JP2010244000A - 電子写真感光体及びそれを用いた画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】導電性支持体上に、下引き層、感光層を順次形成してなる電子写真感光体を製造するための下引き層用塗布液が、少なくともバインダー樹脂と、無水二酸化ケイ素で表面処理を施した金属酸化物粒子とを含有することを特徴とする電子写真感光体により課題を解決する。
【選択図】図1
Description
このプロセスは、先ず、感光体を暗所においてコロナ放電によりその表面を一様に帯電させた後、像露光を施して露光部の電荷を選択的に放電させることによって、非露光部に静電像を形成させる。次に、着色した荷電微粒子(トナー)を静電引力などで潜像に付着させて可視像とし、画像を形成する。
1)暗所において適当な電位に一様に帯電させることができること;
2)暗所において高い電荷保持能を有し、電荷の放電が少ないこと;
3)光感度に優れており、光照射によって速やかに電荷を放電すること;
などが挙げられる。
しかしながら、これらの先行技術文献に記載の方法では感光体の画像特性が未だ不充分であり、さらに優れた特性を有する電子写真感光体が望まれている。
導電性支持体は、感光体の電極としての役割を果たすとともに、他の各層の支持部材としても機能する。
導電性支持体の構成材料は、当該分野で用いられる材料であれば特に限定されない。
導電性支持体の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、陽極酸化被膜処理、薬品、熱水などによる表面処理、着色処理、表面を粗面化するなどの乱反射処理が施されていてもよい。
すなわち、レーザーを露光光源として用いる電子写真プロセスでは、レーザー光の波長が揃っているので、感光体の表面で反射されたレーザー光と感光体の内部で反射されたレーザー光とが干渉を起こし、この干渉による干渉縞が画像に現れて画像欠陥を生じることがある。そこで、導電性支持体の表面に乱反射処理を施すことにより、波長の揃ったレーザー光の干渉による画像欠陥を防止することができる。
本発明は、上記の導電性支持体表面に塗布、形成される前記の下引き層が、バインダー樹脂と、無水二酸化ケイ素で表面処理を施した金属酸化物粒子を含有していることを特徴とする。
すなわち、下引き層により単層型感光層または積層型感光層の帯電性の低下が抑制され、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷の減少が抑えられ、かぶりなどの画像欠陥の発生が防止される。
特に、反転現像プロセスによる画像形成の際に、白地部分にトナーからなる微小な黒点が形成される黒ポチと呼ばれる画像かぶりが発生するのが防止される。
特に、この優れた下引き層が形成された電子写真感光体において、電荷発生物質として、長波長に対して光感度である有機材料、例えばフタロシアニン顔料を用いて電子写真感光体を製造し、この電子写真感光体を、反転現像方法を利用する画像形成装置に搭載することにより、微小領域での表面電荷の減少や消失による反転現像特有の白地に微小な黒点(黒ポチ)のない優れた画像特性を発揮することができる。
一方、下引き層の膜厚を厚くすると感度低下を招き、環境特性が悪化するという問題があり、画像欠陥の低減と電気的特性の安定性向上を両立させるための実用的な膜厚が制限されることとなっていた。
本発明の電子写真感光体は、微視的な感光体特性、特に感度や残留電位の変動を抑制することができ、画像欠陥や画像カブリの発生を防止することができる。
また、本発明は、上記の無水二酸化ケイ素で表面処理を施した金属酸化物粒子、特に酸化チタン微粒子の平均一次粒子径が20nm〜100nmであることを特徴とする。
したがって、下引き層に含まれる酸化チタンの平均一次粒子径は、20nm〜100nmの範囲内がより好ましい。
なお、酸化チタンの平均一次粒子径または無水二酸化ケイ素で表面処理を施した酸化チタンの平均一次粒子径は、SEM(S−4100;株式会社日立ハイテクノロジーズ製)写真の測定に基づき、50個以上の粒子の粒径を計測し、平均して求めた値である。
また、さらに増粘した下引き層用塗液を、導電性支持体に塗布することは非常に困難で、生産性に劣る。
また、平均一次粒子径が100nm以上であると、下引き層形成時に微小領域の帯電性が低下し黒点が発生し易くなるため好ましくない。
酸化チタンの量が、10重量%より低い含有率であれば、感度が低下し、下引き層中に電荷が蓄積され残留電位が増大する。このような現象は、特に低温低湿下での繰り返し特性において顕著になる。
粉体の体積抵抗値が105Ωcmより小さくなると、下引き層としての抵抗値が低下し、下引き層が、電荷ブロッキング層として機能しなくなる。
表面未処理の酸化チタン微粒子を用いると、使用する酸化チタンの粒子が微粒子であるために十分に分散された下引き層用塗布液であっても、長期間の使用や塗布液の保管時に酸化チタン微粒子が凝集し易くなり、この凝集物の発生を避けることができない。
そのため、上記の長期保管した表面未処理の酸化チタン微粒子を含む下引き層用塗布液を用いて下引き層を形成した場合には、塗布膜の欠陥や塗布ムラを発生し画像欠陥が生じる。
また、塗布膜の欠陥や塗布ムラに基づき、導電性支持体からの電荷の注入が起こり易くなるために、微小領域の帯電性が低下し黒点が発生することになる。
さらに、このような黒点は高温高湿環境下で長期間使用すると顕著となり、画像品質が著しく低下する。
酸化チタン微粒子を無水二酸化ケイ素で被覆させることにより長時間分散処理を行っても酸化チタンの凝集を防止し、安定した塗液が得られるとともに、非常に均一な下引き層塗布膜を形成できる電子写真感光体が得られる。
0.1重量%より少ない無水二酸化ケイ素の使用量であれば、無水二酸化ケイ素で酸化チタンの表面を十分に被覆することができないために、表面処理の効果が発現しにくくなる。
無水二酸化ケイ素で表面処理を施した酸化チタン微粒子の粒子径は20〜100nmであることがより好ましい。
また、繰り返し使用時に、画像カブリが特に顕著に発生することから、アルコキシシラン化合物などのシランカップリング剤、ハロゲン、窒素、硫黄のような原子がケイ素と結合したシリル化剤、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤などの有機化合物で表面処理を施すことは好ましくない。
下引き層の膜厚が0.01μmより薄ければ実質的に下引き層として機能しなくなり、導電性支持体の欠陥を被覆して均一な表面性が得られず、導電性支持体からのキャリアの注入を防止することができなくなり、帯電性の低下が生じる。
また、下引き層の膜厚を10μmよりも厚くすることは、下引き層を浸漬塗布する場合、感光体を製造する上で難しくなり、また感光体の感度が低下するために好ましくない。
下引き層に含有されるバインダー樹脂としては、樹脂単一層で下引き層を形成する場合と同様の材料が用いられる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、メラミン樹脂、シリコン樹脂、ブチラール樹脂、ポリアミド樹脂等の樹脂材料やこれらの繰り返し単位のうち二つ以上を含む共重合体樹脂、更には、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール、エチルセルロース等が知られている。これらの中でもアルコール可溶性のポリアミド樹脂、ブチラール樹脂、酢酸ビニル樹脂が好ましく、さらにポリアミド樹脂が好ましい。
上記のアルコール可溶性ナイロン樹脂としては、例えば、6−ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン、11−ナイロン、12−ナイロン等を共重合させた、いわゆる共重合ナイロンや、N−アルコキシメチル変性ナイロン、N−アルコキシエチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させたタイプが好ましい。
分散メディアの材質がガラスを使用した場合には、分散液の粘度が上昇し保存安定性が悪くなることから、好ましくない。
下引き層用塗布液の塗布方法は、シートの場合にはベーカーアプリケーター法、バーコーター法(例えば、ワイヤーバーコーター法)、キャスティング法、スピンコート法、ロール法、ブレード法、ビード法、カーテン法など、ドラムの場合にはスプレー法、垂直リング法、浸漬塗工法などが挙げられる。
塗布方法は、塗布液の物性や生産性などを考慮して最適な方法を選択すればよく、浸漬塗布法、ブレードコーター法およびスプレー法が特に好ましい。
下引き層の上に形成される感光層の構造としては、電荷発生層5と電荷輸送層6との二層から成る機能分離型(積層型)感光層、および、これらが分離されずに単一層で形成される単層型感光層があるが、いずれを用いても良い。
図2は、本発明の積層型感光体(a)および単層型感光体(b)の要部の構成を示す模式断面図である。
図2(b)は、感光層4が、一層からなる単層型感光層であり、下引き層3上に積層された単層型感光体の要部の構成を示す模式断面図である。
図2(a)の積層型感光層は、電荷発生層5と電荷輸送層6とが逆順であってもよいが、図2(a)の順に形成された積層型感光層のほうが好ましい。
図2(b)の単層型感光体1bは、導電性支持体2の表面に、下引き層3と、電荷発生物質8と電荷輸送物質19とバインダー樹脂9とを含有する単層型感光層4がこの順で形成されている。
積層型感光体1aの感光層4は、電荷発生層5と電荷輸送層6とからなる。このように電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の層に担わせることにより、各層を構成する最適な材料を独立して選択することができる。
以下の説明では、電荷発生層と電荷輸送層とがこの順で積層された積層型感光体(図2(a))について説明するが、逆二層型の積層型感光体の場合には積層順が異なるだけで基本的に同様である。
機能分離型感光層の場合、下引き層の上に電荷発生層が形成される。電荷発生層に含有される電荷発生物質としては、クロロダイアンブルー等のビスアゾ系化合物、ジブロモアンサンスロン等の多環キノン系化合物、ペリレン系化合物、キナクリドン系化合物、フタロシアニン系化合物、アズレニウム塩系化合物等が知られているが、レーザー光やLEDなどの光源を用いて反転現像プロセスにより画像形成を行う電子写真感光体では、620nm〜800nmの長波長の範囲に感度を有することが要求される。
上記のチタニルフタロシアニンの基本構造は下記一般式:
チタニルフタロシアニンを水の存在下で水に非親和性の有機溶媒で処理する方法としては、チタニルフタロシアニンを水で膨潤させ、有機溶媒で処理する方法、或いは膨潤処理を行わずに、水を有機溶媒中に添加し、その中にチタニルフタロシアニン粉末を投入する方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
この処理で用いられる装置としては、一般的な撹拌装置の他に、ホモミキサー、ペイントミキサー、デイスパーサー、アジター、或いはボールミル、サイドミル、アトライター、超音波分散装置等を用いることもできる。処理後、濾過し、メタノール、エタノール、水等を用いて洗浄し単離される。
持体を浸漬した後、一定速度又は、逐次変化する速度で引き上げることにより感光層を形成する方法であり、比較的簡単で、生産性及びコストの点で優れているために、電子写真感光体を製造する場合に多く利用されている。
一方、下引き層の膜厚を薄くすると感度低下を招くため、画像欠陥の低減と電気的特性および生産安定性向上を両立させるための実用的な膜厚が制限されることとなっていた。
また、上記の膜厚より電荷発生層の膜厚が厚くなれば一定の感度を示すが、コスト的に好ましくないばかりか、均一に塗布することが困難となり好ましくない。
電荷発生層の上に設けられる電荷輸送層の作製方法としては、結着性樹脂溶液中に電荷輸送物質を溶解させた電荷輸送用塗布液を作製し、これを塗布して成膜する方法が一般的である。
単層型感光層は、電荷発生物質と、電荷輸送物質と、バインダー樹脂(結合剤)とを主成分として含有する。
単層型感光層は、本発明の効果を阻害しない範囲内で必要に応じて、電荷発生層に含まれるものと同様の添加剤を適量含有していてもよい。
その他の工程およびその条件は、電荷発生層および電荷輸送層の形成に準ずる。
単層型感光層の膜厚が5μm未満であると、感光体表面の帯電保持能が低下するおそれがあり、単層型感光層の膜厚が50μmを超えると、生産性が低下するおそれがある。
本発明の感光体は、積層型感光体1aの感光層4および単層型感光体1bの感光層4の表面に保護層(図示せず)を有していてもよい。
保護層は、感光層の摩耗性の改善やオゾン、窒素酸化物などによる化学的悪影響の防止の機能を有する。
表面保護層には、熱可塑性樹脂や、光または熱硬化性樹脂を用いることができる。また、表面保護層中に、紫外線防止剤や酸化防止剤、金属酸化物等の無機材料、有機金属化合物および電子受容性物質等を含有させることもできる。
その他の工程およびその条件は、電荷発生層の形成に準ずる。
本発明の画像形成装置20は、本発明の感光体21と、前記感光体を帯電させる帯電手段と、帯電された前記感光体を露光して静電潜像を形成する露光手段と、露光によって形成された前記静電潜像を現像してトナー像を形成する現像手段と、現像によって形成された前記トナー像を記録媒体上に転写する転写手段と、転写された前記トナー像を前記記録材上に定着して画像を形成する定着手段を少なくとも備えたことを特徴とする。
図3は、本発明の画像形成装置の構成を示す模式側面図である。
図3の画像形成装置20は、本発明の感光体21(例えば、図2(a)および(b)の感光体1aおよび1b)と、帯電手段(帯電器)24と、露光手段28と、現像手段(現像器)25と、転写手段(転写器)26と、クリーニング手段(クリーナ)27と、定着手段(定着器)31と、除電手段(図示せず、クリーニング手段27に併設される)を含んで構成される。符号30は転写紙を示す。
また、画像形成装置は、機種によって感光体21に残留するトナーを除去し回収するクリーナ26のようなクリーニング手段と、感光体21に残留する表面電荷を除電する除電手段を装備していないものであっても良い。
無水二酸化ケイ素被膜酸化チタン微粒子1の製造
50L反応器に脱イオン水18.25L、エタノール(純正化学株式会社製)22.8Lおよび、25質量%アンモニア水124mL(大盛化工社製)を混合し、その中に原料の酸化チタン粒子(昭和タイタニウム株式会社製高純度酸化チタンF−10;一次粒子径150nm)1.74Kgを分散させ、懸濁液Aを調整した。
撹拌している懸濁液Aに溶液Bを9時間かけて一定速度で加えた後、12時間45℃で熟成し、同温度で成膜させた。
その後、固形分を遠心濾過にて分離し、50℃で12時間真空乾燥し、さらに80℃で12時間温風乾燥した。
次いでジェットミルにより解砕することにより、無水二酸化ケイ素被膜酸化チタン微粒子1を得た。
得られた無水二酸化ケイ素被膜酸化チタン微粒子1の粒子径を、SEM写真により測定したところ、粒子径が160nm〜170nmであることが判った
無水二酸化ケイ素被膜酸化チタン微粒子2の製造
上記の製造例1において、原料の酸化チタン粒子(昭和タイタニウム株式会社製高純度酸化チタンF−10;一次粒子径150nm)を、酸化チタン粒子(昭和タイタニウム株式会社製高純度酸化チタンF−6;一次粒子径15nm)に変えた以外は、上記の製造例1と同様にして無水二酸化ケイ素被膜酸化チタン微粒子2を得た。
得られた無水二酸化ケイ素被膜酸化チタン微粒子1の粒子径を、SEM写真により測定したところ、粒子径が16nm〜17nmであることが判った
チタニルフタロシアニンの製造
o−フタロジニトリル40gと四塩化チタン18g、α−クロロナフタレン500mlを、窒素雰囲気下200℃〜250℃で3時間加熱撹拌して反応させ、100〜130℃まで放冷後、熱時濾過し、100℃に過熱したα-クロロナフタレン200mlで洗浄してジクロロチタニウムフタロシアニン粗生成物を得る。この粗生成物を室温にてα−クロロナフタレン200ml、次いで、メタノール200mlで洗浄後、さらにメタノール500ml中で1時間熱時懸濁洗浄を行う。濾過後得られた粗生成物を濃硫酸100ml中で撹拌して溶解させ、不溶物を濾取する。その硫酸溶液を水3000ml中に注ぎ、析出した結晶を濾取し、水500ml中でpHが6〜7になるまで、温水で熱時懸濁洗浄を繰り返した後、また、濾取し、ウェットケーキをジクロロメタンで処理し、メタノールで洗浄した後、乾燥して、図4に示すX線回折スペクトルを示し以下の式(I):
X線源 CuKα=1.54050Å
電圧 30kV
電流 50mA
スタート角度 5.0deg
ストップ角度 35.0deg
ステップ角度 0.01deg
測定時間 1deg/分
測定方法 θ/2θスキャン方法
で測定した。
チタニルフタロシアニンの製造
製造例3と同様の方法でジクロロチタニウムフタロシアニン粗生成物を得た後、この粗生成物を室温にてα−クロロナフタレン200ml、次いで、メタノール200mlで洗浄後、さらにメタノール500ml中で1時間熱時懸濁洗浄を行う。濾過後得られた粗生成物を水500ml中でpHが6〜7になるまで、熱時懸濁洗浄を繰り返した後、乾燥して、上記式(I)で示される構造を有し、図5に示すX線回折スペクトルを有する結晶型チタニルフタロシアニン結晶(30g)を得た。
実施例1
図2(b)は、本発明の単層型の電子写真感光体の一実施例を示す概略断面図である。図2(b)に示されるように、導電性支持体2の上に下引き層3が形成され、その上に電荷発生物質8と電荷輸送物質19を含有している感光層4が形成されている。
[下引き層用塗布液]
下記の成分:
マックスライト(登録商標)TS−04(昭和電工社製:無水二酸化ケイ素処理酸化チ タン:酸化チタン67重量%、無水二酸化ケイ素33重量%、酸化チタン粒子 径30nm、無水二酸化ケイ素処理酸化チタン粒子径38nm) 0.1重量部
ポリアミド樹脂(東レ社製:CM8000) 0.9重量部
メタノール 50重量部
1,3−ジオキソラン 50重量部
と分散メディアとして直径1mmのジルコニア製ビーズを容積500mlのポリプロピレン製容器の半分の容積量まで投入の後、ペイントシェーカーで20時間分散し、下引き層用塗布液100gを作製した。
次に、下引き層上に下記の成分:
τ型無金属フタロシアニン
Liophoton TPA-891(東洋インキ製造社製) 17.1重量部
ポリカーボネート樹脂Z−400(三菱瓦斯化学社製) 17.1重量部
下記式(II)のヒドラゾン系化合物 17.1重量部
下記式(III)のジフェノキノン化合物 17.1重量部
テトラヒドロフラン 100重量部
実施例1で使用したマックスライト(登録商標)TS−04(昭和電工社製)に変えて、マックスライト(登録商標)ZS−032(昭和電工社製:無水二酸化ケイ素処理酸化亜鉛:酸化亜鉛80重量%、無水二酸化ケイ素20重量%、酸化亜鉛粒子径25nm、無水二酸化ケイ素処理酸化亜鉛粒子径31nm)を使用した以外は、実施例1と同様にして単層型の電子写真感光体1bを作製した。
図2(a)は、本発明の機能分離型の電子写真感光体の一実施例を示す概略断面図である。図2(a)に示されるように、導電性支持体2の上に下引き層3が形成され、その上に電荷発生層5及び電荷輸送層6とから成る感光層4が積層された構造になっており、電荷発生層5には電荷発生物質8が、電荷輸送層6には電荷輸送物質18がそれぞれ含まれている。
下記の成分:
マックスライト(登録商標)TS−04(昭和電工社製) 0.95重量部
ポリアミド樹脂(東レ社製:CM8000) 0.05重量部
メタノール 35重量部
1,3−ジオキソラン 65重量部
を、容積500mlのポリプロピレン製容器に分散メディアとして直径1mmのジルコニア製ビーズとともに半分の容積量まで投入の後、ペイントシェーカーで20時間分散し、下引き層用塗布液100gを作製した。
τ型無金属フタロシアニン
Liophoton TPA-891(東洋インキ製造社製) 2重量部
塩化ビニル―酢酸ビニル―マレイン酸共重合体樹脂
SOLBIN M(日信化学工業社製) 2重量部
メチルエチルケトン 100重量部
をボールミルで12時間分散し、電荷発生層用塗布液50gを作製した後、その塗布液をベーカーアプリケーターによって塗布し、120℃で10分間の熱風乾燥を行ない、乾燥膜厚0.8μmの電荷発生層5を設けた。
さらにその電荷発生層5上に、下記成分:
前記式(II)のヒドラゾン系化合物 8重量部
ポリカーボネート樹脂 K1300(帝人化成社製) 10重量部
シリコンオイル KF50(信越化学社製) 0.002重量部
ジクロロメタン 120重量部
を混合・撹拌・溶解させて電荷輸送層用塗布液100gを作製した。その塗布液をベーカーアプリケーターによって塗布し、80℃で1時間の熱風乾燥を行ない、乾燥膜厚20μmの電荷輸送層6を設け、機能分離型電子写真感光体1aを作製した。
実施例3で使用した下引き層用塗布液において、マックスライト(登録商標)TS−04(昭和電工社製)0.95重量部をマックスライト(登録商標)TS−043(昭和電工社製:無水二酸化ケイ素処理酸化チタン:酸化チタン90重量%、無水二酸化ケイ素10重量%、酸化チタン粒子径30nm、無水二酸化ケイ素処理酸化チタン粒子径32nm)2重量部に変えた以外は、実施例3と同様にして下引き層を作製した後、実施例3と同様にして感光層を作製し、機能分離型電子写真感光体1aを作製した。
実施例3で使用した下引き層用塗布液において、ポリアミド樹脂(東レ社製:CM8000)0.05重量部を、ポリアミド樹脂(ダイセル・デグサ社製:X1010)0.1重量部に変えた以外は、実施例3と同様にして下引き層を作製した後、実施例3と同様にして感光層を作製し、機能分離型電子写真感光体1aを作製した。
実施例1で使用した下引き層用塗布液を以下の成分:
酸化亜鉛(アルミナ、有機ポリシロキサン処理:堺化学社製:FINEX−30
WLP2) 0.1重量部
ポリアミド樹脂(東レ社製:CM8000) 0.9重量部
メタノール 50重量部
1,3−ジオキソラン 50重量部
に変えた以外は、実施例1と同様にして下引き層を作製した後、実施例1と同様にして感光層を作製し、単層型電子写真感光体1bを作製した。
実施例3で使用した下引き層用塗布液におけるマックスライト(登録商標)TS−04(昭和電工社製)0.95重量部を、酸化チタン(表面未処理:石原産業社製:TTO−55N)2重量部に変えた以外は、実施例3と同様にして下引き層を作製した後、実施例3と同様にして感光層を作製し、機能分離型電子写真感光体1aを作製した。
実施例3で使用した下引き層用塗布液におけるマックスライト(登録商標)TS−04(昭和電工社製)0.95重量部を、二酸化ケイ素(表面未処理:電気化学社製:UFP−80)2重量部に変えた以外は、実施例3と同様にして下引き層を作製した後、実施例3と同様にして感光層を作製し、機能分離型電子写真感光体1aを作製した。
実施例3で使用した下引き層用塗布液におけるマックスライト(登録商標)TS−04(昭和電工社製)0.95重量部およびポリアミド樹脂(東レ社製:CM8000)0.05重量部を、マックスライト(登録商標)TS−04(昭和電工社製)0.89重量部およびポリアミド樹脂(東レ社製:CM8000)0.11重量部に変えた以外は、実施例3と同様にして下引き層を作製した後、実施例3と同様にして感光層を作製し、機能分離型電子写真感光体1aを作製した。
実施例1〜6、比較例1〜3で作製した感光体を、それぞれ装着したデジタル複写機で印刷し、初期白ベタ画像を以下の評価基準に従って評価した。
VG(very good):黒い斑点状欠陥無し
G(good):やや黒い斑点状欠陥がわずかに存在
B(bad):黒い斑点状欠陥多く存在
VB(very bad):画像カブリ発生
得られた上記の評価結果を以下の表に示す。
また、得られた下引き層用塗布液の分散安定性を評価するため、1ヶ月間静置して凝集物の発生の有無を調べた。
G(good):凝集物無し
NB(not bad):やや凝集物発生しているが通常の使用可
B(bad):凝集物沈降使用不可
得られた上記の評価結果を以下の表に示す。
また、下引き層用塗布液の分散安定性を比較すると、実施例1〜6、比較例1は、1ヵ月後、凝集物の発生は認められなかった。比較例2〜3は、下引き層用塗布液の分散安定性が著しく悪く、凝集物が沈降していた。
下記の成分:
マックスライト(登録商標)TS−043(昭和電工社製:無水二酸化ケイ素処理酸化 チタン:酸化チタン90重量%、無水二酸化ケイ素10重量%、酸化チタン粒子 径30nm、無水二酸化ケイ素処理酸化チタン粒子径32nm) 1重量部
ポリアミド樹脂(ダイセル・デグサ社製:X1010) 9重量部
エタノール 50重量部
テトラヒドロフラン 50重量部
を容積16,500mlの横型ビーズミルに分散メディアとして直径0.5mmの窒化ケイ素製ビーズを80%の容積量まで投入の後、下記の成分を撹拌タンクにためてダイヤフラムポンプを介して分散機へ送液することで15時間循環分散し、下引き層用塗布液3,000gを作製した。
製造例4において得られたチタニルフタロシアニン 2重量部
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学社製:エスレックBM-S) 2重量部
メチルエチルケトン 100重量部
を混合したものをボールミルで12時間分散し、電荷発生層用塗布液2,000gを作製した。次いで、この塗布液を上記下引き層と同様の方法で前記下引き層上に塗布して120℃で10分間の熱風乾燥を行ない、乾燥膜厚0.8μmの電荷発生層5を設けた。
下記式(IV)で表されるエナミン化合物 10重量部
ポリカーボネート樹脂(三菱エンジニアリングプラスチック社製:Z200)
10重量部
シリコンオイル KF50(信越化学社製) 0.02重量部
テトラヒドロフラン 120重量部
を混合、溶解して、電荷輸送層用塗布液3,000gを作製した後、その塗布液を上記下引き層と同様の方法で前記電荷発生層上に塗布し、110℃にて1時間乾燥し、膜厚23μmの電荷輸送層を形成し、機能分離型電子写真感光体サンプルを作製した。
実施例7で使用した下引き層用塗布液を以下の成分:
酸化チタン(Al2O3、SiO2・nH2O処理:テイカ社製:MT−500SA:
酸化チタン90重量%、Al(OH)3 5重量%、SiO2・nH2O 5重量
%) 4重量部
マックスライト(登録商標)TS−043(昭和電工社製) 4重量部
ポリアミド樹脂(ダイセル・デグサ社製:X1010) 2重量部
エタノール 50重量部
テトラヒドロフラン 50重量部
に変えた以外は、実施例7と同様にして下引き層用塗布液3,000gを作製した。
次いで、実施例7と同様にして電荷発生層、電荷輸送層を順次形成して機能分離型電子写真感光体サンプルを作製した。
実施例7で使用した下引き層用塗布液におけるマックスライト(登録商標)TS−043(昭和電工社製)1重量部を、アルミナ処理酸化チタン(TTO−55A:石原産業社製:酸化チタン95重量%、Al(OH)3 5重量%)8重量部に変えた以外は、実施例7と同様にして下引き層用塗布液3,000gを作製した。
この下引き層用塗布液にて実施例7と同様に下引き層を形成した後、電荷発生層、電荷輸送層を順次形成して、機能分離型電子写真感光体サンプルを作製した。
なお、V0とはレーザー光による露光を施さなかった場合の帯電器による帯電動作直後の感光体の表面電位を示し、VLとはレーザー光によって露光を施した直後の感光体の表面電位をいう。
また、耐久性試験として初期および10,000枚の実写Aging終了後における画像特性を行った。これらの結果を以下の表に示す。
実施例9
単層型電子写真感光体の製造
図2(b)は、本発明の単層型の電子写真感光体の一実施例を示す概略断面図である。図2(b)に示されるように、導電性支持体2の上に下引き層3が形成され、その上に電荷発生物質8と電荷輸送物質19を含有している感光層4が形成されている。
下記の成分:
マックスライト(登録商標)ZS−032(昭和電工社製) 2重量部
ポリアミド樹脂(東レ社製:CM8000) 0.05重量部
メタノール 50重量部
1,3−ジオキソラン 50重量部
を、容積500mlのポリプロピレン製容器に、分散メディアとして直径1mmのジルコニア製ビーズと共に、半分の容積量まで投入の後、ペイントシェーカーで20時間分散し、下引き層用塗布液100gを作製した。
下記の成分:
製造例3で得られたチタニルフタロシアニン 2重量部
Liophoton TPA−891(東洋インキ製造社製) 17.1重量部
ポリカーボネート樹脂Z−400(三菱瓦斯化学社製) 17.1重量部
前記式(II)のヒドラゾン系化合物 17.1重量部
前記式(III)のジフェノキノン化合物 17.1重量部
テトラヒドロフラン 100重量部
を、ボールミルで12時間分散し、感光層用塗布液50gを作製した後、その塗布液をベーカーアプリケーターによって上記の下引き層3上に塗布し、100℃で1時間熱風乾燥を行ない、乾燥膜厚20μmの感光層4を設け、単層型電子写真感光体1bを作製した。
積層型電子写真感光体の製造
図2(a)は、本発明の機能分離型の電子写真感光体の一実施例を示す概略断面図である。
図2(a)に示されるように、導電性支持体2の上に下引き層3が形成され、その上に電荷発生層5及び電荷輸送層6とから成る感光層4が積層された構造になっており、電荷発生層5には電荷発生物質8が、電荷輸送層6には電荷輸送物質18がそれぞれ含まれている。
下記の成分:
マックスライト(登録商標)TS−04(昭和電工社製) 2重量部
ポリアミド樹脂(東レ社製:CM8000) 0.05重量部
メタノール 35重量部
1,3−ジオキソラン 65重量部
を、容積500mlのポリプロピレン製容器に、分散メディアとして直径1mmのジルコニア製ビーズと共に、半分の容積量まで投入の後、ペイントシェーカーで20時間分散し、下引き層用塗布液100gを作製した。
次に、下記の成分:
製造例3で得られたチタニルフタロシアニン 2重量部
ポリビニルブチラール樹脂(積水化学社製:エスレックBM−S) 2重量部
メチルエチルケトン 100重量部
を、ボールミルで12時間分散し、電荷発生層用塗布液50gを作製した。得られた塗布液を、ベーカーアプリケーターによって上記の下引き層3上に塗布し、120℃で10分間熱風乾燥を行ない、乾燥膜厚0.8μmの電荷発生層5を設けた。
さらに、下記の成分:
前記式(IV)で表されるエナミン化合物 10重量部
ポリカーボネート樹脂Z200(三菱エンジニアリングプラスチック社製)
10重量部
シリコンオイル KF50(信越化学社製) 0.02重量部
テトラヒドロフラン 120重量部
を、撹拌混合して溶解させて電荷輸送層用塗布液100gを作製した。
この塗布液をベーカーアプリケーターによって、上記で得られた電荷発生層5上に塗布し、80℃で1時間熱風乾燥を行ない、乾燥膜厚20μmの電荷輸送層6を設けて感光層4を形成し、機能分離型電子写真感光体1aを作製した。
実施例10で使用した下引き層用塗布液用いたマックスライト(登録商標)TS−04(昭和電工社製)を、製造例1で得られた無水二酸化ケイ素被膜酸化チタン微粒子1に変えた以外は実施例10と同様にして、下引き層3を作製した後、感光層4を形成し、機能分離型電子写真感光体1aを作製した。
実施例10で使用した下引き層用塗布液で用いたマックスライト(登録商標)TS−04(昭和電工社製)を、上記の製造例2で得られた無水二酸化ケイ素被膜酸化チタン微粒子2に変えた以外は、実施例10と同様にして下引き層3を作製した後、感光層4を形成し、機能分離型電子写真感光体1aを作製した。
実施例10で使用した下引き層用塗布液で用いたマックスライト(登録商標)TS−04(昭和電工社製:)を、マックスライト(登録商標)TS−01(昭和電工社製:無水二酸化ケイ素処理酸化チタン:酸化チタン67重量%、無水二酸化ケイ素33重量%、酸化チタン粒子径90nm、無水二酸化ケイ素処理酸化チタン粒子径110nm)に変えた以外は、実施例10と同様にして下引き層を作製し、感光層を形成し、機能分離型電子写真感光体1aを作製した。
実施例10で作製した電荷発生層の乾燥膜厚を0.04μmに変えた以外は、実施例10と同様にして感光層4を作製し、機能分離型電子写真感光体1aを作製した。
実施例10で作製した電荷発生層の乾燥膜厚を6μmに変えた以外は、実施例10と同様にして感光層4を作製し、機能分離型電子写真感光体1aを作製した。
実施例9で使用した感光層用塗布液で用いた製造例3で得られたチタニルフタロシアニンを、τ型無金属フタロシアニンLiophoton TPA-891(東洋インキ製造社製)に変えた以外は、実施例9と同様にして、感光層4を作製し、単層型電子写真感光体1bを作製した。
実施例17
実施例10で使用した感光層用塗布液で用いた製造例3で得られたチタニルフタロシアニンを、製造例4で得られたX線回折スペクトルのブラック角(2θ±0.2°)が27.3°に最大回折ピークを有する結晶型チタニルフタロシアニンに変えた以外は、実施例10と同様にして、感光層を作製し、機能分離型電子写真感光体1aを作製した。
実施例10で使用した下引き層用塗布液におけるマックスライト(登録商標)TS−04(昭和電工社製)を、酸化亜鉛(アルミナ、有機ポリシロキサン処理:堺化学社製:FINEX−30WLP2)に変え、かつ感光層用塗布液における製造例3で得られたチタニルフタロシアニンを、τ型無金属フタロシアニンLiophoton TPA-891(東洋インキ製造社製)に変えた以外は、実施例10と同様にして、下引き層3と感光層4とを作製し、機能分離型電子写真感光体1aを作製した。
実施例10で使用した下引き層用塗布液におけるマックスライト(登録商標)TS−04(昭和電工社製)を、酸化チタン(表面未処理:石原産業社製:TTO−55N)に変え、感光層用塗布液における製造例3で得られたチタニルフタロシアニンを、τ型無金属フタロシアニンLiophoton TPA-891(東洋インキ製造社製)に変えた以外は、実施例10と同様にして、下引き層3と感光層4とを作製し、機能分離型電子写真感光体1aを作製した。
実施例10で使用した下引き層用塗布液におけるマックスライト(登録商標)TS−04(昭和電工社製)を、アルミナ処理酸化チタン(TTO−55A:石原産業社製)に変え、感光層用塗布液における製造例3で得られたチタニルフタロシアニンを、τ型無金属フタロシアニンLiophoton TPA-891(東洋インキ製造社製)に変えた以外は、実施例10と同様にして、下引き層3と感光層4を作製し、機能分離型電子写真感光体1aを作製した。
実施例10で使用した下引き層用塗布液におけるマックスライト(登録商標)TS−04(昭和電工社製)を、表面未処理酸化チタン(TTO−55N:石原産業社製)に変えた以外は、実施例10と同様にして、下引き層3と感光層4を作製し、機能分離型電子写真感光体1aを作製した。
実施例10で使用した下引き層用塗布液におけるマックスライト(登録商標)TS−04(昭和電工社製)を、アルミナ処理酸化チタン(TTO−55A:石原産業社製)に変えた以外は、実施例10と同様にして、下引き層3と感光層4を作製し、機能分離型電子写真感光体1aを作製した。
デジタル複写機(シャープ社製:AR−451)改造機のアルミニウムドラムに巻き付けて装着し、反転現像方式で白ベタの画像をそれぞれ印刷した白ベタ画像の評価を以下の評価方法に従って評価した。
NB(not bad):やや黒い斑点状欠陥存在
B(bad):黒い斑点状欠陥多く存在
VB(very bad):画像カブリ発生
実施例9〜17、比較例5〜9で作製した感光体を、それぞれ装着したデジタル複写機で印刷し、常温/常湿(25℃/50%)、低温/低湿下(5℃/10%)、高温/高湿下(35℃/85%)下、初期白ベタ画像を以下の評価基準に従って評価した。GridバイアスとDVバイアスの差は一定のまま、Gridバイアスの値を650、750、850に設定して、初期白ベタ画像を評価した。
得られた上記の評価結果を以下の表に示す。
一方、比較例5〜9で得られた感光体を装着したデジタル複合機による印刷物には、画像上かぶりや多数の黒い斑点状の欠陥が発生した。特に、高温高湿環境下では著しく画像かぶりが発生し、通常の使用には適さないことが判った。
実施例9〜17、比較例5〜9で作製した感光体を、デジタル複写機(シャープ社製:AR−451)に搭載し、初期電気特性の感度特性と環境安定性を評価するため、常温/常湿(25℃/50%)下での帯電電位VOとレーザー露光後の表面電位VL、及び低温/低湿下(5℃/10%)における露光後電位VL、高温/高湿下(35℃/85%)における露光後電位VLを測定した。これらの結果を以下の表に示す。
なお、V0とは、レーザー光による露光を施さなかった場合の帯電器による帯電動作直後の感光体の表面電位を示し、VLとは、レーザー光によって露光を施した直後の感光体の表面電位をいう。
但し、電荷発生層の膜厚を薄くした実施例14、または、電荷発生物質が製造例3で得られたチタニルフタロシアニン、すなわち、少なくともX線回折スペクトルにおいてブラック角(2θ±0.2°)7.3°、9.4°、9.7°、27.3°に回折ピークを示し、9.4°および9.7の回折ピークはいずれも27.3°の回折ピークより大きく、明確な分岐ピークを有し、かつ9.4°に最大回折ピークを有する結晶型チタニルフタロシアニンでない実施例16および17では、高い電位を示したが実使用上問題ないレベルであった。
一方、比較例5〜9で得られた感光体は、総じてVLが高く、特にLL環境への変化による感度悪化が著しく、通常の使用には適さないことが判った。
実施例9〜17、比較例5〜9で作製した感光体を、デジタル複写機(シャープ社製:AR−451)に搭載し、各特性の耐久性を評価するため、50,00(50K)枚及び、100,000(100K)枚の実写Aging終了時における感度特性、画像特性を以下の評価基準:
G(good):黒い斑点状欠陥無し
NB(not bad):黒い斑点状欠陥存在するが使用できる
B(bad):黒い斑点状欠陥多く存在
VB(very bad):画像カブリ発生
に従って評価した。これらの結果を以下の表に示す。
一方、比較例5〜9で得られた感光体を装着したデジタル複合機による印刷物には、初期から画像上かぶりや多数の黒い斑点状の欠陥が発生し、実際には使用できない程度であった。
実施例9〜17、比較例5〜9で作製した感光体を、デジタル複写機(シャープ社製:AR−451)に搭載し、初期電気特性、5,000(50K)枚印刷後および100,000(100K)印刷後の感度特性を測定した。これらの結果を以下の表に示す。
但し、電荷発生層の膜厚を薄くした実施例14、または、電荷発生物質が製造例3で得られたチタニルフタロシアニン、すなわち、少なくともX線回折スペクトルにおいてブラック角(2θ±0.2°)7.3°、9.4°、9.7°、27.3°に回折ピークを示し、9.4°および9.7の回折ピークはいずれも27.3°の回折ピークより大きく、明確な分岐ピークを有し、かつ9.4°に最大回折ピークを有する結晶型チタニルフタロシアニンでない実施例16および17では、感度特性において高い電位を示したが、実際の使用には差し支えない程度であった。
一方、比較例5〜9で得られた感光体は、初期からVLが総じて高く、100K達成時には著しく感度悪化しており、感度特性の耐久性に劣り、実際には使用に適さないことが判った。
1b 単層型感光体
2 導電性支持体
3 下引き層
4 感光層
5 電荷発生層
7、9 バインダー樹脂
8 電荷発生物質
10 回転軸
11、16 モータ
12 塗液
14 撹拌槽
15 撹拌装置
17a、b 循環経路
18、19 電荷輸送物質
20 画像形成装置
22 回転軸線
23 回転駆動方向
24 帯電器
24a 帯電ローラ
24b バイアス電源
25 現像器
25a 現像ローラ
25b ケーシング
26 転写器
27a クリーニングブレード
27b 回収用ケーシング
28 露光手段
28a レーザー光(光)
30 転写紙
31 定着器
31a 加熱ローラー
31b 加圧ローラー
Claims (10)
- 導電性支持体上に、下引き層、感光層を順次形成してなる電子写真感光体を製造するための下引き層用塗布液が、少なくともバインダー樹脂と、無水二酸化ケイ素で表面処理を施した金属酸化物粒子とを含有することを特徴とする電子写真感光体。
- 前記感光層が、フタロシアニンを電荷発生物質として含む請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記感光層が、τ型無金属フタロシアニン、X線回折スペクトルにおいてブラック角(2θ±0.2°)27.3°に最大回折ピークを有する結晶型チタニルフタロシアニンおよび少なくともX線回折スペクトルにおいてブラック角(2θ±0.2°)7.3°、9.4°、9.7°、27.3°に回折ピークを示し、9.4°および9.7の回折ピークはいずれも27.3°の回折ピークより大きく、明確な分岐ピークを有し、かつ9.4°に最大回折ピークを有する結晶型チタニルフタロシアニンから選択されるフタロシアニンを電荷発生物質として含む請求項1または2に記載の電子写真感光体。
- 前記金属酸化物粒子が、酸化チタン微粒子である請求項1〜3のいずれか一つに記載の電子写真感光体。
- 前記金属酸化物粒子が、平均一次粒子径20nm〜100nmを有する酸化チタン微粒子である請求項1〜4のいずれか一つに記載の電子写真感光体。
- 前記金属酸化物粒子が、バインダー樹脂に対して重量割合で、10/90〜95/5で用いられている請求項1〜5のいずれか一つに記載の電子写真感光体。
- 前記バインダー樹脂が、ポリアミド樹脂であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の電子写真感光体。
- 前記下引き層が、膜厚0.05μm〜5μmである請求項1〜7のいずれか一つに記載の電子写真感光体。
- 前記感光層が、電荷発生層および電荷輸送層からなる積層型感光層の場合、膜厚0.05〜5μmの電荷発生層を含む請求項1〜8のいずれか一つに記載の電子写真感光体。
- 請求項1〜9のいずれか一つに記載の電子写真感光体を搭載することを特徴とした画像形成装置。
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