JP4209597B2 - 静電荷像現像用トナー、潜像担持体、これを用いた画像形成方法及び装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば電子写真法、静電記録法、静電印刷法等において潜像担持体の表面に形成された静電潜像を現像するために用いられる静電荷像現像用トナー、該潜像担持体、これらトナー及び潜像担持体を用いる画像形成方法並びに画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真プロセスを用いた複写機、プリンタ、ファクシミリ等においては、潜像担持体として有機感光体が多く使用されている。そして、この有機感光体は、導電性支持体上に直接又は下引き層を介して感光層を設けてなり、特にその感光層を電荷発生層、電荷輸送層を積層して形成した機能分離型のものが主流となっている。
【0003】
一方、潜像担持体上に形成された静電潜像は、着色剤及び結着樹脂を主成分とした静電荷像現像用トナー(以降、トナーともいう)によって顕像化され、そのまま定着されるか、或いは必要に応じて、トナー像を転写材上に転写し定着される。上記の現像に用いられる現像剤としては、キャリアとトナーとからなる二成分系現像剤、キャリアを用いずトナーのみからなる一成分系現像剤がある。
【0004】
ところで近年は、省エネルギー化の動きに対応して、電子写真等の分野でも省エネルギー化に対応した動きが活発になっている。特に電子写真機器で電力消費が大きいのは定着部のところであり、メカニズム的にも省電力となるように工夫を行っているが、サプライに相当するトナーも省エネルギー対応定着装置に対応したトナーの開発が迫られている。
【0005】
省エネルギー対応定着装置に対応したトナーは、結局のところ、低温定着性が良好なトナーのことであり、従来から知られている低温定着性トナーは結着樹脂として様々な工夫を施したものを用いたものである。しかし、このようなトナーは粉体流動性が著しく劣るため、現像領域或いは現像部への供給・補給がスムーズに行なわれないという欠点がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、定着装置の省エネルギー化に対応したトナーを提供することである。本発明の他の目的は、この良好な低温定着性を示すトナーを用いて画像形成を行なうのに適した潜像担持体、画像形成方法及び装置を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、改めてトナーの低温定着性について検討を行なった。その結果、トナー用結着樹脂として特に低分子量成分が多い場合には、従来よりトナーの粉体流動性が著しく劣っているため、流動性改良剤である無機微粒子をより多く外添しなければならない。しかし、折角多量の無機微粒子を外添してもトナー本体(トナー母体粒子)自身が柔らかいため、そのトナーが現像装置内でキャリアまたは摩擦帯電ブレードに接触して摩擦帯電されると、外添されている無機微粒子がトナー本体に埋まってしまい、すぐに粉体流動性が悪化してしまうという問題が生じる。
【0008】
この粉体流動性の問題はトナー用結着樹脂に工夫をこらし、かつ、無機微粒子の外添量を従来より圧倒的多くすることで改良することができる。しかし、トナーにおける無機微粒子の外添量を多くしたことにより、潜像担持体の表面が削れやすくなってしまうという副作用が発生する。潜像担持体では感光層が削れてしまうと、光感度が遅くなり、露光部電位が初期ほど落ち込まなくなるために、ネガ・ポジ現像においては画像濃度が出なくなるという問題が生じてしまう。
【0009】
本発明者はさらに検討を進めた結果、トナーとしてトナー母体粒子の数平均分子量(Mn)が3000以下で、分子量1000以下の分子が40個数%以上であり、かつ無機微粒子の外添量を1.0重量%以上としたものを用い、及び、潜像担持体として最表層にフィラーを含有させたものを用いた画像形成方法・装置によれば、潜像担持体の膜削れが少なく、繰り返し使用においても安定した画像濃度が得られることを確めた。本発明はこれに基づいてなされたものである。
【0011】
従って、本発明によれば、第一に、少なくとも帯電工程、露光工程、現像工程及び転写工程を経て転写材に画像を形成することからなり、数平均分子量(Mn)が3000以下で、分子量1000以下の分子が40個数%以上のトナー母体粒子に平均粒径が0.01〜0.1μmの無機微粒子を1.0重量%以上外添したトナーが該現像工程に用いられる画像形成方法及び画像形成装置に用いられる潜像担持体であって、最表層がフィラーを含有することを特徴とする潜像担持体が提供される。
【0012】
第二に、少なくとも帯電工程、露光工程、現像工程及び転写工程を経て転写材に画像を形成することからなる画像形成方法において、数平均分子量(Mn)が3000以下で、分子量1000以下の分子が40個数%以上のトナー母体粒子に平均粒径が0.01〜0.1μmの無機微粒子を1.0重量%以上外添したトナーが該現像工程に用いられ、最表層にフィラーを含有する潜像担持体が用いられることを特徴とする画像形成方法が提供される。
【0013】
第三に、少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を経て転写材に画像を形成することからなる画像形成装置において、数平均分子量(Mn)が3000以下で、分子量1000以下の分子が40個数%以上のトナー母体粒子に無機微粒子を1.0重量%以上外添したトナーが該現像手段に用いられ、最表層にフィラーを含有する潜像担持体が用いられることを特徴とする画像形成装置が提供される。
【0014】
本発明トナーの低温定着性の効果に最も影響を与えるのは、トナー分子量の個数分布上で分子量1000以下の分子の存在であり、特に分子量1000以下の分子が40個数%以上であると、従来よりも数10℃の低温定着性が得られる。但し、このトナーは数平均分子量(Mn)が3000以下であることが必要である。数平均分子量(Mn)が3000を超えるとトナーは高分子量分を少なからず含むことになり、1ピークのシャープな分子量分布をとりえなくなり、シャープメルトなトナーとなり得ないため不具合である。また、トナー母体粒子に外添される無機微粒子の量は1.0重量%以上であるが、その上限は硬い無機微粒子で母体表面をカプセル化されて定着性が阻害されることから3.0重量%程度である。
【0015】
上記の無機微粒子を多量に含有したトナーを使用しても潜像担持体の耐摩耗性が維持されることの理由は定かではないが、以下のようなメカニズムが考えられる。つまり軟らかい保護層の海の中に比較的硬いフィラーの多数の島が存在するイメージであって、削れの原因となる外的な衝撃はまず硬いフィラーによって受け止めて、次にその衝撃力はフィラーの回りにある軟らかい保護層の樹脂によって緩和されるというものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。上記のとおり、本発明のトナーは着色剤及び結着樹脂を主成分とするトナー母体粒子に平均粒径が0.01〜0.1μmの無機微粒子が外添されたものである。ここで用いられるトナーは数平均分子量(Mn)が3000以下で、分子量1000以下の分子が40個数%以上のものであり、無機微粒子の添加量は1.0重量%以上、好ましくは1.2〜2.0重量%である。このトナーは、キャリアを用いないで一成分系現像剤としてもよく、またキャリアとともに用いる二成分系現像剤としてもよい。
【0017】
結着樹脂にはポリエステル樹脂を用いるのが好ましい。このポリエステル樹脂は、アルコールとカルボン酸との縮重合によって得られる。ここで、ポリエステル樹脂のガラス転移温度Tgは熱保存性の関係から55℃以上がよく、より好ましくは60℃以上が良い。
【0018】
使用されるアルコールとしては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール等のグリコール類、1,4−ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、及びビスフェノールA等のエーテル化ビスフェノール類、その他二価のアルコール単量体、三価以上の多価アルコール単量体を挙げることができる。
【0019】
また、カルボン酸としては、例えばマレイン酸、フマール酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、コハク酸、マロン酸等の二価の有機酸単量体、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸、1,2,5−ベンゼントリカルボン酸、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸、1,2,4−ナフタレントリカルボン酸、1,2,5−ヘキサントリカルボン酸、1,3−ジカルボキシル−2−メチレンカルボキシプロパン、1,2,7,8−オクタンテトラカルボン酸等の三価以上の多価カルボン酸単量体を挙げることができる。
【0020】
本発明においては、トナー中の樹脂成分(トナー用結着樹脂)として、ポリエステル樹脂以外の樹脂を、トナーの性能を損なわない範囲で、併用することもできる。この場合の使用可能な樹脂としては、例えば次のようなものが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0021】
ポリスチレン、クロロポリスチレン、ポリα−メチルスチレン、スチレン/クロロスチレン共重合体、スチレン/プロピレン共重合体、スチレン/ブタジエン共重合体、スチレン/塩化ビニル共重合体、スチレン/酢酸ビニル共重合体、スチレン/マレイン酸共重合体、スチレン/アクリル酸エステル共重合体(スチレン/アクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリル酸エチル共重合体、スチレン/アクリル酸ブチル共重合体、スチレン/アクリル酸オクチル共重合体、スチレン/アクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン/メタクリル酸エステル共重合体(スチレン/メタクリル酸メチル共重合体、スチレン/メタクリル酸エチル共重合体、スチレン/メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン/メタクリル酸フェニル共重合体等)、スチレン/α−クロルアクリル酸メチル共重合体、スチレン/アクリロニトリル/アクリル酸エステル共重合体等のスチレン系樹脂(スチレン又はスチレン置換体を含む単独重合体又は共重合体)、塩化ビニル樹脂、スチレン/酢酸ビニル共重合体、ロジン変性マレイン酸樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリウレタン樹脂、シリコーン樹脂、ケトン樹脂、エチレン/エチルアクリレート共重合体、キシレン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂等、石油系樹脂、水素添加された石油系樹脂。
【0022】
これらの樹脂は単独使用に限らず、二種以上併用することもできる。また、これらの製造法も特に限定されるものではなく、塊状重合、溶液重合、乳化重合、懸濁重合のいずれも利用できる。
【0023】
着色剤としては、例えばカーボンブラック、ランプブラック、鉄黒、アニリンブルー、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、ハンザイエローG、ローダミン6Cレーキ、カルコオイルブルー、クロムイエロー、キナクリドン、ベンジジンイエロー、ローズベンガル、トリアリルメタン系染料等の染顔料など、従来公知のいかなる染顔料をも単独あるいは混合して使用し得、ブラックトナーとしてもフルカラートナーとしても使用できる。これらの着色剤の使用量はトナー樹脂成分に対して、通常1〜30重量%、好ましくは3〜20重量%である。
【0024】
トナー母体粒子中には必要に応じて帯電制御剤が含有される。帯電制御剤としては、ニグロシン染料、金属錯塩型染料、第四級アンモニウム塩等の従来公知のいかなる極性制御剤も、単独あるいは混合して使用できる。これらの極性制御剤の使用量は、トナー樹脂成分に対し、0.1〜10重量部、好ましくは1〜5重量部である。
【0025】
また、本発明におけるトナー母体粒子には、カルナバワックス、モンタン系ワックス、酸化ライスワックス、固形シリコーンワニス、高級脂肪酸高級アルコールおよび低分子量ポリプロピレンワックス等の従来公知のいかなる離型剤をも混合して使用できる。特に脱遊離脂肪酸型カルナバワックスの使用が好ましい。カルナウバワックスとしては、微結晶のものが良く、酸価が5以下であり、トナー樹脂成分中に分散したときの粒子径が1μm以下の粒径であるものが好ましい。これら離型剤のトナー母体粒子中への添加量は、1〜20重量%、より好ましくは3〜10重量%が良い。
【0026】
無機微粒子(流動性改良剤)としては、酸化ケイ素、酸化チタン、炭化ケイ素、酸化アルミニウム、チタン酸バリウム等、従来公知のいかなる流動性改良剤をも単独あるいは混合して使用できる。無機微粒子の大きさは平均粒径0.005〜0.2μmが適当であり、好ましくは0.01〜0.1μmである。平均粒径が0.2μmより大きいとトナーの流動性が悪くなり、帯電不良からトナー飛散までが生じてしまう。一方、平均粒径が0.005μmより小さいとトナー母体粒子の樹脂表面に埋め込まれやすくなり、流動性が機能しなくなってしまう。これらの無機微粒子の使用量は、トナー母体粒子100重量部に対し、1.0〜3.0重量部、好ましくは0.5〜2重量部である。
【0027】
次に、本発明の潜像担持体(以下、電子写真感光体あるいは感光体と表記する場合がある)を図面に沿って説明する。
図1は、本発明に使用する電子写真感光体を表わす断面図であり、導電性支持体31上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする単層感光層33が設けられ、その感光層上に保護層39が設けられている。
【0028】
図2は、本発明に使用する電子写真感光体の別の構成例を示す断面図であり、感光層が、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35と、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37とが積層された構成であり、電荷輸送層37上に保護層39が設けられている。
【0029】
図3は、本発明に使用する電子写真感光体の更に別の構成例を示す断面図であり、感光層が、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37と電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35とが積層された構成であり、電荷発生層35上に保護層39が設けられている。
【0030】
導電性支持体31としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体31として用いることができる。
【0031】
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性支持体31として用いることができる。
【0032】
この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などがあげられる。
【0033】
また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂があげられる。
【0034】
このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
【0035】
更に、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロンなどの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体31として良好に用いることができる。
【0036】
次に感光層について説明する。感光層は単層でも積層でもよいが、説明の都合上、先ず電荷発生層35と電荷輸送層37で構成される場合から述べる。
【0037】
電荷発生層35は、電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じてバインダー樹脂を用いることもある。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
【0038】
無機系材料には、結晶セレン、アモル・ファスセレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
【0039】
一方、有機系材料としては、公知の材料を用いることが出来る。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニンなどのフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系または多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料などが挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独または2種以上の混合物として用いることが出来る。
【0040】
中でも、アゾ顔料および/またはフタロシアニン顔料が有効に用いられる。特に下記構造式(A)で表されるアゾ顔料、およびチタニルフタロシアニン(特にCuKαの特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン)が有効に使用できる。
【化5】
(式中、Cp1、Cp2はカップラー残基を表し、同一でも異なっていても良い。特に、Cp1とCp2が異なる場合、非常に高い光キャリア発生効率(高感度)を示す場合があり、高速の電子写真プロセス、感光体の小径化には極めて有効にしよう出来る。R201、R202はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基のいずれかを表し、同一でも異なっていても良い。またCp1、Cp2は下記(B)式
【化6】
(式中、R203は、水素原子、メチル基、エチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基を表す。R204、R205、R206、R207、R208はそれぞれ、水素原子、ニトロ基、シアノ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、水酸基を表し、Zは置換もしくは無置換の芳香族炭素環または置換もしくは無置換の芳香族複素環を構成するのに必要な原子群を表す)で表されるものが好ましい。)
【0041】
必要に応じて電荷発生層35に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。
【0042】
電荷発生層35を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大きく挙げられる。
【0043】
前者の真空薄膜作製法には、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、電荷発生層35として、上述した無機系材料、有機系材料が良好に形成できる。
【0044】
また、後述のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならばバインダー樹脂と共にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶媒を用いてボールミル、アトライター、サンドミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコートノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。
【0045】
電荷発生層35の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
【0046】
電荷輸送層37は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。
【0047】
電荷輸送物質には、電子輸送物質と正孔輸送物質とがある。
【0048】
電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
【0049】
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。
【0050】
これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
【0051】
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0052】
電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。
【0053】
電荷輸送層の膜厚は5〜100μm程度とすることが好ましい。また、電荷輸送層の形成用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられ、これらは単独で使用しても2種以上混合して使用してもよい。
【0054】
前記のように、電荷輸送層が感光体の最表層となる場合には、この電荷輸送層の表面部位には、耐摩耗性を向上させる目的でフィラーが含有される。この電荷輸送層は電荷輸送物質とともにフィラーが存在することから、図2に示した保護層39を有する電子写真感光体と区別される。
【0055】
感光体の耐摩耗性を向上させる目的で添加されるフィラー材料には、有機性フィラー、無機フィラーがある。有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、酸化カルシウム、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、フッ化錫、フッ化カルシウム、フッ化アルミニウム等の金属フッ化物、チタン酸カリウム、窒化硼素などの無機材料が挙げられる。これらのフィラーの中で、フィラーの硬度の点から無機材料を用いることが耐摩耗性の向上に対し有利である。
【0056】
さらに、画像ボケが発生しにくいフィラーとしては、電気絶縁性が高いフィラーが好ましく、フィラーのpHが5以上を示すものやフィラーの誘電率が5以上を示すものが特に有効であり、酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム等が特に有効に使用できる。また、pHが5以上のフィラーあるいは誘電率が5以上のフィラーを単独で使用することはもちろん、pHが5以下のフィラーとpHが5以上のフィラーとを2種類以上を混合したり、誘電率が5以下のフィラーと誘電率が5以上のフィラーとを2種類以上混合したりして用いることも可能である。また、これらのフィラーの中でも高い絶縁性を有し、熱安定性が高い上に、耐摩耗性が高い六方細密構造であるα型アルミナは、画像ボケの抑制や耐摩耗性の向上の点から特に有用である。
【0057】
さらに、これらのフィラーは少なくとも一種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、そうすることがフィラーの分散性の面から好ましい。フィラーの分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。
【0058】
表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤すべてを使用することができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸等、あるいはこれらとシランカップリング剤との混合処理や、Al2O3、TiO2、ZrO2、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理がフィラーの分散性及び画像ボケの点からより好ましい。シランカップリング剤による処理は、画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。
【0059】
表面処理量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、2〜30wt%が適しており、3〜20wt%がより好ましい。表面処理量がこれよりも少ないとフィラーの分散効果が得られず、また多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こす。
【0060】
また、フィラーの平均一次粒径は、0.01〜0.5μmであることが保護層の光透過率や耐摩耗性の点から好ましい。フィラーの平均一次粒径が0.01μm以下の場合は、耐摩耗性の低下、分散性の低下等を引き起こし、0.5μm以上の場合には、フィラーの沈降性が促進されたり、異常画像が発生したりする場合がある。
【0061】
また、電荷輸送層には電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂の機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これら高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は、自身が高分子化合物であるため成膜性に優れ、低分子分散型高分子からなる電荷輸送層に比べ、電荷輸送部位を高密度に構成することが可能で電荷輸送能に優れたものである。このため、高分子電荷輸送物質を用いた電荷輸送層を有する感光体には高速応答性が期待できる。
【0062】
高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、(I)〜(X)式で表される高分子電荷輸送物質が良好に用いられ、これらを以下に例示し、具体例を示す。
【0063】
【化7】
[式中、R1、R2、R3はそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、R4は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R5、R6は置換もしくは無置換のアリール基、o、p、qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k、jは組成(モル分率)を表し、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9の数を表し、nは繰り返し単位数を表し5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、または下記一般式で表される2価基を表す。
【化8】
(式中、R101、R102は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表す。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(Zは脂肪族の2価基を表す)または、
【化9】
(aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表す)を表す。ここで、R101とR102、R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。]
【0064】
【化10】
(式中、R7、R8は置換もしくは無置換のアリール基、Ar1、Ar2、Ar3は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0065】
【化11】
(式中、R9、R10は置換もしくは無置換のアリール基、Ar4、Ar5、Ar6は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0066】
【化12】
(式中、R11、R12は置換もしくは無置換のアリール基、Ar7、Ar8、Ar9は同一又は異なるアリレン基を表し、pは1〜5の整数を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0067】
【化13】
(式中、R13、R14は置換もしくは無置換のアリール基、Ar10、Ar11、Ar12は同一又は異なるアリレン基、X1、X2は置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0068】
【化14】
(式中、R15、R16、R17、R18は置換もしくは無置換のアリール基、Ar13、Ar14、Ar15、Ar16は同一又は異なるアリレン基、Y1、Y2、Y3は単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表し同一であっても異なってもよい。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0069】
【化15】
(式中、R19、R20は水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表し、R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17、Ar18、Ar19は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0070】
【化16】
(式中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、Ar20、Ar21、Ar22、Ar23は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0071】
【化17】
(式中、R22、R23、R24、R25は置換もしくは無置換のアリール基、Ar24、Ar25、Ar26、Ar27、Ar28は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0072】
【化18】
(式中、R26、R27は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29、Ar30、Ar31は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。)
【0073】
以下、これらトリアリールアミン構造を主鎖及び/又は側鎖に含むポリカーボネートの具体例の幾つかを以下に示すが、本発明はこれら具体例に限定されるものではない。
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【化28】
【化29】
【化30】
【化31】
【化32】
【化33】
【化34】
【化35】
【化36】
【化37】
【化38】
【化39】
【化40】
【化41】
【化42】
【化43】
【化44】
【化45】
【化46】
【化47】
【化48】
【化49】
【化50】
【化51】
【化52】
【0074】
これら主鎖及び/又は側鎖にトリアリールアミン構造を有している高分子輸送物質は単重合体、ランダム共重合体、交互共重合体、ブロック共重合体の形態で重合される。そして、これら高分子電荷輸送物質はバインダー樹脂としての役割をもつことから被膜形成能を有していることが必要である。そのため、分子量は、GPCによる測定において、ポリスチレン換算分子量Mwとして1万〜50万が適当で、好ましくは5万〜40万である。
【0075】
これら高分子輸送物質は特開平8−269183号公報、特開平9−71642号公報、特開平9−104746号公報、特開平9−272735号公報、特開平11−29634号公報、特開平9−235367号公報、特開平9−87376号公報、特開平9−110976号公報、特開平9−268226号公報、特開平9−221544号公報、特開平9−227669号公報、特開平9−157378号公報、特開平9−302084号公報、特開平9−302085号公報、特開2000−26590号公報に開示されている。
【0076】
本発明の感光体において電荷輸送層37中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。
【0077】
可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂に対して0〜30重量%程度が適当である。
【0078】
レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいは、オリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂に対して、0〜1重量%が適当である。
【0079】
以上のようにして得られた塗工液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等、従来の塗工方法を用いることができる。感光層表面にフィラーを含有する場合には、感光層全体にフィラーを含有させることができるが、電荷輸送層の最表面側が最もフィラー濃度が高く、支持体側が低くなるようにフィラー濃度傾斜を設けたり、電荷輸送層を複数層にして、支持体側から表面側に向かい、フィラー濃度が順次高くしたりするような構成にすることが好ましい。
【0080】
本発明の積層型電子写真感光体においては、感光層保護の目的で、保護層39が感光層上に設けられるのが好ましい。図2及び図3に示した感光体は、電荷発生層35、電荷輸送層37ともにフィラーを含まないで、フィラーが保護層39に含まれることで、前記の保護層を有しない感光体と区別される。保護層39に含有されるフィラーに前記のものが用いられる。
【0081】
保護層39に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリール樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、ポリアリレート、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。フィラーの分散性、残留電位、塗膜欠陥の点から、特にポリカーボネートあるいはポリアリレートが有効かつ有用である。
【0082】
保護層39の形成で用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなど、電荷輸送層37で使用されるすべての溶剤を使用することができる。但し、分散時(保護層形成用塗工液の調製時)には粘度が高い溶剤が好ましいが、塗工時には揮発性が高い溶剤が好ましい。これらの条件を満たす溶剤がない場合には、各々の物性を有する溶剤を2種以上混合させて使用することが可能であり、フィラーの分散性や残留電位に対して大きな効果を有する場合がある。
【0083】
また、保護層39には残留電位低減、光感度向上、高速応答性のため、電荷輸送物質が添加されることが好ましい。添加される電荷輸送物質は、前述の電荷輸送層35の説明の部分に記載された低分子電荷輸送物質が用いられる。また、前述の高分子電荷輸送物質も耐摩耗性向上、高速応答性等の点で、更に良好に使用される。
【0084】
保護層の形成法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の従来方法を用いることができるが、特に塗膜の均一性の面からスプレーコートがより好ましい。さらに、保護層の必要膜厚を一度で塗工し、保護層を形成することも可能であるが、2回以上重ねて塗工し、保護層を多層にする方が膜中におけるフィラーの均一性の面からより好ましい。そうすることによって、残留電位の低減、解像度の向上、及び耐摩耗性の向上に対しより一層の効果が得られる。なお、保護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。
【0085】
次に感光層が単層構成33の場合について述べる。少なくとも上述した電荷発生物質を結着樹脂中に分散した感光層が使用できる。単層感光層は、電荷発生物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。さらに、この感光層には上述した電荷輸送材料を添加した機能分離タイプとしても良く、良好に使用できる。また、必要により、可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
【0086】
結着樹脂としては、先に電荷輸送層37で挙げた結着樹脂をそのまま用いるほかに、電荷発生層35で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。もちろん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、更に好ましくは50〜150重量部である。
【0087】
単層感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を必要ならば電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。単層感光層の膜厚は、5〜100μm程度が適当である。
【0088】
感光層33が最表層となるような構成においては、感光層33にフィラーが含有される。この場合、前記の電荷輸送層又は保護層39で使用されているフィラーをすべて使用することが可能である。フィラーは感光層33全体に含有することもできるが、表面にフィラーが多く含有されるように、フィラー濃度勾配を設けるか、複数層の感光層の構成とし、フィラー濃度を順次変えた構成にすることは有効な手段である。この感光体は図1に示した電子写真感光体が感光層33にフィラーを含まないで、フィラーを含有した保護層39を形成したものと区別される。感光層33上に保護層39が設けられる場合には、上記と同様な構成の保護層があってよい。
【0089】
本発明の感光体においては、導電性支持体31と感光層との間に下引き層を設けることができる(図示せず)。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。
【0090】
このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。
【0091】
また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
【0092】
これらの下引き層は前述の感光層の如く適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Al2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。
【0093】
下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0094】
本発明の感光体においては感光層と保護層との間に中間層を設けることも可能である(図示せず)。中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく通常の塗布法が採用される。なお、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
【0095】
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、各層に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質およびレベリング剤を添加することが出来る。これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
【0096】
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0097】
(a)フェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコールエステル、トコフェロール類など。
【0098】
(b)パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
【0099】
(c)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
【0100】
(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
【0101】
(e)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
【0102】
各層に添加できる可塑剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0103】
(a)リン酸エステル系可塑剤
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニルなど。
【0104】
(b)フタル酸エステル系可塑剤
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなど。
【0105】
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなど。
【0106】
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルなど。
【0107】
(e)脂肪酸エステル誘導体
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリンなど。
【0108】
(f)オキシ酸エステル系可塑剤
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなど。
【0109】
(g)エポキシ可塑剤
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシルなど。
【0110】
(h)二価アルコールエステル系可塑剤
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなど。
【0111】
(i)含塩素可塑剤
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなど。
【0112】
(j)ポリエステル系可塑剤
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなど。
【0113】
(k)スルホン酸誘導体
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミドなど。
【0114】
(l)クエン酸誘導体
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシルなど。
【0115】
(m)その他
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチルなど。
【0116】
各層に添加できる滑剤としては、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0117】
(a)炭化水素系化合物
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレンなど。
【0118】
(b)脂肪酸系化合物
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸など。
【0119】
(c)脂肪酸アミド系化合物
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミドなど。
【0120】
(d)エステル系化合物
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなど。
【0121】
(e)アルコール系化合物
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロールなど。
【0122】
(f)金属石けん
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなど。
【0123】
(g)天然ワックス
カルナバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウなど。
【0124】
(h)その他
シリコーン化合物、フッ素化合物など。
【0125】
各層に添加できる紫外線吸収剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0126】
(a)ベンゾフェノン系
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンなど。
【0127】
(b)サルシレート系
フェニルサルシレート、2,4ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル4ヒドロキシベンゾエートなど。
【0128】
(c)ベンゾトリアゾール系
(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ3’−ターシャリブチル5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール
【0129】
(d)シアノアクリレート系
エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル2−カルボメトキシ3(パラメトキシ)アクリレートなど。
【0130】
(e)クエンチャー(金属錯塩系)
ニッケル(2,2’チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートなど。
【0131】
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど。
【0132】
次に図面を用いて本発明の電子写真方法並びに電子写真装置を詳しく説明する。
【0133】
図4は、本発明の電子写真装置を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。すなわち、図4において、感光体1は導電性支持体上に感光層とフィラーを含有する最表層が設けられてなる。感光体1はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。
【0134】
帯電ローラー8、転写前チャージャ7、転写チャージャ10、分離チャージャ11、クリーニング前チャージャ13には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラを始めとする公知の手段が用いられる。帯電部材は、オゾン発生の低減や消費電力の低減の観点から、感光体に対し接触もしくは近接配置したものが良好に用いられる。本発明のように感光体の耐摩耗性を向上させた場合、繰り返し使用における感光体表面への低抵抗物質の堆積が、画像ボケを引き起こす場合がある。この低抵抗物質の発生は主に帯電部材から発生する反応性ガスに基づくものであり、接触もしくは近接配置した帯電部材を用いることは非常に有効である。
【0135】
中でも、帯電部材への汚染を防止するため、感光体と帯電部材表面の間に適度な空隙を有する、感光体近傍に近接配置された帯電機構が有効に使用される。この際、感光体表面と帯電部材表面の空隙は、帯電の安定性の点から200μm以下が有効である。より好ましくは100μm以下である。また、帯電用部材により感光体に帯電を施す際、帯電部材に直流成分に交流成分を重畳した電界により感光体に帯電を与えることにより、帯電ムラを低減することが可能で効果的である。
【0136】
転写手段には、一般に上記の帯電器が使用できるが、図4に示されるように転写ベルトを使用したものが有効に使用できる。
【0137】
また、画像露光部10、除電ランプ7等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
【0138】
かかる光源等は、図4に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
【0139】
現像ユニット11により感光体1上に現像されたトナーは、転写紙14に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体1上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、ファーブラシ18およびクリーニングブラシ19により、感光体より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
【0140】
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
【0141】
図5には、本発明による電子写真プロセスの別の例を示す。感光体21は少なくとも感光層を有し、さらに最表面層にフィラーを含有しており、駆動ローラ22a,22bにより駆動され、帯電器23による帯電、光源24による像露光、現像(図示せず)、帯電器25を用いる転写、光源26によるクリーニング前露光、ブラシ27によるクリーニング、光源28による除電が繰返し行なわれる。図5においては、感光体21(勿論この場合は支持体が透光性である)に支持体側よりクリーニング前露光の光照射が行なわれる。
【0142】
更に、図示しないが、感光体表面上にステアリン酸亜鉛を供給する部材を設けても良い。感光体表面上にステアリン酸亜鉛を供給する事により耐摩耗性が良好な状態でのフィルミング抑制が可能であり、さらにまた、該感光体を具備する電子写真プロセスにおいて、非画像形成時に感光体上へのトナー付着とクリーニング部でのトナー回収動作の繰り返しにより、耐摩耗性を保持した上での画像流れ抑制に効果を有するものである。また、前記ステアリン酸亜鉛の供給手段として、現像部中に存在する現像剤(トナー)中に、ステアリン酸亜鉛を含有させることは非常に有効な手段である。
【0143】
感光体上に供給するステアリン酸亜鉛の量は、多すぎる場合には転写出力画像上への出力量も多くなり、定着不良の原因となり好ましくない。また、ステアリン酸亜鉛の供給過剰により感光体表面の摩擦係数が0.1程度に低下した場合には画像濃度低下を引き起こし好ましくない。一方、少ない場合にはトナー成分の感光体上へのフィルミングが発生し、画像流れや中間調の不均一性を招き好ましくない。例えば、トナー中にステアリン酸亜鉛を含有させ感光体表面に供給する場合には、トナー中に0.1〜0.2重量%の含有量が好ましい。
【0144】
また、本発明による画像形成プロセスでは、非画像形成時に感光体へのトナー付着とクリーニング部でのトナー回収動作により耐摩耗性を保持した状態で感光耐表面へのフィルミングの抑制と、さらに帯電による生成物の付着、堆積の抑制を達成することが可能である。これは感光体上の各種付着物がトナーとともに排出される清浄効果を有しているためと考えられる。このトナー付着及び回収動作は、中間調程度のトナー付着量と30秒程度の動作時間(感光体径30mm、線速125mm/sの場合)で効果的であり、これ以上の付着量、動作時間は、クリーニング部への負荷増大とトナー消費量の増加を考え好ましくない。感光体径、線速が異なる場合においては、上記と同様の動作条件になるように適宜調整すれば良い。
【0145】
以上の電子写真プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、図5において支持体側よりクリーニング前露光を行っているが、これは感光層側から行ってもよいし、また、像露光、除電光の照射を支持体側から行ってもよい。一方、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行うこともできる。
【0146】
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段を含んだ1つの装置(部品)であるが、本発明においては、少なくとも感光体と、本発明のトナーを収納した現像手段とをもつことが必要である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図6に示すものが挙げられる。
【0147】
【実施例】
以下、本発明について実施例を挙げて説明するが、本発明が実施例により制約を受けるものではない。なお、部はすべて重量部である。
また、ここで用いられた測定法は下記のとおりである。
【0148】
1.GPC
ここで、重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnの値は、種々の方法により求めることができ、測定方法の相異によって若干の差異があるが、本発明においては、下記の測定法に準じて求めたものと定義する。
すなわち、ゲル・パーミュエーション・クロマトグラフィ(GPC)によって以下に記す条件で重量平均分子量Mwおよび数平均分子量Mnを測定する。温度40℃において、溶媒(テトラヒドロフラン)を毎分1.2mlの流速で流し、濃度15ml/5mlのテトラヒドロフラン試料溶液を試料重量として3mg注入し測定を行なう。試料の分子量測定にあたっては、当該試料の有する分子量が数種の単分散ポリスチレン標準試料により作成された検量線の分子量の対数とカウント数が直線となる範囲内に包含される測定条件を選択する。
なお、測定結果の信頼性は、上述の測定条件で行ったNBS706ポリスチレン標準試料が、
重量平均分子量Mw=28.8×104
数平均分子量Mn =13.7×104
となることにより確認することができる。
また、用いるGPCのカラムとしては、前記条件を満足するものであるならばいかなるカラムを採用してもよい。具体的には、例えばTSK−GEL、GMH6(東洋曹達社製)等を用いることができる。なお、溶媒および測定温度は記載した条件に限定されるものではなく適当な条件に変更してもよい。
【0149】
2.キャリア粒度分布の測定
1)採取した試料をよく混合した後、100g秤量する。
2)秤量したサンプルを、各粒度分布測定用ふるいを重ねた最上段のふるいに入れ、ロータップふるい振とう機にかける。
(ふるい振とうきの運転時間は6分以上とし、8分を目安とする。)
3)ロータップふるい振とう機停止後、各ふるい上試料を絵筆にて採取し、上皿天秤を用いて上段のものから順次0.1gまで秤量する。
4)得られた結果を、重量百分率で小数第一位までに丸める。
【0150】
3.磁気特性測定手順
1)直流磁化特性自動記録装置 横河北辰電機社製 Type3257−36
2)電磁石形磁化器 横河北辰電機社製 Type3261−15
3)ピックアップコイル(Bi&Hコイル)
横河北辰電機社製 Type3261−20
4)資料セル(アクリル樹脂製)
5)電子天秤 最小目盛り 1mg
【0151】
(トナーAの作成)
ポリエステル樹脂(A) 60部
ポリエステル樹脂(B) 40部
水添石油樹脂(水素添加率90%、
組成:ジシクロペンタジエン+芳香族系炭化水素) 15部
カルナバワックス(融点82℃、酸価2) 3部
カーボンブラック(#44:三菱化成製) 8部
含クロムモノアゾ錯体 3部
上記組成の混合物をヘンシェルミキサー中で十分撹搬混合した後、ロールミルで130〜140℃の温度で約30分間加熱溶融し、室温まで冷却後、得られた混練物をジェットミルで粉砕分級し、体積平均粒径8.0μmの粒径のトナーを得た。このトナーの数平均分子量(Mn)は2,600、分子量1,000以下の分子の割合は43個数%であった。更に添加剤(R972日本アエロジル社製)をトナー100部に対して1.2部添加し、ヘンシェルミキサーで攪拌混合後メッシュを通して大粒径の粒子を削除し最終トナーを得た。なお、上記ポリエステル(A)、(B)は下記表1のとおりである。
【0152】
【表1】
【0153】
(トナーBの作成)
トナーAにおける添加剤量を0.5部に変更すること以外は同様にしてトナーBを得た。
【0154】
(キャリアの作成)
芯材F−300 5000部
ジメチルシリコーンレジン 90部
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン 9部
導電性カーボンブラック 11部
トルエン 810部
流動床内の回転式底板ディスクを高速回転させて、旋回流を形成させながらコートを行うコーティング装置を使用して、当該コート液を上述のキャリア芯材上に塗布した。得られたキャリアを電気炉で温度300℃で1時間 加熱し、キャリアを得た。なお、上記キャリア芯材F−300は下記表2のものである。
【表2】
【0155】
(現像剤の作成)
上記トナー4.0部と上記キャリア96.0部をターブラーT2C型で混合攪拌し二成分現像剤とした。
【0156】
[感光体aの作成]
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥し、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、22μmの電荷輸送層、2μmの保護層からなる電子写真感光体を形成した。
【0157】
(下引き層塗工液)
二酸化チタン粉末 400部
メラミン樹脂 65部
アルキッド樹脂 120部
2−ブタノン 400部
【0158】
(電荷発生層塗工液)
下記構造のビスアゾ顔料 8部
【化53】
下記組成のトリスアゾ顔料 6部
【化54】
ポリビニルブチラール 5部
2−ブタノン 200部
シクロヘキサノン 400部
【0159】
(電荷輸送層塗工液)
A型ポリカーボネート 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【化55】
テトラヒドロフラン 400部
シクロヘキサノン 150部
【0160】
(保護層塗工液)
A型ポリカーボネート 10部
下記構造式の電荷輸送物質 8部
【化56】
テトラフルオロエチレン粒子 4部
テトラヒドロフラン 400部
シクロヘキサノン 150部
【0161】
[感光体bの作成]
感光体aにおける保護層塗工液中物質のテトラフルオロエチレン粒子の代わりにアルミナ微粒子を使用すること以外は同様にして感光体bを得た。
【0162】
[感光体cの作製]
感光体aにおける保護層塗工液を以下のものに変更した以外は同様にして感光体cを得た。
【0163】
(保護層塗工液)
下記構造式の高分子電荷輸送物質 18部
【化57】
テトラフルオロエチレン粒子 4部
テトラヒドロフラン 400部
シクロヘキサノン 150部
【0164】
[感光体dの作成]
感光体aにおける保護層塗工液中物質のテトラフルオロエチレン粒子を使用しないこと以外は同様にして感光体dを得た。
【0165】
(実施例1)
トナーAを使用した二成分現像剤をリコー社製imagio MF4570の現像部にセットした。前記imagio MF4570には感光体aが組込まれている。前記組合せで耐久性試験を200k枚まで実施し、画像評価と 感光体の摩耗量を測定した。その結果を表3に記す。なお、上記imagio MF4570は低温定着トナーに対応して、定着温度を従来より10〜20℃低く制御するように設定している。
【0166】
(実施例2)
トナーAを使用した二成分現像剤をリコー社製imagio MF4570の現像部にセットした。前記imagio MF4570には感光体bが組込まれている。前記組合せで耐久性試験を200k枚まで実施し、画像評価と感光体の摩耗量を測定した。その結果を表3に記す。
【0167】
(実施例3)
トナーAを使用した二成分現像剤をリコー社製imagio MF4570の現像部にセットした。前記imagio MF4570には感光体cが組込まれている。前記組合せで耐久性試験を200k枚まで実施し、画像評価と感光体の摩耗量を測定した。その結果を表3に記す。
【0168】
(比較例1)
トナーBを使用した二成分現像剤をリコー社製imagio MF4570の現像部にセットした。前記imagio MF4570には感光体aが組込まれている。前記組合せで画像評価を実施したところ画像濃度が低く、ひどく解像の悪い画像であった。次に耐久性試験を実施しようとしたが、1k枚通紙したところで、感光体表面にトナーが多数フィルミングしたため継続できなかった。
【0169】
(比較例2)
トナーAを使用した二成分現像剤をリコー社製imagio MF4570の現像部にセットした。前記imagio MF4570には感光体dが組込まれている。前記組合せで耐久性試験を200k枚まで実施し、画像評価と感光体の摩耗量を測定した。その結果を表3に記す。
【0170】
【表3】
【0171】
実施例1と比較例1との比較から、低分子量成分を多く含むトナーでは、無機微粒子を多量にトナーに添加しければ、トナーそのものが感光体にフィルミングしてしまうことが確認できる。実施例1と比較例2との比較から、感光体最表層にフィラーを含有させることによる感光体摩耗量の低減と、それに伴う画質の安定効果が見られる。実施例1,2,3の比較から、フィラーを金属酸化物にすることや、感光体の電荷輸送物質を高分子系にすることで、更なる感光体摩耗量の低減と高画質化の効果が確認できる。
【0172】
(実施例4)
実施例2で使用した感光体の電荷発生層塗工液を以下のものに変更した以外は、実施例2と全く同様にして感光体を作成し、耐久性試験を行った。
(電荷発生層塗工液)
下記構造のビスアゾ顔料 8部
【化58】
下記構造のトリスアゾ顔料 6部
【化59】
ポリビニルブチラール 5部
2−ブタノン 200部
シクロヘキサノン 400部
【0173】
(実施例5)
実施例2で使用した感光体の電荷発生塗工液を以下のものに変更した以外は、実施例2と全く同様にして感光体を作成し、耐久性試験を行った。
(電荷発生層塗工液)
図7に示す下記XDスペクトルを有するチタニルフタロシアニン 8部
ポリビニルブチラール 5部
2−ブタノン 400部
【0174】
(実施例6)
実施例2で使用したリコー社製imagio MF4570を改造し、帯電部材を接触帯電ローラーからスコロトロンチャージャーに変更し、実施例2と同様に耐久性試験を行った。なお、未露光部の感光体の表面電位が実施例2と同じ(−900V)になるように、印加電圧とグリッド電圧を調整した。
【0175】
(実施例7)
実施例2で使用したリコー社製imagio MF4570を改造し、帯電部材である帯電ローラーの両端部(非画像領域)に厚さ250μmのテフロンテープを巻き付け、感光体表面と帯電部材表面の空隙を250μmになるようにセットし、実施例2と同様に耐久性試験を行った。なお、帯電は実施例2と同様にDC成分のみとし、未露光部の感光体の表面電位が実施例2と同じ(−900V)になるように、印加電圧を調整した。
【0176】
(実施例8)
実施例7に準じて、厚さ100μmのテフロンテープを巻き付け、感光体表面と帯電部材表面の空隙を100μmになるようにセットし、実施例2と同様に耐久性試験を行った。なお、帯電は実施例2と同様にDC成分のみとし、未露光部の感光体の表面電位が実施例2と同じ(−900V)になるように、印加電圧を調整した。
【0177】
(実施例9)
実施例7における帯電条件を以下のように変更した以外は、実施例7と同様に耐久性試験を行った。
帯電条件:
DCバイアス:−900V
ACバイアス:1.8kV(peak to peak)、周波数2kHz
【0178】
以上、実施例4〜9の耐久性試験結果を実施例2の結果と比較して、表4に示す。
【表4】
【0179】
実施例2との比較から、特定の電荷発生物質を含有した場合(実施例4、5)には、感光体の光感度が大きくなり、実機中での所定の露光部電位を得るための書き込み光量を押さえることが出来た。その結果、文字太りが抑制され、解像度の高い画像が得られた。
チャージャーを用いた場合(実施例6)には、オゾン臭が強かったこと、ラン後の画像においてわずかに画像ボケが認められた。これより、接触部材の効果が現れている(実施例2)。
近接帯電部材を使用した場合(実施例7、8)には、帯電部材の汚れが実施例2と比較すると極めて少なかった。帯電部材と感光体間の空隙が大きすぎる場合には、帯電の安定性にやや欠ける点が認められた。
しかしながら、ACを重畳した場合(実施例9)には、この帯電ムラも全く認められず、AC重畳の効果が現れている。
【0180】
(実施例10)
実施例3の条件のまま、更に耐久性試験を100k枚追加し、合計300k枚の耐久性試験を行った。
【0181】
(実施例11)
実施例10において、リコー社製imagio MF4570を改造し、クリーニング部材と帯電部材の間にステアリン酸亜鉛供給部材を設けた(棒状のステアリン酸亜鉛が複写100枚後とに10秒間押し当てられる機構)。この条件下で、実施例10と同様に耐久性試験を行った。
【0182】
(実施例12)
実施例10において、現像部に供給するトナー中に0.15%の粉末状ステアリン酸亜鉛を添加した以外は、実施例10と同様に耐久性試験を行った。
【0183】
(実施例13)
実施例12において、1000枚の通紙毎に、非画像形成動作として明部電位までの露光とそれに対する現像部によるトナー現像及びクリーニング部による感光体表面のトナー回収動作のみの繰り返しを20秒間実施した以外は実施例12と同様に耐久性試験を行った。
【0184】
以上、実施例10〜13の耐久性試験結果を表5に示す。
【表5】
【0185】
実施例10の条件下では、300k枚まで耐久性試験を行うと、感光体表面にわずかにフィルミングを生じ、これに伴う画像抜けが発生した(ただし、問題になるレベルではない)。これに対し、実施例11、12の様にステアリン酸亜鉛を感光体表面に供給することにより、フィルミングを防止することが出来た。更に、実施例13のように感光体表面清浄化動作を行わせることで、高温高湿下 (30゜C90%RH)でも画像ボケを完全に無くすことが出来た。
【0186】
【発明の効果】
本発明は、トナーとしてトナー母体粒子の数平均分子量(Mn)が3000以下で、分子量1000以下の分子が40個数%以上であり、かつ無機微粒子の外添量を1.0重量%以上としたものを用い、及び、潜像担持体として最表層にフィラーを含有させたものを用いた画像形成方法・装置を用いることにより、潜像担持体の膜削れが少なく、繰り返し使用においても安定した画像濃度が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明で用いられる電子写真感光体の層構成を表わした図。
【図2】本発明で用いられる別の電子写真感光体の層構成を表わした図。
【図3】本発明で用いられる別の電子写真感光体の層構成を表わした図。
【図4】本発明の電子写真プロセス及び電子写真装置を説明するための図。
【図5】本発明の別の電子写真プロセス及び電子写真装置を説明するための図。
【図6】電子写真装置用プロセスカートリッジを説明するための図。
【図7】実施例7で用いたチタニルフタロシアニンのXDスペクトルを表した図。
【符号の説明】
31 導電性支持体
33 単層感光層
35 電荷発生層
37 電荷輸送層
39 保護層
Claims (26)
- 少なくとも帯電工程、露光工程、現像工程及び転写工程を経て転写材に画像を形成することからなる画像形成方法において、
数平均分子量(Mn)が3000以下で、個数分布上で分子量1000以下の分子が40%以上であるトナー母体粒子に平均粒径が0.01〜0.1μmの無機微粒子を1.0重量%以上外添したトナーが該現像工程に用いられ、
最表層にフィラーを含有する潜像担持体が用いられることを特徴とする画像形成方法。 - 前記潜像担持体は、導電性基体上に感光層及び保護層が形成されている電子写真感光体であり、
該保護層は、フィラーを含有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成方法。 - 前記保護層は、電荷輸送物質をさらに含有することを特徴とする請求項2に記載の画像形成方法。
- 前記電荷輸送物質は、高分子電荷輸送物質であることを特徴とする請求項3に記載の画像形成方法。
- 前記フィラーは、金属酸化物であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記潜像担持体は、電荷発生物質を含有し、
該電荷発生物質は、CuKαの特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンであることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成方法。 - 前記潜像担持体は、電荷発生物質を含有し、
該電荷発生物質は、下記一般式(A)で表されるアゾ顔料であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記潜像担持体に接触又は近接配置した帯電部材を有する帯電手段が前記帯電工程に用いられることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記帯電部材に直流成分及び交流成分を重畳して、前記潜像担持体を帯電させることを特徴とする請求項8に記載の画像形成方法。
- 前記潜像担持体の表面にステアリン酸亜鉛を供給する工程をさらに経て転写材に画像を形成することを特徴とする請求項1乃至9のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 前記トナーは、粉末状ステアリン酸亜鉛を含有することを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 非画像形成時に現像部より前記像担持体の表面に前記トナーを付着させる工程と、クリーニング部により前記像担持体上のトナーを回収する工程を繰り返し、前記像担持体の表面を清浄化することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一項に記載の画像形成方法。
- 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段及び転写手段を経て転写材に画像を形成することからなる画像形成装置において、
数平均分子量(Mn)が3000以下で、個数分布上で分子量1000以下の分子が40%以上であるトナー母体粒子に平均粒径が0.01〜0.1μmの無機微粒子を1.0重量%以上外添したトナーが該現像手段に用いられ、
最表層にフィラーを含有する潜像担持体が用いられることを特徴とする画像形成装置。 - 前記潜像担持体は、導電性基体上に感光層及び保護層が形成されている電子写真感光体であり、
該保護層は、フィラーを含有することを特徴とする請求項13に記載の画像形成装置。 - 前記保護層は、電荷輸送物質をさらに含有することを特徴とする請求項14に記載の画像形成装置。
- 前記電荷輸送物質は、高分子電荷輸送物質であることを特徴とする請求項15に記載の画像形成装置。
- 前記フィラーは、金属酸化物であることを特徴とする請求項13乃至16のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記潜像担持体は、電荷発生物質を含有し、
該電荷発生物質は、CuKαの特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンであることを特徴とする請求項13乃至17のいずれか一項に記載の画像形成装置。 - 前記潜像担持体は、電荷発生物質を含有し、
該電荷発生物質は、下記一般式(A)で表されるアゾ顔料であることを特徴とする請求項13乃至17のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記露光手段がLD又はLEDを使用することによって前記潜像担持体上に静電潜像の書き込みを行う、所謂デジタル方式の電子写真装置であることを特徴とする請求項13乃至19のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記帯電手段は、前記潜像担持体に接触又は近接配置した帯電部材を有することを特徴とする請求項13乃至20のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記帯電部材と前記潜像担持体の間の空隙は、200μm以下であることを特徴とする請求項21に記載の画像形成装置。
- 前記帯電部材に直流成分及び交流成分を重畳して、前記潜像担持体を帯電させることを特徴とする請求項21又は22に記載の画像形成装置。
- 前記潜像担持体の表面にステアリン酸亜鉛を供給する部材を有することを特徴とする請求項13乃至23のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 前記トナーは、粉末状ステアリン酸亜鉛を含有することを特徴とする請求項13乃至24のいずれか一項に記載の画像形成装置。
- 非画像形成時に現像部より前記像担持体の表面に前記トナーを付着させる工程と、クリーニング部により前記像担持体上のトナーを回収する工程を繰り返し、前記像担持体の表面を清浄化することを特徴とする請求項13乃至25のいずれか一項に記載の画像形成装置。
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