JP4089856B2 - 電子写真感光体及び電子写真方法、電子写真装置ならびに電子写真装置用プロセスカートリッジ - Google Patents

電子写真感光体及び電子写真方法、電子写真装置ならびに電子写真装置用プロセスカートリッジ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、新規な光導電材料、詳しくは、特定のX線回折スペクトルを与えるフタロシアニン結晶に関し、より詳しくは、有機感光体の電荷発生用材料に関する。また、特定のX線回折スペクトルを与えるフタロシアニン結晶を含有する電子写真感光体用分散液と電子写真感光体、この感光体を用いる電子写真方法に関する。
また、本発明は、接触若しくは近接配置された帯電ローラーを用い、画像欠陥の少ない電子写真装置に関する。また、前記特性を維持した機械的高耐久な電子写真装置及び電子写真装置用プロセスカートリッッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真方式を用いた情報処理システム機の発展は目覚ましいものがある。特に情報をデジタル信号に変換して光によって情報記録を行なう光プリンターは、そのプリント品質、信頼性において向上が著しい。このデジタル記録技術はプリンターのみならず通常の複写機にも応用され所謂デジタル複写機が開発されている。また、従来からあるアナログ複写にこのデジタル記録技術を搭載した複写機は、種々様々な情報処理機能が付加されるため今後その需要性がますます高まっていくと予想される。
【0003】
光プリンターの光源としては現在のところ小型で安価で信頼性の高い半導体レーザー(LD)や発光ダイオード(LED)が多く使われている。現在よく使われているLEDの発光波長は660nmであり、LDの発光波長域は近赤外光領域にある。このため可視光領域から近赤外光領域に高い感度を有する電子写真感光体の開発が望まれている。
【0004】
電子写真感光体の感光波長域は感光体に使用される電荷発生物質の感光波長域によってほぼ決まってしまう。そのため従来から各種アゾ顔料、多環キノン系顔料、三方晶形セレン、各種フタロシアニン顔料等多くの電荷発生物質が開発されている。それらの内、特開平3−35064号公報、特開平3−35245号公報、特開平3−37669号公報、特開平3−269064号公報、特開平7−319179号公報等に記載されているチタニルフタロシアニン(TiOPcと略記される)は600〜800nmの長波長光に対して高感度を示すため、光源がLEDやLDである電子写真プリンターやデジタル複写機用の感光体用材料として極めて重要かつ有用である。
【0005】
カールソンプロセスおよび類似プロセスにおいて繰り返し使用される電子写真感光体の条件としては、感度、受容電位、電位保持性、電位安定性、残留電位、分光特性に代表される静電特性が優れていることが要求される。とりわけ、高感度感光体については繰り返し使用による帯電性の低下と残留電位の上昇が、感光体の寿命特性を支配することが多くの感光体で経験的に知られており、前記チタニルフタロシアニンもこの例外ではない。したがって、チタニルフタロシアニンを用いた感光体の繰り返し使用による安定性は未だ十分とはいえず、その技術の完成が熱望されていた。
【0006】
一方、電子写真プロセス中のオゾン・NOx発生量の低減、および帯電時の省エネルギーの観点から、帯電ローラー方式が提案されている。これは、帯電用のローラーが感光体に接触若しくは近接配置された状態で使用されるものである。確かに、スコロトロンに代表される非接触帯電機に比べ、帯電機に印加する電圧が小さくて済み、前記反応性ガスの発生量が少なくなる。しかしながら、大きな副作用として、感光体の絶縁破壊という問題が生じる。これは、帯電ローラー使用による感光体への帯電が微小ギャップでの放電により行なわれるためと解釈されているが、詳細については分かっていない。更に、この絶縁破壊を防ぐ有効な手段もほとんど提案されていない。
【0007】
前述のように、高感度を示すTiOPcを用いた感光体でも帯電ローラを用いたカールソンプロセス及び類似プロセスにおいて繰り返し使用した場合、絶縁破壊により異常画像の発生が認められ、感光体の寿命を決定していた。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高感度を失うことなく繰り返し使用によっても帯電性の低下を生じない安定な光導電材料を提供することにある。また、これら光導電材料の特性を生かし切った分散液を提供することにある。さらに本発明の目的は、高感度を失うことなく繰り返し使用によっても帯電性の低下を生じない安定な電子写真感光体、及び、繰り返し使用によっても異常画像の少ない、安定した画像を得ることのできる電子写真方法を提供することにある。
さらに本発明の目的は、高速プリントに対応し、且つ繰り返し使用によっても感光体の絶縁破壊を生じず、安定な画像を形成する電子写真装置、電子写真用プロセスカートリッジを提供することにある。また、前記特性を維持した高耐久な電子写真装置、電子写真用プロセスカートリッジを提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、TiOPcの結晶型に着目し、この課題を解決すべく感光体の繰り返し使用後の画像特性に関して検討を行なった結果、前述の特定のX線回析スペクトルを示す結晶を用いた場合に、上述物性の繰り返し特性が優れたものになることを確認し、本発明を完成した。
【0010】
したがって前記目的は、本発明の(1)「ハロゲン化チタンを用いずに合成されたCuKαの特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0゜に半値巾が1゜以上である最大回折ピークを有する不定形チタニルフタロシアニンを水の存在下で、テトラヒドロフラン、トルエン、塩化メチレン、二硫化炭素、オルトジクロロベンゼン、1、1、2−トリクロロエタンの中から選ばれる一種を含む有機溶媒により結晶変換を行い、次いで機械的なシェアを与える処理を行うことにより製造される、CuKαの特性X線に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、且つ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、且つ26.3゜にもピークを有することを特徴とするチタニルフタロシアニン結晶」、(2)「9.4゜より低角側の領域における回折ピークが7.3゜であることを特徴とする前記第(1)項に記載のチタニルフタロシアニン結晶」、(3)「7.4〜9.3゜の範囲にピークを有さないことを特徴とする前記第(1)項に記載のチタニルフタロシアニン結晶」、(4)「26.3゜のピーク強度が27.2゜の強度の10%未満であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(3)項のいずれかに記載のチタニルフタロシアニン結晶」、(5)「前記チタニルフタロシアニン結晶が28.6゜にも同時にピークを有する場合、その強度が27.2゜の強度の20%未満であることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項のいずれかに記載のチタニルフタロシアニン結晶」により達成される。
【0012】
さらにまた、前記目的は、本発明の()「前記第(1)項乃至第()項のいずれかに記載のチタニルフタロシアニン結晶を含有することを特徴とする電子写真感光体用分散液」、()「前記分散液に含有される分散媒が、少なくともメチルエチルケトン或いは酢酸−nブチルの中から選ばれる一種を含むことを特徴とする前記第()項に記載の電子写真感光体用分散液」、()「前記分散液に含有されるバインダー樹脂が、少なくともアセチル化度が4mol%以上のポリビニルアセタールを含むことを特徴とする前記第(6)項又は第(7)項に記載の電子写真感光体用分散液」により達成される。
【0013】
さらにまた、前記目的は、本発明の()「導電性支持体上に少なくとも感光層を設けた電子写真感光体において、該感光層中に電荷発生物質として前記第(1)項乃至第()項のいずれかに記載のチタニルフタロシアニン結晶を含有することを特徴とする電子写真感光体」、(10)「前記感光層中に、アセチル化度が4mol%以上のポリビニルアセタールを含むことを特徴とする前記第()項に記載の電子写真感光体」(11)「前記感光層中の吸収スペクトルが810nm以短にピークを有することを特徴とする前記第(9)項又は第(10)項に記載の電子写真感光体」により達成される。
【0014】
さらに、前記目的は、本発明の(12)「電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行う電子写真方法において、該電子写真感光体が導電性支持体上に少なくとも感光層を有し、該感光層中に電荷発生物質として、ハロゲン化チタンを用いずに合成されたCuKαの特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0゜に半値巾が1゜以上である最大回折ピークを有する不定形チタニルフタロシアニンを水の存在下で、テトラヒドロフラン、トルエン、塩化メチレン、二硫化炭素、オルトジクロロベンゼン、1、1、2−トリクロロエタンの中から選ばれる一種を含む有機溶媒により結晶変換を行い、次いで機械的なシェアを与える処理を行うことにより製造される、CuKαの特性X線に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ26.3゜にもピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を含むことを特徴とする電子写真感光体であることを特徴とする電子写真方法」、(13)「帯電部材が感光体と接触若しくは近接配置された帯電部材であることを特徴とする前記第(12)項に記載の電子写真方法」によって達成される。
【0015】
さらに、前記目的は、本発明の(14)「少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、該電子写真感光体が導電性支持体上に少なくとも感光層を有し、該感光層中に電荷発生物質として、ハロゲン化チタンを用いずに合成されたCuKαの特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0゜に半値巾が1゜以上である最大回折ピークを有する不定形チタニルフタロシアニンを水の存在下で、テトラヒドロフラン、トルエン、塩化メチレン、二硫化炭素、オルトジクロロベンゼン、1、1、2−トリクロロエタンの中から選ばれる一種を含む有機溶媒により結晶変換を行い、次いで機械的なシェアを与える処理を行うことにより製造される、CuKαの特性X線に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ26.3゜にもピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を含むことを特徴とする電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置」、(15)「前記電子写真装置において、帯電部材が感光体と接触若しくは近接配置された帯電部材であることを特徴とする前記第(14)項に記載の電子写真装置」、(16)「該帯電部材に直流成分に交流成分を重畳し、感光体に帯電を与えることを特徴とする前記第(15)項に記載の電子写真装置」によって達成される。
【0016】
また、前記目的は、本発明の(17)「少なくとも電子写真感光体を具備してなる電子写真装置用プロセスカートリッジであって、該電子写真感光体が前記第(9)項乃至第(11)項のいずれか1に記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ」、(18)「前記電子写真装置用プロセスカートリッジにおいて、帯電部材が感光体と接触若しくは近接配置された帯電部材であることを特徴とする前記第(17)項に記載の電子写真装置用プロセスカートリッジ」により達成される。
【0017】
以下、詳細に本発明を説明する。
本発明で用いられるチタニルフタロシアニン顔料の基本構造は次の一般式(1)で表わされる。
【0018】
【化1】
Figure 0004089856
(式中、X1、X2、X3、X4は各々独立に各種ハロゲン原子を表わし、n、m、l、kは各々独立的に0〜4の数字を表わす。)
【0019】
TiOPcの合成法や電子写真特性に関する文献としては、例えば特開昭57−148745号公報、特開昭59−36254号公報、特開昭59−44054号公報、特開昭59−31965号公報、特開昭61−239248号公報、特開昭62−67094号公報などが挙げられる。また、TiOPcには種々の結晶系が知られており、特開昭59−49544号公報、特開昭59−166959号公報、特開昭61−239248号公報、特開昭62−67094号公報、特開昭63−366号公報、特開昭63−116158号公報、特開昭63−196067号公報、特開昭64−17066号公報等に各々結晶形の異なるTiOPcが開示されている。
【0020】
中でも、最大主要ピークを27.2°にもつ結晶型の材料は、高い光キャリア発生能を有し、有機電子写真用感光体のキャリア発生材料として有望視されている。しかしながら、不純物等を含んでいる場合には必ずしも高感度にならなかったり、繰り返し使用後の帯電低下或いは残留電位の上昇が発生する場合があった。特に他の結晶型を有するTiOPcを含んでいるような場合には、この現象が顕著である。これは一般的な不純物は溶媒に可溶で、湿式法による結晶変換工程等の時点で洗われてしまうことがあるが、顔料化されたものは結晶変換以降の工程で取り除かれることがほとんど不可能なためである。したがって、有機顔料の作製時点で、それを用いた感光体の特性が決まってしまうといっても過言ではない。本発明者らは、TiOPcの結晶型及び顔料の製造方法(結晶変換条件)に着目し、上記課題を解決すべく鋭意検討を行ない、本発明を完成するに至った。
【0021】
また、前記結晶型を有するフタロシアニン結晶は、他の結晶型に比べ、結晶の安定性に劣るものである。このため、これを用いた感光体作製のための分散液を作製する際、適当な条件(分散方法・分散媒・樹脂等)を選定しないと、せっかく所望の結晶を用いたにも拘らず、作製される分散液に他の結晶型が混入してしまうことがある。このため、所望の特性を得ることができないことがあった。この点に関して、分散条件を検討した結果、適当な分散媒及びバインダー樹脂を用いることにより、安定な分散液を得られることが判り、本発明を完成するに至った。
【0022】
本発明に使用されるチタニルフタロシアニンは、CuKαの特性X線(波長1.541Å)を用いたX線回折スペクトルにおいて、ブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2°)として、少なくとも27.2°に最大ピークを有し、且つ最も低角側の回折ピークとして7.3°にピークを有し、且つ26.3°にもピークを有するチタニルフタロシアニンが好ましく使用される。
【0023】
特に、9.4°よりも低角側のピークが7.3°にあるチタニルフタロシアニンが好適に用いられる。また、7.4〜9.3°にピークを有さない、特に7.5°にピークを有さないフタロシアニンが有効に使用される。7.4〜9.3°にピークを有する(特に、7.5°にピークを有する)フタロシアニンを電荷発生物質に用いた感光体は、有さないそれを用いた場合に比較して、感光体の繰り返し使用時において帯電性の低下が顕著であり、ネガ・ポジ現像を行なう電子写真装置においては、地汚れ・黒ポチなどの画像欠陥を生じてしまう。
また、26.3°のピーク強度は、同時に存在する27.2°のピーク強度の10%未満が良好に使用される。これは、26.3°のピーク強度が大きいほど、これを使用した感光体においては帯電性が高くなるが、あまり大きすぎると繰り返し使用時の残留電位の上昇が大きくなるためである。したがって、0.1%以上、10%未満程度のピーク強度が適当である。
また、28.6°にもピークを有する場合、その27.2°に対するピーク強度が20%未満の材料が好適に使用される。これは、28.6°のピーク強度が大きすぎると、これを用いた感光体の繰り返し使用において、帯電性の低下が大きくなるためである。
【0024】
目的とする結晶形を得る方法は、公知の合成過程と類似の過程による方法、洗浄・精製過程で結晶を変える方法、特別に結晶変換工程を設ける方法が挙げられる。さらに、結晶変換工程を設ける方法の中には溶媒、機械的な負荷による一般的な変換法ならびに、チタニルフタロシアニンを硫酸中にて溶解せしめ、この溶液を水に注ぎ得られる無定形結晶を経て上記変換を行なう硫酸ペースティング法が挙げられる。
【0025】
これらの中でも、不定形結晶を経た後、水の存在下で有機溶媒と接触させることによる結晶変換を行ない、次いで機械的なシェアを与える処理により所望の結晶型を得る方法が好適に用いられる。特に、最大回折ピークを7.0〜7.5°にもち、無定型結晶を用いること、更に好ましくは7.0〜7.5°のピークの半値巾が1°以上のものが好適に使用できる。
【0026】
これは、7.0〜7.5°のピーク半値巾が1°以下の比較的シャープなピークを有する材料(無定型結晶)を用いると、結晶変換処理後のフタロシアニンに7.4〜9.4°にピークを有する結晶ができやすいためである。この結晶は上述のような欠点を有するものであり、これを回避するためである。
【0027】
また、結晶変換に用いる有機溶媒は所定の結晶型を得られるものであれば、いかなる有機溶媒も使用できるが、特にテトラヒドロフラン、シクロヘキサノン、トルエン、塩化メチレン、二硫化炭素、オルトジクロロベンゼン、1,1,2−トリクロロエタンの中から選ばれる一種を含むことが望ましい。なお、有機溶媒は二種以上混合して用いても構わない。
【0028】
本発明におけるチタニルフタロシアニンは、上記の結晶変換の後、機械的なシェアを与えることにより得られる方法が特に有効である。このとき、結晶変換後に与える機械的シェアに関しては、所望の結晶型を得られるものであれば、乾式法でも、湿式法でもどちらでも構わない。乾式法の手段としては、ミキサー、乾式ミル等が挙げられ、湿式法としては適当な溶媒と共に、ボールミル、ビーズミル、サンドミル等が挙げられる。
【0029】
上述したように、高感度を示すTiOPcを用いた感光体でもカールソンプロセスおよび類似プロセスにおいて繰り返し使用した場合、帯電性の低下と残留電位の上昇を生じ、感光体の寿命が限定されていた。本発明者らは、TiOPcの結晶型に着目し、この課題を解決すべく感光体の繰り返し使用後の静電特性に関して検討を行なった結果、前述の特定のX線回折スペクトルを示すTiOPcを用いた場合に、上記物性の繰り返し特性が優れたものになるこをと確認し、本発明を完成した。
【0030】
更に、上述のようなチタニルフタロシアニンも、その合成工程によって、それを用いた感光体の特性が大きく異なる。チタニルフタロシアニンを合成するルートは幾つか知られているが、ハロゲン化チタンを用いる方法が知られている。この方法により作製されたチタニルフタロシアニンを用いた感光体は、繰り返し使用において、帯電性の低下が著しいことを見い出した。これを回避するためには、ハロゲン化チタンを用いずに合成する(例えば、有機チタンを原料とする)方法により作製することが望ましい。
【0031】
本発明におけるTiOPcのX線回折スペクトルは、合成・精製・結晶変換工程等を経て作製されたTiOPc結晶を市販のX線回折スペクトル測定装置により測定することができる。
【0032】
本発明のTiOPにおける特定ピーク(例えば、7.3°、26.3°、27.2°、28.6°)のピーク強度について説明する。前述の装置にて、一般的なX線回折スペクトルを測定し、ベースライン補正を行なった後、それぞれのピーク強度を求めた値が、本発明で言うところのピーク強度である。また、ピーク半値巾とは、ベースライン補正後のピーク強度の1/2の強度におけるピークの巾を言う。
【0033】
例えば、特開平2−28265号公報に記載されている最大主要ピークを27.2゜に持つ結晶型の材料は、最低角側のピークとして7.5゜にピークを有している。この7.5゜のピークはこれまでに27.2゜にピークを有する材料の別のピーク(別の面間隔に基づくピーク)と考えられてきたようである。しかしながら、本発明者らの検討に依れば、このピークは特開昭61−239248号公報に記載された結晶型に基くものではないかと考えられる。すなわち、特開平2−28265号公報に記載されている結晶型の材料は、少なくとも2種類の材料の混合物ではないかと考えられる。
【0034】
特開昭61−239248号公報に記載された材料は導電性が高く、この材料を単独で電子写真感光体の電荷発生物質に用いた場合、比較的良好な光感度が得られるものの暗減衰が大きく、また感光体の繰り返し使用における帯電性の低下が顕著なものであった。このような傾向は、7.5゜にピークを有する材料が他の結晶型の材料(例えば、27.2゜にピークを有する材料)に混合された状態においても、発現されてしまう。
【0035】
本発明の材料の7.3゜のピークは27.2゜にピークを有する材料の別のピークであるか、別の結晶型によるものかは、その帰属ができていない。しかしながら少なくとも、特開昭61−239248号公報に記載された結晶型に依存したピークでないことは、実験から明らかになった。また、これを用いた感光体の特性面から言えば、上述のような問題点は解消され、少なくとも実使用上、帯電性の低下、暗減衰の増大を低減できるという点で、公知の材料とは大きな差異がある。
【0036】
このような観点で、本発明者は特願平11−125871号明細書に新規チタニルフタロシアニン結晶を用いた電子写真感光体を提案した。この感光体は過去の感光体に比べ、繰り返し使用時における帯電性の低下防止、絶縁破壊の低減、残留電位上昇の低減を可能にした。更に、本発明者が検討を重ねた結果、特願平11−125871号明細書に記載された結晶型に、更に26.3゜にもピークを有する結晶型は、同等以上の安定性を示すことが分かった。
【0037】
近年の電子写真プロセスではデジタル化に一層の拍車がかかり、電子写真プロセスを用いた複写機・プリンタ・ファクシミリ等においては、そのほとんどがデジタル処理を用いたものが主流となっている。このようなプロセスにおいては、実際のモノクロ原稿が用紙全体に対する書き込み率は多めに見積もっても10%以下である。また、感光体への書き込み光は前述のようにLDやLEDといった高出力のものが使用され、この感光体へのハザードによる光疲労も見逃せない。このような点に鑑み、デジタル機においてはネガ・ポジ現像が採用されている。ネガ・ポジ現像においては、感光体表面の電位が低い部分にトナーが現像される。従って、帯電電位の低下や暗減衰の増大は、地汚れや黒ポチ等の画像欠陥として現れてしまう。実際、図面や英文原稿等の原稿出力・複写においては、本来原図にはないはずのドットやピリオドが出現してしまうことになり、この欠陥は上記のような種類の原稿に対しては致命的なものといわざるを得ない。本発明はこの点に鑑みたものであり、スペクトル的にはわずかな差に見えるものであるが、感光体として評価した場合には大きな差となって現れるものである。
【0038】
本発明の電子写真感光体用分散液に用いられる分散媒について説明する。分散媒は結晶型を変化させないものであれば如何なるものも使用できるが、特に、ケトン系溶媒或いはエステル系溶媒が有効に使用できる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノン、2−ヘプタノン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノン等が挙げられる。また、エステル系溶媒としては、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル等が挙げられる。これらは溶媒は単独で用いてもよいが、他の溶媒と混合して用いても構わない。
【0039】
更に、電子写真感光体用分散液に用いられるバインダー樹脂について説明する。バインダー樹脂は分散系が安定で、感光体特性に影響を与えないものならば、、如何なるものも使用できるが、ポリビニルアセタールが良好に用いられる。ポリビニルアセタールは下記一般式(2)で表わされるが、Rがプロピル基だけのいわゆるポリビニルブチラールが有効に使用される。特に、アセチル化度が4mol%以上のポリビニルアセタールは中でも特に有効に使用できる。アセチル化度の上限に特に規制はないが、ポリビニルアセタールの合成方法から必然的に上限が決定される。一般的には、10%程度が上限になる。これらバインダー樹脂は単独でも良好に使用できるが、他のバインダー樹脂を併用することも可能である。
【0040】
【化2】
Figure 0004089856
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の電子写真感光体を図面に沿って説明する。
図1は、本発明の光導電性材料を用いた電子写真感光体を表わす断面図であり、導電性支持体(31)上に、電荷発生材料と電荷輸送材料を主成分とする単層感光層(33)が設けられている。
図2、図3は、本発明の光導電性材料を用いた電子写真感光体の別の構成例を表す断面図であり、電荷発生材料を主成分とする電荷発生層(35)と、電荷輸送材料を主成分とする電荷輸送層(37)とが、積層された構成をとっている。
【0042】
導電性支持体(31)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体(31)として用いることができる。
【0043】
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性支持体(31)として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などが挙げられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂が挙げられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
【0044】
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロン(登録商標)などの素材に前記導電性粉末を含有させた熱収縮チューブにより導電性層を設けてなるものも、本発明の導電支持体(31)として良好に用いることができる。
【0045】
次に、感光層について説明する。感光層は単層でも積層でもよいが、説明の都合上、先ず電荷発生層(35)と電荷輸送層(37)で構成される場合から述べる。
電荷発生層(35)は、電荷発生材料として上述した特定のX線回折スペクトルを示すTiOPcを主成分とする層である。
電荷発生層(35)は、前記TiOPcを必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
【0046】
必要に応じて電荷発生層(35)に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。中でも、ポリビニルブチラールに代表されるポリビニルアセタールは良好に使用され、特にアセチル化度が4mol%以上のブチラール樹脂は良好に使用される。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。
【0047】
電荷発生層(35)には、上述した特定のX線回折スペクトルを与えるTiOPcの他にその他の電荷発生材料を併用することも可能であり、その代表として、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系染料、他のフタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩系染料等が挙げられ用いられる。
【0048】
ここで用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソルブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられるが、特にケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が良好に使用される。塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビードコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。
電荷発生層(35)の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
【0049】
本発明のチタニルフタロシアニンを用いた感光体の電荷発生層(単層感光層の場合には感光層)における該チタニルフタロシアニンの吸収スペクトルが810nm以短の状態のときに有効に作用する。この吸収スペクトルは顔料の結晶状態及び分散状態を如実に表わすものであり、810nmより長波長に吸収ピークを示す場合には、形成した塗膜がザラザラであったり、所望の特性が得られない場合が存在する。なお、結晶型が極端に変化した場合には、非常に短波長側にシフトする場合も存在し、好ましくは750〜810nm程度に存在することである。
【0050】
電荷輸送層(37)は、電荷輸送物質及び結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
【0051】
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電荷輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
【0052】
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジエン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げられる。これら電荷輸送物質は単独又は2種以上混合して用いられる。
【0053】
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0054】
また、電荷輸送物質の量は、結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。また電荷輸送層の膜厚は5〜100μm程度とすることが好ましい。ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。
【0055】
また、電荷輸送層には電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂の機能をもった高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これら高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は耐摩耗性に優れたものである。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、トリアリールアミン構造を主鎖及び/又は側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。
【0056】
本発明の感光体において電荷輸送層(37)中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂に対して0〜30重量%程度が適当である。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマーあるいは、オリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂に対して、0〜1重量%が適当である。
【0057】
次に感光層が単層構成(33)の場合について述べる。上述した特定のX線回折スペクトルを与えるTiOPcを結着樹脂中に分散した感光体が使用できる。単層感光層は、電荷発生物質および電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。さらに、この感光層には上述した電荷輸送材料を添加した機能分離タイプとしてもよく、良好に使用できる。また、必要により、可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
【0058】
結着樹脂としては、先に電荷輸送層(37)で挙げた結着樹脂をそのまま用いるほかに、電荷発生層(35)で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。もちろん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましくさらに好ましくは50〜150重量部である。単層感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を必要ならば電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコートなどで塗工して形成できる。単層感光層の膜厚は、5〜100μm程度が適当である。
【0059】
本発明の感光体においては、導電性支持体(31)と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
【0060】
これらの下引き層は前述の感光層におけるような適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。更に本発明における下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明における下引き層には、Al23を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0061】
本発明の感光体においては、感光層保護の目的で、保護層が感光層の上に設けられることもある。保護層に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的でポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂およびこれらの樹脂に酸化チタン、酸化錫、チタン酸カリウム等の無機材料を分散したもの等を添加することができる。保護層の形成法としては通常の塗布法が採用される。なお保護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。また、以上のほかに真空薄膜作成法にて形成したa−C、a−SiCなど公知の材料を保護層として用いることができる。
【0062】
本発明の感光体においては感光層と保護層との間に中間層を設けることも可能である。中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく通常の塗布法が採用される。なお、中間層の厚さは、0.05〜2μm程度が適当である。
【0063】
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、各層に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質およびレベリング剤を添加することができる。これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば、下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0064】
(a)フェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアシッド]グリコールエステル、トコフェロール類等。
【0065】
(b)パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジメチル−N,N’−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミン等。
【0066】
(c)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノン等。
【0067】
(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3’−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3’−チオジプロピオネート等。
【0068】
(e)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィン等。
【0069】
各層に添加できる可塑剤として、例えば下記のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(a)リン酸エステル系可塑剤
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニル等。
【0070】
(b)フタル酸エステル系可塑剤
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチル等。
【0071】
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチル等。
【0072】
(d)脂肪酸二塩基酸エステル系可塑剤
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチル等。
【0073】
(e)脂肪酸エステル誘導体
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリン等。
【0074】
(f)オキシ酸エステル系可塑剤
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチル等。
【0075】
(g)エポキシ可塑剤
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシル等。
【0076】
(h)二価アルコールエステル系可塑剤
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラート等。
【0077】
(i)含塩素可塑剤
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチル等。
【0078】
(j)ポリエステル系可塑剤
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセパケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステル等。
【0079】
(k)スルホン酸誘導体
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミド等。
【0080】
(l)クエン酸誘導体
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシル等。
【0081】
(m)その他
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチル等。
【0082】
各層に添加できる滑剤としては、例えば以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(a)炭化水素系化合物
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレン等。
【0083】
(b)脂肪酸系化合物
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等。
【0084】
(c)脂肪酸アミド系化合物
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等。
【0085】
(d)エステル系化合物
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステル等。
【0086】
(e)アルコール系化合物
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロール等。
【0087】
(f)金属石けん
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム等。
【0088】
(g)天然ワックス
カルナウバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウ等。
【0089】
(h)その他
シリコーン化合物、フッ素化合物等。
【0090】
各層に添加できる紫外線吸収剤としては、例えば以下のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(a)ベンゾフェノン系
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン等。
【0091】
(b)サルシレート系
フェニルサルシレート、2,4−ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンゾエート等。
【0092】
(c)ベンゾトリアゾール系
(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−5’−エチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ−3’−ターシャリブチル−5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾール等。
【0093】
(d)シアノアクリレート系
エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル−2−カルボメトキシ−3−(パラメトキシ)アクリレート等。
【0094】
(e)クエンチャー(金属錯塩系)
ニッケル(2,2’−チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)ノルマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェート等。
【0095】
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セパケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セパケート、1−[2−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}エチル]−4−{3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ}−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ[4,5]ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等。
【0096】
次に図面を用いて本発明の電子写真方法ならびに電子写真装置を詳しく説明する。
図4は、本発明の電子写真プロセスおよび電子写真装置を説明するための概略図であり、感光体(1)の周囲には、順に、除電ランプ(2)、帯電チャージャ(3)、イレーサ(4)、画像露光部(5)、現像ユニット(6)、転写前チャージャ(7)、転写チャージャ(7a)、分離チャージャ(7b)、分離爪(12)、クリーニング前チャージャ(13)、ファーブラシ(14)、クリーニングブラシ(15)等の各ユニットが配置されている。レジストローラ(8)により感光体(1)に供給された転写紙(9)には転写位置でトナー像が転写される。下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
【0097】
図4において、感光体(1)は導電性支持体上に特定のX線回折スペクトルを与えるチタニルフタロシアニンを含有する感光層からなるものである。感光体(1)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであってもよい。帯電チャージャ(3)、転写前チャージャ(7)、転写チャージャ(7a)、分離チャージャ(7b)、クリーニング前チャージャ(13)には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャ)、帯電ローラを始めとする公知の手段が用いられる。
転写手段には、一般に上記の帯電器が使用できるが、図に示されるように転写チャージャーと分離チャージャーを併用したものが効果的である。
【0098】
また、画像露光部(5)、除電ランプ(2)等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
かかる光源等は、図4に示される装置及び工程の他に、光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光等の工程に用いることにより、感光体に光を照射することができる。
【0099】
さて、現像ユニット(6)により、感光体(1)上に現像されたトナーは、転写紙(9)に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体(1)上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーはファーブラシ(14)およびブレード(15)により、感光体より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。
これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
かかる現像手段には、公知の方法を適用することができ、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
【0100】
図5には、本発明の電子写真装置の別の例が示される。この例の電子写真装置においては、帯電装置として接触帯電用の帯電用部材が用いられ、帯電用部材(3a)が感光体に接触若しくは近接配置されている。除電ランプ(2)、イレーサ(4)、画像露光部(5)、現像ユニット(6)が感光体に接触若しくは近接配置され、ファーブラシ(14)及びクリーニングブラシ(15)を有するクリーニングユニットが感光体に接触若しくは近接配置されており、現像ユニット(6)で感光体上に形成されたトナー像は、レジストローラ(8)により供給された転写紙(9)に転写ベルト(7c)の箇所で転写され、転写像を有する転写紙(9)は分離爪(12)により感光体(1)から分離される点は図4の電子写真装置と同様である。必要に応じて、転写前チャージャ(7)、転写チャージャ(7a)、分離チャージャ(7b)、クリーニング前チャージャ(13)が配置され、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャ)、帯電ローラを始めとする公知の手段が用いられる。帯電用部材により感光体に帯電を施す際、帯電部材に直流成分に交流成分を重畳した電界により感光体に帯電を与えることにより、帯電ムラを低減することが可能で効果的である。
【0101】
図6には、本発明による電子写真装置、プロセスの更に別の例を示す。感光体(21)は導電性支持体上に特定のX線回折スペクトルを与えるチタニルフタロシアニンを含有する感光層からなるものであり、駆動ローラ(22a)、(22b)により駆動され、帯電器(23)による帯電、光源(24)による像露光、現像(図示せず)、帯電器(25)を用いる転写、光源(26)によるクリーニング前露光、ブラシ(27)によるクリーニング、光源(28)による除電が繰り返し行なわれる。図6の装置においては、感光体(21)(勿論この場合は支持体が透光性である)に支持体側よりクリーニング前露光の光照射が行なわれる。
【0102】
以上の図示した電子写真装置及びプロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、図6において支持体側よりクリーニング前露光を行なっているが、これは感光層側から行なってもよいし、また、像露光、除電光の照射を支持体側から行なってもよい。
【0103】
一方、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行なうこともできる。
【0104】
以上に示すような本発明の画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段を含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図7に示すものが挙げられる。この例のプロセスカートリッジにおいて、感光体(16)の近隣周囲には接触帯電用の帯電部材(17)、画像露光部(18)、現像ローラ(19)、転写ローラ(20)、クリーニングブラシ(20b)等が配置されており、感光体(16)は、導電性支持体上に特定のX線回折スペクトルを与えるチタニルフタロシアニンを含有する感光層からなるものである。
【0105】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明が実施例により制約を受けるものではない。なお、部はすべて重量部である。
まず、本発明におけるチタニルフタロシアニンの具体的な合成例を述べる。
【0106】
[チタニルフタロシアニンの合成]
[合成例1〜6、及び比較合成例1、2]
1,3−ジイミノイソインドリン29.2gとスルホラン200mlを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド20.4gを滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶を濾過、ついで洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返し、チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキを得た。
得られたウェットケーキ2gを表1に示す有機溶媒20gに投入し、4時間撹拌を行なった。これにメタノール100gを追加して、1時間撹拌を行なった後、濾過を行ない、乾燥した。更に、市販のミキサーにて塊状のチタニルフタロシアニンを100〜200μm程度の粉末に粗粉砕することにより、本発明のチタニルフタロシアニン粉末を得た。
【0107】
得られたチタニルフタロシアニン粉末を、下記の条件によりX線回折スペクトル測定した。
X線管球:Cu、電圧:50kV、電流:30mA、走査速度:2°/分、走査範囲:3°〜40°、時定数:2秒
【0108】
X線回折スペクトルから、最低角側のピーク位置、26.3°及び28.6°のピーク強度の27.2°のピーク強度に対する割合を次のように求めた。まず、スペクトルをベースライン補正を行ない、27.2°、26.3°及び28.6°のピーク強度を求める。これを単純に比較して百分率として割合を求めた。その結果を併せて表1に示す。なお、得られたウェットケーキを乾燥したものと合成例1〜6及び比較合成例1、2で作製された顔料のX線回折スペクトルを図8〜図11に示す。合成例1〜6のスペクトルはほとんど同一なもののため、合成例1で作製した顔料のX線回折スペクトルを代表例として図9に示す。
【0109】
【表1】
Figure 0004089856
【0110】
[比較合成例3]
特開平1−299874号公報に記載の方法に準じて顔料を作製した。すなわち、合成例1で作製したウェットケーキを乾燥し、乾燥物1gをポリエチレングリコール50gに加え、100gのガラスビーズと共にサンドミルを行なった。結晶転移後、希硫酸、水酸化アンモニウム水溶液で順次洗浄し、乾燥して顔料を得た。
【0111】
[比較合成例4]
特開平3−269064号公報に記載の方法に準じて顔料を作製した。すなわち、合成例1で作製したウェットケーキを乾燥し、乾燥物1gをイオン交換水10gとモノクロルベンゼン1gの混合溶媒中で1時間撹拌(50℃)した後、メタノールとイオン交換水で洗浄し、乾燥して顔料を得た。
【0112】
[比較合成例5]
特開平2−8256号公報に記載の方法に準じて顔料を作製した。すなわち、フタロジニトリル9.8gと1−クロロナフタレン75mlを撹拌混合し、窒素気流下で四塩化チタン2.2mlを滴下する。滴下終了後、徐々に200℃まで昇温し、反応温度を200℃〜220℃の間に保ちながら3時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷し130℃になったところ熱時濾過し、次いで、1−クロロナフタレンで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、顔料を得た。
【0113】
[比較合成例6]
特開昭64−17066号公報に記載の方法に準じて顔料を作製した。すなわち、α型TiOPc5部を食塩10g及びアセトフェノン5gと共にサンドグラインダーにて100℃、10時間結晶変換処理を行なった。これをイオン交換水及びメタノールで洗浄し、希硫酸水溶液で精製し、イオン交換水で酸分がなくなるまで洗浄した後、乾燥して顔料を得た。
【0114】
[比較合成例7]
特許第2782765号記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、o−フタロジニトリル20.4部、四塩化チタン7.6部をキノリン50部中で200℃にて2時間加熱反応後、水蒸気蒸溜で溶媒を除き、2%塩酸水溶液、続いて2%水酸化ナトリウム水溶液で精製し、メタノール、N,N−ジメチルホルムアミドで洗浄後、乾燥し、オキシチタニウムフタロシアニン(TiOPc)を得た。このチタニルフタロシアニン2部を5℃の98%硫酸40部の中に少しずつ溶解し、その混合物を約1時間、5℃以下の温度を保ちながら撹拌する。続いて硫酸溶液を高速撹拌した400部の氷水中に、ゆっくりと注入し、析出した結晶を濾過する。結晶を酸が残量しなくなるまで蒸留水で洗浄し、ウエットケーキを得る。そのケーキをTHF100部中で約5時間撹拌を行ない、ろ過、THFによる洗浄を行ない乾燥後、チタニルフタロシアニンを得た。
以上の比較合成例7で作製した顔料は先ほどと同様の方法でX線回折スペクトルを測定し、それぞれの公報に記載のスペクトルと同様であることを確認した。
【0115】
以上の比較合成例3〜7で作製した顔料は前述と同様の方法でX線回折スペクトルを測定し、それぞれの公報に記載のスペクトルと同様であることを確認した。結果を表2に示す。
【0116】
【表2】
Figure 0004089856
【0117】
[チタニルフタロシアニン結晶の製造]
[実施例1〜6及び比較例1〜7]
合成例1〜6及び比較合成例1〜7で作製した顔料を用いて、下記組成の分散液を作製した。
合成した顔料 15部
ポリビニルブチラール(アセチル化度:4mol%) 10部
メチルエチルケトン 600部
メチルエチルケトンにポリビニルブチラールを溶解し、次いでそれぞれ合成した顔料を加え、ビーズミリングにより分散を行なった。
【0118】
[実施例7〜12及び比較例8〜14]
実施例1〜6及び比較例1〜7で用いたメチルエチルケトンの代わりに、酢酸n−ブチルを分散媒として用いた以外は、全く同様に分散液を作製した。
【0119】
[比較例15〜27]
実施例1〜6及び比較例1〜7で用いたメチルエチルケトンの代りに、ブタノールを分散媒として用いた以外は、まったく同様に分散液を作製した。

【0120】
実施例1〜12及び比較例1〜27で作製した分散液を浸漬塗工法により表面を陽極酸化したアルミドラムに塗工製膜した。また、分散液作製後、1か月の静置保管テストを行なった。その結果、実施例1〜12及び比較例1〜14で作製した分散液は浸漬塗工によりいずれも良好な塗膜が得られたが、比較例15〜27で作製した分散液は分散が不良で良好な塗膜が得られなかった。
また、1か月の静置保管の後、沈降性を目視にて確認したが、実施例1〜12及び比較例1〜14で作製した分散液は沈降がわずかで、撹拌するだけで十分に再分散が可能であった。一方、比較例15〜27で作製した分散液は沈降が著しく、保管容器の底に顔料が溜っており、再分散が非常に困難であった。
【0121】
[実施例13〜18及び比較例28〜34]
実施例1〜6及び比較例1〜7で作製した分散液を用いて、以下の電子写真感光体を作製した。厚さ1mmのアルミ板上に、下記組成の中間層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次塗布・乾燥して、4μmの中間層、0.3μmの電荷発生層、25μmの電荷輸送層からなる電子写真感光体を形成した。
【0122】
下引き層塗工液
二酸化チタン粉末 15部
ポリビニルブチラール 6部
2−ブタノン 150部
【0123】
電荷発生層塗工液
表3に記載の分散液をそれぞれ用いた。
【0124】
電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート 10部
塩化メチレン 80部
下記構造式の電荷輸送物質 8部
【0125】
【化3】
Figure 0004089856
【0126】
上記のように作製した電子写真感光体を静電複写紙試験装置(川口電気製作所製、SP−428型)を用いて次のように評価した。
先ず、−5.6kVの放電電圧にてコロナ帯電を15秒間行ない、次いで、暗減衰させ、暗減衰15秒後に1μmW/cm2の光(780±10nm)を照射した。このとき、帯電15秒後の表面電位V15(−V)、V15と暗減衰後の表面電位V30(−V)の比(DD)、および暗減衰後の表面電位V30(−V)を半分の電位に光減衰させるのに必要な露光量E1/2(μJ/cm2)を測定した。結果を表3に示す。更に、上記の帯電と露光を30分間繰り返した後、同様の測定を行ない、疲労後の特性とした。結果を表3に併せて示す。
【0127】
【表3】
Figure 0004089856
【0128】
表3から実施例13〜18の電子写真感光体は疲労後においても帯電性及び光感度が良好であることがわかる。
【0129】
[実施例19]
合成例4で作製した顔料を用いて、下記組成の電荷発生層用塗工液を作製した。
合成した顔料 15部
ポリビニルブチラール(アセチル化度:5.5mol%) 10部
メチルエチルケトン 600部
メチルエチルケトンにポリビニルブチラールを溶解し、次いでそれぞれ合成した顔料を加え、ボールミリングにより分散を行なった。
これを電荷発生層に用いて実施例13と同様の方法、条件にて感光体を作製した。
【0130】
[実施例20]
合成例4で作製した顔料を用いて、下記組成の電荷発生層用塗工液を作製した。
合成した顔料 15部
ポリビニルブチラール(アセチル化度:2mol%) 10部
メチルエチルケトン 600部
メチルエチルケトンにポリビニルブチラールを溶解し、次いでそれぞれ合成した顔料を加え、ボールミリングにより分散を行なった。
これを電荷発生層に用いて実施例13と同様の方法、条件にて感光体を作製した。
上記のように作製した感光体を実施例13と同様に評価した。結果を表4に示す。
【0131】
【表4】
Figure 0004089856
【0132】
[電子写真感光体、電子写真方法及び電子写真装置]
[実施例21〜26及び比較例35、36]
電鋳ニッケル・ベルト上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥し、4μmの中間層、0.3μmの電荷発生層、25μmの電荷輸送層からなる電子写真感光体を形成した。
【0133】
下引き層塗工液
二酸化チタン粉末 15部
ポリビニルブチラール(アセチル化度:4mol%) 10部
2−ブタノン 150部
【0134】
電荷発生層塗工液
合成例1〜6及び比較合成例1、2で合成した顔料 15部
ポリビニルブチラール 6部
メチルエチルケトン 600部
メチルエチルケトンにポリビニルブチラールを溶解し、次いでそれぞれ合成した顔料を加え、ビーズミリングにより分散を行なった。
【0135】
電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート 10部
塩化メチレン 80部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【0136】
【化4】
Figure 0004089856
【0137】
実施例21〜26及び比較例35、36で作製した電子写真感光体を図5に示す電子写真装置(ただし、クリーニング前露光はなし)に装着し、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)として、現像直前の感光体の表面電位が測定できるように表面電位計のプローブを挿入した。連続して1万枚の印刷を行ない、そのときの画像露光部と画像非露光部の表面電位を初期と1万枚後に測定した。結果を表5に示す。
【0138】
【表5】
Figure 0004089856
【0139】
表5より、実施例21〜26の電子写真感光体は繰り返し使用後にも、安定した表面電位を維持していることがわかる。
【0140】
[実施例27及び比較例37、38]
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を順次塗布・乾燥し、3.5μmの中間層、0.2μmの電荷発生層、28μmの電荷輸送層からなる電子写真感光体を形成した。
【0141】
下引き層塗工液
二酸化チタン粉末 400部
メラミン樹脂 65部
アルキッド樹脂 120部
2−ブタノン 400部
【0142】
電荷発生層塗工液
合成例1及び比較合成例3、4で合成した顔料 15部
ポリビニルブチラール(アセチル化度:5.5mol%) 10部
酢酸n−プロピル 600部
酢酸n−プロピルにポリビニルブチラールを溶解し、次いでそれぞれ合成した顔料を加え、ビーズミリングにより分散を行なった。
【0143】
電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート 10部
塩化メチレン 80部
下記構造式の電荷輸送物質 8部
【0144】
【化5】
Figure 0004089856
【0145】
[実施例28]
実施例27の電荷発生層塗工液を以下の組成のものに変更した以外は実施例27と同様に電子写真感光体を作製した。
【0146】
電荷発生層塗工液
合成例1で合成した顔料 15部
ポリビニルブチラール(アセチル化度:2.0mol%) 10部
酢酸n−プロピル 600部
【0147】
上記の実施例27、28及び比較例37、38の各電子写真感光体を図4に示す電子写真装置に装着し(ただし、画像露光光源を780nmに発光を持つLDとした)、連続して1万枚の印刷を行ない、そのときの画像を初期と1万枚後に評価した。結果を表6に示す。
【0148】
【表6】
Figure 0004089856
【0149】
表6から実施例27の電子写真感光体は繰り返し使用後にも、良好な画像を維持していることがわかる。また、実施例28の感光体は特に問題にならない範囲であるが、実施例27の感光体に比べると繰り返し使用後の画像がやや劣ることがわかる。
【0150】
[実施例29及び比較例39、40]
アルミニウムシリンダー表面を陽極酸化処理した後、封孔処理を行なった。この上に下記電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液を順次塗布・乾燥し、各々0.2μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層を形成し、本発明の電子写真感光体を作製した。
【0151】
電荷発生層塗工液
合成例4及び比較例5、6で合成した顔料 15部
ポリビニルブチラール(アセチル化度:4mol%) 10部
メチルエチルケトン 600部
メチルエチルケトンにポリビニルブチラールを溶解し、次いでそれぞれ合成した顔料を加え、ビーズミリングにより分散を行なった。
【0152】
電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート 10部
塩化メチレン 80部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【0153】
【化6】
Figure 0004089856
【0154】
[実施例30]
実施例29で作製した電荷発生層塗工液の分散条件を変化させて、分散液を作製した。
実施例29及び30で作製した電荷発生層をガラス基板上に塗工して、電荷発生層単独の膜を成膜した。これを分光光度計(日立製、UV−3100)にて吸収スペクトルを測定した。実施例29の膜は最大吸収波長が800nmであり、実施例30の膜は840nmであった。
【0155】
実施例29、30及び比較例37、38で作製した電子写真感光体を図7に示す電子写真用プロセスカートリッジに装着した後、画像形成装置に搭載した。ただし、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)として、現像直前の感光体の表面電位が測定できるように表面電位計のプローブを挿入した。連続して1万枚の印刷を行ない、そのときの画像露光部と画像非露光部の表面電位を初期と1万枚後に測定した。結果を表7に示す。
【0156】
【表7】
Figure 0004089856
【0157】
表7から、実施例29の電子写真感光体は繰り返し使用後にも、安定した表面電位を維持していることがわかる。実施例30の感光体は特に問題にならない範囲であるが、実施例29の感光体に比べると電位安定性がやや劣ることがわかる。
【0158】
[実施例31〜36、及び比較例39〜44]
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を順次塗布・乾燥し、3.5μmの中間層、0.2μmの電荷発生層、28μmの電荷輸送層からなる電子写真感光体を形成した。
【0159】
下引き層塗工液
二酸化チタン粉末 400部
メラミン樹脂 65部
アルキッド樹脂 120部
2−ブタノン 400部
【0160】
電荷発生層塗工液
合成例1〜6、及び比較合成例1〜6で合成した顔料 15部
ポリビニルブチラール(アセチル化度:4mol%) 10部
2−ブタノン 600部
2−ブタノンにポリビニルブチラールを溶解し、次いでそれぞれ合成した顔料を加え、ビーズミリングにより分散を行なった。
【0161】
電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート 10部
塩化メチレン 80部
下記構造式の電荷輸送物質 8部
【0162】
【化7】
Figure 0004089856
【0163】
実施例31〜36、及び比較例38〜44で作製した電子写真感光体を図5に示す電子写真装置に装着し、帯電は以下の条件で行ない、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)として、連続して3万枚の印刷を行ない、画像評価を行なった。結果を表8に示す。
帯電条件:
DCバイアス:−900V
ACバイアス:2.0kV(peak to peak)、周波数2kHz
【0164】
[比較例45]
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥し、3.5μmの中間層、0.2μmの電荷発生層、28μmの電荷輸送層からなる電子写真感光体を形成した。
【0165】
下引き層塗工液
二酸化チタン粉末 400部
メラミン樹脂 65部
アルキッド樹脂 120部
2−ブタノン 400部
【0166】
電荷発生層塗工液
比較合成例7で合成した顔料 15部
ポリビニルブチラール(アセチル化度 4mol) 10部
酢酸n−プロピル 600部
酢酸n−プロピルにポリビニルブチラールを溶解し、次いでそれぞれ合成した顔料を加え、ビーズミリングにより分散を行なった。
【0167】
電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート 10部
下記構造式の電荷輸送物質 8部
【0168】
【化8】
Figure 0004089856
塩化メチレン 80部
【0169】
【表8】
Figure 0004089856
【0170】
表8から分かるように、実施例31〜36の電子写真感光体を用いた場合には、繰り返し使用後にも良好な画像を与えることが分かる。比較例38〜44の感光体を繰り返し使用後に観察すると、黒ポチ画像に対応して、感光体表面に絶縁破壊による微細な穴が形成されていた。
【0171】
[実施例37]
実施例31で作製した感光体を用い、先の図5の装置の帯電条件をACバイアスを印加しない条件に変え、実施例31と同様に連続3万枚の印刷を行なった。その結果、初期及び3万枚後でも画像は良好であった。但し、ハーフトーン画像を出力した際、問題にならないレベルではあるが、帯電ムラに起因する画像濃度ムラがわずかに発生した。
【0172】
[実施例38]
実施例32の電荷発生層塗工液を以下のものに変更した以外は、実施例32と同様に電子写真感光体を作製した。
電荷発生層塗工液
合成例2で合成した顔料 15部
ポリビニルブチラール(アセチル化度:2mol%) 10部
酢酸n−プロピル 600部
【0173】
[実施例39]
実施例32の電荷発生層塗工液の分散条件を変化させて分散液を作製した。これを用い、実施例32と同様に電子写真感光体を作製した。
実施例32及び39で作製した電荷発生層塗工液をガラス基板上に塗工して、電荷発生層単独の膜を成膜した。これを分光光度計(日立製、UV−3100)にて吸収スペクトルを測定した。実施例32の膜は最大吸収波長が800nmであり、実施例39の膜は840nmであった。
実施例32、38、及び39で作製した電子写真感光体を図7に示す電子写真カートリッジを含む電子写真装置に装着し、帯電は以下の条件で行ない、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)として、連続して1万枚の印刷を行ない、画像評価を行なった。結果を表9に示す。
帯電条件:
DCバイアス:−850V
ACバイアス:1.9kV(peak to peak)、周波数2kHz
【0174】
【表9】
Figure 0004089856
【0175】
【発明の効果】
以上、詳細且つ具体的な説明から明らかなように、本発明によれば、特定のX線回折スペクトルを与える新規なチタニルフタロシアニン結晶が提供される。
また、長期の保存によっても上述の安定した特性を維持できる分散液が提供される。
さらに、これらを使用した本発明の感光体は、高感度を失うことなく繰り返し使用によっても帯電性の低下と残留電位の上昇を生じない安定な特性を有するものであり、この電子写真感光体を用いることにより、高感度を失うことなく繰り返し使用によっても帯電性の低下と残留電位の上昇を生じない安定な電子写真方法が提供される。
更にまた、帯電手段が感光体に接触若しくは近接配置された電子写真装置において、特定のX線回折スペクトルを与えるなチタニルフタロシアニンを電荷発生物質に用いた電子写真感光体を使用することにより、高感度を失うことなく繰り返し使用によっても帯電性の低下と残留電位の上昇を生じず、絶縁破壊が少なく、安定な画像を得ることのできる電子写真装置が提供される。また、前記特性を維持した機械的高耐久な電子写真装置および電子写真装置用プロセスカートリッジが提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の電子写真感光体の構成例を示す断面図である。
【図2】本発明の電子写真感光体の別の構成例を示す断面図である。
【図3】本発明の電子写真感光体の更に別の構成例を示す断面図である。
【図4】本発明の電子写真プロセスおよび電子写真装置を説明するための概略図である。
【図5】本発明による電子写真装置の別の例を示す概略図である。
【図6】本発明による電子写真装置の更に別の例を示す概略図である。
【図7】本発明のプロセスカートリッジ例を示す図である。
【図8】ウェットケーキ乾燥品のX線回折スペクトルを示す図である。
【図9】本発明の合成例1で作製した顔料のX線回折スペクトルを示す図である。
【図10】比較合成例1で作製した顔料のX線回折スペクトルを示す図である。
【図11】比較合成例2で作製した顔料のX線回折スペクトルを示す図である。
【符号の説明】
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
3a 帯電部材
4 イレーサ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
7a 転写チャージャ
7b 分離チャージャ
7c 転写ベルト
8 レジストローラ
9 転写紙
12 分離爪
13 クリーニング前チャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブラシ
16 感光体
17 帯電部材
18 画像露光部
19 現像ローラ
20 転写ローラー
20b クリーニングブラシ
21 感光体
22a 駆動ローラ
22b 駆動ローラ
23 帯電器
24 像露光源
25 転写チャージャ
26 クリーニング前露光
27 クリーニングブラシ
28 除電光源
31 導電性支持体
33 感光層
35 電荷発生層
37 電荷輸送層

Claims (18)

  1. ハロゲン化チタンを用いずに合成されたCuKαの特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0゜に半値巾が1゜以上である最大回折ピークを有する不定形チタニルフタロシアニンを水の存在下で、テトラヒドロフラン、トルエン、塩化メチレン、二硫化炭素、オルトジクロロベンゼン、1、1、2−トリクロロエタンの中から選ばれる一種を含む有機溶媒により結晶変換を行い、次いで機械的なシェアを与える処理を行うことにより製造される、CuKαの特性X線に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、且つ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、且つ26.3゜にもピークを有することを特徴とするチタニルフタロシアニン結晶。
  2. 9.4゜より低角側の領域における回折ピークが7.3゜であることを特徴とする請求項1に記載のチタニルフタロシアニン結晶。
  3. 7.4〜9.3゜の範囲にピークを有さないことを特徴とする請求項1に記載のチタニルフタロシアニン結晶。
  4. 26.3゜のピーク強度が27.2゜の強度の10%未満であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載のチタニルフタロシアニン結晶。
  5. 前記チタニルフタロシアニン結晶が28.6゜にも同時にピークを有する場合、その強度が27.2゜の強度の20%未満であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のチタニルフタロシアニン結晶。
  6. 請求項1乃至のいずれかに記載のチタニルフタロシアニン結晶を含有することを特徴とする電子写真感光体用分散液。
  7. 前記分散液に含有される分散媒が、少なくともメチルエチルケトン或いは酢酸−nブチルの中から選ばれる一種を含むことを特徴とする請求項に記載の電子写真感光体用分散液。
  8. 前記分散液に含有されるバインダー樹脂が、少なくともアセチル化度が4mol%以上のポリビニルアセタールを含むことを特徴とする請求項6又は7に記載の電子写真感光体用分散液。
  9. 導電性支持体上に少なくとも感光層を設けた電子写真感光体において、該感光層中に電荷発生物質として請求項1乃至のいずれかに記載のチタニルフタロシアニン結晶を含有することを特徴とする電子写真感光体。
  10. 前記感光層中に、アセチル化度が4mol%以上のポリビニルアセタールを含むことを特徴とする請求項に記載の電子写真感光体。
  11. 前記感光層中の吸収スペクトルが810nm以短にピークを有することを特徴とする請求項9又は10に記載の電子写真感光体。
  12. 電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行う電子写真方法において、該電子写真感光体が導電性支持体上に少なくとも感光層を有し、該感光層中に電荷発生物質として、ハロゲン化チタンを用いずに合成されたCuKαの特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0゜に半値巾が1゜以上である最大回折ピークを有する不定形チタニルフタロシアニンを水の存在下で、テトラヒドロフラン、トルエン、塩化メチレン、二硫化炭素、オルトジクロロベンゼン、1、1、2−トリクロロエタンの中から選ばれる一種を含む有機溶媒により結晶変換を行い、次いで機械的なシェアを与える処理を行うことにより製造される、CuKαの特性X線に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ26.3゜にもピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を含むことを特徴とする電子写真感光体であることを特徴とする電子写真方法。
  13. 帯電部材が感光体と接触若しくは近接配置された帯電部材であることを特徴とする請求項12に記載の電子写真方法。
  14. 少なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、該電子写真感光体が導電性支持体上に少なくとも感光層を有し、該感光層中に電荷発生物質として、ハロゲン化チタンを用いずに合成されたCuKαの特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0゜に半値巾が1゜以上である最大回折ピークを有する不定形チタニルフタロシアニンを水の存在下で、テトラヒドロフラン、トルエン、塩化メチレン、二硫化炭素、オルトジクロロベンゼン、1、1、2−トリクロロエタンの中から選ばれる一種を含む有機溶媒により結晶変換を行い、次いで機械的なシェアを与える処理を行うことにより製造される、CuKαの特性X線に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有し、かつ最も低角側の回折ピークとして7.3゜にピークを有し、かつ26.3゜にもピークを有するチタニルフタロシアニン結晶を含むことを特徴とする電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置。
  15. 前記電子写真装置において、帯電部材が感光体と接触若しくは近接配置された帯電部材であることを特徴とする請求項14に記載の電子写真装置。
  16. 該帯電部材に直流成分に交流成分を重畳し、感光体に帯電を与えることを特徴とする請求項15に記載の電子写真装置。
  17. 少なくとも電子写真感光体を具備してなる電子写真装置用プロセスカートリッジであって、該電子写真感光体が請求項9乃至11のいずれか1に記載の電子写真感光体であることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ。
  18. 前記電子写真装置用プロセスカートリッジにおいて、帯電部材が感光体と接触若しくは近接配置された帯電部材であることを特徴とする請求項17に記載の電子写真装置用プロセスカートリッジ。
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