JP4208147B2 - 画像形成装置及び画像形成方法 - Google Patents

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Description

本発明は、少なくとも特定結晶型及び特定の粒子サイズを有するチタニルフタロシアニン結晶を含有する電荷発生層と電荷輸送層をこの順に積層してなる静電潜像担持体(以下、「電子写真感光体」、「感光体」、「光導電性絶縁体」と称することがある)を用い、複数のレーザービームを用いて感光体表面に静電潜像を形成するためのマルチビーム露光を行う書き込みが行われ、システム線速(以下、「感光体線速」、「プロセス線速」と称することがある)が300mm/sec以上で動作される画像形成装置及び画像形成方法に関する。
近年、電子写真方式を用いた情報処理システム機の発展は目覚ましいものがある。特に情報をデジタル信号に変換して光によって情報記録を行う光プリンターは、そのプリント品質、信頼性において向上が著しい。このデジタル記録技術はプリンターのみならず通常の複写機にも応用され、所謂デジタル複写機が開発されている。また、従来からあるアナログ複写にこのデジタル記録技術を搭載した複写機は、種々様々な情報処理機能が付加されるため、今後その需要が益々高まっていくと予想される。更に、パーソナルコンピュータの普及及び性能の向上にともない、画像及びドキュメントのカラー出力を行うためのデジタルカラープリンターの進歩も急激に進んでいる。
前記プリンターや複写機は装置の高速化、高画質化が要望されているが、プリント速度はシステム線速に依存し、感光体線速よりも速い速度で画像形成は行うことができないため、感光体の線速は可能な限り高めなければならない。一般的には毎分50枚以上の印刷を達成するためには、感光体の線速を300mm/sec以上で動作させなければならない。
高速化の課題に対しては、高感度及び高速応答性を有する感光体の使用が行われている。通常、780nmLDや760nm近傍のLEDが高速デジタル画像形成装置の光源として用いられ、これに対応した感光体(電荷発生材料)としては、CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を用いることが知られている(特許文献1参照)。この特定結晶型は、非常に高いキャリア発生機能を有しており、高速画像形成装置用感光体の電荷発生材料として有効に使用できる。しかしながら、この結晶型は、結晶としての安定性が低く、分散等の機械的ストレス、熱的なストレスに対して結晶転移し易いという問題を抱えており、結晶転移後の結晶型はこの結晶型に比べて非常に低感度であり、結晶の一部が結晶転移した場合には充分な光キャリア発生機能を発現することができない。また、感光体の繰り返し使用において、帯電性の低下を引き起こしやすく、地汚れを発生しやすいという問題を有していた。
更に、特許文献1には、特定結晶型のチタニルフタロシアニン結晶の粒子径に関する記載及びそれをコントロールする技術の記載が無く、粒子径の適正化がなされていないので、画像形成装置のプロセス条件を適正化することが困難である。
このように、高速画像形成装置を設計するために発生するプロセス上の制約(要望)に対して、感光体の開発が十分とはいえない状況であり、安定した高速画像形成を実現するための感光体開発が十分でないのが実情であった。
また、上記プリンターや複写機は装置の高速化、高画質化が要望されているが、画像形成の高速化、高解像度化等に対応すべく、感光体表面を露光するためのレーザービームを複数本、射出するようにしたマルチビーム記録ヘッドを具備する画像形成装置が提案されている(特許文献2参照)。
デジタル電子写真複写機やレーザープリンター等の画像形成装置は、高解像度、高速印字出力のために感光体は高線速で回転される必要がある。これに応じて、レーザービーム走査露光系も回動多鏡面体のポリゴンミラーの回転を上げ、副走査方向の画像走査周波数を上げる必要がある。しかしながら、回動多鏡面体のポリゴンミラーの回転数は現状、30,000回転(rpm)前後であり、これ以上の回転数を得るためには、回動多鏡面体のポリゴンミラーの軸受けの改良等の困難な課題がある。
そのため、回動多鏡面体のポリゴンミラーの回転数を上げずに、高速化を達成するために、副走査方向にビーム光源を複数個並べ、主走査方向1回の走査で複数ビームの走査をする、マルチビーム記録ヘッドによるマルチビーム走査露光方法が採用されるようになった。マルチビーム記録ヘッドによるこの方法では、例えばn本のビーム光源になることで1ビーム光源のみの場合に必要となる回動多鏡面体のポリゴンミラーの回転数が、1/nの回転数でよくなり、1ビーム光源の場合より、n倍の高速化が可能となる。また、走査速度に余裕が生じることになり、その分、走査密度を高密度にして、高速で、高精細な画像出力が可能になるなどメリットが大きい(特許文献3参照)。
しかしながら、このようなマルチビーム露光方法で画像を形成する場合、隣り合う2本のビームを同時に点灯してライン画像やドット画像を形成する場合とおのおののレーザービームを別々に点灯して画像を形成する場合では線画像やドット画像の濃度、太さ、大きさが異なるという不具合が発生する。
図19には、4個のレーザー光源LD1、LD2、LD3、及びLD4で構成されるマルチビームヘッド走査露光で連続複数のライン画像の書き込みをした場合のレーザー点灯状態と反転現像方式を用いて画像形成した場合のライン画像の関係を示してある。
2ビームで1ラインを形成する場合、図19(a)に示すように、まず、1サイクル目の走査では、LD1,2、4が点灯、LD3が消灯の状態で走査され、次に、LD1、3、4が点灯、2が消灯の状態で2サイクル目の走査が行われる。1サイクル目のLD1、2点灯と2サイクル目のLD3、4点灯の場合はそれぞれ図19(c)に示されるライン1とライン3(図19(c))形成用の露光であるが、隣り合うレーザーが同時に感光体に露光される(同時露光)。一方、1サイクル目のLD4と2サイクル目のLD1の露光は図19(c)に示されるライン2形成用の露光であるが、2本のビームは時間がずれて感光体を露光されている(順次露光)(図19(a))。
このような露光状態の違いに応じて、出力画像には、順次露光の場合は同時露光の場合より、太いラインが形成される(図19(c))。
本発明者らは、この現象は以下の如く考えている。即ち、一つのビームは通常楕円ビーム形状であり、2本のビームはお互いに一部オーバーラップしており、同時露光の場合はオーバーラップしている部位の感光体上の1点でみると極めて強いパワーが1度に照射されることになる。一方、順次露光の場合は、トータルの露光エネルギーとしては同時露光と同じであるが、2本のビームがオーバーラップしている部位の光パワーは同時露光に比べて弱くなる。
感光体によっては、同じ露光エネルギーを与えても与え方により、その効果が異なることがあり、それを感光体の相反則不軌と言われている。通常、露光エネルギー=光パワー(単位時間、単位面積当たりの値)×露光時間であるが、同じエネルギーを感光体に露光する場合でも、短時間に強いパワーを露光した場合の方が、感光体の感度が低くなり、露光部の表面電位の減衰が少なくなる。上述の如く、順次露光部位は、同時露光部位よりも露光パワーが弱いため、相反則不軌による感度低下が少なく、表面電位の減衰量が同時露光よりも多くなり、露光部位の表面電位は低くなる。
また、反転現像法は、感光体の帯電極性と同極性の電荷を持つトナーを感光体表面の露光部位に付着させて現像する方式である。そのため、感光体表面の露光部位の電位が低いほど現像トナー量は多くなる。そのため、順次露光部位は同時露光部位よりも多くのトナーが付着している。
このトナー画像は、転写工程で記録紙上に転写され、定着工程を経て記録紙上に画像が形成される。反転現像においては、トナーが記録体に転写される場合には、トナーの飛散を伴うため、細線画像は太り気味になる。この現象は転写チリと呼ばれるが、この転写チリは現像されたトナー量が多い方がチリ範囲が広くなり、より太い線画像となる。
この転写画像は、定着工程で、通常、加熱ローラ等の定着部材によって、加圧されながら加熱定着が行われるが、その時、トナーは流動状態になり、引き延ばされ、記録紙上の線画像は更に太くなり、この定着時の線画像の太りは、トナー量が多いほどより激しくなる。
その結果、順次露光部の線画像は、同時露光部の線画像より太くなると考えられる。
前記課題を解決するための手段としては、例えば、複数の主レーザー光源の他に補助レーザー光源を設け、隣り合う所定数のレーザー光源を同時発光させて画像形成する場合には、適宜補助光源を点灯させ、常に所定数のレーザー光源が同時発光した状態で画像形成できる技術が記載されている(特許文献4参照)。また、特許文献5には、隣り合うレーザーが同時発光する場合と単独、又は隣り合わないレーザーが同時発光する場合で、レーザーの出力光量を変化させる技術が記載されている。
しかし、これらの技術は、装置の改良に伴うコスト高を引き起こすという問題がある。
また、特許文献6には、マルチビーム像露光光源としてマルチビームを有する画像形成装置に導電性基体と感光層からなる電子写真感光体の導電性基体と感光層の中間に、樹脂中に導電性粒子を分散してなる導電層を設けた感光体を用いることで、上記問題を解決できることが記載されている。
しかし、導電層と感光層が直接接触している場合は、感光体の帯電電位が減衰し易く、特に反転現像で画像形成した場合、画像の地肌部に黒点などの地汚れが発生する不具合が生じる。この不具合は画像形成を繰り返し行う場合に顕著に発現する。そのため、導電層と感光層の間に電荷をブロッキングするため中間層を設ける方法があるが、画像形成を繰り返すにつれて、ブロッキング層に電荷が蓄積され、感光体の露光部位の電位が、上昇することで、画像形成に必要な、静電コントラストが小さくなる。
更に、特許文献7には、電子写真プロセスが200mm/s以下のマルチビーム露光方式を用いた画像形成装置用の電子写真感光体として感光層がオキシチタニウムフタロシアニン(チタニルフタロシアニン)を含有し、該電子写真感光体の電荷移動度が7.0×10−7〜2.0×10−5cm/V・sである感光体を用いることがされている。
しかし、従来公知のチタニルフタロシアニンを含有した感光体は、画像形成プロセスの繰り返し、特に、帯電工程と露光工程の繰り返しによって、感光体内部に残留電荷が蓄積し易すく、感光体の耐久性に難がある。特に、マルチビームを用いてより高速印字が可能になった画像形成装置は、低速、中速画像形成装置に比べて遙かに大量なプリントを行う用途に用いられる。そのため、主要部材である感光体の耐久性が低い場合は、頻繁に感光体を取り替える必要が生じ、実質的なプリントに要する時間が長くなったり、画像形成コストが高くなるなどの不具合が生じる。そのため、感光体にはより高い耐久性が求められる。また、従来公知のチタニルフタロシアニンを含有した感光体を搭載したマルチビーム露光方式を用いた画像形成装置においては、システム線速が300mm/sec以上で画像形成をすると、隣り合う複数ビームで1ドット、又は、1ラインを副走査方向に複数形成する際に、場所によって同一品質の画像パターンを形成することができなくなるという前述の不具合がより顕著に現れることがわかった。
この現象はシステム線速がより高くなるにつれて、1ドット当たりの露光時間が短くなり、それにつれてレーザーの光パワーをより強くするために、感光体の相反則不軌現象がより、顕著になると推測される。更に、感光体の相反則不軌は低電界強度下の露光でより顕著に発現するため、上記のマルチビーム露光における不具合を解決するためには、より高電界強度下、具体的には30V/μm以上の電界強度下でのマルチビーム露光が望ましいが、従来公知のフタロシアニンは後述のごとき高電界強度下での使用で種々の欠陥を有しているため、特に30V/μm以上の電界強度下でのマルチビーム露光での使用には耐えられない。
このように、マルチビーム露光方式を用いた高速印字可能な画像形成装置には、より残留電位の少ない、相反則不軌の少ない感光体の速やかな提供が望まれているのが現状である。
特開2001−19871号公報 特開2001−281578号公報 特開昭60−33019公報 特開2003−205642号公報 特開2002−113903号公報 特開2002−107988号公報 特開2002−303997号公報
本発明は、従来における前記問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明は、システム線速が300mm/sec以上の高速で高画質な画像を形成するため、複数のレーザービームを用いてマルチビーム露光を行って静電潜像を形成する画像形成装置において、特定粒子径及び特定結晶型のチタニルフタロシアニン結晶を含有する感光層を有する感光体を使用することにより、チタニルフタロシアニン固有の高感度を維持し、高耐久であり、高速画像出力が可能な画像形成装置及び画像形成方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、本発明者らは、システム線速が300mm/sec以上である高速デジタル電子写真装置において、繰り返し使用時においても異常画像の発生が少なく、高画質な画像を出力するため数々の検討を行った結果、感光体上に帯電と書き込みを行い形成された静電潜像を複数の現像スリーブを有する現像手段により現像を行い感光体上にトナー像を形成し、かつ静電潜像担持体が支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を順に積層してなる電子写真感光体であり、該電荷発生層中にCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ、前記7.3°のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、更に26.3°にピークを有さず、かつ1次粒子の平均粒子径が0.25μm未満のチタニルフタロシアニン結晶を含むことによって、上記問題点を解決できることを知見した。
このような感光体に印加する電界強度30V/μm以上は、電子写真における一般的な電界強度よりも大きいものであり、特に、高速で高解像度の書き込みを行う複数のレーザービームを用いて感光体表面に静電潜像を形成するためのマルチビーム露光を行う高速デジタル電子写真装置において、より効果を得られるものである。しかし、前述の如く、従来公知のチタニルフタロシアニンを用いた場合は高電界強度下では、種々の不具合が発生し、実使用上は、より低電界強度下で使わざるを得ない状況であった。
本発明の効果の詳細な理由は不明であるが、我々の検討結果では、ここまでに知られている27.2゜に最大回折ピークを他のチタニルフタロシアニン結晶に比べ、本発明に用いられるチタニルフタロシアニン結晶の化学的な安定性が高いことに由来し、地汚れの発生を低減化できることに起因しているものと推定される。
ところで、書き込み光のビームを小さくして、形成されるドットを小さくすることにより解像度を向上することは既に知られている。また、感光体への印加電圧を高くして、感光体にかかる電界強度を大きくすることにより、感光体内部で生成した光キャリアの移動の直線性を増し、静電潜像におけるドットの拡散を押さえることも既に知られている。これらを組み合わせることができれば、感光体内部で小さい径のドット(光キャリアの群)を形成し、電極(支持体)と感光体表面の間の電気力線を強めることにより、光キャリアの持つクーロン反発を抑え、光キャリアを電気力線に沿って移動させることにより、小径ビームで書き込んだドットの形状そのものが感光体表面電位プロフィール(静電潜像のドット)として形成できることになる。
しかしながら、感光体に印加する電界強度の上昇は、支持体から感光層への電荷注入、感光層内部での熱キャリア発生の促進を促し、結果として地汚れの発生を促進させてしまう。この現象は、一般的には光キャリア発生効率の高い電荷発生物質を用いた場合には顕著であり、前述のCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を用いた場合には、電界強度として高々30V/μm程度未満の領域で使用されているのが実情であった。
このように、プロセスを制御する有効な手段が開発されていながら、その特長を生かす有効な感光体が開発されてないため、高画質化のために高い電界強度を印加することができずに、感光体上への書き込みドットに忠実な静電潜像の形成、静電潜像に忠実なトナー現像ができないといった問題点が残存しているのが現状であるが、本発明ではこれを解決している。
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、前記静電潜像形成手段が、少なくとも帯電器と、複数のレーザービームを用いて前記静電潜像担持体表面に静電潜像を形成するマルチビーム露光を行う露光器とを有し、かつ前記画像形成装置が、300mm/sec以上のシステム線速で動作すると共に、前記静電潜像担持体が、支持体と、該支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層とをこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にCuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、かつ該回折ピークの半値巾が1゜以上であり、一次粒子の平均粒子径が0.1μm以下である不定形乃至低結晶性チタニルフタロシアニン結晶を水の存在下で有機溶媒を使用して結晶変換を行い、結晶変換後の一次粒子の平均粒子径が0.25μm以下の状態で、濾過することにより得られる結晶変換後のチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有さず、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均粒子径が0.25μm以下であることを特徴とする画像形成装置である。
<2> 帯電器により静電潜像担持体表面に印加される帯電が、下記数式(1)で表される電界強度が30V/μm以上である前記<1>に記載の画像形成装置である。
<数式(1)>
電界強度(V/μm)=SV/G
ただし、前記数式(1)中、SVは、現像位置における静電潜像担持体の未露光部における表面電位(V)を表す。Gは、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を含む感光層の膜厚(μm)を表す。
> チタニルフタロシアニン結晶が、ハロゲン含有化合物を含まない原材料で合成された前記<1>から<>のいずれかに記載の画像形成装置である。
> 不定形乃至低結晶性チタニルフタロシアニン結晶が、アシッドペースト法により調製され、得られた不定形乃至低結晶性チタニルフタロシアニン結晶が、イオン交換水のpHが6〜8になるまでイオン交換水で洗浄される前記<>に記載の画像形成装置である。
> 不定形乃至低結晶性チタニルフタロシアニン結晶が、アシッドペースト法により調製され、得られた不定形乃至低結晶性チタニルフタロシアニン結晶が、イオン交換水の比伝導度が8μS/cm以下になるまでイオン交換水で洗浄されてなる前記<>に記載の画像形成装置である。
> チタニルフタロシアニン結晶の結晶変換で使用される有機溶媒量が、質量比で不定形乃至低結晶性チタニルフタロシアニン結晶の10倍以上である前記<>に記載の画像形成装置である。
> 電荷輸送層が、トリアリールアミン構造を主鎖及び側鎖の少なくともいずれかに含むポリカーボネート樹脂を含有する前記<1>から<>のいずれかに記載の画像形成装置である。
> 電荷輸送層上に保護層を有する前記<1>から<>のいずれかに記載の画像形成装置である。
> 保護層が、比抵抗1010Ω・cm以上の無機顔料及び金属酸化物から選択される少なくともいずれかを含む前記<>に記載の画像形成装置である。
10> 保護層が、更に高分子電荷輸送物質を含む前記<>から<>のいずれかに記載の画像形成装置である。
11> 保護層がバインダー樹脂を含有し、該バインダー樹脂が架橋構造を有する前記<>から<10>のいずれかに記載の画像形成装置である。
12> 架橋構造を有するバインダー樹脂の構造中に、電荷輸送部位を有する前記<11>に記載の画像形成装置である。
13> 静電潜像担持体における支持体の表面が、陽極酸化皮膜処理された前記<1>から<12>のいずれかに記載の画像形成装置である。
14> 静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する直接転写方式である前記<1>から<13>のいずれかに記載の画像形成装置である。
15> 露光器により静電潜像担持体上に書き込み部と非書き込み部が形成され、転写後の該静電潜像担持体の非書き込み部における表面電位の絶対値が、100V以下である前記<1>から<14>のいずれかに記載の画像形成装置である。
16> 転写後の静電潜像担持体の非書き込み部における表面電位が、帯電器により帯電した電位の逆電位である前記<15>に記載の画像形成装置である。
17> 転写後の静電潜像担持体の非書き込み部における表面電位が、帯電器により帯電した電位の逆電位であり、かつ、該非書き込み部の表面電位の絶対値が100V以下である前記<15>から<16>のいずれかに記載の画像形成装置である。
18> 画像形成装置が、光除電手段を用いない前記<1>から<17>のいずれかに記載の画像形成装置である。
19> 少なくとも静電潜像担持体、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段及び定着手段を有する画像形成要素を複数備えた前記<1>から<18>のいずれかに記載の画像形成装置である。
20> 静電潜像形成手段における帯電器が、静電潜像担持体表面に交流重畳電圧印加を行う前記<1>から<19>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<21> 静電潜像担持体と、静電潜像形成手段、現像手段及びクリーニング手段から選択される1つ以上の手段とが一体となり、装置本体と着脱自在なプロセスカートリッジを搭載している前記<1>から<20>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<22> 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、該可視像を記録媒体に転写する転写工程と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含む画像形成方法であって、
前記静電潜像形成工程が、少なくとも帯電器と、複数のレーザービームを用いて前記静電潜像担持体表面に静電潜像を形成するマルチビーム露光を行う露光器とを有し、かつ300mm/sec以上のシステム線速で動作する画像形成装置を用いて行われると共に、前記静電潜像担持体が、支持体と、該支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層とをこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にCuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、かつ該回折ピークの半値巾が1゜以上であり、一次粒子の平均粒子径が0.1μm以下である不定形乃至低結晶性チタニルフタロシアニン結晶を水の存在下で有機溶媒を使用して結晶変換を行い、結晶変換後の一次粒子の平均粒子径が0.25μm以下の状態で、濾過することにより得られる結晶変換後のチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有さず、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均粒子径が0.25μm以下であることを特徴とする画像形成方法である。
本発明によると、従来における諸問題を解決でき、複数のレーザービームを用いて感光体表面に静電潜像を形成するためのマルチビーム露光を行うことで600dpi以上の書き込みを行うことにより静電潜像を形成する画像形成装置において、特定結晶型で特定粒子径のチタニルフタロシアニン結晶を含有する感光体を使用し、システム線速が300mm/sec以上で動作させることにより、露光条件の違いによって引き起こされる細線画像、ドット画像の濃度、太さ、シャープさバラツキが押さえられ、良好なハーフトーン画像、カラー画像の再現性の良い、高精細で安定な高速画像出力が可能な画像形成装置が提供できる。
(画像形成装置及び画像形成方法)
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、クリーニング手段、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
本発明の画像形成方法は、静電潜像形成工程と、現像工程と、転写工程と、定着工程とを少なくとも含んでなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の工程、例えば、クリーニング工程、除電工程、リサイクル工程、制御工程等を含んでなる。
本発明の画像形成方法は、本発明の画像形成装置により好適に実施することができ、前記静電潜像形成工程は前記静電潜像形成手段により行うことができ、前記現像工程は前記現像手段により行うことができ、前記転写工程は前記転写手段により行うことができ、前記定着工程は前記定着手段により行うことができ、前記その他の工程は前記その他の手段により行うことができる。
本発明の画像形成装置は、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有し、前記静電潜像形成手段が、少なくとも帯電器と、複数のレーザービームを用いて前記静電潜像担持体表面に静電潜像を形成するマルチビーム露光を行う露光器とを有し、かつ前記画像形成装置が、300mm/sec以上のシステム線速で動作する。
−静電潜像担持体−
前記静電潜像担持体としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、支持体と、該支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有さず、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均粒子径が0.25μm以下である。
前記支持体としては、導電性を有する導電性支持体が好ましい。
前記チタニルフタロシアニン結晶の結晶型としては、例えば特開2001−19871号公報などに記載されているが、このようなチタニルフタロシアニン結晶を用いることで、高感度を失うことなく繰り返し使用によっても帯電性の低下を生じない安定な電子写真感光体を得ることができる。
前記チタニルフタロシアニン結晶の合成方法としては、例えば、特開平6−293769号公報に記載されているように、ハロゲン化チタンを原料に用いない方法が良好に用いられるものである。この方法の最大のメリットは、合成されたチタニルフタロシアニン結晶がハロゲン化フリーであることである。チタニルフタロシアニン結晶は不純物としてのハロゲン化チタニルフタロシアニン結晶を含むと、これを用いた感光体の静電特性において光感度の低下や、帯電性の低下といった悪影響を及ぼす場合が多い(Japan Hardcopy ’89論文集 p.103 1989年参照)。
本発明においても、特開2001−19871号公報に記載されているようなハロゲン化フリーチタニルフタロシアニン結晶をメインに対象にしているものであり、これらの材料が有効に使用される。
前記ハロゲン化フリーのチタニルフタロシアニンを合成するためには、チタニルフタロシアニン合成の際の原材料に、ハロゲン化された材料を使用しないことである。具体的には、以下の方法が用いられる。
ここで、まず、前記特定の結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶の合成方法について説明する。
初めにチタニルフタロシアニン結晶の合成粗品の合成法について説明する。フタロシアニン類の合成方法は古くから知られており、例えば、特開平6−293769号公報、Moser等による「Phthalocyanine Compounds」(1963年)、「The Phthalocyanines」(1983年)、等に記載されている。
例えば、第1の方法として、無水フタル酸類、金属あるいはハロゲン化金属及び尿素の混合物を高沸点溶媒の存在下あるいは不存在下において加熱する方法である。この場合、必要に応じてモリブデン酸アンモニウム等の触媒が併用される。
第2の方法としては、フタロニトリル類とハロゲン化金属を高沸点溶媒の存在下あるいは不存在下において加熱する方法である。この方法は、第1の方法で製造できないフタロシアニン類、例えば、アルミニウムフタロシアニン類、インジウムフタロシアニン類、オキソバナジウムフタロシアニン類、オキソチタニウムフタロシアニン類、ジルコニウムフタロシアニン類等に用いられる。
第3の方法は、無水フタル酸あるいはフタロニトリル類とアンモニアとを先ず反応させて、例えば1,3−ジイミノイソインドリン類等の中間体を製造し、次いでハロゲン化金属と高沸点溶媒中で反応させる方法である。
第4の方法は、尿素等存在下で、フタロニトリル類と金属アルコキシドを反応させる方法である。
これらの中でも、前記第4の方法はベンゼン環への塩素化(ハロゲン化)が起こらず、電子写真用材料の合成法としては、極めて有用な方法であり、本発明においては極めて有効に使用される。
次に、不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)の調製法について述べる。この方法は、フタロシアニン類を硫酸に溶解した後、水で希釈し、再析出させる方法であり、アシッドペースト法あるいはアシッドスラリー法と呼ばれるものが使用できる。
具体的な方法としては、上記の合成粗品を10〜50倍量の濃硫酸に溶解し、必要に応じて不溶物を濾過等により除去し、これを硫酸の10〜50倍量の充分に冷却した水もしくは氷水にゆっくりと投入し、チタニルフタロシアニンを再析出させる。析出したチタニルフタロシアニンを濾過した後、イオン交換水で洗浄及び濾過を行い、濾液が中性になるまで充分にこの操作を繰り返す。最終的に、綺麗なイオン交換水で洗浄した後、濾過を行い、固形分濃度で5〜15質量%程度の水ペーストを得る。
この際、析出したチタニルフタロシアニンをイオン交換水で十分に洗浄し、可能な限り濃硫酸を残さないことが重要である。具体的には、洗浄後のイオン交換水が以下のような物性値を示すことが好ましい。即ち、硫酸の残存量を定量的に表わせば、洗浄後のイオン交換水のpHや比伝導度で表わすことができる。
pHで表わす場合には、pHが6〜8の範囲であることが好ましい。この範囲であることにより、感光体特性に影響を与えない硫酸残存量であると判断できる。このpH値は市販のpHメーターで簡便的に測定することができる。
また比伝導度で表わせば、8μS/cm以下が好ましく、5μS/cm以下がより好ましく、3μS/cm以下が特に好ましい。比伝導度が8μS/cm以下であれば、感光体特性に影響を与えない硫酸残存量であると判断できる。この比伝導度は市販の電気伝導率計で測定することが可能である。比伝導度の下限値は、洗浄に使用した後のイオン交換水の比伝導度ということになる。いずれの測定においても、上記範囲を逸脱する範囲では、硫酸の残存量が多く、感光体の帯電性が低下したり、光感度が悪化したりする場合がある。
このように作製したものが本発明に用いる不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)である。この際、この不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)が、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有するものであることが好ましい。特に、その回折ピークの半値巾が1゜以上であることがより好ましい。更に、一次粒子の平均粒子径が0.1μm以下であることが好ましい。
次に、結晶変換方法について説明する。
結晶変換は、前記不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)を、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ、前記7.3°のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、かつ26.3゜にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶に変換する工程である。
具体的な方法としては、前記不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)を乾燥せずに、水の存在下で有機溶媒と共に混合及び撹拌することにより、前記結晶型を得るものである。
この際、使用される有機溶媒は、所望の結晶型を得られるものであれば、いかなる有機溶媒も使用できるが、特にテトラヒドロフラン、トルエン、塩化メチレン、二硫化炭素、オルトジクロロベンゼン、1,1,2−トリクロロエタンの中から選ばれる1種を選択すると、良好な結果が得られる。これら有機溶媒は単独で用いることが好ましいが、これらの有機溶媒を2種以上混合する、あるいは他の溶媒と混合して用いることも可能である。結晶変換に使用される前記有機溶媒の量は、不定形乃至低結晶性チタニルフタロシアニンの質量の10倍以上、好ましくは30倍以上の質量であることが好ましい。これは、結晶変換を素早く十分に起こさせると共に、不定形乃至低結晶性チタニルフタロシアニンに含まれる不純物を十分に取り除く効果が発現されるからである。なお、ここで使用する不定形乃至低結晶性チタニルフタロシアニンは、アシッドペースト法により作製するものであるが、上述のように硫酸を十分に洗浄したものを使用することが好ましい。硫酸が残存するような条件で結晶変換を行うと、結晶粒子中に硫酸イオンが残存し、でき上がった結晶を水洗処理のような操作をしても完全には取り除くことができない。硫酸イオンが残存した場合には、感光体の感度低下、帯電性低下を引き起こすなど、好ましい結果を得られない。例えば、特開平8−110649号公報には、硫酸に溶解したチタニルフタロシアニンをイオン交換水と共に有機溶媒に投入し結晶変換を行う方法が記載されている。この際、本発明で得られるチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルに類似した結晶を得ることができるが、チタニルフタロシアニン中の硫酸イオン濃度が高く、光減衰特性(光感度)が悪いものであるため、本発明のチタニルフタロシアニンの製造方法としては良好なものではない。
以上の結晶変換方法は特開2001−19871号公報に準じた結晶変換方法である。一方、本発明の電子写真装置に用いる感光体に含有される電荷発生物質においては、チタニルフタロシアニン結晶の粒子径をより細かく(0.25μm以下)することにより、その効果が達成されるものである。以下には、チタニルフタロシアニン粒子径を合成段階より小さく合成する手法について記載する。
チタニルフタロシアニン結晶の粒子径をより細かくするため、前述の不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)は、一次粒径が0.1μm以下(そのほとんどが0.01〜0.05μm程度)であるが(図6参照)、結晶変換に際しては、結晶成長と共に結晶が変換されることが分かった。通常、この種の結晶変換においては、原料の残存をおそれて充分な結晶変換時間を確保し、結晶変換が十二分に行われた後に、濾過を行い、所望の結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶を得るものである。このため、原料として充分に小さな一次粒子を有する原料を用いているにもかかわらず、結晶変換後の結晶としては一次粒子の大きな結晶(概ね0.3〜0.5μm)を得ているものである(図7参照)。なお、図6及び図7中のスケールバーは、いずれも0.2μmである。
図7に示されるように作製されたチタニルフタロシアニン結晶を分散するにあたっては、分散後の粒子径を小さなもの(0.25μm以下)にするため、強いシェアを与えることで分散を行い、更には必要に応じて一次粒子を粉砕する強いエネルギーを与えて分散を行っている。この結果、前述の如き、粒子の一部が所望の結晶型でない結晶型へと転移してしまう可能性を有しているものである。
この点に関して、合成段階からチタニルフタロシアニン結晶の一次粒子径をコントロールすることにより、小さい径の結晶を得ることにより、この問題を解決する方法が可能であり、本発明には有効に使用される。具体的には、結晶変換に際して結晶成長がほとんど起こらない範囲(図6に観察される不定形チタニルフタロシアニン粒子の径が、結晶変換後において遜色ない小ささ、概ね0.25μm以下に保たれる範囲)で、結晶変換が完了した時点を見極めることで、可能な限り一次粒子径の小さなチタニルフタロシアニン結晶を得ようというものである。結晶変換後の粒子径は、結晶変換時間に比例して大きくなる。このため前述のように、結晶変換の効率を高くし、短時間で完了させることが重要である。このためには、いくつかの重要なポイントが挙げられる。
図8は、短時間で結晶変換を行ったチタニルフタロシアニン結晶のTEM像である。図8中のスケールバーは、0.2μmである。
1つは、結晶変換溶媒を前述のように適正なものを選択し、結晶変換効率を高めること。もう1つは、結晶変換を短時間に完了させるために、溶媒とチタニルフタロシアニン水ペースト(前述の如く作製した原料:不定形チタニルフタロシアニン)を充分に接触させるために強い撹拌を用いるものである。具体的には、撹拌力の非常に強いプロペラを用いた撹拌、ホモジナイザー(ホモミキサー)のような強烈な撹拌(分散)手段を用いるなどの手法により、短時間での結晶変換を実現させるものである。これらの条件により、原料が残存することなく、結晶変換が充分に行われ、かつ結晶成長が起こらない状態のチタニルフタロシアニン結晶を得ることができる。
この際、結晶変換に使用する有機溶媒量を適正化することが好ましい。具体的には、不定形乃至低結晶性チタニルフタロシアニンの固形分に対して、10倍以上、好ましくは30倍以上の有機溶媒を使用することが好ましい。これにより、短時間での結晶変換を確実なものとするとともに、不定形乃至低結晶性チタニルフタロシアニン中に含まれる不純物を確実に取り除くことができる。
また、上述のように結晶粒子径と結晶変換時間は比例関係にあるため、所定の反応(結晶変換)が完了したら、反応を直ちに停止させる方法も有効な手段である。上述のように結晶変換を行った後、直ちに結晶変換の起こりにくい溶媒を大量に添加することが前記手段として挙げられる。結晶変換の起こりにくい溶媒としては、アルコール系、エステル系などの溶媒が挙げられる。これらの溶媒を結晶変換溶媒に対して、10倍程度加えることにより、結晶変換を停止することができる。
このようにして作製される一次粒子径は、細かいほど感光体の課題に対しては良好な結果を示すものであるが、顔料作製にかかる次工程(顔料の濾過工程)、分散液での分散安定性を考慮すると、あまり小さすぎても副作用がでる場合がある。即ち、一次粒子が非常に細かい場合には、これを濾過する工程において濾過時間が非常に長くなってしまうという問題が発生する。また、一次粒子が細かすぎる場合には、分散液中での顔料粒子の表面積が大きくなるため、粒子の再凝集の可能性が高くなる。したがって、適切な顔料粒子の粒子径は、およそ0.05μm〜0.2μm程度の範囲である。
図8には、短時間で結晶変換を行った場合のチタニルフタロシアニン結晶のTEM像を示す。図7の場合とは異なり、粒子径が小さくほぼ均一であり、図7に観察されるような粗大粒子は全く認められない。
図8に示されるように一次粒子が小さい状態で作製されたチタニルフタロシアニン結晶を分散するにあたっては、分散後の粒子径を小さなもの(0.25μm以下、より好ましくは0.2μm以下)にするためには、一次粒子が凝集(集合)して集まって形成する2次粒子をほぐすだけのシェアを与えることで分散が可能である。この結果、必要以上のエネルギーを与えないため、前述の如き、粒子の一部が所望の結晶型でない結晶型へと転移し易い結果は生み出さずに、粒度分布の細かい分散液を容易に作製することが可能である。
ここでいう平均粒子径とは、体積平均粒径であり、超遠心式自動粒度分布測定装置:CAPA−700(堀場製作所製)により求めたものである。この際、累積分布の50%に相当する粒子径(Median系)として算出されたものである。しかしながら、この方法では微量の粗大粒子を検出できない場合があるため、より詳細に求めるには、チタニルフタロシアニン結晶粉末、あるいは分散液を直接、電子顕微鏡にて観察し、その大きさを求めることが重要である。
分散液の更なる観察により、微小欠陥に関して検討した結果、上記現象は次のように理解された。通常、平均粒子径を測定するような方法においては、極端に大きな粒子が数%以上も存在するような場合には、その存在が検出できるものであるが、全体の1%以下程度のような微量になってくると、その測定は検出限界以下になってしまうものである。その結果として、平均粒子径の測定だけでは粗大粒子の存在が検出されずに、上述のような微小欠陥に関する解釈を困難にしていた。
図9及び図10に、分散条件を固定して分散時間だけを変更した2種類の分散液の状態を観察した写真を示す。同一条件における分散時間の短い分散液の写真を図9に示すが、分散時間の長い図10と比較して、粗大粒子が残っている様子が観測される。図9中の黒い粒が粗大粒子である。
この2種類の分散液の平均粒径並びに粒度分布を公知の方法に従って、市販の粒度分布測定装置(堀場製作所製:超遠心式自動粒度分布測定装置、CAPA700)により測定した。その結果を図11に示す。図11における「A」が図9に示す分散液に対応し、「B」が図10に示す分散液に対応する。両者を比較すると、粒度分布に関してはほとんど差が認められない。また、両者の平均粒径値は、「A」が0.29μm、「B」が0.28μmと求められ、測定誤差を加味した上では、両者に全くの差異が認められない。
したがって、公知の平均粒径(粒子径)の規定だけでは、微量な粗大粒子の残存を検出できずに、昨今の高解像度のネガ及びポジ現像には対応できていないことが理解される。この微量な粗大粒子の存在は、塗工液を顕微鏡レベルで観察することにより、初めて認識できたものである。
このような事実に対して、結晶変換時に作製される一次粒子をできる限り小さいものを作製することは有効な手段である。このために、結晶変換溶媒を前述のように適正なものを選択し、結晶変換効率を高めつつ、結晶変換を短時間に完了させるために、溶媒とチタニルフタロシアニン水ペースト(前述の如き作製した原料)を充分に接触させるために強い撹拌を用いるような手法は有効であることがわかる。
このような結晶変換方法を採用することにより、一次粒子径の小さな(0.25μm以下、より好ましくは0.2μm以下)チタニルフタロシアニン結晶を得ることができる。特開2001−19871号公報に記載された技術に加えて、必要に応じて上述のような技術(微細なチタニルフタロシアニン結晶を得るための結晶変換方法)を併用することは、本発明において重要な手段である。
続いて、結晶変換されたチタニルフタロシアニン結晶は直ちに濾過されることにより、結晶変換溶媒と分別される。この濾過に際しては、適当な粒子径のフィルターを用いることにより行われる。この際、減圧濾過を用いることが最も適当である。
その後、分別されたチタニルフタロシアニン結晶は、必要に応じて加熱乾燥される。加熱乾燥に使用する乾燥機は、公知のものがいずれも使用可能であるが、大気下で行う場合には送風型の乾燥機が好ましい。更に、乾燥速度を早め、本発明の効果をより顕著に発現させるために減圧下の乾燥も非常に有効な手段である。特に、高温で分解する、あるいは結晶型が変化するような材料に対しては有効な手段である。特に10mmHgよりも真空度が高い状態で乾燥することが有効である。
このように得られた特定の結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶は、電子写真感光体用電荷発生物質として極めて有用である。しかしながら、先述のように結晶型が不安定であり、分散液を作製する際に結晶型が転移し易いという欠点を有しているものであった。しかしながら、本発明のように一次粒子を限りなく小さなものに合成することにより、分散液作製時に過剰なシェアを与えることなく、平均粒径の小さな分散液を作製することができ、結晶型も極めて安定に(合成した結晶型を変えることなく)作製することができるものである。
次に、分散液の作製方法について説明する。
分散液の作製に関しては一般的な方法が用いられ、前記チタニルフタロシアニン結晶を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル、超音波などを用いて分散することで得られるものである。この際、バインダー樹脂は感光体の静電特性などにより、また溶媒は顔料へのぬれ性、顔料の分散性などにより選択すればよい。
既に述べたように、CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶は、熱エネルギー及び機械的シェア等のストレスにより他の結晶型に容易に結晶転移をすることが知られている。本発明で用いるチタニルフタロシアニン結晶もこの傾向は変わらない。即ち、微細な粒子を含む分散液を作製するためには、分散方法の工夫も必要であるが、結晶型の安定性と微粒子化はトレードオフの関係になりがちである。分散条件を最適化することによりこれを回避する方法はあるが、いずれも製造条件を極めて狭くしてしまうものであり、より簡便な方法が望まれている。この問題を解決するために、以下のような方法も有効な手段である。
即ち、結晶転移が起こらない範囲で、できる限り粒子を微細にした分散液を作製後、適当なフィルターで濾過してしまう方法である。この方法では、残存する目視では観察できない(あるいは粒径測定では検出できない)微量な粗大粒子をも取り除くことができ、また粒度分布を揃えるという点からも非常に有効な手段である。具体的には、上述のように作製した分散液を有効孔径が3μm以下のフィルター、より好ましくは1μm以下のフィルターにて濾過する操作を行い、分散液を完成させるというものである。この方法によっても、粒子径の小さな(0.25μm以下、より好ましくは0.2μm以下)チタニルフタロシアニン結晶のみを含む分散液を作製することができ、これを用いた感光体を画像形成装置に搭載使用することにより、本発明の効果をより一層顕著にするものである。
分散液を濾過するフィルターに関しては、除去したい粗大粒子の粒子径によって異なるものである。600dpi程度の解像度を必要とする電子写真装置で使用される感光体としては、最低でも3μm以上の粗大粒子の存在は画像に対して影響を及ぼす。したがって、有効孔径が3μm未満のフィルターを使用すべきである。より好ましくは1μm以下の有効孔径を有するフィルターを使用することである。このようなフィルタリング処理を行うことにより、不必要な粗大粒子も取り除くことが可能であり、粒度分布が狭く、かつ粗大粒子の含まない分散液を作製することが可能になる。
この有効孔径に関しては、細かいほど粗大粒子の除去に効果があるものであるが、あまり細かすぎると、必要な顔料粒子そのものも濾過されてしまうため、適切な粒子径が存在する。また、細かすぎた場合には、濾過に時間がかかる、フィルターが目詰まりを起こす、ポンプ等を使用して送液する場合には負荷がかかりすぎる等の問題を生じる。なお、ここで使用されるフィルターの材質は、当然のことながら濾過する分散液に使用される溶媒に対して耐性のあるものが使用される。
濾過に際しては、濾過される分散液中の粗大粒子量があまりにも多い場合、取り除かれる顔料が多くなり、濾過後の分散液の固形分濃度が変化したりして好ましくない。従って、濾過を行う際には適切な粒度分布(粒子径、標準偏差)が存在する。本発明のように、濾過による顔料のロス、フィルターの目詰まり等がなく、効率よく濾過を行うためには、濾過前の分散液の体積平均粒径が0.25μm以下で、その標準偏差が0.2μm以下に分散しておくことが好ましい。
このような分散液の濾過操作を加えることによっても、粗大粒子を取り除くことが可能になり、ひいては分散液を使用した感光体で発生する地汚れを低減化することができる。上述のように、より細かいフィルターを使用するほど、その効果は大きなもの(確実なもの)になるが、顔料粒子そのものが濾過されてしまう場合が存在してしまう。このような場合には、先に述べたチタニルフタロシアニン一次粒子を微細化合成する技術と併用することは、非常に大きな効果を発するものである。
即ち、(i)微細化チタニルフタロシアニンを合成し、これを使用することにより、分散時間の短縮化及び分散ストレスの低減化が図れ、分散における結晶転移の可能性が小さくなる。(ii)分散によって残存する粗大粒子径が、微細化しない場合よりも小さいため、より小さなフィルターを使用することが可能になり、粗大粒子の除去効果がより確実なものとなる。また、除去されるチタニルフタロシアニン粒子量が低減し、濾過前後における分散液組成の変化が少なく、安定した製造が可能になる。(iii)その結果、製造される感光体は安定して地汚れ耐性の高い感光体が製造されることになる。
次に、本発明に用いられる電子写真感光体について、図面を用いて詳しく説明する。
図12は、本発明に用いられる電子写真感光体の一の構成例を示す断面図である。支持体(31)上に、前記特定粒子径で特定結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶(電荷発生材料)を主成分とする電荷発生層(35)と、電荷輸送材料を主成分とする電荷輸送層(37)とが、積層された構成をとっている。
また、図13は、本発明に用いられる電子写真感光体の別の構成例を示す断面図であり、支持体(31)上に、前記特定粒子径で特定結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶(電荷発生材料)を主成分とする電荷発生層(35)と、電荷輸送材料を主成分とする電荷輸送層(37)とが積層され、更に電荷輸送層上に、保護層(39)を設けた構成をとっている。
前記支持体(31)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも支持体(31)として用いることができる。
また、これらの中でも陽極酸化皮膜処理を簡便に行うことのできるアルミニウムからなる円筒状支持体が最も良好に使用できる。ここでいうアルミニウムとは、純アルミニウム系あるいはアルミニウム合金のいずれをも含むものである。具体的には、JIS 1000番台、3000番台、6000番台のアルミニウムあるいはアルミニウム合金が最も適している。
前記陽極酸化皮膜は各種金属、各種合金を電解質溶液中において陽極酸化処理したものであるが、中でもアルミニウムもしくはアルミニウム合金を電解質溶液中で陽極酸化処理を行ったアルマイトと呼ばれる被膜が本発明に用いる感光体には最も適している。特に、反転現像(ネガ及びポジ現像)に用いた際に発生する点欠陥(黒ポチ、地汚れ)を防止する点で優れている。
前記陽極酸化処理は、クロム酸、硫酸、蓚酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸などの酸性浴中において行われる。このうち、硫酸浴による処理が最も適している。一例を挙げると、硫酸濃度:10〜20%、浴温:5〜25℃、電流密度:1〜4A/dm、電解電圧:5〜30V、処理時間:5〜60分程度の範囲で処理が行われるが、これに限定するものではない。このように作製される陽極酸化皮膜は、多孔質であり、また絶縁性が高いため、表面が非常に不安定な状況である。このため、作製後の経時変化が存在し、陽極酸化皮膜の物性値が変化しやすい。これを回避するため、陽極酸化皮膜を更に封孔処理することが好ましい。封孔処理には、フッ化ニッケルや酢酸ニッケルを含有する水溶液に陽極酸化皮膜を浸漬する方法、陽極酸化皮膜を沸騰水に浸漬する方法、加圧水蒸気により処理する方法などがある。このうち、酢酸ニッケルを含有する水溶液に浸漬する方法が最も好ましい。封孔処理に引き続き、陽極酸化皮膜の洗浄処理が行われる。これは、封孔処理により付着した金属塩等の過剰なものを除去することが主な目的である。これが支持体(陽極酸化皮膜)表面に過剰に残存すると、この上に形成する塗膜の品質に悪影響を与えるだけでなく、一般的に低抵抗成分が残ってしまうため、逆に地汚れの発生原因にもなってしまう。洗浄は純水1回の洗浄でも構わないが、通常は多段階の洗浄を行う。この際、最終の洗浄液が可能な限りきれい(脱イオンされた)ものであることが好ましい。また、多段階の洗浄工程のうち1工程に接触部材による物理的なこすり洗浄を施すことが好ましい。以上のようにして形成される陽極酸化皮膜の膜厚は、5〜15μm程度が好ましい。これより薄すぎる場合には陽極酸化皮膜としてのバリア性の効果が充分でなく、これより厚すぎる場合には電極としての時定数が大きくなりすぎて、残留電位の発生や感光体のレスポンスが低下する場合がある。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の支持体(31)として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
更に、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフロロエチレン系フッ素樹脂などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の支持体(31)として良好に用いることができる。
次に、感光層について説明する。前記感光層は前述のように、電荷発生層(35)と電荷輸送層(37)で構成される積層型が感度、耐久性において優れた特性を示し、良好に使用される。
電荷発生層(35)は、電荷発生物質として、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ、前記7.3°のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、更に26.3゜にピークを有さず、結晶合成時もしくは分散濾過処理により、一次粒子の平均粒子径が0.25μm以下(好ましくは0.2μm以下)のチタニルフタロシアニン結晶を主成分とする層である。
電荷発生層(35)は、前記顔料を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
必要に応じて電荷発生層(35)に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
前記結着樹脂の添加量は、電荷発生物質100質量部に対し0〜500質量部が好ましく、10〜300質量部がより好ましい。
ここで用いられる溶剤としては、例えばイソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられる。塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。
前記電荷発生層35の膜厚は、0.01〜5μm程度が好ましく、0.1〜2μmがより好ましい。
前記電荷輸送層(37)は、電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
前記電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
前記電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記正孔輸送物質としては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール又はその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート又はその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物又はその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げられる。これらは1種単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
前記結着樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート樹脂、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂が挙げられる。
前記電荷輸送物質の添加量は、前記結着樹脂100質量部に対し、20〜300質量部が好ましく、40〜150質量部がより好ましい。また、前記電荷輸送層の膜厚は5〜100μm程度とすることが好ましい。
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。中でも、環境への負荷低減等の意図から、非ハロゲン系溶媒の使用は好ましいものである。具体的には、テトラヒドロフランやジオキソラン、ジオキサン等の環状エーテルやトルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、及びそれらの誘導体が良好に用いられる。
また、前記電荷輸送層には電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂の機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これら高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は耐摩耗性に優れたものである。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖及び側鎖の少なくともいずれかを含むポリカーボネート樹脂が良好に用いられる。これらの中でも、下記構造式(I)〜(X)式で表わされる高分子電荷輸送物質が良好に用いられ、これらを以下に例示し、具体例を示す。
<構造式(I)>
ただし、式中、R、R、Rはそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、Rは水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R、Rは置換もしくは無置換のアリール基、o、p、qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k、jは組成を表し、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表し5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、又は下記構造式で表される2価基を表す。なお、構造式(I)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
ただし、式中、R101、102は、各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表す。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表す。)又は、
(aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換又は無置換のアルキル基又はアリール基を表す)を表す。ここで、R101とR102、R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。)
<構造式(II)>
ただし、式中、R、Rは、置換もしくは無置換のアリール基を表す。Ar,Ar,Arは、同一又は異なるアリーレン基を表す。X,k,j及びnは、構造式(I)の場合と同じである。なお、構造式(II)は、2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
<構造式(III)>
ただし、式中、R、R10は、置換もしくは無置換のアリール基、Ar,Ar,Arは同一又は異なるアリーレン基を表す。X,k,j及びnは、構造式(I)の場合と同じである。なお、構造式(III)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
<構造式(IV)>
ただし、式中、R11、R12は、置換もしくは無置換のアリール基、Ar、Ar8、Ar9は、同一又は異なるアリーレン基、pは1〜5の整数を表す。X,k,j及びnは、構造式(I)の場合と同じである。なお、構造式(IV)は、2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
<構造式(V)>
ただし、式中、R13、R14は、置換もしくは無置換のアリール基を表す。Ar10,Ar11,Ar12は、同一又は異なるアリーレン基を表す。X,Xは、置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表す。X,k,j及びnは、構造式(I)の場合と同じである。なお、構造式(V)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
<構造式(VI)>
ただし、式中、R15,R16,R17,R18は、置換もしくは無置換のアリール基、Ar13,Ar14,Ar15,Ar16は、同一又は異なるアリーレン基、Y,Y,Yは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表し同一であっても異なってもよい。X,k,j及びnは、構造式(V)の場合と同じである。なお、構造式(I)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
<構造式(VII)>
ただし、式中、R19,R20は、水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表し,R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17,Ar18,Ar19は同一又は異なるアリーレン基を表す。X,k,j及びnは、構造式(I)の場合と同じである。なお、構造式(VII)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
<構造式(VIII)>
ただし、式中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、Ar20,Ar21,Ar22,Ar23は、同一又は異なるアリーレン基を表す。X,k,j及びnは、構造式(I)の場合と同じである。なお、構造式(VIII)は、2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
<構造式(IX)>
ただし、式中、R22,R23,R24,R25は、置換もしくは無置換のアリール基、Ar24,Ar25,Ar26,Ar27,Ar28は、同一又は異なるアリーレン基を表す。X,k,j及びnは、構造式(I)の場合と同じである。なお、構造式(IX)は、2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
<構造式(X)>
ただし、式中、R26,R27は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29,Ar30,Ar31は同一又は異なるアリーレン基を表す。X,k,j及びnは、構造式(I)の場合と同じである。なお、構造式(X)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
また、電荷輸送層に使用される高分子電荷輸送物質として、上述の高分子電荷輸送物質の他に、電荷輸送層の成膜時には電子供与性基を有するモノマーあるいはオリゴマーの状態で、成膜後に硬化反応あるいは架橋反応をさせることで、最終的に2次元あるいは3次元の架橋構造を有する重合体も含むものである。
これら電子供与性基を有する重合体から構成される電荷輸送層、あるいは架橋構造を有する重合体は耐摩耗性に優れたものである。通常、電子写真プロセスにおいては、帯電電位(未露光部電位)は一定であるため、繰り返し使用により感光体の表面層が摩耗すると、その分だけ感光体にかかる電界強度が高くなってしまう。この電界強度の上昇に伴い、地汚れの発生頻度が高くなるため、感光体の耐摩耗性が高いことは、地汚れに対して有利である。これら電子供与性基を有する重合体から構成される電荷輸送層は、自身が高分子化合物であるため成膜性に優れ、低分子分散型高分子からなる電荷輸送層に比べ、電荷輸送部位を高密度に構成することが可能で電荷輸送能に優れたものである。このため、高分子電荷輸送物質を用いた電荷輸送層を有する感光体には高速応答性が期待できる。
その他の電子供与性基を有する重合体としては、公知単量体の共重合体や、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマーや、また、例えば、特開平3−109460号公報、特開2000−206723号公報、及び特開2001−34001号公報等に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体などを用いることも可能である。
本発明において電荷輸送層(37)中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂に対して0〜30質量%程度が適当である。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいは、オリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂に対して、0〜1質量%が適当である。
本発明の電子写真感光体には、支持体(31)と感光層との間に中間層を設けることができる。中間層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶媒で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが好ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、中間層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの中間層は前述の感光層の如く適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の中間層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の中間層には、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。中間層の膜厚は0〜5μmが適当である。
本発明の電子写真感光体には、感光層保護の目的で、保護層が感光層の上に設けられることもある。近年、日常的にコンピュータの使用が行われるようになり、プリンターによる高速出力とともに、装置の小型も望まれている。したがって、保護層を設け、耐久性を向上させることによって、本発明の高感度で異常欠陥のない感光体を有用に用いることができる。
本発明の感光体においては、感光層保護の目的で、保護層(39)が感光層の上に設けられることもある。保護層(39)に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネート樹脂又はポリアリレートが最も良好に使用できる。
前記保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、シリカ等の無機フィラー(無機顔料)、また有機フィラー(有機顔料)を分散したもの等を添加することができる。
また、感光体の保護層に用いられるフィラー材料のうち有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。特に、フィラーの硬度の点からは、この中でも無機材料を用いることが有利である。特に、シリカ、酸化チタン、アルミナが有効に使用できる。
前記保護層中のフィラー濃度は使用するフィラー種により、また感光体を使用する電子写真プロセス条件によっても異なるが、保護層の最表層側において全固形分に対するフィラーの比で5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましい。また、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
また、使用するフィラーの体積平均粒径は、0.1μm〜2μmの範囲が良好に使用され、好ましくは0.3μm〜1μmの範囲である。この場合、平均粒径が小さすぎると耐摩耗性が充分に発揮されず、大きすぎると塗膜の表面性が悪くなったり、塗膜そのものが形成できなかったりするからである。
なお、本発明におけるフィラーの平均粒径とは、特別な記載のない限り体積平均粒径であり、超遠心式自動粒度分布測定装置:CAPA−700(堀場製作所製)により求めたものである。この際、累積分布の50%に相当する粒子径(Median系)として算出されたものである。また、同時に測定される各々の粒子の標準偏差が1μm以下であることが重要である。これ以上の標準偏差の値である場合には、粒度分布が広すぎて、本発明の効果が顕著に得られなくなってしまう場合がある。
また、本発明で使用するフィラーのpHも解像度やフィラーの分散性に大きく影響する。その理由の一つとしては、フィラー、特に金属酸化物は製造時に塩酸等が残存することが考えられる。その残存量が多い場合には、画像ボケの発生は避けられず、またそれは残存量によってはフィラーの分散性にも影響を及ぼす場合がある。
もう一つの理由としては、フィラー、特に金属酸化物の表面における帯電性の違いによるものである。通常、液体中に分散している粒子はプラスあるいはマイナスに帯電しており、それを電気的に中性に保とうとして反対の電荷を持つイオンが集まり、そこで電気二重層が形成されることによって粒子の分散状態は安定化している。粒子から遠ざかるに従いその電位(ゼータ電位)は徐々に低くなり、粒子から充分に離れて電気的に中性である領域の電位はゼロとなる。したがって、ゼータ電位の絶対値の増加によって粒子の反発力が高くなることによって安定性は高くなり、ゼロに近づくに従い凝集しやすく不安定になる。一方、系のpH値によってゼータ電位は大きく変動し、あるpH値において電位はゼロとなり等電点を持つことになる。したがって、系の等電点からできるだけ遠ざけて、ゼータ電位の絶対値を高めることによって分散系の安定化が図られることになる。
本発明の構成においては、フィラーとしては前述の等電点におけるpHが、少なくとも5以上を示すものが画像ボケ抑制の点から好ましく、より塩基性を示すフィラーであるほどその効果が高くなる傾向があることが確認された。等電点におけるpHが高い塩基性を示すフィラーは、系が酸性であったほうがゼータ電位はより高くなることにより、分散性及びその安定性は向上することになる。
ここで、本発明におけるフィラーのpHは、ゼータ電位から等電点におけるpH値を記載した。この際、ゼータ電位の測定は、大塚電子株式会社製レーザーゼータ電位計にて測定した。
更に、画像ボケが発生しにくいフィラーとしては、電気絶縁性が高いフィラー(比抵抗が1010Ω・cm以上)が好ましく、フィラーのpHが5以上を示すものやフィラーの誘電率が5以上を示すものが特に有効に使用できる。また、pHが5以上のフィラーあるいは誘電率が5以上のフィラーを単独で使用することはもちろん、pHが5以下のフィラーとpHが5以上のフィラーとを2種類以上を混合したり、誘電率が5以下のフィラーと誘電率が5以上のフィラーとを2種類以上混合したりして用いることも可能である。また、これらのフィラーの中でも高い絶縁性を有し、熱安定性が高い上に、耐摩耗性が高い六方細密構造であるα型アルミナは、画像ボケの抑制や耐摩耗性の向上の点から特に有用である。
本発明において使用するフィラーの比抵抗は以下のように定義される。フィラーのような粉体は、充填率によりその比抵抗値が異なるので、一定の条件下で測定する必要がある。本発明においては、特開平5−113688号公報(図1)に示された測定装置と同様の構成の装置を用いて、フィラーの比抵抗値を測定し、この値を用いた。測定装置において、電極面積は4.0cmである。測定前に片側の電極に4kgの荷重を1分間かけ、電極間距離が4mmになるように試料量を調節する。測定の際は、上部電極の質量(1kg)の荷重状態で測定を行い、印加電圧は100Vにて測定する。10Ω・cm以上の領域は、HIGH RESISTANCE METER(横河ヒューレットパッカード社製)、それ以下の領域についてはデジタルマルチメーター(フルーク)により測定した。これにより得られた比抵抗値を本発明でいうところの比抵抗値と定義するものである。
前記フィラーの誘電率は以下のように測定した。上述のような比抵抗の測定と同様なセルを用い、荷重をかけた後に、静電容量を測定し、これより誘電率を求めた。静電容量の測定は、誘電体損測定器(安藤電気製)を使用した。
更に、これらのフィラーは少なくとも一種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、そうすることがフィラーの分散性の面から好ましい。フィラーの分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、更には耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤すべてを使用することができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸等、あるいはこれらとシランカップリング剤との混合処理や、Al、TiO、ZrO、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理がフィラーの分散性及び画像ボケの点からより好ましい。シランカップリング剤による処理は、画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。表面処理量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、3〜30質量%が適しており、5〜20質量%がより好ましい。表面処理量がこれよりも少ないとフィラーの分散効果が得られず、また多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こす。これらフィラ−材料は単独もしくは2種類以上混合して用いられる。フィラーの表面処理量に関しては、上述のようにフィラー量に対する使用する表面処理剤の質量比で定義される。
これらフィラー材料は、適当な分散機を用いることにより分散できる。また、保護層の透過率の点から使用するフィラーは一次粒子レベルまで分散され、凝集体が少ないほうが好ましい。
また、保護層(39)には残留電位低減、応答性改良のため、電荷輸送物質を含有しても良い。電荷輸送物質は、電荷輸送層の説明のところに記載した材料を用いることができる。電荷輸送物質として、低分子電荷輸送物質を用いる場合には、保護層中における濃度傾斜を設けても構わない。耐摩耗性向上のため、表面側を低濃度にすることは有効な手段である。ここでいう濃度とは、保護層を構成する全材料の総質量に対する低分子電荷輸送物質の質量の比を表わし、濃度傾斜とは上記質量比において表面側において濃度が低くなるような傾斜を設けることを示す。また、高分子電荷輸送物質を用いることは、感光体の耐久性を高める点で非常に有利である。
前記保護層の形成法としては通常の塗布法が採用される。なお保護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。また、以上のほかに真空薄膜作成法にて形成したa−C、a−SiCなど公知の材料を保護層として用いることができる。
この他、保護層のバインダー樹脂としては電荷輸送層の項で説明した高分子電荷輸送物質も用いることができる。これを用いた場合の効果としては、電荷輸送層の項に記載したことと同様に、耐摩耗性の向上、高速電荷輸送の効果を得ることができる。
また、保護層のバインダー樹脂として、架橋構造からなる保護層も有効に使用される。架橋構造の形成に関しては、1分子内に複数個の架橋性官能基を有する反応性モノマーを使用し、光や熱エネルギーを用いて架橋反応を起こさせ、3次元の網目構造を形成するものである。この網目構造がバインダー樹脂として機能し、高い耐摩耗性を発現するものである。
また、上記反応性モノマーとして、全部もしくは一部に電荷輸送能を有するモノマーを使用することは非常に有効な手段である。このようなモノマーを使用することにより、網目構造中に電荷輸送部位が形成され、保護層としての機能を十分に発現することが可能となる。電荷輸送能を有するモノマーとしては、トリアリールアミン構造を有する反応性モノマーが有効に使用される。
このような網目構造を有する電荷輸送層は、耐摩耗性が高い反面、架橋反応時に体積収縮が大きく、あまり厚膜化するとクラックなどを生じる場合がある。このような場合には、保護層を積層構造として、下層(感光層側)には低分子分散ポリマーの保護層を使用し、上層(表面側)に架橋構造を有する保護層を形成しても良い。
上述したように、感光層(電荷輸送層)に高分子電荷輸送物質を使用したり、あるいは感光体の表面に保護層を設けることは、各々の感光体の耐久性(耐摩耗性)を高めるだけでなく、後述のようなタンデム型フルカラー画像形成装置中で使用される場合には、モノクロ画像形成装置にはない新たな効果をも生み出すものである。
フルカラーの画像の場合、様々な形態の画像が入力されるが、逆に定型的な画像も入力される場合がある。例えば、日本語の文書等における検印の存在などである。検印のようなものは通常、画像領域の端のほうに位置され、また使用される色も限定される。ランダムな画像が常に書き込まれているような状態においては、画像形成要素中の感光体には、平均的に画像書き込み、現像、転写が行われることになるが、上述のように特定の部分に数多くの画像形成が繰り返されたり、特定の画像形成要素ばかり使用された場合には、その耐久性のバランスを欠くことにつながる。このような状態で表面の耐久性(物理的、化学的、機械的)の小さな感光体が使用された場合には、この差が顕著になり、画像上の問題になりやすい。一方、感光体を高耐久化した場合には、このような局所的な変化量が小さく、結果的に画像上の欠陥として現れにくくなるため、高耐久化を実現すると共に、出力画像の安定性をも増すことになり、非常に有効である。
−静電潜像形成手段−
前記静電潜像の形成は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。
前記静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器(感光体表面と帯電器との間に数十μm〜数100μmの空隙を有する近接方式の非接触帯電器を含む)、などが挙げられる。
前記帯電器により、感光体に帯電が行われ、電界強度が印加される。感光体に印加される電界強度は30V/μm以上が好ましく、高いほどマルチビームによる前述の同時露光、順次露光による線画像、ドット画像の不均一性の低減、ドットの画像濃度、シャープさなど再現性は良好になる。しかし感光体の絶縁破壊や現像時のキャリア付着の問題を生み出す可能性があり、上限値は概ね60V/μm以下、より好ましくは50V/μm以下である。
なお、前記電界強度は、下記数式(1)で表される。
<数式(1)>
電界強度(V/μm)=SV/G
ただし、前記数式(1)中、SVは、現像位置における静電潜像担持体の未露光部における表面電位(V)を表す。Gは、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を含む感光層の膜厚(μm)を表す。
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器の種類としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
前記露光器の光源としては、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの高輝度が確保でき、高解像度(600dpi以上の解像度)で書き込むことのできる光源が使用できる。
また、本発明では、半導体レーザー(LD)素子を感光体の副走査方向に複数配列したマルチビーム書き込みヘッドを組み入れた光源が使用される。マルチビーム書き込みヘッドを用いることで、1ビーム書き込みの場合より、より高精細で、高速な画像形成が可能となる。又、本発明で用いられる特定結晶構造のチタニルフタロシアニン顔料含有の感光体と併用することで、前述のマルチビーム特有の異常画像の発生もなく、感光体線速で300mm/sec以上の高速画像が可能になる。
−現像手段−
前記現像は、前記静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成することにより行うことができる。
前記現像手段は、トナーを用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、トナーを収容し、前記静電潜像に該トナーを接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナーを摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体(感光体)の表面に該トナーによる可視像が形成される。
前記トナーは、使用するトナーの帯電極性により、正規現像にも反転現像にも対応可能である。感光体の帯電極性と逆極性のトナーを使用した場合には正規現像が使用され、同極性のトナーを用いた場合には反転現像によって、静電潜像が現像される。
前記露光器に使用する光源によっても異なるが、光源の寿命等を考慮すると、近年使用するデジタル光源の場合には、一般的に画像面積率が低いことに対応して、書込部分にトナー現像を行う反転現像方式が、有利である。また、トナーのみで現像を行う1成分方式と、トナー及びキャリアからなる2成分現像剤を使用した2成分方式の2通りの方法があるが、いずれの場合にも良好に使用できる。
−転写手段−
前記転写手段は、前記可視像を記録媒体に転写する手段であるが、感光体表面から記録媒体に可視像を直接転写する方法と、中間記録媒体を用い、該中間記録媒体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する方法がある。いずれの態様も良好に使用することができるが、高画質化に際して転写による悪影響が大きいような場合には、転写回数が少ない前者(直接転写)の方法が好ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。なお、転写手段としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写手段の中から適宜選択することができ、例えば、記録媒体の搬送も同時に行うことのできる転写搬送ベルト等が好適に挙げられる。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記静電潜像担持体(感光体)上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2以上であってもよい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、前記記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
また、転写チャージャー(10)は転写ベルト、転写ローラーを用いることも可能であるが、オゾン発生量の少ない転写ベルトや転写ローラー等の接触型を用いることが望ましい。なお、転写時の電圧/電流印加方式としては、定電圧方式、定電流方式のいずれの方式も用いることが可能であるが、転写電荷量を一定に保つことができ、安定性に優れた定電流方式がより望ましい。このような転写手段は、構成上、本発明の構成を満足できるものであれば、公知のものを使用することができる。
この際、転写後の感光体表面電位が繰り返し使用における感光体の静電疲労に大きな影響を及ぼす。即ち、感光体の静電疲労は感光体の通過電荷量により大きく左右される。この通過電荷量とは、感光体の膜厚方向を流れる電荷量に相当する。感光体の画像形成装置中の動作として、メイン帯電器により所望の帯電電位に帯電され(ほとんどの場合負帯電される)、原稿に応じた入力信号に基づき光書き込みが行われる。この際、書き込みが行われた部分は光キャリアが発生し、表面電荷を中和する(電位減衰する)。この時、光キャリア発生量に依存した電荷量が感光体膜厚方向に流れる。
一方、光書き込みが行われない領域(非書き込み部)は、現像工程及び転写工程を経て、除電工程に進む(必要に応じて、その前にクリーニング工程が施される)。ここで、感光体の表面電位がメイン帯電により施された電位に近い状態(暗減衰分は除く)であると、光書き込みが行われた領域とほぼ同じ量の電荷量が感光体膜厚方向に流れることになる。一般的に、現在の原稿は書き込み立が低いため、この方式であると、繰り返し使用における感光体の通過電荷量は除電工程で流れる電流がほとんどと言うことになる(書き込み率が10%であるとすると、除電工程で流れる電流は、全体の9割を占めることになる)。
この通過電荷は、感光体を構成する材料の劣化を引き起こす等、感光体静電特性に大きく影響を及ぼす。その結果、通過電荷量に依存して、特に感光体の残留電位を上昇させる。感光体の残留電位が上昇すると、本発明で使用されるネガ及びポジ現像では、画像濃度が低下することになり、大きな問題となる。従って、画像形成装置内での感光体の長寿命化(高耐久化)を狙うためには、如何に感光体の通過電荷量を小さくするかという課題が存在する。
これに対して、光除電を行わないという考え方もあるが、メイン帯電器の帯電器能力が大きくないと、帯電の安定化が図れず、残像のような問題を生じる場合がある。
感光体の通過電荷は、感光体表面に帯電された電位(これにより生じた電界)により、光照射が行われることにより、発生した光キャリアが移動することにより生じる。従って、感光体表面電位を光以外の手段で減衰させることができれば、感光体1回転(画像形成1サイクル)あたりの通過電荷量を低減することができる。
このためには、転写工程において転写バイアスを調整することにより、感光体通過電荷量を調整することが有効である。即ち、メイン帯電により帯電され、書き込みが行われない非書き込み部は、暗減衰量を除き、帯電された電位に近い状態で転写工程に突入する。この際、メイン帯電器により帯電された極性側の絶対値として100V以下まで低減することにより、引き続く除電工程に突入しても光キャリア発生がほとんど行われず、通過電荷が生じない。この値は、0Vにより近いほど望ましい。
更には、転写バイアスの調整により、メイン帯電により施される帯電極性とは逆極性に感光体表面電位が帯電するように転写バイアスを印加させることにより、光キャリアが絶対に発生しないため、より望ましい。但し、逆極性にまで帯電するような転写条件では、場合により転写チリを多く発生させたり、次の画像形成プロセス(サイクル)のメイン帯電が追いつかない場合が出てくる。その場合には、残像のような不具合が発生する場合があるため、逆極性の絶対値として100V以下であることが望ましい。
−定着手段−
前記定着は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着され、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合わせ、などが挙げられる。
前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
除電ランプ等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
先の帯電方式においてAC成分を重畳して使用する場合や、感光体の残留電位が小さい場合等は、この除電機構を省略することもできる。また、光学的な除電ではなく静電的な除電機構(例えば、逆バイアスを印加したあるいはアース接地した除電ブラシなど)を用いることもできる。前述のように書き込み率の小さな原稿では、光除電の影響は大きく、次の画像形成サイクルにおいて残像などの影響がない限り、光除電を用いない方が好ましい。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
前記リサイクル手段は、前記クリーニング手段により除去した前記電子写真用カラートナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、例えば、公知の搬送手段等が挙げられる。
前記制御手段は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
ここで、本発明の画像形成装置の一の態様について、図3を参照しながら説明する。
図3は、本発明の画像形成装置を説明するための概略図であり、後に示すような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図3において、静電潜像担持体としての感光体(1)は支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を含む感光層が設けられてなり、電荷発生層にはCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ、前記7.3°のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、更に26.3°にピークを有さず、かつ一次粒子の平均粒子径が0.25μm以下のチタニルフタロシアニン結晶を含有してなる。感光体(1)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。
図3に示される装置のシステム線速(感光体線速)は、高速の画像出力に対応して、300mm/sec以上で動作される。
帯電器(3)には、ワイヤー方式の帯電器やローラ形状の帯電器が用いられる。特に本発明のように高速帯電にはスコロトロン方式の帯電器が良好に使用される。この帯電器により、感光体には帯電が施されるが、感光体に印加される電界強度は高いほどドット再現性が良好になるため、30V/μm以上の電界強度が印加されることが望ましい。しかしながら、感光体の絶縁破壊や現像時のキャリア付着の問題を生み出す可能性があり、上限値は概ね60V/μm以下、より好ましくは50V/μm以下である。
また、画像露光部(5)は、半導体レーザー(LD)素子を感光体の副走査方向に複数配列したマルチビーム書き込みヘッドを組み入れた光源が使用される。マルチビーム書き込みヘッドを用いることで、1ビーム書き込みの場合より、より高精細で、高速な画像形成が可能となる。又、本発明で用いられる特定結晶構造のチタニルフタロシアニン顔料含有の感光体と併用することで、前述のマルチビーム特有の異常画像の発生もなく、感光体線速で300mm/sec以上の高速画像が可能になる。
尚、本発明の実施例では、4個のLD素子を副走査方向に配列したマルチビーム書き込みヘッドを用いたが、本発明はそれに制限されるものではない。
現像ユニット(6)は、使用するトナーの帯電極性により、正規現像にも反転現像にも対応可能である。感光体の帯電極性と逆極性のトナーを使用した場合には正規現像が使用され、同極性のトナーを用いた場合には反転現像によって、静電潜像が現像される。先の画像露光部に使用する光源によっても異なるが、近年使用するデジタル光源の場合には、一般的に画像面積率が低いことに対応して、書込部分にトナー現像を行う反転現像方式が光源の寿命等を考慮すると有利である。また、トナーのみで現像を行う1成分方式と、トナー及びキャリアからなる2成分現像剤を使用した2成分方式の2通りの方法があるが、いずれの場合にも良好に使用できる。
また、転写チャージャー(10)は転写ベルト、転写ローラを用いることも可能であるが、オゾン発生量の少ない転写ベルトや転写ローラ等の接触型を用いることが望ましい。なお、転写時の電圧/電流印加方式としては、定電圧方式、定電流方式のいずれの方式も用いることが可能であるが、転写電荷量を一定に保つことができ、安定性に優れた定電流方式がより望ましい。特に、転写手段に電荷を供給する電源供給用部材(高圧電源)から出力された電流のうち、転写手段に関連する部分に流れ、感光体に流れ込まない電流を差し引くことにより、感光体への電流値を制御する方法が好ましい。
転写電流は、感光体に静電的に付着しているトナーを引きはがし、被記録媒体(転写紙もしくは中間記録媒体など)へ移行させるために与える必要電荷量に基づく電流である。転写残などの転写不良を回避するためには、転写電流を大きくすれば良いことになるが、ネガ及びポジ現像を用いた場合には、感光体の帯電極性と逆極性の帯電を与えることになり、感光体の静電疲労が著しいものとなる。このため、ここまでの電子写真装置では、感光体の逆帯電印加による静電疲労特性の劣化が律速で、転写電流を大きくすることが困難であった。本発明者らは、特定結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶を用いた感光体を使用することにより、この問題を解決できる。
転写電流は大きいほど、感光体−トナー間の静電付着力を上回る電荷量を与えられるため有利であるが、ある閾値を越えると転写手段−感光体間で放電現象を生じてしまい、微細に現像されたトナー像を散らせる結果になる。このため、上限値としてはこの放電現象を起こさない範囲ということになる。この閾値は転写手段−感光体間の空隙(距離)、両者を構成する材料などによって変わるものであるが、概ね200μA以下程度で使用することにより、放電現象を回避できる。従って、転写電流の上限値は200μA程度である。
また、感光体上の形成されたトナー像は、転写紙に転写されることで転写紙上の画像となるものであるが、この際、2つの方法がある。1つは図3に示すような感光体表面に現像されたトナー像を転写紙に直接転写する方法と、もう1つはいったん感光体から中間記録媒体にトナー像が転写され、これを転写紙に転写する方法である。いずれの場合にも本発明において用いることができる。
このような転写手段は、構成上、本発明の構成を満足できるものであれば、公知のものを使用することができる。
除電ランプ(2)等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
かかる光源等は、図3に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、或いは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
先の帯電方式においてAC成分を重畳して使用する場合や、感光体の残留電位が小さい場合等は、この除電機構を省略することもできる。また、光学的な除電ではなく静電的な除電機構(例えば、逆バイアスを印加した或いはアース接地した除電ブラシなど)を用いることもできる。前述のように書き込み率の小さな原稿では、光除電の影響は大きく、次の画像形成サイクルにおいて残像などの影響がない限り、光除電手段を用いない方が好ましい。図3中、8はレジストローラ、11は分離チャージャー、12は分離爪である。
また、現像ユニット(6)により感光体(1)上に現像されたトナーは、転写紙(9)に転写されるが、感光体(1)上に残存するトナーが生じた場合、ファーブラシ(14)及びブレード(15)により、感光体より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行われることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
次に、図4は、本発明のタンデム型のフルカラー画像形成装置を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図4において、符号(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)はドラム状の感光体であり、感光体は支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を含む感光層が設けられてなり、電荷発生層にはCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ、前記7.3°のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、更に26.3°にピークを有さず、かつ一次粒子の平均粒子径が0.25μm以下のチタニルフタロシアニン結晶を含有してなる。
この感光体(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)は図4中の矢印方向に回転可能であり、その周りに少なくとも回転順に帯電器(17Y)、(17M)、(17C)、(17K)、2つの現像スリーブを有する現像手段(19Y)、(19M)、(19C)、(19K)、クリーニング部材(20Y)、(20M)、(20C)、(20K)が配置されている。帯電器(17Y)、(17M)、(17C)、(17K)は、感光体表面を均一に帯電するための帯電装置を構成する帯電器である。この帯電器(17Y)、(17M)、(17C)、(17K)と現像手段(19Y)、(19M)、(19C)、(19K)の間で、図示しない半導体レーザー(LD)素子を感光体の副走査方向に複数配列したマルチビーム書き込みヘッドを組み入れた光源から発振されるそれぞれ複数のレーザー光(18Y)、(18M)、(18C)、(18K)が照射され、感光体(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)に静電潜像が形成されるようになっている。そして、このような感光体(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)を中心とした4つの画像形成要素(25Y)、(25M)、(25C)、(25K)が、転写材搬送手段である転写搬送ベルト(22)に沿って並置されている。転写搬送ベルト(22)は各画像形成ユニット(25Y)、(25M)、(25C)、(25K)の現像手段(19Y)、(19M)、(19C)、(19K)とクリーニング部材(20Y)、(20M)、(20C)、(20K)の間で感光体(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)に当接しており、転写搬送ベルト(22)の感光体側の裏側に当たる面(裏面)には転写バイアスを印加するための転写ブラシ(21Y)、(21M)、(21C)、(21K)が配置されている。各画像形成要素(25Y)、(25M)、(25C)、(25K)は現像装置内部のトナーの色が異なることであり、その他は全て同様の構成となっている。
図4に示す構成のフルカラー画像形成装置において、画像形成動作は次のようにして行われる。まず、各画像形成要素(25Y)、(25M)、(25C)、(25K)において、感光体(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)に静電潜像が形成されるようになっている。そして、このような感光体(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)が300mm/sec以上の速度で回転し、スコロトロン方式の帯電器(17Y)、(17M)、(17C)、(17K)により、感光体の電界強度が20μV/μV以上、好ましくは30V/μm以上になるように帯電される。
次に、図示しない半導体レーザー(LD)素子を感光体の副走査方向に複数配列したマルチビーム書き込みヘッドを組み入れた光源から発振されるそれぞれ複数のレーザー光((18Y)、(18M)、(18C)、(18K)により、600dpi以上の解像度で書き込みが行われ、作成する各色の画像に対応した静電潜像が形成される。次に現像手段(19Y)、(19M)、(19C)、(19K)により潜像を現像してトナー像が形成される。現像手段(19Y)、(19M)、(19C)、(19K)は、それぞれY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)のトナーで現像を行う現像手段で、4つの感光体(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)上で作られた各色のトナー像は転写紙上で重ねられる。
次に、転写紙(26)は給紙コロ(図示せず)によりトレイから送り出され、一対のレジストローラ(23)で一旦停止し、上記感光体上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト(22)に送られる。転写搬送ベルト(22)上に保持された転写紙(26)は搬送されて、各感光体(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)との当接位置(転写部)で各色トナー像の転写が行われる。感光体上のトナー像は、転写ブラシ(21Y)、(21M)、(21C)、(21K)に印加された転写バイアスと感光体(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)との電位差から形成される電界により、転写紙(26)上に転写される。そして、4つの転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた記録紙(26)は定着装置(24)に搬送され、トナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。また、転写部で転写されずに各感光体(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)上に残った残留トナーは、クリーニング装置(20Y)、(20M)、(20C)、(20K)で回収される。なお、図4の例では画像形成要素は転写紙搬送方向上流側から下流側に向けて、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものではなく、色順は任意に設定されるものである。また、黒色のみの原稿を作成する際には、黒色以外の画像形成要素((25Y)、(25M)、(25C))が停止するような機構を設けることは本発明に特に有効に利用できる。
また、先に述べたように転写後の感光体表面が、主帯電器により帯電させた極性側に100V以下に帯電させることが好ましく、逆極性側に帯電させることがより好ましく、逆極性側に100V以下に帯電させることが特に好ましい。これにより、感光体の繰り返し使用における残留電位の上昇を低減化することができる。
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンタ内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電器、露光器、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等を含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図5に示すものが挙げられる。感光体(101)は支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を含む感光層が設けられてなり、電荷発生層にはCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ、前記7.3°のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、更に26.3°にピークを有さず、かつ一次粒子の平均粒子径が0.25μm以下のチタニルフタロシアニン結晶を含有してなる。
画像露光部(103)には、前述のように好ましくは600dpi以上の解像度で書き込みが行うことのできる光源が用いられ、帯電器(102)には、任意の帯電器(好ましくはスコロトロン帯電)が用いられる。図5中、104は2つの現像スリーブを有する現像手段、105は記録媒体、106は転写手段、107はクリ−ニング手段である。
以下、実施例により本発明について詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に何ら限定されるものではない。
(比較合成例1)
−チタニルフタロシアニン結晶の合成−
特開2001−19871号公報に準じて、顔料を作製した。即ち、1,3−ジイミノイソインドリン29.2gとスルホラン200mlを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド20.4gを滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行った。反応終了後、放冷した後、析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、次にメタノールで数回洗浄し、更に80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過し、次いで、洗浄液が中性になるまでイオン交換水(pH:7.0、比伝導度:1.0μS/cm)により水洗いを繰り返し(洗浄後のイオン交換水のpH値は6.8、比伝導度は2.6μS/cmであった)、チタニルフタロシアニン顔料のウエットケーキ(水ペースト)を得た。得られたこのウエットケーキ(水ペースト)40gをテトラヒドロフラン200gに投入し、4時間攪拌を行った後、濾過を行い、乾燥して、チタニルフタロシアニン粉末を得た。これを顔料1とする。
前記ウエットケーキの固形分濃度は、15質量%であった。結晶変換溶媒は、前記ウエットケーキに対する質量比で33倍の量を用いた。なお、比較合成例1の原材料には、ハロゲン含有化合物を使用していない。
得られたチタニルフタロシアニン粉末を、下記の条件によりX線回折スペクトル測定したところ、Cu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θが27.2±0.2°に最大ピークと最低角7.3±0.2°にピークを有し、かつ7.3°のピークと9.4°のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有さないチタニルフタロシアニン粉末を得られた。その結果を図14に示す。
また、比較合成例1で得られた水ペーストの一部を80℃の減圧下(5mmHg)で、2日間乾燥して、低結晶性チタニルフタロシアニン粉末を得た。水ペーストの乾燥粉末のX線回折スペクトルを図15に示す。
<X線回折スペクトル測定条件>
X線管球:Cu
電圧:50kV
電流:30mA
走査速度:2°/分
走査範囲:3°〜40°
時定数:2秒
(比較合成例2)
−チタニルフタロシアニン結晶の合成−
特開平1−299874号(特許第2512081号)公報の実施例1に記載の方法に準じて、顔料を作製した。即ち、先の比較合成例1で作製したウエットケーキを乾燥し、乾燥物1gをポリエチレングリコール50gに加え、100gのガラスビーズと共に、サンドミルを行った。結晶転移後、希硫酸、水酸化アンモニウム水溶液で順次洗浄し、乾燥して顔料を得た。これを顔料2とする。比較合成例2の原材料には、ハロゲン含有化合物を使用していない。
(比較合成例3)
−チタニルフタロシアニン結晶の合成−
特開平3−269064号(特許第2584682号)公報の製造例1に記載の方法に準じて、顔料を作製した。即ち、先の比較合成例1で作製したウエットケーキを乾燥し、乾燥物1gをイオン交換水10gとモノクロルベンゼン1gの混合溶媒中で1時間撹拌(50℃)した後、メタノールとイオン交換水で洗浄し、乾燥して顔料を得た。これを顔料3とする。比較合成例3の原材料には、ハロゲン含有化合物を使用していない。
(比較合成例4)
−チタニルフタロシアニン結晶の合成−
特開平2−8256号(特公平7−91486号)公報の製造例に記載の方法に準じて、顔料を作製した。即ち、フタロジニトリル9.8gと1−クロロナフタレン75mlを撹拌混合し、窒素気流下で四塩化チタン2.2mlを滴下する。滴下終了後、徐々に200℃まで昇温し、反応温度を200℃〜220℃の間に保ちながら3時間撹拌して反応を行った。反応終了後、放冷し130℃になったところ熱時濾過した。次いで、1−クロロナフタレンで粉体が青色になるまで洗浄した。次にメタノールで数回洗浄し、更に80℃の熱水で数回洗浄した後、乾燥し顔料を得た。これを顔料4とする。比較合成例4の原材料には、ハロゲン含有化合物を使用している。
(比較合成例5)
−チタニルフタロシアニン結晶の合成−
特開昭64−17066号(特公平7−97221号公報)の合成例1に記載の方法に準じて、顔料を作製した。即ち、α型TiOPc5質量部を食塩10g及びアセトフェノン5gと共にサンドグラインダーにて100℃にて10時間結晶変換処理を行った。これをイオン交換水及びメタノールで洗浄し、希硫酸水溶液で精製し、イオン交換水で酸分がなくなるまで洗浄した後、乾燥して顔料を得た。これを顔料5とする。比較合成例5の原材料には、ハロゲン含有化合物を使用している。
(比較合成例6)
−チタニルフタロシアニン結晶の合成−
特開平11−5919号(特許第3003664号)公報の実施例1に記載の方法に準じて、顔料を作製した。即ち、O−フタロジニトリル20.4質量部、四塩化チタン7.6質量部をキノリン50質量部中で200℃にて2時間加熱反応後、水蒸気蒸留で溶媒を除き、2%塩酸、続いて2%水酸化ナトリウム水溶液で精製し、メタノール、N,N−ジメチルホルムアミドで洗浄後、乾燥し、チタニルフタロシアニンを得た。このチタニルフタロシアニン2質量部を5℃の98質量%硫酸40質量部の中に少しずつ溶解し、その混合物を約1時間、5℃以下の温度を保ちながら攪拌する。続いて硫酸溶液を高速攪拌した400質量部の氷水中に、ゆっくりと注入し、析出した結晶を濾過する。結晶を酸が残量しなくなるまで蒸留水で洗浄し、ウエットケーキを得る。そのケーキをTHF100質量部中で約5時間攪拌を行い、濾過、THFによる洗浄を行い乾燥後、顔料を得た。これを顔料6とする。比較合成例6の原材料には、ハロゲン含有化合物を使用している。
(比較合成例7)
−チタニルフタロシアニン結晶の合成−
特開平3−255456号(特許第3005052号)公報の合成例2に記載の方法に準じて、顔料を作製した。即ち、先の比較合成例1で作製したウエットケーキ10質量部を塩化ナトリウム15質量部とジエチレングリコール7質量部に混合し、80℃の加熱下で自動乳鉢により60時間ミリング処理を行った。次に、この処理品に含まれる塩化ナトリウムとジエチレングリコールを完全に除去するために充分な水洗を行った。これを減圧乾燥した後にシクロヘキサノン200質量部と直径1mmのガラスビーズを加えて、30分間サンドミルにより処理を行い、顔料を得た。これを顔料7とする。比較合成例7の原材料には、ハロゲン含有化合物を使用していない。
(比較合成例8)
−チタニルフタロシアニン結晶の合成−
特開平8−110649号公報のチタニルフタロシアニン結晶体の製造方法に準じて、顔料を作製した。即ち、1,3−ジイミノイソインドリン58g、テトラブトキシチタン51gをα−クロロナフタレン300mL中で210℃にて5時間反応後、α−クロロナフタレン、ジメチルホルムアミド(DMF)の順で洗浄した。その後、熱DMF、熱水、メタノールで洗浄、乾燥して50gのチタニルフタロシアニンを得た。チタニルフタロシアニン4gを0℃に冷却した濃硫酸400g中に加え、引き続き0℃、1時間撹拌した。フタロシアニンが完全に溶解したことを確認した後、0℃に冷却した水800mL/トルエン800mL混合液中に添加した。室温で2時間撹拌後、析出したフタロシアニン混晶体を混合液より濾別し、メタノール、水の順で洗浄した。洗浄水の中性を確認した後、洗浄水よりフタロシアニン混晶体を濾別し、乾燥して、2.9gのチタニルフタロシアニン混晶体を得た。これを顔料8とする。比較合成例8の原材料には、ハロゲン含有化合物を使用していない。
(合成例1)
−チタニルフタロシアニン結晶の合成−
比較合成例1の方法に従って、チタニルフタロシアニン顔料の水ペーストを合成し、次のように結晶変換を行い、比較合成例1よりも一次粒子の小さなフタロシアニン結晶を得た。
比較合成例1で得られた結晶変換前の水ペースト60質量部にテトラヒドロフラン400質量部を加え、室温下でホモミキサー(ケニス、MARKIIfモデル)により強烈に撹拌(2000rpm)し、ペーストの濃紺色の色が淡い青色に変化したら(撹拌開始後20分)、撹拌を停止し、直ちに減圧濾過を行った。濾過装置上で得られた結晶をテトラヒドロフランで洗浄し、顔料のウエットケーキを得た。これを減圧下(5mmHg)、70℃で2日間乾燥して、チタニルフタロシアニン結晶8.5質量部を得た。これを顔料9とする。合成例1の原材料には、ハロゲン含有化合物を使用していない。前記ウエットケーキの固形分濃度は、15質量%であった。結晶変換溶媒は、前記ウエットケーキに対する質量比で44倍の量を用いた。
次に、比較合成例1で作製された結晶変換前チタニルフタロシアニン(水ペースト)の一部をイオン交換水でおよそ1質量%になるように希釈し、表面を導電性処理した銅製のネットですくい取り、チタニルフタロシアニンの粒子径を透過型電子顕微鏡(TEM、日立:H−9000NAR)にて、75000倍の倍率で観察を行った。平均粒子径として、以下のように求めた。
上述のように観察されたTEM像をTEM写真として撮影し、映し出されたチタニルフタロシアニン粒子(針状に近い形)を30個任意に選び出し、それぞれの長径の大きさを測定する。測定した30個体の長径の算術平均を求めて、平均粒子径とした。
以上の方法により求められた合成例1における水ペースト中の平均粒子径は、0.06μmであった。
また、比較合成例1及び合成例1における濾過直前の結晶変換後チタニルフタロシアニン結晶を、テトラヒドロフランでおよそ1質量%になるように希釈し、上の方法と同様に観察を行った。上記のようにして求めた平均粒子径を表1に示す。なお、比較合成例1及び合成例1で作製されたチタニルフタロシアニン結晶は、必ずしも全ての結晶の形が同一ではなかった(三角形に近い形、四角形に近い形など)。このため、結晶の最も大きな対角線の長さを長径として、計算を行った。
以上の比較合成例2〜8で作製した顔料2〜8は、先程と同様の方法でX線回折スペクトルを測定し、それぞれの公報に記載のスペクトルと同様であることを確認した。また、合成例1で作製した顔料9のX線回折スペクトルは、比較合成例1で作製した顔料1のスペクトルと一致した。表2にそれぞれのX線回折スペクトルと比較合成例1で得られた顔料のX線回折スペクトルのピーク位置の特徴を示す。
(分散液作製例1)
比較合成例1で作製した顔料1を下記組成の処方にて、下記に示す条件にて分散を行い電荷発生層用塗工液として、分散液を作製した。
チタニルフタロシアニン顔料(顔料1) 15質量部
ポリビニルブチラール(積水化学製:BX−1) 10質量部
2−ブタノン 280質量部
市販のビーズミル分散機に直径0.5mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した2−ブタノン及び顔料を全て投入し、ローター回転数1200r.p.m.にて30分間分散を行い、分散液を作製した。これを分散液1とした。
(分散液作製例2〜9)
分散液作製例1で使用した顔料1に変えて、それぞれ比較合成例2〜8及び合成例1で作製した顔料2〜9を使用して、分散液作製例1と同じ条件にて分散液を作製した。これらを顔料番号に対応して、それぞれ分散液2〜9とした。
(分散液作製例10)
分散液作製例1で作製した分散液1を、アドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−1−CS(有効孔径1μm)を用いて、濾過を行った。濾過に際しては、ポンプを使用し、加圧状態で濾過を行った。これを分散液10とした。
(分散液作製例11)
分散液作製例10で使用したフィルターを、アドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−3−CS(有効孔径3μm)に変えた以外は、分散液作製例10と同様に加圧濾過を行い分散液を作製した。これを分散液11とした。
(分散液作製例12)
分散液作製例10で使用したフィルターを、アドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−5−CS(有効孔径5μm)に変えた以外は、分散液作製例10と同様に加圧濾過を行い分散液を作製した。これを分散液12とした。
(分散液作製例13)
分散液作製例1における分散条件を下記の通り変更して、分散を行った。これを分散液13とした。
ローター回転数:1000r.p.m.にて20分間分散を行った。
(分散液作製例14)
分散液作製例13で作製した分散液をアドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−1−CS(有効孔径1μm)を用いて、濾過を行った。濾過に際しては、ポンプを使用し、加圧状態で濾過を行った。濾過の途中でフィルターが目詰まりを起こして、全ての分散液を濾過することができなかった。このため以下の評価は未実施であった。
以上のように作製した分散液中の顔料粒子の粒度分布を、堀場製作所のCAPA−700にて測定した。結果を表3に示す。
(感光体作製例1)
直径100mmのアルミニウムシリンダー(JIS 1050)に、下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、及び電荷輸送層塗工液を、順次塗布し、乾燥させて、3.5μmの下引き層、電荷発生層、28μmの電荷輸送層を形成し、積層感光体を作製した。これを感光体1とする。なお、電荷発生層の膜厚は、780nmにおける電荷発生層の透過率が20%になるように調整した。電荷発生層の透過率は、下記組成の電荷発生層塗工液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムを巻き付けたアルミシリンダーに感光体作製と同じ条件で塗工を行い、比較対照を電荷発生層を塗工していないポリエチレンテレフタレートフィルムとし、市販の分光光度計(島津製作所製:UV−3100)にて、780nmの透過率を評価した。
−下引き層塗工液−
酸化チタン(CR−EL:石原産業株式製) 70質量部
アルキッド樹脂 15質量部
(ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)、大日本インキ化学工業株式会社製)
メラミン樹脂 10質量部
(スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)、大日本インキ化学工業株式会社製)
2−ブタノン 100質量部
−電荷発生層塗工液−
先に作製した分散液1を用いた。
−電荷輸送層塗工液−
ポリカーボネート樹脂(TS2050:帝人化成株式会社製) 10質量部
下記構造式の電荷輸送物質 7質量部
塩化メチレン 80質量部
(感光体作製例2〜13)
感光体作製例1で使用した電荷発生層塗工液(分散液1)をそれぞれ、分散液2〜13に変更した以外は、感光体作製例1と同様に感光体を作製した。なお、電荷発生層の膜厚は、感光体作製例1と同様に、すべての塗工液を用いた場合に780nmの透過率が20%になるように調整した。
実施例1〜2、参考例1〜4及び比較例1〜20)
作製した感光体作製例1〜13の各電子写真感光体を図3に示す画像形成装置(感光体線速:320mm/sec)に搭載した。スコロトロン方式の帯電器を用いて下記の帯電条件にて帯電を行い、画像露光光源を780nmの半導体レーザー素子4個を副走査方向に配列したマルチビーム露光ヘッド(ポリゴンミラーによる画像書き込み、解像度600dpi)を用い、転写手段として転写ベルトを用い、書き込み率6%のチャートを用い、連続10万枚印刷試験を行った(試験環境は、22℃−55%RHである)。
<帯電条件1>
放電電圧:−6.0kV
グリッド電圧:−920V(感光体の未露光部表面電位は、−900V)
<帯電条件2>
放電電圧:−5.8kV
グリッド電圧:−780V(感光体の未露光部表面電位は、−750V)
<画像評価>
画像評価は10万枚印刷試験後に、下記2つの評価を実施した。
(i)地汚れの評価
白ベタ画像を出力し、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。
ランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。
(ii)レーザービーム2本で書き込む横線画像の評価
4本のLD素子を図3に示すように点灯し、同時露光と順次露光で潜像を形成した場合の横線画像を、同時露光画像3本、順次露光画像1本の割合で、記録紙の全面に横線画像を出力し、目視で、下記ランクに仕上がって評価した。
〔評価基準〕
◎:同時露光画像、順次画像露光の区別が全く付かず、極めて均一性がよい
○:一部分に若干均一性に劣る部分があるが、全体として均一としても違和感がない。
△:弱い不均一部分が数カ所ある。
×:同時露光画像、順次画像露光の区別がはっきりとし、極めて均一性が悪い。
以上の結果を表4に示す。
尚、表4の電界強度の計算に際して、電荷発生層の膜厚はおよそ0.1μm程度であるが、感光層の膜厚は電荷輸送層の膜厚と等しいと仮定して計算を行った。
実施例3
実施例1において、印刷試験に使用したチャートを書き込み率1%のチャートに変更し、連続10万枚の印刷試験を行った。この際、図3に示す画像形成装置の現像部位における感光体表面電位と、転写直後の感光体表面電位を計測するため、表面電位計をセットできるように改造を行った。
印刷試験前と印刷試験後において、現像部位における感光体露光部の電位を測定した。この際、露光部の表面電位を計測するために、光書き込みは感光体全面のベタ書き込みを行った。
実施例3における印刷試験に際しては転写バイアスを調整することにより、転写後の感光体非書き込み部の電位が−150Vになるように調整した。この測定の際には、光書き込みを行わず、感光体の転写後の電位を測定した。結果を表5に示す。
実施例4
実施例3において、転写後の感光体非書き込み部の電位が−80Vになるように調整した以外は、実施例3と同様に印刷試験を行った。結果を表5に示す。
実施例5
実施例3において、転写後の感光体非書き込み部の電位が0Vになるように調整した以外は、実施例3と同様に印刷試験を行った。結果を表5に示す。
実施例6
実施例3において、転写後の感光体非書き込み部の電位が+70Vになるように調整した以外は、実施例3と同様に印刷試験を行った。結果を表5に示す。
実施例7
実施例3において、転写後の感光体非書き込み部の電位が+150Vになるように調整した以外は、実施例3と同様に印刷試験を行った。結果を表5に示す。
実施例8
実施例3において、除電部材を除電ランプから、導電性ブラシ(アースに接続)に変更した以外は、実施例3と同様に印刷試験を行った。結果を表5に示す。
(感光体作製例14)
感光体作製例9における電荷輸送層塗工液を以下の組成に変更した以外は、感光体作製例9と同様にして、感光体を作製した。
−電荷輸送層塗工液−
下記組成の高分子電荷輸送物質 10質量部
(重量平均分子量:約135000)
下記構造の添加剤 0.5質量部
塩化メチレン 100質量部
(感光体作製例15)
感光体作製例9における電荷輸送層の膜厚を22μmとし、電荷輸送層上に下記組成の保護層塗工液を塗布して、乾燥し、膜厚5μmの保護層を設けた以外は、感光体作製例9と同様にして、感光体を作製した。
−保護層塗工液−
ポリカーボネート樹脂(TS2050:帝人化成株式会社製) 10質量部
下記構造式の電荷輸送物質 7質量部
アルミナ微粒子 4質量部
(比抵抗:2.5×1012Ω・cm、平均一次粒径:0.4μm)
シクロヘキサノン 500質量部
テトラヒドロフラン 150質量部
(感光体作製例16)
感光体作製例15における保護層塗工液中のアルミナ微粒子を以下のものに変更した以外は、感光体作製例15と同様にして、感光体を作製した。
酸化チタン微粒子 4質量部
(比抵抗:1.5×1010Ω・cm、平均一次粒径:0.5μm)
(感光体作製例17)
感光体作製例15における保護層塗工液中のアルミナ微粒子を以下のものに変更した以外は、感光体作製例15と同様にして、感光体を作製した。
酸化錫−酸化アンチモン粉末 4質量部
(比抵抗:10Ω・cm、平均一次粒径0.4μm)
(感光体作製例18)
感光体作製例15における保護層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、感光体作製例15と同様にして、感光体を作製した。
−保護層塗工液−
下記構造式の高分子電荷輸送物質 17質量部
(GPCにより測定した結果、nはおよそ250であった)
アルミナ微粒子 4質量部
(比抵抗:2.5×1012Ω・cm、平均一次粒径:0.4μm)
シクロヘキサノン 500質量部
テトラヒドロフラン 150質量部
(感光体作製例19)
感光体作製例15における保護層塗工液を下記組成に変更した以外は、感光体作製例15と同様にして、感光体を作製した。
−保護層塗工液−
メチルトリメトキシシラン 100質量部
3%酢酸 20質量部
下記構造の電荷輸送性化合物 35質量部
酸化防止剤(サノール LS2626:三共化学社製) 1質量部
硬化剤(ジブチル錫アセテート) 1質量部
2−プロパノール 200質量部
(感光体作製例20)
感光体作製例15における保護層塗工液を下記組成に変更した以外は、感光体作製例15と同様にして、感光体を作製した。
−保護層塗工液−
メチルトリメトキシシラン 100質量部
3%酢酸 20質量部
下記構造の電荷輸送性化合物 35質量部
α−アルミナ粒子(スミコランダム AA−03:住友化学工業製) 15質量部
酸化防止剤(サノール LS2626:三共化学社製) 1質量部
ポリカルボン酸化合物(BYK P104:ビックケミー社製) 0.4質量部
硬化剤(ジブチル錫アセテート) 1質量部
2−プロパノール 200質量部
(感光体作製例21)
感光体作製例9におけるアルミニウムシリンダー(JIS1050)を以下の陽極酸化皮膜処理を行った。次いで、下引き層を設けずに、感光体作製例1と同様にして、電荷発生層、電荷輸送層を設け、感光体を作製した。
−陽極酸化皮膜処理−
支持体表面の鏡面研磨仕上げを行い、脱脂洗浄、水洗浄を行った後、液温20℃、硫酸15vol%の電解浴に浸し、電解電圧15Vにて30分間陽極酸化皮膜処理を行った。更に、水洗浄を行った後、7%の酢酸ニッケル水溶液(50℃)にて封孔処理を行った。その後、純水による洗浄を経て、厚さ7μmの陽極酸化皮膜が形成された支持体を得た。
実施例9〜24
以上のように感光体作製例14〜21で作製した感光体を図3に示す画像形成装置(感光体線速は320mm/sec)に搭載し、スコロトロン方式の帯電器を用いて下記の帯電条件にて帯電を行い、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴンミラーによる画像書き込み、解像度600dpi)、転写手段として転写ベルト(トナー像が直接転写紙に転写される)を用い、書き込み率6%のチャートを用い、連続10万枚印刷試験を行った(試験環境は、22℃−55%RHである)。
<帯電条件1>
放電電圧:−6.0kV
グリッド電圧:−920V(感光体の未露光部表面電位は、−900V)
<帯電条件2>
放電電圧:−5.8kV
グリッド電圧:−780V(感光体の未露光部表面電位は、−750V)
<画像評価>
画像評価は10万枚印刷試験後に、下記2つの評価を実施した。
(i)地汚れの評価
白ベタ画像を出力し、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。
ランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表した。
(ii)レーザービーム2本で書き込む横線画像の評価
4本のLD素子を図19に示すように点灯し、同時露光と順次露光で潜像を形成した場合の横線画像を、同時露光画像3本、順次露光画像1本の割合で、記録紙の全面に横線画像を出力し、目視で、下記ランク基準に従って評価した。
◎:同時露光画像、順次画像露光の区別が全く付かず、極めて均一性がよい
○:一部分に若干均一性に劣る部分があるが、全体として均一としても違和感がない。
△:弱い不均一部分が数カ所ある。
×:同時露光画像、順次画像露光の区別がはっきりとし、極めて均一性が悪い
また、10万枚印刷後の感光層の摩耗量(保護層を有する場合は保護層の摩耗量)を測定した。以上の結果、実施例1の場合と併せて表6に示す。
尚、電荷発生層の膜厚はおよそ0.1μm程度であるが、表6の電界強度の計算に際しては、感光層の膜厚は(電荷輸送層+保護層)の膜厚と等しいと仮定して計算を行った。
(感光体作製例22)
感光体作製例1のアルミニウムシリンダーを直径60mmのものに変え、感光体作製例1と同じ組成の感光体を作製した。
(感光体作製例23)
感光体作製例4のアルミニウムシリンダーを直径60mmのものに変え、感光体作製例4と同じ組成の感光体を作製した。
(感光体作製例24)
感光体作製例5のアルミニウムシリンダーを直径60mmのものに変え、感光体作製例5と同じ組成の感光体を作製した。
(感光体作製例25)
感光体作製例8のアルミニウムシリンダーを直径60mmのものに変え、感光体作製例8と同じ組成の感光体を作製した。
(感光体作製例26)
感光体作製例9のアルミニウムシリンダーを直径60mmのものに変え、感光体作製例9と同じ組成の感光体を作製した。
(感光体作製例27)
感光体作製例10のアルミニウムシリンダーを直径60mmのものに変え、感光体作製例10と同じ組成の感光体を作製した。
実施例25、参考例5及び比較例21〜24)
以上のように作製した感光体作製例22〜27の感光体を、帯電器(スコロトロン帯電)と共に、図5に示すような1つの画像形成装置用プロセスカートリッジに装着し、更に図4に示すフルカラー画像形成装置に搭載した。4つの画像形成要素では、帯電器としてスコロトロン方式の帯電器により下記の帯電条件にて帯電を行い、画像露光光源を780nmの半導体レーザー素子4個を副走査方向に配列したマルチビーム露光ヘッド(ポリゴンミラーによる画像書き込み、 解像度600dpi)を用い、転写手段として転写ベルト(トナー像が直接転写紙に転写される)を用い、書き込み率6%のチャートを用い、連続10万枚印刷を行った(試験環境は、22℃−55%RHである)。
<帯電条件1>
放電電圧:−6.0kV
グリッド電圧:−970V(感光体の未露光部表面電位は、−950V)
<帯電条件2>
放電電圧:−5.8kV
グリッド電圧:−830V(感光体の未露光部表面電位は、−800V)
<画像評価>
画像評価は10万枚印刷後に、下記3つの評価を実施した。
(i)地汚れの評価
白ベタ画像を出力し、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。
(ii)ハーフトーン画像の評価
直径100μmの2ドットでのハーフトーン画像を形成し、中間調再現性のランク評価を実施した。
(iii)色再現性の評価
感光体初期状態と10万枚印刷後に、同じフルカラー画像を出力し、色再現性の評価を試みた。
何れの場合にもランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。また、10万枚印刷後の感光層の摩耗量(保護層を有する場合は保護層の摩耗量)を測定した。以上の結果を表7に示す。
最後に、本発明で使用するチタニルフタロシアニン結晶の特徴であるブラッグ角θの最低角ピークである7.3°について、公知材料の最低角7.5°と同一であるか否かについて検証する。
(比較合成例9)
比較合成例1における結晶変換溶媒を塩化メチレンから2−ブタノンに変更した以外は、比較合成例1と同様に処理を行い、チタニルフタロシアニン結晶を得た。
比較合成例1の場合と同様に、比較合成例9で作製したチタニルフタロシアニン結晶のXDスペクトルを測定した。これを図16に示す。図16より、比較合成例9で作製されたチタニルフタロシアニン結晶のXDスペクトルにおける最低角は、比較合成例1で作製されたチタニルフタロシアニンの最低角(7.3°)とは異なり、7.5°に存在することが判る。
(測定例1)
比較合成例1で得られた顔料(最低角7.3°)に特開昭61−239248号公報に記載の顔料(最大回折ピークを7.5°に有する)と同様に作製したものを3質量%添加し、乳鉢で混合して、先程と同様にX線回折スペクトルを測定した。測定例1のX線回折スペクトルを図17に示す。
(測定例2)
比較合成例9で得られた顔料(最低角7.5°)に特開昭61−239248号公報に記載の顔料(最大回折ピークを7.5°に有する)と同様に作製したものを3質量%添加し、乳鉢で混合して、先程と同様にX線回折スペクトルを測定した。測定例2のX線回折スペクトルを図18に示す。
図17のスペクトルにおいては、低角側に7.3°と7.5°の2つの独立したピークが存在し、少なくとも7.3°と7.5°のピークは異なるものであることが判った。一方、図18のスペクトルにおいては、低角側のピークは7.5°のみに存在し、図17のスペクトルとは明らかに異なっていた。
以上のことから、本発明のチタニルフタロシアニン結晶における最低角ピークである7.3°は、公知のチタニルフタロシアニン結晶における7.5°のピークとは異なるものであることが判った。
本発明の画像形成装置は、高速で繰り返し使用した際に、異常画像の発生がなく、安定で解像度の高い画像を出力する複数のレーザービームを用いてマルチビーム露光を行って静電潜像を形成する画像形成装置に好適に用いられる。
図1は、ドット形成における電界強度依存性を説明するための図である。 図2は、地汚れランクの電界強度依存性を説明するための図である。 図3は、本発明の電子写真プロセス及び画像形成装置の一例を説明するための概略図である。 図4は、本発明のタンデム方式のフルカラー画像形成装置の一例を説明するための概略図である。 図5は、本発明の画像形成装置用プロセスカートリッジの一例を説明するための図である。 図6は、不定形チタニルフタロシアニンのTEM像である。図中のスケールバーは、0.2μmである。 図7は、結晶変換後のチタニルフタロシアニンのTEM像である。図中のスケールバーは、0.2μmである。 図8は、短時間で結晶変換を行ったチタニルフタロシアニン結晶のTEM像である。図中のスケールバーは、0.2μmである。 図9は、分散時間が短い場合の分散液の状態を示す図である。 図10は、分散時間が長い場合の分散液の状態を示す図である。 図11は、図9及び図10の分散液について、平均粒径及び粒度分布を示す図である。 図12は、本発明に用いられる電子写真感光体の層構成の一例を表わした図である。 図13は、本発明に用いられる別の電子写真感光体の層構成の一例を表わした図である。 図14は、比較合成例1で合成されたチタニルフタロシアニンのXDスペクトルを表わした図である。 図15は、水ペーストの乾燥粉末のXDスペクトルを表わした図である。 図16は、比較合成例9で合成されたチタニルフタロシアニンのXDスペクトルを表わした図である。 図17は、測定例1で用いたチタニルフタロシアニンのXDスペクトルを表わした図である。 図18は、測定例2で用いたチタニルフタロシアニンのXDスペクトルを表わした図である。 図19は、4個のレーザー光源LD1、LD2、LD3、LD4で構成されるマルチビームヘッド走査露光で連続複数のライン画像の書き込みをした場合のレーザー点灯状態と反転現像方式を用いて画像形成した場合のライン画像の関係を示す図である。
符号の説明
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電チャージャー
5 画像露光部
6 現像ユニット
8 レジストローラ
9 転写紙
10 転写チャージャー
11 分離チャージャー
12 分離爪
14 ファーブラシ
15 クリーニングブレード
16Y、16M、16C、16K 感光体
17Y、17M、17C、17K 帯電器
18Y、18M、18C、18K レーザー光
19Y、19M、19C、19K 現像手段
20Y、20M、20C、20K クリーニング部材
21Y、21M、21C、21K 転写ブラシ
22 転写搬送ベルト
23 レジストローラ
24 定着装置
25Y、25M、25C、25K 画像形成要素
26 転写紙

Claims (22)

  1. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、前記静電潜像形成手段が、少なくとも帯電器と、複数のレーザービームを用いて前記静電潜像担持体表面に静電潜像を形成するマルチビーム露光を行う露光器とを有し、かつ前記画像形成装置が、300mm/sec以上のシステム線速で動作すると共に、前記静電潜像担持体が、支持体と、該支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層とをこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にCuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、かつ該回折ピークの半値巾が1゜以上であり、一次粒子の平均粒子径が0.1μm以下である不定形乃至低結晶性チタニルフタロシアニン結晶を水の存在下で有機溶媒を使用して結晶変換を行い、結晶変換後の一次粒子の平均粒子径が0.25μm以下の状態で、濾過することにより得られる結晶変換後のチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有さず、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均粒子径が0.25μm以下であることを特徴とする画像形成装置。
  2. 帯電器により静電潜像担持体表面に印加される帯電が、下記数式(1)で表される電界強度が30V/μm以上である請求項1に記載の画像形成装置。
    <数式(1)>
    電界強度(V/μm)=SV/G
    ただし、前記数式(1)中、SVは、現像位置における静電潜像担持体の未露光部における表面電位(V)を表す。Gは、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を含む感光層の膜厚(μm)を表す。
  3. チタニルフタロシアニン結晶が、ハロゲン含有化合物を含まない原材料で合成された請求項1から2のいずれかに記載の画像形成装置。
  4. 不定形乃至低結晶性チタニルフタロシアニン結晶が、アシッドペースト法により調製され、得られた不定形乃至低結晶性チタニルフタロシアニン結晶が、イオン交換水のpHが6〜8になるまでイオン交換水で洗浄される請求項1に記載の画像形成装置。
  5. 不定形乃至低結晶性チタニルフタロシアニン結晶が、アシッドペースト法により調製され、得られた不定形乃至低結晶性チタニルフタロシアニン結晶が、イオン交換水の比伝導度が8μS/cm以下になるまでイオン交換水で洗浄されてなる請求項1に記載の画像形成装置。
  6. チタニルフタロシアニン結晶の結晶変換で使用される有機溶媒量が、質量比で不定形乃至低結晶性チタニルフタロシアニン結晶の10倍以上である請求項1に記載の画像形成装置。
  7. 電荷輸送層が、トリアリールアミン構造を主鎖及び側鎖の少なくともいずれかに含むポリカーボネート樹脂を含有する請求項1から6のいずれかに記載の画像形成装置。
  8. 電荷輸送層上に保護層を有する請求項1から7のいずれかに記載の画像形成装置。
  9. 保護層が、比抵抗10 10 Ω・cm以上の無機顔料及び金属酸化物から選択される少なくともいずれかを含む請求項8に記載の画像形成装置。
  10. 保護層が、更に高分子電荷輸送物質を含む請求項8から9のいずれかに記載の画像形成装置。
  11. 保護層がバインダー樹脂を含有し、該バインダー樹脂が架橋構造を有する請求項8から10のいずれかに記載の画像形成装置。
  12. 架橋構造を有するバインダー樹脂の構造中に、電荷輸送部位を有する請求項11に記載の画像形成装置。
  13. 静電潜像担持体における支持体の表面が、陽極酸化皮膜処理された請求項1から12のいずれかに記載の画像形成装置。
  14. 静電潜像担持体上に形成されたトナー像を記録媒体に転写する直接転写方式である請求項1から13のいずれかに記載の画像形成装置。
  15. 露光器により静電潜像担持体上に書き込み部と非書き込み部が形成され、転写後の該静電潜像担持体の非書き込み部における表面電位の絶対値が、100V以下である請求項1から14のいずれかに記載の画像形成装置。
  16. 転写後の静電潜像担持体の非書き込み部における表面電位が、帯電器により帯電した電位の逆電位である請求項15に記載の画像形成装置。
  17. 転写後の静電潜像担持体の非書き込み部における表面電位が、帯電器により帯電した電位の逆電位であり、かつ、該非書き込み部の表面電位の絶対値が100V以下である請求項15から16のいずれかに記載の画像形成装置。
  18. 画像形成装置が、光除電手段を用いない請求項1から17のいずれかに記載の画像形成装置。
  19. 少なくとも静電潜像担持体、静電潜像形成手段、現像手段、転写手段及び定着手段を有する画像形成要素を複数備えた請求項1から18のいずれかに記載の画像形成装置。
  20. 静電潜像形成手段における帯電器が、静電潜像担持体表面に交流重畳電圧印加を行う請求項1から19のいずれかに記載の画像形成装置。
  21. 静電潜像担持体と、静電潜像形成手段、現像手段及びクリーニング手段から選択される1つ以上の手段とが一体となり、装置本体と着脱自在なプロセスカートリッジを搭載している請求項1から20のいずれかに記載の画像形成装置。
  22. 静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成工程と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像工程と、該可視像を記録媒体に転写する転写工程と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着工程とを少なくとも含む画像形成方法であって、
    前記静電潜像形成工程が、少なくとも帯電器と、複数のレーザービームを用いて前記静電潜像担持体表面に静電潜像を形成するマルチビーム露光を行う露光器とを有し、かつ300mm/sec以上のシステム線速で動作する画像形成装置を用いて行われると共に、前記静電潜像担持体が、支持体と、該支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層とをこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にCuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、かつ該回折ピークの半値巾が1゜以上であり、一次粒子の平均粒子径が0.1μm以下である不定形乃至低結晶性チタニルフタロシアニン結晶を水の存在下で有機溶媒を使用して結晶変換を行い、結晶変換後の一次粒子の平均粒子径が0.25μm以下の状態で、濾過することにより得られる結晶変換後のチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有さず、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均粒子径が0.25μm以下であることを特徴とする画像形成方法。
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