JP4602881B2 - 感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジ - Google Patents

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Description

本発明は、感光体、画像形成装置及びプロセスカートリッジに関する。
近年、電子写真方式を用いた情報処理システム機の発展は目覚ましいものがある。特に情報をデジタル信号に変換して光によって情報記録を行う光プリンターは、そのプリント品質、信頼性において向上が著しい。このデジタル記録技術はプリンターのみならず通常の複写機にも応用され所謂デジタル複写機が開発されている。又、従来からあるアナログ複写機にこのデジタル記録技術を搭載した複写機は、種々様々な情報処理機能が付加されるため、今後その需要性が益々高まっていくと予想される。
このようなデジタル複写機、デジタルプリンタにおいては、原稿における画像面積率が通常10%以下程度であるため、光源の劣化、感光体の光疲労を考慮して画像部に書き込みを行い、感光体の電位減衰した部分にトナー像を現像する反転現像(ネガ・ポジ現像)方式が主流である。この反転現像方式は感光体への光照射量が少なくて済み、繰り返し使用における光疲労を勘案すると感光体にとって有利な現像方式であるが、感光体に微少な欠陥が存在し、電位のリークのような現象が起こると、原稿にはない地肌部(白地)での点欠陥(地肌汚れ、黒ポチなど)が発生してしまう。この欠陥は、図面における点、英文原稿におけるピリオド、カンマなどと見間違えられることがあり、画像としては致命的な欠陥であると言える。
このような欠陥は主に感光体の局部的な電位リークに基づく現象であることがほとんどであり、感光体の耐圧性の向上、帯電均一性の向上、電位保持均一性の向上が主たる課題になっている。この点に鑑み、導電性支持体と感光層の間に中間層(下引層)を設ける試みがなされてきた。この中間層の構成は、バインダー樹脂を主成分として、必要に応じてフィラーを分散した層である。
例えば、特許文献1〜4に開示されるようにバインダー樹脂単独で構成される場合、バインダー樹脂は電気的絶縁性の高い材料であるため、中間層の膜厚は非常に薄くする必要があり、ほとんどの場合2μm以下の構成になる。このような場合には、その形成法が湿式塗工法で行われるため、塗膜中のピンホールを回避することが困難であり、期待するほどの効果が得られない。
主流の感光体のほとんどが正孔輸送タイプの感光体であるため、中間層に電子伝導性のフィラーを添加することにより中間層の厚膜化を図り、このピンホールの回避が行われてきた。しかしながら、特許文献5〜14に開示されるようなフィラー樹脂分散系で構成される中間層には、超微粒子化したサブミクロン以下のフィラーは、高コストであることに加えて、あまりの嵩高さのために作業性が悪く、製造上使用することがでない。このため、サブミクロン(最小で一次粒子が0.3μm程度)の微粒子が用いられることが多い。このため、分散液中あるいは塗工成膜中にフィラーの再凝集が起こり、結果として1μm以上の塗膜欠陥を生じることがあり、均一な帯電性、電位保持性を有する感光体設計のための中間層が形成されない。
一方近年では、書き込みが高密度化され、現像に使用されるトナーの微粒子化も進み、画像の解像度が向上してきた。また、カラー化も進み、全面ベタ画像や中間調画像の割合も増えてきた。このような状況下では、繰り返し使用時や使用環境の変動に対しても、感光体の静電特性を如何に安定化させるかということが大きな課題である。現在までに、様々な試みがなされているが、十分満足の出来る技術は完成されていない。
特開昭47―6341号公報 特開昭60―66258号公報 特開昭52―10138号公報 特開昭58―105155号公報 特開昭58―58556号公報 特開昭60―111255号公報 特開昭59―17557号公報 特開昭60―32054号公報 特開昭64―68762号公報 特開昭64―68763号公報 特開昭64―73352号公報 特開昭64―73353号公報 特開平1―118848号公報 特開平1―118849号公報
本発明は、上記の従来技術が有する問題に鑑み、静電特性の変動が少なく、異常画像の発生の少ない感光体並びに該感光体を有する画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することを目的とする。
画像形成装置の進歩に伴い、小型化・高速化・カラー化・高画質化(高精細化)が進められてきたが、このようなコンセプトは安定した状態で、長期間維持されるものである必要がある。この様な状態を達成するためには、画像形成装置内に用いられる感光体の静電特性が常に安定に動作し、かつ高耐久であることが求められる。
感光体の静電特性とは、画像形成装置内で言えば未露光部電位と露光部電位であり、これらが如何に安定して推移するかと言うことになる。前者は感光体の帯電性及び帯電保持性により決まり、後者は感光体の光感度及び残留電位によって決まる。本発明者らは、感光層に特定の電子輸送剤を含有させることによりこれらを安定に維持できることを見いだした。
一方、高耐久化に関しては、耐久性の律速を決める過程(原因)によって決定される感光体の寿命を、如何に延ばすかということに尽きる。現行の画像形成装置はネガ・ポジ現像が主流であり、この現像方式で最も大きな課題は地肌汚れ(地汚れ)である。これは、導電性支持体と感光層との間の電荷ブロッキング性の問題であり、メイン帯電と逆極性の電荷がリークしてしまうことにより起こる現象であると考えられる。この現象を抑制するために、特定の下引層(中間層)を用いることにより、耐久性を向上させることを見いだした。
(1)導電性支持体上に、少なくとも下引層及び感光層を有する感光体であって、該下引層は、有機金属化合物及びシランカップリング剤を含有し、該感光層は、式(1)で表される電子輸送剤及び電荷発生物質を含有することを特徴とする感光体。
Figure 0004602881
(式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシクロアルキル基及び置換又は無置換のアラルキル基からなる群より選択される官能基を表し、R、R、R、R、R、R、R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、水酸基、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシクロアルキル基及び置換又は無置換のアラルキル基からなる群より選択される官能基を表す。)
(2)前記下引層は、前記有機金属化合物及びシランカップリング剤に相溶する結着樹脂をさらに含有することを特徴とする前記第(1)項に記載の感光体。
(3)前記有機金属化合物は、有機ジルコニウム化合物又は有機チタニウム化合物であることを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載の感光体。
(4)前記感光層に含有される電荷発生物質は、CuKαの特性X線に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれか一項に記載の感光体。
(5)前記チタニルフタロシアニンは、CuKαの特性X線に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、9.4゜、9.6゜及び24.0゜にピークを有すると共に、7.3゜に最も低角側のピークを有し、該7.3°と9.4゜の間にピークを有さないと共に、26.3°にピークを有さないことを特徴とする前記第(4)項に記載の感光体。
(6)前記チタニルフタロシアニンの平均粒子サイズは、0.25μm以下であることを特徴とする前記第(5)項に記載の感光体。
(7)前記第(1)項乃至第(6)項のいずれか一項に記載の感光体を有することを特徴とする画像成形装置。
(8)前記感光体と、前記感光体を帯電する帯電装置と、該帯電された感光体に像露光を行い、静電潜像を形成する像露光装置と、該静電潜像を現像する現像装置とを少なくとも有する画像形成要素が複数配列されていることを特徴とする前記第(7)項に記載の画像形成装置。
(9)前記第(1)項乃至第(6)項のいずれか一項に記載の感光体と、該感光体に形成される静電潜像を現像する現像装置と、該感光体をクリーニングするクリーニング装置とを少なくとも有し、画像形成装置本体に着脱可能であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
(10)前記第(9)項に記載のプロセスカートリッジを有することを特徴とする画像成形装置。
本発明によれば、静電特性の変動が少なく、異常画像の発生の少ない感光体並びに該感光体を有する画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することができる。
次に、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
以下、本発明の感光体の構成を図面に沿って説明する。
図1は、本発明の感光体の一例を示す断面図であり、導電性支持体31上に、下引層32、感光層33が設けられている。
図2は、本発明の感光体の他の例を示す断面図であり、導電性支持体31上に、下引層32、電荷発生層35と電荷輸送層37が設けられている。
図3は、本発明の感光体の他の例を示す断面図であり、導電性支持体31上に、下引層32、電荷発生層35と電荷輸送層37と保護層39が設けられている。
導電性支持体31としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、エンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体31として用いることができる。この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性支持体31として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などがあげられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂があげられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
これらの中でも陽極酸化皮膜処理を簡便に行うことのできるアルミニウムからなる円筒状支持体が最も良好に使用できる。ここでいうアルミニウムとは、純アルミ系あるいはアルミニウム合金のいずれをも含むものである。具体的には、JIS1000番台、3000番台、6000番台のアルミニウムあるいはアルミニウム合金が最も適している。
本発明に用いる下引層は、有機金属化合物、シランカップリング剤を主成分として形成され、さらに、これ等有機金属化合物およびシランカップリング剤と相溶する結着樹脂が含まれていてもよい。
有機金属化合物としては、金属の原子価により次のようなものが用いられる。4価の金属を有する化合物としては、ジルコニウムテトラアセチルアセトネート、ジルコニウムブトキシビスアセチルアセトネート、ジルコニウムトリブトキシアセチルアセトネート、ジルコニウムテトラキスエチルアセトアセテート、ジルコニウムブトキシトリスエチルアセトアセテート、ジルコニウムトリブトキシモノエチルアセトアセテート、ジルコニウムジブトキシビスエチルラクテート、ビスアセチルアセトネートビスエチルアセトアセテートジルコニウム、モノアセチルアセトネートトリスエチルアセトアセテートジルコニウム、ビスアセチルアセトネートビスエチルラクテートジルコニウム等のジルコニウムキレート化合物、ジルコニウムn−ブトキシド、ジルコニウムn−プロポキシド等のジルコニウムアルコキシド等があげられる。
チタニウム化合物としては、一般式(I)で表わされるチタンオルソエステル
Figure 0004602881
(式中、R、R、R及びRは、それぞれメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、クレジル基、ステアリル基、ヘキシル基、ノニル基またはセチル基を表す。)下記一般式(II)で示されるポリオルソチタン酸エステル
Figure 0004602881
(式中、R、R、R及びRは、それぞれメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、クレジル基、ステアリル基、ヘキシル基、ノニル基またはセチル基を表わし、pは2〜10の整数を表す。)下記一般式(III)で示されるチタンキレート化合物
Ti(L)4−q
(式中、Lは、キレート基、Xは、エステル基、qは、1〜4を表す。)また、配位子としては、オクチレングリコール、アセチルアセトン等のβ−ケトン、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、サリチル酸等のヒドロキシカルボン酸、アセト酢酸エステル等のケトエステル、およびジアセトンアルコール等のケトアルコール等があげられる。
3価の金属を有する化合物としては、アルミニウムイソプロポキシド、モノsec−ブトキシアルミニウムジイソプロポキシド、アルミニウムsec−ブトキシド、アルミニウムエトキシド等のアルミニウムアルコキシド;アルミニウムエチルアセトアセテートジイソプロポキシド、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)、アルミニウムトリス(アセチルアセトネート)、アルミニウムビスエチルアセトアセテートモノアセチルアセネート等のアルミニウムキレート化合物;インジウムメトキシド、インジウムエトキシド、インジウムイソプロポキシド、インジウムn−ブトキシド等のインジウムアルコキシド;アンチモンメトキシド、アンチモンエトキシド、アンチモンイソプロポキシド、アンチモンn−ブトキシド等のアンチモンアルコキシド;ボロンメトキシド、ボロンn−ブトキシド等の等のボロンアルコキシド等があげられる。
2価の金属を有する化合物としては、マンガン(II)ビス(アセチルアセトネート、亜鉛(II)ビス(アセチルアセトネート)、錫(II)ビス(アセチルアセトネート)等があげられる。
シランカップリング剤としては、例えば、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−クロロプロピルトリメトキシシラン、γ−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、トリメチルモノメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、モノフェニルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等を挙げることができる。
また、結着樹脂としては、ポリウレタン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリビニルホルマール樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂等が用いられる。
本発明において、下引層は、上記の有機金属化合物、シランカップリング剤をそれぞれ少なくとも1種含むか、または有機金属化合物、シランカップリング剤、結着樹脂をそれぞれ少なくとも1種含み、そして、上記有機金属化合物、シランカップリング剤および結着樹脂は、各々2種以上混合して用いることができる。有機金属化合物に対するシランカップリン剤の量は、5〜95重量%の範囲で任意に設定することができる。
本発明において、下引層に結着樹脂を含有させる場合、その配合量は、有機金属化合物とシランカップリング剤の合計量に対して25重量%以下の範囲に設定することが必要である。結着樹脂を有機金属化合物とシランカップリング剤の合計量に対して、25重量%よりも多くした場合には、塗布液がゲル化し易くなり、また、感光体の電子写真特性の劣化、特に低温、低湿下において感度の低下、残留電位の増大を引き起こすからである。なお、結着樹脂の量が、5重量%よりも少なくした場合には、膜厚を増加させようとすると、成膜後、下引層にはクラックが入り易くなるので、5〜25重量%の範囲が最も好ましい。下引層の膜厚は、0.1〜10μmの範囲に任意に設定されるが、特に0.1〜2μmの範囲が好ましい。下引層の形成は、上記材料を溶媒と混合、溶解して希釈した後、ブレードコーティング法、ワイヤーバーコーティング法、スプレーコーティング法、浸漬コーティング法、ビードコーティング法、エアーナイフコーティング法、カーテンコーティング法等の通常の方法を用いることにより、導電性支持体上に塗布し、その後、100〜200℃の温度範囲で乾燥することにより行われる。
次に感光層について説明する。感光層は電荷発生物質と電荷輸送物質を含む単層構成の感光層(図1)でも構わないが、電荷発生層と電荷輸送層で構成される積層型(図2、図3)が感度、耐久性において優れた特性を示し、良好に使用される。説明の都合上、積層構成からなる感光層について先に述べる。
電荷発生層は、電荷発生物質を主成分とする層である。電荷発生物質としては、特に限定はなく、公知の材料を用いることが出来る。中でも、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンは有用に用いることができる。特に、特開2001−19871号公報に記載の結晶型、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶が良好に用いられ、更に26.3°にピークを有さない結晶は有効に使用できる。更に、上記結晶型を有し、結晶合成時あるいは分散濾過処理により、平均粒子サイズを0.25μm以下にし、粗大粒子の存在しないチタニルフタロシアン結晶(特開2004−83859号公報、特開2004−78141号公報)は最も有用に使用できる。
電荷発生層は、前記電荷発生物質を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
必要に応じて電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、必要に応じて電荷発生層に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等があげられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。
ここで用いられる溶剤としては、例えばイソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられる。塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。電荷発生層の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
電荷輸送層は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。正孔輸送物質としては、ポリ(N−ビニルカルバゾール)およびその誘導体、ポリ(γ−カルバゾリルエチルグルタメート)およびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
結着樹脂としてはポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は5〜100μm程度とすることが好ましい。
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。中でも、環境への負荷低減等の意図から、非ハロゲン系溶媒の使用は望ましいものである。具体的には、テトラヒドロフランやジオキソラン、ジオキサン等の環状エーテルやトルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、及びそれらの誘導体が良好に用いられる。
また、電荷輸送層には電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂の機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これら高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層8は耐摩耗性に優れたものである。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、式(I)〜(X)式で表わされる高分子電荷輸送物質が良好に用いられ、これらを以下に例示し、具体例を示す。
Figure 0004602881
式中、R、R、Rはそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、Rは水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R、Rは置換もしくは無置換のアリール基、o、p、qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k、jは組成を表し、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表し5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、または下記一般式で表される2価基を表す。尚、(I)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 0004602881
101、R102は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表す。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表す。)または、
Figure 0004602881
(aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表す。ここで、R101とR102、R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。)
Figure 0004602881
式中、R、Rは置換もしくは無置換のアリール基、Ar、Ar、Arは同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、(I)式の場合と同じである。なお、(II)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 0004602881
式中、R、R10は置換もしくは無置換のアリール基、Ar、Ar、Arは同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、(I)式の場合と同じである。なお、(III)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 0004602881
式中、R11、R12は置換もしくは無置換のアリール基、Ar、Ar、Arは同一又は異なるアリレン基、pは1〜5の整数を表す。X、k、j及びnは、(I)式の場合と同じである。なお、(IV)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 0004602881
式中、R13、R14は置換もしくは無置換のアリール基、Ar10、Ar11、Ar12は同一又は異なるアリレン基、X、Xは置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表す。X、k、j及びnは、(VI)式の場合と同じである。なお、(VI)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 0004602881
式中、R15、R16、R17、R18は置換もしくは無置換のアリール基、Ar13、Ar14、Ar15、Ar16は同一又は異なるアリレン基、Y、Y、Yは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表し同一であっても異なってもよい。X、k、j及びnは、(VI)式の場合と同じである。なお、(VI)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 0004602881
式中、R19、R20は水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表し、R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17、Ar18、Ar19は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、(I)式の場合と同じである。なお、(VII)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 0004602881
式中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、Ar20、Ar21、Ar22、Ar23は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、(I)式の場合と同じである。なお、(VIII)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 0004602881
式中、R22、R23、R24、R25は置換もしくは無置換のアリール基、Ar24、Ar25、Ar26、Ar27、Ar28は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、(I)式の場合と同じである。なお、(IX)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 0004602881
式中、R26、R27は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29、Ar30、Ar31は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、(I)式の場合と同じである。なお、(X)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
また、電荷輸送層に使用される高分子電荷輸送物質として、上述の高分子電荷輸送物質の他に、電荷輸送層の成膜時には電子供与性基を有するモノマーあるいはオリゴマーの状態で、成膜後に硬化反応あるいは架橋反応をさせることで、最終的に2次元あるいは3次元の架橋構造を有する重合体も含むものである。
さらに電荷輸送層の構成として、架橋構造からなる電荷輸送層も有効に使用される。架橋構造の形成に関しては、1分子内に複数個の架橋性官能基を有する反応性モノマーを使用し、光や熱エネルギーを用いて架橋反応を起こさせ、3次元の網目構造を形成するものである。この網目構造がバインダー樹脂として機能し、高い耐摩耗性を発現するものである。
また、上記反応性モノマーとして、全部もしくは一部に電荷輸送能を有するモノマーを使用することは非常に有効な手段である。このようなモノマーを使用することにより、網目構造中に電荷輸送部位が形成され、電荷輸送層としての機能を十分に発現することが可能となる。電荷輸送能を有するモノマーとしては、トリアリールアミン構造を有する反応性モノマーが有効に使用される。
このような網目構造を有する電荷輸送層は、耐摩耗性が高い反面、架橋反応時に体積収縮が大きく、あまり厚膜化するとクラックなどを生じる場合がある。このような場合には、電荷輸送層を積層構造として、下層(電荷発生層側)には低分子分散ポリマーの電荷輸送層を使用し、上層(表面側)に架橋構造を有する電荷輸送層を形成しても良い。
これら電子供与性基を有する重合体から構成される電荷輸送層、あるいは架橋構造を有する重合体は耐摩耗性に優れたものである。通常、画像形成プロセスにおいては、帯電電位(未露光部電位)は一定であるため、繰り返し使用により感光体の表面層が摩耗すると、その分だけ感光体にかかる電界強度が高くなってしまう。この電界強度の上昇に伴い、地汚れの発生頻度が高くなるため、感光体の耐摩耗性が高いことは、地汚れに対して有利である。これら電子供与性基を有する重合体から構成される電荷輸送層は、自身が高分子化合物であるため成膜性に優れ、低分子分散型高分子からなる電荷輸送層に比べ、電荷輸送部位を高密度に構成することが可能で電荷輸送能に優れたものである。このため、高分子電荷輸送物質を用いた電荷輸送層を有する感光体には高速応答性が期待できる。
その他の電子供与性基を有する重合体としては、公知単量体の共重合体や、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマーや、また、例えば特開平3―109406号公報、特開2000―206723号公報、特開2001―34001号公報等に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体などを用いることも可能である。
本発明において電荷輸送層中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂に対して0〜30重量%程度が適当である。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいは、オリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂に対して、0〜1重量%が適当である。
上記は感光層が積層構成の場合について述べたが、本発明においては感光層が単層構成でも構わない。感光層を単層構成とするためには、少なくとも上述の電荷発生物質とバインダー樹脂を含有する単一層を設けることで感光層は構成され、バインダー樹脂としては電荷発生層や電荷輸送層の説明の所に記載したものが良好に使用される。また、単層感光層には電荷輸送物質を併用することで、高い光感度、高いキャリア輸送特性、低い残留電位が発現され、良好に使用できる。この際、使用する電荷輸送物質は、感光体表面に帯電させる極性に応じて、正孔輸送物質、電子輸送物質の何れかが選択される。更に、上述した高分子電荷輸送物質もバインダー樹脂と電荷輸送物質の機能を併せ持つため、単層感光層には良好に使用される。
本発明においては、式(1)で表される電子輸送剤は、感光層に含有される。
Figure 0004602881
式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシクロアルキル基及び置換又は無置換のアラルキル基からなる群より選択される官能基を表し、R、R、R、R、R、R、R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、水酸基、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシクロアルキル基及び置換又は無置換のアラルキル基からなる群より選択される官能基を表す。
上述した感光層構成と併せてその添加方法について示す。
感光層が単層構成の場合、式(1)の電子輸送剤は、電子輸送物質として使用される。光キャリア発生サイトが感光体表面近傍か、バルク深くかに依るが、メインに正孔を移動させる構成である場合には添加剤のような形(多量に使用される主材料ではないという意味)で使用され、メインに電子を移動させるような場合にはメインの電荷(電子)輸送物質として使用される。具体的には、単層感光層が正帯電で使用され、感光層表面近傍で光キャリアを生成させるような構成の場合、感光層中の電荷としてはメインには正孔が長い距離を移動することになる。この場合には、メインの電荷輸送物質は正孔輸送物質ということになり、式(1)の電子輸送剤は、表面への電子移動物質として使用される。一方、バルクの深いところ(支持体側)で光キャリアを生成させる場合、電子がメインに移動することになり、この場合には式(1)の電子輸送剤は、メインの電荷輸送物質として使用される。帯電極性が負帯電の場合には、上記説明の逆になる。
感光層が積層構成の場合、帯電極性によって、添加される層が異なる可能性が出てくる。電荷発生層/電荷輸送層の順で感光層が積層されるが、負帯電で使用される場合には、メインには正孔が移動することになる。このため、式(1)の電子輸送剤は、電荷輸送層に添加される場合には添加剤のような形で使用され、電荷発生層に添加される場合には電子輸送物質として使用される。逆に正帯電で使用される場合には、メインには電子が移動することになる。このため、式(1)の電子輸送剤は、電荷輸送層に用いられる場合には電荷輸送物質として使用される。電荷発生層に使用される場合には添加剤のような形で使用される。
本発明の感光体には、感光層保護の目的で、保護層が感光層の上に設けられることもある。近年、日常的にコンピュータの使用が行われるようになり、プリンターによる高速出力とともに、装置の小型も望まれている。従って、保護層を設け、耐久性を向上させることによって、本発明の高感度で異常欠陥のない感光体を有用に用いることができる。
本発明で使用できる保護層としては、特開2002−278120号公報等に記載のフィラーを分散した保護層、特開2005−115353号公報等に記載の光架橋型保護層、特開2002−31911号公報等に記載の電荷注入層のようなものが使用できる。
次に、図面を用いて本発明の画像形成装置を詳しく説明する。
図4は、本発明の画像形成装置の一例を示す図であり、下記に示すような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図4において、感光体1は導電性支持体上に少なくとも特定の下引層と感光層が設けられてなり、感光層には式(1)で表される電子輸送剤を含有してなる。感光体はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。帯電ローラ3、転写前チャージャ7、転写チャージャ10、分離チャージャ11、クリーニング前チャージャ13には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラ、転写ローラを始めとする公知の手段が用いられる。
これらの、帯電方式のうち、特に接触帯電方式、あるいは非接触の近接配置方式が望ましい。接触帯電方式においては帯電効率が高くオゾン発生量が少ない、装置の小型化が可能である等のメリットを有する。ここでいう接触方式の帯電部材とは、感光体表面に帯電部材の表面が接触するタイプのものであり、帯電ローラ、帯電ブレード、帯電ブラシの形状がある。中でも帯電ローラや帯電ブラシが良好に使用される。
また、近接配置した帯電部材とは、感光体表面と帯電部材表面の間に200μm以下の空隙(ギャップ)を有するように非接触状態で近接配置したタイプのものである。空隙の距離から、コロトロン、スコロトロンに代表される公知の帯電器とは区別されるものである。本発明において使用される近接配置された帯電部材は、感光体表面との空隙を適切に制御できる機構のものであればいかなる形状のものでも良い。例えば、感光体の回転軸と帯電部材の回転軸を機械的に固定して、適正ギャップを有するような配置にすればよい。中でも、帯電ローラの形状の帯電部材を用い、帯電部材の非画像形成部両端にギャップ形成部材を配置して、この部分のみを感光体表面に当接させ、画像形成領域を非接触配置させる、あるいは感光体非画像形成部両端ギャップ形成部材を配置して、この部分のみを帯電部材表面に当接させ、画像形成領域を非接触配置させる様な方法が、簡便な方法でギャップを安定して維持できる方法である。特に、特開2002−148904号、特開2002−148905号に記載された方法は良好に使用できる。帯電部材側にギャップ形成部材を配置した近接帯電機構の一例を図5に示す。前記方式を用いることで、帯電効率が高くオゾン発生量が少ない、装置の小型化が可能、さらには、トナー等による汚れが生じない、接触による機械的摩耗が発生しない等の利点を有していることから良好に使用される。さらに印加方式としては、交流重畳を用いることでより帯電ムラが生じにくい等の利点を有し、良好に使用できる。
このような接触方式の帯電部材あるいは非接触帯電方式の帯電部材を用いた場合、感光体の絶縁破壊を生じやすいという欠点を有している。しかしながら、本発明に用いられる感光体は、電荷ブロッキング層とモアレ防止層の積層構成からなる中間層を有し、更に感光層には電荷発生物質の粗大粒子が含有されていないため、感光体の耐圧性が極めて高い。このため、感光体の絶縁破壊に対する耐性が高く、上記帯電部材のメリット(帯電ムラ防止)が生かせるものである。
このような帯電部材により感光体に帯電が施されるが、通常の画像形成装置においては、感光体に起因する地汚れが発生し易いため、感光体にかかる電界強度は低めに設定される(40V/μm以下、好ましくは30V/μm以下)。これは、地汚れの発生が電界強度に依存し、電界強度が上昇すると地汚れ発生確率が上昇するためである。しかしながら、感光体にかかる電界強度を低下させることは、光キャリア発生効率を低下させ、光感度を低下させる。また、感光体表面と導電性支持体との間にかかる電界強度が低下するため、感光層で生成する光キャリアの直進性が低下し、クローン反発による拡散が大きくなり、結果として解像度の低下を生じる。一方、本発明の感光体を用いることにより、地汚れ発生確率を極端に低下させることが出来るため、電界強度を必要以上に低下させる必要はなくなり、40V/μm以上の電界強度下でも使用できるようになる。このため、感光体光減衰におけるゲイン量を十分に確保でき、後述の現像(ポテンシャル)に対しても大きな余裕度を生み出し、解像度も低下させることなく現像が出来るようになる。
また、画像露光部5には、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの高輝度を確保できる光源が使用される。
除電ランプ2等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
これらの光源のうち、発光ダイオード、及び半導体レーザーは照射エネルギーが高く、また600〜800nmの長波長光を有するため、前述の電荷発生材料であるフタロシアニン顔料が高感度を示すことから良好に使用される。かかる光源等は、図4に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
さて、現像ユニット6により感光体1上に現像されたトナーは、転写紙9に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体1上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、ファーブラシ14およびブレード15により、感光体より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行うと、感光体の表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られ、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
図6には、本発明の画像形成装置の他の例を示す。感光体21は導電性支持体上に少なくとも特定の下引層と感光層が設けられてなり、感光層には式(1)で表される電子輸送剤を含有してなる。駆動ローラー22a、22bにより駆動され、帯電器23による帯電、光源24による像露光、現像(図示せず)、帯電器25を用いる転写、光源26によるクリーニング前露光、ブラシ27によるクリーニング、光源28による除電が繰り返し行われる。
以上の図示した画像形成プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、図6において支持体側よりクリーニング前露光を行っているが、これは感光層側から行ってもよいし、また、除電光の照射を支持体側から行ってもよい。
一方、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行うこともできる。
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等を含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、本発明のプロセスカートリッジの一例として、図7に示すものが挙げられる。感光体1は導電性支持体上に少なくとも特定の下引層と感光層が設けられてなり、感光層には式(1)で表される電子輸送剤を含有してなる。
図8は、本発明の画像形成装置の他の例を示す図であり、タンデム方式を採用している。なお、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図8において、符号1C、1M、1Y、1Kはドラム状の感光体であり、感光体1は導電性支持体上に少なくとも特定の下引層と感光層が設けられてなり、感光層には式(1)で表される電子輸送剤を含有してなる。
この感光体1C、1M、1Y、1Kは図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電部材2C、2M、2Y、2K、現像部材4C、4M、4Y、4K、クリーニング部材5C、5M、5Y、5Kが配置されている。帯電部材2C、2M、2Y、2Kは、感光体表面を均一に帯電するための帯電装置を構成する帯電部材である。この帯電部材2C、2M、2Y、2Kと現像部材4C、4M、4Y、4Kの間の感光体表面側より、図示しない露光部材からのレーザー光3C、3M、3Y、3Kが照射され、感光体1C、1M、1Y、1Kに静電潜像が形成されるようになっている。そして、このような感光体1C、1M、1Y、1Kを中心とした4つの画像形成要素6C、6M、6Y、6Kが、転写材搬送手段である転写搬送ベルト10に沿って並置されている。転写搬送ベルト10は各画像形成ユニット6C、6M、6Y、6Kの現像部材4C、4M、4Y、4Kとクリーニング部材5C、5M、5Y、5Kの間で感光体1C、1M、1Y、1Kに当接しており、転写搬送ベルト10の感光体側の裏側に当たる面(裏面)には転写バイアスを印加するための転写ブラシ11C、11M、11Y、11Kが配置されている。各画像形成要素6C、6M、6Y、6Kは現像装置内部のトナーの色が異なることであり、その他は全て同様の構成となっている。
図8に示す構成の画像形成装置において、画像形成動作は次のようにして行われる。まず、各画像形成要素6C、6M、6Y、6Kにおいて、感光体1C、1M、1Y、1Kが矢印方向(感光体と連れ周り方向)に回転する帯電部材2C、2M、2Y、2Kにより帯電され、次に感光体の外側に配置された露光部(図示しない)でレーザー光3C、3M、3Y、3Kにより、作成する各色の画像に対応した静電潜像が形成される。次に現像部材4C、4M、4Y、4Kにより潜像を現像してトナー像が形成される。現像部材4C、4M、4Y、4Kは、それぞれC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のトナーで現像を行う現像部材で、4つの感光体1C、1M、1Y、1K上で作られた各色のトナー像は転写紙上で重ねられる。転写紙7は給紙コロ8によりトレイから送り出され、一対のレジストローラ9で一旦停止し、上記感光体上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト10に送られる。転写搬送ベルト10上に保持された転写紙7は搬送されて、各感光体1C、1M、1Y、1Kとの当接位置(転写部)で各色トナー像の転写が行われる。感光体上のトナー像は、転写ブラシ11C、11M、11Y、11Kに印加された転写バイアスと感光体1C、1M、1Y、1Kとの電位差から形成される電界により、転写紙7上に転写される。そして4つの転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた記録紙7は定着装置12に搬送され、トナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。また、転写部で転写されずに各感光体1C、1M、1Y、1K上に残った残留トナーは、クリーニング装置5C、5M、5Y、5Kで回収される。なお、図8の例では画像形成要素は転写紙搬送方向上流側から下流側に向けて、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものでは無く、色順は任意に設定されるものである。また、黒色のみの原稿を作成する際には、黒色以外の画像形成要素(6C、6M、6Y)が停止するような機構を設けることは本発明に特に有効に利用できる。さらに、図8において帯電部材は感光体と当接しているが、図5に示したような帯電機構にすることにより、両者の間に適当なギャップ(10−200μm程度)を設けることにより、両者の摩耗量が低減できると共に、帯電部材へのトナーフィルミングが少なくて済み良好に使用できる。
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、各々の画像形成要素はプロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等を含んだ1つの装置(部品)である。
以下、実施例により本発明について詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に何ら限定されるものではない。なお、部は、重量部を意味する。
−電子輸送剤の合成−
本発明に用いる式(1)で表される電子輸送剤は、下記に示す構造骨格を有する。
Figure 0004602881
式中、R及びRは、それぞれ独立に、水素原子、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシクロアルキル基及び置換又は無置換のアラルキル基からなる群より選択される官能基を表し、R、R、R、R、R、R、R及びR10は、それぞれ独立に、水素原子、ハロゲン基、シアノ基、ニトロ基、アミノ基、水酸基、置換又は無置換のアルキル基、置換又は無置換のシクロアルキル基及び置換又は無置換のアラルキル基からなる群より選択される官能基を表す。
該置換又は無置換のアルキル基としては、炭素数1〜25、好ましくは炭素数1〜10の炭素原子を有するアルキル基、具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ペプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基といった直鎖状のもの、イソプロピル基、s−ブチル基、t−ブチル基、メチルプロピル基、ジメチルプロピル基、エチルプロピル基、ジエチルプロピル基、メチルブチル基、ジメチルブチル基、メチルペンチル基、ジメチルペンチル基、メチルヘキシル基、ジメチルヘキシル基等の分岐状のもの、アルコキシアルキル基、モノアルキルアミノアルキル基、ジアルキルアミノアルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルキルカルボニルアルキル基、カルボキシアルキル基、アルカノイルオキシアルキル基、アミノアルキル基、エステル化されていてもよいカルボキシル基で置換されたアルキル基、シアノ基で置換されたアルキル基等が例示できる。なお、これらの置換基の置換位置については特に限定されず、上記置換又は無置換のアルキル基の炭素原子の一部がヘテロ原子(N、O、S等)に置換された基も置換されたアルキル基に含まれる。
該置換又は無置換のシクロアルキル基としては、炭素数3〜25、好ましくは炭素数3〜10の炭素原子を有するシクロアルキル環、具体的には、シクロプロパンからシクロデカンまでの同属環、メチルシクロペンタン、ジメチルシクロペンタン、メチルシクロヘキサン、ジメチルシクロヘキサン、トリメチルシクロヘキサン、テトラメチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ジエチルシクロヘキサン、t−ブチルシクロヘキサン等のアルキル置換基を有するもの、アルコキシアルキル基、モノアルキルアミノアルキル基、ジアルキルアミノアルキル基、ハロゲン置換アルキル基、アルコキシカルボニルアルキル基、カルボキシアルキル基、アルカノイルオキシアルキル基、アミノアルキル基、ハロゲン原子、アミノ基、エステル化されていてもよいカルボキシル基、シアノ基等で置換されたシクロアルキル基等が例示できる。なお、これらの置換基の置換位置については特に限定されず、上記置換又は無置換のシクロアルキル基の炭素原子の一部がヘテロ原子(N、O、S等)に置換された基も置換されたアルキル基に含まれる。
置換または無置換のアラルキル基としては、上述の置換または無置換のアルキル基に芳香族環が置換した基が挙げられ、炭素数6〜14のアラルキル基が好ましい。より具体的には、ベンジル基、ペルフルオロフェニルエチル基、1−フェニルエチル基、2−フェニルエチル基、ターフェニルエチル基、ジメチルフェニルエチル基、ジエチルフェニルエチル基、t−ブチルフェニルエチル基、3−フェニルプロピル基、4−フェニルブチル基、5−フェニルペンチル基、6−フェニルヘキシル基、ベンズヒドリル基、トリチル基などが例示できる。
さらに具体的には、式(2)〜(6)で表される電子輸送剤が、得られる画像が高品質である点で好ましい。なお、式中、Meはメチル基を示す。
Figure 0004602881
Figure 0004602881
Figure 0004602881
Figure 0004602881
Figure 0004602881
式(1)で表される電子輸送剤の製造方法としては、下記の方法が例示できる。ナフタレンカルボン酸若しくはその無水物をアミン類と反応させ、モノイミド化する方法、ナフタレンカルボン酸若しくはその無水物を緩衝液によりpH調整してジアミン類と反応させる方法等により得られる。モノイミド化は無溶媒、若しくは溶媒存在下でおこなう。溶媒としては特に制限はないが、ベンゼン、トルエン、キシレン、クロロナフタレン、酢酸、ピリジン、メチルピリジン、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、ジメチルエチレンウレア、ジメチルスルホキサイド等原料や生成物と反応せず50℃〜250℃の温度で反応させられるものを用いるとよい。pH調整には水酸化リチウム、水酸化カリウム等の塩基性水溶液をリン酸等の酸との混合により作製した緩衝液を用いる。カルボン酸とアミン類やジアミン類とを反応させて得られたカルボン酸誘導体脱水反応は無溶媒、若しくは溶媒存在下でおこなう。溶媒としては特に制限は無いがベンゼン、トルエン、クロロナフタレン、ブロモナフタレン、無水酢酸等原料や生成物と反応せず50℃〜250℃の温度で反応させられるものを用いるとよい。いずれの反応も、無触媒若しくは触媒存在下でおこなってよく、特に限定されないが例えばモレキュラーシーブスやベンゼンスルホン酸やp−トルエンスルホン酸等を脱水剤として用いることが例示できる。
なお、式(2)で表される電子輸送剤は、下記の方法により製造した。
(第一工程)
200ml4つ口フラスコに、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物5.0g(18.6mmol)、DMF50mlを入れ、加熱還流させた。これに、2−アミノヘプタン2.14g(18.6mmol)とDMF25mlの混合物を攪拌しながら滴下した。滴下終了後、6時間加熱還流させた。反応終了後、容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣にトルエンを加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。更に回収品をトルエン/ヘキサンにより再結晶し、モノイミド体Aを2.14g(収率31.5%)得た。
(第二工程)
100ml4つ口フラスコに、2.0g(5.47mmol)のモノイミド体Aと、ヒドラジン一水和物0.137g(2.73mmol)、p−トルエンスルホン酸10mg、トルエン50mlを入れ、5時間加熱還流させた。反応終了後、容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。さらに回収品をトルエン/酢酸エチルにより再結晶し、式(2)で表される電子輸送剤1を0.668g(収率33.7%)得た。質量分析(FD−MS)において、M/z=726のピークが観測されたことにより目的物であると同定した。元素分析は計算値、炭素69.41%、水素5.27%、窒素7.71%に対し、実測値で炭素69.52%、水素5.09%、窒素7.93%あった。
なお、式(3)で表される電子輸送剤は、下記の方法により製造した。
(第一工程)
200ml4つ口フラスコに、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物10g(37.3mmol)とヒドラジン一水和物0.931g(18.6mmol)、p−トルエンスルホン酸20mg、トルエン100mlを入れ、5時間加熱還流させた。反応終了後、容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。さらに回収品をトルエン/酢酸エチルにより再結晶し、二量体Cを2.84g(収率28.7%)得た。
(第二工程)
100ml4つ口フラスコに、2.5g(4.67mmol)の二量体C、DMF30mlを入れ、加熱還流させた。これに、2−アミノプロパン0.278g(4.67mmol)とDMF10mlの混合物を攪拌しながら滴下した。滴下終了後、6時間加熱還流させた。反応終了後、反応容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣にトルエンを加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、モノイミド体Cを0.556g(収率38.5%)得た。
(第三工程)
50ml4つ口フラスコに、0.50g(1.62mmol)のモノイミド体C、DMF10mlを入れ、加熱還流させた。これに、2−アミノヘプタン0.186g(1.62mmol)とDMF5mlの混合物を攪拌しながら滴下した。滴下終了後、6時間加熱還流させた。反応終了後、反応容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣にトルエンを加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。さらに回収品をトルエン/ヘキサンにより再結晶し、式(3)で表される電子輸送剤2を0.243g(収率22.4%)得た。質量分析(FD−MS)において、M/z=670のピークが観測されたことにより目的物であると同定した。元素分析は計算値、炭素68.05%、水素4.51%、窒素8.35%に対し、実測値で炭素68.29%、水素4.72%、窒素8.33%あった。
なお、式(4)で表される電子輸送剤は、下記の方法により製造した。
(第一工程)
200ml4つ口フラスコに、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物5.0g(18.6mmol)、DMF50mlを入れ、加熱還流させた。これに、2−アミノプロパン1.10g(18.6mmol)とDMF25mlの混合物を攪拌しながら滴下した。滴下終了後、6時間加熱還流させた。反応終了後、反応容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣にトルエンを加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。更に回収品をトルエン/ヘキサンにより再結晶し、モノイミド体Bを2.08g(収率36.1%)得た。
(第二工程)
100ml4つ口フラスコに、2.0g(6.47mmol)のモノイミド体Bと、ヒドラジン一水和物0.162g(3.23mmol)、p−トルエンスルホン酸10mg、トルエン50mlを入れ、5時間加熱還流させた。反応終了後、容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。さらに回収品をトルエン/酢酸エチルにより再結晶し、式(4)で表される電子輸送剤3を0.810g(収率37.4%)得た。質量分析(FD−MS)において、M/z=614のピークが観測されたことにより目的物であると同定した。元素分析は計算値、炭素66.45%、水素3.61%、窒素9.12%に対し、実測値で炭素66.28%、水素3.45%、窒素9.33%あった。
なお、上述の式(5)で表される電子輸送剤は、下記の方法により製造した。
(第一工程)
200ml4つ口フラスコに、5.0g(9.39mmol)の二量体C、DMF50mlを入れ、加熱還流させた。これに、2−アミノヘプタン1.08g(9.39mmol)DMF25mlの混合物を攪拌しながら滴下した。滴下終了後、6時間加熱還流させた。反応終了後、反応容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣にトルエンを加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製し、モノイミド体Dを1.66g(収率28.1%)得た。
(第二工程)
100ml4つ口フラスコに、1.5g(2.38mmol)のモノイミド体D、DMF50mlを入れ、加熱還流させた。これに、2−アミノオクタン0.308g(2.38mmol)とDMF10mlの混合物を攪拌しながら滴下した。滴下終了後、6時間加熱還流させた。反応終了後、反応容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣にトルエンを加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製した。更に回収品をトルエン/ヘキサンにより再結晶し、式(5)で表される電子輸送剤0.328g(収率18.6%)を得た。質量分析(FD−MS)において、M/z=740のピークが観測されたことにより目的物であると同定した。元素分析は計算値、炭素69.72%、水素5.44%、窒素7.56%に対し、実測値で炭素69.55%、水素5.26%、窒素7.33%あった。
なお、の式(6)で表される電子輸送剤は、下記の方法により製造した。
(第一工程)
200ml4つ口フラスコに、5.0g(9.39mmol)の二量体C、DMF50mlを入れ、加熱還流させた。これに、2−アミノヘプタン1.08g(9.39mmol)DMF25mlの混合物を攪拌しながら滴下した。滴下終了後、6時間加熱還流させた。反応終了後、反応容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣にトルエンを加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製し、モノイミド体Dを1.66g(収率28.1%)得た。
(第二工程)
100ml4つ口フラスコに、1.5g(2.38mmol)モノイミド体D、DMF50mlを入れ、加熱還流させた。これに、6−アミノウンデカン0.408g(2.38mmol)とDMF10mlの混合物を攪拌しながら滴下した。滴下終了後、6時間加熱還流させた。反応終了後、反応容器を冷却し、減圧濃縮した。残渣にトルエンを加え、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製した。更に回収品をトルエン/ヘキサンにより再結晶し、式(6)で表される電子輸送剤0.276g(収率14.8%)を得た。質量分析(FD−MS)において、M/z=782のピークが観測されたことにより目的物であると同定した。元素分析は計算値、炭素70.57%、水素5.92%、窒素7.16%に対し、実測値で炭素70.77%、水素6.11%、窒素7.02%あった。
−チタニルフタロシアニン結晶の合成−
(顔料合成例1)
特開2001−19871号公報に準じて、顔料を作製した。即ち、1,3−ジイミノイソインドリン29.2gとスルホラン200mlを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド20.4gを滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行った。反応終了後、放冷した後、析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、次にメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過し、次いで、洗浄液が中性になるまでイオン交換水(pH:7.0、比伝導度:1.0μS/cm)により水洗いを繰り返し(洗浄後のイオン交換水のpH値は6.8、比伝導度は2.6μS/cmであった)、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキ(水ペースト)を得た。得られたこのウェットケーキ(水ペースト)40gをテトラヒドロフラン200gに投入し、4時間攪拌を行った後、濾過を行い、乾燥して、チタニルフタロシアニン粉末を得た。これを顔料1とする。
ウェットケーキの固形分濃度は、15重量%であった。結晶変換溶媒は、ウェットケーキに対する重量比で33倍の量を用いた。なお、顔料合成例1の原材料には、ハロゲン含有化合物を使用していない。
得られたチタニルフタロシアニン粉末を、下記の条件によりX線回折スペクトル測定したところ、Cu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θが27.2±0.2°に最大ピークと最低角7.3±0.2°にピークを有し、かつ7.3°のピークと9.4°のピークの間にピークを有さず、さらに26.3°にピークを有さないチタニルフタロシアニン粉末が得られた。図9に、チタニルフタロシアニン粉末のX線回折スペクトルを示す。
また、ウェットケーキの一部を80℃の減圧下(5mmHg)で、2日間乾燥して、低結晶性チタニルフタロシアニン粉末を得た。図10に、低結晶性チタニルフタロシアニン粉末のX線回折スペクトルを示す。
(X線回折スペクトルの測定条件)
X線管球:Cu
電圧:50kV
電流:30mA
走査速度:2°/分
走査範囲:3〜40°
時定数:2秒
(顔料合成例2)
−チタニルフタロシアニン結晶の合成−
顔料合成例1の方法に従って、チタニルフタロシアニン顔料の水ペーストを合成し、次のように結晶変換を行い、顔料合成例1よりも一次粒子径の小さいチタニルフタロシアニン結晶を得た。
特開2004−83859号公報、実施例1に準じて、顔料合成例1で得られた結晶変換前の水ペースト60部にテトラヒドロフラン400部を加え、室温下でホモミキサー(ケニス、MARKIIfモデル)を用いて撹拌(2000rpm)し、ペーストの濃紺色の色が淡い青色に変化したら(撹拌開始後20分)、撹拌を停止し、直ちに減圧濾過を行った。濾過装置上で得られた結晶をテトラヒドロフランで洗浄し、顔料のウェットケーキを得た。これを減圧下(5mmHg)、70℃で2日間乾燥して、チタニルフタロシアニン結晶8.5部を得た。これを顔料2とする。顔料合成例2の原材料には、ハロゲン含有化合物を使用していない。ウェットケーキの固形分濃度は、15重量%であった。結晶変換溶媒は、ウェットケーキに対する重量比で44倍の量を用いた。
顔料合成例2で作製された結晶変換前チタニルフタロシアニン(水ペースト)の一部をイオン交換水でおよそ1重量%になるように希釈し、表面を導電性処理した銅製のネットですくい取り、チタニルフタロシアニンの粒子径を透過型電子顕微鏡H−9000NAR(日立社製)にて、75000倍の倍率で観察を行った。平均粒子サイズは、以下のように求めた。
上述のように観察されたTEM像をTEM写真として撮影し、映し出されたチタニルフタロシアニン粒子(針状に近い形)を30個任意に選び出し、それぞれの長径の大きさを測定する。測定した30個体の長径の算術平均を求めて、平均粒子サイズとした。以上の方法により求められた顔料合成例2における水ペースト中の平均粒子サイズは、0.06μmであった。
また、顔料合成例1及び顔料合成例2における濾過直前の結晶変換後チタニルフタロシアニン結晶を、テトラヒドロフランでおよそ1重量%になるように希釈し、上の方法と同様に観察を行った。上記のようにして求めた平均粒子サイズを表1に示す。なお、顔料合成例1及び顔料合成例2で作製されたチタニルフタロシアニン結晶は、必ずしも全ての結晶の形が同一ではなかった(三角形に近い形、四角形に近い形等)。このため、結晶の最も大きな対角線の長さを長径として、計算を行った。
Figure 0004602881
顔料合成例2で作製した顔料2は、先程と同様の方法でX線回折スペクトルを測定した。その結果、顔料合成例2で作製した顔料2のX線回折スペクトルは、顔料合成例1で作製した顔料1のスペクトルと一致した。
(実施例1)
長さ340mm、直径30mmのアルミシリンダー(JIS1050)を導電性支持体とし、下記組成の下引層塗工液、感光層塗工液を塗布、乾燥し、0.9μmの下引層、20μmの感光層を形成して感光体を得た(感光体1とする)。
(下引層塗工液)
アセチルアセトンジルコニウムブトキシド 20部
(オルガチックスZC540、松本製薬工業社製)
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン 2部
(A1100、日本ユニカー社製)
ポリビニルブチラール樹脂 1.5部
(エスレックBM−S、積水化学社製)
n−ブチルアルコール 70部
上記塗工液を用い、浸漬塗工法により塗布し、150℃において10分間加熱乾燥することにより、下引層を形成した。
(感光層塗工液)
まず、電荷発生材料として先に合成した顔料1を30部、シクロヘキサンノン970部と共に、ボールミル装置を用いて2時間分散させ、電荷発生材料分散液とした。これとは別にテトラヒドロフラン340部に、Z型ポリカーボネート樹脂(粘度平均分子量4万、帝人化成社製)49部、先に合成した電子輸送剤1を20部、下記構造式の化合物29.5部及びシリコーンオイル(KF50−100CS、信越化学工業社製)0.1部を溶解させ、これに前述の電荷発生材料分散液66.6部を添加し撹拌して感光層塗工液とした。
Figure 0004602881
(実施例2)
下引層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、実施例1と同様に感光体を作製した(感光体2とする)。
(下引層塗工液)
チタンアセチルアセトネート 10部
(オルガチックスTC100、松本製薬工業社製)
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン 1部
ポリビニルブチラール樹脂
(エスレックBM−1、積水化学社製) 1.5部
イソプロピルアルコール 70部
(実施例3)
電子輸送剤1の代わりに電子輸送剤2を用いた以外は、実施例1と同様に感光体を作製した(感光体3とする)。
(実施例4)
電子輸送剤1の代わりに電子輸送剤3を用いた以外は、実施例1と同様に感光体を作製した(感光体4とする)。
(実施例5)
顔料1の代わりに顔料2を用いた以外は、実施例1と同様に感光体を作製した(感光体5とする)。
(比較例1)
下引層を設けない以外は、実施例1と同様に感光体を作製した(感光体6とする)。
(比較例2)
下記組成の下引層塗工液を用い、0.3μmの下引層を設けた以外は、実施例1と同様に感光体を作製した(感光体7とする)。
(下引層塗工液)
アルコール可溶性ナイロン 4部
(アミランCM8000、東レ社製)
メタノール 70部
n−ブタノール 30部
(比較例3)
電子輸送剤1を使用しない以外は、実施例1と同様に感光体を作製した(感光体8とする)。
(比較例4)
電子輸送剤1の代わりに下記構造の物質を用いた以外は、実施例1と同様に感光体を作製した(感光体9とする)。
Figure 0004602881
(比較例5)
電子輸送剤1の代わりに下記構造の物質を用いた以外は、実施例1と同様に感光体を作製した(感光体10とする)。
Figure 0004602881
(実施例6)
長さ340mm、直径30mmのアルミシリンダー(JIS1050)を導電性支持体とし、下記組成の下引層塗工液、電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液を順次塗布、乾燥し、0.9μmの下引層、0.3μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層を形成して感光体を得た(感光体11とする)。
(下引層塗工液)
アセチルアセトンジルコニウムブトキシド 20部
(オルガチックスZC540、松本製薬工業社製)
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン 2部
(A1100、日本ユニカー社製)
ポリビニルブチラール樹脂 1.5部
(エスレックBM−S、積水化学社製)
n−ブチルアルコール 70部
(電荷発生層塗工液)
下記組成の分散液を下に示す条件のビーズミリングにより作製した。
顔料合成例1で作製したチタニルフタロシアニン顔料 15部
ポリビニルブチラール 10部
(BX−1、積水化学社製)
2−ブタノン 280部
市販のビーズミル分散機に直径0.5mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解させた2−ブタノン及び顔料を全て投入し、ローター回転数1200rpmで30分間分散を行い、分散液を作製した。この分散液中の顔料粒子の粒度分布を、CAPA−700(堀場製作所社製)を用いて測定した。その結果、平均粒径0.30μm、標準偏差0.19μmであった。
(電荷輸送層塗工液)
電子輸送剤1 9部
Z型ポリカーボネート樹脂 10部
(パンライトTS2040、帝人化成社製)
テトラヒドロフラン 120部
シリコーンオイル 0.01部
(KF50−100CS、信越化学工業社製)
テトラヒドロフランにZ型ポリカーボネート樹脂を溶解させた後、電子輸送剤1、シリコーンオイルの順に加えて、不溶部がなくなった時点で電荷輸送層塗工液とした。
(比較例6)
下引層を設けなかった以外は、実施例6と同様に感光体を作製した(感光体12とする)。
(比較例7)
電子輸送剤1の代わりに、下記構造の物質を用いた以外は、実施例6と同様に感光体を作製した(感光体13とする)。
Figure 0004602881
(比較例8)
電子輸送剤1の代わりに、下記構造の物質を用いた以外は、実施例6と同様に感光体を作製した(感光体14とする)。
Figure 0004602881
(実施例7)
図4に示す画像形成装置に感光体1を搭載し、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)、帯電部材としてスコロトロン帯電器、転写部材として転写ベルトを用い、除電光源として655nmLEDを用いた。試験前のプロセス条件が下記になるように帯電部材への印加バイアス、半導体レーザーの光量を設定し、書き込み率6%のチャート(A4全面に対して、画像面積として6%相当の文字が平均的に書かれている)を用い、連続1万枚印刷を行った。
感光体の帯電電位(未露光部電位):+500V
現像バイアス:+350V
現像部位における露光部の表面電位:+70V
評価は、1万枚の画像印刷前後における感光体の露光部の電位を測定することにより行った。具体的には、図4に示す現像部位置に、表面電位計を搭載し、感光体を+500Vに帯電させた後、半導体レーザーでベタ書き込みを行い、現像部位における未露光部の表面電位及び露光部電位を測定した。また、1万枚後において白ベタ画像を出力し、地肌部の汚れを評価した。なお、地汚れ画像評価は4段階で行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。評価結果を表2に示す。
Figure 0004602881
(実施例8〜12、比較例9〜16)
感光体1の代わりに、感光体2〜14を用いた以外は、実施例9と同様に評価を行った。プロセス条件として、感光体の帯電電位(未露光部の電位)は+500V、現像バイアスは+350Vになるように固定した。露光量は、実施例7における感光体初期状態において、露光部電位が70Vになる光量と同じ光量に設定し、疲労試験前後における露光部の表面電位を測定した。
(実施例13)
長さ340mm、直径30mmのアルミシリンダー(JIS1050)を導電性支持体とし、下記組成の下引層塗工液、電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液を順次塗布、乾燥し、0.9μmの下引層、0.3μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層を形成して感光体を得た(感光体15とする)。
(下引層塗工液)
アセチルアセトンジルコニウムブトキシド 20部
(オルガチックスZC540、松本製薬工業社製)
γ−アミノプロピルトリエトキシシラン 2部
(A1100、日本ユニカー社製)
ポリビニルブチラール樹脂 1.5部
(エスレックBM−S、積水化学社製)
n−ブチルアルコール 70部
(電荷発生層塗工液)
下記組成の分散液を下に示す条件のビーズミリングにより作製した。
顔料合成例1で作製したチタニルフタロシアニン顔料 15部
ポリビニルブチラール 10部
(BX−1、積水化学社製)
2−ブタノン 280部
電子輸送剤1 1部
市販のビーズミル分散機に直径0.5mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラール及び電子輸送剤1を溶解させた2−ブタノン及び顔料を全て投入し、ローター回転数1200rpmで30分間分散を行い、分散液を作製した。
(電荷輸送層塗工液)
下記構造の電荷輸送物質 7部
Figure 0004602881
Z型ポリカーボネート樹脂 10部
(パンライトTS2040、帝人化成社製)
テトラヒドロフラン 120部
シリコーンオイル 0.01部
(KF50−100CS、信越化学工業社製)
テトラヒドロフランにZ型ポリカーボネート樹脂を溶解させた後、電荷輸送物質、シリコーンオイルの順に加えて、不溶部がなくなった時点で電荷輸送層塗工液とした。
(比較例17)
電子輸送剤1を使用しない以外は、実施例13と同様に感光体を作製した(感光体16とする)。
(実施例14)
図4に示す画像形成装置に感光体15を搭載し、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)、帯電部材としてスコロトロン帯電器、転写部材として転写ベルトを用い、除電光源として655nmLEDを用いた。試験前のプロセス条件が下記になるように帯電部材への印加バイアス、半導体レーザーの光量を設定し、書き込み率6%のチャート(A4全面に対して、画像面積として6%相当の文字が平均的に書かれている)を用い、連続1万枚印刷を行った。
感光体の帯電電位(未露光部の電位):−900V
現像バイアス:−650V
現像部位における露光部の表面電位:−110V
評価は、1万枚の画像印刷前後における感光体の未露光部の電位を測定することにより行った。具体的には、図4に示す現像部位置に、表面電位計を搭載し、感光体15が初期状態で−900Vに帯電される印加バイアスに固定し、現像部位における未露光部の表面電位を測定した。この際、感光体1周目と2周目について評価を行った。評価結果を表3に示す。
Figure 0004602881
(比較例18)
感光体15の代わりに、感光体16を用いた以外は、実施例14と同様に評価を行った。(実施例15)
図7に示すプロセスカートリッジに感光体1を装着し、図8に示すタンデム型フルカラー画像形成装置に搭載し、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)、帯電部材として図5に示す非接触ローラー帯電器、転写部材として転写ベルトを用い、除電光源として655nmLEDを用いた。試験前のプロセス条件が下記になるように設定し、書き込み率6%のチャート(A4全面に対して、画像面積として6%相当の文字が平均的に書かれている)を用い、連続1万枚印刷を行った。
感光体の帯電電位(未露光部の電位):+500V
現像バイアス:+350V(ネガ・ポジ現像)
除電後の表面電位(書き込み光未露光部):+80V
評価は、1万枚の画像印刷前後における感光体の露光部の電位を測定することにより行った(黒ステーション)。具体的には、図8に示す現像部位置に、表面電位計を搭載し、感光体を+500Vに帯電した後、半導体レーザーでベタ書込みを行い、現像部位における露光部の電位を測定した。また、1万枚の印刷後において、ISO/JIS−SCID画像N1(ポートレート)を出力して、カラー色の再現性について評価した。なお、色再現性評価は4段階で行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表した。さらに、1万枚の印刷後において、白ベタ画像を出力し、地肌汚れ評価を行った。評価結果を表4に示す。
Figure 0004602881
(実施例16〜20、比較例19〜26)
感光体1の代わりに、感光体2〜14を用いた以外は、実施例15と同様に評価を行った。プロセス条件として、感光体の帯電電位(未露光部の電位)は+500V、現像バイアスは+350Vになるように固定した。露光量は、実施例15における感光体の初期状態において、露光部電位が80Vになる光量と同じ光量に設定し、疲労試験前後における露光部の表面電位を測定した。
本発明の感光体の一例を示す断面図である。 本発明の感光体の他の例を示す断面図である。 本発明の感光体の他の例を示す断面図である。 本発明の画像形成装置の一例を示す図である。 帯電部材側にギャップ形成部材を配置した近接帯電機構の一例を示す図である。 本発明の画像形成装置の他の例を示す図である。 本発明のプロセスカートリッジの一例を示す図である。 本発明の画像形成装置の他の例を示す図である。 顔料合成例1のチタニルフタロシアニン粉末のX線回折スペクトルを示す図である。 顔料合成例1の低結晶性チタニルフタロシアニン粉末のX線回折スペクトルを示す図である。
符号の説明
図5
1 感光体
3 帯電ローラ
21 ギャップ形成部材
22 金属シャフト
23 画像形成領域
24 非画像形成領域
図7
1 感光体
3 帯電ローラ
5 画像露光部
15 クリーニングブラシ
16 現像ローラ
17 転写ローラ
図8
1C、1M、1Y、1K 感光体
2C、2M、2Y、2K 帯電部材
3C、3M、3Y、3K レーザー光
4C、4M、4Y、4K 現像部材
5C、5M、5Y、5K クリーニング部材
6C、6M、6Y、6K 画像形成要素
10 転写搬送ベルト
11C、11M、11Y、11K 転写ブラシ
12 定着装置

Claims (8)

  1. 導電性支持体上に、下層及び感光層が形成されている感光体であって、
    前記下引層は、有機金属化合物及びシランカップリング剤を含有し、
    前記感光層は、電子輸送剤及び電荷発生物質を含有し、
    前記有機金属化合物は、アセチルアセトンジルコニウムブトキシド又はチタンアセチルアセトネートであり、
    前記シランカップリング剤は、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン又はγ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシランであり、
    前記電子輸送剤は、式(1)
    Figure 0004602881
    (式中、R 及びR は、それぞれ独立に、アルキル基であり、R 、R 、R 、R 、R 、R 、R 及びR 10 は、水素原子である。)
    で表されることを特徴とする感光体。
  2. 前記下引層は、前記有機金属化合物及び前記シランカップリング剤に相溶する結着樹脂をさらに含有することを特徴とする請求項1に記載の感光体。
  3. 前記電荷発生物質は、CuKαの特性X線に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、27.2゜に最大ピークを有するチタニルフタロシアニンであることを特徴とする請求項1又は2に記載の感光体。
  4. 前記チタニルフタロシアニンは、CuKαの特性X線に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、9.4゜、9.6゜及び24.0゜にピークを有すると共に、7.3゜に最も低角側のピークを有し、7.3°と9.4゜の間にピークを有さないと共に、26.3°にピークを有さないことを特徴とする請求項に記載の感光体。
  5. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の感光体と、前記感光体を帯電させる帯電手段と、該帯電した感光体に像露光して静電潜像を形成する像露光手段と、該静電潜像を現像する現像手段とを有することを特徴とする画像成形装置。
  6. 前記感光体と、前記帯電手段と、前記像露光手段と、前記現像手段を有する画像形成要素が複数配列されていることを特徴とする請求項に記載の画像形成装置。
  7. 請求項1乃至のいずれか一項に記載の感光体と、該感光体に形成される静電潜像を現像する現像手段と、該感光体をクリーニングするクリーニング手段を有し、画像形成装置本体に着脱可能であることを特徴とするプロセスカートリッジ。
  8. 請求項に記載のプロセスカートリッジを有することを特徴とする画像成形装置。
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