JP4376613B2 - 画像形成装置 - Google Patents

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Description

本発明は、特定結晶型及び特定の粒子サイズを有するチタニルフタロシアニン結晶を含む電荷発生層と、電荷輸送層とをこの順に積層してなる静電潜像担持体(以下、「感光体」、「電子写真感光体」、「光導電性絶縁体」と称することもある)を備えた高画質化、高速化が達成できる画像形成装置に関する。
近年、電子写真方式を用いた情報処理システム機の発展は目覚ましいものがある。特に情報をデジタル信号に変換して光によって情報記録を行う光プリンターは、そのプリント品質、信頼性において向上が著しい。このデジタル記録技術はプリンターのみならず通常の複写機にも応用され、所謂デジタル複写機が開発されている。また、従来からあるアナログ複写にこのデジタル記録技術を搭載した複写機は、種々様々な情報処理機能が付加されるため、今後その需要が益々高まっていくと予想される。更に、パーソナルコンピュータの普及及び性能の向上にともない、画像及びドキュメントのカラー出力を行うためのデジタルカラープリンターの進歩も急激に進んでいる。
前記プリンターや複写機は装置の高速化、高画質化が要望されているが、プリント速度はシステム線速(以下、「感光体線速」、「プロセス線速」と称することがある)に依存し、感光体線速よりも速い速度で画像形成は行うことができないため、感光体の線速は可能な限り高めなければならない。一般的には毎分50枚以上の印刷を達成するためには、感光体の線速を300mm/sec以上で動作させなければならない。
このような高速プリントを行う際には様々な課題が発生するが、その一つとして現像能力の問題がある。通常は感光体の線速よりも現像スリーブの線速を大きくして、現像ニップにおけるトナー濃度が不足しないように十分なトナー量をニップ中のスリーブ上に送ることになる。この際、2成分現像ではキャリアが感光体表面を擦るため、スキャベンジング効果を得ることができ、地汚れ等に対しても有利な方向に働くが、現像スリーブと感光体の線速比を大きく取らなければならず、現像スリーブは非常に高回転で動かす必要がある。特に上述のように、毎分の出力枚数が多い画像形成装置においては、感光体を高速回転させなければならず、これに伴って、現像スリーブもより高速回転させる必要が生じる。
このような場合には、現像モーター、軸受けなどに対する負荷が大きくなり、機械寿命や信頼性が低下することに繋がる。また、画像上でも磁気ブラシ等でのスキャベンジング効果が強くなりすぎたり、ベタ部後端のカスレや横細線の細り等の異常画像が発生することがある。これらの不具合を押さえるために現像スリーブの回転を遅くすると、画像濃度が低下するなどの問題が発生し、両者の間にはトレードオフの関係が成立し、大きな課題である。
これらの課題を改善するため、1つの感光体に対して複数の現像スリーブを用いる現像方式(以下、「多段現像方式」と称することがある)が提案されている。この多段現像方式を用いることで、単数の現像スリーブを用いる場合よりも現像効率を高めることができるため、現像スリーブと感光体とで多大な線速比を付ける必要が無くなり、上述した現像モーターや軸受けへの負荷を低減することができ、画像上のトレードオフの問題も回避できるようになる。
しかしながら、多段現像を用いる場合には新たな問題も発生する。1つめは、単数の現像スリーブの場合に比べ、現像に関する感光体への電界印加部が多数回に増えるため、感光体への静電的疲労(ダメージ)が増加することである。2つめは、現像効率が高くなるため画像濃度的には良好であるが、スキャベンジング効果が小さくなるため、地汚れの発生が高くなることである。3つめは、磁気ブラシによる感光体摺擦回数が複数倍に増加するため、感光体表面の摩耗性が増加することである。
以上のうち、3つめの問題はそれほど大きな問題になっていないとはいえ、上述のように非常に高速の画像形成を行うため、多段現像方式を用いて画像形成を行う際には、以下の機能を有することが必要になる。
(i)高速静電潜像形成が必要なため、帯電性が良好で、かつ光減衰特性の良好な感光体
(ii)繰り返し使用における静電疲労の小さな感光体
(iii)地汚れ発生の少ない感光体(言い換えれば、静電潜像コントラストのはっきりした感光体)
(iv)耐摩耗性の高い感光体
上記のうち、(i)に関しては、近年の電荷輸送物質の開発により、高速応答性(高速電荷輸送性)が達成され、また、適度な中間層、電極とのエネルギーマッチングにより安定した帯電が得られるようになってきている。更に、画像形成プロセス側での帯電装置の工夫により、より安定した高速帯電も実現されてきている。また、上記のプリンターや複写機の光源には、通常、780nmの半導体レーザー(LD)や760nm近傍の発光ダイオード(LED)が光源として用いられている。これに対応した感光体(電荷発生材料)としては、CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を用いることが知られている(特許文献1参照)。このチタニルフタロシアニンの特定結晶型は、非常に高いキャリア発生機能を有しており、高速画像形成装置用感光体の電荷発生材料として有効に使用でき、良好な電荷輸送機能を有する電荷輸送物質との組み合わせにより、高いゲインと高いレスポンスを有する感光体を設計することが可能となる。これにより、上記(i)の課題(良好な帯電性と光減衰特性)はクリアできる。
また、上記(iv)に関しては、近年の感光体表面層(保護層を含む)の開発により、高い耐摩耗性の感光体が開発されつつあり、現在ではそれほど大きな問題ではなくなってきている。
以上のことから、残る課題は上記(ii)及び(iii)に関してである。上述のチタニルフタロシアニン結晶は、非常に高感度である電荷発生物質であるが、この結晶型は、結晶としての安定性が低く、分散等の機械的ストレス、熱的なストレスに対して結晶転移し易いという問題を抱えている。一方、結晶転移後の結晶型は、前記結晶型に比べて非常に低感度であり、結晶の一部が結晶転移した場合には充分な光キャリア発生機能を発現することができない。また、感光体の繰り返し使用において、特にネガ・ポジ現像固有の問題点である地汚れ画像と呼ばれる異常画像が起こりやすいという問題点も有している。
従って、高速画像形成(現像)を達成するための多段現像方式を用いた画像形成装置においては、感光体の静電疲労の問題、及び地汚れ発生の問題をクリアしないと、良好な画質を得ることができず、高い信頼性を得ることができない。また、現時点ではシステム線速が300mm/secを超えるような画像形成装置で使用する感光体の電荷発生物質としては、上述の結晶型を有するチタニルフタロシアニンを凌駕する材料は得られていないという課題がある。
近年、上記プリンターや複写機は高画質化が求められており、感光体上に形成された静電潜像を、より忠実に現像するため、小粒径のトナーを用いて現像が行われるようになってきた。小粒径のトナーとは従来用いられてきた体積平均粒径(以下、「トナー粒径」と称することがある)が10μm前後のトナーに比べ、体積平均粒径がより小粒径化されたものであり、7μm以下程度のトナーを指す。
前記露光部材により感光体上に書き込まれた静電潜像のドットは、現像部においてトナー現像が行われ可視化されるが、トナー粒径が小粒径なほど高精細に現像される。この現象は、書き込み光におけるビーム径が小さくなればなるほど顕著な効果を示し、600dpi以上の解像度を有するような書き込みでは小粒径なトナーで現像を行わないと、その解像度を可視化することができないほどである。このように、高解像度なトナー像を感光体上に形成するためには、600dpi(好ましくは1200dpi)以上の書き込みを行い、体積平均粒径が7μm以下のトナーで現像する必要がある。
このような観点に基づき、特定の結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶を用いた感光体を使用し、600dpi以上の書き込みを行い、形成された静電潜像を質量平均粒径が8μm以下のトナーで現像する画像形成方法が開示されている(特許文献2参照)。この特許文献2によれば、このチタニルフタロシアニンを用いることにより、高感度、高γで十分な光応答性を示す感光体を実現でき、この感光体を用いる場合には各ドットの露光時間が短い場合でも十分なドット再現性が実現できることが示されている。また、特許文献3では、更に、トナー体積平均粒径と個数平均粒径との比を規定することにより、トナー粒度分布を制限し、トナーの流動性などを考慮することが記載されている。
これら公知の技術はいずれも、感光体上に形成された静電潜像(ドット)をいかに現像するかという観点に基づき、小粒径トナーを使用することで忠実な現像を行うという発明である。
しかしながら、静電潜像をいかに形成するか、ドットの鮮明さをいかに形成するか、繰り返し使用においていかに安定に使用するかという観点からのアプローチはなされておらず、小粒径トナーの使用による良好な現像特性(静電潜像を鮮明に現像する)を必ずしも生かし切れていない。
原理的には、上述のように、より小さなビーム径で書き込みを行い(より微少潜像ドットの形成)、小粒径のトナーで現像することにより高精細なトナー像が現像されると考えられるが、実際には、感光体上に書き込み通りの静電潜像を形成するためには、感光体にかかる電界強度が高くなければならない。図1には、感光体に印加される電界強度(感光体表面電位/感光層膜厚)に対するドット形成の様子を示す(書き込みは1200dpiで行っている)。図1に示されるように、小径ドットを忠実に再現して、現像・可視化するためには電界強度を30V/μmよりも高めに設定する必要がある。
通常、上述のプリンターや複写機の光源には、780nmの半導体レーザー(LD)や760nm近傍の発光ダイオード(LED)が用いられ、これに対応した感光体(電荷発生材料)としては、CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を用いることが知られている(特許文献1参照)。この特定結晶型は、非常に高いキャリア発生機能を有しており、高速画像形成装置用感光体の電荷発生材料として有効に使用できる。しかしながら、この結晶型は、結晶としての安定性が低く、分散等の機械的ストレス、熱的なストレスに対して結晶転移し易いという問題を抱えており、結晶転移後の結晶型はこの結晶型に比べて非常に低感度であり、結晶の一部が結晶転移した場合には充分な光キャリア発生機能を発現することができない。また、感光体の繰り返し使用において、特にネガ・ポジ現像固有の問題点である地汚れ画像と呼ばれる異常画像が起こりやすいという問題点も有している。
高画質化を達成するためには上述のように、(i)帯電手段、露光手段によって形成される感光体上の静電潜像を高密度な画像で形成すること、(ii)それに続く現像手段にて静電潜像に忠実にトナー像を形成すること、(iii)最後に感光体上のトナー像を正確に転写紙に転写することの3つの課題が挙げられる。これらの課題解決のための手段としてはそれぞれ、(i)露光手段に小径ビームを用いた高密度書き込み(600dpi以上、好ましくは1200dpi以上)により静電潜像を形成する方法が挙げられるが、感光体にかかる電界強度が30V/μmより小さいと、感光層中で発生した光キャリアがクーロン反発により広がってしまい、ビーム径に対応した大きさのドットが形成されなくなってしまう。(ii)現像手段においてトナー粒径(体積平均粒径)を7μm以下に小粒径化することによって静電潜像に忠実なトナー像を感光体上に形成する方法が挙げられるが、感光体表面電位が低いと現像効率の低下や集約化が行われず、静電潜像のドットに対して散ったドットが形成されてしまう。(iii)転写手段において空隙電界強度を高くすることで転写効率を上げ感光体上のトナー像を忠実に転写紙に転写する方法が挙げられるが、転写電界強度を大きくすると逆に放電を生じて転写チリを生じたり、感光体の電気特性の疲労を促進してしまう場合がある。
これらのうち、特に(i)や(ii)における感光体表面電位(電界強度)の増加は、上記CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を用いた感光体を繰り返し用いた際、地汚れと呼ばれる異常画像の原因となっている。
図2は、電界強度に対する地汚れランクの変化を示す。ここに示す地汚れランクとは、地汚れの程度を示すものであり、数値が大きいほど地汚れの程度が良好(地汚れ発生頻度が低い)であることを表すものである。図1及び図2から分かるように両者の間には電界強度に関してトレード・オフの関係がある。地汚れを回避するためには、通常、感光体の電界強度を30V/μm以下で使用し、小径ドットの再現を多少犠牲にしているシステムが使用されていた。例えば、特許文献2では、地汚れと細線の再現性を両立させるために、感光体の電界強度を12〜40V/μmで使用する旨の記載がある。
しかしながら、書き込み光の解像度を高くしていった場合には、この下限値をより高めに設定しない限り、書き込みドットを再現良く現像することができない。また、感光体の地汚れに関しても感光体を構成する材料(主に電荷発生材料)により、電界強度の上限値が異なってくる。前記CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶は、非常に高感度ではあるものの、地汚れに対して弱いという欠点を有しており、実際には前述の如く30V/μm以下程度の電界強度でしか使用されていない。
また、前記チタニルフタロシアニン結晶の光キャリア発生効率(能力)は、電界強度に依存し、低電界になるにつれキャリア発生効率が極端に低下する。このため、実際のシステムにおいては、前記チタニルフタロシアニン結晶における特異的な高感度という長所を生かしきれないことになっている。
このような問題は、低い解像度(400dpi以下)の書き込み光では、それほど問題にならない現象であったが、昨今の高解像度書き込み(600dpi以上、より精細な書き込みは1200dpi以上)を行い、小粒径のトナーにて現像する画像形成装置において顕著に現れる問題である。
近年、上記プリンターや複写機はカラー化を含め装置の高速化及び高画質化が要望されている。電子写真方式の画像形成装置では、感光体に帯電と書き込みにより静電潜像を形成し、この静電潜像をトナーにより現像し、可視化する。この感光体上に形成されたトナー像を被転写体(ほとんどの場合、転写紙である)に転写し、更に転写されたトナー像を定着することにより、被転写体上に定着されたトナー像(画像)を形成し、アウトプットする。
このいくつかの工程のうち、高画質化を左右する幾つかの工程が存在する。1つは、静電潜像の形成である。2つめは、静電潜像に対する忠実な現像(トナー像の形成)である。3つめは、感光体上に形成されたトナー像の忠実な転写である。4つめは、被転写体上に転写されたトナー像の忠実な定着である。これら「忠実な」とは、形成された静電潜像やトナー像の大きさを如何に維持したまま、次工程に受け渡すかということを意味している。
静電潜像の形成に関しては、均一に帯電された感光体に光書き込みを行い、感光体表面に電位コントラストを形成するものである。この際、必要な技術としては帯電の均一性と微小ドットの形成である。帯電の均一性に関しては、帯電部材の工夫や感光体膜厚の均一性などによりほぼ確保される。また、微小ドットの形成に関しても光学系(書き込み素子やレンズ等)の進歩や素子そのものの発振波長の短波長化により、より微小ビーム径を形成できるようになり、現時点では高画質化の律速工程にはなっていない。
静電潜像の現像に関しては、感光体上に形成された静電潜像を忠実に現像するためには、感光体上の電位と現像バイアスの適正コントロールにより十分な現像ポテンシャルを得ること、トナーそのものの帯電性を十分に高めておくこと、より精細な現像を行うため現像剤(トナー及びキャリア)を十分に小さなものを使用すること、が必要となる。現像ポテンシャルに関しては感光体に対して負荷が異常にかからないレベルでコントロールすることが可能であり、トナー帯電性に関してもトナー材料(母体樹脂や帯電制御剤)の開発により十分に満足のいくトナーが開発されている。また、高精細な現像に関しても小粒径のキャリア(50μm以下)や小粒径のトナー(7μm以下)などが開発され、現像に関しても現時点では高画質化の律速過程にはなっていない。
トナー像の転写に関しては、感光体上に形成されたトナー像を被転写体に転写する工程であるが、元々トナーは現像スリーブに存在していたものを感光体表面に移行させるわけであり、感光体表面とは静電引力により結ばれている。これを電界の作用により被転写体上に移行させるものであるから、ここにかかる電界はかなり高い電界が必要となる。この際、転写電界強度が低いと十分なトナーの移行が行われず、転写効率の低下が発生し、感光体上に残トナーが発生することになりクリーニング部材へのストレスを大きくする。また、画像濃度が低減するため、必要以上のトナーを使用することになるため、環境負荷への問題も発生する。これを回避するため、転写電界は高めに設定されるが、転写電界の印加は基本的には転写部材によるバイアス印加によるものであるが、高い場合には転写部材と感光体表面の間で放電作用を発生させる。これは感光体表面と帯電部材との間の微小ギャップにおいて、両者の間にかかる電界によって電離現象が発生するからである。これにより、本来感光体と正対する位置に配置された被転写体上にトナー像は転写されるが、この放電現象によりトナー像が乱され、高画質化の律速になっている。
トナー像の定着に関しては、基本的にトナーを溶融させ、被転写体に定着するものであり、トナー像を大きくしてしまう工程である。しかしながら、トナーの小粒径化と着色濃度の向上により、単位面積あたりのトナー付着量(付着高さ)を小さくすることができるようになり、また定着機の進歩により必要以上の熱エネルギーを照射しないため、定着によるトナー像の広がりや乱れは、転写工程に比べればわずかであり、現時点では高画質化の律速工程にはなっていない。
以上のように、現時点においては高画質化の課題に対しては、感光体表面から被転写体にトナー像を移行させる転写工程が律速工程になっていると言っても過言ではない。
高速で動作される画像形成装置においては、マシン設計をシンプルにする(基本的には部品点数を減らす)意図と、上述のようにトナー像の乱れを生み出す転写工程の回数を極力減らす意図から、感光体上に形成されたトナー像を被転写体(転写紙)に直接転写する方式が採用される。この方式は、被転写体をベルトのようなもので搬送し、感光体表面に接触もしくは近接位置まで持って行き、被転写体の裏側より十分なバイアスを印加することにより、感光体表面よりトナー像を被転写体に移行させる。通常は、転写搬送ベルトのように被転写体を搬送させる部材が導電性に近い抵抗を有しており、この部材より必要な電界を印加する。
画像形成装置の動作上、被転写体を連続的に送り出す場合、隙間が全くない状態で搬送することはほぼ不可能である。従って、紙間と呼ばれる被転写体と被転写体の間に隙間を生じる。連続プリントを行う際には、転写部材にバイアスを印加させっぱなしの状態で動作することも可能であるが、紙間において強烈な電界が感光体に作用するため、感光体が非常に劣化する。このため、通常は被転写体の搬送とのタイミングを取り、被転写体が感光体を覆っている(正対している)状態の場合にだけ、転写バイアスを印加するようになっている。
しかしながら、非常に高速な画像形成装置の場合、感光体線速(プロセス線速、システム線速)には限界があるため、既存に近い状態で出力枚数を高めるためには、紙間を極力狭めることを強いられる。これと同時に、近年のデジタル画像方式で作成される原稿は、従来の原稿とは異なりコンピュータ等の出力画像を印字することが要求される。また、フルカラー画像のように被転写体の全面に対して書き込みが行われるような原稿も存在し、被転写体全面に相当する位置に十分な電界を与える必要がある。特に、ベタ原稿のような場合、もともと現像においても転写紙の後端部分の画像濃度が低めになる場合があり、転写工程においては被転写体のエッジ部一杯まで(場合によりエッジ部を超えて)転写バイアスを印加する必要がある。このため、被転写体の両端(外側)に正対する感光体には非常に高い電界が作用することになる。これは、転写電界が通常の状態では被転写体を介した状態で感光体に作用するが、被転写体の存在しない箇所では電界を遮るものが存在しないためである。
上記の課題は被転写体の搬送と転写バイアス印加のタイミングが非常に正確にとれる技術により解決される方向にはあるが、被転写体に関しては様々な形態があり、更に問題がある。それは、通常、画像形成装置において感光体の長手方向の長さは、その画像形成装置で出力される被転写体の最大の大きさをカバーするものである。従って、A3対応の画像形成装置であれば、A3用紙の短い辺の長さに対応した長さで設計される。このためA4を出力する場合には、A4の長い辺を基準に画像形成を行えば感光体表面を覆うことができるが、これよりも小さな被転写体(例えば、B5以下の用紙、はがき等)が印刷に用いられる場合には、転写バイアスは被転写体の外側にも印加されるため、感光体表面に強い電界が作用することになる。
また別の形態として、予めパンチ穴を開けた被転写体を使用して画像形成を行うユーザーも存在する。この場合には、如何に転写のタイミングを取ろうが感光体表面には部分的強い電界が作用することになる。
上述のような画像形成装置に用いられる電子写真感光体は、強い転写電界の作用により、疲労が促進したり、絶縁破壊を生じたりすることがある。この結果、長期間繰り返し使用を行った画像形成装置から出力される画像には、地汚れと呼ばれる画像欠陥が発生する場合がある。また、転写時のバイアス極性の電荷が感光体に残留して次の帯電時に影響を与える場合もある。感光体表面に残留電荷が残ったまま帯電工程に突入した場合、以下の不具合を生じる。
一般的には、高速画像形成装置の帯電部材にはDC(直流)成分のみで帯電が施されるため、残留電荷を残したままであるとその部分の帯電に異常をきたし、全面が均一な書き込みが行われるような原稿をプリントする場合に、表面電位が一定にならず、現像において濃度ムラを生じてしまう。転写バイアスの極性によるが、感光体表面電位と同極性のバイアスを印加する場合には、感光体のトナー現像部の表面電位が高くなり、除電部材による除電が十分でなく、帯電器の能力が小さいような場合には、この部分の電位が高くなり、1回前の静電潜像の履歴が残ってしまう(ポジ残、図3参照)。
転写バイアスの極性が感光体帯電極性と逆の極性の場合にはより深刻である。現在デジタル機の主流であるネガ・ポジ現像の場合には、感光体に書き込みを行った部分に現像を行うため、現像された部分は表面電位が低い状態になる。ここに逆極性のバイアスが印加されるため、この部分の表面電位は感光体の本来の帯電極性とは逆の極性に帯電されてしまう。上述のように同極性で高めの電位の場合には光除電を十分に行うことにより、電位をキャンセルできるが、逆極性の帯電が印加されてしまった場合には、光除電ではこれをキャンセルすることはできない。なぜなら、現在の感光体はキャリア発生し、輸送できる極性は片側(通常は正孔のみ)だけであるからである。この結果、次工程での帯電時に帯電能力が不足して、この部分の感光体の帯電が十分でなくなり、1回前の静電潜像の履歴を残してしまうことになる(ネガ残、図4参照)。
これらを回避するためにAC(交流)成分を重畳する帯電部材を使用する方法があるが、高速帯電を必要とする場合には、AC成分の周波数をシステム線速(感光体線速)に応じて高めなければならず、帯電部材或いは電源への負荷が大きくなるばかりでなく、感光体表面への化学的ハザードが大きくなり、感光体摩耗を促進してしまうという高耐久化にとって致命的な問題を生じてしまう。
ネガ残の原因はこれだけではなく、感光体の疲労が大きく、除電後表面電荷が均一な状態で帯電工程に突入した場合にも起きるが、特に同一原稿を繰り返し出力した場合や、定型フォーマットで同じ箇所に同じ原稿が存在する場合(例えば、ビジネス用の原稿であり、会社のロゴマークなどが同じ箇所に存在するような場合)には、顕著な問題となる。
このように、高速画像形成装置の使われ方は、カラー化した場合を含めると非常に多種多様であり、これに対応するためには、常に画像形成システムの状態を同じように維持することであり、これを具体的に実現するためには静電潜像を常に同じように作成するため感光体を如何に同じ状態(初期状態を維持)するかという点に尽きることになる。
現在の技術では、逆極性に帯電する現象を制御することは非常に困難であり、転写能力を落として転写するか、前の履歴が残らないように強い帯電条件で帯電を施すかのいずれかしか方法がない。前者は転写効率を確実に低下させることであり、高画質化のためには許されないことであり、従って、帯電器での出力を上げるような方向しか現時点での対応方法が残されていない。
しかし、このような方法を使用すると、耐圧性の低い感光体は前述のように絶縁破壊を起こしたり、地汚れと呼ばれる異常画像を発生する場合があり、これを防ぐためには地汚れに強い感光体が必要になる。
高速化の課題に対しては、高感度・高速応答性を有する感光体の使用が行われている。通常、780nmLDや760nm近傍のLEDが高速デジタル画像形成装置の光源として用いられ、これに対応した感光体(電荷発生材料)としては、CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を用いることが知られている(特許文献1参照)。この特定結晶型は、非常に高いキャリア発生機能を有しており、高速画像形成装置用感光体の電荷発生材料として有効に使用できる。しかしながら、この結晶型は、結晶としての安定性が低く、分散等の機械的ストレス、熱的なストレスに対して結晶転移し易いという問題を抱えており、結晶転移後の結晶型はこの結晶型に比べて非常に低感度であり、結晶の一部が結晶転移した場合には充分な光キャリア発生機能を発現することができない。また、感光体の繰り返し使用において、帯電性の低下を引き起こしやすく、地汚れを発生しやすいという問題を有していた。
このように、高速画像形成装置を設計するために発生するプロセス上の制約(要望)に対して、感光体の開発が十分とはいえない状況であり、安定した高速画像形成を実現するための感光体開発が十分でないのが実情であった。
また、上記プリンターや複写機は装置の高速化、高画質化が要望されているが、画像形成の高速化、高解像度化等に対応すべく、感光体表面を露光するためのレーザービームを複数本、射出するようにしたマルチビーム記録ヘッドを具備する画像形成装置が提案されている(特許文献4参照)。
デジタル電子写真複写機やレーザープリンター等の画像形成装置は、高解像度、高速印字出力のために感光体は高線速で回転される必要がある。これに応じて、レーザービーム走査露光系も回動多鏡面体のポリゴンミラーの回転を上げ、副走査方向の画像走査周波数を上げる必要がある。しかしながら、回動多鏡面体のポリゴンミラーの回転数は現状、30,000回転(rpm)前後であり、これ以上の回転数を得るためには、回動多鏡面体のポリゴンミラーの軸受けの改良等、困難な課題がある。
そのため、回動多鏡面体のポリゴンミラーの回転数を上げずに、高速化を達成するために、副走査方向にビーム光源を複数個並べ、主走査方向1回の走査で複数ビームの走査をする、マルチビーム記録ヘッドによるマルチビーム走査露光方法が採用されるようになった。マルチビーム記録ヘッドによるこの方法では、例えばn本のビーム光源になることで1ビーム光源のみの場合に必要となる回動多鏡面体のポリゴンミラーの回転数が、1/nの回転数でよくなり、1ビーム光源の場合より、n倍の高速化が可能となる。又、走査速度に余裕が生じることになり、その分、走査密度を高密度にして、高速で、高精細な画像出力が可能になるなどメリットが大きい(特許文献5参照)。
しかしながら、このようなマルチビーム露光方法で画像を形成する場合、隣り合う2本のビームを同時に点灯してライン画像やドット画像を形成する場合とおのおののレーザービームを別々に点灯して画像を形成する場合では線画像やドット画像の濃度、太さ、大きさが異なるという不具合が発生する。
図5には、4個のレーザー光源LD1、LD2、LD3、及びLD4で構成されるマルチビームヘッド走査露光で連続複数のライン画像の書き込みをした場合のレーザー点灯状態と反転現像方式を用いて画像形成した場合のライン画像の関係を示してある。
2ビームで1ラインを形成する場合、図5(a)に示す如く、まず1サイクル目の走査では、LD1、2、4が点灯、LD3が消灯の状態で走査され、次に、LD1、3、4が点灯、2が消灯の状態で2サイクル目の走査が行われる。1サイクル目のLD1、2点灯と2サイクル目のLD3、4点灯の場合はそれぞれ図5(c)に示されるライン1とライン3(図5(c))形成用の露光であるが、隣り合うレーザーが同時に感光体に露光される(同時露光)。一方、1サイクル目のLD4と2サイクル目のLD1の露光は図5(c)に示されるライン2形成用の露光であるが、2本のビームは時間がずれて感光体を露光されている(順次露光)(図5(a))。
このような露光状態の違いに応じて、出力画像には、順次露光の場合は同時露光の場合より、太いラインが形成される(図5(c))。
本発明者らは、この現象は以下の如く考えている。即ち、一つのビームは通常楕円ビーム形状であり、2本のビームはお互いに一部オーバーラップしており、同時露光の場合はオーバーラップしている部位の感光体上の1点でみると極めて強いパワーが1度に照射されることになる。一方、順次露光の場合は、トータルの露光エネルギーとしては同時露光と同じであるが、2本のビームがオーバーラップしている部位の光パワーは同時露光に比べて弱くなる。
感光体によっては、同じ露光エネルギーを与えても与え方により、その効果が異なることがあり、それを感光体の相反則不軌と言われている。通常、露光エネルギー=光パワー(単位時間、単位面積当たりの値)×露光時間であるが、同じエネルギーを感光体に露光する場合でも、短時間に強いパワーを露光した場合の方が、感光体の感度が低くなり、露光部の表面電位の減衰が少なくなる。上述の如く、順次露光部位は、同時露光部位よりも露光パワーが弱いため、相反則不軌による感度低下が少なく、表面電位の減衰量が同時露光よりも多くなり、露光部位の表面電位は低くなる。
反転現像法は、感光体の帯電極性と同極性の電荷を持つトナーを感光体表面の露光部位に付着させて現像する方式である。そのため、感光体表面の露光部位の電位が低いほど現像トナー量は多くなる。そのため、順次露光部位は同時露光部位よりも多くのトナーが付着している。
このトナー画像は、転写工程で記録紙上に転写され、定着工程を経て記録紙上に画像が形成される。反転現像においては、トナーが記録体に転写される場合には、トナーの飛散を伴うため、細線画像は太り気味になる。この現象は転写チリと呼ばれるが、この転写チリは現像されたトナー量が多い方がチリ範囲が広くなり、より太い線画像となる。
この転写画像は、定着工程で、通常、加熱ローラ等の定着部材によって、加圧されながら加熱定着が行われるが、その時、トナーは流動状態になり、引き延ばされ、記録紙上の線画像は更に太くなり、この定着時の線画像の太りは、トナー量が多いほどより激しくなる。
以上の如くにして、順次露光部の線画像は、同時露光部の線画像より太くなると考えている。
更に、特許文献9には、電子写真プロセスが200mm/s以下のマルチビーム露光方式を用いた電子写真画像形成装置用の電子写真感光体として感光層がオキシチタニウムフタロシアニン(チタニルフタロシアニン)を含有し、該電子写真感光体の電荷移動度が7.0×10−7〜2.0×10−5cm/V・sである感光体を用いることがされている。
しかし、従来公知のチタニルフタロシアニンを含有した感光体は、画像形成プロセスの繰り返し、特に、帯電工程と露光工程の繰り返しによって、感光体内部に残留電荷が蓄積し易すく、感光体の耐久性に難がある。特に、マルチビームを用いてより高速印字が可能になった画像形成装置は、低速、中速画像形成装置に比べて遙かに大量なプリントを行う用途に用いられる。そのため、主要部材である感光体の耐久性が低い場合は、頻繁に感光体を取り替える必要が生じ、実質的なプリントに要する時間が長くなったり、画像形成コストが高くなるなどの不具合が生じる。そのため、感光体にはより高い耐久性が求められる。また、従来公知のチタニルフタロシアニンを含有した感光体を搭載したマルチビーム露光方式を用いた画像形成装置においては、感光体線速(システム線速)が300mm/sec以上で画像形成をすると、隣り合う複数ビームで1ドット、又は、1ラインを副走査方向に複数形成する際に、場所によって同一品質の画像パターンを形成することができなくなるという前述の不具合がより顕著に現れることがわかった。
この現象はシステム線速がより高くなるにつれて、1ドット当たりの露光時間が短くなり、それにつれてレーザーの光パワーををより強くするために、感光体の相反則不軌現象がより、顕著になると推測される。更に、感光体の相反則不軌は低電界強度下の露光でより顕著に発現するため、上記のマルチビーム露光における不具合を解決するためには、より高電界強度下、具体的には30V/μm以上の電界強度下でのマルチビーム露光が望ましいが、従来公知のフタロシアニンは後述のごとき高電界強度下での使用で種々の欠陥を有しているため、特に30V/μm以上の電界強度下でのマルチビーム露光での使用には耐えられないのが現状である。このように、マルチビーム露光方式を用いた高速印字可能な画像形成装置には、より残留電位の少ない、相反則不軌の少ない感光体が望まれている。
近年、上記プリンターや複写機はカラー化を含め装置の高画質化が要求される。デジタル機における高画質化は2つの課題があり、1つは如何に静電潜像を微小ドットで均一に形成するかであり、もう1つは各種異常画像を如何に低減するかである。
前者に関しては、静電潜像を形成するための書き込みビーム径を小さくし、これを最大限に活用するための周辺技術の開発が必要である。後者に関しては、感光体の劣化等に起因する異常画像の発生がそのほとんどの原因であり、感光体の高耐久化及び高安定化技術を獲得するとともに、使用するプロセスの特性を理解した感光体の開発が必要となる。
前者についての技術としては、紫〜青色の発振を行うブルーレーザーと呼ばれる450nm以下の発振波長を有する書き込み光源が開発された。これは高エネルギーを有し、ビーム径を容易に絞れるため、高密度書き込みが可能であり、現在までの光源を用いた書き込みよりも小さいビーム径による書き込みが実現できるようになった。
しかしながら、この書き込み光源は過去に使用されてきた露光部材の光波長よりも短いため、いくつかの課題が生じることになる。1つは、現在まで使用されてきた書き込み波長は450nmよりも長いものであるため、感光体表面側から書き込みを行う場合でも電荷輸送層に用いられる電荷輸送物質が黄色でもその使用が可能であるという点である。電荷輸送物質が書き込み光を遮ると光感度が低下するばかりでなく、電荷輸送物質そのものの劣化を促進することになり、感光体の機能そのものを低下させてしまう。従って、電荷輸送物質としては光学的に無色に近いものが使用されるべきであり、そのような電荷輸送物質の開発が必要になる。これに関しては、現在までに開発されてきた電荷輸送物質の中から、製膜後に無色透明に近い材料を選択すれば良い。
もう1つは電荷発生物質の課題である。通常、現在までの電子写真感光体は、電荷発生物質が含有される電荷発生層上に、電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を積層した機能分離型の感光層構成で用いられてきた。上述のように、電荷輸送物質としてトリアリールアミンを中心とした低分子物質が使用されてきたが、その移動度向上のため分子内のπ共役系を大きくする方向で開発がなされてきた。その結果、現在まで使用されてきた電荷輸送物質はそのほとんどが黄色をしている。従って、概ね450nmより短波長の光(例えば、帯電部材で発せられる紫外線、蛍光灯などから発する紫外線など)を電荷輸送層で吸収してしまい、電荷発生層に通過させることはなく、これにより実は電荷発生層(電荷発生物質)が守られてきた。450nmより短波長側の光は、エネルギーが高く、光キャリア発生に必要なエネルギーよりも高く余剰なエネルギーをも有している。
図6に有機系電荷発生物質による光キャリア発生機構の模式図を示す。図6に示すように有機電荷発生物質の光キャリア発生は、最低励起一重項状態(S)を経てなるものである。基底状態(S)に存在した電荷発生物質は、光吸収により励起状態に励起される。この際、光エネルギー(即ち波長)によりエネルギー的に打ち上げられる高さ(ポテンシャル)が異なる。SとSのエネルギー差よりも状態よりも高いエネルギーを得た電荷発生物質は、一度、より高い励起状態(S)まで打ち上げられ、S状態まで通常熱的に緩和され、その状態より光キャリアを生成する。この際、Sのエネルギーレベルよりも高いエネルギー(SとSのエネルギー差)は、余剰エネルギーであり、すべて熱的に緩和されずに他の反応に使用されることもあり得る。有機物の励起状態とは、非常に活性な状態であり、熱的に内部緩和されS状態に落ち着く以外に、その余剰エネルギーを利用して他の物質と反応したり(酸化、分解など)、同一分子間で結合したり、分子構造を変えたり(異性化など)もする。このように、光キャリア発生という反応素課程だけを考えると、余剰なエネルギーは実は有害であり、電荷発生物質に化学的安定性の高さを要求することになる。
以上のことから、より高密度な書き込みを行うため、450nmよりも短い波長での書き込みは、そのプロセスで用いられる感光体及び使用される材料の設計上、下記の制約が生じるものである。
(1)感光体表面側から書き込みを行う場合、電荷輸送層に吸収がないこと
書き込み波長である450nmよりも短い波長領域に、電荷発生物質の吸収が十分にあること
(2)電荷発生物質のS状態よりも高いエネルギーを印加されるため、電荷発生物質の化学的安定性が高いこと
(3)高密度書き込みが行われるため、高い光キャリア発生能を有すること
また、短波長書き込み(即ち、小径ビームによる高密度書き込み)を活かすため、これを使用するプロセス側の工夫も必要である。小径ビームの書き込みにより電荷発生層に照射されるビーム径は確かに小さくなるものの、その高密度書き込みのため、狭い面積に高密度で光キャリアが生成することになる。この光キャリアは正孔と電子というペアで生成されることになるが、感光体にかかる電界により、それぞれ感光体表面と電極(導電性支持体)に移動する。この際、移動する方向は感光体表面に印加された極性によって決定されるが、機能分離型有機積層感光体の場合には、概ね表面にマイナス極性を印加するため、正孔は表面に、電子は電極方向に進むことになる。
同極性の電荷が近接した場合に、互いの電荷によりクーロン反発することが知られており、感光体の場合も例外ではない。特に上述のように高密度書き込みを行った場合には、高密度で光キャリア生成が行われるため、スムーズに電荷を移動させないと、正孔と電子による再結合(キャリア発生効率の低下を生み出す)の他に、電荷輸送層を移動する際にドットが広がってしまうという問題を生み出す。その結果、小径ビームで書き込んだつもりでも、感光体表面に形成される静電潜像のドット径が大きくなってしまうという結果をもたらす(図7参照)。
図1には、感光体に印加される電界強度と静電潜像を現像したドットの関係を示す。図1では、十分に小粒径のトナーを使用して現像した場合のトナー像を示しているが、電界強度が小さい場合には、ドットが大きくかつかすれている状態になっている。これは、電荷発生層で生成したキャリアが電荷輸送層を横切る際にクーロン反発により広がってしまった結果を示すものであり、感光体表面における書き込み部と非書き込み部に対応する電位コントラストが十分にとれなかった結果を示すものである。従って、このような小径ビームの書き込みにより微小ドットを形成する場合には、感光体に印加する電界強度を高めに設定しなければならない。本発明者らの検討に依れば、電荷輸送層の膜厚が30μm以下程度の通常の電子写真感光体であれば、電界強度として30V/μm以上の印加が必要である。
この30V/μm以上の電界強度は、通常の印加電界強度よりも高めの設定であり、感光体へのストレスを増加させることになる。図2には、感光体に印加する電界強度と地汚れの関係を示す。図2中の地汚れランクとは、地汚れの程度を示すものであり、数字が大きいほど地汚れの程度が良いことを示す。図2から分かるように、電界強度の増大は地汚れの発生を促し、電界強度に関して地汚れとドット再現性(微小ドットの形成)はトレード・オフの関係が成立している。従って、上述のような微小ドット形成の再現性をよくするためには、地汚れ耐性の強い感光体が必要になる。
また、電荷発生層に書き込まれたビームが、均質な電荷を生み出すためには電荷発生層そのものがかなりの均質体である必要がある。電荷発生層は通常、電荷発生物質である有機顔料をバインダー樹脂に分散した形態により構成される。従って、本質的には不均質体である。しかしながら、このような分散膜においては、ある程度十分な分散が行われているか、顔料粒子そのものが十分に小さい状態で存在すれば、光学的には均質体の挙動を振る舞う。このため、感光体の電荷発生層を構成する顔料粒子は書き込み波長に対して十分に小さな粒子サイズであることが必要である。
従って、450nmよりも短波長の書き込み光源を用いて、小径ビームを形成して、微小ドットを形成するような画像形成装置におけるプロセスでは、下記の項目が必要になる。
(1)電荷の移動に際してクーロン反発が影響して電荷が拡散しないよう、感光体に与える電界強度を十分に大きくすること(30V/μm以上が必要)
(2)高い電界強度の印加に際して、地汚れが発生しやすくなるため、地汚れ耐性の高い感光体が必要
(3)小径ビームの書き込みに対して、十分な均質性を有すること。このため、電荷発生層に含有される電荷発生物質は十分な小ささを有していること
以上の問題は、電荷輸送物質の透明性以外は、すべて感光層(電荷発生層)に関連することであり、高密度な書き込みによる微小ドット形成を意図した画像形成装置用感光体の開発が電荷発生物質の開発に依存しているかを示すものである。
高感度・高速応答性を有する感光体用電荷発生物質として、CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を用いることが知られている(特許文献1参照)。また、特許文献10には、380〜500nm付近の半導体レーザーにより、CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を用いた感光体への書き込みを行う技術が開示されている。この結晶型を有する材料を使用することにより、400nm付近の光に対するメモリー性を減少させ、繰り返し使用時の感光体の電位変動を低減する旨が述べられている。
この特定結晶型を有するチタニルフタロシアニンは、非常に高いキャリア発生機能を有しており、高速画像形成装置用感光体の電荷発生材料として有効に使用できる。しかしながら、この結晶型は、結晶としての安定性が低く、分散等の機械的ストレス、熱的なストレスに対して結晶転移し易いという問題を抱えており、結晶転移後の結晶型はこの結晶型に比べて非常に低感度であり、結晶の一部が結晶転移した場合には充分な光キャリア発生機能を発現することができない。また、感光体の繰り返し使用において、帯電性の低下を引き起こしやすく、ネガ残を引き起こしやすいという問題を有していた。また、ネガ・ポジ現像固有の問題点である地汚れ画像と呼ばれる異常画像が起こりやすいという問題点も有している。
また、短波長光源による書き込みは、元来、書き込みビーム径を小さくすることが可能で、高密度に書き込むことを意図したものである。しかしながら、後述のように短波長成分の光書き込みによる感光体への不具合が発生したり、高密度化における感光体感度の相反則不軌の問題が発生したり、小径ビームに対する書き込み(静電潜像)ドット輪郭の不鮮明さが発生したりする場合がある。更には、上述のように小径ビームを利用した小径ドットを形成する際に、電荷発生層が十分な均質体構造になっていないと、微少ドットの輪郭が鮮明にならず、必ずしも小径ビームの利点を利用し切れておらず、電荷発生層の均質化(即ち、電荷発生物質粒子の微細化)が考慮されていなかった。
このように、短波長発振のレーザーを用いて小径ビームを形成し、高密度書き込みを実現する画像形成装置を設計するために発生するプロセス上の制約(要望)に対して、感光体の開発が十分とはいえない状況であり、安定した繰り返し画像形成を実現するための感光体開発が十分でないのが実情であった。
近年、上記プリンターや複写機は装置の小型化、高速化、高画質化が要望されている。
小型化の課題に対しては、コンパクトな帯電方式として、ローラ形状であり、感光体と接触する形態を有する接触方式の帯電部材が用いられている。この方式は、ワイヤー方式(コロトロン、スコロトロン)に比べて、帯電部材への印加バイアスが低く抑えられることから、帯電部材に使用されるパワーパックの容量が小さくて済み、使用電力の低減化に非常に有利な方式である。また、帯電の際に帯電部材と感光体間の電界強度さが小さくて済むことから、オゾンやNOxといった酸化性ガスの発生量も低減化され、環境に与える影響及び電子写真感光体への影響も低減化される。このため、異常画像の発生や感光体の劣化を防止できる。
例えば、帯電ローラを帯電部材とし、感光体に帯電ローラを接触させる接触帯電装置が開示されている(特許文献11参照)。帯電ローラの表面は誘電体であり、帯電ローラの回転方向が感光体の回転方向と同じ(帯電ローラと感光体との最近接部での移動する向きが逆)である。帯電ローラの表面が誘電体であるため、感光体上にピンホールなどがあっても、対向する帯電部材のピンホール周辺の表面に電荷がなくなることはなく、これによる感光体上の未帯電部分が発生しない。さらに、帯電ローラを上記の方向に回転させることにより、感光体と誘電体のそれぞれが帯電されても、感光体は順次帯電電位が低い誘電体と接触するようになるため、低い印加電圧で感光体を所望の電位に帯電することが可能になる。このように、帯電用のローラが感光体に接触された状態で使用されるものである。
ところが、前記接触帯電装置には、(1)帯電ローラ跡、(2)帯電音、(3)感光体上のトナーなどが帯電部材に付着することによる帯電性能の低下、(4)帯電部材を構成している物質の感光体への付着、及び(5)感光体を長期停止したときに生じる、帯電部材の永久変形、などの問題点がある。
帯電ローラ跡は、帯電部材を構成している物質が帯電部材から滲みだし、被帯電体の停止期間中に被帯電体の表面に付着移行するために起こる。また帯電音は、帯電部材に交流電圧を印加したときに被帯電体に接触している帯電部材が振動するために起こる。このような問題を解決する方法として、帯電部材を非接触に感光体に近接させる近接帯電装置が考案されている。近接帯電装置は、帯電装置を、感光体との最近接部での距離が0.005〜0.3mmになるように対向させ、帯電部材に電圧を印加することにより、感光体の帯電を行う帯電装置である。近接帯電装置では、帯電装置と感光体とが接触していないために、接触帯電装置で問題となる「帯電部材を構成している物質の感光体への付着」、「感光体を長期停止したときに生じる永久変形」は問題とならない。また、「感光体上のトナーなどが帯電部材に付着することによる帯電性能の低下」に関しても、帯電部材に付着するトナーが少なくなるため、近接帯電装置の方が優れている。このような近接帯電の例としては、例えば、特許文献12〜21などが挙げられる。
しかしながら、感光体と帯電部材が非接触した状態での帯電を行うとはいえ、その帯電は感光体と帯電部材間での微少ギャップでの放電現象に基づくものであるため、感光体もしくは帯電部材の抵抗が低い部分が局所的に存在したり、帯電ニップ中に導電性の異物などが混入したりすると、感光体が絶縁破壊を起こしやすいという問題が発生する場合がある。この点に関しては、接触帯電部材が抱える問題がそのまま残っていると言っても過言ではない。
特開2001−19871号公報 特開平3−37678号公報 特開2002−341567号公報 特開2001−281578号公報 特開昭60−33019公報 特開2003−205642号公報 特開2002−113903号公報 特開2002−107988号公報 特開2002−303997号公報 特開2000−105479号公報 特開平4−336556号公報 特開平2−148059号公報 特開平5−127496号公報 特開平5−273837号公報 特開平5−307279号公報 特開平6−308807号公報 特開平8−202126号公報 特開平9−171282号公報 特開平10−288881号公報 特開2002−148904号公報 特開2002−148905号公報
本発明は、かかる現状に鑑みてなされたものであり、従来における前記諸問題を解決し、以下の目的を達成することを課題とする。即ち、本発明の第1の目的は、高速で繰り返し使用した際に、異常画像の発生がなく、高画質な画像を出力する画像形成装置を提供することにある。具体的には、システム線速が300mm/sec以上の高速で高画質な画像を形成するため、帯電と書き込みにより感光体上に形成された静電潜像を複数の現像スリーブを有する現像部材により現像することにより、感光体上にトナー像を形成する画像形成装置において、特定粒子サイズで特定結晶型のチタニルフタロシアニン結晶を含有する感光体を使用することにより、チタニルフタロシアニン固有の高感度を維持し、高耐久で高速画像出力が可能な画像形成装置を提供するところにある。
本発明の第2の目的は、小径ビームでの高密度書き込みを行い、得られた静電潜像を小粒径トナーで現像する画像形成装置で繰り返し使用した際に、異常画像の発生がなく、安定で解像度の高い画像を出力する画像形成装置を提供することにある。具体的には、少なくとも600dpi以上の解像度を有する露光手段、体積平均粒径が3〜7μmのトナーにより感光体の静電潜像を現像する現像手段を有する画像形成装置において、特定粒子サイズであり、かつ特定結晶型のチタニルフタロシアニン結晶を含有する感光体層を有する感光体を使用し、帯電部材により30V/μm以上の電界強度が形成されるように感光体に帯電を行い、書き込みを行うことにより静電潜像を形成した後、小粒径のトナーを用いて現像を行うことにより、チタニルフタロシアニン固有の高感度を維持し、高耐久で高解像度な画像が安定して出力することが可能な画像形成装置を提供するところにある。
本発明の第3の目的は、高速で繰り返し使用した際に、異常画像の発生がなく、安定した状態で画像を出力する画像形成装置を提供することにある。具体的には、高速で高画質な画像を形成するため、直接転写方式により感光体上に形成されたトナー像を被転写体に転写する方式を採用した画像形成装置において、特定粒子サイズであり、かつ特定結晶型のチタニルフタロシアニン結晶を含有する感光体層を有する感光体を使用することにより、チタニルフタロシアニン固有の高感度を維持し、高耐久で高速画像出力が可能な画像形成装置を提供するところにある。
本発明の第4の目的は、高速で繰り返し使用した際に、異常画像の発生がなく、安定した状態で画像を出力する画像形成装置を提供することにある。具体的には、プリント速度が大きい高速で画像を形成するため、除電−帯電時間が0.15秒以下の画像形成装置において、特定粒子サイズであり、かつ特定結晶型のチタニルフタロシアニン結晶を含有する感光体層を有する感光体を使用することにより、チタニルフタロシアニン固有の高感度を維持し、高耐久で高速画像出力が可能な画像形成装置を提供するところにある。
本発明の第5の目的は、高速で繰り返し使用した際に、異常画像の発生がなく、安定で解像度の高い画像を出力する画像形成装置を提供することにある。具体的には、システム線速が300mm/sec以上の高速で高画質な画像を形成するため、複数のレーザービームを用いてマルチビーム露光を行って静電潜像を形成する画像形成装置において、特定粒子サイズであり、かつ特定結晶型のチタニルフタロシアニン結晶を含有する感光体層を有する感光体を使用することにより、チタニルフタロシアニン固有の高感度を維持し、高耐久で高速画像出力が可能な画像形成装置を提供するところにある。
本発明の第6の目的は、短波長光源を用い高密度書き込みを行い、繰り返し使用した際に、異常画像の発生がなく、安定した状態で画像を出力する画像形成装置を提供することにある。具体的には、高精細な画像を形成するため、書き込み光源に380〜450nmの波長範囲に発振波長を有する光源を使用する画像形成装置において、特定粒子サイズであり、かつ特定結晶型のチタニルフタロシアニン結晶を含有する感光体層を有する感光体を使用することにより、チタニルフタロシアニン固有の高感度を維持し、高耐久で高速画像出力が可能な画像形成装置を提供するところにある。
本発明の第7の目的は、コンパクトな画像形成装置であり、高速で繰り返し使用した際に、異常画像の発生がなく、安定で解像度の高い画像を出力する画像形成装置を提供することにある。具体的には、高画質な画像を形成するため、感光体表面と帯電部材表面との空隙が100μm以下になる様に近接配置された非接触方式の帯電手段により30V/μm以上の電界強度が形成されるように感光体に帯電を行い、更に600dpi以上の書き込み光源による書き込みを行うことにより静電潜像を形成する画像形成装置において、特定粒子サイズであり、かつ特定結晶型のチタニルフタロシアニン結晶を含有する感光体層を有する感光体を使用することにより、チタニルフタロシアニン固有の高感度を維持し、高耐久で高速画像出力が可能な画像形成装置を提供することにある。また、近接配置された非接触帯電部材使用時に特有の感光体絶縁破壊の問題を解決し、感光体の長寿命化を可能にすることで、安定した画像出力を長期にわたり可能にした画像形成装置を提供することにある。
本発明者らは、前記課題を解決するため、システム線速が300mm/sec以上である高速デジタル電子写真装置において、繰り返し使用時においても異常画像の発生が少なく、高画質な画像を出力するため数々の検討を行った結果、感光体上に帯電と書き込みを行い形成された静電潜像を複数の現像スリーブを有する現像部材により現像を行い感光体上にトナー像を形成し、かつ電子写真感光体が導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を順に積層してなる電子写真感光体であり、該電荷発生層中にCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ、前記7.3°のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ1次粒子の平均粒子サイズが0.25μm未満のチタニルフタロシアニン結晶を含むことによって、上記問題点を解決できることを見出した。
このような300mm/sec以上のシステム線速は、電子写真における一般的なシステム線速よりも大きいものであり、このシステム線速により感光体周りのプロセスに対して様々な課題を生み出すものである。中でも、現像の問題は顕著であり一般的に用いられる単数の現像スリーブによる現像では現像効率が低く、上述のような高線速のプロセスに対応することが困難である。これに対応するため、複数の現像スリーブを有する現像部材を用いた現像方式においては、繰り返し使用時における感光体への静電疲労の増加と地汚れ余裕度の低下を生み出し、高速プリント時の高現像効率と高画質に両立を困難にしている。
これまで、高線速の画像形成装置用感光体の電荷発生物質として用いられてきた前述のCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を用いた場合には、繰り返し使用による静電疲労の増加(主に帯電性及び帯電保持性が低下)すると共に、スキャベンジング効果低減のために発生する地汚れ余裕度の低下により、地汚れ発生を抑制しきれずにいた。
このように、プロセスを制御する有効な手段が開発されていながら、その特長を生かす有効な感光体が開発されてないため、高速現像のために多段現像を使用することができずに、感光体上へ書き込まれた静電潜像に忠実なトナー現像ができないといった問題点が残存しているのが現状であるが、本発明ではこれを解決している。一方、本発明のように特定粒子サイズであり、特定結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶を含有する感光体を上述のような画像形成装置に用いることにより、その両立を果たしている。本発明の効果の詳細な理由は不明であるが、我々の検討結果では、ここまでに知られている27.2゜に最大回折ピークを他のチタニルフタロシアニン結晶に比べ、本発明に用いられるチタニルフタロシアニン結晶の化学的な安定性が高いことに由来し、地汚れの発生を低減化できることに起因しているものと推定される。
即ち、本発明の画像形成装置は、第一形態では、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する複数の現像スリーブを有する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有し、前記画像形成装置が、300mm/sec以上のシステム線速で動作すると共に、前記静電潜像担持体が、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均サイズが0.25μm以下である。
本発明者らは、小径ビームでの高密度書き込みを行い、得られた静電潜像を小粒径トナーで現像する画像形成装置において、その効果をより鮮明に引き出すための数々の検討を行ったところ、小径ビームでの書き込み径に対応した静電潜像を形成するためには、現像時の感光体にかかる電界強度を30V/μm以上に設定する必要性を見いだした。このように従来より高めの電界強度に設定することにより、感光体を構成する支持体(基板)と表面との間に生じる電気力線が増大され、感光体内部で発生した電荷が拡散することなく、表面電荷に対してほぼ直線的に移動することになり、書き込まれたビーム径とほぼ同等の大きさの静電潜像ドットを形成できることになる。
また、このような条件下で画像形成装置を繰り返し使用した場合には、感光体にかかる電界強度大きいため、ネガ・ポジ現像時に特有の地汚れが発生しやすくなり、これは電界強度の大きさに依存することが分かった。電界強度を低めに設定することにより、地汚れは低減されるが、上述の小径ビーム書き込み及び小粒径トナー現像による高精細なトナー像形成という効果を活かすことができない。即ち、地汚れ発生と高精細のトナー像形成は、現像時の感光体電界強度に依存してトレード・オフの関係を有している。従って、このトレード・オフの関係を解消しない限り、高精細なトナー像形成技術を活かし、繰り返し使用時においても安定して高品質な画像を形成することができない。
本発明者らは、感光体を構成する材料に注目し、上記トレード・オフを解消できる感光体材料の開発を行ったところ、CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ、前記7.3°のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ1次粒子の平均粒子サイズが0.25μm未満のチタニルフタロシアニン結晶を感光体の電荷発生物質に用いることにより、上記課題を解決できることを見いだした。
このような感光体に印加する電荷強度30V/μm以上は、電子写真における一般的な電界強度よりも大きいものであり、高精細なトナー像を形成するための高解像度の書き込み及び小粒径トナー現像を行う画像形成装置装置において、より効果を得られるものである。本発明の効果の詳細な理由は不明であるが、我々の検討結果では、ここまでに知られている27.2゜に最大回折ピークを他のチタニルフタロシアニン結晶に比べ、本発明に用いられるチタニルフタロシアニン結晶の化学的な安定性が高いことに由来し、地汚れの発生を低減化できることに起因しているものと推定される。
ところで、書き込み光のビームを小さくして、形成されるドットを小さくすることにより解像度を向上することは既に知られている。また、感光体への印加電圧を高くして、感光体にかかる電界強度を大きくすることにより、感光体内部で生成した光キャリアの移動の直線性を増し、静電潜像におけるドットの拡散を押さえることも既に知られている。これらを組み合わせることができれば、感光体内部で小さい径のドット(光キャリアの群)を形成し、電極(支持体)と感光体表面の間の電気力線を強めることにより、光キャリアの持つクーロン反発を抑え、光キャリアを電気力線に沿って移動させることにより、小径ビームで書き込んだドットの形状そのものが感光体表面電位プロフィール(静電潜像のドット)として形成できることになる。更には、現像手段として、小粒径のトナーを用いて現像することにより、静電潜像のドットを忠実に現像を行えることも同様に知られており、上記技術と組み合わせることにより、高精細な現像(トナー像形成)を行えることになる。
しかしながら、感光体に印加する電界強度の上昇は、支持体から感光層への電荷注入、感光層内部での熱キャリア発生の促進を促し、結果として地汚れの発生を促進させてしまう。この現象は、一般的には光キャリア発生効率の高い電荷発生物質を用いた場合には顕著であり、前記CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を用いた場合には、電界強度として高々30V/μm程度未満の領域で使用されているのが実情であった。
このように、プロセスを制御する有効な手段が開発されていながら、その特長を生かす有効な感光体が開発されてないため、高画質化のために高い電界強度を印加することができずに、感光体上への書き込みドットに忠実な静電潜像の形成、静電潜像に忠実なトナー現像ができないといった問題点が残存しているのが現状であるが、本発明ではこれを解決している。
また、本発明のように小粒径トナーを用いて現像する場合には、小径静電潜像ドットをキチンと作製することがこの技術を活かすことであることは既に述べた。本発明のように帯電性及び光減衰特性が良好な電荷発生物質を使用した上で、この電荷発生物質の平均粒子サイズをより細かくし、その分布を狭める(均一な電荷発生層の形成)ことにより、上記小径ドットの輪郭がよりシャープになることも明らかになった。
ここで、図8及び図9には、電荷発生層に含有する電荷発生物質粒子のサイズが細かい場合と大きい場合に同じ大きさのビームにて書き込みを行った際の静電潜像の概略図を示す。図8に示されるように、電荷発生物質の粒子サイズが細かくかつ粒度分布が狭いような場合には、ドットの輪郭がシャープであり、一方粒子サイズが大きくかつ粒度分布が広い(もしくは粗大粒子を含んでいる)ような場合には、図9に示すようにドットの輪郭が崩れ鮮明性に欠けるものである。従って、粒子サイズが細かくかつ粒度分布が狭い電荷発生層を用いることにより、小粒径トナーを使用して高精細なドット形成の技術が更に効果的になることを知見した。
即ち、本発明の画像形成装置は、第二形態では、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有し、前記静電潜像形成手段が、少なくとも帯電器と、600dpi以上の解像度を有する露光器とを有し、該帯電器により前記静電潜像担持体表面を下記数式(1)で表される電界強度が30V/μm以上となるように印加すると共に、前記トナーの体積平均粒径が3〜7μmであり、かつ前記静電潜像担持体が、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均サイズが0.25μm以下である。
<数式(1)>
電界強度(V/μm)=SV/G
ただし、前記数式(1)中、SVは、現像位置における静電潜像担持体の未露光部における表面電位(V)を表す。Gは、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を含む感光層の膜厚(μm)を表す。
また、本発明者らは、直接転写方式を採用した高速画像形成装置において、繰り返し使用時においても異常画像の少ない画像形成を行うため数々の検討を行ったところ、使用する電子写真感光体が導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を順に積層してなる電子写真感光体であり、該電荷発生層中にCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ、前記7.3°のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ1次粒子の平均粒子サイズが0.25μm未満のチタニルフタロシアニン結晶を含むことによって、上記問題点を解決できることを見出した。
上述の高速画像形成における異常画像(地汚れ)の問題は、感光体の帯電時における電荷リーク現象によるものと理解された。
なお、本発明の効果の詳細な理由は不明であるが、地汚れに関しては、ここまでに知られている27.2゜に最大回折ピークを他のチタニルフタロシアニン結晶に比べ、本発明に用いられるチタニルフタロシアニン結晶の化学的な安定性が高いことに由来し、地汚れの発生を低減化できることに起因しているものと推定される。また、本発明のチタニルフタロシアニン結晶は上述のように化学的安定性が高いことを含め、高いキャリア発生能を有し、更に十分な微粒子化が施してあるため、感光体バルク内の電界強度の不均一性が抑制されていることに依るものと考えられる。
このように、高速化を実現するための基本的な設計が行われていながら、その特長を生かす有効な感光体が開発されてないため、安定した画像形成が実現できずに、様々な画像形成に対応できないといった問題点が残存しているのが現状であるが、本発明ではこれを解決している。
即ち、本発明の画像形成装置は、第三形態では、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有し、前記転写手段が、前記静電潜像担持体表面に現像された可視像を記録媒体に直接転写すると共に、前記静電潜像担持体が、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均サイズが0.25μm以下である。
本発明者らは、除電−帯電時間が0.15秒以下の高速画像形成装置において、繰り返し使用時においても異常画像の少ない画像形成を行うため数々の検討を行ったところ、使用する電子写真感光体が導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を順に積層してなる電子写真感光体であり、該電荷発生層中にCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ、前記7.3°のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ1次粒子の平均粒子サイズが0.25μm未満のチタニルフタロシアニン結晶を含むことによって、上記問題点を解決できることを見出した。
上述の高速画像形成における異常画像(地汚れと残像)の問題は、感光体における電荷リーク現象と除電時の均一なキャリア発生不足によるものと理解された。
本発明の効果の詳細な理由は不明であるが、地汚れに関しては、ここまでに知られている27.2゜に最大回折ピークを他のチタニルフタロシアニン結晶に比べ、本発明に用いられるチタニルフタロシアニン結晶の化学的な安定性が高いことに由来し、地汚れの発生を低減化できることに起因しているものと推定される。
また、残像現象に関しては短時間で強露光の除電を行うため、キャリア発生における相反則不軌現象により、低電界時でのキャリア発生効率の低下が起こり、表面電荷を十分に低下できないことに由来している。これに対し、本発明のチタニルフタロシアニン結晶は上述のように化学的安定性が高いことを含め、高いキャリア発生能を有し、更に十分な微粒子化が施してあるため、相反則不軌現象が抑制されていることに依るものと考えられる。
ここで、図10には、感光体に用いる電荷発生物質の粒子サイズを変更した場合の2種類の感光体の光減衰特性を示す。粒子サイズが大きい場合には(図10のB)、光減衰速度が遅めに推移している以外に、低電界領域(感光体表面電位の低い領域)では、光減衰のなまりを生じている。これにより飽和減衰電位が高めで飽和している。一方、粒子サイズを十分に小さく制御した場合には(図10のA)、光減衰の裾切れが良好であり、低電界においても十分に光減衰し、飽和電位も低い。
ところで、静電潜像を現像する場合においては、図10に示すBの光減衰でも飽和電位よりも十分に高い現像バイアスを設定することで現像は可能である。しかしながら、除電後の帯電においてはこの電位差の影響は大きく、帯電能力の低い帯電部材を使用した場合や非常に高線速で感光体を動作した場合には、帯電の均一性の確保が難しくなる。このため、今まで使用されてきたような画像形成装置ではそれほど問題にならなかった帯電不均一性も、高速かつ高画質を求められる画像形成装置においては、かなり大きな問題となる。
このように、高速化を実現するための基本的な設計が行われていながら、その特長を生かす有効な感光体が開発されてないため、安定した画像形成が実現できずに、様々な画像形成に対応できないといった問題点が残存しているのが現状であるが、本発明ではこれを解決している。
即ち、本発明の画像形成装置は、第四形態では、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段と、除電手段とを少なくとも有し、前記静電潜像形成手段が、少なくとも帯電器と、露光器とを有し、かつ下記数式(2)で表される除電−帯電間の時間が0.15秒以下であると共に、前記静電潜像担持体が、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均サイズが0.25μm以下である。
<数式(2)>
除電−帯電間の時間(秒)=P/S
ただし、前記数式(2)中、Pは、除電手段の中心に正対した静電潜像担持体表面と帯電器中心に対応した静電潜像担持体表面の周長(mm)を表す。Sは、システム線速(mm/秒)を表す。
本発明者らは、小型高速デジタル電子写真装置において、繰り返し使用時においても高精細の画像を出力するため数々の検討を行ったところ、システム線速が300mm/sec以上であり、複数のレーザービームを用いて感光体表面に静電潜像を形成するためのマルチビーム露光を行い、かつ電子写真感光体が導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を順に積層してなる電子写真感光体であり、該電荷発生層中にCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ、前記7.3°のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ1次粒子の平均粒子サイズが0.25μm未満のチタニルフタロシアニン結晶を含むことによって、上記問題点を解決できることを見出した。
更に、感光体に下記数式(1)で表される電界強度が30(V/μm)以上の帯電を行うことで、上記問題点をより効果的に解決できることを見出した。
<数式(1)>
電界強度(V/μm)=SV/G
ただし、前記数式(1)中、SVは、現像位置における静電潜像担持体の未露光部における表面電位(V)を表す。Gは、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を含む感光層の膜厚(μm)を表す。
このような感光体に印加する電界強度30V/μm以上は、電子写真における一般的な電界強度よりも大きいものであり、特に、高速で高解像度の書き込みを行う複数のレーザービームを用いて感光体表面に静電潜像を形成するためのマルチビーム露光を行う高速デジタル電子写真装置において、より効果を得られるものである。しかし、前述の如く、従来公知のチタニルフタロシアニンを用いた場合は高電界強度下では、種々の不具合が発生し、実使用上は、より低電界強度下で使わざるを得ない状況であった。
なお、本発明の効果の詳細な理由は不明であるが、我々の検討結果では、ここまでに知られている27.2゜に最大回折ピークを他のチタニルフタロシアニン結晶に比べ、本発明に用いられるチタニルフタロシアニン結晶の化学的な安定性が高いことに由来し、地汚れの発生を低減化できることに起因しているものと推定される。
ところで、書き込み光のビームを小さくして、形成されるドットを小さくすることにより解像度を向上することは既に知られている。また、感光体への印加電圧を高くして、感光体にかかる電界強度を大きくすることにより、感光体内部で生成した光キャリアの移動の直線性を増し、静電潜像におけるドットの拡散を押さえることも既に知られている。これらを組み合わせることができれば、感光体内部で小さい径のドット(光キャリアの群)を形成し、電極(支持体)と感光体表面の間の電気力線を強めることにより、光キャリアの持つクーロン反発を抑え、光キャリアを電気力線に沿って移動させることにより、小径ビームで書き込んだドットの形状そのものが感光体表面電位プロフィール(静電潜像のドット)として形成できることになる。
しかしながら、感光体に印加する電界強度の上昇は、支持体から感光層への電荷注入、感光層内部での熱キャリア発生の促進を促し、結果として地汚れの発生を促進させてしまう。この現象は、一般的には光キャリア発生効率の高い電荷発生物質を用いた場合には顕著であり、前述のCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を用いた場合には、電界強度として高々30V/μm程度未満の領域で使用されているのが実情であった。
このように、プロセスを制御する有効な手段が開発されていながら、その特長を生かす有効な感光体が開発されてないため、高画質化のために高い電界強度を印加することができずに、感光体上への書き込みドットに忠実な静電潜像の形成、静電潜像に忠実なトナー現像ができないといった問題点が残存しているのが現状であるが、本発明ではこれを解決している。
即ち、本発明の画像形成装置は、第五形態では、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有し、前記静電潜像形成手段が、少なくとも帯電器と、複数のレーザービームを用いて前記静電潜像担持体表面に静電潜像を形成するマルチビーム露光を行う露光器とを有し、かつ前記画像形成装置が、300mm/sec以上のシステム線速で動作すると共に、前記静電潜像担持体が、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均サイズが0.25μm以下である。
本発明者らは、書き込み光源に380〜450nmの波長範囲に発振波長を有する光源を使用する画像形成装置において、繰り返し使用時においても異常画像の少ない画像形成を行うため数々の検討を行った結果、使用する電子写真感光体が導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を順に積層してなる電子写真感光体であり、該電荷発生層中にCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ、前記7.3°のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ1次粒子の平均粒子サイズが0.25μm未満のチタニルフタロシアニン結晶を含むことによって、上記問題点を解決できることを見出した。
上述の画像形成における地汚れの問題は、感光体における電荷リーク現象によるものと理解された。本発明の効果の詳細な理由は不明であるが、地汚れに関しては、ここまでに知られている27.2゜に最大回折ピークを他のチタニルフタロシアニン結晶に比べ、本発明に用いられるチタニルフタロシアニン結晶の化学的な安定性が高いことに由来し、地汚れの発生を低減化できることに起因しているものと推定される。
また、微少ドット輪郭の不鮮明さは、電荷発生層における不均一性に基づくものであり、本発明のように電荷発生層における電荷発生物質粒子が十分に微細化してあると、光学的に電荷発生層が均質体構造となり、潜像ドットにおける輪郭が非常にシャープになる。このことは、ここまで使用されてきた光源としての780nmLD等と比べて、書込波長が短くなった分、粒子サイズを更に小さくしなければならないという書込波長と粒子サイズの関係から来る課題であり、ここまでの書き込み光源に対応した電荷発生層では対応ができない問題であると考えられる。
ここで、図8及び図9には、それぞれ電荷発生層に含有する電荷発生物質粒子のサイズが細かい場合と大きい場合に同じ大きさのビームにて書き込みを行った際の静電潜像の概略図を示す。図8に示されるように、電荷発生物質の粒子サイズが細かくかつ粒度分布が狭いような場合には、ドットの輪郭がシャープであり、一方粒子サイズが大きくかつ粒度分布が広い(もしくは粗大粒子を含んでいる)ような場合(図9参照)には、ドットの輪郭が崩れ鮮明性に欠けるものである。従って、粒子サイズが細かくかつ粒度分布が狭い電荷発生層を用いることにより、小粒径トナーを使用して高精細なドット形成の技術が更に効果的になる。更に、短波長レーザーを用い小径ビームを形成した場合、単位面積当たりの入射フォトン数が増え、電荷発生物質に照射される単位時間あたりのフォトン数が増えることになる。この結果、低電界時でのキャリア発生効率の低下が起こり、表面電荷を十分に低下できない場合が発生する。これは、キャリア発生において相反則不軌現象が起こることに由来している。
前記相反則不軌が起こる理由は幾つかある。例えば、(i)電荷発生粒子内で発生した励起子が、粒子表面に到達し、フリーキャリアする前に失活してしまうこと、(ii)生成したフリーキャリアが電荷輸送物質にキャリアを渡す前に再結合(ジェミネート・リコンビネーション)してしまうこと等が挙げられる。これらの原因としては、電荷発生物質粒子のサイズが大きすぎ、体積(書き込み方向に対する断面積)に比例して受け取るフォトン数に対して、十分な表面積を有せないことに端を発するものである。
ここで、図10には、感光体に用いる電荷発生物質の粒子サイズを変更した場合の2種類の感光体の光減衰特性を示す。粒子サイズが大きい場合には(図10のA)、光減衰速度が遅めに推移している以外に、低電界領域(感光体表面電位の低い領域)では、光減衰のなまりを生じている。これにより飽和減衰電位が高めで飽和している。一方、粒子サイズを十分に小さく制御した場合には(図10のB)、光減衰の裾切れが良好であり、低電界においても十分に光減衰し、飽和電位も低い。
本発明において、上述のような不具合が発生しない理由に関しては、本発明で使用するチタニルフタロシアニン結晶が、上述のように化学的安定性が高いことを含め、高いキャリア発生能を有し、更に十分な微粒子化が施してあるため、相反則不軌現象が抑制されていることに依るものと考えられる。
このように、高画質化を実現するための基本的な設計或いは個別要素技術が行われていながら、その特長を生かす有効な感光体が開発されてないため、安定した画像形成が実現できずに、様々な画像形成に対応できないといった問題点が残存しているのが現状であるが、本発明ではこれを解決している。
即ち、本発明の画像形成装置は、第六形態では、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有し、前記静電潜像形成手段が、少なくとも380〜450nmの波長範囲に発振波長を有する書き込み装置と、帯電器とを有し、該帯電器により前記静電潜像担持体表面を下記数式(1)で表される電界強度が30V/μm以上となるように印加すると共に、前記静電潜像担持体が、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均サイズが0.25μm以下である。
<数式(1)>
電界強度(V/μm)=SV/G
ただし、前記数式(1)中、SVは、現像位置における静電潜像担持体の未露光部における表面電位(V)を表す。Gは、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を含む感光層の膜厚(μm)を表す。
本発明者らは、前記課題を解決するため、小型高速デジタル電子写真装置において、繰り返し使用時においても高精細の画像を出力するため数々の検討を行った結果、感光体表面と帯電部材表面との空隙が100μm以下になる様に近接配置された非接触方式の帯電手段により感光体に印加される電界強度が30V/μm以上になるように帯電を施し、600dpi以上の解像度を有する書き込みを行い、かつ電子写真感光体が導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と電荷輸送層を順に積層してなる電子写真感光体であり、該電荷発生層中にCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ、前記7.3°のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、更に26.3゜にピークを有する1次粒子の平均粒子サイズが0.25μm未満のチタニルフタロシアニン結晶を含むことによって、上記問題点を解決できることを見出した。
このような感光体に印加する電荷強度30V/μm以上は、電子写真における一般的な電界強度よりも大きいものであり、高解像度の書き込みを行う高速デジタル電子写真装置において、より効果を得られるものである。本発明の効果の詳細な理由は不明であるが、我々の検討結果では、ここまでに知られている27.2゜に最大回折ピークを他のチタニルフタロシアニン結晶に比べ、本発明に用いられるチタニルフタロシアニン結晶の化学的な安定性が高いことに由来し、地汚れの発生を低減化できることに起因しているものと推定される。
ところで、書き込み光のビームを小さくして、形成されるドットを小さくすることにより解像度を向上することは既に知られている。また、感光体への印加電圧を高くして、感光体にかかる電界強度を大きくすることにより、感光体内部で生成した光キャリアの移動の直線性を増し、静電潜像におけるドットの拡散を押さえることも既に知られている。これらを組み合わせることができれば、感光体内部で小さい径のドット(光キャリアの群)を形成し、電極(支持体)と感光体表面の間の電気力線を強めることにより、光キャリアの持つクーロン反発を抑え、光キャリアを電気力線に沿って移動させることにより、小径ビームで書き込んだドットの形状そのものが感光体表面電位プロフィール(静電潜像のドット)として形成できることになる。
しかしながら、感光体に印加する電界強度の上昇は、支持体から感光層への電荷注入、感光層内部での熱キャリア発生の促進を促し、結果として地汚れの発生を促進させてしまう。また、電界強度の上昇は上述の問題を発生させるだけでなく、感光体を絶縁破壊してしまうという問題も有している。この絶縁破壊は、特に接触帯電部材を用いる際に顕著な問題として挙げられるものであるが、帯電部材と感光体との間の微小空間における放電現象により、感光体或いは帯電ローラにおける局所的な欠陥(特に抵抗の低い部分)に電界が集中し、落雷現象が起こり、感光体そのものに穴を空けてしまう現象である。
これらの現象は、一般的には光キャリア発生効率の高い電荷発生物質を用いた場合には顕著であり、前述のCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を用いた場合には、電界強度として高々30V/μm程度以下の領域で使用されているのが実情であった。
このように、プロセスを制御する有効な手段が開発されていながら、その特長を生かす有効な感光体が開発されてないため、高画質化のために高い電界強度を印加することができずに、感光体上への書き込みドットに忠実な静電潜像の形成、静電潜像に忠実なトナー現像ができないといった問題点が残存しているのが現状であるが、本発明ではこれを解決している。
即ち、本発明の画像形成装置は、第七形態では、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有し、前記静電潜像形成手段が、少なくとも帯電器と、600dpi以上の解像度を有する露光器とを有し、該帯電器表面と前記静電潜像担持体表面との空隙が100μm以下になるように近接配置された非接触方式であり、かつ前記帯電器により前記静電潜像担持体表面を下記数式(1)で表される電界強度が30V/μm以上となるように印加すると共に、前記静電潜像担持体が、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均サイズが0.25μm以下である。
<数式(1)>
電界強度(V/μm)=SV/G
ただし、前記数式(1)中、SVは、現像位置における静電潜像担持体の未露光部における表面電位(V)を表す。Gは、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を含む感光層の膜厚(μm)を表す。
また、本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成要素を複数配列してなる、所謂タンデム型の画像形成装置において、特定粒子サイズであり、かつ特定結晶型のチタニルフタロシアニン結晶を含有する感光体層を有する静電潜像担持体を採用することによって、従来からの課題である毎分50枚以上の高速印刷が可能となり、かつ高画質化も達成できることを知見した。
即ち、本発明の画像形成装置は、第八形態では、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成要素を複数配列してなるタンデム型の画像形成装置であって、前記静電潜像担持体が、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均サイズが0.25μm以下である。
また、本発明者らは、前記課題を解決するため鋭意検討を重ねた結果、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成した静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段と、クリーニング手段とを少なくとも一体に有するプロセスカートリッジにおいて、特定粒子サイズであり、かつ特定結晶型のチタニルフタロシアニン結晶を含有する感光体層を有する静電潜像担持体を採用することによって、従来からの課題である毎分50枚以上の高速印刷が可能となり、かつ高画質化も達成できると共に、利便性が向上することを知見した。
即ち、本発明の画像形成装置は、第九形態では、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成した静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段と、クリーニング手段とを少なくとも一体に有するプロセスカートリッジを着脱自在に搭載してなる画像形成装置であって、前記静電潜像担持体が、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均サイズが0.25μm以下である。
本発明は、本発明者らの前記知見に基づくものであり、前記課題を解決するための手段としては、以下の通りである。即ち、
<1> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する複数の現像スリーブを有する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、
前記画像形成装置が、300mm/sec以上のシステム線速で動作すると共に、前記静電潜像担持体が、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均サイズが0.25μm以下であることを特徴とする画像形成装置である。
<2> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、
前記静電潜像形成手段が、少なくとも帯電器と、600dpi以上の解像度を有する露光器とを有し、該帯電器により前記静電潜像担持体表面を下記数式(1)で表される電界強度が30V/μm以上となるように印加すると共に、前記トナーの体積平均粒径が3〜7μmであり、かつ前記静電潜像担持体が、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均サイズが0.25μm以下であることを特徴とする画像形成装置である。
<数式(1)>
電界強度(V/μm)=SV/G
ただし、前記数式(1)中、SVは、現像位置における静電潜像担持体の未露光部における表面電位(V)を表す。Gは、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を含む感光層の膜厚(μm)を表す。
<3> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、
前記転写手段が、前記静電潜像担持体表面に現像された可視像を記録媒体に直接転写すると共に、前記静電潜像担持体が、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均サイズが0.25μm以下であることを特徴とする画像形成装置である。
<4> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段と、除電手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、
前記静電潜像形成手段が、少なくとも帯電器と、露光器とを有し、かつ下記数式(2)で表される除電−帯電間の時間が0.15秒以下であると共に、前記静電潜像担持体が、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均サイズが0.25μm以下であることを特徴とする画像形成装置である。
<数式(2)>
除電−帯電間の時間(秒)=P/S
ただし、前記数式(2)中、Pは、除電手段の中心に正対した静電潜像担持体表面と帯電器中心に対応した静電潜像担持体表面の周長(mm)を表す。Sは、システム線速(mm/秒)を表す。
<5> システム線速(S)が300mm/sec以上である前記<4>に記載の画像形成装置である。
<6> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、
前記静電潜像形成手段が、少なくとも帯電器と、複数のレーザービームを用いて前記静電潜像担持体表面に静電潜像を形成するマルチビーム露光を行う露光器とを有し、かつ前記画像形成装置が、300mm/sec以上のシステム線速で動作すると共に、前記静電潜像担持体が、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均サイズが0.25μm以下であることを特徴とする画像形成装置である。
<7> 帯電手段により静電潜像担持体表面に印加される帯電が、下記数式(1)で表される電界強度が30V/μm以上である前記<6>に記載の画像形成装置である。
<数式(1)>
電界強度(V/μm)=SV/G
ただし、前記数式(1)中、SVは、現像位置における静電潜像担持体の未露光部における表面電位(V)を表す。Gは、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を含む感光層の膜厚(μm)を表す。
<8> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、
前記静電潜像形成手段が、少なくとも380〜450nmの波長範囲に発振波長を有する書き込み装置と、帯電器とを有し、該帯電器により前記静電潜像担持体表面を下記数式(1)で表される電界強度が30V/μm以上となるように印加すると共に、前記静電潜像担持体が、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均サイズが0.25μm以下であることを特徴とする画像形成装置である。
<数式(1)>
電界強度(V/μm)=SV/G
ただし、前記数式(1)中、SVは、現像位置における静電潜像担持体の未露光部における表面電位(V)を表す。Gは、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を含む感光層の膜厚(μm)を表す。
<9> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置において、
前記静電潜像形成手段が、少なくとも帯電器と、600dpi以上の解像度を有する露光器とを有し、該帯電器表面と前記静電潜像担持体表面との空隙が100μm以下になるように近接配置された非接触方式であり、かつ前記帯電器により前記静電潜像担持体表面を下記数式(1)で表される電界強度が30V/μm以上となるように印加すると共に、前記静電潜像担持体が、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均サイズが0.25μm以下であることを特徴とする画像形成装置である。
<数式(1)>
電界強度(V/μm)=SV/G
ただし、前記数式(1)中、SVは、現像位置における静電潜像担持体の未露光部における表面電位(V)を表す。Gは、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を含む感光層の膜厚(μm)を表す。
<10> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成要素を複数配列してなるタンデム型の画像形成装置であって、
前記静電潜像担持体が、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均サイズが0.25μm以下であることを特徴とするタンデム型の画像形成装置である。
<11> 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成した静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段と、クリーニング手段とを少なくとも一体に有するプロセスカートリッジを着脱自在に搭載してなる画像形成装置であって、
前記静電潜像担持体が、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均サイズが0.25μm以下であることを特徴とするタンデム型の画像形成装置である。
<12> 電荷発生層が、チタニルフタロシアニン結晶粒子の平均粒子サイズが0.25μm以下であり、その標準偏差が0.2μm以下になるまで分散させた後、有効孔径が3μm以下のフィルターにて濾過を行ったチタニルフタロシアニン結晶含有分散液を導電性支持体上に塗工してなる前記<1>から<11>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<13> チタニルフタロシアニン結晶が、不定形チタニルフタロシアニン及び低結晶性チタニルフタロシアニンの少なくともいずれかを、水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行って、該結晶変換後におけるチタニルフタロシアニン結晶の一次粒子の平均粒子サイズが0.25μmより大きく成長する前に、前記有機溶媒より結晶変換後のチタニルフタロシアニン結晶を分別し、濾過して得られる前記<1>から<12>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<14> 不定形チタニルフタロシアニン及び低結晶性チタニルフタロシアニンの少なくともいずれかが、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、かつその回折ピークの半値巾が1゜以上であり、一次粒子の平均粒子サイズが0.1μm以下である前記<13>に記載の画像形成装置である。
<15> 電荷輸送層が、トリアリールアミン構造を主鎖及び側鎖の少なくともいずれかに含むポリカーボネートを含有する前記<1>から<14>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<16> 電荷輸送層上に保護層を有する前記<1>から<15>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<17> 保護層が、比抵抗1010Ω・cm以上の無機顔料及び金属酸化物から選択される少なくともいずれかを含む前記<16>に記載の画像形成装置である。
<18> 保護層が、更に高分子電荷輸送物質を含む前記<16>から<17>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<19> 保護層におけるバインダー樹脂が、架橋構造を有する前記<16>から<18>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<20> 架橋構造を有するバインダー樹脂の構造中に、電荷輸送部位を有する前記<19>に記載の画像形成装置である。
<21> 静電潜像担持体における導電性支持体の表面が、陽極酸化皮膜処理された前記<1>から<20>のいずれかに記載の画像形成装置である。
<22> 静電潜像形成手段における帯電器が、静電潜像担持体表面に交流重畳電圧印加を行う前記<1>から<21>のいずれかに記載の画像形成装置である。
本発明の第一形態に係る発明によると、従来における諸問題を解決でき、非常に高速な画像出力を行う画像形成装置であり、高速で繰り返し使用した際に、異常画像の発生がなく、安定で解像度の高い画像を出力する画像形成装置が提供できる。具体的には、非常に高速に画像形成を行うためシステム線速を300mm/sec以上で動作させ、この線速に対応した高速現像を行うために複数の現像スリーブを有する現像部材により現像を行う画像形成装置において、特定結晶型で特定粒子サイズのチタニルフタロシアニン結晶を含有する感光体を使用することにより、チタニルフタロシアニン固有の高感度を維持し、高耐久で高速画像出力が可能な画像形成装置が提供できる。
本発明の第二形態に係る発明によると、従来における諸問題を解決でき、小径ビームでの高密度書き込みを行い、得られた静電潜像を小粒径トナーで現像する画像形成装置で繰り返し使用した際に、異常画像の発生がなく、安定で解像度の高い画像を出力する画像形成装置を提供できる。具体的には、少なくとも600dpi以上の解像度を有する露光手段、体積平均粒径が3〜7μmのトナーにより感光体の静電潜像を現像する現像手段を有する画像形成装置において、特定粒子サイズで特定結晶型のチタニルフタロシアニン結晶を含有する感光体を使用し、帯電部材により30V/μm以上の電界強度が形成されるように感光体に帯電を行い、書き込みを行うことにより静電潜像を形成した後、小粒径のトナーを用いて現像を行うことにより、チタニルフタロシアニン固有の高感度を維持し、高耐久で高解像度な画像が安定して出力することが可能な画像形成装置が提供できる。
本発明の第三形態に係る発明によると、従来における諸問題を解決でき、非常に高速な画像出力を行う画像形成装置であり、高速で繰り返し使用した際に、異常画像の発生がなく、安定で解像度の高い画像を出力する画像形成装置が提供できる。具体的には、高画質を維持したまま、高速画像形成を行うために直接転写方式を使用する画像形成装置であり、これに用いる感光体として、特定結晶型で特定粒子サイズのチタニルフタロシアニン結晶を含有する感光体を使用することにより、チタニルフタロシアニン固有の高感度を維持し、高耐久で高速画像出力が可能な画像形成装置が提供できる。
本発明の第四形態に係る発明によると、従来における諸問題を解決でき、非常に高速な画像出力を行う画像形成装置であり、高速で繰り返し使用した際に、異常画像の発生がなく、安定で解像度の高い画像を出力する画像形成装置が提供できる。具体的には、高速画像形成を行うために感光体を高線速で回転させて使用し、除電部材と帯電部材に正対する位置の間を感光体表面が0.15秒以下で通過するような配置とした画像形成装置であり、これに用いる感光体として、特定結晶型で特定粒子サイズのチタニルフタロシアニン結晶を含有する感光体を使用することにより、チタニルフタロシアニン固有の高感度を維持し、高耐久で高速画像出力が可能な画像形成装置が提供できる。
本発明の第五形態に係る発明によると、従来における諸問題を解決でき、マルチレーザービーム露光を用いて非常に高速な画像出力を行う画像形成装置であり、高速で繰り返し使用した際に、異常画像の発生がなく、安定で解像度の高い画像を出力する画像形成装置が提供できる。具体的には、高画質な画像を形成するため、複数のレーザービームを用いて感光体表面に静電潜像を形成するためのマルチビーム露光を行うことで600dpi以上の書き込みを行うことにより静電潜像を形成する画像形成装置において、特定結晶型で特定粒子サイズのチタニルフタロシアニン結晶を含有する感光体を使用し、感光体線速が300mm/sec以上で動作させることにより、露光条件の違いによって引き起こされる細線画像、ドット画像の濃度、太さ、シャープさバラツキが押さえられ、良好なハーフトーン画像、カラー画像の再現性の良い、高精細で安定な高速画像出力が可能な画像形成装置が提供できる。
本発明の第六形態に係る発明によると、従来における諸問題を解決でき、非常に高速な画像出力を行う画像形成装置であり、高速で繰り返し使用した際に、異常画像の発生がなく、安定で解像度の高い画像を出力する画像形成装置が提供できる。具体的には、高速で高精細な画像形成を行うために書き込み光源に、380〜450nmの範囲に発振を有する光源を用いた画像形成装置であり、これに用いる感光体として、特定結晶型で特定粒子サイズのチタニルフタロシアニン結晶を含有する感光体を使用することにより、チタニルフタロシアニン固有の高感度を維持し、高耐久で異常画像の少ない安定した画像出力が可能な画像形成装置が提供できる。
本発明の第七形態に係る発明によると、従来における諸問題を解決でき、コンパクトな画像形成装置であり、高速で繰り返し使用した際に、異常画像の発生がなく、安定で解像度の高い画像を出力する画像形成装置が提供できる。具体的には、高画質な画像を形成するため、感光体表面と帯電部材表面との空隙が100μm以下になる様に近接配置された非接触方式の帯電部材により30V/μm以上の電界強度が形成されるように感光体に帯電を行い、更に600dpi以上の書き込み光源による書き込みを行うことにより静電潜像を形成する画像形成装置において、特定結晶型で特定粒子サイズのチタニルフタロシアニン結晶を含有する感光体を使用することにより、チタニルフタロシアニン固有の高感度を維持し、高耐久で高速画像出力が可能な画像形成装置が提供できる。
本発明の第一の形態から第六の形態に係る画像形成装置は、静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
即ち、第一形態では、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する複数の現像スリーブを有する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有し、300mm/sec以上のシステム線速で動作する。
第二形態では、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有し、前記静電潜像形成手段が、少なくとも帯電器と、600dpi以上の解像度を有する露光器とを有し、該帯電器により前記静電潜像担持体表面を電界強度が30V/μm以上となるように印加すると共に、前記トナーの体積平均粒径が3〜7μmである。
第三形態では、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有し、前記転写手段が、前記静電潜像担持体表面に現像された可視像を記録媒体に直接転写する。
第四形態では、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段と、除電手段とを少なくとも有し、前記静電潜像形成手段が、少なくとも帯電器と、露光器とを有し、かつ除電−帯電間の時間が0.15秒以下である。
第五形態では、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有し、前記静電潜像形成手段が、少なくとも帯電器と、複数のレーザービームを用いて前記静電潜像担持体表面に静電潜像を形成するマルチビーム露光を行う露光器とを有し、かつ前記画像形成装置が、300mm/sec以上のシステム線速で動作する。
第六形態では、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有し、前記静電潜像形成手段が、少なくとも380〜450nmの波長範囲に発振波長を有する書き込み装置と、帯電器とを有し、該帯電器により前記静電潜像担持体表面を電界強度が30V/μm以上となるように印加する。
本発明の第七形態に係る画像形成装置は、静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段と、除電手段とを少なくとも有し、前記静電潜像形成手段が、少なくとも帯電器と、600dpi以上の解像度を有する露光器とを有し、該帯電器表面と前記静電潜像担持体表面との空隙が100μm以下になるように近接配置された非接触方式であり、かつ前記帯電器により前記静電潜像担持体表面を下記数式(1)で表される電界強度が30V/μm以上となるように印加する。
本発明の第八形態に係る画像形成装置は、特定粒子サイズであり、かつ特定結晶型のチタニルフタロシアニン結晶を含有する感光体層を有する静電潜像担持体と、静電潜像形成手段と、現像手段と、転写手段と、定着手段とを少なくとも有する画像形成要素を複数配列してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、クリーニング手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
本発明の第九形態に係る画像形成装置は、特定粒子サイズであり、かつ特定結晶型のチタニルフタロシアニン結晶を含有する感光体層を有する静電潜像担持体と、現像手段と、クリーニング手段とを少なくとも一体に有するプロセスカートリッジを、画像形成装置本体に着脱自在に搭載してなり、更に必要に応じて適宜選択したその他の手段、例えば、除電手段、リサイクル手段、制御手段等を有してなる。
−静電潜像担持体−
前記静電潜像担持体(「光導電性絶縁体」、「感光体」と称することがある)としては、その材質、形状、構造、大きさ、等について特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができるが、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均サイズが0.25μm以下である。
前記チタニルフタロシアニン結晶の結晶型は、特開2001−187794号公報に記載されているものであるが、このチタニルフタロシアニン結晶を用いることで、高感度を失うことなく繰り返し使用によっても帯電性の低下を生じない安定な電子写真感光体を得ることができる。
特開2001−187794号公報には、本発明で使用される電荷発生物質及びこれを用いた感光体、電子写真装置に類似のそれらが開示されているが、300mm/sec以上の高線速に対応するため多段現像を使用されるような状況下においては、感光体の地汚れ余裕度を更に高くする必要があった。このような対応は、同公報に記載された材料の実力を充分に引き出していないだけでなく、プロセス条件を適正化してやらないと逆に副作用を生み出すものであった。
また、600dpi以上あるいは1200dpi以上の解像度で使用される様な状況下においては、書き込み解像度を生かすためには感光体に印加される電界強度を高くする必要があった。しかしながら、電界強度が高いと地汚れを発生させてしまうという問題点を発生していた。このような現象は、同公報に記載された画像形成装置よりも高解像度な書き込みを実施する画像形成装置での使用の場合に、顕著に発現する。このように、過去のプロセス(装置)では、必ずしも同公報に記載された材料の実力を充分に引き出していないだけでなく、プロセス条件を適正化してやらないと逆に副作用を生み出すものであった。
また、特開2001−187794号公報には、粒子サイズに関する記載及びそれをコントロールする技術の記載が無く、粒子サイズの適正化がなされていないものであった。本発明においては、粒子サイズをコントロールした特定結晶型のチタニルフタロシアニンを含有した感光体を用い、画像形成装置のプロセス条件を適正化することで、より最適な画像形成装置を構築するものである。
また、チタニルフタロシアニン結晶の合成方法として、特開平6−293769号公報に記載されているように、ハロゲン化チタンを原料に用いない方法が良好に用いられるものである。この方法の最大のメリットは、合成されたチタニルフタロシアニン結晶がハロゲン化フリーであることである。チタニルフタロシアニン結晶は不純物としてのハロゲン化チタニルフタロシアニン結晶を含むと、これを用いた感光体の静電特性において光感度の低下や、帯電性の低下といった悪影響を及ぼす場合が多い(Japan Hardcopy ’89論文集 p.103 1989年参照)。本発明においても、特開2001−19871号公報(特許文献1)に記載されているようなハロゲン化フリーチタニルフタロシアニン結晶をメインに対象にしているものであり、これらの材料が有効に使用される。
ここで、まず、本発明で用いられる特定の結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶の合成方法について述べる。
初めにチタニルフタロシアニン結晶の合成粗品の合成法について述べる。フタロシアニン類の合成方法は古くから知られており、例えば、特開平6−293769号公報、Moser等による「Phthalocyanine Compounds」(1963年)、「The Phthalocyanines」(1983年)、等に記載されている。
例えば、第1の方法として、無水フタル酸類、金属或いはハロゲン化金属及び尿素の混合物を高沸点溶媒の存在下或いは不存在下において加熱する方法である。この場合、必要に応じてモリブデン酸アンモニウム等の触媒が併用される。
第2の方法としては、フタロニトリル類とハロゲン化金属を高沸点溶媒の存在下或いは不存在下において加熱する方法である。この方法は、第1の方法で製造できないフタロシアニン類、例えば、アルミニウムフタロシアニン類、インジウムフタロシアニン類、オキソバナジウムフタロシアニン類、オキソチタニウムフタロシアニン類、ジルコニウムフタロシアニン類等に用いられる。
第3の方法は、無水フタル酸或いはフタロニトリル類とアンモニアを先ず反応させて、例えば1,3−ジイミノイソインドリン類等の中間体を製造し、次いでハロゲン化金属と高沸点溶媒中で反応させる方法である。
第4の方法は、尿素等存在下で、フタロニトリル類と金属アルコキシドを反応させる方法である。特に、第4の方法はベンゼン環への塩素化(ハロゲン化)が起こらず、電子写真用材料の合成法としては、極めて有用な方法であり、本発明においては極めて有効に使用される。
次に、不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)の合成法について述べる。この方法は、フタロシアニン類を硫酸に溶解した後、水で希釈し、再析出させる方法であり、アシッド・ペースト法或いはアシッド・スラリー法と呼ばれるものが使用できる。
具体的な方法としては、上記の合成粗品を10〜50倍量の濃硫酸に溶解し、必要に応じて不溶物を濾過等により除去し、これを硫酸の10〜50倍量の充分に冷却した水もしくは氷水にゆっくりと投入し、チタニルフタロシアニンを再析出させる。析出したチタニルフタロシアニンを濾過した後、イオン交換水で洗浄・濾過を行い、濾液が中性になるまで充分にこの操作を繰り返す。最終的に、綺麗なイオン交換水で洗浄した後、濾過を行い、固形分濃度で5〜15質量%程度の水ペーストを得る。このように作製したものが本発明に用いる不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)である。この際、この不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)が、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有するものであることが好ましい。特に、その回折ピークの半値巾が1゜以上であることがより好ましい。更に、一次粒子の平均粒子サイズが0.1μm以下であることが好ましい。
次に、結晶変換方法について述べる。本発明においては、少なくとも2回の結晶変換工程よりチタニルフタロシアニン結晶が合成される。
先ず、1回目の結晶変換方法について述べる。1回目の結晶変換は、前記不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)を、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ、前記7.3°のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、かつ26.3゜にピークを有さないチタニルフタロシアニン結晶に変換する工程である。
具体的な方法としては、前記不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)を乾燥せずに、水の存在下の元で有機溶媒と共に混合・撹拌することにより、前記結晶型を得るものである。
この際、使用される有機溶媒は、所望の結晶型を得られるものであれば、いかなる有機溶媒も使用できるが、特にテトラヒドロフラン、トルエン、塩化メチレン、二硫化炭素、オルトジクロロベンゼン、1,1,2−トリクロロエタンの中から選ばれる1種を選択すると、良好な結果が得られる。これら有機溶媒は単独で用いることが好ましいが、これらの有機溶媒を2種以上混合する、あるいは他の溶媒と混合して用いることも可能である。結晶変換に使用される前記有機溶媒の量は、不定形チタニルフタロシアニンの重量の10倍以上、好ましくは30倍以上の重量であることが望ましい。これは、結晶変換を素早く十分に起こさせると共に、不定形チタニルフタロシアニンに含まれる不純物を十分に取り除く効果が発現されるからである。尚、ここで使用する不定形チタニルフタロシアニンは、アシッド・ペースト法により作製するものであるが、上述のように硫酸を十分に洗浄したものを使用することが望ましい。硫酸が残存するような条件で結晶変換を行うと、結晶粒子中に硫酸イオンが残存し、出来上がった結晶を水洗処理のような操作をしても完全には取り除くことが出来ない。硫酸イオンが残存した場合には、感光体の感度低下、帯電性低下を引き起こすなど、好ましい結果を得られない。例えば、特開平8−110649号公報(比較例)には、硫酸に溶解したチタニルフタロシアニンをイオン交換水と共に有機溶媒に投入し結晶変換を行う方法が記載されている。この際、本発明で得られるチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルに類似した結晶を得ることが出来るが、チタニルフタロシアニン中の硫酸イオン濃度が高く、光減衰特性(光感度)が悪いものであるため、本発明のチタニルフタロシアニンの製造方法としては良好なものではない。
以上の結晶変換方法は特開2001−187794号公報に準じた結晶変換方法である。一方、本発明の電子写真装置に用いる感光体に含有される電荷発生物質においては、チタニルフタロシアニン結晶の粒子サイズをより細かく(0.25μm以下)することにより、その効果が達成されるものである。以下には、チタニルフタロシアニン粒子サイズを合成段階より小さく合成する手法について記載する。
チタニルフタロシアニン結晶の粒子サイズをより細かくするために、本発明者らが観察したところによれば、前述の不定形チタニルフタロシアニン(低結晶性チタニルフタロシアニン)は、一次粒径が0.1μm以下(そのほとんどが0.01〜0.05μm程度)であるが(図19参照)、結晶変換に際しては、結晶成長と共に結晶が変換されることが分かった。通常、この種の結晶変換においては、原料の残存をおそれて充分な結晶変換時間を確保し、結晶変換が十二分に行われた後に、濾過を行い、所望の結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶を得るものである。このため、原料として充分に小さな一次粒子を有する原料を用いているにもかかわらず、結晶変換後の結晶としては一次粒子の大きな結晶(概ね0.3〜0.5μm)を得ているものである(図20参照)。なお。図19及び図20中のスケール・バーは、いずれも0.2μmである。
図20に示されるように作製されたチタニルフタロシアニン結晶を分散するにあたっては、分散後の粒子サイズを小さなもの(0.25μm以下)にするため、強いシェアを与えることで分散を行い、更には必要に応じて一次粒子を粉砕する強いエネルギーを与えて分散を行っている。この結果、前述の如き、粒子の一部が所望の結晶型でない結晶型へと転移してしまう可能性を有しているものである。
この点に関して、合成段階からチタニルフタロシアニン結晶の一次粒子サイズをコントロールすることにより、小さいサイズの結晶を得ることにより、この問題を解決する方法が可能であり、本発明には有効に使用される。具体的には、結晶変換に際して結晶成長がほとんど起こらない範囲(図20)に観察される不定形チタニルフタロシアニン粒子のサイズが、結晶変換後において遜色ない小ささ、概ね0.25μm以下に保たれる範囲)で、結晶変換が完了した時点を見極めることで、可能な限り一次粒子サイズの小さなチタニルフタロシアニン結晶を得ようというものである。結晶変換後の粒子サイズは、結晶変換時間に比例して大きくなる。このため前述のように、結晶変換の効率を高くし、短時間で完了させることが重要である。このためには、いくつかの重要なポイントが挙げられる。
図21は短時間で結晶変換を行ったチタニルフタロシアニン結晶のTEM像である。図21中のスケール・バーは、0.2μmである。
1つは、結晶変換溶媒を前述のように適正なものを選択し、結晶変換効率を高めること。もう1つは、結晶変換を短時間に完了させるために、溶媒とチタニルフタロシアニン水ペースト(前述の如く作製した原料)を充分に接触させるために強い撹拌を用いるものである。具体的には、撹拌力の非常に強いプロペラを用いた撹拌、ホモジナイザー(ホモミキサー)のような強烈な撹拌(分散)手段を用いるなどの手法により、短時間での結晶変換を実現させるものである。これらの条件により、原料が残存することなく、結晶変換が充分に行われ、かつ結晶成長が起こらない状態のチタニルフタロシアニン結晶を得ることができる。
また、上述のように結晶粒子サイズと結晶変換時間は比例関係にあるため、所定の反応(結晶変換)が完了したら、反応を直ちに停止させる方法も有効な手段である。上述のように結晶変換を行った後、直ちに結晶変換の起こりにくい溶媒を大量に添加することが前記手段として挙げられる。結晶変換の起こりにくい溶媒としては、アルコール系、エステル系などの溶媒が挙げられる。これらの溶媒を結晶変換溶媒に対して、10倍程度加えることにより、結晶変換を停止することができる。
このようにして作製される一次粒子サイズは、細かいほど感光体の課題に対しては良好な結果を示すものであるが、顔料作製にかかる次工程(顔料の濾過工程)、分散液での分散安定性を考慮すると、あまり小さすぎても副作用がでる場合がある。即ち、一次粒子が非常に細かい場合には、これを濾過する工程において濾過時間が非常に長くなってしまうという問題が発生する。また、一次粒子が細かすぎる場合には、分散液中での顔料粒子の表面積が大きくなるため、粒子の再凝集の可能性が高くなる。したがって、適切な顔料粒子の粒子サイズは、およそ0.05μm〜0.2μm程度の範囲である。
図21には、短時間で結晶変換を行った場合のチタニルフタロシアニン結晶のTEM像を示す。図20の場合とは異なり、粒子サイズが小さくほぼ均一であり、図20に観察されるような粗大粒子は全く認められない。
図21に示されるように1次粒子が小さい状態で作製されたチタニルフタロシアニン結晶を分散するにあたっては、分散後の粒子サイズを小さなもの(0.25μm以下、より好ましくは0.2μm以下)にするためには、1次粒子が凝集(集合)して集まって形成する2次粒子をほぐすだけのシェアを与えることで分散が可能である。この結果、必要以上のエネルギーを与えないため、前述の如き、粒子の一部が所望の結晶型でない結晶型へと転移し易い結果は生み出さずに、粒度分布の細かい分散液を容易に作製することが可能である。
ここでいう平均粒子サイズとは、体積平均粒径であり、超遠心式自動粒度分布測定装置:CAPA−700(堀場製作所製)により求めたものである。この際、累積分布の50%に相当する粒子径(Median系)として算出されたものである。しかしながら、この方法では微量の粗大粒子を検出できない場合があるため、より詳細に求めるには、チタニルフタロシアニン結晶粉末、或いは分散液を直接、電子顕微鏡にて観察し、その大きさを求めることが重要である。
分散液の更なる観察により、微小欠陥に関して検討した結果、上記現象は次のように理解された。通常、平均粒子サイズを測定するような方法においては、極端に大きな粒子が数%以上も存在するような場合には、その存在が検出できるものであるが、全体の1%以下程度のような微量になってくると、その測定は検出限界以下になってしまうものである。その結果として、平均粒子サイズの測定だけでは粗大粒子の存在が検出されずに、上述のような微小欠陥に関する解釈を困難にしていた。
図22及び図23に、分散条件を固定して分散時間だけを変更した2種類の分散液の状態を観察した写真を示す。同一条件における分散時間の短い分散液の写真を図22に示すが、分散時間の長い図23と比較して、粗大粒子が残っている様子が観測される。図22中の黒い粒が粗大粒子である。
この2種類の分散液の平均粒径並びに粒度分布を公知の方法に従って、市販の粒度分布測定装置(堀場製作所製:超遠心式自動粒度分布測定装置、CAPA700)により測定した。その結果を図24に示す。図24における「A」が図22に示す分散液に対応し、「B」が図23に示す分散液に対応する。両者を比較すると、粒度分布に関してはほとんど差が認められない。また、両者の平均粒径値は、「A」が0.29μm、「B」が0.28μmと求められ、測定誤差を加味した上では、両者に全くの差異が認められない。
したがって、公知の平均粒径(粒子サイズ)の規定だけでは、微量な粗大粒子の残存を検出できずに、昨今の高解像度のネガ・ポジ現像には対応できていないことが理解される。この微量な粗大粒子の存在は、塗工液を顕微鏡レベルで観察することにより、初めて認識できたものである。
このような事実に対して、1回目の結晶変換時に作製される一次粒子をできる限り小さいものを作製することは有効な手段である。このために、結晶変換溶媒を前述のように適正なものを選択し、結晶変換効率を高めつつ、結晶変換を短時間に完了させるために、溶媒とチタニルフタロシアニン水ペースト(前述の如き作製した原料)を充分に接触させるために強い撹拌を用いるような手法は有効であることがわかる。
このような結晶変換方法を採用することにより、一次粒子サイズの小さな(0.25μm以下、より好ましくは0.2μm以下)チタニルフタロシアニン結晶を得ることができる。特開2001−187794号公報に記載された技術に加えて、必要に応じて上述のような技術(微細なチタニルフタロシアニン結晶を得るための結晶変換方法)を併用することは、本発明において重要な手段である。
続いて、結晶変換されたチタニルフタロシアニン結晶は直ちに濾過されることにより、結晶変換溶媒と分別される。この濾過に際しては、適当なサイズのフィルターを用いることにより行われる。この際、減圧濾過を用いることが最も適当である。
その後、分別されたチタニルフタロシアニン結晶は、必要に応じて加熱乾燥される。加熱乾燥に使用する乾燥機は、公知のものがいずれも使用可能であるが、大気下で行う場合には送風型の乾燥機が好ましい。更に、乾燥速度を早め、本発明の効果をより顕著に発現させるために減圧下の乾燥も非常に有効な手段である。特に、高温で分解する、或いは結晶型が変化するような材料に対しては有効な手段である。特に10mmHgよりも真空度が高い状態で乾燥することが有効である。
このように得られた特定の結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶は、電子写真感光体用電荷発生物質として極めて有用である。しかしながら、先述のように結晶型が不安定であり、分散液を作製する際に結晶型が転移し易いという欠点を有しているものであった。しかしながら、本発明のように一次粒子を限りなく小さなものに合成することにより、分散液作製時に過剰なシェアを与えることなく、平均粒径の小さな分散液を作製することができ、結晶型も極めて安定に(合成した結晶型を変えることなく)作製することができるものである。
次に、2回目の結晶変換方法について述べる。2回目の結晶変換は、1回目の結晶変換で作製したチタニルフタロシアニン結晶(乾燥粉末)を用いて、更に結晶変換を行う工程である。具体的な方法としては、2種類の方法が挙げられる。
1つは、先に作製したチタニルフタロシアニン結晶を有機溶媒中で処理する方法である。使用される有機溶媒としては、27.2゜に最大回折ピークを有する結晶型を、26.3゜に最大回折ピークを有する結晶型に変換できる溶媒であればいかなるものも使用できるが、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素、アセトン、2―ブタノン等のケトン類、塩化メチレン、クロロホルムなどのハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフランなどの環状エーテル類が良好に用いられる。
有機溶媒の処理に関しては、前記チタニルフタロシアニン結晶を有機溶媒中にそのまま浸漬させておくだけでも構わないが、撹拌、超音波印加などの補助手段を併用することにより、処理時間を短縮することができ、有効である。有機溶媒による処理を行った後、濾過分別して、再び乾燥を行うことにより、目的とするチタニルフタロシアニン結晶を得ることができる。
もう1つの方法としては、先に作製したチタニルフタロシアニン結晶に、機械的剪断力を与えることにより結晶変換を行う方法である。この際、有機溶媒を併用しても構わないが、併用せずに乾式状態で処理を行うことが望ましい。使用される方法としては、ボールミル、アトライター、振動ミル、ニーダーなどによる乾式ミリング、簡便的にはミキサーによる乾式ミリングも効果的である。また、乾式ミリングの際に、食塩等の無機塩を助剤として用いても良い。助剤を用いた場合には、結晶変換処理の後に、無機塩を除去する洗浄工程が必要である。このようにして、目的とするチタニルフタロシアニン結晶を得ることができる。
いずれの方法を用いる場合にも、26.3゜のピーク強度が最大回折ピーク27.2゜のピーク強度に対して0.1〜5%の範囲であることが重要である。溶媒中での処理時間あるいは機械的剪断力を与える処理時間により26.3゜のピーク強度が決定されるが、使用する原料(1回目の結晶変換により作製したチタニルフタロシアニン結晶)の状態(例えば、粉末の大きさ、固さ等)によっても異なるため、予備的な実験により、処理時間を決定することが望ましい。
次に分散液の作製方法について述べる。
分散液の作製に関しては一般的な方法が用いられ、前記チタニルフタロシアニン結晶を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、ビーズミル、超音波などを用いて分散することで得られるものである。この際、バインダー樹脂は感光体の静電特性などにより、また溶媒は顔料へのぬれ性、顔料の分散性などにより選択すればよい。
既に述べたように、CuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニン結晶は、熱エネルギー・機械的シェア等のストレスにより他の結晶型に容易に結晶転移をすることが知られている。本発明で用いるチタニルフタロシアニン結晶もこの傾向は変わらない。即ち、微細な粒子を含む分散液を作製するためには、分散方法の工夫も必要であるが、結晶型の安定性と微粒子化はトレード・オフの関係になりがちである。分散条件を最適化することによりこれを回避する方法はあるが、いずれも製造条件を極めて狭くしてしまうものであり、より簡便な方法が望まれている。この問題を解決するために、以下のような方法も有効な手段である。
即ち、結晶転移が起こらない範囲で、できる限り粒子を微細にした分散液を作製後、適当なフィルターで濾過してしまう方法である。この方法では、残存する目視では観察できない(或いは粒径測定では検出できない)微量な粗大粒子をも取り除くことができ、また粒度分布を揃えるという点からも非常に有効な手段である。具体的には、上述のように作製した分散液を有効孔径が3μm以下のフィルター、より好ましくは1μm以下のフィルターにて濾過する操作を行い、分散液を完成させるというものである。この方法によっても、粒子サイズの小さな(0.25μm以下、より好ましくは0.2μm以下)チタニルフタロシアニン結晶のみを含む分散液を作製することができ、これを用いた感光体を画像形成装置に搭載使用することにより、本願の効果をより一層顕著にするものである。
分散液を濾過するフィルターに関しては、除去したい粗大粒子のサイズによって異なるものであるが、本発明者等の検討によれば、600dpi程度の解像度を必要とする電子写真装置で使用される感光体としては、最低でも3μm以上の粗大粒子の存在は画像に対して影響を及ぼす。したがって、有効孔径が3μm未満のフィルターを使用すべきである。より好ましくは1μm以下の有効孔径を有するフィルターを使用することである。このようなフィルタリング処理を行うことにより、不必要な粗大粒子も取り除くことが可能であり、粒度分布が狭く、かつ粗大粒子の含まない分散液を作製することが可能になる。
この有効孔径に関しては、細かいほど粗大粒子の除去に効果があるものであるが、あまり細かすぎると、必要な顔料粒子そのものも濾過されてしまうため、適切なサイズが存在する。また、細かすぎた場合には、濾過に時間がかかる、フィルターが目詰まりを起こす、ポンプ等を使用して送液する場合には負荷がかかりすぎる等の問題を生じる。なお、ここで使用されるフィルターの材質は、当然のことながら濾過する分散液に使用される溶媒に対して耐性のあるものが使用される。
濾過に際しては、濾過される分散液中の粗大粒子量があまりにも多い場合、取り除かれる顔料が多くなり、濾過後の分散液の固形分濃度が変化したりして好ましくない。従って、濾過を行う際には適切な粒度分布(粒子サイズ、標準偏差)が存在する。本発明のように、濾過による顔料のロス、フィルターの目詰まり等がなく、効率よく濾過を行うためには、濾過前の分散液の体積平均粒径が0.25μm以下で、その標準偏差が0.2μm以下に分散しておくことが望ましい。
このような分散液の濾過操作を加えることによっても、粗大粒子を取り除くことが可能になり、ひいては分散液を使用した感光体で発生する地汚れを低減化することができる。上述のように、より細かいフィルターを使用するほど、その効果は大きなもの(確実なもの)になるが、顔料粒子そのものが濾過されてしまう場合が存在してしまう。このような場合には、先に述べたチタニルフタロシアニン一次粒子を微細化合成する技術と併用することは、非常に大きな効果を発するものである。
即ち、(i)微細化チタニルフタロシアニンを合成し、これを使用することにより、分散時間の短縮化・分散ストレスの低減化が図れ、分散における結晶転移の可能性が小さくなる。(ii)分散によって残存する粗大粒子サイズが、微細化しない場合よりも小さいため、より小さなフィルターを使用することが可能になり、粗大粒子の除去効果がより確実なものとなる。また、除去されるチタニルフタロシアニン粒子量が低減し、濾過前後における分散液組成の変化が少なく、安定した製造が可能になる。(iii)その結果、製造される感光体は安定して地汚れ耐性の高い感光体が製造されることになる。
本発明におけるチタニルフタロシアニン結晶における26.3゜のピーク強度の27.2゜のピーク強度に対する強度比について説明する。
使用するチタニルフタロシアニン結晶を粉末状態で、一般的なX線回折装置にて、X線回折スペクトルを測定する。得られたスペクトルに対して、ベースライン補正を行った後、26.3±0.2゜のピーク強度、および27.2±0.2゜のピーク強度を求める。その値を用いて、26.3±0.2゜のピーク強度を27.2±0.2゜のピーク強度で割った値が、本発明で言うところのピーク強度比である。
ピーク強度比(%)=
(26.3±0.2゜のピーク強度)/(27.2±0.2゜のピーク強度)×100
なお、ピーク強度比が1%以下になるような場合には、広い範囲での測定ではベースラインの補正が難しい場合がある。その場合には、測定範囲を狭めて(例えば、25〜30゜の範囲で測定する等)、再測定を行うことにより、より正確に強度比を求めることができる。
続いて、本発明に用いられる電子写真感光体について、図面を用いて詳しく説明する。
図25は、本発明に用いられる電子写真感光体の構成例を示す断面図であり、導電性支持体(31)上に、前記特定粒子サイズで特定結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶(電荷発生材料)を主成分とする電荷発生層(35)と、電荷輸送材料を主成分とする電荷輸送層(37)とが、積層された構成をとっている。
また、図26は、本発明に用いられる電子写真感光体の別の構成例を示す断面図であり、導電性支持体(31)上に、前記特定粒子サイズで特定結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶(電荷発生材料)を主成分とする電荷発生層(35)と、電荷輸送材料を主成分とする電荷輸送層(37)とが積層され、更に電荷輸送層上に、保護層(39)を設けた構成をとっている。
導電性支持体(31)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着又はスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、或いは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板及びそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体(31)として用いることができる。
また、これらの中でも陽極酸化皮膜処理を簡便に行うことのできるアルミニウムからなる円筒状支持体が最も良好に使用できる。ここでいうアルミニウムとは、純アルミニウム系或いはアルミニウム合金のいずれをも含むものである。具体的には、JIS 1000番台、3000番台、6000番台のアルミニウム或いはアルミニウム合金が最も適している。陽極酸化皮膜は各種金属、各種合金を電解質溶液中において陽極酸化処理したものであるが、中でもアルミニウムもしくはアルミニウム合金を電解質溶液中で陽極酸化処理を行ったアルマイトと呼ばれる被膜が本発明に用いる感光体には最も適している。特に、反転現像(ネガ・ポジ現像)に用いた際に発生する点欠陥(黒ポチ、地汚れ)を防止する点で優れている。
陽極酸化処理は、クロム酸、硫酸、蓚酸、リン酸、硼酸、スルファミン酸などの酸性浴中において行われる。このうち、硫酸浴による処理が最も適している。一例を挙げると、硫酸濃度:10〜20%、浴温:5〜25℃、電流密度:1〜4A/dm、電解電圧:5〜30V、処理時間:5〜60分程度の範囲で処理が行われるが、これに限定するものではない。このように作製される陽極酸化皮膜は、多孔質であり、また絶縁性が高いため、表面が非常に不安定な状況である。このため、作製後の経時変化が存在し、陽極酸化皮膜の物性値が変化しやすい。これを回避するため、陽極酸化皮膜を更に封孔処理することが望ましい。封孔処理には、フッ化ニッケルや酢酸ニッケルを含有する水溶液に陽極酸化皮膜を浸漬する方法、陽極酸化皮膜を沸騰水に浸漬する方法、加圧水蒸気により処理する方法などがある。このうち、酢酸ニッケルを含有する水溶液に浸漬する方法が最も好ましい。封孔処理に引き続き、陽極酸化皮膜の洗浄処理が行われる。これは、封孔処理により付着した金属塩等の過剰なものを除去することが主な目的である。これが支持体(陽極酸化皮膜)表面に過剰に残存すると、この上に形成する塗膜の品質に悪影響を与えるだけでなく、一般的に低抵抗成分が残ってしまうため、逆に地汚れの発生原因にもなってしまう。洗浄は純水1回の洗浄でも構わないが、通常は多段階の洗浄を行う。この際、最終の洗浄液が可能な限りきれい(脱イオンされた)ものであることが好ましい。また、多段階の洗浄工程のうち1工程に接触部材による物理的なこすり洗浄を施すことが望ましい。以上のようにして形成される陽極酸化皮膜の膜厚は、5〜15μm程度が望ましい。これより薄すぎる場合には陽極酸化皮膜としてのバリア性の効果が充分でなく、これより厚すぎる場合には電極としての時定数が大きくなりすぎて、残留電位の発生や感光体のレスポンスが低下する場合がある。
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性支持体(31)として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、或いは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂又は光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
更に、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、ポリテトラフロロエチレン系フッ素樹脂などの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体(31)として良好に用いることができる。
次に、感光層について説明する。感光層は前述のように、電荷発生層(35)と電荷輸送層(37)で構成される積層型が感度、耐久性において優れた特性を示し、良好に使用される。
電荷発生層(35)は、電荷発生物質として、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ、前記7.3°のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、更に26.3゜にピークを有し、結晶合成時もしくは分散濾過処理により、一次粒子の平均粒子サイズが0.25μm以下(好ましくは0.2μm以下)のチタニルフタロシアニン結晶を主成分とする層である。
電荷発生層(35)は、前記顔料を必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
必要に応じて電荷発生層(35)に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。
前記結着樹脂の添加量は、電荷発生物質100質量部に対し0〜500質量部が好ましく、10〜300質量部がより好ましい。
ここで用いられる溶剤としては、例えばイソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられる。塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。
前記電荷発生層35の膜厚は、0.01〜5μm程度が好ましく、0.1〜2μmがより好ましい。
前記電荷輸送層(37)は、電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
前記電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。
前記電子輸送物質としては、例えば、クロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
前記正孔輸送物質としては、例えば、ポリ−N−ビニルカルバゾール又はその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメート又はその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物又はその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、又は2種以上混合して用いられる。
前記結着樹脂としては、例えば、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性樹脂又は熱硬化性樹脂が挙げられる。
前記電荷輸送物質の添加量は結着樹脂100質量部に対し、20〜300質量部が好ましく、40〜150質量部がより好ましい。また、前記電荷輸送層の膜厚は5〜100μm程度とすることが好ましい。
ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。中でも、環境への負荷低減等の意図から、非ハロゲン系溶媒の使用は望ましいものである。具体的には、テトラヒドロフランやジオキソラン、ジオキサン等の環状エーテルやトルエン、キシレン等の芳香族系炭化水素、及びそれらの誘導体が良好に用いられる。
また、前記電荷輸送層には電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂の機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これら高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は耐摩耗性に優れたものである。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖及び/又は側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、構造式(I)〜(X)で表わされる高分子電荷輸送物質が良好に用いられ、これらを以下に例示し、具体例を示す。
構造式(I)
ただし、式中、R、R、Rはそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、Rは水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R、Rは置換もしくは無置換のアリール基、o、p、qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k、jは組成を表し、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表し5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、又は下記一般式で表される2価基を表す。なお、構造式(I)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
ただし、式中、R101、102は、各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基又はハロゲン原子を表す。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表す。)又は、
ただし、aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換又は無置換のアルキル基又はアリール基を表す)を表す。ここで、R101とR102、R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。
構造式(II)
ただし、式中、R、Rは、置換もしくは無置換のアリール基、Ar, Ar, Arは同一又は異なるアリレン基を表す。X,k,j及びnは、構造式(I)の場合と同じである。なお、構造式(II)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
構造式(III)
ただし、式中、R、R10は、置換もしくは無置換のアリール基、Ar、Ar、Arは同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、構造式(I)の場合と同じである。なお、構造式(III)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
構造式(IV)
ただし、式中、R11、R12は、置換もしくは無置換のアリール基、Ar、Ar8、Ar9は、同一又は異なるアリレン基、pは1〜5の整数を表す。X、k、j及びnは、構造式(I)の場合と同じである。なお、構造式(IV)は、2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
構造式(V)
ただし、式中、R13、R14は、置換もしくは無置換のアリール基、Ar10、Ar11、Ar12は同一又は異なるアリレン基、X、Xは置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表す。X、k、j及びnは、構造式(I)の場合と同じである。なお、構造式(V)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
構造式(VI)
ただし、式中、R15、R16、R17、R18は置換もしくは無置換のアリール基、Ar13、Ar14、Ar15、Ar16は同一又は異なるアリレン基、Y、Y、Yは単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表し同一であっても異なってもよい。X、k、j及びnは、構造式(V)の場合と同じである。なお、構造式(I)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
構造式(VII)
ただし、式中、R19、R20は水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表し,R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17、Ar18、Ar19は、同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、構造式(I)の場合と同じである。なお、構造式(VII)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
構造式(VIII)
ただし、式中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、Ar20、Ar21、Ar22、Ar23は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、構造式(I)の場合と同じである。なお、構造式(VIII)は、2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
構造式(IX)
ただし、式中、R22、R23、R24、R25は、置換もしくは無置換のアリール基、Ar24、Ar25、Ar26、Ar27、Ar28は、同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、構造式(I)の場合と同じである。なお、構造式(IX)は、2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
構造式(X)
ただし、式中、R26、R27は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29、Ar30、Ar31は同一又は異なるアリレン基を表す。X、k、j及びnは、構造式(I)の場合と同じである。なお、構造式(X)は2つの共重合種が交互共重合体の形で記載されているが、ランダム共重合体でも構わない。
また、電荷輸送層に使用される高分子電荷輸送物質として、上述の高分子電荷輸送物質の他に、電荷輸送層の成膜時には電子供与性基を有するモノマー或いはオリゴマーの状態で、成膜後に硬化反応或いは架橋反応をさせることで、最終的に2次元或いは3次元の架橋構造を有する重合体も含むものである。
これら電子供与性基を有する重合体から構成される電荷輸送層、或いは架橋構造を有する重合体は耐摩耗性に優れたものである。通常、電子写真プロセスにおいては、帯電電位(未露光部電位)は一定であるため、繰り返し使用により感光体の表面層が摩耗すると、その分だけ感光体にかかる電界強度が高くなってしまう。この電界強度の上昇に伴い、地汚れの発生頻度が高くなるため、感光体の耐摩耗性が高いことは、地汚れに対して有利である。これら電子供与性基を有する重合体から構成される電荷輸送層は、自身が高分子化合物であるため成膜性に優れ、低分子分散型高分子からなる電荷輸送層に比べ、電荷輸送部位を高密度に構成することが可能で電荷輸送能に優れたものである。このため、高分子電荷輸送物質を用いた電荷輸送層を有する感光体には高速応答性が期待できる。
その他の電子供与性基を有する重合体としては、公知単量体の共重合体、ブロック重合体、グラフト重合体、スターポリマーや、また、例えば、特開平3−109460号公報、特開2000−206723号公報、及び特開2001−34001号公報等に開示されているような電子供与性基を有する架橋重合体などを用いることも可能である。
本発明において、前記電荷輸送層(37)中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂に対して0〜30質量%程度が好適である。前記レベリング剤としては、例えば、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー或いは、オリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂に対して、0〜1質量%が適当である。
本発明の電子写真感光体には、導電性支持体(31)と感光層との間に中間層を設けることができる。中間層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶媒で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、中間層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
これらの中間層は前述の感光層の如く適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。更に本発明の中間層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の中間層には、Alを陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO、SnO、TiO、ITO、CeO等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。中間層の膜厚は0〜5μmが適当である。
本発明の電子写真感光体には、感光層保護の目的で、保護層が感光層の上に設けられることもある。近年、日常的にコンピュータの使用が行われるようになり、プリンターによる高速出力とともに、装置の小型も望まれている。したがって、保護層を設け、耐久性を向上させることによって、本発明の高感度で異常欠陥のない感光体を有用に用いることができる。
本発明の感光体においては、感光層保護の目的で、保護層(39)が感光層の上に設けられることもある。保護層(39)に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。中でも、ポリカーボネートもしくはポリアリレートが最も良好に使用できる。
前記保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、及びこれらの樹脂に酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム、シリカ等の無機フィラー(無機顔料)、また有機フィラー(有機顔料)を分散したもの等を添加することができる。
また、感光体の保護層に用いられるフィラー材料のうち有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。特に、フィラーの硬度の点からは、この中でも無機材料を用いることが有利である。特に、シリカ、酸化チタン、アルミナが有効に使用できる。
前記保護層中のフィラー濃度は使用するフィラー種により、また感光体を使用する電子写真プロセス条件によっても異なるが、前記保護層の最表層側において全固形分に対するフィラーの比で5質量%以上が好ましく、10質量%以上がより好ましく、また、50質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましい。
また、使用するフィラーの体積平均粒径は、0.1μm〜2μmの範囲が好ましく、0.3μm〜1μmがより好ましい。この場合、平均粒径が小さすぎると耐摩耗性が充分に発揮されず、大きすぎると塗膜の表面性が悪くなったり、塗膜そのものが形成できなかったりするからである。
なお、本発明におけるフィラーの平均粒径とは、特別な記載のない限り体積平均粒径であり、超遠心式自動粒度分布測定装置:CAPA−700(堀場製作所製)により求めたものである。この際、累積分布の50%に相当する粒子径(Median系)として算出されたものである。また、同時に測定される各々の粒子の標準偏差が1μm以下であることが重要である。これ以上の標準偏差の値である場合には、粒度分布が広すぎて、本発明の効果が顕著に得られなくなってしまう場合がある。
また、本発明で使用するフィラーのpHも解像度やフィラーの分散性に大きく影響する。その理由の一つとしては、フィラー、特に金属酸化物は製造時に塩酸等が残存することが考えられる。その残存量が多い場合には、画像ボケの発生は避けられず、またそれは残存量によってはフィラーの分散性にも影響を及ぼす場合がある。
もう一つの理由としては、フィラー、特に金属酸化物の表面における帯電性の違いによるものである。通常、液体中に分散している粒子はプラス或いはマイナスに帯電しており、それを電気的に中性に保とうとして反対の電荷を持つイオンが集まり、そこで電気二重層が形成されることによって粒子の分散状態は安定化している。粒子から遠ざかるに従いその電位(ゼータ電位)は徐々に低くなり、粒子から充分に離れて電気的に中性である領域の電位はゼロとなる。したがって、ゼータ電位の絶対値の増加によって粒子の反発力が高くなることによって安定性は高くなり、ゼロに近づくに従い凝集しやすく不安定になる。一方、系のpH値によってゼータ電位は大きく変動し、あるpH値において電位はゼロとなり等電点を持つことになる。したがって、系の等電点からできるだけ遠ざけて、ゼータ電位の絶対値を高めることによって分散系の安定化が図られることになる。
本発明の構成においては、フィラーとしては前述の等電点におけるpHが、少なくとも5以上を示すものが画像ボケ抑制の点から好ましく、より塩基性を示すフィラーであるほどその効果が高くなる傾向があることが確認された。等電点におけるpHが高い塩基性を示すフィラーは、系が酸性であったほうがゼータ電位はより高くなることにより、分散性及びその安定性は向上することになる。
ここで、本発明におけるフィラーのpHは、ゼータ電位から等電点におけるpH値を記載した。この際、ゼータ電位の測定は、大塚電子株式会社製レーザーゼータ電位計にて測定した。
更に、画像ボケが発生しにくいフィラーとしては、電気絶縁性が高いフィラー(比抵抗が1010Ω・cm以上)が好ましく、フィラーのpHが5以上を示すものやフィラーの誘電率が5以上を示すものが特に有効に使用できる。また、pHが5以上のフィラー或いは誘電率が5以上のフィラーを単独で使用することはもちろん、pHが5以下のフィラーとpHが5以上のフィラーとを2種類以上を混合したり、誘電率が5以下のフィラーと誘電率が5以上のフィラーとを2種類以上混合したりして用いることも可能である。また、これらのフィラーの中でも高い絶縁性を有し、熱安定性が高い上に、耐摩耗性が高い六方細密構造であるα型アルミナは、画像ボケの抑制や耐摩耗性の向上の点から特に有用である。
本発明において使用するフィラーの比抵抗は以下のように定義される。フィラーのような粉体は、充填率によりその比抵抗値が異なるので、一定の条件下で測定する必要がある。本発明においては、特開平5−113688号公報(図1)に示された測定装置と同様の構成の装置を用いて、フィラーの比抵抗値を測定し、この値を用いた。測定装置において、電極面積は4.0cmである。測定前に片側の電極に4kgの荷重を1分間かけ、電極間距離が4mmになるように試料量を調節する。測定の際は、上部電極の質量(1kg)の荷重状態で測定を行い、印加電圧は100Vにて測定する。10Ω・cm以上の領域は、HIGH RESISTANCE METER(横河ヒューレットパッカード社製)、それ以下の領域についてはデジタルマルチメーター(フルーク)により測定した。これにより得られた比抵抗値を本発明でいうところの比抵抗値と定義するものである。
前記フィラーの誘電率は以下のように測定した。上述のような比抵抗の測定と同様なセルを用い、荷重をかけた後に、静電容量を測定し、これより誘電率を求めた。静電容量の測定は、誘電体損測定器(安藤電気製)を使用した。
更に、これらのフィラーは少なくとも一種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、そうすることがフィラーの分散性の面から好ましい。フィラーの分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、更には耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化或いは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤すべてを使用することができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸等、或いはこれらとシランカップリング剤との混合処理や、Al、TiO、ZrO、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、或いはそれらの混合処理がフィラーの分散性及び画像ボケの点からより好ましい。シランカップリング剤による処理は、画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。表面処理量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、3〜30質量%が適しており、5〜20質量%がより好ましい。表面処理量がこれよりも少ないとフィラーの分散効果が得られず、また多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こす。これらフィラ−材料は単独もしくは2種類以上混合して用いられる。フィラーの表面処理量に関しては、上述のようにフィラー量に対する使用する表面処理剤の質量比で定義される。
これらフィラー材料は、適当な分散機を用いることにより分散できる。また、保護層の透過率の点から使用するフィラーは1次粒子レベルまで分散され、凝集体が少ないほうが好ましい。
また、保護層(39)には残留電位低減、応答性改良のため、電荷輸送物質を含有しても良い。電荷輸送物質は、電荷輸送層の説明のところに記載した材料を用いることができる。電荷輸送物質として、低分子電荷輸送物質を用いる場合には、保護層中における濃度傾斜を設けても構わない。耐摩耗性向上のため、表面側を低濃度にすることは有効な手段である。ここでいう濃度とは、保護層を構成する全材料の総質量に対する低分子電荷輸送物質の質量の比を表わし、濃度傾斜とは上記質量比において表面側において濃度が低くなるような傾斜を設けることを示す。また、高分子電荷輸送物質を用いることは、感光体の耐久性を高める点で非常に有利である。
前記保護層の形成法としては通常の塗布法が採用される。なお保護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。また、以上のほかに真空薄膜作成法にて形成したa−C、a−SiCなど公知の材料を保護層として用いることができる。
この他、保護層のバインダー樹脂としては電荷輸送層の項で説明した高分子電荷輸送物質も用いることができる。これを用いた場合の効果としては、電荷輸送層の項に記載したことと同様に、耐摩耗性の向上、高速電荷輸送の効果を得ることができる。
また、保護層のバインダー構成として、架橋構造からなる保護層も有効に使用される。架橋構造の形成に関しては、1分子内に複数個の架橋性官能基を有する反応性モノマーを使用し、光や熱エネルギーを用いて架橋反応を起こさせ、3次元の網目構造を形成するものである。この網目構造がバインダー樹脂として機能し、高い耐摩耗性を発現するものである。
また、上記反応性モノマーとして、全部もしくは一部に電荷輸送能を有するモノマーを使用することは非常に有効な手段である。このようなモノマーを使用することにより、網目構造中に電荷輸送部位が形成され、保護層としての機能を十分に発現することが可能となる。電荷輸送能を有するモノマーとしては、トリアリールアミン構造を有する反応性モノマーが有効に使用される。
このような網目構造を有する電荷輸送層は、耐摩耗性が高い反面、架橋反応時に体積収縮が大きく、あまり厚膜化するとクラックなどを生じる場合がある。このような場合には、保護層を積層構造として、下層(感光層側)には低分子分散ポリマーの保護層を使用し、上層(表面側)に架橋構造を有する保護層を形成しても良い。
上述したように、感光層(電荷輸送層)に高分子電荷輸送物質を使用したり、或いは感光体の表面に保護層を設けることは、各々の感光体の耐久性(耐摩耗性)を高めるだけでなく、後述のようなタンデム型フルカラー画像形成装置中で使用される場合には、モノクロ画像形成装置にはない新たな効果をも生み出すものである。
フルカラーの画像の場合、様々な形態の画像が入力されるが、逆に定型的な画像も入力される場合がある。例えば、日本語の文書等における検印の存在などである。検印のようなものは通常、画像領域の端のほうに位置され、また使用される色も限定される。ランダムな画像が常に書き込まれているような状態においては、画像形成要素中の感光体には、平均的に画像書き込み、現像、転写が行われることになるが、上述のように特定の部分に数多くの画像形成が繰り返されたり、特定の画像形成要素ばかり使用された場合には、その耐久性のバランスを欠くことにつながる。このような状態で表面の耐久性(物理的・化学的・機械的)の小さな感光体が使用された場合には、この差が顕著になり、画像上の問題になりやすい。一方、感光体を高耐久化した場合には、このような局所的な変化量が小さく、結果的に画像上の欠陥として現われにくくなるため、高耐久化を実現すると共に、出力画像の安定性をも増すことになり、非常に有効である。
−静電潜像形成手段−
前記静電潜像の形成は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させた後、像様に露光することにより行うことができ、前記静電潜像形成手段により行うことができる。
前記静電潜像形成手段は、例えば、前記静電潜像担持体の表面を一様に帯電させる帯電器と、前記静電潜像担持体の表面を像様に露光する露光器とを少なくとも備える。
前記帯電は、例えば、前記帯電器を用いて前記静電潜像担持体の表面に電圧を印加することにより行うことができる。
前記帯電器としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、導電性又は半導電性のロール、ブラシ、フィルム、ゴムブレード等を備えたそれ自体公知の接触帯電器、コロトロン、スコロトロン等のコロナ放電を利用した非接触帯電器、などが挙げられる。
前記露光は、例えば、前記露光器を用いて前記静電潜像担持体の表面を像様に露光することにより行うことができる。
前記露光器としては、前記帯電器により帯電された前記静電潜像担持体の表面に、形成すべき像様に露光を行うことができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、例えば、複写光学系、ロッドレンズアレイ系、レーザー光学系、液晶シャッタ光学系、などの各種露光器が挙げられる。
なお、本発明においては、前記静電潜像担持体の裏面側から像様に露光を行う光背面方式を採用してもよい。
−現像手段−
前記可視像の形成は、例えば、前記静電潜像をトナー乃至前記現像剤を用いて現像することにより行うことができ、前記現像手段により行うことができる。
前記現像手段は、例えば、トナー乃至前記現像剤を用いて現像することができる限り、特に制限はなく、公知のものの中から適宜選択することができ、例えば、トナー乃至現像剤を収容し、前記静電潜像に該トナー乃至該現像剤を接触又は非接触的に付与可能な現像器を少なくとも有するものが好適に挙げられる。
前記現像器は、乾式現像方式のものであってもよいし、湿式現像方式のものであってもよく、また、単色用現像器であってもよいし、多色用現像器であってもよく、例えば、前記トナー乃至前記現像剤を摩擦攪拌させて帯電させる攪拌器と、回転可能なマグネットローラとを有してなるもの、などが好適に挙げられる。
前記現像器内では、例えば、前記トナーと前記キャリアとが混合攪拌され、その際の摩擦により該トナーが帯電し、回転するマグネットローラの表面に穂立ち状態で保持され、磁気ブラシが形成される。該マグネットローラは、前記静電潜像担持体(感光体)近傍に配置されているため、該マグネットローラの表面に形成された前記磁気ブラシを構成する前記トナーの一部は、電気的な吸引力によって該静電潜像担持体(感光体)の表面に移動する。その結果、前記静電潜像が該トナーにより現像されて該静電潜像担持体(感光体)の表面に該トナーによる可視像が形成される。
−転写手段−
前記転写手段は、前記可視像を記録媒体に転写する手段であるが、感光体表面から記録媒体に可視像を直接転写する方法と、中間転写体を用い、該中間転写体上に可視像を一次転写した後、該可視像を前記記録媒体上に二次転写する方法がある。いずれの態様も良好に使用することが出来るが、高画質化に際して転写による悪影響が大きいような場合には、転写回数が少ない前者(直接転写)の方法が望ましい。
前記転写は、例えば、前記可視像を転写帯電器を用いて前記静電潜像担持体(感光体)を帯電することにより行うことができ、前記転写手段により行うことができる。なお、転写手段としては、特に制限はなく、目的に応じて公知の転写手段の中から適宜選択することができ、例えば、記録媒体の搬送も同時に行うことの出来る転写搬送ベルト等が好適に挙げられる。
前記転写手段(前記第一次転写手段、前記第二次転写手段)は、前記静電潜像担持体(感光体)上に形成された前記可視像を前記記録媒体側へ剥離帯電させる転写器を少なくとも有するのが好ましい。前記転写手段は、1つであってもよいし、2以上であってもよい。
前記転写器としては、コロナ放電によるコロナ転写器、転写ベルト、転写ローラ、圧力転写ローラ、粘着転写器、などが挙げられる。
なお、前記記録媒体としては、特に制限はなく、公知の記録媒体(記録紙)の中から適宜選択することができる。
−定着手段−
前記定着は、記録媒体に転写された可視像を定着装置を用いて定着され、各色のトナーに対し前記記録媒体に転写する毎に行ってもよいし、各色のトナーに対しこれを積層した状態で一度に同時に行ってもよい。
前記定着装置としては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができるが、公知の加熱加圧手段が好適である。前記加熱加圧手段としては、加熱ローラと加圧ローラとの組み合わせ、加熱ローラと加圧ローラと無端ベルトとの組み合わせ、などが挙げられる。
前記加熱加圧手段における加熱は、通常、80℃〜200℃が好ましい。
なお、本発明においては、目的に応じて、前記定着工程及び定着手段と共にあるいはこれらに代えて、例えば、公知の光定着器を用いてもよい。
前記除電手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体に対し除電バイアスを印加することができればよく、公知の除電器の中から適宜選択することができ、例えば、除電ランプ等が好適に挙げられる。
前記クリーニング手段としては、特に制限はなく、前記静電潜像担持体上に残留する前記電子写真トナーを除去することができればよく、公知のクリーナの中から適宜選択することができ、例えば、磁気ブラシクリーナ、静電ブラシクリーナ、磁気ローラクリーナ、ブレードクリーナ、ブラシクリーナ、ウエブクリーナ等が好適に挙げられる。
前記リサイクル手段は、前記クリーニング手段により除去した前記電子写真用カラートナーを前記現像手段にリサイクルさせる工程であり、例えば、公知の搬送手段等が挙げられる。
前記制御手段は、前記各工程を制御する工程であり、制御手段により好適に行うことができる。
前記制御手段としては、前記各手段の動きを制御することができる限り特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、シークエンサー、コンピュータ等の機器が挙げられる。
ここで、本発明の画像形成装置の一の態様について、図11及び図12を参照しながら説明する。
図11及び図12は、本発明の画像形成装置を説明するための概略図であり、後に示すような変形例も本発明の範疇に属するものである。なお、図12の画像形成装置は、図11の画像形成装置において、現像部材(6)が1つの現像スリーブを有する以外は、共通するものである。
図11及び図12において、静電潜像担持体としての感光体(1)は導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を含む感光層が設けられてなり、電荷発生層にはCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ、前記7.3°のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ一次粒子の平均粒子サイズが0.25μm以下のチタニルフタロシアニン結晶を含有してなる。感光体(1)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。
図11に示される装置のシステム線速(感光体線速)は、高速の画像出力に対応して、好ましくは300mm/sec以上で動作することが可能である。
帯電部材(3)には、ワイヤー方式の帯電部材やローラ形状の帯電部材が用いられる。特に本発明のように高速帯電には帯電部材が良好に使用される。この帯電部材により、感光体には帯電が施されるが、感光体に印加される電界強度は高いほどドット再現性が良好になるため、30V/μm以上の電界強度が印加されることが望ましい。しかしながら、感光体の絶縁破壊や現像時のキャリア付着の問題を生み出す可能性があり、上限値は概ね60V/μm以下、より好ましくは50V/μm以下である。
第七形態では、帯電ローラ(3)には、感光体表面と帯電部材表面との空隙が100μm以下になるように近接配置された非接触方式の帯電部材が良好に使用される。特に、ローラ形状の帯電部材が動作機構上、装置も簡便に済むことから有効に使用される。この帯電部材により、感光体には30V/μm以上の電界強度が印加される。感光体に印加される電界強度は高いほどドット再現性が良好になるものの、感光体の絶縁破壊や現像時のキャリア付着の問題を生み出す可能性があり、上限値は概ね60V/μm以下、より好ましくは50V/μm以下である。
また、転写搬送ベルト(10)は転写チャージャー、転写ローラを用いることも可能であるが、オゾン発生量の少ない転写ベルトや転写ローラ等の接触型を用いることが望ましい。なお、転写時の電圧/電流印加方式としては、定電圧方式、定電流方式のいずれの方式も用いることが可能であるが、転写電荷量を一定に保つことができ、安定性に優れた定電流方式がより望ましい。
また、帯電方式のうち、少なくとも感光体への主帯電に用いられる帯電部材(図11及び図12には帯電ローラ(3)として表記されている)には、特に近接配置した非接触帯電方式が望ましい。非接触帯電方式の帯電部材においては帯電効率が高くオゾン発生量が少ない、装置の小型化が可能である等のメリットを有する。
ここでいう近接配置した帯電部材とは、感光体表面と帯電部材表面の間に100μm以下の空隙(ギャップ)を有するように非接触状態で近接配置したタイプのものである。このギャップは、大きすぎた場合には帯電が不安定になりやすく、また小さすぎた場合には、感光体に残留したトナーが存在する場合に、帯電部材表面が汚染されてしまう可能性がある。したがって、ギャップは5〜100μm、好ましくは10〜50μmの範囲が適当である。空隙の距離から、コロトロン、スコロトロンに代表される公知のチャージ・ワイヤータイプの帯電器、接触方式の帯電ローラ、帯電ブラシ、帯電ブレードなどの接触帯電部材とは区別されるものである。
本発明において使用される近接配置された帯電部材は、感光体表面との空隙を適切に制御できる機構のものであればいかなる形状のものでも良い。例えば、感光体の回転軸と帯電部材の回転軸を機械的に固定して、適正ギャップを有するような配置にすればよい。中でも、帯電ローラーの形状の帯電部材を用い、帯電部材の非画像形成部両端にギャップ形成部材を配置して、この部分のみを感光体表面に当接させ、画像形成領域を非接触配置させる、あるいは感光体非画像形成部両端ギャップ形成部材を配置して、この部分のみを帯電部材表面に当接させ、画像形成領域を非接触配置させる様な方法が、簡便な方法でギャップを安定して維持できる方法である。特に特開2002−148904号公報、特開2002−148905号公報に記載された方法は良好に使用できる。帯電部材側にギャップ形成部材を配置した近接帯電機構の一例を図13に示す。図13中、111は、感光体、112は、帯電ローラ、113は、ギャップ形成部材、114は、金属シャフト、115は、画像形成領域、116は、非画像形成領域をそれぞれ表す。
更に印加方式としては、交流重畳を用いることでより帯電ムラが生じにくい等の利点を有し、良好に使用できる。特に、後述のタンデム型のフルカラー画像形成装置においては、モノクロ画像形成装置の場合に発生する帯電ムラによるハーフトーン画像の濃度ムラの問題に加え、カラーバランス(色再現性)の低下という大きな問題につながる。直流成分に交流成分を重畳することにより、前記問題点は大きく改善されるものであるが、交流成分の条件(周波数、ピーク間電圧)が大きすぎる場合には、感光体へのハザードが大きくなり、感光体の劣化を早めてしまう場合がある。このため、交流成分の重畳は必要最低限にとどめるべきである。
交流成分の周波数に関しては感光体線速等により変化するものであるが、3kHz以下、好ましくは2kHz以下が妥当である。ピーク間電圧に関しては、帯電部材への印加電圧と感光体への帯電電位の関係をプロットすると、電圧を印加しているにもかかわらず感光体が帯電しない領域があり、ある点から帯電が立ち上がる電位が認められる。この立ち上り電位の2倍程度がピーク間電圧としては最適な電位(通常、1200〜1500V程度)になる。しかしながら、感光体の帯電能が低かったり、線速が非常に大きい場合には、前記の如く立ち上り電位の2倍のピーク間電圧では不足する場合がある。逆に帯電性が良好な場合には、2倍以下でも充分に電位安定性を示すことがある。したがって、ピーク間電圧は立ち上り電位の3倍以下、好ましくは2倍以下が好ましい。ピーク間電圧を絶対値として書き直せば、3kV以下が好ましく、2kV以下がより好ましく、1.5kV以下が更に好ましい。
また、画像露光部(5)には、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの高輝度が確保でき、高解像度(600dpi以上の解像度)で書き込むことのできる光源が使用される。光源(書き込み光)の解像度により、形成される静電潜像ひいてはトナー像の解像度が決定され、解像度が高いほど鮮明な画像が得られる。しかしながら、解像度を高くして書き込みを行うとそれだけ書き込みに時間がかかることになるため、書き込み光源が1つであると書き込みがドラム線速(プロセス速度)の律速になってしまう。従って、書き込み光源が1つの場合には1200dpi程度の解像度が上限となる。書き込み光源が複数の場合には、それぞれが書き込み領域を負担すれば良く、実質的には「1200dpi×書き込み光源個数」が上限となる。これらの光源のうち、発光ダイオード、及び半導体レーザーは照射エネルギーが高く、また600〜800nmの長波長光を有するため、本発明で用いられる電荷発生材料である特定結晶型のフタロシアニン顔料が高感度を示すことから良好に使用される。
第5形態では、半導体レーザー(LD)素子を副走査方向に複数配列したマルチビーム書き込みヘッドを組み入れた光源が使用される。該マルチビーム書き込みヘッドを用いることで1ビーム書き込みの場合より、より高精細で、高速な画像形成が可能となる。
第六形態では、画像露光部(5)には、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの高輝度が確保でき、380〜450nmの範囲に発振波長を有する光源が使用される。
このような波長範囲にレーザー発振させる技術としてはいくつかの手法が挙げられる。一つは、非線形光学材料を利用し、第2高調波発生(SHG)を用いてレーザー光の波長を2分の1にするものである(特開平9−275242号公報、特開平9−189930号公報、特開平5−313033号公報等)。この系は、一次光源として、既に技術が確立し高出力可能なGaAs系LDやYAGレーザーを使用することができるため、長寿命化や大出力化が可能である。もう一つは、ワイドギャップ半導体を用いるもので、SHG利用のデバイスと比べ、装置の小型化が可能である。ZnSe系半導体(特開平7−321409号公報、特開平6−334272号公報等)や、GaN系半導体(特開平8−88441号公報、特開平7−335975号公報等)を用いたLDが、その発光効率の高さから、以前から多くの研究の対象となっている。また、比較的最近の技術として、日亜化学工業から、GaN系半導体を用いたLD(405nm発振)が実用化され、上記の技術よりも格段に進んだ書き込み系が開発され、本発明にも有益に用いることが出来る。
書き込み光源の波長に関しては、450nmよりも光源の発振波長が長い場合には、書き込み光(ビーム径)を十分に小さく絞り込むことが出来ず、所望の解像度(1200dpi以上、好ましくは2400dpi以上)を容易に達成することが出来ない。このため、光源の発振波長は450nmよりも短波長側にある必要がある。発振波長はこれよりも短波長であればあるほど、ビームの絞り込み等に対して有利になる。しかしながら、現時点では2つの課題により下限値が定められる。1つは、実用化された光源の中で、上述の405nmよりも短波長で発振する光源が存在しないこと、いま1つは感光体(書き込み光入射側に存在する電荷輸送層や保護層)を構成する材料として、電荷輸送物質が挙げられるが、高移動度を有し、実用レベルで使用出来る電荷輸送物質の中で380nmよりも短波長側の成分の光に対して十分に透明な材料が存在しないことである。これは、現在開発されている電荷輸送物質の殆どがトリアリールアミン構造を有するものであり、この材料の長波長側の吸収端が概ね380nmであることに由来する。従って、光源の更なる短波長化と電荷輸送物質の更なる透明化(吸収の短波長化)が実現されれば、本発明に使用出来る光源の発振波長の加減は更に短波長側に延びることになる。
第一の形態では、現像部材(6)は、複数(少なくとも2つ以上)の現像スリーブを有する現像部材(多段現像)が用いられる。多段現像方式の構造・構成・使用条件等に関しては、公知の様々な技術を使用することができる。例えば、特開平6−337577号公報に記載されたカブリ防止技術、特開平8−234553号公報に記載されている画像カスレを防止する技術、特開平10−340003号公報に記載されているトナー飛散を抑制する技術、特開平11−174798号公報に記載された現像剤飛び防止技術、特開2003−195626号公報に記載された現像装置の小型化に関する技術等が使用できる。
また、複数の現像スリーブが同一構造であったり、同一条件で使用されるとは限らず、特開平10−161418号公報に記載されるように2つの現像スリーブの線速を変えたり、回転方向を変えることも可能である。また、特開平10−171252号公報及び特開2002−372852号公報に記載されるように、使用する現像剤も片側のスリーブでは2成分現像を行い、他方の現像スリーブで1成分現像を行うような手法も使用することができる。更には、特開2002−268386号公報に記載されているように2つのスリーブに内蔵される現像極の法線磁束密度を変えたりすることもできる。
前記現像にはDC現像とAC現像の2つの方法があるが、いずれの方法も使用でき、特開2003−149927号公報に記載されているように、2つのスリーブにおけるバイアス印加条件を変えることも可能である。
現像部材(6)は、1つの現像スリーブを有する。
第二形態では、現像ユニット(6)には、体積平均粒径が3〜7μmのトナーが用いられる。使用するトナーの帯電極性により、正規現像にも反転現像にも対応可能である。感光体の帯電極性と逆極性のトナーを使用した場合には正規現像が使用され、同極性のトナーを用いた場合には反転現像によって、静電潜像が現像される。先の画像露光部に使用する光源によっても異なるが、近年使用するデジタル光源の場合には、一般的に画像面積率が低いことに対応して、書込部分にトナー現像を行う反転現像方式が光源の寿命等を考慮すると有利である。また、トナーのみで現像を行う1成分方式と、トナー及びキャリアからなる2成分現像剤を使用した2成分方式の2通りの方法があるが、いずれの場合にも良好に使用できる。
前記トナーの体積平均粒径が7μmよりも大きい場合には、600dpi以上の高解像度書き込みにより形成された静電潜像を高精細に現像することができない。高精細に現像する点だけを取り上げれば、トナー粒径は小さいほど有利であり、製造が可能で取り扱いが出来るのであれば、細かいほど良好な結果が得られる。しかしながら、現時点での製造性や取り扱い性、及び装置内での使用勝手から、現在の技術では3μm程度が下限値となる。
また、転写チャージャー(10)は転写ベルト、転写ローラを用いることも可能であるが、オゾン発生量の少ない転写ベルトや転写ローラ等の接触型を用いることが望ましい。なお、転写時の電圧/電流印加方式としては、定電圧方式、定電流方式のいずれの方式も用いることが可能であるが、転写電荷量を一定に保つことができ、安定性に優れた定電流方式がより望ましい。特に、転写部材に電荷を供給する電源供給用部材(高圧電源)から出力された電流のうち、転写部材に関連する部分に流れ、感光体に流れ込まない電流を差し引くことにより、感光体への電流値を制御する方法が好ましい。具体的には、転写ベルトを保持するローラなどに流れる電流を求めるため、ローラなど関連部材をアースに直接落とすのではなく、関連部材に流れた電流を高圧電源に戻すような構成とし、高圧電源の出力との差を求め、この差が一定値となるようなフィードバック機能を有する高圧電源を用い、定電流制御することが望ましい。このような形態を取り得る回路構成図の一例を図13に示す。
転写電流は、感光体に静電的に付着しているトナーを引きはがし、被転写体(転写紙もしくは中間転写体など)へ移行させるために与える必要電荷量に基づく電流である。転写残などの転写不良を回避するためには、転写電流を大きくすれば良いことになるが、ネガ・ポジ現像を用いた場合には、感光体の帯電極性と逆極性の帯電を与えることになり、感光体の静電疲労が著しいものとなる。このため、ここまでの電子写真装置では、感光体の逆帯電印加による静電疲労特性の劣化が律速で、転写電流を大きくすることが困難であったが、特定結晶型を有するチタニルフタロシアニン結晶を用いた感光体を使用することにより、この問題を解決できる。
前記転写電流は大きいほど、感光体−トナー間の静電付着力を上回る電荷量を与えられるため有利であるが、ある閾値を越えると転写部材−感光体間で放電現象を生じてしまい、微細に現像されたトナー像を散らせる結果になる。このため、上限値としてはこの放電現象を起こさない範囲ということになる。この閾値は転写部材−感光体間の空隙(距離)、両者を構成する材料などによって変わるものであるが、概ね200μA以下程度で使用することにより、放電現象を回避できる。従って、転写電流の上限値は200μA程度である。
また、感光体上の形成されたトナー像は、転写紙に転写されることで転写紙上の画像となるものであるが、この際、2つの方法がある。1つは図11及び図12に示すような感光体表面に現像されたトナー像を転写紙に直接転写する方法と、もう1つはいったん感光体から中間転写体にトナー像が転写され、これを転写紙に転写する方法である。いずれの場合にも本発明において用いることができる。
このような転写部材は、構成上、本発明の構成を満足できるものであれば、公知のものを使用することができる。
除電ランプ(2)等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
第四形態では、下記数式(2)で表される除電−帯電間の時間が0.15秒以下である。
<数式(2)>
除電−帯電間の時間(秒)=P/S
ただし、前記数式(2)中、Pは、除電手段の中心に正対した静電潜像担持体表面と帯電器中心に対応した静電潜像担持体表面の周長(mm)を表す。Sは、システム線速(mm/秒)を表す。
かかる光源等は、図11及び図12に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、或いは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
先の帯電方式においてAC成分を重畳して使用する場合や、感光体の残留電位が小さい場合等は、この除電機構を省略することもできる。また、光学的な除電ではなく静電的な除電機構(例えば、逆バイアスを印加した或いはアース接地した除電ブラシなど)を用いることもできる。図11及び図12中、8はレジストローラ、11は分離チャージャー、12は分離爪である。
また、現像ユニット(6)により感光体(1)上に現像されたトナーは、転写紙(9)に転写されるが、感光体(1)上に残存するトナーが生じた場合、ファーブラシ(14)及びブレード(15)により、感光体より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行われることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
次に、図15及び図16は、本発明のタンデム型のフルカラー画像形成装置を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図15及び図16において、符号(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)はドラム状の感光体であり、感光体は導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を含む感光層が設けられてなり、電荷発生層にはCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ、前記7.3°のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ一次粒子の平均粒子サイズが0.25μm以下のチタニルフタロシアニン結晶を含有してなる。
この感光体(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)は図15中の矢印方向に回転可能であり、その周りに少なくとも回転順に帯電部材(17Y)、(17M)、(17C)、(17K)、2つの現像スリーブを有する現像部材(19Y)、(19M)、(19C)、(19K)、クリーニング部材(20Y)、(20M)、(20C)、(20K)が配置されている。帯電部材(17Y)、(17M)、(17C)、(17K)は、感光体表面を均一に帯電するための帯電装置を構成する帯電部材である。この帯電部材(17Y)、(17M)、(17C)、(17K)と現像部材(19Y)、(19M)、(19C)、(19K)の間の感光体表面側より、図示しない露光部材からのレーザー光(18Y)、(18M)、(18C)、(18K)が照射され、感光体(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)に静電潜像が形成されるようになっている。そして、このような感光体(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)を中心とした4つの画像形成要素(25Y)、(25M)、(25C)、(25K)が、転写材搬送手段である転写搬送ベルト(22)に沿って並置されている。転写搬送ベルト(22)は各画像形成ユニット(25Y)、(25M)、(25C)、(25K)の現像部材(19Y)、(19M)、(19C)、(19K)とクリーニング部材(20Y)、(20M)、(20C)、(20K)の間で感光体(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)に当接しており、転写搬送ベルト(22)の感光体側の裏側に当たる面(裏面)には転写バイアスを印加するための転写ブラシ(21Y)、(21M)、(21C)、(21K)が配置されている。各画像形成要素(25Y)、(25M)、(25C)、(25K)は現像装置内部のトナーの色が異なることであり、その他は全て同様の構成となっている。
また、図16に示すフルカラー画像形成装置においては、感光体(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)の周りに少なくとも回転順に帯電部材(17Y)、(17M)、(17C)、(17K)、1つの現像スリーブを有する現像部材(19Y)、(19M)、(19C)、(19K)を有する以外は、図15と同様である。
図15及び図16に示す構成のフルカラー画像形成装置において、画像形成動作は次のようにして行われる。まず、各画像形成要素(25Y)、(25M)、(25C)、(25K)において、感光体(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)に静電潜像が形成されるようになっている。そして、このような感光体(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)が300mm/sec以上の速度で回転し、帯電部材(17Y)、(17M)、(17C)、(17K)により、感光体が帯電される。次に感光体の外側に配置された露光部(図示しない)でレーザー光(18Y)、(18M)、(18C)、(18K)により、600dpi以上の解像度で書き込みが行われ、作成する各色の画像に対応した静電潜像が形成される。この場合にも書き込み光源1つに対して1200dpiの書き込みが概ね上限となる。次に、2つの現像スリーブ(図16の例では1つの現像スリーブ)を有する現像部材(19Y)、(19M)、(19C)、(19K)により潜像を現像してトナー像が形成される。現像部材(19Y)、(19M)、(19C)、(19K)は、それぞれY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)のトナーで現像を行う現像部材で、4つの感光体(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)上で作られた各色のトナー像は転写紙上で重ねられる。転写紙(26)は給紙コロ(図示せず)によりトレイから送り出され、一対のレジストローラ(23)で一旦停止し、上記感光体上への画像形成とタイミングを合わせて転写搬送ベルト(22)に送られる。転写搬送ベルト(22)上に保持された転写紙(26)は搬送されて、各感光体(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)との当接位置(転写部)で各色トナー像の転写が行われる。感光体上のトナー像は、転写ブラシ(21Y)、(21M)、(21C)、(21K)に印加された転写バイアスと感光体(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)との電位差から形成される電界により、転写紙(26)上に直接転写される。そして4つの転写部を通過して4色のトナー像が重ねられた記録紙(26)は定着装置(24)に搬送され、トナーが定着されて、図示しない排紙部に排紙される。また、転写部で転写されずに各感光体(16Y)、(16M)、(16C)、(16K)上に残った残留トナーは、クリーニング装置(20Y)、(20M)、(20C)、(20K)で回収される。なお、図15及び図16の例では画像形成要素は転写紙搬送方向上流側から下流側に向けて、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(ブラック)の色の順で並んでいるが、この順番に限るものではなく、色順は任意に設定されるものである。また、黒色のみの原稿を作成する際には、黒色以外の画像形成要素((25Y)、(25M)、(25C))が停止するような機構を設けることは本発明に特に有効に利用できる。
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段等を含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図17及び図18に示すものが挙げられる。感光体(101)は導電性支持体上に少なくとも電荷発生層、電荷輸送層を含む感光層が設けられてなり、電荷発生層にはCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ、前記7.3°のピークと9.4゜のピークの間にはピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ一次粒子の平均粒子サイズが0.25μm以下のチタニルフタロシアニン結晶を含有してなる。
この場合にも、第三形態では、感光体上の形成されたトナー像を転写手段により被転写体に直接転写される方式を使用する。帯電部材(102)には、前述のように公知の帯電部材が用いられ、高精細な画像形成を行う際には感光体に対して30V/μm以上(60V/μm以下、好ましくは50V/μm以下)の電界強度を印加する。
画像露光部(103)には、前述のように好ましくは600dpi以上の解像度で書き込みが行うことのできる光源が用いられ、帯電部材(102)には、任意の帯電部材が用いられる。図17中、104は2つの現像スリーブを有する現像手段、105は転写体、106は転写手段、107はクリ−ニング手段である。
図18中、124は1つの現像スリーブを有する現像手段、105は転写体、106は転写手段、107はクリ−ニング手段である。
以下、実施例により本発明について詳細に説明するが、本発明は、下記実施例に何ら限定されるものではない。なお、部はすべて質量部である。
まず、電荷発生材料(チタニルフタロシアニン結晶)の合成例について述べる。
(比較合成例1)
特開2001−187794号公報に準じて、顔料を作製した。即ち、1,3−ジイミノイソインドリン29.2gとスルホラン200mlを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド20.4gを滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行った。反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶をろ過、次いで、洗浄液が中性になるまで水洗いを繰り返し、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキ(水ペースト)を得た。得られたこのウェットケーキ(水ペースト)2gをテトラヒドロフラン20gに投入し、4時間攪拌を行った後、濾過を行い、乾燥して、チタニルフタロシアニン粉末を得た。
更に、このチタニルフタロシアニン結晶30gをテトラヒドロフラン300gに浸漬し、2回目の結晶変換を行った。12時間浸漬放置した後、濾過分別し、上記と同じ条件で減圧乾燥を行い、本発明で用いるチタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料1とする。
(合成例1)
比較合成例1の方法に従って、チタニルフタロシアニン顔料の水ペーストを合成し、次のように結晶変換を行い、比較合成例1よりも一次粒子の小さなフタロシアニン結晶を得た。
比較合成例1で得られた結晶変換前の水ペースト60部にテトラヒドロフラン1500部を加え、室温下でホモミキサー(ケニス、MARKIIfモデル)により強烈に撹拌(2000rpm)し、ペーストの濃紺色の色が淡い青色に変化したら(撹拌開始後20分)、撹拌を停止し、直ちに減圧濾過を行った。濾過装置上で得られた結晶をテトラヒドロフランで洗浄し、顔料のウェットケーキを得た。これを減圧下(5mmHg)、70℃で2日間乾燥して、チタニルフタロシアニン結晶58部を得た。
−2回目の結晶変換処理−
更に、このチタニルフタロシアニン結晶30gをテトラヒドロフラン300gに浸漬し、2回目の結晶変換を行った。12時間浸漬放置した後、濾過分別し、上記と同じ条件で減圧乾燥を行い、本発明で用いるチタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料2とする。
(合成例2)
合成例1における2回目の結晶変換操作を下記の通りの条件に変更した以外は、合成例1と同様に処理を行い、本発明のチタニルフタロシアニン結晶(図20参照)を得た。これを顔料3とする。
−2回目の結晶変換処理−
1回目の結晶変換処理を行ったチタニルフタロシアニン結晶30gを、市販のミキサーにより機械的剪断力を5分間与えた後、粉末を取り出した。
(合成例3)
合成例1における2回目の結晶変換操作を下記の通りの条件に変更した以外は、合成例1と同様に処理を行い、本発明のチタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料4とする。
−2回目の結晶変換処理−
1回目の結晶変換処理を行ったチタニルフタロシアニン結晶30gを、2kgの直径6mmのジルコニアボールと共に、直径90mmのガラスポットに投入し、乾式ミリングを10分間行った後、粉末を取り出した。
(比較合成例2)
合成例1における2回目の結晶変換溶媒をテトラヒドロフランからメタノールに変更した以外は、合成例1と同様に処理を行い、チタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料5とする。
(比較合成例3)
比較合成例1において、1回目の結晶変換溶媒として、テトラヒドロフランの代わりに2−ブタノンを用い、2回目の結晶変換を行わない以外は、比較合成例1と同様に処理を行い、チタニルフタロシアニン結晶を得た。これを顔料6とする。
以上のようにして得られたチタニルフタロシアニン粉末を、下記の条件によりX線回折スペクトル測定した。
<X線回折スペクトル測定条件>
X線管球:Cu
電圧:50kV
電流:30mA
走査速度:2°/分
走査範囲:3°〜40°
時定数:2秒
比較合成例1及び合成例1〜3より得られた顔料1〜4については、26.3°のピーク強度以外は、いずれの場合にも同様のX線回折スペクトルを示したため、代表例として合成例2で得られたチタニルフタロシアニン結晶のX線回折スペクトルを図27に示す(図中の矢印が、26.3°のピークであり、ピーク強度比は8%である。)。図27中の矢印が、26.3°のピークであり、ピーク強度比は8%である。
Cu−Kα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θが27.2±0.2°に最大ピークと最低角7.3±0.2°にピークを有し、かつ7.3°のピークと9.4°のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有するチタニルフタロシアニン粉末であることが分かる。
また、比較合成例1で得られた水ペーストの一部を80℃の減圧下(5mmHg)で、2日間乾燥して、低結晶性チタニルフタロシアニン粉末を得た。水ペーストの乾燥粉末のX線回折スペクトルを図28に示す。
比較合成例2で得られたチタニルフタロシアニン結晶(顔料5)のX線回折スペクトルを図29に示すが、26.3°にピークを示さないものであった。
比較合成例3で得られたチタニルフタロシアニン結晶(顔料6)のX線回折スペクトルを図30に示すが、最低角が7.5°に存在するものであった。
比較合成例1で作製された結晶変換前チタニルフタロシアニン(水ペースト)の一部をイオン交換水でおよそ1質量%になるように希釈し、表面を導電性処理した銅製のネットですくい取り、チタニルフタロシアニンの粒子サイズを透過型電子顕微鏡(TEM、日立製作所製:H−9000NAR)にて、75000倍の倍率で観察を行った。平均粒子サイズとして、以下のように求めた。
上述のように観察されたTEM像をTEM写真として撮影し、映し出されたチタニルフタロシアニン粒子(針状に近い形)を30個任意に選び出し、それぞれの長径の大きさを測定する。測定した30個体の長径の算術平均を求めて、平均粒子サイズとした。
以上の方法により求められた合成例1における水ペースト中の平均粒子サイズは、0.06μmであった。
また、比較合成例1及び合成例1における濾過直前の結晶変換後チタニルフタロシアニン結晶を、テトラヒドロフランでおよそ1質量%になるように希釈し、上の方法と同様に観察を行った。上記のようにして求めた平均粒子サイズを表1に示す。なお、比較合成例1及び合成例1で作製されたチタニルフタロシアニン結晶は、必ずしも全ての結晶の形が同一ではなかった(三角形に近い形、四角形に近い形など)。このため、結晶の最も大きな対角線の長さを長径として、計算を行った。
(比較合成例4)
特開平1−299874号(特許第2512081号)公報の実施例1に記載の方法に準じて、顔料を作製した。即ち、先の比較合成例1で作製したウェットケーキを乾燥し、乾燥物1gをポリエチレングリコール50gに加え、100gのガラスビーズと共に、サンドミルを行った。結晶転移後、希硫酸、水酸化アンモニウム水溶液で順次洗浄し、乾燥して顔料を得た。これを顔料7とする。
(比較合成例5)
特開平3−269064号(特許第2584682号)公報の製造例1に記載の方法に準じて、顔料を作製した。即ち、先の比較合成例1で作製したウェットケーキを乾燥し、乾燥物1gをイオン交換水10gとモノクロルベンゼン1gの混合溶媒中で1時間撹拌(50℃)した後、メタノールとイオン交換水で洗浄し、乾燥して顔料を得た。これを顔料8とする。
(比較合成例6)
特開平2−8256号(特公平7−91486号)公報の製造例に記載の方法に準じて、顔料を作製した。即ち、フタロジニトリル9.8gと1−クロロナフタレン75mlを撹拌混合し、窒素気流下で四塩化チタン2.2mlを滴下する。滴下終了後、徐々に200℃まで昇温し、反応温度を200℃〜220℃の間に保ちながら3時間撹拌して反応を行った。反応終了後、放冷し130℃になったところ熱時ろ過し、次いで1−クロロナフタレンで粉体が青色になるまで洗浄、次にメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後、乾燥し顔料を得た。これを顔料9とする。
(比較合成例7)
特開昭64−17066号(特公平7−97221号)公報の合成例1に記載の方法に準じて、顔料を作製した。即ち、α型TiOPc5部を食塩10g及びアセトフェノン5gと共にサンドグラインダーにて100℃にて10時間結晶変換処理を行った。これをイオン交換水及びメタノールで洗浄し、希硫酸水溶液で精製し、イオン交換水で酸分がなくなるまで洗浄した後、乾燥して顔料を得た。これを顔料10とする。
(比較合成例8)
特開平11−5919号(特許第3003664号)公報の実施例1に記載の方法に準じて、顔料を作製した。即ち、O−フタロジニトリル20.4部、四塩化チタン部7.6部をキノリン50部中で200℃にて2時間加熱反応後、水蒸気蒸留で溶媒を除き、2%塩酸、続いて2%水酸化ナトリウム水溶液で精製し、メタノール、N,N−ジメチルホルムアミドで洗浄後、乾燥し、チタニルフタロシアニンを得た。このチタニルフタロシアニン2部を5℃の98%硫酸40部の中に少しずつ溶解し、その混合物を約1時間、5℃以下の温度を保ちながら攪拌する。続いて硫酸溶液を高速攪拌した400部の氷水中に、ゆっくりと注入し、析出した結晶を濾過する。結晶を酸が残量しなくなるまで蒸留水で洗浄し、ウエットケーキを得る。そのケーキをTHF100部中で約5時間攪拌を行い、ろ過、THFによる洗浄を行い乾燥後、顔料を得た。これを顔料11とする。
(比較合成例9)
特開平3−255456号(特許第3005052号)公報の合成例2に記載の方法に準じて、顔料を作製した。即ち、先の比較合成例1で作製したウェットケーキ10部を塩化ナトリウム15部とジエチレングリコール7部に混合し、80℃の加熱下で自動乳鉢により60時間ミリング処理を行った。次に、この処理品に含まれる塩化ナトリウムとジエチレングリコールを完全に除去するために充分な水洗を行った。これを減圧乾燥した後にシクロヘキサノン200部と直径1mmのガラスビーズを加えて、30分間サンドミルにより処理を行い、顔料を得た。これを顔料12とする。
(比較合成例10)
特開平11−5919号(特許第3003664号)公報の実施例4に記載の方法に準じて、顔料を作製した。即ち、先の比較合成例8で得られたウェットケーキを5%の塩酸で洗浄し、中性になるまで水洗・濾過を行い、乾燥した。更にこれをTHFと共にボールミルで10時間分散し、濾過・乾燥して顔料粉末を得た。これを顔料13とする。
(比較合成例11)
特開平5−134437号(特許第3196260号)公報の製造例1及び製造例2に記載の方法に準じて、顔料を作製した。即ち、フタロジニトリル97.5gをα−クロロナフタレン750ml中に加え、次に窒素雰囲気下で四塩化チタン22mlを滴下する。滴下後昇温し、撹拌しながら200〜220℃で3時間反応させた後、放冷し、100〜130℃で熱時濾過し、100℃に加熱したα−クロロナフタレン200mlで洗浄した。更に200mlのN−メチルピロリドンで熱懸洗処理(100℃、1時間)を3回行った。続いてメタノール300mlで室温にて懸洗しさらにメタノール500mlで1時間熱懸洗を3回行った。これをフタロシアニン1とする。
次いで、フタロシアニン1をサンドグラインドミルにて20時間磨砕処理しを行い、続いて水400ml、o−ジクロロベンゼン40mlの懸濁液中に入れ、60℃で1時間加熱処理を行った。これをフタロシアニン2とする。
更に、特開平5−134437号実施例1に準じて、フタロシアニン1及びフタロシアニン2をそれぞれ6質量部及び4質量部混合し、n−プロパノール200質量部を加え、サンドグラインドミルで10時間粉砕、微粒化分散処理を行った。これを乾燥して、フタロシアニン粉末を得た。これを顔料14とする。
(比較合成例12)
特開平8−110649号公報のチタニルフタロシアニン結晶体の製造方法に準じて、顔料を作製した。即ち、1,3−ジイミノイソインドリン58g、テトラブトキシチタン51gをα−クロロナフタレン300mL中で210℃にて5時間反応後、α−クロロナフタレン、ジメチルホルムアミド(DMF)の順で洗浄した。その後、熱DMF、熱水、メタノールで洗浄、乾燥して50gのチタニルフタロシアニンを得た。チタニルフタロシアニン4gを0℃に冷却した濃硫酸400g中に加え、引き続き0℃、1時間撹拌した。フタロシアニンが完全に溶解したことを確認した後、0℃に冷却した水800mL/トルエン800mL混合液中に添加した。室温で2時間撹拌後、析出したフタロシアニン結晶体を混合液より濾別し、メタノール、水の順で洗浄した。洗浄水の中性を確認した後、洗浄水よりフタロシアニン結晶体を濾別し、乾燥して、2.9gのチタニルフタロシアニン結晶体を得た。これを顔料15とする。
以上の比較合成例4〜12で作製した顔料7〜15は、先程と同様の方法でX線回折スペクトルを測定し、それぞれの公報に記載のスペクトルと同様であることを確認した。表2に顔料1〜15のX線回折スペクトルのピーク位置の特徴を示す。
(分散液作製例1)
比較合成例1で作製した顔料1を下記組成の処方にて、下記に示す条件にて分散を行い電荷発生層用塗工液として、分散液を作製した。
チタニルフタロシアニン顔料(顔料1) 15部
ポリビニルブチラール(積水化学製:BX−1) 10部
2−ブタノン 280部
市販のビーズミル分散機に直径0.5mmのPSZボールを用い、ポリビニルブチラールを溶解した2−ブタノン及び顔料を全て投入し、ローター回転数1200r.p.m.にて30分間分散を行い、分散液を作製した。これを分散液1とする。
(分散液作製例2〜15)
分散液作製例1で使用した顔料1に変えて、それぞれ合成例1〜3及び比較合成例2〜12で作製した顔料2〜15を使用して、分散液作製例1と同じ条件にて分散液を作製した(顔料番号に対応して、それぞれ分散液2〜15とする)。
(分散液作製例16)
分散液作製例1で作製した分散液1を、アドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−1−CS(有効孔径1μm)を用いて、濾過を行った。濾過に際しては、ポンプを使用し、加圧状態で濾過を行った。これを分散液16とする。
(分散液作製例17)
分散液作製例16で使用したフィルターを、アドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−3−CS(有効孔径3μm)に変えた以外は、分散液作製例16と同様に加圧濾過を行い分散液を作製した。これを分散液17とする。
(分散液作製例18)
分散液作製例15で使用したフィルターを、アドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−5−CS(有効孔径5μm)に変えた以外は、分散液作製例16と同様に加圧濾過を行い分散液を作製した。これを分散液18とする。
(分散液作製例19)
分散液作製例1における分散条件を下記の通り変更して、分散を行った。これを分散液19とする。
ローター回転数:1000r.p.m.にて20分間分散を行った。
(分散液作製例20)
分散液作製例19で作製した分散液をアドバンテック社製、コットンワインドカートリッジフィルター、TCW−1−CS(有効孔径1μm)を用いて、濾過を行った。濾過に際しては、ポンプを使用し、加圧状態で濾過を行った。濾過の途中でフィルターが目詰まりを起こして、全ての分散液を濾過することができなかった。このため、以下の評価は未実施とした。
以上のように作製した分散液中の顔料粒子の粒度分布を、堀場製作所:CAPA−700にて測定した。結果を表3に示す。
(感光体作製例1)
直径60mmのアルミニウムシリンダー(JIS 1050)に、下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、及び電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥し、3.5μmの下引き層、電荷発生層、25μmの電荷輸送層を形成し、積層感光体を作製した(感光体1とする)。なお、電荷発生層の膜厚は、780nmにおける電荷発生層の透過率が20%になるように調整した。電荷発生層の透過率は、下記組成の電荷発生層塗工液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムを巻き付けたアルミニウムシリンダーに感光体作製と同じ条件で塗工を行い、比較対照を電荷発生層を塗工していないポリエチレンテレフタレートフィルムとし、市販の分光光度計(島津製作所製:UV−3100)にて、780nmの透過率を評価した。
◎下引き層塗工液
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製) 70部
アルキッド樹脂 15部
(ベッコライトM6401−50−S、固形分50%、大日本インキ化学工業製)
メラミン樹脂 10部
(スーパーベッカミンL−121−60、固形分60%、大日本インキ化学工業製)
2−ブタノン 100部
◎電荷発生層塗工液
先に作製した分散液1を用いた。
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
塩化メチレン 80部
(感光体作製例2〜19)
感光体作製例1で使用した電荷発生層塗工液(分散液1)をそれぞれ、分散液2〜18に変更した以外は、感光体作製例1と同様に感光体2〜19を作製した。なお、電荷発生層の膜厚は、感光体作製例1と同様に、すべての塗工液を用いた場合に780nmの透過率が20%になるように調整した。
(感光体作製例B−1)
直径100mmのアルミニウムシリンダー(JIS 1050)に、下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、及び電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥し、3.5μmの下引き層、電荷発生層、28μmの電荷輸送層を形成し、積層感光体を作製した(感光体B−1とする)。なお、電荷発生層の膜厚は、780nmにおける電荷発生層の透過率が20%になるように調整した。電荷発生層の透過率は、下記組成の電荷発生層塗工液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムを巻き付けたアルミニウムシリンダーに感光体作製と同じ条件で塗工を行い、比較対照を電荷発生層を塗工していないポリエチレンテレフタレートフィルムとし、市販の分光光度計(島津製作所製:UV−3100)にて、780nmの透過率を評価した。
◎下引き層塗工液
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製) 70部
アルキッド樹脂 15部
(ベッコライトM6401−50−S、固形分50%、大日本インキ化学工業製)
メラミン樹脂 10部
(スーパーベッカミンL−121−60、固形分60%、大日本インキ化学工業製)
2−ブタノン 100部
◎電荷発生層塗工液
先に作製した分散液1を用いた。
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
塩化メチレン 80部
(感光体作製例B−2〜B−19)
感光体作製例B−1で使用した電荷発生層塗工液(分散液1)をそれぞれ、分散液2〜18に変更した以外は、感光体作製例B−1と同様に感光体B−2〜B−19を作製した。なお、電荷発生層の膜厚は、感光体作製例B−1と同様に、すべての塗工液を用いた場合に780nmの透過率が20%になるように調整した。
<黒色トナー現像剤K−1の作製>
(黒色トナー)
ポリエステル樹脂 95部
カーボンブラック 10部
サリチル酸誘導体亜鉛塩 2部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後粉砕、分級し、体積平均粒径6.8μmのトナーを得た。
また、湿式法により作製したマグネタイト100部に対してポリビニルアルコール2部、水60部をボールミルに入れ12時間混合してマグネタイトのスラリーを調整した。このスラリーをスプレードライヤーにて噴霧造粒し、球形粒子とした。この粒子を窒素雰囲気中で1000℃の温度で3時間焼成後冷却し、核体粒子1を得た。
シリコーン樹脂溶液 100部
トルエン 100部
γ−アミノプロピルトリメトキシシラン 15部
カーボンブラック 20部
上記混合物をホモミキサーで20分間分散し、被覆層形成液1を調整した。この被覆層形成液1を、流動床型コーティング装置を用いて核体粒子1を1000部の表面にコーティングして、シリコーン樹脂被覆キャリア(磁性キャリア)を得た。
上記磁性キャリアを97.5部に対し、トナー2.5部の割合で混合し、黒色トナー二成分現像剤(K−1)を作製した。
<イエロートナー現像剤Y−1の作製>
(イエロートナー)
ポリエステル樹脂 95部
C.I.ピグメントイエロー180 5部
サリチル酸誘導体亜鉛塩 2部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後粉砕、分級し、体積平均粒径6.8μmのトナーを得た。このトナー2.5部を、先の磁性キャリア97.5部と混合してイエロートナー二成分現像剤(Y−1)を作製した。
<マゼンタトナー現像剤M−1の作製>
(マゼンタトナー)
ポリエステル樹脂 95部
C.I.ピグメントレッド57:1 5部
サリチル酸誘導体亜鉛塩 2部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後粉砕、分級し、体積平均粒径6.8μmのトナーを得た。このトナー2.5部を、先の磁性キャリア97.5部と混合してマゼンタトナー二成分現像剤(M−1)を作製した。
<シアントナー現像剤C−1の作製>
(シアントナー)
ポリエステル樹脂 95部
C.I.ピグメントブルー15:3 5部
サリチル酸誘導体亜鉛塩 2部
上記組成の混合物を、溶融混練し、その後粉砕、分級し、体積平均粒径6.8μmのトナーを得た。このトナー2.5部を、先の磁性キャリア97.5部と混合してシアントナー二成分現像剤(C−1)を作製した。
<黒色トナー現像剤K−2の作製>
先の黒色トナーと同じ組成の混合物を溶融混練した後、先の粉砕・分級条件とは条件を変更して、体積平均粒径9.5μmのトナーを得た。このトナー2.5部を、先の磁性キャリア97.5部と混合して、黒色トナー二成分現像剤(K−2)を作製した。
<イエロートナー現像剤Y−2の作製>
先のイエロートナーと同じ組成の混合物を溶融混練した後、先の粉砕・分級条件とは条件を変更して、体積平均粒径9.5μmのトナーを得た。このトナー2.5部を、先の磁性キャリア97.5部と混合して、イエロートナー二成分現像剤(Y−2)を作製した。
<マゼンタトナー現像剤M−2の作製>
先のマゼンタトナーと同じ組成の混合物を溶融混練した後、先の粉砕・分級条件とは条件を変更して、体積平均粒径9.5μmのトナーを得た。このトナー2.5部を、先の磁性キャリア97.5部と混合して、マゼンタトナー二成分現像剤(M−2)を作製した。
<シアントナー現像剤C−2の作製>
先のシアントナーと同じ組成の混合物を溶融混練した後、先の粉砕・分級条件とは条件を変更して、体積平均粒径9.5μmのトナーを得た。このトナー2.5部を、先の磁性キャリア97.5部と混合して、シアントナー二成分現像剤(C−2)を作製した。
(感光体作製例D−1)
直径100mmのアルミニウムシリンダー(JIS 1050)に、下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、及び電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥し、3.5μmの下引き層、電荷発生層、27μmの電荷輸送層を形成し、積層感光体を作製した(感光体D−1とする)。なお、電荷発生層の膜厚は、780nmにおける電荷発生層の透過率が20%になるように調整した。電荷発生層の透過率は、下記組成の電荷発生層塗工液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムを巻き付けたアルミニウムシリンダーに感光体作製と同じ条件で塗工を行い、比較対照を電荷発生層を塗工していないポリエチレンテレフタレートフィルムとし、市販の分光光度計(島津製作所製:UV−3100)にて、780nmの透過率を評価した。
◎下引き層塗工液
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製) 70部
アルキッド樹脂 15部
(ベッコライトM6401−50−S、固形分50%、大日本インキ化学工業製)
メラミン樹脂 10部
(スーパーベッカミンL−121−60、固形分60%、大日本インキ化学工業製)
2−ブタノン 100部
◎電荷発生層塗工液
先に作製した分散液1を用いた。
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
塩化メチレン 80部
(感光体作製例D−2〜D−19)
感光体作製例D−1で使用した電荷発生層塗工液(分散液1)をそれぞれ、分散液2〜18に変更した以外は、感光体作製例D−1と同様に感光体D−2〜D−19を作製した。なお、電荷発生層の膜厚は、感光体作製例D−1と同様に、すべての塗工液を用いた場合に780nmの透過率が20%になるように調整した。
(感光体作製例D−20〜D−38)
感光体作製例D−1〜D−19に使用したアルミニウムシリンダーを直径60mmのものに変更した以外は、感光体作製例D−1〜D−19と同様にして感光体D−20〜D−38を作製した。
(実施例A−1〜A−5及び比較例A−1〜A−33)
以上のように作製した感光体作製例1〜19の電子写真感光体を図12に示す画像形成装置に搭載し、帯電部材として図12に示すような非接触方式の帯電ローラ(感光体と帯電部材間の空隙は50μm)を用い下記の帯電条件にて帯電を行い、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み、解像度600dpi)を使用して書き込みを行い静電潜像を形成し、現像を行った後、転写部材として転写ベルトを用い、書き込み率6%のチャートを用い、連続5万枚印刷を行った(試験環境は、22℃−55%RHである)。
<帯電条件1>
DCバイアス:−800V
ACバイアス:2.0kV(peak to peak)、周波数:1.5kHz
<帯電条件2>
DCバイアス:−700V
ACバイアス:2.0kV(peak to peak)、周波数:1.5kHz
なお、画像評価は5万枚印刷後に、下記2つの評価を実施した。
(i)地汚れの評価
白ベタ画像を出力し、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。
(ii)ドット形成状態の評価
直径60μmの1ドット画像を形成し、ドット形成状態を150倍の顕微鏡にて観察し、ランク評価を実施した。
何れの場合にもランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。以上の結果を表4に示す。
更に、22℃−55%RHでの上記試験の後、上記の帯電条件のまま(帯電条件は−700Vのみ)、10℃−15%RHで2万枚、30℃−90%RHで2万枚のランニング試験を行い、それぞれの2万枚後の画像を同じように画像評価を行った。結果をそれぞれ、表5及び表6に示す。
<22℃−55%RH環境下での評価結果>
なお、表4の電界強度の計算に際して、電荷発生層の膜厚はおよそ0.1μm程度であるが、感光層の膜厚は電荷輸送層の膜厚と等しいと仮定して計算を行った。
<10℃−15%RH環境下での評価結果>
実施例A−1〜A−5の画像はいずれも良好な画像であったが、10℃−15%RH環境下での2万枚後の画像において、実施例A−2の画像は、実施例A−1及び実施例A−3〜A−5の画像に比べて僅かではあるが、画像濃度が低かった。
<30℃−90%RH環境下での評価結果>
30℃−90%RH環境下でのランニング試験を終了した後に、感光体の外観上の観察を実施した。その結果、感光体作製例5、10、11、15で作製した感光体に絶縁破壊に基づく穴が存在していた。
(実施例B−1〜B−5及び比較例B−1〜B−33)
以上のように作製した感光体作製例B−1〜B−19の電子写真感光体を図11に示す画像形成装置(感光体線速は350mm/sec)に搭載し、スコロトロン方式の帯電部材を用いて下記の帯電条件にて帯電を行い、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み、解像度600dpi)、現像部材として図11に示す様な2本の現像スリーブを有する現像部材を用い(スリーブ線速は600mm/sec)、転写部材として転写ベルトを用い、書き込み率6%のチャートを用い、連続10万枚印刷を行った(試験環境は、22℃−55%RHである)。
<帯電条件1>
放電電圧:−6.0kV
グリッド電圧:−920V(感光体の未露光部表面電位は、−900V)
現像バイアス:−650V
<帯電条件2>
放電電圧:−5.8kV
グリッド電圧:−780V(感光体の未露光部表面電位は、−750V)
現像バイアス:−500V
なお、画像評価は10万枚印刷後に、下記2つの評価を実施した。
(i)地汚れの評価
白ベタ画像を出力し、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。
(ii)ドット形成状態の評価
直径60μmの1ドット画像を形成し、ドット形成状態を150倍の顕微鏡にて観察し、ランク評価を実施した。
何れの場合にもランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。以上の結果を表7に示す。
更に、22℃−55%RHでの上記試験の後、上記の帯電条件のまま(帯電条件は、条件1のみ)、10℃−15%RHで2万枚、30℃−90%RHで2万枚のランニング試験を行い、それぞれの2万枚後の画像を同じように画像評価を行った。結果をそれぞれ、表8、表9に示す。
(比較例B−34)
実施例B−1において、現像部を現像スリーブが1つの現像部材を用いた以外は、実施例B−1と同様の評価を行った(帯電条件1の実験条件のみ)。結果をあわせて表7〜9に示す。
<22℃−55%RH環境下での評価結果>
比較例B−34の画像は、実施例の画像に比べ画像濃度が低く、実使用に耐えないものであった。なお、表7の電界強度の計算に際して、電荷発生層の膜厚はおよそ0.1μm程度であるが、感光層の膜厚は電荷輸送層の膜厚と等しいと仮定して計算を行った。
<10℃−15%RH環境下での評価結果>


実施例B−1〜B−5の画像はいずれも良好な画像であったが、10℃−15%RH環境下での2万枚後の画像において、実施例B−2の画像は、実施例B−1及び実施例B−3〜B−5の画像に比べて僅かではあるが、画像濃度が低かった。
また、比較例B−34の画像は、実施例B−1の画像に比べてかなり画像濃度が低かった。
<30℃−90%RH環境下での評価結果>
比較例B−34の画像は、実施例B−1の画像に比べてかなり画像濃度が低かった。
(実施例C−1〜C−5及び比較例C−1〜C−33)
以上のように作製した感光体作製例B−1〜B−19の電子写真感光体を図12に示す画像形成装置(感光体線速は320mm/sec)に搭載し、スコロトロン方式の帯電部材を用いて下記の帯電条件にて帯電を行い、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み、解像度600dpi)、転写部材として転写ベルトを用い、書き込み率6%のチャートを用い、連続10万枚印刷を行った(試験環境は、22℃−55%RHである)。
<帯電条件1>
放電電圧:−6.0kV
グリッド電圧:−920V(感光体の未露光部表面電位は、−900V)
現像バイアス:−650V
<帯電条件2>
放電電圧:−5.8kV
グリッド電圧:−780V(感光体の未露光部表面電位は、−750V)
現像バイアス:−500V
なお、画像評価は10万枚印刷後に、下記2つの評価を実施した。
(i)地汚れの評価
白ベタ画像を出力し、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。
(ii)ドット形成状態の評価
直径60μmの1ドット画像を形成し、ドット形成状態を150倍の顕微鏡にて観察し、ランク評価を実施した。
何れの場合にもランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。以上の結果を表10に示す。
(比較例C−34〜C−52)
実施例1〜5及び比較例C−1〜C−14において、現像に使用した現像剤を黒色現像剤K−1から、黒色現像剤K−2に変更した以外は、実施例C−1〜C−5及び比較例C−1〜C−14と同様に評価を行った。結果をあわせて表10に示す。
更に、22℃−55%RHでの上記試験の後、上記の帯電条件のまま(帯電条件は、条件1のみ)、10℃−15%RHで2万枚、30℃−90%RHで2万枚のランニング試験を行い、それぞれの2万枚後の画像を同じように画像評価を行った。結果をそれぞれ、表11、表12に示す。
なお、電界強度の計算に際して、電荷発生層の膜厚はおよそ0.1μm程度であるが、感光層の膜厚は電荷輸送層の膜厚と等しいと仮定して計算を行った。
<22℃−55%RH環境下での評価結果>
比較例C−34〜C−52の画像は、実施例C−1〜C−5及び比較例C−1〜C−14の画像に比べ、ドットの輪郭の鮮明さが明らかに劣っていた。
<10℃−15%RH環境下での評価結果>
実施例C−1〜C−5の画像はいずれも良好な画像であったが、10℃−15%RH環境下での2万枚後の画像において、実施例C−2の画像は、実施例C−1及び実施例C−3〜C−5の画像に比べて僅かではあるが、画像濃度が低かった。
比較例C−34〜C−52の画像は、実施例C−1〜C−5及び比較例C−1〜C−14の画像に比べ、ドットの輪郭の鮮明さが明らかに劣っていた。
比較例C−34〜C−52の画像は、実施例C−1〜C−5及び比較例C−1〜C−14の画像に比べ、ドットの輪郭の鮮明さが明らかに劣っていた。
(実施例D−1〜D−5及び比較例D−1〜D−14)
以上のように作製した感光体作製例D−1〜D−19の電子写真感光体を図12に示す画像形成装置(感光体線速は360mm/sec)に搭載し、スコロトロン方式の帯電部材を用いて感光体表面が−900Vになるように帯電を行い、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み、解像度600dpi)、現像は2成分現像を行い、転写部材として転写ベルトを用い、除電光には780nmのLEDを用い、感光体全面に光照射を行い除電を行うようにした。書き込み率6%のチャートを用い、連続10万枚印刷を行った(試験環境は、22℃−55%RHである)。
除電部材中心と帯電部材中心の間の感光体移動時間は、0.13秒である。
なお、画像評価は10万枚印刷後に、下記2つの評価を実施した。
(i)地汚れの評価
白ベタ画像を出力し、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。
(ii)ドット形成状態の評価
図31に示すテストチャートを使用して、白ベタ部、文字部、黒ベタ部直後にハーフトーン画像(直径60μmの1ドット画像)を形成し、ドット形成状態を観察した。
地汚れランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。以上の結果を表13に示す。
更に、22℃−55%RHでの上記試験の後、上記の帯電条件のまま(帯電条件は、条件1のみ)、10℃−15%RHで2万枚、30℃−90%RHで2万枚のランニング試験を行い、それぞれの2万枚後の画像を同じように画像評価を行った。結果をそれぞれ、表14、表15に示す。
<22℃−55%RH環境下での評価結果>
ちなみに、比較例D−2〜D−8の評価において、感光体線速を遅くすることにより、除電−帯電間時間を0.2秒以上に設定すると、表13のような残像現象は認められないか、その程度が良好になった。しかしながら、その場合には目標とする高速プリントが出来なくなった。
<10℃−15%RH環境下での評価結果>
実施例D−1〜D−5の画像はいずれも良好な画像であったが、10℃−15%RH環境下での2万枚後の画像において、実施例D−2の画像は、実施例D−1及び実施例D−3〜D−5の画像に比べて僅かではあるが、画像濃度が低かった。
<30℃−90%RH環境下での評価結果>
(実施例D−6〜D−10及び比較例D−15〜D−28)
以上のように作製した感光体作製例D−20〜D−38の電子写真感光体を図12に示す画像形成装置(感光体線速は250mm/sec)に搭載し、接触方式の帯電部材(直径20mmの帯電ローラ)を用いて下記帯電条件にて感光体表面が−900Vになるように帯電を行い、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み、解像度600dpi)、現像は2成分現像を行い、転写部材として転写ベルトを用い、除電光には780nmのLEDを用い、感光体全面に光照射を行い除電を行うようにした。書き込み率6%のチャートを用い、連続5万枚印刷を行った(試験環境は、22℃−55%RHである)。
除電部材中心と帯電部材中心の間の感光体移動時間は、0.14秒である。
<帯電条件>
DCバイアス:−1600V
なお、画像評価は5万枚印刷後に、下記2つの評価を実施した(評価環境は、22℃−55%RHのみ)。
(i)地汚れの評価
白ベタ画像を出力し、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。
(ii)ドット形成状態の評価
図31に示すテストチャートを使用して、白ベタ部、文字部、黒ベタ部直後にハーフトーン画像(直径60μmの1ドット画像)を形成し、ドット形成状態を観察した。
地汚れランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。以上の結果を表16に示す。
比較例D−12〜D−18において、感光体線速を遅くし、除電−帯電間時間を0.2秒以上にすることにより表16に示した残像現象は低減するが、高速プリントが実現出来ない。また、感光体線速を保ったまま、除電−帯電間距離を広げることは、感光体周りのレイアウト上不可能であった。
(実施例E−1〜E−10及び比較例E−1〜E−28)
以上のように作製した感光体作製例D−1〜D−19の電子写真感光体を図12に示す画像形成装置(感光体線速は320mm/sec)に搭載し、スコロトロン方式の帯電部材を用いて下記の帯電条件にて帯電を行い、画像露光光源を780nmの半導体レーザー素子4個を副走査方向に配列したマルチビーム露光ヘッド(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み、解像度600dpi)を用い、転写部材として転写ベルトを用い、書き込み率6%のチャートを用い、連続10万枚印刷を行った(試験環境は、22℃−55%RHである)。
<帯電条件1>
放電電圧:−6.0kV
グリッド電圧:−920V(感光体の未露光部表面電位は、−900V)
<帯電条件2>
放電電圧:−5.8kV
グリッド電圧:−780V(感光体の未露光部表面電位は、−750V)
なお、画像評価は10万枚印刷後に、下記2つの評価を実施した。
(i)地汚れの評価
白ベタ画像を出力し、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。
ランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。
(ii)レーザービーム2本で書き込む横線画像の評価
4本のLD素子を図5の如く点灯し、同時露光と順次露光で潜像を形成した場合の横線画像を、同時露光画像3本、順次露光画像1本の割合で、記録紙の全面に横線画像を出力し、目視で、下記ランクに仕上がって評価した。
〔評価基準〕
◎:同時露光画像、順次画像露光の区別が全く付かず、極めて均一性がよい
○:一部分に若干均一性に劣る部分があるが、全体として均一としても違和感がない。
△:弱い不均一部分が数カ所ある。
×:同時露光画像、順次画像露光の区別がはっきりとし、極めて均一性が悪い
以上の結果を表17に示す。
更に、22℃−55%RHでの上記試験の後、上記の帯電条件のまま(帯電条件は、条件1のみ)、10℃−15%RHで2万枚、30℃−90%RHで2万枚のランニング試験を行い、それぞれの2万枚後の画像を同じように画像評価を行った。結果をそれぞれ、表18、表19に示す。
なお、電界強度の計算に際して、電荷発生層の膜厚はおよそ0.1μm程度であるが、感光層の膜厚は電荷輸送層の膜厚と等しいと仮定して計算を行った。
<22℃−55%RH環境下での評価結果>
<10℃−15%RH環境下での評価結果>
実施例E−1〜E−5の画像はいずれも良好な画像であったが、10℃−15%RH環境下での2万枚後の画像において、実施例E−2の画像は、実施例E−1及び実施例E−3〜E−5の画像に比べて僅かではあるが、画像濃度が低かった。
<30℃−90%RH環境下での評価結果>



(実施例F−1〜F−5及び比較例F−1〜F−14)
以上のように作製した感光体作製例D−1〜D−19の電子写真感光体を図12に示す画像形成装置(感光体線速は360mm/sec)に搭載し、スコロトロン方式の帯電部材を用いて感光体表面が−900Vになるように帯電を行い、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み、解像度600dpi)、現像は2成分現像を行い、転写部材として転写搬送ベルトを用い転写紙に直接トナー像を転写した(図13に示す回路を用いて、転写電流が一定になる様に制御を行った)。除電光には780nmのLEDを用い、感光体全面に光照射を行って除電を行うようにした。書き込み率6%のチャートを用い、毎分65枚の速度で連続10万枚印刷を行った(試験環境は、22℃−55%RHである)。
なお、画像評価は10万枚印刷後に、下記2つの評価を実施した。
(i)地汚れの評価
白ベタ画像を出力し、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。
(ii)ドット形成状態の評価
図31に示すテストチャートを使用して、白ベタ部、文字部、黒ベタ部直後にハーフトーン画像(直径60μmの1ドット画像)を形成し、ドット形成状態を観察した。
地汚れランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。以上の結果を表20に示す。
更に、22℃−55%RHでの上記試験の後、上記の帯電条件のまま(帯電条件は、条件1のみ)、10℃−15%RHで2万枚、30℃−90%RHで2万枚のランニング試験を行い、それぞれの2万枚後の画像を同じように画像評価を行った。結果をそれぞれ、表21、表22に示す。
<22℃−55%RH環境下での評価結果>
ちなみに、比較例F−2〜F−8の評価において、感光体線速を遅くすることにより、除電−帯電間時間を0.2秒以上に設定すると、表4のような残像現象は認められないか、その程度が良好になった。しかしながら、その場合には目標とする高速プリントが出来なくなった。
<10℃−15%RH環境下での評価結果>
実施例F−1〜F−5の画像はいずれも良好な画像であったが、10℃−15%RH環境下での2万枚後の画像において、実施例F−2の画像は、実施例F−1及び実施例F−3〜F−5の画像に比べて僅かではあるが、画像濃度が低かった。
<30℃−90%RH環境下での評価結果>
(実施例F−6〜F−10及び比較例F−15〜F−28)
以上のように作製した感光体作製例D−20〜D−38の電子写真感光体を図12に示す画像形成装置(感光体線速は250mm/sec)に搭載し、接触方式の帯電部材(直径20mmの帯電ローラ)を用いて下記帯電条件にて感光体表面が−900Vになるように帯電を行い、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み、解像度600dpi)、現像は2成分現像を行い、転写部材として転写ベルトを用い転写紙に直接トナー像を転写した(図13に示す回路を用いて、転写電流が一定になる様に制御を行った)。除電光には780nmのLEDを用い、感光体全面に光照射を行い除電を行うようにした。書き込み率6%のチャートを用い、毎分45枚の速度で連続5万枚印刷を行った(試験環境は、22℃−55%RHである)。
<帯電条件>
DCバイアス:−1600V
なお、画像評価は5万枚印刷後に、下記2つの評価を実施した(評価環境は、22℃−55%RHのみ)。
(i)地汚れの評価
白ベタ画像を出力し、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。
(ii)ドット形成状態の評価
図31に示すテストチャートを使用して、白ベタ部、文字部、黒ベタ部直後にハーフトーン画像(直径60μmの1ドット画像)を形成し、ドット形成状態を観察した。
地汚れランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。以上の結果を表23に示す。
比較例F−12〜F−18において、感光体線速を遅くし、除電−帯電間時間を0.2秒以上にすることにより表23に示した残像現象は低減するが、高速プリントが実現出来ない。また、感光体線速を保ったまま、除電−帯電間距離を広げることは、感光体周りのレイアウト上不可能であった。
(感光体作製例20)
感光体作製例2における電荷輸送層塗工液を以下の組成のものに変更した以外は、感光体作製例2と同様に感光体20を作製した。
◎電荷輸送層塗工液
下記組成の高分子電荷輸送物質 10部
(重量平均分子量:約135000)
下記構造の添加剤 0.5部
塩化メチレン 100部
(感光体作製例21)
感光体作製例2における電荷輸送層の膜厚を18μmとし、電荷輸送層上に下記組成の保護層塗工液を塗布乾燥し、5μmの保護層を設けた以外は感光体作製例2と同様に感光体21を作製した。
◎保護層塗工液
ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
アルミナ微粒子 4部
(比抵抗:2.5×1012Ω・cm、平均一次粒径:0.4μm)
シクロヘキサノン 500部
テトラヒドロフラン 150部
(感光体作製例22)
感光体作製例21における保護層塗工液中のアルミナ微粒子を以下のものに変更した以外は、感光体作製例21と同様に感光体22を作製した。
酸化チタン微粒子 4部
(比抵抗:1.5×1010Ω・cm、平均一次粒径:0.5μm)
(感光体作製例23)
感光体作製例21における保護層塗工液中のアルミナ微粒子を以下のものに変更した以外は、感光体作製例21と同様に感光体23を作製した。
酸化錫−酸化アンチモン粉末 4部
(比抵抗:10Ω・cm、平均1次粒径0.4μm)
(感光体作製例24)
感光体作製例21における保護層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、感光体作製例21と同様に電子写真感光体24を作製した。
◎保護層塗工液
下記構造式の高分子電荷輸送物質 17部
「GPCにより測定した結果、nはおよそ250と求められた」
アルミナ微粒子 4部
(比抵抗:2.5×1012Ω・cm、平均一次粒径:0.4μm)
シクロヘキサノン 500部
テトラヒドロフラン 150部
(感光体作製例25)
感光体作製例21における保護層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、感光体作製例21と同様に電子写真感光体25を作製した。
◎保護層塗工液
メチルトリメトキシシラン 100部
3%酢酸 20部
下記構造の電荷輸送性化合物 35部
酸化防止剤(サノール LS2626:三共化学社製) 1部
硬化剤(ジブチル錫アセテート) 1部
2−プロパノール 200部
(感光体作製例26)
感光体作製例21における保護層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、感光体作製例21と同様に電子写真感光体26を作製した。
◎保護層塗工液
メチルトリメトキシシラン 100部
3%酢酸 20部
下記構造の電荷輸送性化合物 35部
α−アルミナ粒子(スミコランダム AA−03:住友化学工業製) 15部
酸化防止剤(サノール LS2626:三共化学社製) 1部
ポリカルボン酸化合物 BYK P104:ビックケミー社製 0.4部
硬化剤(ジブチル錫アセテート) 1部
2−プロパノール 200部
(感光体作製例27)
感光体作製例2におけるアルミニウムシリンダー(JIS1050)を以下の陽極酸化皮膜処理を行った。次いで下引き層を設けずに、感光体作製例2と同様に電荷発生層、電荷輸送層を設け、感光体27を作製した。
◎陽極酸化皮膜処理
支持体表面の鏡面研磨仕上げを行い、脱脂洗浄、水洗浄を行った後、液温20℃、硫酸15vol%の電解浴に浸し、電解電圧15Vにて30分間陽極酸化皮膜処理を行った。更に、水洗浄を行った後、7%の酢酸ニッケル水溶液(50℃)にて封孔処理を行った。その後純水による洗浄を経て、7μmの陽極酸化皮膜が形成された支持体を得た。
(感光体作製例B−20)
感光体作製例B−2における電荷輸送層塗工液を以下の組成のものに変更した以外は、感光体作製例B−2と同様に感光体B−20を作製した。
◎電荷輸送層塗工液
下記組成の高分子電荷輸送物質 10部
(重量平均分子量:約135000)
下記構造の添加剤 0.5部
塩化メチレン 100部
(感光体作製例B−21)
感光体作製例B−2における電荷輸送層の膜厚を23μmとし、電荷輸送層上に下記組成の保護層塗工液を塗布乾燥し、5μmの保護層を設けた以外は感光体作製例B−2と同様に感光体B−21を作製した。
◎保護層塗工液
ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
アルミナ微粒子 4部
(比抵抗:2.5×1012Ω・cm、平均一次粒径:0.4μm)
シクロヘキサノン 500部
テトラヒドロフラン 150部
(感光体作製例B−22)
感光体作製例B−21における保護層塗工液中のアルミナ微粒子を以下のものに変更した以外は、感光体作製例B−21と同様に感光体B−22を作製した。
酸化チタン微粒子 4部
(比抵抗:1.5×1010Ω・cm、平均一次粒径:0.5μm)
(感光体作製例B−23)
感光体作製例B−21における保護層塗工液中のアルミナ微粒子を以下のものに変更した以外は、感光体作製例B−21と同様に感光体B−23を作製した。
酸化錫−酸化アンチモン粉末 4部
(比抵抗:10Ω・cm、平均1次粒径0.4μm)
(感光体作製例B−24)
感光体作製例B−21における保護層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、感光体作製例B−21と同様に電子写真感光体B−24を作製した。
◎保護層塗工液
下記構造式の高分子電荷輸送物質 17部
「GPCにより測定した結果、nはおよそ250と求められた」
アルミナ微粒子 4部
(比抵抗:2.5×1012Ω・cm、平均一次粒径:0.4μm)
シクロヘキサノン 500部
テトラヒドロフラン 150部
(感光体作製例B−25)
感光体作製例B−21における保護層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、感光体作製例B−21と同様に電子写真感光体B−25を作製した。
◎保護層塗工液
メチルトリメトキシシラン 100部
3%酢酸 20部
下記構造の電荷輸送性化合物 35部
酸化防止剤(サノール LS2626、三共化学社製) 1部
硬化剤(ジブチル錫アセテート) 1部
2−プロパノール 200部
(感光体作製例B−26)
感光体作製例B−21における保護層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、感光体作製例B−21と同様に電子写真感光体B−26を作製した。
◎保護層塗工液
メチルトリメトキシシラン 100部
3%酢酸 20部
下記構造の電荷輸送性化合物 35部
α−アルミナ粒子(スミコランダム AA−03:住友化学工業製) 15部
酸化防止剤(サノール LS2626:三共化学社製) 1部
ポリカルボン酸化合物 BYK P104:ビックケミー社製 0.4部
硬化剤(ジブチル錫アセテート) 1部
2−プロパノール 200部
(感光体作製例B−27)
感光体作製例B−2におけるアルミニウムシリンダー(JIS 1050)を以下の陽極酸化皮膜処理を行った。次いで下引き層を設けずに、感光体作製例B−2と同様に電荷発生層、電荷輸送層を設け、感光体B−27を作製した。
◎陽極酸化皮膜処理
支持体表面の鏡面研磨仕上げを行い、脱脂洗浄、水洗浄を行った後、液温20℃、硫酸15vol%の電解浴に浸し、電解電圧15Vにて30分間陽極酸化皮膜処理を行った。更に、水洗浄を行った後、7%の酢酸ニッケル水溶液(50℃)にて封孔処理を行った。その後純水による洗浄を経て、7μmの陽極酸化皮膜が形成された支持体を得た。
(感光体作製例D−39)
感光体作製例D−2における電荷輸送層塗工液を以下の組成のものに変更した以外は、感光体作製例D−2と同様に感光体D−39を作製した。
◎電荷輸送層塗工液
下記組成の高分子電荷輸送物質 10部
(重量平均分子量:約135000)
下記構造の添加剤 0.5部
塩化メチレン 100部
(感光体作製例D−40)
感光体作製例D−2における電荷輸送層の膜厚を21μmとし、電荷輸送層上に下記組成の保護層塗工液を塗布乾燥し、5μmの保護層を設けた以外は感光体作製例D−2と同様に感光体D−40を作製した。
◎保護層塗工液
ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
アルミナ微粒子 4部
(比抵抗:2.5×1012Ω・cm、平均一次粒径:0.4μm)
シクロヘキサノン 500部
テトラヒドロフラン 150部
(感光体作製例D−41)
感光体作製例D−40における保護層塗工液中のアルミナ微粒子を以下のものに変更した以外は、感光体作製例D−40と同様に感光体D−41を作製した。
酸化チタン微粒子 4部
(比抵抗:1.5×1010Ω・cm、平均一次粒径:0.5μm)
(感光体作製例D−42)
感光体作製例D−40における保護層塗工液中のアルミナ微粒子を以下のものに変更した以外は、感光体作製例D−40と同様に感光体D−42を作製した。
酸化錫−酸化アンチモン粉末 4部
(比抵抗:10Ω・cm、平均1次粒径0.4μm)
(感光体作製例D−43)
感光体作製例D−40における保護層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、感光体作製例D−40と同様に電子写真感光体D−43を作製した。
◎保護層塗工液
下記構造式の高分子電荷輸送物質 17部
「GPCにより測定した結果、nはおよそ250と求められた」
アルミナ微粒子 4部
(比抵抗:2.5×1012Ω・cm、平均一次粒径:0.4μm)
シクロヘキサノン 500部
テトラヒドロフラン 150部
(感光体作製例D−44)
感光体作製例D−40における保護層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、感光体作製例D−40と同様に電子写真感光体D−44を作製した。
◎保護層塗工液
メチルトリメトキシシラン 100部
3%酢酸 20部
下記構造の電荷輸送性化合物 35部
酸化防止剤(サノール LS2626:三共化学社製) 1部
硬化剤(ジブチル錫アセテート) 1部
2−プロパノール 200部
(感光体作製例D−45)
感光体作製例D−40における保護層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、感光体作製例D−40と同様に電子写真感光体D−45を作製した。
◎保護層塗工液
メチルトリメトキシシラン 100部
3%酢酸 20部
下記構造の電荷輸送性化合物 35部
α−アルミナ粒子(スミコランダム AA−03:住友化学工業製) 15部
酸化防止剤(サノール LS2626:三共化学社製) 1部
ポリカルボン酸化合物 BYK P104:ビックケミー社製 0.4部
硬化剤(ジブチル錫アセテート) 1部
2−プロパノール 200部
(感光体作製例D−46)
感光体作製例D−2におけるアルミニウムシリンダー(JIS 1050)を以下の陽極酸化皮膜処理を行った。次いで下引き層を設けずに、感光体作製例D−2と同様に電荷発生層、電荷輸送層を設け、感光体D−46を作製した。
◎陽極酸化皮膜処理
支持体表面の鏡面研磨仕上げを行い、脱脂洗浄、水洗浄を行った後、液温20℃、硫酸15vol%の電解浴に浸し、電解電圧15Vにて30分間陽極酸化皮膜処理を行った。更に、水洗浄を行った後、7%の酢酸ニッケル水溶液(50℃)にて封孔処理を行った。その後純水による洗浄を経て、7μmの陽極酸化皮膜が形成された支持体を得た。
(実施例A−6〜A−13及び比較例A−34〜A−40)
以上のように感光体作製例20〜27で作製した電子写真感光体を図12に示す画像形成装置に搭載し、帯電部材として図14に示すような非接触方式の帯電ローラ(感光体と帯電部材間の空隙は50μm)を用い下記の帯電条件にて帯電を行い、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み、解像度600dpi)を使用して書き込みを行い静電潜像を形成し、現像を行った後、転写部材として転写ベルトを用い、書き込み率6%のチャートを用い、連続5万枚印刷を行った(試験環境は、22℃−55%RHである)。
<帯電条件1>
DCバイアス:−800V
ACバイアス:2.0kV(peak to peak)、周波数:1.5kHz
<帯電条件2>
DCバイアス:−680V
ACバイアス:2.0kV(peak to peak)、周波数:1.5kHz
なお、画像評価は5万枚印刷後に、下記2つの評価を実施した。
(i)地汚れの評価
白ベタ画像を出力し、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。
(ii)ドット形成状態の評価
直径60μmの1ドット画像を形成し、ドット形成状態を150倍の顕微鏡にて観察し、ランク評価を実施した。
何れの場合にもランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。また、5万枚印刷後の感光層の摩耗量(保護層を有する場合は保護層の摩耗量)を測定した。以上の結果、実施例A−1の場合と併せて表24に示す。
なお、表24の電界強度の計算に際して、電荷発生層の膜厚はおよそ0.1μm程度であるが、感光層の膜厚は(電荷輸送層+保護層)の膜厚と等しいと仮定して計算を行った。
(実施例A−14)
実施例A−1において使用した非接触帯電部材の感光体と帯電部材間の空隙を80μmに変更した以外は、実施例A−1と同様に評価を行った。結果を表25に示す。
(比較例A−42)
実施例A−1において使用した非接触帯電部材の感光体と帯電部材間の空隙を120μmに変更した以外は、実施例A−1と同様に評価を行った。結果を表25に示す。
感光体と帯電部材間の空隙が大きくなるほど、帯電均一性が低下し、ドット形成状態が悪化した。比較例A−42に見られるように、空隙が100μmを超えると実使用には耐えないと判断される。
(実施例B−6〜B−13及び比較例B−35〜B−41)
以上のように感光体作製例B−20〜B−27で作製した電子写真感光体を図11に示す画像形成装置(感光体線速は350mm/sec)に搭載し、スコロトロン方式の帯電部材を用いて下記の帯電条件にて帯電を行い、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み、解像度600dpi)、現像部材として図11に示すような2本の現像スリーブを有する現像部材(スリーブ線速は600mm/sec)を用い、転写部材として転写ベルトを用い、書き込み率6%のチャートを用い、連続10万枚印刷を行った(試験環境は、22℃−55%RHである)。
<帯電条件1>
放電電圧:−6.0kV
グリッド電圧:−920V(感光体の未露光部表面電位は、−900V)
現像バイアス:−650V
<帯電条件2>
放電電圧:−5.8kV
グリッド電圧:−780V(感光体の未露光部表面電位は、−750V)
現像バイアス:−500V
なお、画像評価は10万枚印刷後に、下記2つの評価を実施した。
(i)地汚れの評価
白ベタ画像を出力し、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。
(ii)ドット形成状態の評価
直径60μmの1ドット画像を形成し、ドット形成状態を150倍の顕微鏡にて観察し、ランク評価を実施した。
何れの場合にもランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。また、10万枚印刷後の感光層の摩耗量(保護層を有する場合は保護層の摩耗量)を測定した。以上の結果、実施例B−1の場合と併せて表26に示す。
(実施例B−14)
実施例B−1において、画像形成装置の帯電部材をスコロトロン方式の帯電部材から、接触帯電方式の帯電ローラ(直径30mm)に変更した。帯電条件は下記の条件で帯電を行った以外は、実施例B−1と同様に評価を行った。
<帯電条件>
DCバイアス:−900V
ACバイアス:2.0kV(peak to peak)、周波数:3.0kHz
現像バイアス:−650V
以上の結果を、実施例B−1の結果とあわせて表27に示す。
実施例B−1の画像に比較して、実施例B−14の場合には帯電均一性はある程度確保されているように見られたが、摩耗量が大きく、10万枚後の画像では地汚れがかなり低下した。
(実施例C−6〜C−13及び比較例C−53〜C−60)
以上のように感光体作製例B−20〜B−27で作製した電子写真感光体を図12に示す画像形成装置(感光体線速は320mm/sec)に搭載し、スコロトロン方式の帯電部材を用いて下記の帯電条件にて帯電を行い、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み、解像度600dpi)、転写部材として転写ベルトを用い、書き込み率6%のチャートを用い、連続10万枚印刷を行った(試験環境は、22℃−55%RHである)。
<帯電条件1>
放電電圧:−6.0kV
グリッド電圧:−920V(感光体の未露光部表面電位は、−900V)
<帯電条件2>
放電電圧:−5.8kV
グリッド電圧:−780V(感光体の未露光部表面電位は、−750V)
なお、画像評価は10万枚印刷後に、下記2つの評価を実施した。
(i)地汚れの評価
白ベタ画像を出力し、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。
(iiドット形成状態の評価
直径60μmの1ドット画像を形成し、ドット形成状態を150倍の顕微鏡にて観察し、ランク評価を実施した。
何れの場合にもランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。また、10万枚印刷後の感光層の摩耗量(保護層を有する場合は保護層の摩耗量)を測定した。以上の結果、実施例C−1の場合と併せて表28に示す。
(比較例C−61〜C−68)
実施例C−6〜C−13において、現像に使用した現像剤を黒色現像剤K−1から、黒色現像剤K−2に変更した以外は、実施例C−6〜C−13と同様に評価を行った。結果をあわせて表28に示す。
なお、表28の電界強度の計算に際して、電荷発生層の膜厚はおよそ0.1μm程度であるが、感光層の膜厚は(電荷輸送層+保護層)の膜厚と等しいと仮定して計算を行った。
比較例C−61〜C−68の画像は、実施例C−6〜C−13の画像に比べ、ドットの輪郭が明らかに劣っていた。
(実施例C−14)
実施例C−1において、画像形成装置の帯電部材をスコロトロン方式の帯電部材から、接触帯電方式の帯電ローラ(直径30mm)に変更した。帯電条件は下記の条件で帯電を行った以外は、実施例C−1と同様に評価を行った。
<帯電条件>
DCバイアス:−900V
ACバイアス:2.0kV(peak to peak)、周波数:2.5kHz
以上の結果を、実施例C−1の結果とあわせて表29に示す。
実施例C−1の画像に比較して、実施例C−14の場合には、帯電均一性はある程度確保されているように見られたが、摩耗量が大きく、10万枚後の画像では地汚れがひどかった。
(実施例D−11〜D−18)
以上のように感光体作製例D−39〜D−46で作製した電子写真感光体を図12に示す画像形成装置(感光体線速は360mm/sec)に搭載し、スコロトロン方式の帯電部材を用いて感光体表面が−900Vになるように帯電を行い、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み、解像度600dpi)、現像は2成分現像を行い、転写部材として転写ベルトを用い、除電光には780nmのLEDを用い、感光体全面に光照射を行い除電を行うようにした。書き込み率6%のチャートを用い、連続10万枚印刷を行った(試験環境は、22℃−55%RHである)。
除電部材中心と帯電部材中心の間の感光体移動時間は、0.13秒である。
なお、画像評価は10万枚印刷後に、下記2つの評価を実施した。
(i)地汚れの評価
白ベタ画像を出力し、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。
(ii)ドット形成状態の評価
図31に示すテストチャートを使用して、白ベタ部、文字部、黒ベタ部直後にハーフトーン画像(直径60μmの1ドット画像)を形成し、ドット形成状態を観察した。
地汚れランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。以上の結果を表30に示す。また、10万枚印刷後の感光層の摩耗量(保護層を有する場合は保護層の摩耗量)を測定した。
以上の結果、実施例D−1の場合と併せて表30に示す。
(実施例E−11〜E−26)
以上のように感光体作製例D−20〜D−27で作製した電子写真感光体を図12に示す画像形成装置(感光体線速は320mm/sec)に搭載し、スコロトロン方式の帯電部材を用いて下記の帯電条件にて帯電を行い、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み、解像度600dpi)、転写部材として転写ベルトを用い、書き込み率6%のチャートを用い、連続10万枚印刷を行った(試験環境は、22℃−55%RHである)。
<帯電条件1>
放電電圧:−6.0kV
グリッド電圧:−920V(感光体の未露光部表面電位は、−900V)
<帯電条件2>
放電電圧:−5.8kV
グリッド電圧:−780V(感光体の未露光部表面電位は、−750V)
なお、画像評価は10万枚印刷後に、下記2つの評価を実施した。
(i)地汚れの評価
白ベタ画像を出力し、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。
ランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。
(ii)レーザービーム2本で書き込む横線画像の評価
4本のLD素子を図5の如く点灯し、同時露光と順次露光で潜像を形成した場合の横線画像を、同時露光画像3本、順次露光画像1本の割合で、記録紙の全面に横線画像を出力し、目視で、下記ランクに仕上がって評価した。
〔評価基準〕
◎:同時露光画像、順次画像露光の区別が全く付かず、極めて均一性がよい
○:一部分に若干均一性に劣る部分があるが、全体として均一としても違和感がない。
△:弱い不均一部分が数カ所ある。
×:同時露光画像、順次画像露光の区別がはっきりとし、極めて均一性が悪い
以上の結果、実施例E−1の場合と併せて表31に示す。
(実施例F−11〜F−18)
以上のように感光体作製例D−39〜D−46で作製した電子写真感光体を図12に示す画像形成装置(感光体線速は360mm/sec)に搭載し、スコロトロン方式の帯電部材を用いて感光体表面が−900Vになるように帯電を行い、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み、解像度600dpi)、現像は2成分現像を行い、転写部材として転写ベルトを用い転写紙に直接トナー像を転写した(図13に示す回路を用いて、転写電流が一定になる様に制御を行った)。除電光には780nmのLEDを用い、感光体全面に光照射を行い除電を行うようにした。書き込み率6%のチャートを用い、毎分65枚の速度で連続10万枚印刷を行った(試験環境は、22℃−55%RHである)。
なお、画像評価は10万枚印刷後に、下記2つの評価を実施した。
(i)地汚れの評価
白ベタ画像を出力し、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。
(ii)ドット形成状態の評価
図31に示すテストチャートを使用して、白ベタ部、文字部、黒ベタ部直後にハーフトーン画像(直径60μmの1ドット画像)を形成し、ドット形成状態を観察した。
地汚れランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。以上の結果を表32に示す。また、10万枚印刷後の感光層の摩耗量(保護層を有する場合は保護層の摩耗量)を測定した。以上の結果、実施例F−1の場合と併せて表32に示す。
(感光体作製例28)
感光体作製例1のアルミニウムシリンダーを直径30mmのものに変え、感光体作製例1と同じ組成の感光体を作製した。
(感光体作製例29)
感光体作製例2のアルミニウムシリンダーを直径30mmのものに変え、感光体作製例2と同じ組成の感光体を作製した。
(感光体作製例30)
感光体作製例4のアルミニウムシリンダーを直径30mmのものに変え、感光体作製例4と同じ組成の感光体を作製した。
(感光体作製例31)
感光体作製例13のアルミニウムシリンダーを直径30mmのものに変え、感光体作製例13と同じ組成の感光体を作製した。
(感光体作製例32)
感光体作製例14のアルミニウムシリンダーを直径30mmのものに変え、感光体作製例14と同じ組成の感光体を作製した。
(感光体作製例33)
感光体作製例15のアルミニウムシリンダーを直径30mmのものに変え、感光体作製例15と同じ組成の感光体を作製した。
(感光体作製例B−28)
感光体作製例B−1のアルミニウムシリンダーを直径60mmのものに変え、感光体作製例B−1と同じ組成の感光体B−28を作製した。
(感光体作製例B−29)
感光体作製例B−2のアルミニウムシリンダーを直径60mmのものに変え、感光体作製例B−2と同じ組成の感光体B−29を作製した。
(感光体作製例B−30)
感光体作製例B−4のアルミニウムシリンダーを直径60mmのものに変え、感光体作製例B−4と同じ組成の感光体B−30を作製した。
(感光体作製例B−31)
感光体作製例B−13のアルミニウムシリンダーを直径60mmのものに変え、感光体作製例B−13と同じ組成の感光体B−31を作製した。
(感光体作製例B−32)
感光体作製例B−14のアルミニウムシリンダーを直径60mmのものに変え、感光体作製例B−14と同じ組成の感光体B−32を作製した。
(感光体作製例B−33)
感光体作製例B−15のアルミニウムシリンダーを直径60mmのものに変え、感光体作製例B−15と同じ組成の感光体B−33を作製した。
(感光体作製例D−47)
感光体作製例D−1のアルミニウムシリンダーを直径60mmのものに変え、感光体作製例D−1と同じ組成の感光体を作製した。
(感光体作製例D−48)
感光体作製例D−2のアルミニウムシリンダーを直径60mmのものに変え、感光体作製例D−2と同じ組成の感光体を作製した。
(感光体作製例D−49)
感光体作製例D−4のアルミニウムシリンダーを直径60mmのものに変え、感光体作製例D−4と同じ組成の感光体を作製した。
(感光体作製例D−50)
感光体作製例D−13のアルミニウムシリンダーを直径60mmのものに変え、感光体作製例D−13と同じ組成の感光体を作製した。
(感光体作製例D−51)
感光体作製例D−14のアルミニウムシリンダーを直径60mmのものに変え、感光体作製例D−14と同じ組成の感光体を作製した。
(感光体作製例D−52)
感光体作製例D−15のアルミニウムシリンダーを直径60mmのものに変え、感光体作製例D−15と同じ組成の感光体を作製した。
(実施例A−15〜A−16及び比較例A−43〜A−52)
以上のように作製した感光体作製例28〜33の感光体を、帯電部材(図14に示すような非接触帯電ローラ、空隙は50μm)と共に、図15に示すような1つの画像形成装置用プロセスカートリッジに装着し、更に、図17に示すフルカラー画像形成装置に搭載した。4つの画像形成要素では、帯電部材として非接触方式の近接配置帯電ローラを用い下記の帯電条件にて帯電を行い、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み、解像度600dpi)を用い書き込みを行い静電潜像を形成し、現像を行った後、転写部材として転写ベルトを用い、書き込み率6%のチャートを用い、連続5万枚印刷を行った(試験環境は、22℃−55%RHである)。
<帯電条件1>
DCバイアス:−800V
ACバイアス:2.0kV(peak to peak)、周波数:1.5kHz
<帯電条件2>
DCバイアス:−700V
ACバイアス:2.0kV(peak to peak)、周波数:1.5kHz
なお、画像評価は5万枚印刷後に、下記3つの評価を実施した。
(i)地汚れの評価
白ベタ画像を出力し、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。
(ii)ドット形成状態の評価
直径60μmの1ドット画像を形成し、ドット形成状態を150倍の顕微鏡にて観察し、ランク評価を実施した。
(iii)色再現性の評価
感光体初期状態と5万枚ランニング後に、同じフルカラー画像を出力し、色再現性の評価を試みた。
何れの場合にもランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。また、5万枚印刷後の感光層の摩耗量(保護層を有する場合は保護層の摩耗量)を測定した。以上の結果を表33に示す。
(実施例B−15〜B−16及び比較例B−43〜B−53)
以上のように作製した感光体作製例B−28〜B−33の感光体を、帯電部材(スコロトロン帯電)と共に、図17に示すような1つの画像形成装置用プロセスカートリッジに装着し、更に図15に示すフルカラー画像形成装置に搭載した(感光体線速は300mm/sec)。4つの画像形成要素では、帯電部材としてスコロトロン方式の帯電部材により下記の帯電条件にて帯電を行い、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み、解像度600dpi)、現像部材として2本の現像スリーブを有する現像部材(スリーブ線速は550mm/sec)を用い、転写部材として転写ベルトを用い、書き込み率6%のチャートを用い、連続10万枚印刷を行った(試験環境は、22℃−55%RHである)。
<帯電条件1>
放電電圧:−6.0kV
グリッド電圧:−870V(感光体の未露光部表面電位は、−850V)
現像バイアス:−600V
<帯電条件2>
放電電圧:−5.8kV
グリッド電圧:−780V(感光体の未露光部表面電位は、−750V)
現像バイアス:−500V
なお、画像評価は10万枚印刷後に、下記3つの評価を実施した。
(i)地汚れの評価
白ベタ画像を出力し、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。
(ii)ドット形成状態の評価
直径60μmの1ドット画像を形成し、ドット形成状態を150倍の顕微鏡にて観察し、ランク評価を実施した。
(iii)色再現性の評価
感光体初期状態と10万枚ランニング後に、同じフルカラー画像を出力し、色再現性の評価を試みた。
何れの場合にもランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。また、10万枚印刷後の感光層の摩耗量(保護層を有する場合は保護層の摩耗量)を測定した。以上の結果を表34に示す。
(比較例B−51)
実施例B−15において、現像部材として1本の現像スリーブを有する現像部材を使用した以外は、実施例B−15と同様に評価を行った(帯電条件1の実験条件のみ)。結果をあわせて表34に示す。
(実施例C−15〜C−16及び比較例C−69〜C−84)
以上のように作製した感光体作製例B−28〜B−33の感光体を、帯電部材(スコロトロン帯電)と共に、図18に示すような1つの画像形成装置用プロセスカートリッジに装着し、更に図16に示すフルカラー画像形成装置に搭載した。4つの画像形成要素では、帯電部材としてスコロトロン方式の帯電部材により下記の帯電条件にて帯電を行い、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み、解像度600dpi)、現像部材にはそれぞれの現像に対応した現像剤K−1、Y−1、M−1、C−1を投入し現像を行い、転写部材として転写ベルトを用い、書き込み率6%のチャートを用い、連続10万枚印刷を行った(試験環境は、22℃−55%RHである)。
<帯電条件1>
放電電圧:−6.0kV
グリッド電圧:−970V(感光体の未露光部表面電位は、−950V)
現像バイアス:−700V
<帯電条件2>
放電電圧:−5.8kV
グリッド電圧:−830V(感光体の未露光部表面電位は、−800V)
現像バイアス:−550V
なお、画像評価は10万枚印刷後に、下記3つの評価を実施した。
(i)地汚れの評価
白ベタ画像を出力し、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。
(ii)ドット形成状態の評価
直径60μmの1ドット画像を形成し、ドット形成状態を150倍の顕微鏡にて観察し、ランク評価を実施した。
(iii)色再現性の評価
感光体初期状態と10万枚ランニング後に、同じフルカラー画像を出力し、色再現性の評価を試みた。
何れの場合にもランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。また、10万枚印刷後の感光層の摩耗量(保護層を有する場合は保護層の摩耗量)を測定した。以上の結果を表35に示す。
(比較例C−79〜C−84)
比較例C−69〜C−78及び実施例C−15〜C−16において、現像に使用した現像剤K−1、Y−1、M−1、C−1から、それぞれK−2、Y−2、M−2、C−2に変更した以外は、比較例C−69〜C−78及び実施例C−15〜C−16と同様に評価を行った。結果をあわせて表35に示す。
(実施例D−19〜D−20及び比較例D−29〜D−32)
以上のように作製した感光体作製例D−47〜D−52の感光体を、帯電部材(スコロトロン帯電)と共に、図18に示すような1つの画像形成装置用プロセスカートリッジに装着し、更に図16に示すフルカラー画像形成装置(感光体線速は230mm/secである)に搭載した。4つの画像形成要素では、帯電部材としてスコロトロン方式の帯電部材により感光体表面電位が−900Vになるように帯電を行い、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み、解像度600dpi)、転写部材として転写ベルトを用い、書き込み率6%のチャートを用い、連続5万枚印刷を行った(試験環境は、22℃−55%RHである)。
除電部材中心と帯電部材中心の間の感光体移動時間は、0.11秒である。
なお、画像評価は5万枚印刷後に、下記3つの評価を実施した。
(i)地汚れの評価
白ベタ画像を出力し、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。
(ii)ドット形成状態の評価
図31に示すテストチャートを使用して、白ベタ部、文字部、黒(カラー)ベタ部直後にハーフトーン画像(直径60μmの1ドット画像)を形成し、ドット形成状態を観察した。
(iii)色再現性の評価
感光体初期状態と5万枚ランニング後に、同じフルカラー画像を出力し、色再現性の評価を試みた。
地汚れランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。以上の結果を表36に示す。
(実施例E−27〜E−30及び比較例E−29〜E−36)
以上のように作製した感光体作製例D−47〜D−52の感光体を、帯電部材(スコロトロン帯電)と共に、図18に示すような1つの画像形成装置用プロセスカートリッジに装着し、更に図16に示すフルカラー画像形成装置に搭載した。4つの画像形成要素では、帯電部材としてスコロトロン方式の帯電部材により下記の帯電条件にて帯電を行い、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み、解像度600dpi)、転写部材として転写ベルトを用い、書き込み率6%のチャートを用い、連続10万枚印刷を行った(試験環境は、22℃−55%RHである)。
<帯電条件1>
放電電圧:−6.0kV
グリッド電圧:−970V(感光体の未露光部表面電位は、−950V)
<帯電条件2>
放電電圧:−5.8kV
グリッド電圧:−830V(感光体の未露光部表面電位は、−800V)
なお、画像評価は10万枚印刷後に、下記3つの評価を実施した。
(i)地汚れの評価
白ベタ画像を出力し、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。
(ii)ハーフトーン画像の評価
直径100μmの2ドットでのハーフトーン画像を形成し、中間調再現性のランク評価を実施した。
(iii)色再現性の評価
感光体初期状態と10万枚ランニング後に、同じフルカラー画像を出力し、色再現性の評価を試みた。
何れの場合にもランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。また、10万枚印刷後の感光層の摩耗量(保護層を有する場合は保護層の摩耗量)を測定した。以上の結果を表37に示す。
(実施例F−19〜F−20及び比較例F−29〜F−32)
以上のように作製した感光体作製例D−47〜D−52の感光体を、帯電部材(スコロトロン帯電)と共に、図18に示すような1つの画像形成装置用プロセスカートリッジに装着し、更に図16に示すフルカラー画像形成装置(感光体線速は230mm/secである)に搭載した。4つの画像形成要素では、帯電部材としてスコロトロン方式の帯電部材により感光体表面電位が−900Vになるように帯電を行い、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み、解像度600dpi)、転写部材として転写ベルトを用い転写紙に直接トナー像を転写した(図13に示す回路を用いて、転写電流が一定になる様に制御を行った)。書き込み率6%のチャートを用い、毎分40枚の速度で連続5万枚印刷を行った(試験環境は、22℃−55%RHである)。
なお、画像評価は5万枚印刷後に、下記3つの評価を実施した。
(i)地汚れの評価
白ベタ画像を出力し、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。
(ii)ドット形成状態の評価
図31に示すテストチャートを使用して、白ベタ部、文字部、黒(カラー)ベタ部直後にハーフトーン画像(直径60μmの1ドット画像)を形成し、ドット形成状態を観察した。
(iii)色再現性の評価
感光体初期状態と5万枚ランニング後に、同じフルカラー画像を出力し、色再現性の評価を試みた。
地汚れランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。以上の結果を表38に示す。
(感光体作製例G−1)
直径60mmのアルミニウムシリンダー(JIS 1050)に、下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、及び電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥し、3.5μmの下引き層、電荷発生層、28μmの電荷輸送層を形成し、積層感光体を作製した(感光体G−1とする)。なお、電荷発生層の膜厚は、405nmにおける電荷発生層の透過率が23%になるように調整した。電荷発生層の透過率は、下記組成の電荷発生層塗工液を、ポリエチレンテレフタレートフィルムを巻き付けたアルミニウムシリンダーに感光体作製と同じ条件で塗工を行い、比較対照を電荷発生層を塗工していないポリエチレンテレフタレートフィルムとし、市販の分光光度計(島津製作所製:UV−3100)にて、405nmの透過率を評価した。
◎下引き層塗工液
酸化チタン(CR−EL:石原産業社製) 70部
アルキッド樹脂 15部
(ベッコライトM6401−50−S(固形分50%)
大日本インキ化学工業製)
メラミン樹脂 10部
(スーパーベッカミンL−121−60(固形分60%)
大日本インキ化学工業製)
2−ブタノン 100部
◎電荷発生層塗工液
先に作製した分散液1を用いた。
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
塩化メチレン 80部
(感光体作製例G−2〜G−19)
感光体作製例G−1で使用した電荷発生層塗工液(分散液1)をそれぞれ、分散液2〜19に変更した以外は、感光体作製例G−1と同様に感光体を作製した。なお、電荷発生層の膜厚は、感光体作製例G−1と同様に、すべての塗工液を用いた場合に405nmの透過率が23%になるように調整した。
(実施例G−1〜G−5及び比較例G−1〜G−33)
以上のように作製した感光体作製例G−1〜G−19の電子写真感光体を図12に示す画像形成装置に搭載し、スコロトロン方式の帯電部材を用いて下記の帯電条件にて帯電を行い、画像露光光源として405nmの発振波長を有する半導体レーザーを用い、コリメーターレンズ、アパーチャー、シリンダレンズ、ポリゴンミラー、fθレンズ、樽型トロイダルレンズ、反射ミラーからなる像露光装置により書き込みを行った。現像には2成分現像(体積平均粒径が6.5μmのトナー)を行い、転写部材として転写ベルトを用い、除電光には780nmのLEDを用い、感光体全面に光照射を行い除電を行うようにした。書き込み率6%のチャートを用い、連続5万枚印刷を行った(試験環境は、22℃−55%RHである)。
<帯電条件1>
放電電圧:−6.0kV
グリッド電圧:−920V(感光体の未露光部表面電位は、−900V)
現像バイアス:−650V
<帯電条件2>
放電電圧:−5.8kV
グリッド電圧:−780V(感光体の未露光部表面電位は、−750V)
現像バイアス:−500V
なお、画像評価は5万枚印刷後に、下記3つの評価を実施した。
(i)地汚れの評価
白ベタ画像を出力し、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。
(ii)ドット形成状態の評価
ハーフトーン画像(直径40μmの1ドット画像)を形成し、ドット形成状態を観察した(ドットの散り具合やドット再現性)。
(iii)ドットの輪郭
ドットの周辺(エッジ)部分の鮮鋭性に関して評価した。
いずれの場合にもランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。以上の結果を表39に示す。
更に、22℃−55%RHでの上記試験の後、上記の帯電条件のまま(帯電条件は、条件1のみ)、10℃−15%RHで1万枚、30℃−90%RHで1万枚のランニング試験を行い、それぞれの1万枚後の画像を同じように画像評価を行った。結果をそれぞれ、表40及び表41に示す。
<22℃−55%RH環境下での評価結果>
<10℃−15%RH環境下での評価結果>
実施例G−1〜G−5の画像はいずれも良好な画像であったが、10℃−15%RH環境下での2万枚後の画像において、実施例G−2の画像は、実施例G−1及び実施例G−3〜G−5の画像に比べて僅かではあるが、画像濃度が低かった。
<30℃−90%RH環境下での評価結果>
(実施例G−6〜G−10及び比較例G−34〜G−47)
以上のように作製した感光体作製例G−1〜G−19の電子写真感光体を図12に示す画像形成装置に搭載し、接触方式の帯電部材(直径20mmの帯電ローラ)を用いて下記帯電条件にて感光体表面が−880Vになるように帯電を行い、画像露光光源として青色SHGレーザー(発振波長430nm)を用い、コリメーターレンズ、アパーチャー、シリンダレンズ、ポリゴンミラー、fθレンズ、樽型トロイダルレンズ、反射ミラーからなる像露光装置により書き込みを行った。現像には2成分現像(体積平均粒径が6.5μmのトナー)を行い、転写部材として転写ベルトを用い、除電光には780nmのLEDを用い、感光体全面に光照射を行い除電を行うようにした。書き込み率6%のチャートを用い、連続5万枚印刷を行った(試験環境は、22℃−55%RHである)。
<帯電条件>
DCバイアス:−1580V
なお、画像評価は5万枚印刷後に、下記3つの評価を実施した。
(i)地汚れの評価
白ベタ画像を出力し、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。
(ii)ドット形成状態の評価
ハーフトーン画像(直径40μmの1ドット画像)を形成し、ドット形成状態を観察した(ドットの散り具合やドット再現性)。
(iii)ドットの輪郭
ドットの周辺(エッジ)部分の鮮鋭性に関して評価した。
地汚れランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。以上の結果を表42に示す。
(感光体作製例G−20)
感光体作製例G−2における電荷輸送層塗工液を以下の組成のものに変更した以外は、感光体作製例G−2と同様に感光体G−20を作製した。
◎電荷輸送層塗工液
下記組成の高分子電荷輸送物質 10部
(重量平均分子量:約140000)
下記構造の添加剤 0.5部
塩化メチレン 100部
(感光体作製例G−21)
感光体作製例G−2における電荷輸送層の膜厚を23μmとし、電荷輸送層上に下記組成の保護層塗工液を塗布乾燥し、5μmの保護層を設けた以外は感光体作製例G−2と同様に感光体G−21を作製した。
◎保護層塗工液
ポリカーボネート(TS2050:帝人化成社製) 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
アルミナ微粒子 4部
(比抵抗:2.5×1012Ω・cm、平均一次粒径:0.4μm)
シクロヘキサノン 500部
テトラヒドロフラン 150部
(感光体作製例G−22)
感光体作製例G−21における保護層塗工液中のアルミナ微粒子を以下のものに変更した以外は、感光体作製例G−21と同様に感光体G−22を作製した。
酸化チタン微粒子 4部
(比抵抗:1.5×1010Ω・cm、平均一次粒径:0.5μm)
(感光体作製例G−23)
感光体作製例G−21における保護層塗工液中のアルミナ微粒子を以下のものに変更した以外は、感光体作製例G−21と同様に感光体G−23を作製した。
酸化錫−酸化アンチモン粉末 4部
(比抵抗:10Ω・cm、平均1次粒径0.4μm)
(感光体作製例G−24)
感光体作製例G−21における保護層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、感光体作製例G−21と同様に感光体G−24を作製した。
◎保護層塗工液
下記構造式の高分子電荷輸送物質 17部
(重量平均分子量:約140000)
アルミナ微粒子 4部
(比抵抗:2.5×1012Ω・cm、平均一次粒径:0.4μm)
シクロヘキサノン 500部
テトラヒドロフラン 150部
(感光体作製例G−25)
感光体作製例G−21における保護層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、感光体作製例G−21と同様に感光体G−25を作製した。
◎保護層塗工液
メチルトリメトキシシラン 100部
3%酢酸 20部
下記構造の電荷輸送性化合物 35部
酸化防止剤(サノール LS2626:三共化学社製) 1部
硬化剤(ジブチル錫アセテート) 1部
2−プロパノール 200部
(感光体作製例G−26)
感光体作製例G−21における保護層塗工液を下記組成のものに変更した以外は、感光体作製例G−21と同様に電子写真感光体G−26を作製した。
◎保護層塗工液
メチルトリメトキシシラン 100部
3%酢酸 20部
下記構造の電荷輸送性化合物 35部
α−アルミナ粒子(スミコランダム AA−03:住友化学工業製) 15部
酸化防止剤(サノール LS2626:三共化学社製) 1部
ポリカルボン酸化合物 BYK P104:ビックケミー社製 0.4部
硬化剤(ジブチル錫アセテート) 1部
2−プロパノール 200部
(感光体作製例G−27)
感光体作製例G−2におけるアルミニウムシリンダー(JIS 1050)を以下の陽極酸化皮膜処理を行い、次いで下引き層を設けずに、感光体作製例G−2と同様に電荷発生層、電荷輸送層を設け、感光体G−27を作製した。
◎陽極酸化皮膜処理
支持体表面の鏡面研磨仕上げを行い、脱脂洗浄、水洗浄を行った後、液温20℃、硫酸15vol%の電解浴に浸し、電解電圧15Vにて30分間陽極酸化皮膜処理を行った。更に、水洗浄を行った後、7%の酢酸ニッケル水溶液(50℃)にて封孔処理を行った。その後純水による洗浄を経て、7μmの陽極酸化皮膜が形成された支持体を得た。
(実施例G−11〜G−18)
以上のように感光体作製例G−20〜G−27で作製した電子写真感光体を図12に示す画像形成装置に搭載し、スコロトロン方式の帯電部材を用いて下記の帯電条件にて帯電を行い、画像露光光源として405nmの発振波長を有する半導体レーザーを用い、コリメーターレンズ、アパーチャー、シリンダレンズ、ポリゴンミラー、fθレンズ、樽型トロイダルレンズ、反射ミラーからなる像露光装置により書き込みを行った。現像には2成分現像(体積平均粒径が6.5μmのトナー)を行い、転写部材として転写ベルトを用い、除電光には780nmのLEDを用い、感光体全面に光照射を行い除電を行うようにした。書き込み率6%のチャートを用い、連続5万枚印刷を行った(試験環境は、22℃−55%RHである)。
<帯電条件>
放電電圧:−6.0kV
グリッド電圧:−920V(感光体の未露光部表面電位は、−900V)
現像バイアス:−650V
なお、画像評価は5万枚印刷後に、下記3つの評価を実施した。
(i)地汚れの評価
白ベタ画像を出力し、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。
(ii)ドット形成状態の評価
ハーフトーン画像(直径40μmの1ドット画像)を形成し、ドット形成状態を観察した(ドットの散り具合やドット再現性)。
(iii)ドットの輪郭
ドットの周辺(エッジ)部分の鮮鋭性に関して評価した。
いずれの場合にもランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。以上の結果を表43に示す。
また、5万枚印刷後の感光層の摩耗量(保護層を有する場合は保護層の摩耗量)を測定した。以上の結果、実施例G−1の場合と併せて表43に示す。
(感光体作製例G−28)
感光体作製例G−1のアルミニウムシリンダーを直径30mmのものに変え、感光体作製例G−1と同じ組成の感光体G−28を作製した。
(感光体作製例G−29)
感光体作製例G−2のアルミニウムシリンダーを直径30mmのものに変え、感光体作製例G−2と同じ組成の感光体G−29を作製した。
(感光体作製例G−30)
感光体作製例G−4のアルミニウムシリンダーを直径30mmのものに変え、感光体作製例G−4と同じ組成の感光体G−30を作製した。
(感光体作製例G−31)
感光体作製例G−13のアルミニウムシリンダーを直径30mmのものに変え、感光体作製例G−13と同じ組成の感光体G−31を作製した。
(感光体作製例G−32)
感光体作製例G−14のアルミニウムシリンダーを直径30mmのものに変え、感光体作製例G−14と同じ組成の感光体G−32を作製した。
(感光体作製例G−33)
感光体作製例G−15のアルミニウムシリンダーを直径30mmのものに変え、感光体作製例G−15と同じ組成の感光体G−33を作製した。
(実施例G−19〜G−20及び比較例G−48〜G−51)
以上のように作製した感光体作製例G−28〜G−33の感光体を、帯電部材(スコロトロン帯電)と共に、図18に示すような1つの画像形成装置用プロセスカートリッジに装着し、更に図16に示すフルカラー画像形成装置に搭載した。4つの画像形成要素では、帯電部材としてスコロトロン方式の帯電部材により感光体表面電位が−900Vになるように帯電を行い、画像露光光源として405nmの発振波長を有する半導体レーザーを用い、コリメーターレンズ、アパーチャー、シリンダレンズ、ポリゴンミラー、fθレンズ、樽型トロイダルレンズ、反射ミラーからなる像露光装置により書き込みを行った。現像には2成分現像(体積平均粒径が6.5μmのトナー)を行い、転写部材として転写ベルトを用い、除電光には780nmのLEDを用い、感光体全面に光照射を行い除電を行うようにした。書き込み率6%のチャートを用い、連続3万枚印刷を行った(試験環境は、22℃−55%RHである)。
なお、画像評価は3万枚印刷後に、下記4つの評価を実施した。
(i)地汚れの評価
白ベタ画像を出力し、地肌部に発生する黒点の数、大きさからランク評価を実施した。
(ii)ドット形成状態の評価
ハーフトーン画像(直径40μmの1ドット画像)を形成し、ドット形成状態を観察した(ドットの散り具合やドット再現性)。
(iii)ドットの輪郭
ドットの周辺(エッジ)部分の鮮鋭性に関して評価した。
(iv)色再現性の評価
感光体初期状態と3万枚ランニング後に、同じフルカラー画像を出力し、色再現性の評価を試みた。
いずれの場合にもランク評価は4段階にて行い、極めて良好なものを◎、良好なものを○、やや劣るものを△、非常に悪いものを×で表わした。以上の結果を表44に示す。
最後に、本発明で使用するチタニルフタロシアニン結晶の特徴であるブラッグ角θの最低角ピークである7.3°について、公知材料の最低角7.5°と同一であるか否かについて検証する。
(測定例1)
比較合成例2で得られた顔料(最低角7.3°)に特開昭61−239248号公報に記載の顔料(最大回折ピークを7.5°に有する)と同様に作製したものを3質量%添加し、乳鉢で混合して、先程と同様にX線回折スペクトルを測定した。測定例1のX線回折スペクトルを図32に示す。
(測定例2)
比較合成例3で得られた顔料(最低角7.5°)に特開昭61−239248号公報に記載の顔料(最大回折ピークを7.5°に有する)と同様に作製したものを3質量%添加し、乳鉢で混合して、先程と同様にX線回折スペクトルを測定した。測定例2のX線回折スペクトルを図33に示す。
図32のスペクトルにおいては、低角側に7.3°と7.5°の2つの独立したピークが存在し、少なくとも7.3°と7.5°のピークは異なるものであることが判る。一方、図33のスペクトルにおいては、低角側のピークは7.5°のみに存在し、図32のスペクトルとは明らかに異なっている。
以上のことから、本願発明のチタニルフタロシアニン結晶における最低角ピークである7.3°は、公知のチタニルフタロシアニン結晶における7.5°のピークとは異なるものであることが判る。
本発明の画像形成装置は、システム線速が300mm/sec以上の高速で高画質な画像を形成するため、帯電と書き込みにより感光体上に形成された静電潜像を複数の現像スリーブを有する現像部材により現像することにより、チタニルフタロシアニン固有の高感度を維持し、高耐久で高速画像出力が可能な画像形成装置に好適に用いられる。
また、本発明の画像形成装置は、小径ビームでの高密度書き込みを行い、得られた静電潜像を小粒径トナーで現像する画像形成装置で繰り返し使用した際に、異常画像の発生がなく、安定で解像度の高い画像を出力する画像形成装置に好適に用いられる。
本発明の画像形成装置は、高速で繰り返し使用した際に、異常画像の発生がなく、安定した状態で画像を出力する、直接転写方式により感光体上に形成されたトナー像を被転写体に転写する方式を採用した画像形成装置に好適に用いられる。
また、本発明の画像形成装置は、高速で繰り返し使用した際に、異常画像の発生がなく、安定した状態で画像を出力するプリント速度が大きい高速で画像を形成するため、除電−帯電時間が0.15秒以下の画像形成装置に好適に用いられる。
また、本発明の画像形成装置はは、高速で繰り返し使用した際に、異常画像の発生がなく、安定で解像度の高い画像を出力する複数のレーザービームを用いてマルチビーム露光を行って静電潜像を形成する画像形成装置に好適に用いられる。
また、本発明の画像形成装置は、書き込み光源に380〜450nmの波長範囲に発振波長を有する光源を使用し、高精細な画像を形成する画像形成装置に好適に用いられる。
また、本発明の画像形成装置は、高画質な画像を形成するため、感光体表面と帯電部材表面との空隙が100μm以下になる様に近接配置された非接触方式の帯電部材により30V/μm以上の電界強度が形成されるように感光体に帯電を行い、更に600dpi以上の書き込み光源による書き込みを行うことにより静電潜像を形成するコンパクトな画像形成装置に好適に用いられる。
図1は、ドット形成における電界強度依存性を説明するための図である。 図2は、地汚れランクの電界強度依存性を説明するための図である。 図3は、ポジ残像を説明するための概略図である。 図4は、ネガ残像を説明するための概略図である。 図5は、4個のレーザー光源LD1、LD2、LD3、LD4で構成されるマルチビームヘッド走査露光で連続複数のライン画像の書き込みをした場合のレーザー点灯状態と反転現像方式を用いて画像形成した場合のライン画像の関係を示す図である。 図6は、光キャリア発生の模式図である。 図7は、ドットが拡散する状態を表した図である。 図8は、粒子サイズが小さくかつ粒度分布の小さな電荷発生物質を用いた感光体の静電潜像(ドット)の概略図である。 図9は、粒子サイズが大きくかつ粒度分布が大きい(或いは粗大粒子を含んでいる)電荷発生物質を用いた感光体の静電潜像(ドット)の概略図である。 図10は、粒子サイズの異なる電荷発生物質を用いた際の感光体の光減衰特性の違いを説明するための図である。 図11は、本発明の電子写真プロセス及び画像形成装置の一例を説明するための概略図である。 図12は、本発明の電子写真プロセス及び画像形成装置の別の一例を説明するための概略図である。 図13は、定電流制御可能な転写回路を表した図である。 図14は、帯電部材側にキャップ形成部材を配置した近接帯電機構の一例を示す図である。 図15は、本発明のタンデム型のフルカラー画像形成装置の一例を説明するための概略図である。 図16は、本発明のタンデム型のフルカラー画像形成装置の別の一例を説明するための概略図である。 図17は、本発明の画像形成装置用プロセスカートリッジの一例を説明するための図である。 図18は、本発明の画像形成装置用プロセスカートリッジの別の一例を説明するための図である。 図19は、不定形チタニルフタロシアニンのTEM像である。図中のスケール・バーは、0.2μmである。 図20は、結晶変換後のチタニルフタロシアニンのTEM像である。図中のスケール・バーは、0.2μmである。 図21は、短時間で結晶変換を行ったチタニルフタロシアニン結晶のTEM像である。図中のスケール・バーは、0.2μmである。 図22は、分散時間が短い場合の分散液の状態を示す図である。 図23は、分散時間が長い場合の分散液の状態を示す図である。 図24、図22及び図23の分散液について、平均粒径及び粒度分布を示す図である。 図25は、本発明に用いられる電子写真感光体の層構成の一例を表わした図である。 図26は、本発明に用いられる別の電子写真感光体の層構成の一例を表わした図である。 図27は、合成例2で得られたチタニルフタロシアニン結晶のXDスペクトルを表した図である。 図28は、比較合成例1で合成されたチタニルフタロシアニン結晶のXDスペクトルを表わした図である。 図29は、比較合成例2で合成されたチタニルフタロシアニン結晶のXDスペクトルを表わした図である。 図30は、比較合成例3で合成されたチタニルフタロシアニン結晶のXDスペクトルを表わした図である。 図31は、実施例に使用したテストチャートを示す。 図32は、測定例1で用いたチタニルフタロシアニンのXDスペクトルを表わした図である。 図33は、測定例2で用いたチタニルフタロシアニンのXDスペクトルを表わした図である。
符号の説明
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電チャージャー
5 画像露光部
6 現像部材
8 レジストローラ
9 転写紙
10 転写チャージャー
11 分離チャージャー
12 分離爪
14 ファーブラシ
15 クリーニングブラシ
16Y、16M、16C、16K 感光体
17Y、17M、17C、17K 帯電部材
18Y、18M、18C、18K レーザー光
19Y、19M、19C、19K 現像部材
20Y、20M、20C、20K クリーニング部材
21Y、21M、21C、21K 転写ブラシ
22 転写搬送ベルト
23 レジストローラ
24 定着装置
25Y、25M、25C、25K 画像形成要素
26 転写紙
31 導電性支持体
35 電荷発生層
37 電荷輸送層
39 保護層
101 感光体
102 帯電手段
103 露光
104 現像手段
105 転写体
106 転写手段
107 クリーニング手段
111 感光体
112 帯電ローラ
113 ギャップ形成部材
114 金属シャフト
115 画像形成領域
116 非画像形成領域
200 感光体
201 転写ベルト
202 駆動ローラ
203 従動ローラ
204 バイアスローラ
205 高圧電源(パワーパック)
206 電流検出抵抗

Claims (19)

  1. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する複数の現像スリーブを有する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、
    前記画像形成装置が、300mm/sec以上のシステム線速で動作し、帯電器により前記静電潜像担持体表面を下記数式(1)で表される電界強度が30V/μm以上となるように印加すると共に、前記静電潜像担持体が、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶は、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、その回折ピークの半値巾が1゜以上である一次粒子の平均サイズが0.1μm以下の不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行ない、該結晶変換後の一次粒子の平均サイズが0.25μmより大きく成長する前に、有機溶媒より結晶変換後のチタニルフタロシアニンを分別、濾過し、乾燥した後、更に結晶変換処理されたものであり、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均サイズが0.25μm以下であることを特徴とする画像形成装置。
    <数式(1)>
    電界強度(V/μm)=SV/G
    (ただし、前記数式(1)中、SVは、現像位置における静電潜像担持体の未露光部における表面電位(V)を表す。Gは、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を含む感光層の膜厚(μm)を表す。)
  2. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、
    前記静電潜像形成手段が、少なくとも帯電器と、600dpi以上の解像度を有する露光器とを有し、該帯電器により前記静電潜像担持体表面を下記数式(1)で表される電界強度が30V/μm以上となるように印加すると共に、前記トナーの体積平均粒径が3〜7μmであり、かつ前記静電潜像担持体が、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶は、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、その回折ピークの半値巾が1゜以上である一次粒子の平均サイズが0.1μm以下の不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行ない、該結晶変換後の一次粒子の平均サイズが0.25μmより大きく成長する前に、有機溶媒より結晶変換後のチタニルフタロシアニンを分別、濾過し、乾燥した後、更に結晶変換処理されたものであり、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均サイズが0.25μm以下であることを特徴とする画像形成装置。
    <数式(1)>
    電界強度(V/μm)=SV/G
    ただし、前記数式(1)中、SVは、現像位置における静電潜像担持体の未露光部における表面電位(V)を表す。Gは、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を含む感光層の膜厚(μm)を表す。
  3. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、
    前記転写手段が、前記静電潜像担持体表面に現像された可視像を記録媒体に直接転写し、該帯電器により前記静電潜像担持体表面を下記数式(1)で表される電界強度が30V/μm以上となるように印加すると共に、前記静電潜像担持体が、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶は、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、その回折ピークの半値巾が1゜以上である一次粒子の平均サイズが0.1μm以下の不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行ない、該結晶変換後の一次粒子の平均サイズが0.25μmより大きく成長する前に、有機溶媒より結晶変換後のチタニルフタロシアニンを分別、濾過し、乾燥した後、更に結晶変換処理されたものであり、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均サイズが0.25μm以下であることを特徴とする画像形成装置。
    <数式(1)>
    電界強度(V/μm)=SV/G
    ただし、前記数式(1)中、SVは、現像位置における静電潜像担持体の未露光部における表面電位(V)を表す。Gは、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を含む感光層の膜厚(μm)を表す。
  4. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段と、除電手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、
    前記静電潜像形成手段が、少なくとも帯電器と、露光器とを有し、かつ下記数式(2)で表される除電−帯電間の時間が0.15秒以下であると共に、前記静電潜像担持体が、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶は、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、その回折ピークの半値巾が1゜以上である一次粒子の平均サイズが0.1μm以下の不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行ない、該結晶変換後の一次粒子の平均サイズが0.25μmより大きく成長する前に、有機溶媒より結晶変換後のチタニルフタロシアニンを分別、濾過し、乾燥した後、更に結晶変換処理されたものであり、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均サイズが0.25μm以下であることを特徴とする画像形成装置。
    <数式(2)>
    除電−帯電間の時間(秒)=P/S
    ただし、前記数式(2)中、Pは、除電手段の中心に正対した静電潜像担持体表面と帯電器中心に対応した静電潜像担持体表面の周長(mm)を表す。Sは、システム線速(mm/秒)を表す。
  5. システム線速(S)が300mm/sec以上である請求項4に記載の画像形成装置。
  6. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、
    前記静電潜像形成手段が、少なくとも帯電器と、複数のレーザービームを用いて前記静電潜像担持体表面に静電潜像を形成するマルチビーム露光を行う露光器とを有し、かつ前記画像形成装置が、300mm/sec以上のシステム線速で動作すると共に、前記静電潜像担持体が、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶は、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、その回折ピークの半値巾が1゜以上である一次粒子の平均サイズが0.1μm以下の不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行ない、該結晶変換後の一次粒子の平均サイズが0.25μmより大きく成長する前に、有機溶媒より結晶変換後のチタニルフタロシアニンを分別、濾過し、乾燥した後、更に結晶変換処理されたものであり、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均サイズが0.25μm以下であることを特徴とする画像形成装置。
  7. 帯電手段により静電潜像担持体表面に印加される帯電が、下記数式(1)で表される電界強度が30V/μm以上である請求項6に記載の画像形成装置。
    <数式(1)>
    電界強度(V/μm)=SV/G
    ただし、前記数式(1)中、SVは、現像位置における静電潜像担持体の未露光部における表面電位(V)を表す。Gは、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を含む感光層の膜厚(μm)を表す。
  8. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置であって、
    前記静電潜像形成手段が、少なくとも380〜450nmの波長範囲に発振波長を有する書き込み装置と、帯電器とを有し、該帯電器により前記静電潜像担持体表面を下記数式(1)で表される電界強度が30V/μm以上となるように印加すると共に、前記静電潜像担持体が、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶は、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、その回折ピークの半値巾が1゜以上である一次粒子の平均サイズが0.1μm以下の不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行ない、該結晶変換後の一次粒子の平均サイズが0.25μmより大きく成長する前に、有機溶媒より結晶変換後のチタニルフタロシアニンを分別、濾過し、乾燥した後、更に結晶変換処理されたものであり、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均サイズが0.25μm以下であることを特徴とする画像形成装置。
    <数式(1)>
    電界強度(V/μm)=SV/G
    ただし、前記数式(1)中、SVは、現像位置における静電潜像担持体の未露光部における表面電位(V)を表す。Gは、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を含む感光層の膜厚(μm)を表す。
  9. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成装置において、
    前記静電潜像形成手段が、少なくとも帯電器と、600dpi以上の解像度を有する露光器とを有し、該帯電器表面と前記静電潜像担持体表面との空隙が100μm以下になるように近接配置された非接触方式であり、かつ前記帯電器により前記静電潜像担持体表面を下記数式(1)で表される電界強度が30V/μm以上となるように印加すると共に、前記静電潜像担持体が、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶は、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、その回折ピークの半値巾が1゜以上である一次粒子の平均サイズが0.1μm以下の不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行ない、該結晶変換後の一次粒子の平均サイズが0.25μmより大きく成長する前に、有機溶媒より結晶変換後のチタニルフタロシアニンを分別、濾過し、乾燥した後、更に結晶変換処理されたものであり、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均サイズが0.25μm以下であることを特徴とする画像形成装置。
    <数式(1)>
    電界強度(V/μm)=SV/G
    ただし、前記数式(1)中、SVは、現像位置における静電潜像担持体の未露光部における表面電位(V)を表す。Gは、少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を含む感光層の膜厚(μm)を表す。
  10. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に静電潜像を形成する静電潜像形成手段と、該静電潜像をトナーを用いて現像して可視像を形成する現像手段と、該可視像を記録媒体に転写する転写手段と、記録媒体に転写された転写像を定着させる定着手段とを少なくとも有する画像形成要素を複数配列してなるタンデム型の画像形成装置であって、
    前記静電潜像担持体が、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなり、前記トナーの体積平均粒径が3〜7μmであると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶は、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、その回折ピークの半値巾が1゜以上である一次粒子の平均サイズが0.1μm以下の不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行ない、該結晶変換後の一次粒子の平均サイズが0.25μmより大きく成長する前に、有機溶媒より結晶変換後のチタニルフタロシアニンを分別、濾過し、乾燥した後、更に結晶変換処理されたものであり、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均サイズが0.25μm以下であることを特徴とするタンデム型の画像形成装置。
  11. 静電潜像担持体と、該静電潜像担持体上に形成した静電潜像をトナーを用いて現像し可視像を形成する現像手段と、クリーニング手段とを少なくとも一体に有するプロセスカートリッジを着脱自在に搭載してなる画像形成装置であって、
    前記静電潜像担持体が、導電性支持体と、該導電性支持体上に少なくとも電荷発生層と、電荷輸送層をこの順に積層してなり、前記トナーの体積平均粒径が3〜7μmであると共に、該電荷発生層中にチタニルフタロシアニン結晶を含み、該チタニルフタロシアニン結晶は、CuKαの特性X線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、その回折ピークの半値巾が1゜以上である一次粒子の平均サイズが0.1μm以下の不定形チタニルフタロシアニンもしくは低結晶性チタニルフタロシアニンを水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行ない、該結晶変換後の一次粒子の平均サイズが0.25μmより大きく成長する前に、有機溶媒より結晶変換後のチタニルフタロシアニンを分別、濾過し、乾燥した後、更に結晶変換処理されたものであり、該チタニルフタロシアニン結晶におけるCuKα線(波長1.542Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、更に9.4゜、9.6゜、24.0゜に主要なピークを有し、最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、該7.3°のピークと9.4゜のピークの間にピークを有さず、更に26.3°にピークを有し、かつ前記チタニルフタロシアニン結晶における一次粒子の平均サイズが0.25μm以下であることを特徴とするタンデム型の画像形成装置。
  12. 電荷輸送層が、トリアリールアミン構造を主鎖及び側鎖の少なくともいずれかに含むポリカーボネートを含有する請求項1から11のいずれかに記載の画像形成装置。
  13. 電荷輸送層上に保護層を有する請求項1から12のいずれかに記載の画像形成装置。
  14. 保護層が、比抵抗10 10 Ω・cm以上の無機顔料及び金属酸化物から選択される少なくともいずれかを含む請求項13に記載の画像形成装置。
  15. 保護層が、更に高分子電荷輸送物質を含む請求項13から14のいずれかに記載の画形成装置。
  16. 保護層におけるバインダー樹脂が、架橋構造を有する請求項13から15のいずれかに記載の画像形成装置。
  17. 架橋構造を有するバインダー樹脂の構造中に、電荷輸送部位を有する請求項16に記載の画像形成装置。
  18. 静電潜像担持体における導電性支持体の表面が、陽極酸化皮膜処理された請求項1から17のいずれかに記載の画像形成装置。
  19. 静電潜像形成手段における帯電器が、静電潜像担持体表面に交流重畳電圧印加を行う請求項1から18のいずれかに記載の画像形成装置。
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