JP4169250B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
画像形成装置、詳しくは乾式2成分現像剤を用いた電子写真装置等の画像形成装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真複写装置等の画像形成装置においては、磁性キャリアとトナーとからなる2成分現像剤を用いた磁気ブラシ現像方式等が採用されている。この方式による現像装置は、通常、内部に複数の磁極対を有する磁石体からなるマグネットローラを備え、回転可能に支持された円筒状の現像剤担持体である現像スリーブを有し、この現像スリーブ表面にトナーを付着させた磁性キャリアを保持し現像領域に搬送して現像を行うものである。一方、磁性キャリアを用いることなく磁性トナーもしくは非磁性トナーのみを用いて現像を行う1成分現像方式も採用されており、細部の構造、トナーの帯電手段等が2成分現像方式と異なるものの、現像スリーブ表面にトナーを保持し現像領域に搬送して現像を行う点は共通している。
【0003】
前記のような現像装置において、1成分現像方式では、例えば特公昭64−12386号公報等に見られるように現像スリーブの表面粗さを粗くすることにより、トナーの搬送性を改善して画像品質を向上させるという提案がなされている。また、2成分現像方式でも、特開平5−19632号公報に開示されている如く、現像スリーブの表面粗さを粗くすることにより、トナーの搬送性を改善する方法が提案されている。
【0004】
しかしながら、上記の方法は非接触現像を前提としており、棒状の現像剤量規制体を用いることによって現像剤担持体に現像剤を一定に規制する方法である。そのため、剛性又は剛性かつ磁性を有する材料からなる現像剤量規制体を用いる接触現像方式においては、現像剤担持体上へ十分な現像剤を供給するには問題がある。特に、最近の高画質化、小型化においてキャリアは自ずと小粒径化する必要がある。しかし、キャリアは小粒径化されるほど流動性が悪くなる傾向があり、このような現像剤を用いる場合に、上記方法では現像剤を安定して現像領域へ搬送することに問題がある。
【0005】
さらに、最近の複写機等の画像形成装置は、サービスマンのメンテナンスの省力化を図るために、感光体(潜像担持体)と現像装置を一体化することによって簡単に交換できるようにしている場合が多い。このようなシステムの場合、交換サイクルを長くしないとコストが高くなるので、自ずと高寿命現像剤及び現像剤と同程度の寿命の感光体が必要となってくる。しかしながら、2成分現像剤を用いた接触現像方式を採用する場合には、感光体が常に現像剤により擦られているため、磨耗しやすく長寿命化が困難であった。さらに、高画質化の要求に対して、現像領域の現像剤密度を大きくする必要がある。しかしながら、現像領域の現像剤密度を大きくすると、感光体磨耗にとってはさらに不利となる。そこで、感光体の保護層にフィラーを添加し、感光体の摩耗を防止する方法が知られている。しかし、この方法によれば確かに磨耗は防げるが、感光体の表層にオゾン、窒素酸化物、硝酸イオン性物質、アンモニウムイオン性物質等(ボケ物質)が堆積することにより、解像度の低下、画像ボケ等の問題が発生する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の如き事情に基づいてなされたものであり、その目的は、現像剤を適度な強さで潜像担持体に接触させることにより、オゾン、窒素酸化物、硝酸イオン性物質、アンモニウムイオン性物質等が潜像担持体の表面上に堆積することを防止し、これらの物質が原因で生じる主として画像ボケによる画質低下を防止することにある。さらには、潜像担持体を長寿命化し、画像形成装置の画質安定性、信頼性を向上させることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題を解決すべく、現像剤に含まれるキャリアのコート層の材料と構成、潜像担持体すなわち感光体の最表層の材料と構成を鋭意検討した結果、ある特定の形状をキャリアコート層と潜像担持体最表層に持たせることによって、フィラーを含有する潜像担持体最表層へのオゾン、窒素酸化物、硝酸イオン性物質、アンモニウムイオン性物質等の堆積を著しく低減でき、潜像担持体の劣化、画像ボケの発生を抑えることができることを見いだし本発明に到達した。
【0008】
すなわち本発明によれば下記(1)〜(9)が提供される。
(1) 内部に固定された磁石体を有し、表面上に現像剤を担持しつつ回転する現像剤担持体、及び、前記磁石体に対向し、該現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制するための現像剤量規制体を備えた接触現像方式の現像装置と、最表層にアルミナを含有する潜像担持体とを備え、磁性キャリアとトナーよりなる2成分現像剤で静電潜像の現像を行う画像形成装置において、該磁性キャリアが少なくともアルミナを保持した結着樹脂で形成されるコート層を表面に有し、結着樹脂に保持された該アルミナの粒子径D1と該結着樹脂膜厚h1の比が
1<D1/h1<10
の範囲にあることを特徴とする画像形成装置。
【0009】
(2)上記最表層にアルミナを含有する潜像担持体の最表層膜厚h2とアルミナ径D2との比が
3<h2/D2<100
の範囲にあることを特徴とする(1)に記載の画像形成装置。
【0010】
(3) 上記磁性キャリアのコート層のアルミナ含有量が50〜95wt%の範囲にある(1)又は(2)に記載の画像形成装置。
【0011】
(4) 上記潜像担持体の最表層中のアルミナ含有量が5〜60wt%の範囲にある
【0012】
(5) 上記磁性キャリアのコート層中の結着樹脂がアクリル樹脂及び/又はグアナミン樹脂を含有する(1)〜(4)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0013】
(6) 結着樹脂に保持された該アルミナの粒子径D1と該結着樹脂膜厚h1の比が
4≦D1/h1<10
の範囲にあり、かつ、D1が0.05〜1.2μmであることを特徴とする(1)〜(5)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0014】
(7) 前記画像形成装置が上記潜像担持体を複数具備し、それぞれの潜像担持体上に現像された単色のトナー画像を順次重ね合わせてカラー画像を形成することを特徴とする(1)〜(6)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0015】
(8) 前記画像形成装置が、潜像担持体上に現像されたトナー画像を中間転写体上に一次転写したのち、該中間転写体上のトナー画像を記録材上に二次転写する中間転写手段をさらに有する画像形成装置であって、複数色のトナー画像を中間転写体上に順次重ね合わせてカラー画像を形成し、該カラー画像を記録材上に一括で二次転写することを特徴とする(1)〜(7)のいずれかに記載の画像形成装置。
【0016】
(9) 前記中間転写体がシームレスベルトであり、かつ、ベルトの全層やベルトの一部を弾性部材にした弾性ベルトであることを特徴とする(8)に記載の画像形成装置。
【0017】
本発明によって、フィラーを含有する潜像担持体最表層へのオゾン、窒素酸化物、硝酸イオン性物質、アンモニウムイオン性物質等の付着量が著しく低下することのメカニズムとしては、次の▲1▼及び▲2▼が考えられる。
▲1▼ 凹凸の著しい磁性キャリアによって、潜像担持体表面の付着物が、その形状が効果的に働くことにより、掻き取られること。
▲2▼ 磁性キャリアのコート層に含有させる比較的微小な粒子及び潜像担持体最表層中のフィラーは初期にはそれぞれの樹脂成分で被覆されているが、画像形成装置内での繰返使用により、粒子及びフィラーは徐々に露出し、やがてはキャリア上の粒子と潜像担持体最表層中の粒子とが直接接触することにより、潜像担持体最表層のフィラー上に付着したオゾン、窒素酸化物、硝酸イオン性物質、アンモニウムイオン性物質等がキャリアコート層中粒子に移行し、潜像担持体表面がリフレッシュされること。
【0018】
本発明の画像形成装置の現像方法は2成分接触現像方法であり、内部に固定された磁石体を有し表面上に現像剤を担持しつつ回転する現像剤担持体と、前記磁石体に対向し該現像剤担持体に担持された、現像剤の量を規制するための剛性又は剛性かつ磁性を有する材料からなる現像剤量規制体とを備えた現像装置を用いて行うものである。
【0019】
まず、本発明に用いられる現像装置について説明する。図1は、本発明に用いられる現像装置の一例の断面図を示すものである。
図1において、1は矢印方向に回転し、表面にフィラーを含有した保護層を有し、図示していないが帯電器、露光装置によって表面に静電潜像を形成させる、静電潜像担持体である電子写真感光体ドラムである。4は現像剤担持体である現像スリーブである。5は、現像スリーブ4の内部に固定して設けられ複数のN、S磁極対を周方向に有するマグネットローラ(磁気ロール)であり、この現像スリーブ4とマグネットローラ5により現像剤を担持し、現像スリーブ4は固定したマグネットローラ5に対して感光体ドラム1と同一方向に回転し、現像剤を搬送する。また、マグネットローラ5のN、S磁極は、適当な磁束密度を有し、その磁力によって現像剤よりなる磁気ブラシを形成する。6は磁気ブラシの高さ、量を規制するための規制体、すなわち剛性又は剛性かつ磁性を有する材料からなる現像剤量規制体である。(この規制体と現像スリーブの間隔をドクターギャップと称する。)
【0020】
装置内に補給されたトナーは矢印方向に回転する供給ローラ9によりキャリアと十分攪拌混合されて摩擦帯電が行われると共に、現像スリーブ4に送られる。現像スリーブ4と感光体ドラム1の表面距離を所定の間隔(例えば0.7mm)に設定し、感光体ドラム1の静電潜像を現像する場合、現像スリーブ4の表面に形成された磁気ブラシは、現像スリーブ4の回転に伴って磁束密度の変化により振動しながら現像スリーブ4と共に移動し、現像領域の間隙を円滑に通過しながら、トナーにより静電潜像を現像する。このとき、現像を好適に行うべく、現像スリーブ4と感光体ドラム1の基体との間にバイアス電圧を印加してもよい。
【0021】
以下本発明に関わる、粒子を保持した結着樹脂でコートされたキャリアに就いて説明する。
本発明に関わるキャリアは、キャリアの粒径に比して比較的微小径の粒子を少なくとも含む結着樹脂で形成される被膜であるコート層を有する磁性キャリアであって、該粒子径D1と該結着樹脂膜厚h1の比が 1<D1/h1<10 であることで、フィラーを含有する潜像担持体表面のリフレッシュ効果が顕著である。これは、キャリア表面において、被覆膜である結着樹脂のみの部分の厚みに対し粒子存在部分が凸となるので、潜像担持体表面の掻き取り力が高くなるためである。D1/h1 が1以下の場合には、粒子は結着樹脂中に埋もれてしまうため、付着物質掻き取りの効果が著しく低下し好ましくない。D1/h1 が10以上の場合には、キャリア上におけるへ粒子の保持力が弱く、粒子がキャリアの表面から容易に脱離してしまうため好ましくない。
【0022】
更に、キャリア表面の粒子の含有率がコート層組成成分の50〜95wt%の範囲、好ましくは70〜90wt%であることで、その効果は顕著である。更に、粒子がアルミナ、シリカ、チタニア及び酸化亜鉛のうちの一種以上である場合、特にアルミナである場合に、その効果は顕著である。この粒子のコート層中の含有率が50wt%よりも少ない場合には、キャリア表面において、結着樹脂の占める割合に比べて粒子の占める割合が少ないため、接触時の結着樹脂への強い衝撃を吸収しきれず、キャリアの十分な耐久性が得られず好ましくない。一方、95wt%よりも多い場合には、キャリア表面での結着樹脂の占める割合に比べて粒子の占める割合が多過ぎるため、帯電発生箇所である結着樹脂の占める割合が不十分となり、十分な帯電能力を発揮できない。それに加えて、結着樹脂による粒子の保持能力が不十分となり、キャリア表面から粒子が脱離し易くなるので、キャリアの十分な耐久性が得られず好ましくない。
【0023】
コート層の樹脂厚さは0.001〜20μmが好ましく、さらに好適には0.01〜1μmの範囲である。コート層が保持する粒子の粒径については0.01〜20μm、さらに好適には0.05〜5μmである。0.05〜5μmの粒子を1/1〜1/10厚み程度の樹脂層で被覆し、キャリア上に保持することで、微粒子のキャリア上への保持性が良好となり、また、物理的かきとり力の向上を図ることが出来る。さらにこの場合、微粒子上の樹脂層が剥離しても、微粒子は保持され、キャリア上の粒子と潜像嘆担持体上の粒子とが接触することにより、像担持体上からのボケ物質の移行がスムーズとなる。
キャリアのコート層を形成する結着樹脂としては、従来の樹脂が使用できるが、グアナミン樹脂、アクリル樹脂又はその混合物が衝撃吸収性が高く、キャリアの寿命を長くできるという観点から好適である。実際の磁性キャリア表面への樹脂の塗布に際しては、上記樹脂を浸漬法、流動床法又は噴霧法等により磁性キャリアに塗布する方法等が採られる。
【0024】
磁性キャリアの芯材としては、静電潜像担持体へのキャリア付着(飛散)防止の点から、小さくとも平均粒径20μmの大きさのものを使用し、キャリアスジの発生等、画質低下防止の点から、大きくとも80μmまでのものを使用する。20μmより小さいと潜像担持体へのキャリア付着が発生しやすく好ましくない。また、80μmより大きい場合は特に不具合は発生しないが、高画質の要求から好ましくない。具体的材料としては、電子写真用2成分キャリアとして公知のもの、例えば、フェライト、マグネタイト、鉄、ニッケル等をキャリアの用途及び使用目的に合わせて適宜選択して用いればよい。またその製造方法には特別な制約はない。
【0025】
2成分現像剤の帯電及び抵抗調節剤として、カーボンブラックあるいは酸性触媒を単独又は併用して用いることも可能である。カーボンブラックは、キャリアあるいはトナー用として一般的に使われているもの全てを用いることができる。酸性触媒は、触媒作用を持つものを用いることができる。例えば、完全アルキル化型、メチロール基型、イミノ基型、メチロール/イミノ基型等の反応性基を有するものであるが、これらに限るものではない。
【0026】
本発明の画像形成装置に用いる、磁性キャリアと共に現像剤を構成するトナーとしては、従来公知の方法で製造されたものを使用できる。具体的には、結着樹脂、着色剤及び極性制御剤よりなる混合物を熱ロールミルで溶融混練した後、冷却固化せしめ、これを粉砕分級して得られる。具体的には、下記に例示する結着樹脂、着色剤、荷電制御剤、必要に応じて任意の添加物等から構成される。
【0027】
トナーに用いる結着樹脂としては、公知のものがすべて使用できる。例えば、ポリスチレン、ポリ−p−スチレン、ポリビニルトルエン等のスチレン及びその置換体の単重合体、スチレン−p−クロルスチレン共重合体、スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ブチル共重合体、スチレン−α−クロルメタクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体等のスチレン系共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリウレタン、ポリアミド、エポキシ樹脂、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、フェノール樹脂、脂肪族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックス等が、単独あるいは混合して使用できる。
【0028】
また、トナーに用いられる極性制御剤としては従来公知のものでよく、例えばモノアゾ染料の金属錯塩、ニトロフミン酸及びその塩、サリチル酸、ナフトエ酸、ジカルボン酸のCo、Cr、Fe等の金属錯体アミノ化合物、第4級アンモニウム化合物、有機染料等がある。トナーに使用される極性制御剤の使用量は、結着樹脂の種類や必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくは結着樹脂100重量部に対して0.1〜20重量部の範囲で用いられる。0.1重量部未満では、トナーの帯電量が不足し実用的でない。また、20重量部を越える場合にはトナーの帯電量が大きすぎ、キャリアとの静電的吸引力の増大のため、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0029】
トナーに含有される黒色の着色剤としては、例えば、カーボンブラック、アニリンブラック、ファーネスブラック、ランプブラック等が使用できる。シアンの着色剤としては、例えば、フタロシアニンブルー、メチレンブルー、ビクトリアブルー、メチルバイオレット、アニリンブルー、ウルトラマリンブルー等が使用できる。マゼンタの着色剤としては、例えば、ローダミン6Gレーキ、ジメチルキナクリドン、ウォッチングレッド、ローズベンガル、ローダミンB、アリザリンレーキ等が使用できる。イエローの着色剤としては、例えば、クロムイエロー、ベンジジンイエロー、ハンザイエロー、ナフトールイエロー、モリブデンオレンジ、キノリンイエロー、タートラジン等が使用できる。
【0030】
更に、トナーに磁性材料を含有させ、磁性トナーとしても使用し得る。磁性トナー中に含まれる磁性材料としては、マグネタイト、ヘマタイト、フェライト等の酸化鉄、鉄、コバルト、ニッケル等の金属、あるいは、これらの金属とアルミニウム、コバルト、銅、鉛、マグネシウム、スズ、亜鉛、アンチモン、ベリリウム、ビスマス、カドミウム、カルシウム、マンガン、セレン、チタン、タングステン、バナジウム等の金属の合金及びその混合物等が挙げられる。これらの強磁性体は平均粒径が0.1〜2μm程度のものが望ましく、トナー中に含有させる量としては結着樹脂成分100重量部に対し約20〜200重量部、特に好ましくは結着樹脂成分100重量部に対し40〜150重量部である。
【0031】
また、トナーに添加する添加剤としては、酸化セリウム、酸化ケイ素、酸化チタン、炭化ケイ素等の無機微粉体がある。この中でも特にコロイダルシリカが好ましい。
【0032】
本発明におけるキャリア並びにトナーの使用量としては、トナー粒子がキャリア表面に付着して、その表面積の30〜90%を占める程度に両方を混合するのが好ましい。
【0033】
次に、本発明に用いられる潜像担持体の構成を図2〜4に沿って説明する。本発明に関わる潜像担持体は少なくとも2層以上の積層構成をしており、潜像担持体の最表層の構成に特徴がある。以下、感光層上に表面保護層を塗布した、最表層が保護層である場合について本発明における潜像担持体を説明する。
【0034】
図2は、本発明に使用する潜像担持体の一例を表わす断面図であり、導電性支持体31上に、電荷発生物質と電荷輸送物質を主成分とする単層感光層33が設けられ、感光層上に保護層39が設けられている。
【0035】
図3は、本発明に使用する潜像担持体の別の構成例を示す断面図であり、感光層が、電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35と電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37とを積層した構成であり、電荷輸送層37上に保護層39が設けられている。
【0036】
図4は、本発明に使用する潜像担持体の更に別の構成例を示す断面図であり、感光層が、電荷輸送物質を主成分とする電荷輸送層37と電荷発生物質を主成分とする電荷発生層35とを積層した構成であり、電荷発生層35上に保護層39が設けられている。
【0037】
図2〜4に示した潜像担持体では、感光層保護の目的で、保護層39が単層又は積層の感光層の上に設けられる。保護層に使用される材料としては、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。
【0038】
最表層である保護層には、その他に、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂やシリコーン樹脂を含有することが好ましく、これらの樹脂又は上記の保護層材料中に、酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、シリカ等の無機フィラー又は有機フィラーを含有する必要がある。中でもフィラーとしては金属酸化物が良好に使用され、特にアルミナ、チタニア、シリカ及び酸化亜鉛の一種以上が良好に使用される。
【0039】
また、保護層39には残留電位低減、光感度向上、高速応答性のため、電荷輸送物質が添加されることが好ましい。添加される電荷輸送物質は、後述する電荷輸送層37の説明に記載する低分子電荷輸送物質が用いられる。また、後述する高分子電荷輸送物質も耐摩耗性向上、高速応答性等の点で、更に良好に使用される。
【0040】
保護層の形成法としては通常の塗布法が採用される。このとき、保護層の厚さは2〜30μm程度が耐久性の観点から適当である。本発明においては潜像担持体の最表層(ここでは保護層)膜厚とフィラー粒径の関係に特徴があり、最表層膜厚h2とフィラー径D2との比を 3<D2/h2<100 の範囲とすることが好適である。この範囲とすることによって、潜像担持体表面のフィラーの痕跡形状がなく、平滑ないしは略平滑な最表層となる。h2/D2が3よりも小さい場合には、最表層に対してフィラーの粒径が大きすぎ、最表層表面にフィラーの痕跡が残った凹凸形状となりやすく、露出したフィラーに付着したボケ物質を、微小な粒子を表面に保持したキャリアが掻き取ることを阻害してしまう。また、感光層への光の到達を考慮した場合、像露光のための光をフィラーが吸収あるいは散乱させ、好ましくない。h2/D2が100以上の場合には、保護層の厚みが限定された条件下ではフィラー粒径が著しく小さくなることを意味し、保護層本来の目的であるフィラーによる耐摩耗性の向上が期待できなくなる。フィラー量が限定された条件で考えるとフィラー粒子数を著しく増量させることになり、活性なフィラーに対してボケ物質は付着しやすく、付着点も多くなるため好ましくない。
【0041】
潜像担持体の最表層に含有させるフィラーの粒径は0.02〜33μmの範囲が適用可能であり、この範囲全体に亘って前述の膜厚との比を満たすことは可能であるが、実用的には0.3〜1.0μmが好適である。
【0042】
潜像担持体の最表層のフィラー含有量は5〜60wt%が好ましい。5wt%を下回ると最表層中のフィラー含有量が不足しており、耐摩耗性の向上が期待できない。逆に60wt%を上回るとフィラー量が多すぎ、潜像担持体の電気特性に不具合を生じ、画像上の地汚れ、濃度低下等の現象を引き起こす。
【0043】
潜像担持体を構成する導電性支持体31としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金等の金属又は酸化スズ、酸化インジウム等の金属酸化物を蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチックや紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレス等の板及びそれらを押し出し、引き抜き等の工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩等の表面処理した管等を使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体31として用いることができる。
【0044】
上記の導電性支持体の他、支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性支持体31として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀等の金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITO等の金属酸化物粉体等があげられる。また、同時に用いられる導電性支持体の結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂があげられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエン等に分散して塗布することにより設けることができる。
【0045】
更に、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)等の素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けたものも、本発明における潜像担持体に用いる導電性支持体31として良好に用いることができる。
【0046】
次に、上記導電性支持体上に形成する感光層について説明する。感光層は単層(図2)でも積層(図3及び4)でもよいが、説明の都合上、先ず電荷発生層35と電荷輸送層37で構成される積層の場合から述べる。
【0047】
電荷発生層35は、電荷発生物質を主成分とする層で、必要に応じて後述の結着樹脂を用いることもある。電荷発生物質としては、無機系材料と有機系材料を用いることができる。
【0048】
電荷発生物質の無機系材料には、結晶セレン、アモル・ファスセレン、セレン−テルル、セレン−テルル−ハロゲン、セレン−ヒ素化合物や、アモルファス・シリコン等が挙げられる。アモルファス・シリコンにおいては、ダングリングボンドを水素原子、ハロゲン原子でターミネートしたものや、ホウ素原子、リン原子等をドープしたものが良好に用いられる。
【0049】
一方、電荷発生物質の有機系材料としては、公知の材料を用いることが出来る。例えば、金属フタロシアニン、無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩顔料、スクエアリック酸メチン顔料、カルバゾール骨格を有するアゾ顔料、トリフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジフェニルアミン骨格を有するアゾ顔料、ジベンゾチオフェン骨格を有するアゾ顔料、フルオレノン骨格を有するアゾ顔料、オキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ビススチルベン骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルオキサジアゾール骨格を有するアゾ顔料、ジスチリルカルバゾール骨格を有するアゾ顔料、ペリレン系顔料、アントラキノン系又は多環キノン系顔料、キノンイミン系顔料、ジフェニルメタン及びトリフェニルメタン系顔料、ベンゾキノン及びナフトキノン系顔料、シアニン及びアゾメチン系顔料、インジゴイド系顔料、ビスベンズイミダゾール系顔料等が挙げられる。これらの電荷発生物質は、単独又は2種以上の混合物として用いることが出来る。
【0050】
必要に応じて電荷発生層35に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。
【0051】
電荷発生層35を形成する方法には、真空薄膜作製法と溶液分散系からのキャスティング法とが大まかな区分として挙げられる。電荷発生層35の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
前者の方法では、真空蒸着法、グロー放電分解法、イオンプレーティング法、スパッタリング法、反応性スパッタリング法、CVD法等が用いられ、電荷発生層35として上述した無機系材料又は有機系材料の層が良好に形成できる。
また、後者のキャスティング法によって電荷発生層を設けるには、上述した無機系もしくは有機系電荷発生物質を必要ならば結着樹脂と共にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、ジオキサン、ジクロロエタン、ブタノン等の溶媒を用いてボ−ルミル、アトライタ−、サンドミル等により分散し、分散液を適度に希釈して塗布することにより、形成できる。塗布は、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコートノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。
【0052】
本発明に用いる潜像担持体の電荷輸送層37は、電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
【0053】
電荷輸送層37に含有させる電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電子輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
【0054】
電荷輸送物質のうち正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾール及びその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート及びその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物及びその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、又は2種以上混合して用いられる。
【0055】
電荷輸送層37に用いる結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性又は熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0056】
電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は5〜100μm程度とすることが好ましい。ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトン等が好適である。
【0057】
また、電荷輸送層37には電荷輸送物質としての機能と結着樹脂の機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これら高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は、自身が高分子化合物であるため成膜性に優れ、低分子分散型高分子からなる電荷輸送層に比べ、電荷輸送部位を高密度に構成することが可能で電荷輸送能に優れたものである。このため、高分子電荷輸送物質を用いた電荷輸送層を有する潜像担持体には高速応答性が期待できる。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖及び/又は側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、下記(I)〜(X)式で表される高分子電荷輸送物質が良好に用いられ、これらを以下に例示する。
【0058】
【化1】
Figure 0004169250
(I)式を下記に示す。
式(I)中、R1〜R3はそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、R4は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R5及びR6は置換もしくは無置換のアリール基を表す。o、p及びqはそれぞれ独立して0〜4の整数、k、jは組成を表し、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表し5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、又は下記一般式で表される2価基を表す。
【0059】
【化2】
Figure 0004169250
上記式中、R101及びR102は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表す。複数ある場合はR101及びR102はそれぞれ同一でも異なってもよい。l及びmはそれぞれ0〜4の整数を表す。Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表す。)又は、
【化3】
Figure 0004169250
(上記式中、aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103及びR104はそれぞれ置換又は無置換のアルキル基又はアリール基を表す。R103及びR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。)を表す。
【0060】
(II)式を下記に示す。
【化4】
Figure 0004169250
式(II)中、R7及びR8は置換もしくは無置換のアリール基、Ar1〜Ar3は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、(I)式の場合と同じである。
【0061】
(III)式を下記に示す。
【化5】
Figure 0004169250
式(III)中、R9及びR10はそれぞれ置換もしくは無置換のアリール基、Ar4〜Ar6は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、(I)式の場合と同じである。
【0062】
(IV)式を下記に示す。
【化6】
Figure 0004169250
式(IV)中、R11及びR12はそれぞれ置換もしくは無置換のアリール基、Ar7〜Ar9は同一又は異なるアリレン基、pは1〜5の整数を表す。X、k、j及びnは、(I)式の場合と同じである。
【0063】
(V)式を下記に示す。
【化7】
Figure 0004169250
式(V)中、R13及びR14はそれぞれ置換もしくは無置換のアリール基、Ar10〜Ar12は同一又は異なるアリレン基、X1及びX2はそれぞれ置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表す。X、k、j及びnは、(I)式の場合と同じである。
【0064】
(VI)式を下記に示す。
【化8】
Figure 0004169250
式(VI)中、R15〜R18はそれぞれ置換もしくは無置換のアリール基、Ar13〜Ar16は同一又は異なるアリレン基、Y1〜Y3はそれぞれ単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子及びビニレン基のいずれかを表し同一であっても異なってもよい。X、k、j及びnは、(I)式の場合と同じである。
【0065】
(VII)式を下記に示す。
【化9】
Figure 0004169250
式(VII)中、R19及びR20はそれぞれ水素原子又は置換もしくは無置換のアリール基を表し、R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17〜Ar19は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、(I)式の場合と同じである。
【0066】
(VIII)式を下記に示す。
【化10】
Figure 0004169250
式(VIII)中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、Ar20〜Ar23は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、(I)式の場合と同じである。
【0067】
(IX)式を下記に示す。
【化11】
Figure 0004169250
式(IX)中、R22〜R25はそれぞれ置換もしくは無置換のアリール基、Ar24〜Ar28は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、(I)式の場合と同じである。
【0068】
(X)式を下記に示す。
【化12】
Figure 0004169250
式(X)中、R26及びR27は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29〜Ar31は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、(I)式の場合と同じである。
【0069】
本発明に用いる潜像担持体においては、電荷輸送層37中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレート等一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂に対して0〜30wt%程度が適当である。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイル等のシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいは、オリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂に対して、0〜1wt%が適当である。
【0070】
次に、本発明に用いることのできる潜像担持体のうち、感光層が単層構成33の場合について述べる。単層感光層としては、少なくとも上述した電荷発生物質を結着樹脂中に分散した感光層が使用できる。単層感光層は、電荷発生物質及び結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。さらに、この感光層には上述した電荷輸送材料を添加した機能分離タイプとしてもよく、上記の例が良好に使用できる。また、必要により、可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
【0071】
単層感光層に用いる結着樹脂としては、先に電荷輸送層37で挙げた結着樹脂をそのまま用いる他に、電荷発生層35で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。もちろん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、更に好ましくは50〜150重量部である。単層感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を必要ならば電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法で層を形成することができる。単層感光層の膜厚は、5〜100μm程度が適当である。
【0072】
本発明に用いる潜像担持体においては、導電性支持体31と単層又は積層の感光層との間に下引き層を設けることができる(図示せず)。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示される金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
【0073】
これらの下引き層は前述の感光層の如く適当な溶媒及び塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Al23を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作製法にて設けたものも良好に使用できる。この他にも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0074】
本発明に用いる潜像担持体においては、単層又は積層の感光層と保護層との間に中間層を設けることも可能である(図示せず)。中間層は、一般に結着樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコール等が挙げられる。中間層の形成法としては、前述の如く通常の塗布法が採用される。なお、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
【0075】
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、各層に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質及びレベリング剤を添加することが出来る。これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
【0076】
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば下記(a)〜(e)のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(a)フェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾ−ル、ブチル化ヒドロキシアニソ−ル、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノ−ル、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノ−ル)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネ−ト]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコ−ルエステル、トコフェロ−ル類等。
【0077】
(b) パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N'−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジメチル−N,N'−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミン等。
【0078】
(c)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノン等。
【0079】
(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3'−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3'−チオジプロピオネート等。
【0080】
(e)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィン等。
【0081】
各層に添加できる可塑剤として、例えば下記(a)〜(m)のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)リン酸エステル系可塑剤
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル等。
【0082】
(b)フタル酸エステル系可塑剤
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル等。
【0083】
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチル等。
【0084】
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチル等。
【0085】
(e)脂肪酸エステル誘導体
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリン等。
【0086】
(f)オキシ酸エステル系可塑剤
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチル等。
【0087】
(g)エポキシ可塑剤
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシル等。
【0088】
(h)二価アルコールエステル系可塑剤
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラート等。
【0089】
(i)含塩素可塑剤
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチル等。
【0090】
(j)ポリエステル系可塑剤
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステル等。
【0091】
(k)スルホン酸誘導体
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミド等。
【0092】
(l)クエン酸誘導体
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシル等。
【0093】
(m)その他
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチル等。
【0094】
各層に添加できる滑剤としては、例えば下記(a)〜(h)のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)炭化水素系化合物
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレン等。
【0095】
(b)脂肪酸系化合物
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等。
【0096】
(c)脂肪酸アミド系化合物
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等。
【0097】
(d)エステル系化合物
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル等。
【0098】
(e)アルコール系化合物
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロール等。
【0099】
(f)金属石けん
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等。
【0100】
(g)天然ワックス
カルナバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウ等。
【0101】
(h)その他
シリコーン化合物、フッ素化合物等。
【0102】
各層に添加できる紫外線吸収剤として、例えば下記(a)〜(f)のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)ベンゾフェノン系
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2'、4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4,4'−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等。
【0103】
(b)サルシレート系
フェニルサルシレート、2,4ジ−t−ブチルフェニル−3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等。
【0104】
(c)ベンゾトリアゾール系
(2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ−5'−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2'−ヒドロキシ−3'−ターシャリブチル5'−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール等。
【0105】
(d)シアノアクリレート系
エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル−2−カルボメトキシ−3−(パラメトキシ)アクリレート等。
【0106】
(e)クエンチャー(金属錯塩系)
ニッケル(2,2'−チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェート等。
【0107】
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等。
【0108】
【発明の実施の形態】
図面を用いて本発明の画像形成装置の一例である電子写真装置を詳しく説明する。
図5は本発明の画像形成装置を説明するための電子写真装置の一例の概略断面図であるが、本発明はこれに限定されず、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図5において、潜像担持体61は導電性支持体上に感光層とフィラーを含有する最表層が設けられてなる。潜像担持体61はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。帯電用部材48が潜像担持体に接触もしくは近接配置されている。必要に応じて、転写前チャージャ52、転写チャージャ、分離チャージャ、クリーニング前チャージャ57が配置され、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラを始めとする公知の手段が用いられる。帯電用部材48により潜像担持体を帯電させる際、帯電部材に直流成分に交流成分を重畳した電界を印加し潜像担持体を帯電させることにより、帯電ムラを低減することが可能で効果的である。転写手段には、一般に上記の帯電器が使用できるが、図に示されるように転写ベルトを使用したものが有効に使用できる。
【0109】
また、画像露光部50、除電ランプ47等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)素子等の発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルター等の各種フィルターを用いることもできる。かかる光源を用いて、図5に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光等の工程を設けることにより、潜像担持体に光が照射される。
【0110】
さて、現像ユニット51により潜像担持体61上に現像されたトナーは、転写紙54に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、潜像担持体61上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、ファーブラシ58及びクリーニングブラシ59により、潜像担持体より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
【0111】
潜像担持体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、潜像担持体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
【0112】
【実施例】
以下、本発明の実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明する。ただし、本発明は以下の実施例に限定されない。
【0113】
(実施例1)
本実施例では、まずトナー及び磁性キャリアを製造し、次にそれらを用いた2成分現像剤を製造し、一方で潜像担持体を製造する。この2成分現像剤及び潜像担持体を組み込んで画像形成装置とし、これを用いて得られた画像の評価を行った。
【0114】
(トナーの製造)
スチレン−アクリル樹脂(三洋化成社製、ハイマー75) 85部
カーボンブラック(三菱化学社製、#44) 8部
含金属アゾ染料(オリエント化学社製、ボントロンS−34) 2部
カルナバワックス(セラリカ野田社製、WA−03) 5部
上記処方の混合物を140℃の熱ロールで溶融混練した後、冷却固化せしめ、これをジェットミルで粉砕し分級して平均粒径8.0μmのトナーを得た。
このトナー100重量部に対して、疎水性シリカR−972(日本アエロジル社製)0.7%をヘンシェルミキサーで混合してトナーを完成させた。
【0115】
(磁性キャリアの製造)
コート層形成溶液
アクリル樹脂溶液(固形分50wt%) 56.0部
グアナミン溶液(固形分77wt%) 15.6部
γ−(2−アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン 6部
アルミナ粒子[平均粒径0.6μm、固有抵抗1014Ω・cm]160部
トルエン 900部
ブチルセロソルブ 900部
以上をホモミキサーで10分間分散し、コート層形成溶液を調合した。芯材として焼成フェライト粉[F−300:平均粒径;50μm(パウダーテック社製)]を用い、上記コート層形成溶液を芯材表面に膜厚0.15μmになるようにスピラコーター(岡田精工社製)により塗布し乾燥した。得られたキャリアを電気炉中にて300℃で2時間放置して焼成した。冷却後フェライト粉バルクを目開き100μmの篩を用いて解砕し、キャリアとした。結着樹脂膜厚測定は、透過型電子顕微鏡にてキャリア断面を観察することにより、キャリア表面を覆うコート層である被覆膜を観察することができるため、その膜厚の平均値をもって膜厚とした。得られたキャリアのコート層膜厚、コート層中の粒子の粒径、両者の比D1/h1は、後述する表1に記載した。
【0116】
(2成分現像剤の製造)
上記トナー 4部
上記磁性キャリア 96部
をターブラーミキサーにて10分混合して2成分現像剤を作製した。
【0117】
(潜像担持体の作製)
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、及び電荷輸送層塗工液を、順次塗布し乾燥し、3.5μmの下引き層、0.2μmの電荷発生層、22μmの電荷輸送層、6μmの保護層からなる潜像担持体を形成した。
【0118】
下引き層塗工液
二酸化チタン粉末 400部
メラミン樹脂 65部
アルキッド樹脂 120部
2−ブタノン 400部
【0119】
電荷発生層塗工液
下記構造式(XI)のビスアゾ顔料 8部
下記構造式(XII)のトリスアゾ顔料 6部
ポリビニルブチラール 5部
2−ブタノン 200部
シクロヘキサノン 400部
【0120】
【化13】
Figure 0004169250
【0121】
【化14】
Figure 0004169250
【0122】
電荷輸送層塗工液
A型ポリカーボネート 10部
シクロヘキサノン 150部
下記構造式(XIII)の電荷輸送物質 7部
テトラヒドロフラン 400部
【0123】
【化15】
Figure 0004169250
【0124】
保護層塗工液
Zタイプポリカーボネート 10部
下記構造式(XIII)の電荷輸送物質 8部
アルミナ粒子(平均粒径0.6μm) 4部
テトラヒドロフラン 400部
シクロヘキサノン 150部
【0125】
【化16】
Figure 0004169250
【0126】
以上のようにして得た現像剤及び潜像担持体を組み合わせてリコー製ImagioMF250に組み込み、実施例1の画像形成装置1とした。
【0127】
(実施例2〜10、比較例1〜4)
本発明の有効性を確認するため、磁性キャリアのコート層構成の樹脂膜厚、アルミナ粒子径を変更したサンプルを作製し下記の表1に示すコート層構成とし、さらに、潜像担持体の最表層構成の最表層膜厚、フィラー粒径を続く表2に示すように変更した潜像担持体を作製した。コート層の樹脂膜厚及び粒子径、並びに、潜像担持体の最表層膜厚及びフィラー粒径を変えた以外は、実施例1と同様にして現像剤及び潜像担持体を製造した。これらの潜像担持体をそれぞれリコー製ImagioMF250に組み込み、画像形成装置2〜14を構成した。表1及び表2に示すように、本発明の画像形成装置である2〜10を実施例2〜10とし、比較のために製造した画像形成装置11〜14を比較例1〜4とした。
【0128】
【表1】
Figure 0004169250
【0129】
【表2】
Figure 0004169250
【0130】
(評価)
得られた画像形成装置1〜14に対して、それぞれ繰返複写試験を実施し、本発明の第一の目的である画像ボケの評価を実施し、さらに繰り返し試験中の異常の有無について評価した。評価結果を表3に示す。
【0131】
その評価方法は次のとおりとした。
Figure 0004169250
【0132】
【表3】
Figure 0004169250
【0133】
参考例1〜4
参考例1〜4では、実施例1の画像形成装置におけるキャリアコート層及び潜像担持体最表層に用いたアルミナ粒子を、それぞれチタニア(参考例1)、シリカ(参考例2、3)、酸化亜鉛(参考例4)に変更した以外は、実施例1と同様にして画像形成装置を作製した。これらの画像形成装置を実施例1と同様に評価したところ、全ての画像形成装置において画像ボケの発生は全くなく、画像品質も初期から経時にわたって常に良好であった。
参考例1〜4のキャリアコート層及び潜像担持体最表層のh1、D1及びD1/h1の値を表4及び表5に示す。
【0134】
【表4】
Figure 0004169250
【0135】
【表5】
Figure 0004169250
【0136】
(実施例19)
実施例1で製造した現像剤及び潜像担持体を、図6に示した弾性中間転写ベルトを用いたタンデム方式のカラー画像形成装置に組み込んで本発明の画像形成装置を構成した。
図6に示すように、タンデム方式の高速カラー画像形成装置は、潜像担持体71及び2成分現像剤を内部に有するトナーホッパ78を4つ直列に備える。各色の現像剤を用いて、転写体74が移動するにつれその上にトナー像が順次重ねて転写され、記録材s上にカラー画像が形成される。記録材sは搬送ローラ76及び搬送ベルト75によって運ばれ、最終的に定着装置77でカラー画像が定着される。
この画像形成装置を実施例1と同様に評価したところ、高速カラーの画像機であっても画像ボケの全く生じない、良好な画像が継続して得られた。
【0137】
【発明の効果】
本発明によれば、フィラーを最表層に含有した潜像担持体を用いて形成した場合にも、形成画像の画像ボケを回避することができる。また、本発明の画像形成装置によれば、潜像担持体表面へのフィルミングが防止でき、長期間良好な画像が得られる。同時に、キャリア表面へのフィルミングも防止できるため、本発明の画像形成装置を用いれば長期間良好な画像が形成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の画像形成装置に用いる現像装置の一例を示す断面図である。
【図2】 本発明の画像形成装置に用いる潜像担持体の層構成を示す断面図である。
【図3】 本発明の画像形成装置に用いる潜像担持体の別の例の層構成を示す断面図である。
【図4】 本発明の画像形成装置に用いる潜像担持体のさらに別の例の層構成を示す断面図である。
【図5】 本発明の画像形成装置の一例を示す概略断面図である。
【図6】 本発明の画像形成装置の別の例を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1 感光体ドラム
2 支持ケース
3 現像剤
4 現像スリーブ
5 マグネットローラ
6 ドクタ
7 ドクタ前ヒサシ
8 トナーホッパ
8a トナー補給開口部
9 トナーアジテータ
31 導電性支持体
33 単層感光層
35 電荷発生層
37 電荷輸送層
39 保護層
47 除電ランプ
48 帯電用部材
50 画像露光部
51 現像ユニット
52 転写前チャージャ
54 転写紙
57 クリーニング前チャージャ
58 ファーブラシ
59 クリーニングブラシ
61 潜像担持体
71 潜像担持体
72 一次転写ローラ
74 転写体
75 搬送ベルト
76 搬送ローラ
77 定着装置
78 トナーホッパ
79 中間転写体クリーニング装置
s 記録材
T プロセスカートリッジ

Claims (9)

  1. 内部に固定された磁石体を有し、表面上に現像剤を担持しつつ回転する現像剤担持体、及び、前記磁石体に対向し、該現像剤担持体に担持された現像剤の量を規制するための現像剤量規制体を備えた接触現像方式の現像装置と、最表層にアルミナを含有する潜像担持体とを備え、磁性キャリアとトナーよりなる2成分現像剤で静電潜像の現像を行う画像形成装置において、該磁性キャリアが少なくともアルミナを保持した結着樹脂で形成されるコート層を表面に有し、結着樹脂に保持された該アルミナの粒子径D1と該結着樹脂膜厚h1の比が
    1<D1/h1<10
    の範囲にあることを特徴とする画像形成装置。
  2. 上記最表層にアルミナを含有する潜像担持体の最表層膜厚h2とアルミナ径D2との比が
    3<h2/D2<100
    の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
  3. 上記磁性キャリアのコート層のアルミナ含有量が50〜95wt%の範囲にある請求項1又は2に記載の画像形成装置。
  4. 上記潜像担持体の最表層中のアルミナ含有量が5〜60wt%の範囲にある請求項1〜3のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  5. 上記磁性キャリアのコート層中の結着樹脂がアクリル樹脂及び/又はグアナミン樹脂を含有する請求項1〜4のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  6. 結着樹脂に保持された該アルミナの粒子径D1と該結着樹脂膜厚h1の比が
    4≦D1/h1<10
    の範囲にあり、かつ、D1が0.05〜1.2μmであることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  7. 前記画像形成装置が上記潜像担持体を複数具備し、それぞれの潜像担持体上に現像された単色のトナー画像を順次重ね合わせてカラー画像を形成することを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  8. 前記画像形成装置が、潜像担持体上に現像されたトナー画像を中間転写体上に一次転写したのち、該中間転写体上のトナー画像を記録材上に二次転写する中間転写手段をさらに有する画像形成装置であって、複数色のトナー画像を中間転写体上に順次重ね合わせてカラー画像を形成し、該カラー画像を記録材上に一括で二次転写することを特徴とする請求1〜7のいずれか一項に記載の画像形成装置。
  9. 前記中間転写体がシームレスベルトであり、かつ、ベルトの全層やベルトの一部を弾性部材にした弾性ベルトであることを特徴とする請求項8に記載の画像形成装置。
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