JP2008153596A - 透光性電磁波シールドフィルム - Google Patents

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Abstract

【課題】高い導電性を有し、表面の物理的強度も優れた液晶表示装置のタッチパネル用透光性電磁波シールドフィルムを提供すること。
【解決手段】支持体上に、現像銀を含む導電性金属からなる細線パターンを有する液晶表示装置用タッチパネル用透光性電磁波シールドフィルム。とくに細線パターンの引っ掻き強度がHB以上であるタッチパネル用透光性電磁波シールドフィルム。
【選択図】なし

Description

本発明は、タッチパネル用透光性電磁波シールドフィルムに関するものである。
光を透過し、かつ、導電性を有する材料は、様々なものが知られており、また、産業界においても種々のものが利用されている。いわゆる透明導電性膜としては、無機金属酸化物である、酸化スズ(SnO2)、ITO(スズドープ酸化インジウム)、ATO(アンチモンドープ酸化スズ)などを用いたものがよく知られている。透明性のある導電性高分子もまた、透明導電性膜の一つとしてよく知られている。
特許文献1は、透明導電性膜からなる電磁波シールド膜を有するタッチパネルを開示しているが、導電性は30Ω/□レベルであった。近年ディスプレイとそれに積層されるタッチパネルの大型化が進み、表示用パネルからの電磁波発生が増大している。従って電磁波シールド材料に対する要求も高まっており、特に航空機に搭載される液晶表示装置および付属するタッチパネルに使用する電磁波シールド材料の導電性や耐久性、強度などに対する要求が厳しくなってきている。
一方、導電性金属材料を細線形状として、光を透過する開口部を設け、光を透過させることのできる材料も知られている。例えば、透明基材上にメッシュ状の金属層を形成させて、金属のない開口部を広くすることで、光を透過させ、かつ、金属メッシュを非常に微細な形状とすれば、目視ではメッシュ形状の存在を認識しがたい透光性導電性基材となる。このようなものの例として、特許文献2などに開示されているプラズマディスプレイパネル用の電磁波シールド用途の銅製のメッシュが知られている。特に銅箔をエッチング加工したものが多用されているが、このようなものは、導電性の点では高いものの、引っ掻き強度が弱い問題があり改善が望まれていた。
特開2006-92031号公報 特開2003−46293号公報
前項(背景技術の項)に述べた特許文献は、それぞれの目的に沿った技術を開示したものではあるが、同時に上述したような改善を要する問題をも有している。
本発明はかかる事情に鑑みなされたものであり、本発明の目的は以下の通りである。
第1に、高い導電性を有する、液晶表示装置のタッチパネル用透光性電磁波シールドフィルムを提供すること。
第2に、高い引っ掻き強度を有する液晶表示装置のタッチパネル用透光性電磁波シールドフィルムを提供すること。
第3に、断線の少ない液晶表示装置用タッチパネルの透光性電磁波シールドフィルムを提供すること。
第4に、上述の電磁波シールドフィルムを具備する、タッチパネル、及び、液晶表示装置を提供すること。
上記の本発明の目的は、以下の1〜9項によって達せられる。
1.支持体上に、現像銀を含む導電性金属からなる細線パターンを有することを特徴とする液晶表示装置のタッチパネル用透光性電磁波シールドフィルム。
2.前記細線パターンの引っ掻き強度がHB以上であることを特徴とする、上記1記載の液晶表示装置のタッチパネル用透光性電磁波シールドフィルム。
3.前記細線パターン面をHB鉛筆で引掻いた後の表面抵抗の変化率が2倍以内であることを特徴とする、上記1又は2に記載の液晶表示装置のタッチパネル用透光性電磁波シールドフィルム。
4.前記細線パターンの断線が1m2あたり5箇所以下であることを特徴とする、上記1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置のタッチパネル用透光性電磁波シールドフィルム。
5.前記細線パターンの断線が1m2あたり2箇所以下であることを特徴とする、上記1〜4のいずれかに記載の液晶表示装置のタッチパネル用透光性電磁波シールドフィルム。
6.前記細線パターンの細線の幅が1μm以上30μm以下であることを特徴とする上記1〜5のいずれかに記載の透光性電磁波シールドフィルム。
7.前記細線パターンの金属厚みが0.2μm以上30μm以下であることを特徴とする上記1〜6のいずれかに記載の透光性電磁波シールドフィルム。
8.前記細線パターンの導電性金属が、黒化層を有することを特徴とする上記1〜7のいずれかに記載の透光性電磁波シールドフィルム。
9.液晶表示装置が航空機搭載の液晶表示装置であることを特徴とする上記1〜8のいずれかに記載の透光性電磁波シールドフィルム。
本発明によれば、高い導電性を有する、液晶表示装置用タッチパネル用透光性電磁波シールドフィルムを提供することができる。また、高い引っ掻き強度を有する液晶表示装置用タッチパネル用透光性電磁波シールドフィルムを提供することができる。また、断線の少ない液晶表示装置用タッチパネル用透光性電磁波シールドフィルムを提供することができる。更に、上述の電磁波シールドフィルムを具備する、タッチパネル、及び、液晶表示装置を提供することができる。
以下に、本発明をさらに詳細に説明する。なお、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値を下限値および上限値として含む意味として使用される。
(1)支持体
本発明に用いられる感光材料の支持体としては、プラスチックフィルム、プラスチック板、およびガラス板などを用いることができる。
上記プラスチックフィルムおよびプラスチック板の原料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、およびポリエチレンナフタレートなどのポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)などのポリオレフィン類;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデンなどのビニル系樹脂;ポリスチレン、EVA、その他、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリサルホン(PSF)、ポリエーテルサルホン(PES)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)などを用いることができる。
本発明に用いられる支持体においては、透明性、耐熱性、取り扱いやすさおよび価格の点から、上記プラスチックフィルムの中でもポリエチレンテレフタレートフィルム又はトリアセチルセルロース(TAC)であることが好ましい。
ディスプレイなどの表示装置用の電磁波シールド材料や、タッチパネルでは透明性が要求されるため、支持体の透明性は高いことが望ましい。この場合におけるプラスチックフィルムまたはプラスチック板の全可視光透過率は70〜100%が好ましく、さらに好ましくは85〜100%であり、特に好ましくは90〜100%である。また、本発明では、前記プラスチックフィルムおよびプラスチック板として本発明の目的を妨げない程度に着色したものを用いることもできる。
本発明におけるプラスチックフィルムおよびプラスチック板は、単層で用いることもできるが、2層以上を組み合わせた多層フィルムとして用いることも可能である。
本発明における支持体としてガラス板を用いる場合、その種類は特に限定されないが、ディスプレイなどの表示装置用電磁波シールド膜の用途に用いる場合、表面に強化層を設けた強化ガラスを用いることが好ましい。強化ガラスは、強化処理していないガラスに比べて破損を防止できる可能性が高い。さらに、風冷法により得られる強化ガラスは、万一破損してもその破砕破片が小さく、かつ端面も鋭利になることはないため、安全上好ましい。
(2)現像銀、及び、現像銀を含む導電性金属からなる細線パターン(金属細線パターン)。
本発明に用いられる現像銀とは、銀塩写真法によって、ハロゲン化銀粒子を化学現像することによって得られる金属銀を言う。該現像銀は、化学現像によって得られるものであり、フィラメント状の金属銀の集合体、または、フィラメント状の金属銀が互いに結合・融着した金属銀の集合体である。
現像銀を得る方法は、一般によく知られている銀塩写真の原理・手法を利用できる。例えば、特開2004-221564号公報に記載の方法などを利用することができる。
また、現像銀は、電解メッキのカソードとして用いるのに十分な導電性とすることが可能であるため、現像銀を電解メッキすることが可能である。また、現像銀は無電解めっき触媒として利用することも可能であり、現像銀に無電解めっきを施すことも好ましい。従って、本発明における導電性金属からなる細線パターンを構成する金属は、銀のみからなっていてもよく、現像銀に加えて銅やニッケル、亜鉛、スズ、コバルト、金、白金、パラジウムなど、様々な金属から構成されていてもよい。特に銅は導電性が低くかつ安価であり、銀とともに本発明に好ましく用いることができる。
細線パターンの厚みは、用途によって適宜変更することができるが、高い導電性を得るためには、0.2μm以上の厚みを有することが好ましく、厚みが厚すぎるものは、製造コストの観点と、細線パターンを目視した場合に認識できてしまい、表示装置の電極材料などの用途には問題があるゆえ、0.5μm以上30μ以下がより好ましく、1μm以上20μ以下であることが更に好ましい。更により好ましくは、1μm以上10μm以下である。最も好ましくは、1μm以上7μm以下である。
細線パターンの線幅もまた、用途によって適宜変更することができるが、太い線のパターンを得ることは、光を透過する材料にとっては問題であり、本発明においては、1μm以上30μm以下の線幅の細線パターンであることが好ましい。より好ましくは、2μm以上20μm以下であり、更に好ましくは4μm以上18μm以下である。
尚、透光性導電性基材としては、金属細線パターンの面積が、面状の透光性導電性基材の面積に占める割合、即ち開口率が大きいことが、光を透過させる上で好ましく、開口率50%以上が好ましく、70%以上がさらに好ましく、80%以上が更により好ましく、90%以上が最も好ましい。
金属細線パターンの形状としては、目的に応じて様々なパターンを選択することができる。ディスプレイ用の電磁波シールド材料としては、格子状の金属細線パターンを好適に利用できる。
[黒化層]
本発明の金属細線パターンは、黒化処理を施したものであってもよい。
黒化処理については、例えば特開2003−188576号公報に開示されている。黒化処理により形成さえた黒化層は、防錆効果に加え、反射防止性を付与することができる。黒化層は、例えば、Co−Cu合金めっきによって形成されるものであり、金属箔の表面の反射を防止することができる。さらにその上に防錆処理としてクロメート処理をしてもよい。クロメート処理は、クロム酸もしくは重クロム酸塩を主成分とする溶液中に浸漬し、乾燥させて防錆被膜を形成するものである。また、黒色系の被膜を与えるめっき法によってもよい。
また、黒化処理は、一般に、導電性金属化合物、例えば、ニッケル(Ni)、亜鉛(Zn)、銅(Cu)等の化合物を使用して、電解めっきによって行うことができ、あるいは、電着性イオン性高分子材料、例えば、電着塗装材料等を使用して形成することができる。
本発明において、上記の黒化処理に用いる電解液の浴(黒色めっき浴)は、硫酸ニッケル塩を主成分とする黒色めっき浴を使用することができ、更に、市販の黒色めっき浴も同様に使用することができ、具体的には、例えば、株式会社シミズ製の黒色めっき浴(商品名、ノ−ブロイSNC、Sn−Ni合金系)、日本化学産業株式会社製の黒色めっき浴(商品名、ニッカブラック、Sn−Ni合金系)、株式会社金属化学工業製の黒色めっき浴(商品名、エボニ−クロム85シリ−85シリ−ズ、Cr系)等を使用することができる。また、本発明においては、上記とは別の黒色めっき浴としては、Zn系、Cu系、その他等の種々の黒色めっき浴を使用することができる。また、金属の黒化処理剤として、硫化物系化合物を用いて容易に製造することもでき、市販品にも多種類の処理剤があり、例えば、商品名・コパ−ブラックCuO、同CuS、セレン系のコパ−ブラックNo.65等(アイソレ−ト化学研究所製)、商品名・エボノ−ルCスペシャル(メルテックス株式会社製)等を使用することができる。
(3)透明導電性層
本発明においては、金属細線パターンのほかに、透明導電層を有してよく、該透明導電層は、導電性金属酸化物粒子や、導電性ポリマーから成り、バインダーを有していてよい。
導電性金属酸化物としては、酸化スズ、アンチモンがドープされた酸化スズ、インジウムとスズの酸化物(ITO)、酸化亜鉛、フッ素がドープされた酸化スズ、ガリウムがドープされた酸化亜鉛などが用いられる。
また、導電性ポリマーとしては、ポリチオフェン類、ポリピロール類、ポリアニリン類、などが用いられる。
透明導電性層を形成する方法としては、スパッタリングなどの各種物理的方法、一般によく知られた塗布方法、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、エクストルージョンコート法などの各種の塗布法を利用することができる。
塗布される支持体がポリエステル等のプラスチックフィルムである場合は、易接着層の塗布は、プラスチックフィルムの逐次二軸延伸前、同時二軸延伸前、一軸延伸後で再延伸前、あるいは二軸延伸後のいずれの時期に行ってもよい。該プラスチック支持体の表面は、あらかじめ紫外線照射処理、コロナ放電処理、グロー放電処理などの表面処理を施しておくことが好ましい。
透明導電性層に用いられるバインダーとしては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ゼラチンなどを利用することができる。
(4)易接着性層
本発明においては、支持体と金属細線パターン及びまたは透明導電層との間に、易接着層が積層されていることが好ましい。該易接着層は、支持体と金属細線との密着性、支持体と透明導電層との密着性を付与・向上させる機能を有している。
本発明における易接着層は、膨潤率が100%以下であるが、ここで膨潤率(%)とは、[(25℃の水で濡らして10分後の膜厚)-(乾燥時膜厚)]/(乾燥時膜厚)×100 で表され、膨潤率0%とは、水で濡らしても全く膨潤しない膜であることを意味し、膨潤率100%とは、水で濡らしたのち、膜厚みが2倍になることを意味する。
本発明における易接着層を形成する材料としては、アクリル樹脂、ビニル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、スチレンブタジエンゴム、ゼラチンなどが利用される。
上記アクリル樹脂としては、アクリル酸、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、アクリルアミド、アクリロニトリル、メタクリル酸、メタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類、メタクリルアミド及びメタクリロニトリルのいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体を挙げることができる。これらの中では、アクリル酸アルキル等のアクリル酸エステル類、及びメタクリル酸アルキル等のメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体が好ましい。例えば、炭素原子数1〜6のアルキル基を有するアクリル酸エステル類及びメタクリル酸エステル類のいずれかのモノマーの単独重合体又はこれらのモノマー2種以上の重合により得られる共重合体を挙げることができる。上記アクリル樹脂は、上記組成を主成分とし、カルボジイミド化合物との架橋反応が可能なように、例えば、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のいずれかの基を有するモノマーを一部使用して得られるポリマーであることが好ましい。
上記ビニル樹脂としては、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル、ポリオレフィン、エチレン/ブタジエン共重合体、ポリ酢酸ビニル、塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体及びエチレン/酢酸ビニル系共重合体(好ましくはエチレン/酢酸ビニル/(メタ)アクリル酸エステル共重合体)を挙げることができる。これらの中で、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリオレフィン、エチレン/ブタジエン共重合体及びエチレン/酢酸ビニル系共重合体(好ましくは、エチレン/酢酸ビニル/アクリル酸エステル共重合体)が好ましい。上記ビニル樹脂は、カルボジイミド化合物との架橋反応が可能なように、ポリビニルアルコール、酸変性ポリビニルアルコール、ポリビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニルメチルエーテル及びポリ酢酸ビニルでは、例えば、ビニルアルコール単位をポリマー中に残すことにより水酸基を有するポリマーとし、他のポリマーについては、例えば、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のいずれかの基を有するモノマーを一部使用することにより架橋可能なポリマーとすることができる。
上記ポリウレタン樹脂としては、(a)ポリヒドロキシ化合物(例、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン)、ポリヒドロキシ化合物と多塩基酸との反応により得られる脂肪族ポリエステル系ポリオール、ポリエーテルポリオール(例、ポリ(オキシプロピレンエーテル)ポリオール、ポリ(オキシエチレン−プロピレンエーテル)ポリオール)、ポリカーボネート系ポリオール、及びポリエチレンテレフタレートポリオールのいずれか一種、あるいはこれらの混合物と(b)ポリイソシアネートから誘導されるポリウレタンを挙げることができる。上記ポリウレタン樹脂では、例えば、ポリオールとポリイソシアネートとの反応後、未反応として残った水酸基をカルボジイミド化合物との架橋反応が可能な官能基として利用することができる。
上記ポリエステル樹脂としては、一般にポリヒドロキシ化合物(例、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、トリメチロールプロパン)と多塩基酸との反応により得られるポリマーが使用される。上記ポリエステル樹脂では、例えば、ポリオールと多塩基酸との反応終了後、未反応として残った水酸基、カルボキシル基をカルボジイミド化合物との架橋反応が可能な官能基として利用することができる。勿論、水酸基等の官能基を有する第三成分を添加してもよい。
上記ポリマーの中で、アクリル樹脂及びポリウレタン樹脂が好ましく、特にアクリル樹脂が好ましい。
本発明の易接着層は、架橋剤で架橋されていることが好ましい。該架橋剤としては、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物などが挙げられる。
エポキシ化合物としては、1,4−ビス(2’,3’−エポキシプロピルオキシ)ブタン、1,3,5−トリグリシジルイソシアヌレート、1,3−ジクリシジル−5−(γ−アセトキシ−β−オキシプロピル)イソシヌレート、ソルビトールポリグリシジルエーテル類、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル類、ペンタエリスリトールポリグリシジルエーテル類、ジグリセロ−ルポリグルシジルエーテル、1,3,5−トリグリシジル(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、グリセロールポリグリセロールエーテル類およびトリメチロ−ルプロパンポリグリシジルエーテル類等のエポキシ化合物が好ましく、その具体的な市販品としては、例えばデナコールEX−521やEX−614B(ナガセ化成工業(株)製)などを挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
また、感光特性に影響を与えない添加量の範囲では、他の架橋性化合物との併用も可能であり、例えばC.E.K.Mees およびT.H.James著「The Theory of the Photographic Processes」第3版(1966年)、米国特許第3316095号、同3232764号、同3288775号、同2732303号、同3635718号、同3232763号、同2732316号、同2586168号、同3103437号、同3017280号、同2983611号、同2725294号、同2725295号、同3100704号、同3091537号、同3321313号、同3543292号及び同3125449号、並びに英国特許994869号及び同1167207号の各明細書等に記載されている硬化剤などがあげられる。
代表的な例としては、二個以上(好ましくは三個以上)のメチロール基およびアルコキシメチル基の少なくとも一方を含有するメラミン化合物またはそれらの縮重合体であるメラミン樹脂あるいはメラミン・ユリア樹脂、さらにはムコクロル酸、ムコブロム酸、ムコフェノキシクロル酸、ムコフェノキシプロム酸、ホルムアルデヒド、グリオキザール、モノメチルギリオキザール、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン、2,3−ジヒドロキシ−5−メチル−1,4−ジオキサンサクシンアルデヒド、2,5−ジメトキシテトラヒドロフラン及びグルタルアルデヒド等のアルデヒド系化合物およびその誘導体;ジビニルスルホン−N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセトアミド)、1,3−ビス(ビニルスルホニル)−2−プロパノール、メチレンビスマレイミド、5−アセチル−1,3−ジアクリロイル−ヘキサヒドロ−s−トリアジン、1,3,5−トリアクリロイル−ヘサヒドロ−s−トリアジン及び1,3,5−トリビニルスルホニル−ヘキサヒドロ−s−トリアジンなどの活性ビニル系化合物;2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−s−トリアジンナトリウム塩、2,4−ジクロロ−6−(4−スルホアニリノ)−s−トリアジンナトリウム塩、2,4−ジクロロ−6−(2−スルホエチルアミノ)−s−トリアジン及びN,N’−ビス(2−クロロエチルカルバミル)ピペラジン等の活性ハロゲン系化合物;ビス(2,3−エポキシプロピル)メチルプロピルアンモニウム・p−トルエンスルホン酸塩、2,4,6−トリエチレン−s−トリアジン、1,6−ヘキサメチレン−N,N’−ビスエチレン尿素およびビス−β−エチレンイミノエチルチオエーテル等のエチレンイミン系化合物;1,2−ジ(メタンスルホンオキシ)エタン、1,4−ジ(メタンスルホンオキシ)ブタン及び1,5−ジ(メタンスルホンオキシ)ペンタン等のメタンスルホン酸エステル系化合物;ジシクロヘキシルカルボジイミド及び1−ジシクロヘキシル−3−(3−トリメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩等のカルボジイミド化合物;2,5−ジメチルイソオキサゾール等のイソオキサゾール系化合物;クロム明ばん及び酢酸クロム等の無機系化合物;N−カルボエトキシ−2−イソプロポキシ−1,2−ジヒドロキノリン及びN−(1−モルホリノカルボキシ)−4−メチルピリジウムクロリド等の脱水縮合型ペプチド試薬;N,N’−アジポイルジオキシジサクシンイミド及びN,N’−テレフタロイルジオキシジサクシンイミド等の活性エステル系化合物:トルエン−2,4−ジイソシアネート及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート等のイソシアネート類;及びポリアミド−ポリアミン−エピクロルヒドリン反応物等のエピクロルヒドリン系化合物を挙げることができるが、これに限定されるものではない。
本発明で使用されるカルボジイミド化合物としては、分子内にカルボジイミド構造を複数有する化合物を使用することが好ましい。
ポリカルボジイミドは、通常、有機ジイソシアネートの縮合反応により合成される。ここで分子内にカルボジイミド構造を複数有する化合物の合成に用いられる有機ジイソシアネートの有機基は特に限定されず、芳香族系、脂肪族系のいずれか、あるいはそれらの混合系も使用可能であるが、反応性の観点から脂肪族系が特に好ましい。
合成原料としては、有機イソシアネート、有機ジイソシアネート、有機トリイソシアネート等が使用される。
有機イソシアネートの例としては、芳香族イソシアネート、脂肪族イソシアネート、及び、それらの混合物が使用可能である。
具体的には、4,4'−ジフェニルメタンジイソシアネート、4,4−ジフェニルジメチルメタンジイソシアネート、1,4−フェニレンジイソシアネート、2,4−トリレンジイソシアネート、2,6−トリレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、シクロヘキサンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、4,4'−ジシクロヘキシルメタンジイソシアネート、1,3−フェニレンジイソシアネート等が用いられ、また、有機モノイソシアネートとしては、イソホロンイソシアネート、フェニルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネート、ブチルイソシアネート、ナフチルイソシアネート等が使用される。
また、本発明に用いうるカルボジイミド系化合物は、例えば、カルボジライトV−02−L2(商品名:日清紡社製)などの市販品としても入手可能である。
カルボジイミド系化合物はバインダーに対して1〜200質量%、より好ましくは5〜100質量%の範囲で添加することが好ましい。
尚、易接着層を形成するバインダー樹脂は、架橋剤との架橋反応が可能なように、メチロール基、水酸基、カルボキシル基及びアミノ基のいずれかの基を有することが好ましい。水酸基及びカルボキシル基が好ましく、特にカルボキシル基が好ましい。ポリマー中の水酸基又はカルボキシル基の含有量は、0.0001〜1当量/1kgが好ましく、特に0.001〜1当量/1kgが好ましい。
本発明における易接着層の層厚は、0.01〜1μmの範囲が好ましく、さらに0.01〜0.2μmの範囲が好ましい。0.01μm未満では塗布剤を均一に塗布しにくいため製品に塗布むらが生じやすく、1μmを超える場合は、耐傷性が劣る場合がある。
本発明における易接着層には必要に応じて、マット剤、界面活性剤、滑り剤などの添加剤を併用して使用することができる。マット剤としては、0.001〜10μmの粒径をもつ酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化マグネシウムなどの酸化物の粒子や、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン等の重合体あるいは共重合体等の粒子をあげることができる。界面活性剤としては公知のアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、両性系界面活性剤、非イオン系界面活性剤等があげることができる。滑り剤としては、カルナバワックス等の天然ワックス、炭素数8〜22の高級アルコールのリン酸エステルもしくはそのアミノ塩;パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘン酸およびそのエステル類;及びシリコーン系化合物等を挙げることができる。
(引っ掻き強度)
本発明において、現像銀を含む導電性金属からなる細線パターンは、引っ掻き強度がHB以上であることが好ましい。ここで、引っ掻き強度がHB以上であるとは、JIS K5400に準じて、HB以上の硬度の鉛筆で細線パターン面の引っ掻き試験を行い、細線パターン面の断線が、引っ掻いた細線10箇所あたり、2箇所以下であることを言う。
(細線パターンの断線)
本発明において、現像銀を含む導電性金属からなる細線パターンは、細線パターン部の断線が1m2あたり5箇所以下であることが好ましく、更に好ましくは、2箇所以下である。この断線は、製造工程を経て生じるが、前述の引っ掻き強度が高いほど、断線は生じにくい。この断線は、電磁波シールド能を低下させる原因となる為、好ましくないものであり、特に航空機搭載の液晶表示装置では大問題となり得る。
本発明において、前記細線パターン面をHB鉛筆で引掻いた後の表面抵抗率の変化率が2倍以内であることが好ましい。尚、引掻き方向は互いに直交する2方向に引掻きを行ない、その交点上にプローブを接触させることにより、表面抵抗率を測定する。
[他の機能層]
本発明では、必要に応じて、別途、機能性を有する機能層を設けていてもよい。この機能層は、用途ごとに種々の仕様とすることができる。例えば、ディスプレイ用電磁波シールド材用途としては、屈折率や膜厚を調整した反射防止機能を付与した反射防止層や、ノングレアー層またはアンチグレア層(共にぎらつき防止機能を有する)、近赤外線を吸収する化合物や金属からなる近赤外線吸収層、特定の波長域の可視光を吸収する色調調節機能をもった層、指紋などの汚れを除去しやすい機能を有した防汚層、傷のつき難いハードコート層、衝撃吸収機能を有する層、ガラス破損時のガラス飛散防止機能を有する層などを設けることができる。これらの機能層は、金属銀部あるいは導電性金属部と支持体とを挟んで反対側の面に設けてもよく、さらに同一面側に設けてもよい。
以下に実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
[実施例1]
<支持体>
三酸化アンチモンを主触媒として重縮合した固有粘度0.66のポリエチレンテレフタレート樹脂を含水率50ppm(mg/L)以下に乾燥させ、ヒーター温度が280〜300℃設定の押し出し機内で溶融させた。
溶融させたPET樹脂をダイ部より静電印加されたチルロール上に吐出させ、非結晶ベースを得る。得られた非結晶ベースをベース進行方向に3.3倍に延伸後、巾方向に3.8倍に延伸し、厚さ96μmの支持体をロール形態で製造した。
後述するが、この支持体に易接着層を積層した後、ハロゲン化銀粒子を含有する乳剤を塗布して写真感光材料を作製して、本発明に用いる現像銀を含む細線パターンを得る。
<易接着層>
支持体上に下記組成の塗布液を下記塗布条件にて、逐次、塗工、乾燥し、易接着層を形成した。
<易接着層1>
二軸延伸した上記ポリエチレンテレフタレート支持体を、搬送速度105m/分の条件で搬送した状態で、概支持体表面にコロナ放電処理を行ったのち、下記の塗布液を塗布量、7.1mL/m2でバーコート法により塗布した。続いてエアー浮上乾燥ゾーンで180℃1分乾燥させた。
(1層目塗布液)
蒸留水 781.7質量部
ポリアクリル樹脂(日本純薬製、固形分30%) 30.9質量部
カルボジイミド化合物(カルボジライトV-02-L2:日清紡製、固形分40%)
6.4質量部
界面活性剤(三洋化成工業製 固形分44.6%) 2.1質量部
搬送速度105m/分を保ったまま、引き続き、下記組成からなる表面層用塗布液をバーコート法により塗布量5.05mL/m2で塗布した。続いてエアー浮上乾燥ゾーンで160℃で1分乾燥することで2層構成の易接着層1を得た。
(2層目塗布液)
蒸留水 941.0質量部
ポリアクリル樹脂(日本純薬製、固形分30%) 57.3質量部
エポキシ化合物(デナコールEX-521:ナガセ化成工業製、固形分100%)
1.2質量部
界面活性剤(三洋化成工業製 固形分44.6%) 0.5質量部
<ハロゲン化銀粒子を含有する乳剤Aの調整、及び、写真感光材料の作成>
下記の1液を攪拌しながら、2液と3液の各々90%に相当する量を同時に20分間にわたって添加し、0.15μmのハロゲン化銀の核粒子を形成した。続いて下記4液、5液を8分間にわたって加え、さらに、2液と3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、0.18μmまで粒子を成長させた。さらに、ヨウ化カリウム0.15g(0.1%水溶液の形で)を加え5分間熟成しハロゲン化銀の粒子を作成した。
・1液:
水 750ml
ゼラチン 20g
塩化ナトリウム 1.6g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
・2液
水 300ml
硝酸銀 150g
・3液
水 300ml
塩化ナトリウム 38g
臭化カリウム 32g
ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム(0.005% KCl 20%水溶液) 5ml
ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム(0.001% NaCl 20%水溶液) 7ml
3液に用いたヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム(0.005% KCl 20%水溶液)およびヘキサクロロロジウム酸アンモニウム(0.001% NaCl20% 水溶液)は、粉末をそれぞれKCl 20%水溶液、NaCl20%水溶液に溶解して調製した。
・4液
水 100ml
硝酸銀 50g
・5液
水 100ml
塩化ナトリウム 13g
臭化カリウム 11g
黄血塩 5mg
その後、常法にしたがって脱塩、水洗したのち、分子量2万の低分子量ゼラチン8gを加え、pH5.6、pAg7.5に調整し、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mg、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム3mg、チオ硫酸ナトリウム15mgと塩化金酸10mgを加え、55℃にて最適感度を得るように化学増感を施し、安定剤として1,3,3a,7-テトラアザインデン100mg、防腐剤としてプロキセル(商品名、ICI製)100mgを加えた。最終的に塩化銀を70モル%、沃化銀を0.08モル%含む平均粒子径0.18μmのヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤を得た。
上記乳剤Aに分光増感を施し、1,3,3a,7-テトラアザインデン、ハイドロキノン、クエン酸、界面活性剤を添加し、Ag7.6g/m2、ゼラチン1.1g/m2になるようにして、易接着層を積層した前述の支持体に塗布して、本発明に用いる写真感光材料のサンプルを作製した。
(ハロゲン化銀写真感光材料の露光・現像処理)
乾燥させた各サンプルのハロピッチが15μm/300μmの銅細線パターンを有する電磁波シールドフィルム(サンプルNo.3)を得た。
表面抵抗率を、三菱化学(株)低抵抗率計ロレスターGP/ASPプローブを用いて、JIS7194に従って測定した。
(引っ掻き強度の評価)
JIS K5400を参照し、HBの鉛筆でメッシュ面の引っ掻き試験を行った。
尚、互いに直交する2方向に引っ掻きを行った。
レベルA:メッシュの断線が、引っ掻いた細線10箇所あたり、2箇所以下。
レベルB:メッシュの断線が、引っ掻いた細線10箇所あたり、3〜5箇所。
レベルC:メッシュの断線が、引っ掻いた細線10箇所あたり、6箇所以上。
評価結果を表1に示す。
Figure 2008153596
表1の結果から、本発明サンプルは、引っ掻き強度が高く、鉛筆で引っ掻いてもメッシュの断線がほとんど起こらないことが判った。
本発明のサンプルは、表面抵抗率が小さく、更に引っ掻き強度に優れ、引っ掻き試験後も、表面抵抗率の変化がほとんどないことが判った。このため、タッチパネル用の電磁波シールドフィルムとして好適に用いることができる。

Claims (9)

  1. 支持体上に、現像銀を含む導電性金属からなる細線パターンを有することを特徴とする液晶表示装置のタッチパネル用透光性電磁波シールドフィルム。
  2. 前記細線パターンの引っ掻き強度がHB以上であることを特徴とする、請求項1記載の液晶表示装置のタッチパネル用透光性電磁波シールドフィルム。
  3. 前記細線パターン面をHB鉛筆で引掻いた後の表面抵抗の変化率が2倍以内であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の液晶表示装置のタッチパネル用透光性電磁波シールドフィルム。
  4. 前記細線パターンの断線が1m2あたり5箇所以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置のタッチパネル用透光性電磁波シールドフィルム。
  5. 前記細線パターンの断線が1m2あたり2箇所以下であることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置のタッチパネル用透光性電磁波シールドフィルム。
  6. 前記細線パターンの細線の幅が1μm以上30μm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の透光性電磁波シールドフィルム。
  7. 前記細線パターンの金属厚みが0.2μm以上30μm以下であることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の透光性電磁波シールドフィルム。
  8. 前記細線パターンの導電性金属が、黒化層を有することを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の透光性電磁波シールドフィルム。
  9. 液晶表示装置が航空機搭載の液晶表示装置であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の透光性電磁波シールドフィルム。
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