JP2004212647A - 静電荷像現像用トナー - Google Patents
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Abstract
【解決手段】有機溶媒中に活性水素基を有する化合物と反応可能な変性ポリエステル系樹脂からなるトナーバインダー成分を含むトナー組成分を溶解又は分散させて形成した溶解又は分散物を、樹脂微粒子を含む水系媒体中で活性水素基を有する化合物と反応させ、得られた分散液から溶媒を除去し、かつトナー表面に付着した該樹脂微粒子を洗浄・脱離して得られたトナーであって、該樹脂微粒子のDSC測定によるガラス転移点(Tg)が50〜70℃であり、画像解析装置による該トナー粒子形状SF−1が140〜200であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
【選択図】 なし
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電子写真や静電記録などにおいて、感光体表面に形成された静電荷像を顕像化する静電荷像現像用トナー、現像剤、現像方法、トナー容器、及び現像装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、電子写真装置や静電記録装置等において、電気的または磁気的潜像は、トナーによって顕像化されている。例えば、電子写真法では、感光体上に静電荷像(潜像)を形成し、次いで、該潜像をトナーを用いて現像して、トナー画像を形成している。トナー画像は、通常、紙等の転写材上に転写され、次いで、加熱等の方法で定着させている。
【0003】
静電荷像現像に使用されるトナーは、一般に、結着樹脂中に、着色剤、帯電制御剤、その他の添加剤を含有させた着色粒子であり、その製造方法には、大別して粉砕法と懸濁重合法とがある。粉砕法では、熱可塑性樹脂中に、着色剤、帯電制御剤、オフセット防止剤などを溶融混合して均一に分散させ、得られた組成物を粉砕、分級することによりトナーを製造している。粉砕法によれば、ある程度優れた特性を有するトナーを製造することができるが、トナー用材料の選択に制限がある。例えば、溶融混合により得られる組成物は、経済的に使用可能な装置により粉砕し、分級できるものでなければならない。この要請から、溶融混合した組成物は、充分に脆くせざるを得ない。このため、実際に上記組成物を粉砕して粒子にする際に、高範囲の粒径分布が形成され易く、良好な解像度と階調性のある複写画像を得ようとすると、例えば、粒径5μm以下の微粉と20μm以上の粗粉を分級により除去しなければならず、収率が非常に低くなるという欠点がある。また、粉砕法では、着色剤や帯電制御剤などを熱可塑性樹脂中に均一に分散することが困難である。配合剤の不均一な分散は、トナーの流動性、現像性、耐久性、画像品質などに悪影響を及ぼす。
【0004】
近年、これらの粉砕法における問題点を克服するために、懸濁重合法によるトナーの製造方法が提案され、実施されている。静電潜像現像用のトナーを重合法によって製造する技術は公知であり、例えば懸濁重合法によってトナー粒子を得ることが行われている。しかしながら、懸濁重合法で得られるトナー粒子は球形であり、クリーニング性に劣るという欠点がある。画像面積率の低い現像・転写では転写残トナーが少なく、クリーニング不良が問題となることはないが、写真画像など画像面積率の高いもの、さらには、給紙不良等で未転写の画像形成したトナーが感光体上に転写残トナーとして発生することがあり、蓄積すると画像の地汚れを発生してしまう。また、感光体を接触帯電させる帯電ローラ等を汚染してしまい、本来の帯電能力を発揮できなくなってしまう。
【0005】
このため、乳化重合法により得られる樹脂微粒子を会合させて不定形のトナー粒子を得る方法が開示されている(特許第2537503号公報−特許文献1)。しかし、乳化重合法で得られるトナー粒子は、水洗浄工程を経ても、界面活性剤が、表面だけでなく、粒子内部にも多量に残存し、トナーの帯電の環境安定性を損ない、かつ帯電量分布を広げ、得られた画像の地汚れが不良となる。また、残存する界面活性剤により、感光体や帯電ローラ、現像ローラ等を汚染してしまい、本来の帯電能力を発揮できなくなってしまう。
【0006】
さらに、乳化重合法によって得られる樹脂微粒子を会合させて不定形のトナー粒子を得る方法では、下記のような問題を生じる。
耐オフセット性を向上させるために、離型剤微粒子を会合させる場合において、当該離型剤微粒子がトナー粒子の内部に取り込まれてしまい、この結果、耐オフセット性の向上を十分に図ることができない。樹脂微粒子、離型剤微粒子、着色剤微粒子などがランダムに融着してトナー粒子が構成されるので、得られるトナー粒子間において組成(構成成分の含有割合)および構成樹脂の分子量等にバラツキが発生し、この結果、トナー粒子間で表面特性が異なり、長期にわたり安定した画像を形成することができない。さらに低温定着が求められる低温定着システムにおいては、トナー表面に偏在する樹脂微粒子による定着阻害が発生し、定着温度幅を確保できない。
【0007】
一方、熱ローラなどの加熱部材を使用して行われる接触加熱方式による定着工程において、加熱部材に対するトナー粒子の離型性(以下、「耐オフセット性」という。)が要求される。ここに、耐オフセット性は、トナー粒子表面に離型剤を存在させることにより向上させることができる。これに対し、特開2000−292973号公報、特開2000−292978号公報(特許文献2及び3)には、樹脂微粒子をトナー粒子中に含有させるだけでなく、当該樹脂微粒子がトナー粒子の表面に偏在していることにより、耐オフセット性を向上する方法が開示されている。しかし、定着下限温度が上昇し、低温定着性即ち省エネ定着性が十分でない。
【0008】
【特許文献1】
特許第2537503号公報
【特許文献2】
特開2000−292973号公報
【特許文献3】
特開2000−292978号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の第1の課題は、クリーニング性を維持しつつ、低温定着システムに対応し、耐オフセット性が良好で、定着装置および画像を汚染することのない静電荷像現像用トナーを提供することにある。
本発明の第2の課題は、帯電量分布がシャープで、鮮鋭性の良好な可視画像を長期にわたり形成することができる静電荷像現像用トナーを提供することにある。
本発明の第3の課題は、該トナーを含有する現像剤、現像方法、トナー容器、及び現像方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意検討を重ねた結果、有機溶媒中に活性水素と反応可能なる変性ポリエステル系樹脂を含むトナー組成分を溶解又は分散させて形成した該溶解又は分散物を、樹脂微粒子を含む水系媒体中で架橋剤及び/又は伸長剤と反応させて得られるトナー粒子において、粒径及び形状制御のために樹脂微粒子をトナー粒子の表面に偏在していることが重要であることを見出し、かつ、低温定着を満足し、耐オフセット性が良好なトナーを得るためには、付着した樹脂微粒子をトナー表面から除去することが必要であることを見出し、本発明を完成するに至ったものである。
【0011】
即ち、本発明によれば、以下に示す静電荷像現像用トナー、現像剤、現像方法及びトナー容器、及び現像装置が提供される。
(1)有機溶媒中に活性水素基を有する化合物と反応可能な変性ポリエステル系樹脂からなるトナーバインダー成分を含むトナー組成分を溶解又は分散させて形成した溶解又は分散物を、樹脂微粒子を含む水系媒体中で活性水素基を有する化合物と反応させ、得られた分散液から溶媒を除去し、かつトナー表面に付着した該樹脂微粒子を洗浄・脱離して得られたトナーであって、該樹脂微粒子のDSC測定によるガラス転移点(Tg)が50〜70℃であり、画像解析装置による該トナー粒子形状SF−1が140〜200であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
(2)前記トナー中のバインダーが、前記変性ポリエステル系樹脂と共に、未変性ポリエステル系樹脂を含有し、該変性ポリエステル系樹脂と該未変性ポリエステル系樹脂との重量比が5/95〜80/20であることを特徴とする前記(1)に記載の静電荷像現像用トナー。
(3)前記トナー中のバインダーのガラス転移点(Tg)が、50〜70℃であることを特徴とする前記(1)又は(2)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(4)前記樹脂微粒子が、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の樹脂からなることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(5)前記樹脂微粒子の平均粒径が、5〜200nmであることを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(6)前記樹脂微粒子の重量平均分子量が、10万以下であることを特徴とする前記(1)〜(5)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(7)前記トナー粒子の体積平均粒径(Dv)が、4〜8μmであることを特徴とする前記(1)〜(6)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(8)前記トナー粒子の体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)の比であるDv/Dnが、1.10≦Dv/Dn≦1.25であることを特徴とする前記(1)〜(7)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(9)前記トナーが紡錘形状であることを特徴とする前記(1)〜(8)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(10)前記トナーの紡錘形状が、短軸r2と長軸R1との比(r2/r1)が0.5〜0.8で、厚さr3と短軸r2との比(r3/r2)が0.7〜1.0であることを特徴とする前記(9)に記載の静電荷像現像用トナー。
(11)前記分散液から溶媒を除去する工程が、少なくとも減圧および/又は加熱の条件下で行われることを特徴とする前記(1)〜(10)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(12)前記分散液から溶媒を除去する工程が、濾過により行われることを特徴とする前記(1)〜(11)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
(13)前記(1)〜(12)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを含有することを特徴とする現像剤。
(14)トナーリサイクル機構を有する現像装置を用い、トナーとして前記(1)〜(12)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを用いることを特徴とする現像方法。
(15)前記(1)〜(12)のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを収納したことを特徴とするトナー容器。
(16)前記(15)に記載のトナー容器を装着したことを特徴とする現像装置。
【0012】
【発明の実施の形態】
(SF−1)
本発明トナーにおける樹脂微粒子は、トナー形状(SF−1、SF−2、粒度分布など)を制御するために、その製造工程で添加されるが、トナー表面上に偏在する樹脂微粒子のガラス転移点(Tg)が50〜70℃であり、該トナー粒子形状SF−1が140〜200にすることが重要である。またSF−2は120〜150とすることが好ましい。SF−2が150を超える場合では樹脂微粒子がトナー表面に多量に付着しておりワックスのしみ出しを阻害しワックスの離型性効果が得られず、オフセットを発生してしまう。SF−2が120未満の場合は樹脂微粒子が溶解し、トナー表面を被膜化しておりワックスのしみ出しを阻害しワックスの離型性効果が得られず、オフセットを発生してしまう。
SF−1が140未満と低く、球形からあまりにも離れた不定形の形状のトナーでは、満足した転写性やチリのない高画質画像が得られない。また、SF−1が200超の場合、ブレードクリーニングなどを採用しているシステムでは、感光体上および転写ベルトなどのクリーニング不良が発生し、画像上の汚れを引き起こす。例えば、画像面積率の低い現像・転写では転写残トナーが少なく、クリーニング不良が問題となることはないが、カラー写真画像など画像面積率の高いもの、さらには、給紙不良等で未転写の画像形成したトナーが感光体上に転写残トナーとして発生することがあり、蓄積すると画像の地汚れを発生してしまう。また、感光体を接触帯電させる帯電ローラ等を汚染してしまい、本来の帯電能力を発揮できなくなってしまう。
【0013】
このトナーの形状係数としてのSF−1、SF−2は、日立製作所FE−SEM(S−800)を用いてトナー像を無作為にサンプリングし、その画像情報をインターフェイスを介してニコレ社製の画像解析装置(Luzex3)に導入して解析を行い、下式より算出し得られた値である旨定義している。
SF−1=[(MXLNG)2/(AREA)]×(π/4)×100)…(1)
SF−2=[(PERI)2/(AREA)]×(1/4π)×100)…(2)
(ここで、AREAはトナー投影面積、MXLNGは絶対最大長、PERIは周長である。)
このトナーの形状係数SF−1は球形度合を示し、100から大きくなるにつれて球形から徐々に不定形となる。また、SF−2は凹凸度合を示し、100から大きくなるにつれてトナー表面の凹凸が顕著になる。なお、形状測定に用いるSEM画像はSF−1では1000倍率SF−2では3500倍率を用いて行った。
【0014】
本発明において、トナー粒子形状SF−1が140〜200、好ましくはSF−2が120〜150のトナーを得るには、ガラス転移点(Tg)が50〜70℃の樹脂微粒子の存在下において、水系媒体中で活性水素基を有する化合物と反応させ、得られた分散液から溶媒を除去する前に、TKホモミキサー等によりトナーにストレスを加え異形化させることにより達成できる。該樹脂微粒子のガラス転移点(Tg)が50℃未満であると耐熱保存性が悪化し、輸送時などにブロッキングしてしまう。また、70℃より更に高い場合には、低温定着性を悪化させてしまう。
【0015】
(Dv/Dn(体積平均粒径/個数平均粒径の比))
本発明のトナーの体積平均粒径(Dv)は4〜8μmが好ましく、個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)は1.10〜1.25であることが好ましい。このような本発明の乾式トナーを用いることにより、耐熱保存性、低温定着性、耐ホットオフセット性のいずれにも優れ、とりわけフルカラー複写機などに用いた場合に画像の光沢性に優れ、更に二成分現像剤においては、長期にわたるトナーの収支が行われても、現像剤中のトナー粒子径の変動が少なくなり、現像装置における長期の攪拌においても、良好で安定した現像性が得られる。また、一成分現像剤として用いた場合においても、トナーの収支が行われても、トナーの粒子径の変動が少なくなると共に、現像ローラーへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着がなく、現像装置の長期の使用(攪拌)においても、良好で安定した現像性及び画像が得られた。
【0016】
一般的には、トナーの粒子径は小さければ小さい程、高解像で高画質の画像を得る為に有利であると言われているが、逆に転写性やクリーニング性に対しては不利である。また、前記範囲よりも体積平均粒子径が小さい場合、二成分現像剤では現像装置における長期の攪拌においてキャリアの表面にトナーが融着し、キャリアの帯電能力を低下させたり、一成分現像剤として用いた場合には、現像ローラーへのトナーのフィルミングや、トナーを薄層化する為のブレード等の部材へのトナーの融着を発生させやすくなる。
また、これらの現象は微粉の含有率が前記範囲より多いトナーにおいても同様である。
【0017】
逆に、トナーの粒子径が前記範囲よりも大きい場合には、高解像で高画質の画像を得ることが難しくなると共に、現像剤中のトナーの収支が行われた場合にトナーの粒子径の変動が大きくなる場合が多い。また、体積平均粒子径/個数平均粒子径が1.25よりも大きい場合も同様であることが明らかとなった。
また、体積平均粒子径/個数平均粒子径が1.10より小さい場合には、トナーの挙動の安定化、帯電量の均一化の面から好ましい面もあるが、トナーを十分に帯電出来なかったり、クリーニング性を悪化させる場合があることが明らかとなった。
【0018】
本発明において好適なトナーについて説明する。
本発明のトナーは、紡錘形状であることが好ましい。
トナー形状が一定しない不定形、又は扁平形状では粉体流動性が悪いことから、次のような課題を持つ。摩擦帯電が円滑に行えないことから地肌汚れ等の問題が発生しやすい。微小な潜像ドットを現像する際には、緻密で均一なトナー配置をとりにくいことから、ドット再現性に劣る。静電転写方式では、電気力線の影響を受けにくく、転写効率が劣る。
トナーが真球に近い場合、粉体流動性が良すぎて、外力に対して過度に作用してしまうことから、現像及び転写の際に、ドットの外側にトナー粒子が飛び散りやすいといった問題がある。また、球形トナーでは、感光体上で転がりやすいために、感光体とクリーニング部材との間に潜り込みクリーニング不良となることが多いという問題点がある。
【0019】
本発明の紡錘形状のトナーは、粉体流動性が適度に調節されているために、摩擦帯電が円滑に行われて地肌汚れを発生させることがなく、微小な潜像ドットに対して整然と現像され、その後、効率よく転写されてドット再現性に優れる。更に、その際の飛び散りに対しては、粉体流動性が適度にブレーキをかけて飛び散りを防いでいる。紡錘形状のトナーは球形トナーに比べて、転がる軸が限られていることから、クリーニング部材の下に潜り込むようなクリーニング不良が発生しにくい。
【0020】
トナー形状を図1(a)及び(b)に基づいて説明する。
本発明の紡錘形状のトナーは、短軸と長軸との比(r2/r1)が0.5〜0.8で、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7〜1.0で表される紡錘形状であることが好ましい。
短軸と長軸との比(r2/r1)が0.5未満では、真球形状から離れるためにクリーニング性が高いが、ドット再現性及び転写効率が劣るために高品位な画質が得られなくなる。一方短軸と長軸との比(r2/r1)が0.8を越えると、球形に近づくために、低温低湿の環境下では特にクリーニング不良が発生することがある。
また、厚さと短軸との比(r3/r2)が0.7未満では、扁平形状に近く、不定形トナーのように飛び散りは少ないが、球形トナーのような高転写率は得られない。特に、厚さと短軸との比(r3/r2)が1.0では、長軸を回転軸とする回転体となる。これに近い紡錘形状にすることで不定形・扁平形状でもなく真球状でもない形状であって、双方の形状が有する摩擦帯電性、ドット再現性、転写効率、飛び散りの防止性、クリーニング性の全てを満足させる形状となる。なお、r1、r2、r3は、走査型電子顕微鏡(SEM)で、視野の角度を変えて写真を撮り、観察しながら測定した。
【0021】
(活性水素基を有する化合物と反応可能な変性ポリエステル系樹脂)
活性水素基を有する化合物と反応可能な反応性変性ポリエステル系樹脂(RMPE)(以下、ポリエステル系樹脂は単にポリエステルとも言う)には、例えば、インシアネート基等の活性水素と反応する官能基を有するポリエステルプレポリマー等が包含される。本発明で好ましく使用されるポリエステルプレポリマーは、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)である。このイソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)は、ポリオール(PO)とポリカルボン酸(PC)の重縮合物でかつ活性水素基を有するポリエステルにポリイソシアネート(PIC)を反応させることによって製造される。上記ポリエステルの有する活性水素基としては、水酸基(アルコール性水酸基およびフェノール性水酸基)、アミノ基、カルボキシル基、メルカプト基などが挙げられ、これらのうち好ましいものはアルコール性水酸基である。
【0022】
ポリオールとしては、ジオール(DIO)および3価以上のポリオール(TO)が挙げられ、DIO単独、またはDIOと少量のTOとの混合物が好ましい。ジオールとしては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。
3価以上のポリオールとしては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0023】
ポリカルボン酸(PC)としては、ジカルボン酸(DIC)および3価以上のポリカルボン酸(TC)が挙げられ、DIC単独、およびDICと少量のTCとの混合物が好ましい。
ジカルボン酸としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。
3価以上のポリカルボン酸としては、炭素数9〜20の芳香族ポリカルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、ポリカルボン酸としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いてポリオールと反応させてもよい。
【0024】
ポリオールとポリカルボン酸の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
【0025】
ポリイソシアネート(PIC)としては、脂肪族ポリイソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α′,α′−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアヌレート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0026】
ポリイソシアネートの比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、変性ポリエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0027】
末端にイソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のポリイソシアネート(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40重量%、好ましくは1〜30重量%、さらに好ましくは2〜20重量%である。0.5重量%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40重量%を超えると低温定着性が悪化する。
【0028】
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有するイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0029】
前記イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)からは、これにアミン類(B)を反応させることにより、ウレア変性ポリエステル系樹脂(UMPE)を得ることができる。このものは、トナーバインダーとしてすぐれた効果を示す。
【0030】
活性水素基を有する化合物としてのアミン類(B)としては、ジアミン(B1)、3価以上のポリアミン(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。ジアミン(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4′−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4′−ジアミノ−3,3′−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上のポリアミン(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0031】
さらに、必要により伸長停止剤を用いてウレア変性ポリエステル等の変性ポリエステルの分子量を調整することができる。伸長停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
【0032】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
前記アミン類(B)は、活性水素基を有する化合物と反応可能な変性ポリエステルに対する架橋剤や伸長剤として作用する。
【0033】
本発明においては、ウレア結合で変性されたポリエステル中に、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0034】
本発明で用いるウレア変性ポリエステルは、ワンショット法、プレポリマー法により製造される。ウレア変性ポリエステル等の変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の変性ポリエステルの数平均分子量は、後述の変性されていないポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステル等の変性ポリエステル単独の場合は、数平均分子量は、通常20000以下、好ましくは1000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0035】
(未変性ポリエステル)
本発明においては、前記ウレア結合で変性されたポリエステル等の変性ポリエステル(MPE)単独使用だけでなく、このものと共に、変性されていないポリエステル(PE)をトナーバインダー成分として含有させることもできる。PEを併用することで、低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が向上し、単独使用より好ましい。PEとしては、前記MPEのポリエステル成分と同様なポリオールとポリカルボン酸との重縮合物などが挙げられ、好ましいものもMPEと同様である。また、PEは無変性のポリエステルだけでなく、ウレア結合以外の化学結合で変性されているものでもよく、例えばウレタン結合で変性されていてもよい。MPEとPEは少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、MPEのポリエステル成分とPEは類似の組成が好ましい。
【0036】
PEを含有させる場合のMPEとPEの重量比は、通常5/95〜80/20、好ましくは5/95〜30/70、さらに好ましくは5/95〜25/75、特に好ましくは7/93〜20/80である。MPEの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0037】
PEのピーク分子量は、通常1000〜30000、好ましくは1500〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。1000未満では耐熱保存性が悪化し、10000を超えると低温定着性が悪化する。PEの水酸基価は5以上であることが好ましく、さらに好ましくは10〜120、特に好ましくは20〜80である。5未満では耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。PEの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすい傾向がある。
【0038】
本発明において、トナー中のバインダー(トナーバインダー)のガラス転移点(Tg)は、通常50〜70℃、好ましくは55〜65℃である。50℃未満ではトナーの耐熱保存性が悪化し、70℃を超えると低温定着性が不十分となる。ウレア変性ポリエステル系樹脂等の変性ポリエステルの共存により、本発明の乾式トナーにおいては、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
【0039】
トナーバインダーの貯蔵弾性率としては、測定周波数20Hzにおいて10000dyne/cmとなる温度(TG’)が、通常100℃以上、好ましくは110〜200℃である。100℃未満では耐ホットオフセット性が悪化する。トナーバインダーの粘性としては、測定周波数20Hzにおいて1000ポイズとなる温度(Tη)が、通常180℃以下、好ましくは90〜160℃である。180℃を超えると低温定着性が悪化する。すなわち、低温定着性と耐ホットオフセット性の両立の観点から、TG’はTηより高いことが好ましい。言い換えるとTG’とTηの差(TG’−Tη)は0℃以上が好ましい。さらに好ましくは10℃以上であり、特に好ましくは20℃以上である。差の上限は特に限定されない。また、耐熱保存性と低温定着性の両立の観点から、TηとTgの差は0〜100℃が好ましい。さらに好ましくは10〜90℃であり、特に好ましくは20〜80℃である。
【0040】
(着色剤)
本発明で用いる着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ポグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。
着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0041】
本発明で用いる着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、先にあげた変性、未変性ポリエステル樹脂の他にポリスチレン、ポリp−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体;スチレン−p−クロロスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−インデン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0042】
本マスターバッチはマスターバッチ用の樹脂と着色剤とを高せん断力をかけて混合、混練してマスターバッチを得る事ができる。この際着色剤と樹脂の相互作用を高めるために、有機溶剤を用いる事ができる。またいわゆるフラッシング法と呼ばれる着色剤の水を含んだ水性ペーストを樹脂と有機溶剤とともに混合混練し、着色剤を樹脂側に移行させ、水分と有機溶剤成分を除去する方法も着色剤のウエットケーキをそのまま用いる事ができるため乾燥する必要がなく、好ましく用いられる。混合混練するには3本ロールミル等の高せん断分散装置が好ましく用いられる。
【0043】
(離型剤)
本発明のトナーに対しては、トナーバインダー、着色剤とともにワックスを含有させることもできる。ワックスとしては公知のものが使用でき、例えばポリオレフィンワッックス(ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックスなど);長鎖炭化水素(パラフィンワッックス、サゾールワックスなど);カルボニル基含有ワックスなどが挙げられる。これらのうち好ましいものは、カルボニル基含有ワックスである。カルボニル基含有ワックスとしては、ポリアルカン酸エステル(カルナバワックス、モンタンワックス、トリメチロールプロパントリベヘネート、ペンタエリスリトールテトラベヘネート、ペンタエリスリトールジアセテートジベヘネート、グリセリントリベヘネート、1,18−オクタデカンジオールジステアレートなど);ポリアルカノールエステル(トリメリット酸トリステアリル、ジステアリルマレエートなど);ポリアルカン酸アミド(エチレンジアミンジベヘニルアミドなど);ポリアルキルアミド(トリメリット酸トリステアリルアミドなど);およびジアルキルケトン(ジステアリルケトンなど)などが挙げられる。これらカルボニル基含有ワックスのうち好ましいものは、ポリアルカン酸エステルである。本発明のワックスの融点は、通常40〜160℃であり、好ましくは50〜120℃、さらに好ましくは60〜90℃である。融点が40℃未満のワックスは耐熱保存性に悪影響を与え、160℃を超えるワックスは低温での定着時にコールドオフセットを起こしやすい。また、ワックスの溶融粘度は、融点より20℃高い温度での測定値として、5〜1000cpsが好ましく、さらに好ましくは10〜100cpsである。1000cpsを超えるワックスは、耐ホットオフセット性、低温定着性への向上効果に乏しい。
トナー中のワックスの含有量は通常0〜40重量%であり、好ましくは3〜30重量%である。
【0044】
(帯電制御剤)
本発明のトナーは、必要に応じて帯電制御剤を含有してもよい。帯電制御剤としては公知のものが全て使用でき、例えばニグロシン系染料、トリフェニルメタン系染料、クロム含有金属錯体染料、モリブデン酸キレート顔料、ローダミン系染料、アルコキシ系アミン、4級アンモニウム塩(フッ素変性4級アンモニウム塩を含む)、アルキルアミド、燐の単体または化合物、タングステンの単体または化合物、フッ素系活性剤、サリチル酸金属塩、及びサリチル酸誘導体の金属塩等である。具体的にはニグロシン系染料のボントロン03、第四級アンモニウム塩のボントロンP−51、含金属アゾ染料のボントロンS−34、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82、サリチル酸系金属錯体のE−84、フェノール系縮合物のE−89(以上、オリエント化学工業社製)、第四級アンモニウム塩モリブデン錯体のTP−302、TP−415(以上、保土谷化学工業社製)、第四級アンモニウム塩のコピーチャージPSYVP2038、トリフェニルメタン誘導体のコピーブルーPR、第四級アンモニウム塩のコピーチャージNEGVP2036、コピーチャージNXVP434(以上、ヘキスト社製)、LRA−901、ホウ素錯体であるLR−147(日本カーリット社製)、銅フタロシアニン、ペリレン、キナクリドン、アゾ系顔料、その他スルホン酸基、カルボキシル基、四級アンモニウム塩等の官能基を有する高分子系の化合物が挙げられる。
【0045】
本発明において帯電制御剤の使用量は、トナーバインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはトナーバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を越える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、主帯電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。これらの帯電制御剤はマスターバッチ、樹脂とともに溶融混練した後溶解分散させる事もできるし、もちろん有機溶剤に直接溶解、分散する際に加えても良いし、トナー表面にトナー粒子作成後固定化させてもよい。
【0046】
(樹脂微粒子)
本発明で使用される樹脂微粒子は、ガラス転移点(Tg)が50〜70℃であること条件であり、ガラス転移点(Tg)が50℃未満の場合、トナー保存性が悪化してしまい、保管時および現像機内でブロッキングを発生してしまう。
ガラス転移点(Tg)が70℃超の場合、樹脂微粒子が定着紙との接着性を阻害してしまい、定着下限温度が上がってしまう。また、その重量平均分子量は10万以下であることが望ましい。好ましくは5万以下である。その下限値は、通常、4000である。重量平均分子量が10万を超えるの場合、樹脂微粒子が定着紙との接着性を阻害してしまい、定着下限温度が上がってしまう。
【0047】
該樹脂微粒子は水性分散体を形成しうる樹脂であればいかなる樹脂も使用でき、熱可塑性樹脂でも熱硬化性樹脂でもよいが、例えばビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリイミド樹脂、ケイ素系樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、ユリア樹脂、アニリン樹脂、アイオノマー樹脂、ポリカーボネート樹脂等が挙げられる。樹脂微粒子としては、上記の樹脂を2種以上併用しても差し支えない。このうちまた好ましいのは、微細球状樹脂粒子の水性分散体が得られやすい点から、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂又はそれらの併用樹脂からなるものが好ましい。
【0048】
該ビニル系樹脂としては、ビニル系モノマーを単独重合また共重合したポリマーで、例えば、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、(メタ)アクリル酸−アクリル酸エステル重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、スチレン−(メタ)アクリル酸共重合体等が挙げられる。
樹脂微粒子において、その平均粒径は5〜200nmが好ましく、より好ましくは20〜150nmである。
【0049】
(外添剤)
本発明で得られた着色樹脂粒子(トナー母体粒子)の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤としては、無機微粒子を好ましく用いることができる。この無機微粒子の一次粒子径は、5nm〜100nmであることが好ましく、特に10nm〜50nmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m2/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5重量%であることが好ましく、特に0.01〜2.0重量%であることが好ましい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ペンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。
【0050】
この他高分子系微粒子たとえばソープフリー乳化重合や懸濁重合、分散重合によって得られるポリスチレン、メタクリル酸エステルやアクリル酸エステル共重合体やシリコーン、ベンゾグアナミン、ナイロンなどの重縮合系、熱硬化性樹脂による重合体粒子が挙げられる。
【0051】
このような外添剤は表面処理を行って、疎水性を上げ、高湿度下においても流動特性や帯電特性の悪化を防止することができる。例えばシランカップリング剤、シリル化剤、フッ化アルキル基を有するシランカップリング剤、有機チタネート系カップリング剤、アルミニウム系のカップリング剤、シリコーンオイル、変性シリコーンオイルなどが好ましい表面処理剤として挙げられる。
【0052】
感光体や一次転写媒体に残存する転写後の現像剤を除去するためのクリーニング向上剤を添加してもよく、該クリーニング性向上剤としては、例えばステアリン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸など脂肪酸金属塩、例えばポリメチルメタクリレート微粒子、ポリスチレン微粒子などのソープフリー乳化重合などによって製造された、ポリマー微粒子などを挙げることかできる。ポリマー微粒子は比較的粒度分布が狭く、体積平均粒径が0.01〜1μmのものが好ましい。
【0053】
(製造方法)
トナーバインダーは以下の方法などで製造することができる。
ポリオールとポリカルボン酸を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これにポリイソシアネートを反応させ、イソシアネート基を有するプレポリマー(A)を得る。さらにこのAにアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア結合で変性されたポリエステルを得る。ポリイソシアネートを反応させる際、およびAとBを反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのポリイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。ウレア結合で変性されていないポリエステル(PE)を併用する場合は、水酸基を有するポリエステルの場合と同様な方法でこのPEを製造し、これを前記ウレア変性ポリエステルの反応完了後の溶液に溶解し、混合する。
【0054】
(トナーの製造)
本発明の乾式トナーは以下の方法で製造することができるが、勿論これらに限定されることはない。
【0055】
(水系媒体中でのトナー製造法)
水系媒体としては、水単独でもよいが、水と混和可能な溶剤を併用することもできる。混和可能な溶剤としては、アルコール(メタノール、イソプロパノール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などが挙げられる。
【0056】
トナー粒子は、水系媒体中でイソシアネート基を有するプレポリマー(A)からなる分散体を、アミン類(B)と反応させて形成することができる。水系媒体中でウレア変性ポリエステルやプレポリマー(A)からなる分散体を安定して形成させる方法としては、水系媒体中にウレア変性ポリエステルやプレポリマー(A)からなるトナー原料の組成分を加えて、せん断力により分散させる方法などが挙げられる。プレポリマー(A)と他のトナー組成分(以下トナー原料と呼ぶ)である着色剤、着色剤マスターバッチ、離型剤、帯電制御剤、未変性ポリエステル樹脂などは、水系媒体中で分散体を形成させる際に混合してもよいが、あらかじめトナー原料を混合した後、水系媒体中にその混合物を加えて分散させたほうがより好ましい。また、本発明においては、着色剤、離型剤、帯電制御剤などの他のトナー原料は、必ずしも、水系媒体中で粒子を形成させる時に混合しておく必要はなく、粒子を形成せしめた後、添加してもよい。たとえば、着色剤を含まない粒子を形成させた後、公知の染着の方法で着色剤を添加することもできる。
【0057】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。高温なほうが、ウレア変性ポリエステルやプレポリマー(A)からなる分散体の粘度が低く、分散が容易な点で好ましい。
【0058】
ウレア変性ポリエステルやプレポリマー(A)を含むトナー組成分(組成物)100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー組成分の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。2000重量部を超えると経済的でない。また、必要に応じて、分散剤を用いることもできる。分散剤を用いたほうが、粒度分布がシャープになるとともに分散が安定である点で好ましい。
【0059】
プレポリマー(A)からウレア変性ポリエステルを合成する工程は水系媒体中でトナー組成分を分散する前にアミン類(B)を加えて反応させても良いし、水系媒体中に分散した後にアミン類(B)を加えて粒子界面から反応を起こしても良い。この場合、製造されるトナー表面に優先的にウレア変性ポリエステルが生成し、粒子内部で濃度勾配を設けることもできる。
【0060】
トナー組成分が分散された油性相を、水が含まれる液体に乳化、分散するための分散剤として、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどの陰イオン界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの四級アンモニウム塩型の陽イオン界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0061】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[オメガ−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0062】
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−l29(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−l02、(ダイキン工業社製)、メガファックF−ll0、F−l20、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、l03、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
【0063】
また、カチオン界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族一級、二級もしくは二級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−l21(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキン工業社製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−l32(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
【0064】
また、水に難溶の無機化合物分散剤としてリン酸カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイトなども用いる事が出来る。
【0065】
また高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、アクリル酸β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルビリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの窒素原子、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0066】
なお、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、微粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0067】
分散剤を使用した場合には、該分散剤がトナー粒子表面に残存したままとすることもできるが、伸長および/または架橋反応後、洗浄除去するほうがトナーの帯電面から好ましい。
【0068】
さらに、トナー組成分を含む液体の粘度を低くするために、ウレア変性ポリエステルやプレポリマー(A)が可溶の溶剤を使用することもできる。溶剤を用いたほうが粒度分布がシャープになる点で好ましい。該溶剤は沸点が100℃未満の揮発性であることが除去が容易である点から好ましい。該溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。
プレポリマー(A)100重量部に対する溶剤の使用量は、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。溶剤を使用した場合は、伸長および/または架橋反応後、常圧または減圧下にて加温し除去する。
【0069】
活性水素と反応可能な変性ポリエステルに架橋剤及び/又は伸長剤としてのアミン類(B)を反応させる場合、その伸長および/または架橋反応時間は、プレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との組み合わせによる反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0070】
得られた乳化分散体から有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に昇温し、及び/又は減圧し、液滴中の有機溶媒を完全に蒸発除去する方法を採用することができる。あるいはまた、乳化分散体を乾燥雰囲気中に噴霧して、液滴中の非水溶性有機溶媒を完全に除去してトナー微粒子を形成し、合せて水系分散剤を蒸発除去することも可能である。乳化分散体が噴霧される乾燥雰囲気としては、空気、窒素、炭酸ガス、燃焼ガス等を加熱した気体、特に使用される最高沸点溶媒の沸点以上の温度に加熱された各種気流が一般に用いられる。スプレイドライアー、ベルトドライアー、ロータリーキルンなどの短時間の処理で十分目的とする品質が得られる。さらに濾過により行なってもよい。
【0071】
乳化分散時の粒度分布が広く、その粒度分布を保って洗浄、乾燥処理が行われた場合、所望の粒度分布に分級して粒度分布を整えることができる。
分級操作は液中でサイクロン、デカンター、遠心分離等により、微粒子部分を取り除くことができる。もちろん乾燥後に粉体として取得した後に分級操作を行っても良いが、液体中で行うことが効率の面で好ましい。得られた不要の微粒子、または粗粒子は再び混練工程に戻して粒子の形成に用いることができる。その際微粒子、または粗粒子はウェットの状態でも構わない。
用いた分散剤は得られた分散液からできるだけ取り除くことが好ましいが、先に述べた分級操作と同時に行うのが好ましい。
【0072】
得られた乾燥後のトナーの粉体と離型剤微粒子、帯電制御性微粒子、流動化剤微粒子、着色剤微粒子などの異種粒子とともに混合したり、混合粉体に機械的衝撃力を与えることによって表面で固定化、融合化させ、得られる複合体粒子の表面からの異種粒子の脱離を防止することができる。
具体的手段としては、高速で回転する羽根によって混合物に衝撃力を加える方法、高速気流中に混合物を投入し、加速させ、粒子同士または複合化した粒子を適当な衝突板に衝突させる方法などがある。装置としては、オングミル(ホソカワミクロン社製)、I式ミル(日本ニューマチック社製)を改造して、粉砕エアー圧力を下げた装置、ハイブリダイゼイションシステム(奈良機械製作所社製)、クリプトロンシステム(川崎重工業社製)、自動乳鉢などがあげられる。
【0073】
(二成分現像剤用キャリア)
本発明のトナーを二成分系現像剤に用いる場合には、磁性キャリアと混合して用いれば良く、現像剤中のキャリアとトナーの含有比は、キャリア100重量部に対してトナー1〜10重量部が好ましい。磁性キャリアとしては、粒子径20〜200μm程度の鉄粉、フェライト粉、マグネタイト粉、磁性樹脂キャリアなど従来から公知のものが使用できる。
また、キャリア表面を被覆してもよく、被覆材料としては、アミノ系樹脂、例えば尿素−ホルムアルデヒド樹脂、メラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ユリア樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂等があげられる。またポリビニルおよびポリビニリデン系樹脂、例えばアクリル樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂、ポリアクリロニトリル樹脂、ポリ酢酸ビニル樹脂、ポリビニルアルコール樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、ポリスチレン樹脂およびスチレンアクリル共重合樹脂等のポリスチレン系樹脂、ポリ塩化ビニル等のハロゲン化オレフィン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびポリブチレンテレフタレート樹脂等のポリエステル系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリ弗化ビニル樹脂、ポリ弗化ビニリデン樹脂、ポリトリフルオロエチレン樹脂、ポリヘキサフルオロプロピレン樹脂、弗化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、弗化ビニリデンと弗化ビニルとの共重合体、テトラフルオロエチレンと弗化ビニリデンと非弗化単量体とのターポリマー等のフルオロターポリマー、およびシリコーン樹脂等が使用できる。
また必要に応じて、導電粉等を被覆樹脂中に含有させてもよい。導電粉としては、金属粉、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛等が使用できる。これらの導電粉は、平均粒子径1μm以下のものが好ましい。平均粒子径が1μmよりも大きくなると、電気抵抗の制御が困難になる。
【0074】
また、本発明のトナーはキャリアを使用しない一成分系の磁性トナー、或いは非磁性トナーとしても用いることができる。
【0075】
【実施例】
以下実施例により本発明を更に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。尚、部は重量部である。
【0076】
[実施例1]
(有機微粒子エマルションの合成)
製造例1
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)11部、スチレン83部、メタクリル酸83部、アクリル酸ブチル110部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液1]を得た。[微粒子分散液1]をLA−920で測定した体積平均粒径は、0.10μmであった。[微粒子分散液1]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは57℃、重量平均分子量は121000であった。
【0077】
(水相の調製)
製造例2
水990部、[微粒子分散液1]80部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7):三洋化成工業製)40部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相1]とする。
【0078】
(低分子ポリエステルの合成)
製造例3
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物220部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物561部、テレフタル酸218部、アジピン酸48部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸45部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[低分子ポリエステル1]を得た。[低分子ポリエステル1〕は、数平均分子量2500、重量平均分子量6700、Tg43℃、酸価25であった。
【0079】
(プレポリマーの合成)
製造例4
冷却管、撹拌機および窒索導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物682部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物81部、テレフタル酸283部、無水トリメリツト酸22部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時間反応した[中間体ポリエステル1]を得た。[中間体ポリエステル1]は、数平均分子量2100、重量平均分子量9500、Tg55℃、酸価0.5、水酸基価49であった。
次に、冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、[中間体ポリエステル1]411部、イソホロンジイソシアネート89部、酢酸エチル500部を入れ100℃で5時間反応し、[プレポリマー1]を得た。[プレポリマー1]の遊離イソシアネート重量%は、1.53%であった。
【0080】
(ケチミンの合成)
製造例5
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、イソホロンジアミン170部とメチルエチルケトン75部を仕込み、50℃で5時間反応を行い、[ケチミン化合物1]を得た。[ケチミン化合物1]のアミン価は418であった。
【0081】
(マスターバッチの合成)
製造例6
カーボンブラック(キャボット社性リーガル400R):40部、バインダー樹脂:ポリエステル樹脂(三洋化成RS−801酸価10、重量平均分子量Mw20000、Tg64℃):60部、水:30部をヘンシェルミキサーにて混合し、顔料凝集体中に水が染み込んだ混合物を得た。これをロ−ル表面温度130℃に設定した2本ロールにより45分間混練を行ない、パルベライザーで1mmφの大きさに粉砕し、[マスターバッチ1]を得た。
【0082】
(油相の作成)
製造例7
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル1]378部、カルナバWAX110部、CCA(サリチル酸金属錯体E−84:オリエント化学工業)22部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時間で30℃に冷却した。次いで容器に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液1]を得た。
[原料溶解液1]1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、WAXの分散を行った。次いで、[低分子ポリエステル1]の65%酢酸エチル溶液1324部加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・WAX分散液1]を得た。[顔料・WAX分散液1]の固形分濃度(130℃、30分)は50%であった。
【0083】
(乳化⇒異形化⇒脱溶剤)
[顔料・WAX分散液1]648部、[プレポリマー1]を154部、[ケチミン化合物1]6.6部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmで1分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで3分間混合し[乳化スラリー1]を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、15℃で1時間静置した後、30℃で酢酸エチル残量が4重量%なるように脱溶剤し、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで20分間撹拌した。その後、30℃で1時間脱溶剤を行い、[分散スラリー1]を得た。[分散スラリー1]は、体積平均粒径5.95μm、個数平均粒径5.45μm(マルチサイザーIIで測定)であった。
【0084】
(洗浄⇒乾燥)
[乳化スラリー1]100部を減圧濾過した後、▲1▼:濾過ケーキにイオン交換水100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
▲2▼:▲1▼の濾過ケーキに10%水酸化ナトリウム水溶液1OO部を加え、超音波振動を付与してTKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで30分間)した後、減圧濾過した。この超音波アルカリ洗浄を再度行った(超音波アルカリ洗浄2回)。
▲3▼:▲2▼の濾過ケーキに10%塩酸100部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過した。
▲4▼:▲3▼の濾過ケーキにイオン交換水300部を加え、TKホモミキサーで混合(回転数12,000rpmで10分間)した後濾過する操作を2回行い[濾過ケーキ1]を得た。
[濾過ケーキ1]を循風乾燥機にて45℃で48時間乾燥し、目開き75μmメッシュで篩い、体積平均粒径Dv6.03μm、個数平均粒径Dn5.52μm、Dv/Dn1.09(マルチサイザーIIで測定)、SF−1:144、SF−2:149の[トナー1]を得た。
【0085】
[実施例2]
実施例1での超音波アルカリ洗浄を1回にした以外は実施例1と同様にして体積平均粒径Dv6.05μm、個数平均粒径Dn5.55μm、Dv/Dn1.09、SF−1:140、SF−2:146の[トナー2]を得た。
【0086】
[実施例3]
実施例1での油相の作成時にCCAを22部加えない以外は実施例1と同様にしてトナーを得た。このトナー100部にCCA(サリチル酸金属錯体E−84:オリエント化学工業)0.5部を添加し、Qミキサー(三井鉱山製)にてCCA打ち込み処理を施し、体積平均粒径Dv5.79μm、個数平均粒径Dn5.19μm、Dv/Dn1.12、SF−1:142、SF−2:146の[トナー3]を得た。
【0087】
[実施例4]
(低分子ポリエステルの合成)
製造例8
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物262部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物202部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物236部、テレフタル酸266部、アジピン酸48部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸34部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[低分子ポリエステル2]を得た。[低分子ポリエステル2]は、数平均分子量2390、重量平均分子量6010、Tg62℃、酸価20.7であった。
【0088】
(油相の作成)
製造例9
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル2]378部、カルナバWAX110部、CCA(サリチル酸金属錯体E−84:オリエント化学工業)22部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時問で30℃に冷却した。次いで容盤に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液2]を得た。
[原料溶解液2]1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、WAXの分散を行った。次いで、[低分子ポリエステル2]の65%酢酸エチル溶液1324部加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・WAX分散液2]を得た。[顔料・WAX分散液2]の固形分濃度(130℃、30分)は52%であった。
【0089】
実施例1での[顔料・WAX分散液1]の代わりに[顔料・WAX分散液2]を使用し、超音波を印加せずアルカリ洗浄2回した以外は実施例1と同様にして体積平均粒径Dv6.30μm、個数平均粒径Dn5.68μm、Dv/Dn1.11、SF−1:157、SF−2:142の[トナー4]を得た。
【0090】
[実施例5]
実施例4での超音波を印可せずアルカリ洗浄1回した以外は実施例1と同様にして体積平均粒径Dv6.40μm、個数平均粒径Dn5.42μm、Dv/Dn1.18、SF−1:159、SF−2:147の[トナー5]を得た。
【0091】
[実施例6]
(低分子ポリエステルの合成)
製造例10
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物719部、テレフタル酸274部、アジピン酸48部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧で230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸7部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[低分子ポリエステル3]を得た。[低分子ポリエステル3]は、数平均分子量2290、重量平均分子量5750、Tg65℃、酸価4.9であった。
【0092】
(油相の作成)
製造例11
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル3]378部、カルナバWAX110部、CCA(サリチル酸金属錯体E−84:オリエント化学工業)22部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時問で30℃に冷却した。次いで容盤に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液3]を得た。
[原料溶解液3]1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、WAXの分散を行った。次いで、[低分子ポリエステル3]の65%酢酸エチル溶液1324部加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・WAX分散液3]を得た。[顔料・WAX分散液3]の固形分濃度(130℃、30分)は49%であった。
【0093】
実施例1での[顔料・WAX分散液1]の代わりに[顔料・WAX分散液3]を使用し、超音波を印可せずアルカリ洗浄4回した以外は実施例1と同様にして体積平均粒径Dv7.05μm、個数平均粒径Dn5.84μm、Dv/Dn1.21、SF−1:140、SF−2:146の[トナー6]を得た。
【0094】
[実施例7]
実施例1での[顔料・WAX分散液1]の代わりに[顔料・WAX分散液3]を使用し、超音波を印可せずアルカリ洗浄2回した以外は実施例1と同様にして体積平均粒径Dv7.05μm、個数平均粒径Dn5.64μm、Dv/Dn1.25、SF−1:142、SF−2:148の[トナー7]を得た。
【0095】
[実施例8]
(低分子ポリエステルの合成)
製造例12
冷却管、撹拌機および窒素導入管の付いた反応容器中に、ビスフェノールAエチレンオキサイド2モル付加物121部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド2モル付加物64部、ビスフェノールAプロピレンオキサイド3モル付加物527部、テレフタル酸246部、アジピン酸48部およびジブチルチンオキサイド2部を入れ、常圧230℃で8時間反応し、さらに10〜15mmHgの減圧で5時聞反応した後、反応容器に無水トリメリット酸42部を入れ、180℃、常圧で2時間反応し、[低分子ポリエステル4]を得た。[低分子ポリエステル4]は、数平均分子量2500、重量平均分子量6190、Tg48℃、酸価25.2であった。
【0096】
(油相の作成)
製造例13
撹拌棒および温度計をセットした容器に、[低分子ポリエステル4]378部、カルナバWAX110部、CCA(サリチル酸金属錯体E−84:オリエント化学工業)22部、酢酸エチル947部を仕込み、撹拌下80℃に昇温し、80℃のまま5時間保持した後、1時問で30℃に冷却した。次いで容器に[マスターバッチ1]500部、酢酸エチル500部を仕込み、1時間混合し[原料溶解液4]を得た。
[原料溶解液4]1324部を容器に移し、ビーズミル(ウルトラビスコミル、アイメックス社製)を用いて、送液速度1kg/hr、ディスク周速度6m/秒、0.5mmジルコニアビーズを80体積%充填、3パスの条件で、カーボンブラック、WAXの分散を行った。次いで、[低分子ポリエステル4]の65%酢酸エチル溶液1324部加え、上記条件のビーズミルで1パスし、[顔料・WAX分散液4]を得た。[顔料・WAX分散液4]の固形分濃度(130℃、30分)は49%であった。
【0097】
実施例1での[顔料・WAX分散液1]の代わりに[顔料・WAX分散液4]を使用した以外は実施例1と同様にして体積平均粒径Dv4.85μm、個数平均粒径Dn4.12μm、Dv/Dn1.18、SF−1:154、SF−2:138の[トナー8]を得た。
【0098】
[実施例9]
実施例1での[顔料・WAX分散液1]の代わりに[顔料・WAX分散液4]を使用し、超音波アルカリ洗浄を1回にした以外は実施例9と同様にして体積平均粒径Dv5.11μm、個数平均粒径Dn4.22μm、Dv/Dn1.21、SF−1:159、SF−2:146の[トナー9]を得た。
【0099】
[比較例1]
イオン交換水709gに0.1M−Na3PO4水溶液451gを投入し60℃に加温した後、TKホモミキサーを用いて12,000rpmにて撹拌した。これに1.0M−CaCl2水溶液68gを徐々に添加し、Ca3(PO4)2を含む水系媒体を得た。スチレン170g、2−エチルヘキシルアクリレート30g、リ−ガル400R10g、パラフィンワックス(s.p.70℃)60g、ジ−tert−ブチルサリチル酸金属化合物5g、スチレン−メタクリル酸共重合体(Mw5万、酸価20mgKOH/g)10gをTK式ホモミキサーに投入、60℃に加温し、12,000rpmにて均一に溶解、分散した。これに、重合開始剤、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)10gを溶解し、重合性単量体系を調製した。前記水系媒体中に上記重合性単量体系を投入し、60℃、N2雰囲気下において、TKホモミキサーにて10,000rpmで20分間撹拌し、重合性単量体系を造粒した。その後、パドル撹拌翼で撹拌しつつ、60℃で3時間反応させた後、液温を80℃とし、10時間反応させた。重合反応終了後冷却し、塩酸を加えリン酸カルシウムを溶解させた後、濾過、水洗、乾燥をして、体積平均粒径Dv6.30μm、個数平均粒径Dn5.65μm、Dv/Dn1.12、SF−1:190、SF−2:125の〔トナー10〕を得た。
【0100】
[比較例2]
(ワックス粒子水性分散液の調製)
製造例14
1000mlの攪拌装置、温度センサー、窒素導入管及び冷却管付き4頭コルベンに脱気した蒸留水500mlにニューコール565C(日本乳化剤社製)28.5g、キャンデリアワックスNo.1(野田ワックス社製)185.5gを添加し窒素気流下攪拌を行いつつ、温度を昇温した。内温85℃の時点で5N−水酸化ナトリウム水溶液を添加しそのまま75℃まで昇温した後、そのまま1時間加熱攪拌を続け、室温まで冷却し〔ワックス粒子水性分散液1〕を得た。
【0101】
(着色剤水性分散液の調製)
カーボンブラック(商品名:モーガルL、キャボット社製)100g、ドデシル硫酸ナトリウム25gを蒸留水540mlに添加し、十分攪拌を行った後、加圧型分散機(MINI−LAB:ラーニー社製)を用い、分散を行い〔着色剤分散液I〕を得た。
【0102】
(バインダー微粒子水性分散液の合成)
製造例15
攪拌装置、冷却管、温度センサー及び窒素導入管を装着した1Lの4頭コルベンに蒸留水480ml、ドデシル硫酸ナトリウム0.6g、スチレン106.4g、n−ブチルアクリレート43.2g、メタクリル酸10.4gを添加し攪拌を行いながら窒素気流下70℃まで昇温した。ここで過硫酸カリウム2.1gを120mlの蒸留水に溶解した開始剤水溶液を添加し、窒素気流下70℃、3時間攪拌を行い、重合を完結させた後室温まで冷却し、〔高分子量バインダー微粒子分散液1〕を得た。
攪拌装置、冷却管、温度センサー及び窒素導入管を装着した5Lの4頭コルベンに蒸留水2400ml、ドデシル硫酸ナトリウム2.8g、スチレン620g、n−ブチルアクリレート128g、メタクリル酸52g及びtert−ドデシルメルカプタン27.4gを添加し攪拌を行いながら窒素気流下70℃まで昇温した。ここで過硫酸カリウム11.2gを600mlの蒸留水に溶解した開始剤水溶液を添加し、窒素気流下70℃、3時間攪拌を行い、重合を完結させた後室温まで冷却し、〔低分子量バインダー微粒子分散液2〕を得た。
【0103】
(トナーの合成)
製造例16
攪拌装置、冷却管、温度センサーを備えた1Lセパラブルフラスコに、〔高分子量バインダー微粒子分散液1〕47.6g、〔低分子量バインダー微粒子分散液2〕190.5g、〔ワックス粒子水性分散液1〕を7.7g、〔着色剤分散液I〕を26.7g及び蒸留水252.5mlを加え混合攪拌した後、5N−水酸化ナトリウム水溶液を用いpH=9.5に調節を行った。更に攪拌下、塩化ナトリウム50gを蒸留水600mlに溶解した塩化ナトリウム水溶液、イソプロパノール77ml及びフルオラードFC−170C(住友3M社製:フッ素系ノニオン界面活性剤)10mgを10mlの蒸留水に溶解した界面活性剤水溶液を順次添加し、内温を85℃まで上昇させ6時間反応を行った後、室温まで冷却した。この反応液を5N−水酸化ナトリウム水溶液を用いpH=13に調整した後、濾過を行い、更に蒸留水に再懸濁を行い濾過、再懸濁を繰り返し、洗浄を行った後乾燥し、体積平均粒径Dv6.52μm、個数平均粒径Dn5.31μm、Dv/Dn1.23、SF−1:160、SF−2:152の〔トナー11〕を得た。
【0104】
[比較例3]
(顔料の分散液の調製)
製造例17
n−ドデシル硫酸ナトリウム0.9重量部と、イオン交換水10重量部とを樹脂容器に仕込み、攪拌してn−ドデシル硫酸ナトリウムの水溶液を調製した。この水溶液を攪拌しながら、カーボンブラック:リーガル400R(キャボット社製)1.2重量部を徐々に添加した。添加後1時間攪拌し、次いで、サンドグラインダーを用い、カーボンブラックの分散処理を20時間にわたり連続して行うことにより、〔顔料分散液(C−1)〕を得た。
【0105】
(界面活性剤の水溶液の調製)
アニオン系の界面活性剤であるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.055重量部と、イオン交換水4重量部とをステンレスポットに仕込み、この系を室温で攪拌することにより〔調製例(S−1)〕を得た。また、ノニオン系の界面活性剤「ニューコール565C」(日本乳化剤社製)0.014重量部と、イオン交換水4重量部とをステンレスポットに仕込み、この系を室温で攪拌することにより、〔調製例(S−2)〕を得た。さらに、ノニオン系の界面活性剤「FC−170C」(住友スリーエム社製)1重量部と、イオン交換水1000重量部とをガラスビーカーに仕込み、この系を室温で攪拌することにより、〔調製例(S−3)〕を得た。
【0106】
(重合開始剤の水溶液の調製)
製造例18
重合開始剤である過硫酸カリウム(関東化学社製)200.7重量部と、イオン交換水12000重量部とをホウロウポットに仕込み、この系を室温で攪拌することにより、〔調製例(P−1)〕を得た。また、重合開始剤である過硫酸カリウム(関東化学社製)223.8重量部と、イオン交換水12000重量部とをホウロウポットに仕込み、この系を室温で攪拌することにより、〔調製例(P−2)〕を得た。
【0107】
(塩化ナトリウムの水溶液の調製)
塩析剤である塩化ナトリウム(和光純薬社製)5.36重量部と、イオン交換水20重量部とをステンレスポットに仕込み、この系を室温で攪拌することにより、〔塩化ナトリウム溶液(N)〕を得た。
【0108】
(複合樹脂微粒子の分散液の製造)
製造例19
温度センサ、冷却管、窒素導入装置および攪拌翼を備え、ガラスライニング処理が内面に施された内容積100Lの反応釜に、〔調製液(S−1)〕4Lと、〔調製液(S−2)〕4Lとを仕込み、この系を室温で攪拌しながら、イオン交換水44Lを添加し、この系を加熱した。系の温度が70℃になったところで、〔調製液(P−1)〕12Lを添加し、系の温度を72℃±1℃に制御しながら、スチレン12.1kgとアクリル酸n−ブチル2.88kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン9.02gとからなる単量体混合物(I)を添加し、この系の温度を80℃±1℃に制御しながら6時間にわたり攪拌を行った。系の温度が40℃以下となるまで冷却した後、この系に、〔調製液(S−1)〕4Lと、〔調製液(S−2)〕4Lとを添加し、この系を加熱した。系の温度が70℃になったところで、〔調製液(P−2)〕12Lを添加し、さらに、スチレン11kgとアクリル酸n−ブチル4kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン548gとからなる単量体混合物(II)を添加し、この系の温度を75℃±2℃に制御しながら6時間にわたり攪拌を行い、さらに、この系の温度を80℃±2℃に制御しながら12時間にわたり攪拌を行った。系の温度が40℃以下となるまで冷却して攪拌を停止した。ポールフィルターによりスケール(異物)を濾別除去することにより、高分子量樹脂を核とし、低分子量樹脂を殻とする複合樹脂微粒子(A)の分散液〔複合ラテックス(1−A)〕を得た。該複合樹脂微粒子(A)の高分子量樹脂(核)のピーク分子量は29,000、低分子量樹脂(殻)のピーク分子量は12,000、複合樹脂微粒子(A)の重量平均分子量は34,000であった。また、この複合樹脂微粒子(A)の重量平均粒径は150nm、ガラス転移点(Tg)は58℃、軟化点は121℃であった。
【0109】
温度センサ、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルおよび攪拌翼(ファウドラー翼)を備え、ガラスライニング処理が内面に施された内容積100Lの反応釜に、〔調製液(S−1)〕4Lと、〔調製液(S−2)〕とを仕込み、この系を室温で攪拌しながら、イオン交換水44Lを添加し、この系を加熱した。系の温度が70℃になったところで、〔調製液(P−1)〕12Lを添加し、さらに、スチレン11kgとアクリル酸n−ブチル4kgとメタクリル酸1.04kgとt−ドデシルメルカプタン9.02gとからなる単量体混合物を添加し、この系の温度を72℃±2℃に制御しながら6時間にわたり攪拌を行い、さらに、この系の温度を80℃±2℃に制御しながら12時間にわたり攪拌を行った。系の温度が40℃以下となるまで冷却して攪拌を停止した。ポールフィルターによりスケール(異物)を濾別除去することにより、樹脂微粒子(B)の分散液〔ラテックス(1−B)〕を得た。このラテックス(1−B)を構成する樹脂微粒子(B)のピーク分子量は310,000、重量平均分子量は190,000であった。また、この樹脂微粒子(B)の重量平均粒径は138nm、ガラス転移点(Tg)は58℃、軟化点は126℃であった。
【0110】
(トナー粒子の製造)
製造例20
温度センサ、冷却管、窒素導入装置、櫛形バッフルおよび攪拌翼(アンカー翼)を備えた内容積100Lのステンレス製の反応釜に、〔複合ラテックス(1−A)〕20kgと、〔顔料分散液(C−1)〕0.4kgと、イオン交換水20kgとを仕込み、この系を室温で攪拌した。系の温度を40℃まで加温し、塩化ナトリウム溶液(N)20Lと、イソプロピルアルコール(関東化学社製)6kgと、ノニオン系の界面活性剤「FC−170C」(住友スリーエム社製)1重量部と、イオン交換水1000重量部とをガラスビーカーに仕込み、この系を室温で攪拌することにより、〔調製液(S−3)〕を得た。〔調製液(S−3)〕1Lとを、この順に添加した。この系を10分間放置した後加熱を開始し、60分間かけて85℃まで昇温させ、85℃±2℃で1時間にわたり攪拌を行うことにより、複合樹脂微粒子(A)と着色剤微粒子とを塩析/融着させて着色粒子(コア粒子)を形成した。次いで、85℃±2℃の温度条件下で、〔ラテックス(1−B)〕5.2kgと、ワックスエマルジョン(数平均分子量3,000のポリプロピレンエマルジョン、数平均一次粒子径:120nm、固形分濃度:29.9重量%)3.41kgとを添加し、さらに、85℃±2℃で4.0時間にわたり攪拌を行うことにより、着色粒子(コア粒子)の表面に、樹脂微粒子(B)およびポリプロピレン微粒子を塩析/融着させることによって付着させた。系の温度が40℃以下となるまで冷却して攪拌を停止した後、目開き45μmのフィルターで凝集物を濾別除去することにより、トナー粒子の分散液を得た。次いで、この分散液を減圧濾過してウエットケーキ(トナー粒子の集合物)を得、これをイオン交換水で洗浄処理した。洗浄処理されたウエットケーキをヌッチェより取り出し、40℃の送風乾燥機で100時間かけて乾燥することにより、ブロック状のトナー粒子の集合物を得た。次いで、この集合物をヘンシェル粉砕機で解砕処理することにより、体積平均粒径Dv6.40μm、個数平均粒径Dn5.30μm、Dv/Dn1.21、SF−1:175、SF−2:135の〔トナー12〕を得た。
【0111】
[比較例4]
ポリビニルアルコール(「PVA−235」、(株)クラレ製)1部を水100部に溶解した。これを[水相2]とする。実施例1において、[水相1]の代わりに[水相2]を使用した以外は、実施例1と同様にして体積平均粒径Dv15.34μm、個数平均粒径Dn10.39μm、Dv/Dn1.48、SF−1:119、SF−2:225の[トナー13]を得た。
【0112】
[比較例5]
(有機微粒子エマルションの合成)
製造例21
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)11部、スチレン138部、メタクリル酸138部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液2]を得た。[微粒子分散液2]をLA−920で測定した体積平均粒径は、0.14μmであった。[微粒子分散液2]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは152℃:重量平均分子量は153000であった。
【0113】
(水相の調製)
製造例22
水990部、[微粒子分散液2]80部、ドデシルジフェニルェーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7):三洋化成工業製)40部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相3]とする。
【0114】
実施例1において、[水相1]の代わりに[水相3]を使用した以外は、実施例1と同様にして体積平均粒径Dv6.05μm、個数平均粒径Dn5.45μm、Dv/Dn1.11、SF−1:151、SF−2:144の[トナー14]を得た。
【0115】
前記のようにして得られた各トナー100部に疎水性シリカ0.7部と、疎水化酸化チタン0.3部をヘンシェルミキサーにて混合した。得られたトナー物性値については表1に示した。
外添剤処理を施したトナー5重量%とシリコーン樹脂を被覆した平均粒子径が40μmの銅−亜鉛フェライトキャリア95重量%からなる現像剤を調製し、毎分A4サイズの用紙を45枚印刷できるリコー製imagioNeo450を用いて、連続印刷して下記の基準で評価し、結果を表2に示した。
【0116】
(評価項目)
(a)粒径
トナーの粒径は、コールターエレクトロニクス社製の粒度測定器「コールターカウンターTAII」を用い、アパーチャー径100μmで測定した。体積平均粒径および個数平均粒径は上記粒度測定器により求めた。
(b)帯電量
現像剤6gを計量し、密閉できる金属円柱に仕込みブローして帯電量を求めた。トナー濃度は4.5〜5.5重量%に調整した。
(c)定着性
リコー製imagioNeo450を用いて、普通紙及び厚紙の転写紙(リコー製タイプ6200及びNBSリコー製複写印刷用紙<135>)にベタ画像で、1.0±0.1mg/cm2のトナーが現像される様に調整を行ない、定着ベルトの温度が可変となる様に調整を行なって、普通紙でオフセットの発生しない温度を、厚紙で定着下限温度を測定した。定着下限温度は、得られた定着画像をパットで擦った後の画像濃度の残存率が70%以上となる定着ロール温度をもって定着下限温度とした。この試験方法で定着可能な温度領域が140℃〜220℃を満たすトナーは定着装置の劣化、ユーザーの使用状況に影響されず、安定した定着画像が得られる。
またオフセットの発生する温度を測定した。
(d)形状係数SF−1、SF−2
SF−1及びSF−2とは、日立製作所FE−SEM(S−800)を用いてトナー像を無作為にサンプリングし、その画像情報をインターフェイスを介してニコレ社製の画像解析装置(Luzex3)に導入して解析を行い、下式より算出し得られた値である旨定義している。
SF−1=[(MXLNG)2/(AREA)]×(π/4)×100)…(1)
SF−2=[(PERI)2/(AREA)]×(1/4π)×100)…(2)
(ここで、AREAはトナー投影面積、MXLNGは絶対最大長、PERIは周長である。)
このトナーの形状係数SF−1は球形度合を示し、100から大きくなるにつれて球形から徐々に不定形となる。また、SF−2は凹凸度合を示し、100から大きくなるにつれてトナー表面の凹凸が顕著になる。
なお、形状測定に用いるSEM画像はSF−1では1000倍率SF−2では3500倍率を用いて行った。
(e)Tg測定法
Tgの測定方法について概説する。
Tgを測定する装置として、理学電機社製TG−DSCシステムTAS−100を使用した。
まず試料約10mgをアルミ製試料容器に入れ、それをホルダユニットにのせ、電気炉中にセットする。まず、室温から昇温速度10℃/minで150℃まで加熱した後、150℃で10min間放置、室温まで試料を冷却して10min放置、窒素雰囲気下で再度150℃まで昇温速度10℃/minで加熱してDSC測定を行う。
Tgは、TAS−100システム中の解析システムを用いて、Tg近傍の吸熱カーブの接線とベースラインとの接点から算出した。
(f)画像濃度
ベタ画像出力後、画像濃度をX−Rite(X−Rite社製)により測定した。これを単独に5点測定し平均を求めた。
(g)地肌汚れ
白紙画像を現像中に停止させ、現像後の感光体上の現像剤をテープ転写し、未転写のテープの画像濃度との差を938スペクトロデンシトメーター(X−Rite社製)により測定した。
(h)クリーニング性
清掃工程を通過した感光体上の転写残トナーをスコッチテープ(住友スリーエム(株)製)で白紙に移し、それをマクベス反射濃度計RD514型で測定し、ブランクとの差が0.01以下のものを○(良好)、それを越えるものを×(不良)スジ状に少し発生しているものを△として評価した。
(j)フィルミング
現像ローラまたは感光体上のトナーフィルミング発生状況の有無を観察した。○がフィルミングがなく、△はスジ上のフィルミングが見られ、×は全体的にフィルミングがある。
【0117】
【表1】
【0118】
【表2】
【0119】
トナー10、14については定着不良により連続印刷することができず、評価を中止した。トナー11、12については微量な定着不良を発生していたが、1万枚後では帯電低下による地汚れの悪化により連続印刷することができず、評価を中止した。
トナー13については粒径制御ができず、初期から地汚れが悪かったため、評価を中止した。
【0120】
[比較例6]
(乳化⇒異形化⇒脱溶剤)
[顔料・WAX分散液1]648部、[プレポリマー1]を154部、[ケチミン化合物1]6.6部を容器に入れ、TKホモミキサー(特殊機化製)で5,000rpmで1分間混合した後、容器に[水相1]1200部を加え、TKホモミキサーで、回転数13,000rpmで3分間混合し[乳化スラリー1]を得た。
撹拌機および温度計をセットした容器に、[乳化スラリー1]を投入し、15℃で1時間静置した後、30℃で酢酸エチル残量が4重量%なるように脱溶剤し、TKホモミキサーで、回転数16,000rpmで30分間撹拌した。その後、30℃で1時間脱溶剤を行い、[分散スラリー2]を得た。[分散スラリー2]は、体積平均粒径5.45μm、個数平均粒径4.55μm(マルチサイザーIIで測定)であった。
【0121】
実施例1での(乳化⇒異形化⇒脱溶剤)工程を上記のように変更した以外は実施例1と同様にしてDv/Dn 1.20、SF−1:231、SF−2:150の[トナー15]を得た。
【0122】
評価結果はスタート直後はクリーニング性も良く、満足される画像であったが、2千枚程度で地肌汚れ、現像ローラフィルミングが発生し、実験を終了した。これはSF−1が231と過度に異形化したため、現像装置内のハザードでトナーが折れてしまい、微粉化した。
【0123】
[比較例7]
(有機微粒子エマルションの合成)
製造例23
撹拌棒および温度計をセットした反応容器に、水683部、メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩(エレミノールRS−30、三洋化成工業製)11部、スチレン63部、メタクリル酸83部、アクリル酸ブチル130部、チオグリコール酸ブチル12部、過硫酸アンモニウム1部を仕込み、400回転/分で15分間撹拌したところ、白色の乳濁液が得られた。加熱して、系内温度75℃まで昇温し5時間反応させた。さらに、1%過硫酸アンモニウム水溶液30部加え、75℃で5時間熟成してビニル系樹脂(スチレン−メタクリル酸−アクリル酸ブチル−メタクリル酸エチレンオキサイド付加物硫酸エステルのナトリウム塩の共重合体)の水性分散液[微粒子分散液3]を得た。[微粒子分散液3]をLA−920で測定した体積平均粒径は、0.13μmであった。[微粒子分散液3]の一部を乾燥して樹脂分を単離した。該樹脂分のTgは30℃、重量平均分子量は5000であった。
【0124】
(水相の調製)
製造例24
水990部、[微粒子分散液3]80部、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムの48.5%水溶液(エレミノールMON−7):三洋化成工業製)40部、酢酸エチル90部を混合撹拌し、乳白色の液体を得た。これを[水相4]とする。
【0125】
実施例1において、[水相1]の代わりに[水相4]を使用した以外は、実施例1と同様にして体積平均粒径Dv6.25μm、個数平均粒径Dn5.15μm、Dv/Dn1.21、SF−1:131、SF−2:132の[トナー16]を得た。
【0126】
評価結果はスタート直後はクリーニング性が悪く、異常画像が発生した。2千枚程度で地肌汚れ、現像ローラフィルミングが発生し、また、トナーボトル内でもブロッキングも発生し、実験を終了した。
これは現像装置内のハザードで熱が発生し、Tgが極端に低いため固化してしまった。
【0127】
【発明の効果】
本発明の静電荷像現像用トナーは、初期の印字品質が良好で、連続印字での画質の安定性にも優れ、安定したクリーニング性を有し、感光体、現像ローラ等に対するフィルミング汚染が防止された、低温定着性にも優れたトナーである。
また本発明により、上記トナーを含有する現像剤、該トナーを用いる現像方法、該トナーを収納したトナー容器、及び該トナー容器を装着した現像装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】トナー形状を説明するための図である。
【符号の説明】
r1 トナーの長軸
r2 トナーの短軸
r3 トナーの厚さ
Claims (16)
- 有機溶媒中に活性水素基を有する化合物と反応可能な変性ポリエステル系樹脂からなるトナーバインダー成分を含むトナー組成分を溶解又は分散させて形成した溶解又は分散物を、樹脂微粒子を含む水系媒体中で活性水素基を有する化合物と反応させ、得られた分散液から溶媒を除去し、かつトナー表面に付着した該樹脂微粒子を洗浄・脱離して得られたトナーであって、該樹脂微粒子のDSC測定によるガラス転移点(Tg)が50〜70℃であり、画像解析装置による該トナー粒子形状SF−1が140〜200であることを特徴とする静電荷像現像用トナー。
- 前記トナー中のバインダーが、前記変性ポリエステル系樹脂と共に、未変性ポリエステル系樹脂を含有し、該変性ポリエステル系樹脂と該未変性ポリエステル系樹脂との重量比が5/95〜80/20であることを特徴とする請求項1に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記トナー中のバインダーのガラス転移点(Tg)が、50〜70℃であることを特徴とする請求項1又は2に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記樹脂微粒子が、ビニル系樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂及びポリエステル樹脂の中から選ばれる少なくとも1種の樹脂からなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記樹脂微粒子の平均粒径が、5〜200nmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記樹脂微粒子の重量平均分子量が、10万以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記トナー粒子の体積平均粒径(Dv)が、4〜8μmであることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記トナー粒子の体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)の比であるDv/Dnが、1.10≦Dv/Dn≦1.25であることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記トナーが紡錘形状であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記トナーの紡錘形状が、短軸r2と長軸R1との比(r2/r1)が0.5〜0.8で、厚さr3と短軸r2との比(r3/r2)が0.7〜1.0であることを特徴とする請求項9に記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記分散液から溶媒を除去する工程が、少なくとも減圧および/又は加熱の条件下で行われることを特徴とする請求項1〜10のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 前記分散液から溶媒を除去する工程が、濾過により行われることを特徴とする請求項1〜11のいずれかに記載の静電荷像現像用トナー。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを含有することを特徴とする現像剤。
- トナーリサイクル機構を有する現像装置を用い、トナーとして請求項1〜12のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを用いることを特徴とする現像方法。
- 請求項1〜12のいずれかに記載の静電荷像現像用トナーを収納したことを特徴とするトナー容器。
- 請求項15に記載のトナー容器を装着したことを特徴とする現像装置。
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