JP2001022108A - 電子写真感光体および電子写真方法、電子写真装置ならびに電子写真装置用プロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体および電子写真方法、電子写真装置ならびに電子写真装置用プロセスカートリッジ

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JP2001022108A
JP2001022108A JP16418199A JP16418199A JP2001022108A JP 2001022108 A JP2001022108 A JP 2001022108A JP 16418199 A JP16418199 A JP 16418199A JP 16418199 A JP16418199 A JP 16418199A JP 2001022108 A JP2001022108 A JP 2001022108A
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electrophotographic
photosensitive member
photoreceptor
peak
electrophotographic photosensitive
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JP16418199A
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Tatsuya Niimi
達也 新美
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Ricoh Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高感度を失うことなく繰り返し使用によって
も帯電性の低下を生じない安定な電子写真感光体を提供
し、また、繰り返し使用によっても異常画像の少ない、
安定した画像を得ることのできる電子写真方法、電子写
真装置、電子写真用プロセスカートリッジを提供するこ
と。 【解決手段】 導電性支持体上に少なくとも感光層を設
けた電子写真感光体において、該感光層中に電荷発生物
質として、CuKαの特性X線(波長1.514Å)に
対するブラッグ角2θの回析ピーク(±0.2°)とし
て、少なくとも27.2°に最大回析ピークを有し、か
つ最も低角側の回析ピークとして7.3°にピークを有
するチタニルフタロシアニンを含有することを特徴とす
る電子写真感光体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、新規な光導電材料
を用いた電子写真感光体に関する。詳しくは、特定のX
線回析スペクトルを与える新規フタロシアニン結晶を用
いた電子写真感光体に関する。また、特定のX線回析ス
ペクトルを与える新規フタロシアニンを含有する感光体
を使用した電子写真方法、電子写真装置、電子写真用プ
ロセスカートリッジに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子写真方式を用いた情報処理シ
ステム機の発展は目覚ましいものがある。特に情報をデ
ジタル信号に変換して光によって情報記録を行なう光プ
リンターは、そのプリント品質、信頼性において向上が
著しい。このデジタル記録技術はプリンターのみならず
通常の複写機にも応用され所謂デジタル複写機が開発さ
れている。また、従来からあるアナログ複写にこのデジ
タル記録技術を搭載した複写機は、種々様々な情報処理
機能が付加されるため今後その需要性が益々高まってい
くと予想される。
【0003】光プリンターの光源としては現在のところ
小型で安価で信頼性の高い半導体レーザー(LD)や発
光ダイオード(LED)が多く使われている。現在よく
使われているLEDの発光波長は660nmであり、L
Dの発光波長域は近赤外光領域にある。このため可視光
領域から近赤外光領域に高い感度を有する電子写真感光
体の開発が望まれている。
【0004】電子写真感光体の感光波長域は感光体に使
用される電荷発生物質の感光波長域によってほぼ決まっ
てしまう。そのため従来から各種アゾ顔料、多環キノン
系顔料、三方晶形セレン、各種フタロシアニン顔料等多
くの電荷発生物質が開発されている。それらの内、特開
平3−35064号公報、特開平3−35245号公
報、特開平3−37669号公報、特開平3−2690
64号公報、特開平7−319179号公報等に記載さ
れているチタニルフタロシアニン(TiOPcと略記さ
れる)は600〜800nmの長波長光に対して高感度
を示すため、光源がLEDやLDである電子写真プリン
ターやデジタル複写機用の感光体用材料として極めて重
要かつ有用である。
【0005】一方、カールソンプロセスおよび類似プロ
セスにおいて繰り返し使用される電子写真感光体の条件
としては、感度、受容電位、電位保持性、電位安定性、
残留電位、分光特性に代表される静電特性が優れている
ことが要求される。とりわけ、高感度感光体については
繰り返し使用による帯電性の低下と残留電位の上昇が、
感光体の寿命特性を支配することが多くの感光体で経験
的に知られており、前記チタニルフタロシアニンもこの
例外ではない。従って、チタニルフタロシアニンを用い
た感光体の繰り返し使用による安定性は未だ十分とはい
えず、その技術の完成が熱望されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、高感
度を失うことなく繰り返し使用によっても帯電性の低下
を生じない安定な電子写真感光体を提供することにあ
る。別の目的は、繰り返し使用によっても異常画像の少
ない、安定した画像を得ることのできる電子写真方法、
電子写真装置、電子写真用プロセスカートリッジを提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明で用いられる、チ
タニルフタロシアニン顔料の基本構造は次の一般式
(I)で表わされる。
【0008】
【化1】 式中、X1、X2、X3、X4は各々独立に各種ハロゲン原
子を表わし、n、m、l、kは各々独立的に0〜4の数
字を表わす。
【0009】TiOPcの合成法や電子写真特性に関す
る文献としては、例えば特開昭57−148745号公
報、特開昭59−36254号公報、特開昭59−44
054号公報、特開昭59−31965号公報、特開昭
61−239248号公報、特開昭62−67094号
公報などが挙げられる。また、TiOPcには種々の結
晶形が知られており、特開昭59−49544号公報、
特開昭59−166959号公報、特開昭61−239
248号公報、特開昭62−67094号公報、特開昭
63−366号公報、特開昭63−116158号公
報、特開昭63−196067号公報、特開昭64−1
7066号公報等に各々結晶形の異なるTiOPcが開
示されている。本発明者らは、TiOPcの結晶型に着
目し、上記課題を解決すべく感光体の繰り返し使用後の
静電特性に関して鋭意検討を行ない、本発明を完成する
に至った。
【0010】したがって、本発明によれば、上記目的は
(1)「導電性支持体上に少なくとも感光層を設けた電
子写真感光体において、該感光層中に電荷発生物質とし
て、CuKαの特性X線(波長1.514Å)に対する
ブラッグ角2θの回析ピーク(±0.2°)として、少
なくとも27.2°に最大回析ピークを有し、かつ最も
低角側の回析ピークとして7.3°にピークを有するチ
タニルフタロシアニンを含有することを特徴とする電子
写真感光体」、(2)「前記チタニルフタロシアニン
が、9.4°より低角側の領域における回析ピークが
7.3°であることを特徴とする前記第(1)項に記載
の電子写真感光体」、(3)「前記チタニルフタロシア
ニンが、7.4〜9.4°の範囲にピークを有さないこ
とを特徴とする前記第(1)項に記載の電子写真感光
体」、(4)「前記チタニルフタロシアニンが、28.
6°にも同時にピークを有する場合、その強度が27.
2°の強度の20%未満であることを特徴とする前記第
(1)項乃至第(3)項の何れか1に記載の電子写真感
光体」によって達成される。
【0011】また、本発明によれば上記目的は、(5)
「前記チタニルフタロシアニンが、ハロゲン化チタンを
用いずに合成されたものであることを特徴とする前記第
(1)項乃至第(4)項の何れか1に記載の電子写真感
光体」、(6)「前記感光層中に、アセチル化度が4m
ol%以上のポリビニルアセタールを含むことを特徴と
する前記第(1)項乃至第(5)項の何れか1に記載の
電子写真感光体」、(7)「前記感光層の吸収スペクト
ルが810nm以短にピークを有することを特徴とする
前記第(1)項乃至第(6)項の何れか1に記載の電子
写真感光体」によって達成される。
【0012】さらにまた、本発明によれば上記目的は、
(8)「電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露
光、現像、転写、クリーニング、除電を繰り返し行なう
電子写真方法であって、該電子写真感光体が前記第
(1)項乃至第(7)項の何れか1に記載の電子写真感
光体であることを特徴とする電子写真方法」によって達
成される。
【0013】また、本発明によれば上記目的は、(9)
「少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写
手段、クリーニング手段、除電手段および電子写真感光
体を具備してなる電子写真装置であって、該電子写真感
光体が前記第(1)項乃至第(7)項の何れか1に記載
の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装
置」によって達成される。
【0014】また、本発明によれば上記目的は、(1
0)「少なくとも電子写真感光体を具備してなる電子写
真装置用プロセスカートリッジであって、該電子写真感
光体が前記第(1)項乃至第(7)項の何れか1に記載
の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置
用プロセスカートリッジ」によって達成される。
【0015】目的とする結晶形を得る方法は、合成過程
における公知手法と同様な手法を用いる方法、洗浄、精
製過程で結晶を変える方法、特別に結晶変換工程を設け
る方法が挙げられる。さらに、結晶変換工程を設ける方
法の中には溶媒、機械的な負荷による一般的な変換法並
びに、チタニルフタロシアニンを硫酸中にて溶解せし
め、この溶液を水に注ぎ得られる無定形結晶を経て上記
変換を行なう硫酸ペースティング法が挙げられる。
【0016】これらの中でも、不定形結晶を経た後、水
の存在下で有機溶媒と接触させることによる結晶変換に
より所望の結晶型を得る方法が好適に用いられる。特
に、最大回析ピークを7.0°に持ち無定型結晶を用い
ること、更に好ましくは7.0°のピーク半値巾が1°
以上のものが好適に使用できる。また、結晶交換に用い
る有機溶媒は所定の結晶型を得られるものであれば、い
かなる有機溶媒も使用できるが、特にテトラヒドロフラ
ン、シクロへキサノン、トルエン、塩化メチレン、二硫
化炭素、オルトジクロロベンゼン、1、1、2−トリク
ロロエタンの中から選ばれる一種を含むことが望まし
い。尚、有機溶媒は二種以上混合して用いても構わな
い。
【0017】上述したように、高感度を示すTiOPc
を用いた感光体でもカールソンプロセスおよび類似プロ
セスにおいて繰り返し使用した場合、帯電性の低下と残
留電位の上昇を生じ、感光体の寿命を決定していた。本
発明者らは、TiOPcの結晶型に着目し、この課題を
解決すべく感光体の繰り返し使用後の静電特性に関して
検討を行なった結果、前述の特定のX線回析スペクトル
を示す結晶を用いた場合に、上記物性の繰り返し特性が
優れたものになることを確認し、本発明を完成した。
【0018】更に、上述のようなチタニルフタロシアニ
ンも、その合成工程によって、それを用いた感光体の特
性が大きく異なる。チタニルフタロシアニンを合成する
ルートは幾つか知られているが、うち、ハロゲン化チタ
ンを用いる方法がある。この方法により作製されたチタ
ニルフタロシアニンを用いた感光体は繰り返し使用にお
いて、帯電性の低下が著しいことを見いだした。これを
回避するためには、ハロゲン化チタンを用いずに合成す
る(例えば、有機チタンを原料とする)方法により作製
することが望ましい。
【0019】本発明におけるTiOPcのX線スペクト
ルは、合成・精製・結晶変換工程を経て作製されたTi
OPc結晶を市販のX線回析スペクトル測定装置により
測定することができる。
【0020】本発明におけるTiOPcにおける7.3
°および28.6°のピーク強度について説明する。一
般的なX線回析スペクトルで、ベースライン補正を行な
った後、それぞれのピーク強度を求めた値が、本発明で
言うところのピーク強度比である。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の電子写真感光体を
図面に沿って説明する。第1図は、本発明に用いられる
電子写真感光体を表わす断面図であり、導電性支持体
(31)上に、電荷発生材料と電荷輸送材料を主成分と
する単層感光層(33)が設けられている。第2、3図
は、本発明の電子写真感光体の別の構成例を示す断面図
であり、電荷発生材料を主成分とする電荷発生層(3
5)と、電荷輸送材料を主成分とする電荷輸送層(3
7)とが、積層された構成をとっている。
【0022】導電性支持体(31)としては、体積抵抗
1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アル
ミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、
白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属
酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム
状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、
あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケ
ル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引
き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩な
どの表面処理した管などを使用することができる。ま
た、特開昭52−36016号公報に開示されたエンド
レスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導
電性支持体(31)として用いることができる。
【0023】この他、上記支持体上に導電性粉体を適当
な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性
支持体(31)として用いることができる。この導電性
粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラッ
ク、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、
亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、IT
Oなどの金属酸化物粉体などがあげられる。また、同時
に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−
アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重
合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステ
ル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合
体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレ
ート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セ
ルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチ
ラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、
ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコ
ーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹
脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、
熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂があげられる。このよ
うな導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当
な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタ
ン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布
することにより設けることができる。
【0024】さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニ
ル、ポリプロピレン、ポリエステルポリスチレン、ポリ
塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロンな
どの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブ
によって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性
支持体(31)として良好に用いることができる。
【0025】次に感光層について説明する。感光層は単
層でも積層でもよいが、説明の都合上、先ず電荷発生層
(35)と電荷輸送層(37)で構成される場合から述
べる。
【0026】電荷発生層(35)は、電荷発生材料とし
て上述した特定のX線の回析スペクトルを示すTiOP
cを主成分とする層である。電荷発生層(35)は、前
記TiOPcを必要に応じてバインダー樹脂とともに適
当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、
超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗
布し、乾燥することにより形成される。
【0027】必要に応じて電荷発生層(35)に用いら
れる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エ
ポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコン
樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニ
ルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリ
スルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリ
ルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェ
ノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢
酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリ
ビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビ
ニルアルコール、ポリビニルピロリドン等があげられ
る。中でもポリビニルブチラールに代表されるポリビニ
ルアセタールは良好に使用され、特にアセチル化度が4
mol%以上のポリビニルアセタール(ブチラール)は
良好に使用される。結着樹脂の量は、電荷発生物質10
0重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜3
00重量部が適当である。
【0028】電荷発生層(35)には、上述した特定の
X線回析スペクトルを与えるTiOPcの他にその他の
電荷発生材料を併用することも可能であり、その代表と
して、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、
ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔
料、キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系染料、
他のフタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、
アズレニウム塩系染料等が挙げられ用いられる。
【0029】ここで用いられる溶剤としては、例えばイ
ソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シク
ロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチ
ルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタ
ン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキ
サン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられる
が、特にケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶
媒が良好に使用される。塗布液の塗工法としては、浸漬
塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコー
ト、スピナーコート、リングコート等の方法を用いるこ
とができる。電荷発生層(35)の膜厚は、0.01〜
5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmで
ある。
【0030】電荷輸送層(37)は、電荷輸送物質およ
び結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電
荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。ま
た、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を
添加することもできる。
【0031】電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸
送物質とがある。電荷輸送物質としては、例えばクロル
アニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラ
シアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フ
ルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フル
オレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、
2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−
トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン
−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェ
ン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電
子受容性物質が挙げられる。
【0032】正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニル
カルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリ
ルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホル
ムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレ
ン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾ
ール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘
導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘
導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、
α−フェニルスチルベン誘導体、、ベンジジン誘導体、
ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、
9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、
ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン
誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチ
ルベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙
げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以
上混合して用いられる。
【0033】結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレ
ン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジェン
共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエ
ステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重
合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレ
ート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロ
ース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラー
ル、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ
−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン
樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フ
ェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬
化性樹脂が挙げられる。
【0034】電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部
に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150
重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は5〜1
00μm程度とすることが好ましい。ここで用いられる
溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トル
エン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロ
エタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセ
トンなどが用いられる。
【0035】また、電荷輸送層には電荷輸送物質として
の機能とバインダー樹脂の機能を持った高分子電荷輸送
物質も良好に使用される。これら高分子電荷輸送物質か
ら構成される電荷輸送層は耐摩耗性に優れたものであ
る。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用で
きるが、トリアリールアミン構造を主鎖および/または
側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。
【0036】本発明の感光体において電荷輸送層(3
7)中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑
剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレー
トなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものが
そのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂に対して0
〜30重量%程度が適当である。レベリング剤として
は、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコ
ーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフ
ルオロアルキル基を有するポリマーあるいは、オリゴマ
ーが使用され、その使用量は結着樹脂に対して、0〜1
重量%が適当である。
【0037】次に感光層が単層構成(33)の場合につ
いて述べる。上述した特定のX線回析スペクトルを与え
るTiOPcを結着樹脂中に分散した感光体が使用でき
る。単層感光層は、電荷発生物質および電荷輸送物質お
よび結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを
塗布、乾燥することによって形成できる。さらに、この
感光層には上述した電荷輸送材料を添加した機能分離タ
イプとしてもよく、良好に使用できる。また、必要によ
り、可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加するこ
ともできる。
【0038】結着樹脂としては、先に電荷輸送層(3
7)で挙げた結着樹脂をそのまま用いるほかに、電荷発
生層(35)で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよ
い。もちろん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に
使用できる。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物
質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量
は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50
〜150重量部である。単層感光層は、電荷発生物質、
結着樹脂を必要ならば電荷輸送物質とともにテトラヒド
ロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサ
ン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬
塗工法やスプレーコート、ビードコートなどで塗工して
形成できる。単層感光層の膜厚は、5〜100μm程度
が適当である。
【0039】本発明の電子写真感光体においては、導電
性支持体(31)と感光層との間に下引き層を設けるこ
とができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とする
が、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布するこ
とを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い
樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、
ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナト
リウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチ
ル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタ
ン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラ
ミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する
硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ
防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、
アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウ
ム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよ
い。
【0040】これらの下引き層は前述の感光層における
ような適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができ
る。更に本発明における下引き層として、シランカップ
リング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング
剤等を使用することもできる。この他、本発明における
下引き層には、Al23を陽極酸化にて設けたものや、
ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSi
2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を
真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。こ
のほかにも公知のものを用いることができる。下引き層
の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0041】本発明の電子写真感光体においては、感光
層保護の目的で、保護層が感光層の上に設けられること
もある。保護層に使用される材料としてはABS樹脂、
ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩
素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリ
アセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアク
リレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブ
チレンテレフタレート、ポリカボネート、ポリエーテル
スルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、
ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホ
ン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共
重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニ
リデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。保護層に
はその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオ
ロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂およびこ
れらの樹脂に酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム等
の無機材料を分散したもの等を添加することができる。
保護層の形成法としては通常の塗布法が採用される。な
お保護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。
また、以上のほかに真空薄膜作成法にて形成したa−
C、a−SiCなど公知の材料を保護層として用いるこ
とができる。
【0042】本発明の感光体においては感光層と保護層
との間に中間層を設けることも可能である。中間層に
は、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これ
ら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロ
ン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラー
ル、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の
形成法としては、前述のごとく通常の塗布法が採用され
る。なお、中間層の厚さは、0.05〜2μm程度が適
当である。
【0043】次に図面を用いて本発明の電子写真方法な
らびに電子写真装置を詳しく説明する。第4図は、本発
明の電子写真プロセスおよび電子写真装置を説明するた
めの概略図であり、下記するような変形例も本発明の範
疇に属するものである。
【0044】第4図において、感光体(1)は導電性支
持体上に特定のX線回析スペクトルを与えるTiOPc
感光層が設けられてなる。
【0045】この感光体(1)の周囲には、順に除電ラ
ンプ(2)、帯電チャージャ(3)、イレーサ(4)、
画像露光部(5)、現像ユニット(6)、転写前チャー
ジャ(7)、転写チャージャ(10)、分離チャージャ
(11)、分離爪(12)、クリーニング前チャージャ
(13)、ファーブラシ(14)、クリーニングブラシ
(15)が配置され、転写紙(9)はレジストローラ
(8)を経て、転写チャージャ(10)の箇所に送れ
る。感光体(1)はドラム状の形状を示しているが、シ
ート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。帯
電チャージャ(3)、転写前チャージャ(7)、転写チ
ャージャ(10)、分離チャージャ(11)、クリーニ
ング前チャージャ(13)には、コロトロン、スコロト
ロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージ
ャ)、帯電ローラを始めとする公知の手段が用いられ
る。
【0046】転写手段には、一般に上記の帯電器が使用
できるが、図に示されるように転写チャージャーと分離
チャージャーを併用したものが効果的である。
【0047】また、画像露光部(5)、除電ランプ
(2)等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハ
ロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード
(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミ
ネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることがで
きる。そして、所望の波長域の光のみを照射するため
に、シャープカットフィルター、バンドパスフィルタ
ー、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルタ
ー、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種
フィルターを用いることもできる。
【0048】かかる光源等は、第5図に示される工程の
他に、光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニ
ング工程、あるいは前露光などの工程を設けることによ
り、感光体に光が照射される。
【0049】さて、現像ユニット(6)により、感光体
(1)上に現像されたトナーは、転写紙(9)に転写さ
れるが、全部が転写されるわけではなく、感光体(1)
上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーはファ
ーブラシ(14)およびブレード(15)により、感光
体より除去される。クリーニングは、クリーニングブラ
シだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシに
はファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知の
ものが用いられる。
【0050】電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画
像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜
像が形成される。これを負(正)極性のトナー(検電微
粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正
(負)に極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られ
る。かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、
また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
【0051】第5図には、本発明による電子写真プロセ
スの別の例を示す。感光体(21)は特定のX線回析ス
ペクトルを与えるTiOPc感光層を有しており、駆動
ローラ(22a)、(22b)により駆動され、帯電器
(23)による帯電、光源(24)による像露光、現像
(図示せず)、帯電器(25)を用いる転写、光源(2
6)によるクリーニング前露光、ブラシ(27)による
クリーニング、光源(28)による除電が繰り返し行な
われる。第5図においては、感光体(21)(勿論この
場合は支持体が透光性である)に支持体側よりクリーニ
ング前露光の光照射が行なわれる。
【0052】以上の図示した電子写真プロセスは、本発
明における実施形態を例示するものであって、もちろん
他の実施形態も可能である。例えば、第5図において支
持体側よりクリーニング前露光を行なっているが、これ
は感光層側から行なってもよいし、また、像露光、除電
光の照射を支持体側から行なってもよい。
【0053】一方、光照射工程は、像露光、クリーニン
グ前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露
光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程
を設けて、感光体に光照射を行なうこともできる。
【0054】以上に示すような本発明の画像形成手段
は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して
組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形
でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカート
リッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手
段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段
を含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリ
ッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、
第6図に示すものが挙げられる。感光体(16)は導電
性支持体上に特定のX線回析スペクトルを与えるTiO
Pc感光層を有してなるものであり、この例におけるプ
ロセスカートリッジの感光体(16)の周りには、順
に、帯電チャージャー(17)、画像露光部(19)、
現像ローラ(20)、クリーニングブラシ(18)等の
必要なユニットが配置されている。
【0055】
【実施例】以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、
本発明が実施例により制約を受けるものではない。な
お、部はすべて重量部である。まず、実施例に用いるチ
タニルフタロシアニン顔料の具体的な合成例を述べる。
【0056】(合成例1〜6および比較合成例1〜2)
1、3−ジイミノイソインドリン29.2gとスルホラ
ン200mlを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラ
ブトキシド20.4gを滴下する。滴下終了後、徐々に
180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の
間に保ちながら5時間撹拌して反応を行なった。反応終
了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体
が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄
し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チ
タニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニ
ンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹
拌しながら滴下し、析出した結晶をろ過、ついで洗浄液
が中性になるまで水洗いを繰り返し、チタニルフタロシ
アニン顔料のウェットケーキを得た。得られたこのウェ
ットケーキ2gを表1に示す有機溶媒20gに投入し、
4時間攪拌を行なった。これにメタノール100gを追
加して、1時間攪拌を行なった後、濾過を行ない、乾燥
して、本発明のチタニルフタロシアニン粉末を得た。
【0057】得られたチタニルフタロシアニン粉末を、
下記の条件によりX線回折スペクトル測定した。 X線管球:Cu 電圧:50kV 電流:30mA 走査速度:2°/分 走査範囲:3°〜40° 時定数:2秒
【0058】X線回析スペクトルから、最低角側のピー
ク位置および28.6°のピーク強度の27.2°のピ
ーク強度に対する割合を次のように求めた。まず、スペ
クトルをベースライン補正を行ない、27.2°および
28.6°のピーク強度を求める。これを単純に比較し
て百分率として割合を求めた。その結果を併せて表1に
示す。なお、得られたウェットケーキを乾燥したものと
合成例1〜6および比較例合成例1〜2で作製された顔
料のX線回析スペクトルを図7〜10に示す。合成例1
〜6のスペクトルはほとんど同一なもののため、合成例
4で作製した顔料のX線回析スペクトルを代表例として
図8に示す。
【0059】
【表1】
【0060】(比較合成例3)特開平1−299874
号公報に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわ
ち、合成例1で作製したウェットケーキを乾燥し、乾燥
物1gをポリエチレングリコール50gに加え、100
gのガラスビーズと共に、サンドミルを行なった。結晶
転移後、希硫酸、水酸化アンモニウム水溶液で順次洗浄
し、乾燥して顔料を得た。
【0061】(比較合成例4)特開平3−269064
号公報に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわ
ち、合成例1で作製したウェットケーキを乾燥し、乾燥
物1gをイオン交換水10gとモノクロルベンゼン1g
の混合溶媒中で1時間攪拌(50℃)した後、メタノー
ルとイオン交換水で洗浄し、乾燥して顔料を得た。
【0062】(比較合成例5)特開平2−8256号公
報に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、
フタロジニトリル9.8gと1−クロロナフタレン75
mlを攪拌混合し、窒素気流下で四塩化チタン2.2m
lを滴下する。滴下終了後、徐々に200℃まで昇温
し、反応温度を200℃〜220℃の間に保ちながら3
時間攪拌して反応を行なった。反応終了後、放冷し13
0℃になったところ熱時ろ過し、ついで1−クロロナフ
タレンで粉体が青色になるまで洗浄、つぎにメタノール
で数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後、
乾燥し顔料を得た。
【0063】(比較合成例6)特開昭64−17066
号公報に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわ
ち、α型TiOPc5部を食塩10gおよびアセトフェ
ノン5gと共にサンドグラインダーにて100℃−10
時間結晶変換処理を行なった。これをイオン交換水及び
メタノールで洗浄し、希硫酸水溶液で精製し、イオン交
換水で酸分がなくなるまで洗浄した後、乾燥して顔料を
得た。
【0064】以上の比較合成例3〜6で作製した顔料は
先ほどと同様の方法でX線回析スペクトルを測定し、そ
れぞれの公報に記載のスペクトルと同様であることを確
認した。表2に先の表1と同様な評価結果を示す。
【0065】
【表2】
【0066】(実施例1〜6および比較例1〜2)電鋳
ニッケル・ベルト上に下記組成の下引き層塗工液、電荷
発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、順次塗布・
乾燥し、4μmの中間層、0.3μmの電荷発生層、2
5μmの電荷輸送層からなる電子写真感光体を形成し
た。 [下引き層塗工液] 二酸化チタン粉末 15部 ポリビニルブチラール 6部 2−ブタノン 150部 [電荷発生層塗工液] 合成例1〜6および比較合成例1〜2で合成した顔料 15部 ポリビニルブチラール(アセチル化度 4mol%) 10部 メチルエチルケトン 600部 メチルエチルケトンにポリビニルブチラールを溶解し、
次いでそれぞれ合成した顔料を加え、ビーズミリングよ
り分散を行なった。 [電荷輸送層塗工液] ポリカーボネート 10部 下記構造式の電荷輸送物質 7部
【0067】
【化2】 塩化メチレン 80部
【0068】このようにしてなる電子写真感光体を第5
図に示す電子写真プロセス(ただし、クリーニング前露
光はなし)に装着して、画像露光光源を780nmの半
導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)
として、現像直前の感光体の表面電位が測定できるよう
に表面電位計のプローブを挿入した。連続して一万枚の
印刷を行ない、その時の画像露光部と画像非露光部の表
面電位を初期と一万枚後に測定した。結果を表3に示
す。
【0069】
【表3】 表3より、実施例1〜6の電子写真感光体は繰り返し使
用後にも、安定した表面電位を維持していることがわか
る。
【0070】(実施例7および比較例3〜4)アルミニ
ウムシリンダー上に、下記組成の下引き層塗工液、電荷
発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、順次塗布・
乾燥し、3.5μmの中間層、0.2μmの電荷発生
層、28μmの電荷輸送層からなる電子写真感光体を形
成した。 [下引き層塗工液] 二酸化チタン粉末 400部 メラミン樹脂 65部 アルキッド樹脂 120部 2−ブタノン 400部 [電荷発生層塗工液] 合成例1および比較合成例3〜4で合成した顔料 15部 ポリビニルブチラール(アセチル化度 5.5mol%) 10部 酢酸n−プロピル 600部 酢酸n−プロピルにポリビニルブチラールを溶解し、次
いでそれぞれ合成した顔料を加え、ビーズミリングによ
り分散を行なった。 [電荷輸送層塗工液] ポリカーボネート 10部 下記構造式の電荷輸送物質 8部
【0071】
【化3】 塩化メチレン 80部
【0072】(実施例8)実施例7の電荷発生層塗工液
を以下の組成のものに変更した以外は、実施例7と全く
同様に電子写真感光体を作製した。 [電荷発生層塗工液] 合成例1で合成した顔料 15部 ポリビニルブチラール(アセチル化度 2.0mol%) 10部 酢酸n−プロピル 600部
【0073】上記の実施例7〜8および比較例3〜4の
各電子写真感光体を第4図に示す電子写真プロセスに装
着し(ただし、画像露光光源を780nmに発光を持つ
LDとした)、連続して一万枚の印刷を行ない、その時
の画像を初期と一万枚後に評価した。結果を表4に示
す。
【0074】
【表4】 表4から実施例7の電子写真感光体は繰り返し使用後に
も、良好な画像を維持していることがわかる。実施例8
の感光体は特に問題にならない範囲であるが、実施例7
の感光体に比べると繰り返し使用後の画像がやや劣るこ
とが分かる。
【0075】(実施例9および比較例5〜6)アルミニ
ウムシリンダー表面を陽極酸化処理した後封孔処理を行
なった。この上に、下記電荷発生層塗工液、電荷輸送層
塗工液を、順次塗布・乾燥して各々0.2μmの電荷発
生層、20μmの電荷輸送層を形成し、本発明の電子写
真感光体を作製した。 [電荷発生層塗工液] 合成例4および比較合成例5〜6で合成した顔料 15部 ポリビニルブチラール(アセチル化度 4mol%) 10部 メチルエチルケトン 600部 メチルエチルケトンにポリビニルブチラールを溶解し、
次いでそれぞれ合成した顔料を加え、ビーズミリングに
より分散を行なった。 [電荷輸送層塗工液] 下記構造式の電荷輸送物質 7部
【0076】
【化4】 ポリカーボネート 10部 塩化メチレン 80部
【0077】(実施例10)実施例9で作製した電荷発
生層塗工液の分散条件を変化させて、分散液を作製し
た。実施例9および10で作製した電荷発生層をガラス
基板上に塗工して、電荷発生層単独の膜を成膜した。こ
れを分光光度計(日立:UV−3100)にて吸収スペ
クトルを測定した。実施例9の膜は最大吸収波長が80
0nmであり、実施例10の膜は840nmであった。
【0078】このようにしてなる電子写真感光体を第6
図に示す電子写真用プロセスカートリッジに装着した
後、画像形成装置に搭載した。ただし、画像露光光源を
780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる
画像書き込み)として、現像直前の感光体の表面電位が
測定できるように表面電位計のブローブを挿入した。連
続して一万枚の印刷を行ない、その時の画像露光部と画
像非露光部の表面電位を初期と一万枚後に測定した。結
果を表5に示す。
【0079】
【表5】 表5から実施例9の電子写真感光体は繰り返し使用後に
も、安定した表面電位を維持していることがわかる。実
施例10の感光体は特に問題にならない範囲であるが、
実施例7の感光体に比べると電位安定性が劣ることがわ
かる。
【0080】
【発明の効果】以上、詳細かつ具体的な説明から明らか
なように、本発明によれば、特定のX線回析スペクトル
を与えるチタニルフタロシアニンを用いることによっ
て、これを使用した感光体において高感度を失うことな
く繰り返し使用によっても帯電性の低下と残留電位の上
昇を生じない安定な電子写真感光体が提供される。ま
た、高感度を失うことなく繰り返し使用によっても帯電
性の低下と残留電位の上昇を生じない安定な電子写真方
法が提供される。さらに、高感度を失うことなく繰り返
し使用によっても帯電性の低下と残留電位の上昇を生じ
ない安定な電子写真装置および電子写真装置用プロセス
カートリッジが提供されるという極めて優れた効果を奏
するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における電子写真感光体を表わす断面図
である。
【図2】本発明の電子写真感光体の別の構成例を示す断
面図である。
【図3】本発明の電子写真感光体の更に別の構成例を示
す断面図である。
【図4】本発明の電子写真プロセスおよび電子写真装置
を説明するための概略図である。
【図5】本発明による電子写真プロセスの別の例を示し
た図である。
【図6】本発明のプロセスカートリッジの例を示した図
である。
【図7】チタニルフタロシアニンウエットケーキの乾燥
品のX線回析スペクトルを示した図である。
【図8】本発明における合成例4で作製した顔料のX線
回析スペクトルを示した図である。
【図9】比較合成例1で作製した顔料のX線回析スペク
トルを示した図である。
【図10】比較合成例2で作製した顔料のX線回析スペ
クトルを示した図である。
【符号の説明】
1 感光体 2 除電ランプ 3 帯電チャージャ 4 イレーサ 5 画像露光部 6 現像ユニット 7 転写前チャージャ 8 レジストローラ 9 転写紙 10 転写チャージャ 11 分離チャージャ 12 分離爪 13 クリーニング前チャージャ 14 ファーブラシ 15 クリーニングブラシ 16 感光体 17 帯電チャージャ 18 クリーニングブラシ 19 画像露光部 20 現像ローラ 21 感光体 22a駆動ローラ 22b駆動ローラ 23 帯電チャージャ 24 像露光源 25 転写チャージャ 26 クリーニング前露光 27 クリーニングブラシ 28 除電光源 31 導電性支持体 33 単層感光層 35 電荷発生層 37 電荷輸送層

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 導電性支持体上に少なくとも感光層を設
    けた電子写真感光体において、該感光層中に電荷発生物
    質として、CuKαの特性X線(波長1.514Å)に
    対するブラッグ角2θの回析ピーク(±0.2°)とし
    て、少なくとも27.2°に最大回析ピークを有し、か
    つ最も低角側の回析ピークとして7.3°にピークを有
    するチタニルフタロシアニンを含有することを特徴とす
    る電子写真感光体。
  2. 【請求項2】 前記チタニルフタロシアニンが、9.4
    °より低角側の領域における回析ピークが7.3°であ
    ることを特徴とする請求項1に記載の電子写真感光体。
  3. 【請求項3】 前記チタニルフタロシアニンが、7.4
    〜9.4°の範囲にピークを有さないことを特徴とする
    請求項1に記載の電子写真感光体。
  4. 【請求項4】 前記チタニルフタロシアニンが、28.
    6°にも同時にピークを有する場合、その強度が27.
    2°の強度の20%未満であることを特徴とする請求項
    1乃至3の何れか1に記載の電子写真感光体。
  5. 【請求項5】 前記チタニルフタロシアニンが、ハロゲ
    ン化チタンを用いずに合成されたものであることを特徴
    とする請求項1乃至4の何れか1に記載の電子写真感光
    体。
  6. 【請求項6】 前記感光層中に、アセチル化度が4mo
    l%以上のポリビニルアセタールを含むことを特徴とす
    る請求項1乃至5の何れか1に記載の電子写真感光体。
  7. 【請求項7】 前記感光層の吸収スペクトルが810n
    m以短にピークを有することを特徴とする請求項1乃至
    6の何れか1に記載の電子写真感光体。
  8. 【請求項8】 電子写真感光体に、少なくとも帯電、画
    像露光、現像、転写、クリーニング、除電を繰り返し行
    なう電子写真方法であって、該電子写真感光体が請求項
    1乃至7の何れか1に記載の電子写真感光体であること
    を特徴とする電子写真方法。
  9. 【請求項9】 少なくとも帯電手段、画像露光手段、現
    像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段および
    電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、
    該電子写真感光体が請求項1乃至7の何れか1に記載の
    電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置。
  10. 【請求項10】 少なくとも電子写真感光体を具備して
    なる電子写真装置用プロセスカートリッジであって、該
    電子写真感光体が請求項1乃至7の何れか1に記載の電
    子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置用プ
    ロセスカートリッジ。
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JP2004246300A (ja) * 2003-02-17 2004-09-02 Ricoh Co Ltd 分散液の作製方法、電子写真感光体、画像形成装置および画像形成装置用プロセスカートリッジ

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