JP3936517B2 - フルカラー電子写真装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、タンデム型電子写真方式の画像形成装置に関する。詳しくは、高速フルカラーの画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式を利用したフルカラー画像形成装置としては、一般的には2つの方式が知られている。1つはシングル方式あるいはシングルドラム方式と呼ばれるものであり、装置中に1つの電子写真感光体が搭載され、4色の現像部材が搭載されたものである。この方式においては、感光体上もしくは被転写部材(出力用の紙に直接、あるいは中間転写体に一旦転写され、その後に紙に転写される)に4色(シアン、マゼンタ、イエローおよびブラック)のトナー像が形成される。この場合、感光体の周りに配置される帯電部材、露光部材、転写部材、クリーニング部材、定着部材は共通化することが可能で、後述のタンデム方式に比べ、小型で、低コストに設計することが可能である。
【0003】
一方、もう1つの方式としてタンデム方式あるいはタンデムドラム方式と呼ばれるものがある。これは、少なくとも装置中に複数の電子写真感光体が搭載されたものである。一般的には、1本のドラムに対し、帯電、露光、現像、クリーニングの各部材が1つずつ配置され、1つの電子写真要素を形成し、これが複数個(一般的には4つ)搭載されている。この方式においては、1つの電子写真要素で1色のトナー像を形成し、順次、被転写体にトナー像を転写し、フルカラー像を形成する。この方式のメリットは、第1に高速画像形成が可能であることが挙げられる。これは上述のように、各色のトナー像を並列処理にて作製できるためである。このため、シングル方式に比べ、画像形成処理時間がおよそ4分の1の時間で済み、4倍の高速プリントに対応が可能になる。第2のメリットは、感光体をはじめとする前記電子写真要素中に具備された各部材の耐久性を実質的に高められるということである。これは、シングル方式においては、1本の感光体で4回の帯電、露光、現像の各工程を行ない、1つのフルカラー像を形成するのに対し、タンデム方式では上記動作を1本で1回しか行なわないからである。
【0004】
ところが、装置全体が大きくなってしまうという、またコストが高いものになってしまうというデメリットも併せ持っている。装置全体が大きくなる点に関しては、感光体を小径化し、感光体の周りに設置される各部材を小型化し、1つの電子写真要素を小さくすることで対応が行なわれてきた。これにより、装置の小型化のみならず材料費の低減といった効果も生じ、装置全体としての低コスト化も多少進んだ。しかしながら、装置のコンパクト化・小型化に伴い、電子写真要素に搭載された感光体を含めた各部材の耐久性を上げなければならないという、新しい課題も新たに発生した。
【0005】
このような課題に対し、無機系光導電材料の代表であるアモルファスシリコンを用いた画像形成装置も提案されているが、光導電層にアモルファスシリコンを用いた感光体は、帯電能が低く、シアン、マゼンタ、イエローの各色においてコントラストが得られないという問題点がある。この問題に対し、特開平10−333393号公報には、黒色トナー像を使用する感光体に特定の膜厚以上のアモルファスシリコン感光体を用い、他のカラー3色用としてOPC(有機感光体)を用いる技術が記載されている。この場合、アモルファスシリコン感光体の帯電能の低さをカバーするために、OPCとアモルファスシリコン感光体の帯電差を所定(200V)以下にコントロールして用いるものであった。また、特開平11−82599号公報には、黒色トナー像を使用する感光体に特定の膜厚以上のa−SiC光導電層からなるものを使用する技術が記載されている。この場合においても、黒色トナー像を使用する感光体の電位コントロールを行なうものであった。
【0006】
いずれもフルカラープリンタもしくは複写機において、出力される原稿のうち、モノクロ(黒色)印字の割合が多く、黒色トナー像を形成する感光体の耐久性を高めることで、実質的にシステム全体の耐久性を高めようとするものである。この考え方はコストを考慮した寿命設計上、極めてリーズナブルな考え方である。しかしながら、1つの画像形成装置中に複数個の画像形成要素を用い、お互いに光導電層が異なる感光体を設置すると、それぞれの特性差により所望通りの着色が得られない問題が発生する。この点に関しては、前記公報中にも記載がある。この点に関し、前記公報記載の技術は、特定の電位コントロールを行なうことにより、この欠点をカバーするものであった。
【0007】
しかしながら上記の技術では、画像形成装置の使用環境が変化した場合、感光体の特性が変化してしまい、必ずしも狙い通りのコントロールが得られない場合が存在する。また、特定の電位コントロールを行なう機能が必要になり、コスト高になってしまう。更に、2種類の感光体を用いることにより、感光体の製造コストが高くなる。特に、有機材料で形成されたOPCは、大量生産に向いた湿式塗工法により作製され、製造コストが比較的安価で済むことに比べ、アモルファスシリコンに代表わされる無機系の光導電層を有する感光体は、一般的に真空薄膜形成法により成膜されるため、非常に高価な設備を必要とし、バッチ方式になってしまうため、生産性が低いものになってしまう。
以上のような点に鑑み、フルカラータンデム型電子写真装置の低コストでの高耐久化が要望されるものであった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高耐久で繰り返し使用に対し安定な画像を形成可能で、かつ低コストな高速フルカラー用電子写真装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決しようとする手段】
前記の過去に行なわれてきた結果を踏まえ検討を重ねた結果、少なくとも低コスト、高速フルカラー対応、高耐久の3つの柱を満足するためには、以下の条件が必要不可欠であることがわかった。
すなわち、1.タンデム型電子写真装置(画像形成装置)を低コストで高耐久化するためには、耐久性の律速である黒トナー像を形成する画像形成要素の耐久性を向上することが必要である。具体的には、黒トナー像を形成する画像形成要素の寿命を、他の3色のカラートナー像を形成する画像形成要素の寿命の2倍程度に高めることが必要である。
2.電子写真装置の使用環境がいろいろ変化することに対応するためには、複数の画像形成要素の環境に対する特性の変化(特に帯電性と光減衰特性が重要)がほぼ同一である必要がある。
3.低コスト実現に関しては、材料及び製造コストの安い有機系光導電材料を用い、湿式塗工方法にて感光体を作製し、感光層そのものの静電的高耐久化も併せて発現させる必要がある。
上記の設計指針に基づき、タンデム型フルカラー電子写真装置に使用する画像形成要素の構成について検討した結果、複数の画像形成要素に搭載される感光体の感光層を有機光導電材料で構成し、複数本とも同一の構成にする。黒トナー像用画像形成要素に搭載される感光体の高耐久化を実現するために、黒トナー像用画像形成要素に搭載される感光体の感光層上に保護層を積層する。この際、用いる保護層を設けた感光体は、初期及び繰り返し使用時における光減衰特性および帯電性が保護層なしの感光体と互換性があることが重要である。
また、黒色及び黒色以外のトナー画像用感光体に用いられる電荷発生物質が共通であることは、低コスト化に加えて、初期及び繰り返し使用後の光減衰特性や帯電性の安定性、環境特性の安定などに対し有利である。特に前記一般式(XI)で表わされるアゾ顔料や特定の結晶型を有するチタニルフタロシアニンは高感度で耐久性が高いため、本画像形成装置には有効に用いることができる。
以上の構成用件を満足させることにより、低コストで高耐久・高安定なタンデム型電子写真装置を設計できることがわかり、本発明を完成するに至った。
【0010】
したがって、上記課題は、本発明の(1)「少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、および電子写真感光体を具備してなる画像形成要素を複数配列したフルカラー画像形成装置であって、前記複数の画像形成要素のうち、黒色トナー像を形成する画像形成要素に搭載された感光体にのみ、最表層に保護層を有することを特徴とするフルカラー電子写真装置」、(2)「前記フルカラー電子写真装置のすべての画像形成要素に搭載された感光体の感光層が、有機系感光層であることを特徴とする前記第(1)項に記載のフルカラー電子写真装置」、(3)「前記フルカラー電子写真装置のすべての画像形成要素に搭載された感光体の感光層が、同一の構成であることを特徴とする前記第(1)項または第(2)項に記載のフルカラー電子写真装置」、(4)「前記有機電荷発生物質が、アゾ顔料もしくはフタロシアニン顔料であることを特徴とする前記第(3)項に記載のフルカラー電子写真装置」、(5)「前記アゾ顔料が下記(XI)式で表わされるアゾ顔料であることを特徴とする前記第(4)項に記載のフルカラー電子写真装置
【0011】
【化3】
(式中、Cp1、Cp2はカップラー残基を表わす。R201、R202はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基のいずれかを表わし、同一でも異なっていてもよい。また、Cp1、Cp2は下記(XII)式で表わされ、)
【0012】
【化4】
(式中、R203は、水素原子、メチル基、エチル基などのアルキル基、フェニル基などのアリール基を表わす。R204、R205、R206、R207、R208はそれぞれ、水素原子、ニトロ基、シアノ基、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素などのハロゲン原子、トリフルオロメチル基、メチル基、エチル基などのアルキル基、メトキシ基、エトキシ基などのアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、水酸基を表わし、Zは置換もしくは無置換の芳香族炭素環または置換もしくは無置換の芳香族複素環を構成するのに必要な原子群を表わす。)」、(6)「前記アゾ顔料のCp1、Cp2が互いに異なるものであることを特徴とする前記第(5)項に記載のフルカラー電子写真装置」、(7)「前記フタロシアニン顔料がチタニルフタロシアニン顔料であることを特徴とする前記第(4)項に記載のフルカラー電子写真装置」、(8)「前記チタニルフタロシアニンが、CuKαの特性X線(波長1.514Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2°)として、少なくとも27.2°に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンであることを特徴とする前記第(7)項に記載のフルカラー電子写真装置」によって解決される。
【0013】
また、上記課題は、本発明の(9)「前記フルカラー電子写真装置の黒色トナー像を形成する画像形成要素に搭載された感光体が、保護層を有しかつ該保護層が、フィラーを含有したことを特徴とする前記第(1)項乃至第(8)項の何れか1に記載のフルカラー電子写真装置」、(10)「前記フルカラー電子写真装置の黒色トナー像を形成する画像形成要素に搭載された感光体の保護層が、電荷輸送物質を含有したことを特徴とする前記第(9)項に記載のフルカラー電子写真装置」、(11)「前記フルカラー電子写真装置の黒色トナー像を形成する画像形成要素に搭載された感光体の保護層に含有される電荷輸送物質が、高分子電荷輸送物質であることを特徴とする前記第(10)項に記載のフルカラー電子写真装置」、(12)「前記フルカラー電子写真装置の黒色トナー像を形成する画像形成要素に搭載された感光体の保護層に含有される高分子電荷輸送物質が、少なくともトリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートであることを特徴とする前記第(11)項に記載のフルカラー電子写真装置」、(13)「前記感光体に用いられる支持体が円筒状の支持体であり、円筒状支持体の外径が40mm以下であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(12)項の何れか1に記載のフルカラー電子写真装置」、(14)「前記フルカラー電子写真装置において、画像露光がLDあるいはLEDによって感光体上に静電潜像の書き込みが行なわれる、いわゆるデジタル方式の電子写真装置であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(13)項の何れか1に記載のフルカラー電子写真装置」、(15)「前記フルカラー電子写真装置のすべての画像形成要素に搭載された帯電手段が感光体に対し、接触もしくは近接配置されたものであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(14)項の何れか1に記載のフルカラー電子写真装置」、(16)「前記フルカラー電子写真装置において、前記帯電部材に対し直流成分に交流成分を重畳した電圧を印可することにより、感光体に帯電を与えることを特徴とする前記第(1)項乃至第(15)項の何れか1に記載のフルカラー電子写真装置。」により解決される。
【0014】
【発明の実施の形態】
次に図面を用いて本発明の電子写真装置を詳しく説明する。
図1は、本発明の電子写真装置を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図1において、ドラム状の感光体(1C),(1M),(1Y),(1K)は図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に回転手段としての帯電部材(2C),(2M),(2Y),(2K)、現像手段としての現像部材(4C),(4M),(4Y),(4K)、クリーニング手段としてのクリーニング部材(5C),(5M),(5Y),(5K)が配置されている。帯電部材(2C),(2M),(2Y),(2K)は、感光体表面を均一に帯電するための帯電装置を構成する帯電部材である。この帯電部材(2C),(2M),(2Y),(2K)と現像部材(4C),(4M),(4Y),(4K)の間の感光体表面に図示しない画像露光手段としての露光部材からのレーザー光(3C),(3M),(3Y),(3K)が照射され、感光体(1C),(1M),(1Y),(1K)に静電潜像が形成されるようになっている。そして、このような感光体(1C),(1M),(1Y),(1K)を中心とした4つの画像形成要素(6C),(6M),(6Y),(6K)が、転写材搬送手段である転写搬送ベルト(10)に沿って並置されている。転写搬送ベルト(10)は各画像形成ユニット(6C),(6M),(6Y),(6K)の現像部材(4C),(4M),(4Y),(4K)とクリーニング部材(5C),(5M),(5Y),(5K)の間で感光体(1C),(1M),(1Y),(1K)に当接しており、転写搬送ベルト(10)の感光体側の裏側に当たる面(裏面)には転写バイアス(電圧)を印加するための転写ブラシ(11C),(11M),(11Y),(11K)が配置されている。各画像形成要素(6C),(6M),(6Y),(6K)は現像装置内部のトナーの色が異なるのと、本発明に係わる黒トナー像形成用感光体(1K)が他の感光体と構成が異なる((1C),(1M),(1Y)の感光体の感光層上に保護層を積層)だけで、その他は全て同様の構成となっている。
【0015】
図1に示す構成のカラー電子写真装置において、画像形成動作は次のようにして行なわれる。まず、各画像形成要素(6C),(6M),(6Y),(6K)において、感光体(1C),(1M),(1Y),(1K)が矢印方向(感光体と連れ周り方向)に回転する帯電部材(2C),(2M),(2Y),(2K)により帯電され、次に露光部でレーザー光(3C),(3M),(3Y),(3K)により、作成する各色の画像に対応した静電潜像が形成される。次に現像部材(4C),(4M),(4Y),(4K)により潜像を現像してトナー像が形成される。現像部材(4C),(4M),(4Y),(4K)は、それぞれC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)のトナーで現像を行なう現像部材で、4つの感光体(1C),(1M),(1Y),(1K)上で作られた各色のトナー像は転写紙上で重ねられる。転写紙(7)は給紙コロ(8)によりトレイから送り出され、一対のレジストローラ(9)で一旦停止し、上記感光体上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト(10)に送られる。転写搬送ベルト(10)上に保持された転写紙(7)は搬送されて、各感光体(1C),(1M),(1Y),(1K)との当接位置(転写部)で各色トナー像の転写が行なわれる。感光体上のトナー像は、転写ブラシ(11C),(11M),(11Y),(11K)に印加された転写バイアスと感光体(1C),(1M),(1Y),(1K)との電位差から形成される電界により、転写紙(7)上に転写される。そして4つの転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた記録紙(7)は定着装置(12)に搬送され、トナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。また、転写部で転写されずに各感光体(1C),(1M),(1Y),(1K)上に残った残留トナーは、クリーニング装置(5C),(5M),(5Y),(5K)で回収される。なお、図1の例では各画像形成要素は転写紙搬送方向上流側から下流側に向けてC(シアン),M(マゼンタ),Y(イエロー),K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものではなく、色順は任意に設定されるものである。また、黒色のみの原稿を作成する際には、黒色以外の画像形成要素((6C),(6M),(6Y))が停止するような機構を設けることは、本発明に特に有効に利用できる。更に、図1において帯電部材は感光体と当接しているが、両者の間に適当なギャップ(10〜200μm程度)を設けてやることにより、両者の摩耗量が低減できると共に、帯電部材へのトナーフィルミングが少なくて済み、良好に使用できる。
【0016】
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、各々の電子写真要素はプロセスカートリッジの形でそれらの装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等を含んだ1つの装置(部品)である。
【0017】
以下、本発明に用いられる電子写真感光体を図面に沿って説明する。
図2〜4は、本発明の黒以外のトナー像形成用電子写真要素に搭載される電子写真感光体を表わす断面図である。
図2は、導電性支持体(31)上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする単層感光層(33)が設けられている。
図3、4は、本発明の電子写真感光体の別の構成例を示す断面図であり、電荷発生材料を主成分とする電荷発生層(35)と、電荷輸送材料を主成分とする電荷輸送層(37)とが、積層された構成をとっている。
図5〜7は、本発明の黒トナー像形成用電子写真要素に搭載される電子写真感光体を表わす断面図である。それぞれ図2〜4に示される感光層に対応して、感光層表面上に保護層(39)が設けられてなる。
【0018】
先に、黒以外のトナー像を形成する画像形成要素に搭載する感光体について説明する。
導電性支持体(31)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体(31)として用いることができる。
【0019】
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性支持体(31)として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などがあげられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂があげられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
【0020】
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロンなどの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体(31)として良好に用いることができる。更に本発明は、感光体の支持体が小径の円筒状の場合に有効に効果が発揮される。特に、前記支持体の外径が40mm以下の場合に有用である。
【0021】
次に感光層について説明する。感光層は単層でも積層でもよいが、説明の都合上、先ず図3に示される電荷発生層(35)と電荷輸送層(37)で構成される場合から述べる。
【0022】
電荷発生層(35)は、電荷発生物質を主成分とする層である。電荷発生層(35)には、公知の電荷発生物質を用いることが可能であり、その代表として、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系染料、他のフタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩系染料等が挙げられ用いられる。これら電荷発生物質は単独でも、2種以上混合してもかまわない。
電荷発生層(35)は、必要に応じて結着樹脂とともに適当な溶剤中に、ボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
特に前記一般式(XI)で表わされるアゾ顔料や特定の結晶型を有するチタニルフタロシアニンは、高感度で耐久性が高いため、本画像形成装置には有効に用いることができる。
【0023】
必要に応じて電荷発生層(35)に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。
【0024】
ここで用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられるが、特にケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が良好に使用される。塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。
電荷発生層(35)の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
黒色及び黒色以外のトナー画像用感光体に用いられる電荷発生物質が共通であることは、低コスト化に加えて、初期及び繰り返し使用後の光減衰特性や帯電性の安定性、環境特性の安定などに対し有利である。
【0025】
電荷輸送層(37)は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
【0026】
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
【0027】
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等、その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
【0028】
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0029】
電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は5〜100μm程度とすることが好ましい。ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。
【0030】
本発明の感光体において、電荷輸送層(37)中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂に対して0〜30重量%程度が適当である。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいは、オリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂に対して、0〜1重量%が適当である。
【0031】
次に感光層が単層感光層(33)の場合について述べる。上述した電荷発生物質を結着樹脂中に分散した感光体が使用できる。単層感光層は、電荷発生物質および電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。さらに、この感光層には上述した電荷輸送材料を添加した機能分離タイプとしてもよく、良好に使用できる。また、必要により、可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
【0032】
結着樹脂としては、先に電荷輸送層(37)で挙げた結着樹脂をそのまま用いるほかに、電荷発生層(35)で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。もちろん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。単層感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を必要ならば電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコートなどで塗工して形成できる。単層感光層の膜厚は、5〜100μm程度が適当である。
【0033】
本発明の感光体においては、導電性支持体(31)と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
【0034】
これらの下引き層は前述の感光層の如く適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Al2O3を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0035】
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、各層に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質およびレベリング剤を添加することができる。これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
【0036】
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(a)フェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n-オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]クリコールエステル、トコフェロ−ル類など。
【0037】
(b)パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
【0038】
(c)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
【0039】
(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネートなど。
【0040】
(e)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
【0041】
各層に添加できる可塑剤として、例えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(a)リン酸エステル系可塑剤
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニルなど。
【0042】
(b)フタル酸エステル系可塑剤
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなど。
【0043】
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなど。
【0044】
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルなど。
【0045】
(e)脂肪酸エステル誘導体
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリンなど。
【0046】
(f)オキシ酸エステル系可塑剤
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなど。
【0047】
(g)エポキシ可塑剤
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシルなど。
【0048】
(h)二価アルコールエステル系可塑剤
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなど。
【0049】
(i)含塩素可塑剤
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなど。
【0050】
(j)ポリエステル系可塑剤
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなど。
【0051】
(k)スルホン酸誘導体
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミドなど。
【0052】
(l)クエン酸誘導体
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシルなど。
【0053】
(m)その他
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチルなど。
【0054】
各層に添加できる滑剤としては、例えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(a)炭化水素系化合物
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレンなど。
【0055】
(b)脂肪酸系化合物
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸など。
【0056】
(c)脂肪酸アミド系化合物
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミドなど。
【0057】
(d)エステル系化合物
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなど。
【0058】
(e)アルコール系化合物
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロールなど。
【0059】
(f)金属石けん
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなど。
【0060】
(g)天然ワックス
カルナウバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウなど。
【0061】
(h)その他
シリコーン化合物、フッ素化合物など。
【0062】
各層に添加できる紫外線吸収剤として、例えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(a)ベンゾフェノン系
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンなど。
【0063】
(b)サルシレート系
フェニルサルシレート、2,4ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル4ヒドロキシベンゾエートなど。
【0064】
(c)ベンゾトリアゾール系
(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ3’−ターシャリブチル5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール。
【0065】
(d)シアノアクリレート系
エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル2−カルボメトキシ3(パラメトキシ)アクリレートなど。
【0066】
(e)クエンチャー(金属錯塩系)
ニッケル(2,2’チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートなど。
【0067】
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど。
【0068】
次に、黒トナー像形成用電子写真要素に搭載される感光体について説明する。黒トナー像形成用の感光体においては、感光層保護の目的で、前述の黒以外のトナー像形成に用いられる感光体の感光層上に保護層(39)が設けられる。この場合、感光層が全く共通でなくともよいが、感光層を共通化することで、繰り返し使用における疲労特性および環境特性がそろえやすいという利点と、コストも抑えることができるという利点を有するため、有利である。
【0069】
本発明の保護層に求められる機能としては、少なくとも機械的耐久性(耐摩耗性)が高いという点にある。この際、保護層を設けない感光体と初期並びに繰り返し使用後の感光体特性あるいは画像特性に互換性があるということは重要なことである。
【0070】
この点を鑑みると、保護層に求められる特性としては、
i)画像書き込み光の透過性がよいこと
ii)電荷のトラップが少ないこと
iii)画像ボケ等の異常画像を起こさないこと
等が挙げられる。
【0071】
画像書き込み光の透過性に関しては、光透過性が低下すると感光層への光量が低下し、結果として光減衰特性が変わってしまうことになる。透過性は、保護層の膜厚、フィラー含有量、フィラー粒径などにより決定されるが、画像光の透過率に関しては限りなく100%に近い方が望ましいが、少なくとも80%以上の透過率が好ましい。保護層の膜厚に関しては、1〜10μm程度が適切であるが、感光体を使用するプロセスにおける摩耗速度と設定寿命により、最適な膜厚を設定することが望ましい。フィラー含有量に関しては、高いほど耐摩耗性が向上するが、高すぎると静電特性に悪影響を及ぼしたり、逆に成膜性が低下する場合が存在する。従って、適正な含有量を設定する必要があるが、およそ保護層の全固形分に対して5〜40重量%程度が適当である。フィラー粒径としては、大きい方が耐摩耗性が向上するものの、大きすぎた場合には成膜性が低下したり、画像光の透過率が低下したりする。後述のように、平均粒径として1μm以下が好ましく、更に好ましくは0.5μm以下である。
【0072】
電荷トラップに関しては、トラップが多い場合には残留電位が発生し、露光部電位の上昇につながる。これを回避するためには不用意な極性基等を有する材料を使用しない、フィラー表面の活性部位を表面処理等により修飾しておく等が挙げられる。また、積極的に電荷のパスを増やす方法によっても相対的に残留電位増大を防止できる。具体的には保護層への電荷輸送物質の添加であり、詳細は後述する。
【0073】
異常画像に関しては、いくつかの種類があるが、主たる2つを挙げることができる。
1つは、残留電位上昇に基づくネガポジ現像での画像低下であり、前述の方法にて防止することが可能である。もう一方は、画像ボケ(解像度低下)が挙げられる。これは、感光体が使用されるプロセス中の反応性ガス(オゾン、NOxなど)に起因する低抵抗物質の感光体表面への付着の場合と、感光体表面もしくは表面近傍のバルク低抵抗成分の影響による場合がある。前者に関しては、使用プロセス側の改良により反応性ガス等の発生量を減らす改良(感光体周りの気流設計、ドラムヒーターの採用、接触帯電部材の使用など)で対応可能である。後者に関しては、本願のように感光層を有機系の感光層とした場合には、無機系の感光層を用いる過去のプロセスの場合に比べ、この影響は大きい。このことは以下のように推定される。1つは帯電の極性の違いであり、ほとんどの無機感光体は正帯電で使用される。正帯電は負帯電の場合に比べ、反応性ガスの発生量が1桁程度少ないとの報告もなされており、この影響は無視できないものであると考えられる。また、感光層の誘電率、抵抗も有機系と無機系とでは大きく異なり、これに対応して保護層の構成も変えていく必要がある。特に大きく変える必要があるのは使用するフィラーの物性である。
【0074】
無機系の場合には、比較的抵抗の小さなフィラーを用い、帯電を感光体表面ではなく、保護層内部もしくは下層である感光体表面に行なっていた。有機系感光体にこの構成を適用すると、画像ボケ(解像度低下)が著しいものになる。これはこの構成の保護層と有機系感光体とのマッチング性が悪いといえるのであるが、無機系感光体がドット書き込みのようなデジタル用感光体としての使われ方がなされていなかったこともこの問題を顕在化させなかった原因の1つであるかもしれない。この問題に対しては、フィラーの抵抗に大きいものを用いることが有効であり、具体的には比抵抗が1010・Ωcm以上のものを用いることが有効である。より具体的には、比抵抗が1010・Ωcm以上の無機顔料、中でも比抵抗が1010・Ωcm以上の金属酸化物、中でも比抵抗が1010・Ωcm以上のシリカ、アルミナ、酸化チタンが有効に使用される。
【0075】
保護層(39)に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。また、保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的でフィラー材料が添加される。有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。特に、フィラーの高度の点からは、この中でも無機材料を用いることが有利である。特に、シリカ、酸化チタン、アルミナが有効に使用できる。
【0076】
更に、画像ボケが発生しにくいフィラーとしては、電気絶縁性が高いフィラー(比抵抗が1010Ω・cm以上)が好ましく、フィラーのpHが5以上を示すものやフィラーの誘電率が5以上を示すものが特に有効に使用できる。また、pHが5以上のフィラーあるいは誘電率が5以上のフィラーを単独で使用することはもちろん、pHが5以下のフィラーとpHが5以上のフィラーとを2種類以上を混合したり、誘電率が5以下のフィラーと誘電率が5以上のフィラーとを2種類以上混合したりして用いることも可能である。また、これらのフィラーの中でも高い絶縁性を有し、熱安定性が高い上に、耐摩耗性が高い六方細密構造であるα型アルミナは、画像ボケの抑制や耐摩耗性の向上の点から特に有用である。
【0077】
更に、これらのフィラーは少なくとも一種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、そうすることがフィラーの分散性の面から好ましい。フィラーの分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤すべてを使用することができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸等、あるいはこれらとシランカップリング剤との混合処理や、Al2O3、TiO2、ZrO2、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理がフィラーの分散性及び画像ボケの点からより好ましい。シランカップリング剤による処理は、画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことにより、その影響を抑制できる場合がある。表面処理量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、3〜30wt%が適しており、5〜20wt%がより好ましい。表面処理量がこれよりも少ないとフィラーの分散効果が得られず、また多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こす。これらフィラー材料は単独もしくは2種類以上混合して用いられる。
【0078】
なお、表面層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。これらフィラー材料は、適当な分散機を用いることにより分散できる。また、フィラーの平均粒径は、1μm以下、好ましくは0.5μm以下にあることが表面層の透過率の点から好ましい。
なお、保護層を積層した場合に、他の保護層を積層していない感光体と特性をそろえることの重要性は先に述べたとおりである。
【0079】
また、保護層には電荷輸送物質を用いることができ、保護層を積層することによる残留電位の上昇を抑える等の点で、有効な手段である。電荷輸送物質としては、先の電荷輸送層の説明に挙げたような材料を使用することができる。正孔輸送物質と電子輸送物質との使い分けに関しては、帯電の極性と層構成により適当な選択をすることが好ましい。
【0080】
また、保護層には電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂の機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これら高分子電荷輸送物質から構成される保護層は耐摩耗性および正孔輸送特性に優れたものである。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、一般式(I)〜(X)式で表わされる高分子電荷輸送物質が良好に用いられ、これらを以下に例示し、具体例を示す。
【0081】
【化5】
式中、R1,R2,R3はそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、R4は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R5,R6は置換もしくは無置換のアリール基、o,p,qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k,jは組成を表わし、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表わし、5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、または下記一般式で表わされる2価基を表わす。
【0082】
【化6】
式中、R101,R102は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表わす。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−,−S−,−SO−,−SO2−,−CO−,−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表わす。)または、
【0083】
【化7】
(式中、aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表わす。)を表わす。ここで、R101とR102,R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。
【0084】
【化8】
式中、R7,R8は置換もしくは無置換のアリール基、Ar1,Ar2,Ar3は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。
【0085】
【化9】
式中、R9,R10は置換もしくは無置換のアリール基、Ar4,Ar5,Ar6は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。
【0086】
【化10】
式中、R11,R12は置換もしくは無置換のアリール基、Ar7,Ar8,Ar9は同一又は異なるアリレン基、pは1〜5の整数を表わす。X,k,jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。
【0087】
【化11】
式中、R13,R14は置換もしくは無置換のアリール基、Ar10,Ar11,Ar12は同一又は異なるアリレン基、X1,X2は置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表わす。X,k,jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。
【0088】
【化12】
式中、R15,R16,R17,R18は置換もしくは無置換のアリール基、Ar13,Ar14,Ar15,Ar16は同一又は異なるアリレン基、Y1,Y2,Y3は単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わし、同一であっても異なってもよい。X,k,jおよびnは、一般式(I)式の場合と同じである。
【0089】
【化13】
式中、R19,R20は水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表わし、R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17,Ar18,Ar19は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。
【0090】
【化14】
式中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、Ar20,Ar21,Ar22,Ar23は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。
【0091】
【化15】
式中、R22,R23,R24,R25は置換もしくは無置換のアリール基、Ar24,Ar25,Ar26,Ar27,Ar28は同一又は異なるアリレン基を表わす。 X,k,jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。
【0092】
【化16】
式中、R26,R27は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29,Ar30,Ar31は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、一般式(I)の場合と同じである。
【0093】
保護層の形成法としては通常の塗布法が採用される。なお保護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。また、以上のほかに真空薄膜作成法にて形成したa−C、a−SiCなど公知の材料を保護層として用いることができるが、コストの点ではあまり得策ではない。また、保護層にも前述の各種添加剤を用いることができる。
【0094】
本発明の感光体においては、感光層と保護層との間に中間層を設けることも可能である。中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく通常の塗布法が採用される。なお、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
【0095】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明が実施例により制約を受けるものではない。なお、部はすべて重量部である。
(実施例1)
[黒色以外のトナー像用感光体の作製]
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥し、3.5μmの中間層、0.2μmの電荷発生層、25μmの電荷輸送層からなる電子写真感光体を形成した。
【0096】
下引き層塗工液
二酸化チタン粉末 400部
メラミン樹脂 65部
アルキッド樹脂 120部
2−ブタノン 400部
【0097】
電荷発生層塗工液
図8に示すX線回析スペクトルのチタニルフタロシアニン 6部
ポリビニルブチラール 4部
2−ブタノン 200部
【0098】
電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート 10部
下記構造式の電荷輸送物質 8部
【0099】
【化17】
塩化メチレン 80部
【0100】
[黒色トナー像用感光体の作製]
前記黒色以外のトナー像用感光体の電荷輸送層を同じ組成にて23μmとし、下記組成の保護層塗工液を電荷輸送層上に2μm積層した以外は、同様に感光体を作製した。
【0101】
保護層塗工液
ポリカーボネート 10部
塩化メチレン 80部
【0102】
(実施例2)
実施例1の保護層塗工液を以下の組成に変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0103】
保護層塗工液
ポリカーボネート 10部
下記構造式の電荷輸送物質 3部
【0104】
【化18】
塩化メチレン 80部
【0105】
(実施例3)
実施例1の保護層塗工液を以下の組成に変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0106】
保護層塗工液
ポリカーボネート 10部
下記構造式の電荷輸送物質 3部
【0107】
【化19】
シリカ微粉末 1部
塩化メチレン 80部
【0108】
(実施例4)
実施例1の保護層塗工液を以下の組成に変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0109】
保護層塗工液
下記構造の高分子電荷輸送物質 10部
【0110】
【化20】
下記構造の添加剤 1部
【0111】
【化21】
塩化メチレン 100部
【0112】
(実施例5)
実施例1の保護層塗工液を以下の組成に変更した以外は、実施例1と同様に電子写真感光体を作製した。
【0113】
保護層塗工液
下記構造の高分子電荷輸送物質 10部
【0114】
【化22】
下記構造の添加剤 1部
【0115】
【化23】
シリカ微粉末 3部
塩化メチレン 80部
【0116】
(実施例6)
実施例3における保護層塗工液のシリカの代わりに酸化チタンを使用した以外は、実施例3と同様に感光体を作製した。
【0117】
(実施例7)
実施例3における保護層塗工液のシリカの代わりにアルミナを使用した以外は、実施例3と同様に感光体を作製した。
【0118】
(実施例8)
実施例3における電荷発生層を以下の組成のものに変更した以外は、実施例3と同様に電子写真感光体を作製し、同様に評価を行なった。
【0119】
【化24】
下記構造のトリスアゾ顔料 6部
【0120】
【化25】
ポリビニルブチラール 5部
2−ブタノン 200部
シクロヘキサノン 400部
【0121】
(比較例1)
実施例1における黒色トナー像用感光体を黒色以外のトナー像用感光体と共通にした以外は、実施例1と同様にした。
【0122】
以上のように作製した電子写真感光体を図1に示す電子写真装置に装着し、4つの画像形成要素は、以下に示すプロセス条件にてモノクロ(黒色のみ)10000枚、フルカラー画像10000枚の合計20000枚の画像評価を行なった。結果を表1に示す。
【0123】
帯電条件:DCバイアス:−800V
ACバイアス:2.0kV(peak to peak)
周波数2kHz
露光条件:780nmの半導体レーザー
(ポリゴンミラーによる画像書き込み)
また、15000枚後の電荷輸送層の摩耗量も併せて測定した。
【0124】
【表1】
【0125】
(実施例9)
実施例3で作製した感光体を用い、前記図1に示す装置のすべての画像形成要素の帯電条件をACバイアスを印可しない条件に変え、実施例3と同様に連続20000枚の印刷を行なった。
その結果、初期および20000枚後でも画像は良好であった。但し、20000枚後の画像において、問題にならないレベルではあるが、帯電ムラに起因する画像濃度ムラ(色ムラ)がわずかに発生した。
【0126】
(実施例10)
実施例3の感光体を用い、図1に示すような電子写真装置の帯電部材を、帯電ローラーからスコロトロンチャージャーに変更した。実施例3と同じ表面電位になるように帯電を施し、同様に20000枚の画像出力を行なった。
その結果、20000枚まで特別な異常画像は認められなかったが、実施例3に比べオゾン臭がひどかった。
【0127】
(実施例11)
実施例3の感光体を用い、図1に示すような電子写真装置の帯電部材(感光体と当接)のセッティング方法を変えて、感光体表面と帯電部材表面間に50μm程度のギャップを設けて、実施例3と同様に15000枚のランニングテストを行なった。その結果、実施例3よりも帯電部材へのトナーフィルミングが少なく良好であった。
【0128】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明によれば、高耐久で繰り返し使用に対し安定な画像を形成可能で、かつ低コストな高速フルカラー用電子写真装置が提供という極めて優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真装置を説明するための概略図である。
【図2】本発明における黒以外のトナー像形成用電子写真要素に搭載される電子写真感光体を表わす断面図である。
【図3】本発明における黒以外のトナー像形成用電子写真要素に搭載される電子写真感光体を表わす断面図である。
【図4】本発明における黒以外のトナー像形成用電子写真要素に搭載される電子写真感光体を表わす断面図である。
【図5】本発明の黒トナー像形成用電子写真要素に搭載される電子写真感光体を表わす断面図である。
【図6】本発明の黒トナー像形成用電子写真要素に搭載される電子写真感光体を表わす断面図である。
【図7】本発明の黒トナー像形成用電子写真要素に搭載される電子写真感光体を表わす断面図である。
【図8】本発明の実施例1で用いられるX線回析スペクトルのチタニルフタロシアニンを示した図である。
【符号の説明】
1C 感光体
1M 感光体
1Y 感光体
1K 感光体
2C 帯電部材
2M 帯電部材
2Y 帯電部材
2K 帯電部材
3C レーザー光
3M レーザー光
3Y レーザー光
3K レーザー光
4C 現像部材
4M 現像部材
4Y 現像部材
4K 現像部材
5C クリーニング部材
5M クリーニング部材
5Y クリーニング部材
5K クリーニング部材
6C 画像形成要素
6M 画像形成要素
6Y 画像形成要素
6K 画像形成要素
7 転写(記録)紙
8 給紙コロ
9 レジストローラ
10 転写搬送ベルト
11C 転写ブラシ
11M 転写ブラシ
11Y 転写ブラシ
11K 転写ブラシ
12 定着装置
31 導電性支持体
33 感光層
35 電荷発生層
37 電荷輸送層
39 保護層
Claims (16)
- 少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、および電子写真感光体を具備してなる画像形成要素を複数配列したフルカラー画像形成装置であって、前記複数の画像形成要素のうち、黒色トナー像を形成する画像形成要素に搭載された感光体にのみ、最表層に保護層を有することを特徴とするフルカラー電子写真装置。
- 前記フルカラー電子写真装置のすべての画像形成要素に搭載された感光体の感光層が、有機系感光層であることを特徴とする請求項1に記載のフルカラー電子写真装置。
- 前記フルカラー電子写真装置のすべての画像形成要素に搭載された感光体の感光層が、同一の構成であることを特徴とする請求項1または2に記載のフルカラー電子写真装置。
- 前記有機電荷発生物質が、アゾ顔料もしくはフタロシアニン顔料であることを特徴とする請求項3に記載のフルカラー電子写真装置。
- 前記アゾ顔料が下記(XI)式で表わされるアゾ顔料であることを特徴とする請求項4に記載のフルカラー電子写真装置。
- 前記アゾ顔料のCp1、Cp2が互いに異なるものであることを特徴とする請求項5に記載のフルカラー電子写真装置。
- 前記フタロシアニン顔料がチタニルフタロシアニン顔料であることを特徴とする請求項4に記載のフルカラー電子写真装置。
- 前記チタニルフタロシアニンが、CuKαの特性X線(波長1.514Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2°)として、少なくとも27.2°に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンであることを特徴とする請求項7に記載のフルカラー電子写真装置。
- 前記フルカラー電子写真装置の黒色トナー像を形成する画像形成要素に搭載された感光体が、保護層を有しかつ該保護層が、フィラーを含有したことを特徴とする請求項1乃至8の何れか1に記載のフルカラー電子写真装置。
- 前記フルカラー電子写真装置の黒色トナー像を形成する画像形成要素に搭載された感光体の保護層が、電荷輸送物質を含有したことを特徴とする請求項9に記載のフルカラー電子写真装置。
- 前記フルカラー電子写真装置の黒色トナー像を形成する画像形成要素に搭載された感光体の保護層に含有される電荷輸送物質が、高分子電荷輸送物質であることを特徴とする請求項10に記載のフルカラー電子写真装置。
- 前記フルカラー電子写真装置の黒色トナー像を形成する画像形成要素に搭載された感光体の保護層に含有される高分子電荷輸送物質が、少なくともトリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートであることを特徴とする請求項11に記載のフルカラー電子写真装置。
- 前記感光体に用いられる支持体が円筒状の支持体であり、円筒状支持体の外径が40mm以下であることを特徴とする請求項1乃至12の何れか1に記載のフルカラー電子写真装置。
- 前記フルカラー電子写真装置において、画像露光がLDあるいはLEDによって感光体上に静電潜像の書き込みが行なわれる、いわゆるデジタル方式の電子写真装置であることを特徴とする請求項1乃至13の何れか1に記載のフルカラー電子写真装置。
- 前記フルカラー電子写真装置のすべての画像形成要素に搭載された帯電手段が感光体に対し、接触もしくは近接配置されたものであることを特徴とする請求項1乃至14の何れか1に記載のフルカラー電子写真装置。
- 前記フルカラー電子写真装置において、前記帯電部材に対し直流成分に交流成分を重畳した電圧を印加することにより、感光体に帯電を与えることを特徴とする請求項1乃至15の何れか1に記載のフルカラー電子写真装置。
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