JP3925927B2 - フルカラー画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、タンデム型電子写真方式の画像形成装置に関する。詳しくは、高速フルカラーの画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
電子写真方式を利用したフルカラー画像形成装置としては、一般的には2つの方式が知られている。1つはシングル方式あるいはシングルドラム方式と呼ばれるものであり、装置中に1つの電子写真感光体が搭載され、4色の現像部材が搭載されたものである。この方式においては、感光体上もしくは被転写部材(出力用の紙に直接、あるいは中間転写体に一旦転写され、その後に紙に転写される)に4色(シアン、マゼンタ、イエローおよびブラック)のトナー像が形成される。この場合、感光体の周りに配置される帯電部材、露光部材、転写部材、クリーニング部材、定着部材は共通化することが可能で、後述のタンデム方式に比べ、小型で、低コストに設計することが可能である。
【0003】
一方、もう1つの方式としてタンデム方式あるいはタンデムドラム方式と呼ばれるものがある。これは、少なくとも装置中に複数の電子写真感光体が搭載されたものである。一般的には、1本のドラムに対し、帯電、露光、現像、クリーニングの各部材が1つずつ配置され、1つの画像形成要素を形成し、これが複数個(一般的には4つ)搭載されている。この方式においては、1つの電子写真要素で1色のトナー像を形成し、順次、被転写体にトナー像を転写し、フルカラー像を形成する。この方式のメリットは、第1に高速画像形成が可能であることが挙げられる。これは上述のように、各色のトナー像を並列処理にて作製できるためである。このため、シングル方式に比べ、画像形成処理時間がおよそ4分の1の時間で済み、4倍の高速プリントに対応が可能になる。第2のメリットは、感光体をはじめとする前記画像形成要素中に具備された各部材の耐久性を実質的に高められるということである。これは、シングル方式においては、1本の感光体で4回の帯電、露光、現像の各工程を行ない、1つのフルカラー像を形成するのに対し、タンデム方式では上記動作を1本で1回しか行なわないからである。
【0004】
ところが、ダンデム方式では装置全体が大きくなってしまう、またコストが高いものになってしまうというデメリットも併せ持っている。装置全体が大きくなる点に関しては、感光体を小径化し、感光体周りに設置される各部材を小型化し、1つの画像形成要素を小さくすることで対応が行なわれてきた。これにより、装置の小型化のみならず材料費の低減といった効果も生じ、装置全体としての低コスト化も多少進んだ。しかしながら、装置のコンパクト化・小型化に伴い、画像形成要素に搭載された感光体を含めた各部材の耐久性を上げなければならないという、新しい課題も新たに発生した。
【0005】
例えば、タンデム型フルカラー装置の小型化のために、帯電部材としてスコロトロン・チャージャーから帯電ローラの使用へシフトしてきた。帯電ローラを使用した場合、スコロトロン・チャージャーを使用した場合に比べ、感光体への帯電均一性に劣る場合が存在する。タンデム方式のフルカラー画像形成装置においては、この帯電不均一性は致命的な問題であり、特にカラーバランス(色再現性)を劣化させる原因となる。このため、帯電に際して直流成分に交流成分を重畳した交番電界が印加される。これにより帯電均一性が向上し、良好な画像が得られるようになる。しかしながら、交流成分の重畳は、感光体の繰り返し使用に対して大きな影響を及ぼす。具体的には、感光体表面の摩耗を促進したり、画像ボケ、およびトナーフィルミングを促進させる。一方、スコロトロン・チャージャーの使用は、チャージャーから発生するオゾンガスの臭気がオフィス環境を劣化させるなどの問題により実施することは困難である。このため、タンデム方式のフルカラー画像形成装置にとって、交番電界を使用する帯電ローラの使いこなし技術は必要不可欠なものであった。
【0006】
このようにカラー機の高速化が進み、徐々にビジネス文書等に使用される様になってきたが、当初はモノクロ原稿とカラー原稿の割合は、半々程度であった。このため、タンデム型フルカラー機に搭載された複数の画像形成要素のうち、黒色トナーを現像する画像形成要素が他の画像形成要素に比べ2倍程度使用されることになった。このため、特に黒色トナー現像用画像形成要素の耐久性を実質的に高めなければならなかった。
【0007】
このような課題に対しては、黒色トナー現像用画像形成要素に搭載される感光体を他の画像形成要素に搭載される感光体よりも耐久性の高めたものを用いるという考え方が出てきた。例えば、特許文献1では、黒色トナー像を使用する感光体に特定の膜厚以上のアモルファスシリコン感光体を用い、他のカラー3色用としてOPC(有機感光体)を用いる提案がなされている。また、特許文献2では、黒色トナー像を使用する感光体に特定の膜厚以上のa−SiC光導電層からなるものを使用する提案がなされている。この他に、特許文献3には黒色トナー像用感光体の感光層に高分子電荷輸送物質を用いる記載が、特許文献4には黒色トナー像用感光体の最表層に保護層を設ける記載が、特許文献5には黒色トナー像用感光体の感光層の膜厚が他のトナー像用感光体の感光層膜厚よりも厚いものを使用する記載がある。
【0008】
いずれもフルカラープリンタもしくは複写機において、出力される原稿のうち、モノクロ(黒色)印字の割合が多く、黒色トナー像を形成する感光体の耐久性を高めることで、実質的にシステム全体の耐久性を高めようとするものである。この考え方はコストを考慮した寿命設計上、極めてリーズナブルな考え方である。しかしながら、1つの画像形成装置中に複数個の画像形成要素を用い、お互いに光導電層が異なる感光体を設置すると、それぞれの特性差により所望どおりの着色が得られない問題が発生する。
【0009】
近年では、カラー機の使用方法が本来のカラー機としての使われ方がなされ、原稿のかなりの割合がカラー画像の入ったものになってきた。特に、ビジネス文書等では、原稿の片隅にロゴマークを挿入したり、定形フォーマット等文書の一部が固定された原稿が増え、このような使われ方が増えてきた。このような場合、感光体の長手方向に対して特定の部分の使用頻度が高くなることになり、その他の部分とは異なる状況になってしまう。
【0010】
ここで言う、異なる状況とは、下記の通り幾つか存在する。
▲1▼静電疲労に対してあまり耐久性の高くない感光体においては、使用頻度の高い部分の疲労が促進されてしまう。
▲2▼耐摩耗性のあまり高くない感光体においては、使用頻度の高い部分の摩耗が促進してしまう。
▲3▼耐摩耗性の非常に高い感光体においては、使用頻度の高い部分に紙粉、トナー等の固着(いわゆるフィルミング)などの現象が起こってしまう。
【0011】
このような状況は、一般論としても好ましくないことではあるが、モノクロ電子写真装置あるいはシングル方式の画像形成装置(画像形成要素が1つ)の場合には、以下のような手段で対応が可能である。
▲1▼に対して、感光体の静電疲労の小さなものを使用する。
▲2▼に対して、耐摩耗性の高い感光体を使用する。
▲3▼に対して、クリーニング方式を強固にする。
【0012】
しかしながら、タンデム型のフルカラー画像形成装置においては、モノクロ機では課題にならないカラーバランス(色再現性)という点において、非常に大きな課題になってしまう。特に、感光体の高耐久化に対して、耐摩耗性を重視し、画像形成における感光体10000回転あたりの摩耗量が0.1μm以下の耐摩耗性を有するような感光体を使用した場合には、顕著な課題になってしまう。
一方、耐摩耗性の低い感光体の場合には、部分的な摩耗量が大きくなってしまい、この原因によって別の異常画像が発生し、カラーバランスの問題が発生する以前に感光体の寿命を迎えることになり交換することとになる。あるいは、感光体表面に紙粉やトナー成分が付着(固着)するスピードよりも感光体表面の摩耗速度が大きく、フィルミングのような現象が起こらない(当然、寿命は短い)。このため、本発明に使用する高耐摩耗性の感光体のような課題が浮き彫りにならない。
【0013】
従って、本発明の対象は、タンデム方式のフルカラー画像形成装置において、非常に耐摩耗性の高い感光体を用い、高耐久な画像形成装置におけるフルカラー画像出力時特有の課題(感光体の部分的疲労や偏摩耗)を解決するものである。上述の公知技術では、このような課題は解決できるものではなかった。
【0014】
このような感光体偏摩耗による異常画像の発生を防止する技術として、特許文献6、特許文献7に記載がある。いずれも感光体の偏摩耗を見込んで、感光体長手方向の膜厚を変化させたものを使用する、あるいは表面保護層中のフィラー量の分布を変えることで摩耗速度を長手方向で変えることにより前記課題に対応するものである。しかしながら、感光体偏摩耗を完全に予測することは困難であり、むしろ初期的には感光体長手方向での感光体特性が変わることによる悪影響の方が大きいものである。
【0015】
また、フルカラー画像形成装置において透明トナーを使用する技術が幾つか開示されている。例えば、特許文献8には、感光体の静電潜像を転写した転写手段に4つの現像手段と透明トナーを現像する現像手段を設けて、各々の有色トナーの非現像部に透明トナーを現像する方法が記載され、これにより各色トナー層の高さを揃えることにより画像表面の凹凸を無くすことを提案している。しかしながら、この方法はシングル方式で用いられるものであり、高速画像出力に対応できず、また感光体の局部的な使用による劣化に対して対応できない。特許文献9には、1本の感光体にリボルバー方式の5つの現像器が順に当接するようにセットされ、そのうちの1つが透明トナーである画像形成装置が開示され、これにより転写紙上に転写されたトナー層の凹凸を無くし、定着時のトナー不完全溶融部の発生を防止することを提案している。しかしながら、この装置もシングル方式で用いられるものであり、高速画像出力に対応できず、また感光体の局部的な使用による劣化に対して対応できない。特許文献10には、タンデム方式の画像形成装置において、有色トナーを転写部材に転写する前に、転写部材上に透明トナーを全面に転写させておく技術が開示され、これにより記録画像のレジずれを防止することが提案されている。しかしながら、この装置においては有色トナーの感光体への現像は従来技術と何ら変わりがなく、感光体の局部的な使用による劣化に対して対応できない。
【0016】
また、タンデム方式のフルカラー画像形成装置において、1本の感光体に対して2つの現像器を有する画像形成装置が、特許文献11に記載されている。この技術は2つの現像器を用いて有色トナーの濃度の高いトナーと濃度の低いトナーを用いることで、良好な階調性を有する画像を提供するというものである。しかしながら、感光体の全面にトナーを現像するというものではなく、感光体の局部的な使用による劣化に対して対応できない。
【0017】
【特許文献1】
特開平10−333393号公報
【特許文献2】
特開平11−52599号公報
【特許文献3】
特開2001−330974号公報
【特許文献4】
特開2001−330975号公報
【特許文献5】
特開2001−330976号公報
【特許文献6】
特開2002−318461号公報
【特許文献7】
特開2002−341577号公報
【特許文献8】
特開平6−175461号公報
【特許文献9】
特開平7−5738号公報
【特許文献10】
特開平10−123853号公報
【特許文献11】
特開2002−91165号公報
【特許文献12】
特開2002−148904号公報
【特許文献13】
特開2002−148905号公報
【特許文献14】
特開昭52−36016号公報
【特許文献15】
特開平5−94049号公報
【特許文献16】
特開平5−113688号公報
【特許文献17】
特開平3−109406号公報
【特許文献18】
特開2000−206723号公報
【特許文献19】
特開2001−34001号公報
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、あらゆる原稿の出力に際しても、感光体の部分的な劣化を防止し、高耐久で繰り返し使用に対し色再現性の良い安定な画像を形成可能な、高速フルカラー用画像形成装置を提供することにある。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前記の過去に行なわれてきた結果を踏まえ検討を重ねた結果、少なくとも高速フルカラー対応、高耐久を同時満足するためには、以下の条件が必要不可欠であることが分かった。
【0020】
すなわち、▲1▼複数の画像形成要素を搭載したタンデム型画像形成装置を用いること、▲2▼複数の画像形成要素を高耐久化するためには、画像形成要素の寿命を決定してしまう感光体の耐久性を向上すること、▲3▼感光体の高耐久化を実現するために、感光体の静電的高耐久化および耐摩耗性の向上を図ること、が挙げられる。
【0021】
このような画像形成装置は既に存在するものであるが、前述の如く、フルカラー画像形成装置の使用方法が複雑になってきており、過去には考えられないような使用方法が、ユーザーによって行われはじめ、上述のような単純な高耐久化では対応できなくなるケースが存在してきた。端的な例としては、感光体長手方向に対して局部的に頻度が高く使用され、この結果、感光体の一部が劣化して、繰り返し使用により画像上の一部に異常画像が発生してしまうなどの例が挙げられる。
【0022】
従って、複数の画像形成要素に搭載される感光体は、いずれも画像形成における感光体10000回転あたりの摩耗量が0.1μm以下の耐摩耗性を有するような耐摩耗性の高い感光体を使用し、かつ、どの様な画像形成が行われたとしても、全ての感光体全面が同様な使われ方が行われるような構成の画像形成装置にすることが必要である。
【0023】
上記の設計指針に基づき、タンデム型フルカラー画像形成装置に使用する画像形成要素の構成について検討した結果、各画像形成要素にそれぞれ有色トナー画像形成手段と透明トナー画像形成手段を有し、各々の感光体に対して、1回ごとの画像形成において常に感光体全面に透明トナーによる画像形成を行うことにより、クリーニング部材における感光体への機械的ストレスが均一になり、感光体の全面が常に均一に使用されることになり、感光体全面の摩耗、静電疲労を均一に行うものである。
【0024】
以上の構成要件を満足することにより、高耐久・高安定なタンデム型画像形成装置を設計できることが分かり本発明を完成するに至った。
【0025】
従って、上記課題は、以下の(1)〜(24)により解決される。
(1)少なくとも帯電部材に対し直流成分に交流成分を重畳した電圧を印加することにより感光体に帯電を与える帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、および画像形成における感光体10000回転あたりの摩耗量が0.1μm以下の耐摩耗性を有する表面保護層を設けた電子写真感光体を具備してなる画像形成要素を複数配列したフルカラー画像形成装置であって、各画像形成要素において前記画像露光に基づき有色トナーを感光体に現像した後、転写体に有色トナーを転写する転写手段と、クリーニング手段との間に、感光体全面を透明トナーにより現像する現像手段を設けることを特徴とするフルカラー画像形成装置。
【0026】
(2)前記画像形成要素中の転写手段と透明トナー現像手段との間に、第2の画像露光手段を設け、感光体全面に光照射を行い、次いで透明トナーによる現像を行うことを特徴とする前記(1)に記載のフルカラー画像形成装置。
【0027】
(3)前記画像形成要素中の転写手段と透明トナー現像手段との間に、第2の画像露光手段を設け、第2の画像露光手段による書き込みを、有色トナー像露光を行わない部分にのみ行い、次いで透明トナーによる現像を行うことを特徴とする前記(1)に記載のフルカラー画像形成装置。
【0028】
(4)少なくとも前記第2の画像露光手段が、半導体レーザ(LD)あるいは発光ダイオード(LED)であることを特徴とする前記(2)又は(3)に記載のフルカラー画像形成装置。
【0029】
(5)前記透明トナーの現像が、非接触状態で行われることを特徴とする前記(1)乃至(4)のいずれかに記載のフルカラー画像形成装置。
【0030】
(6)前記透明トナーの帯電極性が有色トナーの帯電極性と逆極性であることを特徴とする前記(1)に記載のフルカラー画像形成装置。
【0031】
(7)前記有色トナー画像形成に用いられる画像露光手段が半導体レーザ(LD)あるいは発光ダイオード(LED)によって感光体上に静電潜像の書き込みを行うものであり、入力原稿の向きに依らず出力する紙の長手方向を感光体の長手方向に揃えて画像出力することを特徴とする前記(1)乃至(6)のいずれかに記載のフルカラー画像形成装置。
【0032】
(8)前記画像形成装置において、感光体長手方向の有効画像形成領域の長さよりも出力する紙の長手方向の長さが短い場合にも出力する紙の範囲外にも透明トナーを現像することを特徴とする前記(7)に記載のフルカラー画像形成装置。
【0033】
(9)前記帯電手段が帯電部材を感光体に非接触近接配置したものであることを特徴とする前記(1)乃至(8)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0034】
(10)前記帯電部材と感光体間の空隙が200μm以下であることを特徴とする前記(9)に記載のフルカラー画像形成装置。
【0035】
(11)前記画像形成要素に用いられる有色トナーと透明トナーのいずれもワックス類を含有し、両者に含有されるワックス類の含有量がほぼ同一であることを特徴とする前記(1)乃至(10)のいずれかに記載のフルカラー画像形成装置。
【0036】
(12)前記画像形成要素に用いられる有色トナーと透明トナーのいずれも滑剤を含有し、両者に含有される滑剤量がほぼ同一であることを特徴とする前記(1)乃至(10)のいずれかに記載のフルカラー画像形成装置。
【0037】
(13)前記滑剤がステアリン酸亜鉛であることを特徴とする前記(12)に記載のフルカラー画像形成装置。
【0038】
(14)前記画像形成要素に用いられる有色トナーと透明トナーのいずれも流動化剤を含有し、両者に含有される流動化剤量がほぼ同一であることを特徴とする前記(1)乃至(10)のいずれかに記載のフルカラー画像形成装置。
【0039】
(15)前記電子写真感光体の保護層が比抵抗1010Ω・cm以上の無機顔料又は金属酸化物を含有することを特徴とする前記(1)乃至(14)のいずれかに記載のフルカラー画像形成装置。
【0040】
(16)前記金属酸化物が、比抵抗1010Ω・cm以上のアルミナ、酸化チタン、シリカのいずれかであることを特徴とする前記(15)に記載のフルカラー画像形成装置。
【0041】
(17)前記金属酸化物が、比抵抗1010Ω・cm以上のα−アルミナであることを特徴とする前記(16)に記載のフルカラー画像形成装置。
【0042】
(18)前記保護層が高分子電荷輸送物質を含有することを特徴とする前記(1)乃至(17)のいずれかに記載のフルカラー画像形成装置。
【0043】
(19)前記電子写真感光体に含有される電荷発生物質が、下記(XI)式で表されるアゾ顔料であることを特徴とする前記(1)乃至(18)項のいずれかに記載のフルカラー画像形成装置。
【0044】
【化3】
Figure 0003925927
(式(XI)中、Cp1、Cp2はカップラー残基を表す。R201、R202はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基のいずれかを表し、同一でも異なっていても良い。またCp1、Cp2は下記(XII)式で表され、
【0045】
【化4】
Figure 0003925927
式(XII)中、R203は、水素原子、炭素数が1〜4のアルキル基、アリール基を表す。R204、R205、R206、R207、R208はそれぞれ、水素原子、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数が1〜4のアルキル基、炭素数が1〜4のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、水酸基を表し、Zは置換もしくは無置換の芳香族炭素環または置換もしくは無置換の芳香族複素環を構成するのに必要な原子群を表す。)
【0046】
(20)前記アゾ顔料のCp1とCp2が互いに異なるものであることを特徴とする前記(19)に記載のフルカラー画像形成装置。
【0047】
(21)前記電子写真感光体に含有される電荷発生物質が、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンであることを特徴とする前記(1)乃至(18)のいずれかに記載のフルカラー画像形成装置。
【0048】
(22)前記チタニルフタロシアニンが、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3°のピークと9.4°のピークの間にピークを有さず、かつ26.3゜にピークを有さないことを特徴とする前記(21)に記載のフルカラー画像形成装置。
【0049】
(23)前記電子写真感光体の導電性支持体表面が、陽極酸化皮膜処理されたものであることを特徴とする前記(1)乃至(22)のいずれかに記載のフルカラー画像形成装置。
【0050】
(24)前記フルカラー画像形成装置において、少なくとも感光体が、帯電手段、露光手段、クリーニング手段の中から選ばれた1つの手段と共に1つのユニットに収納されたカートリッジ形態からなることを特徴とする前記(1)乃至(23)のいずれかに記載のフルカラー画像形成装置。
【0051】
【発明の実施の形態】
次に図面を用いて本発明の画像形成装置を詳しく説明する。
図1は、本発明の画像形成装置を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図1において、ドラム状の感光体1C、1M、1Y、1Kは図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電手段としての帯電部材2C、2M、2Y、2K、有色トナー現像手段としての現像部材4C、4M、4Y、4K、転写用帯電部材7C、7M、7Y、7K、透明トナー現像手段としての現像部材5C、5M、5Y、5K、クリーニング手段としてのクリーニング部材6C、6M、6Y、6Kが配置されている。帯電部材2C、2M、2Y、2Kは、感光体表面を均一に帯電するための帯電装置を構成する帯電部材である。この帯電部材2C、2M、2Y、2Kと現像部材4C、4M、4Y、4Kの間の感光体表面に図示しない画像露光手段としての露光部材からのレーザ光3C、3M、3Y、3Kが照射され、感光体1C、1M、1Y、1Kに有色トナー像用の静電潜像が形成されるようになっている。そして、このような感光体1C、1M、1Y、1Kを中心とした4つの画像形成要素11C、11M、11Y、11Kが、転写手段である転写搬送ベルト8に沿って並置されている。転写搬送ベルト8は各画像形成ユニットの有色トナー現像手段としての現像部材4C、4M、4Y、4Kと透明トナー現像部材5C、5M、5Y、5Kの間で感光体1C、1M、1Y、1Kに当接しており、転写搬送ベルト8の感光体側の裏側に当たる面(裏面)には転写バイアス(電圧)を印加するための転写用帯電部材7C、7M、7Y、7Kが配置されている。各画像形成要素11C、11M、11Y、11Kは有色トナー用現像装置内部のトナーの色が異なるだけで、その他は全て同様の構成となっている。
【0052】
図1に示す構成のカラー画像形成装置において、画像形成動作は次のようにして行なわれる。まず、各画像形成要素11C、11M、11Y、11Kにおいて、感光体1C、1M、1Y、1Kが矢印方向(感光体と連れ周り方向)に回転する帯電部材2C、2M、2Y、2Kにより帯電され、次に露光部でレーザ光3C、3M、3Y、3Kにより、作成する各有色の画像に対応した静電潜像が形成される。次に有色トナー用現像部材4C、4M、4Y、4Kにより潜像を現像してトナー像が形成される。有色トナー用現像部材4C、4M、4Y、4Kは、それぞれC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のトナーで現像を行う現像部材である。
【0053】
次いで、転写紙12は給紙コロ(図示せず)によりトレイ(図示せず)から送り出され、一対のレジストローラ9で一旦停止し、上記感光体上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト8に送られる。転写搬送ベルト8上に保持された転写紙12は搬送されて、各感光体1Y、1M、1C、1Kとの当接位置(転写部)で各色トナー像の転写が行なわれる。感光体上のトナー像は、転写用帯電部材7Y、7M、7C、7Kにより印加された転写バイアスと感光体1Y、1M、1C、1Kとの電位差から形成される電界により、転写紙12上に転写される。そして4つの転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた記録紙12は定着装置10に搬送され、トナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。
【0054】
一方、転写後の感光体表面には、透明トナー用現像部材5C、5M、5Y、5Kにより、感光体表面全面に透明トナーが現像され、転写部で転写されずに各感光体1C、1M、1Y、1K上に残った残留有色トナーと共に、クリーニング装置6C、6M、6Y、6Kで回収される。なお、図1の例では各画像形成要素は転写紙搬送方向上流側から下流側に向けてY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものではなく、色順は任意に設定されるものである。また、黒色のみの原稿を作成する際には、黒色以外の画像形成要素11C、11M、11Yが停止するような機構を設けることは本発明に特に有効に利用できる。
【0055】
透明トナーの現像方法には少なくとも3つの方法がある。以下に有色トナーの現像をデジタル方式で一般的なネガ・ポジ現像で行う場合の方法について述べる。
【0056】
まずは、転写後の感光体表面電位の変化について述べる。感光体の表面電位は、転写条件により大きく異なり、図3に示すようにその電位プロフィールが変化する。図3中の図はそれぞれ、(a)転写によるバイアス印加の影響が殆ど無い場合、(b)転写によるバイアス印加の影響が僅かにあり、転写前の地肌部電位がやや低下した場合、(c)転写によるバイアス印加の影響が大きく、転写前の地肌部電位が露光部電位並みに低下した場合(d)転写によるバイアス印加の影響が大きく、感光体表面が転写前の地肌部電位と逆極性になってしまった場合である。
【0057】
本発明のように、転写後に感光体表面全面に透明トナーを現像しようとする場合、図3における(a)や(b)の条件では均一に現像することが出来ない。そこで1つ目の方法として、有色トナーを転写した後、図2に示すような第2の露光部材13C、13M、13Y、13Kにより感光体に光を照射し、有色トナーの非現像領域の表面電位を低下させ、感光体表面の電位を全面ほぼ均一にし、ここに透明トナーを現像する方法が挙げられる。この場合には、有色トナーと透明トナーの帯電極性は同一となる。この際、有色トナーの非現像領域に光を照射するため、感光体全面に光を照射しても構わないが、LDやLEDを使用して非画像部のみに光を照射することが感光体の光疲労防止、および感光体全面の均一使用の観点からは望ましい。このような方法は入力画像信号をデジタル処理することにより容易に行うことができる。
【0058】
次の方法は、転写条件をコントロールすることにより、転写後の感光体表面電位を図3(c)の様な状態にすることである。図3(c)の様な状態であれば、先と同様の方法にて転写後の感光体全面に透明トナーを現像することができる。
【0059】
更にもう1つの方法は、有色トナーと透明トナーの帯電極性を逆にする方法である。この場合、転写条件の調節(強めの転写条件にする)により、感光体表面電位を図3(d)の様な状態(有色トナー現像前の帯電極性と逆極性の帯電)にし、透明トナーを正規現像(有色トナーは反転現像)により現像を行う方法である。もちろん、有色トナーを正規現像にて現像する場合には、透明トナーは反転現像により現像される。
【0060】
いずれの現像方式の場合においても、透明トナーの現像は接触状態で行っても構わないが、透明トナー現像部への有色トナー混入を防ぐため、非接触状態で行うことが望ましい。また、接触状態で現像を行う場合には、1成分方式の現像(特に非磁性)が有利である。これは、図2(c)や(d)の様な状態で現像を行うということは、現像ポテンシャルが小さくなることを意味するが、接触1成分現像であれば、2成分現像に比べ低ポテンシャルでの現像が可能(余裕度が大きい)だからである。また、1成分方式の方が2成分方式に比べコンパクト化できるという点も本発明においては、大きなメリットである。
【0061】
また、次に通紙方向について述べる。図4(a)に示されるように、転写紙103の長手方向が感光体101の長手方向と向きが揃っていない場合、原稿を1枚出力するために感光体を多く回転させる必要がある。これに対して、図4(b)に示されるように、感光体101の長手方向に対して、転写紙103の長手方向を揃えることにより、図4(a)の場合に比べて少ない回転数で同じ画像を形成することができる。このような方法は、入力された信号をデジタル処理により90度回転させることにより容易に達成できるものである。これにより、画像出力1枚あたりの感光体回転数を低減させることが出来、感光体の高耐久化に寄与することができる。また、使用する透明トナーの量も低減することが出来、低コスト化並びに環境保護の観点からも有効な手段である。尚、図中の感光体長手方向両端の部材は、感光体を駆動するためのフランジ102である。
【0062】
また、感光体長手方向に転写紙の長手方向を揃えても、転写紙の長手方向長さが感光体長手方向長さよりも短い場合があり得る。例えば、A4の長手方向長さを有する感光体を使用し、B5サイズの転写紙に画像形成を行うような場合である(図5参照)。このような場合には、転写紙の長手方向を感光体の長手方向に揃えた場合でも、図5に示すように感光体長手方向の両端もしくは片端に転写紙と当接しない領域が出てくる(図5の感光体上の斜線領域)。通常、このような場合には、この領域には帯電は行っても現像が行われないように、書き込みを行わない。しかしながら、本発明においては、この領域も有色トナーの現像されない領域として、透明トナーを現像するものである。このようにすることにより、感光体長手方向全面が均一に使用されることになる。
【0063】
次に図1あるいは図2に記載された各部材に関して説明する。図1あるいは図2において帯電部材2C、2M、2Y、2Kは感光体と当接しているが、両者の間に適当なギャップ(10〜200μm程度)を設けてやることにより、両者の摩耗量が低減できると共に、帯電部材へのトナーフィルミングが少なくて済み良好に使用できる。このような非接触近接配置した帯電部材とは、感光体表面と帯電部材表面の間に200μm以下の空隙(ギャップ)を有するように非接触状態で近接配置したタイプのものである。このギャップは、大きすぎた場合には帯電が不安定になりやすく、また小さすぎた場合には、感光体に残留したトナーが存在する場合に、帯電部材表面が汚染されてしまう可能性がある。従って、ギャップは10〜200μm、好ましくは10〜100μmの範囲が適当である。空隙の距離から、コロトロン、スコロトロンに代表される公知のチャージ・ワイヤータイプの帯電器、接触方式の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電ブレードなどの接触帯電部材とは区別されるものである。
【0064】
このような近接配置された帯電部材は、その表面が感光体表面と非接触状態で設置されるため、帯電部材表面へのトナー汚染が少ない、帯電部材表面の摩耗が少ない、帯電部材表面の物理的/化学的劣化が少ないといった利点を有し、帯電部材そのものの高耐久化も実現できるものである。接触帯電部材を使用して上記のような不具合が発生し、帯電部材の耐久性が低くなった場合、画像形成装置内での繰り返し使用において、帯電能力が低下したり、帯電が不均一になったりする。この帯電不良を回避するために、繰り返し使用においては帯電能力の低下にあわせて帯電部材への印加電圧を上昇させるなどの処置を施す。その場合には、感光体にかかる帯電によるハザードが大きくなり、結果として感光体の耐久性を低下させたり、異常画像の発生を生み出す。更に帯電部材への印加電圧上昇に伴って、帯電部材そのものの耐久性も低下させてしまう。しかしながら、非接触帯電部材を使用することにより、帯電部材の高耐久化に伴って、帯電部材の帯電能が安定することにより、帯電部材、感光体、ひいては画像形成要素及びシステム全体の耐久性・安定性を向上させることになる。
【0065】
本発明において使用される近接配置された帯電部材は、感光体表面との空隙を適切に制御できる機構のものであればいかなる形状のものでも良い。例えば、感光体の回転軸と帯電部材の回転軸を機械的に固定して、適正ギャップを有するような配置にすればよい。中でも、帯電ローラの形状の帯電部材を用い、帯電部材の非画像形成部両端にギャップ形成部材を配置して、この部分のみを感光体表面に当接させ、画像形成領域を非接触配置させる、あるいは感光体非画像形成部両端ギャップ形成部材を配置して、この部分のみを帯電部材表面に当接させ、画像形成領域を非接触配置させるような方法が、簡便な方法でギャップを安定して維持できる方法である。特に特許文献12、特許文献13に記載された方法は良好に使用できる。帯電部材側にギャップ形成部材を配置した近接帯電機構の一例を図6に示す。図6中、2は帯電部材、21はキャップ形成部材である。前記方式を用いることで、帯電効率が高くオゾン発生量が少ない、装置の小型化が可能、更には、トナー等による汚れが生じない、接触による機械的摩耗が発生しない等の利点を有していることから良好に使用される。
【0066】
更に印加方式としては、交流重畳を用いることでより帯電ムラが生じにくい等の利点を有し、良好に使用できる。特に、後述のタンデム型のフルカラー画像形成装置においては、モノクロ画像形成装置の場合に発生する帯電ムラによるハーフトーン画像の濃度ムラの問題に加え、カラーバランス(色再現性)の低下という大きな問題につながる。直流成分に交流成分を重畳することにより、前記問題点は大きく改善されるものであるが、交流成分の条件(周波数、ピーク間電圧)が大きすぎる場合には、感光体へのハザードが大きくなり、感光体の劣化を早めてしまう場合がある。このため、交流成分の重畳は必要最低限にとどめるべきである。
【0067】
交流成分の周波数に関しては感光体線速等により変化するものであるが、3kHz以下、好ましくは2kHz以下が妥当である。ピーク間電圧に関しては、帯電部材への印加電圧と感光体への帯電電位の関係をプロットすると、電圧を印加しているにもかかわらず感光体が帯電しない領域があり、ある点から帯電が立ち上がる電位が認められる。この立ち上り電位の2倍程度がピーク間電圧としては最適な電位(通常、1200〜1500V程度)になる。しかしながら、感光体の帯電能が低かったり、線速が非常に大きい場合には、前記の如く立ち上り電位の2倍のピーク間電圧では不足する場合がある。逆に帯電性が良好な場合には、2倍以下でも充分に電位安定性を示すことがある。従って、ピーク間電圧は立ち上り電位の3倍以下、好ましくは2倍以下が好ましい。ピーク間電圧を絶対値として書き直せば、3kV以下、好ましくは2kV以下、より好ましくは1.5kV以下で使用されることが望ましい。
【0068】
また、画像露光部3C、3M、3Y、3Kには、LED、LD、エレクトロルミネッセンス(EL)などの高輝度を確保できる光源が使用される。これらの光源のうち、LED、及びLDは照射エネルギーが高く、良好に使用される。
【0069】
有色トナー用現像部材4C、4M、4Y、4Kは、使用するトナーの帯電極性により、正規現像にも反転現像にも対応可能である。感光体の帯電極性と逆極性のトナーを使用した場合には正規現像が使用され、同極性のトナーを用いた場合には反転現像によって、静電潜像が現像される。先の画像露光部に使用する光源によっても異なるが、近年使用するデジタル光源の場合には、一般的に画像面積率が低いことに対応して、書込部分にトナー現像を行う反転現像方式が光源の寿命等を考慮すると有利である。また、トナーのみで現像を行う1成分方式と、トナーおよびキャリアからなる2成分現像剤を使用した2成分方式の2通りの方法があるが、いずれの場合にも良好に使用できる。
【0070】
また、感光体上の形成されたトナー像は、転写紙に転写されることで転写紙上の画像となるものであるが、この際、2つの方法がある。1つは図1に示すような感光体表面に現像されたトナー像を転写紙に直接転写する方法と、もう1つはいったん感光体から中間転写体にトナー像が転写され、これを転写紙に転写する方法である。いずれの場合にも本発明において用いることができる。
【0071】
図1あるいは図2には転写手段としての転写部材として、転写ベルト8が記載されているが、このほかに転写チャージャー、転写ローラを用いることも可能である。中でも、オゾン発生量の少ない転写ベルトや転写ローラ等の接触型を用いることが望ましい。このような転写部材は、構成上、本発明の構成を満足できるものであれば、いずれも公知のものを使用することができる。
【0072】
尚、転写時の電圧/電流印加方式としては、定電圧方式、定電流方式のいずれの方式も用いることが可能であるが、転写電荷量を一定に保つことができ、安定性に優れた定電流方式がより望ましい。特に、転写部材に電荷を供給する電源供給用部材(高圧電源)から出力された電流のうち、転写部材に関連する部分に流れ、感光体に流れ込まない電流を差し引くことにより、感光体への電流値を制御する方法が好ましい。具体的には、転写ベルトを保持するローラなどに流れる電流を求めるため、ローラなど関連部材をアースに直接落とすのではなく、関連部材に流れた電流を高圧電源に戻すような構成とし、高圧電源の出力との差を求め、この差が一定値となるようなフィードバック機能を有する高圧電源を用い、定電流制御することが望ましい。転写電流は、感光体に静電的に付着しているトナーを引きはがし、被転写体(転写紙もしくは中間転写体など)へ移行させるために与える必要電荷量に基づく電流である。転写残などの転写不良を回避するためには、転写電流を大きくすれば良いことになるが、ネガ・ポジ現像を用いた場合には、感光体の帯電極性と逆極性の帯電を与えることになり、感光体の静電疲労が著しいものとなる。転写電流は大きいほど、感光体−トナー間の静電付着力を上回る電荷量を与えられるため有利であるが、ある閾値を越えると転写部材−感光体間で放電現象を生じてしまい、微細に現像されたトナー像を散らせる結果になる。このため、上限値としてはこの放電現象を起こさない範囲ということになる。この閾値は転写部材−感光体間の空隙(距離)、両者を構成する材料などによって変わるものであるが、概ね200μA以下程度で使用することにより、放電現象を回避できる。従って、転写電流の上限値は200μA程度である。
【0073】
透明トナー用現像部材5C、5M、5Y、5Kは、前記有色トナー用現像部材と同様の構成となっており、使用するトナーが有色、透明の違いがある。この場合にもトナーの極性を変えることで、正規現像にも反転現像にも使用することができる。
【0074】
透明トナーの現像においては、本発明の効果を顕著に再現するため、非接触状態で現像を行うことが望ましい。図1あるいは図2に示した透明トナー用現像部材5C、5M、5Y、5Kにおいて、現像時、現像スリーブには、図示しない電源により現像バイアスとして、直流電圧に交流電圧を重畳した振動バイアス電圧が印加される。地肌部電位と画像部電位は、上記振動バイアス電位の最大値と最小値の間に位置している。これによって透明トナー用現像部材5C、5M、5Y、5Kに向きが交互に変化する交互電界が形成される。この交互電界中で現像剤のトナーとキャリアが激しく振動し、トナーが現像スリーブおよびキャリアへの静電的拘束力を振り切って感光体ドラム1C、1M、1Y、1Kに飛翔し、感光体ドラムの潜像に対応して付着する。振動バイアス電圧の最大値と最小値の差(ピーク間電圧)は、0.5〜5kVが好ましく、周波数は1〜10kHzが好ましい。振動バイアス電圧の波形は、矩形波、サイン波、三角波等が使用できる。振動バイアスの直流電圧成分は、上記したように地肌部電位と画像部電位の間の値であるが、画像部電位よりも地肌部電位に近い値である方が、地肌部電位領域へのかぶりトナーの付着を防止する上で好ましい。上記の記述は、透明トナーを有色トナーと逆極性にして現像を行う場合には、画像部と地肌部の関係が逆になる。振動バイアス電圧の波形が矩形波の場合、デューティ比を50%以下とすることが望ましい。ここでデューティ比とは、振動バイアスの1周期中でトナーが感光体に向かおうとする時間の割合である。このようにすることにより、トナーが感光体に向かおうとするピーク値とバイアスの時間平均値との差を大きくすることができるので、トナーの運動がさらに活発化し、トナーが潜像面の電位分布に忠実に付着してざらつき感や解像力を向上させることができる。またトナーとは逆極性の電荷を有するキャリアが感光体に向かおうとするピーク値とバイアスの時間平均値との差を小さくすることができるので、キャリアの運動を沈静化し、潜像の地肌部にキャリアが付着する確率を大幅に低減することができる。
【0075】
また、必要に応じて配置される第2の露光手段の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、LED、LD、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。特に、有色トナーの非画像形成領域にのみ光照射(書き込み)を行う場合には、LEDやLDの使用が有効である。
【0076】
クリーニング部材6C、6M、6Y、6Kとしては、クリーニングブレード、クリーニングブラシ、クリーニングローラ等、公知の部材を用いることができる。
【0077】
また、図1あるいは図2には図示していないが、クリーニング部材6C、6M、6Y、6Kと帯電部材2C、2M、2Y、2Kの間に、除電機構を設けても良い。除電機構の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、LED、LD、ELなどの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。帯電部材2C、2M、2Y、2Kに交流を印加するような場合には、帯電時に感光体の残留電荷をキャンセルすることができるため、除電機構は省略することができる。
【0078】
尚、本発明において使用される透明トナーは、基本的にはクリーニング部で全て回収されることになるため、その画像形成要素で使用される有色トナーとほぼ同一組成の(必要に応じて帯電極性が異なる)有色トナーを用いても構わないことになる。しかしながら、クリーニング部へのトナー入力量が多いため、クリーニング部材に負荷がかかったり、クリーニング残トナーが発生したりする可能性がある。この場合、有色トナーであると次の画像形成の際に、地汚れに代表される異常画像を発生してしまうことになる。これに対して、透明トナーである場合には異常画像の発生が認識されないことになり、極めて有利である。
【0079】
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、各々の電子写真要素はプロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等を含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの一例を図7に示す。
【0080】
次に、本発明に用いられる電子写真感光体を図面に沿って説明する。
図8は、本発明に用いられる電子写真感光体の構成例を示す断面図であり、導電性支持体31上に、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35と、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37とが積層され、更に電荷輸送層上に画像形成における感光体10000回転あたりの摩耗量が0.1μm以下の耐摩耗性を有する表面保護層39が積層された構成をとっている。
【0081】
図8では、感光層が電荷発生層と電荷輸送層の積層構成からなっているが、電荷発生物質と電荷輸送物質が同一の層に含有された単層構成の感光層からなっても構わない。
【0082】
導電性支持体31としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特許文献14に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体31として用いることができる。
【0083】
また、これらの中でも陽極酸化皮膜処理を簡便に行うことのできるアルミニウムからなる円筒状支持体が最も良好に使用できる。ここでいうアルミニウムとは、純アルミ系あるいはアルミニウム合金のいずれをも含むものである。具体的には、JIS1000番台、3000番台、6000番台のアルミニウムあるいはアルミニウム合金が最も適している。陽極酸化皮膜は各種金属、各種合金を電解質溶液中において陽極酸化処理したものであるが、中でもアルミニウムもしくはアルミニウム合金を電解質溶液中で陽極酸化処理を行ったアルマイトと呼ばれる被膜が本発明に用いる感光体には最も適している。特に、反転現像(ネガ・ポジ現像)に用いた際に発生する点欠陥(黒ポチ、地汚れ)を防止する点で優れている。
【0084】
陽極酸化処理は、クロム酸、硫酸、蓚酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸などの酸性浴中において行われる。このうち、硫酸浴による処理が最も適している。一例を挙げると、硫酸濃度:10〜20%、浴温:5〜25℃、電流密度:1〜4A/dm2、電解電圧:5〜30V、処理時間:5〜60分程度の範囲で処理が行われるが、これに限定するものではない。このように作製される陽極酸化皮膜は、多孔質であり、又絶縁性が高いため、表面が非常に不安定な状況である。このため、作製後の経時変化が存在し、陽極酸化皮膜の物性値が変化しやすい。これを回避するため、陽極酸化皮膜を更に封孔処理することが望ましい。封孔処理には、フッ化ニッケルや酢酸ニッケルを含有する水溶液に陽極酸化皮膜を浸漬する方法、陽極酸化皮膜を沸騰水に浸漬する方法、加圧水蒸気により処理する方法などがある。このうち、酢酸ニッケルを含有する水溶液に浸漬する方法が最も好ましい。
【0085】
封孔処理に引き続き、陽極酸化皮膜の洗浄処理が行われる。これは、封孔処理により付着した金属塩等の過剰なものを除去することが主な目的である。これが支持体(陽極酸化皮膜)表面に過剰に残存すると、この上に形成する塗膜の品質に悪影響を与えるだけでなく、一般的に低抵抗成分が残ってしまうため、逆に地汚れの発生原因にもなってしまう。洗浄は純水1回の洗浄でも構わないが、通常は多段階の洗浄を行う。この際、最終の洗浄液が可能な限りきれいな(脱イオンされた)ものであることが好ましい。また、多段階の洗浄工程のうち1工程に接触部材による物理的なこすり洗浄を施すことが望ましい。以上のようにして形成される陽極酸化皮膜の膜厚は、5〜15μm程度が望ましい。これより薄すぎる場合には陽極酸化皮膜としてのバリア性の効果が十分でなく、これより厚すぎる場合には電極としての時定数が大きくなりすぎて、残留電位の発生や感光体のレスポンスが低下する場合がある。
【0086】
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性支持体31として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
【0087】
更に、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体31として良好に用いることができる。
【0088】
次に感光層について説明する。感光層は単層でも積層でもよいが、説明の都合上、先ず図8に示される電荷発生層35と電荷輸送層37で構成される場合から述べる。
【0089】
電荷発生層35は、電荷発生物質を主成分とする層である。
電荷発生層35には、公知の電荷発生物質を用いることが可能であり、その代表として、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系染料、他のフタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩系染料等が挙げられ用いられる。これら電荷発生物質は単独でも、2種以上混合してもかまわない。
【0090】
特に前記(XI)式で表わされるアゾ顔料や特定の結晶型を有する(CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有する)チタニルフタロシアニンは高感度で耐久性が高く、特に光疲労に強いため、本発明のフルカラー画像形成装置には有効に用いることができる。
【0091】
また、前記(XI)式において、CpとCpが異なるものは前記(XI)式で表される材料の中でも特に高感度を示し、本発明の感光体の電荷発生物質として良好に使用される。
前記(XI)式で表されるアゾ顔料を以下に例示する。
まずは、CpとCpが同一の場合について示す。
【0092】
【化5】
Figure 0003925927
【0093】
【化6】
Figure 0003925927
【0094】
次に、CpとCpが異なる場合について示す。
【化7】
Figure 0003925927
【0095】
【化8】
Figure 0003925927
【0096】
【化9】
Figure 0003925927
【0097】
【化10】
Figure 0003925927
【0098】
また、27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンの中でも、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3°のピークと9.4°のピークの間にピークを有さず、更に26.3゜にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶は、特に高感度を示し、また感光体の繰り返し使用における帯電性の低下も小さく、本発明の感光体の電荷発生物質として良好に使用できる。
【0099】
電荷発生層35は、必要に応じて結着樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
【0100】
必要に応じて電荷発生層35に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。
【0101】
ここで用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられるが、特にケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が良好に使用される。塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。
【0102】
電荷発生層35の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
【0103】
電荷輸送層37は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
【0104】
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
【0105】
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
【0106】
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。更に、後述する高分子電荷輸送物質も電荷輸送層の結着樹脂として好適に用いられる。高分子電荷輸送物質からなる電荷輸送層を用いた場合には、後述の表面保護層を積層する際に、高分子からなる故、電荷輸送物質の上層への溶け出しが少なく良好な結果を得る場合が多い。
【0107】
電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は5〜100μm程度とすることが好ましい。ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。
【0108】
本発明の感光体において電荷輸送層37中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂に対して0〜30重量%程度が適当である。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいは、オリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂に対して、0〜1重量%が適当である。
【0109】
次に感光層が単層構成の場合について述べる。上述した電荷発生物質を結着樹脂中に分散した感光層が使用できる。単層感光層は、電荷発生物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。更に、この感光層には上述した電荷輸送物質を添加した機能分離タイプとしても良く、良好に使用できる。また必要により、可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
【0110】
結着樹脂としては、先に電荷輸送層37で挙げた結着樹脂をそのまま用いるほかに、電荷発生層35で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。もちろん、後述の高分子電荷輸送物質も結着樹脂および電荷輸送物質として、良好に使用できる。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましくさらに好ましくは50〜150重量部である。単層感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を必要ならば電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコートなどで塗工して形成できる。単層感光層の膜厚は、5〜100μm程度が適当である。
【0111】
本発明の感光体においては、導電性支持体31と感光層(電荷発生層)との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
【0112】
これらの下引き層は前述の感光層の如く適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Al23を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0113】
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、各層に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質およびレベリング剤を添加することができる。これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
【0114】
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)フェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4−ヒドロキシ−3,5−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トコフェロール類など。
【0115】
(b)パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N−ジメチル−N,N−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミン
など。
【0116】
(c)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
【0117】
(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3−チオジプロピオネ−ト、ジステアリル−3,3−チオジプロピオネ−ト、ジテトラデシル−3,3−チオジプロピオネートなど。
【0118】
(e)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
【0119】
各層に添加できる可塑剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)リン酸エステル系可塑剤
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニルなど。
【0120】
(b)フタル酸エステル系可塑剤
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなど。
【0121】
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなど。
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルなど。
【0122】
(e)脂肪酸エステル誘導体
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリンなど。
(f)オキシ酸エステル系可塑剤
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなど。
(g)エポキシ可塑剤
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシルなど。
【0123】
(h)二価アルコールエステル系可塑剤
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなど。
(i)含塩素可塑剤
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなど。
(j)ポリエステル系可塑剤
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなど。
(k)スルホン酸誘導体
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミドなど。
【0124】
(l)クエン酸誘導体
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシルなど。
(m)その他
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチルなど。
【0125】
各層に添加できる滑剤としては、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)炭化水素系化合物
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレンなど。
(b)脂肪酸系化合物
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸など。
(c)脂肪酸アミド系化合物
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミドなど。
(d)エステル系化合物
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなど。
(e)アルコール系化合物
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロールなど。
(f)金属石けん
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなど。
(g)天然ワックス
カルナバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウなど。
(h)その他
シリコーン化合物、フッ素化合物など。
【0126】
各層に添加できる紫外線吸収剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)ベンゾフェノン系
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2,4,4−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2−ジヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンなど。
(b)サルシレート系
フェニルサルシレート、2,4ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル4ヒドロキシベンゾエートなど。
(c)ベンゾトリアゾール系
(2−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2−ヒドロキシ5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2−ヒドロキシ5−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2−ヒドロキシ3−ターシャリブチル5−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾールなど。
【0127】
(d)シアノアクリレート系
エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル2−カルボメトキシ3(パラメトキシ)アクリレートなど。
(e)クエンチャー(金属錯塩系)
ニッケル(2,2チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートなど。
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど。
【0128】
更に、本発明で使用される感光体においては、感光層保護の目的で表面保護層39が感光層の上に設けられる。この表面保護層(以降、保護層と略記される場合がある)としては、画像形成における感光体10000回転あたりの摩耗量が0.1μm以下の耐摩耗性を有する保護層であることが必須である。
【0129】
このような保護層39に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。中でも、ポリカーボネートもしくはポリアリレートが最も良好に使用できる。
【0130】
また、上記バインダー樹脂の他に、熱硬化型樹脂や光硬化型樹脂を用いることもできる。熱硬化型樹脂や光硬化型樹脂としては、高い耐摩耗性を発現し、電子写真特性に影響を及ぼさないものであれば、公知のいかなるものも使用できる。特に、分子中に3つ以上の官能基を有する多官能モノマーあるいはオリゴマーを用い、3次元硬化(架橋)させた硬化物からなる保護層は、耐摩耗性が極めて高く、有効に使用することができる。
【0131】
保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、シリカ等の無機フィラー、また有機フィラーを分散したもの等を添加することができる。
【0132】
また、感光体の保護層に用いられるフィラー材料のうち有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、アルミナ、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。特に、フィラーの硬度の点からは、この中でも無機材料を用いることが有利である。特に、シリカ、酸化チタン、アルミナが有効に使用できる。更に、この中でも六方最密構造を有するα−アルミナが最も有効に使用できる。
【0133】
保護層中のフィラー濃度は使用するフィラー種により、また感光体を使用する画像形成プロセス条件によっても異なるが、保護層の最表層側において全固形分に対するフィラーの比で5重量%以上、好ましくは10重量%以上、50重量%以下、好ましくは30重量%以下程度が良好である。
【0134】
また、使用するフィラーの体積平均粒径は、0.1μm〜2μmの範囲が良好に使用され、好ましくは0.3μm〜1μmの範囲である。この場合、平均粒径が小さすぎると耐摩耗性が充分に発揮されず、大きすぎると塗膜の表面性が悪くなったり、塗膜そのものが形成できなかったりするからである。
【0135】
尚、本発明におけるフィラーの平均粒径とは、特別な記載のない限り体積平均粒径であり、超遠心式自動粒度分布測定装置:CAPA−700(堀場製作所製)により求めたものである。この際、累積分布の50%に相当する粒子径(Median系)として算出されたものである。また、同時に測定される各々の粒子の標準偏差が1μm以下であることが重要である。これ以上の標準偏差の値である場合には、粒度分布が広すぎて、本発明の効果が顕著に得られなくなってしまう場合がある。
【0136】
また、本発明で使用するフィラーのpHも解像度やフィラーの分散性に大きく影響する。その理由の一つとしては、フィラー、特に金属酸化物は製造時に塩酸等が残存することが考えられる。その残存量が多い場合には、画像ボケの発生は避けられず、またそれは残存量によってはフィラーの分散性にも影響を及ぼす場合がある。
【0137】
もう一つの理由としては、フィラー、特に金属酸化物の表面における帯電性の違いによるものである。通常、液体中に分散している粒子はプラスあるいはマイナスに帯電しており、それを電気的に中性に保とうとして反対の電荷を持つイオンが集まり、そこで電気二重層が形成されることによって粒子の分散状態は安定化している。粒子から遠ざかるに従いその電位(ゼータ電位)は徐々に低くなり、粒子から充分に離れて電気的に中性である領域の電位はゼロとなる。従って、ゼータ電位の絶対値の増加によって粒子の反発力が高くなることによって安定性は高くなり、ゼロに近づくに従い凝集しやすく不安定になる。一方、系のpH値によってゼータ電位は大きく変動し、あるpH値において電位はゼロとなり等電点を持つことになる。従って、系の等電点からできるだけ遠ざけて、ゼータ電位の絶対値を高めることによって分散系の安定化が図られることになる。
【0138】
本発明の構成においては、フィラーとしては前述の等電点におけるpHが、少なくとも5以上を示すものが画像ボケ抑制の点から好ましく、より塩基性を示すフィラーであるほどその効果が高くなる傾向があることが確認された。等電点におけるpHが高い塩基性を示すフィラーは、系が酸性であったほうがゼータ電位はより高くなることにより、分散性及びその安定性は向上することになる。
【0139】
ここで、本発明におけるフィラーのpHは、ゼータ電位から等電点におけるpH値を記載した。この際、ゼータ電位の測定は、大塚電子(株)製レーザーゼータ電位計にて測定した。
【0140】
更に、画像ボケが発生しにくいフィラーとしては、電気絶縁性が高いフィラー(比抵抗が1010Ω・cm以上)が好ましく、フィラーのpHが5以上を示すものやフィラーの誘電率が5以上を示すものが特に有効に使用できる。また、pHが5以上のフィラーあるいは誘電率が5以上のフィラーを単独で使用することはもちろん、pHが5以下のフィラーとpHが5以上のフィラーとを2種類以上を混合したり、誘電率が5以下のフィラーと誘電率が5以上のフィラーとを2種類以上混合したりして用いることも可能である。また、これらのフィラーの中でも高い絶縁性を有し、熱安定性が高い上に、耐摩耗性が高い六方最密構造であるα型アルミナは、画像ボケの抑制や耐摩耗性の向上の点から特に有用である。
【0141】
本発明において使用するフィラーの比抵抗は以下のように定義される。フィラーのような粉体は、充填率によりその比抵抗値が異なるので、一定の条件下で測定する必要がある。本発明においては、特許文献15(図1参照)、特許文献16(図1参照)に示された測定装置と同様の構成の装置を用いて、フィラーの比抵抗値を測定し、この値を用いた。測定装置において、電極面積は4.0cm2である。測定前に片側の電極に4kgの荷重を1分間かけ、電極間距離が4mmになるように試料量を調節する。測定の際は、上部電極の重量(1kg)の荷重状態で測定を行ない、印加電圧は100Vにて測定する。106Ω・cm以上の領域は、HIGH RESISTANCE METER(横河ヒューレットパッカード)、それ以下の領域についてはデジタルマルチメーター(フルーク)により測定した。これにより得られた比抵抗値を本発明でいうところの比抵抗値と定義するものである。
【0142】
フィラーの誘電率は以下のように測定した。上述のような比抵抗の測定と同様なセルを用い、荷重をかけた後に、静電容量を測定し、これより誘電率を求めた。静電容量の測定は、誘電体損測定器(安藤電気)を使用した。
【0143】
更に、これらのフィラーは少なくとも一種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、そうすることがフィラーの分散性の面から好ましい。フィラーの分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤すべてを使用することができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸等、あるいはこれらとシランカップリング剤との混合処理や、Al23、TiO2、ZrO2、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理がフィラーの分散性及び画像ボケの点からより好ましい。シランカップリング剤による処理は、画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。表面処理量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、3〜30wt%が適しており、5〜20wt%がより好ましい。表面処理量がこれよりも少ないとフィラーの分散効果が得られず、また多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こす。これらフィラ−材料は単独もしくは2種類以上混合して用いられる。フィラーの表面処理量に関しては、上述のようにフィラー量に対する使用する表面処理剤の重量比で定義される。
【0144】
これらフィラー材料は、適当な分散機を用いることにより分散できる。また、保護層の透過率の点から使用するフィラーは1次粒子レベルまで分散され、凝集体が少ないほうが好ましい。
【0145】
また、保護層39には残留電位低減、応答性改良のため、電荷輸送物質を含有しても良い。電荷輸送物質は、電荷輸送層の説明のところに記載した材料を用いることができる。電荷輸送物質として、低分子電荷輸送物質を用いる場合には、保護層中における濃度傾斜を設けても構わない。耐摩耗性向上のため、表面側を低濃度にすることは有効な手段である。ここでいう濃度とは、保護層を構成する全材料の総重量に対する低分子電荷輸送物質の重量の比を表わし、濃度傾斜とは上記重量比において表面側において濃度が低くなるような傾斜を設けることを示す。
【0146】
また、保護層には電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂の機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これら高分子電荷輸送物質から構成される保護層は耐摩耗性に優れるだけでなく、繰り返し使用における画像ボケの発生を低減化させる効果もあり、本発明において非常に有用である。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、(I)〜(X)式で表される高分子電荷輸送物質が良好に用いられ、これらを以下に例示し、具体例を示す。
【0147】
【化11】
Figure 0003925927
式中、R1、R2、R3はそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、R4は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R5、R6は置換もしくは無置換のアリール基、o、p、qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k、jは組成を表し、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表し5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、または下記一般式で表される2価基を表す。尚、(I)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
【0148】
【化12】
Figure 0003925927
101、R102は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表す。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表す。)または、
【0149】
【化13】
Figure 0003925927
(aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表す)
を表す。ここで、R101とR102、R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。
【0150】
【化14】
Figure 0003925927
式中、R7、R8は置換もしくは無置換のアリール基、Ar1、Ar2、Ar3は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、(I)式の場合と同じである。尚、(II)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
【0151】
【化15】
Figure 0003925927
式中、R9、R10は置換もしくは無置換のアリール基、Ar4、Ar5、Ar6は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、(I)式の場合と同じである。尚、(III)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
【0152】
【化16】
Figure 0003925927
式中、R11、R12は置換もしくは無置換のアリール基、Ar7、Ar8、Ar9は同一又は異なるアリレン基、pは1〜5の整数を表す。X、k、jおよびnは、(I)式の場合と同じである。尚、(IV)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
【0153】
【化17】
Figure 0003925927
式中、R13、R14は置換もしくは無置換のアリール基、Ar10、Ar11、Ar12は同一又は異なるアリレン基、X1、X2は置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表す。X、k、jおよびnは、(I)式の場合と同じである。尚、(V)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
【0154】
【化18】
Figure 0003925927
式中、R15、R16、R17、R18は置換もしくは無置換のアリール基、Ar13、Ar14、Ar15、Ar16は同一又は異なるアリレン基、Y1、Y2、Y3は単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表し同一であっても異なってもよい。X、k、jおよびnは、(I)式の場合と同じである。尚、(VI)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
【0155】
【化19】
Figure 0003925927
式中、R19、R20は水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表し、R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17、Ar18、Ar19は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、(I)式の場合と同じである。尚、(VII)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
【0156】
【化20】
Figure 0003925927
式中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、Ar20、Ar21、Ar22、Ar23は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、(I)式の場合と同じである。尚、(VIII)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
【0157】
【化21】
Figure 0003925927
式中、R22、R23、R24、R25は置換もしくは無置換のアリール基、Ar24、Ar25、Ar26、Ar27、Ar28は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、(I)式の場合と同じである。尚、(IX)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
【0158】
【化22】
Figure 0003925927
式中、R26、R27は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29、Ar30、Ar31は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、jおよびnは、(I)式の場合と同じである。尚、(X)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
【0159】
また、保護層に使用される高分子電荷輸送物質として、上述の高分子電荷輸送物質の他に、電荷輸送層の成膜時には電子供与性基を有するモノマーあるいはオリゴマーの状態で、成膜後に硬化反応あるいは架橋反応をさせることで、最終的に2次元あるいは3次元の架橋構造を有する重合体も含むものである。
【0160】
これら電子供与性基を有する重合体から構成される保護層、あるいは架橋構造を有する重合体は耐摩耗性に優れたものである。通常、画像形成装置においては、帯電電位(未露光部電位)は一定であるため、繰り返し使用により感光体の表面層が摩耗すると、その分だけ感光体にかかる電界強度が高くなってしまう。この電界強度の上昇に伴い、地汚れの発生頻度が高くなるため、感光体の耐摩耗性が高いことは、地汚れに対して有利である。これら電子供与性基を有する重合体から構成される保護層は、自身が高分子化合物であるため成膜性に優れ、低分子分散型高分子からなる保護層に比べ、電荷輸送部位を高密度に構成することが可能で電荷輸送能に優れたものである。このため、高分子電荷輸送物質を用いた保護層を有する感光体には高速応答性が期待できる。
【0161】
その他の電子供与性基を有する重合体としては、公知単量体の共重合体や、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマーや、また、例えば特許文献17、特許文献18、特許文献19等に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体などを用いることも可能である。この場合にも、先の移動度を満足できるような材料が有効に使用できる。
【0162】
保護層の形成法としては通常の湿式塗工法が採用される。なお保護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。また、以上のほかに真空薄膜作成法にて形成したa−C、a−SiCなど公知の材料を保護層として用いることができる。
【0163】
次に、本発明に用いられる現像剤(有色トナー、透明トナーおよびキャリア)について述べる。本発明で使用される現像剤は、トナーのみからなる1成分系現像剤、トナーとキャリアから構成される2成分系現像剤のいずれも良好に使用できる。
【0164】
本発明の静電潜像現像用キャリアと共に現像剤を構成するトナーとしては、従来公知の方法で製造されたものを使用できる。バインダー樹脂、着色剤及び極性制御剤よりなる混合物を熱ロールミルで溶融混練した後、冷却固化せしめ、これを粉砕分級して得られる。具体的には、バインダー樹脂、着色剤、帯電制御剤、必要に応じて任意の添加物などから構成される。
【0165】
バインダー樹脂としては、例えば、ポリスチレン、ポリ−p−スチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが、単独あるいは混合して使用できる。
【0166】
また、トナーに用いられる極性制御剤として、以下のものが挙げられる。
トナーを負荷電性に制御する極性制御剤としては、例えば有機金属錯体、キレート化合物が有効であり、モノアゾ金属錯体、アセチルアセトン金属錯体、芳香族ハイドロキシカルボン酸系金属錯体、芳香族ダイカルボン酸系金属錯体があげられる。他には、芳香族ハイドロキシカルボン酸、芳香族モノ及びポリカルボン酸及びその金属塩、その無水物、そのエステル類、ビスフェノールの如きフェノール誘導体類がある。
【0167】
トナーを正荷電性に制御する極性制御剤としては、ニグロシン及び脂肪酸金属塩による変性物;トリブチルベンジルアンモニウム−1−ヒドロキシ−4−ナフトスルフォン酸塩、テトラブチルアンモニウムテトラフルオロボレートの如き四級アンモニウム塩、及びこれらの類似体であるホスホニウム塩の如きオニウム塩及びこれらのレーキ顔料、トリフェニルメタン染料及びこれらのレーキ顔料(レーキ化剤としては、燐タングステン酸、燐モリブデン酸、燐タングステンモリブデン酸、タンニン酸、ラウリン酸、没食子酸、フェリシアン化物、フェロシアン化物)が挙げられる。
【0168】
トナーに使用される極性制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜20重量部の範囲で用いられる。0.1重量部未満では、トナーの帯電量が不足し実用的でない。また、20重量部を越える場合には、トナーの帯電量が大きすぎ、キャリアとの静電的吸引力の増大のため、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0169】
トナーに含有される黒色の着色剤としては、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、ファーネスブラック、ランプブラック等が使用できる。シアンの着色剤としては、例えば、フタロシアニンブルー、メチレンブルー、ビクトリアブルー、メチルバイオレット、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー等が使用できる。マゼンタの着色剤としては、例えば、ローダミン6Gレーキ、ジメチルキナクリドン、ウォッチングレッド、ローズベンガル、ローダミンB、アリザリンレーキ等が使用できる。イエローの着色剤としては、例えば、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、ハンザイエロー、ナフトールイエロー、モリブデンオレンジ、キノリンイエロー、タートラジン等が使用できる。
【0170】
透明トナーの場合には、上記の着色剤をトナー中に添加しないことで、透明トナーを構成することができる。また透明トナーには、後述の各種添加剤を用いることができるが、いずれも透明トナーの特性(透明性)を阻害しないように、トナーの状態で透明性を維持できる添加剤が使用される。
【0171】
本発明で用いるトナー粒子には、結着樹脂と着色剤の他に、必要に応じて、オフセット防止のための離型剤を添加することができる。離型剤としては、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリエチレン等のワックス類が挙げられる。
【0172】
本発明に用いられるワックスは、エステル系もしくはオレフィン系が望ましい。これらワックスは、使用するバインダー樹脂に対し、一般的には非相溶性を示し、バインダー中に微分散されやすい。エステル系ワックスとは、エステル結合を有するものであり、例えば、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス等の天然ワックス、及びモンタンワックス等が挙げられる。オレフィンワックスとしては、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス等の合成ワックスが挙げられる。
【0173】
バインダー樹脂の中で前記ワックスの平均分散径は、0.2〜5.0μmが望ましい。0.2μmより小さいとワックスの染みだし効果が得られず、本発明の効果が発現しにくい。また、0.2μm未満に分散するためには、溶融混練時にバインダー樹脂に過剰な分散エネルギーを加える必要があり、樹脂の分子が切断され、本来の機能を失う場合がある。また、5.0μmを超えると、トナーの定着性、流動性、保存性、耐久性等を悪化させてしまう。
【0174】
また、ワックスの添加量はバインダー樹脂に対して、10重量%以下が適当である。これ以上になると、トナーの流動性、オフセット性が悪くなる。
【0175】
更に、トナーに磁性材料を含有させ、磁性トナーとしても使用し得る。磁性トナー中に含まれる磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケルのような金属あるいはこれらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウムのような金属の合金及びその混合物などが挙げられる。これらの強磁性体は平均粒径が0.05〜2μm程度のものが望ましく、トナー中に含有させる量としては、樹脂成分100重量部に対し約20〜200重量部、特に好ましくは、樹脂成分100重量部に対し40〜150重量部である。
【0176】
また、トナーに添加する滑剤としては、PTFE、PFA、PVDF等の各種フッ素含有樹脂、シリコーン樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ステアリン酸亜鉛、ラウリル酸亜鉛、ミリスチン酸亜鉛、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸アルミニウム等の脂肪酸金属塩などが挙げられる。中でも、ステアリン酸亜鉛が最も好ましい。滑剤添加量は、トナーに対して0.001〜0.2重量%の範囲が望ましい。
【0177】
また、トナーに添加する流動化剤としては、例えば、コロイド状シリカ、疎水性シリカ、テフロン(登録商標)、フルオロポリマー、低分子量ポリオレフィン、脂肪酸金属塩(ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸カルシウムなど)、金属酸化物(酸化チタン、酸化アルミニウム、酸化錫、酸化アンチモンなど)、導電性付与剤(カーボンブラック、酸化錫など)、磁性体、更にそれら添加物を表面処理したものなど、が挙げられる。その中でも、シリカ、チタニア、アルミナ、酸化セリウム、チタン酸ストロンチウム、炭酸カルシウム、炭酸マグウネシウム及びりん酸カルシウム等の無機微粒子、フッ素含有樹脂微粒子、シリカ含有樹脂微粒子及び窒素含有樹脂微粒子等の有機樹脂微粒子が好ましい。これら流動化剤は、1種または2種以上を合わせて用いてよく、含有量は一般にトナー100部に対して、0.1〜10重量部が適切である。また、目的に応じて外部添加剤表面に表面処理を施してもよい。表面処理剤としては、疎水化処理を行うためのシラン化合物、シランカップリング剤、シリコーンオイル等が挙げられる。
【0178】
さらに、2種以上の粒径の異なる外部添加剤を含有することが好ましく、平均粒径で2〜5倍程度の粒径差のある外部添加剤を含有することが好ましい。2種以上の粒径の異なる外部添加剤を含有しない場合は、経時での外部添加剤のトナー母体への埋没が急激に進み、トナー流動性の悪化が急激に進んでしまう。従って、トナーの流動性が低下することによる画像ムラが発生しやすく、またトナーへの付着力が強くなり難く、トナーからの脱離が容易に起こり、感材傷、画像ぬけの原因となる。2種以上の粒径の異なる外部添加剤を含有すれば、大粒径外部添加剤がスペーサーの役割を果たし、トナー流動性に効果がある小粒径外部添加剤のトナー母体への埋没が防止され、トナー流動性を維持できる。
【0179】
以上のように構成されるトナーは、有色トナーと透明トナーにおいて着色剤の有無を除き、同様の構成であることが望ましい。特に、ワックス類を使用する場合、滑剤を使用する場合、および流動化剤を使用する場合は、感光体の摩耗量に影響を及ぼすため、有色トナーと透明トナーに含有される両者の量はほぼ同一であることが重要である。
【0180】
ワックス類を使用する場合、感光体表面にワックス類が転移して、クリーニング部における感光体表面の摩耗量を低減する働きがある。このため、有色トナーと透明トナー中に含有されるワックス類の添加量がほぼ同一の場合、繰り返し使用における感光体の摩耗量が小さい方向で均一化される。ワックス類を使用する場合の副作用としては、感光体表面へのトナーフィルミングや画像ボケが発生しうる。このため、感光体表面の組成にも依存するが、このような現象が起こらないようにプロセス条件を決定する必要がある。
【0181】
滑剤を使用する場合、感光体表面に滑剤が付着し、クリーニング部における残留トナーのクリーニング性を向上させると共に、感光体表面の摩耗量を低減する働きがある。このため、有色トナーと透明トナー中に含有される滑剤の添加量がほぼ同一の場合、繰り返し使用における感光体の摩耗量が小さい方向で均一化される。滑剤を使用する場合の副作用としては、画像ボケが発生しうる。このため、感光体表面の組成にも依存するが、このような現象が起こらないようにプロセス条件を決定する必要がある。
【0182】
流動化剤を使用する場合、感光体表面に流動化剤が付着し、転写残の流動化剤がクリーニング部に到達すると、感光体の摩耗を促進する働きがある。このため、有色トナーと透明トナー中に含有される流動化剤の添加量がほぼ同一の場合、繰り返し使用における感光体の摩耗量が大きい方向で均一化される。流動化剤を使用する場合の副作用としては、感光体表面摩耗量が大きくなり、スジなどの異常画像の発生および感光体寿命の低下が発生しうる。このため、感光体表面の組成にも依存するが、このような現象が起こらないようにプロセス条件を決定する必要がある。
【0183】
本発明に使用しうるキャリアとしては、例えば鉄粉、フェライト粉、ニッケル粉の如き磁性を有する粉体及びその表面を樹脂等で処理したものなどがあげられる。本発明に用いられるトナーの摩擦帯電性をより安定化させ、潜像を忠実に現像させるために本発明に用いられるキャリアは、樹脂及び/またはシリコーン化合物で被覆してあることが好ましい。これによって、トナーの荷電制御を目的として行うこともできる。
【0184】
キャリアの被覆層を形成するための樹脂としては、例えばシリコーン系化合物、フッ素系樹脂等を好ましく用いることができる。キャリアの被覆層を形成するためのフッ素系樹脂としては、例えば、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロエチレン、ポリトリフルオルクロルエチレンのようなパーフルオロポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリパーフルオルプロピレン、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとトリフルオルクロルエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、フッ化ビニルとフッ化ビニリデンとの共重合体、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンとの共重合体、フッ化ビニリデンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンとフッ化ビニリデン及び非フッ素化単量体のターポリマーのようなフルオロターポリマー等が好ましく用いられる。キャリアの被覆層の形成においては、上記の如きフッ素系樹脂をそれぞれ単独で用いてもよいし、あるいはこれらをブレンドしたものを用いてもよい。また、これらにさらにその他の重合体をブレンドしたものを用いてもよい。
【0185】
また、キャリアの被覆層を形成するためのシリコーン系化合物としては、ポリシロキサン、例えばジメチルポリシロキサン、フェニルメチルポリシロキサン等が全て用いられ、また、アルキド変性シリコーン、エポキシ変性シリコーン、ポリエステル変性シリコーン、ウレタン変性シリコーン、アクリル変性シリコーン等の変性樹脂も使用可能である。また、変性形態として、ブロック共重合体、グラフト共重合体、くし形グラフトポリシロキサン等いずれも使用可能である。
【0186】
実際の磁性粒子表面への塗布に際しては、上記樹脂を浸漬法あるいは流動床法等により磁性粒子に噴霧する方法等がとられる。
【0187】
本発明に使用されるキャリアの芯材の材質としては、例えば、表面酸化または未酸化の鉄、ニッケル、コバルト、マンガン、クロム、希土類等の金属及びそれらの合金または酸化物などが使用できるが、好ましくは金属酸化物、より好ましくはフェライト粒子が使用できる。また、その製造方法としては、特別な制約はない。本発明のキャリア並びにトナーの使用量としては、トナー粒子がキャリア粒子のキャリア表面に付着して、その表面積の30〜90%を占める程度に両粒子を混合するのが好ましい。
【0188】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明が実施例により制約を受けるものではない。なお、部はすべて重量部である。
【0189】
<チタニルフタロシアニンAの合成>
1,3−ジイミノイソインドリン292gとスルホラン2000mlを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド20.4gを滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶をろ過、ついで洗浄液が中性になるまで水洗いを繰り返し、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキを得た。得られたこのウェットケーキ20gをテトラヒドロフラン200gに投入し、4時間攪拌を行なった後、濾過を行ない、乾燥して、チタニルフタロシアニンA粉末を得た。
【0190】
<チタニルフタロシアニンBの合成>
チタニルフタロシアニンAの合成過程と同様に粗チタニルフタロシアニンを得、更に同様に濃硫酸によるアシッドペースト処理により、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキを得た。得られたウェットケーキ20gを2−ブタノン200gに投入し、4時間の撹拌を行なった後、濾過を行ない、乾燥して、チタニルフタロシアニンB粉末を得た。
【0191】
<チタニルフタロシアニンCの合成>
上述のように合成したチタニルフタロシアニンB粉末20gを、テトラヒドロフラン200gと共にボールミリング処理を24時間行なった後、濾過を行ない、乾燥して、チタニルフタロシアニンC粉末を得た。
【0192】
以上のように合成したチタニルフタロシアニンA、B、Cは、下記の測定条件により、X線回折スペクトルを測定した。
(X線回折スペクトル測定条件)
X線管球:Cu
電圧: 50kV
電流: 30mA
走査速度:2°/分
走査範囲:3°〜40°
時定数: 2秒
チタニルフタロシアニンA、B、CのX線回折スペクトルを図9〜11に示す。
【0193】
図9から、チタニルフタロシアニンAのX線回折スペクトルは、Cu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θが27.2±0.2°に最大ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3°のピークと9.4°のピークの間にピークを有さず、かつ26.3゜にピークを有さないものであることが分かる。
【0194】
図10から、チタニルフタロシアニンBのX線回折スペクトルは、Cu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θが27.2±0.2°に最大ピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.5゜にピークを有するものであることが分かる。
【0195】
図11から、チタニルフタロシアニンCのX線回折スペクトルは、Cu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θが26.3±0.2°に最大ピークを有するものであることが分かる。
【0196】
このように、チタニルフタロシアニンA、B、Cは、それぞれ結晶型の異なるチタニルフタロシアニンであることが分かる。
【0197】
<感光体1の作製>
長さ340mm、直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS3010)上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液および保護層塗工液を、順次塗布・乾燥し、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層、5μmの保護層からなる電子写真感光体を形成した。
◎下引き層塗工液
二酸化チタン粉末 400部
メラミン樹脂 65部
アルキッド樹脂 120部
2−ブタノン 400部
【0198】
◎電荷発生層塗工液
下記構造のジスアゾ顔料 8部
【化23】
Figure 0003925927
ポリビニルブチラール 5部
2−ブタノン 200部
シクロヘキサノン 400部
【0199】
◎電荷輸送層塗工液
下記構造のポリカーボネート 10部
【化24】
Figure 0003925927
(粘度平均分子量は約5万である。)
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【化25】
Figure 0003925927
テトラヒドロフラン 80部
【0200】
◎保護層塗工液
下記構造のポリカーボネート 10部
【化26】
Figure 0003925927
(粘度平均分子量は約5万である。)
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【化27】
Figure 0003925927
Figure 0003925927
【0201】
<感光体2の作製>
感光体1の作製において、保護層を設けず、電荷輸送層の膜厚を25μmに変更した以外は、感光体1の作製と同様に感光体を作製した。
【0202】
<感光体3の作製>
感光体1の作製において、保護層塗工液を以下のものに変更した以外は、感光体1と同様に感光体を作製した。
◎保護層塗工液
下記構造式の高分子電荷輸送物質 15部
【化28】
Figure 0003925927
(GPCで分子量を測定した結果、nはおよそ230であった。)
シクロヘキサノン 150部
テトラヒドロフラン 500部
【0203】
<感光体4の作製>
感光体1の作製において、保護層塗工液を以下のものに変更した以外は、感光体1と同様に感光体を作製した。
◎保護層塗工液
下記構造のポリカーボネート 13部
【化29】
Figure 0003925927
(粘度平均分子量は約5万である。)
下記構造式の電荷輸送物質 8部
【化30】
Figure 0003925927
Figure 0003925927
【0204】
<感光体5の作製>
感光体1の作製において、保護層塗工液を以下のものに変更した以外は、感光体1と同様に感光体を作製した。
◎保護層塗工液
下記構造のポリカーボネート 10部
【化31】
Figure 0003925927
(粘度平均分子量は約5万である。)
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【化32】
Figure 0003925927
Figure 0003925927
【0205】
<感光体6の作製>
感光体1の作製において、保護層塗工液を以下のものに変更した以外は、感光体1と同様に感光体を作製した。
◎保護層塗工液
下記構造のポリカーボネート 10部
【化33】
Figure 0003925927
(粘度平均分子量は約5万である。)
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【化34】
Figure 0003925927
Figure 0003925927
【0206】
<感光体7の作製>
感光体1の作製において、保護層塗工液を以下のものに変更した以外は、感光体1と同様に感光体を作製した。
◎保護層塗工液
下記構造のポリカーボネート 10部
【化35】
Figure 0003925927
(粘度平均分子量は約5万である。)
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【化36】
Figure 0003925927
酸化錫−酸化アンチモン粉末
(比抵抗:106Ω・cm、平均1次粒径0.4μm) 6部
シクロヘキサノン 150部
テトラヒドロフラン 500部
【0207】
<感光体8の作製>
感光体1の作製において、保護層塗工液を以下のものに変更した以外は、感光体1と同様に感光体を作製した。
◎保護層塗工液
下記構造式の高分子電荷輸送物質 17部
【化37】
Figure 0003925927
Figure 0003925927
【0208】
<感光体9の作製>
感光体1の作製において、電荷発生層塗工液を以下のものに変更した以外は、感光体1と同様に感光体を作製した。
◎電荷発生層塗工液
下記構造のジスアゾ顔料 8部
【化38】
Figure 0003925927
ポリビニルブチラール 5部
2−ブタノン 200部
シクロヘキサノン 400部
【0209】
<感光体10の作製>
感光体1の作製において、電荷発生層塗工液を以下のものに変更した以外は、感光体1と同様に感光体を作製した。
◎電荷発生層塗工液
下記構造のジスアゾ顔料 8部
【化39】
Figure 0003925927
ポリビニルブチラール 5部
2−ブタノン 200部
シクロヘキサノン 400部
【0210】
<感光体11の作製>
直径30mmのアルミニウムシリンダー(JIS3010)上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液および保護層塗工液を、順次塗布・乾燥し、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層、5μmの保護層からなる電子写真感光体を形成した。
◎下引き層塗工液
二酸化チタン粉末 400部
メラミン樹脂 65部
アルキッド樹脂 120部
2−ブタノン 400部
◎電荷発生層塗工液
先に合成したチタニルフタロシアニンA 15部
ポリビニルブチラール 10部
2−ブタノン 280部
【0211】
◎電荷輸送層塗工液
下記構造のポリカーボネート 10部
【化40】
Figure 0003925927
(粘度平均分子量は約5万である。)
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【化41】
Figure 0003925927
テトラヒドロフラン 80部
【0212】
◎保護層塗工液
下記構造のポリカーボネート 10部
【化42】
Figure 0003925927
(粘度平均分子量は約5万である。)
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【化43】
Figure 0003925927
Figure 0003925927
【0213】
<感光体12の作製>
感光体11の作製において、アルミニウムシリンダー(JIS1050)を以下の陽極酸化皮膜処理を行い、次いで下引き層を設けずに、感光体11と同様に電荷発生層、電荷輸送層、保護層を設け、感光体を作製した。
◎陽極酸化皮膜処理
支持体表面の鏡面研磨仕上げを行い、脱脂洗浄、水洗浄を行った後、液温20℃、硫酸15vol%の電解浴に浸し、電解電圧15Vにて30分間陽極酸化皮膜処理を行った。更に、水洗浄を行った後、7%の酢酸ニッケル水溶液(50℃)にて封孔処理を行った。その後純水による洗浄を経て、6μmの陽極酸化皮膜が形成された支持体を得た。
【0214】
<感光体13の作製>
感光体11の作製において、電荷発生層塗工液を以下のものに変更した以外は、感光体11と同様に感光体を作製した。
◎電荷発生層塗工液
先に合成したチタニルフタロシアニンB 15部
ポリビニルブチラール 10部
2−ブタノン 280部
【0215】
<感光体14の作製>
感光体11の作製において、電荷発生層塗工液を以下のものに変更した以外は、感光体11と同様に感光体を作製した。
◎電荷発生層塗工液
先に合成したチタニルフタロシアニンC 15部
ポリビニルブチラール 10部
2−ブタノン 280部
【0216】
<黒色トナー現像剤K−1の作製>
(黒色トナー)
ポリエステル樹脂 95部
カルナウバワックス 5部
カーボンブラック 10部
サリチル酸誘導体亜鉛塩 2部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後粉砕、分級し、平均粒径8.0μmのトナーを得た。
【0217】
また、湿式法により作製したマグネタイト100重量部に対してポリビニルアルコール2重量部、水60重量部をボールミルに入れ12時間混合してマグネタイトのスラリーを調整した。このスラリーをスプレードライヤーにて噴霧造粒し、球形粒子とした。この粒子を窒素雰囲気中で1000℃の温度で3時間焼成後冷却し、核体粒子1を得た。
【0218】
シリコーン樹脂溶液 100部
トルエン 100部
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン 15部
カーボンブラック 20部
上記混合物をホモミキサーで20分間分散し、被覆層形成液1を調整した。この被覆層形成液1を、流動床型コーティング装置を用いて核体粒子1を1000部の表面にコーティングして、シリコーン樹脂被覆キャリアA(磁性キャリアA)を得た。
上記磁性キャリアAを97.5部に対し、トナー2.5部の割合で混合し、2成分現像剤(K−1)を作製した。
【0219】
<イエロートナー現像剤Y−1の作製>
(イエロートナー)
ポリエステル樹脂 95部
カルナウバワックス 5部
C.I.ピグメントイエロー180 5部
サリチル酸誘導体亜鉛塩 2部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後粉砕、分級し、平均粒径8.0μmのトナーを得た。
このトナー2.5部を、先の磁性キャリアA97.5部と混合して2成分現像剤(Y−1)を作製した。
【0220】
<マゼンタトナー現像剤M−1の作製>
(マゼンタトナー)
ポリエステル樹脂 95部
カルナウバワックス 5部
C.I.ピグメントレッド57:1 5部
サリチル酸誘導体亜鉛塩 2部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後粉砕、分級し、平均粒径8.0μmのトナーを得た。
このトナー2.5部を、先の磁性キャリアA97.5部と混合して2成分現像剤(M−1)を作製した。
【0221】
<シアントナー現像剤C−1の作製>
(シアントナー)
ポリエステル樹脂 95部
カルナウバワックス 5部
C.I.ピグメントブルー15:3 5部
サリチル酸誘導体亜鉛塩 2部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後粉砕、分級し、平均粒径8.0μmのトナーを得た。
このトナー2.5部を、先の磁性キャリアA97.5部と混合して2成分現像剤(C−1)を作製した。
【0222】
<透明トナー現像剤T−1の作製>
(透明トナー)
ポリエステル樹脂 95部
カルナウバワックス 5部
サリチル酸誘導体亜鉛塩 2部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後粉砕、分級し、平均粒径8.0μmのトナーを得た。
このトナー2.5部を、先の磁性キャリアA97.5部と混合して2成分現像剤(T−1)を作製した。
【0223】
<黒色トナー現像剤K−2の作製>
(黒色トナー)
ポリエステル樹脂 100部
カーボンブラック 10部
サリチル酸誘導体亜鉛塩 2部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後粉砕、分級し、平均粒径7.0μmのトナーを得た。上記トナーに、酸化チタン微粒子1wt%、シリカ微粒子1wt%(いずれもトナーに対して)を外添した。
このトナー2.5部を先の磁性キャリアA97.5部と混合して2成分現像剤(K−2)を作製した。
【0224】
<イエロートナー現像剤Y−2の作製>
(イエロートナー)
ポリエステル樹脂 100部
C.I.ピグメントイエロー180 5部
サリチル酸誘導体亜鉛塩 2部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後粉砕、分級し、平均粒径7.0μmのトナーを得た。上記トナーに、酸化チタン微粒子1wt%、シリカ微粒子1wt%(いずれもトナーに対して)を外添した。
このトナー2.5部を先の磁性キャリアA97.5部と混合して2成分現像剤(Y−2)を作製した。
【0225】
<マゼンタトナー現像剤M−2の作製>
(マゼンタトナー)
ポリエステル樹脂 100部
C.I.ピグメントレッド57:1 5部
サリチル酸誘導体亜鉛塩 2部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後粉砕、分級し、平均粒径7.0μmのトナーを得た。上記トナーに、酸化チタン微粒子1wt%、シリカ微粒子1wt%(いずれもトナーに対して)を外添した。
このトナー2.5部を先の磁性キャリアA97.5部と混合して2成分現像剤(M−2)を作製した。
【0226】
<シアントナー現像剤C−2の作製>
(シアントナー)
ポリエステル樹脂 100部
C.I.ピグメントブルー15:3 5部
サリチル酸誘導体亜鉛塩 2部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後粉砕、分級し、平均粒径7.0μmのトナーを得た。上記トナーに、酸化チタン微粒子1wt%、シリカ微粒子1wt%(いずれもトナーに対して)を外添した。
このトナー2.5部を先の磁性キャリアA97.5部と混合して2成分現像剤(C−2)を作製した。
【0227】
<透明トナー現像剤T−2の作製>
(透明トナー)
ポリエステル樹脂 100部
サリチル酸誘導体亜鉛塩 2部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後粉砕、分級し、平均粒径7.0μmのトナーを得た。上記トナーに、酸化チタン微粒子1wt%、シリカ微粒子1wt%(いずれもトナーに対して)を外添した。
このトナー2.5部を先の磁性キャリアA97.5部と混合して2成分現像剤(T−2)を作製した。
【0228】
<黒色トナー現像剤K−3の作製>
(黒色トナー)
ポリエステル樹脂 100部
カーボンブラック 10部
サリチル酸誘導体亜鉛塩 2部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後粉砕、分級し、平均粒径7.5μmのトナーを得た。上記トナーに、酸化チタン微粒子0.9wt%、シリカ微粒子0.9wt%、ステアリン酸亜鉛0.2wt%(いずれもトナーに対して)を外添した。
このトナー2.5部を先の磁性キャリアA97.5部と混合して2成分現像剤(K−3)を作製した。
【0229】
<イエロートナー現像剤Y−3の作製>
(イエロートナー)
ポリエステル樹脂 100部
C.I.ピグメントイエロー180 5部
サリチル酸誘導体亜鉛塩 2部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後粉砕、分級し、平均粒径7.5μmのトナーを得た。上記トナーに、酸化チタン微粒子0.9wt%、シリカ微粒子0.9wt%、ステアリン酸亜鉛0.2wt%(いずれもトナーに対して)を外添した。
このトナー2.5部を先の磁性キャリアA97.5部と混合して2成分現像剤(Y−3)を作製した。
【0230】
<マゼンタトナー現像剤M−3の作製>
(マゼンタトナー)
ポリエステル樹脂 100部
C.I.ピグメントレッド57:1 5部
サリチル酸誘導体亜鉛塩 2部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後粉砕、分級し、平均粒径7.5μmのトナーを得た。上記トナーに、酸化チタン微粒子0.9wt%、シリカ微粒子0.9wt%、ステアリン酸亜鉛0.2wt%(いずれもトナーに対して)を外添した。
このトナー2.5部を先の磁性キャリアA97.5部と混合して2成分現像剤(M−3)を作製した。
【0231】
<シアントナー現像剤C−3の作製>
(シアントナー)
ポリエステル樹脂 100部
C.I.ピグメントブルー15:3 5部
サリチル酸誘導体亜鉛塩 2部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後粉砕、分級し、平均粒径7.5μmのトナーを得た。上記トナーに、酸化チタン微粒子0.9wt%、シリカ微粒子0.9wt%、ステアリン酸亜鉛0.2wt%(いずれもトナーに対して)を外添した。
このトナー2.5部を先の磁性キャリアA97.5部と混合して2成分現像剤(C−3)を作製した。
【0232】
<透明トナー現像剤T−3の作製>
(透明トナー)
ポリエステル樹脂 100部
サリチル酸誘導体亜鉛塩 2部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後粉砕、分級し、平均粒径7.5μmのトナーを得た。上記トナーに、酸化チタン微粒子0.9wt%、シリカ微粒子0.9wt%、ステアリン酸亜鉛0.2wt%(いずれもトナーに対して)を外添した。
このトナー2.5部を先の磁性キャリアA97.5部と混合して2成分現像剤(T−3)を作製した。
【0233】
<黒色トナー現像剤K−4の作製>
(黒色トナー)
ポリエステル樹脂 100部
カーボンブラック 10部
サリチル酸誘導体亜鉛塩 2部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後粉砕、分級し、平均粒径8.0μmのトナーを得た。上記トナーに、シリカ微粒子1.5wt%、ステアリン酸亜鉛0.2wt%(いずれもトナーに対して)を外添した。
上記磁性キャリアAを97.5部に対し、トナー2.5部の割合で混合し、2成分現像剤(K−4)を作製した。
【0234】
<イエロートナー現像剤Y−4の作製>
(イエロートナー)
ポリエステル樹脂 95部
C.I.ピグメントイエロー180 5部
サリチル酸誘導体亜鉛塩 2部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後粉砕、分級し、平均粒径8.0μmのトナーを得た。 上記トナーに、シリカ微粒子1.5wt%、ステアリン酸亜鉛0.2wt%(いずれもトナーに対して)を外添した。
上記磁性キャリアAを97.5部に対し、トナー2.5部の割合で混合し、2成分現像剤(Y−4)を作製した。
【0235】
<マゼンタトナー現像剤M−4の作製>
(マゼンタトナー)
ポリエステル樹脂 95部
C.I.ピグメントレッド57:1 5部
サリチル酸誘導体亜鉛塩 2部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後粉砕、分級し、平均粒径8.0μmのトナーを得た。上記トナーに、シリカ微粒子1.5wt%、ステアリン酸亜鉛0.2wt%(いずれもトナーに対して)を外添した。
上記磁性キャリアAを97.5部に対し、トナー2.5部の割合で混合し、2成分現像剤(M−4)を作製した。
【0236】
<シアントナー現像剤C−4の作製>
(シアントナー)
ポリエステル樹脂 95部
C.I.ピグメントブルー15:3 5部
サリチル酸誘導体亜鉛塩 2部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後粉砕、分級し、平均粒径8.0μmのトナーを得た。上記トナーに、シリカ微粒子1.5wt%、ステアリン酸亜鉛0.2wt%(いずれもトナーに対して)を外添した。
上記磁性キャリアAを97.5部に対し、トナー2.5部の割合で混合し、2成分現像剤(C−4)を作製した。
【0237】
<透明トナー現像剤T−4の作製>
(透明トナー)
ポリエステル樹脂 95部
4級アンモニウム系帯電制御剤
(保土ヶ谷化学製、「TP−415」) 2部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後粉砕、分級し、平均粒径8.0μmのトナーを得た。
【0238】
また、湿式法により作製したマグネタイト100重量部に対してポリビニルアルコール2重量部、水60重量部をボールミルに入れ12時間混合してマグネタイトのスラリーを調整した。このスラリーをスプレードライヤーにて噴霧造粒し、球形粒子とした。この粒子を窒素雰囲気中で1000℃の温度で3時間焼成後冷却し、核体粒子1を得た。
【0239】
シリコーン樹脂溶液 100部
トルエン 100部
カーボンブラック 20部
上記混合物をホモミキサーで20分間分散し、被覆層形成液2を調整した。この被覆層形成液2を、流動床型コーティング装置を用いて核体粒子1を1000部の表面にコーティングして、シリコーン樹脂被覆キャリアB(磁性キャリアB)を得た。
上記トナーに、シリカ微粒子1.5wt%、ステアリン酸亜鉛0.2wt%(いずれもトナーに対して)を外添した。上記磁性キャリアBを97.5部に対し、トナー2.5部の割合で混合し、2成分現像剤(T−4)を作製した。現像剤T−4は、正帯電用の現像剤である。
【0240】
<実施例1>
図7に示すカートリッジに感光体1をセットし、4つの画像形成要素(Y、M、C、K)を用意した。これら画像形成要素カートリッジを図2に示す画像形成装置に搭載した。それぞれの画像形成要素の有色トナー用現像部に、K−1、Y−1、M−1、C−1の現像剤を投入し、全ての透明トナー現像部にT−1の現像剤を投入した(いずれもトナーが負帯電され、画像光書き込み部に反転現像される)。帯電部材としては、図6に示すような非接触帯電ローラ(画像形成領域におけるローラ表面と感光体表面の空隙は50μm)を用い、感光体未露光部の表面電位が−600VになるようにACを重畳した帯電を行った(DCバイアス:−600V、ACバイアス:2.0kV(peak to peak)、周波数:1.2kHz)。有色トナー画像形成用の露光光源(第1の書き込み光)として、655nmのLD(感光体表面でのビーム径50μm)を用い、600dpiの書き込み密度で書き込みを行った(ベタ部での照射エネルギーは4.0erg)。各々の有色トナーを画像書き込み部に反転現像し、画像を形成した。転写用帯電部材としてはスコロトロンチャージャーを用い、感光体表面電位が有色トナー現像前と大きく変わらない状態(図3(b)の状態)になるよう、転写電流(30μA)を制御した。転写後、第2の露光光源として670nmLEDを用い、感光体表面全面に光照射を行い、透明トナーを非接触方式の反転現像にて現像を行った。クリーニング部材としてはウレタンゴム製のブレードを用いた。
【0241】
以上の条件にて、図12に示すA4原稿を、用紙の長手方向と感光体長手方向を揃えた向きにて、50000枚の画像出力を行った。5枚目および50000枚後の画像を評価した。また、50000枚出力後に、Y、M、C、K、各々単独のハーフトーン画像を1枚ずつ、白ベタ画像を出力した。以上の画像評価は全てA4用紙(感光体長手方向と用紙長手方向を揃えて)に出力を行った。更に、カートリッジより感光体を取り出し、感光体長手方向の膜厚分布を測定した。以上の結果を表1に示す。
【0242】
<実施例2>
実施例1の実験において、有色トナー現像剤及び透明トナー現像剤として、K−2、Y−2、M−2、C−2およびT−2を用いた以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0243】
<実施例3>
実施例1の実験において、有色トナー現像剤及び透明トナー現像剤として、K−3、Y−3、M−3、C−3およびT−3を用いた以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0244】
<比較例1>
実施例1の実験において、第2の露光部材および透明トナー現像器を画像形成装置から取り外し、画像形成を行った以外は、実施例1と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0245】
<比較例2>
実施例2の実験において、第2の露光部材および透明トナー現像器を画像形成装置から取り外し、画像形成を行った以外は、実施例2と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0246】
<比較例3>
実施例3の実験において、第2の露光部材および透明トナー現像器を画像形成装置から取り外し、画像形成を行った以外は、実施例3と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0247】
<比較例4>
実施例3の実験において、全ての画像形成要素カートリッジに搭載した感光体を感光体2に変更した以外は、実施例3と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0248】
<比較例5>
実施例3の実験において、全ての画像形成要素カートリッジに搭載した感光体を感光体3に変更した以外は、実施例3と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0249】
<比較例6>
実施例3の実験において、全ての画像形成要素カートリッジに搭載した感光体を感光体4に変更した以外は、実施例3と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0250】
<実施例4>
実施例3の実験において、第2の露光部材を655nmLDとし、各有色トナー非画像形成部(有色トナー像未露光部)にのみ書き込みを行った以外は、実施例3と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0251】
<実施例5>
実施例3の実験において、転写電流を40μAに変更し、転写後の感光体表面電位の状態が、図3(c)の状態になるように制御した。更に第2の露光部材による光書き込みを行わず、感光体全面に透明トナーを反転現像した以外は、実施例3と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0252】
<実施例6>
実施例3の実験において、有色トナー現像剤及び透明トナー現像剤として、K−4、Y−4、M−4、C−4およびT−4を用い、第2の露光部材を取り外した(図1の構成)。更に転写電流を50μAに変更し、転写後の感光体表面電位の状態が、図3(d)の状態になるように制御した。更に、転写後に透明トナーを正規現像にて感光体全面に現像を行った以外は、実施例3と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0253】
<実施例7>
実施例4の実験において、A4用紙の長手方向を感光体長手方向に対して直角に出力した。この際、第2の露光部材として670nmLEDを用い、有色トナー現像及び転写を行った後、各々の感光体全面に光照射を行った。結果を表1に示す。
【0254】
<実施例8>
実施例4の実験において、第2の露光部材として655nmLDを用い、用紙幅の有色トナー非現像部のみに書き込みを行い、画像出力した以外は実施例4と同様に評価を行った(用紙の当接しない感光体表面には書き込みは行っていない)。結果を表1に示す。
【0255】
<実施例9>
実施例3の実験において、原稿サイズをA4からB5に変更し(画像は87%に縮小し、図12と同じ画像をB5に納めた)、用紙の長手方向を感光体の長手方向に揃えて出力を行った。この際、第2の露光部材として670nmLEDを用い、有色トナー現像及び転写を行った後、各々の感光体全面に光照射を行った。結果を表1に示す。
【0256】
<実施例10>
実施例9の実験において、第2の露光部材として655nmLDとして、用紙幅の有色トナー非現像部のみに書き込みを行い、画像出力した以外は実施例9と同様に評価を行った(用紙の当接しない感光体表面には書き込みは行っていない)。結果を表1に示す。
【0257】
<実施例11>
実施例4の実験において、全ての画像形成要素カートリッジに搭載した感光体を、感光体5に変更した以外は、実施例4と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0258】
<実施例12>
実施例4の実験において、全ての画像形成要素カートリッジに搭載した感光体を、感光体6に変更した以外は、実施例4と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0259】
<実施例13>
実施例4の実験において、全ての画像形成要素カートリッジに搭載した感光体を、感光体7に変更した以外は、実施例4と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0260】
<実施例14>
実施例4の実験において、全ての画像形成要素カートリッジに搭載した感光体を、感光体8に変更した以外は、実施例4と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0261】
<実施例15>
実施例4の実験において、全ての画像形成要素カートリッジに搭載した感光体を、感光体9に変更した以外は、実施例4と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0262】
<実施例16>
実施例4の実験において、全ての画像形成要素カートリッジに搭載した感光体を、感光体10に変更した以外は、実施例4と同様に評価を行った。結果を表1に示す。
【0263】
<実施例17>
実施例4の実験において、非接触帯電ローラのギャップを150μmに変更した以外は、実施例4と同様に実験を行った。結果を表1に示す。
【0264】
<実施例18>
実施例4の実験において、非接触帯電ローラのギャップを250μmに変更した以外は、実施例4と同様に実験を行った。結果を表1に示す。
【0265】
<実施例19>
実施例4の実験において、帯電ローラのギャップを0μm(接触状態にした)に変更した以外は、実施例4と同様に実験を行った。結果を表1に示す。
【0266】
<比較例7>
実施例4の実験において、帯電ローラの帯電条件を下記の通り変更した以外は、実施例4と同様に実験を行った。結果を表1に示す。
帯電条件:
ACバイアス: なし
DCバイアス: −1500V(感光体の未露光部表面電位が、−600Vになるように調整)
【0267】
<比較例8>
実施例4の実験において、帯電ローラをスコロトロンチャージャーに変更し、以下の帯電条件に変更した以外は、実施例4と同様に実験を行った。結果を表1に示す。
帯電条件:
印加電圧: −6.2kV
グリッド電位: −600V
【0268】
表1中の白ベタ画像は、地肌部の汚れ(地汚れ)を下記の基準に従って評価を行った。
<地汚れランク>
5:地汚れほとんどなし
4:わずかにあり
3:実使用限界レベル
2以下:実使用には耐えないレベル
【0269】
表1中の膜厚とは、感光体10000回転あたりの摩耗量を表す(代表例として、マゼンタステーションで使用した感光体の値を示す)。実施例で使用した感光体においては、感光体の長手方向10mmおきに測定し、算術平均を求めた。一方、比較例で使用した感光体は部分的に摩耗を生じている領域があるため、部分的に摩耗している部分を除き、ほぼ均一に摩耗している部分(感光体中央部)の算術平均を求めた。
【0270】
膜厚均一性とは、長手方向の膜厚プロフィールを示すものであり、ランニング試験によりどの様にプロフィールが変化したか均一摩耗部に対して比較して示したものである。4本の感光体で状況が異なる場合は、感光体ごとにその特徴を示す。
【0271】
【表1】
Figure 0003925927
【0272】
【表2】
Figure 0003925927
【0273】
【表3】
Figure 0003925927
【0274】
<実施例20>
図7に示すカートリッジに感光体11をセットし、4つの画像形成要素(Y、M、C、K)を用意した。これら画像形成要素カートリッジを図2に示す画像形成装置に搭載した。それぞれの画像形成要素の有色トナー用現像部に、K−1、Y−1、M−1、C−1の現像剤を投入し、全ての透明トナー現像部にT−1の現像剤を投入した(いずれもトナーが負帯電され、画像光書き込み部に反転現像される)。帯電部材としては、図6に示すような非接触帯電ローラ(画像形成領域におけるローラ表面と感光体表面の空隙は50μm)を用い、感光体未露光部の表面電位が−600VになるようにACを重畳した帯電を行った(DCバイアス:−600V、ACバイアス:2.2kV(peak to peak)、周波数:1.5kHz)。有色トナー画像形成用の露光光源(第1の書き込み光)として、780nmのLD(感光体表面でのビーム径50μm)を用い、600dpiの書き込み密度で書き込みを行った(ベタ部での照射エネルギーは4.5erg)。各々の有色トナーを画像書き込み部に反転現像し、画像を形成した。転写用帯電部材としてはスコロトロンチャージャーを用い、感光体表面電位が有色トナー現像前と大きく変わらない状態(図3(b)の状態)になるよう、転写電流(30μA)を制御した。転写後、第2の露光光源として670nmLEDを用い、感光体表面全面に光照射を行い、透明トナーを非接触方式の反転現像にて現像を行った。クリーニング部材としてはウレタンゴム製のブレードを用いた。
【0275】
以上の条件にて、図12に示すA4原稿を、用紙の長手方向と感光体長手方向を揃えた向きにて、50000枚の画像出力を行った。5枚目および50000枚後の画像を評価した。また、50000枚出力後に、Y、M、C、K、各々単独のハーフトーン画像を1枚ずつ、白ベタ画像を出力した。更に、カートリッジより感光体を取り出し、感光体長手方向の膜厚を測定した。以上の結果を表2に示す。
【0276】
<実施例21>
実施例20の実験において、有色トナー現像剤及び透明トナー現像剤として、K−2、Y−2、M−2、C−2およびT−2を用いた以外は、実施例20と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
【0277】
<実施例22>
実施例20の実験において、有色トナー現像剤及び透明トナー現像剤として、K−3、Y−3、M−3、C−3およびT−3を用いた以外は、実施例20と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
【0278】
<比較例9>
実施例20の実験において、第2の露光部材および透明トナー現像器を画像形成装置から取り外し、画像形成を行った以外は、実施例20と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
【0279】
<比較例10>
実施例21の実験において、第2の露光部材および透明トナー現像器を画像形成装置から取り外し、画像形成を行った以外は、実施例21と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
【0280】
<比較例11>
実施例22の実験において、第2の露光部材および透明トナー現像器を画像形成装置から取り外し、画像形成を行った以外は、実施例22と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
【0281】
<実施例23>
実施例22の実験において、第2の露光部材を780nmLDとし、各有色トナー非画像形成部(有色トナー像未露光部)にのみ書き込みを行った以外は、実施例22と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
【0282】
<実施例24>
実施例22の実験において、転写電流を40μAに変更し、転写後の感光体表面電位の状態が、図3(c)の状態になるように制御した。更に第2の露光部材による光書き込みを行わず、感光体全面に透明トナーを反転現像した以外は、実施例22と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
【0283】
<実施例25>
実施例22の実験において、有色トナー現像剤及び透明トナー現像剤として、K−4、Y−4、M−4、C−4およびT−4を用い、第2の露光部材を取り外した(図1の構成)。更に転写電流を50μAに変更し、転写後の感光体表面電位の状態が、図3(d)の状態になるように制御した。更に、転写後に透明トナーを正規現像にて感光体全面に現像を行った以外は、実施例22と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
【0284】
<実施例26>
実施例23の実験において、全ての画像形成要素カートリッジに搭載した感光体を感光体12に変更した以外は、実施例23と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
【0285】
<実施例27>
実施例23の実験において、全ての画像形成要素カートリッジに搭載した感光体を感光体13に変更した以外は、実施例23と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
【0286】
<実施例28>
実施例23の実験において、全ての画像形成要素カートリッジに搭載した感光体を感光体14に変更した以外は、実施例23と同様に評価を行った。結果を表2に示す。
【0287】
表2中の白ベタ画像は、地肌部の汚れ(地汚れ)を下記の基準に従って評価を行った。
<地汚れランク>
5:地汚れほとんどなし
4:わずかにあり
3:実使用限界レベル
2以下:実使用には耐えないレベル
【0288】
表2中の膜厚とは、感光体10000回転あたりの摩耗量を表す(代表例として、マゼンタステーションで使用した感光体の値を示す)。実施例で使用した感光体においては、感光体の長手方向10mmおきに測定し、算術平均を求めた。一方、比較例で使用した感光体は部分的に摩耗を生じている領域があるため、部分的に摩耗している部分を除き、ほぼ均一に摩耗している部分(感光体中央部)の算術平均を求めた。
【0289】
表2中の膜厚均一性とは、長手方向の膜厚プロフィールを示すものであり、ランニング試験によりどの様にプロフィールが変化したか均一摩耗部に対して比較して示したものである。4本の感光体で状況が異なる場合は、感光体ごとにその特徴を示す。
【0290】
【表4】
Figure 0003925927
【0291】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的な説明から明らかなように、本発明によれば、多種多様な原稿の出力に際しても、感光体の部分的な劣化を防止し、高耐久で繰り返し使用に対し色再現性の良い安定な画像を形成可能で、かつ高速フルカラー用画像形成装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のフルカラー画像形成装置を説明するための概略断面図である。
【図2】本発明のフルカラー画像形成装置の別の構成例を示す概略断面図である。
【図3】転写後の感光体表面電位の変化を表す図である。
【図4】感光体に対する転写紙の給紙方向を表す図である。
【図5】感光体と転写紙の長手方向の関係を表す図である。
【図6】近接帯電機構を表す概略図である(ギャップ形成部材が帯電部材側についている)。
【図7】プロセスカートリッジの一例を表す概略図である。
【図8】本発明に用いる電子写真感光体を表わす断面図である。
【図9】チタニルフタロシアニンAのX線回折スペクトルである。
【図10】チタニルフタロシアニンBのX線回折スペクトルである。
【図11】チタニルフタロシアニンCのX線回折スペクトルである。
【図12】実施例で用いた原稿を表す図である。
【符号の説明】
1C、1M、1Y、1K ・・・・ 感光体
2C、2M、2Y、2K ・・・・ 帯電部材
3C、3M、3Y、3K ・・・・ レーザ光
4C、4M、4Y、4K ・・・・ 有色トナー用現像部材
5C、5M、5Y、5K ・・・・ 透明トナー用現像部材
6C、6M、6Y、6K ・・・・ クリーニング部材
7C、7M、7Y、7K ・・・・ 転写用帯電部材
8 ・・・・ 転写搬送ベルト
9 ・・・・ レジストローラ
10 ・・・ 定着装置
11C、11M、11Y、11K ・・・・ 画像形成要素
12 ・・・ 転写紙
13C、13M、13Y、13K ・・・・ 第2の露光部材
101 ・・・ 感光体
102 ・・・ フランジ
103 ・・・ 転写紙
1 ・・・ 感光体
2 ・・・ 帯電ローラ
21 ・・・ ギャップ形成部材
22 ・・・ 金属シャフト
23 ・・・ 画像形成領域
24 ・・・ 非画像形成領域
201 ・・・ 感光体
202 ・・・ 帯電部材
203 ・・・ 有色トナー用書き込み部材
204 ・・・ 有色トナー用現像部材
205 ・・・ 透明トナー用現像部材
206 ・・・ クリーニング部材
31 ・・・ 導電性支持体
35 ・・・ 電荷発生層
37 ・・・ 電荷輸送層
39 ・・・ 表面保護層

Claims (24)

  1. 少なくとも帯電部材に対し直流成分に交流成分を重畳した電圧を印加することにより感光体に帯電を与える帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、および画像形成における感光体10000回転あたりの摩耗量が0.1μm以下の耐摩耗性を有する表面保護層を設けた電子写真感光体を具備してなる画像形成要素を複数配列したフルカラー画像形成装置であって、各画像形成要素において前記画像露光に基づき有色トナーを感光体に現像した後、転写体に有色トナーを転写する転写手段と、クリーニング手段との間に、感光体全面を透明トナーにより現像する現像手段を設けることを特徴とするフルカラー画像形成装置。
  2. 前記画像形成要素中の転写手段と透明トナー現像手段との間に、第2の画像露光手段を設け、感光体全面に光照射を行い、次いで透明トナーによる現像を行うことを特徴とする請求項1に記載のフルカラー画像形成装置。
  3. 前記画像形成要素中の転写手段と透明トナー現像手段との間に、第2の画像露光手段を設け、第2の画像露光手段による書き込みを、有色トナー像露光を行わない部分にのみ行い、次いで透明トナーによる現像を行うことを特徴とする請求項1に記載のフルカラー画像形成装置。
  4. 少なくとも前記第2の画像露光手段が、半導体レーザ(LD)あるいは発光ダイオード(LED)であることを特徴とする請求項2又は3に記載のフルカラー画像形成装置。
  5. 前記透明トナーの現像が、非接触状態で行われることを特徴とする請求項1乃至4項のいずれかに記載のフルカラー画像形成装置。
  6. 前記透明トナーの帯電極性が有色トナーの帯電極性と逆極性であることを特徴とする請求項1に記載のフルカラー画像形成装置。
  7. 前記有色トナー画像形成に用いられる画像露光手段が半導体レーザー(LD)あるいは発光ダイオード(LED)によって感光体上に静電潜像の書き込みを行うものであり、入力原稿の向きに依らず出力する紙の長手方向を感光体の長手方向に揃えて画像出力することを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のフルカラー画像形成装置。
  8. 前記画像形成装置において、感光体長手方向の有効画像形成領域の長さよりも出力する紙の長手方向の長さが短い場合にも出力する紙の範囲外にも透明トナーを現像することを特徴とする請求項7に記載のフルカラー画像形成装置。
  9. 前記帯電手段が帯電部材を感光体に非接触近接配置したものであることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の画像形成装置。
  10. 前記帯電部材と感光体間の空隙が200μm以下であることを特徴とする請求項9に記載のフルカラー画像形成装置。
  11. 前記画像形成要素に用いられる有色トナーと透明トナーのいずれもワックス類を含有し、両者に含有されるワックス類の含有量がほぼ同一であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のフルカラー画像形成装置。
  12. 前記画像形成要素に用いられる有色トナーと透明トナーのいずれも滑剤を含有し、両者に含有される滑剤量がほぼ同一であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のフルカラー画像形成装置。
  13. 前記滑剤がステアリン酸亜鉛であることを特徴とする請求項12に記載のフルカラー画像形成装置。
  14. 前記画像形成要素に用いられる有色トナーと透明トナーのいずれも流動化剤を含有し、両者に含有される流動化剤量がほぼ同一であることを特徴とする請求項1乃至10のいずれかに記載のフルカラー画像形成装置。
  15. 前記電子写真感光体の保護層が比抵抗1010Ω・cm以上の無機顔料又は金属酸化物を含有することを特徴とする請求項1乃至14のいずれかに記載のフルカラー画像形成装置。
  16. 前記金属酸化物が、比抵抗1010Ω・cm以上のアルミナ、酸化チタン、シリカのいずれかであることを特徴とする請求項15に記載のフルカラー画像形成装置。
  17. 前記金属酸化物が、比抵抗1010Ω・cm以上のα−アルミナであることを特徴とする請求項16に記載のフルカラー画像形成装置。
  18. 前記保護層が高分子電荷輸送物質を含有することを特徴とする請求項1乃至17のいずれかに記載のフルカラー画像形成装置。
  19. 前記電子写真感光体に含有される電荷発生物質が、下記(XI)式で表されるアゾ顔料であることを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載のフルカラー画像形成装置。
    Figure 0003925927
    (式(XI)中、Cp1、Cp2はカップラー残基を表す。R201、R202はそれぞれ、水素原子、ハロゲン原子、アルキル基、アルコキシ基、シアノ基のいずれかを表し、同一でも異なっていても良い。またCp1、Cp2は下記(XII)式で表され、
    Figure 0003925927
    式(XII)中、R203は、水素原子、炭素数が1〜4のアルキル基、アリール基を表す。R204、R205、R206、R207、R208はそれぞれ、水素原子、ニトロ基、シアノ基、ハロゲン原子、トリフルオロメチル基、炭素数が1〜4のアルキル基、炭素数が1〜4のアルコキシ基、ジアルキルアミノ基、水酸基を表し、Zは置換もしくは無置換の芳香族炭素環または置換もしくは無置換の芳香族複素環を構成するのに必要な原子群を表す。)
  20. 前記アゾ顔料のCp1とCp2が互いに異なるものであることを特徴とする請求項19に記載のフルカラー画像形成装置。
  21. 前記電子写真感光体に含有される電荷発生物質が、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンであることを特徴とする請求項1乃至18のいずれかに記載のフルカラー画像形成装置。
  22. 前記チタニルフタロシアニンが、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3°のピークと9.4°のピークの間にピークを有さず、かつ26.3゜にピークを有さないことを特徴とする請求項21に記載のフルカラー画像形成装置。
  23. 前記電子写真感光体の導電性支持体表面が、陽極酸化皮膜処理されたものであることを特徴とする請求項1乃至22のいずれかに記載のフルカラー画像形成装置。
  24. 前記フルカラー画像形成装置において、少なくとも感光体が、帯電手段、露光手段、クリーニング手段の中から選ばれた1つの手段と共に1つのユニットに収納されたカートリッジ形態からなることを特徴とする請求項1乃至23のいずれかに記載のフルカラー画像形成装置。
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