JP4132571B2 - 電子写真感光体及び電子写真方法、電子写真装置ならびに電子写真装置用プロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体及び電子写真方法、電子写真装置ならびに電子写真装置用プロセスカートリッジ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な光導電材料、詳しくは、特定のX線回析スペクトルを与える新規フタロシアニン結晶、それを用いた電子写真感光体用分散液、その分散液を塗工することにより得られる電子写真感光体、その感光体を使用した電子写真方法、電子写真装置、電子写真用プロセスカートリッジに関する。
さらにまた、本発明は、接触もしくは近接配置された帯電ローラーを用い、画像欠陥の少ない電子写真装置に関する。また、前記特性を維持したまま、感光体の耐摩耗性を向上した機械的高耐久な電子写真装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真方式を用いた情報処理システム機の発展は目覚ましいものがある。特に情報をデジタル信号に変換して光によって情報記録を行なう光プリンターは、そのプリント品質、信頼性において向上が著しい。このデジタル記録技術はプリンターのみならず通常の複写機にも応用され所謂デジタル複写機が開発されている。また、従来からあるアナログ複写にこのデジタル記録技術を搭載した複写機は、種々様々な情報処理機能が付加されるため今後その需要性がますます高まっていくと予想される。
【0003】
光プリンターの光源としては現在のところ小型で安価で信頼性の高い半導体レーザー(LD)や発光ダイオード(LED)が多く使われている。現在よく使われているLEDの発光波長は660nmであり、LDの発光波長域は近赤外光領域にある。このため可視光領域から近赤外光領域に高い感度を有する電子写真感光体の開発が望まれている。
【0004】
電子写真感光体の感光波長域は感光体に使用される電荷発生物質の感光波長域によってほぼ決まってしまう。そのため従来から各種アゾ顔料、多環キノン系顔料、三方晶形セレン、各種フタロシアニン顔料等多くの電荷発生物質が開発されている。それらの内、特開平3−35064号公報、特開平3−35245号公報、特開平3−37669号公報、特開平3−269064号公報、特開平7−319179号公報等に記載されているチタニルフタロシアニン(TiOPcと略記される)は600〜800nmの長波長光に対して高感度を示すため、光源がLEDやLDである電子写真プリンターやデジタル複写機用の感光体用材料として極めて重要かつ有用である。
【0005】
一方、カールソンプロセスおよび類似プロセスにおいて繰り返し使用される電子写真感光体の条件としては、感度、受容電位、電位保持性、電位安定性、残留電位、分光特性に代表わされる静電特性が優れていることが要求される。とりわけ、高感度感光体については繰り返し使用による帯電性の低下と残留電位の上昇が、感光体の寿命特性を支配することが多くの感光体で経験的に知られており、前記チタニルフタロシアニンもこの例外ではない。したがって、チタニルフタロシアニンを用いた感光体の繰り返し使用による安定性は未だ十分とはいえず、その技術の完成が熱望されていた。
【0006】
電子写真プロセス中のオゾン・NOx発生量の低減、および帯電時の省エネルギーの観点から、帯電ローラ方式が提案されている。これは、帯電用のローラが感光体に接触もしくは近接配置された状態で使用されるものである。確かに、スコロトロンに代表される非接触帯電器に比べ、帯電器に印可する電圧が小さくて済み、前記反応性ガスの発生量が少なくなる。しかしながら、大きな副作用として、感光体の絶縁破壊という問題が生じる。これは、帯電ローラ使用による感光体への帯電が微小ギャップでの放電により行なわれるためと解釈されているが、詳細については分かっていない。更に、この絶縁破壊を防ぐ有効な手段もほとんど提案されていない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高感度を失うことなく繰り返し使用によっても帯電性の低下を生じない安定な光導電材料を提供することであり、また、これら光導電材料の特性を生かし切った分散液を提供することにある。また、本発明の他の目的は、高感度を失うことなく繰り返し使用によっても帯電性の低下、或いは残留電位の増大を生じない安定な電子写真感光体を提供することにある。また、繰り返し使用によっても膜削れの少ない電子写真感光体を提供することにある。別の目的は、繰り返し使用によっても異常画像の少ない、安定した画像を得ることのできる電子写真方法、電子写真装置、電子写真用プロセスカートリッジを提供することにある。
さらにまた、本発明の他の目的は、高速プリントに対応し、かつ繰り返し使用によっても感光体の絶縁破壊を生じず、安定な画像を形成することができる電子写真方法、電子写真装置、電子写真用プロセスカートリッジを提供することにある。
さらには、前記特性を維持したまま、感光体の耐摩耗性を向上した高耐久な電子写真装置を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明で用いられる新規チタニルフタロシアニン顔料結晶の基本構造は次の一般式(A)で表わされる。
【0009】
【化7】
Figure 0004132571
発明者らは、TiOPcの結晶型に着目し、上記課題を解決すべく感光体の繰り返し使用後の静電特性に関して鋭意検討を行ない、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、本発明によれば、(1)「ハロゲン化チタンを用いずに合成し、硫酸ペースティング処理を行い、洗浄液が中性になるまで洗浄することにより得られた、CuKαの特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、該回折ピークの半値巾が1゜以上である不定形チタニルフタロシアニンを、水の存在下で、テトラヒドロフラン、トルエン、塩化メチレン、二硫化炭素、オルトジクロロベンゼン、1,1,2−トリクロロエタンの中から選ばれる一種により結晶変換して得られる、CuKαの特性X線に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回析ピークを有し、かつ最も低角側の回析ピークとして7.3゜にピークを有し、9.4゜より低角側の領域における回析ピークが7.3°であり、7.4〜9.4゜の範囲にピークを有さないことを特徴とするチタニルフタロシアニン結晶」、(2)「前記チタニルフタロシアニンが、28.6゜にも同時にピークを有し、その強度が27.2°の強度の20%未満であることを特徴とする前記第(1)項に記載のチタニルフタロシアニン結晶」が提供される。
【0011】
また、本発明によれば、(3)「ハロゲン化チタンを用いずに合成し、硫酸ペースティング処理を行い、洗浄液が中性になるまで洗浄することにより得られた、CuKαの特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、該回折ピークの半値巾が1゜以上である不定形チタニルフタロシアニンを、水の存在下で、テトラヒドロフラン、トルエン、塩化メチレン、二硫化炭素、オルトジクロロベンゼン、1,1,2−トリクロロエタンの中から選ばれる一種により結晶変換を行なうことを特徴とする前記第(1)項又は第(2)項に記載のチタニルフタロシアニン結晶の製造方法」が提供される。
【0012】
また、本発明によれば、()「前記第(1)項または第(2)項の何れかに記載のチタニルフタロシアニン結晶を含有することを特徴とする電子写真感光体用分散液」、()「前記分散液に含有される分散液が少なくとも、ケトン系あるいはエステル系有機溶媒の中から選ばれる一種を含むことを特徴とする前記第()項に記載の電子写真感光体用分散液」、()「前記分散液に含有されるバインダー樹脂が少なくとも、アセチル化度が4mol%以上のポリビニルアセタールを含むことを特徴とする前記第()項または第()項に記載の電子写真感光体用分散液」が提供される。
【0013】
また、本発明によれば、()「導電性支持体上に少なくとも、電荷発生物質と電荷輸送層物質を含有する感光層を設けた電子写真感光体において、該感光層中の電荷発生物質が、前記第(1)項または第(2)項に記載のチタニルフタロシアニン結晶であることを特徴とする電子写真感光体」、()「前記感光層中に、アセチル化度が4mol%以上のポリビニルアセタールを含むことを特徴とする前記第()項に記載の電子写真感光体」、()「前記感光層の吸収スペクトルが、810nm以短にピークを有することを特徴とする前記第()項に記載の電子写真感光体」が提供される。
【0014】
さらにまた、本発明によれば(10)「導電性支持体上に少なくとも感光層を有し、前記感光層が電荷発生物質及び電荷輸送物質を含有してなる電子写真感光体において、該電子写真感光体の実使用時における画像書き込み時の電界強度における該感光層の移動度が、1×10−5(cm/Vsec)以上であり、かつ該電荷発生物質が前記第(1)項または第(2)項に記載のチタニルフタロシアニン結晶であることを特徴とする電子写真感光体」、(11)「導電性支持体上に少なくとも、電荷発生物質を含有する電荷発生層と低分子電荷輸送物質と不活性高分子を含有する電荷輸送層とからなる感光層を設けた電子写真感光体において、該電子写真感光体の実使用時における画像書き込み時の電界強度における該電荷輸送層の移動度が、1×10−5(cm/Vsec)以上であり、かつ該電荷発生物質が前記第(1)項または第(2)項に記載のチタニルフタロシアニン結晶であることを特徴とする電子写真感光体」、(12)「前記低分子の電荷輸送物質が、下記式(I),(II),(III),(IV),(V)または(VI)の何れかで表わされる材料であることを特徴とする前記第(11)項に記載の電子写真感光体;
【0015】
【化8】
Figure 0004132571
(式中、R1、R2、R3及びR4は水素原子、置換もしくは無置換の低級アルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表わし、Ar1は置換又は無置換のアリール基を表わし、Ar2は置換もしくは無置換のアリーレン基を表わし、R1とAr1は共同で環を形成してもよく、またkは0又は1の整数である。)
【0016】
【化9】
Figure 0004132571
(式中、R5は低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロゲン原子を表わし、lは0〜4の整数を表わし、R6、R7は同一でも異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロゲン原子を表わす。)
【0017】
【化10】
Figure 0004132571
(式中、R8、R9及びR10は、水素原子、アミノ基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリールオキシ基、メチレンジオキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子、又は置換もしくは無置換のアリール基を表わす。mは1〜3の整数を表わす。)
【0018】
【化11】
Figure 0004132571
(式中、A1、A2は置換もしくは無置換のアルキル基又は置換もしくは無置換のアリール基を表わし、それぞれ同一でも異なっていてもよい。Ar3は置換又は無置換の縮合多環式炭化水素を表わす。)
【0019】
【化12】
Figure 0004132571
(式中、Ar4は芳香族基、R11は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基又はアリール基を表わす。pは0又は1、qは1又は2であって、p=0、q=1の場合、Ar4とR11は共同で環を形成してもよい。)
【0020】
【化7】
Figure 0004132571
(式中、R12、R13は水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換もしくは無置換のアルキル基等、R14、R15は水素原子、シアノ基、アルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアルキル基、R16は水素原子、低級アルキル基又はアルコキシ基を表わす。Wは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基等、rは1〜5の整数、sは1〜4の整数、tは0〜2の整数、uは1〜3の整数、vは1〜2の整数を表わす。)」、(13)「前記電荷輸送層における低分子の電荷輸送物質濃度が45wt%以下であることを特徴とする前記第(11)項または第(12)項に記載の電子写真感光体」、(14)「前記不活性高分子が、ポリカーボネートであることを特徴とする前記第(11)項に記載の電子写真感光体」、(15)「導電性支持体上に少なくとも、電荷発生物質を含有する電荷発生物質を含有する電荷発生層と高分子電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を設けた電子写真感光体において、該電子写真感光体の実使用時における画像書き込み時の電界強度における該電荷輸送層の移動度が、1×10−5(cm/Vsec)以上であり、かつ該電荷発生物質が前記第(1)項または第(2)項に記載のチタニルフタロシアニン結晶であることを特徴とする電子写真感光体」、(16)「前記電子写真感光体の電荷輸送層に含有される高分子電荷輸送物質が、少なくともトリアリールアミン構造を主鎖及び/又は側鎖に含むポリカーボネートであることを特徴とする前記第(15)項に記載の電子写真感光体」が提供される。
【0033】
さらに、本発明によれば(17)「電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行なう電子写真方法であって、該電子写真感光体が前記第()項乃至第(16)項の何れか1に記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真方法」、(18)「帯電部材に直流成分に交流成分を重畳し、感光体に帯電を与えることを特徴とする前記第(17)項に記載の電子写真方法」、(19)「前記帯電手段が感光体と接触もしくは近接配置された帯電部材であることを特徴とする前記第(17)項または第(18)項に記載の電子写真方法」、(20)「少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、該電子写真感光体が前記第()項乃至第(16)項の何れかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置」、(21)「前記帯電手段が感光体と接触、もしくは近接配置された帯電部材であることを特徴とする前記第(20)項に記載の電子写真装置」、(22)「電部材に直流成分に交流成分を重畳し、感光体に帯電を与えることを特徴とする前記第(20)項または第(21)項に記載の電子写真装置」、(23)「前記帯電手段が、感光体と接触もしくは近接配置された帯電部材であることを特徴とする前記第(20)項乃至第(22)項の何れかに記載の電子写真装置用プロセスカートリッジ」、(24)「帯電部材に直流成分に交流成分を重畳し、感光体に帯電を与えることを特徴とする前記第(20)項乃至第(23)項の何れかに記載の電子写真装置用プロセスカートリッジ」、(25)「少なくとも電子写真感光体を具備してなる電子写真装置用プロセスカートリッジであって、該電子写真感光体が前記第()項乃至第(16)項の何れかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ」が提供される。
【0034】
以下、詳細に本発明を説明する。
先に記載したように、本発明で用いられる新規チタニルフタロシアニン顔料結晶の基本構造は次の一般式(A)で表わされる。
【0035】
【化26】
Figure 0004132571
【0036】
TiOPcの合成法や電子写真特性に関する文献としては、例えば特開昭57−148745号公報、特開昭59−36254号公報、特開昭59−44054号公報、特開昭59−31965号公報、特開昭61−239248号公報、特開昭62−67094号公報などが挙げられる。また、TiOPcには種々の結晶系が知られており、特開昭59−49544号公報、特開昭59−166959号公報、特開昭61−239248号公報、特開昭62−67094号公報、特開昭63−366号公報、特開昭63−116158号公報、特開昭63−196067号公報、特開昭64−17066号公報等に各々結晶形の異なるTiOPcが開示されている。
【0037】
特開昭61−239248号公報に記載された材料は、導電性が高く、この材料を単独で電子写真感光体の電荷発生物質に用いた場合、比較的良好な光感度が得られるものの暗減衰が大きく、また感光体の繰り返し使用における帯電性の低下が顕著なものであった。このような傾向は、X線回析ブラッグ角2θが7.5゜にピークを有する材料が他の結晶型の材料(例えば、27.2゜にピークを有する材料)に混合された状態においても、発現されてしまう。
本発明の材料の7.3゜のピークは27.2゜にピークを有する材料の別のピークであるか、別の結晶型によるものかは、その帰属は未だ結論されていない。しかしながら少なくとも、特開昭61−239248号公報に記載された結晶型に依存したピークでないことが、実験から明らかになった。また、これを用いた感光体の特性面から言えば、上述のような問題点は解消され、少なくとも実使用上、帯電性の低下、暗減衰の増大を低減できるという点で、公知の材料とは著しい特性上の差異がある。
【0038】
近年の電子写真プロセスではデジタル化に一層の拍車が掛かり、電子写真プロセスを用いた複写機・プリンタ・ファクシミリ等においては、そのほとんどがデジタル処理を用いたものが主流となっている。このようなプロセスにおいては、実際のモノクロ原稿が用紙全体に対する書き込み率は多めに見積もっても10%以下である。また、感光体への書き込み光は前述のようにLDやLEDといった高出力のものが使用され、この感光体へのハザードによる光疲労も見逃せない。このような点に鑑み、デジタル機においてはネガ・ポジ現像が採用されている。ネガ・ポジ現像においては、感光体表面の電位が低い部分にトナーが現像される。従って、帯電電位の低下や暗減衰の増大は、地汚れや黒ポチ等の画像欠陥として現れてしまう。実際、図面や英文原稿等の原稿出力・複写においては、本来原図にはないはずのドットやピリオドが出現してしまうことになり、この欠陥は上記のような種類の原稿に対しては致命的なものといわざるを得ない。本願はこの点に鑑みたものであり、スペクトル的にはわずかな差に見えるものであるが、感光体として評価した場合には大きな差となって現れるものである。
【0039】
上述したように、高感度を示すTiOPcを用いた感光体でも帯電ローラを用いたカールソンプロセスおよび類似プロセスにおいてくり返し使用した場合、絶縁破壊により異常画像の発生が認められ、感光体の寿命を決定していた。本発明者らは、TiOPcの結晶型に着目し、この課題を解決すべく感光体のくり返し使用後の画像特性に関して検討を行なった結果、前述の特定のX線回折スペクトルを示す結晶を用いた場合に、上記物性のくり返し特性が優れたものになることを確認し、本発明を完成した。
【0040】
目的とする結晶形を得る方法は、公知の合成過程と類似の過程による方法、洗浄・精製過程で結晶を変える方法、特別に結晶変換工程を設ける方法が挙げられる。さらに、結晶変換工程を設ける方法の中には溶媒、機械的な負荷による一般的な変換法ならびに、チタニルフタロシアニンを硫酸中にて溶解せしめ、この溶液を水に注ぎ得られる無定形結晶を経て上記変換を行なう硫酸ペースティング法が挙げられる。
【0041】
これらの中でも、不定形結晶を経た後、水の存在下で有機溶媒と接触させることによる結晶変換により所望の結晶型を得る方法が好適に用いられる。特に、最大回折ピークを7.0°〜7.5°に持ち、無定型結晶を用いること、更に好ましくは7.0°〜7.5°のピークの半値巾が1°以上のものが好適に使用できる。
【0042】
また、結晶変換に用いる有機溶媒は所定の結晶型を得られるものであれば、いかなる有機溶媒も使用できるが、特にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、トルエン、塩化メチレン、二硫化炭素、オルトジクロロベンゼン、1,1,2−トリクロロエタンの中から選ばれる一種を含むことが望ましい。なお、有機溶媒は二種以上混合して用いても構わない。
【0043】
上述したように、高感度を示すTiOPcを用いた感光体でもカールソンプロセスおよび類似プロセスにおいて繰り返し使用した場合、帯電性の低下と残留電位の上昇を生じ、感光体の寿命が限定されていた。本発明者らは、TiOPcの結晶型に着目し、この課題を解決すべく感光体の繰り返し使用後の静電特性に関して検討を行なった結果、前述の特定のX線回折スペクトルを示す結晶を用いた場合に、良好な光感度を維持したまま、繰り返し使用における帯電性の低下が少ない感光体が得られることを確認した。
【0044】
このような場合、カールソンプロセス及び類似プロセスにおける繰り返し使用に対する寿命を決定する因子としては、感光体の耐摩耗性が浮上してくる。従来用いられる低分子電荷輸送物質/不活性高分子からなる分子分散高分子より構成される電荷輸送層は、その移動度を大きくするために、低分子電荷輸送物質濃度を高くする必要がある。このため、電荷輸送層の耐摩耗性があまり高くなく、この点が感光体の寿命律速過程を決める場合すらある。
【0045】
この耐摩耗性に関して、高分子電荷輸送物質の電荷輸送層への展開が挙げられる。高分子電荷輸送物質は、電荷輸送ユニットが高分子中に化学結合で組み込まれており、上記低分子分散系に比べ、耐摩耗特性がはるかに良好である。また、低分子分散系に比べ、電荷輸送ユニットを高密度に入れることが可能であり、高移動度な電荷輸送層を設計することが可能である。しかしながら、高分子電荷輸送物質は一般的にバルキーな構造である電荷輸送ユニットが高分子中に配列されているため、低分子分散系に比べると電荷輸送層のガス透過度が高く、これを用いた感光体は反応性ガスへの暴露などのハザードに弱いという欠点を有していた。
【0046】
ところが、前記の特定のX線回折スペクトルを示すチタニルフタロシアニンはそれ単独で反応性ガスとの反応性が低く、これを用いた感光体は耐ガス性に極めて優れているという利点をも有している。
このため、この両者を組み合わせることにより、お互い単独では達成し得なかった静電的にも安定で、耐摩耗性に優れた感光体を設計できるようになる。この現象は、各々単独ではその特性を活かし切れないものであったものが、上記技術の併用で初めて達成されるものである。
【0047】
一方、電荷輸送層(電荷輸送物質)の種類によって、前記チタニルフタロシアニンの高い光キャリア発生能を十分に機能させることができず、光感度の低下や繰り返し使用における残留電位の増加が発生することがあった。本発明者らは、この点について検討した結果、電荷輸送層の移動度でこの現象が説明できることを見い出し、電荷輸送層が特定の移動度を有することで、前記チタニルフタロシアニンの特性を最大限引き出せることを見い出し、本発明を完成するに至った。
【0048】
更に、上述のようなチタニルフタロシアニンも、その合成工程によって、それを用いた感光体の特性が大きく異なる。チタニルフタロシアニンを合成するルートは幾つか知られているが、ハロゲン化チタンを用いる方法が知られている。この方法により作製されたチタニルフタロシアニンを用いた感光体は、繰り返し使用において、帯電性の低下が著しいことを見い出した。これを回避するためには、ハロゲン化チタンを用いずに合成する(例えば、有機チタンを原料とする)方法により作製することが望ましい。
【0049】
本発明におけるTiOPcのX線回折スペクトルは、合成・精製・結晶変換工程等を経て作製されたTiOPc結晶を市販のX線回折スペクトル測定装置により測定することができる。
【0050】
本発明におけるTiOPにおける2θ=7.3°、27.2°及び28.6°のピーク強度について説明する。一般的なX線回折スペクトルで、ベースライン補正を行なった後、それぞれのピーク強度を求めた値が、本発明で言うところのピーク強度比である。
【0051】
本発明の電子写真感光体用分散液に用いられる分散媒について説明する。分散媒は、結晶型を変化させないものであればいかなるものも使用できるが、特にケトン系溶媒あるいはエステル系溶媒が有効に使用できる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノン、2−ヘプタノン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノンなどが挙げられる。また、エステル系溶媒としては、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル等が挙げられる。これら溶媒は単独で用いてもよいが、他の溶媒と混合して用いても構わない。
【0052】
更に本発明の電子写真感光体用分散液に用いられるバインダー樹脂について説明する。バインダー樹脂は分散系が安定で、感光体特性に影響を与えないものならば、いかなるものを使用できるが、ポリビニルアセタールが良好に用いられる。ポリビニルアセタールは下記(XVII)式で表わされるが、Rがプロピル基だけのいわゆるポリビニルブチラールが有効に使用される。特にアセチル化度が4mol%以上のポリビニルアセタールは中でも特に有効に使用できる。これらバインダー樹脂は単独でも良好に使用できるが、他のバインダー樹脂を併用することも可能である。
【0053】
【化27】
Figure 0004132571
【0054】
また、電荷輸送層の移動度は、タイムオブフライト法或いはゼログラフィック法などで測定することが可能である。
電界強度に対して広範囲な測定を行なう場合にはタイムオブフライト法が有効な手段であり一般的に用いられる。一般的には、測定対象となる電荷輸送層を電極でサンドイッチ(片側は少なくとも半透明)した構造のサンプルを作製し、チッソレーザーのような波長の短い励起光源を用い、パルス光にして電荷輸送物質を直接励起して光キャリアを生成させ、移動度を測定するものである。
【0055】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電子写真感光体を図面に沿って説明する。
図1は、本発明に用いられる電子写真感光体を表わす断面図であり、導電性支持体(31)上に、電荷発生材料と電荷輸送材料を主成分とする単層感光層(33)が設けられている。
図2は、本発明の電子写真感光体を表わす断面図であり、導電性支持体(31)上に、電荷発生材料を主成分とする電荷発生層(35)と、電荷輸送材料を主成分とする電荷輸送層(37)とが、積層された構成をとっている。
図3は、本発明の電子写真感光体の別の構成例を表す断面図であり、電荷輸送層(37)上に電荷発生層(35)が積層された構成をとっている。
【0056】
導電性支持体(31)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体(31)として用いることができる。
【0057】
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性支持体(31)として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
【0058】
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロンなどの素材に前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体(31)として良好に用いることができる。
【0059】
次に電荷発生物質および電荷輸送物質を含有してなる感光層について説明する。感光層は単層でも積層でもよいが、説明の都合上、先ず電荷発生層(35)と電荷輸送層(37)で構成される場合から述べる。
電荷発生層(35)は、電荷発生材料として上述した特定のX線回折スペクトルを示すTiOPcを主成分とする層である。
電荷発生層(35)は、前記TiOPcを必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
【0060】
必要に応じて電荷発生層(35)に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。中でも、ポリビニルブチラールに代表わされるポリビニルアセタールは良好に使用され、特にアセチル化度が4mol%以上のポリビニルアセタール(ブチラール)は良好に使用される。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。
【0061】
電荷発生層(35)には、上述した特定のX線回折スペクトルを与えるTiOPcの他にその他の電荷発生材料を併用することも可能であり、その代表として、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系染料、他のフタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩系染料等が挙げられ用いられる。
【0062】
ここで用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられるが、特にケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が良好に使用される。塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビードコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。
電荷発生層(35)の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
【0063】
電荷輸送層(37)は、低分子の電荷輸送物質と不活性高分子を含有する層であり、電荷輸送層の状態で測定された移動度が、感光体の実使用時における画像書き込み時の電荷強度のときに、1×10-5(cmV-1sec-1)以上であるものが好ましい。
電荷輸送層(37)は低分子の電荷輸送物質及び不活性高分子を適当な溶剤に溶解ないし分散し、塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
使用できる低分子電荷輸送物質としては、それを用いて電荷輸送層を形成した際、前記物性値を満足できるものは、より良好に使用できる。特に、前記一般式(I)〜(VI)で表わされる化合物は有効に使用できる。
【0064】
また、これら電荷輸送物質は単独で用いても構わないが、他の電荷輸送物質と2種以上混合して用いても構わない。
他に混合可能な電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電荷輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
【0065】
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げられる。
【0066】
以下に、一般式(I)〜(VI)で表わされる低分子の電荷輸送物質を例示する。
一般式(I)で表わされる電荷輸送物質としては、表1に示したものが挙げられる。
【0067】
【表1−1】
Figure 0004132571
【0068】
【表1−2】
Figure 0004132571
一般式(II)で表わされる電荷輸送物質としては、表2に示したものが挙げられる。
【0069】
【表2−1】
Figure 0004132571
【0070】
【表2−2】
Figure 0004132571
一般式(III)で表わされる電荷輸送物質としては、表3に示したものが挙げられる。
【0071】
【表3−1】
Figure 0004132571
【0072】
【表3−2】
Figure 0004132571
一般式(IV)で表わされる電荷輸送物質としては、表4に示したものが挙げられる。
【0073】
【表4−1】
Figure 0004132571
【0074】
【表4−2】
Figure 0004132571
【0075】
【表4−3】
Figure 0004132571
一般式(V)で表わされる電荷輸送物質としては、表5に示したものが挙げられる。
【0076】
【表5−1】
Figure 0004132571
【0077】
【表5−2】
Figure 0004132571
一般式(VI)で表わされる電荷輸送物質としては、表6に示したものが挙げられる。
【0078】
【表6−1】
Figure 0004132571
【0079】
【表6−2】
Figure 0004132571
【0080】
【表6−3】
Figure 0004132571
【0081】
【表6−4】
Figure 0004132571
【0082】
また、不活性高分子としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられ、中でもポリカーボネートは透明性、耐摩耗性の点で良好に用いられる。
【0083】
前記低分子の電荷輸送物質の量は不活性高分子100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。特に、耐摩耗性の観点からは、電荷輸送層を構成する全材料中における低分子電荷輸送物質の重量が45wt%以下であることが好ましい。
【0084】
また、本発明における電荷輸送層(37)は、前記低分子電荷輸送物質と不活性高分子を含有する層に代えて、高分子電荷輸送物質を主成分とする層とすることができる。
この場合、電荷輸送層(37)は、高分子電荷輸送物質を適当な溶剤に溶解ないし分散し、塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
使用できる高分子電荷輸送物質としては、公知の高分子電荷輸送物質を使用できるが、それを用いて電荷輸送層を形成した際、前記物性値(移動度)を満足できるものは、より良好に使用できる。
【0085】
特に、トリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、(VII)〜(XVI)式で表わされる高分子電荷輸送物質が良好に用いられ、これらを以下に例示し、具体例を示す。
【0086】
【化28】
Figure 0004132571
式中、R1、R2、R3はそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、R4は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R5、R6は置換もしくは無置換のアリール基、o、p、qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k、jは組成を表わし、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9であり、nは繰り返し単位数を表わし5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、または下記一般式で表わされる2価基を表わす。
【0087】
【化29】
Figure 0004132571
式中、R101、R102は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表わす。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−、−S−、−SO−、−SO2−、−CO−、−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表わす。)または、
【0088】
【化30】
Figure 0004132571
(式中、aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表わす。)を表わす。ここで、R101とR102、R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。
【0089】
【化31】
Figure 0004132571
式中、R7、R8は置換もしくは無置換のアリール基、Ar1、Ar2、Ar3は同一又は異なるアリレン基を表わす。X、k、jおよびnは、(VII)式の場合と同じである。
【0090】
【化32】
Figure 0004132571
式中、R9、R10は置換もしくは無置換のアリール基、Ar4、Ar5、Ar6は同一又は異なるアリレン基を表わす。X、k、jおよびnは、(VII)式の場合と同じである。
【0091】
【化33】
Figure 0004132571
式中、R11、R12は置換もしくは無置換のアリール基、Ar7、Ar8、Ar9は同一又は異なるアリレン基、pは1〜5の整数を表わす。X、k、jおよびnは、(VII)式の場合と同じである。
【0092】
【化34】
Figure 0004132571
式中、R13、R14は置換もしくは無置換のアリール基、Ar10、Ar11、Ar12は同一又は異なるアリレン基、X1、X2は置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表わす。X、k、jおよびnは、(VII)式の場合と同じである。
【0093】
【化35】
Figure 0004132571
式中、R15、R16、R17、R18は置換もしくは無置換のアリール基、Ar13、Ar14、Ar15、Ar16は同一又は異なるアリレン基、Y1、Y2、Y3は単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わし同一であっても異なってもよい。X、k、jおよびnは、(VII)式の場合と同じである。
【0094】
【化36】
Figure 0004132571
式中、R19、R20は水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表わし、R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17、Ar18、Ar19は同一又は異なるアリレン基を表わす。X、k、jおよびnは、(VII)式の場合と同じである。
【0095】
【化37】
Figure 0004132571
式中、R21は置換もしくは無置換のアリール基を表わし、Ar20、Ar21、Ar22、Ar23は同一又は異なるアリレン基を表わす。X、k、jおよびnは、(VII)式の場合と同じである。
【0096】
【化38】
Figure 0004132571
式中、R22、R23、R24、R25は置換もしくは無置換のアリール基、Ar24、Ar25、Ar26、Ar27、Ar28は同一又は異なるアリレン基を表わす。X、k、jおよびnは、(VII)式の場合と同じである。
【0097】
【化39】
Figure 0004132571
式中、R26、R27は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29、Ar30、Ar31は同一又は異なるアリレン基を表わす。X、k、jおよびnは、(VII)式の場合と同じである。
【0098】
これら高分子電荷輸送物質は単独で用いても構わないが、他の高分子電荷輸送物質と2種以上混合して用いても構わない。また、低分子電荷輸送物質を併用することも可能である。
【0099】
併用可能な低分子電荷輸送物質には、前記低分子電荷輸送物質と不活性高分子を含有する層の場合と同様、正孔輸送物質と電子輸送物質であり、これら正孔輸送物質と電子輸送物質は前記低分子電荷輸送物質と不活性高分子を含有する電子輸送層の場合と同様である。
【0100】
また、必要に応じて不活性高分子を併用しても構わない。使用できる不活性高分子としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0101】
また、本発明においては低分子の電荷輸送物質を用いた場合も高分子電荷輸送物質を用いた場合も、電荷輸送層の膜厚は、5〜100μm程度とすることが好ましい。ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。
【0102】
本発明の感光体において電荷輸送層(37)中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂に対して0〜30重量%程度が適当である。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいは、オリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂に対して、0〜1重量%が適当である。
【0103】
次に感光層が単層構成(33)の場合について述べる。上述した特定のX線回析スペクトルを与えるTiOPcを結着樹脂中に分散した感光体が使用できる。単層感光層は、電荷発生物質および電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。さらに、この感光層には上述した電荷輸送材料を添加した機能分離タイプとしてもよく、良好に使用できる。また、必要により、可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
【0104】
結着樹脂としては、先に電荷輸送層(37)で挙げた結着樹脂をそのまま用いるほかに、電荷発生層(35)で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。もちろん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。単層感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を必要ならば電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコートなどで塗工して形成できる。単層感光層の膜厚は、5〜100μm程度が適当である。
【0105】
本発明の感光体においては、導電性支持体(31)と感光層(電荷輸送層もしくは電荷発生層)との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
【0106】
これらの下引き層は前述の感光層におけるような適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。更に本発明における下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明における下引き層には、Al23を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0107】
本発明の感光体においては、感光層保護の目的で、保護層が感光層(電荷輸送層もしくは電荷発生層)の上に設けられることもある。保護層に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂およびこれらの樹脂に酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム等の無機材料を分散したもの等を添加することができる。保護層の形成法としては通常の塗布法が採用される。なお保護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。また、以上のほかに真空薄膜作成法にて形成したa−C、a−SiCなど公知の材料を保護層として用いることができる。
【0108】
本発明の感光体においては感光層(電荷輸送層もしくは電荷発生層)と保護層との間に中間層を設けることも可能である。中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく通常の塗布法が採用される。なお、中間層の厚さは、0.05〜2μm程度が適当である。
【0109】
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、各層に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質およびレベリング剤を添加することができる。これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば、下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0110】
(a)フェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トコフェロール類等。
【0111】
(b)パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミン等。
【0112】
(c)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノン等。
【0113】
(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネート等。
【0114】
(e)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィン等。
【0115】
各層に添加できる可塑剤として、例えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(a)リン酸エステル系可塑剤
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル等。
【0116】
(b)フタル酸エステル系可塑剤
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル等。
【0117】
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチル等。
【0118】
(d)脂肪酸二塩基酸エステル系可塑剤
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチル等。
【0119】
(e)脂肪酸エステル誘導体
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリン等。
【0120】
(f)オキシ酸エステル系可塑剤
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチル等。
【0121】
(g)エポキシ可塑剤
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシル等。
【0122】
(h)二価アルコールエステル系可塑剤
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラート等。
【0123】
(i)含塩素可塑剤
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチル等。
【0124】
(j)ポリエステル系可塑剤
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセパケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステル等。
【0125】
(k)スルホン酸誘導体
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミド等。
【0126】
(l)クエン酸誘導体
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシル等。
【0127】
(m)その他
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチル等。
【0128】
各層に添加できる滑剤としては、例えば以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(a)炭化水素系化合物
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレン等。
(b)脂肪酸系化合物
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等。
(c)脂肪酸アミド系化合物
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等。
(d)エステル系化合物
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル等。
(e)アルコール系化合物
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロール等。
(f)金属石けん
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等。
(g)天然ワックス
カルナバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウ等。
(h)その他
シリコーン化合物、フッ素化合物等。
【0129】
各層に添加できる紫外線吸収剤としては、例えば以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(a)ベンゾフェノン系
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等。
(b)サルシレート系
フェニルサルシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等。
(c)ベンゾトリアゾール系
(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−5’−エチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−3’−ターシャリブチル−5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール等。
(d)シアノアクリレート系
エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル−2−カルボメトキシ−3−(パラメトキシ)アクリレート等。
(e)クエンチャー(金属錯塩系)
ニッケル(2,2’−チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェート等。
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セパケート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−4−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等。
【0130】
次に図面を用いて本発明の電子写真方法ならびに電子写真装置を詳しく説明する。
図4は、本発明の電子写真プロセスおよび電子写真装置を説明するための概略図であり、感光体(1)の周囲には、順に、除電ランプ(2)、帯電チャージャ(3)、イレーサ(4)、画像露光部(5)、現像ユニット(6)、転写前チャージャ(7)、転写チャージャ(10)、分離チャージャ(11)、分離爪(12)、クリーニング前チャージャ(13)、ファーブラシ(14)、クリーニングブラシ(15)等の各ユニットが配置されている。レジストローラ(8)により感光体(1)に供給された転写紙(9)には転写位置でトナー像が転写される。下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
【0131】
図4において、感光体(1)は導電性支持体上に特定のX線回折スペクトルを与えるチタニルフタロシアニンを含有する電荷発生層と移動度が前述の値を満足する電荷輸送層が積層された感光層からなるものである。感光体(1)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。帯電チャージャ(3)、転写前チャージャ(7)、転写チャージャ(10)、分離チャージャ(11)、クリーニング前チャージャ(13)には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャ)、帯電ローラを始めとする公知の手段が用いられる。
転写手段には、一般に上記の帯電器が使用できるが、図に示されるように転写チャージャーと分離チャージャーを併用したものが効果的である。
【0132】
また、画像露光部(5)、除電ランプ(2)等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
かかる光源等は、図4に示される工程の他に、光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光等の工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
【0133】
さて、現像ユニット(6)により、感光体(1)上に現像されたトナーは、転写紙(9)に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体(1)上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーはファーブラシ(14)およびブレード(15)により、感光体より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。
これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
かかる現像手段には、公知の方法を適用することができ、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
【0134】
図5には、本発明による電子写真プロセスの別の例を示す。感光体(21)は導電性支持体上に特定のX線回折スペクトルを与えるチタニルフタロシアニンを含有する電荷発生層と移動度が前述の値を満足する電荷輸送層が積層された感光層からなるものであり、駆動ローラ(22a)、(22b)により駆動され、帯電器(23)による帯電、光源(24)による像露光、現像(図示せず)、帯電器(25)を用いる転写、光源(26)によるクリーニング前露光、ブラシ(27)によるクリーニング、光源(28)による除電が繰り返し行なわれる。図5においては、感光体(21)(勿論この場合は支持体が透光性である)に支持体側よりクリーニング前露光の光照射が行なわれる。
【0135】
図13、図14には、本発明において帯電ローラを用いた電子写真装置、プロセスカートリッジを示す。
帯電用部材(38)が感光体に接触もしくは近接配置されている。必要に応じて、転写前チャージャ(7)、転写チャージャ、分離チャージャ、クリーニング前チャージャ(13)が配置され、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラを始めとする公知の手段が用いられる。また、感光体上の未クリーニングトナーの帯電部材への付着などを考慮すると、帯電部材は感光体に接触するよりも非接触近接配置の方が優れている。帯電用部材により感光体に帯電を施す際、帯電部材に直流成分に交流成分を重畳した電界により感光体に帯電を与えることにより、帯電ムラを低減することが可能で効果的である。
【0136】
以上の図示した電子写真プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、図5において支持体側よりクリーニング前露光を行なっているが、これは感光層側から行なってもよいし、また、像露光、除電光の照射を支持体側から行なってもよい。
【0137】
一方、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行なうこともできる。
【0138】
以上に示すような本発明の画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段を含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図6に示すものが挙げられる。この例において、感光体(16)は、導電性支持体上に特定のX線回折スペクトルを与えるチタニルフタロシアニンを含有する電荷発生層と移動度が前述の値を満足する電荷輸送層が積層された感光層からなるものである。
【0139】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明が実施例により制約を受けるものではない。なお、部はすべて重量部である。
【0140】
[チタニルフタロシアニンの合成]
まず、本発明におけるチタニルフタロシアニンの具体的な合成例を述べる。
[合成例1〜6、及び比較合成例1、2]
1,3−ジイミノイソインドリン29.2gとスルホラン200mlを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド20.4gを滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過、ついで洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返し、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキを得た。このケーキの乾燥品のX線回析スペクトルは図7に示される。
得られたウェットケーキ2gを表7に示す有機溶媒20gに投入し、4時間撹拌を行なった。これにメタノール100gを追加して、1時間撹拌を行なった後、濾過を行ない、乾燥して、本発明のチタニルフタロシアニン結晶粉末を得た。
【0141】
得られたチタニルフタロシアニン結晶粉末を、下記の条件によりX線回折スペクトル測定した。
X線管球:Cu、電圧:50kV、電流:30mA、走査速度:2°/分、走査範囲:3°〜40°、時定数:2秒
【0142】
X線回折スペクトルから、最低角側のピーク位置及び28.6°のピーク強度の27.2°のピーク強度に対する割合を次のように求めた。まず、スペクトルをベースライン補正を行ない、27.2°及び28.6°のピーク強度を求める。これを単純に比較して百分率として割合を求めた。その結果を併せて表7に示す。なお、合成例1〜6及び比較合成例1、2で作製された顔料のX線回折スペクトルを図8〜図10に示すが、合成例1〜6のスペクトルはほとんど同一なもののため、合成例4で作製した顔料結晶のX線回折スペクトルを代表例として図8に示し、比較合成例1で作製された顔料結晶のX線回析スペクトルを図9に比較合成例2で作製された顔料結晶のX線回析スペクトルを図10にそれぞれ示す。
【0143】
【表7】
Figure 0004132571
【0144】
[比較合成例3]
特開平1−299874号公報に記載の方法に準じて顔料結晶を作製した。すなわち、合成例1で作製したウェットケーキを乾燥し、乾燥物1gをポリエチレングリコール50gに加え、100gのガラスビーズと共にサンドミルを行なった。結晶転移後、希硫酸、水酸化アンモニウム水溶液で順次洗浄し、乾燥して顔料結晶を得た。
【0145】
[比較合成例4]
特開平3−269064号公報に記載の方法に準じて顔料結晶を作製した。すなわち、合成例1で作製したウェットケーキを乾燥し、乾燥物1gをイオン交換水10gとモノクロルベンゼン1gの混合溶媒中で1時間撹拌(50℃)した後、メタノールとイオン交換水で洗浄し、乾燥して顔料結晶を得た。
【0146】
[比較合成例5]
特開平2−8256号公報に記載の方法に準じて顔料結晶を作製した。すなわち、フタロジニトリル9.8gと1−クロロナフタレン75mlを撹拌混合し、窒素気流下で四塩化チタン2.2mlを滴下する。滴下終了後、徐々に200℃まで昇温し、反応温度を200℃〜220℃の間に保ちながら3時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷し130℃になったところ熱時濾過し、次いで、1−クロロナフタレンで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、顔料結晶を得た。
【0147】
[比較合成例6]
特開昭64−17066号公報に記載の方法に準じて顔料結晶を作製した。すなわち、α型TiOPc5部を食塩10g及びポリエチレングリコール5gと共にサンドグラインダーにて100℃、10時間結晶変換処理を行なった。これをイオン交換水及びメタノールで洗浄し、希硫酸水溶液で精製し、イオン交換水で酸分がなくなるまで洗浄した後、乾燥して顔料結晶を得た。
【0148】
[比較合成例7]
特許第2782765号記載の実施例の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、o−フタロジニトリル20.4部、四塩化チタン7.6部をキノリン50部中で200℃にて2時間加熱反応後、水蒸気蒸溜で溶媒を除き、2%塩酸水溶液、続いて2%水酸化ナトリウム水溶液で精製し、メタノール、N,N−ジメチルホルムアミドで洗浄後、乾燥し、オキシチタニウムフタロシアニン(TiOPc)を得た。このチタニルフタロシアニン2部を5℃の98%硫酸40部の中に少しずつ溶解し、その混合物を約1時間、5℃以下の温度を保ちながら撹拌する。続いて硫酸溶液を高速撹拌した400部の氷水中に、ゆっくりと注入し、析出した結晶を濾過する。結晶を酸が残量しなくなるまで蒸留水で洗浄し、ウエットケーキを得る。そのケーキをTHF100部中で約5時間撹拌を行ない、ろ過、THFによる洗浄を行ない乾燥後、チタニルフタロシアニン結晶を得た。
【0149】
以上の比較合成例3〜7で作製した顔料結晶は前述と同様の方法でX線回折スペクトルを測定し、それぞれの公報に記載のスペクトルと同様であることを確認した。結果を表8に示す。
【0150】
【表8】
Figure 0004132571
【0151】
[比較合成例8、9]
合成例1で得た顔料結晶と比較合成例7で得られた顔料結晶にそれぞれ特開昭61−239248号公報に記載の顔料結晶と同様に作製したものを3重量%添加し、乳鉢で混合して、比較合成例8、9として、先ほどと同様にX線回折スペクトルを測定した。比較合成例8のスペクトルを図11に、比較合成例9のスペクトルを図12に示す。
図11のスペクトルにおいては、低角側に7.3゜と7.5゜の2つにピークが存在し、少なくとも7.3゜と7.5゜のピークは異なるものであることが分かる。一方、図12のスペクトルにおいては、低角側のピークは7.5゜のみに存在し、図11のスペクトルとは明らかに異なっている。
【0152】
(実施例1〜6および比較例1〜9)
合成例1〜6および比較合成例1〜9で作製した顔料結晶を用いて、下記組成の分散液を作製した。
合成した顔料結晶 15部
ポリビニルブチラール(アセチル化度 4mol%) 10部
メチルエチルケトン 600部
メチルエチルケトンによりポリビニルブチラールを溶解し、次いでそれぞれ合成した顔料結晶を加え、ボールミリングにより分散を行なった。
【0153】
(実施例7〜12および比較例10〜18)
実施例1〜6および比較例1〜9で用いたメチルエチルケトンの代わりに、酢酸n−ブチルを分散媒として用いた以外は全く同様に分散液を作製した。
【0154】
(比較例19〜33)
実施例1〜6および比較例1〜9で用いたメチルエチルケトンの代わりに、ブタノールを分散媒として用いた以外は全く同様に分散液を作製した
【0155】
実施例1〜12および比較例1〜33で作製した分散液を浸漬塗工法により表面を陽極酸化したアルミドラムに塗工製膜した。また分散液作製後、1ヶ月の静置保管テストを行なった。その結果、実施例1〜12および比較例1〜18で作製した分散液は浸漬塗工によりいずれも良好な塗膜が得られたが、比較例19〜33で作製した分散液は分散が不良で良好な結果が得られなかった。
また1ヶ月後の静置保管の後、沈降性を目視にて確認したが、実施例1〜12および比較例1〜18で作製した分散液は沈降がわずかで、攪拌するだけで十分に再分散が可能であった。一方、比較例19〜33で作製した分散液は沈降が著しく、保管容器の底に顔料が溜まっており、再分散が非常に困難であった。
【0156】
(実施例13〜18および比較例34〜42)
実施例1〜6および比較例1〜9で作製した分散液を用いて以下の電子写真感光体を作製した。厚さ1mmのアルミ板上に、下記組成の中間層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布乾燥して、4μmの中間層、0.3μmの電荷発生層、25μmの電荷輸送層からなる電子写真感光体を形成した。
[下引き層塗工液]
二酸化チタン粉末 15部
ポリビニルブチラール 6部
2−ブタノン 150部
[電荷発生層塗工液]
先述の分散液をそれぞれ用いた(対応は表3に記載)。
[電荷輸送層塗工液]
ポリカーボネート 10部
下記構造式の電荷輸送物質 8部
【0157】
【化40】
Figure 0004132571
塩化メチレン 80部
【0158】
上記のように作製した電子写真感光体を静電複写紙試験装置(川口電気製作所製SP−428型)を用いて次のように評価した。
まず、−5.6kVの放電電圧にて、コロナ帯電を15秒間行ない、次いで、暗減衰させ、暗減衰15秒後に1μW/cm2の光(780±10nm)を照射した。この時、帯電15秒後の表面電位V15(−V)、V15と暗減衰後の表面電位V30(−V)の比(DD)、および暗減衰後の表面電位V30(−V)を半分の電位に光減衰させるのに必要な露光量E1/2[μJ/cm2]を測定した。結果を表3に示す。更に、上記の帯電と露光を30分間繰り返した後、同様の測定を行ない、疲労後の特性とした。結果を表9に合わせて示す。
【0159】
【表9】
Figure 0004132571
表9より、実施例13〜18の電子写真感光体は疲労後においても帯電性および光感度が良好であることがわかる。
【0160】
(実施例19)
合成例4で作製した顔料結晶を作製して、下記組成の電荷発生層用塗工液を作製した。
合成した顔料結晶 15部
ポリビニルブチラール(アセチル化度 5.5mol%) 10部
メチルエチルケトン 600部
メチルエチルケトンにポリビニルブチラールを溶解し、次いでそれぞれ合成した顔料を加え、ボールミリングにより分散を行なった。
これを電荷発生層に用いて、実施例13と同じ方法・条件にて感光体を作製した。
【0161】
(実施例20)
合成例4で作製した顔料結晶を作製して、下記組成の電荷発生層用塗工液を作製した。
合成した顔料結晶 15部
ポリビニルブチラール(アセチル化度 2mol%) 10部
メチルエチルケトン 600部
メチルエチルケトンによりポリビニルブチラールを溶解し、次いでそれぞれ合成した顔料を加え、ボールミリングにより分散を行なった。
これを電荷発生層に用いて、実施例13と同じ方法・条件にて感光体を作製した。
【0162】
上記のように作製した感光体を実施例13と同じように評価した。結果を表10に示す。
【0163】
【表10】
Figure 0004132571
表10から、ポリビニルブチラールのアセチル化度が4%以上の場合、帯電性の低下が少ないことが明らかである。
【0164】
[電荷輸送層に低分子電荷輸送物質と不活性高分子とを含有する例]
[実施例21〜26、比較例43、44]
電鋳ニッケル・ベルト上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥し、4μmの中間層、0.3μmの電荷発生層、25μmの電荷輸送層からなる電子写真感光体を形成した。
【0165】
下引き層塗工液
二酸化チタン粉末 15部
ポリビニルブチラール 6部
2−ブタノン 150部
【0166】
電荷発生層塗工液
合成例1〜6及び比較合成例1、2で合成した顔料結晶 15部
ポリビニルブチラール 6部
メチルエチルケトン 600部
メチルエチルケトンにポリビニルブチラールを溶解し、次いでそれぞれ合成した顔料結晶を加え、ビーズミリングにより分散を行なった。
【0167】
電荷輸送層塗工液
A型ポリカーボネート 10部
塩化メチレン 80部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【0168】
【化41】
Figure 0004132571
【0169】
[実施例27]
実施例21における電荷輸送層塗工液中の電荷輸送物質を以下のものに変更した以外は実施例21と同様に電子写真感光体を作製した。
【0170】
【化42】
Figure 0004132571
【0171】
[実施例28]
実施例21における電荷輸送層塗工液中の電荷輸送物質を以下のものに変更した以外は実施例21と同様に電子写真感光体を作製した。
【0172】
【化43】
Figure 0004132571
【0173】
[実施例29]
実施例21における電荷輸送層塗工液中の電荷輸送物質を以下のものに変更した以外は実施例21と同様に電子写真感光体を作製した。
【0174】
【化44】
Figure 0004132571
【0175】
[実施例30]
実施例21における電荷輸送層塗工液中の電荷輸送物質を以下のものに変更した以外は実施例21と同様に電子写真感光体を作製した。
【0176】
【化45】
Figure 0004132571
【0177】
[実施例31]
実施例21における電荷輸送層塗工液中の電荷輸送物質を以下のものに変更した以外は実施例21と同様に電子写真感光体を作製した。
【0178】
【化46】
Figure 0004132571
【0179】
[比較例45〜50]
実施例21〜26における電荷輸送層塗工液中の電荷輸送物質を以下のものに変更した以外は実施例21〜26と同様に電子写真感光体を作製した。
【0180】
【化47】
Figure 0004132571
【0181】
[比較例51〜53]
電鋳ニッケル・ベルト上に下記組成の下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥し、4μmの中間層、0.3μmの電荷発生層、25μmの電荷輸送層からなる電子写真感光体を形成した。
【0182】
下引き層塗工液
二酸化チタン粉末 15部
ポリビニルブチラール 6部
2−ブタノン 150部
【0183】
電荷発生層塗工液
比較合成例7〜9で合成した顔料結晶 15部
ポリビニルブチラール(アセチル化度 4mol%) 10部
メチルエチルケトン 600部
メチルエチルケトンにポリビニルブチラールを溶解し、次いでそれぞれ合成した顔料結晶を加え、ビーズミリングにより分散を行なった。
【0184】
電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【0185】
【化48】
Figure 0004132571
塩化メチレン 80部
【0186】
実施例21〜31及び比較例43〜53で作製した電子写真感光体を図4に示す電子写真プロセス(ただし、クリーニング前露光はなし)に装着し、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)として、現像直前の感光体の表面電位が測定できるように表面電位計のプローブを挿入した。連続して1万枚の印刷を行ない、そのときの画像露光部と画像非露光部の表面電位を初期と1万枚後に測定した。結果を表11に示す。
なお、各感光体に使用した電荷輸送層と同じ組成の移動度測定用の試料を作製し、画像非露光部に相当する電界強度のときの移動度(cm2/Vsec)を測定した。この結果も併せて表11に示す。
【0187】
【表11】
Figure 0004132571
【0188】
表11より、実施例21〜26の電子写真感光体は繰り返し使用後にも、安定した表面電位を維持していることがわかる。
【0189】
[実施例32及び比較例54、55]
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を順次塗布・乾燥し、3.5μmの中間層、0.2μmの電荷発生層、28μmの電荷輸送層からなる電子写真感光体を形成した。
【0190】
下引き層塗工液
二酸化チタン粉末 400部
メラミン樹脂 65部
アルキッド樹脂 120部
2−ブタノン 400部
【0191】
電荷発生層塗工液
合成例1及び比較合成例3、4で合成した顔料結晶 15部
ポリビニルブチラール 10部
酢酸n−プロピル 600部
酢酸n−プロピルにポリビニルブチラールを溶解し、次いでそれぞれ合成した顔料結晶を加え、ビーズミリングにより分散を行なった。
【0192】
電荷輸送層塗工液
Z型ポリカーボネート 10部
塩化メチレン 80部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【0193】
【化49】
Figure 0004132571
【0194】
[実施例33]
実施例32における電荷輸送層塗工液を以下の組成のものに変更した以外は実施例32と同様に電子写真感光体を作製した。
【0195】
電荷輸送層塗工液
Z型ポリカーボネート 10部
塩化メチレン 80部
下記構造式の電荷輸送物質 8部
【0196】
【化50】
Figure 0004132571
【0197】
[実施例34]
実施例32における電荷輸送層塗工液を以下の組成のものに変更した以外は実施例32と同様に電子写真感光体を作製した。
【0198】
電荷輸送層塗工液
Z型ポリカーボネート 10部
塩化メチレン 80部
下記構造式の電荷輸送物質 10部
【0199】
【化51】
Figure 0004132571
【0200】
上記の実施例32〜34及び比較例54、55の各電子写真感光体を図3に示す電子写真プロセスに装着し(ただし、画像露光光源を780nmに発光を持つLDとした)、連続して1万枚の印刷を行ない、そのときの画像を初期と1万枚後に評価した。結果を表12に示す。
【0201】
【表12】
Figure 0004132571
【0202】
[比較例56〜58]
比較例51〜53と同じ感光体を図4に示す装置に搭載し、以下の帯電条件で、3万枚の画像評価を行なった。
連続印刷を3万枚とした他は、比較例42と同様に評価した。
Figure 0004132571
結果を表13に示す。
【0203】
【表13】
Figure 0004132571
【0204】
表12から実施例32、33の電子写真感光体は繰り返し使用後にも、良好な画像を維持していることがわかる。また、実施例34の感光体は特に問題にならない範囲であるが、実施例32、33の感光体に比べると、繰り返し使用後の画像がやや劣ることがわかる。
【0205】
[実施例35]
アルミニウムシリンダー表面を陽極酸化処理した後、封孔処理を行なった。この上に下記電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液を順次塗布・乾燥し、各々0.2μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層を形成し、本発明の電子写真感光体を作製した。
【0206】
電荷発生層塗工液
合成例4で合成した顔料結晶 15部
ポリビニルブチラール 10部
酢酸n−ブチル 600部
酢酸n−ブチルにポリビニルブチラールを溶解し、次いでそれぞれ合成した顔料結晶を加え、ビーズミリングにより分散を行なった。
【0207】
電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート 10部
塩化メチレン 80部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【0208】
【化52】
Figure 0004132571
【0209】
[実施例36]
実施例35における電荷輸送層塗工液を以下のものに変更した以外は実施例35と同様に電子写真感光体を作製した。
【0210】
電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート 10部
塩化メチレン 80部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【0211】
【化53】
Figure 0004132571
【0212】
[実施例37]
実施例35における電荷輸送層塗工液を以下のものに変更した以外は実施例35と同様に電子写真感光体を作製した。
【0213】
電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート 10部
塩化メチレン 80部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【0214】
【化54】
Figure 0004132571
【0215】
[実施例38]
実施例35における電荷輸送層塗工液を以下のものに変更した以外は実施例35と同様に電子写真感光体を作製した。
【0216】
電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート 10部
塩化メチレン 80部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【0217】
【化55】
Figure 0004132571
【0218】
[実施例39]
実施例35における電荷輸送層塗工液を以下のものに変更した以外は実施例35と同様に電子写真感光体を作製した。
【0219】
電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート 10部
塩化メチレン 80部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【0220】
【化56】
Figure 0004132571
【0221】
[実施例40]
実施例35における電荷輸送層塗工液を以下のものに変更した以外は実施例35と同様に電子写真感光体を作製した。
【0222】
電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート 10部
塩化メチレン 80部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【0223】
【化57】
Figure 0004132571
【0224】
[比較例59]
実施例35における電荷発生層を以下のものに変更した以外は実施例35と同様に電子写真感光体を作製した。
【0225】
電荷発生層塗工液
比較合成例5で合成した顔料結晶 15部
ポリビニルブチラール 10部
酢酸n−ブチル 600部
酢酸n−ブチルにポリビニルブチラールを溶解し、次いでそれぞれ合成した顔料結晶を加え、ビーズミリングにより分散を行なった。
【0226】
[比較例60]
実施例35における電荷発生層を以下のものに変更した以外は実施例35と同様に電子写真感光体を作製した。
【0227】
電荷発生層塗工液
比較合成例6で合成した顔料結晶 15部
ポリビニルブチラール 10部
酢酸n−ブチル 600部
酢酸n−ブチルにポリビニルブチラールを溶解し、次いでそれぞれ合成した顔料結晶を加え、ビーズミリングにより分散を行なった。
【0228】
[比較例61]
実施例35における電荷輸送層塗工液を以下のものに変更した以外は実施例35と同様に電子写真感光体を作製した。
【0229】
電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート 10部
塩化メチレン 80部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【0230】
【化58】
Figure 0004132571
【0231】
[比較例62]
実施例35における電荷輸送層塗工液を以下のものに変更した以外は実施例35と同様に電子写真感光体を作製した。
【0232】
電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート 10部
塩化メチレン 80部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【0233】
【化59】
Figure 0004132571
実施例35〜40及び比較例59〜62で作製した電子写真感光体を図5に示す電子写真用プロセスカートリッジに装着した後、画像形成装置に搭載した。ただし、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)として、現像直前の感光体の表面電位が測定できるように表面電位計のプローブを挿入した。連続して1万枚の印刷を行ない、そのときの画像露光部と画像非露光部の表面電位を初期と1万枚後に測定した。
また、実施例21の場合と同様に、電荷輸送層の移動度を測定した。結果を表14に示す。
【0234】
【表14】
Figure 0004132571
【0235】
表14から、実施例35〜40の電子写真感光体は繰り返し使用後にも、安定した表面電位を維持していることがわかる。
【0236】
[電荷輸送層に高分子電荷輸送物質を含有する例]
[実施例41〜46及び比較例63、64]
電鋳ニッケル・ベルト上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥し、4μmの中間層、0.3μmの電荷発生層、25μmの電荷輸送層からなる電子写真感光体を形成した。
【0237】
下引き層塗工液
二酸化チタン粉末 15部
ポリビニルブチラール 6部
2−ブタノン 150部
【0238】
電荷発生層塗工液
合成例1〜6及び比較合成例1、2で合成した顔料結晶 15部
ポリビニルブチラール 6部
メチルエチルケトン 600部
メチルエチルケトンにポリビニルブチラールを溶解し、次いでそれぞれ合成した顔料結晶を加え、ビーズミリングにより分散を行なった。
【0239】
電荷輸送層塗工液
塩化メチレン 100部
下記構造式の高分子電荷輸送物質 10部
【0240】
【化60】
Figure 0004132571
【0241】
[実施例47]
実施例41における電荷輸送層塗工液中の高分子電荷輸送物質を以下のものに変更した以外は実施例41と同様に電子写真感光体を作製した。
【0242】
【化61】
Figure 0004132571
【0243】
[実施例48]
実施例41における電荷輸送層塗工液中の高分子電荷輸送物質を以下のものに変更した以外は実施例41と同様に電子写真感光体を作製した。
【0244】
【化62】
Figure 0004132571
【0245】
[比較例63、64]
実施例41における電荷輸送層塗工液中の高分子電荷輸送物質を比較合成例1、比較合成例2のものに変更した以外は実施例41と同様に電子写真感光体を作製した。
【0246】
実施例41〜48及び比較例63、64で作製した電子写真感光体を図4に示す電子写真プロセス(ただし、クリーニング前露光はなし)に装着し、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)として、現像直前の感光体の表面電位が測定できるように表面電位計のプローブを挿入した。連続して3万枚の印刷を行ない、そのときの画像露光部と画像非露光部の表面電位を初期と3万枚後に測定した。結果を表15に示す。
なお、各感光体に使用した電荷輸送層と同じ組成の移動度測定用の試料を作製し、電界強度5×105(V/cm)のときの移動度(cm2/Vsec)を測定した。この結果も併せて表15に示す。
【0247】
【表15】
Figure 0004132571
【0248】
表15より、実施例41〜48の電子写真感光体は繰り返し使用後にも、安定した表面電位を維持していることがわかる。
【0249】
[実施例49及び比較例65、66]
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を順次塗布・乾燥し、3.5μmの中間層、0.2μmの電荷発生層、28μmの電荷輸送層からなる電子写真感光体を形成した。
【0250】
下引き層塗工液
二酸化チタン粉末 400部
メラミン樹脂 65部
アルキッド樹脂 120部
2−ブタノン 400部
【0251】
電荷発生層塗工液
合成例3及び比較合成例3、4で合成した顔料結晶 15部
ポリビニルブチラール 10部
酢酸n−プロピル 600部
酢酸n−プロピルにポリビニルブチラールを溶解し、次いでそれぞれ合成した顔料結晶を加え、ビーズミリングにより分散を行なった。
【0252】
電荷輸送層塗工液
塩化メチレン 100部
下記構造式の高分子電荷輸送物質 10部
【0253】
【化63】
Figure 0004132571
【0254】
[実施例50]
実施例49における電荷輸送層塗工液中の高分子電荷輸送物質を以下のものに変更した以外は実施例49と同様に電子写真感光体を作製した。
【0255】
【化64】
Figure 0004132571
【0256】
[比較例67]
実施例49における電荷輸送層塗工液を以下の組成のものに変更した以外は実施例49と同様に電子写真感光体を作製した。
【0257】
電荷輸送層塗工液
A型ポリカーボネート 10部
塩化メチレン 80部
下記構造式の電荷輸送物質 10部
【0258】
【化65】
Figure 0004132571
【0259】
上記の実施例49、50及び比較例65〜67の各電子写真感光体を図3に示す電子写真プロセスに装着し(ただし、画像露光光源を780nmに発光を持つLDとした)、連続して5万枚の印刷を行ない、そのときの画像を初期と5万枚後に評価した。結果を表16に示す。
【0260】
【表16】
Figure 0004132571
【0261】
表16から実施例49、50の電子写真感光体は繰り返し使用後にも、良好な画像を維持していることがわかる。また、実施例49及び比較例67の感光体の10万枚の印刷による電荷輸送層の膜厚変化も調べたが、実施例49の感光体に比べ、比較例67の感光体は約2倍程度摩耗量が大きかった。
【0262】
[実施例51]
アルミニウムシリンダー表面を陽極酸化処理した後、封孔処理を行なった。この上に下記電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液を順次塗布・乾燥し、各々0.2μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層を形成し、本発明の電子写真感光体を作製した。
【0263】
電荷発生層塗工液
合成例4で合成した顔料結晶 15部
ポリビニルブチラール 10部
酢酸n−ブチル 600部
酢酸n−ブチルにポリビニルブチラールを溶解し、次いでそれぞれ合成した顔料結晶を加え、ビーズミリングにより分散を行なった。
【0264】
電荷輸送層塗工液
塩化メチレン 100部
下記構造式の高分子電荷輸送物質 10部
【0265】
【化66】
Figure 0004132571
【0266】
[実施例52]
実施例51における電荷輸送層塗工液中の高分子電荷輸送物質を以下のものに変更した以外は実施例51と同様に電子写真感光体を作製した。
【0267】
【化67】
Figure 0004132571
【0268】
[実施例53]
実施例51における電荷輸送層塗工液中の高分子電荷輸送物質を以下のものに変更した以外は実施例51と同様に電子写真感光体を作製した。
【0269】
【化68】
Figure 0004132571
【0270】
[比較例68]
実施例51における電荷発生層を以下のものに変更した以外は実施例51と同様に電子写真感光体を作製した。
【0271】
電荷発生層塗工液
比較合成例5で合成した顔料結晶 15部
ポリビニルブチラール 10部
酢酸n−ブチル 600部
酢酸n−ブチルにポリビニルブチラールを溶解し、次いでそれぞれ合成した顔料結晶を加え、ビーズミリングにより分散を行なった。
【0272】
[比較例69]
実施例51における電荷発生層を以下のものに変更した以外は実施例51と同様に電子写真感光体を作製した。
【0273】
電荷発生層塗工液
比較合成例6で合成した顔料結晶 15部
ポリビニルブチラール 10部
酢酸n−ブチル 600部
酢酸n−ブチルにポリビニルブチラールを溶解し、次いでそれぞれ合成した顔料結晶を加え、ビーズミリングにより分散を行なった。
【0274】
実施例51〜53及び比較例68、69で作製した電子写真感光体を図5に示す電子写真用プロセスカートリッジに装着した後、画像形成装置に搭載した。ただし、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)として、現像直前の感光体の表面電位が測定できるように表面電位計のプローブを挿入した。連続して3万枚の印刷を行ない、そのときの画像露光部と画像非露光部の表面電位を初期と3万枚後に測定した。
なお、各感光体に使用した電荷輸送層と同じ組成の移動度測定用の試料を作製し、画像非露光部に相当する電界強度のときの移動度(cm2/Vsec)を測定した。結果を併せて表17に示す。
【0275】
【表17】
Figure 0004132571
【0276】
表17から、実施例51、52の電子写真感光体は繰り返し使用後にも、安定した表面電位を維持していることがわかる。
【0277】
[実施例54]
実施例32で作製した電子写真感光体を、図13の装置に搭載し、帯電は以下の条件で行ない、画像露光光源を780nmの半導体レーザ(ポリゴンミラーによる画像書き込み)として、実施例32と同様に連続して一万枚の印刷を行ない、画像評価を行なった。なお、帯電部材は感光体に接触している。
【0278】
Figure 0004132571
初期及び一万枚後における画像は、いずれも良好であった。また、実施例32の試験を行なった際より、オゾン臭が少なく良好であった。
【0279】
[実施例55]
実施例54において、帯電部材を感光体表面より100μm離れるように近接配置した以外は、実施例54と同様に評価を行なった。
初期及び一万枚後における画像は、いずれも良好であった。また、実施例54の場合に比べ、帯電ローラの汚れが少なかった。このため、実施例54の一万枚後にごく僅かに認められた帯電ローラ汚れに基づく、異常画像が実施例55では全く認められず、更に良好であった。
【0280】
[実施例56]
実施例55の評価において、帯電に際し、ACバイアスを印加しない条件に変更した以外は、実施例55と同様に評価を行なった。その結果、初期画像は全く問題なく良好な画像が得られたが、一万枚後においてハーフトーン画像を出力した際に、実使用上問題のない範囲であるが、僅かに画像濃度ムラが認められた。
【0281】
[実施例57]
実施例35で作製した電子写真感光体を、図14の電子写真装置用プロセスカートリッジ装着し、画像形成装置に搭載し、帯電は以下の条件で行ない、画像露光光源を780nmの半導体レーザ(ポリゴンミラーによる画像書き込み)として、実施例35と同様に連続して一万枚の印刷を行ない、画像評価を行なった。尚、帯電部材は感光体に接触している。
【0282】
Figure 0004132571
初期及び一万枚後における画像は、いずれも良好であった。また、実施例35の試験を行なった際より、オゾン臭が少なく良好であった。
【0283】
[実施例58]
実施例57において、帯電部材を感光体表面より100μm離れるように近接配置した以外は、実施例57と同様に評価を行なった。
初期及び一万枚後における画像は、いずれも良好であった。また、実施例54の場合に比べ、帯電ローラの汚れが少なかった。このため、実施例57の一万枚後にごく僅かに認められた帯電ローラ汚れに基づく、異常画像が実施例58では全く認められず、更に良好であった。
【0284】
[実施例59]
実施例58の評価において、帯電に際し、ACバイアスを印加しない条件に変更した以外は、実施例58と同様に評価を行なった。その結果、初期画像は全く問題なく良好な画像が得られたが、一万枚後においてハーフトーン画像を出力した際に、実使用上問題のない範囲であるが、僅かに画像濃度ムラが認められた。
【0285】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的な説明から明らかなように、本発明によれば、特定のX線回折スペクトルを与えるチタニルフタロシアニン結晶を用い、且つ低分子電荷輸送物質と不活性高分子とを含有する電荷輸送層の移動度が感光体の実使用時における画像書き込み時の電界強度のときに1×10-5(cm/Vsec)以上であることによって、これを使用した感光体において、高感度を失うことなく、繰り返し使用によっても帯電性の低下と残留電位の上昇を生じない安定な電子写真感光体が提供される。
また、特定のX線回折スペクトルを与えるチタニルフタロシアニン結晶を含有する電荷発生層と、高分子電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を用いることによって、高感度を失うことなく、繰り返し使用によっても帯電性の低下と残留電位の上昇を生じない安定で高耐摩耗性の電子写真感光体が提供される。
さらに、前述の感光体を用いることにより、高感度を失うことなく繰り返し使用によっても帯電性の低下と残留電位の上昇を生じない安定な電子写真方法が提供される。
また、帯電手段が感光体に接触もしくは近接配置された電子写真装置において、特定のX線回折スペクトルを与えるチタニルフタロシアニン結晶を電荷発生物質に用い、かつ特定の移動度を有する電荷輸送層を備えた電子写真感光体を使用することにより、高感度を失うことなく繰り返し使用によっても絶縁破壊が少なく、安定した画像を得ることのできる電子写真装置が提供され、また、前記特性を維持したまま、感光体の耐摩耗性を向上した機械的高耐久な電子写真装置が提供される。
更にまた、高感度を失うことなく繰り返し使用によっても帯電性の低下と残留電位の上昇を生じない安定な電子写真装置および電子写真装置用プロセスカートリッジが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いられる電子写真感光体を表わす断面図である。
【図2】本発明の電子写真感光体の構成例を示す断面図である。
【図3】本発明の電子写真感光体の別の構成例を示す断面図である。
【図4】本発明の電子写真プロセスおよび電子写真装置を説明するための概略図である。
【図5】本発明による電子写真プロセスの別の例を示す概略図である。
【図6】本発明のプロセスカートリッジを示す図である。
【図7】ウェットケーキ乾燥品のX線回折スペクトルを示す図である。
【図8】合成例4で作製した顔料のX線回折スペクトルを示す図である。
【図9】比較合成例1で作製した顔料のX線回折スペクトルを示す図である。
【図10】比較合成例2で作製した顔料のX線回折スペクトルを示す図である。
【図11】比較合成例8で作製した顔料のX線回折スペクトルを示す図である。
【図12】比較合成例9で作製した顔料のX線回折スペクトルを示す図である。
【図13】本発明の電子写真プロセスおよび電子写真装置を説明するための別の概略図である。
【図14】本発明のプロセスカートリッジを示す別の図である。
【符号の説明】
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
4 イレーサ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 レジストローラ
9 転写紙
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブラシ
16 感光体
17 帯電チャージャ
18 クリーニングブラシ
19 画像露光部
20 現像ローラ
21 感光体
22a 駆動ローラ
22b 駆動ローラ
23 帯電チャージャ
24 像露光源
25 転写チャージャ
26 クリーニング前露光
27 クリーニングブラシ
28 除電光源
31 導電性支持体
33 感光層
35 電荷発生層
37 電荷輸送層
38 帯電部材
39 転写ベルト
40 帯電部材
41 転写ローラ

Claims (25)

  1. ハロゲン化チタンを用いずに合成し、硫酸ペースティング処理を行い、洗浄液が中性になるまで洗浄することにより得られた、CuKαの特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、該回折ピークの半値巾が1゜以上である不定形チタニルフタロシアニンを、水の存在下で、テトラヒドロフラン、トルエン、塩化メチレン、二硫化炭素、オルトジクロロベンゼン、1,1,2−トリクロロエタンの中から選ばれる一種により結晶変換して得られる、CuKαの特性X線に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回析ピークを有し、かつ最も低角側の回析ピークとして7.3゜にピークを有し、9.4゜より低角側の領域における回析ピークが7.3°であり、7.4〜9.4゜の範囲にピークを有さないことを特徴とするチタニルフタロシアニン結晶。
  2. 前記チタニルフタロシアニンが、28.6゜にも同時にピークを有し、その強度が27.2°の強度の20%未満であることを特徴とする請求項1に記載のチタニルフタロシアニン結晶。
  3. ハロゲン化チタンを用いずに合成し、硫酸ペースティング処理を行い、洗浄液が中性になるまで洗浄することにより得られた、CuKαの特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有し、該回折ピークの半値巾が1゜以上である不定形チタニルフタロシアニンを、水の存在下で、テトラヒドロフラン、トルエン、塩化メチレン、二硫化炭素、オルトジクロロベンゼン、1,1,2−トリクロロエタンの中から選ばれる一種により結晶変換を行なうことを特徴とする請求項1又は2に記載のチタニルフタロシアニン結晶の製造方法。
  4. 前記請求項1又は2に記載のチタニルフタロシアニン結晶を含有することを特徴とする電子写真感光体用分散液。
  5. 前記分散液に含有される分散液が少なくとも、ケトン系あるいはエステル系有機溶媒の中から選ばれる一種を含むことを特徴とする請求項に記載の電子写真感光体用分散液。
  6. 前記分散液に含有されるバインダー樹脂が少なくとも、アセチル化度が4mol%以上のポリビニルアセタールを含むことを特徴とする請求項4または5に記載の電子写真感光体用分散液。
  7. 導電性支持体上に少なくとも、電荷発生物質と電荷輸送層物質を含有する感光層を設けた電子写真感光体において、該感光層中の電荷発生物質が、請求項1または2に記載のチタニルフタロシアニン結晶であることを特徴とする電子写真感光体。
  8. 前記感光層中に、アセチル化度が4mol%以上のポリビニルアセタールを含むことを特徴とする請求項に記載の電子写真感光体。
  9. 前記感光層の吸収スペクトルが、810nm以短にピークを有することを特徴とする請求項に記載の電子写真感光体。
  10. 導電性支持体上に少なくとも感光層を有し、前記感光層が電荷発生物質及び電荷輸送物質を含有してなる電子写真感光体において、該電子写真感光体の実使用時における画像書き込み時の電界強度における該感光層の移動度が、1×10−5(cm/Vsec)以上であり、かつ該電荷発生物質が請求項1または2に記載のチタニルフタロシアニン結晶であることを特徴とする電子写真感光体。
  11. 導電性支持体上に少なくとも、電荷発生物質を含有する電荷発生層と低分子電荷輸送物質と不活性高分子を含有する電荷輸送層とからなる感光層を設けた電子写真感光体において、該電子写真感光体の実使用時における画像書き込み時の電界強度における該電荷輸送層の移動度が、1×10−5(cm/Vsec)以上であり、かつ該電荷発生物質が請求項1または2に記載のチタニルフタロシアニン結晶であることを特徴とする電子写真感光体。
  12. 前記低分子の電荷輸送物質が、下記式(I),(II),(III),(IV),(V)または(VI)の何れかで表わされる材料であることを特徴とする請求項11に記載の電子写真感光体。
    Figure 0004132571
    (式中、R、R、R及びRは水素原子、置換もしくは無置換の低級アルキル基、置換もしくは無置換のアリール基を表わし、Arは置換又は無置換のアリール基を表わし、Arは置換もしくは無置換のアリーレン基を表わし、RとArは共同で環を形成してもよく、またkは0又は1の整数である。)
    Figure 0004132571
    (式中、Rは低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロゲン原子を表わし、lは0〜4の整数を表わし、R、Rは同一でも異なっていてもよく、水素原子、低級アルキル基、低級アルコキシ基又はハロゲン原子を表わす。)
    Figure 0004132571
    (式中、R、R及びR10は、水素原子、アミノ基、アルコキシ基、チオアルコキシ基、アリールオキシ基、メチレンジオキシ基、置換もしくは無置換のアルキル基、ハロゲン原子、又は置換もしくは無置換のアリール基を表わす。mは1〜3の整数を表わす。)
    Figure 0004132571
    (式中、A、Aは置換もしくは無置換のアルキル基又は置換もしくは無置換のアリール基を表わし、それぞれ同一でも異なっていてもよい。Arは置換又は無置換の縮合多環式炭化水素を表わす。)
    Figure 0004132571
    (式中、Arは芳香族基、R11は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基又はアリール基を表わす。pは0又は1、qは1又は2であって、p=0、q=1の場合、ArとR11は共同で環を形成してもよい。)
    Figure 0004132571
    (式中、R12、R13は水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、置換もしくは無置換のアルキル基等、R14、R15は水素原子、シアノ基、アルコキシカルボニル基、置換もしくは無置換のアルキル基、R16は水素原子、低級アルキル基又はアルコキシ基を表わす。Wは水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基等、rは1〜5の整数、sは1〜4の整数、tは0〜2の整数、uは1〜3の整数、vは1〜2の整数を表わす。)
  13. 前記電荷輸送層における低分子の電荷輸送物質濃度が45wt%以下であることを特徴とする請求項11または12に記載の電子写真感光体。
  14. 前記不活性高分子が、ポリカーボネートであることを特徴とする請求項11に記載の電子写真感光体。
  15. 導電性支持体上に少なくとも、電荷発生物質を含有する電荷発生物質を含有する電荷発生層と高分子電荷輸送物質を含有する電荷輸送層を設けた電子写真感光体において、該電子写真感光体の実使用時における画像書き込み時の電界強度における該電荷輸送層の移動度が、1×10−5(cm/Vsec)以上であり、かつ該電荷発生物質が請求項1または2に記載のチタニルフタロシアニン結晶であることを特徴とする電子写真感光体。
  16. 前記電子写真感光体の電荷輸送層に含有される高分子電荷輸送物質が、少なくともトリアリールアミン構造を主鎖及び/又は側鎖に含むポリカーボネートであることを特徴とする請求項15に記載の電子写真感光体。
  17. 電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行なう電子写真方法であって、該電子写真感光体が請求項7乃至16の何れかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真方法。
  18. 帯電部材に直流成分に交流成分を重畳し、感光体に帯電を与えることを特徴とする請求項17に記載の電子写真方法。
  19. 前記帯電手段が感光体と接触もしくは近接配置された帯電部材であることを特徴とする請求項17または18に記載の電子写真方法。
  20. 少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、該電子写真感光体が請求項7乃至16の何れかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置。
  21. 前記帯電手段が感光体と接触、もしくは近接配置された帯電部材であることを特徴とする請求項20に記載の電子写真装置。
  22. 帯電部材に直流成分に交流成分を重畳し、感光体に帯電を与えることを特徴とする請求項20または21に記載の電子写真装置。
  23. 前記帯電手段が、感光体と接触もしくは近接配置された帯電部材であることを特徴とする請求項20乃至22の何れかに記載の電子写真装置用プロセスカートリッジ。
  24. 帯電部材に直流成分に交流成分を重畳し、感光体に帯電を与えることを特徴とする請求項20乃至23の何れかに記載の電子写真装置用プロセスカートリッジ。
  25. 少なくとも電子写真感光体を具備してなる電子写真装置用プロセスカートリッジであって、該電子写真感光体が請求項7乃至16の何れかに記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ。
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