JP2011179117A - マイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理加工方法およびその方法により所定箇所の導電性を向上させた物体 - Google Patents
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Abstract
【課題】 ターゲットとなる基材の所望の箇所の導電性を向上させる。
【解決手段】 ターゲット物体100のうち導電性を向上させたい所望箇所に金属イオン溶液または金属元素含有溶液200を接触させる溶液接触工程(S1)と、マイクロ波を照射して金属イオン溶液中の金属イオンまたは金属元素含有溶液中の金属元素をターゲット物体100の所望箇所に金属微粒子として担持させる金属微粒子担持工程(S2)とを備え、マイクロ波照射を用いて金属微粒子を基材の表面に担持させて基材表面の導電率を向上させる。溶液接触工程(S1)に先立ち、所望箇所に金属微粒子の担持を支援するバインダーまたはプライマーを塗布する下地塗布工程を備えたり、所望箇所へのマスク工程を備えたりすることも好ましい。金属イオン溶液または金属元素含有溶液の種類や濃度、マイクロ波照射出力や照射時間、バインダー塗布条件を変えることで導電率を制御する。
【選択図】 図1
【解決手段】 ターゲット物体100のうち導電性を向上させたい所望箇所に金属イオン溶液または金属元素含有溶液200を接触させる溶液接触工程(S1)と、マイクロ波を照射して金属イオン溶液中の金属イオンまたは金属元素含有溶液中の金属元素をターゲット物体100の所望箇所に金属微粒子として担持させる金属微粒子担持工程(S2)とを備え、マイクロ波照射を用いて金属微粒子を基材の表面に担持させて基材表面の導電率を向上させる。溶液接触工程(S1)に先立ち、所望箇所に金属微粒子の担持を支援するバインダーまたはプライマーを塗布する下地塗布工程を備えたり、所望箇所へのマスク工程を備えたりすることも好ましい。金属イオン溶液または金属元素含有溶液の種類や濃度、マイクロ波照射出力や照射時間、バインダー塗布条件を変えることで導電率を制御する。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ターゲット物体の所望の箇所に金属微粒子を担持させ、所定箇所の導電性を向上させた物体を製作する技術に関する。
ターゲット物体としては多様なものが含まれる。例えば、表面の導電性を向上させたい物体であれば良い。例えば、半導体素子、電子回路、スイッチ、その他の電子機器類の部品、精密機械類の部品、医療機器類の部品、陽極酸化膜など金属表面を絶縁膜で被膜した絶縁体、タッチパネル用のフィルムなどがある。
ターゲット物体としては多様なものが含まれる。例えば、表面の導電性を向上させたい物体であれば良い。例えば、半導体素子、電子回路、スイッチ、その他の電子機器類の部品、精密機械類の部品、医療機器類の部品、陽極酸化膜など金属表面を絶縁膜で被膜した絶縁体、タッチパネル用のフィルムなどがある。
電子回路の製造工程など、半導体や絶縁性基材の表面に導電性のある金属被膜の形成は様々な場面で求められている。この半導体や絶縁性基材の表面に金属被膜を形成する方法として様々なものがある。
金属被膜の形成法には、大別して湿式法と乾式法がある。
湿式法は、被膜したい金属イオンを含有する電解液に浸漬して電気化学反応処理を行う方法であり、めっき法やアルマイト法などがある。湿式法を用いてポリイミド樹脂上への配線形成する場合、まず、ポリイミド樹脂上に無電解めっきにより銅薄膜を形成しておき、それを導電層として電解めっきによる銅の厚付けを行なう。しかし、ポリイミド樹脂上の無電解銅めっき膜ははがれやすく、そのままでは銅を成膜することができず、ポリイミド樹脂表面をあらかじめ粗化しアンカー効果により密着性を高める必要がある。また、大量の電解液を用いるため環境の負荷が大きいという問題がある。
湿式法は、被膜したい金属イオンを含有する電解液に浸漬して電気化学反応処理を行う方法であり、めっき法やアルマイト法などがある。湿式法を用いてポリイミド樹脂上への配線形成する場合、まず、ポリイミド樹脂上に無電解めっきにより銅薄膜を形成しておき、それを導電層として電解めっきによる銅の厚付けを行なう。しかし、ポリイミド樹脂上の無電解銅めっき膜ははがれやすく、そのままでは銅を成膜することができず、ポリイミド樹脂表面をあらかじめ粗化しアンカー効果により密着性を高める必要がある。また、大量の電解液を用いるため環境の負荷が大きいという問題がある。
次に、乾式法には、物理的方法と化学的方法がある。
物理的方法として、物理蒸着法(PVD)がある。物理蒸着法は真空めっきとも呼ばれ、真空チャンバー中で、被膜したい金属を被処理物(回路基板)表面に飛ばすことによって行なう方法である。真空蒸着法やスパッタリング法などがある。スパッタリング法は真空チャンバー内に薄膜としてつけたい金属をターゲットとして設置し、高電圧をかけてイオン化させたアルゴンガスや窒素ガスを衝突させ、ターゲット表面の原子がはじき飛ばされ、基板に到達して製膜する方法である。
物理的方法として、物理蒸着法(PVD)がある。物理蒸着法は真空めっきとも呼ばれ、真空チャンバー中で、被膜したい金属を被処理物(回路基板)表面に飛ばすことによって行なう方法である。真空蒸着法やスパッタリング法などがある。スパッタリング法は真空チャンバー内に薄膜としてつけたい金属をターゲットとして設置し、高電圧をかけてイオン化させたアルゴンガスや窒素ガスを衝突させ、ターゲット表面の原子がはじき飛ばされ、基板に到達して製膜する方法である。
物理蒸着法は、密着信頼性に優れた微細な回路パターンを良好に形成することが可能であり、回路パターンを形成する方法としては優れた方法と評価されている。しかし、金属の直進性向上のために不必要な気体分子の残留を防ぐため高価な真空装置を必要とし、また、量産性が低く、高コストであるという問題を有する。
一方、化学的方法は、化学蒸着法(CVD)と呼ばれ、化学反応により金属および化合物皮膜の析出を行うもので,この化学反応は基板と気相の界面における触媒的接触反応を通じておこさせる方法である。例えば、石英などで出来た反応管内で加熱した基板物質上に、目的とする薄膜の成分を含む原料ガスを供給し、基板表面あるいは気相での化学反応により膜を堆積する。例えば、プラズマCVD法は、原料ガスを直流または高周波、マイクロ波グロー放電等によって分解し、円筒状基体上に堆積膜を形成する方法である。
しかし、プラズマCVD法では、膜厚方向における結晶性の不均一性が避けられず、非晶質基材上への500℃低温成長では膜の堆積初期に基材上に非晶質相の生成を伴う場合が多く、結晶性の高い膜の作製には、膜を厚く堆積する必要があるなどの問題がある。
なお、上記のように、ターゲット物体の表面に導電性のある金属被膜を平面上に形成した後、微細な電子回路を形成する方法の一つとしてエッチングを施す方法がある。エッチング法は、現在、最も一般的な回路パターン形成方法として用いられている方法である。あらかじめ半導体や絶縁基材の表面全体を金属薄膜で被覆して金属被覆材を作製し、フォトリソグラフにより不必要な部位の金属薄膜をエッチング処理して除去する。エッチング法は生産性に優れ、比較的簡便に回路パターンを形成するのに有用な方法であるが、密着信頼性が高くない。また、基材の表面全体を金属薄膜で被覆した上で多量の金属薄膜を除去する必要があるため、金属材料の無駄が多く発生するという問題がある。また、回路の微細化が進むとオーバーエッチングが発生するおそれがある。
上記のように、ターゲット物体の表面全体を金属薄膜で被覆する方法は様々知られているが、それぞれにデメリットがあり、目的に応じて使い分けている。いずれの方法であっても、手順が複雑であったり、高度な真空装置が必要となったり、装置が大型化したり、環境負荷が大きかったりなど、いずれの方法にもデメリットがある。また、回路パターンの微細化が進んでいくと金属被膜が途切れたり割れたりするなど所望の導電率が得られなくなったりすることもある。そのため、基材の表面全体を金属薄膜で被覆する方法は日々研究が進んでいる。
発明者受川悟は、基材の表面状態を改質する方法を研究する中、従来とは全く異なる方法により、金属イオン水溶液中の金属イオンまたは金属元素含有溶液中の金属元素を基材の表面に打ち込んで基材表面に金属微粒子を担持させて導電率を向上させる手法を発見するに至った。
上記課題に鑑み、本発明は、ターゲットとなる基材の所望の箇所の導電性を向上させる方法を提供することを目的とする。
上記目的を達成するため、本発明の金属微粒子担持処理加工方法は、ターゲット物体のうち導電率を向上させたい所望箇所に金属イオン溶液または金属元素含有溶液を接触させる溶液接触工程と、マイクロ波を照射して前記金属イオンまたは前記金属元素を前記ターゲット物体の前記所望箇所内部に打ち込んで担持する金属微粒子担持工程とを備えた方法である。
従来技術において、ターゲット物体の所望の箇所の導電性を高めるという効果を得る加工処理方法として、金属被膜を表面に設けることは知られていたが、本発明のように当該所望の箇所に金属イオン溶液または金属元素含有溶液に触れさせ、マイクロ波照射を施してターゲット物体に金属微粒子を担持するという考えは知られておらず、まったく新しい手法を適用したものである。
従来の半導体回路の製作工程では、例えば、その表面に物理的蒸着法や化学的蒸着法により金属被膜を形成し、その後、エッチングなどで所望箇所以外の金属被膜を削り取ることにより形成していた。本発明は、ターゲット物体表面上に金属被膜という膜を形成するものではなく、ターゲット物体の表面に金属イオンまたは金属元素を打ち込むものである。従来技術の金属被膜ではターゲット物体表面に金属被膜を設けるために物体表面と金属被膜間の密着性などが問題となり金属被膜が剥離するなどの不具合が起こり得るが、本発明の金属微粒子担持処理加工方法によれば、ターゲット物体の表面のみならずわずかに表面下の内部に金属イオンまたは金属元素が打ち込まれているため、金属イオンがより安定した状態で担持する。
例えば、ターゲット物体はマイクロ波照射ができる物体であれば良く、半導体素子、金属表面を絶縁膜で被膜した絶縁体、導電性の小さい金属化合物、電子回路、スイッチ、タッチパネル用の各種フィルムその他の電子機器類の部品、精密機械類の部品、医療機器類の部品などがある。
ここで、金属表面を絶縁膜で被膜した絶縁体とは、例えば、陽極酸化膜などがある。陽極酸化膜はアルミニウムなどの導電性のある金属の表面に酸化膜を形成して絶縁性をもたせることにより形成されるが、この絶縁体である陽極酸化膜表面の所望箇所に対して導電性を持たせたいというニーズがある場合、当該箇所に対して本発明の加工を施すことにより当該箇所に導電性を持たせるといった加工を施すことが可能となる。
ここで、金属表面を絶縁膜で被膜した絶縁体とは、例えば、陽極酸化膜などがある。陽極酸化膜はアルミニウムなどの導電性のある金属の表面に酸化膜を形成して絶縁性をもたせることにより形成されるが、この絶縁体である陽極酸化膜表面の所望箇所に対して導電性を持たせたいというニーズがある場合、当該箇所に対して本発明の加工を施すことにより当該箇所に導電性を持たせるといった加工を施すことが可能となる。
また、金属イオンは導電率の高い金属のイオンであり、例えば、銀イオン、銅イオン、金イオン、プラチナイオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオン、リチウムイオン、チタンイオン、クロムイオン、鉄イオン、ニッケルイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、その他金属イオン等が挙げられる。
また、金属元素含有溶液中の金属元素は導電率の高い金属であり、例えば、銀、銅、金、プラチナ、亜鉛、アルミニウム、リチウム、チタン、クロム、鉄、ニッケル、ナトリウム、マグネシウム、カルシウムその他金属等が挙げられる。
また、金属元素含有溶液中の金属元素は導電率の高い金属であり、例えば、銀、銅、金、プラチナ、亜鉛、アルミニウム、リチウム、チタン、クロム、鉄、ニッケル、ナトリウム、マグネシウム、カルシウムその他金属等が挙げられる。
ここで、上記本発明の金属微粒子担持処理加工方法の工程において、前記溶液接触工程に先立ち、前記所望箇所に前記金属微粒子の担持を支援するバインダーやプライマーを塗布する下地塗布工程を備えることも好ましい。下地塗布工程を設けることにより、前記金属微粒子の担持を支援することができる。
バインダーとしては、金属微粒子のバインダーであれば良く、無機系のシリコーン系バインダー、有機系のアクリルシリコーン系バインダーなど多様なものを適用することができる。また、ポリビニルピロリドン(PVP)やエチレングリコール(EG)や酢酸を添加しても良い。これらを表面改質剤として添加しておくことによりターゲット物体の表面に担持する金属微粒子を小さく均質なものとしやすくなる。
プライマーはいわゆる地塗り剤であり、ターゲット物体の素材に適合した地塗り剤であれば良い。プライマーはターゲット表面を改質する効果があり、例えば、ターゲット物体表面の撥水性を抑えることにより次工程の溶液接触工程において金属イオン溶液または金属元素含有溶液とターゲット物体のコンタクトの状態を改善するなどの効果がある。
プライマーはいわゆる地塗り剤であり、ターゲット物体の素材に適合した地塗り剤であれば良い。プライマーはターゲット表面を改質する効果があり、例えば、ターゲット物体表面の撥水性を抑えることにより次工程の溶液接触工程において金属イオン溶液または金属元素含有溶液とターゲット物体のコンタクトの状態を改善するなどの効果がある。
次に、所望の箇所のみに金属イオン溶液または金属元素含有溶液を接触させるためには、所望の箇所以外の箇所をマスクすることにより制御することができる。つまり、上記本発明の金属微粒子担持処理加工方法の工程において、前記溶液接触工程に先立ち、前記所望箇所のみに開口を設けたマスクを設けるマスク工程を備えたものとすることも好ましい。
ここで、上記のマスク工程として例えば、下記の2つの方法がある。
第1には、前記マスク工程が、前記所望箇所に開口が設けられたシール材を貼り付ける工程である。マスクは、スプレー塗布状態において金属イオン溶液または金属元素含有溶液が浸透しない程度のシール状のフィルムなどを貼り付けるという簡単なものでも可能である。
第2には、前記マスク工程が、撥水性素材をインクとして飛ばすインクジェット印刷により前記所望箇所のみに開口を設けたマスクを印刷する工程である。
このようにマスクを設けることにより、ターゲット物体の導電率を向上する箇所が微細なパターンである場合などであっても細かく制御することができる。インクジェット印刷によりマスクを設ける場合、インクジェットの解像度に応じて細かくマスクの形状を制御することができることとなる。
第1には、前記マスク工程が、前記所望箇所に開口が設けられたシール材を貼り付ける工程である。マスクは、スプレー塗布状態において金属イオン溶液または金属元素含有溶液が浸透しない程度のシール状のフィルムなどを貼り付けるという簡単なものでも可能である。
第2には、前記マスク工程が、撥水性素材をインクとして飛ばすインクジェット印刷により前記所望箇所のみに開口を設けたマスクを印刷する工程である。
このようにマスクを設けることにより、ターゲット物体の導電率を向上する箇所が微細なパターンである場合などであっても細かく制御することができる。インクジェット印刷によりマスクを設ける場合、インクジェットの解像度に応じて細かくマスクの形状を制御することができることとなる。
ここで、前記マスク工程と前記溶液接触工程との間に、前記所望箇所に前記金属微粒子の担持を支援するバインダーまたはプライマーを塗布する下地塗布工程を備えることも好ましい。下地塗布工程を設けることにより、前記金属微粒子の担持を支援することができる。
次に、上記本発明の金属微粒子担持処理加工方法の工程において、溶液接触工程として、前記ターゲット物体を金属イオン溶液中または金属元素含有溶液中に浸漬する工程とすることができる。所望の箇所のみに金属イオン溶液または金属元素含有溶液を接触させるためには、所望の箇所以外の箇所をマスクすることにより制御することができる。なお、マスクは、浸漬状態において金属イオン溶液または金属元素含有溶液が浸透しない程度のシール状のフィルムなどを貼り付けるという簡単なものでも可能である。
なお、溶液接触工程の浸漬処理について、十分な量の金属イオン溶液量または金属元素含有溶液量に対してターゲット物体を浸漬する処理のほか、ターゲット物体が浸る程度に金属イオン溶液量または金属元素含有溶液量を調整してターゲット物体を浸漬する処理がある。なお、後者において、金属微粒子担持工程のマイクロ波照射処理により金属イオン溶液量または金属元素含有溶液量が蒸発などにより減少する場合、金属微粒子担持工程におけるマイクロ波照射を所定時間行った後、再度溶液接触工程において蒸発した金属イオン溶液または金属元素含有溶液を補って金属イオン溶液量または金属元素含有溶液量をターゲット物体が浸る程度の量とし、再度金属微粒子担持工程におけるマイクロ波照射を所定時間行うというように、溶液接触工程と金属微粒子担持工程を繰り返す処理が可能である。
本発明は、上記のように、ターゲット物体に対して金属イオン溶液または金属元素含有溶液に浸漬した状態においてマイクロ波照射する手法により高い持続性を持たせて担持することに成功した。
なお、溶液接触工程の浸漬処理について、十分な量の金属イオン溶液量または金属元素含有溶液量に対してターゲット物体を浸漬する処理のほか、ターゲット物体が浸る程度に金属イオン溶液量または金属元素含有溶液量を調整してターゲット物体を浸漬する処理がある。なお、後者において、金属微粒子担持工程のマイクロ波照射処理により金属イオン溶液量または金属元素含有溶液量が蒸発などにより減少する場合、金属微粒子担持工程におけるマイクロ波照射を所定時間行った後、再度溶液接触工程において蒸発した金属イオン溶液または金属元素含有溶液を補って金属イオン溶液量または金属元素含有溶液量をターゲット物体が浸る程度の量とし、再度金属微粒子担持工程におけるマイクロ波照射を所定時間行うというように、溶液接触工程と金属微粒子担持工程を繰り返す処理が可能である。
本発明は、上記のように、ターゲット物体に対して金属イオン溶液または金属元素含有溶液に浸漬した状態においてマイクロ波照射する手法により高い持続性を持たせて担持することに成功した。
次に、上記構成において、溶液接触工程として、前記ターゲット物体に対して金属イオン溶液または金属元素含有溶液をスプレー塗布する工程とすることができる。
本発明は、ターゲット物体に対して金属イオン溶液または金属元素含有溶液をスプレー塗布した状態においてマイクロ波照射する手法により高い持続性を持たせて担持することに成功した。
本発明は、ターゲット物体に対して金属イオン溶液または金属元素含有溶液をスプレー塗布した状態においてマイクロ波照射する手法により高い持続性を持たせて担持することに成功した。
ここで、前記溶液接触工程における前記金属イオン溶液内または金属元素含有溶液内に前記金属微粒子の前記ターゲット物体への担持を支援するバインダーを混合せしめることも好ましい。バインダーを金属イオン溶液または金属元素含有溶液に混合しておくことにより、前記金属微粒子の担持を支援することができる。
次に、上記のようにマスク工程ではなく、パターン印刷工程を設けても良い。つまり、上記本発明の金属微粒子担持処理加工方法の工程において、前記溶液接触工程に先立ち、前記所望箇所のみに前記金属イオン溶液または金属元素含有溶液をインクとしてパターンを印刷するパターン印刷工程を備えたものとすることも好ましい。例えば、金属イオン溶液または金属元素含有溶液を含む素材をインクとして飛ばすインクジェット印刷により前記所望箇所のみにパターンを印刷することが可能である。インクジェット印刷により前記所望箇所にパターンを印刷し、その後に金属微粒子担持工程により金属微粒子を担持する。
なお、この溶液接触工程をインクジェット印刷によりパターン印刷とする場合において、そのパターン印刷である溶液接触工程に先立ち、前記所望箇所に前記金属微粒子の担持を支援するバインダーまたはプライマーを塗布する下地塗布工程を備えることも可能である。
本発明の金属微粒子担持処理加工方法によれば、物体表面に単純に金属膜を被覆する方法ではなく、金属イオンまたは金属元素を物体表面および表面下わずかに内部まで打ち込んで金属微粒子を担持させるものであり単純な被膜ではなく物体の表面そのものが導電性を持つように改質されたものとなっているので安定した高い導電性を持たせることができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について実施例により具体的に説明する。なお本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
図1は、本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理加工方法の原理を示す図である。図1左側には本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理加工方法の手順を簡単に示す図が示されており、図1右側には、本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持工程を示す工程図が示されている。
図1右側に示すように、本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持工程は、溶液接触工程(ステップS1)と、金属微粒子担持工程(ステップS2)の2つの工程がある。
溶液接触工程(ステップS1)は、ターゲット物体100のうち導電性を向上させたい所望箇所に金属イオン溶液または金属元素含有溶液を接触させる工程である。
溶液接触工程(ステップS1)は、ターゲット物体100のうち導電性を向上させたい所望箇所に金属イオン溶液または金属元素含有溶液を接触させる工程である。
ターゲット物体100は、表面を改質して導電性を持たせる目的物である。ここでは、ポリメタクリル酸メチル樹脂(以下、PMMAと略記する)を用いた例で説明する。なお、PMMAに限らず、表面の導電性を向上させたい物体であれば良く、例えば、半導体素子、金属表面を絶縁膜で被膜した絶縁体、導電性の小さい金属化合物、電子回路、スイッチ、タッチパネル用の各種フィルムその他の電子機器類の部品、精密機械類の部品、医療機器類の部品などがある。
金属イオン溶液または金属元素含有溶液200は、金属イオンまたは金属元素を包含する溶液であれば良いが、金属イオンは導電率の高い金属のイオンであり、例えば、銀イオン、銅イオン、金イオン、プラチナイオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオン、リチウムイオン、チタンイオン、クロムイオン、鉄イオン、ニッケルイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオン、その他金属イオン等が挙げられる。また、金属元素含有溶液中の金属元素は導電率の高い金属元素であり、例えば、銀、銅、金、プラチナ、亜鉛、アルミニウム、リチウム、チタン、クロム、鉄、ニッケル、ナトリウム、マグネシウム、カルシウムその他金属等が挙げられる。
ここでは、例えば、銀イオン溶液とする。
ここでは、例えば、銀イオン溶液とする。
なお、図1左の例ではターゲット物体100の上面に金属イオン溶液または金属元素含有溶液200がコンタクトしている状態を示しているが、ターゲット物体上の導電性を向上させたい所望箇所に金属イオン溶液または金属元素含有溶液を接触させる方法としては後述するようにマスク処理を施した状態での浸漬方法や、マスク処理を施した状態でのスプレー塗布方法や、金属イオン溶液または金属元素含有溶液をインクとして吹き付けるインクジェット印刷方法など多様な方法があるが、それらは後述する。
次に、金属微粒子担持工程(ステップS2)は、マイクロ波を照射して前記金属イオン溶液中の金属イオンまたは金属元素含有溶液中の金属元素を前記ターゲット物体の前記所望箇所に担持する工程である。
金属イオン溶液または金属元素含有溶液200がターゲット物体100の表面にコンタクトした状態でマイクロ波を照射することにより、金属イオン溶液または金属元素含有溶液200中の金属イオンまたは金属元素がターゲット物体100の表面および表面下わずか内部にまで打ち込まれ、ナノレベル粒子の状態で表面に緻密に金属微粒子として担持して表面が改質され、ターゲット物体100Aが得られる。
なお、マイクロ波の照射条件として、マイクロ波の照射出力、マイクロ波の照射時間があるが、この点については後述する。
これらの2つの工程を経て、ターゲット物体100は、表面の改質処理が施されたターゲット物体100Aとして得られる。
これらの2つの工程を経て、ターゲット物体100は、表面の改質処理が施されたターゲット物体100Aとして得られる。
以下、実際の試験片を加工して得たターゲット物体100Aの表面改質の状態を調べた。
まず、金属イオン溶液を以下の手順で作製した。
硝酸銀(和光1級193-00841、純度99.5%)850mgに対し純水50mlに入れ、アンモニア水(和光1級017-03176、濃度25%)を滴下することにより、硝酸銀水溶液(溶液A)とした。アンモニア水を滴下すると初めは茶色の沈殿物が生じるが、滴下を続けると、沈殿物は消え透明の液体となる。透明の液体となったところでアンモニア水の滴下を止めた。純水30ml、エタノール(和光1級052-00467、純度99.5%)10ml、エチレングリコール(和光1級055-00996、純度99.0%)10mlを混合し、超音波洗浄機を用いて約1分攪拌し(溶液B)とした。溶液Aと溶液Bを混ぜ合わせて、加工のための溶液とした。
ターゲット物体をPMMA基板(市販のアクリル樹脂:1cm四方で厚さ5mm)とし、マイクロ波の照射条件は、出力500Wで照射時間1分のものと、出力500Wで照射時間2分のものと、比較対象のための未加工のものの3つの試験区分を作成した。
実験は、導電率計測、走査電子顕微鏡観察(SEM)と、X線光電子分光分析(XPS)と、X線回折測定(XRD)の4つの実験観察を行った。それらの結果を以下に示す。
まず、金属イオン溶液を以下の手順で作製した。
硝酸銀(和光1級193-00841、純度99.5%)850mgに対し純水50mlに入れ、アンモニア水(和光1級017-03176、濃度25%)を滴下することにより、硝酸銀水溶液(溶液A)とした。アンモニア水を滴下すると初めは茶色の沈殿物が生じるが、滴下を続けると、沈殿物は消え透明の液体となる。透明の液体となったところでアンモニア水の滴下を止めた。純水30ml、エタノール(和光1級052-00467、純度99.5%)10ml、エチレングリコール(和光1級055-00996、純度99.0%)10mlを混合し、超音波洗浄機を用いて約1分攪拌し(溶液B)とした。溶液Aと溶液Bを混ぜ合わせて、加工のための溶液とした。
ターゲット物体をPMMA基板(市販のアクリル樹脂:1cm四方で厚さ5mm)とし、マイクロ波の照射条件は、出力500Wで照射時間1分のものと、出力500Wで照射時間2分のものと、比較対象のための未加工のものの3つの試験区分を作成した。
実験は、導電率計測、走査電子顕微鏡観察(SEM)と、X線光電子分光分析(XPS)と、X線回折測定(XRD)の4つの実験観察を行った。それらの結果を以下に示す。
まず、本発明によるマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理による導電率の変化を説明する。
図2は、本発明によるマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理による導電率の変化を示す図である。
図2において、左から、本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理前(未加工)の表面の導電率(A)、本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理(照射時間1分)の表面の導電率(B)、本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理(照射時間2分)の表面の導電率(C)、本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理後の内部の改質を受けていない部分の導電率(D)を示す図である。
図2において、左から、本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理前(未加工)の表面の導電率(A)、本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理(照射時間1分)の表面の導電率(B)、本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理(照射時間2分)の表面の導電率(C)、本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理後の内部の改質を受けていない部分の導電率(D)を示す図である。
図2に示すように、金属微粒子担持処理前の未加工のターゲット物体100は導電率が低く、絶縁体と評価される程度であったが、本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理を行うことによりターゲット物体100Aはマイクロ波500Wで1分照射の導電率に比べ、マイクロ波500Wで2分照射の導電率の方が向上していることが分かる。このように、本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理を施せば導電率が明らかに向上している。また(D)に示すように、本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理後ものであってもターゲット物体100Aの内部の導電率は変化しておらず、依然、図2(a)に示した改質前のターゲット物体100の元々の素材の導電率とほぼ同じである。つまり、金属微粒子の担持はターゲット物体100Aの表面および表面直下の浅い領域であり、金属イオンまたは金属元素が内部奥深くには浸透しないため内部は改質が進んでいないことが分かる。
次に、走査電子顕微鏡(SEM)の観察結果を説明する。ここではSEM画像を示すとともに観測された銀粒子の粒度分布も示す。
図3は、本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理による表面改質の様子を示す写真である。写真は走査電子顕微鏡(SEM)画像であり、(株)日立ハイテクノロジー製S-4800を用いて観察した状態を写真撮影した。各SEM画像の観測条件は、加速電圧10.0kV、作動距離WD15.0mm、20k倍である。
図3は、本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理による表面改質の様子を示す写真である。写真は走査電子顕微鏡(SEM)画像であり、(株)日立ハイテクノロジー製S-4800を用いて観察した状態を写真撮影した。各SEM画像の観測条件は、加速電圧10.0kV、作動距離WD15.0mm、20k倍である。
図3(a)は金属微粒子担持処理前の未加工のターゲット物体100の表面のSEM画像写真である。SEM画像写真に示すように、未加工のPMMA基板の表面は滑らかであり、粒子状のものは観測されず、銀粒子などは担持されていないことが分かる。
図3(b)は金属微粒子担持処理後(マイクロ波500W1分照射)のターゲット物体100Aの表面のSEM画像写真である。SEM画像写真に示すように、PMMAの表面に数10ナノレベルの銀粒子がところどころに観測される。
図3(c)は金属微粒子担持処理後(マイクロ波500W2分照射)のターゲット物体100Aの表面のSEM画像写真である。SEM画像写真に示すように、PMMAの表面に数10ナノレベルの銀粒子がさらに多く観測される。
図3(b)は金属微粒子担持処理後(マイクロ波500W1分照射)のターゲット物体100Aの表面のSEM画像写真である。SEM画像写真に示すように、PMMAの表面に数10ナノレベルの銀粒子がところどころに観測される。
図3(c)は金属微粒子担持処理後(マイクロ波500W2分照射)のターゲット物体100Aの表面のSEM画像写真である。SEM画像写真に示すように、PMMAの表面に数10ナノレベルの銀粒子がさらに多く観測される。
このように、本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理によれば、金属イオン溶液中の金属イオンまたは金属元素含有溶液中の金属元素がターゲット物体の表面および表面下わずか内部にまで担持し、表面改質が進むことが分かる。図2の導電率の変化と併せると、ターゲット物体の表面に銀粒子が担持し、絶縁体である基材のPMMAの表面において銀由来の高い導電率の物性を示すように表面が改質されたことが分かる。
なお、図3(b)と図3(c)の比較から分かるように、マイクロ波の照射時間を長くすると、銀粒子の担持量が増加していることが分かり、図2の導電率も増加している結果と合致している。
なお、図3(b)と図3(c)の比較から分かるように、マイクロ波の照射時間を長くすると、銀粒子の担持量が増加していることが分かり、図2の導電率も増加している結果と合致している。
次に、SEMで観測された銀粒子の粒度分布を示す。
図4はSEMで観測されたそれぞれの条件で作製した試料の銀粒子の粒度分布を示す図である。
図4の粒度分布図に示すように、出力500W、照射時間1分で作製した試料においては、担持されている銀粒子の粒子径は約35nmがピークとなっている。また、照射時間を2分で作製した試料においては、担持されている銀粒子の粒子径は約45nmがピークとなっている。このように、照射時間に応じて銀粒子の粒子成長が起こっており、マイクロ波の照射時間が担持した銀微粒子の粒子径や担持量に影響を与えていることがわかる。
図4はSEMで観測されたそれぞれの条件で作製した試料の銀粒子の粒度分布を示す図である。
図4の粒度分布図に示すように、出力500W、照射時間1分で作製した試料においては、担持されている銀粒子の粒子径は約35nmがピークとなっている。また、照射時間を2分で作製した試料においては、担持されている銀粒子の粒子径は約45nmがピークとなっている。このように、照射時間に応じて銀粒子の粒子成長が起こっており、マイクロ波の照射時間が担持した銀微粒子の粒子径や担持量に影響を与えていることがわかる。
次に、X線光電子分光分析(XPS)の結果を説明する。XPSはX線照射により放出される光電子のエネルギー分布を測定するものであり、ターゲット物体100Aの試料表面(数nm程度の深さ)の元素の種類、存在量、化学結合状態に関する知見を得ることができる。
図5は、X線光電子分光分析(XPS)の結果を示す図である。なお、XPS測定はアルバックファイ社製ESCA5600CIを用いて行った。X線はMgKα線(400W)を用いた。また、エネルギー補正はAu線を同時に測定し、Au4fのバインディングエネルギーを84eVとして補正した。
図5は、マイクロ波を500Wで1分照射して作製したものと、500Wで2分照射して作製したものと、参照試料としてAg板の3者のC1s、O1s、Ag3d、Au4fのXPSスペクトルを示した図である。図5に示すように、参照試料のAg板のAg3d(5/2)ピークのエネルギーは368.3eVであり金属Agのエネルギー値と一致している。それに対し、マイクロ波を500Wで1分照射して作製した試料のAg3d(5/2)ピークのエネルギーは367.2eVであり、マイクロ波を500Wで2分照射して作製した試料のAg3d(5/2)ピークのエネルギーは366.9eVであり、それぞれ1.1〜1.4eV低エネルギー側にシフトしていることが分かる。このことから、マイクロ波照射によりPMMA基板に担持した微粒子は銀由来のものであることが分かる。なお、図5中、C1s、O1sピークに関して、参照試料のAg板と異なる位置にピークが観測されるが、これは基板のPMMAに基づくものと思われる。
この結果から、銀イオン溶液中の銀イオンまたは銀元素含有溶液中の銀元素に対するマイクロ波照射により、銀微粒子がターゲット物体の表面に担持されていることが分かる。
この結果から、銀イオン溶液中の銀イオンまたは銀元素含有溶液中の銀元素に対するマイクロ波照射により、銀微粒子がターゲット物体の表面に担持されていることが分かる。
次に、X線回折測定(XRD)の結果を説明する。X線の回折の結果を解析して結晶内部で原子がどのように配列しているかを決定する。なお、XRD測定はRigaku製RINT2000を用いて測定した。測定条件として、X線源はCuKα線(40kV,150mA)、発散スリット1deg、散乱スリット1deg、受光スリット1deg、スキャンスピードは4°/minで行った。
図6は、X線回折測定(XRD)の結果を示す図であり、マイクロ波を500Wで1分照射して作製したものと、500Wで2分照射して作製したものと、参照試料としてAg板の3者のXRDパターンを示している。この結果から、銀イオン溶液中の銀イオンまたは銀元素含有溶液中の銀元素に対するマイクロ波照射により、銀粒子がターゲット物体の表面に担持されていることが分かる。
以上の実験を通して得られた導電率変化、粒子の粒度分布、SEM画像、XPS光電子分光分析結果、XRD回折測定結果を考察すれば、本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理により、銀イオン溶液中の銀イオンまたは銀元素含有溶液中の銀元素がPMMAの表面に打ち込まれ、銀微粒子がターゲット物体の表面および表面下わずか内部にまで担持されていることが分かる。
図7は、金属微粒子担持処理後のターゲット物体100Aの断面図を示している。ターゲット物体100Aの内部は素材物質が一様となっている構造をしている。一方、ターゲット物体100Aの内部は、ターゲット物体100Aの表面付近が改質されており、ナノレベルの粒状の銀微粒子として表面に担持された状態に変化している。なお、金属被膜のように元々表面で合った部分と新たに積層した部分の境界はなく、ターゲット物体100Aの表面が変化するものである。
なお、金属表面への酸化膜形成と、当該表面への本発明の加工を組み合わせると言った多層的な加工処理も可能である。
例えば、アルミニウムなどの導電性のある金属の表面に酸化膜を形成した陽極酸化膜は絶縁性を示す。このように絶縁性を持つ陽極酸化膜の表面の所望箇所に対して、さらに本発明の加工を施すことにより当該箇所に金属微粒子を形成して導電性を持たせるといった加工を施すことも可能である。このようにターゲット物体に対して本発明の加工処理と、他の加工処理とを組み合わせた多層的な加工処理も可能である。
なお、金属表面への酸化膜形成と、当該表面への本発明の加工を組み合わせると言った多層的な加工処理も可能である。
例えば、アルミニウムなどの導電性のある金属の表面に酸化膜を形成した陽極酸化膜は絶縁性を示す。このように絶縁性を持つ陽極酸化膜の表面の所望箇所に対して、さらに本発明の加工を施すことにより当該箇所に金属微粒子を形成して導電性を持たせるといった加工を施すことも可能である。このようにターゲット物体に対して本発明の加工処理と、他の加工処理とを組み合わせた多層的な加工処理も可能である。
次に、マイクロ波の照射条件と導電率の向上の関係について説明する。
図8は、横軸にマイクロ波照射時間を取り、縦軸に導電率を取ったグラフである。実験条件としては、ターゲット物体100を金属イオン溶液または金属元素含有溶液内に浸漬して周囲に十分な量の金属イオン溶液または金属元素含有溶液に接触するようにした。例えば、ターゲット物体100に対するマイクロ波の照射時間を30秒、1分、1分30秒、2分、2分30秒、3分とした各試験区分を容易して導電率を調べたところ、図8に示すような曲線が見られた。
図8は、横軸にマイクロ波照射時間を取り、縦軸に導電率を取ったグラフである。実験条件としては、ターゲット物体100を金属イオン溶液または金属元素含有溶液内に浸漬して周囲に十分な量の金属イオン溶液または金属元素含有溶液に接触するようにした。例えば、ターゲット物体100に対するマイクロ波の照射時間を30秒、1分、1分30秒、2分、2分30秒、3分とした各試験区分を容易して導電率を調べたところ、図8に示すような曲線が見られた。
図8に示すように、マイクロ波照射時間が多くなれば導電率が向上していることが分かる。つまり、マイクロ波照射時間が多くなればターゲット物体に打ち込まれる金属イオンまたは金属元素の量が増えていくものと考えられる。なお、ターゲット物体の表面全体に一定量以上の金属微粒子が覆われて改質が十分に進んでくると導電率は徐々に飽和してゆくものと考えられる。
次に、溶液接触工程と金属微粒子担持処理工程を繰り返し、マイクロ波照射時間を長く確保してより多くの金属微粒子を担持させる処理例について述べる。
まず、金属イオン溶液または金属元素含有溶液を以下の手順で作製した。
硝酸銀(和光1級193-00841、純度99.5%)850mgに対し純水50mlに入れ、アンモニア水(和光1級017-03176、濃度25%)を滴下することにより、硝酸銀水溶液(溶液A)とした。アンモニア水を滴下すると初めは茶色の沈殿物が生じるが、滴下を続けると、沈殿物は消え透明の液体となる。透明の液体となったところでアンモニア水の滴下を止めた。純水30ml、エタノール(和光1級052-00467、純度99.5%)10ml、エチレングリコール(和光1級055-00996、純度99.0%)10mlを混合し、超音波洗浄機を用いて約1分攪拌し(溶液B)とした。溶液Aと溶液Bを混ぜ合わせて、加工のための溶液とした。
まず、金属イオン溶液または金属元素含有溶液を以下の手順で作製した。
硝酸銀(和光1級193-00841、純度99.5%)850mgに対し純水50mlに入れ、アンモニア水(和光1級017-03176、濃度25%)を滴下することにより、硝酸銀水溶液(溶液A)とした。アンモニア水を滴下すると初めは茶色の沈殿物が生じるが、滴下を続けると、沈殿物は消え透明の液体となる。透明の液体となったところでアンモニア水の滴下を止めた。純水30ml、エタノール(和光1級052-00467、純度99.5%)10ml、エチレングリコール(和光1級055-00996、純度99.0%)10mlを混合し、超音波洗浄機を用いて約1分攪拌し(溶液B)とした。溶液Aと溶液Bを混ぜ合わせて、加工のための溶液とした。
ターゲット物体をPMMA基板(市販のアクリル樹脂:1cm四方で厚さ5mm)と、これをるつぼ(45mmΦ、高さ37mm、蓋付き)に入れ、溶液を入れながら(1回あたり5ml)マイクロ波(公称値で500W)を照射した。以下に3種類のマイクロ波照射加工の条件を示す。容積は加えた溶液量、時間はマイクロ波照射時間を示す。溶液の追加とマイクロ波照射を繰り返したのは、過剰に金属イオン溶液または金属元素含有溶液を入れず、常にターゲット物体が浸る程度の状態となるようにするためである。
試験区分として以下のサンプル1〜3を作製した。
作製したサンプルの写真を図9に示す。左がマイクロ波照射加工前のPMMA基材、右が金属微粒子担持処理におけるマイクロ波照射加工後のサンプルである。表面が銀微粒子で覆われて灰色を呈しているのがわかる。
このように作製したサンプルについて様々な測定を行った。
X線回折測定にはリガク製UltimaIVを使用した。X線源はCuのKα線で加速電圧は40kV、X線管電流は20mAとした。
広域測定(10°〜90°):発散スリット2/3°、発散縦制限スリット2mm、散乱スリット2/3°、受光スリット0.3mm、スキャンスピード0.1°/min、サンプリング幅0.02°、積算回数は1回である。
精密測定(37°〜39°):発散スリット1/6°、発散縦制限スリット10mm、散乱スリット2/3°、受光スリットなし、スキャンスピード0.2°/min、サンプリング幅0.01°、積算回数は1回である。
X線回折測定にはリガク製UltimaIVを使用した。X線源はCuのKα線で加速電圧は40kV、X線管電流は20mAとした。
広域測定(10°〜90°):発散スリット2/3°、発散縦制限スリット2mm、散乱スリット2/3°、受光スリット0.3mm、スキャンスピード0.1°/min、サンプリング幅0.02°、積算回数は1回である。
精密測定(37°〜39°):発散スリット1/6°、発散縦制限スリット10mm、散乱スリット2/3°、受光スリットなし、スキャンスピード0.2°/min、サンプリング幅0.01°、積算回数は1回である。
走査電子顕微鏡観察及び元素分析(EDX)は日本電子製のJSM-6510LAを使用し、前処理は行わなかった。電子線の加速電圧は15kVとした。また抵抗の測定には三和電気計器製のアナログマルチテスタCX-506を使用した。抵抗率の測定では試料の側面に付着したものをやすりで削り落とした後、上部1cm四方の四隅に銀ペーストを用いて配線を施してファンデアポー法で行った。膜厚は全ての測定の後に、表面の膜の一部を剥がして、東京精密製の表面粗さ測定器surfcom 590Aを用いて、段差を測定して行った。
まず、電子顕微鏡による観察結果を示す。
サンプル1からサンプル3の電子顕微鏡写真(35倍)を順に図10(A)から図10(C)に示す。サンプル1に比べサンプル2、3は表面が均一な膜で覆われていることが分かる。サンプル1は右の部分がチャージアップの影響が現われているのに対し、サンプル2、3ではこの影響が見られないことから、サンプル2、3は導電性があることが伺える。
サンプル1からサンプル3の電子顕微鏡写真(35倍)を順に図10(A)から図10(C)に示す。サンプル1に比べサンプル2、3は表面が均一な膜で覆われていることが分かる。サンプル1は右の部分がチャージアップの影響が現われているのに対し、サンプル2、3ではこの影響が見られないことから、サンプル2、3は導電性があることが伺える。
次に、サンプル1からサンプル3の電子顕微鏡写真(3000倍)を順に図11(A)から図11(C)に示す。サンプル1ではサブミクロンの粒子が敷き詰められた構造となっている。サンプル2、3では数μmの比較的大きな粒子が存在すると共にその表面にサブミクロンの小さな粒子が数多く付着している構造となっている。
次に、サンプル1からサンプル3の電子顕微鏡写真(1万倍)を順に図12(A)から図12(C)に示す。サンプル2、3では、サブミクロンの細かい粒子が鈴なりに付着している様子が良く分かる。サンプル1はチャージアップの影響を受けているため、焦点のぼやけた写真となってしまっている。
次に、サンプル1からサンプル3について、上記の3000倍の写真の領域において元素分析(EDX)を行った結果を順に図13(A)、図13(B)、図14に示す。
どのスペクトル(ZAF補正)にも2.99、3.15、3.34keVに銀原子に対応するピークが観測され、表面に銀原子が析出していることが明らかである。0.28keVのピークは不純物の炭素からの信号と思われる。2.99keVにおけるAgのピーク強度のサンプル依存性を次に示す。
図15にサンプル1からサンプル3における2.99keVのピーク強度の違いを示した。マイクロ波照射時間が250秒(サンプル1)に比べ、他の2つは著しく強度が強く、析出した銀原子の量が多いことが分かる。また、この強度は、照射時間に比例せず、飽和していることがわかる。
どのスペクトル(ZAF補正)にも2.99、3.15、3.34keVに銀原子に対応するピークが観測され、表面に銀原子が析出していることが明らかである。0.28keVのピークは不純物の炭素からの信号と思われる。2.99keVにおけるAgのピーク強度のサンプル依存性を次に示す。
図15にサンプル1からサンプル3における2.99keVのピーク強度の違いを示した。マイクロ波照射時間が250秒(サンプル1)に比べ、他の2つは著しく強度が強く、析出した銀原子の量が多いことが分かる。また、この強度は、照射時間に比例せず、飽和していることがわかる。
次に、X線回折測定結果について述べる。
図16(A)(B)はそれぞれマイクロ波照射加工前後のX線回折パターンである。横軸と縦軸の単位はそれぞれdegとcpsである。図16(B)には銀の結晶に対応するピークが5つ観測されており、表面に単体の銀結晶が析出していると考えられる。また、ピークの積分強度をJCPDSデータとの比較から結晶面(111)面が表面に平行になるように配向する傾向が見られた(表2)。
図16(A)(B)はそれぞれマイクロ波照射加工前後のX線回折パターンである。横軸と縦軸の単位はそれぞれdegとcpsである。図16(B)には銀の結晶に対応するピークが5つ観測されており、表面に単体の銀結晶が析出していると考えられる。また、ピークの積分強度をJCPDSデータとの比較から結晶面(111)面が表面に平行になるように配向する傾向が見られた(表2)。
次に、回折角度が38.1degの最も強度の強い回折ピークについて精密測定した結果をバックグラウンド除去して図17に示す。積分強度に違いが見られるほかは特に違いが見られない。積分強度の違いを図18に示す。このグラフにおいてもマイクロ波照射時間に比例せず、飽和傾向を見せている。
次に、膜厚について述べる。図19は、膜厚の測定結果を示す図である。
段差測定による膜厚の測定であるため、大きな誤差を含むことも考えられることに留意する必要がある。この結果よりサンプル1、2、3の膜厚は100nm、1400nm、1800nmと見積もることができる。
段差測定による膜厚の測定であるため、大きな誤差を含むことも考えられることに留意する必要がある。この結果よりサンプル1、2、3の膜厚は100nm、1400nm、1800nmと見積もることができる。
次に電気的特性について述べる。マイクロ波照射加工の直後に吸湿紙で水分を取り除いた状態でアナログマルチテスタを用いて抵抗(側面、表、裏)を測定した。側面は向かい合う側面同士の間の抵抗を測定し、表と裏は1cm四方の対角線方向に測定し、抵抗の低いほうを表とした。また、2日後の表の測定結果は側面をやすりで膜を削ぎ落として測定した結果である。これらの結果をまとめて表3に示す。マイクロ波照射加工時間が250秒では導電性が得られていないが、500秒を超えると導電性が得られていることが分かる。750秒まで照射時間を長くしても導電性に大きな変化は見られなかった。
サンプル2(照射時間500秒)とサンプル3(照射時間750秒)について、抵抗率(導電率の逆数)をファンデアポー法で算出すると、各々0.964×10-6、4.33×10-6Ω・mが得られた。これは銀の抵抗率0.0162×10-6Ω・mと比べて約100倍の抵抗率を持つことが分かる。これは表面に析出した銀がかたまりではなくミクロンオーダーの微粒子の集合体であることから導電性が通常の銀線に比べて1/100程度に下がり、電流が流れにくくなっているものと考えられる。
以上の実験により、硝酸銀をベースとした溶液にPMMA基材を浸して500Wのマイクロ波照射加工を行い、表面の物理的状態と電気的特性を調べた結果、次のことが明らかとなった。
(1)照射時間250秒では銀が析出しているものの、析出量が十分でないため導電性が見られなかった。
(2)照射時間が500秒を超えると数ミクロンの粒子にサブミクロンの粒子が覆うような形で銀が析出し、導電性が見られた。
(3)照射時間を750秒にしても、析出量と電気抵抗に大きな変化は見られず飽和傾向を示した。
(4)表面に析出した銀の抵抗率は通常の銀線と比べ約100倍の値を持ち、これは析出した銀が微粒子の集合体であるため電流が流れにくくなっているものと考えられる。
(1)照射時間250秒では銀が析出しているものの、析出量が十分でないため導電性が見られなかった。
(2)照射時間が500秒を超えると数ミクロンの粒子にサブミクロンの粒子が覆うような形で銀が析出し、導電性が見られた。
(3)照射時間を750秒にしても、析出量と電気抵抗に大きな変化は見られず飽和傾向を示した。
(4)表面に析出した銀の抵抗率は通常の銀線と比べ約100倍の値を持ち、これは析出した銀が微粒子の集合体であるため電流が流れにくくなっているものと考えられる。
以上の実験結果から、(1)と(2)より、照射時間が500秒を超えるとサブミクロンの金属の微粒子が表面に析出するようにコーティングされ、導電性が得られることが実証できた。また(2)と(3)より、ターゲット物体の表面に金属の微粒子による表面改質ができれば、マイクロ波照射時間をさらに長くするとターゲット物体の表面のコーティングの上にさらに析出する形で成長すると考えられ、導電率自体は、その金属の微粒子のコーティング状態で得られる導電率を示すものと考えられる。なお、図10から図12を観察して分かるように、マイクロ波照射時間が長くなると金属微粒子が徐々に成長して大きくなっていることがわかる。
次に、ターゲット物体の表面の所定箇所のみを選択的に導電率を向上させる方法について述べる。ここではターゲット物体100と金属イオン溶液または金属元素含有溶液200とのコンタクト方法として浸漬法とスプレー法とインクジェット印刷法がある。
次に、金属イオン溶液または金属元素含有溶液200をターゲット物体100の所望箇所にのみコンタクトさせる工夫としてターゲット物体100にマスクするという工程を伴ったものを説明する。なお、図1の工程に示したように、本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理工程においてマスク工程は必須ではない。
次に、金属イオン溶液または金属元素含有溶液200をターゲット物体100の所望箇所にのみコンタクトさせる工夫としてターゲット物体100にマスクするという工程を伴ったものを説明する。なお、図1の工程に示したように、本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理工程においてマスク工程は必須ではない。
まず、浸漬法を用いた場合の工程について説明する。この例では、マスク工程(S01)と、溶液接触工程(ステップS11)と、金属微粒子担持工程(ステップS21)と、マスク除去工程(ステップS31)の4つの工程がある。
図20は、金属イオン溶液または金属元素含有溶液のコンタクト方法としてターゲット物体100を金属イオン溶液内または金属元素含有溶液内に浸漬するという工程を伴った金属微粒子担持処理加工方法の工程を示す図である。
マスク工程(S01)は、図20に示すように、ターゲット物体100に対して所望箇所にのみ金属イオン溶液または金属元素含有溶液がコンタクトするように当該個所のみが開口しているマスク110を貼り付け、所望箇所以外をマスクしている。このようにマスク110を設けることによりターゲット物体100全体を金属イオン溶液または金属元素含有溶液200内に浸漬しても所望の箇所のみに金属イオン溶液または金属元素含有溶液200をコンタクトさせることができる。
なお、マスク110の厚さや材質であるが、マイクロ波を照射する工程においてマスク110も金属イオン溶液または金属元素含有溶液200にコンタクトしたままマイクロ波が照射されるため、金属イオンまたは金属元素を確実にターゲット物体100の表面から遮断する程度に制御できるものとする必要がある。そのため、金属イオンまたは金属元素の種類、マイクロ波の照射出力の大きさ、照射時間、シール素材の浸透度合いなどの関係から厚さを決める必要がある。つまり、金属イオンまたは金属元素がマイクロ波照射によりマスク110内に浸透する深さよりもマスク110の厚さを厚くしておく必要がある。
次に、溶液接触工程(ステップS11)は、浸漬法においては、図20に示すように、金属イオン溶液または金属元素含有溶液200が充填された適度な大きさを持つ容器210を用意し、その中にターゲット物体100全体を浸漬することでターゲット物体100の表面に金属イオン溶液または金属元素含有溶液をコンタクトする。なお、ターゲット物体100はマスクを施しているので、マスクの開口部分の領域のみ金属イオン溶液または金属元素含有溶液がコンタクトされる。
なお、容器210の材質であるが、金属微粒子担持工程(ステップS21)においてマイクロ波が照射されるため放電を招くような金属類は不適当である。例えばガラスやセラミック類などの材質であれば良い。
次に、金属微粒子担持工程(ステップS21)は、浸漬法においては、図20に示すように、ターゲット物体100を浸漬した状態の容器210全体に対してマイクロ波を照射する。金属イオン溶液または金属元素含有溶液に浸漬したままマイクロ波を照射するため、マイクロ波の照射条件は容器210の深さなどにも依存する。
マスク除去工程(ステップS31)において、マイクロ波を所定出力で所定時間照射した後、浸漬していたターゲット物体100を引き揚げ、乾燥させた後にマスク110を剥がす。
次に、スプレー法を用いた場合の工程について説明する。この例では、マスク工程(S02)と、溶液接触工程(ステップS12)と、金属微粒子担持工程(ステップS22)と、マスク除去工程(ステップS32)の4つの工程がある。
図21は、金属イオン溶液のコンタクト方法としてスプレー噴霧するという工程を伴った金属微粒子担持処理加工方法の工程を示す図である。
マスク工程(S02)は、図20に示したマスク工程(S01)と同様で良い。
マスク工程(S02)は、図20に示したマスク工程(S01)と同様で良い。
次に、溶液接触工程(ステップS12)は、スプレー法においては、図21に示すように、金属イオン溶液または金属元素含有溶液を充填したスプレー容器から金属イオン溶液または金属元素含有溶液をターゲット物体100に対してスプレー噴霧して吹き付けることによりターゲット物体100の表面に金属イオン溶液または金属元素含有溶液をコンタクトする。なお、ターゲット物体100はマスクを施しているので、マスクの開口部分の領域のみ金属イオン溶液または金属元素含有溶液がコンタクトされる。
次に、金属微粒子担持工程(ステップS22)は、スプレー法においては、図21に示すように、表面に金属イオン溶液または金属元素含有溶液が噴霧されたターゲット物体100に対してマイクロ波を照射する。
マスク除去工程(ステップS32)は、図20に示したマスク除去工程(ステップS31)と同様、マイクロ波を所定出力で所定時間照射した後、ターゲット物体100を乾燥させた後にマスク110を剥がす。
次に、インクジェット法を用いた場合の工程について説明する。この例では、溶液接触工程(ステップS13)と、金属微粒子担持工程(ステップS23)の2つの工程がある。
図22は、金属イオン溶液のコンタクト方法としてインクジェット印刷するという工程を伴った金属微粒子担持処理加工方法の工程を示す図である。
まず、溶液接触工程(ステップS13)は、インクジェット印刷法においては、図22に示すように、インクジェットプリンタ300により金属イオン溶液または金属元素含有溶液をインクとして飛ばしてターゲット物体100の表面に金属イオン溶液または金属元素含有溶液を直接印刷する。
ここでは、インクジェット印刷のインクは、金属イオン溶液または金属元素含有溶液に加えてバインダーを含むものとする。適量のシリコーンを含むものも好ましい。
ここでは、インクジェット印刷のインクは、金属イオン溶液または金属元素含有溶液に加えてバインダーを含むものとする。適量のシリコーンを含むものも好ましい。
金属イオン溶液または金属元素含有溶液を充填したインクジェットプリンタ300から金属イオン溶液または金属元素含有溶液をターゲット物体100に対して直接飛ばして印刷することによりターゲット物体100の表面に金属イオン溶液または金属元素含有溶液をコンタクトする。なお、インクジェットプリンタ300の印刷解像度に応じてコンタクト領域をコントロールできる。
次に、金属微粒子担持工程(ステップS23)は、インクジェット印刷法においては、図22に示すように、表面に金属イオン溶液または金属元素含有溶液が印刷されたターゲット物体100に対してマイクロ波を照射する。マイクロ波照射後はターゲット物体100を乾燥させればよい。
以上、浸漬法、スプレー法、インクジェット印刷法の3つの工程を示したが、これら工程によりターゲット物体の所望の箇所の導電性を高めるという制御を行なうことができる。
なお、本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理により回路パターンを形成することができるが、本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理技術は、従来の半導体回路加工技術に組み合わせることが可能である。
従来の半導体回路加工では、シリコンウェハー上にトランジスタ素子が形成された後、それらトランジスタ素子間を配線することで回路が完成するが、従来では配線の形成には、まず、ウェハーを厚い層間絶縁膜(酸化膜)で覆って表面を平坦にした後、接続したい素子上の層間絶縁膜にリソグラフィーとエッチング技術によりコンタクトホールを設け、層間絶縁膜の上にスパッタリング法により金属膜を堆積させることにより形成している。スパッタリング法とは、成膜法の一つで、シリコンウェハーと対向しておかれた金属にイオンを加速して衝突させ、飛び出してくる金属原子をウェハー側に付着させる方法である。
しかし、このスパッタリング法は所定の箇所のみに金属原子を飛ばすために低圧状態にするために装置が大型となるが、例えばこの工程を本発明の本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理に代替することが可能である。
以上、本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理加工方法によれば、少ない工程で簡単に所望の箇所の導電率を向上させることができる。
実施例2として、マスク工程において、撥水性素材をインクとして飛ばすインクジェット印刷を利用して所望箇所のみに開口を設けたマスクを設けるものを説明する。
図23は、実施例2のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理の工程の概念を示す図である。図23に示すように、実施例2では、マスク工程(S04)と、溶液接触工程(ステップS14)と、金属微粒子担持工程(ステップS24)と、マスク除去工程(ステップS34)の4つの工程がある。
マスク工程(S04)では、インクジェット印刷技術が用いられる。インクジェット印刷のインクとして撥水性インクを用いる。撥水性インクは、撥水性成分と、有機溶媒、バインダーを含む。適量のシリコーンを含むものも好ましい。
例えば、撥水性成分としては、混合するバインダーに溶解可能なものであり、例えば油溶性染料、直接染料、酸性染料、塩基性染料、媒染染料、硫化染料、硫化建染染料、建染染料、アゾイック染料、分散染料、反応染料、酸化染料などが挙げられる。
また、例えば、バインダーとしては、ロジンまたはロジン誘導体、石油樹脂、フェノール樹脂、キシレン樹脂、アルキッド樹脂、クマロン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ケトン樹脂、スチレン−マレイン酸樹脂、セルロース樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合物、エチレン−酢酸ビニル共重合物、ポリアミド、ポリウレタンなどが挙げられる。
これらは単独で用いられてもよく、組み合わされて用いられてもよい。シリコーンは数パーセントの割合で添加されているとよい。このように適量のシリコーンを添加すると、インクに撥水性が向上する場合がある。
これらは単独で用いられてもよく、組み合わされて用いられてもよい。シリコーンは数パーセントの割合で添加されているとよい。このように適量のシリコーンを添加すると、インクに撥水性が向上する場合がある。
図23に示すように、この例ではインクジェットプリンタ300に撥水性インクを搭載し、インクジェット印刷により、加工前のターゲット物体100のうち導電率を向上させたい箇所を開口してその他の部分に撥水インクを塗布したマスクを印刷により施す。なお、インクジェット印刷であれば、ターゲット物体100の表面が或る程度の凹凸を持つ立体的な場合であってもマスクを印刷することができる。
マスクの精細度はインクジェット印刷精細度に依存する。つまり、インクジェットで印刷できる解像度によってターゲット物体100の表面にマスク110を設定することができる。
溶液接触工程(S14)は、実施例1に示した浸漬法での溶液接触工程(S11)やスプレー法での溶液接触工程(S12)と同様で良い。図23の例では図21に示したスプレー噴霧により金属イオン溶液または金属元素含有溶液をコンタクトさせる例となっている。
金属微粒子担持工程(ステップS24)は、実施例1で示した浸漬法での金属微粒子担持工程(ステップS21)やスプレー法での金属微粒子担持工程(ステップS22)と同様で良い。
以上、マスク工程において、撥水性素材をインクとして飛ばすインクジェット印刷を利用して所望箇所のみに開口を設けたマスクを設けることにより微細な領域に対して導電率を向上させるという制御が可能となる。
実施例3として、実施例1や実施例2で説明した本発明の金属微粒子担持処理加工方法の工程において、溶液接触工程に先立ち、所望箇所に金属微粒子の担持を支援するバインダーまたはプライマーを塗布する下地塗布工程を備える工夫を説明する。
図24は、下地塗布工程を備えた本発明の金属微粒子担持処理加工方法の工程を示す図である。
この例では、マスク工程を伴う例として説明する。つまりこの例では、マスク工程(S05)と、下地塗布工程(S45)と、溶液接触工程(ステップS15)と、金属微粒子担持工程(ステップS25)と、マスク除去工程(ステップS35)の5つの工程がある。
この例では、マスク工程を伴う例として説明する。つまりこの例では、マスク工程(S05)と、下地塗布工程(S45)と、溶液接触工程(ステップS15)と、金属微粒子担持工程(ステップS25)と、マスク除去工程(ステップS35)の5つの工程がある。
まず、マスク工程(S05)がある。マスク工程(S05)は実施例1において、浸漬法で説明したマスク工程(S01)、スプレー法で説明したマスク工程(S02)、マスクをインクジェット印刷で作成する場合のマスク工程(S04)などを採用することはできる。
次に、下地塗布工程(S45)に移る。
バインダーやプライマーをターゲット物体100の表面に塗布しておくことにより、ターゲット物体100の基材表面に対して金属微粒子が担持しやすいように表面を改質することができる。
バインダーやプライマーをターゲット物体100の表面に塗布しておくことにより、ターゲット物体100の基材表面に対して金属微粒子が担持しやすいように表面を改質することができる。
バインダーとしては、金属のバインダーであれば良く、無機系のシリコーン系バインダー、有機系のアクリルシリコーン系バインダーなど多様なものを適用することができる。また、ポリビニルピロリドン(PVP)やエチレングリコール(EG)や酢酸を添加しても良い。これらを表面改質剤として添加しておくことによりターゲット物体の表面に担持する金属微粒子を小さく均質なものとしやすくなる。
プライマーはいわゆる地塗り剤であり、ターゲット物体の素材に適合した地塗り剤であれば良い。プライマーはターゲット表面を改質する効果があり、例えば、ターゲット物体表面の撥水性を抑えることにより次工程の溶液接触工程において金属イオン溶液または金属元素含有溶液とターゲット物体のコンタクトの状態を改善するなどの効果がある。
マスク工程(S05)においてターゲット物体100の表面にはマスクが施されているので、バインダーまたはプライマーはマスクの開口部分に選択的に塗布されることとなる。バインダーまたはプライマーを塗布する方法自体は、バインダー溶液内またはプライマー溶液内にターゲット物体100を浸漬する浸漬法、バインダー溶液またはプライマー溶液を充填したスプレー噴霧機から溶液を噴霧するスプレー法、バインダー溶液またはプライマー溶液をインクとして飛ばすインクジェットプリンタによるインクジェット印刷法などを適用することができる。
下地塗布を行った後、溶液接触工程(ステップS15)に移る。溶液接触工程(ステップS15)は実施例1で説明した浸漬法での溶液接触工程(ステップS11)、スプレー法での溶液接触工程(ステップS12)、インクジェット印刷法での溶液接触工程(ステップS13)などと同様で良い。ただしここでは下地塗布工程でバインダーまたはプライマーが塗布されているので、ターゲット物体100の表面と金属イオン溶液または金属元素含有溶液の間にバインダーまたはプライマーが挟まれた状態で金属イオン溶液または金属元素含有溶液とコンタクトすることとなる。
その後、マイクロ波照射による金属微粒子担持工程(ステップS25)と、マスク除去工程(ステップS35)が行われるが、金属微粒子担持工程(ステップS25)は、実施例1に示した浸漬法、スプレー法、インクジェット印刷法それぞれに応じた金属微粒子担持工程(ステップS21)、金属微粒子担持工程(ステップS22)、金属微粒子担持工程(ステップS23)が行われる。
なお、マイクロ波照射による金属微粒子担持工程(ステップS25)において、金属イオン溶液中の金属イオンまたは金属元素含有溶液中の金属元素がターゲット物体100の表面に打ち込まれる際、バインダーまたはプライマーの表面改質によりターゲット物体100の表面に担持されやすく支援される。
このように、下地塗布工程を設けることにより、金属微粒子の担持を支援することができる。
このように、下地塗布工程を設けることにより、金属微粒子の担持を支援することができる。
実施例4として、実施例1や実施例2で説明した本発明の金属微粒子担持処理加工方法の工程において、溶液接触工程の中でバインダー塗布またはプライマー塗布も併せて行う工夫を説明する。
図25は、溶液接触工程の中でバインダー塗布またはプライマー塗布も行う本発明の金属微粒子担持処理加工方法の工程を示す図である。
この例では、マスク工程を伴う例として説明する。つまりこの例では、マスク工程(S06)と、溶液接触工程(ステップS16)と、金属微粒子担持工程(ステップS26)と、マスク除去工程(ステップS36)の4つの工程がある。
この例では、マスク工程を伴う例として説明する。つまりこの例では、マスク工程(S06)と、溶液接触工程(ステップS16)と、金属微粒子担持工程(ステップS26)と、マスク除去工程(ステップS36)の4つの工程がある。
まず、マスク工程(S06)がある。マスク工程(S06)は実施例1において、浸漬法で説明したマスク工程(S01)、スプレー法で説明したマスク工程(S02)、マスクをインクジェット印刷で作成する場合のマスク工程(S04)などを採用することはできる。
次に、溶液接触工程(ステップS15)に移る。
ここで、金属イオン溶液または金属元素含有溶液200Aには、実施例1に示した金属イオン溶液または金属元素含有溶液に加え、バインダーまたはプライマーも添加されたものとなっている。
バインダーまたはプライマーは、実施例3と同様、ターゲット物体100の基材表面に対して金属微粒子が担持しやすいように表面改質を与えるものであれば良い。
ここで、金属イオン溶液または金属元素含有溶液200Aには、実施例1に示した金属イオン溶液または金属元素含有溶液に加え、バインダーまたはプライマーも添加されたものとなっている。
バインダーまたはプライマーは、実施例3と同様、ターゲット物体100の基材表面に対して金属微粒子が担持しやすいように表面改質を与えるものであれば良い。
マスク工程(S05)においてターゲット物体100の表面にはマスクが施されているので、金属イオン溶液または金属元素含有溶液とともにバインダーまたはプライマーもターゲット物体100の所定箇所の表面にコンタクトすることとなる。
溶液接触工程(ステップS16)が、実施例1で説明した浸漬法での溶液接触工程(ステップS11)と同様の浸漬法である場合、容器210内にバインダーまたはプライマーを添加した金属イオン溶液または金属元素含有溶液200Aを充填し、ターゲット物体100を当該金属イオン溶液または金属元素含有溶液200A内に浸漬する。
溶液接触工程(ステップS16)が、実施例1で説明したスプレー法での溶液接触工程(ステップS12)と同様のスプレー法である場合、スプレー容器にバインダーまたはプライマーを添加した金属イオン溶液または金属元素含有溶液200Aを充填し、ターゲット物体100を当該金属イオン溶液または金属元素含有溶液200Aをスプレー噴霧する。
溶液接触工程(ステップS16)が、実施例1で説明したインクジェット印刷法での溶液接触工程(ステップS13)と同様のインクジェット印刷法である場合、インクジェットプリンタのインクとして、バインダーまたはプライマーを添加した金属イオン溶液または金属元素含有溶液200Aを含むインクを用いてインクジェットプリンタにより当該インクを飛ばしてターゲット物体100の所定箇所に印刷する。
ここでは、金属イオン溶液または金属元素含有溶液とバインダーまたはプライマーが混合された状態でターゲット物体100の表面にコンタクトすることとなる。
ここでは、金属イオン溶液または金属元素含有溶液とバインダーまたはプライマーが混合された状態でターゲット物体100の表面にコンタクトすることとなる。
その後、マイクロ波照射による金属微粒子担持工程(ステップS25)と、マスク除去工程(ステップS35)が行われるが、金属微粒子担持工程(ステップS25)は、実施例1に示した浸漬法、スプレー法、インクジェット印刷法それぞれに応じた金属微粒子担持工程(ステップS21)、金属微粒子担持工程(ステップS22)、金属微粒子担持工程(ステップS23)が行われる。
なお、マイクロ波照射による金属微粒子担持工程(ステップS25)において、金属イオン溶液中の金属イオンまたは金属元素含有溶液中の金属元素がターゲット物体100の表面に打ち込まれる際、バインダーまたはプライマーの界面活性によりターゲット物体100の表面に金属微粒子が担持されやすく支援される。
このように、下地塗布工程を設けることにより、金属微粒子の担持を支援することができる。
以上、本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理加工方法について好ましい実施形態を図示して説明してきたが、本発明の技術的範囲を逸脱することなく種々の変更が可能であることは理解されるであろう。従って本発明の技術的範囲は添付された特許請求の範囲の記載によってのみ限定されるものである。
本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理加工方法は、ターゲット物体の所望の箇所に金属微粒子を担持させ、所定箇所の導電性を向上させた物体を製作する技術に広く適用することができる。ターゲット物体としては多様なものが含まれ、例えば、半導体素子、金属表面を絶縁膜で被膜した絶縁体、導電性の小さい金属化合物、電子回路、スイッチ、タッチパネル用各種フィルムその他の電子機器類の部品、精密機械類の部品、医療機器類の部品などがある。
第1図は、本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理加工方法の原理を示す図である。
第2図は、本発明によるマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理による導電率の変化を示す図である。
第3図は、本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理による表面改質の様子を示す図である。
第4図は、SEMで観測されたそれぞれの条件で作製した試料の銀粒子の粒度分布を示す図である。
第5図は、X線光電子分光分析(XPS)の結果を示す図である。
第6図は、X線回折測定(XRD)の結果を示す図である。
第7図は、金属微粒子担持処理後のターゲット物体100Aの断面図を示す図である。
第8図は、横軸にマイクロ波照射時間を取り、縦軸に導電率を取ったグラフである。
第9図は、作製したサンプルの写真を示す図である。
第10図は、サンプル1からサンプル3の電子顕微鏡写真(35倍)を示す図である。
第11図は、サンプル1からサンプル3の電子顕微鏡写真(3000倍)を示す図である。
第12図は、サンプル1からサンプル3の電子顕微鏡写真(1万倍)を示す図である。
第13図は、サンプル1とサンプル2について、上記の3000倍の写真の領域において元素分析(EDX)を行った結果を示す図である。
第14図は、サンプル3について、上記の3000倍の写真の領域において元素分析(EDX)を行った結果を示す図である。
第15図は、サンプル1からサンプル3における2.99keVのピーク強度の違いを示す図である。
第16図は、マイクロ波照射処理前後のX線回折パターンを示す図である。
第17図は、サンプル1からサンプル3について、回折角度が38.1degの最も強度の強い回折ピークについて精密測定した結果をバックグラウンド除去して示した図である。
第18図は、サンプル1からサンプル3について、回折角度が38.1degの積分強度の違いを示す図である。
第19図は、サンプル1からサンプル3の膜厚の測定結果を示す図である。
第20図は、金属イオン溶液または金属元素含有溶液のコンタクト方法としてターゲット物体100を金属イオン溶液または金属元素含有溶液内に浸漬する工程を伴った金属微粒子担持処理加工方法の工程を示す図である。
第21図は、金属イオン溶液または金属元素含有溶液のコンタクト方法としてスプレー噴霧する工程を伴った金属微粒子担持処理加工方法の工程を示す図である。
第22図は、金属イオン溶液または金属元素含有溶液のコンタクト方法としてインクジェット印刷する工程を伴った金属微粒子担持処理加工方法の工程を示す図である。
第23図は、実施例2のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理の工程の概念を示す図である。
第24図は、下地塗布工程を備えた本発明の金属微粒子担持処理加工方法の工程を示す図である。
第25図は、溶液接触工程の中でバインダー塗布またはプライマー塗布も行う本発明の金属微粒子担持処理加工方法の工程を示す図である。
第2図は、本発明によるマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理による導電率の変化を示す図である。
第3図は、本発明のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理による表面改質の様子を示す図である。
第4図は、SEMで観測されたそれぞれの条件で作製した試料の銀粒子の粒度分布を示す図である。
第5図は、X線光電子分光分析(XPS)の結果を示す図である。
第6図は、X線回折測定(XRD)の結果を示す図である。
第7図は、金属微粒子担持処理後のターゲット物体100Aの断面図を示す図である。
第8図は、横軸にマイクロ波照射時間を取り、縦軸に導電率を取ったグラフである。
第9図は、作製したサンプルの写真を示す図である。
第10図は、サンプル1からサンプル3の電子顕微鏡写真(35倍)を示す図である。
第11図は、サンプル1からサンプル3の電子顕微鏡写真(3000倍)を示す図である。
第12図は、サンプル1からサンプル3の電子顕微鏡写真(1万倍)を示す図である。
第13図は、サンプル1とサンプル2について、上記の3000倍の写真の領域において元素分析(EDX)を行った結果を示す図である。
第14図は、サンプル3について、上記の3000倍の写真の領域において元素分析(EDX)を行った結果を示す図である。
第15図は、サンプル1からサンプル3における2.99keVのピーク強度の違いを示す図である。
第16図は、マイクロ波照射処理前後のX線回折パターンを示す図である。
第17図は、サンプル1からサンプル3について、回折角度が38.1degの最も強度の強い回折ピークについて精密測定した結果をバックグラウンド除去して示した図である。
第18図は、サンプル1からサンプル3について、回折角度が38.1degの積分強度の違いを示す図である。
第19図は、サンプル1からサンプル3の膜厚の測定結果を示す図である。
第20図は、金属イオン溶液または金属元素含有溶液のコンタクト方法としてターゲット物体100を金属イオン溶液または金属元素含有溶液内に浸漬する工程を伴った金属微粒子担持処理加工方法の工程を示す図である。
第21図は、金属イオン溶液または金属元素含有溶液のコンタクト方法としてスプレー噴霧する工程を伴った金属微粒子担持処理加工方法の工程を示す図である。
第22図は、金属イオン溶液または金属元素含有溶液のコンタクト方法としてインクジェット印刷する工程を伴った金属微粒子担持処理加工方法の工程を示す図である。
第23図は、実施例2のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理の工程の概念を示す図である。
第24図は、下地塗布工程を備えた本発明の金属微粒子担持処理加工方法の工程を示す図である。
第25図は、溶液接触工程の中でバインダー塗布またはプライマー塗布も行う本発明の金属微粒子担持処理加工方法の工程を示す図である。
100 ターゲット物体
110 マスク
200 金属イオン溶液または金属元素含有溶液
210 容器
300 インクジェットプリンタ
110 マスク
200 金属イオン溶液または金属元素含有溶液
210 容器
300 インクジェットプリンタ
Claims (17)
- ターゲット物体のうち導電性を向上させたい所望箇所に金属イオン溶液または金属元素含有溶液を接触させる溶液接触工程と、マイクロ波を照射して前記金属イオン溶液中の金属イオンまたは前記金属元素含有溶液中の金属元素を前記ターゲット物体の前記所望箇所に金属微粒子として担持させる金属微粒子担持工程とを備えた、マイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理加工方法。
- 前記溶液接触工程に先立ち、前記所望箇所に前記金属微粒子の担持を支援するバインダーまたはプライマーを塗布する下地塗布工程を備えた請求項1に記載のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理加工方法。
- 前記溶液接触工程に先立ち、前記所望箇所のみに開口を設けたマスクを設けるマスク工程を備えた請求項1に記載のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理加工方法。
- 前記マスク工程が、前記所望箇所に開口が設けられたシール材を貼り付ける工程である請求項3に記載のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理加工方法。
- 前記マスク工程が、撥水性素材をインクとして飛ばすインクジェット印刷により前記所望箇所のみに開口を設けたマスクを印刷する工程である請求項3に記載のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理加工方法。
- 前記マスク工程と前記溶液接触工程との間に、前記所望箇所に前記金属微粒子の担持を支援するバインダーまたはプライマーを塗布する下地塗布工程を備えた請求項3から5のいずれか1項に記載のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理加工方法。
- 前記溶液接触工程が、前記ターゲット物体を前記金属イオン溶液または前記金属元素含有溶液中に浸漬する工程である請求項1から6のいずれか1項に記載のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理加工方法。
- 前記溶液接触工程において使用する前記金属イオン溶液量または前記金属元素含有溶液量を前記ターゲット物体が浸る程度の量とし、前記金属微粒子担持工程における前記マイクロ波照射を所定時間行った後、再度前記溶液接触工程において蒸発した前記金属イオン溶液または前記金属元素含有溶液を補って前記金属イオン溶液量または前記金属元素含有溶液量を前記ターゲット物体が浸る程度の量とし、再度前記金属微粒子担持工程における前記マイクロ波照射を所定時間行うことにより、前記溶液接触工程と前記金属微粒子担持工程を繰り返すことを特徴とする、請求項7に記載のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理加工方法。
- 前記溶液接触工程が、前記ターゲット物体に対して前記金属イオン溶液または前記金属元素含有溶液をスプレー塗布する工程である請求項1から6のいずれか1項に記載のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理加工方法。
- 前記溶液接触工程において前記ターゲット物体に対して前記金属イオン溶液または前記金属元素含有溶液をスプレー塗布し、前記金属微粒子担持工程において前記マイクロ波照射を所定時間行った後、再度前記溶液接触工程において前記ターゲット物体に対して前記金属イオン溶液または前記金属元素含有溶液をスプレー塗布し、再度前記金属微粒子担持工程において前記マイクロ波照射を所定時間行うことにより、前記溶液接触工程と前記金属微粒子担持工程を繰り返すことを特徴とする、請求項9に記載のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理加工方法。
- 前記溶液接触工程における前記金属イオン溶液または前記金属元素含有溶液内に前記金属微粒子の前記ターゲット物体への担持を支援するバインダーまたはプライマーを混合せしめた請求項7乃至9に記載のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理加工方法。
- 前記溶液接触工程が、前記所望箇所のみに前記金属イオン溶液または前記金属元素含有溶液をインクとしてジェット印刷によりパターンを印刷する工程である請求項1から6のいずれか1項に記載のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理加工方法。
- 前記溶液接触工程に先立ち、前記所望箇所に前記金属微粒子の担持を支援するバインダーまたはプライマーを塗布する下地塗布工程を備えた請求項12に記載のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理加工方法。
- 前記金属イオンは導電率の高い金属のイオンであり、銀イオン、銅イオン、金イオン、プラチナイオン、亜鉛イオン、アルミニウムイオン、リチウムイオン、チタンイオン、クロムイオン、鉄イオン、ニッケルイオン、ナトリウムイオン、マグネシウムイオン、カルシウムイオンのいずれか、
前記金属元素含有溶液の前記金属元素は、導電率の高い金属元素であり、銀、銅、金、プラチナ、亜鉛、アルミニウム、リチウム、チタン、クロム、鉄、ニッケル、ナトリウム、マグネシウム、カルシウムのいずれかである、請求項1から13のいずれか1項に記載のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理加工方法。 - 前記ターゲット物体が、半導体素子、金属酸化物など導電性の小さい金属化合物、電子回路、スイッチ、タッチパネル用の各種フィルムその他の電子機器類の部品、精密機械類の部品、医療機器類の部品のいずれかである請求項1から13のいずれか1項に記載のマイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理加工方法。
- ターゲット物体のうち導電性を向上させたい所望箇所に金属イオン溶液または金属元素含有溶液を接触させる溶液接触工程と、マイクロ波を照射して前記金属イオン溶液中の金属イオンまたは前記金属元素含有溶液中の金属を前記ターゲット物体の前記所望箇所に担持させる金属微粒子担持工程とを備えた、マイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理加工方法により導電性を付与した半導体素子または金属表面を絶縁膜で被膜した絶縁体。
- ターゲット物体のうち導電性を向上させたい所望箇所に金属イオン溶液または金属元素含有溶液を接触させる溶液接触工程と、マイクロ波を照射して前記金属イオン溶液中の金属イオンまたは前記金属元素含有溶液中の金属を前記ターゲット物体の前記所望箇所に担持させる金属微粒子担持工程とを備えた、マイクロ波照射を用いた金属微粒子担持処理加工方法により導電性を付与したタッチパネル用の各種フィルム。
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