JP3917087B2 - 分散液の作製方法、電子写真感光体、画像形成装置および画像形成装置用プロセスカートリッジ - Google Patents

分散液の作製方法、電子写真感光体、画像形成装置および画像形成装置用プロセスカートリッジ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、チタニルフタロシアニン結晶を用いた分散液の作製方法に関する。また、そのように作製された分散液を用いて作製した電子写真感光体、ならびにその電子写真感光体を用いた画像形成装置および画像形成装置用プロセスカートリッジに関する。
詳しくは、分散性・結晶安定性に優れ、取り扱い性の良好なチタニルフタロシアニン結晶を含有する分散液の作製方法、ならびに繰り返し使用によっても帯電電位の安定性に優れ、残留電位上昇は殆どなく、地汚れ等の異常画像発生の少ない電子写真感光体、ならびにそれを用いた画像形成装置および画像形成装置用プロセスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
有機顔料は比較的以前から塗料用のフィラーとして用いられてきた。特に、その色彩の豊かさは無機顔料には無い利点である。また、近年では有機顔料の応用例として、有機光電変換デバイス用材料として脚光を浴びるようになってから、様々な材料が生み出されている。
このような有機顔料を含む膜が成膜されるに当たっては、大面積化が容易な湿式成膜法がその大半を占めている。湿式成膜法により成膜される塗膜の良否は、顔料を含む分散液の良否にほとんど左右されると言っても過言ではない。分散液の良否とは、顔料の分散性が一つの決め手となる。従って、良好な分散液とは顔料がビヒクル中に充分に分散され、その分散状態が長期にわたり継続されるものである。
【0003】
このような分散液を作製するために、ここまでには様々な分散機・分散システムが提案され、分散効率を上げる方法が考案されてきた。例えば、特開平4−337362号公報(特許文献1)、特開平5−188614号公報(特許文献2)、特開平8−123052号公報(特許文献3)等が挙げられる。これらはいずれも様々な分散装置、分散条件を用いる、あるいは改良することにより、顔料粒子を出来る限り微細化する(粒子サイズを小さくする)ことが目的である。これらの技術は、分散液中の顔料の粒子サイズを小さくするために、前述のように分散効率をいかに向上するかという点に主眼がおかれており、結晶安定性の高い顔料には極めて有効な方法であるといえる。
【0004】
一方、有機顔料には同一の構造式で表されるものであっても、結晶型を数多く有する顔料(結晶多型)が存在する。このような顔料は、分子レベルでの化学構造式が同一であっても、分子の集合体としての結晶において、分子配列が異なって存在しているものである。このような場合、顔料の色(吸収スペクトル)、粒子の形態、物性(特性)が結晶型に依存して極端に変化することもよくある。
このように吸収スペクトルや粒子形態が変化してしまうと、例えば塗料として用いる場合に、色目が変化してしまい、所望の色彩を有する塗膜を形成することができない。また、有機顔料を機能材料として使用するような場合、物性値が異なってしまうと、それを用いた素子などが所望の機能を発現しなくなってしまう場合がある。
【0005】
本発明で用いるチタニルフタロシアニン結晶は、典型的な結晶多型の有機顔料である。この中でも、特定の結晶型を示す場合のみ特異的な特性(感光体の電荷発生物質として使用した場合に、極めて高感度な光キャリア発生能を示す)を示すような場合が存在し、その結晶型を維持したままの分散方法・条件が必要であるが、検討された例があまりない。特に、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶は、電子写真感光体用の電荷発生物質として極めて高い光キャリア発生効率を示すものであるが、結晶状態として準安定状態であるため、他の結晶型へ容易に転移しやすいものである。
【0006】
この結晶に対して1次粒子を破壊するほどのストレスを与えると、2θの回折ピークとして26.3゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶に結晶転移しやすく、この結晶はキャリア発生効率が先の結晶よりかなり低いため、結晶の一部が転移しただけでも、これを感光体の電荷発生物質に用いると、光感度の低下や繰り返し使用時の残留電位上昇といった問題が発生する。
【0007】
このような点に鑑み、特開平4−337362号公報(特許文献4)、には、チタニルフタロシアニン顔料を含む分散液を2方向に分岐し、これを衝突させることにより、結晶型を維持したまま微粒子化する技術が開示されている。
この方法は優れた技術ではあるが、従来より用いられている分散メディアを使用した分散方法(例えば、ボールミル、ビーズミル等)の装置を使用することができず、新たな装置を導入することになりコスト高を生じることになる。また、高圧の分散液を衝突させるため、分散液が高温になりやすく、分散溶媒として一般に可燃性の有機溶媒が使用されるため、危険を伴う場合がある。また、高温に伴い分散液の濃度が変化しやすい、併用するバインダー樹脂の分子鎖が切断されやすいなどの欠点を有するものである。
また、前記特開平5−188614号公報に記載されるような高圧ホモジナイザーを使用する場合にも、上記と同様な欠点を有するものであり、製造上、使用しがたいものである。
【0008】
一方、上述の結晶転移を防ぐために、従来の分散メディアを使用する分散装置において、分散条件をマイルドなものにすると、上述のように平均粒径の大きな分散液が作製されるか、あるいは粗大粒子が残った分散液が作製されてしまう。このように平均粒径の大きな分散液を使用した場合には、電荷発生物質(チタニルフタロシアニン結晶)粒子の表面積が小さくなり、電荷輸送物質との電荷の授受がされにくくなり、結果として光感度の低下や繰り返し使用時の残留電位上昇といった問題が発生する。また、粗大粒子が残存した場合には、ネガ・ポジ現像における地汚れ、黒ポチといった問題が発生する。
【0009】
このような欠点に鑑み、前記特開平8−123052号公報では、特定結晶型のチタニルフタロシアニン結晶の分散に際して、分散時間を特定することにより、結晶型の安定を狙った分散方法が開示されている。しかしながら、チタニルフタロシアニンの結晶転移に関するファクターは、分散時間だけではなく、むしろ結晶にかかるストレス(分散パワーおよび仕事量)によって決定されるものであり、分散液量と分散室のスケールの比等により、分散時間を固定しても分散エネルギー量は変化してしまうものであり、最適分散条件が必ずしも前記特開平8−123052号公報に記載される条件で確定されるものではなかった。
【0010】
また特開平6−43672号公報(特許文献5)には、有機顔料を溶媒中で分散する際に、直径0.4〜0.8mmの球形状微粉砕媒体を用いることにより、平均粒径の小さな分散液を短時間で作製できる旨が開示されている。更に、特開2001−290292号公報(特許文献6)には、上の条件に加えて分散時間を特定した記述がある。しかしながら、本発明のように特定結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶を用いる場合には、上述のように粒子サイズをいかに小さくするかだけではなく、特定の結晶型を維持したまま粒子サイズを小さくする(言い換えれば、結晶安定性と微粒子化のトレード・オフを解消する)ことが重要なのであって、上述の公知技術では本発明の課題を解決できるものではない。
このように、顔料粒子の分散においては、結晶型の安定と粒子の微細化がトレード・オフの関係になっており、これを簡便的に解決する手段がなかった。
【0011】
【特許文献1】
特開平4−337362号公報
【特許文献2】
特開平5−188614号公報
【特許文献3】
特開平8−123052号公報
【特許文献4】
特開平4−337362号公報
【特許文献5】
特開平6−43672号公報
【特許文献6】
特開2001−290292号公報
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、結晶安定性が高く(結晶転移の少ない)、粒子サイズの小さなチタニルフタロシアニン結晶を含む分散液の作製方法を提供することである。
本発明の別の目的は、また、高感度を失うことなく繰り返し使用によっても帯電性の低下と残留電位の上昇を生じない安定な電子写真感光体を提供することにある。また、繰り返し使用によっても異常画像の発生の少ない電子写真感光体を提供することにある。
更に本発明の別の目的は、高速プリントが可能で、異常画像の発生の少ない、安定な電子写真感光体を搭載した画像形成装置および画像形成装置用プロセスカートリッジを提供することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、電子写真感光体の製造に用いられる電荷発生物質として有用であるチタニルフタロシアニン結晶について改めて検討を行った。その検討したところは下記のとおりである。
【0014】
有機顔料を電荷発生物質として用いた電子写真感光体においては、感光層中の電荷発生物質粒子サイズにより様々な特性が左右される。例えば、光キャリア発生過程において、電荷発生物質により生成された光キャリアを電荷輸送物質に受け渡す前に電荷発生物質粒子サイズが大きいと、粒子内部での失活確率が高くなってしまう。また、光キャリアを電荷輸送物質に受け渡す際に、顔料粒子が大きいと必然的に表面積が小さくなり両者の接触量が小さくなり、キャリア注入効率が低下してしまう。更には、電荷発生物質粒子が大きいと感光層(電荷発生層)の塗膜欠陥の確率が高くなり、これに基づく画像欠陥が発生しやすくなる。
【0015】
このようなことから、感光層(電荷発生層)における電荷発生物質の粒子サイズを出来る限り小さくすることが望まれている。感光層(電荷発生層)は通常、湿式塗工法により形成されるため、感光層における電荷発生物質の粒子サイズを小さくするためには、これを形成する塗工分散液中の電荷発生物質粒子サイズを小さくする必要がある。
【0016】
このように感光層を塗工するための分散液中の電荷発生物質粒子サイズを小さくするために、様々な分散方法が提案されているが、いずれも電荷発生物質の凝集構造である二次粒子をいかに一次粒子に粉砕・分散するかが大きな課題である。これらの方法においては、分散エネルギーの巨大化、分散時間の延長等により、出来る限り一次粒子に近づける工夫がなされているが、この一次粒子サイズは、電荷発生物質の合成段階で決定されており、通常の方法ではこの一次粒子サイズよりも小さな粒子にすることは困難を要する。
【0017】
一方、古くから用いられているボールミリングなどの方法よりも、更に強い分散エネルギーを与えることの出来る分散方式の提案がなされ、一次粒子を更に砕いてしまうような方法も近年では開発されている。このような場合には、一次粒子が多少大きくても、巨大な分散エネルギーにより結晶そのものを粉砕してしまうことにより、電荷発生物質の粒子サイズを小さなものにしてしまうものである。このような方式は、使用する電荷発生物質の結晶安定性が高い場合に非常に適していると言える。
【0018】
ところが、有機系電荷発生物質の場合、同じ化学構造式で表される材料でも、特定の結晶型のみが特異的な機能を発現する場合も少なくない。このような特定結晶型は化学的なストレス以外に、単純な物理的・機械的なストレスによっても簡単に結晶型が変化してしまう場合がある。このような材料を用いる場合には、上述のように一次粒子そのものを粉砕してしまうような過剰の分散パワー(分散の仕事量)を与えることは、粒子を粉砕する作用よりも先に結晶型を変化させてしまう現象が起こってしまう。この結果、特異的な機能を発現する材料を用いたつもりでも、その機能が十分に発揮されない材料に変化してしまうケースが多々存在する。
【0019】
本発明において用いられるチタニルフタロシアニン結晶は、結晶多型の材料であり、特別に光キャリア発生効率の高い結晶型は、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有する結晶のみであり、それ以外の結晶型の材料も電荷発生物質としての機能は有するものの、現在の電子写真プロセスの要求する高速化、感光体小径化、繰り返し使用時の高い安定性に満足する特性を有するものではない。従って、前記結晶型は特異的な結晶型であると言える。
【0020】
しかしながら、この少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶は、チタニルフタロシアニン結晶としては準安定状態であり、結晶安定性の低い材料である。従って、前述の如き機械的・物理的なストレスを過剰に与えることは、その結晶を安定結晶型である他の結晶型へ転移してしまうものである。このように、電荷発生物質としての高い機能を有するチタニルフタロシアニン結晶であるが、電子写真感光体への適応の際には、粒子の微細化と結晶安定性がトレード・オフの関係になっており、これを容易に解決する方法がなかった。
【0021】
上述の如き課題に対して、本発明者はチタニルフタロシアニン結晶の粉砕・分散工程の解析を試み、以下の知見を得た。
【0022】
▲1▼ 過剰な分散エネルギーは、結晶転移を進行させること
即ち、チタニルフタロシアニン結晶の分散工程において、目的とする粒子サイズまで分散する際に、それよりも大きい粒子を粉砕・分散させることが必要であるが、必要以上の分散エネルギーを与えてしまうと、その過剰のエネルギーが結晶転移のエネルギーになってしまう。
【0023】
▲2▼ 分散時の昇温は、結晶転移を進行させること
チタニルフタロシアニン結晶は温度によっても結晶転移する。また、上述の▲1▼の様に過剰な分散エネルギーによる結晶転移に際しても、温度が高いほど結晶転移は促進される。即ち、チタニルフタロシアニン結晶の分散工程において、部分的な昇温が結晶転移を起こしたり、あるいは結晶転移を促進してしまう。従って、分散装置中のチタニルフタロシアニン結晶に分散エネルギーがかかる部分においては、昇温が予想される場合には十分な冷却機構が必要となる。
【0024】
以上の2点を考慮すると、特開平4−372955号公報等に記載された分散液を2方向に分岐し、これを衝突させることにより分散を行う方法においては、過剰なエネルギーの付与を抑えることが難しく、また装置全体を冷却したとしても分散液の昇温は避けられない。このことから、この方式は不利であることが分かる。また、前記特開平5−188614号公報に記載されるような高圧ホモジナイザーを使用する場合にも、先の分散装置と同様に分散液の昇温を押さえることが難しく、この方法も得策ではない。更に、従来より用いられているボールミル方式の分散装置は、ポットを直接回転させるものであるから、基本的に冷却機構を備えることが難しい。従って、この方法も有利な方法ではない。
【0025】
一方、本発明で使用するビーズミル方式は、分散室そのものを冷却することが可能で、分散室の大きさ、回転数等のコントロールにより、分散液の昇温を全く生じさせないことも可能である。また、後述のように循環方式のビーズミル分散装置を使用することにより、循環タンク部での十二分な冷却を行うことにより、わずかな昇温も押さえることが可能である。また、この方式により比較的スケールを大きくすることも可能である。
以上の点から、分散方式としてはビーズミル方式が最も妥当な分散方法であるといえる。
【0026】
更に本発明者は、ビーズミル方式を使用した場合について、チタニルフタロシアニン結晶の粉砕・分散工程の解析を試み、以下の知見を得た。
【0027】
▲1▼ 分散メディア径の大きさにより、分散後の最終到達粒子サイズが決定されること
即ち、分散に使用するメディア径は、大きなものほどチタニルフタロシアニン結晶の粗大粒子(一次粒子が凝集したもの)を粉砕する能力が高い。しかしながら、ビーズミルのような分散方式は、もともと粉砕能力が高い方式であるため、分散メディアの大きさ(即ち重量)の助けを必ずしも必要とはしない。むしろ、所定の体積あたりにどれだけの分散メディアを詰め込むことが出来るか(空隙率を以下に小さくするか)ということが重要になる。
【0028】
空隙率を小さくすればするほど、分散後のチタニルフタロシアニン粒子サイズを小さくできることが分かった。実用的には、分散メディア径が0.5mm以下であれば、十分に使用することが出来る。しかしながら、小さいほど分散メディアの摩耗が激しくなり、また清掃時などの取り扱いが非常に煩雑になってしまう。このため下限値は存在し、0.1mm未満の分散メディアは使用すべきではない。
【0029】
▲2▼ 分散室内に設置されたローター径には上限があること
ローター径は分散室の大きさに比例するものであり、大きいほど一度に大量の分散液を作製できることになる。また、ローター径が大きくなるほどローターの回転数を一定にした場合に、分散エネルギーが大きくなる。
このことからローター径が大きいほど、分散効率が高くなることは事実である。しかしながら、必要以上に分散エネルギーを与えずに分散を行う場合には、ローター径が大きな場合には、回転速度を小さくする、及び/又は、分散時間を短くする必要が生じる。回転速度を小さくする場合には、よほどトルクの大きなモーターを使用しない限り回転ムラを生じたりすることがあり、分散そのものが不安定になり、結果として、分散パワー不足で粗大粒子が残ったり、過剰な分散パワーが与えられて一部の結晶転移を生み出したりしてしまう。
【0030】
分散時間を短くする場合には、分散安定性が劣ってしまう。これは、チタニルフタロシアニン結晶等の顔料の分散は、他段階のステップからなるものであり、粗大粒子の粉砕工程とある程度微細になった粒子のビヒクルとの平衡状態の生成工程からなる。
前者に関しては、比較的短時間で行われることであるが、後者に関しては分散された粒子の再凝集と再分散がある程度の時間をかけて平衡状態に達するものである。この工程がおざなりにされると、分散液の作製後に分散安定性が劣り、粒子の再凝集、沈降等が起こり、分散液の保存性、成膜性などに影響を及ぼす。
【0031】
従って、ある程度の分散時間を確保し、最低以上の回転数でローターを回転させ、かつ分散エネルギーを所定以下に押さえるためには、ローター径の上限が存在するということになる。本発明者の実験に依れば、ローターの直径が100mm以下(好ましくは50mm以下)であれば、上記の条件を満足できることが分かった。また、小さすぎる場合には、分散室の容量が小さくなり、一度に分散できる分散液量が少なくなり、製造には向かないことになるため、最低でも10mm以上の直径を有するものが好ましい。
【0032】
▲3▼ 結晶転移に影響する分散の仕事量は、分散されるチタニルフタロシアニン結晶の重量に対する分散の仕事量で決定されること
ここまでに開示されてきたチタニルフタロシアニン結晶の分散方法における条件に関しては、例えば前記特開平8−123052号公報に開示されているように、分散時間を制御するものがほとんどであった。しかしながら先に述べたように、分散されるチタニルフタロシアニン結晶の重量、チタニルフタロシアニン結晶の粉体状態(分散前粒子サイズ、分布)、分散室(ローター)の大きさ、ローターの回転数、分散時間等の関係によって、分散の仕事量は異なる。このため、従来提唱されてきた分散条件の最適化はこれらを全て考慮したものではなく、必ずしも十分なものでは無かった。
【0033】
また、所定の分散条件で分散を行っても、作製される分散液の各種物性値(粒径分布、粗大粒子の存在、粘度など)にはバラツキを生じることがあり、この原因が不明であった。本発明者はこの点に鑑みさらに検討を行った結果、例えば所定のローター回転数で分散を行ったとしても、液温による粘度変化、分散液の固形分濃度による粘度変化、等により分散時のトルクが変化してしまい、このため、分散時にローターを回転させるモーターのトルクを随時検出し、前記(2)式により算出される分散パワーを所定範囲±10%以内(好ましくは±5%以内)に制御することによって、分散のバラツキを制御できることが分かった。
【0034】
ここでいう「所定範囲」とは、前記W/Mの中心値を狙いとするWを満足するように設定されるTより求められるPの値に対して、Pの絶対値±10%の範囲を意味するものである。具体的には、
▲1▼ 使用するフタロシアニン結晶の重量Mより、W/M=6.5(範囲の中心値)を満足するWの値を決定する。
▲2▼ Wの値を(1)式に代入して、Tを決定する。これがTの中心値となる。もちろん、回転数(n)と分散時間(t)は実験的に予め決めておく。
▲3▼ Tの中心値を(2)式に代入して、Pの中心値を決定する。この際、回転数(n)と分散時間(t)は(1)式の計算で用いた値を使用する。
▲4▼ 求められたPの中心値に±10%の誤差を加減し、この最大値と最小値の間(範囲)が、「所定範囲」として決定される。
【0035】
分散パワーの変化率に関しては、モニターしたトルク値より求められる分散パワーの中心値に対して、変動した上限値と下限値の差がどれだけ比であるかを求めたものである。従って、下記(4)式より求める。
分散パワーの変化率(%)=(最大値−最小値)/中心値x100・・・・・(4)
【0036】
更に、循環方式の分散システムにおいては、循環する分散液のスケールによっても上記の関係は変化するため、本発明者はこれらの関係を整理し、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりに与えられる分散の仕事量を制御することにより、結晶安定性と分散安定性のトレード・オフの関係を解消できることを見いだした。ここでいう分散の仕事量は、ローターに直結するモーターのトルクより求められる分散パワー(下記(2)式参照)と分散時間の積で求められる(下記(1)式参照)。
【0037】
W=Pt=2πnTt ・・・・・(1)
ここで、W、π、n、T、tは以下の通りである。
W:分散の仕事量(W・h)
π: 円周率
n: 回転数(cycles/s)
T: トルク(Nm)
t: 分散時間(h)
【0038】
P=2πnT ・・・・・(2)
ここで、P、π、n、Mは以下の通りである。
P:分散パワー(Nm/s)
π:円周率
n:回転数(cycles/s)
T:トルク(Nm)
【0039】
更に、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりに与えられる分散の仕事量(分散の仕事量W(W・h)と分散に供されるチタニルフタロシアニン結晶の重量M(g)の比)は、上記(1)式により求められた分散の仕事量を、分散に供されるチタニルフタロシアニン結晶の重量M(g)で割ることにより求められる(下記(3)式参照)。
チタニルフタロシアニン結晶1gあたりの分散の仕事量=W/M・・・・・(3)
【0040】
ここで、W/M(W・h/g)が3≦W/M≦10の範囲であることにより、粒子の微粒子化(粗大粒子がないこと)と結晶安定性(結晶転移をしないこと)の両立が可能になる。W/Mが3(W・h/g)未満の場合には、結晶転移することはないが、分散が不十分であり、粗大粒子が残存したり、分散後の分散安定性に劣る場合がある。一方、W/Mが10(W・h/g)より大きい場合には、過分散状態になり、分散安定性は良好であるものの、結晶転移を起こすことがある。
【0041】
本発明はこれら検討結果に基づいてなされたものであって、従って、前記の課題は下記(1)〜(24)によって達成される。
【0042】
(1)チタニルフタロシアニン結晶を含有する分散液の作製方法において、ビーズミル方式の分散装置を用い、分散室に設置されたローターを回転させるモーターのトルクを検出しながら分散を行い、計測されるトルク値を用いて、下記(1)式より求められる分散の仕事量W(W・h)と分散に供されるチタニルフタロシアニン結晶の重量M(g)の比が、3≦W/M(W・h/g)≦10の範囲であることを特徴とする分散液の作製方法。
W=2πnTt ・・・・・(1)
ここで、W、π、n、T、tは以下の通りである。
W:分散の仕事量(W・h)
π:円周率
n:ローター回転数(cycles/s)
T:トルク(Nm)
t:分散時間(h)
【0043】
(2)前記分散液の作製方法において、計測されるトルク値を用いて、下記(2)式により求められる分散パワーを、前記W/Mの中心値を狙いとするWを満足するように設定されるTより求められるPの値を基準としてその±10%の範囲に制御しながら分散を行うことを特徴とする上記(1)に記載の分散液の作製方法。
P=2πnT ・・・・・(2)
ここで、P、π、n、Mは以下の通りである。
P:分散パワー(Nm/s)
π:円周率
n:ローター回転数(cycles/s)
T:トルク(Nm)
【0044】
(3)前記分散室に設置されたローターの直径が50mm以下であって、かつ分散メディア径が0.5mm以下であることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載の分散液の作製方法。
【0045】
(4)前記ビーズミル方式の分散機が循環方式の分散機であり、分散に用いられる溶媒の体積と分散室の容量の比が、10:1〜50:1の範囲であることを特徴とする上記(1)〜(3)のいずれかに記載の分散液の作製方法。
【0046】
(5)前記チタニルフタロシアニン結晶が、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有することを特徴とする上記(1)〜(4)のいずれかに4記載の分散液の作製方法。
【0047】
(6)前記チタニルフタロシアニン結晶が、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.4°以上9.4゜未満の範囲にピークを有さないことを特徴とする上記(5)に記載の分散液の作製方法。
【0048】
(7)前記チタニルフタロシアニン結晶が、更に26.3゜にピークを有さないことを特徴とする上記(5)又は(6)に記載の分散液の作製方法。
【0049】
(8)前記分散液の作製方法において、分散溶媒として、少なくともケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒より選ばれる1種を用いることを特徴とする上記(1)〜(7)のいずれかに記載の分散液の作製方法。
【0050】
(9)前記分散液の作製方法において、チタニルフタロシアニン結晶の分散に際して、バインダー樹脂を併用することを特徴とする上記(1)〜(8)のいずれかに記載の分散液の作製方法。
【0051】
(10)前記分散液の作製方法において、チタニルフタロシアニン結晶の分散に際して、水を併用することを特徴とする上記(1)〜(9)のいずれかに記載の分散液の作製方法。
【0052】
(11)導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を積層してなる電子写真感光体において、該電荷発生層が上記(1)〜(10)のいずれかに記載の方法にて作製した分散液を用いて形成されたものであることを特徴とする電子写真感光体。
【0053】
(12)前記電荷輸送層が少なくともトリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートを含有することを特徴とする上記(11)に記載の電子写真感光体。
【0054】
(13)前記電荷輸送層上に保護層を積層したことを特徴とする上記(11)又は(12)に記載の電子写真感光体。
【0055】
(14)前記保護層が比抵抗1010Ω・cm以上の無機顔料又は金属酸化物を含有することを特徴とする上記(13)に記載の電子写真感光体。
【0056】
(15)前記感光体の電荷輸送層が、非ハロゲン系溶媒を用いて形成されたものであることを特徴とする上記(11)〜(14)のいずれかに記載の電子写真感光体。
【0057】
(16)前記非ハロゲン系溶媒として、少なくとも環状エーテル、あるいは芳香族系炭化水素より選ばれる1種を用いることを特徴とする上記(15)に記載の電子写真感光体。
【0058】
(17)前記導電性支持体の表面が陽極酸化皮膜処理されたものであることを特徴とする上記(11)〜(16)のいずれかに記載の電子写真感光体。
【0059】
(18)少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体からなる画像形成装置において、該電子写真感光体が上記(11)〜(17)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
【0060】
(19)少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体からなる画像形成要素を複数配列した画像形成装置において、該電子写真感光体が上記(11)〜(17)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
【0061】
(20)前記帯電手段に、接触帯電方式を用いることを特徴とする上記(18)又は(19)に記載の画像形成装置。
【0062】
(21)前記帯電手段に、非接触の近接配置方式を用いることを特徴とする上記(18)又は(19)に記載の画像形成装置。
【0063】
(22)前記帯電手段に用いられる帯電部材と感光体間の空隙が10μm以上、200μm以下であることを特徴とする上記(21)に記載の画像形成装置。
【0064】
(23)前記帯電手段に、交流重畳電圧印加を行うことを特徴とする上記(20)〜(22)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0065】
(24)少なくとも電子写真感光体を具備してなる画像形成装置用プロセスカートリッジであって、該電子写真感光体が上記(11)〜(17)のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
【0066】
【発明の実施の形態】
以下に本発明をさらに詳細に説明する。
初めにチタニルフタロシアニン結晶の合成粗品の合成法について述べる。
フタロシアニン類の合成方法は古くから知られており、Moser等による「Phthalocyanine Compounds」(1963年)、「The Phthalocyanines」(1983年)、特開平6−293769号公報等に記載されている。
【0067】
例えば、第1の方法としては、無水フタル酸類、金属あるいはハロゲン化金属及び尿素の混合物を高沸点溶媒の存在下あるいは不存在下において加熱する方法である。この場合、必要に応じてモリブデン酸アンモニウム等の触媒が併用される。
【0068】
第2の方法としては、フタロニトリル類とハロゲン化金属を高沸点溶媒の存在下あるいは不存在下において加熱する方法である。この方法は、第1の方法で製造できないフタロシアニン類、例えば、アルミニウムフタロシアニン類、インジウムフタロシアニン類、オキソバナジウムフタロシアニン類、オキソチタニウムフタロシアニン類、ジルコニウムフタロシアニン類等に用いられる。
【0069】
第3の方法としては、無水フタル酸あるいはフタロニトリル類とアンモニアを先ず反応させて、例えば1,3−ジイミノイソインドリン類等の中間体を製造し、次いでハロゲン化金属と高沸点溶媒中で反応させる方法である。
【0070】
第4の方法としては、尿素等存在下で、フタロニトリル類と金属アルコキシドを反応させる方法である。特に、第4の方法はベンゼン環への塩素化(ハロゲン化)が起こらず、電子写真用材料の合成法としては、極めて有用な方法である。
【0071】
次に、不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)の合成法について述べる。
この方法は、フタロシアニン類を硫酸に溶解した後、水で希釈し、再析出させる方法であり、アシッド・ペースト法あるいはアシッド・スラリー法と呼ばれるものが使用できる。
【0072】
具体的な方法としては、上記の合成粗品を10〜50倍量の濃硫酸に溶解し、必要に応じて不溶物を濾過等により除去し、これを硫酸の10〜50倍量の十分に冷却した水もしくは氷水にゆっくりと投入し、チタニルフタロシアニンを再析出させる。析出したチタニルフタロシアニンを濾過した後、イオン交換水で洗浄・濾過を行い、濾液が中性になるまで十分にこの操作を繰り返す。最終的に、綺麗なイオン交換水で洗浄した後、濾過を行い、固形分濃度で5〜15wt%程度の水ペーストを得る。
【0073】
このように作製したものが本発明に用いる不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)である。この際、この不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)が、CuKαの特性X線(波長1.514Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有するものであることが好ましい。特に、その回折ピークの半値巾が1゜以上であることがより好ましい。更に、一次粒子の長径が0.1μm以下であることは、続く結晶変換工程に際してより細かな一次粒子を形成する上で重要なことである。
【0074】
次に結晶変換方法について述べる。
結晶変換は、前記不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)を所望の結晶型(CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有する結晶型)に変換する工程である。特に、前記結晶型のうち、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.4°以上9.4゜未満の範囲にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶が良好に用いられ、更に26.3゜にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶は特に良好に用いられる。
【0075】
具体的な方法としては、前記不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)を乾燥せずに、水の存在下で有機溶媒と共に混合・撹拌することにより、前記結晶型を得るものである。
この際、使用される有機溶媒は、所望の結晶型を得られるものであれば、いかなる有機溶媒も使用出来るが、特にテトラヒドロフラン、トルエン、塩化メチレン、二硫化炭素、オルトジクロロベンゼン、1,1,2−トリクロロエタンの中から選ばれる1種を選択すると、良好な結果が得られる。これら有機溶媒は単独で用いることが好ましいが、これらの有機溶媒を2種以上混合する、あるいは他の溶媒と混合して用いることも可能である。
【0076】
続いて、結晶変換されたチタニルフタロシアニン結晶は直ちに濾過されることにより、結晶変換溶媒と分別される。この濾過に際しては、適当なサイズのフィルターを用いることにより行われる。この際、減圧濾過を用いることが最も適当である。
その後、分別されたチタニルフタロシアニン結晶は、必要に応じて加熱乾燥される。加熱乾燥に使用する乾燥機は、公知のものがいずれも使用可能であるが、大気下で行う場合には送風型の乾燥機が好ましい。更に、乾燥速度を早め、本発明の効果をより顕著に発現させるために減圧下の乾燥も非常に有効な手段である。特に、高温で分解する、あるいは結晶型が変化する様な材料に対しては有効な手段である。特に10mmHgよりも真空度が高い状態で乾燥することが有効である。
【0077】
ここで、本発明で使用する様な高い光キャリア発生能を有する有機顔料は一般的に凝集力が非常に強い。結晶を濾過・分別した後に、上述のように乾燥を行うと、一次粒子が凝集して二次粒子を形成する。これは通常の分散装置により一次粒子まで分散が行えるものであるが、結晶変換溶媒とその後引き続き用いる分散液の分散溶媒が同一のものであれば、敢えて乾燥しなくても良い。その場合には、濾過後のチタニルフタロシアニン結晶のウェットケーキをそのまま、必要に応じてバインダー樹脂を溶解した分散溶媒に直接投入し、分散を実施すればよい。この方法は、二次粒子の大きな塊を分散する必要がなく、本発明の効果をより一層顕著なものとする。
【0078】
このように得られたチタニルフタロシアニン結晶は、電子写真感光体用電荷発生物質として極めて有用である。特に、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有する結晶型は、極めて高い光キャリア発生効率を有するものである。中でもCuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.4°以上9.4゜未満の範囲にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶は、極めて高感度であり、繰り返し使用における帯電性低下も小さく、良好な材料である。また、このチタニルフタロシアニン結晶は、26.3°にピークを有さないものがより好ましく、これにより電子写真感光体として一層良好な材料となる。
【0079】
次に、本発明の分散液作製に用いられるビーズミル分散装置について述べる。ビーズミル分散装置は塗料の製造等に一般的に用いられるものであるが、一例として図1のようなものを挙げることが出来る。ここで、1はモーター、2は分散室、3は流量計、4は循環タンク、5は循環ポンプ、6は配管、7は分散室を固定する台である。図示してはいないが、図1において分散室2、循環タンク4の周りに冷却用のジャケットを設けることは、本発明において非常に有効である。図1中の流量計3は、循環用の配管のいずれの場所に設置されても構わないが、目詰まりを早期に検出するように、循環の出口側近傍に設置されることが望ましい。
【0080】
図2は、図1における分散室2の内部を示したものである。ここで、10は分散メディア、11は分散メディアの流出を防止するためのスリット、12は循環出口側の配管、13は分散室の壁、14はローター、15は循環入り口側の配管、16はモーターに接続されたシャフトである。
分散室2の容量とは、図2に示される配管部分の除いた分散室内壁の体積のうち、シャフト16およびローター14で占められた体積を除いた部分である。
【0081】
図2に示されるローター径は大きいほど強い分散エネルギーを生じさせることが出来る。また、回転数で分散エネルギーを変えることも可能である。しかしながら、本発明で用いられるチタニルフタロシアニン結晶は結晶転移しやすい材料であることは既に述べたとおりであるが、ローター径が大きすぎる場合には、回転数を小さくして対応する必要があるものの、モーターのトルクには限界があって、必要以上にローター径を大きくすることは回転ムラ等を生じて、分散機の動作そのものが不安定になる。このため、適切なローター径としては100mm以下(好ましくは50mm以下)が適当であり、10mm以上が適当である。
また、ローターを構成する材質としては、各種金属(例えばステンレス)や各種セラミックス(例えば、アルミナやシルコニア)が挙げられるが、繰り返し使用の耐摩耗性、および分散液中へのコンタミの混入を考慮すると、ジルコニアあるいは組成の一部をイットリウム等で変性した部分安定化ジルコニアなどが好ましく用いられる。
【0082】
分散メディアに関しては、その外径が1.0mm以下であることが望ましく、より好ましくは0.5mm以下である。また、小さすぎる場合には比表面積が大きくなり、研磨しやすい等の問題が生じるため、0.1mm以上であることが好ましい。分散メディアを構成する材料としては、ローターと同様な材料を挙げることが出来るが、分散メディアにおいても、ジルコニアあるいは組成の一部をイットリウム等で変性した部分安定化ジルコニアなどが好ましく用いられる。
【0083】
ローターの回転数に関しては特に制限があるものではないが、回転数が高いと自ずと分散エネルギー量が大きくなってしまうため、過剰のエネルギーをチタニルフタロシアニン結晶に与えることになる。従って、直径50mmのローターの場合、概ね、3000回転(r.p.m.)以下程度が適当である。
【0084】
分散時間に関しては、顔料の分散状態から必然的に選ばれるものである。分散時間が余り短い場合には、粒子の粉砕は進むものの、分散安定性が劣る場合がある。分散⇔再凝集の平衡状態が作り出せる最低の時間は確保されるべきである。
【0085】
次に本発明における分散液の作製方法について説明する。
使用される顔料は、前述の如きチタニルフタロシアニン結晶であり、好ましくはCuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有する結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶である。更に好ましくは、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.4°以上9.4゜未満の範囲にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶である。加えて、26.3゜にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶が最も適当である。これらチタニルフタロシアニン結晶を有機溶媒と共に、前述のビーズミル分散装置に投入し、分散することにより、分散液が作製される。
【0086】
使用する分散溶媒の量であるが、これにより分散液全体のスケールが決定される。循環用タンクを大きくすることで、その比は任意に設定することが可能である。本発明者の検討に依れば、チタニルフタロシアニン結晶の重量に対して分散の仕事量(言い換えれば、分散パワーと分散時間の積)が比例関係にあれば、分散状態(到達粒径、分散安定性など)がほぼ同じ状態になることが分かった。従って、分散パワーが一定であれば、使用するチタニルフタロシアニン結晶の重量と分散時間は基本的に比例する関係になる。このため、スケールを大きくする場合には、それだけ分散時間を長くすればよいということになる。
【0087】
しかしながら、公知の分散方法では必ずしも分散パワーが一定にならず、必ずしも前記の関係は成立しない。また、本発明のように、分散パワーを制御した条件下で分散を行っても、分散時間があまりにも長くなりすぎる、装置がそれだけ大きくなってしまうという問題点が発生する。更に、循環用タンク内には攪拌装置を設けた方が好ましく、循環用タンクの容量を大きくした場合には撹拌能力をそれだけ大きくしなくてはならず、使用するエネルギー(電力等)を大きくしてしまう。
【0088】
以上のことから、分散溶媒の使用量(体積)と分散室の容量の比は、5:1〜50:1くらいが適当な範囲となる。より好ましくは10:1〜50:1の範囲である。
【0089】
使用する分散溶媒としては、チタニルフタロシアニン結晶を分散することが出来る溶媒であれば、通常使用される有機溶媒がいずれも使用される。例えば、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられる。中でも、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒より選ばれる1種を用いることで良好な結果を得ることが出来る。これら有機溶媒は、単独で使用しても混合して使用しても良い。
【0090】
また、分散に際しては必要に応じてバインダー樹脂が併用される。バインダー樹脂の併用は、チタニルフタロシアニン結晶の結晶転移速度を著しく低下させるため、非常に有効な手段である。使用できるバインダー樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等があげられる。特に、ポリビニルブチラールは最も有効に使用できる。
バインダー樹脂の量は、チタニルフタロシアニン結晶100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。
【0091】
また、分散に際して必要に応じて水が併用される。水の併用は、バインダー樹脂と同様にチタニルフタロシアニン結晶の結晶転移速度を著しく低下させるため、非常に有効な手段である。使用する場合には、不純物を十分に取り除いた蒸留水やイオン交換水が良好に用いられる。あまり大量に用いると、分散性が低下したり、有機溶媒と分離したり、バインダー樹脂を析出させたりする不具合が発生する。このため、使用する有機溶媒の種類にもよるが、疎水性の溶媒の場合には有機溶媒の水の溶解度の上限、親水性の溶媒の場合には有機溶媒の重量に対して2〜3wt%程度が上限である。
【0092】
分散の手順としては、図1に示されるような装置の循環タンク4に適当量の有機溶媒、チタニルフタロシアニン結晶、必要に応じたバインダー樹脂、水を投入し、十分に撹拌する。バインダー樹脂や水を併用する場合には、別の装置で予め有機溶媒と混合・溶解させておくことが望ましい。循環タンク4での撹拌によって、チタニルフタロシアニン結晶はビヒクル中に十分に混合される。十分混合された状態になったら、循環ポンプ5を稼働し、循環タンク4から分散室2に分散液を供給する。この際、有機溶媒とチタニルフタロシアニン結晶を混合する前に、予め有機溶媒を分散室2に送液しておき、分散室内を満たしておくことは、分散室出口での目詰まりを防止する効果が大きく、有効な手段である。また、分散液の送液前に分散室のローターを回転させておくことも、分散室出口での目詰まりを防止する効果が大きく、有効な手段である。
【0093】
次いで、分散室2に供給された分散液に含まれるチタニルフタロシアニン結晶の分散を行うが、分散の初期状態において、ポンプ等の送液に対して所定流量を得ることが出来ない時間がある。従って、本明細書において「分散の初期状態」とは、分散開始から循環流量が所定量の90%以上に到達するまでの状態、を意味するものとする。この時間帯に、通常の回転数で分散を行ってしまうと、過剰の分散エネルギーをチタニルフタロシアニン結晶に与えてしまうことになり、結晶転移を生じさせてしまう。
【0094】
前記の時間は、分散に供されるチタニルフタロシアニン結晶の全てが分散室を1回通過するまでの間であると考えられるが、目詰まりに依存した流量変化は分散ごとに異なる可能性があるので、流量の測定を随時行い、所定流量の90%以上の流量が流れるようになるまで、送液用部材(送液ポンプや送液用攪拌機など)の出力を上げて、流量を落とさない状態で分散を行うことが重要である。また、この期間にローターの回転数を低下させることも有効な手段である。
上述のように目詰まりを起こした結果、分散室中に多量のチタニルフタロシアニン結晶が詰め込まれた状態になると、検出するモーターのトルクが大きくなるため、回転数を下げ分散パワーを制御することは有効な手段である。分散パワーがある範囲内で一定になるようなプログラムを備えた分散装置を用いることは、極めて有効である。
【0095】
このようにして分散初期状態を過ぎると、送液用部材の出力に応じた流量が確保されるようになる。このような状態になったら、上述のような特別の操作(流量を一定にするために送液用部材の出力を大きくする、あるいは分散室ローターの回転数を落とすなど)を行っている場合には、この操作を終了して、所定の条件による分散を継続する。なお、分散の定常状態とは、ポンプ等の送液により得られる流量が所定量の±10%程度の範囲を維持する場合であり、循環分散の連続運転が可能になった状態を示すものである。
【0096】
分散の終了は、所定の条件にて分散を行い、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりの分散の仕事量(W/M)により管理されるものであるが、分散液の状態を確認しながら行うことが望ましい。例えば、粒子径の測定、あるいは薄膜を形成して、塗膜状態を顕微鏡観察するなどが挙げられる。
前者の場合には、微量の粗大粒子を計測できない場合があり、感光体の電荷発生層のような薄膜形成用分散液として用いる場合には最適な方法ではなく、後者のように簡便的な方法にて、実使用状態と同等のサンプルにて確認することが望ましい。
【0097】
このような所定の分散時間が終了したら、次いで分散液の払い出しが行われる。一般的に、もちろん各種制約により上限が存在するものの、顔料濃度が高い方が分散効率は高い。これは分散メディアとの接触確率が高くなることで説明が付く。概ね、顔料濃度として3〜15%程度の範囲で分散が行われる。このように高い顔料濃度では、分散液の取り出しの際にかなりのロスを生じる。特に循環系が長い場合にはこの問題は顕著である。通常は、分散液の濃度と分散液の使用濃度が異なり、前者の方が高い濃度であるから、使用する前には少なくとも希釈工程が存在する。
【0098】
循環分散においては、払い出しと共に希釈を行うことが払い出し効率(回収効率)を高めることが出来、同時に分散装置の洗浄も可能になり、非常に効率的である。簡便的には、分散終了後、送液ポンプ等により分散液(原液)を払い出し、ポンプによる払い出しが行われなくなるか、その直前に希釈用の溶媒を循環タンクに投入し、再びポンプにより払い出す。この際、出来る限り循環させないことが肝要であり、循環タンクに戻ってくる前に払い出してしまうことにより、循環系がきれいになり、払い出しの効率も高くなる。
以上のようにして、チタニルフタロシアニン結晶を含む分散液は作製される。
【0099】
次に、本発明の電子写真感光体を図面に沿って説明する。
図3は、本発明の電子写真感光体を表わす断面図であり、導電性支持体31上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35と電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37とが設けられている。
図4は、本発明の電子写真感光体の別の構成例を示す断面図であり、電荷発生層35と電荷輸送層37の上に、保護層39が積層された構成をとっている。
【0100】
導電性支持体31としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体31として用いることができる。
【0101】
また、これらの中でも陽極酸化皮膜処理を簡便に行うことのできるアルミニウムからなる円筒状支持体が最も良好に使用できる。ここでいうアルミニウムとは、純アルミ系あるいはアルミニウム合金のいずれをも含むものである。具体的には、JIS A1000番台、3000番台、6000番台のアルミニウムあるいはアルミニウム合金が最も適している。陽極酸化皮膜は各種金属、各種合金を電解質溶液中において陽極酸化処理したものであるが、中でもアルミニウムもしくはアルミニウム合金を電解質溶液中で陽極酸化処理を行ったアルマイトと呼ばれる被膜が本発明に用いる感光体には最も適している。特に、反転現像(ネガ・ポジ現像)に用いた際に発生する点欠陥(黒ポチ、地汚れ)を防止する点で優れている。
【0102】
陽極酸化処理は、クロム酸、硫酸、蓚酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸などの酸性浴中において行われる。このうち、硫酸浴による処理が最も適している。一例を挙げると、硫酸濃度:10〜20%、浴温:5〜25℃、電流密度:1〜4A/dm、電解電圧:5〜30V、処理時間:5〜60分程度の範囲で処理が行われるが、これに限定するものではない。このように作製される陽極酸化皮膜は、多孔質であり、又絶縁性が高いため、表面が非常に不安定な状況である。このため、作製後の経時変化が存在し、陽極酸化皮膜の物性値が変化しやすい。これを回避するため、陽極酸化皮膜を更に封孔処理することが望ましい。
【0103】
封孔処理には、フッ化ニッケルや酢酸ニッケルを含有する水溶液に陽極酸化皮膜を浸漬する方法、陽極酸化皮膜を沸騰水に浸漬する方法、加圧水蒸気により処理する方法などがある。このうち、酢酸ニッケルを含有する水溶液に浸漬する方法が最も好ましい。
【0104】
封孔処理に引き続き、陽極酸化皮膜の洗浄処理が行われる。これは、封孔処理により付着した金属塩等の過剰なものを除去することが主な目的である。これが支持体(陽極酸化皮膜)表面に過剰に残存すると、この上に形成する塗膜の品質に悪影響を与えるだけでなく、一般的に低抵抗成分が残ってしまうため、逆に地汚れの発生原因にもなってしまう。洗浄は純水1回の洗浄でも構わないが、通常は他段階の洗浄を行う。この際、最終の洗浄液が可能な限りきれい(脱イオンされた)ものであることが好ましい。また、他段階の洗浄工程のうち1工程に接触部材による物理的なこすり洗浄を施すことが望ましい。
【0105】
以上のようにして形成される陽極酸化皮膜の膜厚は、5〜15μm程度が望ましい。これより薄すぎる場合には陽極酸化皮膜としてのバリア性の効果が十分でなく、これより厚すぎる場合には電極としての時定数が大きくなりすぎて、残留電位の発生や感光体のレスポンスが低下する場合がある。
【0106】
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性支持体31として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などがあげられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂があげられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
【0107】
更に、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(R)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体31として良好に用いることができる。
【0108】
次に感光層について説明する。
電荷発生層35は、先に説明したチタニルフタロシアニン結晶を主成分とする分散液を用いて形成された層である。好ましくは、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有する結晶型のチタニルフタロシアニン結晶が用いられる。特に、前記結晶型のうち、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.4°以上9.4゜未満の範囲にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶が良好に用いられ、更に26.3゜にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶は特に良好に用いられる。
分散液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。電荷発生層35の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
【0109】
電荷輸送層37は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
【0110】
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電荷輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
【0111】
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
【0112】
結着樹脂としてはポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0113】
電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は5〜100μm程度とすることが好ましい。ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。中でも、非ハロゲン系溶媒であるテトロヒドロフラン、ジオキサン等の環状エーテル、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素が良好に用いられる。
【0114】
これら非ハロゲン系溶媒を電荷輸送層の塗工溶媒として用い、電荷発生物質としてチタニルフタロシアン結晶を用いると、所望の光感度が得られない場合が存在するが、本発明における分散液を用いて形成した場合には、そのようなことが起こらない。その理由としては、微粒子化が進んでおり、かつ結晶転移が少ないためであると推測される。
【0115】
また、電荷輸送層には電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂の機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これら高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は耐摩耗性に優れたものである。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、(1)〜(10)式で表される高分子電荷輸送物質が良好に用いられ、これらを以下に例示し、具体例を示す。
【0116】
【化1】
Figure 0003917087
式中、R、R、Rはそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、Rは水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R、Rは置換もしくは無置換のアリール基、o、p、qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k、jは組成を表し、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表し5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、または下記一般式で表される2価基を表す。
【化2】
Figure 0003917087
101、R102は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表す。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表す。)または、
【化3】
Figure 0003917087
(aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表す)を表す。ここで、R101とR102、R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。
【0117】
【化4】
Figure 0003917087
式中、R、Rは置換もしくは無置換のアリール基、Ar、Ar、Arは同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、(1)式の場合と同じである。
【0118】
【化5】
Figure 0003917087
式中、R、R10は置換もしくは無置換のアリール基、Ar、Ar、Arは同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、(1)式の場合と同じである。
【0119】
【化6】
Figure 0003917087
式中、R11、R12は置換もしくは無置換のアリール基、Ar、Ar、Arは同一又は異なるアリレン基、pは1〜5の整数を表す。X、k、jおよびnは、(1)式の場合と同じである。
【0120】
【化7】
Figure 0003917087
式中、R13、R14は置換もしくは無置換のアリール基、Ar10、Ar11、Ar12は同一又は異なるアリレン基、X、Xは置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表す。X、k、jおよびnは、(1)式の場合と同じである。
【0121】
【化8】
Figure 0003917087
式中、R15、R16、R17、R18は置換もしくは無置換のアリール基、Ar13、Ar14、Ar15、Ar16は同一又は異なるアリレン基、Y、Y、Yは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表し同一であっても異なってもよい。X、k、jおよびnは、(1)式の場合と同じである。
【0122】
【化9】
Figure 0003917087
式中、R19、R20は水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表し、R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17、Ar18、Ar19は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、(1)式の場合と同じである。
【0123】
【化10】
Figure 0003917087
式中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、Ar20、Ar21、Ar22、Ar23は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、(1)式の場合と同じである。
【0124】
【化11】
Figure 0003917087
式中、R22、R23、R24、R25は置換もしくは無置換のアリール基、Ar24、Ar25、Ar26、Ar27、Ar28は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、(1)式の場合と同じである。
【0125】
【化12】
Figure 0003917087
式中、R26、R27は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29、Ar30、Ar31は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、(1)式の場合と同じである。
【0126】
また、電荷輸送層に使用される高分子電荷輸送物質として、上述の高分子電荷輸送物質の他に、電荷輸送層の成膜時には電子供与性基を有するモノマーあるいはオリゴマーの状態で、成膜後に硬化反応あるいは架橋反応をさせることで、最終的に2次元あるいは3次元の架橋構造を有する重合体も含むものである。
【0127】
これら電子供与性基を有する重合体から構成される電荷輸送層、あるいは架橋構造を有する重合体は耐摩耗性に優れたものである。通常、電子写真プロセスにおいては、帯電電位(未露光部電位)は一定であるため、繰り返し使用により感光体の表面層が摩耗すると、その分だけ感光体にかかる電界強度が高くなってしまう。この電界強度の上昇に伴い、地汚れの発生頻度が高くなるため、感光体の耐摩耗性が高いことは、地汚れに対して有利である。これら電子供与性基を有する重合体から構成される電荷輸送層は、自身が高分子化合物であるため成膜性に優れ、低分子分散型高分子からなる電荷輸送層に比べ、電荷輸送部位を高密度に構成することが可能で電荷輸送能に優れたものである。このため、高分子電荷輸送物質を用いた電荷輸送層を有する感光体には高速応答性が期待できる。
【0128】
その他の電子供与性基を有する重合体としては、公知単量体の共重合体や、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマーや、また、例えば特開平3−109406号公報、特開2000−206723号公報、特開2001−34001号公報等に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体などを用いることも可能である。この場合にも、先の移動度を満足できるような材料が有効に使用出来る。
【0129】
本発明において電荷輸送層37中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂に対して0〜30重量%程度が適当である。
レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいは、オリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂に対して、0〜1重量%が適当である。
【0130】
結着樹脂としては、先に電荷輸送層37で挙げた結着樹脂をそのまま用いるほかに、分散液の作製方法のところで挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。もちろん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、結着樹脂100重量部に対する電荷輸送物質の量は1〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。
【0131】
単層感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を必要ならば電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコートなどで塗工して形成できる。単層感光層の膜厚は、5〜100μm程度が適当である。
【0132】
本発明の電子写真感光体には、導電性支持体31と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。
また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
【0133】
これらの下引き層は前述の感光層の如く適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0134】
本発明の電子写真感光体には、感光層保護の目的で、保護層が感光層の上に設けられることもある。近年、日常的にコンピュータの使用が行なわれるようになり、プリンタによる高速出力とともに、装置の小型化も望まれている。したがって、保護層を設け、耐久性を向上させることによって、本発明の高感度で異常欠陥のない感光体を有用に用いることができる。
【0135】
保護層に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。中でも、ポリカーボネートもしくはポリアリレートが最も良好に使用できる。
【0136】
保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、シリカ等の無機フィラー、また有機フィラーを分散したもの等を添加することができる。
【0137】
また、感光体の保護層に用いられるフィラー材料のうち有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。特に、フィラーの硬度の点からは、この中でも無機材料を用いることが有利である。特に、シリカ、酸化チタン、アルミナが有効に使用できる。
【0138】
保護層中のフィラー濃度は使用するフィラー種により、また感光体を使用する電子写真プロセス条件によっても異なるが、保護層の最表層側において全固形分に対するフィラーの比で5重量%以上、好ましくは10重量%以上、50重量%以下、より好ましくは30重量%以下程度が良好である。
【0139】
また、使用するフィラーの体積平均粒径は、0.1μm〜2μmの範囲が良好に使用され、好ましくは0.3μm〜1μmの範囲である。この場合、平均粒径が小さすぎると耐摩耗性が充分に発揮されず、大きすぎると塗膜の表面性が悪くなったり、塗膜そのものが形成できなかったりするからである。
【0140】
なお、本発明におけるフィラーの平均粒径とは、特別な記載のない限り体積平均粒径であり、超遠心式自動粒度分布測定装置:CAPA−700(堀場製作所製)により求めたものである。この際、累積分布の50%に相当する粒子径(Median系)として算出されたものである。また、同時に測定される各々の粒子の標準偏差が1μm以下であることが重要である。これ以上の標準偏差の値である場合には、粒度分布が広すぎて、本発明の効果が顕著に得られなくなってしまう場合がある。
【0141】
また、本発明で使用するフィラーのpHも解像度やフィラーの分散性に大きく影響する。
その理由の一つとしては、フィラー、特に金属酸化物は製造時に塩酸等が残存することが考えられる。その残存量が多い場合には、画像ボケの発生は避けられず、またそれは残存量によってはフィラーの分散性にも影響を及ぼす場合がある。
【0142】
もう一つの理由としては、フィラー、特に金属酸化物の表面における帯電性の違いによるものである。通常、液体中に分散している粒子はプラスあるいはマイナスに帯電しており、それを電気的に中性に保とうとして反対の電荷を持つイオンが集まり、そこで電気二重層が形成されることによって粒子の分散状態を安定化している。粒子から遠ざかるに従いその電位(ゼータ電位)は徐々に低くなり、粒子から充分に離れて電気的に中性である領域の電位はゼロとなる。したがって、ゼータ電位の絶対値の増加によって、粒子の反発力が高くなることによって安定性は高くなり、ゼロに近づくに従い凝集しやすく不安定になる。一方、系のpH値によってゼータ電位は大きく変動し、あるpH値において電位はゼロとなり等電点を持つことになる。したがって、系の等電点からできるだけ遠ざけて、ゼータ電位の絶対値を高めることによって分散系の安定化が図られることになる。
【0143】
本発明の構成においては、フィラーとしては前述の等電点におけるpHが、少なくとも5以上を示すものが画像ボケ抑制の点から好ましく、より塩基性を示すフィラーであるほどその効果が高くなる傾向があることが確認された。等電点におけるpHが高い塩基性を示すフィラーは、系が酸性であった方がゼータ電位はより高くなることにより、分散性及びその安定性は向上することになる。
ここで、本発明におけるフィラーのpHは、ゼータ電位から等電点におけるpH値を記載した。この際、ゼータ電位の測定は、大塚電子製のレーザーゼータ電位計にて測定した。
【0144】
更に、画像ボケが発生しにくいフィラーとしては、電気絶縁性が高いフィラー(比抵抗が1010Ω・cm以上)が好ましく、フィラーのpHが5以上を示すものやフィラーの誘電率が5以上を示すものが特に有効に使用できる。また、pHが5以上のフィラーあるいは誘電率が5以上のフィラーを単独で使用することはもちろん、pHが5以下のフィラーとpHが5以上のフィラーとを2種類以上を混合したり、誘電率が5以下のフィラーと誘電率が5以上のフィラーとを2種類以上混合したりして用いることも可能である。また、これらのフィラーの中でも高い絶縁性を有し、熱安定性が高い上に、耐摩耗性が高い六方細密構造であるα型アルミナは、画像ボケの抑制や耐摩耗性の向上の点から特に有用である。
【0145】
本発明において使用するフィラーの比抵抗は以下のように定義される。フィラーのような粉体は、充填率によりその比抵抗値が異なるので、一定の条件下で測定する必要がある。本発明においては、特開平5−94049号公報の図1、特開平5−113688号公報の図1等に示された測定装置と同様の構成の装置を用いて、フィラーの比抵抗値を測定し、この値を用いた。測定装置において、電極面積は4.0cmである。測定前に片側の電極に4kgの荷重を1分間かけ、電極間距離が4mmになるように試料量を調節する。測定の際は、上部電極の重量(1kg)の荷重状態で測定を行ない、印加電圧は100Vにて測定する。10Ω・cm以上の領域は、HIGH RESISTANCE METER(横河ヒューレットパッカード)、それ以下の領域についてはデジタルマルチメーター(フルーク)により測定した。これにより得られた比抵抗値を本発明の云うところの比抵抗値と定義するものである。
【0146】
フィラーの誘電率は以下のように測定した。上述のような比抵抗の測定と同様なセルを用い、荷重をかけた後に、静電容量を測定し、これより誘電率を求めた。静電容量の測定は、誘電体損測定器(安藤電気製)を使用した。
【0147】
更に、これらのフィラーは少なくとも一種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、そうすることがフィラーの分散性の面から好ましい。フィラーの分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。
【0148】
表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤すべてを使用することができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸等、あるいはこれらとシランカップリング剤との混合処理や、Al、TiO、ZrO、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理がフィラーの分散性及び画像ボケの点からより好ましい。シランカップリング剤による処理は、画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。
【0149】
表面処理量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、3〜30wt%が適しており、5〜20wt%がより好ましい。表面処理量がこれよりも少ないとフィラーの分散効果が得られず、また多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こす。
【0150】
これらフィラー材料は単独もしくは2種類以上混合して用いられる。フィラーの表面処理量に関しては、上述のようにフィラー量に対する使用する表面処理剤の重量比で定義される。
これらフィラー材料は、適当な分散機を用いることにより分散できる。また、保護層の透過率の点から使用するフィラーは1次粒子レベルまで分散され、凝集体が少ない方が好ましい。
【0151】
また、保護層には残留電位低減、応答性改良のため、電荷輸送物質を含有しても良い。電荷輸送物質は、電荷輸送層の説明のところに記載した材料を用いることができる。電荷輸送物質として、低分子電荷輸送物質を用いる場合には、保護層中における濃度傾斜を設けても構わない。耐摩耗性向上のため、表面側を低濃度にすることは有効な手段である。
ここでいう濃度とは、保護層を構成する全材料の総重量に対する低分子電荷輸送物質の重量の比を表わし、濃度傾斜とは上記重量比において表面側において濃度が低くなるような傾斜を設けることを示す。
また、高分子電荷輸送物質を用いることは、感光体の耐久性を高める点で非常に有利である。
【0152】
保護層の形成法としては通常の塗布法が採用される。なお保護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。また、以上のほかに真空薄膜作成法にて形成したa−C、a−SiCなど公知の材料を保護層として用いることができる。
【0153】
本発明においては感光層と保護層との間に中間層を設けることも可能である。中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく通常の塗布法が採用される。なお、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
【0154】
上述したように、感光層(電荷輸送層)に高分子電荷輸送物質を使用したり、あるいは感光体の表面に保護層を設けることは、各々の感光体の耐久性(耐摩耗性)を高めるだけでなく、後述のようなタンデム型フルカラー画像形成装置中で使用される場合には、モノクロ画像形成装置にはない新たな効果をも生み出すものである。
【0155】
フルカラーの画像の場合、様々な形態の画像が入力されるが、逆に定型的な画像も入力される場合がある。例えば、日本語の文書等における検印の存在などである。検印のようなものは通常、画像領域の端の方に位置され、また使用される色も限定される。ランダムな画像が常に書き込まれているような状態においては、画像形成要素中の感光体には、平均的に画像書き込み、現像、転写が行なわれることになるが、上述のように特定の部分に数多くの画像形成が繰り返されたり、特定の画像形成要素ばかり使用された場合には、その耐久性のバランスを欠くことにつながる。
このような状態で表面の耐久性(物理的・化学的・機械的)の小さな感光体が使用された場合には、この差が顕著になり、画像上の問題になりやすい。一方、感光体を高耐久化した場合には、このような局所的な変化量が小さく、結果的に画像上の欠陥として現われにくくなるため、高耐久化を実現すると共に、出力画像の安定性をも増すことになり、非常に有効である。
【0156】
次に図面を用いて本発明の画像形成装置を詳しく説明する。
図5は、本発明の画像形成プロセス及び画像形成装置を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図5において、感光体1は導電性支持体上に特定の分散条件により分散されたチタニルフタロシアニン結晶を含有する電荷発生層と、電荷輸送層が設けられてなる。帯電部材3、転写前チャージャー7、転写チャージャー10、分離チャージャー11、クリーニング前チャージャー13には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラーを始めとする公知の手段が用いられる。
【0157】
帯電部材は、感光体1に対し接触もしくは近接配置したものが良好に用いられる。また、帯電部材により感光体に帯電を施す際、帯電部材に直流成分に交流成分を重畳した電界により感光体に帯電を与えることにより、帯電ムラを低減することが可能で効果的である。
【0158】
ここでいう接触方式の帯電部材とは、感光体表面に帯電部材の表面が接触するタイプのものであり、帯電ローラー、帯電ブレード、帯電ブラシの形状がある。中でも帯電ローラーや帯電ブラシが良好に使用される。
【0159】
また、近接配置した帯電部材とは、感光体表面と帯電部材表面の間に10μm以上200μm以下の空隙(ギャップ)を有するように非接触状態で近接配置したタイプのものである。空隙の距離から、コロトロン、スコロトロンに代表される公知の帯電器とは区別されるものである。
【0160】
本発明において使用される近接配置された帯電部材は、感光体表面との空隙を適切に制御できる機構のものであればいかなる形状のものでも良い。例えば、感光体の回転軸と帯電部材の回転軸を機械的に固定して、適正ギャップを有するような配置にすればよい。中でも、帯電ローラーの形状の帯電部材を用い、帯電部材の非画像形成部両端にギャップ形成部材を配置して、この部分のみを感光体表面に当接させ、画像形成領域を非接触配置させる、あるいは感光体非画像形成部両端ギャップ形成部材を配置して、この部分のみを帯電部材表面に当接させ、画像形成領域を非接触配置させる様な方法が、簡便な方法でギャップを安定して維持できる方法である。特に特開2002−148904号公報、特開2002−148905号公報に記載された方法は良好に使用できる。帯電部材側にギャップ形成部材を配置した近接帯電機構の一例を図6に示す。
【0161】
転写手段には、一般に上記の帯電器が使用できるが、図5に示されるように転写チャージャー10と分離チャージャー11を併用したものが効果的である。
【0162】
また、画像露光部5の光源にはLDもしくはLEDが用いられる。除電ランプ2等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
【0163】
かかる光源等は、図5に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
【0164】
現像ユニット6により感光体1上に現像されたトナーは、転写紙9に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体1上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、ファーブラシ14およびブレード15により、感光体より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
【0165】
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
【0166】
図7には、本発明による画像形成プロセスの別の例を示す。感光体21は導電性支持体上に、特定の分散条件により分散されたチタニルフタロシアニン結晶を含有する電荷発生層と電荷輸送層が設けられてなる。駆動ローラー22a、22bにより駆動され、帯電器23による帯電、光源24による像露光、現像(図示せず)、帯電器25を用いる転写、光源26によるクリーニング前露光、ブラシ27によるクリーニング、光源28による除電が繰返し行なわれる。図7においては、感光体21(勿論支持体が透光性である)に支持体側より画像露光の光照射が行なわれる。また、画像露光源24は、LDもしくはLEDが好ましく用いられる。
【0167】
以上の図示した画像形成プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、図5において感光層側よりクリーニング前露光を行っているが、これは透光性支持体側から行ってもよいし、また、除電光の照射を支持体側から行ってもよい。
一方、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行なうこともできる。
【0168】
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段の少なくとも一つを含んだ装置(部品)である。
プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図8に示すものが挙げられる。感光体1は導電性支持体上に特定の分散条件により分散されたチタニルフタロシアニン結晶を含有する電荷発生層と電荷輸送層が設けられてなる。
【0169】
図9は、本発明のタンデム方式のフルカラー画像形成装置を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図9において、符号1C、1M、1Y、1Kはドラム状の感光体であり、この感光体1C、1M、1Y、1Kは図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電部材2C、2M、2Y、2K、現像部材4C、4M、4Y、4K、クリーニング部材5C、5M、5Y、5Kが配置されている。
【0170】
帯電部材2C、2M、2Y、2Kは、感光体表面を均一に帯電するための帯電装置を構成する帯電部材である。この帯電部材2C、2M、2Y、2Kと現像部材4C、4M、4Y、4Kの間の感光体裏面側より、図示しない露光部材からのレーザー光3C、3M、3Y、3Kが照射され、感光体1C、1M、1Y、1Kに静電潜像が形成されるようになっている。
【0171】
そして、このような感光体1C、1M、1Y、1Kを中心とした4つの画像形成要素6C、6M、6Y、6Kが、転写材搬送手段である転写搬送ベルト10に沿って並置されている。転写搬送ベルト10は各画像形成ユニット6C、6M、6Y、6Kの現像部材4C、4M、4Y、4Kとクリーニング部材5C、5M、5Y、5Kの間で感光体1C、1M、1Y、1Kに当接しており、転写搬送ベルト10の感光体側の裏側に当たる面(裏面)には転写バイアスを印加するための転写ブラシ11C、11M、11Y、11Kが配置されている。
各画像形成要素6C、6M、6Y、6Kは現像装置内部のトナーの色が異なることであり、その他は全て同様の構成となっている。
【0172】
図9に示す構成のカラー画像形成装置において、画像形成動作は次のようにして行われる。
まず、各画像形成要素6C、6M、6Y、6Kにおいて、感光体1C、1M、1Y、1Kが矢印方向(感光体と連れ周り方向)に回転する帯電部材2C、2M、2Y、2Kにより帯電され、次に感光体の内側に配置された露光部(図示しない)でレーザー光3C、3M、3Y、3Kにより、作成する各色の画像に対応した静電潜像が形成される。
【0173】
次に現像部材4C、4M、4Y、4Kにより潜像を現像してトナー像が形成される。現像部材4C、4M、4Y、4Kは、それぞれC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のトナーで現像を行う現像部材で、4つの感光体1C、1M、1Y、1K上で作られた各色のトナー像は転写紙上で重ねられる。
【0174】
転写紙7は給紙コロ8によりトレイから送り出され、一対のレジストローラ9で一旦停止し、上記感光体上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト10に送られる。転写搬送ベルト10上に保持された転写紙7は搬送されて、各感光体1C、1M、1Y、1Kとの当接位置(転写部)で各色トナー像の転写が行われる。感光体上のトナー像は、転写ブラシ11C、11M、11Y、11Kに印加された転写バイアスと感光体1C、1M、1Y、1Kとの電位差から形成される電界により、転写紙7上に転写される。
【0175】
そして4つの転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた記録紙7は定着装置12に搬送され、トナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。また、転写部で転写されずに各感光体1C、1M、1Y、1K上に残った残留トナーは、クリーニング装置5C、5M、5Y、5Kで回収される。
【0176】
なお、図9の例では画像形成要素は転写紙搬送方向上流側から下流側に向けて、C(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものでは無く、色順は任意に設定されるものである。また、黒色のみの原稿を作成する際には、黒色以外の画像形成要素(6C、6M、6Y)が停止するような機構を設けることは本発明に特に有効に利用できる。更に、図9において帯電部材は感光体と当接しているが、両者の間に適当なギャップ(10〜200μm程度)を設けてやることにより、両者の摩耗量が低減できると共に、帯電部材へのトナーフィルミングが少なくて済み良好に使用できる。
【0177】
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、各々の電子写真要素はプロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等を含んだ1つの装置(部品)である。
【0178】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明が実施例により制約を受けるものではない。なお、部はすべて重量部である。
【0179】
まず、ブラッグ角2θの最大回折ピークが27.2°±0.2°にある結晶型のチタニルフタロシアニン顔料の具体的な合成例を述べる。
【0180】
(顔料作製例1)
1,3−ジイミノイソインドリン292部とスルホラン1800部を混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド204部を滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行った。反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。
【0181】
得られた熱水洗浄処理した粗チタニルフタロシアニン顔料のうち60部を96%硫酸1000部に3〜5℃下撹拌、溶解し、濾過した。得られた硫酸溶液を氷水35000部中に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過、ついで洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返し、チタニルフタロシアニン顔料の水ペーストを得た。
【0182】
この水ペーストにテトラヒドロフラン1500部を加え、室温下で撹拌し、ペーストの濃紺色の色が淡い青色に変化したら、撹拌を停止し、直ちに減圧濾過を行った。濾過装置上で得られた結晶をテトラヒドロフランで洗浄し、顔料のウェットケーキ98部を得た。これを減圧下(5mmHg)、70℃で2日間乾燥して、チタニルフタロシアニン結晶78部を得た。これを顔料1とする。
【0183】
顔料作製例1で得られた水ペーストの一部を80℃の減圧下(5mmHg)で、2日間乾燥して、低結晶性チタニルフタロシアニン粉末を得た。
【0184】
上述のように得られた水ペーストの乾燥粉末と、顔料作製例1で得られたチタニルフタロシアニン結晶(顔料1)についてのX線回折スペクトルを以下に示す条件で測定した。
X線管球:Cu、 電圧 :40kV 電流 :20mA
走査速度:1°/分 走査範囲:3°〜40° 時定数:2秒
【0185】
水ペーストの乾燥粉末のX線回折スペクトルを図10に、顔料1のX線回折スペクトルを図11に示す。
【0186】
図11より、顔料1は、27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.4°以上9.4゜未満の範囲にピークを有さず、また26.3゜にピークを有さない結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶であることが分かる。
【0187】
(実施例1)
下記組成の分散液を下に示す条件のビーズミリングにより作製した(これを分散液1とする)。
顔料作製例1で作製したチタニルフタロシアニン結晶(顔料1)240部
ポリビニルブチラール(積水化学製:BX−1) 160部
2−ブタノン 3600部
市販のビーズミル分散機(VMA−GETZMANN GMBH製:DISPERMAT SL、ローターの直径は50mm、分散室容量は125ml)に直径0.5mmのジルコニアボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した2−ブタノンおよび顔料を全て投入し、ローター回転数50(cycles/s)にて、300分間分散を行った。分散に際しては、分散時の液温を保温用ジャケットにて15±2℃にコントロールした。
分散と同時に測定した分散パワーの変化率は最大で、±3%の範囲であった。分散パワーと分散時間の積算により求められた分散の仕事量は、1400(W・h)であり、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりの分散の仕事量は、5.8(W・h/g)であった。
分散終了後、ビーズミル分散機よりミルベースを払い出し、更に10300部の2−ブタノンを投入し、希釈と同時に分散機に残ったミルベースをすべて払い出し、分散液を作製した。
【0188】
(実施例2)
実施例1の分散液作製条件のうち、ローター回転数を16(cycles/s)に変更し、更に分散時間を500分とした以外は、実施例1と同様に分散液を作製した。分散と同時に測定した分散パワーの変化率は最大で、±5%の範囲であった。分散パワーと分散時間の積算により求められた分散の仕事量は、820(W・h)であり、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりの分散の仕事量は、3.4(W・h/g)であった。これを分散液2とする。
【0189】
(実施例3)
実施例1の分散液作製条件のうち、ローター回転数を83(cycles/s)に変更し、更に分散時間を500分とした以外は、実施例1と同様に分散液を作製した。分散と同時に測定した分散パワーの変化率は最大で、±5%の範囲であった。分散パワーと分散時間の積算により求められた分散の仕事量は、2325(W・h)であり、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりの分散の仕事量は、9.7(W・h/g)であった。これを分散液3とする。
【0190】
(比較例1)
実施例1の分散液作製条件のうち、分散時間を600分とした以外は、実施例1と同様に分散液を作製した。分散と同時に測定した分散パワーの変化率は最大で、±5%の範囲であった。分散パワーと分散時間の積算により求められた分散の仕事量は、2760(W・h)であり、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりの分散の仕事量は、11.5(W・h/g)であった。これを分散液4とする。
【0191】
(比較例2)
実施例1の分散液作製条件のうち、ローター回転数を83(cycles/s)に変更した以外は、実施例1と同様に分散液を作製した。分散と同時に測定した分散パワーの変化率は最大で、±5%の範囲であった。分散パワーと分散時間の積算により求められた分散の仕事量は、2520(W・h)であり、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりの分散の仕事量は、10.5(W・h/g)であった。これを分散液5とする。
【0192】
(比較例3)
実施例1の分散液作製条件のうち、分散時間を150分に変更した以外は、実施例1と同様に分散液を作製した。分散と同時に測定した分散パワーの変化率は最大で、±3%の範囲であった。分散パワーと分散時間の積算により求められた分散の仕事量は、705(W・h)であり、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりの分散の仕事量は、2.9(W・h/g)であった。これを分散液6とする。
【0193】
(実施例4)
下記組成の分散液を下に示す条件のビーズミリングにより作製した(これを分散液7とする)。
顔料作製例1で作製したチタニルフタロシアニン結晶(顔料1)288部
ポリビニルブチラール(積水化学製:BX−1) 192部
2−ブタノン 5520部
市販のビーズミル分散機(VMA−GETZMANN GMBH製:DISPERMAT SL、ローターの直径は50mm、分散室容量は125ml)に直径0.5mmのジルコニアボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した2−ブタノンおよび顔料を全て投入し、ローター回転数16(cycles/s)にて、750分間分散を行った。分散に際しては、分散時の液温を保温用ジャケットにて15±2℃にコントロールした。分散と同時に測定した分散パワーの変化率は最大で、±3%の範囲であった。分散パワーと分散時間の積算により求められた分散の仕事量は、1050(W・h)であり、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりの分散の仕事量は、3.6(W・h/g)であった。
分散終了後、ビーズミル分散機よりミルベースを払い出し、更に10000gの2−ブタノンを投入し、希釈と同時に分散機に残ったミルベースをすべて払い出し、分散液を作製した。
【0194】
(実施例5)
下記組成の分散液を下に示す条件のビーズミリングにより作製した(これを分散液8とする)。
顔料作製例1で作製したチタニルフタロシアニン結晶(顔料1) 43部
ポリビニルブチラール(積水化学製:BX−1) 29部
2−ブタノン 648部
市販のビーズミル分散機(VMA−GETZMANN GMBH製:DISPERMAT SL、ローターの直径は50mm、分散室容量は125ml)に直径0.5mmのジルコニアボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した2−ブタノンおよび顔料を全て投入し、ローター回転数50(cycles/s)にて、60分間分散を行った。分散に際しては、分散時の液温を保温用ジャケットにて15±2℃にコントロールした。
分散と同時に測定した分散パワーの変化率は最大で、±4%の範囲であった。分散パワーと分散時間の積算により求められた分散の仕事量は、249(W・h)であり、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりの分散の仕事量は、5.8(W・h/g)であった。
分散終了後、ビーズミル分散機よりミルベースを払い出し、更に2060部の2−ブタノンを投入し、希釈と同時に分散機に残ったミルベースをすべて払い出し、分散液を作製した。
【0195】
(比較例4)
実施例5の分散液作製条件のうち、分散時間を30分に変更した以外は、実施例5と同様に分散液を作製した。分散と同時に測定した分散パワーの変化率は最大で、±4%の範囲であった。分散パワーと分散時間の積算により求められた分散の仕事量は、126(W・h)であり、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりの分散の仕事量は、2.9(W・h/g)であった。これを分散液9とする。
【0196】
(比較例5)
実施例5の分散液作製条件のうち、分散時間を120分に変更した以外は、実施例5と同様に分散液を作製した。分散と同時に測定した分散パワーの変化率は最大で、±4%の範囲であった。分散パワーと分散時間の積算により求められた分散の仕事量は、488(W・h)であり、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりの分散の仕事量は、11.3(W・h/g)であった。これを分散液10とする。
【0197】
(実施例6)
下記組成の分散液を下に示す条件のビーズミリングにより作製した(これを分散液11とする)。
顔料作製例1で作製したチタニルフタロシアニン結晶(顔料1)120部
ポリビニルブチラール(積水化学製:BX−1) 80部
2−ブタノン 1800部
市販のビーズミル分散機(VMA−GETZMANN GMBH製:DISPERMAT SL、ローターの直径は50mm、分散室容量は125ml)に直径0.5mmのジルコニアボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した2−ブタノンおよび顔料を全て投入し、ローター回転数50(cycles/s)にて、150分間分散を行った。分散に際しては、分散時の液温を保温用ジャケットにて15±2℃にコントロールした。分散と同時に測定した分散パワーの変化率は最大で、±3%の範囲であった。分散パワーと分散時間の積算により求められた分散の仕事量は、710(W・h)であり、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりの分散の仕事量は、5.9(W・h/g)であった。
分散終了後、ビーズミル分散機よりミルベースを払い出し、更に5150部の2−ブタノンを投入し、希釈と同時に分散機に残ったミルベースをすべて払い出し、分散液を作製した。
【0198】
(実施例7)
実施例1の分散液作製条件において、使用したジルコニアボールを、直径0.3mmのものに変更した以外は、実施例1と同様に分散液を作製した。分散と同時に測定した分散パワーの変化率は最大で、±4%の範囲であった。分散パワーと分散時間の積算により求められた分散の仕事量は、1480(W・h)であり、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりの分散の仕事量は、6.2(W・h/g)であった(これを分散液12とする)。
【0199】
(実施例8)
実施例1の分散液作製条件において、使用したジルコニアボールを、直径0.8mmのものに変更した以外は、実施例1と同様に分散液を作製した。分散と同時に測定した分散パワーの変化率は最大で、±3%の範囲であった。分散パワーと分散時間の積算により求められた分散の仕事量は、1360(W・h)であり、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりの分散の仕事量は、5.7(W・h/g)であった(これを分散液13とする)。
【0200】
(比較例6)
実施例1で使用した分散装置の分散室を容量500ml(ローター径は75mm)のものに変更し、その他の分散条件は同様にして分散液を作製した。分散と同時に測定した分散パワーの変化率は最大で、±11%の範囲であった。分散パワーと分散時間の積算により求められた分散の仕事量は、2800(W・h)であり、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりの分散の仕事量は、11.7(W・h/g)であった(これを分散液14とする)。
【0201】
(比較例7)
実施例2で使用した分散装置の分散室を容量500ml(ローター径は75mm)のものに変更し、分散時間を200分に変更した以外は、実施例2と同様に分散液を作製した。分散と同時に測定した分散パワーの変化率は最大で、±13%の範囲であった。分散パワーと分散時間の積算により求められた分散の仕事量は、330(W・h)であり、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりの分散の仕事量は、2.8(W・h/g)であった。(これを分散液15とする)。
【0202】
以上のように作製した分散液1〜15について、以下の評価を行った。結果を表1に示す。
・平均粒径:
堀場製作所:CAPA700にて体積平均粒径を評価した。
・粗大粒子の観察:
分散液をスライドガラスに塗布し、観察用のサンプルを作製した。
続いて、市販の光学顕微鏡(50〜100倍)にて、塗膜の観察を行った。
・X線回折スペクトル:
分散液を乾固し、粉末にしたものを前述と同様にX線回折スペクトルを測定した。
・成膜性の評価:
分散液を洗浄したアルミ板に浸漬塗工法により成膜して、塗膜の状態を観察した。
【0203】
【表1】
Figure 0003917087
【0204】
表1から分かるように、顔料(チタニルフタロシアニン結晶)1gあたりの分散の仕事量を適正範囲(3≦W/M≦10)にすることによって、分散安定性が高く(平均粒径が細かく、顕微鏡レベルで観察しても粗大粒子が認められない)、かつ結晶安定性が高い(分散前と同じ結晶型を維持している)状態で、分散液が形成される。このような分散液を使用することにより、良好な塗膜が形成される。
【0205】
各種条件においても平均粒径は大きな変化を見せず、ここまでに評価されてきた平均粒径だけでは、分散液の分散安定性は表し尽くせないことも分かる。
また、分散エネルギー量が適正な場合においても、メディア径が0.5mmより大きい場合には分散安定性に劣り、顕微鏡レベルで観察される粗大粒子が残存し、これを用いて成膜した場合に悪影響を与えている。
また、ローター径が大きい場合には、分散が不安定になりやすく、分散エネルギー量が適正な場合においても、結晶転移が観測されたり、粗大粒子が観測されたりした。このことは、結晶安定性と分散安定性の両立が難しいことを示している。
分散溶媒量と分散室容量の関係に関しては、50:1よりも大きい場合においては、適正な分散エネルギー量を与えることにより、良好な分散液を作製することが出来るが、分散時間が極めて長くなってしまう。また、10:1よりも小さい場合には逆に適正分散エネルギー量を設定するためには、分散時間が短くなりすぎて、分散安定性がわずかに劣る場合がある。
また、分散パワーの変動量が±10%の範囲を超えた場合には、分散そのものが不安定になり、結果に悪影響を与えていることが分かる。
【0206】
なお、結晶の一部が結晶転移してしまった場合(比較例2)のX線回折スペクトルを図12に示す。図中の矢印が、図11の結晶には認められない新たなピーク(26.3゜)である。
【0207】
(実施例9)
実施例1の分散液に使用した溶媒を、2−ブタノンからn−酢酸ブチルに変更した以外は、実施例1と同様に分散液を作製した。分散と同時に測定した分散パワーの変化率は最大で、±3%の範囲であった。分散パワーと分散時間の積算により求められた分散の仕事量は、1430(W・h)であり、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりの分散の仕事量は、6.0(W・h/g)であった(これを分散液16とする)。
【0208】
(実施例10)
実施例1の分散液に使用した溶媒を、2−ブタノンからn−ブタノールに変更した以外は、実施例1と同様に分散液を作製した。分散と同時に測定した分散パワーの変化率は最大で、±4%の範囲であった。分散パワーと分散時間の積算により求められた分散の仕事量は、1580(W・h)であり、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりの分散の仕事量は、6.6(W・h/g)であった(これを分散液17とする)。
【0209】
(実施例11)
実施例1の分散液の組成を下記組成のものに変更した以外は、実施例1と同様に分散液を作製した。分散と同時に測定した分散パワーの変化率は最大で、±4%の範囲であった。分散パワーと分散時間の積算により求められた分散の仕事量は、1460(W・h)であり、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりの分散の仕事量は、6.1(W・h/g)であった(これを分散液18とする)。
顔料作製例1で作製したチタニルフタロシアニン結晶(顔料1)240部
ポリビニルブチラール(積水化学製:BX−1) 160部
テトラヒドロフラン 3600部
イオン交換水 36部
【0210】
(実施例12)
実施例11の分散液より、イオン交換水を除いた以外は、実施例11と同様に分散液を作製した。分散と同時に測定した分散パワーの変化率は最大で、±3%の範囲であった。分散パワーと分散時間の積算により求められた分散の仕事量は、1420(W・h)であり、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりの分散の仕事量は、5.9(W・h/g)であった(これを分散液19とする)。
【0211】
(実施例13)
実施例1の分散液より、ポリビニルブチラールを除いた以外は、実施例1と同様に分散液を作製した。分散と同時に測定した分散パワーの変化率は最大で、±4%の範囲であった。分散パワーと分散時間の積算により求められた分散の仕事量は、1260(W・h)であり、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりの分散の仕事量は、5.3(W・h/g)であった(これを分散液20とする)。
【0212】
以上のように作製した分散液16〜20を、分散液1〜15の場合と同様に評価を行った。実施例1の結果と併せて表2に示す。
【0213】
【表2】
Figure 0003917087
【0214】
表2から分かるように、分散溶媒として2−ブタノン(ケトン系溶媒)、n−酢酸ブチル(エステル系溶媒)、テトラヒドロフラン(エーテル系溶媒)を用いた場合には良好な特性を有する分散液が得られたが、その他の溶媒であるn−ブタノール(アルコール系溶媒)を用いた場合には、やや分散安定性に劣る結果となった。
また、イオン交換水を添加しない場合や、バインダー樹脂を添加しない場合においては、結晶安定性に劣る場合が認められた。
【0215】
(顔料作製例2)
特開平1−299874号(特許第2512081号)公報の「実施例1」に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、先の顔料作製例1で作製したウェットケーキを乾燥し、乾燥物200gをポリエチレングリコール1000gに加え、20000gのガラスビーズと共に、サンドミルを行なった。結晶転移後、希硫酸、水酸化アンモニウム水溶液で順次洗浄し、乾燥して顔料を得た(これを顔料2とする)。
【0216】
(顔料作製例3)
特開平3−269064号(特許第2584682号)公報の「製造例1」に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、先の顔料作製例1で作製したウェットケーキを乾燥し、乾燥物200gをイオン交換水2000gとモノクロルベンゼン200gの混合溶媒中で1時間撹拌(50℃)した後、メタノールとイオン交換水で洗浄し、乾燥して顔料を得た(これを顔料3とする)。
【0217】
(顔料作製例4)
特開平2−8256号(特公平7−91486号)公報の「製造例」に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、フタロジニトリル196gと1−クロロナフタレン1500mlを撹拌混合し、窒素気流下で四塩化チタン44mlを滴下する。滴下終了後、徐々に200℃まで昇温し、反応温度を200℃〜220℃の間に保ちながら3時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷し130℃になったところ熱時濾過し、次いで1−クロロナフタレンで粉体が青色になるまで洗浄、次にメタノールで数回洗浄し、更に80℃の熱水で数回洗浄した後、乾燥し顔料を得た(これを顔料4とする)。
【0218】
(顔料作製例5)
特開昭64−17066号(特公平7−97221号)公報の「合成例1」に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、α型TiOPc200部を食塩400gおよびアセトフェノン200gと共にサンドグラインダーにて100℃にて10時間結晶変換処理を行なった。これをイオン交換水及びメタノールで洗浄し、希硫酸水溶液で精製し、イオン交換水で酸分がなくなるまで洗浄した後、乾燥して顔料を得た(これを顔料5とする)。
【0219】
(顔料作製例6)
特開平11−5919号(特許第3003664号)公報の「実施例1」に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、O−フタロジニトリル204部、四塩化チタン部76部をキノリン500部中で200℃にて2時間加熱反応後、水蒸気蒸留で溶媒を除き、2%塩化水溶液、続いて2%水酸化ナトリウム水溶液で精製し、メタノール、N,N−ジメチルホルムアミドで洗浄後、乾燥し、チタニルフタロシアニンを得た。このチタニルフタロシアニン200部を5℃の98%硫酸40部の中に少しずつ溶解し、その混合物を約1時間、5℃以下の温度を保ちながら攪拌する。続いて硫酸溶液を高速攪拌した8000部の氷水中に、ゆっくりと注入し、析出した結晶を濾過する。結晶を酸が残量しなくなるまで蒸留水で洗浄し、ウエットケーキを得る。そのケーキをTHF10000部中で約5時間攪拌を行ない、濾過、THFによる洗浄を行ない乾燥後、顔料を得た(これを顔料6とする)。
【0220】
(顔料作製例7)
特開平3−255456号(特許第3005052号)公報の「合成例2」に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、先の顔料作製例1で作製したウェットケーキ400部を塩化ナトリウム600部とジエチレングリコール280部に混合し、80℃の加熱下で自動乳鉢により60時間ミリング処理を行なった。次に、この処理品に含まれる塩化ナトリウムとジエチレングリコールを完全に除去するために充分な水洗を行なった。これを減圧乾燥した後にシクロヘキサノン8000部と直径1mmのガラスビーズを加えて、30分間サンドミルにより処理を行ない、顔料を得た(これを顔料7とする)。
【0221】
以上の顔料作製例2〜7で作製した顔料2〜7は、前記と同様の方法でX線回折スペクトルを測定し、それぞれの公報に記載のスペクトルと同様であることを確認した。表3にそれぞれのX線回折スペクトルと顔料作製例1で得られた顔料のX線回折スペクトルのピーク位置の特徴を示す。
【0222】
【表3】
Figure 0003917087
【0223】
(参考例1)
実施例6で使用したチタニルフタロシアニン結晶(顔料1)の代わりに、それぞれ顔料2を用いた以外は、実施例6と同様に分散液を作製した。分散と同時に測定した分散パワーの変化率は最大で、±3%の範囲であった。分散パワーと分散時間の積算により求められた分散の仕事量は、730(W・h)であり、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりの分散の仕事量は、6.1(W・h/g)であった(これを分散液21とする)。
【0224】
(参考例2)
実施例6で使用したチタニルフタロシアニン結晶(顔料1)の代わりに、それぞれ顔料3を用いた以外は、実施例6と同様に分散液を作製した。分散と同時に測定した分散パワーの変化率は最大で、±3%の範囲であった。分散パワーと分散時間の積算により求められた分散の仕事量は、705(W・h)であり、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりの分散の仕事量は、5.9(W・h/g)であった(これを分散液22とする)。
【0225】
(参考例3)
実施例6で使用したチタニルフタロシアニン結晶(顔料1)の代わりに、それぞれ顔料4を用いた以外は、実施例6と同様に分散液を作製した。分散と同時に測定した分散パワーの変化率は最大で、±3%の範囲であった。分散パワーと分散時間の積算により求められた分散の仕事量は、720(W・h)であり、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりの分散の仕事量は、6.0(W・h/g)であった(これを分散液23とする)。
【0226】
(参考例4)
実施例6で使用したチタニルフタロシアニン結晶(顔料1)の代わりに、それぞれ顔料5を用いた以外は、実施例6と同様に分散液を作製した。分散と同時に測定した分散パワーの変化率は最大で、±3%の範囲であった。分散パワーと分散時間の積算により求められた分散の仕事量は、700(W・h)であり、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりの分散の仕事量は、5.8(W・h/g)であった(これを分散液24とする)。
【0227】
(参考例5)
実施例6で使用したチタニルフタロシアニン結晶(顔料1)の代わりに、それぞれ顔料6を用いた以外は、実施例6と同様に分散液を作製した。分散と同時に測定した分散パワーの変化率は最大で、±3%の範囲であった。分散パワーと分散時間の積算により求められた分散の仕事量は、710(W・h)であり、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりの分散の仕事量は、5.9(W・h/g)であった(これを分散液25とする)。
【0228】
(参考例6)
実施例6で使用したチタニルフタロシアニン結晶(顔料1)の代わりに、それぞれ顔料7を用いた以外は、実施例6と同様に分散液を作製した。分散と同時に測定した分散パワーの変化率は最大で、±3%の範囲であった。分散パワーと分散時間の積算により求められた分散の仕事量は、740(W・h)であり、チタニルフタロシアニン結晶1gあたりの分散の仕事量は、6.2(W・h/g)であった(これを分散液26とする)。
【0229】
以上のように作製した分散液21〜26は、実施例6の場合と同様に評価し、実施例6の結果と併せて表4に示す。
【0230】
【表4】
Figure 0003917087
【0231】
表4から分かるように、顔料1とは結晶型の異なるチタニルフタロシアニン結晶を用いた場合においても、適正な分散エネルギー量を与えて分散を行うことにより、結晶転移を起こさず、粗大粒子のない分散安定性の高い分散液を作製することが出来た。
【0232】
(感光体の作製)
感光体作製例1:
直径60mmのアルミニウムシリンダー(JIS1050)に、下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥し、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、19μmの電荷輸送層を形成し、積層感光体を作製した(これを感光体1とする)。
【0233】
Figure 0003917087
【0234】
(電荷発生層塗工液)
前記の分散液1を用いた。
【0235】
(電荷輸送層塗工液)
ポリカーボネート(ユーピロンZ300:三菱ガス化学社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【化13】
Figure 0003917087
テトラヒドロフラン 80部
【0236】
感光体作製例2:
感光体作製例1における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液2を用いた以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体2とする)。
【0237】
感光体作製例3:
感光体作製例1における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液3を用いた以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体3とする)。
【0238】
感光体作製例4:
感光体作製例1における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液4を用いた以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体4とする)。
【0239】
感光体作製例5:
感光体作製例1における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液5を用いた以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体5とする)。
【0240】
感光体作製例6:
感光体作製例1における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液6を用いた以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体6とする)。
【0241】
感光体作製例7:
感光体作製例1における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液7を用いた以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体7とする)。
【0242】
感光体作製例8:
感光体作製例1における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液8を用いた以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体8とする)。
【0243】
感光体作製例9:
感光体作製例1における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液9を用いた以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体9とする)。
【0244】
感光体作製例10:
感光体作製例1における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液10を用いた以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体10とする)。
【0245】
感光体作製例11:
感光体作製例1における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液11を用いた以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体11とする)。
【0246】
感光体作製例12:
感光体作製例1における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液12を用いた以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体12とする)。
【0247】
感光体作製例13:
感光体作製例1における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液13を用いた以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体13とする)。
【0248】
感光体作製例14:
感光体作製例1における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液14を用いた以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体14とする)。
【0249】
感光体作製例15:
感光体作製例1における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液15を用いた以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体15とする)。
【0250】
感光体作製例16:
感光体作製例1における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液16を用いた以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体16とする)。
【0251】
感光体作製例17:
感光体作製例1における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液17を用いた以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体17とする)。
【0252】
感光体作製例18:
感光体作製例1における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液18を用いた以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体18とする)。
【0253】
感光体作製例19:
感光体作製例1における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液19を用いた以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体19とする)。
【0254】
感光体作製例20:
感光体作製例1における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液20を用いた以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体20とする)。
【0255】
感光体作製例21:
感光体作製例1における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液21を用いた以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体21とする)。
【0256】
感光体作製例22:
感光体作製例1における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液22を用いた以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体22とする)。
【0257】
感光体作製例23:
感光体作製例1における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液23を用いた以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体23とする)。
【0258】
感光体作製例24:
感光体作製1における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液24を用いた以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体24とする)。
【0259】
感光体作製例25:
感光体作製例1における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液25を用いた以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体25とする)。
【0260】
感光体作製例26:
感光体作製例1における電荷発生層塗工液として、分散液1の代わりに分散液26を用いた以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体26とする)。
【0261】
(実施例14〜26、比較例8〜14及び参考例6〜12)
以上のように作製した感光体1〜26を市販の普通紙複写機(リコー製:imagioMF4550)に搭載した。AC電源として複写機本体外に別の電源を用意した。
画像露光光源は780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)とした。
帯電部材としては、図6に示すような非接触近接配置方式の帯電ローラー(両端の非画像部には、厚さ50μmの絶縁テープを巻き付け、感光体表面と帯電ローラー表面の間に、50μmの空隙を有するように配置した)を用い、下記の帯電条件で画像を出力した。
帯電条件:
DCバイアス:−900V
ACバイアス:2.5kV(peak to peak)、周波数2kHz
【0262】
書き込み率6%のチャートを用い、連続して7000枚の印刷を行い、初期及び7000枚後の画像を評価した。画像評価は、初期及び7000枚後に白ベタ画像を出力し、地肌汚れの評価を行った(下記ランクで評価した)。また、4隅および中央に直径1cmの黒丸(黒ベタ)を含むハーフトーン画像を初期及び7000枚後に出力し画像評価を行った。
結果を表5に示す。
【0263】
【表5】
Figure 0003917087
地汚れランク:
5:地汚れほとんど無し、4:わずかにあり、3:実使用限界レベル、2以下:実使用には耐えないレベル
【0264】
感光体作製例27:
感光体作製例1における電荷輸送層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体27とする)。
【0265】
(電荷輸送層塗工液)
下記組成の高分子電荷輸送物質
(重量平均分子量:約140000) 10部
【化14】
Figure 0003917087
下記構造の添加剤 0.5部
【化15】
Figure 0003917087
テトラヒドロフラン 100部
【0266】
感光体作製例28:
感光体作製例1における電荷輸送層の膜厚を16μmとし、電荷輸送層上に下記組成の保護層塗工液を塗布乾燥し、3μmの保護層を設けた以外は感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体28とする)。
【0267】
Figure 0003917087
【化16】
Figure 0003917087
Figure 0003917087
【0268】
感光体作製例29:
感光体作製例1における電荷輸送層の膜厚を16μmとし、電荷輸送層上に下記組成の保護層塗工液を塗布乾燥し、3μmの保護層を設けた以外は感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体29とする)。
【0269】
Figure 0003917087
【化17】
Figure 0003917087
Figure 0003917087
【0270】
感光体作製例30:
感光体作製例1における電荷輸送層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体30とする)。
【0271】
Figure 0003917087
【化18】
Figure 0003917087
Figure 0003917087
【0272】
感光体作製例31:
感光体作製例1における電荷輸送層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体31とする)。
【0273】
Figure 0003917087
【化19】
Figure 0003917087
Figure 0003917087
【0274】
感光体作製例32:
感光体作製例1におけるアルミニウムシリンダー(JIS A1050)を以下の陽極酸化皮膜処理を行ない、次いで下引き層を設けずに、感光体作製例1と同様に電荷発生層、電荷輸送層を設け、感光体を作製した(これを感光体32とする)。
【0275】
(陽極酸化皮膜処理)
支持体表面の鏡面研磨仕上げを行ない、脱脂洗浄、水洗浄を行なった後、液温20゜C、硫酸15vol%の電解浴に浸し、電解電圧15Vにて30分間陽極酸化皮膜処理を行なった。更に、水洗浄を行なった後、7%の酢酸ニッケル水溶液(50゜C)にて封孔処理を行なった。その後純水による洗浄を経て、7μmの陽極酸化皮膜が形成された支持体を得た。
【0276】
(実施例27〜33)
以上のように作製した感光体1、27〜32を市販の普通紙複写機(リコー製:imagioMF4550)に搭載した。AC電源として複写機本体外に別の電源を用意した。
画像露光光源は780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)とした。
帯電部材としては、図6に示すような非接触近接配置方式の帯電ローラー(両端の非画像部には、厚さ50μmの絶縁テープを巻き付け、感光体表面と帯電ローラー表面の間に、50μmの空隙を有するように配置した)を用い、下記の帯電条件で画像を出力した。
帯電条件:
DCバイアス:−900V
ACバイアス:2.5kV(peak to peak)、周波数2kHz
【0277】
書き込み率6%のチャートを用い、連続して12000枚の印刷を行い、初期及び12000枚後の画像を評価した。画像評価は、初期及び12000枚後に白ベタ画像を出力し、地肌汚れの評価を行った(下記ランクで評価した)。また、4隅および中央に直径1cmの黒丸(黒ベタ)を含むハーフトーン画像を初期及び12000枚後に出力し画像評価を行った。
結果を表6に示す。
【0278】
【表6】
Figure 0003917087
地汚れランク:
5:地汚れほとんど無し、4:わずかにあり、3:実使用限界レベル、2以下:実使用には耐えないレベル
【0279】
(実施例34)
実施例27の評価において、帯電条件を以下の条件に変更した以外は、実施例27と同様に評価を行った。結果を表7に示す。
帯電条件:
DCバイアス:−1710V(感光体表面の未露光部電位が−900Vになるように設定)
【0280】
(実施例35)
実施例34の評価において、使用する帯電ローラーを接触方式(ローラー材質等は同じであり、両端の絶縁テープを巻き付けない)に変更し、下記の帯電条件で画像を出力した。結果を表7に示す。
帯電条件:
DCバイアス:−1670V(感光体表面の未露光部電位が−900Vになるように設定)
【0281】
(実施例36)
実施例34の評価において、使用する帯電ローラーを接触方式(ローラー材質等は同じであり、両端の絶縁テープを巻き付けない)に変更し、下記の帯電条件で画像を出力した。結果を表7に示す。
帯電条件:
DCバイアス:−900V
ACバイアス:2.5kV(peak to peak)、周波数2kHz
【0282】
(実施例37)
実施例27の評価において、絶縁テープの厚みを変えて、空隙を120μmに変更した以外は実施例27と同様に評価を行った。結果を表7に示す。
【0283】
(実施例38)
実施例27の評価において、絶縁テープの厚みを変えて、空隙を230μmに変更した以外は実施例27と同様に評価を行った。結果を表7に示す。
【0284】
(実施例39)
実施例27の評価において、使用する帯電部材としてスコロトロンチャージャーを用い、評価を行った。結果を表7に示す。この際、試験に用いる複写機はスコロトロンチャージャーを搭載できるように改造を施した。
帯電条件:
DCバイアス:−6.5kV
【0285】
【表7】
Figure 0003917087
地汚れランク:
5:地汚れほとんど無し、4:わずかにあり、3:実使用限界レベル、2以下:実使用には耐えないレベル
【0286】
感光体作製例33:
感光体作製例1において使用した支持体を、直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS A1050)に変更した以外は感光体作製例1と同様に感光体を作製した(これを感光体33とする)。
【0287】
感光体作製例34:
感光体作製例33において、使用した分散液1の代わりに分散液4を用いた以外は、感光体作製例33と同様に感光体を作製した(これを感光体34とする)。
【0288】
感光体作製例35:
感光体作製例33において、使用した分散液1の代わりに分散液5を用いた以外は、感光体作製例33と同様に感光体を作製した(これを感光体35とする)。
【0289】
実施例40および比較例15、16)
以上のように作製した感光体33〜35を、図8に示すような画像形成装置用カートリッジに装着し、図9に示すようなタンデム方式のフルカラー画像形成装置に搭載し(すべての画像形成要素に同じ感光体を搭載した)、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)として、帯電部材として図6に示すような帯電ローラーの両端部に厚さ50μmの絶縁テープを巻き付けた近接配置用の帯電部材(感光体と帯電部材表面間の空隙が50μm)を用い、下記の帯電条件で画像を出力した。
帯電条件:
DCバイアス:−800V
ACバイアス:2.3kV(peak to peak)、周波数:2.0kHz
【0290】
書き込み率6%のフルカラーチャートを用い、連続して8000枚の印刷を行い、初期及び8000枚後の画像を評価した。画像評価は、初期及び8000枚後に白ベタ画像を出力し、地肌汚れの評価を行った。また、色再現性を評価するチャートにて、8000枚後の色再現性を評価した。結果を表8に示す。
【0291】
【表8】
Figure 0003917087
地汚れランク:
5:地汚れほとんど無し、4:わずかにあり、3:実使用限界レベル、2以下:実使用には耐えないレベル
【0292】
続いて、本発明で使用するチタニルフタロシアニン結晶の特徴であるブラッグ角θの最低角ピークである7.3°について、公知材料の最低角7.5°と同一であるか否かについて検証する。
【0293】
(顔料作製例8)
顔料作製例1における結晶変換溶媒を塩化メチレンから2−ブタノンに変更した以外は、合成例1と同様に処理を行ない、チタニルフタロシアニン結晶を得た。
【0294】
図11の場合と同様に、顔料作製例8で作製したチタニルフタロシアニン結晶のXDスペクトルを測定した。これを図13に示す。図13より、顔料作製例8で作製されたチタニルフタロシアニン結晶のXDスペクトルにおける最低角は、合成例1で作製されたチタニルフタロシアニンの最低角(7.3°)とは異なり、7.5°に存在することが判る。
【0295】
(測定例1)
顔料作製例1で得られた顔料(最低角7.3°)に特開昭61−239248号公報に記載の顔料(最大回折ピークを7.5°に有する)と同様に作製したものを3重量%添加し、乳鉢で混合して、先程と同様にX線回折スペクトルを測定した。測定例1のX線回折スペクトルを図14に示す。
【0296】
(測定例2)
顔料作製例8で得られた顔料(最低角7.5°)に特開昭61−239248号公報に記載の顔料(最大回折ピークを7.5°に有する)と同様に作製したものを3重量%添加し、乳鉢で混合して、先程と同様にX線回折スペクトルを測定した。測定例2のX線回折スペクトルを図15に示す。
【0297】
図14のスペクトルにおいては、低角側に7.3°と7.5°の2つの独立したピークが存在し、少なくとも7.3°と7.5°のピークは異なるものであることが判る。一方、図15のスペクトルにおいては、低角側のピークは7.5°のみに存在し、図14のスペクトルとは明らかに異なっている。
以上のことから、本願発明のチタニルフタロシアニン結晶における最低角ピークである7.3°は、公知のチタニルフタロシアニン結晶における7.5°のピークとは異なるものであることが判る。
【0298】
【発明の効果】
本発明に依れば、結晶安定性が低く、微粒子化が困難であるチタニルフタロシアニン結晶の分散に鑑み、特定の条件化で分散を行うことにより、結晶安定性と微粒子化のトレード・オフの関係を解消することが出来た。この結果、結晶安定性が高く(結晶転移の少ない)、粒子サイズの小さなチタニルフタロシアニン結晶を含む分散液の製造方法が提供される。この分散液は、保存安定性にも富み、成膜性が良好であるだけでなく、チタニルフタロシアニン結晶特有の特性を維持したままの状態で微粒子化が施される。このため、この分散液を用いて作製される感光体は、高感度を失うことなく、繰り返し使用によっても帯電性の低下と残留電位の上昇を生じない安定な電子写真感光体である。また、繰り返し使用によっても異常画像の発生の少ない電子写真感光体が提供される。
更に、高速プリントが可能で、異常画像の発生の少ない、安定な電子写真装置および電子写真装置用プロセスカートリッジが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の分散液作製に用いられるビーズミル分散装置の概略図。
【図2】図1に示すビーズミル分散装置の分散室2の内部を示す図。
【図3】本発明の電子写真感光体の一例の構成例を示す図。
【図4】本発明の電子写真感光体の別の構成例を示す図。
【図5】本発明の画像形成プロセスを説明するための図。
【図6】画像形成装置の帯電部剤側にギャップ形成部材を配置した近接帯電機構の一例を示す図。
【図7】本発明の画像形成プロセスの別の例を説明するための図。
【図8】画像形成装置用プロセスカートリッジの1例を示す図。
【図9】カラー画像形成装置を説明するための概略図。
【図10】顔料作成例一で得られた水ペーストの乾燥粉末のX線回析スペクトル。
【図11】顔料1のX線回析スペクトル。
【図12】比較例2(結晶の一部が結晶転移している)のX線回析スペクトル。
【図13】顔料作製例8で作製したチタニルフタロシアニン結晶のX線回析スペクトル。
【図14】実施例1のX線回析スペクトル。
【図15】実施例2のX線回析スペクトル。
【符号の説明】
(図1および図2において)
1 モーター
2 分散室
3 流量計
4 循環タンク
5 循環ポンプ
6 配管
7 分散室固定台
10 分散メディア
11 スリット
12 循環出口側配管
13 分散室の壁
14 ローター
15 循環入り口側配管
16 モーター
(図3および図4において)
31 導電性支持体
35 電荷発生層
37 電荷輸送層
39 保護層
(図6において)
29 感光体
30 帯電ローラー
31 ギャップ形成部材
32 金属シャフト
33 画像形成領域
34 非画像形成領域
(図9において)
1C、1M、1Y、1K 感光体
2C、2M、2Y、2K 帯電部材
3C、3M、3Y、3K レーザー光
4C、4M、4Y、4K 現像部材
5C、5M、5Y、5K クリーニング部材
6C、6M、6Y、6K 画像形成要素
10 転写搬送ベルト
11C、11M、11Y、11K 転写ブラシ
12 定着装置

Claims (20)

  1. CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.4°以上9.4゜未満の範囲にピークを有さず、更に26.3゜にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶を含有する分散液の作製方法において、分散メディア径が0.5mm以下であるビーズミル方式の分散装置を用い、分散室に設置された直径が50mm以下のローターを回転させるモーターのトルクを検出しながら分散を行い、計測されるトルク値を用いて、下記(1)式より求められる分散の仕事量W(W・h)と分散に供されるチタニルフタロシアニン結晶の重量M(g)の比が、3≦W/M(W・h/g)≦10の範囲であることを特徴とする分散液の作製方法。
    W=2πnTt・・・・・(1)
    ここで、W、π、n、T、tは以下の通りである。
    W:分散の仕事量(W・h)
    π:円周率
    n:ローター回転数(cycles/s)
    T:トルク(Nm)
    t:分散時間(h)
  2. 前記分散液の作製方法において、計測されるトルク値を用いて、下記(2)式により求められる分散パワーを、前記W/Mの中心値を狙いとするWを満足するように設定されるTより求められるPの値を基準としてその±10%の範囲に制御しながら分散を行うことを特徴とする請求項1記載の分散液の作製方法。
    P=2πnT・・・・・(2)
    ここで、P、π、n、Tは以下の通りである。
    P:分散パワー(Nm/s)
    π:円周率
    n:ローター回転数(cycles/s)
    T:トルク(Nm)
  3. 前記ビーズミル方式の分散機が循環方式の分散機であり、分散に用いられる溶媒の体積と分散室の容量の比が、10:1〜50:1の範囲であることを特徴とする請求項1から2のいずれかに記載の分散液の作製方法。
  4. 前記分散液の作製方法において、分散溶媒として、少なくともケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒より選ばれる1種を用いることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の分散液の作製方法。
  5. 前記分散液の作製方法において、チタニルフタロシアニン結晶の分散に際して、バインダー樹脂を併用することを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の分散液の作製方法。
  6. 前記分散液の作製方法において、チタニルフタロシアニン結晶の分散に際して、水を併用することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の分散液の作製方法。
  7. 導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を積層してなる電子写真感光体において、該電荷発生層が請求項1から6のいずれかに記載の方法にて作製した分散液を用いて形成されたものであることを特徴とする電子写真感光体。
  8. 前記電荷輸送層が少なくともトリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートを含有することを特徴とする請求項7に記載の電子写真感光体。
  9. 前記電荷輸送層上に保護層を積層したことを特徴とする請求項7から8のいずれかに記載の電子写真感光体。
  10. 前記保護層が比抵抗10 10 Ω・cm以上の無機顔料又は金属酸化物を含有することを特徴とする請求項9に記載の電子写真感光体。
  11. 前記電荷輸送層が、非ハロゲン系溶媒を用いて形成されたものであることを特徴とする請求項7から10のいずれかに記載の電子写真感光体。
  12. 前記非ハロゲン系溶媒として、少なくとも環状エーテル、あるいは芳香族系炭化水素より選ばれる1種を用いることを特徴とする請求項11に記載の電子写真感光体。
  13. 前記導電性支持体の表面が陽極酸化皮膜処理されたものであることを特徴とする請求項7から12のいずれかに記載の電子写真感光体。
  14. 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体からなる画像形成装置において、該電子写真感光体が請求項7から13のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
  15. 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体からなる画像形成要素を複数配列した画像形成装置において、該電子写真感光体が請求項7から13のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置。
  16. 前記帯電手段に、接触帯電方式を用いることを特徴とする請求項14から15のいずれかに記載の画像形成装置。
  17. 前記帯電手段に、非接触の近接配置方式を用いることを特徴とする請求項14から15のいずれかに記載の画像形成装置。
  18. 前記帯電手段に用いられる帯電部材と感光体間の空隙が10μm以上、200μm以下であることを特徴とする請求項17に記載の画像形成装置。
  19. 前記帯電手段に、交流重畳電圧印加を行うことを特徴とする請求項16から18のいずれかに記載の画像形成装置。
  20. 少なくとも電子写真感光体を具備してなる画像形成装置用プロセスカートリッジであって、該電子写真感光体が請求項7から13のいずれかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする画像形成装置用プロセスカートリッジ。
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