JP2012160291A - 透明導電性基板 - Google Patents

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Abstract

【課題】
本発明の透明導電性基板は、ガスバリア層と金属微粒子を含有する網目状のラインから有する構成からなり、このような構成にすることで、透明性、導電性、さらにはガスバリア性に優れた透明導電性基板を提供することにある。
【解決手段】
基板、ガスバリア層、及び金属微粒子を含有する網目状のラインを有する構成の透明導電性基板。
【選択図】図2

Description

本発明は透明導電性基板に関するものであり、特にガスバリア層を有することで、優れたガスバリア性を付与した、透明性、導電性に優れたフレキシブルな透明導電性基板に関するものである。
近年、液晶をはじめとする各種ディスプレイや電子デバイスにおいて、薄型化や軽量化のためには、従来用いられてきたガラス基板を、耐屈曲性や透明性に優れ、薄型化および軽量化などが容易なフレキシブルな透明樹脂基板への置き換えることが必須となっている。このフレキシブルな透明樹脂基板を、例えば、液晶表示素子、有機エレクロトルミネッセンス素子(以下、有機EL素子と略称する)、電子ペーパー素子、有機薄膜太陽電池用透明電極等の基板に適用することにより、軽量かつ柔軟なフレキシブル機能性素子を得ることができる。
一般的には、上記のような機能性素子に適用されるフレキシブルな透明導電性基板としては、スパッタリング法やイオンプレーティング法等の物理的気相成長法を用いて、酸化インジウムスズ(ITO)の透明導電層を形成したものが広く知られており、近年では、透明導電性形成用塗布液を透明樹脂基板上にスクリーン印刷や塗布することにより、格子状の導電層を形成させる研究も多くなされている。
ところで、フレキシブルな透明導電性基板を用いて得られる液晶表示素子、有機EL素子、電子ペーパー素子、有機薄膜太陽電池用透明電極においては、水蒸気や酸素等のガスバリア性が必要不可欠である。このため、ガスバリア性を有するガスバリアフィルムを接着剤や粘着剤を介し、上記の透明導電性基板に貼り合わせてガスバリア性を付加させる方法や、特許文献1や特許文献2のように、ガスバリアフィルム基板に物理的気相成長法やCVD法のような化学気相成長法を用いて透明導電層としてITO薄膜を形成させる方法が検討されている。
:特開2007―216435号公報 :特開2008―238541号公報
しかし、前述した従来の技術には次のような問題点がある。
特許文献1および特許文献2に記載のITOのような金属酸化物薄膜の透明導電層は、耐屈曲性に乏しく、割れ易いという欠点があり、フレキシブルデバイスへの応用は難しいと考えられる。また、スパッタリング法や真空蒸着法を行うためには、大型の真空設備が必要となり、コスト面の課題が挙げられる。
本発明は、透明性および導電性、さらにはガスバリア性にも優れたフレキシブルな透明導電性基板を提供することにある。
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような構成を採用するものである。
1)基板、ガスバリア層、及び金属微粒子を含有する網目状のラインを有する透明導電性基板。
2)金属微粒子と樹脂とで構成された層を、透明導電層とした際に、透明導電層は、その一方の面に前記網目状のラインを有し(以下、透明導電層において、網目状のラインが存在する側の面を、面Aといい、網目状のラインが存在しない側の面を、面Bという)、透明導電層、基板、及びガスバリア層が、この順に直接積層され、基板は、面Bと直接積層されていることを特徴とする、前記1)に記載の透明導電性基板。
3)前記透明導電層の面AのRa値が400nm以下であることを特徴とする、前記1)または2)に記載の透明導電性基板。
4)反射防止性、ハードコート性、赤外線遮蔽性、導電性、紫外線遮蔽性、及び防汚性からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能を有する機能層を含むことを特徴とする、前記1)〜3)のいずれかに記載の透明導電性基板。
本発明によれば、透明性および導電性、さらにはガスバリア性にも優れたフレキシブル透明導電性基板を得ることができ、例えば、有機ELディスプレイや電子ペーパーや有機薄膜太陽電池などの透明電極に好適に用いることができる。
本発明の透明導電性基板の一例の断面図 本発明の透明導電性基板の一例の断面図 (不規則な)網目状のラインの構成の一例の上面図 網目状金属微粒子積層体の構成の一例の断面図
本発明は、前記課題を解決した透明導電性基板、透明性および導電性、さらにはガスバリア性にも優れた透明導電性基板であり、より具体的には、基板、ガスバリア層、金属微粒子を含有する網目状のラインとで構成された透明導電性基板である。このような構成にしてみたところ、前記課題を一挙に解決することを究明したものである。
本発明の透明導電性基板の断面構成の一例を図1および図2に示すが、本発明はこれに限定されるものではない。なお、図2の透明導電性基板は、金属微粒子と樹脂とで構成された透明導電層を含む透明導電性基板である。
本発明の透明導電性基板は、基板、ガスバリア層、金属微粒子を含有する網目状のラインを有することが重要である。このような構成にすることで、透明性および導電性、さらにはガスバリア性に優れたフレキシブルな透明導電性基板とすることができる。
本発明の透明導電性基板の基板には、各種の熱可塑性樹脂フィルムを使用することができる。ここでいう熱可塑性樹脂フィルムとは、熱によって溶解もしくは軟化するフィルムの総称であって、特に限定されるものではないが、代表的なものとして、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルムやポリエチレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム、ポリ乳酸フィルム、ポリカーボネートフィルム、ポリメチルメタクリレートフィルムやポリスチレンフィルムなどのポリアクリル系フィルム、ナイロンなどのポリアミドフィルム、ポリ塩化ビニルフィルム、ポリウレタンフィルム、フッ素系フィルム、ポリフェニレンスルフィドフィルムなどを用いることができる。
これら熱可塑性樹脂フィルムは、ホモポリマーでも共重合ポリマーであっても良い。これらのうち、機械的特性、寸法安定性、透明性などの点で、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリアミドフィルムなどが好ましく、更に、機械的強度、汎用性の点で、ポリエステルフィルムが特に好ましい。
また、本発明の透明導電性基板の基板として用いることができる熱可塑性樹脂フィルム中には、各種添加剤、例えば、酸化防止剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、紫外線吸収剤、有機系の易滑剤、顔料、染料、有機または無機の微粒子、充填剤、帯電防止剤、核剤などが、その特性を悪化させない程度に添加されていても良い。
該熱可塑性樹脂フィルムの厚みは、特に限定されるものではなく、用途や種類によって適宜選択されるが、機械的強度、ハンドリング性などの観点から、好ましくは10〜500μm、より好ましくは10〜250μm、最も好ましくは10μmから150μmである。
該熱可塑性樹脂フィルムには、易接着層を設けたり、コロナ放電処理、プライマー処理、短波長紫外線照射処理などの処理方法を用いてから、金属微粒子を含有する網目状のラインやガスバリア層を積層しても良い。前記易接着層としては、特に限定されるものではないが、ポリエステル、アクリル変性ポリエステル、ポリウレタン、アクリル系樹脂、メタクリレート系樹脂、ポリアミド、ポリビニルアルコール類、澱粉類、セルロース誘導体、ゼラチン等の天然樹脂、ポリビニルピロリドン、ポリビニルブチラール、ポリアクリルアミド、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、ポリチオフェン、ポリピロール、ポリアセチレン、ポリアニリン、各種シリコーン樹脂や変性シリコーン樹脂などからなる層を用いることができる。
本発明の透明導電性基板のガスバリア層とは、水蒸気透過率が0.01g/m/day以下のガスバリア性を有する層を示す。該ガスバリア層は、無機層、有機層、有機−無機ハイブリッド層の群より選ばれる少なくとも1層で構成されていれば良く、2層以上積層する場合、各層が同じ群より選ばれた層であっても、異なる群より選ばれた層であっても良い。無機層のみでは、フレキシブル基板にあった柔軟な薄膜を形成しにくく、クラックなどが生じる可能性があるため、本発明の透明導電性基板のフレキシブル性の観点からは、ガスバリア層の構成としては有機−無機ハイブリッド層であることが好ましいと考える。
本発明のガスバリア層に用いる無機層としては、ガスバリア性を有するものであれば特に限定されない。その材料としては、アルミニウム、ニッケル、クロム、鉄、亜鉛、コバルト、金、銀、銅等の金属、珪素、ゲルマニウム、炭素等の半導体、酸化アルミニウム、酸化珪素、酸化マグネシウム、酸化カルシウム、酸化ジルコニウム、酸化チタン等の酸化物、窒化アルミニウム、窒化珪素、窒化マグネシウム等の窒化物等、及びこれらの複合体などを挙げることができる。この中でも特にガスバリア性が良好である窒素を含む酸化珪素薄膜あるいは珪素の窒化膜が好ましい。該無機層の形成には、スパッタリング法、イオンプレーティング法、真空蒸着法、プラズマCVD法など、公知の方法を用いることができる。
本発明のガスバリア層に用いる有機層としては、ポリビニルアルコール、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリ塩化ビニリデン樹脂などの高分子樹脂組成物からなる薄膜を用いることができ、該薄膜の形成には、ラミネートやコーティングなど、公知の方法を用いることができる。
該ガスバリア層の層厚は、特に限定されるものではないが、5〜500nmの範囲内であることが好ましく、より好ましくは、10〜200nmである。極端に薄すぎるとバリア性の発現が困難となるため、下限としては、5nm以上は必要と考える。また、これ以上の層厚は、透明性が損なわれない範囲において、必要なバリア性能にあわせて層厚を適宜選択することができるが、ある程度の層厚であれば十分なバリア性能を示すことが可能であり、柔軟性、コスト面で問題が生じるため、500nm以下の範囲が好ましいと考える。
本発明の透明導電性基板は、金属微粒子を含有する網目状のラインを有する構成であることが重要である。この金属微粒子を含有する網目状のラインは、金属微粒子同士が連続的に連なった構造であり、この構造に由来して導電性を示す。このように網目状のラインを構成することで、透明導電性基板の透明性と導電性を優れたものにすることができる。
ここで網目状とは、いくつかの点を何点かの線分で結んだ構造のことを示し、その一例を図3に示す。つまり、本発明における網目状とは、金属微粒子で構成される複数の線分が、複数の点で結ばれた構造を意味する。
さらに、該網目状のラインは、格子状などの規則性のある網目状のラインでも構わないが、不規則な網目状のラインを構成していることが好ましい。金属微粒子を含有する網目状のラインが不規則な網目状のラインであることで、該透明導電性基板をディスプレイ用途に使用した場合、モアレ発生を抑制することができるからである。
ここでいう不規則な網目状のラインとは、微分干渉顕微鏡の観察像で特定し、該網目状の構造が、その形状において、金属微粒子を含有する網目状のラインと同一平面中の網目状のラインで囲まれている部分(以下、網目状のラインで囲まれた部分を空隙部分という)の形状や大きさが不揃いである状態、網目部分すなわち線状の部分の形状も直線ではなく線太さが不揃いである状態のものである。
ここで、モアレ現象とは、「点または線が幾何学的に規則正しく分布したものを重ね合せた時に生ずる縞状の斑紋」であり、また広辞苑によれば、「点または線が幾何学的に規制正しく分布したものを重ね合わせた時に生ずる縞模様の斑紋。網版印刷物を原稿として網版を複製する時などに起こりやすい」との記載があり、プラズマディスプレイで言えば、画面上に縞模様状の模様が発生する。これは、ディスプレイの前面に設けられる電磁波シールド基板に格子状などの規則的なパターンが設けられている場合、ディスプレイ背面版の、RGB各色の画素を仕切る規則正しい格子状の隔壁などとの相互作用により、該モアレ現象が生じるものである。また、電磁波シールド基板に格子状などの規則的なパターンが設けられている場合、この格子の線幅が太いほど、このモアレ現象が発生しやすいという問題があったものである。
また、前述の網目状のラインは、金属微粒子を含むのは当然として、その他の成分を有してもよい。その他の成分としては、各種添加剤を挙げることができる。なお、本発明の透明導電性基板の表面比抵抗を低くすることを考慮すると、金属微粒子を含有する網目状のラインは、金属微粒子以外の成分の含有量が少ないことが好ましく、特に好ましくは金属微粒子のみで構成されることである。
本発明の透明導電性基板の網目状のラインに含有される金属微粒子に使用される金属としては特に限定されず、白金、金、銀、銅、ニッケル、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、ビスマス、コバルト、鉄、アルミニウム、亜鉛、錫などが挙げられる。これらの金属は1種で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明の透明導電性基板の網目状のラインに含有される金属微粒子でいう微粒子とは、比較的粒子径の小さい粒子であれば特に限定されないが、数平均粒子径0.001〜0.3μmの金属微粒子が好適に使用され、また粒子径は最大でも1.0μm未満となるものが好適に使用される。金属微粒子の数平均粒子径、最大粒子径がこの範囲を超えると金属微粒子を含有する網目状のラインを形成した際に、透明性、導電性に優れた透明導電性基板を得ることが困難となる場合がある。また、金属微粒子の粒子径分布は大きくても、小さくてもよく、粒子が不揃いであっても、均一であってもよいが、粒子が均一であって、粒子径分布が小さい方が、金属微粒子を含有する網目状のラインを形成しやすいため、好ましい。
本発明の透明導電性基板は、金属微粒子と樹脂とで構成された層(以下、透明導電層という)を含むことが好ましい。このような構成とすることで、導電性、透明性のみならず、平滑性にも優れた透明導電層にすることが可能であり、該透明導電層を含む透明導電性基板を、導電性、透明性、さらには平滑性にも優れた透明導電性基板とすることができる。
該透明導電層中の金属微粒子と樹脂との合計の含有量は、特に限定されないが、透明導電層の全成分100質量%において、50質量%以上100質量%以下が金属微粒子と樹脂の合計量であることが好ましい。
また、本発明の透明導電性基板の透明導電層は、金属微粒子と樹脂とを含有すれば、その他に各種の添加剤等を含有することも可能である。また、金属微粒子と樹脂との含有比率は特に限定されず、各用途に応じて必要十分な導電性となるだけの金属微粒子の比率を適宜選択すればよい。
本発明の透明導電性基板は、該透明導電層を含む際には、透明導電層、ガスバリア層、基板がこの順で積層されていても良いが、透明導電層、基板、及びガスバリア層がこの順で直接積層していることが好ましい。ここで、直接積層されているとは、粘着層や接着層などの別の層を介さずにそれぞれの層が積層されている態様である。このような好ましい態様の透明導電性基板にすることで、部材や生産工程を少なくすることが可能となり、生産性に優れる。
本発明の透明導電性基板が、該透明導電層を含む場合には、透明導電層の一方の面に前記網目状のラインを有し(以下、透明導電層において、網目状のラインが存在する側の面を、面Aといい、網目状のラインが存在しない側の面を、面Bという)、基板は、面Bと直接積層されていることが好ましい。基板と面Bとを直接積層することで、透明導電性基板の最表面側が面Aとなり、透明導電性基板の表面が導電性を示すため、透明電極として用いることができる。一方、基板と面Aが直接積層されると、透明導電性基板表面が導電性を示すことができないため、透明電極として用いるには好ましくない。
本発明の透明導電性基板中の透明導電層は、面AのRa値が400nm以下であることが好ましい。本発明の透明導電性基板の透明導電層の面AのRa値は、400nm以下であることが好ましい。面AのRa値は、より好ましくは300nm以下であり、さらに好ましくは200nm以下であり、特に好ましくは100nm以下である。
該透明導電層の面AのRa値が400nmより大きくなってしまうと、網目状のライン部分と空隙部分とで段差が生じてしまい、平滑性が劣るため、他部材と貼り合わせた際に、気泡が入ってしまう可能性や、塗布による積層が困難な可能性がある。さらには、透明電極として使用した場合、段差により電極の導通がとれなくなる可能性がある。
また、面AのRa値は小さいほど好ましいが、透明導電層に含まれる金属微粒子の粒径や樹脂の表面粗さを考慮すると、該透明導電層の面AのRa値は2nmが下限と考えられ、そのため本発明の透明導電性基板の面AにおけるRa値の下限値は2nmと思われる。
透明導電層の面Aにおける、金属微粒子を含有する網目状のラインと透明導電層の樹脂部分(空隙部分)との界面に生じる段差は、500nm以下であることが好ましく、より好ましくは300nm以下、さらに好ましくは100nm以下であり、最も好ましくは50nm以下である。該段差が500nmより大きくなると、平滑性が劣るため、他部材と貼り合わせた場合に、気泡が入ってしまう可能性や、塗布による積層が困難な可能性、また、電極の導通がとれなくなる可能性があるため好ましくない。
また、本発明の透明導電性基板の透明導電層の面Aの網目状のラインと透明導電層の樹脂部分との界面に生じる段差は小さい程好ましく、透明導電層に含まれる金属微粒子の粒径や、樹脂の表面粗さ、空隙部分を埋める樹脂のレベリング性を考慮すると、該段差は2nmが下限と考えられる。
本発明の透明導電性基板は、前述の透明導電層の面A上に、金属酸化物や導電性高分子の薄膜を公知の方法を用いて積層することも可能である。このような構成にすることで、本発明の透明導電性基板を全面電極として使用することができる。金属酸化物としては、酸化インジウムスズ(ITO)やフッ素ドープ酸化スズ(FTO)などを用いることができ、導電性高分子としては、ポリチオフェン、ポリアニリンなどを用いることができる。
本発明の透明導電性基板の透明導電層を構成する樹脂は、特に限定されないが、紫外線硬化性化合物または熱硬化性化合物からなる樹脂であることが好ましい。紫外線硬化性化合物または熱硬化性化合物としては、特に限定されるものではないが、3官能以上の多官能アクリレートを用いることが好ましい。
3官能以上の多官能アクリレートの具体的な例としては、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレートヘキサンメチレンジイソシアネートウレタンポリマーなどを用いることができる。これらの3官能以上の多官能アクリレートは、1種または2種以上を混合して使用することができる。また、市販されている3官能以上の多官能アクリレートを含む紫外線硬化性化合物または熱硬化性化合物としては三菱レーヨン株式会社;(商品名“ダイヤビーム”シリーズなど)、長瀬産業株式会社;(商品名“デナコール”シリーズなど)、新中村株式会社;(商品名“NKエステル”シリーズなど)、大日本インキ化学工業株式会社;(商品名“UNIDIC”など)、東亞合成化学工業株式会社;(“アロニックス”シリーズなど)、日本油脂株式会社;(“ブレンマー”シリーズなど)、日本化薬株式会社;(商品名“KAYARAD”シリーズなど)、共栄社化学株式会社;(商品名“ライトエステル”シリーズなど)、ダイセル・サイテック株式会社;(商品名“Ebecryl”シリーズなど)などを挙げることができ、これらの製品を利用することができる。
また、3官能以上の多官能アクリレート以外に、以下のような紫外線硬化性化合物または熱硬化性化合物を本発明の効果を阻害しない範囲内で、低粘度化などの目的で使用することができる。
アリルエステルモノマ−:オルソフタル酸ジアリル、イソフタル酸ジアリル、テレフタル酸ジアリル、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸ジアリル、コハク酸ジアリル。
アクリル酸エステルモノマー及びメタクリル酸エステルモノマー:メチルメタクリレート、イソブチルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、2−ヒドロキシルエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、フェノールEO付加物アクリレート、ノニルフェノールEO付加物アクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジメタクリレート、ビスフェノールAのEO付加物ジアクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、フェノキシエチルメタクリレート、イソボルニルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルアクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチルメタクリレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、トリメチロールプロパンジメタクリレート、グリセリンジアクリレート、グリセリンジメタクリレート、グリセリンジメタクリレート、2,6−ジブロム−4−tert−ブチルフェニルアクリレート、各種のウレタンアクリレート、エポキシアクリレート。
本発明において、上記の紫外線硬化性化合物または熱硬化性化合物を硬化させる方法としては、例えば、活性線として紫外線を照射する方法や高温加熱法等を用いることができ、これらの方法を用いる場合には、上記の紫外線硬化性化合物または熱硬化性化合物に、光重合開始剤または熱重合開始剤等を加えることが望ましい。
光重合開始剤の具体的な例としては、アセトフェノン、2,2−ジエトキシアセトフェノン、p−ジメチルアセトフェノン、p−ジメチルアミノプロピオフェノン、ベンゾフェノン、2−クロロベンゾフェノン、4,4’−ジクロロベンゾフェノン、4,4’−ビスジエチルアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンジル、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、メチルベンゾイルフォメート、p−イソプロピル−α−ヒドロキシイソブチルフェノン、α−ヒドロキシイソブチルフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトンなどのカルボニル化合物、テトラメチルチウラムモノスルフィド、テトラメチルチウラムジスルフィド、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチルチオキサントンなどの硫黄化合物などを用いることができる。これらの光重合開始剤は単独で使用してもよいし、2種以上組み合せて用いてもよい。また、熱重合開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイドまたはジ−t−ブチルパーオキサイドなどのパーオキサイド化合物などを用いることができる。
光重合開始剤または熱重合開始剤の使用量は、使用する紫外線硬化性化合物及び/または熱硬化性化合物100質量部に対して、0.01〜10質量部が適当である。電子線またはガンマ線を硬化手段とする場合には、必ずしも重合開始剤を添加する必要はない。また200℃以上の高温で熱硬化させる場合には熱重合開始剤の添加は必ずしも必要ではない。
本発明の透明導電性基板中の透明導電層は、リン酸エステル、カルボン酸エステル、及び脂肪酸エステルからなる群より選ばれる少なくとも1つの化合物を含むことが好ましい(このような化合物を、金属密着改良剤という。)。前記化合物は、透明導電層中に含有されさえすれば構わないが、透明導電層中の金属微粒子と樹脂との密着性を向上させるという観点では、金属微粒子を含有する網目状のラインと樹脂との界面に存在しているが好ましい。また前記化合物(金属密着改良剤)としては、リン酸エステルが最も好ましい。透明導電層が、前記化合物(金属密着改良剤)を少なくとも1つ含むことにより、後述する転写法によって本発明の透明導電性基板を得る際に、網目状のラインを簡便に転写することが可能となる。
透明導電層を製造する際に用いる前記化合物(金属密着改良剤)は、透明導電層を得るために使用する紫外線硬化性化合物及び/または熱硬化性化合物の合計100質量部に対して、0.1〜10質量部である事が好ましい。さらに、p−トルエンスルホン酸などの酸触媒を加えてもよく、その使用量は、透明導電層を得るために使用する紫外線硬化性化合物及び/または熱硬化性化合物の合計100質量部に対して、0.1〜10質量部が適当である。
本発明の透明導電性基板中の透明導電層は、ハードコート性を有していることが好ましい。該透明導電層がハードコート性を有することで、層の硬度が向上し、膜強度や耐擦傷性を向上することができるため、透明導電層の導電性悪化を抑制することができる。
ここでいう透明導電層のハードコート性とは、表面特性試験機ヘイドン(新東科学(株)製 MODEL:HEIDON−14D)を用いて、各種硬度の鉛筆の芯を円筒状にした鉛筆(MITSU−BISHI製)を角度45度に設置、鉛筆の芯を透明導電層表面に当て、荷重500gで速度30mm/minで引っ掻き試験を行ったときの、透明導電層表面の鉛筆硬度がB以上であることを示す。
透明導電層がハードコート性を有する場合には、金属微粒子を含有する網目状のラインが断線しにくく、導電性を保持することが可能となるため、好ましい。該透明導電層の鉛筆硬度がB未満の場合には、網目状のラインが断線しやすくなり、導電性が悪化するため、好ましくない。
該透明導電層のハードコート性は、透明導電層を製造する際に用いる紫外線硬化性化合物及び/または熱硬化性化合物として、硬化後にハードコート性を有することとなる化合物を選択することにより付与することができる。
また、透明導電層は、反射防止性を有していることも好ましい。透明導電層に反射防止性を付与するためには、透明導電層を製造する際に用いる紫外線硬化性化合物及び/または熱硬化性化合物として、硬化後に適切な屈折率を有する事となる化合物を選択することにより可能である。
本発明の透明導電基板の導電性に関しては、表面比抵抗が20Ω/□以下であることが好ましい。ここで、表面比抵抗は、ランダムに少なくとも3箇所測定した時の平均値を意味する。かかる表面比抵抗は、より好ましくは15Ω/□以下であり、さらに好ましくは10Ω/□以下であり、特に好ましくは5Ω/□以下である。また、例えば、プラズマディスプレイパネルや液晶テレビなど、フラットパネルディスプレイの電磁波シールド基板用の透明導電性基板として用いた場合には、電磁波シールド性が良好となるため、好ましい。また、電子ペーパーや有機薄膜太陽電池等の透明電極として用いた場合には、良好な性能が得られるため、好ましい。透明導電性基板の表面比抵抗は、低い方が好ましいものの、現実的に0.1Ω/□未満とすることは困難と考えられ、そのため透明導電性基板の表面比抵抗は0.1Ω/□が下限と考えられる。
本発明の透明導電性基板の全光線透過率に関しては、全光線透過率70%以上であることが重要であり、好ましくは75%以上であり、より好ましくは77%以上である。全光線透過率が70%より小さいと、透明導電性基板の透明性の点で問題が生じる場合がある。
また、透明導電性基板の全光線透過率は高い程好ましく、その上限は特に限定されないが、透明導電性基板表面の光反射を考慮すると、透明導電性基板の全光線透過率を92%より高くすることは困難と考えられるので、全光線透過率92%が透明導電性基板の全光線透過率の物理的限界値(上限)と思われる。
透明導電性基板の全光線透過率を70%以上に制御する方法としては、透明導電層の網目状のラインが存在する面の網目状のラインの部分(すなわち線状の部分)と、樹脂部分(すなわち空隙部分)との面積比率を、線状の部分/樹脂部分で40/60以上にすることが好ましい。
本発明の透明導電性基板は、反射防止性、ハードコート性、赤外線遮蔽性、導電性、紫外線遮蔽性、及び防汚性からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能を有する機能層を含むことが好ましい。該機能層は、1層でも良く、2層以上を組み合わせて積層しても良い。また、複数の機能が同一の層に含有しても良く、別の層として積層しても良い。
本発明の機能層は、特開2010−215746号公報、特開2008−158023公報、特開2010−215746公報、特開2008−65117号公報などに記載の公知の方法を参照することで得ることができる。
次に、本発明の各機能層について、具体的に説明する。
本発明の機能層が反射防止性を有するとは、透明導電性基板の反射を低減させることをいう。透明導電性基板の機能層側から、分光測定において400nmから800nmの波長領域における最低反射率(ボトム反射率)を測定した際に、最低反射率が0%以上2.0%以下となる場合に、反射防止性を有するという。機能層の反射防止性は、好ましくは0%以上1.0%以下、さらに好ましくは0%以上0.7%以下、特に好ましくは0%以上0.5%以下の最低反射率である。
本発明の機能層がハードコート性を有するとは、透明導電性基板の機能層側から、表面特性試験機ヘイドン(新東科学(株)製 MODEL:HEIDON−14D)を用いて、各種硬度の鉛筆の芯を円筒状にした鉛筆(MITSU−BISHI製)を角度45度に設置、鉛筆の芯を機能層(ハードコート層)に当て、荷重750gで速度30mm/minで引っ掻き試験を行ったときの、ハードコート層の鉛筆硬度がH以上となる場合を意味する。ハードコート性は、好ましくは2H以上、特に好ましくは3H以上である。
本発明の機能層が赤外線遮蔽性を有するとは、機能層中に赤外線を吸収する有機化合物や金属化合物を含有することを意味する。
本発明の機能層が紫外線遮蔽性を有するとは、機能層中に一般的な紫外線吸収剤を含有し、赤外線をカットすることを意味する。
本発明の機能層が導電性を有するとは、機能層中に導電性高分子や導電性金属化合物を含む、または機能層が導電性高分子や導電性金属化合物の薄膜であることを意味する。
本発明の機能層が防汚性を有するとは、防汚層表面に指紋を付着させた後、40℃×90%条件下で120時間放置し、付着部分をベンコットM−3(小津産業(株)社製)にて荷重250gで30往復拭き取り、その表面を暗室にて3波長蛍光灯の直下30cmの距離に置き観察し、付着部分と未付着部分との差がほとんど認識できない場合を意味する。
本発明の透明導電性基板は、基材上に金属微粒子を含有する網目状のラインを有する積層体(以下、この積層体を網目状金属微粒子積層体という)を用いることにより、好適に透明導電層を得ることができ、その結果、好適に平滑性を有する透明導電性基板を得ることができる。以下、網目状金属微粒子積層体を用いた本発明の透明導電性基板の製造方法について説明する。なお基材とは、前述の基板と同様に、熱可塑性樹脂フィルムなどを用いることができる。
透明導電層と基板の積層体は、かかる網目状金属微粒子積層体の網目状のラインを有する面上に、紫外線硬化性化合物または熱硬化性化合物を塗布する工程1と、続く、紫外線硬化性化合物または熱硬化性化合物を硬化した後に基板を貼り合わせ、網目状金属微粒子積層体中の基材と金属微粒子を含有する網目状のラインとを剥離し、基板に転写する、または、紫外線硬化性化合物または熱硬化性化合物を塗布した面と基板とを貼り合わせ、硬化し、網目状金属微粒子積層体中の基材と金属微粒子を含有する網目状のラインとを剥離し、基板に転写する工程2とによる転写法や、網目状金属微粒子積層体の網目状のラインを有する面上に、網目状のラインが表面に出るように紫外線硬化性化合物または熱硬化性化合物からなる樹脂をオーバーコートするオーバーコート法等を用いて得ることができる。
また、このようにして得た透明導電層と基板の積層体に、さらにガスバリア層を積層することによって、本発明の透明導電性基板を得ることができる。さらに、上述の転写法による透明導電層と基板の積層体の製造方法において、基板の代わりに基板とガスバリア層の積層体を用いることで、本発明の透明導電性基板を得ることができる。
かかる転写法を用いることで、比較的簡単に、ガスバリア層を積層した基板に、透明導電層を転写させることが可能であり、また転写法により得られる透明導電性基板は、透明導電層の面Aが透明導電性基板の一方の最表面に存在し、該面A側の平滑性および導電性に優れた透明導電性基板とすることができる利点を有する。
オーバーコート法を用いる場合は、紫外線硬化性化合物または熱硬化性化合物のレベリング性の問題により、網目状金属微粒子積層基板の空隙部分を均一に埋めることが難しく、また、オーバーコート層が導電部分である網目状のラインを覆うなど、網目状のラインと樹脂とを均一な面にするのが極めて難しいため、透明導電層の面AのRa値を400nm以下に制御するのは容易ではない。それに対し、転写法を用いる場合、面AのRa値を400nm以下に制御することが容易に可能であることから、面AのRaの小さな透明導電層及び本発明の透明導電性基板の製造の際には、転写法を用いることが好ましい。
かかる転写法の工程1において、網目状金属微粒子積層体の網目状のラインを有する面に、紫外線硬化性化合物または熱硬化性化合物を塗布する方法としては、各種の塗布方法が適用でき、特に限定されないが、例えば、リバースコート法、グラビアコート法、ロッドコート法、バーコート法、ダイコート法またはスプレーコート法などを用いることができる。
該網目状金属微粒子積層体は、公知の方法で得られる、基材上に金属微粒子を含む金属微粒子溶液を塗布、または印刷することにより、金属微粒子を含有する網目状のラインを積層した積層体を用いることができる。
該網目状金属微粒子積層体の構成の一例を図4に示すが、これに限定されるものではない。
以下、本発明の透明導電性基板をより具体的に例示して説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。すなわち、公知の方法で得られる網目状金属微粒子積層体の金属微粒子を積層した面に、光開始剤を添加した紫外線硬化性化合物をワイヤーバーによって塗布し、次いで、紫外線硬化性化合物を塗布した面に、ガスバリア層を設けた二軸延伸ポリエステルフィルム(基板)のガスバリア層を積層した面と反対の面を貼り合わせ、150℃で2分間、熱処理を行い、紫外線照射して、紫外線硬化性化合物を硬化して樹脂とし、金属微粒子を含有する網目状のラインを基材から剥離させ基板側に転写することで、好適に透明導電性基板が得られる。上記の方法を用いて本発明の透明導電性基板を製造することにより、透明性および平滑性のいずれにも優れ、生産性に優れ、さらに、ガスバリア性を付与した透明導電性基板を得ることができる。また、本発明の透明導電性基板は、高いガスバリア性、導電性、透明性に優れ、フレキシブル性を有しているため、電子ペーパーや有機薄膜太陽電池用等の透明電極として、好適に用いることができる。
[特性の測定方法および効果の評価方法]
各実施例・比較例で作成した透明導電性基板(透明導電層)の特性の測定方法および効果の評価方法は次のとおりである。
(1)表面粗さRa値
透明導電性基板の表面に存在する透明導電層または、網目状のラインを有する面を、レーザー顕微鏡(KEYENCE製、型番VK−9710)にて、50倍の対物レンズで、200μm×300μmの面積の表面粗さRa値を測定した。この時のRa値のカットオフ値は0.8μmに設定した。測定は、ランダムに3箇所測定し、それを平均することで表面粗さRa値とした。
(2)段差
透明導電層の面Aの表面を、レーザー顕微鏡(KEYENCE製、型番VK−9710)にて、50倍の対物レンズで測定することで、段差を求めた。
測定は、透明導電層中の網目状のラインの幅方向に対して平行な直線方向に段差を観察した。そして、測定部分の網目状のラインの幅よりも両側に10μm長い距離を設定して、樹脂部分(空隙部分)からライン部分を通ってさらに反対側の樹脂部分(空隙部分)までを測定した。この時得られた高さの最大値(ライン部分)と最小値(樹脂部分(空隙部分))との差を段差として、ランダムに測定した3箇所の段差の平均値を該段差の値とした。
網目状のラインと樹脂部分との界面に生じる段差は、平均値が500nm以下であれば良好である。
(3)表面観察(形状観察)
透明導電性基板の金属微粒子を含有する網目状のラインを有する面の表面を微分干渉顕微鏡(LEICA DMLM ライカマイクロシステムズ(株)製)にて倍率100倍で観察し、網目の有無及び形状を観察した。
(4)表面比抵抗
透明導電性基板(透明導電層)の金属微粒子を含有する網目状のラインを有する面の表面比抵抗は、透明導電性基板(透明導電層)を常態(23℃、相対湿度65%)において24時間放置後、その雰囲気下で、JIS−K−7194(1994)に準拠した形で、ロレスタ−EP(三菱化学株式会社製、型番:MCP−T360)を用いて測定した。単位は、Ω/□である。なお、本測定器は1×10Ω/□以下が測定可能である。
表面比抵抗は、ランダムに3箇所測定した表面比抵抗の平均値が20Ω/□以下であれば導電性は良好である。
(5)全光線透過率
全光線透過率は、常態(23℃、相対湿度65%)において、透明導電性基板を2時間放置した後、スガ試験機(株)製全自動直読ヘイズコンピューター「HGM−2DP」を用いて、光源が透明導電性基板(透明導電層)の面Aに垂直にあたるように置いて測定した。測定は、ランダムに3点行い、その平均値を全光線透過率とした。
全光線透過率は、測定した全光線透過率の平均値が70%以上であれば透明性は良好である。
(6)透明導電性基板のガスバリア性
透明導電性基板のガスバリア性は、透明導電性基板の水蒸気透過率を測定することで判断した。温度40℃、湿度90%RH、測定面積50cmの条件で、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製 PERMATRAN(登録商標)W3/31)を使用して測定した。測定数は各5回とし、その平均値を水蒸気透過率とした。
水蒸気透過率が0.01g/m/day以下であれば、ガスバリア性が良好である。
次に、実施例に基づいて本発明を説明する。
(網目状金属微粒子積層体1)
二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルム(東レ(株)製ルミラー(登録商標)T60)の片面に、藤倉化成株式会社製の金属微粒子溶液XA−9053を、スクリーン印刷により、網目状のラインに印刷し、金属微粒子を含有する網目状のラインを有する積層体を得た。次に、この積層体の導電化処理として、150℃で2分間熱処理し、続いて、網目状のラインを酸で処理するために、積層基板ごと1Nの塩酸(ナカライテスク(株)製 1N-塩酸)に1分間浸けた。その後、網目状金属微粒子積層基板を取り出し、水洗した後、水分を飛ばすために150℃で1分間乾燥することで、表面比抵抗値5Ω/□の網目状金属微粒子積層体1を得た。
(網目状金属微粒子積層体2)
ポリエチレンテレフタレートフィルム上に網目状のラインを有する表面比抵抗値10Ω/□の透明導電性基板(東レフィルム加工(株)製 ナノ銀透明導電フィルムTCC−010を網目状金属微粒子積層体2として使用した。
(紫外線硬化性化合物1)
紫外線硬化性化合物1として、下記紫外線硬化性化合物Aと紫外線硬化性化合物Bの混合比が60/40(wt/wt)である紫外線硬化性化合物1を用いた。
紫外線硬化性化合物A:4官能ウレタンアクリレート(ダイセル・サイテック(株)製 Ebecryl(登録商標)8405)
紫外線硬化性化合物B:ノニルフェノールEO変性アクリレート(東亞合成(株)製
アロニックス(登録商標)M111)
(実施例1)
網目状金属微粒子積層体1の金属微粒子を含有する網目状のラインが積層されていない面に、スパッタリング法を用いて膜厚60nmの酸化珪素層を積層、その上に、ポリビニルアルコールを溶解した溶液を塗布乾燥し、膜厚200nmのポリビニルアルコール層を積層、さらに、スパッタリング法を用いて膜厚60nmの酸化珪素層を積層することで、ガスバリア層を付与した透明導電性基板を得た。
得られた透明導電性基板の表面比抵抗は5Ω/□、全光線透過率は75%、水蒸気透過率は0.01g/m/day以下であり、導電性及びガスバリア性は良好であった。
(実施例2)
網目状金属微粒子積層体2を用いる以外は、実施例1と同様の構成のガスバリア層を積層した透明導電性基板を得た。
得られた透明導電性基板の表面比抵抗は10Ω/□、全光線透過率は80%、水蒸気透過率は0.01g/m/day以下であり、導電性及びガスバリア性は良好であった。
(実施例3)
片面にウレタン系易接着層を積層したポリエステルフィルム基板の易接着層が積層されていない面に、実施例1と同様の方法、積層構成にてガスバリア層を積層し、ガスバリア層積層基板を得た。
次いで、網目状金属微粒子積層基板1の金属微粒子を含有する網目状のラインを有する面に、紫外線硬化性化合物1を100質量部とし、それに対して、光開始剤として、1−ヒドロキシ−シクロヘキシル−フェニルケトン(チバ・スペシャルティ・ケミカルズ(株)製 イルガキュア(登録商標)184)を3質量部、金属密着改良剤としてリン酸エステル(日本化薬(株)製KAYARAD(登録商標)PM−2)を1質量部添加したものをWET厚み12μmになるようにバーコート法を用いて塗布した。続いて、紫外線硬化性化合物を塗布した面とガスバリア層積層基板のガスバリア層が積層されてない面とが接するように貼り合わせラミネートした。
次に、この基板をコンベア式UV照射装置(アイグラフィックス(株)製 ECS−401GX、高圧水銀灯4kw×1灯)を用い、500mJ/cmの照射量を照射し、続いて、この基板から網目状金属微粒子積層体1の二軸延伸ポリエチレンテレフタレートフィルムと金属微粒子のラインとを剥離した。剥離して得られた透明導電層には、金属微粒子を含有する網目状のラインが転写されており、透明導電層の網目状のラインが存在しない面B側に、ガスバリア層積層基板が積層された透明導電性基板を得た。
得られた透明導電性基板は、透明導電層、基板、ガスバリア層の順に直接積層され、金属微粒子を含有する網目状のラインを一方の表面に有した。さらに、透明導電性基板の透明導電層側の面A(網目状のラインを有する側)の表面のRa値は、60nmであり、網目状ラインと樹脂との境界の段差は100nmであり、平滑性に優れた基板であり、面Aの表面比抵抗は5Ω/□であり、導電性も良好であった。また、得られた透明導電性基板の全光線透過率は75%、透明導電性基板の水蒸気透過率が0.01g/m/dayであり、ガスバリア性も良好であった。
(実施例4)
網目状金属微粒子積層体2を用いる以外は、実施例3と同様にして透明導電性基板を得た。
得られた透明導電性基板は、透明導電層、基板、ガスバリア層の順に直接積層され、金属微粒子を含有する網目状のラインを一方の表面に有した。さらに、透明導電性基板の透明導電層側の面A(網目状のラインを有する側)の表面のRa値は、60nmであり、網目状ラインと樹脂との境界の段差は100nmであり、平滑性に優れた基板であり、面Aの表面比抵抗は10Ω/□であり、導電性も良好であった。また、得られた透明導電性基板の全光線透過率は80%、透明導電性基板の水蒸気透過率が0.01g/m/dayであり、ガスバリア性も良好であった。
(比較例1)
網目状金属微粒子積層体2を透明導電性基板として用いた際の水蒸気透過率は0.01g/m/dayよりも高く、ガスバリア性は不良であった。
本発明の透明導電性基板は、透明性および導電性のいずれにも優れ、さらにはガスバリア性にも優れたフレキシブル透明導電性基板であり、例えば、有機ELディスプレイや電子ペーパーや有機薄膜太陽電池などの透明電極に好適に用いることができる。
1 金属微粒子を含有する網目状のライン
2 基板
3 ガスバリア層
4 透明導電性基板
5 樹脂
6 透明導電層
7 基板
8 網目状金属微粒子積層体

Claims (4)

  1. 基板、ガスバリア層、及び金属微粒子を含有する網目状のラインを有する透明導電性基板。
  2. 金属微粒子と樹脂とで構成された層を、透明導電層とした際に、
    透明導電層は、その一方の面に前記網目状のラインを有し(以下、透明導電層において、網目状のラインが存在する側の面を、面Aといい、網目状のラインが存在しない側の面を、面Bという)、
    透明導電層、基板、及びガスバリア層が、この順に直接積層され、
    基板は、面Bと直接積層されていることを特徴とする、請求項1に記載の透明導電性基板。
  3. 前記透明導電層の面AのRa値が400nm以下であることを特徴とする、請求項1または2に記載の透明導電性基板。
  4. 反射防止性、ハードコート性、赤外線遮蔽性、導電性、紫外線遮蔽性、及び防汚性からなる群より選ばれる少なくとも1つの機能を有する機能層を含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の透明導電性基板。
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