JP2012194887A - 電極シート、電極シートの製造方法、及びタッチパネル - Google Patents

電極シート、電極シートの製造方法、及びタッチパネル Download PDF

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Abstract

【課題】導通不良や擦傷等に起因して歩留まりの低下がなく、電極及び配線のトータルの低抵抗化を図ることができる電極シートの提供。
【解決手段】支持体10の少なくとも一方の面上に、電極71と、該電極71を覆う保護層72と、該電極と導通する配線40とを有する電極シートであって、前記電極71は、現像銀を含む導電性細線からなるパターンで構成され、前記配線40は、導電性インク又は導電性ペーストで形成されたものであり、前記保護層72の厚みtは0.3μm以下であり、かつ、前記電極と前記配線の厚みの比(配線の厚み)/(電極の厚み)が3以上である、電極シート。
【選択図】図9

Description

本発明は、支持体上に所望の導線パターンで構成される複数の電極とこれら複数の電極のそれぞれに導通される複数の配線とを備える電極シート、この電極シートの製造方法、及び電極シートを備えるタッチパネルに関する。
近年、タッチパネル(タッチスクリーン)の分野ではマルチタッチ及び大画面化に対する要望が高まっている。マルチタッチに関しては、X方向に配列された複数の電極と、Y方向に配列された複数の電極とを有する投影型静電容量方式において実現しており、マルチタッチ可能な投影型静電容量方式のタッチパネルがPDAや携帯電話等に広く使用されるようになってきている。
ここで、パネルの大画面化に際しては、消費電力や応答速度の見地から電極の低抵抗化が必須であり、この低抵抗化のための技術として、電極を網目状の導線パターンで形成する方法が、例えば特許文献1及び2に記載されている。これらの文献に記載されている導線パターンの形成方法は、導電性インクを用いた印刷方式あるいは、ITOや金属薄膜のフォトリソグラフィーによる細線化であるが、前者の印刷方式では、安定した線幅での細線化が困難であるとういう問題を抱えており、後者ではフォトリソグラフィーが高価な大型装置を必要とし複数の工程からなるためのコスト高という問題を抱えている。
一方、低抵抗の導線パターンをハロゲン化銀写真感光材料の現像で得られる銀像から形成する方法が電磁波シールド膜やプリント配線の分野で検討されている(特許文献3)。この方式は種々のパターンをマスクを介した露光とその後の現像処理とによって形成することができるので、印刷方式やフォトリソグラフィーにおける上述した問題を解決しうる。
特開2010−039537号公報 国際公開第2010/014683号 特開2007−129205号公報
上記の現像銀方式を利用してタッチパネルを製造するには、まず電極の導線パターンを形成することによって電極シートを大量生産し、タッチパネルの機種に応じて電極に、該電極を外部機器などと結ぶための配線を設けている。しかしながら、製造された電極表面は、電極シート製造時の巻き取り、保存、巻き出しなどの際に、擦り傷が付きやすく、導線パターンが剥離したり、短絡したりする不具合が生じやすい。すなわち耐久性に難がある。そこで、シートとシートとの間に挟み用のシートを入れたり、ハロゲン化銀感光材の乳剤層の上に保護膜を設けることなどが考えられるが、挟み用シートを使用する場合にはコスト高となり、保護膜を設ける場合には、保護膜が絶縁性であるが故に、電極と配線との導通不良を招くおそれがある。また、保護層を形成する材料(樹脂)と配線を形成する材料(金属/樹脂)とは、材料の自身の親和性が十分でなかったり、熱/湿度に対する膨張係数が異なることなどにより、湿熱耐久試験後に配線が剥がれ易くなるという問題もある。
本発明の目的は、導通不良や擦傷等に起因して歩留まりの低下がなく、湿熱耐久性に優れ、電極及び配線のトータルの低抵抗化を図ることができる電極シート、電極シートの製造方法、及び電極シートを備えるタッチパネルを提供することにある。
本発明者は、鋭意研究により、絶縁性の保護膜は使用しつつも、電極と配線との導通性を得る技術を見出した。より具体的には、電極シート製造時などにおける耐擦傷性を確保できるとともに、導通に不具合を生じることなく、電極と配線とのトータルの低抵抗化を図ることができる保護層の厚み、及び電極と配線の厚みの比を見出した。
すなわち、本発明者は、下記手段により前記課題を解決できることを見出した。
〔1〕
支持体の少なくとも一方の面上に、電極と、該電極を覆う保護層と、該電極と導通する配線とを有する電極シートであって、
前記電極は、現像銀を含む導電性細線から構成され、
前記配線は、導電性インク又は導電性ペーストで形成されたものであり、
前記保護層の厚みは0.3μm以下であり、かつ、
前記電極と前記配線の厚みの比(配線の厚み)/(電極の厚み)が3以上である、電極シート。
〔2〕
前記現像銀を含む導電性細線が、ハロゲン化銀乳剤層を有する感光材料に対して露光及び現像することにより得られたものである、上記〔1〕に記載の電極シート。
〔3〕
前記保護層の厚みが0.05μm以上、0.3μm以下である、上記〔1〕又は〔2〕に記載の電極シート。
〔4〕
前記保護層中にコロイダルシリカ、シリカマット、シリコーンオイル、パラフィン系オイル、(メタ)アクリル系粒子のうち少なくとも1種を含有する、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか一項に記載の電極シート。
〔5〕
前記保護層中にコロイダルシリカを含有する、上記〔1〕〜〔4〕のいずれか一項に記載の電極シート。
〔6〕
前記配線が、前記電極の少なくとも一部を覆うように設けられ、前記配線が前記電極を覆う面積が、1×10−8以上である、上記〔1〕〜〔5〕のいずれか一項に記載の電極シート。
〔7〕
前記導電性細線の線幅が20μm以下である、上記〔1〕〜〔6〕のいずれか一項に記載の電極シート。
〔8〕
前記電極の厚みが、0.4μm以上、1.5μm以下である、上記〔1〕〜〔7〕のいずれか一項に記載の電極シート。
〔9〕
前記保護層の引っかき強度が9g以上である、上記〔1〕〜〔8〕のいずれか一項に記載の電極シート。
〔10〕
前記導電性インク又は前記導電性ペーストが銀粒子又は銀フィラーを含有する、上記〔1〕〜〔9〕のいずれか一項に記載の電極シート。
〔11〕
前記電極及び前記配線が前記支持体の両面にそれぞれ形成された、上記〔1〕〜〔10〕のいずれか一項に記載の電極シート。
〔12〕
前記支持体には、支持体の一方の面に設けられた前記配線の電位を支持体の他方の面に取り出すスルーホールが導電性インク又は導電性ペーストにより形成された、上記〔1〕〜〔11〕のいずれか一項に記載の電極シート。
〔13〕
支持体の少なくとも一方の面上に、現像銀を含む導電性細線からなるパターンで構成された電極と、該電極を覆う厚み0.3μm以下の保護層と、該電極と導通する配線とを有し、前記電極と前記配線の厚みの比(配線の厚み)/(電極の厚み)が3以上である電極シートの製造方法であって、
支持体上にハロゲン化銀乳剤層と保護層とをこの順で有する感光材料に対して露光及び現像することにより、現像銀を含む導電性細線からなる電極を形成する電極形成工程と、
前記導電性細線からなるパターンで構成された電極に導通される配線を、導電性インク又は導電性ペーストを用いて形成する配線形成工程と、を有する電極シートの製造方法。
〔14〕
上記〔1〕〜〔12〕のいずれか一項に記載の電極シート、又は上記〔13〕に記載の製造方法により製造された電極シートを備えたタッチパネル。
本発明によれば、耐擦傷性を確保できるとともに、導通に不具合を生じることなく、湿熱耐久性に優れ、電極と配線とのトータルの低抵抗化を図ることが可能な電極シートを提供することができる。また、該電極シートにより低抵抗化が図られることで、大画面のタッチパネルを提供することができる。
本発明のタッチパネルを模式的に示す側断面図である。 本発明の他のタッチパネルを模式的に示す側断面図である。 本発明の他のタッチパネルを模式的に示す側断面図である。 本発明の他のタッチパネルを模式的に示す側断面図である。 電極シートのX電極が形成された面を示す平面図である。 センサ部の拡大図である。 電極シートのY電極が形成された面を示す平面図である。 センサ部の拡大図である。 導電性細線及び配線の接続部を示す平面図及び側断面図である。 電極シートの製造に用いる感光材を示す側断面図である。 電極シートの製造工程を示す図である。 電極シートの露光工程を説明するための図である。 電極シートのX電極が形成された面を示す平面図である。
以下、本発明の実施形態を説明するための投影型静電容量方式タッチパネルの構成及び製造方法の一例を図1〜図12を参照して説明する。
なお、既に述べた構成と同様の構成については、同一符号を付して説明を省略または簡略化する。また、本明細書において「〜」は、その前後に記載される数値を下限値及び上限値として含む意味として使用される。
〔全体構成〕
図1〜図4はそれぞれ、本発明の投影型静電容量方式タッチパネルの一例の断面図を模式的に示す。
図1のタッチパネル1は、ユーザによってタッチされるタッチ面11Aを構成する上側透明カバー部材11と、上側透明カバー部材11の視認方向裏側に配置されて指等の接触をセンシングする電極シート20と、電極シート20の上側カバー部材11側とは反対側に配置される下側透明カバー部材12とを備えている。電極シート20と上側透明カバー部材11との間には樹脂等で形成された誘電体層13が設けられ、電極シート20と下側透明カバー部材12との間にも誘電体層13が設けられている。
電極シート20は、支持体10と該支持体上に形成された電極30と該電極を覆う保護層を含んでなる。電極は導電性細線からなるパターンにより構成されていることが好ましい。なお、本明細書では、電極と電極を覆う保護層とをあわせて、「導線パターン」と呼ぶ。
電極シート20の支持体10の表裏両面のそれぞれには、導線パターンで形成された電極及び配線が形成されている。すなわち、支持体10の表面には、導線パターン70で形成されたX電極30及び配線40が形成され、支持体10の裏面には、導線パターン70で形成されたY電極35及び配線45が形成されている。支持体10の表面に設けられた配線40は、支持体10に設けられたスルーホール48を介して支持体10の裏面側に引き出されている。スルーホール48は、支持体10に形成された孔に充填された導電性インクによって形成されている。本発明の電極シートは各種用途の観点から電極及び配線を複数備えていることが好ましい。配線は電極を外部機器などと接続するために用いられる。
図2のタッチパネル2は、タッチ面11Aを構成する透明カバー部材11と、2つの電極シート20,25とを備えている。X電極30及び配線40が形成された上側電極シート20と、Y電極35及び配線45が形成された下側電極シート25とは、それぞれの電極が形成された面を上面に向けた状態で重ねられている。
図3のタッチパネル3は、図2の場合とは上下反対向きに配置された2つの電極シート20,25と、電極シート25のY電極35が形成された面を覆う透明カバー部材12とを備えている。タッチ面11Aは、上側電極シート20によって構成されている。
図4のタッチパネル4は、タッチ面11Aを構成する上側電極シート20と、下側電極シート25とがそれぞれの電極が形成された面を内側にした状態で重ねられている。
なお、タッチパネル1〜4は図示しないディスプレイに一体に形成されていてもよい。また、図1〜図4には図示していないが、タッチパネル1〜4のディスプレイとの対向面に、ディスプレイからの電磁波を遮蔽するシールド層が設けられていてもよい。
上記のタッチパネル1〜4に関し、透明カバー部材11,12、支持体10、及びシールド層には、絶縁性の同じ材料を用いてもよいし、絶縁性のそれぞれ別々の材料を用いてもよく、プラスチックフィルム、プラスチック板、ガラス板等が使用されて形成される。これらの部材、板、層の厚みはそれぞれの用途に応じて適宜決められる。
上記プラスチックフィルム及びプラスチック板の材料としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル類;ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリスチレン、EVA等のポリオレフィン類;ビニル系樹脂;その他、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド、アクリル樹脂、トリアセチルセルロース(TAC)等が用いられる。
上記プラスチックフィルム及びプラスチック板の好ましい材料としては、PET(融点:258℃)、PEN(融点:269℃)、PE(融点:135℃)、PP(融点:163℃)、ポリスチレン(融点:230℃)、ポリ塩化ビニル(融点:180℃)、ポリ塩化ビニリデン(融点:212℃)やTAC(融点:290℃)等の融点が約290℃以下であるプラスチックフィルム、又はプラスチック板などがあり、特に、光透過性や加工性等の観点から、PETが好ましい。フィルムや板の厚みは50μmから300μmであることが好ましい。
誘電体層13は、その全体が粘着性を有する材料により非導電性の粘着層として形成されるか、あるいは誘電性の基板と、この基板の表裏にそれぞれ設けられる粘着層とを含んで構成される。このような誘電体層13に含まれる粘着層と、透明カバー部材11,12との貼り合わせの際に用いられる粘着層とには、非導電性の接着剤などを用いることができる。接着剤の材料としては、アクリル樹脂系、エポキシ樹脂系、フェノール樹脂系、ビニル樹脂系などを例示できる。これらの粘着層は、例えば、スクリーン印刷法などによって形成される。
〔電極シートの構成〕
図5は、電極シート20のX電極30が形成された面を示す。支持体10上には、導線パターン70(図1)で形成された複数のX電極30がX方向に配列されている。
各X電極30はそれぞれ、網目状の導線パターン70で菱形(ダイヤモンド形)に形成された複数のセンサ部30Aが導通されて形成されている。各X電極30の一端側にはそれぞれ、導電性インク又は導電性ペーストを用いて形成された配線40が接続されている。
図6は、X電極30を構成するセンサ部30Aの拡大図である。センサ部30Aは、交差する導線パターン70によって菱形(ここでは正方形)に形成されている。隣り合うセンサ部30A同士が、屈曲した導電性細線を含む導通部Cを介して接続されることにより、センサアレイであるX電極30が形成される。また、各センサ部30Aの周囲には、他の導電性細線とは孤立した短い導電性細線が並んでおり、これらの導電性細線はダミー電極Dmとされている。
センサ部30Aの一辺の長さは、3〜10mmであることが好ましく、4〜6mmであることがより好ましい。一辺の長さが、3〜10mmであると、感知する静電容量の不足による検出不良になる可能性や、位置検出精度が低下するといった問題を起こしにくい。同様の観点から、センサ部30Aを構成する単位格子の一辺の長さ(導線パターン70間の間隔(線と線との間の寸法))は、50〜500μmであることが好ましく、150〜300μmであることがさらに好ましい。単位格子の辺の長さが上記範囲である場合には、さらに透明性も良好に保つことが可能であり、表示装置の前面にとりつけた際に、違和感なく表示を視認することができる。
図7は、電極シート25のY電極35が形成された面を示す。支持体10上には、導線パターン70(図1)で形成された複数のY電極35がY方向に配列されている。
各Y電極35はそれぞれ、菱形に形成された複数のセンサ部35Aが導通されて形成されている。各Y電極35の一端側にはそれぞれ、導電性インク又は導電性ペーストを用いて形成された配線45が接続されている。
各配線45は、支持体10の辺に沿って延出し、支持体10の端部に設けられた図示しないコンタクト部に集められている。このコンタクト部に設けられる図示しないFPC(Flexible printed circuits)によって、各配線45がタッチパネルを駆動制御する回路基板に接続されている。
一方、X電極30が形成された面の配線40は、図1のタッチパネル1の場合には、スルーホール48を介して支持体10の裏面(配線45が形成された面)側に引き出され、支持体10の裏面に設けられたFPCによって回路基板に接続されている。このようにスルーホール48を用いて支持体10の一方の面に形成された配線を他方の面に引き出すことにより、FPCを一つの面のみに設ければ足りるので、配線を容易化できる。
それ以外のタッチパネル2〜4の場合には、X電極30が形成された面の配線40は支持体10の表面に設けられたFPC等によって回路基板に接続される。
図8は、Y電極35を構成するセンサ部35Aの拡大図である。センサ部35Aは、X電極30のセンサ部30Aと同様に形成され、隣り合うセンサ部35A同士が導通部Cを介して接続されることにより、センサアレイであるY電極35が形成される。
X電極30とY電極35とは、図1〜4に示したように重ねられた状態でタッチ面11A側から透視される。透視状態では、センサ部30Aとセンサ部35Aとが平面的に交互に配列されたセンサ面が形成される。このとき、隣り合うセンサ部30Aとセンサ部35Aとの間にはダミー電極Dmが配置される。ダミー電極Dmにより、導線パターンの格子模様が均一化されるので、ムラに見えるなどの視認上の問題を解決することができる。また、ダミー電極Dmの存在により、隣り合う電極30,30(あるいは電極35,35)間の寄生容量が低下するので、高周波駆動時の短絡を防止できる。
なお、図6の電極30と図8の電極35とは導通方向(センサアレイの配列方向)がほぼ直交するが、タッチ位置の座標決定に支障の無い限り任意の角度に設定することができる。
さらに、図6及び図8に例示した正方格子(長方格子であってもよい)を構成する導電性細線の向きは、X、Y方向に対し45°方向となる。このため、X、Y方向をディスプレイの電極軸の方向としてタッチパネルとディスプレイとを貼り合わせると、モアレが発生しにくい。
〔導線パターン及び配線の構成〕
図9は、図5に示した導線パターン70と配線40との接続部を模式的に示す。図9に示すように、配線は電極の少なくとも一部を覆うように設けられることが好ましい。図9(A)は、導線パターン70と配線40との接続部の平面図であり、図9(B)は、図9(A)のB−B線断面図である。
図9(A)に示すように、導線パターン70の破線で示した部分と、配線40とが重なる部分(斜線部)で導線パターン70と配線40とが接触しており、これら導線パターン70と配線40とが重なる部分(斜線部)の面積が導線パターン70と配線40との接触面積である。
なお、図示を省略するが、図7に示した配線45も配線40と同様に、導線パターン70の端部に接続されており、導線パターン70と配線45との接触状態は図9に示した導線パターン70と配線40との接触状態と同様である。
導線パターン70を構成する導電性細線の線幅は、20μm以下であることが好ましく、後述する現像銀方式の製造方法によって導線パターン70を20μm以下の線幅に安定して製造できる。このように導線パターン70の線幅が細いことで電極の開口率が上がるので、タッチパネルの透光率が向上する。導線パターン70の線幅は、1μm以上、10μm以下であることがより好ましく、2μm以上、6μm以下であることがさらに好ましい。1μm以上、10μm以下の範囲であると、低抵抗の電極を比較的容易に形成できる。
また、導線パターン70の厚みは、0.1μm以上、1.5μm以下であることが好ましく、0.4μm以上、1.5μm以下であることがより好ましく、0.2μm以上、0.8μm以下であることが更に好ましい。0.1μm以上、1.5μm以下の範囲であると、低抵抗の電極で、耐久性に優れた電極を比較的容易に形成できる。本発明においては電極の厚みは導線パターンの厚みとする。
ここで、導線パターン70は、図9(B)に示すように、現像銀である導電性細線からなる電極71と、電極71の支持体10側とは反対側に設けられる保護層72とを含んで構成されている。保護層は有機バインダー層であることが好ましい。保護層は少なくとも電極を覆うように設けられるが、電極の上面側(支持体と反対側)と電極の側面を覆うことが好ましい。また、図9(B)に示すように保護層は電極と支持体を覆うように設けられてもよい。
保護層72は、擦り傷防止や力学特性を改良する効果を発現するために感光層上に形成されている。この保護層72の形成方法は特に限定されず、例えば、公知の塗布方法から適宜選択することができる。
保護層72の厚みtは、0.3μm以下であり、より好ましくは0.05μm以上、0.3μm以下であり、更に好ましくは0.05μm以上、0.2μm以下である。このような厚みtにより、保護層72が介在する配線40と導線パターン70との導通不良を起こりにくくできる。
また、このような厚みtとすることにより、耐擦傷性を向上させることができる。特に、厚みtが0.05μm以上であれば、保護層72が電極71を確実に被覆して電極71に密着するので、耐擦傷性を確保できる。
上述のように、保護層72の厚みtを0.3μm以下とすることにより、圧力耐性が高まり導通不良を防止できるとともに、形成された電極間の絶縁性に不具合が生じることなく、製造時のハンドリング性が向上する。更に、後述するように配線と電極の厚み比を3以上とすることで、耐久試験にも支障を来たさない。
保護層72には、バインダー、無機微粒子、界面活性剤などが含まれる。バインダーは、ゼラチンや高分子ポリマーであり、ゼラチンが好ましい。無機微粒子は、シリカ、アルミナなどの酸化物微粒子が用いられ、粒子径は0.005〜0.3μmが用いられ、0.01〜0.2μmが好ましい。無機微粒子としてはシリカが好ましく、コロイダルシリカを用いることができる。
コロイダルシリカとしては、例えば、日産化学工業社製:スノーテックスシリーズのうち結合力に優れるスノーテックスXS(粒子径4〜6nm)、スノーテックスOXS(粒子径4〜6nm)、スノーテックスS(粒子径8〜11nm)、スノーテックスOS(粒子径8〜11nm)、スノーテックス20(粒子径10〜20nm)、スノーテックス30(粒子径10〜20nm)、スノーテックス40(粒子径10〜20nm)、スノーテックスO(粒子径10〜20nm)、スノーテックスN(粒子径10〜20nm)、及びスノーテックスC(粒子径10〜20nm)、あるいは皮膜性に優れるスノーテックスPS−S(粒子径20〜30nm)、スノーテックスPS−M(粒子径40〜50nm)等を用いることができる。
コロイダルシリカの添加によって、保護層72の引っかき強度を高めることができ、これによって硬度が高められている。保護層の引っかき強度は8g以上が好ましく、9g以上がより好ましく、10g以上が更に好ましく、15g以上が特に好ましい。
引っかき強度は以下のようにして測定することができる。
未露光の感光材料を23℃、相対湿度55%の条件下で24時間調湿した後、塗布面に対して、先端の曲率半径が0.1mmのサファイア針を直角にあてがい、60cm/minで試料を移動させながら、サファイア針にかかる荷重を0g〜100gまで徐々に増加させ、その試料を現像処理し、サファイア針が走査した部分をルーペで観察し、カブリが生じ始める荷重を求めることで測定する。
保護層中にコロイダルシリカ、シリカマット、シリコーンオイル、パラフィン系オイル、その他、導電性インクまたは導電性ペーストの溶媒に溶解する化合物、のいずれか1種を含有することが好ましく、コロイダルシリカ、シリカマット、シリコーンオイル、パラフィン系オイル、(メタ)アクリル系粒子のうち少なくとも1種を含有することがより好ましい。上記素材を加えることにより、保護層と配線材料(導電性ペースト)の結びつきが強まり、耐久性向上が得られると考える。特に、導電性ペーストの溶媒に溶解する化合物を添加することにより、保護層上に導電性ペーストを印刷した際に前記化合物が導電性ペースト溶媒に溶解して抜け出し、保護層中の前記化合物が存在していた箇所にペースト液が入り込むこと(アンカー効果)により導通性が向上すると推察する。
コロイダルシリカとしては前述のものと同様のものが挙げられる。
シリコーンオイルとしては、シリコーンオイルを構成するポリシロキサンの重合数が好ましくは2〜100、より好ましくは5〜20のものを好適に用いることができる。
パラフィン系オイルとしては、パラフィン系オイルを構成するパラフィン系炭化水素の炭素数が好ましくは2〜1000、より好ましくは5〜100のものを好適に用いることができる。
シリカマットとしては、好ましくは平均粒径5μm以下、より好ましくは0.5〜3.5μmである。また、粒子サイズの変動係数としては、3〜50であることが好ましく、特に3〜30%であることが好ましい。
導電性インクまたは導電性ペーストの溶媒に溶解する化合物としては、シリコーンオイル、パラフィン系オイル、(メタ)アクリル系粒子などが挙げられ、シリコーンオイルまたはパラフィン系オイルが特に好ましい。
保護層におけるコロイダルシリカの添加量は、0.5〜50mg/mが好ましく、5〜30mg/mがより好ましく、10〜20mg/mが更に好ましい。
保護層におけるシリコーンオイルの添加量は、5〜100mg/mが好ましく、10〜80mg/mがより好ましく、30〜70mg/mが更に好ましい。
保護層におけるパラフィン系オイルの添加量は、5〜100mg/mが好ましく、10〜80mg/mがより好ましく、30〜70mg/mが更に好ましい。
保護層における(メタ)アクリル系粒子の添加量は、50〜400mg/mが好ましく、100〜300mg/mがより好ましく、150〜250mg/mが更に好ましい。
配線40,45は、導電性インクの印刷、塗布等によって形成されていることが好ましい。この導電性インクは銀粒子やAl粒子などの導電性粒子、又は銀フィラーやAlフィラーなどの導電性フィラーを含有している。導電性インク(導電性ペースト)としては、例えば、藤倉化成社:ドータイトシリーズのXA−436(体積抵抗率7×10−5Ω・cm)、FA−401CA(体積抵抗率3×10−5Ω・cm)、FA−333(体積抵抗率4×10−5Ω・cm)、FA−353N(体積抵抗率4×10−5Ω・cm)等を用いることができる。また、東洋インキ社製:REXALPHAシリーズの製品群ラインアップであるフラットスクリーン用、ロータリースクリーン用、フレキソ用、グラビア用)の体積抵抗率(膜厚10μmで測定)2×10−5〜5×10−5Ω・cmの製品も市販されており、これらも用いることができる。
ここで、導電性インクの材料選択、製品選択によって与えられる体積抵抗率などを考慮して、配線40,45の厚み及び線幅が決められる。
配線40,45の厚みは、0.4μm〜1.5μmであることが好ましく、その厚みは導線パターン70の厚みよりも大きい。より好ましい配線40,45の厚みは5μm〜15μmである。
また、配線40,45の線幅は、20μm〜100μmであることが好ましく、その線幅は導線パターン70の線幅よりも広い。より好ましい配線40,45の線幅は20μm〜50μmである。
さらに、配線40,40間の間隔、配線45,45間の間隔(線と線との間の寸法)は、50μm〜200μmであることが好ましく、より好ましくは、50μm〜100μmである。
このように、現像銀方式で形成された導線パターン70に導電性インクで形成された配線40が接続される構成上、これら導線パターン70と配線40との接続部は接触抵抗を持つ。この接触抵抗を制御するため、配線40が電極30(又は電極35)を覆う部分の面積が、1×10−8以上であることが好ましく、3×10−8以上であることがより好ましい。該面積が1×10−8以上であると耐久性試験後の配線と電極の接続部の導通性を向上させることができる。導線パターン70と配線40との接触抵抗による導通不良を考慮して、上述の保護層72の厚みが決められている。
耐久試験後の配線と電極の接続部の導通性向上の観点から、電極と配線の厚みの比である(配線の厚み)/(電極の厚み)は3以上であり、5以上であることが好ましく、10以上であることが更に好ましい。
以上のように構成された電極と配線との電気的特性について述べる。
電極(電極30,35のそれぞれ)の体積抵抗率は、例えば5〜100μΩ・cmであり、好ましくは5〜50μΩ・cmである。
一方、Ag粒子を含有する導電性インクで形成された配線40,45の体積抵抗率は、例えば3〜20μΩ・cmであることが好ましく、より好ましくは3〜8μΩ・cmである。配線40,45(導電性インク)は導線パターン70の厚みに比較して厚盛りに形成しやすい。
以上述べたように、現像銀方式によって極細パターンに形成された電極30,35と、導電性インクで形成された配線40,45とを備えた本実施形態のタッチパネルによれば、ディスプレイの表示品位を維持しかつ低抵抗化されたタッチパネルを提供できる。このタッチパネルにおいては、保護層72の厚みが導線パターン70と配線40,45との導通の上でも、導線パターン70の圧力耐性の上でも最適条件で奏功するため、歩留まりが悪くなることなく、電極及び配線のトータルの低抵抗化を図ることができる。これにより、タッチパネルの大画面化に伴う消費電力及び応答速度についての課題が解決されるので、タッチパネルの大画面化を促進できる。
[感光材料]
図10は、上述の電極シート20,25の製造に用いる感光材05を示す。
感光材05は、支持体の両面(おもて面及びうら面)にそれぞれ、ハロゲン化銀乳剤を含む感光層が形成されたものであって、電極シートの製造に用いられる。
感光材の代表的な構成を図10を用いて説明する。支持体10のおもて面側には上部感光材料層(おもて面感光材料層とも言う)50が、うら面側には下部感光材料層(うら面感光材料層とも言う)60が形成されている。
そして、上部感光材料層50は、支持体10上に下塗り層56、アンチハレーション層57、ハロゲン化銀乳剤を含む上部感光層(おもて面感光層とも言う)51、保護層72が形成されている。下塗り層、アンチハレーション層は、必要に応じて設けられる層である。上部感光層51はいくつかのハロゲン化銀乳剤を含む感光層とそれらの感光層の間にある中間層から形成されていてもよい。 下部感光材料層60も上部感光材料層50と同様の層構成(下塗り層66、アンチハレーション層67、下部感光層(うら面感光層とも言う)61、保護層72層)をもち、支持体10を中心に対称の層構成が好ましい。
〔ハロゲン化銀乳剤を含む感光層〕
次にハロゲン化銀乳剤を含む感光層について説明するが、現像銀を電極材料とするためには、感光材料の種類と、現像処理の種類とを、以下の3通りの方式から選択することができる。
(1)物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を化学現像又は熱現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる方式。
(2)物理現像核をハロゲン化銀乳剤層中に含む感光性ハロゲン化銀黒白感光材料を溶解物理現像して金属銀部を該感光材料上に形成させる方式。
(3)物理現像核を含まない感光性ハロゲン化銀黒白感光材料と、物理現像核を含む非感光性層を有する受像シートを重ね合わせて拡散転写現像して金属銀部を非感光性受像シート上に形成させる方式。
上記(1)の態様は、黒白現像タイプであり、感光材料上に透光性電磁波シールド膜などの透光性導電性膜が形成される。得られる現像銀は化学現像銀又は熱現像銀であり、高比表面のフィラメントである。さらに、メッキ処理、又は物理現像の後続過程を設ける場合は高活性で好ましい方式である。
上記(2)の態様は、露光部では、物理現像核近縁のハロゲン化銀粒子が溶解されて現像核上に沈積することによって感光材料上に透光性電磁波シールド膜や光透過性電極シートなどの透光性導電性膜が形成される。これも黒白現像タイプである。現像作用が、物理現像核上への析出であるので高活性であるが、得られる現像銀は比表面が小さい球形である。
上記(3)の態様は、未露光部においてハロゲン化銀粒子が溶解されて拡散して受像シート上の現像核上に沈積することによって受像シート上に透光性電磁波シールド膜や光透過性電極シートなどの透光性導電性膜が形成される。いわゆる2シートのセパレートタイプであって、受像シートを感光材料から剥離して用いる態様である。
いずれの態様もネガ型現像処理及び反転現像処理のいずれの現像を選択することもできる(拡散転写方式の場合は、感光材料としてオートポジ型感光材料を用いることによってネガ型現像処理が可能となる)。
ここでいう化学現像、熱現像、溶解物理現像、及び拡散転写現像は、当業界で通常用いられている用語どおりの意味であり、写真化学の一般教科書、例えば菊地真一著「写真化学」(共立出版社刊行)、C.E.K.Mees編「The Theory of Photographic Process,4th ed.」(Mcmillan社、1977年刊行)に解説されている。また、例えば、特開2004−184693号公報、同2004−334077号公報、同2005−010752号公報等に記載の技術を参照することもできる。
上記の(1)〜(3)の方式の中で、方式(1)が、現像前の感光層に物理現像核を有さないこと、2シートの拡散転写方式でないことから、方式(1)が最も簡便、安定な処理ができ、本発明の透明電極シートの製造には好ましい。以下、方式(1)での説明を記載するが、他の方式を用いる場合には上段記載の文献を参照することができる。尚、”溶解物理現像”は、方式(2)にのみ固有な現像法ではなく、方式(1)でも利用できる現像方法である。
(ハロゲン化銀乳剤)
ハロゲン化銀乳剤に含有されるハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素及びフッ素のいずれであってもよく、これらを組み合わせでもよい。例えば、塩化銀、臭化銀、ヨウ化銀を主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられ、さらに臭化銀や塩化銀を主体としたハロゲン化銀が好ましく用いられる。塩臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀もまた好ましく用いられる。より好ましくは、塩臭化銀、臭化銀、沃塩臭化銀、沃臭化銀であり、最も好ましくは、塩化銀50モル%以上を含有する塩臭化銀、沃塩臭化銀が用いられる。
尚、ここで、「臭化銀を主体としたハロゲン化銀」とは、ハロゲン化銀組成中に占める臭化物イオンのモル分率が50%以上のハロゲン化銀をいう。この臭化銀を主体としたハロゲン化銀粒子は、臭化物イオンのほかに沃化物イオン、塩化物イオンを含有していてもよい。
なお、ハロゲン化銀乳剤における沃化銀含有率は、ハロゲン化銀乳剤1モルあたり1.5mol%を超えない範囲であることが好ましい。沃化銀含有率を1.5mol%を超えない範囲とすることにより、カブリを防止し、圧力性を改善することができる。より好ましい沃化銀含有率は、ハロゲン化銀乳剤1モルあたり1mol%以下である。
ハロゲン化銀の平均粒子サイズ、ハロゲン化銀粒子の形状及び分散度と変動係数は、特開2009−188360号の段落36及び37の記載を参照することができる。また、ハロゲン化銀乳剤の安定化や高感化のために用いられるロジウム化合物、イリジウム化合物などのVIII族、VIIB族に属する金属化合物、パラジウム化合物の利用については、特開2009−188360号の段落39〜段落42の記載を参照することができる。さらに化学増感については、特開2009−188360号の段落43の技術記載を参照することができる。
ハロゲン化銀乳剤は、塩臭化銀乳剤であることがこのましい。また、現像前、現像中のカブリを抑制するために沃化銀を少量含有させることが好ましく、0.5モル%程度含ませることがより好ましい。以下では沃化銀を左記の程度含んでいても特に表示はしない。
支持体の両面に形成される感光層51及び61に含まれる銀とバインダーの体積比は、1.0以上であることが好ましく、1.5以上であることがさらに好ましい。銀とバインダーの体積比を1.0以上とすることで、現像処理後の現像銀の導電性を高めることができる。尚、銀とバインダーの体積比は、ハロゲン化銀乳剤層に含まれる銀の質量及びバインダーの質量を算出し、銀の密度を10.5、バインダーの密度を1.34として計算して求めるものとする。
(バインダー)
ハロゲン化銀乳剤を含む感光層には、銀塩粒子を均一に分散させ、かつ乳剤層と支持体との密着を補助する目的でバインダーが用いられる。上記バインダーとしては、例えば、ゼラチン、カラギナン、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、澱粉等の多糖類、セルロース及びその誘導体、ポリエチレンオキサイド、ポリサッカライド、ポリビニルアミン、キトサン、ポリリジン、ポリアクリル酸、ポリアルギン酸、ポリヒアルロン酸、カルボキシセルロース、アラビアゴム、アルギン酸ナトリウム等が挙げられが、ゼラチンが好ましい。
ゼラチンとしては石灰処理ゼラチンの他、酸処理ゼラチンを用いてもよく、ゼラチンの加水分解物、ゼラチン酵素分解物、その他アミノ基、カルボキシル基を修飾したゼラチン(フタル化ゼラチン、アセチル化ゼラチン)を使用することができる。
また、バインダーとしてラテックスを用いることもできる。ここでラテックスとしては、特開平2−103536号公報第18頁左下欄12行目から同20行目に記載のポリマーラテックスを好ましく用いることができる。
感光層形成に用いられる溶媒は、特に限定されるものではないが、例えば、水、有機溶媒(例えば、メタノール等のアルコール類、アセトン等のケトン類、ホルムアミド等のアミド類、ジメチルスルホキシド等のスルホキシド類、酢酸エチル等のエステル類、エーテル類等)、イオン性液体、及びこれらの混合溶媒を挙げることができる。
感光層に用いられる溶媒の含有量は、感光層に含まれる銀塩、バインダー等の合計の質量に対して30〜90質量%の範囲であり、50〜80質量%の範囲であることが好ましい。
本実施の形態に用いられる各種添加剤に関しては、特に制限は無く、公知のものを好ましく用いることができる。例えば、各種マット剤を用いることができ、これにより、表面粗さをコントロールすることができる。なお、マット剤は現像処理後に残存し透明性を阻害しない、処理工程で溶解する素材のものが好ましい。
(保護層)
感光層51,61の上には、上述した保護層72が設けられる。
(その他の層構成)
本発明の感光層と支持体との間には、アンチハレーション層57及び67を設けることができる。アンチハレーション層に用いる材料とその使用方法については、特開2009−188360号の段落29から32の記載を参照することができる。アンチハレーション層の光学濃度は露光光の強さや波長によっても異なるが、0.5から3.0程度が好ましい。
〔製造方法〕
次に、上述のタッチパネルの製造方法について説明する。ここでは、図1に示したタッチパネル1の製造工程を例にとって説明する。
図11は、支持体10上に銀導線パターン70を形成するパターン形成工程を示す。
図11の(a)は支持体10であり、(b)はこの支持体の両面に上部感光材料層50と、下部感光材料層60とを塗布により設けた本発明の感光材05を表し、(c)は本発明の感光材料にフォトマスクを通して露光した図を表し、(d)は、露光に引き続く現像定着処理により形成された現像銀電極を表す。以下では露光以降の各工程について説明する。
〔露光]
本発明の感光材05は、支持体の両面に感光層が形成された感材であるため、本発明では図12の(c)のように感光材料の両面に光を照射102a及び102bして露光する。光照射は、感光材料にフォトマスク110と120を介して行う。フォトマスク110と120は、導線パターン70を現像銀により形成するために用いるマスクであるから、フォトマスク110と120は、図7と図8の電極の細線に相当する部分が光透過するマスクである。従って、フォトマスク110と120とは同一ではなく異なったパターンのマスクである。以上の説明のように、111と121とはマスクの開口部、112と122とはマスクの遮光部である。マスクの開口部を透過した光は感光層の131、141の部分のハロゲン化銀乳剤に潜像を形成する。この潜像が形成された131と141の部分は、次の現像処理により現像銀のパターンを形成する。マスクの遮光部により露光されなかった、感光材料の未感光部132、142は定着処理により感光しなかったハロゲン化銀乳剤粒子が溶解し層内から流出し、透明な膜152、162となる。
上記のように、異なったパターンのマスクを用いて感光材料の両面からの露光をする場合は、以下のような問題が発生する。フォトマスク110の開口部111を透過した光は、感光材料の131の部分に潜像を形成するが、余分の光は支持体をも透過し、反対面の感光層61にも予期しない潜像を形成してしまう。このような問題は露光量の調節のみでは難しく、感光層51を透過した光を吸収する光学濃度をもつアンチハレーション層57及び67を感光材料に設けることで対処できる。別の方法としては、感光層51と61のハロゲン化銀乳剤の感色性を増感色素により変える方法もある。
図12は本発明における露光装置のモデル図である。2つの光源100aと100bからの光はレンズにより平行光となり、前述のマスクを通して感光材料の両面を露光する。図12における光源からフォトマスクまでで構成される露光装置部は、2つの露光装置の位置決めが厳密になされる。フォトマスク110と120により形成された銀像が均一パターンとなるように厳密な位置決めがなされる。2枚の電極シート20,25を組み合わせてタッチパネル2〜4を構成する図2〜図4のような態様では、2枚の電極シート20,25の位置決めを、各セットごとに行う必要があり、本件のような両面型に比べて生産性が大きく劣る。
露光の光源としては、電磁波を用いることができる。電磁波としては、例えば、可視光線、紫外線等の光、X線等の放射線等が挙げられる。さらに露光には波長分布を有する光源を利用してもよく、特定の波長の光源を用いてもよい。
露光方法は、図12のような面露光であってもよいし、図12のようなマスクを介するのではなく、走査露光であることも好ましい。
以上のようにして、本発明の電極シート製造用感光材料の両面に、像様パターン露光を施し、次いで現像処理することにより、現像銀の導電性細線からなるおもて面透明電極と、現像銀の導電性細線からなるうら面透明電極とを、支持体の両面に形成することができる(パターン形成工程)。
また、上記のようにして形成された電極シートは、おもて面透明電極の導通方向と、うら面透明電極の導通方向とは、互いに直交配置となるように露光され、その後現像処理されて形成される。
(現像処理)
本実施の形態では、感光層を露光した後、さらに現像処理が行われる。現像処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる通常の現像処理の技術を用いることができる。現像液については特に限定はしないが、PQ現像液、MQ現像液、MAA現像液等を用いることもでき、市販品では、例えば、富士フイルム社処方のCN−16、CR−56、CP45X、FD−3、パピトール、KODAK社処方のC−41、E−6、RA−4、D−19、D−72等の現像液、又はそのキットに含まれる現像液を用いることができる。また、リス現像液を用いることもできる。
本発明における現像処理は、未露光部分の銀塩を除去して安定化させる目的で行われる定着処理を含むことができる。本発明における定着処理は、銀塩写真フイルムや印画紙、印刷製版用フイルム、フォトマスク用エマルジョンマスク等に用いられる定着処理の技術を用いることができる。
上記定着工程における定着温度は、約20℃〜約50℃が好ましく、さらに好ましくは25〜45℃である。また、定着時間は5秒〜1分が好ましく、さらに好ましくは7秒〜50秒である。定着液の補充量は、感光材05の処理量に対して600ml/m以下が好ましく、500ml/m以下がさらに好ましく、300ml/m以下が特に好ましい。
現像、定着処理を施した感光材05は、水洗処理や安定化処理を施されるのが好ましい。上記水洗処理又は安定化処理においては、水洗水量は通常感光材料1m当り、20リットル以下で行われ、3リットル以下の補充量(0も含む、すなわちため水水洗)で行うこともできる。
現像処理後の露光部(導電パターン)に含まれる金属銀の質量は、露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上の含有率であることが好ましく、80質量%以上であることがさらに好ましい。露光部に含まれる銀の質量が露光前の露光部に含まれていた銀の質量に対して50質量%以上であれば、高い導電性を得ることができるため好ましい。
本実施の形態における現像処理後の階調は、特に限定されるものではないが、4.0を超えることが好ましい。現像処理後の階調が4.0を超えると、光透過性部の透光性を高く保ったまま、導電性金属部の導電性を高めることができる。階調を4.0以上にする手段としては、例えば、前述のロジウムイオン、イリジウムイオンのドープ、また、現像処理液中に、ポリエチレンオキサイド誘導体を含有すること等が挙げられる。
(現像処理後の硬膜処理)
感光層に対して現像処理を行った後に、硬膜剤に浸漬して硬膜処理を行うことが好ましい。硬膜剤としては、例えば、カリ明礬、グルタルアルデヒド、アジポアルデヒド、2,3−ジヒドロキシ−1,4−ジオキサン等のジアルデヒド類及びほう酸等の特開平2−141279号に記載のものを挙げることができる。
次に、導電性インクまたは導電性ペーストを用いて配線40,45を形成する配線形成工程を実施する。導電性インクとしては、一般的なものを使用できる。また、特開2009−99561号公報に記載された導電性ペーストや導電性インクも用いることができる。
以上の工程を経て透明電極シートが得られるが、得られた透明電極シートの表面抵抗は0.1〜100オーム/sq.の範囲にあることが好ましく、1〜50オーム/sq.の範囲にあることがさらに好ましく、1〜10オーム/sq.の範囲にあることがより好ましい。
また、得られた透明電極シートの体積抵抗率は160μオームcm以下であることが好ましく、1.6〜16μオームcmの範囲にあることがさらに好ましく、1.6〜10μオームcmの範囲にあることがより好ましい。
(カレンダー処理)
本実施の形態の製造方法では、現像処理済みの透明電極シートに平滑化処理を施す。これによって透明電極シートの導電性が顕著に増大する。平滑化処理は、例えばカレンダーロールにより行うことができる。カレンダーロールは、通常、一対のロールからなる。以下、カレンダーロールを用いた平滑化処理をカレンダー処理と記す。
カレンダー処理に用いられるロールとしては、エポキシ、ポリイミド、ポリアミド、ポリイミドアミド等のプラスチックロール又は金属ロールが用いられる。特に、両面に乳剤層を有する場合は、金属ロール同士で処理することが好ましい。片面に乳剤層を有する場合は、シワ防止の点から金属ロールとプラスチックロールの組み合わせとすることもできる。線圧力の上限値は1960N/cm(200kgf/cm)、面圧に換算すると699.4kgf/cm)以上、さらに好ましくは2940N/cm(300kgf/cm、面圧に換算すると935.8kgf/cm)以上である。線圧力の上限値は、6880N/cm(700kgf/cm)以下である。
カレンダーロールで代表される平滑化処理の適用温度は10℃(温調なし)〜100℃が好ましく、より好ましい温度は、金属メッシュパターンや金属配線パターンの画線密度や形状、バインダー種によって異なるが、おおよそ10℃(温調なし)〜50℃の範囲にある。
(蒸気に接触させる処理)
そして、本実施の形態の製造方法では、平滑化処理された導電パターンを蒸気に接触させるようにしてもよい(蒸気接触工程)。この蒸気接触工程は、平滑化処理された透明電極シートを、過熱蒸気に接触させる方法と、平滑化処理された導線パターン70を、加圧蒸気(加圧された飽和蒸気)に接触させる方法とがある。これにより短時間で簡便に導電性及び透明性を向上させることができる。水溶性バインダの一部が除去されて金属(導電性物質)同士の結合部位が増加しているものと考えられる。
(水洗処理)
本実施の形態の製造方法では、透明電極シートを過熱蒸気又は加圧蒸気に接触させた後に水洗処理することが好ましい。蒸気接触処理後に水洗することで、過熱蒸気又は加圧蒸気で溶解又は脆くなったバインダーを洗い流すことができ、これにより、導電性を向上させることができる。
(めっき処理)
本実施の形態においては、上述した平滑化処理を行ってもよいし、透明電極シートに対してめっき処理を行ってもよい。めっき処理により、さらに表面抵抗を低減でき、導電性を高めることができる。平滑化処理は、めっき処理の前段又は後段のいずれで行ってもよいが、めっき処理の前段で行うことで、めっき処理が効率化され均一なめっき層が形成される。めっき処理としては、電解めっきでも無電解めっきでもよい。まためっき層の構成材料は十分な導電性を有する金属が好ましく、銅が好ましい。
(酸化処理)
本実施の形態では、現像処理後の透明電極シート、並びに、めっき処理によって形成された導電性金属部には、酸化処理を施すことが好ましい。酸化処理を行うことにより、例えば、光透過性部に金属が僅かに沈着していた場合に、該金属を除去し、光透過性部の透過性をほぼ100%にすることができる。
本発明の上記の両面電極シートはタッチパネル、特に静電容量方式のタッチパネルに好ましく用いられる。
なお、本発明は、下記表1に記載の公開公報及び国際公開パンフレットの技術と適宜組合わせて使用することができる。「特開」、「号公報」、「号パンフレット」等の表記は省略する。但し、日本の公開公報は、2004−221564のように年号のあとをハイフンで表示し、国際公開パンフレットは、2006/001461のように年号のあとをスラッシュで表示した。
Figure 2012194887
以下に本発明の実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。なお、以下の実施例に示される材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
実施例1
(ハロゲン化銀乳剤の調製)
38℃、pH4.5に保たれた下記1液に、下記の2液及び3液の各々90%に相当する量を攪拌しながら同時に20分間にわたって加え、0.16μmの核粒子を形成した。続いて下記4液、5液を8分間にわたって加え、さらに、下記の2液及び3液の残りの10%の量を2分間にわたって加え、0.21μmまで成長させた。さらに、ヨウ化カリウム0.15gを加え5分間熟成し粒子形成を終了した。
1液:
水 750ml
ゼラチン(フタル化処理ゼラチン) 8g
塩化ナトリウム 3g
1,3−ジメチルイミダゾリジン−2−チオン 20mg
ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム 10mg
クエン酸 0.7g
2液:
水 300ml
硝酸銀 150g
3液:
水 300ml
塩化ナトリウム 38g
臭化カリウム 32g
ヘキサクロロイリジウム(III)酸カリウム
(0.005%KCl 20%水溶液) 5ml
ヘキサクロロロジウム酸アンモニウム
(0.001%NaCl 20%水溶液) 7ml
4液:
水 100ml
硝酸銀 50g
5液:
水 100ml
塩化ナトリウム 13g
臭化カリウム 11g
黄血塩 5mg
その後、常法にしたがってフロキュレーション法によって水洗した。具体的には、温度を35℃に下げ、硫酸を用いてハロゲン化銀が沈降するまでpHを下げた(pH3.6±0.2の範囲であった)。次に、上澄み液を約3リットル除去した(第一水洗)。さらに3リットルの蒸留水を加えてから、ハロゲン化銀が沈降するまで硫酸を加えた。再度、上澄み液を3リットル除去した(第二水洗)。第二水洗と同じ操作をさらに1回繰り返して(第三水洗)、水洗・脱塩行程を終了した。水洗・脱塩後の乳剤をpH6.4、pAg7.5に調整し、ベンゼンチオスルホン酸ナトリウム10mg、ベンゼンチオスルフィン酸ナトリウム3mg、チオ硫酸ナトリウム15mgと塩化金酸10mgを加え55℃にて最適感度を得るように化学増感を施し、安定剤として1,3,3a,7−テトラアザインデン100mg、防腐剤としてプロキセル(商品名、ICI Co.,Ltd.製)100mgを加えた。最終的に得られた乳剤は、沃化銀を0.08モル%含み、塩臭化銀の比率を塩化銀70モル%、臭化銀30モル%とする、平均粒子径0.22μm、変動係数9%のヨウ塩臭化銀立方体粒子乳剤であった。
(感光層塗布液の調製)
上記乳剤に1,3,3a,7−テトラアザインデン1.2×10-4モル/モルAg、ハイドロキノン1.2×10-2モル/モルAg、クエン酸3.0×10-4モル/モルAg、2,4−ジクロロ−6−ヒドロキシ−1,3,5−トリアジンナトリウム塩0.90g/モルAg、微量の硬膜剤を添加し、クエン酸を用いて塗布液pHを5.6に調整して、感光層塗布液を調製した。この感光層塗布液の組成を基準として、ゼラチンの添加量を調節し、塗布液を準備した。
(保護層塗布液の調製)
実施例1においてはゼラチン水溶液に塗布助剤を添加し、塗布液を調製した。この塗布液を支持体上にゼラチン0.3g/mとなるように塗布した。
実施例2においては、実施例1に対し、ゼラチン塗布量を0.2g/mとなるように塗布液・塗布量を調整した。
実施例6においては、実施例1に対し、ゼラチン塗布量を0.05g/mとなるように塗布液・塗布量を調整した。
実施例7においては、実施例1に対し、ゼラチン塗布量を0.1g/mとなるように塗布液・塗布量を調整した。
実施例11〜12においては、実施例1に対し、ゼラチン塗布量を0.3g/mとなるように塗布液・塗布量を調整した。
実施例3においては、ゼラチン水溶液に塗布助剤、コロイダルシリカ(日産化学工業社製 スノーテックスC:粒子径10〜20nm)を添加し、塗布液を調製した。この塗布液を支持体上にゼラチン0.3g/m、コロイダルシリカを10mg/mとなるように塗布した。
実施例4、5においては、実施例3に対し、コロイダルシリカを20mg/mとなるように塗布した。
実施例8においては、ゼラチン水溶液に塗布助剤、下記シリコーンオイル(粒度分布の中心値:0.18μm、信越化学工業株式会社製)を添加し、塗布液を調製した。この塗布液を支持体上にゼラチン0.3g/m、シリコーンオイルを50mg/mとなるように塗布した。
Figure 2012194887
実施例9においては、ゼラチン水溶液に塗布助剤、下記流動パラフィン(粒度分布の中央値:1.8μm、ISP社製)を添加し、塗布液を調製。この塗布液を支持体上にゼラチン0.3g/m、流動パラフィンを50mg/mとなるように塗布した。
−(CH)n− (n=15〜50)
実施例10においては、ゼラチン水溶液に塗布助剤、ポリメタクリル酸メチル(PMMA)粒子(粒度分布の中心値:3.0μm、藤倉化成株式会社製)を添加し、塗布液を調製した。この塗布液を支持体上にゼラチン0.3g/m、PMMA粒子を200mg/mとなるように塗布した。
100μmのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムにコロナ放電処理を施した後、厚み0.1μmのゼラチン下塗り層、更に下塗り層の上に光学濃度が約1.0で現像液のアルカリにより脱色する染料を含むアンチハレーション層を、設けて支持体とした。この支持体に、上記で調製、準備した感光層塗布液を塗布した。
感光層の上に、保護層の厚みが0.3μmとなるように保護層塗布液を塗布した。感光層と保護層とは同時塗布機を用いて塗布し、感光材を作成した。
(露光・現像処理)
次に、上記で作成した感光材に露光を施した。光源には高圧水銀ランプを用い、図6のパターン形成用のマスクを用いて露光した。用いたマスクの光透過用の窓は、それぞれ図6と同じパターンであり、導線パターンの線幅は3μm、格子の辺長は300μmである。
露光後、下記の現像液で現像し、さらに定着液(商品名:CN16X用N3X−R:富士フイルム株式会社製)を用いて現像処理を行った後、純水でリンスし、乾燥した。このようにして現像銀を含む導電性細線からなる電極を作成した(体積抵抗率15μΩcm)。
(現像液の組成)
現像液1リットル(L)中に、以下の化合物が含まれる。
ハイドロキノン 0.037mol/L
N−メチルアミノフェノール 0.016mol/L
メタホウ酸ナトリウム 0.140mol/L
水酸化ナトリウム 0.360mol/L
臭化ナトリウム 0.031mol/L
メタ重亜硫酸カリウム 0.187mol/L
(配線の作成)
上記のように作成した導線パターンの端部に、藤倉化成社:ドータイトシリーズのFA−401CA(体積抵抗率3×10−5Ω・cm)を導電性インクとして用いて、10μmの膜厚でかつ100μmの線幅の配線をスクリーン印刷によって形成した。
上記のようにして実施例1の電極シートを得た。
実施例1において、下記表2の保護層厚みとなるようにゼラチンの添加量を変更し、また、下記表2の添加剤濃度となるように、添加剤の添加量を変更して保護層を設ける以外は実施例1と同様に実施例2〜4、6〜10の電極シートを作成した。実施例5では実施例4において、配線が電極を覆う部分の面積が下記表2に示したものとなるように変更した。実施例11では実施例1において配線の厚みを下記表2に示したように変更した。実施例12では実施例11において配線が電極を覆う部分の面積が下記表2に示したものとなるように変更した。
また、保護層の厚みが0.4μmとなるようにゼラチンの添加量を変更する以外は実施例1と同様にして、比較例1を得た。比較例2では保護層を設けなかった。比較例3では配線と電極の厚みの比を2.5とした。
(評価)
以上で作成した透明電極シート(実施例1〜12及び比較例1〜3)を用いて以下の評価を行った。
(1)接続部の導通性
図9に示した電極71と配線40との間の抵抗値をそれぞれ直読し、導通を確認した。
評価◎ 全配線への通電が確認された。
評価○ 全配線のうち1%未満の配線で通電が確認できず、残りの配線では通電が確認された。
評価△ 全配線のうち1%以上5%未満の配線で通電が確認できず、残りの配線では通電が確認された。
評価× 通電が確認できない配線が全配線の5%以上ある。
(2)耐久試験後の接続部の導通性
60℃90%の条件下で、240時間経時させた後、電極シートの表面全体及び裏面全体のそれぞれに対し、擦傷付与のための試験装置を用いて摩擦部材を1000回往復させる圧力耐性に関する耐久試験を行い、その後に上記(1)と同様にして図9に示した電極71と配線40との間の抵抗値をそれぞれ直読し、接続部の導通性を評価した。
(3)感光材料のカブリによる電極の短絡
電極シートをFPCを介して回路基板に接続し、隣り合う電極間の絶縁抵抗を測定し、5MΩ以下になる電極数を計数し以下のように評価した。ここで、隣り合う電極とは例えば図13に示す30−1と30−2などである。
評価◎ 絶縁抵抗が5MΩに満たない電極数が全電極数のうち1%未満である。
評価○ 絶縁抵抗が5MΩに満たない電極数が全電極数のうち5%未満である。
評価× 絶縁抵抗が5MΩに満たない電極数が全電極のうち5%以上である。
(4)引っかき強度
未露光の感光材料を23℃、相対湿度55%の条件下で24時間調湿した後、塗布面に対して、先端の曲率半径が0.1mmのサファイア針を直角にあてがい、60cm/minで試料を移動させながら、サファイア針にかかる荷重を0g〜100gまで徐々に増加させ、その試料を現像処理し、サファイア針が走査した部分をルーペで観察し、カブリが生じ始める荷重を求めることで測定した。
評価結果を以下の表2にまとめた。
Figure 2012194887
以上から、次のことがわかる。
保護層の厚みが0.3μm以下、かつ(配線の厚み)/(電極の厚み)が3以上の実施例1〜12においては、各配線と電極の接続部の導通性が良く、引っかき強度に優れ、耐久性試験後の導通性にも優れ、電極の短絡もない。
実施例1と実施例6及び7とを比較すると、保護層の厚みが薄い実施例6及び7の方が導通性が更に向上していることがわかる。一方、保護層厚みが0.3μmを超える比較例1においては、導通性が悪い。
耐久試験後の接続部の導通性については、保護層に添加剤としてコロイダルシリカ、シリカマット、シリコーンオイル、パラフィン系オイル、又は(メタ)アクリル系粒子を含有する場合に特に優れていることがわかる(実施例3、4、8〜10)。
電極の短絡については、保護層の厚みが大きい比較例1(0.4μm)の場合のように非常に良いとまでは言えないものの、実施例1〜12を通じて良いレベルを維持している。
さらに、配線と導線パターンとの接触面積(配線が電極を覆う部分の面積)が3×10−8以上である実施例3及び4における耐久試験後の導通性は、接触面積が1×10−8である実施例5における耐久試験後の導通性よりも良い。すなわち、配線と導線パターンとの接触面積を3×10−8以上に大きくすることにより、耐久試験後の導通性をより確実に保持できる。
Dm ダミー電極
C 導通部
w 線幅
1〜4 タッチパネル
05 感光材
10 支持体
11 透明カバー部材
11A タッチ面
12 透明カバー部材
13 誘電体層
20,25 電極シート
30、35、30−1、30−2 電極
30A,35A センサ部
31 センサ部
40,45 配線
48 スルーホール
50 上部感光材料層
51,61 感光層
55,65 保護層
56,66 下塗り層
57,67 アンチハレーション層
60 下部感光材料層
70 導線パターン
71,151,161 電極
72 保護層
100a 光源
101a,101b レンズ
102a,102b 平行光
110 フォトマスク
111 開口部
132 未感光部
152,162 透明な膜

Claims (14)

  1. 支持体の少なくとも一方の面上に、電極と、該電極を覆う保護層と、該電極と導通する配線とを有する電極シートであって、
    前記電極は、現像銀を含む導電性細線から構成され、
    前記配線は、導電性インク又は導電性ペーストで形成されたものであり、
    前記保護層の厚みは0.3μm以下であり、かつ、
    前記電極と前記配線の厚みの比(配線の厚み)/(電極の厚み)が3以上である、電極シート。
  2. 前記現像銀を含む導電性細線が、ハロゲン化銀乳剤層を有する感光材料に対して露光及び現像することにより得られたものである、請求項1に記載の電極シート。
  3. 前記保護層の厚みが0.05μm以上、0.3μm以下である、請求項1又は2に記載の電極シート。
  4. 前記保護層中にコロイダルシリカ、シリカマット、シリコーンオイル、パラフィン系オイル、(メタ)アクリル系粒子のうち少なくとも1種を含有する、請求項1〜3のいずれか一項に記載の電極シート。
  5. 前記保護層中にコロイダルシリカを含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載の電極シート。
  6. 前記配線が、前記電極の少なくとも一部を覆うように設けられ、前記配線が前記電極を覆う面積が、1×10−8以上である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の電極シート。
  7. 前記導電性細線の線幅が20μm以下である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の電極シート。
  8. 前記電極の厚みが、0.4μm以上、1.5μm以下である、請求項1〜7のいずれか一項に記載の電極シート。
  9. 前記保護層の引っかき強度が9g以上である、請求項1〜8のいずれか一項に記載の電極シート。
  10. 前記導電性インク又は前記導電性ペーストが銀粒子又は銀フィラーを含有する、請求項1〜9のいずれか一項に記載の電極シート。
  11. 前記電極及び前記配線が前記支持体の両面にそれぞれ形成された、請求項1〜10のいずれか一項に記載の電極シート。
  12. 前記支持体には、支持体の一方の面に設けられた前記配線の電位を支持体の他方の面に取り出すスルーホールが導電性インク又は導電性ペーストにより形成された、請求項1〜11のいずれか一項に記載の電極シート。
  13. 支持体の少なくとも一方の面上に、現像銀を含む導電性細線からなるパターンで構成された電極と、該電極を覆う厚み0.3μm以下の保護層と、該電極と導通する配線とを有し、前記電極と前記配線の厚みの比(配線の厚み)/(電極の厚み)が3以上である電極シートの製造方法であって、
    支持体上にハロゲン化銀乳剤層と保護層とをこの順で有する感光材料に対して露光及び現像することにより、現像銀を含む導電性細線からなる電極を形成する電極形成工程と、
    前記導電性細線からなるパターンで構成された電極に導通される配線を、導電性インク又は導電性ペーストを用いて形成する配線形成工程と、を有する電極シートの製造方法。
  14. 請求項1〜12のいずれか一項に記載の電極シート、又は請求項13に記載の製造方法により製造された電極シートを備えたタッチパネル。
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