JP3867121B2 - 電子写真装置 - Google Patents

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本発明は、特定光量以下の照射により画像光を書き込み、少なくとも特定のチタニルフタロシアニン結晶を含有する電荷発生層と電荷輸送層を順に積層してなる電子写真感光体を用いた電子写真装置に関する。
近年、電子写真方式を用いた情報処理システム機の発展は目覚ましいものがある。特に情報をデジタル信号に変換して光によって情報記録を行なう光プリンタは、そのプリント品質、信頼性において向上が著しい。このデジタル記録技術はプリンタのみならず通常の複写機にも応用され、所謂デジタル複写機が開発されている。また、従来からあるアナログ複写にこのデジタル記録技術を搭載した複写機は、種々様々な情報処理機能が付加されるため今後その需要性が益々高まっていくと予想される。さらに、パーソナルコンピュータの普及、及び性能の向上にともない、画像及びドキュメントのカラー出力を行なうためのデジタルカラープリンタの進歩も急激に進んでいる。
このようなデジタル方式の電子写真装置には、書き込み光源としてLDやLEDといった高出力の光源が用いられている。このような光源は、確かに高出力を可能にするものであるが、出力と素子の寿命、出力と安定性のいずれもが相反するものである。したがって、電子写真装置内の繰り返し使用における素子の長寿命、安定性に関しては、可能な限り低出力で使用することが望まれる。
近年では装置の小型化、高速化が同時に要望され、装置の小型化に関しては、A3サイズが出力可能なぎりぎりの小さなサイズであり、これに伴う感光体の小径化が行なわれる。モノクロ電子写真装置においては、使用する感光体が1本で済むことから、最大で直径100mm程度の感光体が使用される。一方、フルカラー電子写真装置では、高速印字を狙ったタンデム型フルカラー電子写真装置が主流である。タンデム型フルカラー電子写真装置では複数の画像形成要素を搭載するため、感光体の更なる小径化が必須であり、ほとんどの場合直径30mmの感光体が使用される。
モノクロ電子写真装置での高速化では、複写(プリント)速度として、60枚/分以上(最大100枚/分)が当たり前の状況になってきている。更に、電子写真プロセスに最低必要な部材(帯電、露光、現像、転写、必要に応じてクリーニング、除電)が感光体周りに配置され、この他にも高耐久化のために他の部材が併用されることもあり、感光体周りのスペースは非常に狭いものになっている。このため、前述のように直径100mmの感光体を使用したとしても、露光−現像間の距離はあまり長くできず、感光体の線速が非常に早いことから、書き込み部から現像部までの時間がますます短くなっている。時間で表わすと、長目に設定できても高々200msec程度である。
一方、タンデム方式のフルカラー電子写真装置では、前述のように小径感光体が使用され、複写(プリント)速度として、30枚/分以上が開発されている。このような状況下では、なるべく感光体周りを簡素化したとしても、露光−現像間の時間は、モノクロ電子写真装置と同等以下しか設定することができない。
今後、ビジネス文書等への対応により、更なる高速化が押し進められるものと考えられ、この短時間での高速応答性(充分な光減衰とキャリア移動)を達成することが、大きな鍵となる。
これに対応するためには、少なくとも感光体の高ゲイン(より大きい電位減衰)と高レスポンス(より速い電位減衰)が要求される。前者に関しては量子効率の大きな電荷発生物質の開発に委ねられ、後者に関しては移動度の大きい電荷輸送物質の開発に委ねられている。
量子効率の大きな電荷発生物質は一般的に化学的な反応性の高い化合物であるため、電子写真装置における繰り返し使用によって、その特性の安定性が乏しい材料が多い。
一方、移動度の向上に関しては、高い輸送特性を示す低分子電荷輸送物質の開発、分子分散ポリマーの開発により、低分子電荷輸送物質をある程度高濃度で使用することにより、10−5(cm/V・sec)オーダー前半の移動度を獲得できるようになり、電荷輸送層の膜厚が極端に厚くない限り、移動度から勘案すると書き込み部から現像部までの時間として、100msec未満のプロセスにも対応ができるようになってきた。しかしながら、LDやLEDを用いた書き込みでは、感光体のキャリア発生において相反則不軌を示していることは紛れもない事実である。これは電荷発生物質が充分に高い光キャリア効率を有しているからではなく、過剰な光量を感光体に照射しているため、光励起状態の電荷発生物質が光キャリアになる前に基底状態に失活したり、光キャリア生成したにもかかわらず電荷輸送層へのキャリア注入前にキャリア再結合などが起こることによるものである。
実際、量子効率の小さな感光体に対してより大きな光量を照射することで、見かけ上の感光体のゲイン量(電位減衰量)を稼ぐことは不可能ではない。しかしながら、このような条件下では所定のドット、あるいはラインを書き込んだ場合に、ドットが大きくなる、あるいはラインが太くなるといった、いわゆる文字太りという現象を生じてしまう。このような現象は、解像度が600dpi未満のような電子写真プロセスにおいては顕著になることはなかったが、近年のように書き込みビーム径の小径化などにより、解像度を向上できるようになってからは、その問題が非常に顕著に現れるようになってきた。実際、本発明の対象とする電子写真装置としては、書き込み光の解像度が600dpi以上の装置を対象とするものである。
以上のような事実を鑑みれば、書き込み素子の劣化や不安定性を防止するためには、電子写真装置における素子からの出力を可能な限り押さえる(小さくする)ことが大事なことである。これは同時に微少ドットを忠実に再現する効果も併せ持っている。しかしながら、ここまでに開発された電荷発生物質において、露光−現像間の時間として200msec以下の短時間の間に高ゲインを発現し、繰り返し使用にも安定にこの機能を発現する材料は極めて希であった。このため、露光−現像間の時間として200msec以下の電子写真装置において、感光体への照射光の露光エネルギーを小さくする(5erg/cm以下)ことは非常に困難であった。
このような高ゲインを発現できる材料としては、唯一、CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶が知られている。しかしながら、この結晶型は、結晶としての安定性が低く、分散等の機械的ストレス、熱的なストレスに対して26.2゜に最大回折ピークを有する結晶に結晶転移し易いという問題を抱えており、結晶転移後の結晶型はこの結晶型に比べて非常に低感度であり、結晶の一部が結晶転移した場合には充分な光キャリア発生機能を発現することができない。また、感光体の繰り返し使用において、帯電性の低下が起こりやすいという問題点も有している。
このような問題点に関しては、電子写真装置のレイアウトを変更し露光−現像間の距離を大きくするか、感光体の線速を小さくするか、感光体の径を大きくするかのいずれかの方法により対応することは可能である。しかしながら、1つ目の方法ではマシンの大きな設計変更が必要になり、現実的ではない。2つ目の方法では複写(プリント)速度が小さくなり、高速対応できなくなってしまう。3つ目の方法では、装置そのものが大きくなってしまい、主流である高速・小型化から逸脱してしまう。
以上のことより、ブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶の中でも特別な結晶型を用い、高速対応できるように露光−現像間時間を200msec以下にレイアウトし、更に感光体表面に照射される露光エネルギーを5erg/cm以下で使用することにより、上記の問題点を解決できることを見い出した。
一方、26.2゜に最大回折ピークを有する結晶は、結晶としては安定であり、光感度等の感光体特性の環境変動が少なく、また繰り返し使用時の帯電安定性も良好である。26.2゜に最大回折ピークを有する結晶が、先の27.2゜に最大回折ピークを有する結晶に対して多量に混入した場合には感光体特性への悪影響が大きいが、僅かな特定量だけ存在する場合には、むしろ環境安定性や繰り返し使用における帯電性の安定化が図れる場合がある。
電荷輸送機能を担う電荷輸送層は先述のような電荷輸送物質と結着樹脂を主体としており、これらの材料を溶媒に溶解または分散した塗工液を塗布することで形成するのが一般的である。この溶媒としては溶解性や塗工性に優れた特性を示すことから、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒が主に利用されている。
近年、環境問題への意識が高まり、人体や環境への負荷が小さい非ハロゲン系溶媒を用いた感光体の開発が望まれている。しかしながら、この非ハロゲン系溶媒を用いた電荷輸送層用塗工液を使用して感光体を作製した場合、低電界における光減衰特性の低下や、残留電位の上昇という問題がある。特に、現在LDやLEDの比較的安定な発振出力が得られる波長範囲(600〜780nm)に対して類い希なる高感度を示す特定結晶型(CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有する結晶型)のチタニルフタロシアニンにおいては、この現象は顕著であり、この電荷発生物質本来の特性を活かすことができなく、大きな問題となっている。
また、非ハロゲン系溶媒を用いる方法としても、種々の検討がなされており、例えば、ハロゲンを含まない有機溶媒としてジオキソラン化合物を溶媒として用いる方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、テトラヒドロフランを用いる方法(例えば、特許文献2参照。)、環状エーテル溶媒に特定の酸化防止剤や紫外線吸収剤を添加する方法(例えば、特許文献3参照。)が提案されている。
しかしながら、これらの方法を用いても、上記欠点に対する効果が充分でなかったり、あるいは添加剤の影響により感度特性が逆に悪化してしまう等の問題があった。
したがって、特有の高感度を有するチタニルフタロシアニンを電荷発生物質に用い、電荷輸送層用塗工液に非ハロゲン系溶媒を用いた場合においても、良好な光減衰特性を示す電子写真感光体、それを用いた電子写真装置及び電子写真用プロセスカートリッジの完成が望まれていた。
特開平10−326023号公報(請求項1、請求項2、請求項5) 特開2001−356506号公報(第2頁第1欄第1行目〜第3頁第3欄第6行目の特許請求の範囲) 特開平4−191745号公報(第1頁左下欄第4行目〜右下欄第8行目特許請求の範囲)
本発明の目的は、高精細、高速対応が可能で、高速で繰り返し使用しても文字太りのない安定な画像を出力する電子写真装置を提供することにある。
具体的には、600dpi以上の解像度で書き込みを行なっても、光源の劣化や不安定さを解消し、かつ感光体の表面電位(露光部、未露光部)の安定性の高い電子写真装置を提供することにある。また、電荷輸送層用塗工液に非ハロゲン系溶媒を用いた場合においても、チタニルフタロシアニン固有の高感度を維持した電子写真装置を提供することにある。
本発明者らは、高速デジタル電子写真装置において、光源の信頼性を加味した使用方法とそれに対応して最適な感光体の設定に関して鋭意検討を行ない、本発明を完成するに至った。
すなわち、上記課題は、本発明の(1)「少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなり、露光手段から現像手段までの時間が200msec以下の電子写真装置であって、600dpi以上の解像度を有する書き込み光を露光手段から感光体に照射する際の露光エネルギーが感光体表面において5erg/cm以下であり、かつ電子写真感光体が導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を順に積層してなる電子写真感光体であり、該電荷発生層中にCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2°)として、少なくとも27.2°に最大回折ピークを有し、更に9.4°、9.6°、24.0°に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3°にピークを有し、7.3°のピークと9.4°のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、26.3°のピーク強度が、最大回折ピーク27.2°のピーク強度に対して0.1〜5%の範囲であるチタニルフタロシアニン結晶を含有し、該電荷発生層を形成するための分散液が有効孔径が3μm以下のフィルターにて濾過されたものであり、該分散液中の前記チタニルフタロシアニン結晶の平均サイズが0.21μm以下であることを特徴とする電子写真装置」、(2)「少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなり、露光手段から現像手段までの時間が200msec以下の電子写真装置であって、600dpi以上の解像度を有する書き込み光を露光手段から感光体に照射する際の露光エネルギーが感光体表面において5erg/cm 以下であり、かつ電子写真感光体が導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を順に積層してなる電子写真感光体であり、該電荷発生層中にCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2°)として、少なくとも27.2°に最大回折ピークを有し、更に9.4°、9.6°゜24.0°に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3°にピークを有し、7.3°のピークと9.4°のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、26.3°のピーク強度が、最大回折ピーク27.2°のピーク強度に対して0.1〜5%の範囲であるチタニルフタロシアニン結晶を含有し、前記チタニルフタロシアニン結晶が、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2°)として、少なくとも7.0〜7.5°に最大回折ピークを有し、その回折ピークの半値巾が1°以上である一次粒子の平均サイズが0.1μm以下の不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行ない、結晶変換後の一次粒子の平均サイズが0.20μmよりも大きく成長する前に、有機溶媒より結晶変換後のチタニルフタロシアニンを分別、濾過されたものであることを特徴とする電子写真装置」、()「前記電荷輸送層に少なくともトリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートを含有することを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載の電子写真装置」、()「前記電荷輸送層上に保護層を有することを特徴とする前記第(1)項乃至第()項の何れかに記載の電子写真装置」、()「前記保護層に比抵抗1010Ω・cm以上の無機顔料又は金属酸化物を含有することを特徴とする前記第()項に記載の電子写真装置」、()「前記感光体の電荷輸送層が、非ハロゲン系溶媒を用いて形成されたものであることを特徴とする前記第(1)項乃至第()項の何れかに記載の電子写真装置」、()「前記非ハロゲン系溶媒として、少なくとも環状エーテル、あるいは芳香族系炭化水素より選ばれる1種を用いることを特徴とする前記第()項に記載の電子写真装置」、()「前記電子写真感光体の導電性支持体表面が、陽極酸化皮膜処理されたものであることを特徴とする前記第(1)項乃至第()項の何れかに記載の電子写真装置」、()「少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体からなる画像形成要素を複数配列したことを特徴とする前記第(1)項乃至第()項の何れかに記載の電子写真装置」、(10)「前記電子写真装置の帯電手段に、接触帯電方式を用いることを特徴とする前記第(1)項乃至第()項の何れかに記載の電子写真装置」、(11)「前記電子写真装置の帯電手段に、非接触の近接配置方式を用いることを特徴とする前記第(1)項乃至第()項の何れかに記載の電子写真装置」、(12)「前記帯電手段に用いられる帯電部材と感光体間の空隙が200μm以下であることを特徴とする前記第(10)項に記載の電子写真装置」、(13)「前記電子写真装置の帯電手段に、交流重畳電圧印加を行なうことを特徴とする前記第(10)項乃至第(12)項の何れかに記載の電子写真装置」、(14)「前記電子写真装置が、感光体と少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、クリーニング手段から選ばれる1つの手段とが一体となった装置本体と着脱自在なカートリッジを搭載していることを特徴とする前記第(1)項乃至第(13)項のいずれかに記載の電子写真装置。」によって解決される。
本発明の効果として、高速で繰り返し使用しても、文字太りのない安定な画像を出力する電子写真装置が提供される。具体的には、光源の劣化や不安定さを解消し、かつ感光体の表面電位(露光部、未露光部)の安定性の高い電子写真装置が提供される。また、電荷輸送層用塗工液に非ハロゲン系溶媒を用いた場合においても、チタニルフタロシアニン固有の高感度を維持した電子写真装置が提供される。
まず、初めに図面を用いて本発明の電子写真装置を詳しく説明する。
図1は、本発明の電子写真プロセスおよび電子写真装置を説明するための概略図であり、下記に示すような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図1において、画像露光部(25)と現像ユニット(26)間を移動する感光体表面の移動時間が200msec以下であることを必須とする。この際、露光手段から現像手段までの時間とは、画像露光部の中心に対面する感光体表面位置から、現像ユニットの中心に対面する感光体表面までの円周を感光体線速で割ることにより求められるものである。
感光体(21)は導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を含む感光層が設けられてなり、電荷発生層にはCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3゜にピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を含有してなる。感光体(21)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。帯電ローラ(23)、転写前チャージャ(27)、転写チャージャ(30)、分離チャージャ(31)、クリーニング前チャージャ(33)には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラ、転写ローラを始めとする公知の手段が用いられる。
これらの帯電方式のうち、少なくとも感光体への主帯電に用いられる帯電部材(図1には帯電ローラ(23)として表記されている)には、特に接触帯電方式、あるいは非接触の近接配置方式が望ましい。接触帯電方式あるいは非接触の近接配置方式の帯電部材においては帯電効率が高くオゾン発生量が少ない、装置の小型化が可能である等のメリットを有する。
ここでいう接触方式の帯電部材とは、感光体表面に帯電部材の表面が接触するタイプのものであり、帯電ローラ、帯電ブレード、帯電ブラシの形状がある。中でも帯電ローラや帯電ブラシが良好に使用される。
また、近接配置した帯電部材とは、感光体表面と帯電部材表面の間に200μm以下の空隙(ギャップ)を有するように非接触状態で近接配置したタイプのものである。このギャップは、大きすぎた場合には帯電が不安定になりやすく、また小さすぎた場合には、感光体に残留したトナーが存在する場合に、帯電部材表面が汚染されてしまう可能性がある。したがって、ギャップは10〜200μm、好ましくは10〜100μmの範囲が適当である。空隙の距離から、コロトロン、スコロトロンに代表される公知のチャージ・ワイヤータイプの帯電器、接触方式の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電ブレードなどの接触帯電部材とは区別されるものである。
このような近接配置された帯電部材は、その表面が感光体表面と非接触状態で設置されるため、帯電部材表面へのトナー汚染が少ない、帯電部材表面の摩耗が少ない、帯電部材表面の物理的/化学的劣化が少ないといった利点を有し、帯電部材そのものの高耐久化も実現できるものである。接触帯電部材を使用して上記のような不具合が発生し、帯電部材の耐久性が低くなった場合、電子写真装置内での繰り返し使用において、帯電能力が低下したり、帯電が不均一になったりする。この帯電不良を回避するために、繰り返し使用においては帯電能力の低下にあわせて帯電部材への印加電圧を上昇させるなどの処置を施す。その場合には、感光体にかかる帯電によるハザードが大きくなり、結果として感光体の耐久性を低下させたり、異常画像の発生を生み出す。更に帯電部材への印加電圧上昇に伴って、帯電部材そのものの耐久性も低下させてしまう。しかしながら、非接触帯電部材を使用することにより、帯電部材の高耐久化に伴って、帯電部材の帯電能が安定することにより、帯電部材、感光体、ひいてはシステム全体の耐久性・安定性を向上させることになる。
本発明において使用される近接配置された帯電部材は、感光体表面との空隙を適切に制御できる機構のものであればいかなる形状のものでも良い。例えば、感光体の回転軸と帯電部材の回転軸を機械的に固定して、適正ギャップを有するような配置にすればよい。中でも、帯電ローラの形状の帯電部材を用い、帯電部材の非画像形成部両端にギャップ形成部材を配置して、この部分のみを感光体表面に当接させ、画像形成領域を非接触配置させる、あるいは感光体非画像形成部両端ギャップ形成部材を配置して、この部分のみを帯電部材表面に当接させ、画像形成領域を非接触配置させる様な方法が、簡便な方法でギャップを安定して維持できる方法である。特に特開2002−148904号公報、特開2002−148905号公報に記載された方法は良好に使用できる。帯電部材側にギャップ形成部材を配置した近接帯電機構の一例を図2に示す。前記方式を用いることで、帯電効率が高くオゾン発生量が少ない、装置の小型化が可能、さらには、トナー等による汚れが生じない、接触による機械的摩耗が発生しない等の利点を有していることから良好に使用される。
更に印加方式としては、交流重畳を用いることでより帯電ムラが生じにくい等の利点を有し、良好に使用できる。特に、後述のタンデム型のフルカラー画像形成装置においては、モノクロ画像形成装置の場合に発生する帯電ムラによるハーフトーン画像の濃度ムラの問題に加え、カラーバランス(色再現性)の低下という大きな問題につながる。直流成分に交流成分を重畳することにより、前記問題点は大きく改善されるものであるが、交流成分の条件(周波数、ピーク間電圧)が大きすぎる場合には、感光体へのハザードが大きくなり、感光体の劣化を早めてしまう場合がある。このため、交流成分の重畳は必要最低限にとどめるべきである。
交流成分の周波数に関しては感光体線速等により変化するものであるが、3kHz以下、好ましくは2kHz以下が妥当である。ピーク間電圧に関しては、帯電部材への印加電圧と感光体への帯電電位の関係をプロットすると、電圧を印加しているにもかかわらず感光体が帯電しない領域があり、ある点から帯電が立ち上がる電位が認められる。この立ち上り電位の2倍程度がピーク間電圧としては最適な電位(通常、1200〜1500V程度)になる。しかしながら、感光体の帯電能が低かったり、線速が非常に大きい場合には、前記の如く立ち上り電位の2倍のピーク間電圧では不足する場合がある。逆に帯電性が良好な場合には、2倍以下でも充分に電位安定性を示すことがある。したがって、ピーク間電圧は立ち上り電位の3倍以下、好ましくは2倍以下が好ましい。ピーク間電圧を絶対値として書き直せば、3kV以下、好ましくは2kV以下、より好ましくは1.5kVで使用されることが望ましい。
また、画像露光部(25)には、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの高輝度を確保でき、600dpi以上の高解像度で書き込みが可能である光源が使用される。特に、電子写真装置中における画像形成動作(光源による画像書き込み)には、最大5erg/cm以下の露光量(露光エネルギー)にて使用される。ここでいう最大の露光量とは、画像光が2値で書き込まれる場合には書き込みの光量を示し、他段階の階調(多値)で書き込まれる場合には、最も低い電位が階調される(最も画像濃度が高い)書き込みの光量を示すものである。また、複数の書き込み光源を使用し、必要の応じてこれらを重ねて書き込みを行なう場合には、その合計の最大の書き込み光量を示すものである。
露光エネルギーは、次のように求めることができる。通常、LDを用いる場合には、ポリゴンミラー等を使用して感光体表面上を走査することにより、書き込みを行なうものである。このため、感光体上に書き込まれる露光エネルギーは静止ビームの光量(パワー)を測定し、有効走査期間率(ポリゴンミラーで変更された光のうち、どの程度が有効に利用されたかを示すものであり、ポリゴンミラー1面あたりの偏向角に対する有効偏向角の比として与えられる)、有効書き込み幅、感光体線速との以下の関係より求めることができる。
露光エネルギー=(静止パワー×有効走査期間率)/(有効書き込み幅×感光体線速)
除電ランプ(22)等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルタ、バンドパスフィルタ、近赤外カットフィルタ、ダイクロイックフィルタ、干渉フィルタ、色温度変換フィルタなどの各種フィルタを用いることもできる。これらの光源のうち、発光ダイオード、及び半導体レーザは照射エネルギーが高く、また600〜800nmの長波長光を有するため、本発明で用いられる電荷発生材料である特定結晶型のフタロシアニン顔料が高感度を示すことから良好に使用される。
かかる光源等は、図1に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
先の帯電方式においてAC成分を重畳して使用する場合や、感光体の残留電位が小さい場合等は、この除電機構を省略することもできる。また、光学的な除電ではなく静電的な除電機構(例えば、逆バイアスを印可したあるいはアース接地した除電ブラシなど)を用いることもできる。
さて、現像ユニット(26)により感光体(21)上に現像されたトナーは、転写紙(29)に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体(21)上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、ファーブラシ(34)およびブレード(35)により、感光体より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。もちろん、転写効率が高く、残留トナー量が少ない場合には、このようなクリーニング機構を省略することもできる。
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。
これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られ、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
図3には、本発明による電子写真プロセスの別の例を示す。この場合にも画像露光部(64)と現像ユニット(69)間を移動する感光体表面の移動時間が200msec以下であることを必須とする。感光体(61)は導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を含む感光層が設けられてなり、電荷発生層にはCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3゜にピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を含有してなる。駆動ローラー(62a),(62b)により駆動され、帯電器(63)による帯電、光源(64)による像露光、現像(図示せず)、帯電器(65)を用いる転写、光源(66)によるクリーニング前露光、ブラシ(67)によるクリーニング、光源(68)による除電が繰返し行なわれる。図3においては、感光体(61)(勿論支持体が透光性である)に支持体側より画像露光の光照射が行なわれる。また、600dpi以上の解像度を有する画像露光源(64)は、LDもしくはLEDが好ましく用いられ、最大5erg/cm以下の露光量(露光エネルギー)にて使用される。
以上の図示した電子写真プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、図3において感光層側よりクリーニング前露光を行なっているが、これは透光性支持体側から行なってもよいし、また、除電光の照射を支持体側から行なってもよい。
一方、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行なうこともできる。
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等を含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図4に示すものが挙げられる。この場合にも画像露光部(75)と現像ローラ(77)間を移動する感光体表面の時間が200msec以下であることを必須とする。
感光体(71)は導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を含む感光層が設けられてなり、電荷発生層にはCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3゜にピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を含有してなる。また、このプロセスカートリッジを画像形成装置で用いる際の600dpi以上の解像度を有する画像書き込み光の照射は、最大5erg/cm以下の露光量(露光エネルギー)にて使用される。
図5は、本発明のタンデム方式のフルカラー電子写真装置を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図5において、符号(1C),(1M),(1Y),(1K)はドラム状の感光体であり、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を含む感光層が設けられてなり、電荷発生層にはCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3゜にピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を含有してなる。
図5において、符号(1C)、(1M)、(1Y)及び(1K)はドラム状の感光体であり、この感光体(1C)、(1M)、(1Y)及び(1K)は図中の矢印方向に回転し、その周りに少なくとも回転順に帯電部材(2C)、(2M)、(2Y)及び(2K)、現像部材(4C)、(4M)、(4Y)及び(4K)、クリーニング部材(5C)、(5M)、(5Y)及び(5K)が配置されている。帯電部材(2C)、(2M)、(2Y)及び(2K)は、感光体表面を均一に帯電するための帯電装置を構成する帯電部材である。この帯電部材(2C)、(2M)、(2Y)及び(2K)と、現像部材(4C)、(4M)、(4Y)及び(4K)の間の感光体表面に図示しない露光部材から、600dpi以上の解像度を有するレーザ光(3C)、(3M)、(3Y)及び(3K)が照射され、感光体(1C)、(1M)、(1Y)及び(1K)に静電潜像が形成されるようになっている。ここで画像露光部(3C、3M、3Y、3K)と現像ユニット(4C、4M、4Y、4K)間を移動する感光体表面の時間が200msec以下であることを必須とする。そして、このような感光体(1C)、(1M)、(1Y)及び(1K)を中心とした4つの画像形成要素(6C)、(6M)、(6Y)及び(6K)が、転写材搬送手段である転写搬送ベルト(10)に沿って並置されている。転写搬送ベルト(10)は各画像形成ユニット(6C)、(6M)、(6Y)及び(6K)の現像部材(4C)、(4M)、(4Y)及び(4K)とクリーニング部材(5C)、(5M)、(5Y)及び(5K)の間で感光体(1C)、(1M)、(1Y)及び(1K)に当接しており、転写搬送ベルト(10)の感光体側の裏側に当たる面(裏面)には転写バイアスを印加するための転写ブラシ(11C)、(11M)、(11Y)及び(11K)が配置されている。各画像形成要素(6C)、(6M)、(6Y)及び(6K)は現像装置内部のトナーの色が異なることであり、その他は全て同様の構成となっている。
図5に示す構成のカラー電子写真装置において、画像形成動作は次のようにして行なわれる。まず、各画像形成要素(6C)、(6M)、(6Y)及び(6K)において、感光体(1C)、(1M)、(1Y)及び(1K)が矢印方向(感光体と連れ周り方向)に回転する帯電部材(2C)、(2M)、(2Y)及び(2K)により帯電され、次に感光体の内側に配置された露光部(図示しない)でレーザ光(3C)、(3M)、(3Y)及び(3K)により、作成する各色の画像に対応した静電潜像が形成される。次に現像部材(4C)、(4M)、(4Y)及び(4K)により潜像を現像してトナー像が形成される。現像部材(4C)、(4M)、(4Y)及び(4K)は、それぞれC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)のトナーで現像を行なう現像部材で、4つの感光体(1C)、(1M)、(1Y)及び(1K)上で作られた各色のトナー像は転写紙上で重ねられる。転写紙(7)は給紙コロ(8)によりトレイから送り出され、一対のレジストローラ(9)で一旦停止し、上記感光体上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト(10)に送られる。転写搬送ベルト(10)上に保持された転写紙(7)は搬送されて、各感光体(1C)、(1M)、(1Y)及び(1K)との当接位置(転写部)で各色トナー像の転写が行なわれる。感光体上のトナー像は、転写ブラシ(11C)、(11M)、(11Y)及び(11K)に印加された転写バイアスと感光体(1C)、(1M)、(1Y)及び(1K)との電位差から形成される電界により、転写紙(7)上に転写される。そして4つの転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた記録紙(7)は定着装置(12)に搬送され、トナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。また、転写部で転写されずに各感光体(1C)、(1M)、(1Y)及び(1K)上に残った残留トナーは、クリーニング装置(5C)、(5M)、(5Y)及び(5K)で回収される。なお、図5の例では、画像形成要素は転写紙搬送方向上流側から下流側に向けてC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)、K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものではなく、色順は任意に設定されるものである。また、黒色のみの原稿を作成する際には、黒色以外の画像形成要素(6C)、(6M)、(6Y)が停止するような機構を設けることは本発明に特に有効に利用できる。更に、図5において帯電部材は感光体と当接しているが、図2に示したような帯電機構にすることにより、両者の間に適当なギャップ(10〜200μm程度)を設けてやることにより、両者の摩耗量が低減できると共に、帯電部材へのトナーフィルミングが少なくて済み、良好に使用できる。
以上に示したような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、各々の電子写真要素はプロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等を含んだ1つの装置(部品)である。
本発明の効果は次のように考察される。
本発明の対象とする電子写真装置においては、高速でかつ、高解像度の領域を対象とするものである。したがって、感光体線速で150mm/sec以上(より好ましくは200mm/sec以上)の領域でシステムが稼働され、また、LDやLEDによる書き込み光のビーム系も600dpi以上(好ましくは1200dpi以上)に対応して、50μm以下(好ましくは30μm以下)で行なわれる。このような場合、光源の出力を大きくしても、感光体表面に到達する際の露光エネルギーには限界があり、光源の寿命および出力安定性を無視しない限り、連続動作時の感光体表面での露光エネルギーは高々、10erg/cm以下である。
通常、このような光学系は交換が容易ではなく、電子写真装置本体の寿命と同等に設計されるものである。したがって、素子の作り込み精度(ロット差)、使用環境での安定性、寿命の確実な確保、連続動作時の出力安定性等を考慮すると、素子フル出力の半分程度のパワーで使用すること好ましい。
このようなシステムにおける感光体の特性(光減衰特性)としては、高レスポンス(より速い電位減衰)と高ゲイン(より大きい電位減衰)のいずれもが要求される。このうち、高レスポンスに関しては、昨今の電荷輸送材料の開発により、書き込み〜現像間の時間が100msec以下の高速システムに対応できるようになってきたことは既に述べたとおりである。このことは、レーザ光のような高強度の書き込みにより、感光体の光キャリア発生が相反則不軌の領域になっていることも、この事実を助けている。
一方、高ゲインに関しては、電荷輸送材料の開発と平行して電荷発生材料の開発も行なわれてきて、非常に高い量子効率を示す電荷発生材料の開発が成功を収められている。例えば、先に掲げた特定結晶型のチタニルフタロシアニン結晶などがそれに当たる。しかしながら、ゲイン量は確かに稼げるようになってきたものの、光減衰の裾切れという点ではまだ光源の最適な利用(微小面積の書き込み、高速時の書き込みによる書き込み光量の低減化)には対応できているとは言えない。この様子を図6に示す。
ここまでに開発されたチタニルフタロシアニン結晶(CuKα線に対するブラッグ角2θの回折ピークとして、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有する結晶)を電荷発生材料として用いた感光体の光減衰特性を図6中のBに示す。本発明で使用する電荷発生材料(特定結晶型のチタニルフタロシアニン)を用いた場合の光減衰特性は、図6中のAである。いずれも電荷発生物質の付着量を同等にしてあるため、両者の差は(低電界における)量子効率の差である。
Bの光減衰特性においては、5erg/cm付近の露光量では光減衰が完了しておらず、またAの光減衰と比較して得られる電位(露光部電位に相当)も高い。このため、現像バイアスの設定にもよるが、結果として画像濃度低下を起こしたり、1ドットを確実に現像できない現象を起こしやすい。このため、更に電位を下げるため、5erg/cm以上の露光量を必要とすることになるが、その結果、高輝度で光源を使用することになり、光源の寿命を低下させるだけでなく、繰り返し使用時の安定性を低下させる。また、必要以上の光量を照射することになり、感光体の光疲労を促進したり、ドットの拡散(ラインが太くなる)といった副作用を生み出す。600dpi以上の解像度を有する書き込みを行なう電子写真装置においてこの問題は非常に顕著であり、解像度を向上させるためには解決しなければならない問題である。
一方、Aの光減衰特性を有する場合、5erg/cm程度の露光量で光減衰はほぼ完了している。このことは、光源の出力を低く設定でき、光源の寿命、安定性、感光体の光疲労を低減させる効果を生み出す。また、同時にこのような裾切れの良い高ゲインの感光体を用いることで、未露光部電位を更に低下させることが可能になり、ネガ・ポジ現像で致命的な欠点である地汚れに対しても余裕度が向上するというメリットを有する。また、このように光量の有効使用範囲(無理なく発光を与える範囲)に電位減衰の飽和値が存在することは、書き込み光の1ドット内の光量分布に対しても余裕度を与えるものであり、忠実な潜像形成を行なう点で非常に有利である。
Aの光減衰を示す感光体に、逆に5erg/cm以上の光量を与えた場合には、前記のようにラインが太くなるという欠点を有するが、電位の下限飽和値を与える光量よりも小さめの光量(図6のAで示せば、4.5erg/cm以下)で使用することで、この現象は回避される。
以下、本発明に用いられる電子写真感光体について詳しく説明する。
本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を形成してなる電子写真感光体であって、該電荷発生層中にCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3゜にピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を含有するものである。
この結晶型は、特開2001−187794号公報に記載されているものであるが、このチタニルフタロシアニン結晶を用いることで、高感度を失うことなく繰り返し使用によっても帯電性の低下を生じない安定な電子写真感光体を得ることができる。特開2001−187794号公報には、本発明で使用される電荷発生物質およびこれを用いた感光体、電子写真装置などが開示されている。しかしながら、600dpi以上の解像度で使用される様な状況下においては、書き込み光料の適正化を行なわないと、上述のような文字太りの現象を引き起こしてしまい、実質的に解像度低下を引き起こしていた。このような現象は、同公報に記載された材料を用いた感光体においては、それよりも低感度な感光体よりも、顕著に発現する。このように、過去のプロセス(装置)では、必ずしも同公報に記載された材料の実力を充分に引き出していないだけでなく、プロセス条件を適正化してやらないと逆に副作用を生み出すものであった。
また、チタニルフタロシアニン結晶の合成方法として、特開平6−293769号公報に記載されているように、ハロゲン化チタンを原料に用いない方法が良好に用いられるものである。この方法の最大のメリットは、合成されたチタニルフタロシアニン結晶がハロゲン化フリーであることである。チタニルフタロシアニン結晶は不純物としてのハロゲン化チタニルフタロシアニン結晶を含むと、これを用いた感光体の静電特性において光感度の低下や、帯電性の低下といった悪影響を及ぼす場合が多い(Japan Hardcopy‘89論文集p.103 1989年)。本発明においても、特開2001−187794号公報に記載されているようなハロゲン化フリーチタニルフタロシアニン結晶をメインに対象にしているものであり、これらの材料が有効に使用される。
ここでまず、本発明で用いられる特定の結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶の合成方法について述べる。
初めにチタニルフタロシアニン結晶の合成粗品の合成法について述べる。フタロシアニン類の合成方法は古くから知られており、Moser等による「Phthalocyanine Compounds」(1963年)、「The Phthalocyanines」(1983年)、特開平6−293769号公報等に記載されている。
例えば、第1の方法として、無水フタル酸類、金属あるいはハロゲン化金属及び尿素の混合物を高沸点溶媒の存在下あるいは不存在下において加熱する方法である。この場合、必要に応じてモリブデン酸アンモニウム等の触媒が併用される。第2の方法としては、フタロニトリル類とハロゲン化金属を高沸点溶媒の存在下あるいは不存在下において加熱する方法である。この方法は、第1の方法で製造できないフタロシアニン類、例えば、アルミニウムフタロシアニン類、インジウムフタロシアニン類、オキソバナジウムフタロシアニン類、オキソチタニウムフタロシアニン類、ジルコニウムフタロシアニン類等に用いられる。第3の方法は、無水フタル酸あるいはフタロニトリル類とアンモニアを先ず反応させて、例えば1,3−ジイミノイソインドリン類等の中間体を製造し、次いでハロゲン化金属と高沸点溶媒中で反応させる方法である。第4の方法は、尿素等存在下で、フタロニトリル類と金属アルコキシドを反応させる方法である。特に、第4の方法はベンゼン環への塩素化(ハロゲン化)が起こらず、電子写真用材料の合成法としては、極めて有用な方法である。
次に、不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)の合成法について述べる。この方法は、フタロシアニン類を硫酸に溶解した後、水で希釈し、再析出させる方法であり、アシッド・ペースト法あるいはアシッド・スラリー法と呼ばれるものが使用できる。
具体的な方法としては、上記の合成粗品を10〜50倍量の濃硫酸に溶解し、必要に応じて不溶物を濾過等により除去し、これを硫酸の10〜50倍量の充分に冷却した水もしくは氷水にゆっくりと投入し、チタニルフタロシアニンを再析出させる。析出したチタニルフタロシアニンを濾過した後、イオン交換水で洗浄・濾過を行ない、濾液が中性になるまで充分にこの操作を繰り返す。最終的に、綺麗なイオン交換水で洗浄した後、濾過を行ない、固形分濃度で5〜15wt%程度の水ペーストを得る。このように作製したものが本発明に用いる不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)である。この際、この不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)が、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有するものであることが好ましい。特に、その回折ピークの半値巾が1゜以上であることがより好ましい。更に、一次粒子の平均粒子サイズが0.1μm以下であることが好ましい。
次に結晶変換方法について述べる。本発明においては、少なくとも2回の結晶変換工程よりチタニルフタロシアニン結晶が合成される。
先ず、1回目の結晶変換方法について述べる。1回目の結晶変換は、前記不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)を、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、かつ26.3゜にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶に変換する工程である。
具体的な方法としては、前記不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)を乾燥せずに、水の存在下の元で有機溶媒と共に混合・撹拌することにより、前記結晶型を得るものである。
この際、使用される有機溶媒は、所望の結晶型を得られるものであれば、いかなる有機溶媒も使用できるが、特にテトラヒドロフラン、トルエン、塩化メチレン、二硫化炭素、オルトジクロロベンゼン、1,1,2−トリクロロエタンの中から選ばれる1種を選択すると、良好な結果が得られる。これら有機溶媒は単独で用いることが好ましいが、これらの有機溶媒を2種以上混合する、あるいは他の溶媒と混合して用いることも可能である。結晶変換に使用される前記有機溶媒の量は、不定形チタニルフタロシアニンの重量の10倍以上、好ましくは30倍以上の重量であることが望ましい。これは、結晶変換を素早く充分に起こさせると共に、不定形チタニルフタロシアニンに含まれる不純物を充分に取り除く効果が発現されるからである。なお、ここで使用する不定形チタニルフタロシアニンは、アシッド・ペースト法により作製するものであるが、上述のように硫酸を充分に洗浄したものを使用することが望ましい。硫酸が残存するような条件で結晶変換を行なうと、結晶粒子中に硫酸イオンが残存し、でき上がった結晶を水洗処理のような操作をしても完全には取り除くことができない。硫酸イオンが残存した場合には、感光体の感度低下、帯電性低下を引き起こすなど、好ましい結果を得られない。例えば、特開平8−110649号公報(比較例)には、硫酸に溶解したチタニルフタロシアニンをイオン交換水と共に有機溶媒に投入し結晶変換を行なう方法が記載されている。この際、本発明で得られるチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルに類似した結晶を得ることができるが、チタニルフタロシアニン中の硫酸イオン濃度が高く、光減衰特性(光感度)が悪いものであるため、本発明のチタニルフタロシアニンの製造方法としては良好なものではない。
以上の結晶変換方法は特開2001−187794号公報に準じた結晶変換方法である。本発明の電子写真装置に用いる感光体に含有される電荷発生物質においては、チタニルフタロシアニン結晶の粒子サイズをより細かくすることにより、その効果がより一層顕著なものとなる。
チタニルフタロシアニン結晶の粒子サイズをより細かくするために、本発明者らが観察したところによれば、結晶変換の操作において、前述の不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)は、一次粒径が0.1μm以下(そのほとんどが0.01〜0.05μm程度)であるが、結晶変換の際に際しては、結晶成長と共に結晶が変換されることが判った。通常、この種の結晶変換においては、原料の残存をおそれて充分な結晶変換時間を確保し、結晶変換が十二分に行なわれた後に、濾過を行ない、所望の結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶を得るものである。このため、原料として充分に小さな一次粒子を有する原料を用いているにもかかわらず、結晶変換後の結晶としては一次粒子の大きな結晶(概ね0.3〜0.5μm)を得ているものである。
このように作製されたチタニルフタロシアニン結晶を分散するにあたっては、分散後の粒子サイズを小さなもの(0.3μm未満、好ましくは0.25μm以下、より好ましくは0.2μm以下)にするため、強いシェアを与えることで分散を行ない、更には必要に応じて一次粒子を粉砕する強いエネルギーを与えて分散を行なっている。この結果、前述の如き、粒子の一部が所望の結晶型でない結晶型へと転移し易い結果を生んでいる。
ここでいう粒子サイズとは、体積平均粒径であり、超遠心式自動粒度分布測定装置:CAPA−700(堀場製作所製)により求めたものである。この際、累積分布の50%に相当する粒子径(Median系)として算出されたものである。しかしながら、この方法では微量の粗大粒子を検出できない場合があるため、より詳細に求めるには、チタニルフタロシアニン結晶粉末、あるいは分散液を直接、電子顕微鏡にて観察し、その大きさを求めることが重要である。
このような事実に対して、1回目の結晶変換時に作製される一次粒子をできる限り小さいものを作製することは有効な手段である。このために、結晶変換溶媒を前述のように適正なものを選択し、結晶変換効率を高めつつ、結晶変換を短時間に完了させるために、溶媒とチタニルフタロシアニン水ペースト(前述の如き作製した原料)を充分に接触させるために強い撹拌を用いる様な手法は有効である。具体的には、撹拌力の非常に強いプロペラを用いた撹拌、ホモジナイザー(ホモミキサー)のような強烈な撹拌(分散)手段を用いるなどの手法により、短時間での結晶変換を実現させるものである。これらの条件により、原料が残存することなく、結晶変換が充分に行なわれ、かつ結晶成長が起こらない状態のチタニルフタロシアニン結晶を得ることができる。
また、上述のように結晶粒子サイズと結晶変換時間は比例関係にあるため、所定の反応(結晶変換)が完了したら、反応を直ちに停止させる方法も有効な手段である。上述のように結晶変換を行なった後、直ちに結晶変換の起こりにくい溶媒を大量に添加することが前記手段として挙げられる。結晶変換の起こりにくい溶媒としては、アルコール系、エステル系などの溶媒が挙げられる。これらの溶媒を結晶変換溶媒に対して、10倍程度加えることにより、結晶変換を停止することができる。このような結晶変換方法を採用することにより、一次粒子サイズの小さな(0.3μm未満、好ましくは0.25μm以下、より好ましくは0.2μm以下)チタニルフタロシアニン結晶を得ることができる。特開2001−19871号公報に記載された技術に加えて、必要に応じて上述のような技術(微細なチタニルフタロシアニン結晶を得るための結晶変換方法)を併用することは、本発明の効果を高めるために有効な手段である。
続いて、結晶変換されたチタニルフタロシアニン結晶は直ちに濾過されることにより、結晶変換溶媒と分別される。この濾過に際しては、適当なサイズのフィルタを用いることにより行なわれる。この際、減圧濾過を用いることが最も適当である。
その後、分別されたチタニルフタロシアニン結晶は、必要に応じて加熱乾燥される。加熱乾燥に使用する乾燥機は、公知のものがいずれも使用可能であるが、
大気下で行なう場合には送風型の乾燥機が好ましい。更に、乾燥速度を早め、本発明の効果をより顕著に発現させるために減圧下の乾燥も非常に有効な手段である。特に、高温で分解する、あるいは結晶型が変化する様な材料に対しては有効な手段である。特に10mmHgよりも真空度が高い状態で乾燥することが有効である。
次に、2回目の結晶変換方法について述べる。2回目の結晶変換は、1回目の結晶変換で作製したチタニルフタロシアニン結晶(乾燥粉末)を用いて、更に結晶変換を行なう工程である。具体的な方法としては、2種類の方法が挙げられる。
1つは、先に作製したチタニルフタロシアニン結晶を有機溶媒中で処理する方法である。使用される有機溶媒としては、27.2゜に最大回折ピークを有する結晶型を、26.3゜に最大回折ピークを有する結晶型に変換できる溶媒であればいかなるものも使用できるが、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、アセトン、2―ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類が良好に用いられる。
有機溶媒の処理に関しては、前記チタニルフタロシアニン結晶を有機溶媒中にそのまま浸漬させておくだけでも構わないが、撹拌、超音波印加などの補助手段を併用することにより、処理時間を短縮することができ、有効である。有機溶媒による処理を行なった後、濾過分別して、再び乾燥を行なうことにより、目的とするチタニルフタロシアニン結晶を得ることができる。
もう1つの方法としては、先に作製したチタニルフタロシアニン結晶に、機械的剪断力を与えることにより結晶変換を行なう方法である。この際、有機溶媒を併用しても構わないが、併用せずに乾式状態で処理を行なうことが望ましい。使用される方法としては、ボールミル、アトライター、振動ミル、ニーダーなどによる乾式ミリング、簡便的にはミキサーによる乾式ミリングも効果的である。また、乾式ミリングの際に、食塩等の無機塩を助剤として用いても良い。助剤を用いた場合には、結晶変換処理の後に、無機塩を除去する洗浄工程が必要である。このようにして、目的とするチタニルフタロシアニン結晶を得ることができる。
いずれの方法を用いる場合にも、26.3゜のピーク強度が最大回折ピーク27.2゜のピーク強度に対して0.1〜5%の範囲であることが重要である。溶媒中での処理時間あるいは機械的剪断力を与える処理時間により26.3゜のピーク強度が決定されるが、使用する原料(1回目の結晶変換により作製したチタニルフタロシアニン結晶)の状態(例えば、粉末の大きさ、固さ等)によっても異なるため、予備的な実験により、処理時間を決定することが望ましい。
このように得られた特定の結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶は、電子写真感光体用電荷発生物質として極めて有用である。しかしながら、先述のように結晶型が不安定であり、分散液を作製する際に結晶型が転移し易いという欠点を有しているものであった。しかしながら、先の説明のように一次粒子を限りなく小さなものに合成することにより、分散液作製時に過剰なシェアを与えることなく、平均粒径の小さな分散液を作製することができ、結晶型も極めて安定に(合成した結晶型を変えることなく)作製することができるものである。
分散液の作製に関しては一般的な方法が用いられ、前記チタニルフタロシアニン結晶を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル、超音波などを用いて分散することで得られるものである。この際、バインダー樹脂は感光体の静電特性などにより、また溶媒は顔料へのぬれ性、顔料の分散性などにより選択すればよい。
既に述べたように、CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶は、熱エネルギー・機械的シェア等のストレスにより、他の結晶型に容易に結晶転移をすることが知られている。本発明で用いるチタニルフタロシアニン結晶もこの傾向は変わらない。すなわち、微細な粒子を含む分散液を作製するためには、分散方法の工夫も必要であるが、結晶型の安定性と微粒子化はトレード・オフの関係になりがちである。分散条件を最適化することによりこれを回避する方法はあるが、いずれも製造条件を極めて狭くしてしまうものであり、より簡便な方法が望まれている。この問題を解決するために、以下のような方法も有効な手段である。
すなわち、結晶転移が起こらない範囲でできる限り粒子を微細にした分散液を作製後、適当なフィルターで濾過してしまう方法である。この方法では、残存する目視では観察できない(あるいは粒径測定では検出できない)微量な粗大粒子をも取り除くことができ、また、粒度分布を揃えるという点からも非常に有効な手段である。具体的には、上述のように作製した分散液を有効孔径が3μm以下のフィルターにて濾過する操作を行ない、分散液を完成させるというものである。この方法によっても、粒子サイズの小さな(0.3μm未満、好ましくは0.25μm以下、より好ましくは0.2μm以下)チタニルフタロシアニン結晶のみを含む分散液を作製することができ、これを用いた感光体を搭載使用することにより、本発明の効果をより一層顕著にするものである。
本発明におけるチタニルフタロシアニン結晶における26.3゜のピーク強度の27.2゜のピーク強度に対する強度比について説明する。
使用するチタニルフタロシアニン結晶を粉末状態で、一般的なX線回折装置にて、X線回折スペクトルを測定する。得られたスペクトルに対して、ベースライン補正を行なった後、26.3±0.2゜のピーク強度、および27.2±0.2゜のピーク強度を求める。その値を用いて、26.3±0.2゜のピーク強度を27.2±0.2゜のピーク強度で割った値が、本発明で言うところのピーク強度比である。
ピーク強度比(%)=
(26.3±0.2゜のピーク強度/27.2±0.2゜のピーク強度)
なお、ピーク強度比が1%以下になるような場合には、広い範囲での測定ではベースラインの補正が難しい場合がある。その場合には、測定範囲を狭めて(例えば、25〜30゜の範囲で測定する等)、再測定を行なうことにより、より正確に強度比を求めることができる。
続いて、本発明に用いられる電子写真感光体について、図面を用いて詳しく説明する。
図7は、本発明に用いられる電子写真感光体の構成例を示す断面図であり、導電性支持体(41)上に、電荷発生材料を主成分とする電荷発生層(45)と、電荷輸送材料を主成分とする電荷輸送層(47)とが、積層された構成をとっている。
また図8は、本発明に用いられる電子写真感光体の別の構成例を示す断面図であり、導電性支持体(41)上に、電荷発生材料を主成分とする電荷発生層(45)と、電荷輸送材料を主成分とする電荷輸送層(47)とが、積層され、その上に保護層(49)が積層された構成をとっている。
導電性支持体(41)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体(41)として用いることができる。
また、これらの中でも陽極酸化皮膜処理を簡便に行なうことのできるアルミニウムからなる円筒状支持体が最も良好に使用できる。ここでいうアルミニウムとは、純アルミ系あるいはアルミニウム合金のいずれをも含むものである。具体的には、JIS1000番台、3000番台、6000番台のアルミニウムあるいはアルミニウム合金が最も適している。陽極酸化皮膜は各種金属、各種合金を電解質溶液中において陽極酸化処理したものであるが、中でもアルミニウムもしくはアルミニウム合金を電解質溶液中で陽極酸化処理を行なったアルマイトと呼ばれる被膜が本発明に用いる感光体には最も適している。特に、反転現像(ネガ・ポジ現像)に用いた際に発生する点欠陥(黒ポチ、地汚れ)を防止する点で優れている。
陽極酸化処理は、クロム酸、硫酸、蓚酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸などの酸性浴中において行なわれる。このうち、硫酸浴による処理が最も適している。一例を挙げると、硫酸濃度:10〜20%、浴温:5〜25℃、電流密度:1〜4A/dm、電解電圧:5〜30V、処理時間:5〜60分程度の範囲で処理が行なわれるが、これに限定するものではない。このように作製される陽極酸化皮膜は、多孔質であり、また絶縁性が高いため、表面が非常に不安定な状況である。このため、作製後の経時変化が存在し、陽極酸化皮膜の物性値が変化しやすい。これを回避するため、陽極酸化皮膜を更に封孔処理することが望ましい。封孔処理には、フッ化ニッケルや酢酸ニッケルを含有する水溶液に陽極酸化皮膜を浸漬する方法、陽極酸化皮膜を沸騰水に浸漬する方法、加圧水蒸気により処理する方法などがある。このうち、酢酸ニッケルを含有する水溶液に浸漬する方法が最も好ましい。封孔処理に引き続き、陽極酸化皮膜の洗浄処理が行なわれる。これは、封孔処理により付着した金属塩等の過剰なものを除去することが主な目的である。これが支持体(陽極酸化皮膜)表面に過剰に残存すると、この上に形成する塗膜の品質に悪影響を与えるだけでなく、一般的に低抵抗成分が残ってしまうため、逆に地汚れの発生原因にもなってしまう。洗浄は純水1回の洗浄でも構わないが、通常は他段階の洗浄を行なう。この際、最終の洗浄液が可能な限りきれい(脱イオンされた)ものであることが好ましい。また、他段階の洗浄工程のうち1工程に接触部材による物理的なこすり洗浄を施すことが望ましい。以上のようにして形成される陽極酸化皮膜の膜厚は、5〜15μm程度が望ましい。これより薄すぎる場合には陽極酸化皮膜としてのバリア性の効果が充分でなく、これより厚すぎる場合には電極としての時定数が大きくなりすぎて、残留電位の発生や感光体のレスポンスが低下する場合がある。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性支持体(41)として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
更に、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフロロエチレン系フッ素樹脂などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体(41)として良好に用いることができる。
次に感光層について説明する。感光層は前述のように、電荷発生層(45)と電荷輸送層(47)で構成される積層型が感度、耐久性において優れた特性を示し、良好に使用される。
電荷発生層(45)は、電荷発生物質として、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有する結晶型)に変換する工程である。特に、前記結晶型のうち、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3゜にピークを有するチタニルフタロシアニン結晶が良好に用いられ、26.3゜のピーク強度が最大回折ピーク27.2゜のピーク強度に対して0.1〜5%の範囲であるチタニルフタロシアニン結晶は特に良好に用いられる。また、この結晶の一次粒子の平均粒子サイズが0.3μm未満(好ましくは0.25μm以下、より好ましくは0.2μm以下)であることは、本発明の効果を一層顕著にするものであり、有効な手段である。
電荷発生層(45)は、前記顔料を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
必要に応じて電荷発生層(45)に用いられる結着樹脂としては、必要に応じて電荷発生層(45)に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。
ここで用いられる溶剤としては、例えばイソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられる。塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。電荷発生層(45)の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
電荷輸送層(47)は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電荷輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
結着樹脂としてはポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は5〜100μm程度とすることが好ましい。
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。中でも、環境への負荷低減等の意図から、非ハロゲン系溶媒の使用は望ましいものである。具体的には、テトラヒドロフランやジオキソラン、ジオキサン等の環状エーテルやトルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、及びそれらの誘導体が良好に用いられる。
また、電荷輸送層には電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂の機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これら高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は耐摩耗性に優れたものである。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、式(I)〜(X)式で表わされる高分子電荷輸送物質が良好に用いられ、これらを以下に例示し、具体例を示す。
Figure 0003867121

式中、R、R、Rはそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、Rは水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R、Rは置換もしくは無置換のアリール基、o、p、qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k、jは組成を表わし、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表わし5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、または下記一般式で表わされる2価基を表わす。なお、(I)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 0003867121
101、R102は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表わす。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表わす。)または、
Figure 0003867121
(aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表わす)を表わす。ここで、R101とR102、R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。)
Figure 0003867121

式中、R、Rは置換もしくは無置換のアリール基、Ar,Ar,Arは同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(II)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 0003867121

式中、R,R10は置換もしくは無置換のアリール基、Ar,Ar,Arは同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(III)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 0003867121

式中、R11,R12は置換もしくは無置換のアリール基、Ar,Ar,Arは同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(IV)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 0003867121

式中、R13,R14は置換もしくは無置換のアリール基、Ar10,Ar11,Ar12は同一又は異なるアリレン基、X,Xは置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(V)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 0003867121

式中、R15,R16,R17,R18は置換もしくは無置換のアリール基、Ar13,Ar14,Ar15,Ar16は同一又は異なるアリレン基、Y,Y,Yは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わし同一であっても異なってもよい。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(VI)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 0003867121
式中、R19,R20は水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表わし,R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17,Ar18,Ar19は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(VII)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 0003867121

式中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、Ar20,Ar21,Ar22,Ar23は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(VIII)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 0003867121
式中、R22,R23,R24,R25は置換もしくは無置換のアリール基、Ar24,Ar25,Ar26,Ar27,Ar28は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(IX)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
Figure 0003867121

式中、R26,R27は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29,Ar30,Ar31は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、(I)式の場合と同じである。なお、(X)式は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
また、電荷輸送層に使用される高分子電荷輸送物質として、上述の高分子電荷輸送物質の他に、電荷輸送層の成膜時には電子供与性基を有するモノマーあるいはオリゴマーの状態で、成膜後に硬化反応あるいは架橋反応をさせることで、最終的に2次元あるいは3次元の架橋構造を有する重合体も含むものである。
これら電子供与性基を有する重合体から構成される電荷輸送層、あるいは架橋構造を有する重合体は耐摩耗性に優れたものである。通常、電子写真プロセスにおいては、帯電電位(未露光部電位)は一定であるため、繰り返し使用により感光体の表面層が摩耗すると、その分だけ感光体にかかる電界強度が高くなってしまう。この電界強度の上昇に伴い、地汚れの発生頻度が高くなるため、感光体の耐摩耗性が高いことは、地汚れに対して有利である。これら電子供与性基を有する重合体から構成される電荷輸送層は、自身が高分子化合物であるため成膜性に優れ、低分子分散型高分子からなる電荷輸送層に比べ、電荷輸送部位を高密度に構成することが可能で電荷輸送能に優れたものである。このため、高分子電荷輸送物質を用いた電荷輸送層を有する感光体には高速応答性が期待できる。
その他の電子供与性基を有する重合体としては、公知単量体の共重合体や、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマーや、また、例えば特開平3−109406号公報、特開20000−206723号公報、特開2001−34001号公報等に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体などを用いることも可能である。この場合にも、先の移動度を満足できるような材料が有効に使用できる。
本発明において電荷輸送層(47)中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂に対して0〜30重量%程度が適当である。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいは、オリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂に対して、0〜1重量%が適当である。
本発明の電子写真感光体には、導電性支持体(41)と感光層との間に中間層を設けることができる。中間層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶媒で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、中間層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの中間層は前述の感光層の如く適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の中間層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の中間層には、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。中間層の膜厚は0〜5μmが適当である。
本発明の電子写真感光体には、感光層保護の目的で、保護層が感光層の上に設けられることもある。近年、日常的にコンピュータの使用が行なわれるようになり、プリンタによる高速出力とともに、装置の小型も望まれている。したがって、保護層を設け、耐久性を向上させることによって、本発明の高感度で異常欠陥のない感光体を有用に用いることができる。
保護層(49)に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。中でも、ポリカーボネートもしくはポリアリレートが最も良好に使用できる。
保護層(49)にはその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、シリカ等の無機フィラー、また有機フィラーを分散したもの等を添加することができる。
また、感光体の保護層に用いられるフィラー材料のうち有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化錫、錫をド−プした酸化インジウム等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。特に、フィラーの硬度の点からは、この中でも無機材料を用いることが有利である。特に、シリカ、酸化チタン、アルミナが有効に使用できる。
保護層中のフィラー濃度は使用するフィラー種により、また感光体を使用する電子写真プロセス条件によっても異なるが、保護層の最表層側において全固形分に対するフィラーの比で5重量%以上、好ましくは10重量%以上、50重量%以下、好ましくは30重量%以下程度が良好である。
また、使用するフィラーの体積平均粒径は、0.1μm〜2μmの範囲が良好に使用され、好ましくは0.3μm〜1μmの範囲である。この場合、平均粒径が小さすぎると耐摩耗性が充分に発揮されず、大きすぎると塗膜の表面性が悪くなったり、塗膜そのものが形成できなかったりするからである。
なお、本発明におけるフィラーの平均粒径とは、特別な記載のない限り体積平均粒径であり、超遠心式自動粒度分布測定装置:CAPA−700(堀場製作所製)により求めたものである。この際、累積分布の50%に相当する粒子径(Median系)として算出されたものである。また、同時に測定される各々の粒子の標準偏差が1μm以下であることが重要である。これ以上の標準偏差の値である場合には、粒度分布が広すぎて、本発明の効果が顕著に得られなくなってしまう場合がある。
また、本発明で使用するフィラーのpHも解像度やフィラーの分散性に大きく影響する。その理由の一つとしては、フィラー、特に金属酸化物は製造時に塩酸等が残存することが考えられる。その残存量が多い場合には、画像ボケの発生は避けられず、またそれは残存量によってはフィラーの分散性にも影響を及ぼす場合がある。
もう一つの理由としては、フィラー、特に金属酸化物の表面における帯電性の違いによるものである。通常、液体中に分散している粒子はプラスあるいはマイナスに帯電しており、それを電気的に中性に保とうとして反対の電荷を持つイオンが集まり、そこで電気二重層が形成されることによって粒子の分散状態は安定化している。粒子から遠ざかるに従いその電位(ゼータ電位)は徐々に低くなり、粒子から充分に離れて電気的に中性である領域の電位はゼロとなる。したがって、ゼータ電位の絶対値の増加によって粒子の反発力が高くなることによって安定性は高くなり、ゼロに近づくに従い凝集しやすく不安定になる。
一方、系のpH値によってゼータ電位は大きく変動し、あるpH値において電位はゼロとなり等電点を持つことになる。したがって、系の等電点からできるだけ遠ざけて、ゼータ電位の絶対値を高めることによって分散系の安定化が図られることになる。
本発明の構成においては、フィラーとしては前述の等電点におけるpHが、少なくとも5以上を示すものが画像ボケ抑制の点から好ましく、より塩基性を示すフィラーであるほどその効果が高くなる傾向があることが確認された。等電点におけるpHが高い塩基性を示すフィラーは、系が酸性であった方がゼータ電位はより高くなることにより、分散性及びその安定性は向上することになる。
ここで、本発明におけるフィラーのpHは、ゼータ電位から等電点におけるpH値を記載した。この際、ゼータ電位の測定は、大塚電子(株)製レーザーゼータ電位計にて測定した。
更に、画像ボケが発生しにくいフィラーとしては、電気絶縁性が高いフィラー(比抵抗が1010Ω・cm以上)が好ましく、フィラーのpHが5以上を示すものやフィラーの誘電率が5以上を示すものが特に有効に使用できる。また、pHが5以上のフィラーあるいは誘電率が5以上のフィラーを単独で使用することはもちろん、pHが5以下のフィラーとpHが5以上のフィラーとを2種類以上を混合したり、誘電率が5以下のフィラーと誘電率が5以上のフィラーとを2種類以上混合したりして用いることも可能である。また、これらのフィラーの中でも高い絶縁性を有し、熱安定性が高い上に、耐摩耗性が高い六方最密構造であるα型アルミナは、画像ボケの抑制や耐摩耗性の向上の点から特に有用である。
本発明において使用するフィラーの比抵抗は以下のように定義される。フィラーのような粉体は、充填率によりその比抵抗値が異なるので、一定の条件下で測定する必要がある。本発明においては、特開平5−94049号公報(第1図)、特開平5−113688号公報(第1図)に示された測定装置と同様の構成の装置を用いて、フィラーの比抵抗値を測定し、この値を用いた。測定装置において、電極面積は4.0cmである。測定前に片側の電極に4kgの荷重を1分間かけ、電極間距離が4mmになるように試料量を調節する。測定の際は、上部電極の重量(1kg)の荷重状態で測定を行ない、印加電圧は100Vにて測定する。10Ω・cm以上の領域は、HIGH RESISTANCE METER(横河ヒューレットパッカード)、それ以下の領域についてはデジタルマルチメーター(フルーク)により測定した。これにより得られた比抵抗値を本発明の言うところの比抵抗値と定義するものである。
フィラーの誘電率は以下のように測定した。上述のような比抵抗の測定と同様なセルを用い、荷重をかけた後に、静電容量を測定し、これより誘電率を求めた。静電容量の測定は、誘電体損測定器(安藤電気)を使用した。
更に、これらのフィラーは少なくとも一種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、そうすることがフィラーの分散性の面から好ましい。フィラーの分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤すべてを使用することができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸等、あるいはこれらとシランカップリング剤との混合処理や、Al、TiO、ZrO、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理がフィラーの分散性及び画像ボケの点からより好ましい。シランカップリング剤による処理は、画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。表面処理量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、3〜30wt%が適しており、5〜20wt%がより好ましい。表面処理量がこれよりも少ないとフィラーの分散効果が得られず、また多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こす。これらフィラー材料は単独もしくは2種類以上混合して用いられる。フィラーの表面処理量に関しては、上述のようにフィラー量に対する使用する表面処理剤の重量比で定義される。
これらフィラー材料は、適当な分散機を用いることにより分散できる。また、保護層の透過率の点から使用するフィラーは1次粒子レベルまで分散され、凝集体が少ない方が好ましい。
また、保護層(49)には残留電位低減、応答性改良のため、電荷輸送物質を含有しても良い。電荷輸送物質は、電荷輸送層の説明のところに記載した材料を用いることができる。電荷輸送物質として、低分子電荷輸送物質を用いる場合には、保護層中における濃度傾斜を設けても構わない。耐摩耗性向上のため、表面側を低濃度にすることは有効な手段である。ここで言う濃度とは、保護層を構成する全材料の総重量に対する低分子電荷輸送物質の重量の比を表わし、濃度傾斜とは上記重量比において表面側において濃度が低くなるような傾斜を設けることを示す。また、高分子電荷輸送物質を用いることは、感光体の耐久性を高める点で非常に有利である。
保護層の形成法としては通常の塗布法が採用される。なお保護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。また、以上の他に真空薄膜作成法にて形成したa−C、a−SiCなど公知の材料を保護層として用いることができる。
上述したように、感光層(電荷輸送層)に高分子電荷輸送物質を使用したり、あるいは感光体の表面に保護層を設けることは、各々の感光体の耐久性(耐摩耗性)を高めるだけでなく、タンデム型フルカラー画像形成装置中で使用される場合には、モノクロ画像形成装置にはない新たな効果をも生み出すものである。
フルカラーの画像の場合、様々な形態の画像が入力されるが、逆に定型的な画像も入力される場合がある。例えば、日本語の文書等における検印の存在などである。検印のようなものは通常、画像領域の端の方に位置され、また使用される色も限定される。ランダムな画像が常に書き込まれているような状態においては、画像形成要素中の感光体には、平均的に画像書き込み、現像、転写が行なわれることになるが、上述のように特定の部分に数多くの画像形成が繰り返されたり、特定の画像形成要素ばかり使用された場合には、その耐久性のバランスを欠くことにつながる。このような状態で表面の耐久性(物理的・化学的・機械的)の小さな感光体が使用された場合には、この差が顕著になり、画像上の問題になりやすい。一方、感光体を高耐久化した場合には、このような局所的な変化量が小さく、結果的に画像上の欠陥として現れにくくなるため、高耐久化を実現すると共に、出力画像の安定性をも増すことになり、非常に有効である。
以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明が実施例により制約を受けるものではない。なお、部はすべて重量部である。
まず、本発明に用いたチタニルフタロシアニン結晶(以下、顔料と呼ぶ場合あり)の合成例について述べる。
(合成例1)
1,3−ジイミノイソインドリン29.2gとスルホラン200mlを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド20.4gを滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶をろ過、ついで洗浄液が中性になるまで水洗いを繰り返し、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキを得た。得られたこのウェットケーキ2gをテトラヒドロフラン20gに投入し、4時間攪拌を行なった後、濾過を行ない、乾燥して、チタニルフタロシアニン結晶を得た。
更に、このチタニルフタロシアニン結晶30gをテトラヒドロフラン300gに浸漬し、2回目の結晶変換を行なった。12時間浸漬放置した後、濾過分別し、上記と同じ条件で減圧乾燥を行ない、本発明で用いるチタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料1とする。
(合成例2)
合成例1における2回目の結晶変換操作を下記の通りの条件に変更した以外は、合成例1と同様に処理を行ない、本発明のチタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料2とする。
(2回目の結晶変換処理)
1回目の結晶変換処理を行なったチタニルフタロシアニン結晶30gを、市販のミキサーにより機械的剪断力を5分間与えた後、粉末を取り出した。
(合成例3)
合成例1における2回目の結晶変換操作を下記の通りの条件に変更した以外は、合成例1と同様に処理を行ない、本発明のチタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料3とする。
(2回目の結晶変換処理)
1回目の結晶変換処理を行なったチタニルフタロシアニン結晶30gを、2kgのφ6mmのジルコニアボールと共に、φ90mmのガラスポットに投入し、乾式ミリングを10分間行なった後、粉末を取り出した。
(比較合成例1)
合成例1における2回目の結晶変換溶媒をテトラヒドロフランから2−ブタノンに変更した以外は、合成例1と同様に処理を行ない、本発明のチタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料4とする。
(比較合成例2)
合成例1において、1回目の結晶変換溶媒として、テトラヒドロフランの代わりに2−ブタノンを用い、2回目の結晶変換を行わない以外は、合成例1と同様に処理を行ない、チタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料5とする。
合成例1で得られた水ペーストの一部を80℃の減圧下(5mmHg)で、2日間乾燥して、低結晶性チタニルフタロシアニン粉末を得た。
上述のように得られた水ペーストの乾燥粉末と、合成例1〜3および比較合成例1〜2で得られたチタニルフタロシアニン結晶についてのX線回折スペクトルを以下に示す条件で測定した。水ペーストの乾燥粉末のX線回折スペクトルを図9に示す。
X線管球:Cu
電圧:40kV
電流:20mA
走査速度:1°/分
走査範囲:3°〜40°
時定数:2秒
合成例1〜3については、26.3°のピーク強度以外は、いずれの場合にも同様のX線回折スペクトルを示したため、代表例として合成例2で得られたチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルを図10に示す(図中の矢印が、26.3°のピークであり、ピーク強度比は8%である。)。
比較合成例1で得られたチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルを図11に示すが、26.3°にピークを示さないものであった。
比較合成例2で得られたチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルを図12に示すが、最低角が7.5°に存在するものであった。
(比較合成例3)
特開平1−299874号(特許第2512081号)公報、実施例1に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、先の合成例1で作製したウェットケーキを乾燥し、乾燥物1gをポリエチレングリコール50gに加え、100gのガラスビーズと共に、サンドミルを行なった。結晶転移後、希硫酸、水酸化アンモニウム水溶液で順次洗浄し、乾燥して顔料を得た。これを顔料6とする。
(比較合成例4)
特開平3−269064号(特許第2584682号)公報、製造例1に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、先の合成例1で作製したウェットケーキを乾燥し、乾燥物1gをイオン交換水10gとモノクロルベンゼン1gの混合溶媒中で1時間撹拌(50℃)した後、メタノールとイオン交換水で洗浄し、乾燥して顔料を得た。これを顔料7とする。
(比較合成例5)
特開平2−8256号(特公平7−91486号)公報の製造例に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、フタロジニトリル9.8gと1−クロロナフタレン75mlを撹拌混合し、窒素気流下で四塩化チタン2.2mlを滴下する。滴下終了後、徐々に200℃まで昇温し、反応温度を200℃〜220℃の間に保ちながら3時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷し130℃になったところ熱時ろ過し、次いで1−クロロナフタレンで粉体が青色になるまで洗浄、次にメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後、乾燥し顔料を得た。これを顔料8とする。
(比較合成例6)
特開昭64−17066号(特公平7−97221号)公報、合成例1に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、α型TiOPc5部を食塩10gおよびアセトフェノン5gと共にサンドグラインダーにて100℃にて10時間結晶変換処理を行なった。これをイオン交換水及びメタノールで洗浄し、希硫酸水溶液で精製し、イオン交換水で酸分がなくなるまで洗浄した後、乾燥して顔料を得た。これを顔料9とする。
(比較合成例7)
特開平11−5919号(特許第3003664号)公報、実施例1に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、O−フタロジニトリル20.4部、四塩化チタン部7.6部をキノリン50部中で200℃にて2時間加熱反応後、水蒸気蒸留で溶媒を除き、2%塩化水溶液、続いて2%水酸化ナトリウム水溶液で精製し、メタノール、N,N−ジメチルホルムアミドで洗浄後、乾燥し、チタニルフタロシアニンを得た。このチタニルフタロシアニン2部を5℃の98%硫酸40部の中に少しずつ溶解し、その混合物を約1時間、5℃以下の温度を保ちながら攪拌する。続いて硫酸溶液を高速攪拌した400部の氷水中に、ゆっくりと注入し、析出した結晶を濾過する。結晶を酸が残量しなくなるまで蒸留水で洗浄し、ウエットケーキを得る。そのケーキをTHF100部中で約5時間攪拌を行ない、ろ過、THFによる洗浄を行ない乾燥後、顔料を得た。これを顔料10とする。
(比較合成例8)
特開平3−255456号(特許第3005052号)公報、合成例2に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、左記の合成例1で作製したウェットケーキ10部を塩化ナトリウム15部とジエチレングリコール7部に混合し、80℃の加熱下で自動乳鉢により60時間ミリング処理を行なった。次に、この処理品に含まれる塩化ナトリウムとジエチレングリコールを完全に除去するために充分な水洗を行なった。これを減圧乾燥した後にシクロヘキサノン200部と直径1mmのガラスビーズを加えて、30分間サンドミルにより処理を行ない、顔料を得た。これを顔料11とする。
(比較合成例9)
特開平11−5919号(特許第3003664号)公報、実施例4に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、先の比較合成例7で得られたウェットケーキを5%の塩酸で洗浄し、中性になるまで水洗・濾過を行ない、乾燥した。更にこれをTHFと共にボールミルで10時間分散し、濾過・乾燥して顔料粉末を得た。これを顔料12とする。
(比較合成例10)
特開平5−134437号(特許第3196260号)公報、製造例1及び製造例2に記載の方法に準じて、顔料を作製した。
即ち、フタロジニトリル97.5gをα−クロロナフタレン750ml中に加え、次に窒素雰囲気下で四塩化チタン22mlを滴下する。滴下後昇温し、撹拌しながら200〜220℃で3時間反応させた後、放冷し、100〜130℃で熱時濾過し、100℃に加熱したα−クロロナフタレン200mlで洗浄した。更に200mlのN−メチルピロリドンで熱懸洗処理(100℃、1時間)を3回行なった。続いてメタノール300mlで室温にて懸洗しさらにメタノール500mlで1時間熱懸洗を3回行なった。これをフタロシアニン1とする。
次いで、フタロシアニン1をサンドグラインドミルにて20時間磨砕処理しを行ない、続いて水400ml、o−ジクロロベンゼン40mlの懸濁液中に入れ、60℃で1時間加熱処理を行なった。これをフタロシアニン2とする。
更に、特開平5−134437号公報実施例1に準じて、フタロシアニン1およびフタロシアニン2をそれぞれ6重量部および4重量部混合し、n−プロパノール200重量部を加え、サンドグラインドミルで10時間粉砕、微粒化分散処理を行なった。これを乾燥して、フタロシアニン粉末を得た。これを顔料13とする。
(合成例4)
1,3−ジイミノイソインドリン292部とスルホラン1800部を混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド204部を滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。得られた熱水洗浄処理した粗チタニルフタロシアニン顔料のうち60部を96%硫酸1000部に3〜5℃下で撹拌、溶解し、ろ過した。得られた硫酸溶液を氷水35000部中に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過、ついで洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返し、チタニルフタロシアニン顔料の水ペーストを得た。
この水ペーストにテトラヒドロフラン1500部を加え、室温下でホモミキサー(ケニス、MARK,,fモデル)により強烈に撹拌(2000rpm)し、ペーストの濃紺色の色が淡い青色に変化したら(撹拌開始後20分)、撹拌を停止し、直ちに減圧濾過を行なった。濾過装置上で得られた結晶をテトラヒドロフランで洗浄し、顔料のウェットケーキ98部を得た。これを減圧下(5mmHg)、70℃で2日間乾燥して、チタニルフタロシアニン結晶78部を得た。更に、このチタニルフタロシアニン結晶30gをテトラヒドロフラン300gに浸漬し、2回目の結晶変換を行なった。12時間浸漬放置した後、濾過分別し、上記と同じ条件で減圧乾燥を行ない、本発明で用いるチタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料14とする。
以上の比較合成例3〜10で作製した顔料は、先程と同様の方法でX線回折スペクトルを測定し、それぞれの公報に記載のスペクトルと同様であることを確認した。表1にそれぞれのX線回折スペクトルと合成例1〜合成例4および比較合成例1〜10で得られた顔料のX線回折スペクトルのピーク位置の特徴を示す。
なお、表1中の26.3°のピーク強度とは、前述の通り、26.3°のピーク強度の27.2°のピーク強度の比である。この計算に際して、図10のように26.3°のピークが明確に観測されない場合には、ピーク強度=0として計算を行なった。
Figure 0003867121
Figure 0003867121
(感光体作製例1)
直径60mmのアルミニウムシリンダー(JIS1050)に、下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥し、3.5μmの下引き層、電荷発生層、25μmの電荷輸送層を形成し、積層感光体を作製した(感光体1とする)。なお、電荷発生層の膜厚は、780nmにおける電荷発生層の透過率が20%になるように調整した。電荷発生層の透過率は、下記組成の電荷発生層塗工液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムを巻き付けたアルミシリンダーに感光体作製と同じ条件で塗工を行ない、比較対照を電荷発生層を塗工していないポリエチレンテレフタレートフィルムとし、市販の分光光度計(島津:UV−3100)にて、780nmの透過率を評価した。
◎下引き層塗工液
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製) 70部
アルキッド樹脂 15部
(ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、
大日本インキ化学工業製)
メラミン樹脂 10部
(スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、
大日本インキ化学工業製)
2−ブタノン 100部
◎電荷発生層塗工液
下記組成の分散液を下に示す条件のビーズミリングにより作製した。
顔料1 15部
ポリビニルブチラール(積水化学製:BX−1) 10部
2−ブタノン 280部
市販のビーズミル分散機に直径0.5mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した2−ブタノンおよび顔料を全て投入し、ローター回転数1500r.p.m.にて30分間分散を行ない、分散液を作製した。
作製した分散液中のチタニルフタロシアニン結晶粒子サイズを堀場製作所:CAPA−700で測定した。その結果、平均粒径は0.24μmであった。
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート 10部
(TS2050:帝人化成社製 粘度平均分子量は約5万である)
下記構造式の電荷輸送物質 7部
Figure 0003867121

塩化メチレン 80部
(感光体作製例2〜13)
感光体作製例1で使用した電荷発生層塗工液に用いたチタニルフタロシアニン顔料(顔料1)をそれぞれ、合成例2〜3(顔料2〜3)、比較合成例1〜10(顔料2〜13)で作製したチタニルフタロシアニン顔料に変更した以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した。なお、電荷発生層の膜厚は、感光体作製例1と同様に、すべての塗工液を用いた場合に780nmの透過率が20%になるように調整した。
感光体作製例2〜13で使用した電荷発生層塗工液の平均粒子サイズは、先ほどと同様に堀場製作所:CAPA−700で測定した。その結果、各塗工液の平均粒径は以下の通りであった。
作製例2:0.23μm
作製例3:0.24μm
作製例4:0.24μm
作製例5:0.25μm
作製例6:0.26μm
作製例7:0.30μm
作製例8:0.28μm
作製例9:0.24μm
作製例10:0.27μm
作製例11:0.24μm
作製例12:0.28μm
作製例13:0.26μm
参考例1〜3および比較例1〜23)
以上のように作製した感光体作製例1〜13の電子写真感光体を図1に示す電子写真装置(露光−現像間は、150msec)に搭載し、画像露光光源を780nmの半導体レーザ(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)として、600dpiの解像度で書き込みを行ない、帯電部材として図2に示すような非接触近接帯電方式の帯電ローラー(両端に厚さ50μmの絶縁性テープを巻き付けたもの)を用い、下記の帯電、露光条件にて、1ドットライン画像およびベタ画像を出力した。また、同時に、現像部位置における感光体の表面電位(未露光部および画像露光部)を測定するために、現像器が装着される位置に電位計がセットできるような治具を用いて、感光体の表面電位を測定した。露光部電位の測定においては、所定の光量にてベタ書き込み行なった場合の表面電位を測定した(評価環境は、23℃−55%RHである)。以上の結果を表2に示す。
帯電条件:
DCバイアス:−900V
ACバイアス:2.0kV(peak to peak)
周波数:1.5kHz
画像露光条件:
感光体表面での露光エネルギーとして、4.5erg./cm、6.0erg./cmの2条件
Figure 0003867121
表2の結果から、感光体作製例6〜13で作製した感光体の露光部電位は、露光量4.5erg/cmの場合には、露光部電位が高く、画像濃度が低めになった。これを露光量6.0erg/cmにすることで、露光部電位の低下が認められ、画像濃度低下が解消されるものの、ライン太りを生じた。
また、感光体作製例1〜5で作製した感光体を用いた場合には、露光量4.5erg/cmの場合には良好な画像を形成したが、露光量6.0erg/cmの場合にはライン太りを生じた。
参考例4〜6および比較例24〜33)
感光体作製例1〜14で作製した感光体を、先の参考例1と同じ装置に搭載して、3万枚の画像出力を行なった。帯電条件は、参考例1の場合と同じであるが、露光条件は露光量4.5erg./cmのみとした。出力した画像は、書き込み率6%のチャートである。また、初期および3万枚ラン後に、白ベタ画像を出力して地肌部の汚れをランクとして評価した。更に、初期および3万枚ラン後に、感光体の未露光部および露光部の表面電位を参考例1と同じ方法により測定した。これらの評価は、22℃−55%RH、10℃−15%RH、30℃−90%RHの3環境にて行なった。結果を表3に示す。
22℃−55%RH環境下での評価結果
Figure 0003867121
地汚れランク:
5:地汚れほとんどなし、
4:わずかにあり、
3:実使用限界レベル、
2以下:実使用には耐えないレベル
10℃−15%RH環境下での評価結果
Figure 0003867121
30℃−90%RH環境下での評価結果
Figure 0003867121
以上のように表3の結果から、感光体作製例1〜3の感光体を用いた場合には、3環境とも安定した表面電位を維持し、形成される画像も良好であることが分かる。感光体作製例2で作製した感光体を用いた場合、感光体作製例1、3を用いた場合と比べると、わずかではあるが感光体作製例2の場合には露光部電位が高めであることが分かる。
これに対し、感光体作製例4〜5を用いた場合には、高温高湿、低温低湿下での電位変動量が大きく、また高温高湿下での地汚れが悪いことが分かる。また、感光体作製例6〜10の感光体を用いた場合には、露光部電位が高く、また3環境での電位安定性、地汚れ特性で劣ることが分かる。感光体作製例11〜13の感光体を用いた場合には、その他の場合に比べて明らかに露光部電位が高く、また3環境における電位安定性も劣ることが分かる。
(感光体作製例14)
感光体作製例1における電荷輸送層塗工液を以下の組成のものに変更した以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した。
◎電荷輸送層塗工液
下記組成の高分子電荷輸送物質 10部
(重量平均分子量:約140000)
Figure 0003867121
下記構造の添加剤 0.5部
Figure 0003867121

塩化メチレン 100部
(感光体作製例15)
感光体作製例1における電荷輸送層の膜厚を20μmとし、電荷輸送層上に下記組成の保護層塗工液を塗布乾燥し、5μmの保護層を設けた以外は感光体作製例1と同様に感光体を作製した。
◎保護層塗工液
ポリカーボネート 10部
(TS2050:帝人化成社製 粘度平均分子量は約5万である)
下記構造式の電荷輸送物質 7部
Figure 0003867121
アルミナ微粒子 4部
(比抵抗:2.5×1012Ω・cm、平均一次粒径:0.4μm)
シクロヘキサノン 500部
テトラヒドロフラン 150部
(感光体作製例16)
感光体作製例15における保護層塗工液中のアルミナ微粒子を以下のものに変更した以外は、感光体作製例15と同様に感光体を作製した。
酸化チタン微粒子 4部
(比抵抗:1.5×1010Ω・cm、平均一次粒径:0.5μm)
(感光体作製例17)
感光体作製例15における保護層塗工液中のアルミナ微粒子を以下のものに変更した以外は、感光体作製例15と同様に感光体を作製した。
酸化錫−酸化アンチモン粉末 4部
(比抵抗:10Ω・cm、平均1次粒径0.4μm)
(感光体作製例18)
感光体作製例1におけるアルミニウムシリンダー(JIS1050)を以下の陽極酸化皮膜処理を行ない、次いで下引き層を設けずに、感光体作製例1と同様に電荷発生層、電荷輸送層を設け、感光体を作製した。
◎陽極酸化皮膜処理
支持体表面の鏡面研磨仕上げを行ない、脱脂洗浄、水洗浄を行なった後、液温20℃、硫酸15vol%の電解浴に浸し、電解電圧15Vにて30分間陽極酸化皮膜処理を行なった。更に、水洗浄を行なった後、7%の酢酸ニッケル水溶液(50℃)にて封孔処理を行なった。その後純水による洗浄を経て、7μmの陽極酸化皮膜が形成された支持体を得た。
(感光体作製例19)
感光体作製例1におけるチタニルフタロシアニン結晶を、合成例1で作製した顔料1から、合成例4で作製した顔料14に変更した以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した。なお、顔料14を用いた電荷発生層塗工液の平均粒径は、0.20μmであった。
図15および図16に顔料1の分散液および顔料14の分散液の電子顕微鏡写真を示す。図から明らかなように、顔料14の粒子サイズは顔料1の粒子サイズに比べ、粒子サイズが細かくまた、粒子サイズが均一に揃っていることが分かる。
(感光体作製例20)
感光体作製例1における電荷発生層塗工液を以下のものに変更した以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した。
◎電荷発生層塗工液
下記組成の分散液を下に示す条件のビーズミリングにより作製した。
合成例1で作製したチタニルフタロシアニン顔料(顔料1) 15部
ポリビニルブチラール(積水化学製:BX−1) 10部
2−ブタノン 280部
市販のビーズミル分散機に直径0.5mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した2−ブタノンおよび顔料を全て投入し、ローター回転数1500r.p.m.にて30分間分散を行ない、分散液を作製した。分散液をビーズミル装置より取り出して、アドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−3−CS(有効孔径3μm)を用いて、濾過を行なった。濾過に際しては、ポンプを使用し、加圧状態で濾過を行なった。
作製した分散液中のチタニルフタロシアニン結晶粒子サイズを堀場製作所:CAPA−700で測定した。その結果、平均粒径は0.21μmであった。
また、感光体作製例20で使用した電荷発生層塗工液および感光体作製例1で使用した電荷発生層塗工液をスライドガラス上に薄く塗工し、光学顕微鏡(50倍)にて塗膜の状態を観察した(それぞれ図17及び図18に電子顕微鏡写真を示す)。その結果、感光体作製例1で使用した電荷発生層塗工液中にはわずかな粗大粒子の存在(図18における黒っぽい粒)が認められたが、感光体作製例20で使用した電荷発生層塗工液中には粗大粒子の存在は認められなかった。
実施例1、2、参考例7〜14および比較例34〜35)
以上のように作製した感光体作製例1〜5および14〜20の電子写真感光体を図1に示す電子写真装置(露光−現像間は、150msec)に搭載し、画像露光光源を780nmの半導体レーザ(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)として、600dpiの解像度で書き込みを行ない、帯電部材として帯電部材として図2に示すような帯電ローラーの両端部に厚さ50μmの絶縁テープを巻き付けた近接配置用の帯電部材(感光体と帯電部材表面間の空隙が50μm)を用い、下記の帯電、露光条件にて、書き込み率6%のチャートを用い、連続して10万枚の印刷を行ない、初期及び10万枚後の画像を評価した(ランニング環境は、22℃−55%RHである)。初期および10万枚後に白ベタ画像を出力して地汚れ(下記のランク)の評価を行なった。また、10万枚後に、ハーフトーン画像を出力し、画像評価を行なった。更に、10万枚出力における感光体表面の摩耗量(保護層を有する場合は保護層の摩耗量)を測定した。
以上の結果を表4に示す。
帯電条件:
DCバイアス:−900V
ACバイアス:2.0kV(peak to peak)
周波数:1.5kHz
画像露光条件:
感光体表面での露光エネルギーとして、4.5erg./cmの光を照射した。
Figure 0003867121
地汚れランク:
5:地汚れほとんどなし、
4:わずかにあり、
3:実使用限界レベル、
2以下:実使用には耐えないレベル
参考例7及び実施例のハーフトーン画像を拡大して観察すると、参考例7の画像に比べ、実施例のドットは輪郭がはっきりしていた。
参考例15、実施例および比較例33〜38)
感光体作製例1および作製例20の感光体を用い、参考例1で用いた装置の光学系を変更し、1200dpiおよび400dpiでの書き込みを行ない(露光量は4.5erg./cm、6.0erg./cmの2条件)、参考例1と同様に画像評価を行なった。結果を表5に示す。
Figure 0003867121
400dpiで書き込みを行なった場合、600dpiで書き込んだ場合(参考例1)に比較して解像度が低い。特に比較例36に比べて、比較例39の場合に顕著にその傾向が認められる。一方、1200dpiで書き込んだ場合、600dpiの場合と比較して良好な画像が得られたが、その効果は参考15よりも実施例の方が著しい。ライン太りに関しては、6.0erg/cmの露光量の場合にいずれも起こっているが、作製例1の感光体よりも作製例20の感光体を用いた場合にその変化は小さい。
参考例16
参考例9において10万枚のランニング試験の後、30℃−90%RH環境下で1ドット画像を出力し、画像評価を行なった。
参考17
参考例9における帯電部材を近接配置用帯電部材からスコロトロン・チャージャーに変更し、感光体非画像部の表面電位を参考例9と同じ(−900V)にあわせるようにセッティングした。これ以外の条件を変更せずに、参考例9と同様に10万枚のランニング試験を行なった。10万枚のランニング試験の後、参考例16と同様に30℃−90%RH環境下で1ドット画像を出力し、画像評価を行なった。
参考18
参考例9における帯電部材を近接配置用帯電部材から接触用帯電部材(空隙無し)に変更し、帯電条件を参考例9と同じ条件にセッティングした。これ以外の条件を変更せずに、参考例2と同様に10万枚のランニング試験を行なった。10万枚のランニング試験の後、参考例16と同様に30℃−90%RH環境下で1ドット画像を出力し、画像評価を行なった。
参考19
参考18における帯電条件を以下のように変更した以外は、参考18と同様に評価を行なった。
帯電条件:
DCバイアス:−1580V(感光体非画像部の表面電位が−900V)
ACバイアス:なし
参考20
参考例9における帯電条件を以下のように変更した以外は、参考例9と同様に評価を行なった。10万枚のランニング試験の後、参考16と同様に30℃−90%RH環境下で1ドット画像を出力し、画像評価を行なった。
帯電条件:
DCバイアス:−1580V(感光体非画像部の表面電位が−900V)
ACバイアス:なし
参考21
参考例9で使用した帯電部材(近接帯電ローラー)のギャップを100μmに変更した以外は、参考例9と同様に評価を行なった。10万枚のランニング試験の後、参考16と同様に30℃−90%RH環境下で1ドット画像を出力し、画像評価を行なった。
参考22
参考例9で使用した帯電部材(近接帯電ローラー)のギャップを150μmに変更した以外は、参考例9と同様に評価を行なった。10万枚のランニング試験の後、参考16と同様に30℃−90%RH環境下で1ドット画像を出力し、画像評価を行なった。
参考23
参考例9で使用した帯電部材(近接帯電ローラー)のギャップを250μmに変更した以外は、参考例9と同様に評価を行なった。10万枚のランニング試験の後、参考16と同様に30℃−90%RH環境下で1ドット画像を出力し、画像評価を行なった。
以上の参考16〜23における評価結果を表6に示す。
Figure 0003867121
(感光体作製例21)
感光体作製例1の電荷輸送層塗工液を以下の組成に変更した以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した。
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート 10部
(TS2050:帝人化成社製 粘度平均分子量は約5万である)
下記構造式の電荷輸送物質 7部
Figure 0003867121
テトラヒドロフラン 80部
(感光体作製例22)
感光体作製例10の電荷輸送層塗工液を以下の組成に変更した以外は、感光体作製例10と同様に感光体を作製した。
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート 10部
(TS2050:帝人化成社製 粘度平均分子量は約5万である)
下記構造式の電荷輸送物質 7部
Figure 0003867121

テトラヒドロフラン 80部
(感光体作製例23)
感光体作製例1の電荷輸送層塗工液を以下の組成に変更した以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した。
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート 10部
(TS2050:帝人化成社製 粘度平均分子量は約5万である)
下記構造式の電荷輸送物質 7部
Figure 0003867121

ジオキソラン 80部
(感光体作製例24)
感光体作製例1の電荷輸送層塗工液を以下の組成に変更した以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した。
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート 10部
(TS2050:帝人化成社製 粘度平均分子量は約5万である)
下記構造式の電荷輸送物質 7部
Figure 0003867121

テトラヒドロフラン 40部
トルエン 40部
参考24〜26および比較例42)
以上のように作製した感光体作製例21〜24の感光体を参考例1の場合と同様に、図1に示す電子写真装置(露光−現像間は、150msec)に搭載し、画像露光光源を780nmの半導体レーザ(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)として、600dpiの解像度で書き込みを行ない、帯電部材として図2に示すような非接触近接帯電方式の帯電ローラー(両端に厚さ50μmの絶縁性テープを巻き付けたもの)を用い、下記の帯電、露光条件にて、1ドットライン画像およびベタ画像を出力した。また、同時に、現像部位置における感光体の表面電位(未露光部および画像露光部)を測定するために、現像器が装着される位置に電位計がセットできるような治具を用いて、感光体の表面電位を測定した。露光部電位の測定においては、所定の光量にてベタ書き込み行なった場合の表面電位を測定した。以上の結果を参考例1および比較例5と併せて表7に示す。
帯電条件:
DCバイアス:−900V
ACバイアス:2.0kV(peak to peak)
周波数:1.5kHz
画像露光条件:
感光体表面での露光エネルギーとして、4.5erg./cm
Figure 0003867121
(感光体作製例25)
感光体作製例1のアルミシリンダーを直径30mmのものに変え、感光体作製例1と同じ組成の感光体を作製した。
(感光体作製例26)
感光体作製例8のアルミシリンダーを直径30mmのものに変え、感光体作製例8と同じ組成の感光体を作製した。
(感光体作製例27)
感光体作製例9のアルミシリンダーを直径30mmのものに変え、感光体作製例9と同じ組成の感光体を作製した。
参考27および比較例43〜47)
以上のように作製した感光体作製例25〜27の感光体を、帯電部材と共に1つの電子写真装置用プロセスカートリッジに装着し、更に図5に示すフルカラー電子写真装置(露光−現像間は、100msec)に搭載した。4つの画像形成要素は以下に示すプロセス条件にてフルカラー画像3万枚の画像評価を行なった。評価は、初期及び3万枚後の白ベタ画像、フルカラー画像を評価した。また、黒現像部での感光体画像部と非画像部の表面電位を参考例1と同様な方法で評価した。
結果を表8に示す。
帯電条件:
DCバイアス:−800V、
ACバイアス:1.5kV(peak to peak)
周波数:2.0kHz
帯電部材:参考例1に使用したものと同じ
書き込み:書き込み:780nmのLD(ポリゴン・ミラー使用)、1200dpiで書き込みを行なった。
光量:感光体表面での露光エネルギーとして、4.5erg./cm、6.0erg./cmの2条件
Figure 0003867121
Figure 0003867121
最後に、本発明で使用するチタニルフタロシアニン結晶の特徴であるブラッグ角θの最低角ピークである7.3°について、公知材料の最低角7.5°と同一であるか否かについて検証する。
(測定例1)
合成例1で得られた顔料(最低角7.3°)に特開昭61−239248号公報に記載の顔料(最大回折ピークを7.5°に有する)と同様に作製したものを3重量%添加し、乳鉢で混合して、先程と同様にX線回折スペクトルを測定した。測定例1のX線回折スペクトルを図13に示す。
(測定例2)
比較合成例1で得られた顔料(最低角7.5°)に特開昭61−239248号公報に記載の顔料(最大回折ピークを7.5°に有する)と同様に作製したものを3重量%添加し、乳鉢で混合して、先程と同様にX線回折スペクトルを測定した。測定例2のX線回折スペクトルを図14に示す。
図13のスペクトルにおいては、低角側に7.3°と7.5°の2つの独立したピークが存在し、少なくとも7.3°と7.5°のピークは異なるものであることが判る。一方、図14のスペクトルにおいては、低角側のピークは7.5°のみに存在し、図13のスペクトルとは明らかに異なっている。
以上のことから、本願発明のチタニルフタロシアニン結晶における最低角ピークである7.3°は、公知のチタニルフタロシアニン結晶における7.5°のピークとは異なるものであることが判る。
本発明の電子写真プロセス及び電子写真装置を説明するための概略図である。 近接帯電機構を示す概略図(ギャップ保持機構が帯電部材側に形成されている)である。 本発明の電子写真プロセスの他の例を示す概略図である。 本発明の電子写真プロセスカートリッジの一例を示す概略図である。 本発明のタンデム式フルカラー電子写真装置を説明するための他の概略図である。 露光量と表面電位の関係を示す図である。 本発明に用いられる電子写真感光体の構成例を示す断面図である。 本発明に用いられる電子写真感光体の他の構成例を示す断面図である。 水ペーストの乾燥粉末のX線回折スペクトルを示す図である。 合成例2で得られたチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルを示す図である。 比較合成例1で得られたチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルを示す図である。 比較合成例2で得られたチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルを示す図である。 測定例1で得られたチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルを示す図である。 測定例2で得られたチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルを示す図である。 合成例1で得られたチタニルフタロシアニン結晶の電子顕微鏡写真である。スケールバーは、0.2μmである。 合成例4で得られたチタニルフタロシアニン結晶の電子顕微鏡写真である。スケールバーは、0.2μmである。 感光体作製例20で使用した分散液の電子顕微鏡写真である。 感光体作製例1で使用した分散液の電子顕微鏡写真である。
符号の説明
1C、1M、1Y、1K………ドラム状感光体
2C、2M、2Y、2K………帯電部材
3C、3M、3Y、3K………レーザ光
4C、4M、4Y、4K………現像部材
5C、5M、5Y、5K………クリーニング部材
6C、6M、6Y、6K………画像形成要素
7………転写紙
8………給紙コロ
9………レジストローラ
10………転写搬送ベルト
11C、11M、11Y、11K………転写ブラシ
12………定着装置
21………感光体
22………除電ランプ
23………帯電部材
25………画像露光部
26………現像ユニット
27………転写前チャージャ
28………レジストローラ
29………転写紙
30………転写チャージャ
31………分離チャージャ
32………分離爪
33………クリーニング前チャージャ
34………ファーブラシ
35………ブレード
41………導電性支持体
45………電荷発生層
47………電荷輸送層
49………保護層
50………感光体
51………帯電ローラー
52………ギャップ形成部材
53………金属シャフト
54………画像形成領域
55………非画像形成領域
61………感光体
62a………駆動ローラ
62b………駆動ローラ
63………帯電チャージャ
64………像露光源
65………転写チャージャ
66………クリーニング前露光
67………クリーニングブラシ
68………除電光源
69………現像ユニット
71………感光体
73………帯電ローラ
75………画像露光部
76………クリーニングブラシ
77………現像ローラ
78………転写ローラ

Claims (14)

  1. 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなり、露光手段から現像手段までの時間が200msec以下の電子写真装置であって、600dpi以上の解像度を有する書き込み光を露光手段から感光体に照射する際の露光エネルギーが感光体表面において5erg/cm以下であり、かつ電子写真感光体が導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を順に積層してなる電子写真感光体であり、該電荷発生層中にCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2°)として、少なくとも27.2°に最大回折ピークを有し、更に9.4°、9.6°、24.0°に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3°にピークを有し、7.3°のピークと9.4°のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、26.3°のピーク強度が、最大回折ピーク27.2°のピーク強度に対して0.1〜5%の範囲であるチタニルフタロシアニン結晶を含有し、該電荷発生層を形成するための分散液が有効孔径が3μm以下のフィルターにて濾過されたものであり、該分散液中の前記チタニルフタロシアニン結晶の平均サイズが0.21μm以下であることを特徴とする電子写真装置。
  2. 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体を具備してなり、露光手段から現像手段までの時間が200msec以下の電子写真装置であって、600dpi以上の解像度を有する書き込み光を露光手段から感光体に照射する際の露光エネルギーが感光体表面において5erg/cm 以下であり、かつ電子写真感光体が導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を順に積層してなる電子写真感光体であり、該電荷発生層中にCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2°)として、少なくとも27.2°に最大回折ピークを有し、更に9.4°、9.6°゜24.0°に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3°にピークを有し、7.3°のピークと9.4°のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、26.3°のピーク強度が、最大回折ピーク27.2°のピーク強度に対して0.1〜5%の範囲であるチタニルフタロシアニン結晶を含有し、前記チタニルフタロシアニン結晶が、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2°)として、少なくとも7.0〜7.5°に最大回折ピークを有し、その回折ピークの半値巾が1°以上である一次粒子の平均サイズが0.1μm以下の不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行ない、結晶変換後の一次粒子の平均サイズが0.20μmよりも大きく成長する前に、有機溶媒より結晶変換後のチタニルフタロシアニンを分別、濾過されたものであることを特徴とする電子写真装置。
  3. 前記電荷輸送層に少なくともトリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートを含有することを特徴とする請求項1又は2に記載の電子写真装置。
  4. 前記電荷輸送層上に保護層を有することを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の電子写真装置。
  5. 前記保護層に比抵抗1010Ω・cm以上の無機顔料又は金属酸化物を含有することを特徴とする請求項に記載の電子写真装置。
  6. 前記感光体の電荷輸送層が、非ハロゲン系溶媒を用いて形成されたものであることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の電子写真装置。
  7. 前記非ハロゲン系溶媒として、少なくとも環状エーテル、あるいは芳香族系炭化水素より選ばれる1種を用いることを特徴とする請求項に記載の電子写真装置。
  8. 前記電子写真感光体の導電性支持体表面が、陽極酸化皮膜処理されたものであることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の電子写真装置。
  9. 少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、及び電子写真感光体からなる画像形成要素を複数配列したことを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の電子写真装置。
  10. 前記電子写真装置の帯電手段に、接触帯電方式を用いることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の電子写真装置。
  11. 前記電子写真装置の帯電手段に、非接触の近接配置方式を用いることを特徴とする請求項1乃至の何れかに記載の電子写真装置。
  12. 前記帯電手段に用いられる帯電部材と感光体間の空隙が200μm以下であることを特徴とする請求項10に記載の電子写真装置。
  13. 前記電子写真装置の帯電手段に、交流重畳電圧印加を行なうことを特徴とする請求項10乃至12の何れかに記載の電子写真装置。
  14. 前記電子写真装置が、感光体と少なくとも帯電手段、露光手段、現像手段、クリーニング手段から選ばれる1つの手段とが一体となった装置本体と着脱自在なカートリッジを搭載していることを特徴とする請求項1乃至13のいずれかに記載の電子写真装置。
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