JP4294574B2 - 電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジ - Google Patents
電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジ Download PDFInfo
- Publication number
- JP4294574B2 JP4294574B2 JP2004323517A JP2004323517A JP4294574B2 JP 4294574 B2 JP4294574 B2 JP 4294574B2 JP 2004323517 A JP2004323517 A JP 2004323517A JP 2004323517 A JP2004323517 A JP 2004323517A JP 4294574 B2 JP4294574 B2 JP 4294574B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- photosensitive member
- electrophotographic photosensitive
- titanyl phthalocyanine
- image forming
- member according
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Fee Related
Links
Landscapes
- Photoreceptors In Electrophotography (AREA)
Description
このように、複数の下引き層を積層させ機能分離させた構成は、モアレ防止や地汚れ抑制、さらに残留電位低減を両立させる上で高い有効性を示すものの、樹脂層を薄膜化させて用いる必要があり、それに用いられる樹脂によっては、地汚れや残留電位の湿度依存性が大きかったり、膜厚依存性が大きくなる傾向が見られ、必ずしも高い安定性を有していなかった。
(1)導電性支持体上に少なくとも複数の下引き層及び感光層を順次積層した電子写真感光体において、該感光層にCuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有さない結晶型で、一次粒子の平均粒子サイズが0.25μm以下であるチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶がCuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、その回折ピークの半値巾が1゜以上である一次粒子の平均粒子サイズが0.1μm以下の不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行ない、結晶変換後の一次粒子の平均粒子サイズが0.25μmより大きく成長する前に、有機溶媒より結晶変換後のチタニルフタロシアニンを分別、濾過されたものであり、かつ複数の下引き層の少なくとも一層には、N−メトキシメチル化ナイロンを含むものであることを特徴とする電子写真感光体。
これにより、残留電位や環境依存性に対する副作用を低減し、導電性支持体からの電荷の注入と感光層における電荷発生物質の凝集や純度に起因する地汚れ要因を同時に抑制することが可能となり、高感度化と画質の高安定化を両立し、高耐久化が実現できる。又、結晶成長過程において含有される粗大粒子を排除することができ、0.25μm以下のチタニルフタロシアニンを含む感光層もしくは電荷発生層を形成することが可能となり、地汚れの抑制に有効となる。
感光層を積層構成とすることにより、導電性支持体から注入された電荷の表面への移動を抑制する上で効果があり、また電荷発生物質の分散安定性を維持しやすく、地汚れ抑制に更なる効果が得られる。
この方法により、感光体の静電特性において、光感度の低下や帯電性の低下の影響を低
減することが可能となり、地汚れ抑制の上でも有効である。
この方法により、硫酸の残存量を感光体特性に影響しないレベルに低減することが可能となり、帯電低下や感度劣化を抑制する上で有効であり、結果として地汚れの抑制に対しても有効となる。
この方法により、短時間での結晶変換を確実に行うことができ、不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)中に含まれる不純物を取り除くことが可能となり、その結果感度劣化や帯電低下が抑制され、地汚れ耐久性を向上させる上でも有効である。
これにより、繰り返し使用における残留電位上昇の副作用を軽減させることが可能となり、画質安定性の向上に有効となる。
これにより、湿度依存性の更なる低減が可能となり、地汚れや残留電位における環境安定性の向上に有効となる。
これにより、湿度依存性の更なる低減が可能となり、地汚れや残留電位における環境安定性の向上に対しさらに有効となる。また、残留電位の低減に対しても有効である。
これにより、湿度依存性の更なる低減が可能となり、地汚れや残留電位における環境安定性の向上により一層有効となる。また、疲労による帯電低下の抑制に対しても有効である。
これにより、レーザー光を用いたネガ・ポジ現像方式において発生しやすいモアレの発生を抑制できると同時に、疲労による帯電劣化を抑制することが可能となり、画質安定性を高める上で有効となる。
これにより、残留電位上昇や疲労による帯電劣化の影響が少なくなり、モアレを抑制する上でも高い効果を得ることができる。
これにより、残留電位に与える影響を最小限に、地汚れ抑制効果を高める上で有効である。
これにより、モアレ防止効果を維持しつつ、地汚れ抑制効果を顕著に高めることが可能となる。また、同時に残留電位低減効果を得ることができる。
これにより、地汚れ抑制効果をさらに高めることが可能となる。
これにより、モアレ防止効果を維持しつつ、地汚れ抑制効果を顕著に高めることが可能となる。また、同時に残留電位低減効果を得ることができる。
これにより、上層を積層する場合に樹脂の溶け出しがなくなり、塗工液の安定性を高めることが可能となり、画質安定性の高い感光体を安定に製造することができる。
これにより、残留電位上昇に与える影響が少なく、環境依存性も低減され、高安定化が実現される。
これにより、残留電位上昇を抑制できるとともに、塗膜欠陥の発生も低減でき、地汚れ抑制にも有効である。
これにより、地汚れ抑制と残留電位低減の両立が可能となる。
これにより、疲労による帯電劣化の影響を軽減し、かつ無機顔料及びバインダー樹脂を含む下引き層の塗膜品質や膜厚均一性が高まり、画質安定性に対し有効となる。
地汚れ抑制効果が高く、初期及び繰り返し使用による残留電位の上昇を抑制することが可能となり、地汚れ向上と残留電位低減の両立が可能となる。さらに、疲労による暗減衰の抑制、感光層の接着性、導電性支持体の欠陥や汚れの隠蔽性において更なる効果が得られる。
これにより、感光体の繰り返し使用による膜厚減少を軽減することが可能となり、経時での電界強度の増加を抑制することができ、地汚れの増加を抑制することが可能となる。
これにより、耐摩耗性の向上に更なる効果が得られ、経時での電界強度の増加を抑制する上で有効である。
これにより、耐摩耗性が高い上に、画像ボケの影響が少なく、高耐久化に対し有効である。
これにより、地汚れの発生を抑制し、高耐久化が可能な画像形成方法が提供される。
本発明の感光体を用いることにより、感度、画質安定性並びに耐久性を向上させることが可能となり、画像形成装置の高速化、小型化、高耐久化、高安定化を同時に実現することが可能となる。
感光体を小径化しても画質安定性や耐久性が大幅に向上できたことにより、タンデム方式の画像形成装置の小型化並びに高耐久化が実現でき、特に大きなメリットが得られる。
高感度を有し、同時に地汚れの抑制により画質安定性との両立を実現できたことから、高速の画像形成装置における高耐久化に特に大きなメリットが得られる。
高耐久性を有する感光体を用いても、感光体廻りの各種部材の寿命が低ければ画質安定性の向上は実現できない。プロセスカートリッジ化することによりそれらの交換やメンテナンスが容易となり、画像形成装置として更なる長寿命化が実現される。
高耐久性を有する感光体を用いているため、画像形成装置用プロセスカートリッジについても長寿命化することが可能となり省資源化に対応できる。また、画像形成装置の長期使用において最も不具合が発生しやすい感光体廻りをプロセスカートリッジ化することにより、その部分だけを容易に交換することが可能であるため、画像形成装置全体としても省資源化に対応できると同時に、長寿命化が可能となる。
まず、本発明で用いられる特定の結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶の合成方法について説明する。
初めにチタニルフタロシアニン結晶の合成粗品の合成法について述べる。フタロシアニン類の合成方法は古くから知られており、Moser等による「Phthalocyanine Compounds」(1963年)、「The Phthalocyanines」(1983年)、特開平6−293769号公報等に記載されている。
具体的な方法としては、上記の合成粗品を10〜50倍量の濃硫酸に溶解し、必要に応じて不溶物を濾過等により除去し、これを硫酸の10〜50倍量の充分に冷却した水もしくは氷水にゆっくりと投入し、チタニルフタロシアニンを再析出させる。析出したチタニルフタロシアニンを濾過した後、イオン交換水で洗浄・濾過を行ない、濾液が中性になるまで充分にこの操作を繰り返す。最終的に、綺麗なイオン交換水で洗浄した後、濾過を行ない、固形分濃度で5〜15wt%程度の水ペーストを得る。
結晶変換は、前記不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)を、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ、前記7.3°のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、かつ26.3゜にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶に変換する工程である。
具体的な方法としては、前記不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)を乾燥せずに、水の存在下の元で有機溶媒と共に混合・撹拌することにより、前記結晶型を得るものである。
感光層に含有されるチタニルフタロシアニン結晶の粒子サイズをコントロールするための方法は、大きく2つの方法が挙げられる。1つはチタニルフタロシアン結晶粒子を合成する際に、0.25μmより大きい粒子を含まない結晶を合成する方法であり、いま1つはチタニルフタロシアニン結晶を分散した後、0.25μmより大きい粗大粒子を取り除いてしまう方法である。勿論、両者を併用して用いることはより大きな効果を併せ持つものである。
チタニルフタロシアニン結晶の粒子サイズをより細かくするために、本発明者らが観察したところによれば、前述の不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)は、一次粒径が0.1μm以下(そのほとんどが0.01〜0.05μm程度)であるが(図3参照、スケール・バーは0.2μmである)、結晶変換に際しては、結晶成長と共に結晶が変換されることが分かった。通常、この種の結晶変換においては、原料の残存をおそれて充分な結晶変換時間を確保し、結晶変換が十二分に行なわれた後に、濾過を行ない、所望の結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶を得るものである。このため、原料として充分に小さな一次粒子を有する原料を用いているにもかかわらず、結晶変換後の結晶としては一次粒子の大きな結晶(概ね0.3〜0.5μm)を得ているものである(図4参照、スケール・バーは0.2μmである)。
一方、本発明においては、結晶変換に際して結晶成長がほとんど起こらない範囲(図3に観察される不定形チタニルフタロシアニン粒子のサイズが、結晶変換後において遜色ない小ささ、概ね0.25μm以下に保たれる範囲)で、結晶変換が完了した時点を見極めることで、可能な限り一次粒子サイズの小さなチタニルフタロシアニン結晶を得ようというものである。結晶変換後の粒子サイズは、結晶変換時間に比例して大きくなる。このため前述のように、結晶変換の効率を高くし、短時間で完了させることが重要である。このためには、いくつかの重要なポイントが挙げられる。
この2種類の分散液の平均粒径並びに粒度分布を公知の方法に従って、市販の粒度分布測定装置(堀場製作所製:超遠心式自動粒度分布測定装置、CAPA700)により測定した。その結果を図8に示す。図8における「A」が図6に示す分散液に対応し、「B」が図7に示す分散液に対応する。両者を比較すると、粒度分布に関してはほとんど差が認められない。また、両者の平均粒径値は、「A」が0.29μm、「B」が0.28μmと求められ、測定誤差を加味した上では、両者に明らかな差があるとは判断できない。
従って、公知の平均粒径(平均粒子サイズ)の規定だけでは、微量な粗大粒子の残存を検出することはできず、地肌汚れとの関係を明確にすることは難しい。この微量な粗大粒子の存在は、塗工液を顕微鏡レベルで観察することにより、初めて認識されるものであり、これによって地肌汚れとの関係を明らかにすることが可能となった。
このような結晶変換方法を採用することにより、一次平均粒子サイズの小さな(0.25μm以下、好ましくは0.2μm以下)チタニルフタロシアニン結晶を得ることができる。特開2001−19871号公報に記載された技術に加えて、必要に応じて上述のような技術(微細なチタニルフタロシアニン結晶を得るための結晶変換方法)を併用することは、本発明の効果を高めるために有効な手段である。
その後、分別されたチタニルフタロシアニン結晶は、必要に応じて加熱乾燥される。加熱乾燥に使用する乾燥機は、公知のものがいずれも使用可能であるが、大気下で行なう場合には送風型の乾燥機が好ましい。更に、乾燥速度を早め、本発明の効果をより顕著に発現させるために減圧下の乾燥も非常に有効な手段である。特に、高温で分解する、あるいは結晶型が変化するような材料に対しては有効な手段である。特に10mmHgよりも真空度が高い状態で乾燥することが有効である。
既に述べたように、CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶は、熱エネルギー・機械的シェア等のストレスにより他の結晶型に容易に結晶転移をすることが知られている。本発明で用いるチタニルフタロシアニン結晶もこの傾向は変わらない。すなわち、微細な粒子を含む分散液を作製するためには、分散方法の工夫も必要であるが、結晶型の安定性と微粒子化はトレード・オフの関係になりがちである。分散条件を最適化することによりこれを回避する方法はあるが、いずれも製造条件を極めて狭くしてしまうものであり、より簡便な方法が望まれている。この問題を解決するために、以下のような方法も有効な手段である。
図9は、本発明に用いられる電子写真感光体の構成例を示す断面図であり、導電性支持体上に、N−メトキシメチル化ナイロンを含有する下引き層、無機顔料及びバインダー樹脂を含有する下引き層、特定の結晶型を有し平均粒子サイズが0.25μm以下のチタニルフタロシアニン結晶を含有する感光層が順に積層された構成をとっている。
図10は、本発明に用いられる電子写真感光体の別の構成例を示す断面図であり、導電性支持体上に、N−メトキシメチル化ナイロンを含有する下引き層、無機顔料及びバインダー樹脂を含有する下引き層、特定の結晶型を有し平均粒子サイズが0.25μm以下のチタニルフタロシアニン結晶を含有する電荷発生層、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層が順に積層された構成をとっている。
図12は、本発明に用いられる電子写真感光体の更に別の構成例を示す断面図であり、導電性支持体上に、無機顔料及びバインダー樹脂を含有する下引き層、N−メトキシメチル化ナイロンを含有する下引き層、特定の結晶型を有し平均粒子サイズが0.25μm以下のチタニルフタロシアニン結晶を含有する感光層が順に積層された構成をとっている。
図14は、本発明に用いられる電子写真感光体の更に別の構成例を示す断面図であり、導電性支持体上に、無機顔料及びバインダー樹脂を含有する下引き層、N−メトキシメチル化ナイロンを含有する下引き層、特定の結晶型を有し平均粒子サイズが0.25μm以下のチタニルフタロシアニン結晶を含有する電荷発生層、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層、さらに無機顔料を含有する電荷輸送層が順に積層された構成をとっている。
はじめに、N−メトキシメチル化ナイロンを含有した下引き層について説明する。この下引き層は、主に感光体の帯電時に電極(導電性支持体)に誘起される逆極性の電荷が、導電性支持体から感光層に注入されるのを防止する機能を有する層で、主に地汚れを抑制させることを目的とした層である。負帯電の場合には正孔注入防止、正帯電の場合には電子注入防止の機能を有する。電荷の注入を抑制する層としては、酸化アルミ層に代表される陽極酸化被膜、SiOに代表される無機系の絶縁層、特開平3−191361号公報に記載されるような金属酸化物のガラス質ネットワークから形成される層、特開平3−141363号公報に記載されるようなポリフォスファゼンからなる層、特開平3−101737号公報に記載されるようなアミノシラン反応生成物からなる層、この他には絶縁性のバインダー樹脂からなる層、硬化性のバインダー樹脂からなる層等が挙げられる。中でも湿式塗工法で形成可能な絶縁性のバインダー樹脂あるいは硬化性のバインダー樹脂から構成される層が良好に使用できる。さらに、これらの下引き層は、その上に無機顔料及びバインダー樹脂を含有する下引き層あるいは感光層等が積層されるため、これらを湿式塗工法で設ける場合には、塗工溶媒に対し不溶性を有し塗膜が侵されない材料あるいは構成からなることが肝要である。
本発明においては、N−メトキシメチル化ナイロンを単独で使用することも可能であるが、場合によっては架橋剤や酸触媒を添加することも可能であり、湿度依存性の更なる低減に対し大きな効果を得ることができる。架橋剤としては従来公知のメラミン樹脂、イソシアネート樹脂等市販されている材料を、触媒としては、酸性触媒が用いられ、酒石酸等の汎用触媒を用いることが可能である。但し、酸触媒の添加によって下引き層の絶縁性が低下し、地汚れ抑制効果が低減される恐れがあるため、添加量はごく微量にする必要がある。樹脂に対して5wt%以下が好ましい。また、場合によっては他のバインダー樹脂を混合させることも可能である。混合可能なバインダー樹脂としては、アルコール可溶性を示すポリアミド樹脂が用いられ、液の経時安定性が高まる場合がある。
塗工溶媒としては、N−メトキシメチル化ナイロンはアルコール可溶性を示すため、アルコール系溶媒、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等もしくはそれらの混合溶媒が用いられる。
N−メトキシメチル化ナイロンを含有する下引き層の膜厚は、0.1μm以上、2.0μm未満、好ましくは0.3μm以上、1.0μm以下が適当である。この下引き層の膜厚がそれ以上に厚くなると、帯電と露光の繰返しによって、残留電位の上昇が発生しやすくなり、また、膜厚が薄すぎると地汚れ抑制効果が乏しくなる。
N−メトキシメチル化ナイロンを含有する下引き層が、主に導電性支持体からの電荷の注入を抑制し地汚れを低減させる機能を有していたのに対し、N−メトキシメチル化ナイロンを含有する下引き層以外の下引き層は、主にモアレ防止と疲労による残留電位や暗減衰の低減、並びに感光層との接着性を高める機能を有する。したがって、N−メトキシメチル化ナイロンを含有する下引き層以外の下引き層には、少なくとも無機顔料とバインダー樹脂が含有されていることが好ましく、特に有効である。無機顔料とバインダー樹脂を含む下引き層を単層で形成した場合には、地汚れと残留電位の両立が難しく、残留電位を低減させようとすると、どうしても地汚れ抑制効果が不十分となるし、地汚れを抑制させようとすると、どうしても残留電位が高くなってしまう。一方、N−メトキシメチル化ナイロンを含有する下引き層を単層で形成した場合には、モアレを防止できないばかりでなく、膜厚の最適化を行っても著しい残留電位上昇と疲労による暗減衰の増加を引き起こす傾向が見られ、地汚れの抑制効果も大幅に低下する。すなわち、下引き層を単層で形成した場合には、例え地汚れ抑制や残留電位低減、環境依存性の低減に有効なN−メトキシメチル化ナイロンを用いたとしても、画質安定性や耐久性を高めることは不可能であり、下引き層を複数にし、その複数の下引き層のうち少なくとも一層にN−メトキシメチル化ナイロンを含有させることによって、地汚れ抑制効果が飛躍的に向上し、かつ残留電位や環境依存性等に与える副作用も低減し、高耐久化を実現することが可能となる。
感光層は電荷発生物質と電荷輸送物質を含む単層構成の感光層でも構わないが、前述のように電荷発生層と電荷輸送層で構成される積層型の方が感度、耐久性、地汚れ抑制において優れた特性を示し、本発明においては良好に使用される。
本発明における電荷発生層には、電荷発生物質として、CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークが見られないチタニルフタロシアニン結晶が用いられる。さらに、この特定の結晶型を有するチタニルフタロシアンを結晶合成時あるいは分散濾過処理により、平均粒子サイズを0.25μm以下にすることによって達成される。上記のとおり、下引き層を複数化したり、N−メトキシメチル化ナイロンを含有する下引き層を積層させることにより地汚れの抑制効果は顕著に高まるが、これらの効果は導電性支持体からの電荷の注入を抑制したことによるものであり、その上に形成される電荷発生層の凝集や純度の低下によって引き起こされる地汚れに対しては別な対策が必要である。本発明は、下引き層と電荷発生層における双方の地汚れ要因を同時に抑制できたことにより、飛躍的な高耐久化が実現されたものである。
電荷発生層は、前記チタニルフタロシアニンを必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
必要に応じて電荷発生層に用いられるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。これらの中でも、ポリビニルブチラールが最も好ましく用いられる。バインダー樹脂の含有量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。
また、電荷発生層には他の電荷発生物質や増感剤、分散剤、シリコーンオイル等の添加剤を混合させることも可能である。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
尚、(II)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
尚、(III)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。中でも、環境への負荷低減等の意図から、非ハロゲン系溶媒の使用は望ましく、具体的にはテトラヒドロフランやジオキソラン、ジオキサン等の環状エーテルやトルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、及びそれらの誘導体が地汚れ抑制効果の面でも良好に用いられる。
無機顔料を含有した電荷輸送層には、少なくとも無機顔料、バインダー樹脂、電荷輸送物質が含有される。
さらに、無機顔料を有する電荷輸送層には、電荷を輸送する機能を持たせるために電荷輸送物質が含有される。電荷輸送物質に関しては前述の電荷輸送層に含有される低分子の電荷輸送物質を用いることができる。バインダー樹脂として高分子電荷輸送物質を用いた場合には、低分子電荷輸送物質は必ずしも含有する必要はない。
このような酸化防止剤の具体例として、以下のものを挙げることができる。
(フェノール系化合物)
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、ステアリル−β−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]クリコ−ルエステル、トコフェロール類など。
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
(ハイドロキノン類)
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
(有機燐化合物類)
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
これら化合物は、ゴム、プラスチック、油脂類などの酸化防止剤として知られており、市販品を容易に入手できる。本発明における酸化防止剤の添加量は、添加する層の総重量に対して0.01〜10重量%である。
図15は、本発明の画像形成プロセスおよび画像形成装置を説明するための概略図であり、下記に示すような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図15において、感光体1は導電性支持体上に少なくとも複数の下引き層を有し、かつ下引き層の少なくとも一層にはN−メトキシメチル化ナイロンを含有しており、さらに感光層にはCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有さず、平均一次粒子サイズが0.25μm以下であるチタニルフタロシアニン結晶を含み、複数の下引層の少なくとも一層にはN−メトキシメチル化ナイロンを含有してなる。感光体1はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。帯電ローラ3、転写前チャージャ7、転写チャージャ10、分離チャージャ11、クリーニング前チャージャ13には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラ、転写ローラを始めとする公知の手段が用いられる。
除電ランプ2等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。これらの光源のうち、発光ダイオード、及び半導体レーザーは照射エネルギーが高く、また600〜800nmの長波長光を有するため、前述の電荷発生材料であるフタロシアニン顔料が高感度を示すことから良好に使用される。かかる光源等は、図15に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
以上の図示した電子写真プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。
図18において、符号1C,1M,1Y,1Kはドラム状の感光体であり、感光体は導電性支持体上に少なくとも複数の下引き層が形成され、そのうち少なくとも一層にN−メトキシメチル化ナイロンが含有されており、感光層にはCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有さず、平均一次粒子サイズが0.25μm以下であるチタニルフタロシアニン結晶を含有してなる。
まず、本発明に用いた電荷発生材料の比較合成例及び本発明の合成例について述べる。
(比較合成例1)
特開2001−19871号公報に準じて、顔料を作製した。すなわち、1,3−ジイミノイソインドリン29.2部とスルホラン200部を混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド20.4部を滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶をろ過、ついで洗浄液が中性になるまで水洗いを繰り返し(洗浄後のイオン交換水のpH値は6.8であった)、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキ(水ペースト)を得た。得られたこのウェットケーキ(水ペースト)40部をテトラヒドロフラン200部に投入し、4時間攪拌を行なった後、濾過を行ない、乾燥して、チタニルフタロシアニン粉末を得た。これを顔料1とする。上記ウェットケーキの固形分濃度は、15wt%であった。結晶変換溶媒のウェットケーキに対する重量比は33倍である。尚、比較合成例1の原材料には、ハロゲン化物を使用していない。
また、比較合成例1で得られた水ペーストの一部を80℃の減圧下(5mmHg)で、2日間乾燥して、低結晶性チタニルフタロシアニン粉末を得た。水ペーストの乾燥粉末のX線回折スペクトルを図20に示す。
(X線回折スペクトル測定条件)
X線管球:Cu
電圧:50kV
電流:30mA
走査速度:2°/分
走査範囲:3°〜40°
時定数:2秒
特開平1―299874号(特許第2512081号)公報の実施例1に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、先の比較合成例1で作製したウェットケーキを乾燥し、乾燥物1部をポリエチレングリコール50部に加え、100部のガラスビーズと共に、サンドミルを行なった。結晶転移後、希硫酸、水酸化アンモニウム水溶液で順次洗浄し、乾燥して顔料を得た。これを顔料2とする。比較合成例2の原材料には、ハロゲン化物を使用していない。
特開平3―269064号(特許第2584682号)公報の製造例1に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、先の比較合成例1で作製したウェットケーキを乾燥し、乾燥物1部をイオン交換水10部とモノクロルベンゼン1部の混合溶媒中で1時間撹拌(50℃)した後、メタノールとイオン交換水で洗浄し、乾燥して顔料を得た。これを顔料3とする。比較合成例3の原材料には、ハロゲン化物を使用していない。
特開平2―8256号(特公平7―91486号)公報の製造例に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、フタロジニトリル9.8部と1−クロロナフタレン75部を撹拌混合し、窒素気流下で四塩化チタン2.2部を滴下する。滴下終了後、徐々に200℃まで昇温し、反応温度を200℃〜220℃の間に保ちながら3時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷し130℃になったところ熱時ろ過し、次いで1−クロロナフタレンで粉体が青色になるまで洗浄、次にメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後、乾燥し顔料を得た。これを顔料4とする。比較合成例4の原材料には、ハロゲン化物を使用している。
特開昭64―17066号(特公平7―97221号)公報の合成例1に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、α型TiOPc5部を食塩10部およびアセトフェノン5部と共にサンドグラインダーにて100℃にて10時間結晶変換処理を行なった。これをイオン交換水及びメタノールで洗浄し、希硫酸水溶液で精製し、イオン交換水で酸分がなくなるまで洗浄した後、乾燥して顔料を得た。これを顔料5とする。比較合成例5の原材料には、ハロゲン化物を使用している。
特開平11―5919号(特許第3003664号)公報の実施例1に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、O−フタロジニトリル20.4部、四塩化チタン7.6部をキノリン50部中で200℃にて2時間加熱反応後、水蒸気蒸留で溶媒を除き、2%塩酸、続いて2%水酸化ナトリウム水溶液で精製し、メタノール、N,N−ジメチルホルムアミドで洗浄後、乾燥し、チタニルフタロシアニンを得た。このチタニルフタロシアニン2部を5℃の98%硫酸40部の中に少しずつ溶解し、その混合物を約1時間、5℃以下の温度を保ちながら攪拌する。続いて硫酸溶液を高速攪拌した400部の氷水中に、ゆっくりと注入し、析出した結晶を濾過する。結晶を酸が残量しなくなるまで蒸留水で洗浄し、ウエットケーキを得る。そのケーキをTHF100部中で約5時間攪拌を行ない、ろ過、THFによる洗浄を行ない乾燥後、顔料を得た。これを顔料6とする。比較合成例6の原材料には、ハロゲン化物を使用している。
特開平3―255456号(特許第3005052号)公報の合成例2に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、先の比較合成例1で作製したウェットケーキ10部を塩化ナトリウム15部とジエチレングリコール7部に混合し、80℃の加熱下で自動乳鉢により60時間ミリング処理を行なった。次に、この処理品に含まれる塩化ナトリウムとジエチレングリコールを完全に除去するために充分な水洗を行なった。これを減圧乾燥した後にシクロヘキサノン200部と直径1mmのガラスビーズを加えて、30分間サンドミルにより処理を行ない、顔料を得た。これを顔料7とする。比較合成例7の原材料には、ハロゲン化物を使用していない。
特開平8―110649号公報のチタニルフタロシアニン結晶体の製造方法に準じて、顔料を作製した。即ち、1,3−ジイミノイソインドリン58部、テトラブトキシチタン51部をα−クロロナフタレン300部中で210℃にて5時間反応後、α−クロロナフタレン、ジメチルホルムアミド(DMF)の順で洗浄した。その後、熱DMF、熱水、メタノールで洗浄、乾燥して50部のチタニルフタロシアニンを得た。チタニルフタロシアニン4部を0℃に冷却した濃硫酸400部中に加え、引き続き0℃、1時間撹拌した。フタロシアニンが完全に溶解したことを確認した後、0℃に冷却した水800部/トルエン800部混合液中に添加した。室温で2時間撹拌後、析出したフタロシアニン結晶体を混合液より濾別し、メタノール、水の順で洗浄した。洗浄水の中性を確認した後、洗浄水よりフタロシアニン結晶体を濾別し、乾燥して、2.9部のチタニルフタロシアニン結晶体を得た。これを顔料8とする。比較合成例8の原材料には、ハロゲン化物を使用していない。
比較合成例1の方法に従って、チタニルフタロシアニン顔料の水ペーストを合成し、次のように結晶変換を行ない、比較合成例1よりも一次粒子の小さなフタロシアニン結晶を得た。
比較合成例1で得られた結晶変換前の水ペースト60部にテトラヒドロフラン400部を加え、室温下でホモミキサー(ケニス、MARKIIfモデル)により強烈に撹拌(2000rpm)し、ペーストの濃紺色の色が淡い青色に変化したら(撹拌開始後20分)、撹拌を停止し、直ちに減圧濾過を行なった。濾過装置上で得られた結晶をテトラヒドロフランで洗浄し、顔料のウェットケーキを得た。これを減圧下(5mmHg)、70℃で2日間乾燥して、チタニルフタロシアニン結晶8.5部を得た。これを顔料9とする。合成例1の原材料には、ハロゲン化物を使用していない。上記ウェットケーキの固形分濃度は、15wt%であった。結晶変換溶媒のウェットケーキに対する重量比は44倍である。
上述のように観察されたTEM像をTEM写真として撮影し、映し出されたチタニルフタロシアニン粒子(針状に近い形)を30個任意に選び出し、それぞれの長径の大きさを測定する。測定した30個体の長径の算術平均を求めて、平均粒子サイズとした。
以上の方法により求められた比較合成例1における水ペースト中の平均粒子サイズは、0.06μmであった。
表1から、比較合成例1で作製された顔料1は、平均粒子サイズが大きいだけでなく、粗大粒子を含んでいる。これに対し、合成例1で作製された顔料9は、平均粒子サイズが小さいだけでなく、個々の1次粒子の大きさもほぼ揃っていることが分かる。
(分散液作製例1)
比較合成例1で作製した顔料1を下記組成の処方にて、下記に示す条件にて分散を行い電荷発生層用塗工液として、分散液を作製した。
チタニルフタロシアニン顔料(顔料1) 15部
ポリビニルブチラール(積水化学製:BX−1) 10部
2−ブタノン 280部
市販のビーズミル分散機に直径0.5mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した2−ブタノンおよび顔料を全て投入し、ローター回転数1200r.p.m.にて30分間分散を行ない、分散液を作製した。これを分散液1とする。
分散液作製例1で使用した顔料1に変えて、それぞれ比較合成例2〜8を使用して分散液作製例1と同じ条件にて分散液を作製した。これを顔料番号に対応して、それぞれ分散液2〜8とする。
分散液作製例1で使用した顔料1に変えて、合成例1で作製した顔料9を使用して分散液作製例1と同じ条件にて分散液を作製した。これを分散液9とする。
分散液作製例1で作製した分散液1を、アドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−1−CS(有効孔径1μm)を用いて、濾過を行なった。濾過に際しては、ポンプを使用し、加圧状態で濾過を行なった。これを分散液10とする。
分散液作製例10で使用したフィルターを、アドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−3−CS(有効孔径3μm)に変えた以外は、分散液作製例10と同様に加圧濾過を行ない分散液を作製した。これを分散液11とする。
分散液作製例10で使用したフィルターを、アドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−5−CS(有効孔径5μm)に変えた以外は、分散液作製例10と同様に加圧濾過を行ない分散液を作製した。これを分散液12とする。
分散液作製例1における分散条件において、ローター回転数を1000r.p.m.にて20分間に変更した以外はすべて分散液作製例1と同様にして分散を行った。これを分散液13とする。
分散液作製例13で作製した分散液をアドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−1−CS(有効孔径1μm)を用いて、濾過を行なった。濾過に際しては、ポンプを使用し、加圧状態で濾過を行なった。
(比較例1)
直径60mmのアルミニウムシリンダー(JIS1050)に、下記組成の下引き層1用塗工液、下引き層2用塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥し、0.5μmの下引き層1、3.5μmの下引き層2、電荷発生層、24μmの電荷輸送層を積層し、電子写真感光体を作製した。これを電子写真感光体1とする。なお、各層の塗工後に指触乾燥を行った後、下引き層1は135℃、下引き層2は135℃、電荷発生層は90℃、電荷輸送層は135℃で20分間加熱乾燥を行った。また、電荷発生層の膜厚は、780nmにおける電荷発生層の透過率が20%になるように調整した。電荷発生層の透過率は、下記組成の電荷発生層塗工液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムを巻き付けたアルミシリンダーに感光体作製と同じ条件で塗工を行ない、電荷発生層を塗工していないポリエチレンテレフタレートフィルムを比較対照とし、市販の分光光度計(島津:UV−3100)にて、780nmの透過率を評価した。
N−メトキシメチル化ナイロン(FR101:鉛市製) 5部
メタノール 70部
n−ブタノール 30部
◎下引き層2用塗工液
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均一次粒径:約0.25μm)70部
アルキッド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 14部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 8部
2−ブタノン 80部
無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、約2/1である。アルキッド樹脂とメラミン樹脂の重量比は、約1.5/1である。
前述の分散液1を用いた。
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
シリコーンオイルのテトラヒドロフラン溶液(KF−50(100cs)
:信越化学工業製) 0.2部
比較例1で使用した電荷発生層塗工液である分散液1をそれぞれ、分散液2〜13に変更した以外は、すべて比較例1と同様にして電子写真感光体2〜13を作製した。比較例2〜10、実施例1、参考例1〜2で使用した電荷発生層塗工液は、表4に示す。
実施例1において、下引き層1を設けない以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体14を作製した。
(比較例12)
実施例1において、下引き層2を設けない以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体15を作製した。
実施例1において、下引き層1の膜厚を1.2μmとした以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体16を作製した。
(実施例5)
実施例1において、下引き層1の膜厚を2.0μmとした以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体17を作製した。
実施例1において、下引き層2の塗工液を下記組成に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体18を作製した。
◎下引き層2用塗工液
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均粒径:約0.25μm) 90部
アルキッド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 14部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンG−821−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 10部
2−ブタノン 100部
無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、約2.3/1である。アルキッド樹脂とメラミン樹脂の重量比は、約1.2/1である。
実施例4において、下引き層2の塗工液を下記組成に変更した以外は、すべて実施例4と同様にして電子写真感光体19を作製した。
◎下引き層2用塗工液
酸化錫(S−1、三菱金属工業製) 60部
アルキッド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 14部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 10部
2−ブタノン 70部
無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、約1.2/1である。アルキッド樹脂とメラミン樹脂の重量比は、約1.2/1である。
実施例7において、導電性支持体上に下引き層2を10μm形成し、その上に下引き層1を0.6μm積層した以外はすべて実施例7と同様にして電子写真感光体20を作製した。
実施例1において、下引き層2の塗工液を下記組成に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体21を作製した。
◎下引き層2用塗工液
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均一次粒径:約0.25μm)50部
酸化チタン(PT−401M:石原産業社製、平均一次粒径:約0.07μm)
30部
アルキッド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 16部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−145−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 9部
2−ブタノン 80部
無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、約2/1である。また、アルキッド樹脂とメラミン樹脂の重量比は、約1.5/1である。D2/D1は0.28、無機顔料の混合比は約0.38である。
実施例1において、下引き層2の塗工液を下記組成に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体22を作製した。
◎下引き層2用塗工液
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製、平均一次粒径:約0.25μm)40部
酸化チタン(TTO−F1:石原産業社製、平均一次粒径:約0.04μm)
40部
アルキッド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 16部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−145−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 9部
2−ブタノン 80部
無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、約2/1である。また、アルキッド樹脂とメラミン樹脂の重量比は、約1.5/1である。D2/D1は0.16、無機顔料の混合比は約0.5である。
実施例1において、下引き層1用塗工液を下記組成のものに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体23を作製した。
◎下引き層1用塗工液
N−メトキシメチル化ナイロン(FR101:鉛市製) 5部
酒石酸のメタノール溶液(固形分10%) 2部
メタノール 70部
n−ブタノール 30部
実施例1において、下引き層1用塗工液を下記組成のものに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体24を作製した。
◎下引き層1用塗工液
N−メトキシメチル化ナイロン(FR101:鉛市製) 5部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 8部
酒石酸のメタノール溶液(固形分10%) 2部
メタノール 120部
n−ブタノール 50部
実施例1において、下引き層1用塗工液を下記組成のものに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体25を作製した。
◎下引き層1用塗工液
共重合ナイロン(アミランCM8000:東レ製) 5部
メタノール 70部
n−ブタノール 30部
比較例13において、下引き層1の膜厚を1.0μmに変更した以外はすべて比較例13と同様にして電子写真感光体26を作製した。
実施例1において、下引き層1用塗工液を下記組成のものに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体27を作製した。
◎下引き層1用塗工液
アルキッド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 14部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンG−821−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 10部
2−ブタノン 100部
比較例14において、下引き層2用塗工液を下記組成のものに変更した以外は、すべて比較例14と同様にして電子写真感光体28を作製した。
◎下引き層2用塗工液
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製) 90部
アルキッド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 14部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンG−821−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 10部
2−ブタノン 100部
無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、約2.3/1である。また、アルキッド樹脂とメラミン樹脂の重量比は、約1.2/1である。
比較例13において、導電性支持体上に下記組成の下引き層2を10μm形成し、その上に下引き層1を0.3μm積層した以外はすべて比較例13と同様にして電子写真感光体29を作製した。
◎下引き層2用塗工液
酸化錫(S−1、三菱金属工業製) 80部
アルキッド樹脂[ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製] 18部
メラミン樹脂[スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製] 6部
2−ブタノン 80部
無機顔料とバインダー樹脂の容積比は、約2.1/1である。また、アルキッド樹脂とメラミン樹脂の重量比は、約2.5/1である。
実施例1における電荷輸送層塗工液を以下の組成のものに変更した以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体30を作製した。
◎電荷輸送層塗工液
下記組成の高分子電荷輸送物質(重量平均分子量:約135000) 10部
実施例1における電荷輸送層の膜厚を20μmとし、電荷輸送層上に下記組成の無機顔料含有電荷輸送層塗工液をスプレー塗工法によって塗布並びに乾燥し、4μmの無機顔料含有電荷輸送層を設けた以外はすべて実施例1と同様にして電子写真感光体31を作製した。
◎無機顔料含有電荷輸送層塗工液
アルミナ(平均一次粒径:0.4μm、スミコランダムAA−03
:住友化学工業製) 2部
湿潤分散剤(固形分50%、BYK−P104:BYKケミー製) 0.025部
ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製、粘度平均分子量:5万)10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
テトラヒドロフラン 150部
実施例14において、下引き層1を形成しなかった以外は、すべて実施例14と同様にして電子写真感光体32を作製した。
(比較例19)
実施例14において、電荷発生層用塗工液を分散液1に変更した以外はすべて実施例14と同様にして電子写真感光体33を作製した。
実施例1において、電荷発生層用塗工液を下記組成の塗工液に変更した以外は、すべて実施例1と同様にして電子写真感光体34を作製した。
◎電荷発生層用塗工液
下記構造のフルオレノン系ビスアゾ顔料 12部
2−ブタノン 200部
シクロヘキサノン 400部
以上のように作製した電子写真感光体1〜34を図15に示す画像形成装置に搭載し、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)、帯電部材として接触方式の帯電ローラ、転写部材として転写ベルトを用い、25℃55%RHの環境下で暗部電位(VD)が900(−V、電界強度約37.5V/μm)及び1200(−V、電界強度約50V/μm)になるように印加電圧を調整し、その際の各々の露光部電位(VL)を測定した。また、現像バイアスは各々600(−V)及び900(−V)に設定し、白ベタ及びハーフトーン画像を出力し画像評価を行った。次に、10℃15%RHの環境下で暗部電位(VD)が1200(−V、電界強度約50V/μm)になるように印加電圧を調整し、その際の露光部電位(VL)を測定した。また、現像バイアスは900(−V)に設定し、白ベタ及びハーフトーン画像を出力し画像評価を行った。なお、画像評価のレベルは、以下の4段階で表した。◎:非常に良好なレベル、○:若干画質劣化が見られるが問題ないレベル、△:明らかに画像欠陥が認められるレベル、×:画像欠陥の影響が大きく画像品質が非常に悪いレベル。これらの結果を表4に示す。
実施例1、4〜14、参考例1〜2、および比較例1〜20で使用した支持体に変えて、直径30mmの導電性支持体を用い、実施例1、4〜14、参考例1〜2、および比較例1〜20と同様にして塗工を行い電子写真感光体を作製した。感光体番号は表5に記載するが、支持体径が異なるだけなので、感光体番号は実施例1、4〜14、参考例1〜2、および比較例1〜20に対応した番号と同一の番号を用いた。
それらをプロセスカートリッジに装着し、タンデム方式のフルカラーレーザープリンタにセットした。画像露光光源は780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)を用い、帯電部材は帯電ローラの両端の非画像形成領域に50μm厚の絶縁テープを巻き付けることにより感光体に近接配置させた。その際、DCバイアスは900(−V)とし、ACバイアス[Vpp(Peak to peak):1.9kV、周波数:1.0kHz]を重畳させ、現像バイアスは650(−V)とした。各感光体サンプルを搭載したプロセスカートリッジは、それぞれ同じ現像剤を充填してシアンステーション、マゼンタステーション、シアンステーション、ブラックステーションにセットし、1万枚毎にステーションをローテーションさせながらトータル4万枚の画像出力を繰り返し行い、その後の画像評価を行った。試験環境は、28℃75%RHで行った。なお、画像評価のレベルは、以下の4段階で表した。◎:非常に良好なレベル、○:若干画質劣化が見られるが問題ないレベル、△:明らかに画像欠陥が認められるレベル、×:画像欠陥の影響が大きく画像品質が非常に悪いレベル。また、試験前後の膜厚差から摩耗量を算出した。これらの結果を表5に示す。
比較合成例9における結晶変換溶媒を塩化メチレンから2−ブタノンに変更した以外は、比較合成例1と同様に処理を行ない、チタニルフタロシアニン結晶を得た。
比較合成例1の場合と同様に、比較合成例9で作製したチタニルフタロシアニン結晶のXDスペクトルを測定した。これを図21に示す。図21より、比較合成例9で作製されたチタニルフタロシアニン結晶のXDスペクトルにおける最低角は、比較合成例1で作製されたチタニルフタロシアニンの最低角(7.3°)とは異なり、7.5°に存在することが判る。
合成例1で得られた顔料(最低角7.3°)に特開昭61−239248号公報に記載の顔料(最大回折ピークを7.5°に有する)と同様に作製したものを3重量%添加し、乳鉢で混合して、先程と同様にX線回折スペクトルを測定した。測定例1のX線回折スペクトルを図22に示す。
(測定例2)
比較合成例9で得られた顔料(最低角7.5°)に特開昭61−239248号公報に記載の顔料(最大回折ピークを7.5°に有する)と同様に作製したものを3重量%添加し、乳鉢で混合して、先程と同様にX線回折スペクトルを測定した。測定例2のX線回折スペクトルを図23に示す。
以上のことから、本願発明のチタニルフタロシアニン結晶における最低角ピークである7.3°は、公知のチタニルフタロシアニン結晶における7.5°のピークとは異なるものであることが判る。
2 除電ランプ
3 帯電ローラ
5 画像露光部
6 現像ユニット
9 転写紙
21 ギャップ形成部材
22 金属シャフト
23 画像形成領域
24 非画像形成領域
31 感光体
33 帯電手段
34 クリーニング手段
35 露光手段
36 現像手段
37 転写手段
40 転写搬送ベルト
42 定着装置
48 給紙コロ
49 レジストローラ
1C、1M、1Y、1K 感光体
3C、3M、3Y、3K 帯電部材
5C、5M、5Y、5K レーザー光
6C、6M、6Y、6K 現像部材
15C、15M、15Y、15K クリーニング部材
41C、41M、41Y、41K 転写ブラシ
46C、46M、46Y、46K 画像形成要素
Claims (30)
- 導電性支持体上に少なくとも複数の下引き層及び感光層を順次積層した電子写真感光体において、該感光層にCuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有さない結晶型で、一次粒子の平均粒子サイズが0.25μm以下であるチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶がCuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、その回折ピークの半値巾が1゜以上である一次粒子の平均粒子サイズが0.1μm以下の不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行ない、結晶変換後の一次粒子の平均粒子サイズが0.25μmより大きく成長する前に、有機溶媒より結晶変換後のチタニルフタロシアニンを分別、濾過されたものであり、かつ複数の下引き層の少なくとも一層には、N−メトキシメチル化ナイロンを含むものであることを特徴とする電子写真感光体。
- 前記感光層が、電荷発生層と電荷輸送層とを順次積層した積層構成からなることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
- 前記チタニルフタロシアニン結晶が、ハロゲン化物を含まない原材料を使用して合成されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真感光体。
- 前記チタニルフタロシアニン結晶が不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを、水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行なうことにより得られたものであり、前記チタニルフタロシアニン結晶の結晶変換に際して、使用される不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンがアシッド・ペースト法により作製され、十分にイオン交換水で洗浄され、洗浄後のイオン交換水のpHが6〜8の間及び/又はイオン交換水の比伝導度が8以下であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記チタニルフタロシアニン結晶が不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを、水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行なうことにより得られたものであり、前記チタニルフタロシアニン結晶の結晶変換に際して、使用される有機溶媒量が不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンの30倍(重量比)以上であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記N−メトキシメチル化ナイロンを含有する下引き層の膜厚が、2.0μm未満であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記N−メトキシメチル化ナイロンが加熱により架橋されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記N−メトキシメチル化ナイロンを含有する下引き層に、さらに酸触媒が含有されていることを特徴とする請求項7に記載の電子写真感光体。
- 前記N−メトキシメチル化ナイロンを含有する下引き層に、さらに架橋剤が含有されていることを特徴とする請求項7又は8に記載の電子写真感光体。
- 前記複数の下引き層において、N−メトキシメチル化ナイロンを含有する下引き層以外の下引き層には、少なくとも無機顔料とバインダー樹脂が含有されていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記無機顔料が、金属酸化物であることを特徴とする請求項10に記載の電子写真感光体。
- 前記金属酸化物が、酸化チタンであることを特徴とする請求項11に記載の電子写真感光体。
- 前記無機顔料が、平均一次粒径の異なる2種以上の無機顔料の混合物であり、最も大きな平均一次粒径を有する無機顔料の平均一次粒径をD1、最も小さな平均一次粒径を有する無機顔料の平均一次粒径をD2としたとき、0.2<(D2/D1)≦0.5の関係を満たすことを特徴とする請求項10乃至12のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記D2が、0.2μm未満であることを特徴とする請求項13に記載の電子写真感光体。
- 前記平均一次粒径の異なる2種以上の無機顔料の混合比が、最も大きな平均一次粒径を有する無機顔料の含有量をT1、最も小さな平均一次粒径を有する無機顔料の含有量をT2としたとき、重量比で0.2≦T2/(T1+T2)≦0.8の関係を満たすことを特徴とする請求項13又は14に記載の電子写真感光体。
- 前記N−メトキシメチル化ナイロンを含有する下引き層以外の下引き層に含有されるバインダー樹脂が熱硬化型樹脂を含むことを特徴とする請求項10乃至15のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記熱硬化型樹脂が、アルキッド樹脂及びメラミン樹脂からなることを特徴とする請求項16に記載の電子写真感光体。
- 前記アルキッド樹脂とメラミン樹脂との重量比が、1/1乃至4/1の範囲内であることを特徴とする請求項17に記載の電子写真感光体。
- 前記N−メトキシメチル化ナイロンを含有する下引き層以外の下引き層に含有される無機顔料とバインダー樹脂との容積比が、1/1乃至3/1の範囲内であることを特徴とする請求項10乃至18のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記N−メトキシメチル化ナイロンを含有する下引き層以外の下引き層の膜厚が、前記N−メトキシメチル化ナイロンを含有する下引き層の膜厚よりも厚いことを特徴とする請求項1乃至19のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記N−メトキシメチル化ナイロンを含む下引き層が、導電性支持体上に直接形成されていることを特徴とする請求項1乃至20のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記電子写真感光体の最表面に、無機顔料を含有した電荷輸送層を積層したことを特徴とする請求項1乃至21のいずれかに記載の電子写真感光体。
- 前記無機顔料が金属酸化物であることを特徴とする請求項22に記載の電子写真感光体。
- 前記金属酸化物がアルミナであることを特徴とする請求項23に記載の電子写真感光体。
- 請求項1乃至24のいずれかに記載の電子写真感光体を用いて、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行うことを特徴とする画像形成方法。
- 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる画像形成装置において、該電子写真感光体が請求項1乃至24のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
- 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体からなる画像形成要素を複数配列したことを特徴とする請求項26に記載の画像形成装置。
- 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなる画像形成装置において、画像形成時における感光体の線速が250mm/sec以上であることを特徴とする請求項26又は27に記載の画像形成装置。
- 前記画像形成装置が、少なくとも電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段、
クリーニング手段から選ばれる少なくとも1つの手段とが一体となった画像形成装置用プ
ロセスカートリッジを搭載し、該画像形成装置用プロセスカートリッジが装置本体と着脱
自在であることを特徴とする請求項26乃至28のいずれかに記載の画像形成装置。 - 少なくとも電子写真感光体と、帯電手段、露光手段、現像手段、クリーニング手段から
選ばれる少なくとも1つの手段とが一体となった画像形成装置用プロセスカートリッジに
おいて、該電子写真感光体が請求項1乃至24のいずれかに記載の電子写真感光体である
ことを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2004323517A JP4294574B2 (ja) | 2003-12-01 | 2004-11-08 | 電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジ |
Applications Claiming Priority (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003401588 | 2003-12-01 | ||
JP2004323517A JP4294574B2 (ja) | 2003-12-01 | 2004-11-08 | 電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジ |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2005189822A JP2005189822A (ja) | 2005-07-14 |
JP4294574B2 true JP4294574B2 (ja) | 2009-07-15 |
Family
ID=34797459
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2004323517A Expired - Fee Related JP4294574B2 (ja) | 2003-12-01 | 2004-11-08 | 電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジ |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP4294574B2 (ja) |
Families Citing this family (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
DE602006003386D1 (de) | 2005-09-12 | 2008-12-11 | Ricoh Kk | Latentes elektrostatisches Bildträgerelement, Verfahren zu dessen Herstellung, Bilderzeugungsverfahren, Bilderzeugungsvorrichtung und Prozesskartusche |
JP4602881B2 (ja) * | 2005-09-16 | 2010-12-22 | 株式会社リコー | 感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ |
JP4832182B2 (ja) * | 2005-09-15 | 2011-12-07 | 株式会社リコー | 電子写真感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ |
JP2009222800A (ja) * | 2008-03-13 | 2009-10-01 | Sharp Corp | 電荷発生層形成用塗布液、電子写真感光体の製造方法 |
JP7175713B2 (ja) * | 2018-10-25 | 2022-11-21 | キヤノン株式会社 | 電子写真感光体、プロセスカートリッジ及び電子写真装置 |
-
2004
- 2004-11-08 JP JP2004323517A patent/JP4294574B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JP2005189822A (ja) | 2005-07-14 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4201746B2 (ja) | 電子写真感光体、画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジ | |
JP4300279B2 (ja) | チタニルフタロシアニン結晶、チタニルフタロシアニン結晶の製造方法、電子写真感光体、電子写真方法、電子写真装置および電子写真装置用プロセスカートリッジ | |
JP3891485B2 (ja) | 電子写真装置 | |
JP4294574B2 (ja) | 電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジ | |
JP4607027B2 (ja) | 静電潜像担持体及びその製造方法、並びに画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ | |
JP4283213B2 (ja) | 画像形成装置及び画像形成方法 | |
JP4763545B2 (ja) | 静電潜像担持体及びその製造方法、並びに画像形成方法、画像形成装置及びプロセスカートリッジ | |
JP4807838B2 (ja) | 電子写真装置 | |
JP4480078B2 (ja) | 電子写真感光体、画像形成方法、画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジ | |
JP3919191B2 (ja) | 電子写真装置 | |
JP4201753B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP3867121B2 (ja) | 電子写真装置 | |
JP4615449B2 (ja) | 電子写真感光体とその製造方法、該感光体を用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジ | |
JP4257854B2 (ja) | 電子写真感光体、画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジ | |
JP5049059B2 (ja) | 電子写真感光体、並びにこれを用いた画像形成装置及びプロセスカートリッジ | |
JP4207210B2 (ja) | 画像形成装置及び画像形成方法 | |
JP4602882B2 (ja) | 電子写真感光体、画像形成装置、フルカラー画像形成装置及びプロセスカートリッジ | |
JP4377315B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP4404358B2 (ja) | 電子写真感光体、画像形成装置、画像形成装置用プロセスカートリッジ | |
JP4602881B2 (ja) | 感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ | |
JP4230895B2 (ja) | 画像形成装置 | |
JP4079356B2 (ja) | 分散液の作製方法、電子写真感光体、電子写真装置および電子写真装置用プロセスカートリッジ | |
JP4046333B2 (ja) | チタニルフタロシアニン結晶、チタニルフタロシアニン結晶の製造方法、電子写真感光体、電子写真方法、電子写真装置および電子写真装置用プロセスカートリッジ | |
JP5032912B2 (ja) | 電子写真感光体、これを用いた画像形成装置及び画像形成装置用プロセスカートリッジ | |
JP2005165027A (ja) | 画像形成装置 |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070216 |
|
A977 | Report on retrieval |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007 Effective date: 20090115 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20090123 |
|
A521 | Written amendment |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20090316 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20090407 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20090408 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120417 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130417 Year of fee payment: 4 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140417 Year of fee payment: 5 |
|
LAPS | Cancellation because of no payment of annual fees |