JP4300279B2 - チタニルフタロシアニン結晶、チタニルフタロシアニン結晶の製造方法、電子写真感光体、電子写真方法、電子写真装置および電子写真装置用プロセスカートリッジ - Google Patents

チタニルフタロシアニン結晶、チタニルフタロシアニン結晶の製造方法、電子写真感光体、電子写真方法、電子写真装置および電子写真装置用プロセスカートリッジ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チタニルフタロシアニン結晶、チタニルフタロシアニン結晶の製造方法、ならびにそれを用いて作製した電子写真感光体、ならびにその電子写真感光体を用いた電子写真方法および電子写真装置および電子写真装置用プロセスカートリッジに関する。詳しくは、分散性・結晶安定性に優れ、取り扱い性の良好なチタニルフタロシアニン結晶、前述のチタニルフタロシアニン結晶の簡便且つ安定な製造方法、ならびに繰り返し使用によっても感光体の帯電電位と残留電位の安定性に優れ、地汚れ等異常画像の発生の少ない電子写真感光体ならびにそれを用いた電子写真方法および電子写真装置および電子写真装置用プロセスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
有機顔料は比較的以前から塗料用のフィラーとして用いられてきた。特に、その色彩の豊かさは無機顔料にはない利点である。また、近年では有機顔料の応用例として、有機光電変換デバイス用材料として脚光を浴びるようになってから、様々な材料が生み出されている。
このような有機顔料を含む膜が成膜されるに当たっては、大面積化が容易な湿式成膜法がその大半を占めている。湿式成膜法により成膜される塗膜の良否は、顔料を含む分散液の良否にほとんど左右されると言っても過言ではない。分散液の良否とは、顔料の分散性が一つの決め手となる。したがって、良好な分散液とは顔料がビヒクル中に充分に分散され、その分散状態が長期にわたり継続されるものである。
【0003】
近年の電子写真方式は、デジタル方式のものが主流であり、特にネガ・ポジ現像(反転現像)が主流に用いられている。ネガ・ポジ現像の場合、電子写真方式に用いられる感光体に対して、光書き込みを行なった部分の電位が減衰することにより、この部分にトナーが現像され、画像が形成されるものである。これは、原稿の書き込み率が高々10%程度であることから、光源の寿命、感光体の光疲労を考慮して行なわれるものである。しかしながら、出力原稿の地肌部が感光体の未露光部(電位の高い部分)に相当することになり、感光層(特に電荷発生層)に塗膜欠陥等を有する場合、本来、電位を保持すべき地肌部(白地)が電位減衰をしてしまい、その結果、入力原稿の地肌部にはない点欠陥(地肌汚れ、黒ポチなど)が発生してしまう場合がある。この欠陥は、図面における点、英文原稿におけるピリオド、カンマなどと見間違えられることがあり、画像としては致命的な欠陥であると言える。このような点欠陥は、顔料等の分散膜から構成される層に由来することが多い。したがって、この様な点欠陥を減少させるためには、顔料等の分散性が良好な分散液を作製する必要がある。この際、分散液中の顔料粒子サイズとしては、できるだけ細かい方が好ましいが、概ね一次粒子サイズとして0.2μm以下であれば、上述のような点欠陥がかなり減少するものである。
【0004】
このような分散液を作製するために、これまでには様々な分散機・分散システムが提案され、分散効率を上げる方法が考案されてきた。例えば、特許文献1〜14が挙げられ、これらはいずれも様々な分散装置、分散条件を用いる、あるいは改良することにより、合成された平均サイズの大きな顔料粒子を用いて、作製する分散液中の顔料粒子をできる限り微細化する(粒子サイズを小さくする)技術である。このような分散技術は、分散液作製に際して使用する顔料の一次粒子サイズまでいかに効率よく分散するかという点に関しては、優れた技術であるといえる。しかしながら、一次粒子サイズよりも細かい状態にすることはきわめて困難であり、分散液中の粒子サイズの限界は、基本的には使用する顔料の一次粒子サイズで決まるといっても過言ではない。中には、巨大なエネルギーを与えることにより、一次粒子そのものを粉砕してしまうものも含まれるが、これらは結晶そのものを壊してしまうため、後述するような不具合点(例えば、分散効率の低下、結晶型の転移等)を有しているものであった。
【0005】
一方、電子写真感光体用の有用な電荷発生物質として、チタニルフタロシアニンが知られている。このチタニルフタロシアニンは、同一構造式で表わされてもその集合体としての結晶型を数多く持つ結晶多型の顔料である。特に、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶は、多型の結晶型の中でも特異的に、電子写真感光体用の電荷発生物質として極めて高い光キャリア発生効率を示すものである。しかしながら、結晶状態として準安定状態であるため、他の結晶型へ容易に転移しやすいものである。この結晶に過剰のエネルギーを与えると、ブラッグ角2θの回折ピークとして26.3゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶に結晶転移しやすい。この結晶はキャリア発生効率が先の結晶よりかなり低いため、結晶の一部が転移しただけでも、これを感光体の電荷発生物質に用いると、光感度の低下や繰り返し使用時の残留電位上昇といった問題が発生するものである。
【0006】
他方、この結晶転移を防ぐために分散条件をマイルドなものにすると、上述のように平均粒径の大きな分散液が作製されるか、あるいは粗大粒子が残った分散液が作製されてしまう。このように平均粒径の大きな分散液を使用した場合には、電荷発生物質粒子の表面積が小さくなり、電荷輸送物質との電荷の授受がされにくくなり、結果として光感度の低下や繰り返し使用時の残留電位上昇といった問題が発生する。また、粗大粒子が残存した場合には、ネガ・ポジ現像における地汚れ、黒ポチといった問題が発生する。
このように、チタニルフタロシアニン顔料粒子の分散においては、結晶型の安定と粒子の微細化がトレード・オフの関係になっており、これを簡便に解決する手段がなかった。
【0007】
分散液中の顔料の粒子サイズを小さくするための別のアプローチとして、分散されやすい顔料、即ち、一次粒子の極めて小さい顔料を用いるという方法が考えられる。この方法は、使用する顔料の一次粒子を予め小さなものを合成し、分散に際しては過剰のエネルギーを与えることなく、粒子サイズの小さな分散液を得ようというものである。この方法は、分散効率を向上するだけでなく、上述のチタニルフタロシアニンに代表される様な結晶転移しやすい顔料を用いる際には極めて有効な方法であると考えられる。
【0008】
しかしながら、ここまでに顔料合成という観点からのアプローチはほとんど見あたらない。この点に関しては、唯一、特許文献15に類似の技術が開示されている。前記特許文献15においては、結晶変換と同時に分散手段を併用する手段を用いて分散液を作製する方法が開示されている。確かにこの方法であると、結晶変換により形成された顔料の一次粒子サイズの分散液を形成することができるが、分散液はその後、塗工液として使用されることを考慮すると、結晶変換溶媒が塗工溶媒として最適なものではあるとは限らず、塗工に際して制約を有するという欠点を有している。また、顔料粉末として保管ができないため、保管上の制約も負荷されてしまう。
以上のことから、電子写真感光体の電荷発生物質として極めて有用なチタニルフタロシアニン結晶を結晶転移させることなく、平均粒子サイズの小さな分散液を作製するために、一次粒子サイズの小さなチタニルフタロシアニン結晶およびその製造方法の開発が熱望されていた。
【0009】
【特許文献1】
特開平4−337362号公報
【特許文献2】
特開平5−188614号公報
【特許文献3】
特開平7−289870号公報
【特許文献4】
特開平8−44086号公報
【特許文献5】
特開平8−123045号公報
【特許文献6】
特開平8−272111号公報
【特許文献7】
特開平9−211873号公報
【特許文献8】
特開平11−30871号公報
【特許文献9】
特開平11−258827号公報
【特許文献10】
特開2000−126638号公報
【特許文献11】
特開2000−181104号公報
【特許文献12】
特開2000−281931号公報
【特許文献13】
特開2001−265027号公報
【特許文献14】
特開2001−290292号公報
【特許文献15】
特開2000−239556号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、一次粒子の極めて小さなチタニルフタロシアニン結晶およびその製造方法を提供することにある。また、前記チタニルフタロシアニン顔料を用いて分散液を作製する際に、結晶安定性が高く、粒子サイズの小さな分散液を得ることのできるチタニルフタロシアニン結晶およびその製造方法を提供することである。
また、本発明の別の目的は、高感度を失うことなく繰り返し使用によっても帯電性の低下と残留電位の上昇を生じない安定な電子写真感光体を提供することにある。また、繰り返し使用によっても異常画像の発生の少ない電子写真感光体を提供することにある。
更に本発明の別の目的は、高速プリントが可能で、異常画像の発生の少ない、安定な電子写真方法、電子写真装置および電子写真装置用プロセスカートリッジを提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
有機顔料を電荷発生物質として用いた電子写真感光体においては、感光層中の電荷発生物質粒子サイズにより様々な特性が左右される。例えば、光キャリア発生過程において、電荷発生物質粒子サイズが大きいと、電荷発生物質により生成された光キャリアを電荷輸送物質に受け渡す前に粒子内部での光キャリアの失活確率が高くなってしまう。また、顔料粒子が大きいと必然的に表面積が小さくなり電荷発生物質と電荷輸送物質の接触量が小さくなり、光キャリアを電荷輸送物質に受け渡す際に、キャリア注入効率が低下してしまう。更には、電荷発生物質粒子が大きいと感光層(電荷発生層)の塗膜欠陥の確率が高くなり、これに基づく画像欠陥が発生しやすくなるといった問題点が発生する。
このようなことから、感光層(電荷発生層)における電荷発生物質の粒子サイズをできる限り小さくすることが望まれている。感光層(電荷発生層)は通常、湿式塗工法により形成されるため、感光層における電荷発生物質の粒子サイズを小さくするためには、これを形成する塗工分散液中の電荷発生物質粒子サイズを小さくする必要がある。
このように感光層を塗工するための分散液中の電荷発生物質粒子サイズを小さくするために、様々な分散方法が提案されているが、いずれも電荷発生物質の凝集構造である二次粒子をいかに一次粒子に粉砕・分散するかが大きな課題である。これらの方法においては、分散エネルギーの巨大化、分散時間の延長等により、できる限り一次粒子に近づける工夫がなされているが、この一次粒子サイズは、電荷発生物質の合成段階で決定されており、通常の方法ではこの一次粒子サイズよりも小さな粒子にすることは困難を要する。
【0012】
一方、古くから用いられているボールミリングなどの方法よりも、更に強い分散エネルギーを与えることのできる分散方式の提案がなされ、一次粒子を更に砕いてしまうような方法も近年では開発されている。このような場合には、一次粒子が多少大きくても、巨大な分散エネルギーにより結晶そのものを粉砕してしまうことにより、電荷発生物質の粒子サイズを小さなものにしてしまうものである。このような方式は、使用する電荷発生物質の結晶安定性の高い材料に非常に適していると言える。
【0013】
ところが、有機系電荷発生物質の場合、同じ化学構造式で表わされる材料でも、特定の結晶型のみが特異的な機能を発現する場合も少なくない。このような特定結晶型は化学的なストレス以外に、単純な物理的・機械的なストレスによっても簡単に結晶型が変化してしまう場合がある。このような材料を用いる場合には、上述のように一次粒子そのものを粉砕してしまうような過剰の分散エネルギーを与えることは、粒子を粉砕する作用よりも先に結晶型を変化させてしまう現象が起こってしまう。この結果、特異的な機能を発現する材料を用いたつもりでも、その機能が充分に発揮されない材料に変化してしまうケースが多々存在する。
【0014】
本発明において用いられるフタロシアニン結晶、特にチタニルフタロシアニン結晶は、結晶多型の材料であり、特別に光キャリア発生効率の高い結晶型は、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有する結晶のみであり、それ以外の結晶型の材料も電荷発生物質としての機能は有するものの、現在の電子写真プロセスの要求する高速化、感光体小径化、繰り返し使用時の高い安定性に満足する特性を有するものではない。したがって、前記結晶型は特異的な結晶型であると言える。
【0015】
しかしながら、この少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶は、チタニルフタロシアニン結晶としては準安定状態であり、結晶安定性の低い材料である。したがって、前述の如き機械的、物理的なストレスを過剰に与えることは、その結晶を安定結晶型である他の結晶型へ転移されてしまうものである。
このように、電荷発生物質としての高い機能を有するチタニルフタロシアニン結晶であるが、電子写真感光体への適応の際には、粒子の微細化と結晶安定性がトレード・オフの関係になっており、これを容易に解決する方法がなかった。
【0016】
上述の如き課題に対して、本発明者らはチタニルフタロシアニン結晶の粉砕・分散工程の解析を試み、以下の知見を得た。
即ち、チタニルフタロシアニン結晶の分散工程において、目的とする粒子サイズまで分散する際に、目的とする粒子サイズよりも大きい一次粒子が存在するために過剰の分散エネルギーを与えなければならないこと。また、一次粒子の凝集体である二次粒子を一次粒子まで分散するのに必要なエネルギーと、巨大な一次粒子を更に細かく粉砕するエネルギーでは格段な差異があること。前者においては結晶に掛かる力が分散そのものに与えられ、結晶転移には至らないこと。後者においては、与えられるエネルギーが粉砕に作用すると同時に結晶転移が進行してしまうこと。
以上のことから、本発明者らは、分散に供されるチタニルフタロシアニン結晶の一次粒子をできる限り細かいものにすることにより、過剰な分散エネルギーを与えることなく、粒子サイズの細かく、かつ結晶安定性の高い分散液を作製できるということを見いだした。
【0017】
本発明におけるチタニルフタロシアニン結晶一次粒子の平均粒子サイズは、以下のように定義されるものである。
結晶変換されたチタニルフタロシアニン結晶を含む液を、透過型電子顕微鏡(TEM)により観察し、得られたTEM像をTEM写真として撮影し、映し出されたチタニルフタロシアニン結晶を30個任意に選び出し、それぞれの長径の大きさを測定する。測定した30個体の長径の算術平均を求めて、平均粒子サイズとする。
【0018】
次に、本発明者らはチタニルフタロシアニン結晶の合成からのアプローチを試み、以下の知見を得た。
即ち、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶は、一般的にそれよりも更に結晶安定性の低いチタニルフタロシアニンから合成される。良く用いられる手法としては、定法に従って合成された合成粗品(クルード)を、硫酸等によりアシッド・ペースト処理と呼ばれる方法により、最も結晶安定性の低いと思われる不定形チタニルフタロシアニン(もしくは低結晶性のチタニルフタロシアニン)に変換する。これを様々な方法により結晶変換することにより、目的の結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶を得る。この結晶変換に際して、最も多く利用される方法が、水の存在下で適当な有機溶媒と共に結晶転移させる方法である。
【0019】
本発明者らは、この結晶変換前後におけるチタニルフタロシアニン結晶粒子のモルフォロジーに着目した。前述のアシッド・ペースト処理後の不定形チタニルフタロシアニン(もしくは低結晶性のチタニルフタロシアニン)の粒子サイズは、チタニルフタロシアニンの酸溶液状態から、溶解度の低い水に析出させたものであり、一次粒子サイズは小さいものである。アシッド・ペースト処理の条件にもよるが、通常は0.1μm以下程度の微細な粒子(針状に近い形状)を形成している(図1参照)。引き続き、結晶変換処理を行なったチタニルフタロシアニン結晶は、結晶転移と同時に結晶成長するものであり、通常はより確実に結晶変換を行なった後に、この結晶を分別・濾過して取り出すものであるから、一次粒子がかなり大きなもの(およそ0.3〜0.4μm程度、大きいものでは1μm程度)になっている(図2参照)。以上のことから、本発明で用いられるチタニルフタロシアニン結晶の一次粒子サイズは、この結晶変換工程によって決定されていることが判った。
【0020】
本発明において、特に良好に使用される特定の結晶型であるCuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3゜にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶は、特開2001−19871号公報に開示されている。しかしながら、この公報に開示されている条件でチタニルフタロシアニン結晶を作製すると、上述のように一次粒子の大きな結晶が得られるものであり、上述の如き問題点を有しているものであった。
【0021】
このように、ここまで課題とされてきたチタニルフタロシアニン結晶の分散における粒子の微細化と結晶安定性のトレード・オフという関係の解消方法は、使用するチタニルフタロシアニン結晶の一次粒子を如何に小さく合成するかということになる。
この点に鑑み検討した結果、前記微細粒子である不定形チタニルフタロシアニン(もしくは低結晶性のチタニルフタロシアニン)を原料に用い、水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行なう際に、可能な限り結晶変換時間を短く設定し(結晶変換条件にもよるが、概ね1時間未満、好ましくは30分未満)、結晶成長が起こる前(一次粒子サイズが0.2μm以上に成長する前)に有機溶媒中より分別・濾過を行ない、所望の結晶を取り出してしまうことにより、一次粒子の微細な結晶を得ることができることが判った(図3参照)。
【0022】
しかるに、上記課題は、本発明の(1)「CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、かつ一次粒子の平均サイズが0.2μm以下であることを特徴とするチタニルフタロシアニン結晶」、(2)「前記チタニルフタロシアニンが、更に26.3゜にピークを有さないことを特徴とする前記第(1)項に記載のチタニルフタロシアニン結晶」によって解決される。
【0023】
また、上記課題は、本発明の(3)「CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、その回折ピークの半値巾が1゜以上である一次粒子の平均サイズが0.1μm以下の不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行ない、結晶変換後の一次粒子の平均サイズが0.2μm以上に成長する前に、有機溶媒より結晶変換後のチタニルフタロシアニンを分別、濾過することを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載のチタニルフタロシアニン結晶の製造方法」、(4)「前記有機溶媒が、少なくともテトラヒドロフラン、トルエン、塩化メチレン、二硫化炭素、オルトジクロロベンゼン、1,1,2−トリクロロエタンの中から選ばれる一種を含むことを特徴とする前記第(3)項に記載のチタニルフタロシアニン結晶の製造方法」によって解決される。
【0024】
また、上記課題は、本発明の(5)「導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を積層してなる電子写真感光体であって、該電荷発生層に前記第(1)項又は第(2)項に記載のチタニルフタロシアニン結晶を含有してなることを特徴とする電子写真感光体」、(6)「前記電荷輸送層に高分子電荷輸送物質を含有することを特徴とする前記第(5)項に記載の電子写真感光体」、(7)「前記電荷輸送層上に保護層を積層したことを特徴とする前記第(5)項又は第(6)項に記載の電子写真感光体」、(8)「前記保護層に比抵抗1010Ω・cm以上の無機顔料又は金属酸化物を含有することを特徴とする前記第(7)項に記載の電子写真感光体」、(9)「前記金属酸化物が、比抵抗1010Ω・cm以上のアルミナ、酸化チタン、シリカのいずれかであることを特徴とする前記第(8)項に記載の電子写真感光体」、(10)「前記金属酸化物が、比抵抗1010Ω・cm以上のα−アルミナであることを特徴とする前記第(9)項の電子写真感光体」、(11)「前記保護層に高分子電荷輸送物質を含有することを特徴とする前記第(8)項乃至第(10)項のいずれかに記載の電子写真感光体」、(12)「前記電子写真感光体の導電性支持体表面が陽極酸化皮膜処理されたものであることを特徴とする前記第(5)項乃至第(11)項のいずれかに記載の電子写真感光体」によって解決される。
【0025】
また、上記課題は、本発明の(13)「電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行なう画像形成方法であって、該電子写真感光体が前記第(5)項乃至第(12)項のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成方法」によって解決される。
【0026】
また、上記課題は、本発明の(14)「少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備してなる画像形成要素を具備してなる画像形成装置であって、該電子写真感光体が前記第(5)項乃至第(12)項のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置」、(15)「前記画像形成要素を複数配列したことを特徴とする前記第(14)項に記載の画像形成装置、(16)「前記帯電手段が、帯電部材を感光体に接触もしくは近接配置したものであることを特徴とする前記第(14)項又は第(15)項に記載の画像形成装置」、(17)「前記帯電部材と感光体間の空隙が200μm以下であることを特徴とする前記第(16)項に記載の画像形成装置」、(18)「前記帯電手段が直流成分に交流成分を重畳し、感光体に帯電を与えるものであることを特徴とする前記第(16)項又は第(17)項に記載の画像形成装置」によって解決される。
【0027】
また、上記課題は、本発明の(19)「少なくとも電子写真感光体を具備してなる画像形成装置用プロセスカートリッジであって、該電子写真感光体が前記第(5)項乃至第(12)項のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ」によって解決される。
【0028】
以下に具体的な方法について述べる。
初めにチタニルフタロシアニン結晶の合成粗品の合成法について述べる。フタロシアニン類の合成方法は古くから知られており、Moser等による「Phthalocyanine Compounds」(1963年)、「The Phthalocyanines」(1983年)、特開平6−293769号公報等に記載されている。
例えば、第1の方法として、無水フタル酸類、金属あるいはハロゲン化金属及び尿素の混合物を高沸点溶媒の存在下あるいは非存在下において加熱する方法である。この場合、必要に応じてモリブデン酸アンモニウム等の触媒が併用される。第2の方法としては、フタロニトリル類とハロゲン化金属を高沸点溶媒の存在下あるいは非存在下において加熱する方法である。この方法は、第1の方法で製造できないフタロシアニン類、例えば、アルミニウムフタロシアニン類、インジウムフタロシアニン類、オキソバナジウムフタロシアニン類、オキソチタニウムフタロシアニン類、ジルコニウムフタロシアニン類等に用いられる。第3の方法は、無水フタル酸あるいはフタロニトリル類とアンモニアを先ず反応させて、例えば1,3−ジイミノイソインドリン類等の中間体を製造し、次いでハロゲン化金属と高沸点溶媒中で反応させる方法である。第4の方法は、尿素等存在下で、フタロニトリル類と金属アルコキシドを反応させる方法である。特に、第4の方法はベンゼン環への塩素化(ハロゲン化)が起こらず、電子写真用材料の合成法としては、極めて有用な方法である。
【0029】
次に、不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)の合成法について述べる。この方法は、フタロシアニン類を硫酸に溶解した後、水で希釈し、再析出させる方法であり、アシッド・ペースト法あるいはアシッド・スラリー法と呼ばれるものが使用できる。
具体的な方法としては、上記の合成粗品を10〜50倍量の濃硫酸に溶解し、必要に応じて不溶物を濾過等により除去し、これを硫酸の10〜50倍量の充分に冷却した水もしくは氷水にゆっくりと投入し、チタニルフタロシアニンを再析出させる。析出したチタニルフタロシアニンを濾過した後、イオン交換水で洗浄・濾過を行ない、濾液が中性になるまで充分にこの操作を繰り返す。最終的に、綺麗なイオン交換水で洗浄した後、濾過を行ない、固形分濃度で5〜15wt%程度の水ペーストを得る。このように作製したものが本発明に用いる不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)である。この際、この不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)が、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有するものであることが好ましい。特に、その回折ピークの半値巾が1゜以上であることがより好ましい。更に、一次粒子の平均粒子サイズが0.1μm以下であることは、続く結晶変換にとって充分に重要なことである。
【0030】
図1に、好ましい不定形チタニルフタロシアニンの粒子状態を表わす電子顕微鏡写真を示す。粒子状態の観察には、透過型電子顕微鏡(TEM;日立、H−9000NAR)を用いた。上述の不定形チタニルフタロシアニン水ペーストを、イオン交換水にて顔料濃度が1重量%程度になるように希釈を行ない、導電性ネット上にすくい取り、そのまま乾燥して、観察を行なった。なお、図中のスケール・バーは、0.2μmである。
【0031】
次に、結晶変換方法について述べる。
結晶変換は、前記不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)を所望の結晶型(CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有する結晶型)に変換する工程である。特に、前記結晶型のうち、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶が良好に用いられ、更に26.3゜にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶は特に良好に用いられる。具体的な方法としては、前記不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)を乾燥せずに、水の存在下の元で有機溶媒と共に混合・撹拌することにより、前記結晶型を得るものである。この際、結晶変換後チタニルフタロシアニン結晶の一次粒子の長径を0.2μm以下に制御することが本発明のポイントである。
【0032】
この際、使用される有機溶媒は、所望の結晶型を得られるものであれば、いかなる有機溶媒も使用できるが、特にテトラヒドロフラン、トルエン、塩化メチレン、二硫化炭素、オルトジクロロベンゼン、1,1,2−トリクロロエタンの中から選ばれる1種を選択すると、良好な結果が得られる。これら有機溶媒は単独で用いることが好ましいが、これらの有機溶媒を2種以上混合する、あるいは他の溶媒と混合して用いることも可能である。結晶変換の操作において、本発明者らが観察したところによれば、前述の不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)は、一次粒径が0.1μm以下(そのほとんどが0.01〜0.05μm程度)であるが、結晶変換の際に際しては、結晶成長と共に結晶が変換されることが判った。通常、この種の結晶変換においては、原料の残存をおそれて充分な結晶変換時間を確保し、結晶変換が十二分に行なわれた後に、濾過を行ない、所望の結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶を得るものである。このため、原料として充分に小さな一次粒子を有する原料を用いているにもかかわらず、結晶変換後の結晶としては一次粒子の大きな結晶(概ね0.3〜0.5μm)を得ているものである。
【0033】
このような結晶の一次粒子の状態を図2に示す。図2の観察も図1の場合と同様に、TEMにより行なった。写真中央付近に非常に大きな一次粒子が2つ認められる。なお、図中のスケール・バーは、0.2μmである。
【0034】
このように作製されたチタニルフタロシアニン結晶を分散するにあたっては、分散後の粒子サイズを小さなもの(0.2μm以下程度)にするため、強いシェアを与えることで分散を行ない、更には必要に応じて一次粒子を粉砕する強いエネルギーを与えて分散を行なっている。この結果、前述の如き、粒子の一部が所望の結晶型でない結晶型へと転移してしまうものである。
【0035】
一方、本発明においては、結晶変換に際して結晶成長がほとんど起こらない範囲(図1に観察される不定形チタニルフタロシアニン粒子のサイズが、結晶変換後において遜色ない小ささ、概ね0.2μm以下に保たれる範囲)で、結晶変換が完了した時点を見極めることで、可能な限り一次粒子サイズの小さなチタニルフタロシアニン結晶を得ようというものである。結晶変換後の粒子サイズは、結晶変換時間に比例して大きくなる。このため前述のように、結晶変換の効率を高くし、短時間で完了させることが重要である。このためには、いくつかの重要なポイントが挙げられる。
【0036】
1つは、結晶変換溶媒を前述のように適正なものを選択し、結晶変換効率を高めること。もう1つは、結晶変換を短時間に完了させるために、溶媒とチタニルフタロシアニン水ペースト(前述の如き作製した原料)を充分に接触させるために強い撹拌を用いるものである。具体的には、撹拌力の非常に強いプロペラを用いた撹拌、ホモジナイザー(ホモミキサー)のような強烈な撹拌(分散)手段を用いるなどの手法により、短時間での結晶変換を実現させるものである。これらの条件により、原料が残存することなく、結晶変換が充分に行なわれ、かつ結晶成長が起こらない状態のチタニルフタロシアニン結晶を得ることができる。
【0037】
また、上述のように結晶粒子サイズと結晶変換時間は比例関係にあるため、所定の反応(結晶変換)が完了したら、反応を直ちに停止させる方法も有効な手段である。上述のように結晶変換を行なった後、直ちに結晶変換の起こりにくい溶媒を大量に添加することが前記手段として挙げられる。結晶変換の起こりにくい溶媒としては、アルコール系、エステル系などの溶媒が挙げられる。これらの溶媒を結晶変換溶媒に対して、10倍程度加えることにより、結晶変換を停止することができる。
【0038】
このようにして作製される一次粒子サイズは、細かいほど感光体の課題に対しては良好な結果を示すものであるが、顔料作製にかかる次工程(顔料の濾過工程)、分散液での分散安定性を考慮すると、あまり小さすぎても副作用が出る場合がある。即ち、一次粒子が非常に細かい場合には、これを濾過する工程において濾過時間が非常に長くなってしまうという問題が発生する。また、一次粒子が細かすぎる場合には、分散液中での顔料粒子の表面積が大きくなるため、粒子の再凝集の可能性が高くなる。したがって、適切な顔料粒子の粒子サイズは、およそ0.05μm〜0.2μm程度の範囲である。
【0039】
図3には、短時間で結晶変換を行なった場合のチタニルフタロシアニン結晶のTEM像を示す。図2の場合とは異なり、粒子サイズが小さく、ほぼ均一であり、図2に観察されるような粗大粒子は全く認められない。なお、図中のスケール・バーは、0.2μmである。
【0040】
続いて、結晶変換されたチタニルフタロシアニン結晶は直ちに濾過されることにより、結晶変換溶媒と分別される。この濾過に際しては、適当なサイズのフィルターを用いることにより行なわれる。この際、減圧濾過を用いることが最も適当である。
その後、分別されたチタニルフタロシアニン結晶は、必要に応じて加熱乾燥される。加熱乾燥に使用する乾燥機は、公知のものが使用可能であるが、大気下で行なう場合には送風型の乾燥機が好ましい。更に、乾燥速度を早め、本発明の効果をより顕著に発現させるために減圧下の乾燥も非常に有効な手段である。特に、高温で分解する、あるいは結晶型が変化する様な材料に対しては有効な手段である。特に10mmHgよりも真空度が高い状態で乾燥することが有効である。
【0041】
ここで、本発明で使用する様な高い光キャリア発生能を有する有機顔料は一般的に凝集力が非常に強い。結晶を濾過・分別した後に、上述のように乾燥を行なうと、一次粒子が凝集して二次粒子を形成する。これは通常の分散装置により一次粒子まで分散が行なえるものであるが、結晶変換溶媒とその後引き続き用いる分散液の分散溶媒が同一のものであれば、敢えて乾燥しなくても良い。その場合には、濾過後のチタニルフタロシアニン結晶のウェットケーキを、そのまま必要に応じてバインダー樹脂を溶解した分散溶媒に直接投入し、分散を実施すればよい。この方法は、二次粒子の大きな塊を分散する必要がなく、本発明の効果をより一層顕著なものとする。
【0042】
このように得られた一次粒子が0.2μm以下であるチタニルフタロシアニン結晶は、電子写真感光体用電荷発生物質として極めて有用である。特に、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有する結晶型は、極めて高い光キャリア発生効率を有しするものである。しかしながら、先述のように結晶型が不安定であり、分散液を作製する際に結晶型が転移し易いという欠点を有しているものであった。しかしながら、本発明のように一次粒子を限りなく小さなものに合成することにより、分散液作製時に過剰なシェアを与えることなく、平均粒径の小さな分散液を作製することができ、結晶型も極めて安定に作製することができるものである。
【0043】
分散液の作製に関しては一般的な方法が用いられ、前記チタニルフタロシアニン結晶を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル、超音波などを用いて分散することで得られるものである。この際、バインダー樹脂は感光体の静電特性などにより、また溶媒は顔料へのぬれ性、顔料の分散性などにより選択すればよい。
【0044】
以下、本発明の電子写真感光体を図面に沿って説明する。
図4は、本発明の電子写真感光体を表わす断面図であり、導電性支持体(41)上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層(45)と電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層(47)とが設けられている。
図5は、本発明の電子写真感光体の別の構成例を示す断面図であり、電荷発生層(45)と電荷輸送層(47)の上に、保護層(49)が積層された構成をとっている。
【0045】
導電性支持体(41)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体(41)として用いることができる。
【0046】
また、これらの中でも陽極酸化皮膜処理を簡便に行なうことのできるアルミニウムからなる円筒状支持体が最も良好に使用できる。ここでいうアルミニウムとは、純アルミ系あるいはアルミニウム合金のいずれをも含むものである。具体的には、JIS1000番台、3000番台、6000番台のアルミニウムあるいはアルミニウム合金が最も適している。陽極酸化皮膜は各種金属、各種合金を電解質溶液中において陽極酸化処理したものであるが、中でもアルミニウムもしくはアルミニウム合金を電解質溶液中で陽極酸化処理を行なったアルマイトと呼ばれる被膜が本発明に用いる感光体には最も適している。特に、反転現像(ネガ・ポジ現像)に用いた際に発生する点欠陥(黒ポチ、地汚れ)を防止する点で優れている。
【0047】
陽極酸化処理は、クロム酸、硫酸、蓚酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸などの酸性浴中において行なわれる。このうち、硫酸浴による処理が最も適している。一例を挙げると、硫酸濃度:10〜20%、浴温:5〜25℃、電流密度:1〜4A/dm、電解電圧:5〜30V、処理時間:5〜60分程度の範囲で処理が行なわれるが、これに限定するものではない。このように作製される陽極酸化皮膜は、多孔質であり、又絶縁性が高いため、表面が非常に不安定な状況である。このため、作製後の経時変化が存在し、陽極酸化皮膜の物性値が変化しやすい。これを回避するため、陽極酸化皮膜を更に封孔処理することが望ましい。封孔処理には、フッ化ニッケルや酢酸ニッケルを含有する水溶液に陽極酸化皮膜を浸漬する方法、陽極酸化皮膜を沸騰水に浸漬する方法、加圧水蒸気により処理する方法などがある。このうち、酢酸ニッケルを含有する水溶液に浸漬する方法が最も好ましい。封孔処理に引き続き、陽極酸化皮膜の洗浄処理が行なわれる。これは、封孔処理により付着した金属塩等の過剰なものを除去することが主な目的である。これが支持体(陽極酸化皮膜)表面に過剰に残存すると、この上に形成する塗膜の品質に悪影響を与えるだけでなく、一般的に低抵抗成分が残ってしまうため、逆に地汚れの発生原因にもなってしまう。洗浄は純水1回の洗浄でも構わないが、通常は他段階の洗浄を行なう。この際、最終の洗浄液が可能な限りきれいな(脱イオンされた)ものであることが好ましい。また、他段階の洗浄工程のうち1工程に接触部材による物理的なこすり洗浄を施すことが望ましい。以上のようにして形成される陽極酸化皮膜の膜厚は、5〜15μm程度が望ましい。これより薄すぎる場合には陽極酸化皮膜としてのバリア性の効果が充分でなく、これより厚すぎる場合には電極としての時定数が大きくなりすぎて、残留電位の発生や感光体のレスポンスが低下する場合がある。
【0048】
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性支持体(41)として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
【0049】
更に、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフロロエチレン系フッ素樹脂などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体(41)として良好に用いることができる。
【0050】
次に感光層について説明する。
電荷発生層(45)は、電荷発生材料として一次粒子の平均粒子サイズが0.2μm以下であるチタニルフタロシアニン結晶を主成分とする層である。好ましくは、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有する結晶型)に変換する工程である。特に、前記結晶型のうち、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶が良好に用いられ、更に26.3゜にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶は特に良好に用いられる。
【0051】
電荷発生層(45)は、前記顔料を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
必要に応じて電荷発生層(45)に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。
【0052】
ここで用いられる溶剤としては、例えばイソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられる。塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。電荷発生層(45)の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
【0053】
電荷輸送層(47)は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電荷輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
【0054】
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
【0055】
結着樹脂としてはポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0056】
電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は5〜100μm程度とすることが好ましい。ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。
【0057】
また、電荷輸送層(47)には電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂の機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これら高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は耐摩耗性に優れたものである。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、(I)〜(X)式で表わされる高分子電荷輸送物質が良好に用いられ、これらを以下に例示し、具体例を示す。
【0058】
【化1】
Figure 0004300279
(I)式
式中、R、R、Rはそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、Rは水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R、Rは置換もしくは無置換のアリール基、o、p、qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k、jは組成を表わし、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表わし5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、または下記一般式で表わされる2価基を表わす。なお、(I)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でもよい。
【0059】
【化2】
Figure 0004300279
101、R102は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表わす。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(式中、Zは脂肪族の2価基を表わす。)または、
【0060】
【化3】
Figure 0004300279
(aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表わす)を表わす。ここで、R101とR102、R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。)
【0061】
【化4】
Figure 0004300279
(II)式
式中、R、Rは置換もしくは無置換のアリール基、Ar,Ar,Arは同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(II)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でもよい。
【0062】
【化5】
Figure 0004300279
(III)式
式中、R,R10は置換もしくは無置換のアリール基、Ar,Ar,Arは同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(III)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でもよい。
【0063】
【化6】
Figure 0004300279
(IV)式
式中、R11,R12は置換もしくは無置換のアリール基、Ar,Ar,Arは同一又は異なるアリレン基、X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(IV)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でもよい。
【0064】
【化7】
Figure 0004300279
(V)式
式中、R13,R14は置換もしくは無置換のアリール基、Ar10,Ar11,Ar12は同一又は異なるアリレン基、X,Xは置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(V)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でもよい。
【0065】
【化8】
Figure 0004300279
(VI)式
式中、R15,R16,R17,R18は置換もしくは無置換のアリール基、Ar13,Ar14,Ar15,Ar16は同一又は異なるアリレン基、Y,Y,Yは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わし同一であっても異なってもよい。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(VI)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でもよい。
【0066】
【化9】
Figure 0004300279
(VII)式
式中、R19,R20は水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表わし,R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17,Ar18,Ar19は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(VII)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でもよい。
【0067】
【化10】
Figure 0004300279
(VIII)式
式中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、Ar20,Ar21,Ar22,Ar23は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(VIII)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でもよい。
【0068】
【化11】
Figure 0004300279
(IX)式
式中、R22,R23,R24,R25は置換もしくは無置換のアリール基、Ar24,Ar25,Ar26,Ar27,Ar28は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(IX)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でもよい。
【0069】
【化12】
Figure 0004300279
(X)式
式中、R26,R27は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29,Ar30,Ar31は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(X)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でもよい。
【0070】
また、電荷輸送層に使用される高分子電荷輸送物質として、上述の高分子電荷輸送物質の他に、電荷輸送層の成膜時には電子供与性基を有するモノマーあるいはオリゴマーの状態で、成膜後に硬化反応あるいは架橋反応をさせることで、最終的に2次元あるいは3次元の架橋構造を有する重合体も含むものである。
【0071】
これら電子供与性基を有する重合体から構成される電荷輸送層、あるいは架橋構造を有する重合体は耐摩耗性に優れたものである。通常、電子写真プロセスにおいては、帯電電位(未露光部電位)は一定であるため、繰り返し使用により感光体の表面層が摩耗すると、その分だけ感光体にかかる電界強度が高くなってしまう。この電界強度の上昇に伴い、地汚れの発生頻度が高くなるため、感光体の耐摩耗性が高いことは、地汚れに対して有利である。これら電子供与性基を有する重合体から構成される電荷輸送層は、自身が高分子化合物であるため成膜性に優れ、低分子分散型高分子からなる電荷輸送層に比べ、電荷輸送部位を高密度に構成することが可能で電荷輸送能に優れたものである。このため、高分子電荷輸送物質を用いた電荷輸送層を有する感光体には高速応答性が期待できる。
【0072】
その他の電子供与性基を有する重合体としては、公知単量体の共重合体や、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマーや、また、例えば特開平3−109406号公報、特開2000−206723号公報、特開2001−34001号公報等に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体などを用いることも可能である。この場合にも、先の移動度を満足できるような材料が有効に使用できる。
【0073】
本発明において電荷輸送層(47)中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂に対して0〜30重量%程度が適当である。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいは、オリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂に対して、0〜1重量%が適当である。
【0074】
結着樹脂としては、先に電荷輸送層(47)で挙げた結着樹脂をそのまま用いるほかに、電荷発生層(45)で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。もちろん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。単層感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を必要ならば電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコートなどで塗工して形成できる。単層感光層の膜厚は、5〜100μm程度が適当である。
【0075】
本発明の電子写真感光体には、導電性支持体(41)と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
【0076】
これらの下引き層は前述の感光層の如く適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0077】
本発明の感光体においては、感光層保護の目的で、保護層(49)が感光層の上に設けられることもある。保護層(49)に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。中でも、ポリカーボネートもしくはポリアリレートが最も良好に使用できる。
【0078】
保護層(49)にはその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、シリカ等の無機フィラー、また有機フィラーを分散したもの等を添加することができる。
また、感光体の保護層に用いられるフィラー材料のうち有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。特に、フィラーの硬度の点からは、この中でも無機材料を用いることが有利である。特に、シリカ、酸化チタン、アルミナが有効に使用できる。更に、この中でも六方ちょう密構造を有するα−アルミナが最も有効に使用できる。
【0079】
保護層中のフィラー濃度は使用するフィラー種により、また感光体を使用する電子写真プロセス条件によっても異なるが、保護層の最表層側において全固形分に対するフィラーの比で5重量%以上、好ましくは10重量%以上、50重量%以下、好ましくは30重量%以下程度が良好である。
また、使用するフィラーの体積平均粒径は、0.1μm〜2μmの範囲が良好に使用され、好ましくは0.3μm〜1μmの範囲である。この場合、平均粒径が小さすぎると耐摩耗性が充分に発揮されず、大きすぎると塗膜の表面性が悪くなったり、塗膜そのものが形成できなかったりするからである。
【0080】
なお、本発明におけるフィラーの平均粒径とは、特別な記載のない限り体積平均粒径であり、超遠心式自動粒度分布測定装置:CAPA−700(堀場製作所製)により求めたものである。この際、累積分布の50%に相当する粒子径(Median系)として算出されたものである。また、同時に測定される各々の粒子の標準偏差が1μm以下であることが重要である。これ以上の標準偏差の値である場合には、粒度分布が広すぎて、本発明の効果が顕著に得られなくなってしまう場合がある。
【0081】
また、本発明で使用するフィラーのpHも解像度やフィラーの分散性に大きく影響する。その理由の一つとしては、フィラー、特に金属酸化物は製造時に塩酸等が残存することが考えられる。その残存量が多い場合には、画像ボケの発生は避けられず、またそれは残存量によってはフィラーの分散性にも影響を及ぼす場合がある。
もう一つの理由としては、フィラー、特に金属酸化物の表面における帯電性の違いによるものである。通常、液体中に分散している粒子はプラスあるいはマイナスに帯電しており、それを電気的に中性に保とうとして反対の電荷を持つイオンが集まり、そこで電気二重層が形成されることによって粒子の分散状態は安定化している。粒子から遠ざかるに従いその電位(ゼータ電位)は徐々に低くなり、粒子から充分に離れて電気的に中性である領域の電位はゼロとなる。したがって、ゼータ電位の絶対値の増加によって粒子の反発力が高くなることによって安定性は高くなり、ゼロに近づくに従い凝集しやすく不安定になる。
一方、系のpH値によってゼータ電位は大きく変動し、あるpH値において電位はゼロとなり等電点を持つことになる。したがって、系の等電点からできるだけ遠ざけて、ゼータ電位の絶対値を高めることによって分散系の安定化が図られることになる。
本発明の構成においては、フィラーとしては前述の等電点におけるpHが、少なくとも5以上を示すものが画像ボケ抑制の点から好ましく、より塩基性を示すフィラーであるほどその効果が高くなる傾向があることが確認された。等電点におけるpHが高い塩基性を示すフィラーは、系が酸性であった方がゼータ電位はより高くなることにより、分散性及びその安定性は向上することになる。
ここで、本発明におけるフィラーのpHは、ゼータ電位から等電点におけるpH値を記載した。この際、ゼータ電位の測定は、大塚電子(株)製レーザーゼータ電位計にて測定した。
【0082】
更に、画像ボケが発生しにくいフィラーとしては、電気絶縁性が高いフィラー(比抵抗が1010Ω・cm以上)が好ましく、フィラーのpHが5以上を示すものやフィラーの誘電率が5以上を示すものが特に有効に使用できる。また、pHが5以上のフィラーあるいは誘電率が5以上のフィラーを単独で使用することはもちろん、pHが5以下のフィラーとpHが5以上のフィラーとを2種類以上を混合したり、誘電率が5以下のフィラーと誘電率が5以上のフィラーとを2種類以上混合したりして用いることも可能である。また、これらのフィラーの中でも高い絶縁性を有し、熱安定性が高い上に、耐摩耗性が高い六方細密構造であるα型アルミナは、画像ボケの抑制や耐摩耗性の向上の点から特に有用である。
【0083】
本発明において使用するフィラーの比抵抗は以下のように定義される。フィラーのような粉体は、充填率によりその比抵抗値が異なるので、一定の条件下で測定する必要がある。本発明においては、特開平5−94049号公報の第1図、特開平5−113688号公報の第1図に示された測定装置と同様の構成の装置を用いて、フィラーの比抵抗値を測定し、この値を用いた。測定装置において、電極面積は4.0cmである。測定前に片側の電極に4kgの荷重を1分間かけ、電極間距離が4mmになるように試料量を調節する。測定の際は、上部電極の重量(1kg)の荷重状態で測定を行ない、印加電圧は100Vにて測定する。10Ω・cm以上の領域は、HIGH RESISTANCE METER(横河ヒューレットパッカード)、それ以下の領域についてはデジタルマルチメーター(フルーク)により測定した。これにより得られた比抵抗値を本発明の言うところの比抵抗値と定義するものである。
【0084】
フィラーの誘電率は以下のように測定した。上述のような比抵抗の測定と同様なセルを用い、荷重をかけた後に、静電容量を測定し、これより誘電率を求めた。静電容量の測定は、誘電体損測定器(安藤電気)を使用した。
【0085】
更に、これらのフィラーは少なくとも一種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、そうすることがフィラーの分散性の面から好ましい。フィラーの分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤を使用することができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸等、あるいはこれらとシランカップリング剤との混合処理や、Al、TiO、ZrO、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理がフィラーの分散性及び画像ボケの点からより好ましい。シランカップリング剤による処理は、画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。表面処理量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、3〜30wt%が適しており、5〜20wt%がより好ましい。表面処理量がこれよりも少ないとフィラーの分散効果が得られず、また多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こす。これらフィラー材料は単独もしくは2種類以上混合して用いられる。フィラーの表面処理量に関しては、上述のようにフィラー量に対する使用する表面処理剤の重量比で定義される。
これらフィラー材料は、適当な分散機を用いることにより分散できる。また、保護層の透過率の点から使用するフィラーは1次粒子レベルまで分散され、凝集体が少ない方が好ましい。
【0086】
また、保護層(49)には残留電位低減、応答性改良のため、電荷輸送物質を含有しても良い。電荷輸送物質は、電荷輸送層の説明のところに記載した材料を用いることができる。電荷輸送物質として、低分子電荷輸送物質を用いる場合には、保護層中における濃度傾斜を設けても構わない。耐摩耗性向上のため、表面側を低濃度にすることは有効な手段である。ここで言う濃度とは、保護層を構成する全材料の総重量に対する低分子電荷輸送物質の重量の比を表わし、濃度傾斜とは上記重量比において表面側において濃度が低くなるような傾斜を設けることを示す。
また、高分子電荷輸送物質を用いることは、感光体の耐久性を高める点で非常に有利である。
【0087】
保護層のフィラー以外の成分を高分子だけで構成することにより、機械的な耐摩耗性を向上させるだけでなく、化学的な安定性を高めることもできる。高分子は低分子に比べて化学的な反応性に乏しく、帯電部材から発生する酸化性ガスへの耐性、あるいは放電によるスパッタリング効果に対する耐性も高い。保護層のように耐摩耗性の高い膜を表面に有する場合、繰り返し使用での画像ボケの問題が非常に顕著になる。これは、感光体表面に、酸化性ガスの吸着や低抵抗物質の付着(吸着)が起こるためであると考えられるが、上述のようにフィラー及び高分子成分だけから構成される保護層を採用した場合には、吸着サイトが減少することになり、画像ボケに対して高い効果を示すものである。
【0088】
保護層の形成法としては通常の塗布法が採用される。なお保護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。また、以上の他に真空薄膜作成法にて形成したa−C、a−SiCなど公知の材料を保護層として用いることができる。
【0089】
上述したように、感光層(電荷輸送層)に高分子電荷輸送物質を使用したり、あるいは感光体の表面に保護層を設けることは、各々の感光体の耐久性(耐摩耗性)を高めるだけでなく、タンデム型フルカラー画像形成装置中で使用される場合には、モノクロ画像形成装置にはない新たな効果をも生み出すものである。
フルカラーの画像の場合、様々な形態の画像が入力されるが、逆に定型的な画像も入力される場合がある。例えば、日本語の文書等における検印の存在などである。検印のようなものは通常、画像領域の端の方に位置され、また使用される色も限定される。
【0090】
また、フルカラー機もタンデム方式のものが主流になりつつあり、印刷速度が非常に向上してきた。このため、ビジネス文書の出力も多くなってきており、例えば会社のロゴを使用したような書式(書面)を出力するケースも増えている。このような場合には、特定の箇所にだけ印字が行なわれるため、感光体使用の偏りは一段と大きくなる。
ランダムな画像が常に書き込まれているような状態においては、画像形成要素中の感光体には、平均的に画像書き込み、現像、転写が行なわれることになるが、上述のように特定の部分に数多くの画像形成が繰り返されたり、特定の画像形成要素ばかり使用された場合には、その耐久性のバランスを欠くことにつながる。このような状態で表面の耐久性(物理的・化学的・機械的)の小さな感光体が使用された場合には、この差が顕著になり、画像上の問題になりやすい。
一方、感光体を高耐久化した場合には、このような局所的な変化量が小さく、結果的に画像上の欠陥として現われにくくなるため、高耐久化を実現すると共に、出力画像の安定性をも増すことになり、非常に有効である。
【0091】
本発明においては感光層と保護層との間に中間層を設けることも可能である。中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく通常の塗布法が採用される。なお、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
【0092】
次に、図面を用いて本発明の電子写真方法ならびに電子写真装置を詳しく説明する。
図6は、本発明の電子写真プロセスおよび電子写真装置を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図6において、感光体(21)は導電性支持体上に一次粒子の平均粒子サイズが0.2μm以下であるチタニルフタロシアニン結晶を含有する電荷発生層と電荷輸送層が設けられてなる。帯電部材(23)、転写前チャージャー(27)、転写チャージャー(30)、分離チャージャー(31)、クリーニング前チャージャー(33)には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラーを始めとする公知の手段が用いられる。帯電部材は、感光体に対し接触もしくは近接配置したものが良好に用いられる。また、帯電部材により感光体に帯電を施す際、帯電部材に直流成分に交流成分を重畳した電界により感光体に帯電を与えることにより、帯電ムラを低減することが可能で効果的である。特に、タンデム型のフルカラー画像形成装置においては、モノクロ画像形成装置の場合に発生する帯電ムラによるハーフトーン画像の濃度ムラの問題に加え、カラーバランス(色再現性)の低下という大きな問題につながる。直流成分に交流成分を重畳することにより、前記問題点は大きく改善されるものであるが、交流成分の条件(周波数、ピーク間電圧)が大きすぎる場合には、感光体へのハザードが大きくなり、感光体の劣化を早めてしまう場合がある。このため、交流成分の重畳は必要最低限にとどめるべきである。
【0093】
ここでいう接触方式の帯電部材とは、感光体表面に帯電部材の表面が接触するタイプのものであり、帯電ローラー、帯電ブレード、帯電ブラシの形状がある。
中でも帯電ローラーや帯電ブラシが良好に使用される。
また、近接配置した帯電部材とは、感光体表面と帯電部材表面の間に200μm以下の空隙(ギャップ)を有するように非接触状態で近接配置したタイプのものである。このギャップは、大きすぎた場合には帯電が不安定になりやすく、また小さすぎた場合には、感光体に残留したトナーが存在する場合に、帯電部材表面が汚染されてしまう可能性がある。したがって、ギャップは10〜200μm、好ましくは10〜100μmの範囲が適当である。空隙の距離から、コロトロン、スコロトロンに代表される公知のチャージ・ワイヤータイプの帯電器、接触方式の帯電ローラー、帯電ブラシ、帯電ブレードなどの接触帯電部材とは区別されるものである。
【0094】
本発明において使用される近接配置された帯電部材は、感光体表面との空隙を適切に制御できる機構のものであればいかなる形状のものでも良い。例えば、感光体の回転軸と帯電部材の回転軸を機械的に固定して、適正ギャップを有するような配置にすればよい。中でも、帯電ローラーの形状の帯電部材を用い、帯電部材の非画像形成部両端にギャップ形成部材を配置して、この部分のみを感光体表面に当接させ、画像形成領域を非接触配置させる、あるいは感光体非画像形成部両端ギャップ形成部材を配置して、この部分のみを帯電部材表面に当接させ、画像形成領域を非接触配置させる様な方法が、簡便な方法でギャップを安定して維持できる方法である。特に特開2002−148904号公報、特開2002−148905号公報に記載された方法は良好に使用できる。帯電部材側にギャップ形成部材を配置した近接帯電機構の一例を図7に示す。
【0095】
転写手段には、一般に上記の帯電器が使用できるが、図6に示されるように転写チャージャー(30)と分離チャージャー(31)を併用したものが効果的である。
また、画像露光部(25)の光源にはLDもしくはLEDが用いられる。除電ランプ(22)等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
かかる光源等は、図6に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
【0096】
さて、現像ユニット(26)により感光体(21)上に現像されたトナーは、転写紙(29)に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体(21)上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、ファーブラシ(34)およびブレード(35)により、感光体より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
【0097】
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
【0098】
図8には、本発明による電子写真プロセスの別の例を示す。感光体(61)は導電性支持体上に、一次粒子の平均粒子サイズが0.2μm以下であるチタニルフタロシアニン結晶を含有する電荷発生層と電荷輸送層が設けられてなる。駆動ローラー(62a),(62b)により駆動され、帯電器(63)による帯電、光源(64)による像露光、現像(図示せず)、帯電器(65)を用いる転写、光源(66)によるクリーニング前露光、ブラシ(67)によるクリーニング、光源(68)による除電が繰返し行なわれる。図8においては、感光体(61)(勿論支持体が透光性である)に支持体側より画像露光の光照射が行なわれる。また、画像露光源(64)は、LDもしくはLEDが好ましく用いられる。
【0099】
以上の図示した電子写真プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、図8において感光層側よりクリーニング前露光を行なっているが、これは透光性支持体側から行なってもよいし、また、除電光の照射を支持体側から行なってもよい。
一方、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行なうこともできる。
【0100】
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段を含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図9に示すものが挙げられる。感光体(76)は導電性支持体上に一次粒子の平均粒子サイズが0.2μm以下であるチタニルフタロシアニン結晶を含有する電荷発生層と電荷輸送層が設けられてなる。
【0101】
図10は、本発明のタンデム方式のフルカラー電子写真装置を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図10において、符号(1C)、(1M)、(1Y)及び(1K)はドラム状の感光体であり、この感光体(1C)、(1M)、(1Y)及び(1K)は図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電部材(2C)、(2M)、(2Y)及び(2K)、現像部材(4C)、(4M)、(4Y)及び(4K)、クリーニング部材(5C)、(5M)、(5Y)及び(5K)が配置されている。帯電部材(2C)、(2M)、(2Y)及び(2K)は、感光体表面を均一に帯電するための帯電装置を構成する帯電部材である。この帯電部材(2C)、(2M)、(2Y)及び(2K)と、現像部材(4C)、(4M)、(4Y)及び(4K)の間の感光体表面に図示しない露光部材からのレーザー光(3C)、(3M)、(3Y)及び(3K)が照射され、感光体(1C)、(1M)、(1Y)及び(1K)に静電潜像が形成されるようになっている。そして、このような感光体(1C)、(1M)、(1Y)及び(1K)を中心とした4つの画像形成要素(6C)、(6M)、(6Y)及び(6K)が、転写材搬送手段である転写搬送ベルト(10)に沿って並置されている。転写搬送ベルト(10)は各画像形成ユニット(6C)、(6M)、(6Y)及び(6K)の現像部材(4C)、(4M)、(4Y)及び(4K)とクリーニング部材(5C)、(5M)、(5Y)及び(5K)の間で感光体(1C)、(1M)、(1Y)及び(1K)に当接しており、転写搬送ベルト(10)の感光体側の裏側に当たる面(裏面)には転写バイアスを印加するための転写ブラシ(11C)、(11M)、(11Y)及び(11K)が配置されている。各画像形成要素(6C)、(6M)、(6Y)及び(6K)は現像装置内部のトナーの色が異なることであり、その他は全て同様の構成となっている。
【0102】
図10に示す構成のカラー電子写真装置において、画像形成動作は次のようにして行なわれる。まず、各画像形成要素(6C)、(6M)、(6Y)及び(6K)において、感光体(1C)、(1M)、(1Y)及び(1K)が矢印方向(感光体と連れ周り方向)に回転する帯電部材(2C)、(2M)、(2Y)及び(2K)により帯電され、次に感光体の内側に配置された露光部(図示しない)でレーザー光(3C)、(3M)、(3Y)及び(3K)により、作成する各色の画像に対応した静電潜像が形成される。次に現像部材(4C)、(4M)、(4Y)及び(4K)により潜像を現像してトナー像が形成される。現像部材(4C)、(4M)、(4Y)及び(4K)は、それぞれC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のトナーで現像を行なう現像部材で、4つの感光体(1C)、(1M)、(1Y)及び(1K)上で作られた各色のトナー像は転写紙上で重ねられる。転写紙(7)は給紙コロ(8)によりトレイから送り出され、一対のレジストローラ(9)で一旦停止し、上記感光体上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト(10)に送られる。転写搬送ベルト(10)上に保持された転写紙(7)は搬送されて、各感光体(1C)、(1M)、(1Y)及び(1K)との当接位置(転写部)で各色トナー像の転写が行なわれる。感光体上のトナー像は、転写ブラシ(11C)、(11M)、(11Y)及び(11K)に印加された転写バイアスと感光体(1C)、(1M)、(1Y)及び(1K)との電位差から形成される電界により、転写紙(7)上に転写される。そして4つの転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた記録紙(7)は定着装置(12)に搬送され、トナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。また、転写部で転写されずに各感光体(1C)、(1M)、(1Y)及び(1K)上に残った残留トナーは、クリーニング装置(5C)、(5M)、(5Y)及び(5K)で回収される。なお、図10の例では、画像形成要素は転写紙搬送方向上流側から下流側に向けてC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものではなく、色順は任意に設定されるものである。また、黒色のみの原稿を作成する際には、黒色以外の画像形成要素(6C)、(6M)、(6Y)が停止するような機構を設けることは本発明に特に有効に利用できる。更に、図10において帯電部材は感光体と当接しているが、両者の間に適当なギャップ(10〜200μm程度)を設けてやることにより、両者の摩耗量が低減できると共に、帯電部材へのトナーフィルミングが少なくて済み、良好に使用できる。
【0103】
以上に示したような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、各々の電子写真要素はプロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等を含んだ1つの装置(部品)である。
【0104】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明が実施例により制約を受けるものではない。なお、部はすべて重量部である。
まず、ブラッグ角2θの最大回折ピークが27.2°±0.2°にある結晶型のチタニルフタロシアニン顔料の具体的な合成例を述べる。
(実施例1)
1,3−ジイミノイソインドリン292部とスルホラン1800部を混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド204部を滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。
得られた熱水洗浄処理した粗チタニルフタロシアニン顔料のうち60部を96%硫酸1000部に3〜5℃下撹拌、溶解し、ろ過した。得られた硫酸溶液を氷水35000部中に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過、ついで洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返し、チタニルフタロシアニン顔料の水ペーストを得た。
この水ペーストにテトラヒドロフラン1500部を加え、室温下でホモミキサー(ケニス、MARK,fモデル)により強烈に撹拌(2000rpm)し、ペーストの濃紺色の色が淡い青色に変化したら(撹拌開始後20分)、撹拌を停止し、直ちに減圧濾過を行なった。濾過装置上で得られた結晶をテトラヒドロフランで洗浄し、顔料のウェットケーキ98部を得た。これを減圧下(5mmHg)、70℃で2日間乾燥して、チタニルフタロシアニン結晶78部を得た。これを顔料1とする。
【0105】
(実施例2)
実施例1における結晶変換溶媒をテトラヒドロフランからトルエンに変更した以外は、実施例1と同様に処理を行ない、チタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料2とする。
【0106】
(実施例3)
実施例1における結晶変換溶媒をテトラヒドロフランから塩化メチレンに変更した以外は、実施例1と同様に処理を行ない、チタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料3とする。
【0107】
(比較例1)
実施例1における結晶変換溶媒をテトラヒドロフランから2−ブタノンに変更した以外は、実施例1と同様に処理を行ない、チタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料4とする。
【0108】
(比較例2)
実施例1におけるテトラヒドロフランによる結晶変換処理に際して、特開2001−19871号公報に記載の合成例1の方法に準じて、結晶変換時間を4時間に設定した以外は実施例1と同様に処理し、チタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料5とする。
【0109】
(比較例3)
実施例1において、テトラヒドロフランによる結晶変換処理に際して、特開2001−19871号公報に記載の合成例1の方法に準じて、結晶変換時間を4時間に設定し、更に一昼夜静置保管して、翌日濾過を行なった以外は、実施例1と同様に処理し、チタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料6とする。
【0110】
実施例1で作製された水ペーストの一部をイオン交換水でおよそ1重量%になるように希釈し、表面を導電性処理した銅製のネットですくい取り、チタニルフタロシアニンの粒子サイズを透過型電子顕微鏡(TEM、日立:H−9000NAR)にて、75000倍の倍率で観察を行なった。平均粒子サイズとして、以下のように求めた。
上述のように観察されたTEM像をTEM写真として撮影し、映し出されたチタニルフタロシアニン粒子(針状に近い形)を30個任意に選び出し、それぞれの長径の大きさを測定する。測定した30個体の長径の算術平均を求めて、平均粒子サイズとした。
以上の方法により求められた実施例1における水ペースト中の平均粒子サイズは、0.06μmであった。
【0111】
実施例1〜3、比較例1〜3における濾過直前の結晶変換後チタニルフタロシアニン結晶を、上記の水ペーストと同じ方法によりTEM観察を行なった。それぞれ、所定の結晶変換処理を行ない、濾過直前の液をサンプリングし、それぞれの結晶変換溶媒でおよそ1重量%になるように希釈し、測定に供した。求めた平均粒子サイズを表1に示す。なお、実施例1〜3、比較例1〜3で作製されたチタニルフタロシアニン結晶は、水ペーストとは異なり結晶の形が同一ではなかった(三角形に近い形、四角形に近い形など)。このため、結晶の最も大きな対角線の長さを長径として、計算を行なった。
【0112】
【表1】
Figure 0004300279
【0113】
実施例1で得られた水ペーストの一部を80℃の減圧下(5mmHg)で、2日間乾燥して、低結晶性チタニルフタロシアニン粉末を得た。
上述のように得られた水ペーストの乾燥粉末と、実施例1〜4および比較例1〜2で得られたチタニルフタロシアニン結晶についてのX線回折スペクトルを以下に示す条件で測定した。
X線管球:Cu
電圧:40kV
電流:20mA
走査速度:1°/分
走査範囲:3°〜40°
時定数:2秒
【0114】
水ペーストの乾燥粉末のX線回折スペクトルを図11に示す。
また、実施例1〜3および比較例2〜3で得られたチタニルフタロシアニン結晶については、いずれの場合にも同様のX線回折スペクトルを示したため、代表例として実施例1で得られたチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルを図12に示す。比較例1で得られたチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルは、実施例1〜3および比較例2〜3で得られたチタニルフタロシアニン結晶と異なるX線回折スペクトルであった(最低角が7.5°に存在する)。これを図13に示す。
【0115】
(比較例4)
特開平1−299874号公報に記載の方法に準じて顔料を作製した。すなわち、実施例1で作製したウェットケーキ(水ペースト)を乾燥し、乾燥物1gをポリエチレングリコール50gに加え、100gのガラスビーズと共に、サンドミルを1時間行なった。結晶転移後、希硫酸、水酸化アンモニウム水溶液で順次洗浄し、乾燥して顔料を得た。これを顔料7とする。
【0116】
(比較例5)
特開平3−269064号公報に記載の方法に準じて顔料を作製した。すなわち、実施例1で作製したウェットケーキを乾燥し、乾燥物1gをイオン交換水10gとモノクロルベンゼン1gの混合溶媒中で1時間撹拌(50℃)した後、メタノールとイオン交換水で洗浄し、乾燥して顔料を得た。これを顔料8とする。
【0117】
(比較例6)
特開平2−8256号公報に記載の方法に準じて顔料を作製した。すなわち、フタロジニトリル9.8gと1−クロロナフタレン75mlを撹拌混合し、窒素気流下で四塩化チタン2.2mlを滴下する。滴下終了後、徐々に200℃まで昇温し、反応温度を200℃〜220℃の間に保ちながら3時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷し130℃になったところ熱時ろ過し、ついで1−クロロナフタレンで粉体が青色になるまで洗浄、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後、乾燥し顔料を得た。これを顔料9とする。
【0118】
(比較例7)
特開昭64−17066号公報に記載の方法に準じて顔料を作製した。すなわち、α型TiOPc5部を食塩10gおよびアセトフェノン5gと共にサンドグラインダーにて100℃−10時間結晶変換処理を行なった。これをイオン交換水及びメタノールで洗浄し、希硫酸水溶液で精製し、イオン交換水で酸分がなくなるまで洗浄した後、乾燥して顔料を得た。これを顔料10とする。
【0119】
(比較例8)
特開平11−5919号公報に記載の方法に準じて顔料を作製した。すなわち、o−フタロジニトリル20.4部、四塩化チタン部7.6部をキノリン50部中で200℃にて2時間加熱反応後、水蒸気蒸留で溶媒を除き、2%塩化水溶液、続いて2%水酸化ナトリウム水溶液で精製し、メタノール、N,N−ジメチルホルムアミドで洗浄後、乾燥し、チタニルフタロシアニン21.3部を得た。このチタニルフタロシアニン2部を5℃の98%硫酸40部の中に少しずつ溶解し、その混合物を約1時間、5℃以下の温度を保ちながら攪拌する。続いて硫酸溶液を高速攪拌した400部の氷水中に、ゆっくりと注入し、析出した結晶を濾過する。結晶を酸が残量しなくなるまで蒸留水で洗浄し、ウエットケーキを得る。そのケーキ(含有フタロシアニン量2部と仮定して)をTHF100部中で約5時間攪拌を行ない、ろ過、洗浄を行ない、乾燥して顔料を得た。これを顔料11とする。
【0120】
以上の比較例4〜8で作製した顔料は、先ほどと同様の方法でX線回折スペクトルを測定し、それぞれの公報に記載のスペクトルと同様であることを確認した。表2に先の表1と同様な評価結果を示す。
【0121】
【表2】
Figure 0004300279
【0122】
(実施例4)
下記組成の分散液を下に示す条件のビーズミリングにより作製した(これを分散液1とする)。
実施例1で作製したチタニルフタロシアニン結晶(顔料1) 15部
ポリビニルブチラール(積水化学製:BX−1) 10部
2−ブタノン 280部
市販のビーズミル分散機に直径0.5mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した2−ブタノンおよび顔料を全て投入し、ローター回転数1500r.p.m.にて分散を行ない、体積平均粒径が0.2μmより小さくなったところで分散を停止した。
【0123】
(実施例5)
実施例4におけるチタニルフタロシアニン結晶を、顔料2に変更した以外は、実施例4と同様に分散液を作製した(これを分散液2とする)。
【0124】
(実施例6)
実施例4におけるチタニルフタロシアニン結晶を、顔料3に変更した以外は、実施例4と同様に分散液を作製した(これを分散液3とする)。
【0125】
(実施例7)
実施例4におけるチタニルフタロシアニン結晶を、顔料4に変更した以外は、実施例4と同様に分散液を作製した(これを分散液4とする)。
【0126】
(比較例9)
実施例4におけるチタニルフタロシアニン結晶を、顔料5に変更した以外は、実施例4と同様に分散液を作製した(これを分散液5とする)。
【0127】
(比較例10)
実施例4におけるチタニルフタロシアニン結晶を、顔料6に変更した以外は、実施例4と同様に分散液を作製した(これを分散液6とする)。
【0128】
(比較例11)
実施例4におけるチタニルフタロシアニン結晶を、顔料7に変更した以外は、実施例4と同様に分散液を作製した(これを分散液7とする)。
【0129】
(比較例12)
実施例4におけるチタニルフタロシアニン結晶を、顔料8に変更した以外は、実施例4と同様に分散液を作製した(これを分散液8とする)。
【0130】
(比較例13)
実施例4におけるチタニルフタロシアニン結晶を、顔料9に変更した以外は、実施例4と同様に分散液を作製した(これを分散液9とする)。
【0131】
(比較例14)
実施例4におけるチタニルフタロシアニン結晶を、顔料10に変更した以外は、実施例4と同様に分散液を作製した(これを分散液10とする)。
【0132】
(比較例15)
実施例4におけるチタニルフタロシアニン結晶を、顔料11に変更した以外は、実施例4と同様に分散液を作製した(これを分散液11とする)。
【0133】
(比較例16)
比較例10において、分散時間を変更し、結晶型の変化が起こらない時間まで分散を行ない、分散を停止した(これを分散液12とする)。
【0134】
実施例4〜7および比較例9〜16で作製された分散液中の顔料粒子サイズ(体積平均粒径)を堀場製作所:CAPA700にて測定した。また、作製された分散液を乾固し、粉末にしたものを前述と同様にX線回折スペクトルを測定した。結果を合わせて表3に示す。
【0135】
【表3】
Figure 0004300279
図14中の矢印(26.3゜)のピークが新たに出現した。結晶の一部が他の結晶型へ変化している。
【0136】
(実施例8)
直径60mmのアルミニウムシリンダー(JIS1050)に、下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥し、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、25μmの電荷輸送層を形成し、積層感光体を作製した。
◎下引き層塗工液
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製) 70部
アルキッド樹脂 15部
(ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製)
メラミン樹脂 10部
(スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製)
2−ブタノン 100部
◎電荷発生層塗工液
前述の分散液1を用いた。
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート(ユーピロンZ300:三菱ガス化学社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【0137】
【化13】
Figure 0004300279
塩化メチレン 80部
【0138】
(実施例9)
実施例8における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液2を用いた以外は、実施例8と同様に感光体を作製した。
【0139】
(実施例10)
実施例8における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液3を用いた以外は、実施例8と同様に感光体を作製した。
【0140】
(実施例11)
実施例8における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液4を用いた以外は、実施例8と同様に感光体を作製した。
【0141】
(比較例17)
実施例8における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液5を用いた以外は、実施例8と同様に感光体を作製した。
【0142】
(比較例18)
実施例8における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液6を用いた以外は、実施例8と同様に感光体を作製した。
【0143】
(比較例19)
実施例8における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液7を用いた以外は、実施例8と同様に感光体を作製した。
【0144】
(比較例20)
実施例8における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液8を用いた以外は、実施例8と同様に感光体を作製した。
【0145】
(比較例21)
実施例8における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液9を用いた以外は、実施例8と同様に感光体を作製した。
【0146】
(比較例22)
実施例8における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液10を用いた以外は、実施例8と同様に感光体を作製した。
【0147】
(比較例23)
実施例8における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液11を用いた以外は、実施例8と同様に感光体を作製した。
【0148】
(比較例24)
実施例8における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液12を用いた以外は、実施例8と同様に感光体を作製した。
【0149】
以上のように作製した実施例8〜11および比較例17〜24の電子写真感光体を図6に示す電子写真装置に搭載し、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)として、帯電部材として接触方式の帯電ローラーを用い、下記の帯電条件で画像を出力した。
帯電条件:
DCバイアス:約−1600V(感光体表面の未露光部電位が−900Vにな
るように設定)
書き込み率6%のチャートを用い、連続して20000枚の印刷を行ない、初期及び20000枚後の画像を評価した。画像評価は、初期及び20000枚後に白ベタ画像を出力し、地肌汚れの評価を行なった(下記ランクで評価した)。
また、同時に、現像部位置における感光体の表面電位(黒ベタ画像部)を測定するために、現像器が装着される位置に電位計がセットできるような治具を用いて、初期及び20000枚の画像出力後の感光体表面電位を測定した。結果を表4に示す。
【0150】
【表4】
Figure 0004300279
地汚れランク:
5:地汚れほとんどなし、
4:わずかにあり、
3:実使用限界レベル、
2以下:実使用には耐えないレベル
【0151】
(実施例12)
実施例8における電荷輸送層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、実施例8と同様に感光体を作製した。
◎電荷輸送層塗工液
下記組成の高分子電荷輸送物質 10部
(重量平均分子量:約140000)
【0152】
【化14】
Figure 0004300279
下記構造の添加剤 0.5部
【0153】
【化15】
Figure 0004300279
塩化メチレン 100部
【0154】
(実施例13)
実施例8における電荷輸送層の膜厚を22μmとし、電荷輸送層上に下記組成の保護層塗工液を塗布乾燥し、3μmの保護層を設けた以外は実施例8と同様に感光体を作製した。
◎保護層塗工液
ポリカーボネート(ユーピロンZ300:三菱ガス化学社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【0155】
【化16】
Figure 0004300279
α―アルミナ微粒子 4部
(比抵抗:2.5×1012Ω・cm、平均一次粒径:0.4μm)
シクロヘキサノン 500部
テトラヒドロフラン 150部
【0156】
(実施例14)
実施例8における電荷輸送層の膜厚を22μmとし、電荷輸送層上に下記組成の保護層塗工液を塗布乾燥し、3μmの保護層を設けた以外は実施例8と同様に感光体を作製した。
◎保護層塗工液
ポリカーボネート(ユーピロンZ300:三菱ガス化学社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【0157】
【化17】
Figure 0004300279
酸化チタン微粒子 4部
(比抵抗:1.5×1010Ω・cm、平均一次粒径:0.5μm)
シクロヘキサノン 500部テトラヒドロフラン 150部
【0158】
(実施例15)
実施例8における電荷輸送層の膜厚を22μmとし、電荷輸送層上に下記組成の保護層塗工液を塗布乾燥し、3μmの保護層を設けた以外は実施例8と同様に感光体を作製した。
◎保護層塗工液
ポリカーボネート(ユーピロンZ300:三菱ガス化学社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【0159】
【化18】
Figure 0004300279
酸化錫−酸化アンチモン粉末 4部
(比抵抗:10Ω・cm、平均1次粒径0.4μm)
シクロヘキサノン 500部
テトラヒドロフラン 150部
【0160】
(実施例16)
実施例8における電荷輸送層の膜厚を22μmとし、電荷輸送層上に下記組成の保護層塗工液を塗布乾燥し、3μmの保護層を設けた以外は実施例8と同様に感光体を作製した。
◎保護層塗工液
下記構造式の高分子電荷輸送物質 17部
(重量平均分子量:約140000)
【0161】
【化19】
Figure 0004300279
アルミナ微粒子 4部
(比抵抗:2.5×1012Ω・cm、平均一次粒径:0.4μm)
シクロヘキサノン 500部
テトラヒドロフラン 150部
【0162】
以上のように作製した実施例12〜16の電子写真感光体を、実施例8の感光体と共に、図6に示す電子写真装置に搭載し、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)として、帯電部材として接触方式の帯電ローラーを用い、下記の帯電条件で画像を出力した。
帯電条件:
DCバイアス:−1600V(感光体表面の未露光部電位が−900Vにな
るように設定)
書き込み率6%のチャートを用い、連続して50000枚の印刷を行ない、初期及び50000枚後の画像を評価した。画像評価は、初期及び50000枚後に白ベタ画像を出力し、地肌汚れの評価を行なった(下記ランクで評価した)。
また、50000枚出力後、30℃−90%RHの環境下で画像を50枚出力した。
更に、50000枚出力における感光体表面の摩耗量を測定した。以上の結果を表5に示す。
【0163】
【表5】
Figure 0004300279
地汚れランク:
5:地汚れほとんどなし、
4:わずかにあり、
3:実使用限界レベル、
2以下:実使用には耐えないレベル
【0164】
(実施例17)
実施例8で作製した感光体を用い、図6に示す電子写真装置に搭載し、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)として、帯電部材として図7に示すような帯電ローラーの両端部に厚さ50μmの絶縁テープを巻き付けた近接配置用の帯電部材(感光体と帯電部材表面間の空隙が50μm)を用い、下記の帯電条件で画像を出力した。
帯電条件:
DCバイアス:−1650V(感光体表面の未露光部電位が−900Vになるように設定)
書き込み率6%のチャートを用い、連続して20000枚の印刷を行ない、初期及び20000枚後の画像を評価した。20000枚後にハーフトーン画像を出力して評価を行なった。
【0165】
(実施例18)
実施例17で実施した評価を、以下のように帯電条件を変更して行なった。
帯電条件:
DCバイアス:−900V
ACバイアス:2.0kV(peak to peak)、周波数:1.5kHz
【0166】
(実施例19)
実施例18において、絶縁テープの厚みを変えて、空隙を150μmに変更した以外は実施例18と同様に評価を行なった。
【0167】
(実施例20)
実施例18において、絶縁テープの厚みを変えて、空隙を250μmに変更した以外は実施例18と同様に評価を行なった。
以上の結果を実施例8の場合と合わせて表6に示す。
【0168】
【表6】
Figure 0004300279
【0169】
(実施例21)
実施例8において使用した支持体を、直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS1050)に変更した以外は実施例8と同様に感光体を作製した。
【0170】
(実施例22)
実施例21において、アルミニウムシリンダー(JIS1050)を以下の陽極酸化皮膜処理を行ない、次いで下引き層を設けずに、実施例17と同様に電荷発生層、電荷輸送層を設け、感光体を作製した。
◎陽極酸化皮膜処理
支持体表面の鏡面研磨仕上げを行ない、脱脂洗浄、水洗浄を行なった後、液温20℃、硫酸15vol%の電解浴に浸し、電解電圧15Vにて30分間陽極酸化皮膜処理を行なった。更に、水洗浄を行なった後、7%の酢酸ニッケル水溶液(50℃)にて封孔処理を行なった。その後純水による洗浄を経て、6μmの陽極酸化皮膜が形成された支持体を得た。
【0171】
(比較例25)
比較例17において使用した支持体を、直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS1050)に変更した以外は比較例17と同様に感光体を作製した。
【0172】
(比較例26)
比較例24において使用した支持体を、直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS1050)に変更した以外は比較例24と同様に感光体を作製した。
【0173】
以上のように作製した実施例21〜22および比較例25〜26の感光体を、図9に示すような電子写真装置用カートリッジに装着し、図10に示す画像形成装置に搭載し(すべての画像形成要素に同じ感光体を搭載した)、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)として、帯電部材として図7に示すような帯電ローラーの両端部に厚さ50μmの絶縁テープを巻き付けた近接配置用の帯電部材(感光体と帯電部材表面間の空隙が50μm)を用い、下記の帯電条件で画像を出力した。
帯電条件:
DCバイアス:−800V
ACバイアス:1.8kV(peak to peak)、周波数:1.5kHz
書き込み率6%のフルカラーチャートを用い、連続して20000枚の印刷を行ない、初期及び20000枚後の画像を評価した。画像評価は、初期及び20000枚後に白ベタ画像を出力し、地肌汚れの評価を行なった。また、色再現性を評価するチャートにて、20000枚後の色再現性を評価した。結果を表7に示す。
【0174】
【表7】
Figure 0004300279
地汚れランク:
5:地汚れほとんどなし、
4:わずかにあり、
3:実使用限界レベル、
2以下:実使用には耐えないレベル
【0175】
最後に、本発明のチタニルフタロシアニン結晶の特徴であるブラッグ角2θの最低角ピークである7.3°について、公知材料の最低角7.5°と同一であるか否かについて検証する。
【0176】
(測定例1)
実施例1で得られた顔料(最低角7.3°)に特開昭61−239248号公報に記載の顔料(最大回折ピークを7.5°に有する)と同様に作製したものを3重量%添加し、乳鉢で混合して、先ほどと同様にX線回折スペクトルを測定した。測定例1のX線回折スペクトルを図15に示す。
【0177】
(測定例2)
比較例1で得られた顔料(最低角7.5°)に特開昭61−239248号公報に記載の顔料(最大回折ピークを7.5°に有する)と同様に作製したものを3重量%添加し、乳鉢で混合して、先ほどと同様にX線回折スペクトルを測定した。測定例2のX線回折スペクトルを図16に示す。
【0178】
図15のスペクトルにおいては、低角側に7.3゜と7.5゜の2つの独立したピークが存在し、少なくとも7.3゜と7.5゜のピークは異なるものであることが分かる。一方、図16のスペクトルにおいては、低角側のピークは7.5゜のみに存在し、図15のスペクトルとは明らかに異なっている。
以上のことから、本発明のチタニルフタロシアニン結晶における最低角ピークである7.3°は、公知のチタニルフタロシアニン結晶における7.5°のピークとは異なるものであることが判る。
【0179】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的な説明より明らかなように、本発明によれば、一次粒子の極めて小さなチタニルフタロシアニン結晶およびその製造方法が提供される。また、前記チタニルフタロシアニン顔料を用いて分散液を作製する際に、結晶安定性が高く、粒子サイズの小さな分散液を得ることのできるチタニルフタロシアニン結晶およびその製造方法が提供される。
上記のチタニルフタロシアニン結晶を用いることにより、高感度を失うことなく繰り返し使用によっても帯電性の低下と残留電位の上昇を生じない安定な電子写真感光体が提供される。また、繰り返し使用によっても異常画像の発生の少ない電子写真感光体が提供される。
更に上記感光体を使用することにより、高速プリントが可能で、異常画像の発生の少ない、安定な電子写真方法、電子写真装置および電子写真装置用プロセスカートリッジが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい不定形チタニルフタロシアニンの粒子状態を表わす電子顕微鏡写真である。
【図2】本発明の結晶変換後のチタニルフタロシアニンの電子顕微鏡写真である。
【図3】本発明の結晶変換後のチタニルフタロシアニンの他の電子顕微鏡写真である。
【図4】本発明に用いられる電子写真感光体の構成例を示す断面図である。
【図5】本発明に用いられる電子写真感光体の他の構成例を示す断面図である。
【図6】本発明の電子写真プロセス及び電子写真装置を説明するための概略図である。
【図7】近接帯電機構を示す概略図(ギャップ保持機構が帯電部材側に形成されている)である。
【図8】本発明の電子写真プロセスの他の例を示す概略図である。
【図9】本発明の電子写真プロセスカートリッジの一例を示す概略図である。
【図10】本発明のタンデム式フルカラー電子写真装置を説明するための他の概略図である。
【図11】水ペーストの乾燥粉末のX線回折スペクトルを示す図である。
【図12】実施例1で得られたチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルを示す図である。
【図13】比較例1で得られたチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルを示す図である。
【図14】比較例9で得られたチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルを示す図である。
【図15】測定例1で得られたチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルを示す図である。
【図16】測定例2で得られたチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルを示す図である。
【符号の説明】
1C、1M、1Y、1K ドラム状感光体
2C、2M、2Y、2K 帯電部材
3C、3M、3Y、3K レーザー光
4C、4M、4Y、4K 現像部材
5C、5M、5Y、5K クリーニング部材
6C、6M、6Y、6K 画像形成要素
7 転写紙
8 給紙コロ
9 レジストローラ
10 転写搬送ベルト
11C、11M、11Y、11K 転写ブラシ
12 定着装置
21 感光体
22 除電ランプ
23 帯電部材
25 画像露光部
26 現像ユニット
27 転写前チャージャ
28 レジストローラ
29 転写紙
30 転写チャージャ
31 分離チャージャ
32 分離爪
33 クリーニング前チャージャ
34 ファーブラシ
35 ブレード
41 導電性支持体
45 電荷発生層
47 電荷輸送層
49 保護層
50 感光体
51 帯電ローラー
52 ギャップ形成部材
53 金属シャフト
54 画像形成領域
55 非画像形成領域
61 感光体
62a 駆動ローラ
62b 駆動ローラ
63 帯電チャージャ
64 像露光源
65 転写チャージャ
66 クリーニング前露光
67 クリーニングブラシ
68 除電光源
76 感光体
77 帯電チャージャ
78 クリーニングブラシ
79 画像露光部
80 現像ローラ

Claims (19)

  1. CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3゜のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、かつ一次粒子の平均サイズが0.2μm以下であることを特徴とするチタニルフタロシアニン結晶。
  2. 前記チタニルフタロシアニンが、更に26.3゜にピークを有さないことを特徴とする請求項1に記載のチタニルフタロシアニン結晶。
  3. CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、その回折ピークの半値巾が1゜以上である一次粒子の平均サイズが0.1μm以下の不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行ない、結晶変換後の一次粒子の平均サイズが0.2μm以上に成長する前に、有機溶媒より結晶変換後のチタニルフタロシアニンを分別、濾過することを特徴とする請求項1又は2に記載のチタニルフタロシアニン結晶の製造方法。
  4. 前記有機溶媒が、少なくともテトラヒドロフラン、トルエン、塩化メチレン、二硫化炭素、オルトジクロロベンゼン、1,1,2−トリクロロエタンの中から選ばれる一種を含むことを特徴とする請求項3に記載のチタニルフタロシアニン結晶の製造方法。
  5. 導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を積層してなる電子写真感光体であって、該電荷発生層に請求項1又は2に記載のチタニルフタロシアニン結晶を含有してなることを特徴とする電子写真感光体。
  6. 前記電荷輸送層に高分子電荷輸送物質を含有することを特徴とする請求項5に記載の電子写真感光体。
  7. 前記電荷輸送層上に保護層を積層したことを特徴とする請求項5又は6に記載の電子写真感光体。
  8. 前記保護層に比抵抗1010Ω・cm以上の無機顔料又は金属酸化物を含有することを特徴とする請求項7に記載の電子写真感光体。
  9. 前記金属酸化物が、比抵抗1010Ω・cm以上のアルミナ、酸化チタン、シリカのいずれかであることを特徴とする請求項8に記載の電子写真感光体。
  10. 前記金属酸化物が、比抵抗1010Ω・cm以上のα−アルミナであることを特徴とする請求項9の電子写真感光体。
  11. 前記保護層に高分子電荷輸送物質を含有することを特徴とする請求項8乃至10のいずれかに記載の電子写真感光体。
  12. 前記電子写真感光体の導電性支持体表面が陽極酸化皮膜処理されたものであることを特徴とする請求項5乃至11のいずれかに記載の電子写真感光体。
  13. 電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行なう画像形成方法であって、該電子写真感光体が請求項5乃至12のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成方法。
  14. 少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備してなる画像形成要素を具備してなる画像形成装置であって、該電子写真感光体が請求項5乃至12のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
  15. 前記画像形成要素を複数配列したことを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
  16. 前記帯電手段が、帯電部材を感光体に接触もしくは近接配置したものであることを特徴とする請求項14又は15に記載の画像形成装置。
  17. 前記帯電部材と感光体間の空隙が200μm以下であることを特徴とする請求項16に記載の画像形成装置。
  18. 前記帯電手段が直流成分に交流成分を重畳し、感光体に帯電を与えるものであることを特徴とする請求項16又は17に記載の画像形成装置。
  19. 少なくとも電子写真感光体を具備してなる画像形成装置用プロセスカートリッジであって、該電子写真感光体が請求項5乃至12のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
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