JP2934263B2 - アルミニウム材及びその製造方法 - Google Patents

アルミニウム材及びその製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 a. 産業上の利用分野 本発明は、アルミニウム又はアルミニウム合金製の基
材を表面処理して成るアルミニウム材、及びその製造方
法に関する。
b. 従来の技術 アルミニウム材の耐食性及び耐摩耗性を向上させるた
めに、従来では、陽極酸化処理法によりアルミニウム又
はアルミニウム合金の基材(以下、アルミ基材という)
の表面に酸化物層(Al2O3層)を形成するようにしてい
る。すなわち、アルミ基材を適当な電解液で陽極酸化
(分極)することにより、下記の反応を生ぜしめてその
表面に酸化物の層を形成するようにしている。
2Al+3H2O→Al2O3+6H++6e 但し、d:層の厚さ F:ファラデー定数 ρ:Al2O3の密度 M:Al2O3の分子量 I:電流 t:電解時間 なお、酸化物層は通過電気量に比例して生成されてゆ
くことが知られている。そして、この酸化物層を防食等
の目的のために利用する場合には、常温付近(20゜〜30
℃程度)の電解温度で電解することにより、数ミクロン
から30ミクロン程度の厚さの酸化物層を得るようにして
いる。また、上述した通常の酸化物層の場合よりも耐食
性及び耐摩耗性に優れたものを要求される場合には、電
解温度を特に低温に設定して高電流密度の電解により50
〜200ミクロン程度の厚さの硬質の酸化物層を形成させ
る硬質陽極酸化処理方法を採用している。
c. 発明が解決しようとする課題 しかしながら、上述の硬質陽極酸化処理法により得ら
れたアルミニウム材には、次のような大きな問題点があ
る。
すなわち、アルミ基材の表面に形成される酸化物層
(硬質陽極酸化被膜)は亀裂(クラッキング)を生じ易
いため、防食効果が低下する。また、酸化物層は多孔性
であり、かつその硬度は内部よりも表面の方が低く、さ
らに硬質処理により疲れ強さがかなり減少するため、繰
返し大きな荷重を受けるような部分にこのアルミニウム
材を使用する場合は特に注意を要する。さらに、アルミ
基材と酸化物層との硬度差があまりにも大き過ぎるので
(アルミ基材のビッカース硬度:50〜80程度、Al2O3のビ
ッカース硬度:3,000程度)、高応力負荷の状態で使用さ
れると酸化物層の剥離が発生する場合がある。
本発明は、このような種々の問題点を解消すべくなさ
れたものであって、その目的は、最表面の硬度が大き
く、耐食性及び耐摩耗性に優れ、表層部分(メッキ部
分)の剥離や割れ等を生じ難いようなアルミニウム材及
びその製造方法を提供することにある。
d. 課題を解決するための手段 上述の目的を達成するために、本発明に係るアルミニ
ウム材においては、アルミニウム又はアルミニウム合金
から成る基材の表面上に、無電解メッキ処理及びこの無
電界メッキ処理後の加熱による硬化処理にて得られる硬
化ニッケルメッキ層を形成し、さらにこのニッケルメッ
キ層の表面上に硬質金属化合物層を形成するようにして
いる。
また、本発明に係るアルミニウム材の製造方法では、
アルミニウム又はアルミニウム合金から成る基材の表面
上に無電解メッキ法によりニッケルメッキ層を形成する
工程と、前記ニッケルメッキ層を加熱することにより硬
化ニッケルメッキ層を得る工程と、前記硬化ニッケルメ
ッキ層の表面上に気相メッキ法により硬質金属化合物を
形成する工程とを有するようにしている。
また、本発明に係るアルミニウム材の製造方法では、
前記ニッケルメッキ層を所要の加熱温度で所要の加熱時
間に亘って加熱して硬化処理することによって、前記基
材、ニッケルメッキ層及び硬質金属化合物層の硬度を順
次にかつ段階的に増大せしめるようにしている。
以下、本発明の一実施例に付き図面を参照して詳細に
説明する。
第1図は、本発明に係るアルミニウム材1の構成を示
すものであって、アルミニウム又はアルミニウム合金か
ら成る基材2(以下、アルミ基材2という)の表面2a上
にニッケルメッキ層3を有すると共に、このニッケルメ
ッキ層3の表面3a上に硬質金属化合物の一種であるTiN
から成る層4を有している。このような構成のアルミニ
ウム材1を製造するに当たっては、まず始めに無電解ニ
ッケルメッキ法によりニッケルメッキ層3を形成し、次
いでニッケルメッキ層3を加熱により硬化処理し、しか
る後に気相メッキ法によりTiN層4を硬質金属化合物層
として形成する。
ここで、各工程を順に説明する。
<i> 無電解ニッケルメッキ工程 アルミニウムは両性金属で電気化学的にも活性的であ
り、その表面には再生容易な強い酸化被膜を生成するた
め、特殊な前処理を必要とする。この前処理法として
は、置換メッキ法、直接メッキ法、陽極酸化法、
自己触媒メッキ法、その他に大別される。
本実施例では置換メッキ法を採用し、アルミ基材2の
表面2aに亜鉛を置換形成させてその上にメッキを施すよ
うにしている。
すなわち、本工程は次の手順にて行われる。
脱脂→アルカリ洗浄→水洗→酸洗→アルカリエッチン
グ→水洗→酸洗→水洗→亜鉛置換→水洗→酸洗→水洗→
亜鉛置換→水洗→酸洗→水洗→無電解ニッケルメッキ→
水洗 次に、前記各工程における処理条件を以下に示す。
脱 脂:1.1.1トリクロロエタン使用 アルカリ洗滌 :炭酸ナトリウム 5g/
メタケイ酸ナトリウム 15g/
第三リン酸ナトリウム 15g/
、及び適量の界面活性剤から成る混合液中に、液温50
0℃で1分間浸漬 酸 洗 :50%容量硝酸 常温で10秒間処理 アルカリエッチング:炭酸ナトリウムと第三リン酸ナ
トリウム各20〜25g/の混合液中に、70℃で20秒浸漬 亜 鉛 置 換 :水酸化ナトリウム 120g/、 酸化亜鉛 20g/、 結晶性塩化第二鉄 2g/、 ロッセル塩50g/、及び硝酸ナ
トリウム1g/から成る混合液中に、22℃で20秒間浸漬 本実施例では、置換被膜を緻密化し、密着性及び被覆
力を高めるために二重置換を行なった。二重置換の場
合、この後工程の酸洗は50%硝酸に浸漬して置換被膜を
剥離し、再度、亜鉛置換を行なうが、2回目の浸漬時間
は1回目の1/2程度で行なった。
無電解ニッケルメッキ:ジアリン酸塩 2.5 %、 錯化剤 2.28 %、 ニッケルイオン 0.495%、 水酸化ナトリウム微量及び水
から成る組成のメッキ液中に、液温90℃で150分間浸漬 <ii> ニッケル層硬化処理 無電解ニッケルメッキ法によるニッケルメッキ層は非
晶質であり、硝子と同様な分子の液状配列に起因すると
されている。この非晶質であるニッケルメッキ層は400
℃以上に加熱すると急速に変態を起こして結晶化し、安
定な被膜となる。
メッキ状態におけるニッケルメッキ層のビッカース硬
度は500〜550程度であり、400〜600℃の熱処理によって
最大硬度1,000前後となる。
本方法における熱処理温度は後工程の気相メッキ処理
温度と同じか或いはそれより高い温度で10-2Torrの真空
中で行なった。
<iii> 気相メッキ 気相メッキは、物理的プロセスによるメッキ方法(PV
D)と、化学的プロセスによるメッキ方法(CVD)とを総
称するものであるが、本実施例ではPVD法としてイオン
プレーティング法、CVD法としてプラズマCVD法を用い、
TiN層(硬質金属化合物層)を合成した。
(a) イオンプレーティング法 イオンプレーティング法は、蒸発物質のイオン及びガ
スのイオン衝撃を行ないながら、サブストレート(被処
理物基材)上に蒸発物質を堆積させる方法である。
本実施例においては、第2図に示すように5〜25×10
-3Torrのアルゴン雰囲気中で蒸発ボード(陽極)5から
金属を蒸発させる一方、この蒸発ボード5や容器の壁
(接地電位)に対して負の高電圧(−500〜−5000ボル
ト程度)をサブストレート(陰極)6に印加する。これ
により、サブストレート6と周囲の間にグロー放電が生
じ、サブストレート6の周囲にダークスペース7ができ
る。グロー放電のプラズマ領域8で生成したガスや金属
イオンはダークスペース7で加速されて第2図に示す如
く多様な粒子が生成される。そのなかで、イオンプレー
ティング膜の性質を決めるのに大きな役割を占めている
のは熱運動している蒸発金属原子、ガス分子、金属イオ
ン、ガスイオン、プラズマ中で励起された金属原子とガ
ス分子である。電子はプラズマ中でイオンと釣り合うだ
け存在している。
イオンや励起粒子およびプラズマからの光子の照射に
よって、サブストレート6から二次電子が放出される。
サブストレート回路中の電流計9には、サブストレート
6に入射するイオンと放出する電子の数の和に相当する
電流が流れる。圧力の高い方(〜25×10-3Torr)では、
蒸発した金属原子が途中でガス分子と幾回か衝突を繰り
返した後にサブストレート6に到着するために、ガス散
乱効果を受けて、サブストレート6の蒸気ボード5に面
していない箇所にも堆積する。
イオンプレーティングの手法は、イオン化或いは蒸発
の仕方によっていくつかの方法があるが、本実施例では
第3図に示す如き高周波励起イオンプレーティング装置
10を用いて成膜した。
なお、第3図において、11は基台、12は蓋体、13はRF
コイル、14はサブストレート6を支持する支持台、16は
可変リークバルブ、17は真空計、18は高周波電源、19は
マッチングボックス、20は加速用直流電源、21は蒸発用
電源である。
本実施例のイオンプレーティングのコーティングプロ
セスは次の通りである。
洗浄及びサブストレート取付け→排気→加熱→ボンバ
ードクリーニング→コーティング→冷却→サブストレー
ト取出し 洗浄 サブストレートの表面に油分が残っていると密着性が
損なわれるため、通常、有機溶剤や中性洗剤でサブスト
レートを洗浄後に水洗する。洗浄は非常に重要であり不
充分な場合は剥離の原因となる。
本実施例では、有機溶剤による超音波洗浄を行なっ
た。
ボンバードクリーニング サブストレートの表面はC,O,S等で覆われており、洗
浄により除去できないが、Arイオン衝撃はそれらの除去
に有効な手段である。なお、それに要する時間は、サブ
ストレートの材質、電力密度、ガス圧力等により異な
る。
本実施例では、サブストレートを負の電位とし、アル
ゴン雰囲気(1×10-1Torr)中でグロー放電させた。こ
れにより、アルゴンがイオン化され、サブストレート表
面が衝撃を受け、その結果、サブストレート表面の不純
物が良く除去された。
(b) プラズマCVD法 CVD法は、常温では反応が起こらない原料ガスを高温
のサブストレート上に流し、その表面に反応生成物を膜
状に析出させる方法であり、プラズマCVD法は、気体プ
ラズマを利用して薄膜成長を行なわしめる方法である。
プラズマCVD法は、基本的には、減圧下において原料
ガスを含むガスを高電界による電気的エネルギーで放電
させて分解し、これにより生成される物質を気相中又は
サブストレート上での化学反応を経て堆積させる方法で
ある。プラズマ状態は、通常、グロー放電によって実現
されるが、プラズマ中での電子温度はガス粒子の温度に
比べて相当に高く、熱的に非平衡状態であり、この状態
の下で多様な反応が進む。
このグロー放電による成膜機構は次の3つの過程に分
けられる。
i) 原料ガス分解過程 高電解によって加速された電子とガスの非弾性衝突に
よって電子の運動エネルギーが原料ガスに移され、原料
ガスの励起やイオン化分離反応などが進む。この電子−
分子反応過程でラジカルやイオン種が生成されるが、グ
ロー放電プラズマは弱電離状態にあり、電離度は10-4
度でそのほとんどが中性種によって占められている。
ii) 輸送、気相反応過程 分解生成した中性種は、原料ガスとの衝突で気相反応
を引き起こし、原料ガスの種類に応じて様々な化学反応
が進行して新たな反応種が生成される。そして、それら
の2次反応種は中性種やラジカルなどと共に反応容器内
を拡散によって移動し、サブストレートに到達する。
iii) 表面反応過程 サブストレート上の成長膜表面ではインサーション
(insertion)反応やダングリングボンドへの付加反
応、最表面層原子の置換や離脱反応が行なわれる。この
場合の膜成速度は、サブストレートの温度や表面状態に
よって影響を受ける。
プラズマCVD装置としては、直流グロー放電、高周波
グロー放電、マイクロ波放電等を利用する3通りの型式
のものがあるが、本実施例では直流グロー放電を利用す
る型式のものを用いた。第4図は本実施例で用いた直流
グロー放電プラズマCVD装置22の構成を示すものであっ
て、同図において、23は電気炉、24はサブストレート支
持台、25は直流電源、26はTiCl4発生機である。
第5図はこの種の直流グロー放電プラズマCVD反応の
模式図を示すものであって、サブストレートを陰極にす
ることにより反応ガス中で放電により生じたプラズマイ
オンを引き寄せ、サブストレート近傍の陰極暗部の電圧
降下の大きな部分で加速してサブストレートに衝突さ
せ、これにより反応が生ぜしめられる。
以上、本発明に係るアルミニウム材の製造方法の概略
を述べたが、以下にその具体例を例示する。
具体例1 サブストレート(アルミ基材)としてJIS 1050(純ア
ルミ系)を用い、無電解メッキ法により膜厚20μmのニ
ッケルメッキ層を形成し、圧力10-2Torrの真空中で温度
300℃の下で1時間にわたりニッケルメッキ層の硬化処
理を行なった。その後、サブストレートの温度を250℃
にしてアルゴンイオンボンバード処理を30分間行ない、
蒸発物質としてチタン、反応ガスとして窒素ガス(N2
を用いてイオンプレーティング法により膜厚1.5μmの
窒化チタン膜(TiN層)を形成した。
具体例2 サブストレートとしてJIS 1050(純アルミ系)を用
い、無電解メッキ法により膜厚20μmのニッケルメッキ
層を形成し、真空引き後にアルゴン雰囲気中で温度450
℃の下で1時間にわたって硬化処理を行なった。その
後、サブストレートの温度を250℃、圧力を0.5Torr、直
流電流密度を0.1mA/cm2とし、塩化チタン(TiCl4)含有
水素ガス(H2)と窒素ガス(N2)との混合ガスにより直
流プラズマ下でプラズマCVDを行ない2μmの窒化チタ
ン膜(TiN)層を形成した。
以上の具体例の各処理工程におけるサブストレート表
面のX線回折結果を第5図〜第7図に示す。
第6図はニッケルメッキ層の硬化処理によるニッケル
メッキ層表面のX線回折パターンの変化を示すものであ
って、第6図(a)は無電解メッキ状態の非晶質ニッケ
ルメッキ層表面の回折パターンである。非晶質構造の材
料は完全に周期性の欠けた構造をもち、また、原子は互
いに相当よく詰まっており、統計的にある特定の原子間
距離を示す程度に秩序配列をとろうとする傾向を持って
いるため、第6図(a)に示されるように、X線散乱曲
線は一つの幅の広い極大領域を有する。
第6図(b)は具体例1の場合(300℃×1時間)、
第6図(c)は具体例2の場合(450℃×1時間)の硬
化処理によって得られた硬化ニッケルメッキ層の表面の
回折パターンをそれぞれ示している。これらの図に示さ
れるように、強度に高低のあるニッケルの回折線がみら
れ、450℃×1時間の硬化処理により非晶質ニッケルメ
ッキ層は完全に結晶形となっているが、300℃×1時間
の硬化処理では不完全な結晶形となっている。
下記の表1は、硬化処理によるニッケルメッキ層のビ
ッカース硬度の測定結果である。
この表1からわかるように、温度に応じて選定するこ
とによりニッケルメッキ層の硬度を必要に応じて設定す
ることが可能である。
第7図及び第8図はイオンプレーティング及びプラズ
マCVD後のサブストレート最上層の表面の回折パターン
をそれぞれ示す。これらの図から明らかなように、何れ
の方法でも、強度に高低にある窒化チタンTiNの回析線
がみられ、従って最上層がTiN層であることが確認され
た。
下記の表2はサブストレート上の各層のビッカース硬
度の測定結果である。
この表2から明らかなように、母材であるサブストレ
ート、ニッケルメッキ層、硬質金属化合物の一種である
TiN層から成るアルミニウム材はその表面に向かって順
次に硬度が段階的に増大する層を有する構成となってい
ることが確認された。
以上、本発明の実施例に付き述べたが、本発明は既述
の実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思
想に基づいて各種の変更が可能である。
例えば、TiN層に限らず、TiC,TiCN,TiB2,SiC1,Si3N4
等から成る硬質金属化合物層を形成する場合にも本発明
を通用し得ることは言う迄もない。
e. 発明の効果 本発明に係るアルミニウム材は、アルミニウム又はア
ルミニウム合金から成る基材の表面上に、無電界メッキ
処理及びこの無電界メッキ処理後の加熱による硬化処理
にて得られる硬化ニッケルメッキ層を形成し、さらにこ
のニッケルメッキ層の表面上に硬質金属化合物層を形成
するようにしたものであるから、基材、ニッケルメッキ
層及び硬質金属化合物層の3層構造となり、最表面の強
度を非常に高くできて耐食性及び耐摩耗性の向上を図り
得ると共に、表面に向かって硬度が段階的に増大するこ
ととなるため表層部分すなわち硬質金属化合物層の剥離
が効果的に抑制される。
本発明においては、アルミニウム又はアルミニウム合
金から成る基材の表面に無電界メッキ法にてニッケルメ
ッキ層を形成して、このニッケルメッキ層を硬化させる
ために加熱処理を行なうようにしているが、このように
しているのは、無電界メッキ法にて形成されるニッケル
メッキ層は非晶質であり硬度が低いものであるため、加
熱処理を加えることによりニッケルメッキ層の組織を結
晶化して硬化ニッケルメッキ層を形成するためである。
従って、本発明に係るアルミニウム材によれば、アルミ
ニウム又はアルミニウム合金から成る基材の表面と硬質
金属化合物層との間に通常のニッケルメッキ層よりも高
い硬度の硬化ニッケルメッキ層が形成されるため、アル
ミニウム又はアルミニウム合金から成る基材の硬度と硬
化ニッケルメッキ層の硬度との差が大きく設定されると
共に(但し、これらの間で剥離を生じにくい硬度差)、
硬化ニッケルメッキ層の硬度と硬質金属化合物層の硬度
との差が、加熱処理(硬化処理)を行わない場合のニッ
ケルメッキ層の場合に比べてより小さく設定されること
となる。そのため、アルミニウム又はアルミニウム合金
から成る基材と硬質金属化合物層との間に中間的な大き
さの硬度(硬質金属化合物層の硬度に近づく大きさの硬
度)を有する硬化ニッケルメッキ層の存在により、アル
ミニウム又はアルミニウム合金から成る基材からの硬質
金属化合物層の剥離を効果的に防止することができる。
さらに、無電解メッキ法にて形成されたニッケルメッ
キ層を硬化処理することが可能であり、中間層であるニ
ッケルメッキ層の硬度を適宜に設定することにより種々
の用途や使用条件等に対応するアルミニウム材を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
図面は本発明の実施例を説明するためのものであって、
第1図は本発明に係るアルミニウム材の断面図、第2図
はイオンプレーティング法の原理及び構成を示す概念
図、第3図は高周波励起イオンプレーティング装置の概
略構成図、第4図は直流グロー放電プラズマCVD装置の
概略構成図、第5図は直流プラズマCVD反応の模式図、
第6図(a),(b)及び(c)は真空熱処理によるニ
ッケルメッキ層のX線回折パターンをそれぞれ示す特性
図、第7図はイオンプレーティング後のサブストレート
最上層の表面の回折パターンを示す特性図、第8図はプ
ラズマCVD後のサブストレート最上層の表面の回折パタ
ーンを示す特性図である。 1……アルミニウム材、 2……基材(アルミ基材)、2a……表面、 3……ニッケルメッキ層、3a……表面、 4……TiN層(硬質金属化合物層)、 10……高周波励起イオンプレーティング装置、 22……直流グロー放電プラズマCVD装置。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 28/00 - 28/04 C23C 18/00 C23C 16/00 C23C 14/00 C22F 1/10

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】アルミニウム又はアルミニウム合金から成
    る基材の表面上に、無電界メッキ処理及びこの無電界メ
    ッキ処理後の加熱による硬化処理にて得られる硬化ニッ
    ケルメッキ層を形成し、さらにこのニッケルメッキ層の
    表面上に硬質金属化合物層を形成したことを特徴とする
    アルミニウム材。
  2. 【請求項2】アルミニウム又はアルミニウム合金から成
    る基材の表面上に無電解メッキ法によりニッケルメッキ
    層を形成する工程と、前記ニッケルメッキ層を加熱する
    ことにより硬化ニッケルメッキ層を得る工程と、前記硬
    化ニッケルメッキ層の表面上に気相メッキ法により硬質
    金属化合物を形成する工程とを有することを特徴とする
    アルミニウム材の製造方法。
  3. 【請求項3】前記ニッケルメッキ層を所要の加熱温度で
    所要の加熱時間に亘って加熱して硬化処理することによ
    って、前記基材、ニッケルメッキ層及び硬質金属化合物
    層の硬度を順次にかつ段階的に増大せしめるようにした
    ことを特徴とする特許請求の範囲第(2)項に記載のア
    ルミニウム材の製造方法。
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