JP5359736B2 - タッチパネル用電極フィルム及びタッチパネル - Google Patents
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Description
上記金属膜は、格子網目状の開口パターンを有することで可撓性が付与されるため、曲げ等による亀裂の発生や剥離の問題を解消することができる。
上記特許文献2及び特許文献3においては、金属膜及び金属箔の金属材料としては、銅、ニッケル、銀、金等、種々の金属を例示することができる。しかしながら、該金属材料として、一般に多用されているのは銅であり、銅を用いることにより、コスト高となるという問題がある。
そこで、本発明者らは、低コスト化を狙い、金属膜(金属パターン層)の金属材料として、銅箔よりも安いアルミニウム箔を用いた電極フィルムの検討を行った。しかしながら、検討の結果、実用化するには、実は、次の解決すべき課題があることがわかった。尚、以下の課題は、パターンの線幅及び厚みの寸法が100μm程度以上の場合には目立たない。高透視性を追及すべく、パターンの線幅及び厚みの寸法が10〜20μm程度、又はそれよりも小さい寸法に微細化した場合において、特に顕在化してくるものであることも判明した。
(b)エッチング液に接触した領域の酸化物皮膜が一部除去されると、除去された部分がまだ除去されていない部分に対して急速にエッチングが進んでしまい、均一な安定したエッチングが困難である。
(c)上記(a)及び(b)の結果として、金属パターン層のライン部の輪郭に、ギザ(zigzag状のこと。ラインの輪郭に凹凸があって直線性が悪くギザギザしている形態をこのように呼称する。)や断線が発生し、ラインのパターン精度が、銅箔の場合に比べてアルミニウム箔は劣る。
図5(a)及び図5(b)において、アルミニウム箔積層体75は、基材1の上面に透明接着剤層4を介してアルミニウム層73の上面及び下面、即ち、表裏両面にアルミニウムの酸化物皮膜3を有するアルミニウム箔74が設けられている。
すなわち、本発明に係るタッチパネル用電極フィルムは、透明基材の一方の面にアルミニウムパターン層からなる電極が形成されており、該アルミニウムパターン層の少なくとも該透明基材側とは反対側の面のアルミニウムの酸化物皮膜の厚みが13Å以下であることを特徴とする。
この結果、銅よりも安価なアルミニウムを利用して、材料的に安価なタッチパネル用電極フィルムを実用化できる。
また、製造面でも、アルミニウムの酸化物皮膜はそのままでケミカルエッチングできるのでその除去工程が不要で、製造工程の複雑化やコスト高を避けることができる。
該2枚の電極フィルムのうち少なくとも一方の電極フィルムが前記本発明に係るタッチパネル用電極フィルムであることを特徴とする。
また、製造面でも、アルミニウムの酸化物皮膜はそのままでケミカルエッチングできるのでその除去工程が不要で、製造工程の複雑化やコスト高を避けることができる。
更に、タッチパネルの少なくとも一方の電極フィルムに本発明に係る電極フィルムを用いることにより、光透過性及び導電性に優れたタッチパネルを低コストで提供することができる。
I.タッチパネル用電極フィルム
本発明に係るタッチパネル用電極フィルム(以下、単に「電極フィルム」とも呼称する)は、透明基材の一方の面にアルミニウムパターン層からなる電極が形成されており、該アルミニウムパターン層の少なくとも該透明基材側とは反対側の面のアルミニウムの酸化物皮膜の厚みが13Å以下であることを特徴とする。
この結果、銅よりも安価なアルミニウムを利用して、材料的に安価なタッチパネル用電極フィルムを実用化できる。
また、製造面でも、アルミニウムの酸化物皮膜はそのままでケミカルエッチングできるのでその除去工程が不要で、製造工程の複雑化やコスト高を避けることができる。
本発明に係るタッチパネル用電極フィルム(以下、単に電極フィルムともいう)の層構成について図面を用いて説明する。
本発明に係る電極フィルムの一例の断面図を図1で概念的に示す。なお、図1及び図2に示す断面図において、説明の容易化のために、厚み方向(図の上下方向)の縮尺を面方向(図の左右方向)の縮尺よりも大幅に拡大誇張し、且つアルミニウムパターン層2乃至アルミニウム箔74厚みよりも酸化物皮膜3の厚みを大幅に誇張して図示してある。図1に示す電極フィルム10は、本発明に係る電極フィルムの一形態であり、透明基材1の一方の面に、透明接着剤層4を介して、アルミニウムパターン層2が設けられている。そして、該アルミニウムパターン層がタッチパネル用透明電極を構成する。該アルミニウムパターン層2の透明基材側の面(以下、下面ともいう)、及び透明基材側とは反対側の面(以下、上面ともいう)の表面にはアルミニウムの酸化物皮膜3が形成されており、少なくとも透明基材側とは反対側の面(上面)の酸化物皮膜の厚みが13Å以下となっている。
尚、透明接着剤層4はアルミニウムパターン層の開口部も含めて透明基材1の全面に形成されている。
また、図2に示すように透明基材1のアルミニウムパターン層2側とは反対側の面上には、ハードコート層や反射防止層(AR層)、防眩層(AG層)等の光学機能層5が一層又は2層以上設けられていてもよい。
以下、本発明の電極フィルムについて、透明基材から順に説明する。
透明基材1は、可視領域での透明性(光透過性)、耐熱性、機械的強度等の要求物性を考慮して、公知の材料及び厚みを適宜選択すればよく、ガラス、セラミックス等の透明無機物の板、或いは樹脂板など板状体の剛直物でも良い。ただし、生産性に優れるロール・トゥ・ロールでの連続加工適性を考慮すると、可撓性のある樹脂フィルム(乃至シート)が好ましい。尚、ロール・トゥ・ロールとは、巻取(ロール)から巻き出して供給し、適宜加工を施し、その後、巻取に巻き取って保管する加工方式をいう。
また、該透明基材は、適宜その表面に、コロナ放電処理、プライマー処理、下地処理などの公知の易接着処理を行ってもよい。
アルミニウムパターン層2は、透明基材上にアルミニウムで形成したパターン層であり、該層自体は不透明だが、開口部など該層の非形成部を設けたパターンとすることによって、タッチパネル電極として要求される導電性と光透過性とを両立させた層である。しかも、本発明のアルミニウムパターン層2は、少なくとも前記基材側とは反対側の面(上面)に特定の厚み、即ち13Å以下のアルミニウムの酸化物皮膜3を有する。
アルミニウムパターン層のパターンを形成するには、透明基材の一方の面にアルミニウム箔などパターン形成前のアルミニウム層を積層した後、ケミカルエッチングによって形成できる。ケミカルエッチング時のレジストパターンのパターン形成はフォトリソグラフィー法(パターン露光法)、印刷法などの公知のパターン形成法を適宜選択すればよい。なかでも、フォトリソグラフィー法は印刷法に比べて、電極フィルムに要求されるライン幅やその均一性など高精度のパターンを安定的に形成できる点で好ましい方法である。
エッチングは、アルミニウム層の上面のレジストパターン非形成部におけるアルミニウムの酸化物皮膜も含めて行う。エッチングの前処理として、該上面のアルミニウムの酸化物皮膜の除去は特に必要ない。そして、レジストパターン形成部に対応した、上面や下面のアルミニウムの酸化物皮膜3は、アルミニウムパターン層2の上面や下面の酸化物皮膜3として残る。
アルミニウムの酸化物皮膜はアルミニウム酸化物を含む層であり、アルミニウムパターン層をアルミニウム箔を利用して形成する場合、アルミニウムの酸化物皮膜は箔の上面及び下面、即ち、表裏両面に存在するが、本発明ではケミカルエッチングでパターン形成する際に、エッチングされる側、つまり上面側について、その厚みを規定する。アルミニウムパターン層の少なくとも上面のアルミニウムの酸化物皮膜の厚みについて、その上限を13Å、好ましく12Å、より好ましくは10Å、更に好ましくは8Åとする。
上面のアルミニウムの酸化物皮膜の厚みについて、その上限を上記のようにすることで、該酸化物皮膜がたとえ存在したままでも、安定したケミカルエッチングが可能となり、銅を安価なアルミニウムに変更したが故のパターン精度不良を回避できる。
ただ、アルミニウムの酸化物皮膜は、不動態膜と言われており、アルミニウム箔を加工、搬送、保管する過程中において、アルミニウム箔の内部に(不用意な、望まれない)酸化乃至は腐食が進行することを防止する機能を有する。そのため、この点において、アルミニウムパターン層上面には、緻密なアルミニウム不動態膜としての酸化物皮膜を2〜3Å程度の厚みで形成しておいてもよい。
透明接着剤層4は、アルミニウムパターン層を透明基材に固定するための層であり、例えば、アルミニウムパターン層をアルミニウム箔から形成する場合に、アルミニウム箔を透明基材に接着固定するために使用される。なお、透明接着剤層は、アルミニウムパターン層をアルミニウム蒸着で透明基材上に直接積層したアルミニウム層から形成する場合には省略できる。
本発明の電極フィルムは、透明基材1のアルミニウムパターン層2側とは反対側の面上に防眩機能、反射防止機能等の光学機能、或いは耐擦傷機能、防汚染機能、撥水機能、帯電防止機能、抗菌機能等の其の他機能を有する機能層5が設けられていても良い。特に、光学機能を有する機能層を光学機能層とも呼称する。該機能層は、単層の他、多層として形成してもよい。
<耐擦傷機能層>
耐擦傷機能(ハードコート)層は、JISK5600−5−4(1999)で規定される鉛筆硬度試験で「H」以上の硬度を示すものであることが好ましく、このような硬度と上記透明基材と同様な透明性を実現できるものであれば、材料は特に限定されない。
耐擦傷機能(ハードコート)層は、例えば、ポリエステル(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート等の多官能(メタ)アクリレートプレポリマー、或いは、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート等の3官能以上の多官能(メタ)アクリレートモノマーを単独で或いはこれらの中から2種以上選択して組み合わせて配合した電離放射線硬化性樹脂を用いた塗膜として形成することができる。また、電離放射線としては、紫外線、電子線等が代表的なものであるが、電離放射線硬化性樹脂を紫外線硬化性樹脂として使用する場合には、光重合開始剤または光重合促進剤として増感剤を添加することができる。なおここで、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する複合的表記である。耐擦傷機能(ハードコート)は上記材料を必要に応じて溶剤で希釈して上記透明基材上に塗工等の湿式成膜法により形成することができる。
防眩層(Anti Glare層、略称してAG層)は、樹脂バインダ中にシリカなどの無機フィラーを添加した塗膜形成や、或いは賦形版の押圧等を用いた賦形加工により、層表面に外光を乱反射する微細凹凸を設けた層として形成することができる。樹脂バインダの樹脂としては、表面層として表面強度が望まれる関係上、硬化性アクリル樹脂や、前記の耐擦傷機能(ハードコート)層同様に電離放射線硬化性樹脂等が好適に使用される。
反射防止層(Anti Reflection層、略称してAR層)は、低屈折率層の単層、或いは、低屈折率層と高屈折率層とを、当該低屈折率層が最上層に位置する様に交互に積層した多層構成が一般的であり、蒸着やスパッタ等の乾式成膜法で、或いは塗工等の湿式成膜法も利用して形成することができる。なお、低屈折率層はケイ素酸化物、フッ化マグネシウム、フッ素含有樹脂等が用いられ、高屈折率層には、酸化チタン、硫化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ等が用いられる。尚、ここで高(低)屈折率層とは、当該層と隣接する層(例えば、低(高)屈折率層)と比較して当該層の屈折率が相対的に高(低)いという意味である。
反射防止層に更に耐擦傷機能を付与する場合には、前記の耐擦傷機能(ハードコート)層の項で記載した硬度の高い材料を適宜用いて形成する。
尚、上記表面抵抗値は、抵抗率計・ロレスタEPMCP−T360型(三菱化学アナリテック社製)を用いて4端子4探針法で測定することができる。
尚、上記可視光透過率は、紫外可視近赤外分光光度計MPC−3100(島津製作所社製)で測定することができる。
本発明に係るタッチパネルは、透明基材の一方の面に透明導電性の電極を有する2枚の電極フィルムが、スペーサを介して互いに電極を対向させて配置されたタッチパネルであって、
該2枚の電極フィルムのうち少なくとも一方の電極フィルムが前記本発明に係るタッチパネル用電極フィルムであることを特徴とする。
尚、図4に示す形態のタッチパネル50Bは、入力側の電極フィルムに光学機能層を含まない本発明の電極フィルム10を、又表示装置60側の電極フィルムに従来の電極フィルム、即ち、ITO等の透明導電膜40が透明基材1上の全面に成膜された電極フィルム30を用い、その他は図3と同様に構成したものである。
黒化層としては、公知のものを適宜採用すれば良い。例えば、黒化層としては、金属などの無機材料、黒色樹脂などの有機材料などを使用できる。無機材料としては、例えば金属乃至は合金、金属酸化物、金属硫化物などの金属化合物であり、めっき法など公知の黒化処理にて形成することができる。また、黒色樹脂としては例えばカーボンブラック等の黒色の着色剤を樹脂中に含有させた層として形成できる。
先ず、アルミニウムパターン層2とする金属箔として、厚み12μmの連続帯状の圧延アルミニウム箔を用意した。このアルミニウム箔表面の酸化物皮膜の厚みを蛍光X線分析法(XPS)で測定したところ、上面下面とも8Åだった。
また、透明基材1として、片面にポリエステル樹脂系プライマー層が形成された、連続帯状の無着色透明な厚み100μmの2軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムを用意した。
実施例1において、アルミニウム箔の表面酸化物皮膜の厚みが15Åのものを使用した以外は同様にして電極フィルムシートを得た。
得られたアルミニウムパターン層のパターン精度は、メッシュのラインに断線が多発し(ライン幅のバラツキ22μm)、外観的にも目視観察で面ムラが目立ち、またメッシュ構成線の断線が生じた。
2 アルミニウムパターン層
3 酸化被膜
4 透明接着剤層
5 光学機能層
6 スペーサ
7 入力ペン
10,20,30 電極フィルム
40 透明導電膜
50A,50B タッチパネル
60 表示装置
71 エッチング液
72 レジストパターン
73 アルミニウム層
74 アルミニウム箔
75アルミニウム箔積層体
76 腐食先行部分
G 2枚の電極フィルムの間隔
Claims (2)
- 透明基材の一方の面にアルミニウムパターン層からなる電極が形成されており、該アルミニウムパターン層の少なくとも該透明基材側とは反対側の面のアルミニウムの酸化物皮膜の厚みが13Å以下である、タッチパネル用電極フィルム。
- 透明基材の一方の面に透明導電性の電極を有する2枚の電極フィルムが、スペーサを介して互いに電極を対向させて配置されたタッチパネルであって、
該2枚の電極フィルムのうち少なくとも一方の電極フィルムが前記請求項1に記載のタッチパネル用電極フィルムであることを特徴とする、タッチパネル。
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