの支持体14に第1の導電層16と第2の導電層18が形成されているのではなく、1つの支持体58の表面58aに第1の導電層16が形成された導電部材52と、1つの支持体58の表面58aに第2の導電層18が形成された導電部材54とが、第1の導電層16と第2の導電層18を向い合せて光学的透明な粘着剤層56(OCA)を挟んで接合されており、保護フィルム20が設けられていない点が異なり、それ以外の構成は、図1(a)に示す導電フィルム10と同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。
図3(b)に示す導電フィルム50では、2つの支持体58があるが、2つの支持体58の合計の厚みが70μm未満であり、好ましくは50μm以下である。
なお、光学的透明な粘着剤層56は、光学的に透明で絶縁性を有するものであれば、特に限定されるものではない。
次に、導電フィルム40を用いたカバーガラス32の貼合工程について説明する。
図4(a)〜(c)は、図3(a)に示す導電フィルム40を用いたカバーガラスへの貼合工程を工程順に示す模式的断面図である。なお、図2(a)〜(c)に示す導電フィルム10を用いたカバーガラス32への貼合工程と同一工程については、その詳細な説明は省略し、また貼合工程で用いた構成物には同一符号を付して、その詳細な説明は省略する。
導電フィルム40は保護フィルム20が片側にしか設けられていない。しかし、導電フィルム40も2つの支持体48の総厚は70μm未満である。この場合でも、吸引台30で固定してカバーガラス32を貼合する場合、光学用透明粘着シート26の剥離シート27を剥すと、支持体48と吸引台30との間での剥離、または支持体48のしわの発生が問題になる。
そこで、図4(a)に示すように、保護フィルム20が設けられていない側の支持体48の裏面48bに、導電フィルム10の吸引台30側の保護フィルム20と同様の機能を果たす仮支持体60を設ける。
仮支持体60は、粘着層62と、この粘着層62が設けられる基材64とを有する。仮支持体60の粘着層62を支持体48の裏面48bに向けて配置する。
なお、仮支持体60は、保護フィルム20と同様の構成であるため、その詳細な説明は省略する。仮支持体60は、曲げ剛性を幅1cmあたり1×10−7Nm以上であり、上述の粘着力が0.20N/25mm以上1N/25mm以下である。
また、仮支持体60は、後述のカバーガラス貼合工程において、カバーガラスと貼合された後、剥されてしまうものである。
次に、導電フィルム40を、仮支持体60を吸引台30に向けて導電フィルム40を配置し、吸引台30で導電フィルム40を吸引し固定する。
次に、保護フィルム20を剥し、第2の導電層18を露出させる。この場合、仮支持体60と吸引台30との間の剥離、仮支持体60と支持体48との間での剥離、またはしわが生じることが抑制される。
次に、図4(b)に示すように、第2の導電層18上に光学用透明粘着シート26を貼り付け、剥離シート27を剥し、光学用透明粘着層28を露出させる。この状態のもののことを粘着層付導電フィルム49((図4(c)参照))という。このとき、上述のように仮支持体60の曲げ剛性および粘着力を上述の範囲とすることで、仮支持体60と吸引台30との間の剥離、仮支持体60と支持体48との間での剥離、またはしわが生じることが抑制される。
次に、図4(c)に示すように、第2の導電層18上の光学用透明粘着層28の上方にカバーガラス32を配置する。そして、導電フィルム40をカバーガラス32に光学用透明粘着層28を介して貼合する。この場合、上述のように、仮支持体60と吸引台30との間の剥離、仮支持体60と支持体48との間での剥離、またはしわが生じることが抑制されているため、導電フィルム40とカバーガラス32との間に気泡が入り込んでしまったり、異物の巻き込むこと等がなく、ハンドリング性が良い。これにより、モジュール化の歩留まりが向上し、生産性を高くすることができる。
カバーガラス32を貼合した後、吸引台30による固定を解除し、仮支持体60を支持体48から剥す。
なお、図3(b)に示す導電フィルム50も、支持体58には保護フィルムが設けられていないため、導電フィルム40と同様に支持体58の裏面58bに仮支持体60(図4(a)参照)を設けて、カバーガラスの貼合工程を実施する。なお、導電フィルム50のカバーガラスの貼合工程は、第2の導電層18の支持体58に光学用透明粘着シート26を設け、剥離シート27を剥し、光学用透明粘着層28を露出させてカバーガラス32に貼合することによりなされる。導電フィルム50とカバーガラス32との間に気泡が入り込んでしまったり、異物の巻き込むこと等がなく、ハンドリング性が良い。これにより、モジュール化の歩留まりが向上し、生産性を高くすることができる。
以下、上述の導電フィルム10、導電フィルム40および導電フィルム50の金属細線について説明する。なお、以下において、第1の導電層16と第2の導電層18とを合わせて単に、導電層ともいう。
金属細線は、ゼラチンが含まれていてもよい。ゼラチンの種類は特に制限されず、例えば、石灰処理ゼラチンの他、酸処理ゼラチンを用いてもよく、ゼラチンの加水分解物、ゼラチン酵素分解物、アミノ基またはカルボキシル基を修飾したゼラチン(フタル化ゼラチン、アセチル化ゼラチン)を使用することもできる。
金属細線には、ゼラチン以外の成分が含まれていてもよい。
例えば、金属細線には、後述するゼラチンとは異なる高分子が含まれていてもよい。ゼラチンとは異なる高分子が含まれる場合、金属細線中における金属銀とゼラチンとは異なる高分子の質量比(金属銀/ゼラチンとは異なる高分子)は特に制限されないが、金属細線の強度がより優れ、イオンマイグレーションがより抑制される点で、0.3〜0.9が好ましく、0.4〜0.7がより好ましい。
ゼラチンとは異なる高分子(以後、単に高分子とも称する)としては、タンパク質を含まない高分子であることが好ましい。言い換えると、タンパク質分解酵素により分解しない高分子であることが好ましい。
より具体的には、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ビニル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリジエン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、セルロース系重合体およびキトサン系重合体、からなる群から選ばれる少なくともいずれかの樹脂、または、これらの樹脂を構成する単量体からなる共重合体等が挙げられる。なかでも、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、および、ポリエステル樹脂からなる群から選ばれる少なくともいずれかの樹脂、または、これらの樹脂を構成する単量体からなら共重合体等が挙げられる。
導電フィルム10は、上述した支持体14と導電性細線19との間に他の層、例えば、下塗り層、アンチハレーション層を備えていてもよい。アンチハレーション層に用いる材料とその使用方法に関しては特に制限されず、例えば、特開2009−188360号公報の段落[0029]〜[0032]等に例示される。
本発明の導電フィルムを備えるタッチパネルの好ましい態様としては、導電フィルムの導電層上に配置された透明粘着層とを備えるタッチパネルであって、透明粘着層に含まれる粘着剤の酸価が100mgKOH/g以下であり、粘着剤の吸水率が1.0%以下である、タッチパネルが挙げられる。上述の態様のタッチパネルであれば、導電性細線間でのイオンマイグレーションがより抑制される。
上述の透明粘着層中の粘着剤の酸価は100mgKOH/mg以下が好ましいが、なかでもイオンマイグレーションがより抑制される点で、0〜60mgKOH/mgがより好ましく、0〜40mgKOH/mgがさらに好ましい。
上述の酸価は、JIS K0070:1992「化学製品の酸価、けん化価、エステル価、よう素価、水酸基価及び不けん化物の試験方法」に準拠し、中和滴定法を用いて測定したものである。
粘着剤の吸水率は1.0%以下が好ましいが、なかでもイオンマイグレーションがより抑制される点で、0〜0.95%がより好ましく、0〜0.90%がさらに好ましく、0〜0.80%が特に好ましい。
粘着剤の吸水率は以下のとおり算出したものである。
銅板上に粘着剤を5cm×5cm、厚み100μmの大きさで貼り合わせた後、温度85℃、湿度85%の環境下で24時間静置した前後の重量変化[{(静置後の粘着剤の重量)−(静置前の粘着剤の重量)}/(静置前の粘着剤の重量)×100]から算出する。なお、高温恒湿槽から取り出した後、重量が安定するまで、5分間放置した後、測定する。
なお、粘着剤としては、粘着性絶縁材料が好ましい。
上述の粘着性絶縁材料の好適態様であるアクリル系粘着性絶縁材料は、アルキル(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位を有するアクリル系ポリマーを主成分としたものである。なお、(メタ)アクリレートは、アクリレートおよび/またはメタクリレートをいう。アクリル系粘着性絶縁材料のなかでも、粘着性がより優れる点から、アルキル基の炭素数が1〜12程度であるアルキル(メタ)アクリレート由来の繰り返し単位を有するアクリル系ポリマーであることが好ましく、相互静電容量の変化率がより小さくなる点で、上述の炭素数のアルキルメタクリレート由来の繰り返し単位および上述の炭素数のアルキルアクリレート由来の繰り返し単位を有するアクリル系ポリマーがより好ましい。
上述のアクリル系ポリマー中の繰り返し単位のなかには、(メタ)アクリル酸由来の繰り返し単位が含まれていてもよい。
また、導電フィルムは、支持体上の導電性細線間に、ゼラチンとは異なる高分子が含まれ、ゼラチンが実質的に含まれないバインダー部を有するものであってもよい。より具体的には、支持体14と、支持体14上に配置された導電性細線19間に配置されたバインダー部(図示せず)とを備える構成である。導電性細線19間にバインダー部を設けることにより、導電性細線19間のイオンマイグレーションがより抑制される。
導電フィルムの製造方法は特に制限されないが、生産性に優れる点で、支持体上に所定のハロゲン化銀含有感光性層を形成する工程Aと、ハロゲン化銀含有感光性層に露光・現像処理を行う工程Bと、加熱処理を行う工程Cと、タンパク質分解酵素で処理する工程Dとを少なくとも備える製造方法が好ましい。
以下では、各工程で使用される材料およびその手順について説明する。
[工程A(ハロゲン化銀含有感光性層形成工程)]
工程Aは、支持体上に、ハロゲン化銀と、ゼラチンと、ゼラチンとは異なる高分子とを含み、ゼラチンの質量Xと高分子の質量Yとの質量比(Y/X)が0.1以上であるハロゲン化銀含有感光性層(以後、単に「感光性層」とも称する)を形成する工程(ハロゲン化銀含有感光性層形成工程)である。本工程により、後述する露光処理が施される感光性層付き支持体が製造される。
より具体的には、支持体上に、ハロゲン化銀(例えば、臭化銀粒子、塩臭化銀粒子および沃臭化銀粒子)とゼラチンとゼラチンとは異なる高分子とを含むハロゲン化銀含有感光性層を形成する。
まず、本工程Aで使用される材料・部材について詳述し、その後工程Aの手順について詳述する。なお、使用される支持体、ゼラチン、ゼラチンとは異なる高分子の定義は、上述の通りである。
(ハロゲン化銀)
ハロゲン化銀に含有されるハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素およびフッ素のいずれであってもよく、これらを組み合わせでもよい。例えば、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀を主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられ、さらに臭化銀または塩化銀を主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられる。塩臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀もまた好ましく用いられる。より好ましくは、塩臭化銀、臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀であり、最も好ましくは、塩化銀50モル%以上を含有する塩臭化銀、沃塩臭化銀が用いられる。
なお、ここで、「臭化銀を主体としたハロゲン化銀」とは、ハロゲン化銀組成中に占める臭化物イオンのモル分率が50%以上のハロゲン化銀をいう。この臭化銀を主体としたハロゲン化銀粒子は、臭化物イオンのほかに沃化物イオン、塩化物イオンを含有していてもよい。
ハロゲン化銀は固体粒子状であり、露光、現像処理後に形成される導電層のパターン性の観点からは、ハロゲン化銀の平均粒子サイズは、球相当径で0.1〜1000nm(1μm)であることが好ましく、0.1〜100nmであることがより好ましく、1〜50nmであることがさらに好ましい。
なお、ハロゲン化銀粒子の球相当径とは、粒子形状が球形の同じ体積を有する粒子の直径である。
ハロゲン化銀粒子の形状は特に限定されず、例えば、球状、立方体状、平板状(六角形平板状、三角形平板状、四角形平板状等)、八面体状、14面体状等様々な形状であることができる。
また、ハロゲン化銀の安定化または高感度化のために用いられるロジウム化合物、イリジウム化合物等のVIII族、VIIB族に属する金属化合物、パラジウム化合物の利用については、特開2009−188360号の段落0039〜段落0042の記載を参照することができる。さらに化学増感については、特開2009−188360号の段落0043の技術記載を参照することができる。
(その他)
ハロゲン化銀含有感光性層には、必要に応じて、上述した材料以外の他の材料が含まれていてもよい。例えば、ハロゲン化銀の安定化および高感度化のために用いられるロジウム化合物、イリジウム化合物等のVIII族、VIIB族に属する金属化合物が挙げられる。または、特開2009−004348号公報の段落[0220]〜[0241]に記載されるような、帯電防止剤、造核促進剤、分光増感色素、界面活性剤、カブリ防止剤、硬膜剤、黒ポツ防止剤、レドックス化合物、モノメチン化合物、ジヒドロキシベンゼン類等が挙げられる。さらには、物理現像核が含まれていてもよい。
なかでも、ハロゲン化銀含有感光性層には、上述の高分子同士を架橋するために使用される架橋剤が含まれることが好ましい。架橋剤が含まれることにより、高分子同士間での架橋が進行し、後述する工程Dにおいてゼラチンが分解除去された際にも導電層中の金属銀同士の連結が保たれ、結果として導電特性に優れた導電膜が得られる。
使用される架橋剤の種類は特に制限されず、使用される高分子の構造に応じて適宜最適な架橋剤が選択される。通常、架橋剤は、高分子中に含まれる基(反応性基)と反応する架橋性基を少なくとも2つ有する。
例えば、上述の高分子中の反応性基と、架橋剤中の架橋性基との好適な組み合わせとしては、反応性がより優れる点で、例えば、以下の(1)〜(8)の組み合わせが挙げられる。
(1)水酸基とイソシアネート基
(2)カルボン酸基とエポキシ基
(3)水酸基とカルボン酸無水物基
(4)カルボン酸基とイソシアネート基
(5)アミノ基とイソシアネート基
(6)水酸基とエポキシ基
(7)アミノ基とエポキシ基
(8)アミノ基とハロゲン化アルキル基
つまり、架橋性基としては、例えば、水酸基、イソシアネート基、カルボン酸基、カルボン酸無水物基、エポキシ基、アミノ基、ハロゲン化アルキル基等が挙げられる。
架橋剤としては、ビニルスルホン類(例えば、1,3−ビスビニルスルホニルプロパン)、アルデヒド類(例えば、グリオキサール)、塩化ピリミジン類(例えば、2,4,6−トリクロロピリミジン)、塩化トリアジン類(例えば、塩化シアヌル)、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物等が挙げられる。なお、光照射により誘起される光化学反応を利用して架橋反応が進行する架橋剤であってもよい。
エポキシ化合物としては、1,4−ビス(2’,3’−エポキシプロピルオキシ)ブタン、1,3,5−トリグリシジルイソシアヌレート、1,3−ジグリシジル−5−(γ−アセトキシ−β−オキシプロピル)イソシアヌレート、ソルビトールポリグリシジルエーテル類、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル類、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル類、ジグリセロ−ルポリグリシジルエーテル、1,3,5−トリグリシジル(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グリセロールポリグリセロールエーテル類およびトリメチロ−ルプロパンポリグリシジルエーテル類等のエポキシ化合物が好ましく、その具体的な市販品としては、例えば、デナコールEX−521およびEX−614B(いずれも商品名、ナガセ化成工業(株)製)、EPOXY RESIN DY 022(ナガセケムテックス社製)等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
カルボジイミド化合物としては、分子内にカルボジイミド構造を複数有する化合物を使用することが好ましい。ポリカルボジイミドは、通常、有機ジイソシアネートの縮合反応により合成される。ここで分子内にカルボジイミド構造を複数有する化合物の合成に用いられる有機ジイソシアネートの有機基は特に限定されず、芳香族系、脂肪族系のいずれか、あるいはそれらの混合系も使用可能であるが、反応性の観点から脂肪族系が特に好ましい。合成原料としては、有機イソシアネート、有機ジイソシアネート、有機トリイソシアネート等が使用される。有機イソシアネートの例としては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、及び、それらの混合物が使用可能である。具体的には、4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4’−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート等が用いられ、また、有機モノイソシアネートとしては、イソホロンイソシアネート、フェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が使用される。また、カルボジイミド系化合物の具体的な市販品としては、例えば、カルボジライトV−02−L2(商品名:日清紡社製)等が入手可能である。
感光性層中における架橋剤の含有量は特に制限されないが、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、0.02〜3.0g/m2が好ましく、0.05〜2.0g/m2がより好ましい。
ハロゲン化銀含有感光性層には、生産性の観点からゼラチンの同士を架橋する硬膜剤が含まれることが好ましい。
硬膜剤の種類は特に制限されないが、例えば、ビニルスルホン類(例えば、1,3−ビスビニルスルホニルプロパン)、アルデヒド類(例えば、グリオキサール)、塩化ピリミジン類(例えば、2,4,6−トリクロロピリミジン)、塩化トリアジン類(例えば、塩化シアヌル)、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物等が挙げられる。
なお、硬膜剤は、上述した高分子同士を架橋させる架橋剤と同じ種類であってもよい。つまり、高分子同士を架橋させつつ、ゼラチン同士を架橋する化合物であってもよい。
(工程Aの手順)
工程Aにおいて上述の成分を含むハロゲン化銀含有感光性層を形成する方法は特に制限されないが、生産性の点から、ハロゲン化銀とゼラチンと高分子とを含有する感光性層形成用組成物を支持体上に接触させ、支持体上にハロゲン化銀含有感光性層を形成する方法が好ましい。
以下に、該方法で使用される感光性層形成用組成物の態様について詳述した後、工程の手順について詳述する。
(感光性層形成用組成物に含まれる材料)
感光性層形成用組成物には、上述したハロゲン化銀とゼラチンと高分子とが含有される。なお、高分子は、ラテックスの形態で感光性層形成用組成物中に含まれていてもよい。
感光性層形成用組成物には、必要に応じて、溶媒が含有される。
使用される溶媒としては、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、またはこれらの混合溶媒を挙げることができる。
使用される溶媒の含有量は特に制限されないが、ハロゲン化銀とゼラチンと高分子との合計質量に対して、30〜90質量%の範囲が好ましく、50〜80質量%の範囲がより好ましい。
感光性層形成用組成物と支持体とを接触させる方法は特に制限されず、公知の方法を採用できる。例えば、感光性層形成用組成物を支持体上に塗布する方法、および感光性層形成用組成物中に支持体を浸漬する方法等が挙げられる。
(ハロゲン化銀含有感光性層)
上述の手順により形成されたハロゲン化銀含有感光性層中において、ゼラチンの質量Xと上述の高分子の質量Yとの質量比(Y/X)が0.1以上である。なかでも、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、0.2以上が好ましく、0.5以上がより好ましい。上限は特に制限されないが、通常、2.0以下の場合が多い。
質量比(Y/X)が0.1未満の場合、イオンマイグレーション抑制能が劣る。
ハロゲン化銀含有感光性層中におけるハロゲン化銀の含有量は特に制限されないが、導電性細線の導電特性がより優れる点で、銀換算で3.0〜20.0g/m2が好ましく、5.0〜15.0g/m2がより好ましい。
また、ハロゲン化銀含有感光性層中の高分子の含有量は特に制限されないが、イオンマイグレーション抑制能または導電層の密着性がより優れる点で、0.04〜2.0g/m2が好ましく、0.08〜0.4g/m2がより好ましく、0.1〜0.4g/m2がさらに好ましい。
[工程B(露光・現像工程)]
工程Bは、工程Aで得られたハロゲン化銀含有感光性層を露光した後、現像処理して金属銀を含有する導電性細線からなる導電層を形成する工程(露光・現像工程)である。本工程を実施することにより、ハロゲン化銀が還元され、金属銀を含む導電性細線からなる導電層が形成される。なお、通常、露光処理はパターン状に実施され、露光部では金属銀を含む導電性細線からなる導電層が形成される。一方、非露光部では、後述する現像処理によってハロゲン化銀が溶出され、上述のゼラチンおよび上述の高分子を含む非導電部が形成される。非導電部には実質的に金属銀が含まれておらず、非導電部とは導電性を示さない領域を意図する。
より具体的には、ハロゲン化銀含有感光性層に対して露光を行う。すなわち、所定の露光パターンに対応したマスクパターンを介して光をハロゲン化銀含有感光性層に照射する。または、ハロゲン化銀含有感光性層に対するデジタル書込み露光によって、ハロゲン化銀含有感光性層に所定の露光パターンを露光する。ハロゲン化銀は、光エネルギーを受けると感光して「潜像」と称される肉眼では観察できない微小な銀核を生成する。その後、潜像を肉眼で観察できる可視化された画像に増幅するために現像処理を行うことにより、導電性細線(導電層)および非導電部が形成される。なお、ここで、導電性細線にはゼラチンが多く含まれており、後述する工程D(ゼラチン除去処理工程)を経て、所望の体積比(A/B)を示す導電性細線が製造される。
以下では、本工程で実施される露光処理と現像処理とについて詳述する。
(露光処理)
露光処理は、感光性層に露光を行う処理である。感光性層に対してパターン状の露光を施すことにより、露光領域における感光性層中のハロゲン化銀が潜像を形成する。この潜像が形成された領域は、後述する現像処理によって導電層を形成する。一方、露光がなされなかった未露光領域では、後述する現像処理の際にハロゲン化銀が溶解して感光性層から流出し、透明な膜(非導電部)が得られる。
露光の際に使用される光源は特に制限されず、可視光線、紫外線等の光、または、X線等の放射線等が挙げられる。
パターン露光を行う方法は特に制限されず、例えば、フォトマスクを利用した面露光で行ってもよいし、レーザービームによる走査露光で行ってもよい。なお、パターンの形状は特に制限されず、形成したい導電性細線のパターンに合わせて適宜調整される。
(現像処理)
現像処理の方法は特に制限されないが、例えば、感光性層の種類に応じて以下の3通りの方式から選択することができる。
(1)物理現像核を含まない感光性層を化学現像または熱現像して金属銀を形成させる方式。
(2)物理現像核を含む感光性層を溶解物理現像して金属銀を形成させる方式。
(3)物理現像核を含まない感光性層と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して金属銀を形成させる方式。
ここでいう化学現像、熱現像、溶解物理現像、および拡散転写現像は、当業界で通常用いられている用語どおりの意味であり、写真化学の一般教科書、例えば、菊地真一著「写真化学」(共立出版社刊行)、C.E.K.Mees編「The Theory of Photographic Process,4th ed.」(Mcmillan社、1977年刊行)に解説されている。また、例えば、特開2004−184693号公報、同2004−334077号公報、同2005−010752号公報等に記載の技術を参照することもできる。
上述の(1)〜(3)の方式の中で、方式(1)が、現像前の感光性層に物理現像核を有さないこと、2シートの拡散転写方式でないことから、方式(1)が最も簡便、安定な処理ができ、本発明の導電フィルムの製造には好ましい。以下、方式(1)での説明を記載するが、他の方式を用いる場合には上段記載の文献を参照することができる。なお、”溶解物理現像”は、方式(2)にのみ固有な現像法ではなく、方式(1)でも利用できる現像方法である。
現像処理の方法としては、例えば、銀塩写真フイルム、印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。
現像処理の際に使用される現像液の種類は特に制限されないが、例えば、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもできる。市販品では、例えば、富士フイルム社処方のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトール、KODAK社処方のC−41、E−6、RA−4、D−19、D−72等の現像液、又はそのキットに含まれる現像液を用いることができる。また、リス現像液を用いることもできる。
現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。定着処理は、銀塩写真フイルム、印画紙、印刷製版用フイルム、およびフォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
定着工程における定着温度は、約20℃〜約50℃が好ましく、25〜45℃がより好ましい。また、定着時間は5秒〜1分が好ましく、7秒〜50秒がより好ましい。
現像、定着処理を施した感光性層は、水洗処理または安定化処理を施されるのが好ましい。上述の水洗処理または安定化処理においては、通常、水洗水量は感光材料1m2当り、20リットル以下で行われ、3リットル以下の補充量(0も含む、すなわちため水水洗)で行うこともできる。
現像処理後の露光部(導電層)に含まれる金属銀の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得ることができるため好ましい。
[工程C(加熱工程)]
工程Cは、上述の工程Bで得られた導電層および非導電部を有する支持体に対して、加熱処理を施す工程である。本工程を実施することにより、導電層および非導電部中のゼラチンとは異なる高分子同士が融着し、より強固な層を構成する。より具体的には、ゼラチンとは異なる高分子同士粒子が融着しあい、均一なフイルムを形成する。このような均一な膜を形成するとタンパク質分解酵素によるゼラチン除去後も膜強度を維持でき、ヘイズ値の上昇を防ぐことができる。
以下では、本工程で実施される加熱処理について詳述する。
加熱処理の条件は、使用されるゼラチンとは異なる高分子の種類に応じて適宜最適な条件が選択されるが、ゼラチンとは異なる高分子のガラス転移点以上の加熱条件が好ましい。
加熱処理の方法の一つとしては、導電層および非導電部を有する支持体を過熱蒸気に接触させる処理が挙げられる。過熱蒸気としては、過熱水蒸気でよいし、過熱水蒸気に他のガスを混合させたものでもよい。
過熱蒸気は、供給時間10秒以上70秒以下の範囲で導電層に接触させることが好ましい。供給時間が10秒以上であると、導電率の向上の効果が大きい。また、70秒あたりから導電性の向上が飽和状態となるため、70秒よりの長い時間の設定は経済性の点から好ましくない。
また、過熱蒸気は、供給量が500g/m3〜600g/m3の範囲で導電層に接触させることがよく、過熱蒸気の温度は、1気圧で100〜160℃(好ましくは100〜120℃)に制御されることが好ましい。
加熱処理の他の方法としては、100〜200℃(好ましくは100〜150℃、より好ましくは110〜130℃)で1〜240分間(好ましくは60〜150分間、より好ましくは90〜120分間)加熱処理を施す方法が挙げられる。
[工程D(ゼラチン除去処理工程)]
工程Dは、上述の工程Cで得られた導電層を有する支持体を、さらにゼラチンを分解するタンパク質分解酵素で処理する工程(ゼラチン除去処理工程)である。本工程を実施することにより、露光・現像処理が施された感光性層(上述の導電層および非導電部)からゼラチンが分解・除去され、上述した金属銀とゼラチンとが所定比含まれる導電性細線を備えると共に、導電性細線間にバインダー部を備える導電フィルムが製造され、導電性細線間のイオンマイグレーションがより抑制される。
以下では、まず、本工程で使用される材料について詳述し、その後本工程の手順について詳述する。
(タンパク質分解酵素)
タンパク質分解酵素(以降、酵素とも称す)は、ゼラチン等のタンパク質を加水分解できる植物性または動物性酵素で公知のものが用いられる。例えば、ペプシン、レンニン、トリプシン、キモトリプシン、カテプシン、パパイン、フィシン、トロンビン、レニン、コラゲナーゼ、ブロメライン、細菌プロテアーゼ等が挙げられる。この中でも特に、トリプシン、パパイン、フィシン、細菌プロテアーゼが好ましい。その中でも特に細菌プロテアーゼ(例えば、長瀬産業(株)製のビオプラーゼ)は安価に市販されており容易に入手が可能である。
(工程の手順)
工程Dの手順は、導電層を有する支持体と上述の酵素とを接触させることができれば、特に制限されない。特に、支持体上の導電層および非導電部と酵素とが接触できる方法であれば、特に制限されない。通常、上述の酵素を含む処理液(酵素液)(以後、単に「処理液」とも称する)と、導電層を有する支持体とを接触させる方法が挙げられる。接触方法としては、例えば、導電層を有する支持体上に処理液を塗布する方法、および処理液中に導電層を有する支持体を浸漬する方法等が挙げられる。
処理液中における酵素含有量は特に指定はなく、用いる酵素の能力と要求される性能によって任意に決めることができる。なかでも、ゼラチンの分解除去の程度が制御しやすい点で、処理液全量に対して酵素の含有量が0.05〜20質量%程度が適当であり、より好ましくは5〜10質量%である。
この処理液には、上述の酵素に加え、pH緩衝剤、抗菌性化合物、湿潤剤、保恒剤等必要に応じて含有させることができる。
処理液のpHは、酵素の働きが最大限得られるように実験により選ばれるが、一般的には、5〜7であることが好ましい。また処理液の温度も酵素の働きが高まる温度、具体的には25〜45℃であることが好ましい。
接触時間は特に制限されず、導電フィルムのイオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、10〜500秒間が好ましく、90〜360秒間がより好ましい。
なお、必要に応じて、処理液での処理後に、温水にて導電フィルムを洗浄する工程をさらに設けてもよい。本工程を設けることにより、ゼラチン分解残渣、および、タンパク質分解酵素の残部等を除去でき、イオンマイグレーションがより抑制される。
洗浄方法は特に制限されず、導電フィルムと温水とを接触させることができればよく、例えば、温水中に導電フィルムを浸漬する方法、および導電フィルム上に温水を塗布する方法等が挙げられる。
温水の温度は使用されるタンパク質分解酵素の種類等に応じて適宜最適な温度が選択されるが、生産性の点から、20〜80℃が好ましく、40〜60℃がより好ましい。
温水と導電フィルムとの接触時間(洗浄時間)は特に制限されないが、生産性の点から、1〜600秒間が好ましく、30〜360秒間がより好ましい。
上述の工程を経ることにより、上述した導電フィルムを製造することができる。特に、上述の好適態様の方法によって、導電層およびバインダー部を備える導電フィルムが製造される。
本発明の導電フィルムの製造方法は、上述の工程A〜工程D以外にも他の工程を有していてもよい。以下に、任意の工程について詳述する。
(工程E(ハロゲン化銀不含有層形成工程))
上述の工程Aの前に、支持体上にゼラチンとゼラチンとは異なる高分子とを含むハロゲン化銀不含有層を形成する工程Eをさらに有することが好ましい。本工程を実施することにより、支持体と上述の工程Aで形成されるハロゲン化銀含有感光性層との間にハロゲン化銀不含有層が形成される。このハロゲン化銀不含有層は、いわゆるアンチハレーション層の役割を果たすと共に、導電層と支持体との密着性向上に寄与する。
ハロゲン化銀不含有層には、上述したゼラチンと高分子とが含まれる。一方、ハロゲン化銀不含有層には、ハロゲン化銀が含まれない。
ハロゲン化銀不含有層中におけるゼラチンと高分子との質量比(高分子の質量/ゼラチンの質量)は特に制限されないが、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、0.1〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましい。
また、ハロゲン化銀不含有層中の高分子の含有量は特に制限されないが、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、0.03〜1.63g/m2が好ましく、0.325〜0.975g/m2がより好ましく、特に、酸化処理時の面質が優れる点で、0.50〜0.975g/m2がさらに好ましく、0.50〜0.900g/m2が特に好ましい。
ハロゲン化銀不含有層には、必要に応じて、上述した材料以外の他の材料が含まれていてもよい。例えば、上述したハロゲン化銀含有感光性層に含まれていてもよい他の材料(例えば、帯電防止剤、界面活性剤、カブリ防止剤、硬膜剤、黒ポツ防止剤等)が挙げられる。
また、ハロゲン化銀不含有層には、ハロゲン化銀含有感光性層と同様に、高分子同士を架橋するために使用される架橋剤が含まれることが好ましい。架橋剤が含まれることにより、高分子同士間での架橋が進行し、工程Cにおいてゼラチンが分解除去された際にも導電層中の金属銀同士の連結が保たれ、結果として導電特性に優れた導電膜が得られる。架橋剤の種類は、上述の通りである。
さらに、ハロゲン化銀不含有層には、ハロゲン化銀含有感光性層と同様に、生産性の観点からゼラチンの同士を架橋する硬膜剤が含まれることが好ましい。硬膜剤の種類は、上述の通りである。
ハロゲン化銀不含有層の形成方法は特に制限されず、例えば、ゼラチンと高分子とを含有する層形成用組成物を支持体上に塗布して、必要に応じて加熱処理を施す方法が挙げられる。
層形成用組成物には、必要に応じて溶媒が含まれていてもよい。溶媒の種類は、上述した感光性層形成用組成物で使用される溶媒が例示される。
ハロゲン化銀不含有層の厚みは特に制限されないが、通常、0.05〜2.0μmが好ましく、0.65〜1.5μmがより好ましい。
(工程F(保護層形成工程))
上述の工程Aの後で上述の工程Bの前に、ハロゲン化銀含有感光性層上にゼラチンとゼラチンとは異なる高分子とを含む保護層を形成する工程Fをさらに有することが好ましい。保護層を設けることにより、感光性層の擦り傷防止および力学特性を改良することができる。
保護層中におけるゼラチンと高分子との質量比(高分子の質量/ゼラチンの質量)は特に制限されないが、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、0超2.0以下が好ましく、0超1.0以下がより好ましく、0.05〜0.075がさらに好ましい。
また、保護層中の高分子の含有量は特に制限されないが、イオンマイグレーション抑制能がより優れる点で、0g/m2超0.3g/m2以下が好ましく、0.075〜0.01g/m2がより好ましい。
保護層の形成方法は特に制限されず、例えば、ゼラチンと高分子とを含有する保護層形成用組成物を支持体上に塗布して、必要に応じて加熱処理を施す方法が挙げられる。
保護層形成用組成物には、必要に応じて溶媒が含まれていてもよい。溶媒の種類は、上述した感光性層形成用組成物で使用される溶媒が例示される。
保護層の厚みは特に制限されないが、通常、0.03〜0.3μmが好ましく、0.075〜0.20μmがより好ましい。
保護層には、必要に応じて、上述した材料以外の他の材料が含まれていてもよい。例えば、上述したハロゲン化銀含有感光性層に含まれていてもよい他の材料(例えば、帯電防止剤、界面活性剤、カブリ防止剤、硬膜剤、黒ポツ防止剤等)が挙げられる。
また、保護層には、ハロゲン化銀含有感光性層と同様に、高分子同士を架橋するために使用される架橋剤が含まれることが好ましい。架橋剤が含まれることにより、高分子同士間での架橋が進行し、工程Cにおいてゼラチンが分解除去された際にも導電層中の金属銀同士の連結が保たれ、結果として導電特性に優れた導電層が得られる。架橋剤の種類は、上述の通りである。
さらに、保護層には、ハロゲン化銀含有感光性層と同様に、生産性の観点からゼラチンの同士を架橋する硬膜剤が含まれることが好ましい。硬膜剤の種類は、上述の通りである。
(工程G(還元工程))
工程Bの後で工程Dの前、および/または、工程Dの後に、導電層を有する支持体を還元水溶液で処理して還元処理を行う工程Gをさらに有することが好ましい。笹井明著「写真の化学」(写真工業出版社)の22項「補力、減力、調色、その他処理」に記載されている補力の技術を参考にすることができ、現像処理により生成した銀を一旦酸化した後で再度還元処理することで、より導電性の高いシートを得ることができる。
還元水溶液の種類は銀の還元を進行させることができれば特に制限されないが、例えば、亜硫酸ナトリウム水溶液、ハイドロキノン水溶液、パラフェニレンジアミン水溶液、シュウ酸水溶液、アスコルビン酸水溶液、水素化ホウ素ナトリウム水溶液等を用いることができ、水溶液のpHは10以上とすることがさらに好ましい。
処理の方法は特に制限されず、導電層を有する支持体と還元水溶液を接触させればよい。接触方法としては、例えば、この支持体を還元水溶液に浸漬する方法が挙げられる。
(工程H(光照射工程))
上述の工程Bの後で上述の工程Dの前、および/または、上述の工程Dの後に、導電層にキセノンフラッシュランプからのパルス光を照射する工程Hをさらに有することが好ましい。本工程を実施することにより、導電層の低抵抗化を図ることができる。導電フィルムの導電性が向上する理由については定かではないが、キセノンフラッシュランプからのパルス光を照射することで、熱によって少なくとも一部の高分子および/またはゼラチンが蒸発し、金属(導電性物質)同士が結合しやすくなるものと考えられる。
パルス光の照射量は特に制限されないが、1パルスあたり1J以上1500J以下とすることが好ましく、100〜1000Jとすることがより好ましく、500〜800Jとすることがさらに好ましい。照射量は、一般的な紫外線照度計を用いて測定することができる。一般的な紫外線照度計は、例えば300〜400nmに検出ピークを有する照度計を用いることができる。
導電フィルムを、例えば、タッチパネル用電極として使用する場合、導電層が肉眼にて認識されないように、導電性細線の線幅は1〜15μm、厚みは1〜3μmが好ましい。このような線幅、厚みの場合、パルス光の照射回数は1回以上2000回以下が好ましく、1回以上50回以下がより好ましく、1回以上30回以下がさらに好ましい。
(工程I(平滑化工程))
上述の工程Bの後で上述の工程Dの前、および/または、上述の工程Dの後に、導電層を平滑化処理する工程Iをさらに有することが好ましい。本工程Iを実施することにより、導電層の導電性の向上、導電層の密着性の向上、または表面抵抗の低減が達成される。
平滑化処理の方法は特に制限されないが、例えば、カレンダーロールにより行うことができる。カレンダーロールは、通常、一対のロールからなる。以下、カレンダーロールを用いた平滑化処理をカレンダ処理と記す。
カレンダ処理に用いられるロールとしては、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等のプラスチックロールまたは金属ロールが用いられる。シワ防止の点からプラスチックロールを使用することが好ましい。ロールの下限値は、好ましくは2MPa以上、さらに好ましくは4MPa以上である。圧力の上限値は、好ましくは120MPa以下である。なお圧力については、(株)富士フイルム製プレスケール(高圧用)を用いて測定する。
カレンダーロールで代表される平滑化処理の適用温度は、10℃(温調なし)〜100℃が好ましく、より好ましい温度は、導電層のパターンの画線密度および形状、バインダー種によって異なるが、おおよそ10℃(温調なし)〜50℃の範囲である。
(工程J(加熱工程))
上述の工程Dの後に、導電層を有する支持体に加熱処理を施す工程Jをさらに有することが好ましい。本工程を実施することにより、導電層の導電性が向上すると共に、イオンマイグレーション抑制能により優れた導電フィルムが得られる。また、本工程を実施することにより、導電フィルムのヘイズの低減、導電層の密着性の向上、酸化処理時の面質の向上、または、表面抵抗の低減が達成される。
加熱処理の方法の一つとしては、導電層を有する支持体を過熱蒸気に接触させる処理が挙げられる。
過熱蒸気としては、過熱水蒸気でよいし、過熱水蒸気に他のガスを混合させたものでもよい。
過熱蒸気は、供給時間10秒以上70秒以下の範囲で導電層に接触させることが好ましい。供給時間が10秒以上であると、導電率の向上が大きい。また、70秒あたりから導電性の向上が飽和状態となるため、70秒よりの長い時間の設定は経済性の点から好ましくない。
また、過熱蒸気は、供給量が500g/m3〜600g/m3の範囲で導電層に接触させることがよく、過熱蒸気の温度は、1気圧で100℃以上160℃以下に制御されることが好ましい。
加熱処理の他の方法としては、80〜150℃での加熱処理が挙げられる。
加熱時間は特に制限されないが、上述の効果がより優れる点で、0.1〜5.0時間が好ましく、0.5〜1.0時間がより好ましい。
(工程K(安定化工程))
上述の工程Dの後、導電層を有する支持体とマイグレーション防止剤とを接触させる工程Kをさらに有することが好ましい。本工程Kを実施することにより、導電層中の金属銀の安定化が図られ、上述した酸化剤によるゼラチン分解処理の時間を短くしてもイオンマイグレーションが十分抑制される。
使用されるマイグレーション防止剤としては公知の材料を使用することができ、例えば、含窒素ヘテロ環化合物および有機メルカプト化合物が好ましく、中でも含窒素ヘテロ環化合物が好ましく用いられる。
含窒素ヘテロ環化合物の好ましい例は、5または6員環アゾール類が好ましく、中でも5員環アゾール類が好ましい。
ヘテロ環としては、例えば、テトラゾール環、トリアゾール環、イミダゾール環、チアジアゾール環、オキサジアゾール環、セレナジアゾール環、オキサゾール環、チアゾール環、ベンズオキサゾール環、ベンズチアゾール環、ベンズイミダゾール環、ピリミジン環、トリアザインデン環、テトラアザインデン環、ペンタアザインデン環等が挙げられる。
これらの環は、置換基を有してもよく、置換基は、ニトロ基、ハロゲン原子(例えば、塩素原子、臭素原子)、メルカプト基、シアノ基、それぞれ置換もしくは無置換のアルキル基(例えば、メチル、エチル、プロピル、t−ブチル、シアノエチルの各基)、アリール基(例えば、フェニル、4−メタンスルホンアミドフェニル、4−メチルフェニル、3,4−ジクロルフェニル、ナフチルの各基)、アルケニル基(例えば、アリル基)、アラルキル基(例えば、ベンジル、4−メチルベンジル、フェネチルの各基)、スルホニル基(例えば、メタンスルホニル、エタンスルホニル、p−トルエンスルホニルの各基)、カルバモイル基(例えば、無置換カルバモイル、メチルカルバモイル、フェニルカルバモイルの各基)、スルファモイル基(例えば、無置換スルファモイル、メチルスルファモイル、フェニルスルファモイルの各基)、カルボンアミド基(例えば、アセトアミド、ベンズアミドの各基)、スルホンアミド基(例えば、メタンスルホンアミド、ベンゼンスルホンアミド、p−トルエンスルホンアミドの各基)、アシルオキシ基(例えば、アセチルオキシ、ベンゾイルオキシの各基)、スルホニルオキシ基(例えば、メタンスルホニルオキシ)、ウレイド基(例えば、無置換ウレイド、メチルウレイド、エチルウレイド、フェニルウレイドの各基)、アシル基(例えば、アセチル、ベンゾイルの各基)、オキシカルボニル基(例えば、メトキシカルボニル、フェノキシカルボニルの各基)、オキシカルボニルアミノ基(例えば、メトキシカルボニルアミノ、フェノキシカルボニルアミノ、2−エチルヘキシルオキシカルボニルアミノの各基)、ヒドロキシル基等で置換されていてもよい。置換基は、一つの環に複数置換してもよい。
好ましい含窒素ヘテロ環化合物の具体例としては、以下のものが挙げられる。即ち、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、ベンゾインダゾール、ベンゾトリアゾール、ベンゾオキサゾール、ベンゾチアゾール、ピリジン、キノリン、ピリミジン、ピペリジン、ピペラジン、キノキサリン、モルホリン等が挙げられ、これらは、アルキル基、カルボキシル基、スルホ基、等の置換基を有してよい。
好ましい含窒素6員環化合物としては、トリアジン環、ピリミジン環、ピリジン環、ピロリン環、ピペリジン環、ピリダジン環、ピラジン環を有する化合物であり、中でもトリアジン環、ピリミジン環を有する化合物が好ましい。これらの含窒素6員環化合物は置換基を有していてもよく、その場合の置換基としては炭素数1〜6、より好ましくは1〜3の低級アスキル基、炭素数1〜6、より好ましくは1〜3の低級アルコキシ基、水酸基、カルボキシル基、メルカプト基、炭素数1〜6、より好ましくは1〜3のアルコキシアルキル基、炭素数1〜6、より好ましくは1〜3のヒドロキシアルキル基が挙げられる。
好ましい含窒素6員環化合物の具体例としては、トリアジン、メチルトリアジン、ジメチルトリアジン、ヒドロキシエチルトリアジン環、ピリミジン、4−メチルピリミジン、ピリジン、ピロリンがあげられる。
また、有機メルカプト化合物としては、アルキルメルカプト化合物、アリールメルカプト化合物、およびヘテロ環メルカプト化合物等が挙げられる。
アルキルメルカプト化合物としては、システインおよびチオリンゴ酸等が挙げられ、アリールメルカプト化合物としては、チオサリチル酸等が挙げられ、ヘテロ環メルカプト化合物としては、2−フェニル−1−メルカプトテトラゾール、2−メルカプトベンゾイミダゾール、2−メルカプトベンゾチアゾール、2−メルカプトベンゾオキサゾール、2−メルカプトピリミジン、2,4−ジメルカプトピリミジン、2−メルカプトピリジン等が挙げられ、これらは、アルキル基、カルボキシル基、スルホ基等の置換基を有してよい。
導電層を有する支持体とマイグレーション防止剤とを接触させる方法は特に制限されず、例えば、マイグレーション防止剤を支持体上に塗布する方法、およびマイグレーション防止剤中に導電層を有する支持体を浸漬する方法等が挙げられる。
なお、必要に応じて、マイグレーション防止剤を溶媒に溶解させた溶液を用いてもよい。使用される溶媒の種類は特に制限されず、上述した感光性層形成用組成物で使用される溶媒が例示される。
接触時間は特に制限されないが、0.5〜10分が好ましく、1.0〜3.0分がより好ましい。
(工程L(有機溶媒接触工程))
上述の工程Dの後に、導電層を有する支持体を有機溶媒に接触させる工程Lをさらに有することが好ましい。本工程Lを実施することにより、導電層または非導電層中に残存する高分子の膜がより緻密となり、イオンマイグレーション抑制能により優れる導電フィルムが得られ、かつ導電フィルムのヘイズ値を低減することができる。
使用される有機溶媒の種類は特に制限されず、高分子の種類に応じて適宜最適な溶媒が選択される。なかでも、上述の効果がより優れる点で、高分子が溶解する有機溶媒が好ましい。ここで溶解するとは、有機溶媒1L中に少なくとも高分子が5g以上溶解することを意図する。
なかでも、SP値が8〜12の範囲の有機溶媒が好ましい。
有機溶媒の具体例としては、例えば、ベンジルアルコール、エタノール、トルエン、メチルエチルケトン、アセトン、酢酸エチル等が挙げられる。
導電層を有する支持体と、有機溶媒との接触方法は特に制限されず、公知方法を採用できる。例えば、有機溶媒を支持体上に塗布する方法、および有機溶媒中に導電層を有する支持体を浸漬する方法等が挙げられる。
有機溶媒との接触時間は特に制限されないが、10〜60分が好ましく、15〜30分がより好ましい。
(工程M(高分子架橋工程))
上述の工程Bの後で工程Dの前、および/または、工程Dの後に、ゼラチンとは異なる高分子を架橋させる工程Mを有することが好ましい。本工程を実施することにより、導電フィルムと光学粘着層との密着力を上げ、剥がれにくくすることができる。
導電層中に含まれる高分子を架橋させる方法は特に制限されないが、架橋剤を使用する方法が好ましい。
使用される架橋剤の種類は特に制限されず、使用される高分子の構造に応じて適宜最適な架橋剤が選択される。架橋剤の種類は、上述の通りである。
架橋方法は特に制限されず、高分子と架橋剤とを接触させる方法が挙げられる。より具体的には、例えば、高分子が含まれる導電層を有する支持体上に架橋剤が含まれる処理液を塗布する方法、および架橋剤が含まれる処理液中に高分子が含まれる導電層を有する支持体を浸漬する方法等が挙げられる。
なお、高分子と架橋剤との接触時間は特に制限されず、使用される架橋剤の種類等により適宜最適な条件が選択されるが、通常、1〜300秒が好ましい。
また、必要に応じて、高分子と架橋剤を接触させた後、高分子を含む導電層を水で洗浄してもよい。
(その他の任意工程)
上述の工程Dの後、導電層の導電性を向上させる目的で、導電層に導電性金属粒子を担持させるための物理現像および/またはめっき処理を行ってもよい。本発明では物理現像またはめっき処理のいずれか一方のみで導電性金属粒子を導電層に担持させてもよく、物理現像とめっき処理とを組み合わせて導電性金属粒子を導電層に担持させてもよい。
本実施の形態における「物理現像」とは、金属または金属化合物の核上に、銀イオン等の金属イオンを還元剤で還元して金属粒子を析出させることをいう。この物理現像は、インスタントB&Wフイルム、インスタントスライドフイルム、および印刷版製造等に利用されており、本発明ではその技術を用いることができる。
本実施の形態において、めっき処理は、無電解めっき(化学還元めっきおよび置換めっき)を用いることができる。本実施の形態における無電解めっきは、公知の無電解めっき技術を用いることができ、例えば、プリント配線板等で用いられている無電解めっき技術を用いることができ、無電解めっきは無電解銅めっきであることが好ましい。
本発明は、基本的に以上のように構成されるものである。以上、本発明の粘着層付導電フィルムの製造方法、および導電フィルムについて詳細に説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々の改良または変更をしてもよいのはもちろんである。
以下、本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
本実施例では、図1(a)に示す構成の導電フィルム10を用い、以下に説明する実施例1〜8および比較例1〜4を作製した。
図1(a)の導電フィルム10において、第2の導電層18に光学用透明粘着シート26が貼り付けられる。第2の導電層18側の保護フィルム20は、実施例1〜8および比較例1〜4で共通しており、サンエー化研のKD23Kを用いた。また、第2の導電層18の表面粗さも実施例1〜8および比較例1〜4で共通しており、0.16μmである。
下記表1に示す材質、全膜厚、ヤング率、物性値は、第1の導電層16側の保護フィルム20の値である。表面粗さは、第1の導電層16の値である。
本実施例では、保護フィルムの断面を矩形とみなしており、その曲げ剛性は、保護フィルムのヤング率×((膜厚)×サンプル幅/12)で算出された値である。なお、サンプル幅は0.01mmとした。
粘着力は、保護フィルムに対する導電層の剥離力とした。なお、剥離力は、ピール速度300mm/sとして求めた値である。
なお、下記表1に示す「PF」とは「保護フィルム」のことである。
導電層の表面粗さは、以下のようにして測定した。
導電層の表面粗さの測定に際しては、KEYENCE社製超深度形状測定顕微鏡VK―X200を使用し、対物レンズ150倍で、導電層上の平均的な任意の場所を5視野撮影した。次に、同顕微鏡の形状解析アプリケーションを使用して、1視野あたり2箇所の水平線(95μm)の線粗さ(JIS−B−0601−1994)を求め、それぞれ最小値と最大値を除いた合計8箇所の平均値を平均粗さとした。Raは上述の方法によって測定した試料の算術平均粗さである。なお、粗さ測定においては、必要に応じて試料の傾き補正は行ったが、粗さ曲線のカットオフ値の設定およびスムージングはしていない。
実施例1〜8および比較例1〜4の導電フィルムを用いて、図2(a)〜(c)に示すカバーガラスの貼合工程を実施した。
カバーガラスの貼合工程において、保護フィルムと吸引台の剥離の有無等を評価した。なお、下記表1では「PF−吸引台」と示す。
また、カバーガラスの貼合工程において、保護フィルムと導電層の剥離の有無等を評価した。なお、下記表1では「PF−導電層」と示す。
なお、カバーガラスには、大きさが80mm×150mm、厚さが0.7mmのコーニング社製EAGLE−XG(登録商標)を用いた。カバーガラスは高透明性粘着テープ(3M社製の8146−2)を用いて貼り付けた。
カバーガラスの貼合工程での保護フィルムと吸引台の剥離の有無の評価は、密着面積を測定し、これを評価した。「PF−吸引台」の評価基準は、以下の通りである。
面内の密着面積が100%であるものをAとし、面内の密着面積が80%以上100%未満であるものをBとし、面内の密着面積が80%未満であるものをCとした。
カバーガラスの貼合工程での保護フィルムと導電層の剥離の有無の評価は、密着面積を測定し、これを評価した。「PF−導電層」の評価基準は、以下の通りである。
面内の密着面積が100%であるものをAとし、面内の密着面積が80%以上100%未満であるものをBとし、面内の密着面積が80%未満であるものをCとした。
上述の保護フィルムと吸引台の剥離の有無の評価に用いた密着面積と、上述の保護フィルムと導電層の剥離の有無の評価に用いた密着面積は、いずれもカバーガラスの貼合工程で、デジタルカメラを用いて、カバーガラスを上方から撮影し、その撮影画像を画像解析ソフト(Adobe社製 Photoshop(登録商標))を用いて解析して得た。
また、剥離後の配線転写も評価した。剥離後の配線転写の評価は、導電層に保護フィルムを貼り付けた後、剥し、その際の導電層の導電性細線の転写面積を用いた。評価基準は、以下の通りである。
導電層の転写面積0%であるものをAとし、導電層の転写面積が0%より大きく20%以下であるものをBとし、導電層の転写面積が20%より大きいものをCとした。
以下、実施例1〜8および比較例1〜4の導電フィルムについて説明する。
<実施例1>
実施例1は、以下のようにして作製した。
(ハロゲン化銀乳剤の調製)
38℃、pH4.5に保たれた下記1液に、下記の2液および3液の各々90%に相当する量を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、0.16μmの核粒子を形成した。続いて下記4液および5液を8分間にわたって加え、さらに、下記の2液および3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、0.21μmまで成長させた。さらに、ヨウ化カリウム0.15gを加え、5分間熟成し粒子形成を終了した。
1液:
水 750ml
ゼラチン 8.6g
塩化ナトリウム 3g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
2液:
水 300ml
硝酸銀 150g
3液:
水 300ml
塩化ナトリウム 38g
臭化カリウム 32g
ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム
(0.005%KCl 20%水溶液) 5ml
ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム
(0.001%NaCl 20%水溶液) 7ml
4液:
水 100ml
硝酸銀 50g
5液:
水 100ml
塩化ナトリウム 13g
臭化カリウム 11g
黄血塩 5mg
その後、常法にしたがってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、温度を35℃に下げ、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.6±0.2の範囲であった)。次に、上澄み液を約3リットル除去した(第一水洗)。さらに3リットルの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度、上澄み液を3リットル除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作をさらに1回繰り返して(第三水洗)、水洗・脱塩工程を終了した。水洗・脱塩後の乳剤をpH6.4、pAg7.5に調整し、ゼラチン2.5g、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mg、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム3mg、チオ硫酸ナトリウム15mgと塩化金酸10mgを加え55℃にて最適感度を得るように化学増感を施し、安定剤として1,3,3a,7−テトラアザインデン100mg、防腐剤としてプロキセル(商品名、ICI Co.,Ltd.製)100mgを加えた。最終的に得られた乳剤は、沃化銀を0.08モル%含み、塩臭化銀の比率を塩化銀70モル%、臭化銀30モル%とする、平均粒子径0.22μm、変動係数9%のヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤であった。
(感光性層形成用組成物の調製)
上述の乳剤に1,3,3a,7−テトラアザインデン1.2×10-4モル/モルAg、ハイドロキノン1.2×10-2モル/モルAg、クエン酸3.0×10-4モル/モルAg、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンナトリウム塩0.90g/モルAg、微量の硬膜剤を添加し、クエン酸を用いて塗布液pHを5.6に調整した。
上述の塗布液に、含有するゼラチンに対して、下記P−1で表されるポリマーとジアルキルフェニルPEO硫酸エステルからなる分散剤を含有するポリマーラテックス(分散剤/ポリマーの質量比が2.0/100=0.02)とをポリマー/ゼラチン(質量比)=0.5/1になるように添加した。
さらに、架橋剤としてEPOXY RESIN DY 022(商品名:ナガセケムテックス社製)を添加した。なお、架橋剤の添加量は、後述するハロゲン化銀含有感光性層中における架橋剤の量が0.09g/m2となるように調整した。
以上のようにして感光性層形成用組成物を調製した。
なお、下記P−1で表されるポリマーは、特許第3305459号および特許第3754745号を参照して合成した。
(感光性層形成工程)
厚さ60μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムの片面に上述のポリマーラテックスを塗布して、厚み0.05μmの下塗り層を設けた。
次に、下塗り層上に、上述のポリマーラテックスとゼラチンとを混合したハロゲン化銀不含有層形成用組成物を塗布して、厚み1.0μmのハロゲン化銀不含有層を設けた。なお、ポリマーとゼラチンとの混合質量比(ポリマー/ゼラチン)は2/1であり、ポリマーの含有量は0.65g/m2であった。
次に、ハロゲン化銀不含有層上に、上述の感光性層形成用組成物を塗布し、厚み2.5μmのハロゲン化銀含有感光性層を設けた。なお、ハロゲン化銀含有感光性層中のポリマーとゼラチンとの混合質量比(ポリマー/ゼラチン)は0.5/1であり、ポリマーの含有量は0.22g/m2であった。
次に、ハロゲン化銀含有感光性層上に、上述のポリマーラテックスとゼラチンとを混合した保護層形成用組成物を塗布して、厚み0.15μmの保護層を設けた。なお、ポリマーとゼラチンとの混合質量比(ポリマー/ゼラチン)は0.1/1であり、ポリマーの含有量は0.015g/m2であった。
(露光・現像処理)
上述の作製した感光性層に、図1(b)に示す格子パターンの現像銀像を与えうるフォトマスクを介して高圧水銀ランプを光源とした平行光を用いて露光した。導電性細線の幅を4μmとし、格子17の一辺の長さPaを296μmとした。露光後、下記の現像液で現像し、さらに定着液(商品名:CN16X用N3X−R:富士フイルム社製)を用いて現像処理を行った後、純水でリンスし、その後乾燥した。
なお、導電層を両面に形成するため、感光性層形成工程と露光・現像処理は、片面ずつ行った。
(現像液の組成)
現像液1リットル(L)中に、以下の化合物が含まれる。
ハイドロキノン 0.037mol/L
N−メチルアミノフェノール 0.016mol/L
メタホウ酸ナトリウム 0.140mol/L
水酸化ナトリウム 0.360mol/L
臭化ナトリウム 0.031mol/L
メタ重亜硫酸カリウム 0.187mol/L
(加熱処理(その1))
120℃の過熱蒸気槽に130秒間静置して、加熱処理を行った。
(ゼラチン分解液の調製)
タンパク質分解酵素(ナガセケムテックス社製ビオプラーゼ30L)の水溶液(タンパク質分解酵素の濃度:0.5質量%)に、トリエタノールアミン、硫酸を加えてpHを8.5に調製した。
(ゼラチン分解処理)
タンパク質分解酵素水溶液(40℃)に120秒浸漬し、水溶液から取り出し、温水(液温:50℃)に120秒間浸漬し、洗浄した。
(高分子架橋処理)
カルボジライトV−02−L2(商品名:日清紡社製)1%水溶液に30秒浸漬し、水溶液から取り出し、純水(室温)に60秒間浸漬し、洗浄した。
上述の工程で支持体14の両面に形成された第1の導電層16と第2の導電層18に対して、第2の導電層18には、保護フィルム20としてサンエー化研のKD32Kを貼り、第1の導電層16には保護フィルム20として日東電工のE−MASK(登録商標)RP207を貼った。
表面粗さは、保護フィルム20を貼る前に測定した。第2の導電層18の表面粗さは上述の通りであり、第1の導電層16の表面粗さは0.03μmであった。
<実施例2>
実施例2は、実施例1に比して、第1の導電層16に保護フィルム20としてサンエー化研のTM3050TLAを用いた以外は、実施例1と同様の構成であり、かつ同様に作製したものであるため、その詳細な説明は省略する。
<実施例3>
実施例3は、実施例1に比して、第1の導電層16に保護フィルム20としてパナックのETK50Bを用いた以外は、実施例1と同様の構成であり、かつ同様に作製したものであるため、その詳細な説明は省略する。
<実施例4>
実施例4は、実施例1に比して、第1の導電層16に保護フィルム20としてパナックのMV75を用いた以外は、実施例1と同様の構成であり、かつ同様に作製したものであるため、その詳細な説明は省略する。
<実施例5>
実施例5は、実施例1に比して、第1の導電層16に保護フィルム20としてサンエー化研のWR310を用いた以外は、実施例1と同様の構成であり、かつ同様に作製したものであるため、その詳細な説明は省略する。
<実施例6>
実施例6は、実施例1に比して、第1の導電層16に保護フィルム20としてサンエー化研のNT75を用いた以外は、実施例1と同様の構成であり、かつ同様に作製したものであるため、その詳細な説明は省略する。
<実施例7>
実施例7は、実施例1に比して、第1の導電層16の表面粗さが0.16μmである以外は、実施例1と同様の構成であり、かつ同様に作製したものであるため、その詳細な説明は省略する。
表面粗さを0.16μmとするために、マットフィルムでのカレンダ処理を施した。以下、カレンダ処理について説明する。
カレンダ処理では、Ra=0.49μm、Sm=4.86μmの表面形状を有する樹脂フイルムを使用し、この樹脂フィルムと導電フィルムを載せ、表面が鏡面加工された金属ローラー(直径95mm)と樹脂製のローラー(直径95mm)の組み合わせによるカレンダ装置を使用して、ジャッキ圧11.4MPaの圧力をかけ、120mm/分の速度で搬送して、カレンダ処理を行った。
<実施例8>
実施例8は、実施例1に比して、第1の導電層16の表面粗さが0.16μmであり、第1の導電層16に保護フィルム20としてサンエー化研のTM3050TLAを用いた以外は、実施例1と同様の構成であり、かつ同様に作製したものであるため、その詳細な説明は省略する。表面粗さを0.16μmとするためにマットフィルムでのカレンダ処理を施した。このカレンダ処理は、実施例7のカレンダ処理と同じであるため、その詳細な説明は省略する。
<比較例1>
比較例1は、実施例1に比して、第1の導電層16に保護フィルム20としてサンエー化研のKD23Kを用いた以外は、実施例1と同様の構成であり、かつ同様に作製したものであるため、その詳細な説明は省略する。
<比較例2>
比較例2は、実施例1に比して、第1の導電層16に保護フィルム20としてサンエー化研のKD26Fを用いた以外は、実施例1と同様の構成であり、かつ同様に作製したものであるため、その詳細な説明は省略する。
<比較例3>
比較例3は、実施例1に比して、第1の導電層16に保護フィルム20としてパナックのDTL50を用いた以外は、実施例1と同様の構成であり、かつ同様に作製したものであるため、その詳細な説明は省略する。
<比較例4>
比較例4は、実施例1に比して、第1の導電層16に保護フィルム20としてスミロンのEC−5003を用いた以外は、実施例1と同様の構成であり、かつ同様に作製したものであるため、その詳細な説明は省略する。
上述の表1に示すように、実施例1〜8は、カバーガラス貼合工程を支障なくできており、ハンドリング性が優れていた。
実施例1と実施例7とを比較すると、表面粗さが粗い実施例7は配線転写が少し劣る。それに対して、粘着力が少し弱い粘着テープを使用した実施例2と実施例8では、表面粗さが粗い実施例8においても配線転写がAランクであり、良好な結果が得られた。
実施例3は、粘着力が下限値付近であり、保護フィルムと第1の導電層と接合状態が少し悪くなった。実施例5は、曲げ剛性が下限値付近で、粘着力も下限値付近であり、保護フィルムと吸引台との固定状態が少し悪くなった。実施例6は、曲げ剛性が高く、粘着力も上限値付近であり、配線転写が少し劣った。
一方、比較例1は、保護フィルムの曲げ剛性の値、および粘着力の値が本発明の範囲外であり、カバーガラス貼合工程において、保護フィルムと吸引台との間で剥離が生じ、保護フィルムと第1の導電層との間で剥離が生じた。
比較例2は、保護フィルムの曲げ剛性の値が本発明の範囲外であり、カバーガラス貼合工程において、保護フィルムと吸引台との間で剥離が生じ、保護フィルムと第1の導電層との間で剥離が生じた。比較例3は、粘着力が上限値を超えており、配線転写が生じ、導電層に保護フィルムの粘着剤が転写していた。
比較例4は、保護フィルムの粘着力の値が本発明の範囲外であり、カバーガラス貼合工程において、保護フィルムと吸引台との固定状態が少し悪く、かつ保護フィルムと第1の導電層との間で剥離が生じた。
10、40、50 導電フィルム
12 導電層付き支持体
14、48 支持体
16 第1の導電層
18 第2の導電層
19 導電性細線
20 保護フィルム
22 粘着層
24 基材
26 光学用透明粘着シート
27 剥離シート
28 光学用透明粘着層
29、49 粘着層付導電フィルム
30 吸引台
42、44、52、54 導電部材
60 仮支持体
62 粘着層
64 基材

Claims (13)

  1. 厚さが70μm未満の支持体に導電層が形成された導電層付支持体の前記支持体の一方の面に、粘着層を備える仮支持体を設ける工程と、
    前記仮支持体が設けられた前記導電層付支持体を固定する工程と、
    前記導電層付支持体の他方の面に剥離可能な剥離シート付き光学用透明粘着シートを設ける工程と、
    前記剥離シートを剥す工程を有し、
    前記仮支持体は、曲げ剛性が幅1cmあたり1×10−7Nm以上であり、前記仮支持体に対する前記支持体の粘着力が0.20N/25mm以上1N/25mm以下であることを特徴とする粘着層付導電フィルムの製造方法。
  2. 前記支持体は、厚さが50μm以下である請求項1に記載の粘着層付導電フィルムの製造方法。
  3. 前記金属細線は、表面の算術平均粗さが0.1μm以下である請求項1または2に記載の粘着層付導電フィルムの製造方法。
  4. 前記支持体は、PET、COPまたはCOCで形成されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の粘着層付導電フィルムの製造方法。
  5. 前記導電層は、前記支持体の両面に形成されている請求項1〜4のいずれか1項に記載の粘着層付導電フィルムの製造方法。
  6. 前記導電層は、金属細線で構成されたメッシュ構造の導電パターンを有する請求項1〜5のいずれか1項に記載の粘着層付導電フィルムの製造方法。
  7. 厚さが70μm未満の支持体に導電層が形成された導電層付支持体と、
    前記導電層を保護する保護フィルムとを有し、
    前記保護フィルムは、曲げ剛性が幅1cmあたり1×10−7Nm以上であり、
    前記保護フィルムに対する前記導電層の粘着力が0.20N/25mm以上1N/25mm以下であることを特徴とする導電フィルム。
  8. 前記支持体は、厚さが50μm以下である請求項7に記載の導電フィルム。
  9. 前記金属細線は、表面の算術平均粗さが0.1μm以下である請求項7または8に記載の導電フィルム。
  10. 前記支持体は、PET、COPまたはCOCで形成されている請求項7〜9のいずれか1項に記載の導電フィルム。
  11. 前記導電層は、前記支持体の両面に形成されている請求項7〜10のいずれか1項に記載の導電フィルム。
  12. 前記各導電層には、それぞれ前記保護フィルムが設けられており、
    一方の保護フィルムに対する導電層の粘着力は、他方の保護フィルムに対する粘着力に比して小さい請求項11に記載の導電フィルム。
  13. 前記導電層は、金属細線で構成されたメッシュ構造の導電パターンを有する請求項7〜12のいずれか1項に記載の導電フィルム。
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