JP4215958B2 - 有機光導電材料の製造方法、電子写真感光体用分散液、電子写真感光体、電子写真方法、電子写真装置及び電子写真装置用プロセスカートリッジ - Google Patents

有機光導電材料の製造方法、電子写真感光体用分散液、電子写真感光体、電子写真方法、電子写真装置及び電子写真装置用プロセスカートリッジ Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光導電材料の製造方法に関する。詳しくは、特定のX線回折スペクトルを与えるチタニルフタロシアニン結晶の製造方法に関する。より詳しくは有機感光体の電荷発生用材料の製造方法に関する。また、特定のチタニルフタロシアニン結晶を含有する電子写真感光体用分散液に関する。
さらに本発明は、特定の製造方法により合成されたフタロシアニン結晶を用いた電子写真感光体に関する。また、特定の製造方法により合成されたフタロシアニン結晶を含有する感光体を使用した電子写真方法、電子写真装置、電子写真装置用プロセスカートリッジに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子写真方式を用いた情報処理システム機の発展は目覚ましいものがある。特に、情報をデジタル信号に変換して光によって情報記録を行なう光プリンターは、そのプリント品質、信頼性において向上が著しい。このデジタル記録技術は、プリンターのみならず通常の複写機にも応用され、所謂デジタル複写機が開発されている。また、従来からあるアナログ複写にこのデジタル記録技術を搭載した複写機は、種々様々な情報処理機能が付加されるため、今後その需要性が益々高まっていくと予想される。
【0003】
光プリンターの光源としては、現在のところ小型で安価で信頼性の高い半導体レーザー(LD)や発光ダイオード(LED)が多く使われている。現在よく使われているLEDの発光波長は660nmであり、LDの発光波長域は近赤外光領域にある。このため、可視光領域から近赤外光領域に高い感度を有する電子写真感光体の開発が望まれている。
【0004】
電子写真感光体の感光波長域は、感光体に使用される電荷発生物質の感光波長域によってほぼ決まってしまう。そのため従来から各種アゾ顔料、多環キノン系顔料、三方晶形セレン、各種フタロシアニン顔料等多くの電荷発生物質が開発されている。それらのうち、特開平3−35064号公報、特開平3−35245号公報、特開平3−37669号公報、特開平3−269064号公報、特開平7−319179号公報等に記載されているチタニルフタロシアニン(TiOPcと略記される)は600〜800nmの長波長光に対して高感度を示すため、光源がLEDやLDである電子写真プリンターやデジタル複写機用の感光体用材料として極めて重要かつ有用である。
【0005】
一方、カールソンプロセスおよび類似プロセスにおいてくり返し使用される電子写真感光体の条件としては、感度、受容電位、電位保持性、電位安定性、残留電位、分光特性に代表される静電特性が優れていることが要求される。とりわけ、高感度感光体についてはくり返し使用による帯電性の低下と残留電位の上昇が、感光体の寿命特性を支配することが多くの感光体で経験的に知られており、前記チタニルフタロシアニンもこの例外ではない。従って、チタニルフタロシアニンを用いた感光体の繰り返し使用による安定性は未だ十分とはいえず、その技術の完成が熱望されていた。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、高感度を失うことなく繰り返し使用によっても帯電性の低下を生じない安定な光導電材料の製造方法を提供することにある。また、これら光導電材料の特性を生かし切った分散液を提供することにある。
また本発明の目的は、高感度を失うことなく繰り返し使用によっても帯電性の低下を生じない安定な電子写真感光体を提供することにある。さらに、別の目的は、繰り返し使用によっても異常画像の少ない、安定した画像を得ることのできる電子写真方法、電子写真装置、電子写真装置用プロセスカートリッジを提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明で用いられるチタニルフタロシアニン顔料の基本構造は次の一般式(I)で表わされる。
【0008】
【化1】
Figure 0004215958
(式中、X1、X2、X3、X4は各々独立に各種ハロゲン原子を表わし、n、m、l、kは各々独立的に0〜4の数字を表わす。)
【0009】
TiOPcの合成法や電子写真特性に関する文献としては、例えば特開昭57−148745号公報、特開昭59−36254号公報、特開昭59−44054号公報、特開昭59−31965号公報、特開昭61−239248号公報、特開昭62−67094号公報などが挙げられる。また、TiOPcには種々の結晶型が知られており、特開昭59−49544号公報、特開昭59−166959号公報、特開昭61−239248号公報、特開昭62−67094号公報、特開昭63−366号公報、特開昭63−116158号公報、特開昭63−196067号公報、特開昭64−17066号、特開平1−299874号公報、特開平2−8256号公報、特開平3−269064号公報、特開平5−66595号公報等にそれぞれ結晶型の異なるTiOPcが開示されている。
【0010】
中でも、最大主要ピークを27.2゜にもつ結晶型の材料は、高い光キャリア発生能を有し、有機電子写真用感光体のキャリア発生材料として有望視されている。しかしながら、不純物などを含んでいる場合には必ずしも高感度にならなかったり、繰り返し使用後の帯電低下あるいは残留電位の上昇が発生する場合があった。特に、他の結晶型を有するTiOPcを含んでいるような場合には、この現象が顕著である。これは、一般的な不純物は溶媒に可溶で、湿式法による結晶変換工程などの時点で洗われてしまうことがあるが、顔料化されたものは結晶変換以降の工程で取り除かれることがほとんど不可能なためである。従って、有機顔料の作製時点で、それを用いた感光体の特性が決まってしまうといっても過言ではない。本発明者らは、TiOPcの結晶型および顔料の製造方法(結晶変換条件)に着目し、上記課題を解決すべくに関して鋭意検討を行ない、本発明を完成するに至った。
【0011】
最大主要ピークを27.2゜にもつ結晶型の材料の作製方法は、特開平1−299874号公報、特開平3−269064号公報、特開平2−8256号公報、特開昭64−17066号公報等に種々の方法が開示されている。しかしながら、いずれの方法においても最大主要ピークを27.2゜にもつ結晶型の材料が得られるものの、結晶化度が低かったり、他の結晶型(例えば、不定形、最大主要ピークを26.3゜にもつ結晶型、最大主要ピークを7.5゜にもつ結晶型など)を不純物として含んでしまう場合が多かった。このような他の結晶型を含む場合、最大主要ピークを27.2゜にもつ結晶型を有する材料本来の機能を十分に発現できず、これらを電荷発生物質として感光体を作製した場合、光感度の低下や帯電安定性の低下が起こる場合が存在した。
【0012】
そこで本発明者らは、TiOPcの結晶型および顔料の製造方法(結晶変換条件)に着目した結果、不定形TiOPcを水の存在下で有機溶媒と接触させる方法が最も効果的で、不純物の除去・結晶型の安定性が得られることを見いだした。中でも、不定形TiOPcとしては、合成粗品(クルード)TiOPcを硫酸等の酸に溶解し、水中に析出させる処理(アシッドペースト処理)により得られた不定形TiOPcが最も適していることを見いだした。
【0013】
この不定形TiOPcの作製方法においては、クルードTiOPcに対して10倍以上の濃硫酸を必要とし、更に不定形TiOPcに酸が残留した状態では問題が発生するため、使用した濃硫酸の数10〜100倍程度の水(イオン交換水など)で何度も洗浄する必要が生じる。このため、強酸を含む多量の廃水が同時に発生してしまう。このため、本発明に使用する不定形TiOPcを工業的に得るためには、特別な産廃処理設備が必要となる場合がある。また、本発明で使用する結晶変換工程では、少なくとも反応に用いる不定形TiOPcに対して10倍以上の有機溶媒を必要とする。
【0014】
このように多量の酸と有機溶媒を同一プラント内で同時期に併用することは、危険を伴う場合があるため、一般的には行ない難い。このため、両者の反応工程を別のプラントで行なうか、時期をずらして行なうのが一般的である。この場合、いずれにせよ反応中間体である不定形TiOPcは、水ペーストの状態で保管される。水ペーストを乾燥した状態で保管することも可能ではあるが、このような機能性材料として用いられる顔料は、ほとんどの場合、凝集性が強く、水ペーストを乾燥することにより非常に固く引き締まった状態になる。このため、次工程である有機溶媒による結晶変換を行なう前に、再粉砕等の工程が必要になってしまう。また、最大主要ピークを27.2゜にもつ結晶型の材料の結晶変換方法の必須項目として、水の存在が挙げられる。有機溶媒で結晶変換を行なう際に、反応系に水が存在しないと所望の結晶型を得ることができない。
【0015】
かくして、合成粗品(クルード)TiOPcから最大主要ピークを27.2゜にもつ結晶型を有するTiOPcを得るまでの間の工程において、TiOPcが水ペーストの状態で保管されるのは必然的になり、別プラントを用いて同時期に反応を行なおうとしても、輸送・検査等を考慮すれば、最低でも1日間(休日等を考慮すると3日間程度)の保管期間が必要になる。この点は、実験室等の小スケールで合成を行なう場合と異なる点である。
【0016】
そこで、本発明者らは水ペーストTiOPc(前述の不定形TiOPc)の保管期間とこれを用い結晶変換を行なったTiOPc顔料の結晶型、およびこれを電荷発生物質として用いた感光体の電子写真特性を評価した結果、保管期間と結晶型及び電子写真特性には相関があることを見いだし、特定の保管期間内に結晶変換を行なうことにより、安定な材料を製造できることを見いだした。
【0017】
また、前記結晶型(最大主要ピークを27.2゜にもつ結晶型)を有するフタロシアニン結晶は、他の結晶型に比べ結晶の安定性に劣るものである。このため、これを用い感光体作製のための分散液を作製する際、適当な条件(分散方法・分散媒・樹脂など)を選定しないと、折角所望の結晶を用いたにもかかわらず、作製される分散液に他の結晶型が混入してしまうことがある。このため、所望の特性を得ることができないことがあった。この点に関して、分散条件を検討した結果、適当な分散媒及びバインダー樹脂を用いることにより、安定な分散液を得られることが分かり、本発明を完成するに至った。
【0018】
即ち、上記課題は、本発明の(1)「CuKαの特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有する不定形チタニルフタロシアニンを水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行なうCuKαの特性X線に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンの製造方法において、該有機溶媒中に酸化防止剤を含有することを特徴とするチタニルフタロシアニンの製造方法」、()「前記7.0〜7.5゜の回折ピークの半値巾が1゜以上である不定形チタニルフタロシアニンを水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行なうことを特徴とする請求項1に記載のチタニルフタロシアニンの製造方法」、()「前記不定形チタニルフタロシアニンが、アシッドペースト処理により作製されたものであることを特徴とする前記第(1)項または第(2)項に記載のチタニルフタロシアニンの製造方法」、()「前記不定形チタニルフタロシアニンが、ハロゲン化チタンを用いずに合成されたものであることを特徴とする前記第(1)項乃至第()項の何れか1に記載のチタニルフタロシアニンの製造方法」、()「前記酸化防止剤が、ヒンダードフェノールあるいはヒンダードアミンであることを特徴とする前記第(1)項乃至第(4)項の何れか1に記載のチタニルフタロシアニンの製造方法」によって達成される。
【0019】
また、上記課題は、本発明の()「前記第(1)項乃至第()項の何れか1に記載の製造方法にて作製されたチタニルフタロシアニン結晶を含有することを特徴とする電子写真感光体用分散液」、()「前記分散液に含有される分散媒が、少なくともケトン系あるいはエステル系有機溶媒の中から選ばれる一種を含むことを特徴とする前記第()項に記載の電子写真感光体用分散液」、()「前記分散液に含有されるバインダー樹脂が、少なくともアセチル化度が4mol%以上のポリビニルアセタールを含むことを特徴とする前記第()項または第()項に記載の電子写真感光体用分散液」によって達成される。
【0020】
また、上記課題は、本発明の()「導電性支持体上に、少なくとも感光層を設けた電子写真感光体であって、該感光層が、前記第()項乃至第()項のいずれかに記載の電子写真感光体用分散液を用いて形成されたことを特徴とする電子写真感光体」、(10)「導電性支持体上に少なくとも感光層を設けた電子写真感光体において、該感光層中に電荷発生物質として、CuKαの特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有する不定形チタニルフタロシアニンを水の存在下で酸化防止剤を含有する有機溶媒により結晶変換を行なったCuKαの特性X線に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンを含有することを特徴とする電子写真感光体」、(11)「前記不定形チタニルフタロシアニンにおいて、7.0〜7.5゜の回折ピークの半値巾が1゜以上であることを特徴とする前記第(10)項に記載の電子写真感光体」、(12)「前記不定形チタニルフタロシアニンが、アシッドペースト処理により作製されたものであることを特徴とする前記第(10)項または第(11)項に記載の電子写真感光体」、(13)「前記不定形チタニルフタロシアニンが、ハロゲン化チタンを用いずに合成されたものであることを特徴とする前記第(10)項乃至第(12)項の何れか1に記載の電子写真感光体」、(14)「前記酸化防止剤がヒンダードフェノールあるいはヒンダードアミンであることを特徴とする前記第(10)項乃至第(13)項の何れか1に記載の電子写真感光体」、(15)「前記結晶変換後のチタニルフタロシアニンが、CuKαの特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、7.5゜より低角側にピークを有し、そのピーク強度が27.2゜のピーク強度の10%以下であることを特徴とする前記第(10)項乃至第(14)項の何れか1に記載の電子写真感光体」、(16)「前記感光層が電荷発生層と電荷輸送層の積層構成からなることを特徴とする前記第(10)項乃至第(14)項の何れか1に記載の電子写真感光体」、(17)「前記電子写真感光体の電荷輸送層に含有される高分子電荷輸送物質が、少なくともトリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートであることを特徴とする前記第(16)項に記載の電子写真感光体」によって達成される。
【0021】
さらに、上記課題は、本発明の(18)「電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行なう電子写真方法であって、該電子写真感光体が前記第()項に記載のものであることを特徴とする電子写真方法」、(19)「電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行う電子写真方法において、該電子写真感光体の感光層に電荷発生物質として、CuKαの特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有する不定形チタニルフタロシアニンを水の存在下で酸化防止剤を含有する有機溶媒により結晶変換を行った27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンを含有することを特徴とする電子写真方法」によって達成される。
【0022】
さらにまた、上記課題は、本発明の(20)「少なくとも電子写真感光体、帯電手段、画像露光手段、現像手段および転写手段を具備してなる電子写真装置であって、該電子写真感光体が前記第()項記載のものであることを特徴とする電子写真装置」、(21)「前記電子写真感光体の感光層上に保護層が設けられた電子写真感光体を具備することを特徴とする前記第(20)項記載の電子写真装置」、(22)「前記感光体の保護層にフィラーを含有することを特徴とする前記第(21)項に記載の電子写真装置」、(23)「前記フィラーが無機フィラーであることを特徴とする前記第(22)項に記載の電子写真装置」、(24)「前記感光体の保護層に電荷輸送物質を含有することを特徴とする前記第(21)項乃至第(23)項の何れか1に記載の電子写真装置」、(25)「前記感光体の保護層に含有される電荷輸送物質が高分子電荷輸送物質であることを特徴とする前記第(21)項乃至(24)項のいずれかに記載の電子写真装置」、(26)「 なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、該電子写真感光体の感光層に電荷発生物質として、CuKαの特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有する不定形チタニルフタロシアニンを水の存在下で酸化防止剤を含有する有機溶媒により結晶変換を行った27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンを含有することを特徴とする電子写真装置」、(27)「前記画像露光手段がLDあるいはLED等を使用することによって感光体上に静電潜像の書き込みが行なわれる、所謂デジタル方式の電子写真装置であることを特徴とする前記第(26)項に記載の電子写真装置」、(28)「前記帯電手段が帯電部材を感光体に接触もしくは近接配置したものであることを特徴とする前記第(26)項または第(27)項に記載の電子写真装置」、(29)「前記帯電部材に直流成分に交流成分を重畳し、感光体に帯電を与えることを特徴とする前記(26)項乃至第(28)項の何れか1に記載の電子写真装置」によって達成される。
【0023】
さらにまた、上記課題は、本発明の(30)「電子写真感光体を具備してなる電子写真装置用プロセスカートリッジであって、該電子写真感光体が前記第()項に記載のものであることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ」、(31)「電子写真感光体を具備してなる電子写真装置用プロセスカートリッジであって、該電子写真感光体の感光層に電荷発生物質として、CuKαの特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有する不定形チタニルフタロシアニンを水の存在下で酸化防止剤を含有する有機溶媒により結晶変換を行なった27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンを含有することを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ。」によって達成される。
【0024】
目的とするチタニルフタロシアニンを得る方法は、公知の合成過程によりクルード(粗製物)が合成され、これを洗浄・精製する。更に、化学的方法あるいは物理的な方法によりアモルファス化(不定形化)し、これを有機溶媒により結晶変換を行ない得るものである。ここで不定形化したチタニルフタロシアニンを不定形化後、1週間以内に有機溶媒により結晶変換することを特徴とするものであり、また、ここで使用する有機溶媒に酸化防止剤を併用し、結晶変換することを特徴とするものである。酸化防止剤は、通常感光体(主に電荷輸送層)に添加して用いられるものである。これは、感光体を構成する層の膜厚として電荷輸送層が一番厚いこと、また、表面からの酸性ガスに対応するなどの理由による。しかしながら、感光体の繰り返し使用における帯電性の劣化に関しては、電荷発生層における劣化が主たる原因である。これを防止するためには多量の酸化防止剤を添加する必要がある。これは、電荷発生層中の顔料が粒子の状態で存在するため、その粒子表面だけが酸化防止剤と接触できるからである。一方、本発明のように酸化防止剤を含有する溶媒にて結晶変換を行なうことにより、顔料粒子内部に酸化防止剤を含有させることが可能になり、実質的に少量の酸化防止剤で同等の効果を得ることが可能になる。
上記酸化防止剤の使用量は、多すぎた場合、結晶変換時における結晶成長・配列を阻害する可能性があるため、使用する有機溶媒に対し5重量%以下、好ましくは1重量%以下が適当である。
【0025】
本発明に使用できる酸化防止剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)ヒンダードフェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]グリコールエステル、トコフェロール類など。
【0026】
(b)パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジメチル−N,N'−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
【0027】
(c)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
【0028】
(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3'−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3'−チオジプロピオネートなど。
【0029】
(e)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
【0030】
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど。
中でも、上記(a)記載のヒンダードフェノ−ル系化合物、(f)記載のヒンダードアミン類が良好に用いられる。
【0031】
不定形方法の中には、溶媒、機械的な負荷による一般的な変換法、並びにチタニルフタロシアニンを硫酸中にて溶解せしめ、この溶液を水に注ぎ得る方法(例えば、硫酸ペースティング法)が挙げられる。
【0032】
これらの中でも、不定形結晶を経た後、水の存在下で有機溶媒と接触させることによる結晶変換により、所望の結晶型を得る方法が好適に用いられる。特に、最大回折ピークを7.0〜7.5゜に持ち、無定型結晶を用いること、更に好ましくは、7.0〜7.5゜のピークの半値巾が1゜以上のものが好適に使用できる。
また、結晶変換に用いる有機溶媒は、所定の結晶型を得られるものであれば、いかなる有機溶媒も使用できる。なお、有機溶媒は二種以上混合して用いても構わない。
【0033】
更に、上述のようなチタニルフタロシアニンも、その合成工程によって、それを用いた感光体の特性が大きく異なる。チタニルフタロシアニンを合成するルートは幾つか知られているが、ハロゲン化チタンを用いる方法が知られている。この方法により、作製されたチタニルフタロシアニンを用いた感光体は、繰り返し使用において、帯電性の低下が著しいことを見いだした。これを回避するためには、ハロゲン化チタンを用いずに合成する(例えば、有機チタンを原料とする)方法により作製することが望ましい。
【0034】
本発明におけるTiOPcのX線スペクトルは、合成・精製・結晶変換工程を経て作製されたTiOPc結晶を市販のX線回折スペクトル測定装置により測定することができる。
【0035】
本発明におけるTiOPcのピーク強度について説明すると、一般的なX線回折スペクトルで、ベースライン補正を行なった後、それぞれのピーク強度を求めた値が、本発明でいうところのピーク強度比である。
【0036】
本発明の電子写真感光体用分散液に用いられる分散媒について説明する。分散媒は、結晶型を変化させないものであればいかなるものも使用できるが、特に、ケトン系溶媒あるいはエステル系溶媒が有効に使用できる。ケトン系溶媒としては、アセトン、メチルエチルケトン、2−ペンタノン、3−ペンタノン、2−ヘキサノン、2−メチル−4−ペンタノン、2−ヘプタノン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、アセトフェノンなどが挙げられる。また、エステル系溶媒としては、ギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸プロピル、酢酸ブチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル等が挙げられる。これら溶媒は単独で用いてもよいが、他の溶媒と混合して用いても構わない。
【0037】
更に、本発明の電子写真感光体用分散液に用いられるバインダー樹脂について説明する。バインダー樹脂は分散系が安定で、感光体特性に影響を与えないものならば、いかなるものも使用できるが、ポリビニルアセタールが良好に用いられる。ポリビニルアセタールは下記一般式(II)で表わされるが、Rがプロピル基だけのいわゆるポリビニルブチラールが有効に使用される。特に、アセチル化度が4mol%以上のポリビニルアセタールは中でも特に有効に使用できる。これらバインダー樹脂は単独でも良好に使用できるが、他のバインダー樹脂を併用することも可能である。
【0038】
【化2】
Figure 0004215958
【0039】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の応用例である電子写真感光体を図面に沿って説明する。
図1は、本発明の光導電性材料を用いた電子写真感光体を表わす断面図であり、導電性支持体(31)上に、電荷発生材料と電荷輸送材料を主成分とする単層感光層(33)が設けられている。
図2、図3は、本発明の光導電性材料を用いた電子写真感光体の別の構成例を示す断面図であり、電荷発生材料を主成分とする電荷発生層(35)と、電荷輸送材料を主成分とする電荷輸送層(37)とが、積層された構成をとっている。
【0040】
図14は、本発明の光導電性材料を用いた電子写真感光体の更に別の構成例を示す断面図であり、導電性支持体(31)上に、電荷発生材料と電荷輸送材料を主成分とする単層感光層(33)が設けられ、更にその上に保護層(39)が設けられている。
【0041】
図15は、本発明の光導電性材料を用いた電子写真感光体のまた更に別の構成例を示す断面図であり、導電性支持体(31)上に、電荷発生材料を主成分とする電荷発生層(35)と電荷輸送材料を主成分とする電荷輸送層(37)が設けられ、更にその上に保護層(39)が設けられている。この場合、電荷発生層と電荷輸送層の積層の順序はこの逆でも良い。
【0042】
導電性支持体(31)としては、体積抵抗1010Ω・cm以下の導電性を示すもの、例えば、アルミニウム、ニッケル、クロム、ニクロム、銅、金、銀、白金などの金属、酸化スズ、酸化インジウムなどの金属酸化物を、蒸着またはスパッタリングにより、フィルム状もしくは円筒状のプラスチック、紙に被覆したもの、あるいは、アルミニウム、アルミニウム合金、ニッケル、ステンレスなどの板およびそれらを、押し出し、引き抜きなどの工法で素管化後、切削、超仕上げ、研摩などの表面処理した管などを使用することができる。また、特開昭52−36016号公報に開示されたエンドレスニッケルベルト、エンドレスステンレスベルトも導電性支持体(31)として用いることができる。
【0043】
この他、上記支持体上に導電性粉体を適当な結着樹脂に分散して塗工したものも、本発明の導電性支持体(31)として用いることができる。この導電性粉体としては、カーボンブラック、アセチレンブラック、またアルミニウム、ニッケル、鉄、ニクロム、銅、亜鉛、銀などの金属粉、あるいは導電性酸化スズ、ITOなどの金属酸化物粉体などがあげられる。また、同時に用いられる結着樹脂には、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアリレート樹脂、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂などの熱可塑性、熱硬化性樹脂または光硬化性樹脂があげられる。このような導電性層は、これらの導電性粉体と結着樹脂を適当な溶剤、例えば、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、メチルエチルケトン、トルエンなどに分散して塗布することにより設けることができる。
【0044】
さらに、適当な円筒基体上にポリ塩化ビニル、ポリプロピレン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニリデン、ポリエチレン、塩化ゴム、テフロンなどの素材に、前記導電性粉体を含有させた熱収縮チューブによって導電性層を設けてなるものも、本発明の導電性支持体(31)として良好に用いることができる。
【0045】
次に、感光層について説明する。感光層は単層でも積層でもよいが、説明の都合上、先ず電荷発生層(35)と電荷輸送層(37)で構成される場合から述べる。
電荷発生層(35)は、電荷発生材料として上述した特定の製法により作製されたTiOPcを主成分とする層である。
電荷発生層(35)は、前記TiOPcを必要に応じてバインダー樹脂とともに適当な溶剤中にボールミル、アトライター、サンドミル、超音波などを用いて分散し、これを導電性支持体上に塗布し、乾燥することにより形成される。
【0046】
必要に応じて電荷発生層(35)に用いられる結着樹脂としては、ポリアミド、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリケトン、ポリカーボネート、シリコン樹脂、アクリル樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルケトン、ポリスチレン、ポリスルホン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリアクリルアミド、ポリビニルベンザール、ポリエステル、フェノキシ樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリフェニレンオキシド、ポリアミド、ポリビニルピリジン、セルロース系樹脂、カゼイン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン等が挙げられる。中でも、ポリビニルブチラールに代表されるポリビニルアセタールは良好に使用される。特に、アセチル化度が4mol%以上のブチラール樹脂は良好に使用できる。結着樹脂の量は、電荷発生物質100重量部に対し0〜500重量部、好ましくは10〜300重量部が適当である。
【0047】
電荷発生層(35)には、上述した特定の製法により作製されたTiOPcの他にその他の電荷発生材料を併用することも可能であり、その代表として、モノアゾ顔料、ジスアゾ顔料、トリスアゾ顔料、ペリレン系顔料、ペリノン系顔料、キナクリドン系顔料、キノン系縮合多環化合物、スクアリック酸系染料、他のフタロシアニン系顔料、ナフタロシアニン系顔料、アズレニウム塩系染料等が挙げられ用いられる。
【0048】
ここで用いられる溶剤としては、イソプロパノール、アセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、テトラヒドロフラン、ジオキサン、エチルセルソールブ、酢酸エチル、酢酸メチル、ジクロロメタン、ジクロロエタン、モノクロロベンゼン、シクロヘキサン、トルエン、キシレン、リグロイン等が挙げられるが、特に、ケトン系溶媒、エステル系溶媒、エーテル系溶媒が良好に使用される。塗布液の塗工法としては、浸漬塗工法、スプレーコート、ビートコート、ノズルコート、スピナーコート、リングコート等の方法を用いることができる。
電荷発生層(35)の膜厚は、0.01〜5μm程度が適当であり、好ましくは0.1〜2μmである。
【0049】
電荷輸送層(37)は、電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを電荷発生層上に塗布、乾燥することにより形成できる。また、必要により可塑剤、レベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
【0050】
電荷輸送物質には、正孔輸送物質と電子輸送物質とがある。電荷輸送物質としては、例えばクロルアニル、ブロムアニル、テトラシアノエチレン、テトラシアノキノジメタン、2,4,7−トリニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロ−9−フルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロキサントン、2,4,8−トリニトロチオキサントン、2,6,8−トリニトロ−4H−インデノ〔1,2−b〕チオフェン−4−オン、1,3,7−トリニトロジベンゾチオフェン−5,5−ジオキサイド、ベンゾキノン誘導体等の電子受容性物質が挙げられる。
【0051】
正孔輸送物質としては、ポリ−N−ビニルカルバゾールおよびその誘導体、ポリ−γ−カルバゾリルエチルグルタメートおよびその誘導体、ピレン−ホルムアルデヒド縮合物およびその誘導体、ポリビニルピレン、ポリビニルフェナントレン、ポリシラン、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、モノアリールアミン誘導体、ジアリールアミン誘導体、トリアリールアミン誘導体、スチルベン誘導体、α−フェニルスチルベン誘導体、ベンジジン誘導体、ジアリールメタン誘導体、トリアリールメタン誘導体、9−スチリルアントラセン誘導体、ピラゾリン誘導体、ジビニルベンゼン誘導体、ヒドラゾン誘導体、インデン誘導体、ブタジェン誘導体、ピレン誘導体等、ビススチルベン誘導体、エナミン誘導体等その他公知の材料が挙げられる。これらの電荷輸送物質は単独、または2種以上混合して用いられる。
【0052】
結着樹脂としては、ポリスチレン、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリアレート、フェノキシ樹脂、ポリカーボネート、酢酸セルロース樹脂、エチルセルロース樹脂、ポリビニルブチラール、ポリビニルホルマール、ポリビニルトルエン、ポリ−N−ビニルカルバゾール、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、メラミン樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂等の熱可塑性または熱硬化性樹脂が挙げられる。
【0053】
電荷輸送物質の量は結着樹脂100重量部に対し、20〜300重量部、好ましくは40〜150重量部が適当である。また、電荷輸送層の膜厚は5〜100μm程度とすることが好ましい。ここで用いられる溶剤としては、テトラヒドロフラン、ジオキサン、トルエン、ジクロロメタン、モノクロロベンゼン、ジクロロエタン、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、アセトンなどが用いられる。
【0054】
また、電荷輸送層には電荷輸送物質としての機能とバインダー樹脂の機能を持った高分子電荷輸送物質も良好に使用される。これら高分子電荷輸送物質から構成される電荷輸送層は耐摩耗性に優れたものである。高分子電荷輸送物質としては、公知の材料が使用できるが、特に、トリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートが良好に用いられる。中でも、一般式(III)〜(XII)式で表わされる高分子電荷輸送物質が良好に用いられ、これらを以下に例示し、具体例を示す。
【0055】
【化3】
Figure 0004215958
式中、R1,R2,R3はそれぞれ独立して置換もしくは無置換のアルキル基又はハロゲン原子、R4は水素原子又は置換もしくは無置換のアルキル基、R5,R6は置換もしくは無置換のアリール基、o,p,qはそれぞれ独立して0〜4の整数、k,jは組成を表わし、0.1≦k≦1、0≦j≦0.9、nは繰り返し単位数を表わし5〜5000の整数である。Xは脂肪族の2価基、環状脂肪族の2価基、または下記一般式で表わされる2価基を表わす。
【0056】
【化4】
Figure 0004215958
式中、R101,R102は各々独立して置換もしくは無置換のアルキル基、アリール基またはハロゲン原子を表わす。l、mは0〜4の整数、Yは単結合、炭素原子数1〜12の直鎖状、分岐状もしくは環状のアルキレン基、−O−,−S−,−SO−,−SO2−,−CO−,−CO−O−Z−O−CO−(式中Zは脂肪族の2価基を表わす。)または、
【0057】
【化5】
Figure 0004215958
(式中、aは1〜20の整数、bは1〜2000の整数、R103、R104は置換または無置換のアルキル基又はアリール基を表わす。)を表わす。ここで、R101とR102,R103とR104は、それぞれ同一でも異なってもよい。
【0058】
【化6】
Figure 0004215958
式中、R7,R8は置換もしくは無置換のアリール基、Ar1,Ar2,Ar3は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、一般式(III)の場合と同じである。
【0059】
【化7】
Figure 0004215958
式中、R9,R10は置換もしくは無置換のアリール基、Ar4,Ar5,Ar6は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、一般式(III)の場合と同じである。
【0060】
【化8】
Figure 0004215958
式中、R11,R12は置換もしくは無置換のアリール基、Ar7,Ar8,Ar9は同一又は異なるアリレン基、pは1〜5の整数を表わす。X,k,jおよびnは、一般式(III)の場合と同じである。
【0061】
【化9】
Figure 0004215958
式中、R13,R14は置換もしくは無置換のアリール基、Ar10,Ar11,Ar12は同一又は異なるアリレン基、X1,X2は置換もしくは無置換のエチレン基、又は置換もしくは無置換のビニレン基を表わす。X,k,jおよびnは、一般式(III)の場合と同じである。
【0062】
【化10】
Figure 0004215958
式中、R15,R16,R17,R18は置換もしくは無置換のアリール基、Ar13,Ar14,Ar15,Ar16は同一又は異なるアリレン基、Y1,Y2,Y3は単結合、置換もしくは無置換のアルキレン基、置換もしくは無置換のシクロアルキレン基、置換もしくは無置換のアルキレンエーテル基、酸素原子、硫黄原子、ビニレン基を表わし同一であっても異なってもよい。X,k,jおよびnは、一般式(III)の場合と同じである。
【0063】
【化11】
Figure 0004215958
式中、R19,R20は水素原子、置換もしくは無置換のアリール基を表わし,R19とR20は環を形成していてもよい。Ar17,Ar18,Ar19は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、一般式(III)の場合と同じである。
【0064】
【化12】
Figure 0004215958
式中、R21は置換もしくは無置換のアリール基、Ar20,Ar21,Ar22,Ar23は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、一般式(III)の場合と同じである。
【0065】
【化13】
Figure 0004215958
式中、R22,R23,R24,R25は置換もしくは無置換のアリール基、Ar24,Ar25,Ar26,Ar27,Ar28は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、一般式(III)の場合と同じである。
【0066】
【化14】
Figure 0004215958
式中、R26,R27は置換もしくは無置換のアリール基、Ar29,Ar30,Ar31は同一又は異なるアリレン基を表わす。X,k,jおよびnは、一般式(III)の場合と同じである。
【0067】
本発明の感光体において、電荷輸送層(37)中に可塑剤やレベリング剤を添加してもよい。可塑剤としては、ジブチルフタレート、ジオクチルフタレートなど一般の樹脂の可塑剤として使用されているものがそのまま使用でき、その使用量は、結着樹脂に対して0〜30重量%程度が適当である。レベリング剤としては、ジメチルシリコーンオイル、メチルフェニルシリコーンオイルなどのシリコーンオイル類や、側鎖にパーフルオロアルキル基を有するポリマー、あるいはオリゴマーが使用され、その使用量は結着樹脂に対して、0〜1重量%が適当である。
【0068】
次に、感光層が単層構成(33)の場合について述べる。上述した特定の製法により作製されたTiOPcを結着樹脂中に分散した感光体が使用できる。単層感光層は、電荷発生物質および電荷輸送物質および結着樹脂を適当な溶剤に溶解ないし分散し、これを塗布、乾燥することによって形成できる。さらに、この感光層には上述した電荷輸送材料を添加した機能分離タイプとしてもよく、良好に使用できる。また、必要により、可塑剤やレベリング剤、酸化防止剤等を添加することもできる。
【0069】
結着樹脂としては、先に電荷輸送層(37)で挙げた結着樹脂をそのまま用いるほかに、電荷発生層(35)で挙げた結着樹脂を混合して用いてもよい。もちろん、先に挙げた高分子電荷輸送物質も良好に使用できる。結着樹脂100重量部に対する電荷発生物質の量は5〜40重量部が好ましく、電荷輸送物質の量は0〜190重量部が好ましく、さらに好ましくは50〜150重量部である。単層感光層は、電荷発生物質、結着樹脂を必要ならば電荷輸送物質とともにテトラヒドロフラン、ジオキサン、ジクロロエタン、シクロヘキサン等の溶媒を用いて分散機等で分散した塗工液を、浸漬塗工法やスプレーコート、ビードコートなどで塗工して形成できる。単層感光層の膜厚は、5〜100μm程度が適当である。
【0070】
本発明の応用例である感光体においては、導電性支持体(31)と感光層との間に下引き層を設けることができる。下引き層は一般には樹脂を主成分とするが、これらの樹脂はその上に感光層を溶剤で塗布することを考えると、一般の有機溶剤に対して耐溶剤性の高い樹脂であることが望ましい。このような樹脂としては、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリアクリル酸ナトリウム等の水溶性樹脂、共重合ナイロン、メトキシメチル化ナイロン等のアルコール可溶性樹脂、ポリウレタン、メラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド−メラミン樹脂、エポキシ樹脂等、三次元網目構造を形成する硬化型樹脂等が挙げられる。また、下引き層にはモアレ防止、残留電位の低減等のために酸化チタン、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化スズ、酸化インジウム等で例示できる金属酸化物の微粉末顔料を加えてもよい。
【0071】
これらの下引き層は前述の感光層の如く適当な溶媒、塗工法を用いて形成することができる。更に、本発明の下引き層として、シランカップリング剤、チタンカップリング剤、クロムカップリング剤等を使用することもできる。この他、本発明の下引き層には、Al23を陽極酸化にて設けたものや、ポリパラキシリレン(パリレン)等の有機物やSiO2、SnO2、TiO2、ITO、CeO2等の無機物を真空薄膜作成法にて設けたものも良好に使用できる。このほかにも公知のものを用いることができる。下引き層の膜厚は0〜5μmが適当である。
【0072】
本発明における感光体においては、感光層保護の目的で保護層が感光層の上に設けられることもある。保護層に使用される材料としてはABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール、ポリアミド、ポリアミドイミド、ポリアクリレート、ポリアリルスルホン、ポリブチレン、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリアリレート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリイミド、アクリル樹脂、ポリメチルベンテン、ポリプロピレン、ポリフェニレンオキシド、ポリスルホン、ポリスチレン、AS樹脂、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、エポキシ樹脂等の樹脂が挙げられる。中でも、ポリカーボネート、ポリアリレートが良好に用いられる。
また、感光体の保護層にはその他、耐摩耗性を向上する目的でフィラー材料が添加される。有機性フィラー材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのようなフッ素樹脂粉末、シリコーン樹脂粉末、a−カーボン粉末等が挙げられ、無機性フィラー材料としては、銅、スズ、アルミニウム、インジウムなどの金属粉末、シリカ、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化インジウム、酸化アンチモン、酸化ビスマス、アンチモンをドープした酸化錫、錫をドープした酸化インジウム等の金属酸化物、チタン酸カリウムなどの無機材料が挙げられる。特に、フィラーの硬度の点からは、この中でも無機材料を用いることが有利である。特に、シリカ、酸化チタン、アルミナが有効に使用できる。
更に、画像ボケが発生しにくいフィラーとしては、電気絶縁性が高いフィラー(比抵抗が1010Ω・cm以上)が好ましく、フィラーのpHが5以上を示すものやフィラーの誘電率が5以上を示すものが特に有効に使用できる。また、pHが5以上のフィラーあるいは誘電率が5以上のフィラーを単独で使用することはもちろん、pHが5以下のフィラーとpHが5以上のフィラーとを2種類以上を混合したり、誘電率が5以下のフィラーと誘電率が5以上のフィラーとを2種類以上混合したりして用いることも可能である。また、これらのフィラーの中でも高い絶縁性を有し、熱安定性が高い上に、耐摩耗性が高い六方細密構造であるα型アルミナは、画像ボケの抑制や耐摩耗性の向上の点から特に有用である。
更に、これらのフィラーは少なくとも一種の表面処理剤で表面処理させることが可能であり、そうすることがフィラーの分散性の面から好ましい。フィラーの分散性の低下は残留電位の上昇だけでなく、塗膜の透明性の低下や塗膜欠陥の発生、さらには耐摩耗性の低下をも引き起こすため、高耐久化あるいは高画質化を妨げる大きな問題に発展する可能性がある。表面処理剤としては、従来用いられている表面処理剤すべてを使用することができるが、フィラーの絶縁性を維持できる表面処理剤が好ましい。例えば、チタネート系カップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネート系カップリング剤、高級脂肪酸等、あるいはこれらとシランカップリング剤との混合処理や、Al23、TiO2、ZrO2、シリコーン、ステアリン酸アルミニウム等、あるいはそれらの混合処理がフィラーの分散性及び画像ボケの点からより好ましい。シランカップリング剤による処理は、画像ボケの影響が強くなるが、上記の表面処理剤とシランカップリング剤との混合処理を施すことによりその影響を抑制できる場合がある。表面処理量については、用いるフィラーの平均一次粒径によって異なるが、3〜30wt%が適しており、5〜20wt%がより好ましい。表面処理量がこれよりも少ないとフィラーの分散効果が得られず、また多すぎると残留電位の著しい上昇を引き起こす。これらフィラ−材料は単独もしくは2種類以上混合して用いられる。
なお、保護層の厚さは0.1〜10μm程度が適当である。
これらフィラー材料は、適当な分散機を用いることにより分散できる。また、保護層の透過率の点から使用するフィラーは1次粒子レベルまで分散され、凝集体が少ない方が好ましい。
保護層の形成法としては通常の塗布法が採用される。中でも、スプレー工法は有効な手段であり、最適な方法としては次の2つの方法が挙げられる。1つは複数のフィラー比率の異なる保護層用塗工液を、下層の指触乾燥が終了したら順次スプレー法で積層していく方法である。この場合、塗工液の数だけスプレーヘッドを用意し、塗工を連続的に行なうことが望ましい。一方は、使用するフィラーの数だけスプレーヘッドを用意し、各々フィラー単独の分散液を作製し、感光層側から保護側に向かい、それぞれの吐出量を変化させ、各々のフィラーの存在比率分布を設ける方法が挙げられる。
また、保護層には残留電位低減、応答性改良のため、電荷輸送物質を含有しても良い。電荷輸送物質は、電荷輸送層の説明のところに記載した低分子電荷輸送物質および高分子電荷輸送物質を用いることができる。電荷輸送物質として、低分子電荷輸送物質を用いる場合には、保護層中における濃度傾斜を設けても構わない。耐摩耗性向上のため、表面側を低濃度にすることは有効な手段である。
また、以上の構成の他に、真空薄膜作製法にて形成したa−C、a−SiC等の公知の材料を保護層に用いることもできる。
【0073】
本発明の応用例である感光体においては、感光層と保護層との間に中間層を設けることも可能である。中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。これら樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成法としては、前述のごとく通常の塗布法が採用される。なお、中間層の厚さは0.05〜2μm程度が適当である。
【0074】
また、本発明においては、耐環境性の改善のため、とりわけ、感度低下、残留電位の上昇を防止する目的で、各層に酸化防止剤、可塑剤、滑剤、紫外線吸収剤、低分子電荷輸送物質およびレベリング剤を添加することができる。これらの化合物の代表的な材料を以下に記す。
各層に添加できる酸化防止剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
【0075】
(a)フェノール系化合物
2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール、ブチル化ヒドロキシアニソール、2,6−ジ−t−ブチル−4−エチルフェノール、n−オクタデシル−3−(4’−ヒドロキシ−3’,5’−ジ−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2,2’−メチレン−ビス−(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−チオビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、4,4’−ブチリデンビス−(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、1,1,3−トリス−(2−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)ブタン、1,3,5−トリメチル−2,4,6−トリス(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)ベンゼン、テトラキス−[メチレン−3−(3’,5’−ジ−t−ブチル−4’−ヒドロキシフェニル)プロピオネート]メタン、ビス[3,3’−ビス(4’−ヒドロキシ−3’−t−ブチルフェニル)ブチリックアッシド]グリコールエステル、トコフェロール類など。
【0076】
(b)パラフェニレンジアミン類
N−フェニル−N’−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N’−ジ−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N−フェニル−N−sec−ブチル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジ−イソプロピル−p−フェニレンジアミン、N,N'−ジメチル−N,N'−ジ−t−ブチル−p−フェニレンジアミンなど。
【0077】
(c)ハイドロキノン類
2,5−ジ−t−オクチルハイドロキノン、2,6−ジドデシルハイドロキノン、2−ドデシルハイドロキノン、2−ドデシル−5−クロロハイドロキノン、2−t−オクチル−5−メチルハイドロキノン、2−(2−オクタデセニル)−5−メチルハイドロキノンなど。
【0078】
(d)有機硫黄化合物類
ジラウリル−3,3'−チオジプロピオネート、ジステアリル−3,3'−チオジプロピオネート、ジテトラデシル−3,3'−チオジプロピオネートなど。
【0079】
(e)有機燐化合物類
トリフェニルホスフィン、トリ(ノニルフェニル)ホスフィン、トリ(ジノニルフェニル)ホスフィン、トリクレジルホスフィン、トリ(2,4−ジブチルフェノキシ)ホスフィンなど。
【0080】
各層に添加できる可塑剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)リン酸エステル系可塑剤
リン酸トリフェニル、リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル、リン酸オクチルジフェニル、リン酸トリクロルエチル、リン酸クレジルジフェニル、リン酸トリブチル、リン酸トリ−2−エチルヘキシル、リン酸トリフェニルなど。
【0081】
(b)フタル酸エステル系可塑剤
フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル、フタル酸ジイソブチル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジヘプチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、フタル酸ジイソオクチル、フタル酸ジ−n−オクチル、フタル酸ジノニル、フタル酸ジイソノニル、フタル酸ジイソデシル、フタル酸ジウンデシル、フタル酸ジトリデシル、フタル酸ジシクロヘキシル、フタル酸ブチルベンジル、フタル酸ブチルラウリル、フタル酸メチルオレイル、フタル酸オクチルデシル、フマル酸ジブチル、フマル酸ジオクチルなど。
【0082】
(c)芳香族カルボン酸エステル系可塑剤
トリメリット酸トリオクチル、トリメリット酸トリ−n−オクチル、オキシ安息香酸オクチルなど。
【0083】
(d)脂肪族二塩基酸エステル系可塑剤
アジピン酸ジブチル、アジピン酸ジ−n−ヘキシル、アジピン酸ジ−2−エチルヘキシル、アジピン酸ジ−n−オクチル、アジピン酸−n−オクチル−n−デシル、アジピン酸ジイソデシル、アジピン酸ジカプリル、アゼライン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジメチル、セバシン酸ジエチル、セバシン酸ジブチル、セバシン酸ジ−n−オクチル、セバシン酸ジ−2−エチルヘキシル、セバシン酸ジ−2−エトキシエチル、コハク酸ジオクチル、コハク酸ジイソデシル、テトラヒドロフタル酸ジオクチル、テトラヒドロフタル酸ジ−n−オクチルなど。
【0084】
(e)脂肪酸エステル誘導体
オレイン酸ブチル、グリセリンモノオレイン酸エステル、アセチルリシノール酸メチル、ペンタエリスリトールエステル、ジペンタエリスリトールヘキサエステル、トリアセチン、トリブチリンなど。
【0085】
(f)オキシ酸エステル系可塑剤
アセチルリシノール酸メチル、アセチルリシノール酸ブチル、ブチルフタリルブチルグリコレート、アセチルクエン酸トリブチルなど。
【0086】
(g)エポキシ可塑剤
エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油、エポキシステアリン酸ブチル、エポキシステアリン酸デシル、エポキシステアリン酸オクチル、エポキシステアリン酸ベンジル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジデシルなど。
【0087】
(h)二価アルコールエステル系可塑剤
ジエチレングリコールジベンゾエート、トリエチレングリコールジ−2−エチルブチラートなど。
【0088】
(i)含塩素可塑剤
塩素化パラフィン、塩素化ジフェニル、塩素化脂肪酸メチル、メトキシ塩素化脂肪酸メチルなど。
【0089】
(j)ポリエステル系可塑剤
ポリプロピレンアジペート、ポリプロピレンセバケート、ポリエステル、アセチル化ポリエステルなど。
【0090】
(k)スルホン酸誘導体
p−トルエンスルホンアミド、o−トルエンスルホンアミド、p−トルエンスルホンエチルアミド、o−トルエンスルホンエチルアミド、トルエンスルホン−N−エチルアミド、p−トルエンスルホン−N−シクロヘキシルアミドなど。
【0091】
(l)クエン酸誘導体
クエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリエチル、クエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリブチル、アセチルクエン酸トリ−2−エチルヘキシル、アセチルクエン酸−n−オクチルデシルなど。
【0092】
(m)その他
ターフェニル、部分水添ターフェニル、ショウノウ、2−ニトロジフェニル、ジノニルナフタリン、アビエチン酸メチルなど。
【0093】
各層に添加できる滑剤としては、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)炭化水素系化合物
流動パラフィン、パラフィンワックス、マイクロワックス、低重合ポリエチレンなど。
【0094】
(b)脂肪酸系化合物
ラウリン酸、ミリスチン酸、パルチミン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸など。
【0095】
(c)脂肪酸アミド系化合物
ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレインアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミドなど。
【0096】
(d)エステル系化合物
脂肪酸の低級アルコールエステル、脂肪酸の多価アルコールエステル、脂肪酸ポリグリコールエステルなど。
【0097】
(e)アルコール系化合物
セチルアルコール、ステアリルアルコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロールなど。
【0098】
(f)金属石けん
ステアリン酸鉛、ステアリン酸カドミウム、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウムなど。
【0099】
(g)天然ワックス
カルナウバロウ、カンデリラロウ、蜜ロウ、鯨ロウ、イボタロウ、モンタンロウなど。
【0100】
(h)その他
シリコーン化合物、フッ素化合物など。
【0101】
各層に添加できる紫外線吸収剤として、例えば下記のものが挙げられるがこれらに限定されるものではない。
(a)ベンゾフェノン系
2−ヒドロキシベンゾフェノン、2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4−トリヒドロキシベンゾフェノン、2,2’,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノン、2,2’−ジヒドロキシ4−メトキシベンゾフェノンなど。
【0102】
(b)サルシレート系
フェニルサルシレート、2,4ジ−t−ブチルフェニル3,5−ジ−t−ブチル4ヒドロキシベンゾエートなど。
【0103】
(c)ベンゾトリアゾール系
(2’−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ5’−メチルフェニル)ベンゾトリアゾール、(2’−ヒドロキシ3’−ターシャリブチル5’−メチルフェニル)5−クロロベンゾトリアゾールなど。
【0104】
(d)シアノアクリレート系
エチル−2−シアノ−3,3−ジフェニルアクリレート、メチル2−カルボメトキシ3(パラメトキシ)アクリレートなど。
【0105】
(e)クエンチャー(金属錯塩系)
ニッケル(2,2’チオビス(4−t−オクチル)フェノレート)ノールマルブチルアミン、ニッケルジブチルジチオカルバメート、ニッケルジブチルジチオカルバメート、コバルトジシクロヘキシルジチオホスフェートなど。
【0106】
(f)HALS(ヒンダードアミン)
ビス(2,2,6,6−テトラメチル−4−ピペリジル)セバケート、ビス(1,2,2,6,6−ペンタメチル−4−ピペリジル)セバケート、1−[2−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕エチル]−4−〔3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ〕−2,2,6,6−テトラメチルピリジン、8−ベンジル−7,7,9,9−テトラメチル−3−オクチル−1,3,8−トリアザスピロ〔4,5〕ウンデカン−2,4−ジオン、4−ベンゾイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジンなど。
【0107】
次に図面を用いて本発明の電子写真方法ならびに電子写真装置を詳しく説明する。
図4は、本発明の電子写真プロセスおよび電子写真装置を説明するための概略図であり、下記するような変形例も本発明の範疇に属するものである。
図4において、感光体(1)は導電性支持体上に特定の製法により作製されたTiOPc感光層が設けられてなる。感光体(1)はドラム状の形状を示しているが、シート状、エンドレスベルト状のものであっても良い。帯電チャージャ(3)、転写前チャージャ(7)、転写チャージャ(10)、分離チャージャ(11)、クリーニング前チャージャ(13)には、コロトロン、スコロトロン、固体帯電器(ソリッド・ステート・チャージャー)、帯電ローラを始めとする公知の手段が用いられる。
帯電部材は、オゾン発生の低減や消費電力の低減の観点から、感光体に対し接触もしくは近接配置したものが良好に用いられる。中でも、帯電部材への汚染を防止するため、感光体と帯電部材表面の間に適度な空隙を有する感光体近傍に近接配置された帯電機構が有効に使用される。
また、帯電用部材により感光体に帯電を施す際、帯電部材に直流成分に交流成分を重畳した電界により感光体に帯電を与えることにより、帯電ムラを低減することが可能で効果的である。
転写手段には、一般に上記の帯電器が使用できるが、図に示されるように転写チャージャーと分離チャージャーを併用したものが効果的である。
【0108】
また、画像露光部(5)、除電ランプ(2)等の光源には、蛍光灯、タングステンランプ、ハロゲンランプ、水銀灯、ナトリウム灯、発光ダイオード(LED)、半導体レーザー(LD)、エレクトロルミネッセンス(EL)などの発光物全般を用いることができる。そして、所望の波長域の光のみを照射するために、シャープカットフィルター、バンドパスフィルター、近赤外カットフィルター、ダイクロイックフィルター、干渉フィルター、色温度変換フィルターなどの各種フィルターを用いることもできる。
かかる光源等は、図5に示される工程の他に光照射を併用した転写工程、除電工程、クリーニング工程、あるいは前露光などの工程を設けることにより、感光体に光が照射される。
【0109】
さて、現像ユニット(6)により感光体(1)上に現像されたトナーは、転写紙(9)に転写されるが、全部が転写されるわけではなく、感光体1上に残存するトナーも生ずる。このようなトナーは、ファーブラシ(14)およびブレード(15)により、感光体より除去される。クリーニングは、クリーニングブラシだけで行なわれることもあり、クリーニングブラシにはファーブラシ、マグファーブラシを始めとする公知のものが用いられる。
電子写真感光体に正(負)帯電を施し、画像露光を行なうと、感光体表面上には正(負)の静電潜像が形成される。
これを負(正)極性のトナー(検電微粒子)で現像すれば、ポジ画像が得られるし、また正(負)極性のトナーで現像すれば、ネガ画像が得られる。
かかる現像手段には、公知の方法が適用されるし、また、除電手段にも公知の方法が用いられる。
【0110】
図5には、本発明による電子写真プロセスの別の例を示す。感光体(21)は特定の製法により作製されたTiOPc感光層を有しており、駆動ローラ(22a),(22b)により駆動され、帯電器(23)による帯電、光源(24)による像露光、現像(図示せず)、帯電器(25)を用いる転写、光源(26)によるクリーニング前露光、ブラシ27によるクリーニング、光源(28)による除電が繰返し行なわれる。図5においては、感光体(21)(勿論この場合は支持体が透光性である)に支持体側よりクリーニング前露光の光照射が行なわれる。
【0111】
以上の図示した電子写真プロセスは、本発明における実施形態を例示するものであって、もちろん他の実施形態も可能である。例えば、図5において支持体側よりクリーニング前露光を行なっているが、これは感光層側から行なってもよいし、また、像露光、除電光の照射を支持体側から行なってもよい。
一方、光照射工程は、像露光、クリーニング前露光、除電露光が図示されているが、他に転写前露光、像露光のプレ露光、およびその他公知の光照射工程を設けて、感光体に光照射を行なうこともできる。
【0112】
以上に示すような画像形成手段は、複写装置、ファクシミリ、プリンター内に固定して組み込まれていてもよいが、プロセスカートリッジの形でそれら装置内に組み込まれてもよい。プロセスカートリッジとは、感光体を内蔵し、他に帯電手段、露光手段、現像手段、転写手段、クリーニング手段、除電手段を含んだ1つの装置(部品)である。プロセスカートリッジの形状等は多く挙げられるが、一般的な例として、図6に示すものが挙げられる。感光体(16)は、導電性支持体上に特定の製法により作製されたTiOPc感光層を有してなるものである。
【0113】
【実施例】
以下、本発明を実施例を挙げて説明するが、本発明が実施例により制約を受けるものではない。なお、部はすべて重量部である。
まず、本発明におけるチタニルフタロシアニンの具体的な合成例を述べる。
【0114】
[結晶変換を行う有機溶媒中に酸化防止剤を含有させる場合の例]
(合成例1)
1,3−ジイミノイソインドリン29.2gとスルホラン200mlを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド20.4gを滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶をろ過、ついで洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返し、不定形チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキを得た。
得られたウェットケーキ2gをただちに下記構造の酸化防止剤(BHT)を250ppm含有する2−ブタノン20gに投入し、4時間撹拌を行なった。これにメタノール100gを追加して、1時間撹拌を行なった後、濾過を行ない、乾燥して、チタニルフタロシアニン粉末を得た。
酸化防止剤(BHT)
【0115】
【化15】
Figure 0004215958
得られたチタニルフタロシアニン粉末を、下記の条件によりX線回折スペクトル測定した。
X線管球 Cu、電圧 50kV、電流 30mA、
走査速度 2°/分、走査範囲 3°〜40°、時定数 2秒
【0116】
(合成例2)
合成例1において、2−ブタノン中のBHT濃度を500ppmにした以外は、合成例1と同様にチタニルフタロシアニン粉末を作製した。
【0117】
(合成例3)
合成例1において、2−ブタノン中のBHTを下記構造のものに変え、2−ブタノンに対する濃度を300ppmにした以外は、合成例1と同様にチタニルフタロシアニン粉末を作製した。
【0118】
【化16】
Figure 0004215958
【0119】
(合成例4)
合成例3において、2−ブタノン中の酸化防止剤濃度を600ppmにした以外は、合成例3と同様にチタニルフタロシアニン粉末を作製した。
【0120】
(比較合成例1)
合成例1において、2−ブタノン中にBHTを添加しない以外は、合成例1と同様にチタニルフタロシアニン粉末を作製した。
【0121】
上記のように得られたウェットケーキを乾燥したものと合成例1で作製された顔料のX線回折スペクトルを図7〜8に示す。合成例2〜4、比較合成例1で作製した顔料のスペクトルも合成例1で作製した顔料のスペクトルとほぼ同一であった。図における低角側ピークの半値巾は1.2゜である。
【0122】
(比較合成例2)
特開平1−299874号公報に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、合成例1で作製したウェットケーキを乾燥し、乾燥物1gをポリエチレングリコール50gに加え、100gのガラスビーズと共に、サンドミルを行なった。結晶転移後、希硫酸、水酸化アンモニウム水溶液で順次洗浄し、乾燥して顔料を得た。
【0123】
(比較合成例3)
特開平3−269064号公報に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、合成例1で作製したウェットケーキを乾燥し、乾燥物1gをイオン交換水10gとモノクロルベンゼン1gの混合溶媒中で1時間撹拌(50℃)した後、メタノールとイオン交換水で洗浄し、乾燥して顔料を得た。
【0124】
(比較合成例4)
特開平2−8256号公報に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、フタロジニトリル9.8gと1−クロロナフタレン75mlを撹拌混合し、窒素気流下で四塩化チタン2.2mlを滴下する。滴下終了後、徐々に200℃まで昇温し、反応温度を200℃〜220℃の間に保ちながら3時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷し130℃になったところ熱時ろ過し、ついで1−クロロナフタレンで粉体が青色になるまで洗浄、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後、乾燥し顔料を得た。
【0125】
(比較合成例5)
特開昭64−17066号公報に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、α型TiOPc5部を食塩10gおよびアセトフェノン5gと共にサンドグラインダーにて100℃−10時間結晶変換処理を行なった。これをイオン交換水及びメタノールで洗浄し、希硫酸水溶液で精製し、イオン交換水で酸分が無くなるまで洗浄した後、乾燥して顔料を得た。
【0126】
以上の比較合成例2〜5で作製した顔料を先ほどと同様の方法でX線回折スペクトルを測定し、それぞれの公報に記載のスペクトルと同様であることを確認した。
【0127】
(実施例1〜4および比較例1〜5)
合成例1〜4および比較合成例1〜5で作製した顔料を用いて、下記組成の分散液を作製した。
合成した顔料 15部
ポリビニルブチラール(アセチル化度 4mol%) 10部
メチルエチルケトン 600部
メチルエチルケトンにポリビニルブチラールを溶解し、次いでそれぞれ合成した顔料を加え、ボールミリングにより分散を行なった。
【0128】
(実施例5〜8および比較例6〜10)
実施例1〜4および比較例1〜5で用いたメチルエチルケトンの代わりに、酢酸n−プロピルを分散媒として用いた以外は全く同様に分散液を作製した。
【0129】
(比較例11〜15)
比較例1〜5で用いたメチルエチルケトンの代わりに、ブタノールを分散媒として用いた以外は全く同様に分散液を作製した。
【0130】
実施例1〜8および比較例1〜15で作製した分散液を浸漬塗工法により表面を陽極酸化したアルミドラムに塗工製膜した。また分散液作製後、1ヶ月の静置保管テストを行なった。その結果、実施例1〜8および比較例1〜10で作製した分散液は浸漬塗工によりいずれも良好な塗膜が得られたが、比較例11〜15で作製した分散液は分散が不良で良好な塗膜が得られなかった。
また1ヶ月の静置保管の後、沈降性を目視にて確認したが、実施例1〜8および比較例1〜10で作製した分散液は沈降がわずかで、撹拌するだけで十分に再分散が可能であった。一方、比較例11〜15で作製した分散液は沈降が著しく、保管容器の底に顔料が溜まっており、再分散が非常に困難であった。
【0131】
(実施例9〜12および比較例16〜20)
実施例1〜4および比較例1〜5で作製した分散液を用いて、以下の電子写真感光体を作製した。厚さ0.7mmのアルミ板上に、下記組成の下引き層用塗工液、電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布乾燥して、0.3μmの下引き層、0.3μmの電荷発生層、25μmの電荷輸送層からなる電子写真感光体を形成した。
◎下引き層用塗工液
アルコール可溶性ナイロン(東レ:CM8000) 3部
メタノール 60部
ブタノール 37部
【0132】
◎電荷発生層塗工液
先述の分散液をそれぞれ用いた(対応は表1に記載)。
【0133】
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート 10部
下記構造式の電荷輸送物質 8部
【0134】
【化17】
Figure 0004215958
塩化メチレン 80部
【0135】
上記のように作製した電子写真感光体を静電複写紙試験装置(川口電気製作所製SP−428型)を用いて次のように評価した。
まず、−6.3kVの放電電圧にて、コロナ帯電を20秒間行ない、次いで、暗減衰させ、暗減衰20秒後に2.5μW/cm2の光(780±10nm)を照射した。このとき、帯電20秒後の表面電位V20(−V)、V20と暗減衰後の表面電位V40(−V)の比(DD)、および暗減衰後の表面電位V40(−V)を半分の電位に光減衰させるのに必要な露光量E1/2[μJ/cm2]を測定した。結果を表1に示す。更に、上記の帯電と露光を60分間繰り返した後、同様の測定を行ない、疲労後の特性とした。結果を表1に合わせて示す。
【0136】
【表1】
Figure 0004215958
【0137】
(実施例13)
合成例1で作製した顔料を用いて、下記組成の電荷発生層用塗工液を作製した。
合成した顔料 15部
ポリビニルブチラール(アセチル化度 5.5mol) 10部
メチルエチルケトン 600部
メチルエチルケトンにポリビニルブチラールを溶解し、次いでそれぞれ合成した顔料を加え、ボールミリングにより分散を行なった。
これを電荷発生層に用いて、実施例3と同じ方法・条件にて感光体を作製した。
【0138】
(実施例14)
合成例1で作製した顔料を作製して、下記組成の電荷発生層用塗工液を作製した。
合成した顔料 15部
ポリビニルブチラール(アセチル化度 2mol) 10部
メチルエチルケトン 600部
メチルエチルケトンにポリビニルブチラールを溶解し、次いでそれぞれ合成した顔料を加え、ボールミリングにより分散を行なった。
これを電荷発生層に用いて、実施例3と同じ方法・条件にて感光体を作製した。
上記のように作製した感光体を実施例3と同じように評価した。結果を表2に示す。
【0139】
【表2】
Figure 0004215958
【0140】
[不定形チタニルフタロシアニン製作後1週間以内に結晶変換を行う場合の例](合成例5)
1,3−ジイミノイソインドリン29.2gとスルホラン200mlを混合し、窒素気流下でチタニウムテトラブトキシド20.4gを滴下する。滴下終了後、徐々に180℃まで昇温し、反応温度を170℃〜180℃の間に保ちながら5時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷した後析出物を濾過し、クロロホルムで粉体が青色になるまで洗浄し、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後乾燥し、粗チタニルフタロシアニンを得た。粗チタニルフタロシアニンを20倍量の濃硫酸に溶解し、100倍量の氷水に撹拌しながら滴下し、析出した結晶をろ過、ついで洗浄液が中性になるまで水洗を繰り返し、不定形チタニルフタロシアニン顔料のウェットケーキを得た。
得られたウェットケーキ2gをただちに(1時間以内)2−ブタノン20gに投入し、4時間撹拌を行なった。これにメタノール100gを追加して、1時間撹拌を行なった後、濾過を行ない、乾燥して、チタニルフタロシアニン粉末を得た。
得られたチタニルフタロシアニン粉末を、下記の条件によりX線回折スペクトル測定した。
X線管球 Cu、電圧 50kV、電流 30mA、
走査速度 2°/分、走査範囲 3°〜40°、時定数 2秒
【0141】
(合成例6)
合成例5において、不定形チタニルフタロシアニンのウェットケーキを室温暗所に3日間放置した後、結晶変換処理を行なった以外は合成例5と同様にチタニルフタロシアニンを合成した。
【0142】
(合成例7)
合成例5において、不定形チタニルフタロシアニンのウェットケーキを室温暗所に1週間放置した後、結晶変換処理を行なった以外は合成例5と同様にチタニルフタロシアニンを合成した。
【0143】
(比較合成例6)
合成例5において、不定形チタニルフタロシアニンのウェットケーキを室温暗所に10日間放置した後、結晶変換処理を行なった以外は合成例5と同様にチタニルフタロシアニンを合成した。
【0144】
(比較合成例7)
合成例5において、不定形チタニルフタロシアニンのウェットケーキを室温暗所に2週間放置した後、結晶変換処理を行なった以外は合成例5と同様にチタニルフタロシアニンを合成した。
【0145】
(比較合成例8)
合成例5において、不定形チタニルフタロシアニンのウェットケーキを室温暗所に3週間放置した後、結晶変換処理を行なった以外は合成例5と同様にチタニルフタロシアニンを合成した。
【0146】
(比較合成例9)
合成例5において、不定形チタニルフタロシアニンのウェットケーキを室温暗所に5週間放置した後、結晶変換処理を行なった以外は合成例5と同様にチタニルフタロシアニンを合成した。
【0147】
合成例5〜7および比較合成例6〜9で得られたウェットケーキを乾燥したもののX線回折スペクトルはほぼ同一であった。代表例として、合成例5で得られたウェットケーキを乾燥したもののX線回折スペクトルを図9に示す。低角側ピークの半値巾は1.2゜である。
【0148】
ついで、合成例5〜7および比較合成例6〜9で作製された顔料のX線回折スペクトルを測定した。合成例5〜7で得られた顔料のスペクトルはほぼ同一であったため、合成例5で得られた顔料のX線回折スペクトルを図10に示す。また、比較合成例6〜7で得られた顔料のスペクトルはほぼ同一であったため、比較合成例2で得られた顔料のX線回折スペクトルを図11に示す。更に、比較合成例8、9で得られた顔料のX線回折スペクトルを図12、13に示す。
【0149】
(比較合成例10)
特開平1−299874号公報に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、合成例5で作製したウェットケーキを乾燥し、乾燥物1gをポリエチレングリコール50gに加え、100gのガラスビーズと共に、サンドミルを行なった。結晶転移後、希硫酸、水酸化アンモニウム水溶液で順次洗浄し、乾燥して顔料を得た。
【0150】
(比較合成例11)
特開平3−269064号公報に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、合成例5で作製したウェットケーキを乾燥し、乾燥物1gをイオン交換水10gとモノクロルベンゼン1gの混合溶媒中で1時間撹拌(50℃)した後、メタノールとイオン交換水で洗浄し、乾燥して顔料を得た。
【0151】
(比較合成例12)
特開平2−8256号公報に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、フタロジニトリル9.8gと1−クロロナフタレン75mlを撹拌混合し、窒素気流下で四塩化チタン2.2mlを滴下する。滴下終了後、徐々に200℃まで昇温し、反応温度を200℃〜220℃の間に保ちながら3時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、放冷し130℃になったところ熱時ろ過し、ついで1−クロロナフタレンで粉体が青色になるまで洗浄、つぎにメタノールで数回洗浄し、さらに80℃の熱水で数回洗浄した後、乾燥し顔料を得た。
【0152】
(比較合成例13)
特開昭64−17066号公報に記載の方法に準じて、顔料を作製した。すなわち、α型TiOPc5部を食塩10gおよびアセトフェノン5gと共にサンドグラインダーにて100℃−10時間結晶変換処理を行なった。これをイオン交換水及びメタノールで洗浄し、希硫酸水溶液で精製し、イオン交換水で酸分が無くなるまで洗浄した後、乾燥して顔料を得た。
【0153】
以上の比較合成例10〜13で作製した顔料を先ほどと同様の方法でX線回折スペクトルを測定し、それぞれの公報に記載のスペクトルと同様であることを確認した。
【0154】
(実施例15〜17および比較例21〜28)
合成例5〜7および比較合成例6〜13で作製した顔料を用いて、下記組成の分散液を作製した。
合成した顔料 15部
ポリビニルブチラール(アセチル化度 4mol%) 10部
メチルエチルケトン 600部
メチルエチルケトンにポリビニルブチラールを溶解し、次いでそれぞれ合成した顔料を加え、ボールミリングにより分散を行なった。
【0155】
(実施例18〜20および比較例29〜36)
実施例15〜17および比較例21〜28で用いたメチルエチルケトンの代わりに、酢酸n−ブチルを分散媒として用いた以外は全く同様に分散液を作製した。
【0156】
(比較例37〜44)
比較例21〜28で用いたメチルエチルケトンの代わりに、ブタノールを分散媒として用いた以外は全く同様に分散液を作製した。
【0157】
実施例15〜20および比較例21〜44で作製した分散液を浸漬塗工法により表面を陽極酸化したアルミドラムに塗工製膜した。また分散液作製後、1ヶ月の静置保管テストを行なった。その結果、実施例15〜20および比較例21〜36で作製した分散液は浸漬塗工によりいずれも良好な塗膜が得られたが、比較例37〜44で作製した分散液は分散が不良で良好な塗膜が得られなかった。
また1ヶ月の静置保管の後、沈降性を目視にて確認したが、実施例15〜20および比較例21〜36で作製した分散液は沈降がわずかで、撹拌するだけで十分に再分散が可能であった。一方、比較例37〜44で作製した分散液は沈降が著しく、保管容器の底に顔料が溜まっており、再分散が非常に困難であった。
【0158】
(実施例21〜23および比較例45〜52)
実施例15〜17および比較例21〜28で作製した分散液を用いて以下の電子写真感光体を作製した。アルミ蒸着したポリエチレンテレフタレートフィルム上に、下記組成の電荷発生層用塗工液、電荷輸送層用塗工液を順次、塗布乾燥して、0.3μmの電荷発生層、25μmの電荷輸送層からなる電子写真感光体を形成した。
◎電荷発生層塗工液
実施例15〜17および比較例21〜28で作製した分散液をそれぞれ用いた(対応は表3に記載)。
【0159】
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート 10部
下記構造式の電荷輸送物質 8部
【0160】
【化18】
Figure 0004215958
塩化メチレン 80部
【0161】
上記のように作製した電子写真感光体を静電複写紙試験装置(川口電気製作所製SP−428型)を用いて次のように評価した。
まず、−6.0kVの放電電圧にて、コロナ帯電を20秒間行ない、次いで、暗減衰させ、暗減衰20秒後に1μW/cm2の光(780±10nm)を照射した。このとき、帯電20秒後の表面電位V20(−V)、V20と暗減衰後の表面電位V40(−V)の比(DD)、および暗減衰後の表面電位V40(−V)を半分の電位に光減衰させるのに必要な露光量E1/2[μJ/cm2]を測定した。結果を表3に示す。更に、上記の帯電と露光を30分繰り返した後、同様の測定を行ない、疲労後の特性とした。結果を表3に合わせて示す。
【0162】
【表3】
Figure 0004215958
【0163】
(実施例24)
合成例5で作製した顔料を用いて、下記組成の電荷発生層用塗工液を作製した。
合成した顔料 15部
ポリビニルブチラール(アセチル化度 5.5mol%) 10部
メチルエチルケトン 600部
メチルエチルケトンにポリビニルブチラールを溶解し、次いでそれぞれ合成した顔料を加え、ボールミリングにより分散を行なった。
これを電荷発生層に用いて、実施例3と同じ方法・条件にて感光体を作製した。
【0164】
(実施例25)
合成例5で作製した顔料を作製して、下記組成の電荷発生層用塗工液を作製した。
合成した顔料 15部
ポリビニルブチラール(アセチル化度 2mol%) 10部
メチルエチルケトン 600部
メチルエチルケトンにポリビニルブチラールを溶解し、次いでそれぞれ合成した顔料を加え、ボールミリングにより分散を行なった。
これを電荷発生層に用いて、実施例21と同じ方法・条件にて感光体を作製した。
上記のように作製した感光体を実施例21と同じように評価した。結果を表4に示す。
【0165】
【表4】
Figure 0004215958
【0166】
[電子写真感光体、電子写真方法、電子写真装置、カートリッジについての例](実施例26)
電鋳ニッケル・ベルト上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥し、4μmの中間層、0.3μmの電荷発生層、25μmの電荷輸送層からなる電子写真感光体を形成した。
◎下引き層塗工液
二酸化チタン粉末 15部
ポリビニルブチラール 6部
2−ブタノン 150部
【0167】
◎電荷発生層塗工液
合成例5で合成した顔料 15部
ポリビニルブチラール 10部
メチルエチルケトン 600部
メチルエチルケトンにポリビニルブチラールを溶解し、次いで合成した顔料を加え、ビーズミリングにより分散を行なった。
【0168】
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【0169】
【化19】
Figure 0004215958
塩化メチレン 80部
【0170】
(実施例27)
実施例26における電荷発生層塗工液に含有する顔料を合成例6で合成した顔料に変更した以外は、実施例26と同様に電子写真感光体を作製した。
【0171】
(実施例28)
実施例26における電荷発生層塗工液に含有する顔料を合成例7で合成した顔料に変更した以外は、実施例26と同様に電子写真感光体を作製した。
【0172】
(比較例53)
実施例26における電荷発生層塗工液に含有する顔料を比較合成例6で合成した顔料に変更した以外は、実施例26と同様に電子写真感光体を作製した。
【0173】
(比較例54)
実施例26における電荷発生層塗工液に含有する顔料を比較合成例7で合成した顔料に変更した以外は、実施例26と同様に電子写真感光体を作製した。
【0174】
(比較例55)
実施例26における電荷発生層塗工液に含有する顔料を比較合成例8で合成した顔料に変更した以外は、実施例26と同様に電子写真感光体を作製した。
【0175】
(比較例56)
実施例1における電荷発生層塗工液に含有する顔料を比較合成例9で合成した顔料に変更した以外は、実施例26と同様に電子写真感光体を作製した。
【0176】
このようにしてなる電子写真感光体を図5に示す電子写真プロセス(ただし、クリーニング前露光はなし)に装着し、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)として、現像直前の感光体の表面電位が測定できるように表面電位計のプローブを挿入した。連続して一万枚の印刷を行ない、そのときの画像露光部と画像非露光部の表面電位を初期と一万枚後に測定した。結果を表5に示す。
【0177】
【表5】
Figure 0004215958
表5より、実施例26〜28の電子写真感光体は繰返し使用後にも、安定した表面電位を維持していることがわかる。
【0178】
(実施例29)
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥し、3.5μmの中間層、0.2μmの電荷発生層、28μmの電荷輸送層からなる電子写真感光体を形成した。
◎下引き層塗工液
二酸化チタン粉末 400部
メラミン樹脂 65部
アルキッド樹脂 120部
2−ブタノン 400部
【0179】
◎電荷発生層塗工液
合成例5で合成した顔料 15部
ポリビニルブチラール 10部
酢酸n−プロピル 600部
酢酸n−プロピルにポリビニルブチラールを溶解し、次いで合成した顔料を加え、ビーズミリングにより分散を行なった。
【0180】
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート 10部
下記構造式の電荷輸送物質 8部
【0181】
【化20】
Figure 0004215958
塩化メチレン 80部
【0182】
(実施例30)
実施例29の電荷発生層塗工液に含有される顔料を合成例7で作製した顔料に変更した以外は、実施例29と同様に電子写真感光体を作製した。
【0183】
(比較例57)
実施例29の電荷発生層塗工液に含有される顔料を比較合成例7で作製した顔料に変更した以外は、実施例29と同様に電子写真感光体を作製した。
【0184】
(比較例58)
実施例29の電荷発生層塗工液に含有される顔料を比較合成例8で作製した顔料に変更した以外は、実施例29と同様に電子写真感光体を作製した。
【0185】
(比較例59)
実施例29の電荷発生層塗工液に含有される顔料を比較合成例10で作製した顔料に変更した以外は、実施例29と同様に電子写真感光体を作製した。
【0186】
(比較例60)
実施例29の電荷発生層塗工液に含有される顔料を比較合成例11で作製した顔料に変更した以外は、実施例29と同様に電子写真感光体を作製した。
【0187】
上記の実施例29〜30および比較例57〜60の各電子写真感光体を図6に示す電子写真プロセス用カートリッジに装着し(ただし、画像露光光源を780nmに発光を持つLDとした)、連続して一万枚の印刷を行ない、そのときの画像を初期と一万枚後に評価した。結果を表6に示す。
【0188】
【表6】
Figure 0004215958
表6から実施例29〜30の電子写真感光体は繰返し使用後にも、良好な画像を維持していることがわかる。
【0189】
(実施例31)
アルミニウムシリンダー表面を陽極酸化処理した後封孔処理を行なった。この上に、下記電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥して各々0.2μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層を形成し、本発明の電子写真感光体を作製した。
◎電荷発生層塗工液
合成例5で合成した顔料 15部
ポリビニルブチラール 10部
メチルエチルケトン 600部
メチルエチルケトンにポリビニルブチラールを溶解し、次いで合成した顔料を加え、ビーズミリングにより分散を行なった。
【0190】
◎電荷輸送層塗工液
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【0191】
【化21】
Figure 0004215958
ポリカーボネート 10部
塩化メチレン 80部
【0192】
(実施例32)
実施例31における電荷発生層塗工液に含有される顔料を合成例6で作製した顔料に変更した以外は、実施例31と同様に電子写真感光体を作製した。
【0193】
(比較例61)
実施例31における電荷発生層塗工液に含有される顔料を比較合成例6で作製した顔料に変更した以外は、実施例31と同様に電子写真感光体を作製した。
【0194】
(比較例62)
実施例31における電荷発生層塗工液に含有される顔料を比較合成例12で作製した顔料に変更した以外は、実施例31と同様に電子写真感光体を作製した。
【0195】
(比較例63)
実施例31における電荷発生層塗工液に含有される顔料を比較合成例13で作製した顔料に変更した以外は、実施例31と同様に電子写真感光体を作製した。
【0196】
(実施例33)
実施例31における電荷輸送層塗工液を以下の組成のものに変更した以外は、実施例31と同様に電子写真感光体を作製した。
◎電荷輸送層塗工液
下記構造式の高分子電荷輸送物質 10部
【0197】
【化22】
Figure 0004215958
塩化メチレン 100部
【0198】
このようにしてなる電子写真感光体を図4に示す電子写真装置に搭載した。ただし、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)として、現像直前の感光体の表面電位が測定できるように表面電位計のプローブを挿入した。連続して30000枚の印刷を行ない、その時の画像を初期と30000枚後に評価した。また、電荷輸送層の摩耗量も測定した。結果を表7に示す。
【0199】
【表7】
Figure 0004215958
【0200】
表7から実施例31〜33の電子写真感光体は繰返し使用後にも、安定した画像を形成することが分かる。特に、実施例33の電子写真感光体は、耐摩耗性に優れているものであることが分かる。
【0201】
(実施例34)
実施例31における感光体の電荷輸送層膜厚を17μmとし、更に電荷輸送層上に下記組成の保護層用塗工液を塗布乾燥して、3μmの保護層を形成した。
◎保護層用塗工液
ポリカーボネート 10部
下記構造の電荷輸送物質 7部
【0202】
【化23】
Figure 0004215958
アルミナ微粒子 4部
(比抵抗:2.5×1012Ω・cm、平均一次粒径:0.3μm)
テトラヒドロフラン 400部
シクロヘキサノン 200部
【0203】
(実施例35)
実施例31における感光体の電荷輸送層膜厚を17μmとし、更に電荷輸送層上に下記組成の保護層用塗工液を塗布乾燥して、3μmの保護層を形成した。
◎保護層用塗工液
下記構造の高分子電荷輸送物質 17部
【0204】
【化24】
Figure 0004215958
アルミナ微粒子 4部
(比抵抗:2.5×1012Ω・cm、平均一次粒径:0.3μm)
テトラヒドロフラン 600部
シクロヘキサノン 200部
実施例34、35で作製した電子写真感光体を、実施例31と同様に図4に示す電子写真装置に搭載した。実施例31の場合と同様に、連続30000枚の印刷を行い、初期および30000枚後の画像評価、また感光層の摩耗量を測定した。結果を表8に示す。
【0205】
【表8】
Figure 0004215958
【0206】
(実施例36)
実施例31で作製した感光体を用い、図4に示す電子写真装置の帯電部材を帯電ローラに変更し、実施例31と同様に30000枚の画像評価を行った。この際、帯電ローラは感光体に当接させて、以下の条件にて帯電を行なった。
DC:−900V
その結果、実施例31の場合よりオゾン臭が少なく、良好であった。また、初期と30000後の画像非露光部の低下度合いは、実施例31の場合より実施例36の方が小さかった。
ただし、30000後の画像において、帯電ローラの汚れ(トナー付着)に基づくごく僅かな地汚れが認められた。
【0207】
(実施例37)
実施例36において、帯電部材を感光体表面より70μm離れるように近接配置した以外は、実施例36と同様に評価を行なった。
初期及び30000枚後における画像は、いずれも良好であった。また、実施例36の場合に比べ、帯電ローラの汚れがほとんど認められなかった。このため、実施例36の30000枚後にごく僅かに認められた帯電ローラ汚れに基づく、地汚れが実施例37では全く認められず、更に良好であった。
しかしながら、30000印刷後にハーフトーン画像を出力したところ、ごく僅かであるが、帯電ムラに基づく、画像ムラが認められた。
【0208】
(実施例38)
実施例37における帯電条件を以下のように変更した以外は、実施例37と同様に評価を行なった。
帯電条件:
DCバイアス:−900V
ACバイアス:1.8kV(peak to peak)、周波数2kHz
初期及び30000枚後における画像は、いずれも良好であった。実施例36で認められた帯電ローラ汚れに基づく地汚れ、実施例37で認められた帯電ムラに基づく画像ムラは全く認められなかった。
【0209】
(実施例39)
電鋳ニッケル・ベルト上に下記組成の下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥し、4μmの中間層、0.3μmの電荷発生層、25μmの電荷輸送層からなる電子写真感光体を形成した。
◎下引き層塗工液
二酸化チタン粉末 15部
ポリビニルブチラール 6部
2−ブタノン 150部
◎電荷発生層塗工液
合成例1で合成した顔料 15部
ポリビニルブチラール 10部
メチルエチルケトン 600部
メチルエチルケトンにポリビニルブチラールを溶解し、次いで合成した顔料を加え、ビーズミリングにより分散を行なった。
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート 10部
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【0210】
【化25】
Figure 0004215958
塩化メチレン 80部
【0211】
(実施例40)
実施例39における電荷発生層塗工液に含有する顔料を合成例3で合成した顔料に変更した以外は実施例39と同様に電子写真感光体を作製した。
【0212】
(比較例64)
実施例39における電荷発生層塗工液に含有する顔料を比較合成例1で合成した顔料に変更した以外は実施例39と同様に電子写真感光体を作製した。
【0213】
(比較例65)
実施例39における電荷発生層塗工液に含有する顔料を比較合成例2で合成した顔料に変更した以外は実施例39と同様に電子写真感光体を作製した。
【0214】
(比較例66)
実施例39における電荷発生層塗工液に含有する顔料を比較合成例3で合成した顔料に変更した以外は実施例39と同様に電子写真感光体を作製した。
このようにしてなる電子写真感光体を図5に示す電子写真プロセス(ただし、クリーニング前露光は無し)に装着し、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み) として、現像直前の感光体の表面電位が測定できるように表面電位計のプローブを挿入した。連続して一万枚の印刷を行ない、その時の画像露光部と画像非露光部の表面電位を初期と一万枚後に測定した。結果を表9に示す。
【0215】
【表9】
Figure 0004215958
表9より、実施例39〜40の電子写真感光体は繰返し使用後にも、安定した表面電位を維持していることがわかる。
【0216】
(実施例41)
アルミニウムシリンダー上に下記組成の下記組成の下引き層塗工液、電荷発生層塗工液、および電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥し、3.5μmの中間層、0.2μmの電荷発生層、28μmの電荷輸送層からなる電子写真感光体を形成した。
◎下引き層塗工液
二酸化チタン粉末 400部
メラミン樹脂 65部
アルキッド樹脂 120部
2−ブタノン 400部
◎電荷発生層塗工液
合成例2で合成した顔料 15部
ポリビニルブチラール 10部
酢酸n−プロピル 600部
酢酸n−プロピルにポリビニルブチラールを溶解し、次いで合成した顔料を加え、ビーズミリングにより分散を行なった。
◎電荷輸送層塗工液
ポリカーボネート 10部
下記構造式の電荷輸送物質 8部
【0217】
【化26】
Figure 0004215958
塩化メチレン 80部
【0218】
(比較例67)
実施例41の電荷発生層塗工液に含有される顔料を比較合成例1で作製した顔料に変更した以外は実施例41と同様に電子写真感光体を作製した。
【0219】
(比較例68)
実施例41の電荷発生層塗工液に含有される顔料を比較合成例4で作製した顔料に変更した以外は実施例41と同様に電子写真感光体を作製した。
上記の実施例41および比較例67〜68の各電子写真感光体を図6に示す電子写真プロセス用カートリッジに装着し(ただし、画像露光光源を780nmに発光を持つLDとした)、連続して一万枚の印刷を行ない、その時の画像を初期と一万枚後に評価した。結果を表10に示す。
【0220】
【表10】
Figure 0004215958
表10から実施例41の電子写真感光体は繰返し使用後にも、良好な画像を維持していることがわかる。
【0221】
(実施例42)
アルミニウムシリンダー表面を陽極酸化処理した後封孔処理を行なった。この上に、下記電荷発生層塗工液、電荷輸送層塗工液を、順次塗布・乾燥して各々0.2μmの電荷発生層、20μmの電荷輸送層を形成し、本発明の電子写真感光体を作製した。
◎電荷発生層塗工液
合成例4で合成した顔料 15部
ポリビニルブチラール 10部
メチルエチルケトン 600部
メチルエチルケトンにポリビニルブチラールを溶解し、次いで合成した顔料を加え、ビーズミリングにより分散を行なった。
◎電荷輸送層塗工液
下記構造式の電荷輸送物質 7部
【0222】
【化27】
Figure 0004215958
ポリカーボネート 10部
塩化メチレン 80部
【0223】
(比較例69)
実施例42における電荷発生層塗工液に含有される顔料を比較合成例1で作製した顔料に変更した以外は実施例42と同様に電子写真感光体を作製した。
【0224】
(比較例70)
実施例42における電荷発生層塗工液に含有される顔料を比較合成例5で作製した顔料に変更した以外は実施例42と同様に電子写真感光体を作製した。
【0225】
(実施例43)
実施例42における電荷輸送層塗工液を以下の組成のものに変更した以外は実施例4と同様に電子写真感光体を作製した。
◎電荷輸送層塗工液
下記構造式の高分子電荷輸送物質 10部
【0226】
【化28】
Figure 0004215958
塩化メチレン 100部
【0227】
(実施例44)
実施例42における感光体の電荷輸送層膜厚を17μmとし、更に電荷輸送層上に下記組成の保護層用塗工液を塗布乾燥して、3μmの保護層を形成した。
◎保護層用塗工液
ポリカーボネート 10部
下記構造の電荷輸送物質 7部
【0228】
【化29】
Figure 0004215958
アルミナ微粒子 4部
(比抵抗:2.5×1012Ω・cm、平均一次粒径:0.3μm)
テトラヒドロフラン 400部
シクロヘキサノン 200部
【0229】
(実施例45)
実施例42における感光体の電荷輸送層膜厚を17μmとし、更に電荷輸送層上に下記組成の保護層用塗工液を塗布乾燥して、3μmの保護層を形成した。
◎保護層用塗工液
下記構造の高分子電荷輸送物質 17部
【0230】
【化30】
Figure 0004215958
アルミナ微粒子 4部
(比抵抗:2.5×1012Ω・cm、平均一次粒径:0.3μm)
テトラヒドロフラン 600部
シクロヘキサノン 200部
このようにしてなる電子写真感光体を図4に示す電子写真プロセスに搭載した。ただし、画像露光光源を780nmの半導体レーザー(ポリゴン・ミラーによる画像書き込み)として、現像直前の感光体の表面電位が測定できるように表面電位計のプローブを挿入した。連続して30000枚の印刷を行ない、その時の画像露光部と画像非露光部の表面電位を初期と30000枚後に測定した。また、電荷輸送層の摩耗量も測定した。結果を表11に示す。
【0231】
【表11】
Figure 0004215958
表11から実施例42〜45の電子写真感光体は繰返し使用後にも、安定した画像を形成することが分かる。更に実施例43〜45の電子写真感光体は、耐摩耗性に優れているものであることが分かる。
【0232】
(実施例46)
実施例42で作製した感光体を用い、図4に示す電子写真装置の帯電部材を帯電ローラに変更し、実施例42と同様に30000枚の画像評価を行なった。この際、帯電ローラは感光体に当接させて、以下の条件にて帯電を行なった。
DC:−900V
その結果、実施例42の場合よりオゾン臭が少なく、良好であった。また、初期と30000後の画像非露光部の低下度合いは、実施例42の場合より実施例46の方が小さかった。
ただし、30000後の画像において、帯電ローラの汚れ(トナー付着)に基づくごく僅かな地汚れが認められた。
【0233】
(実施例47)
実施例42において、帯電部材を感光体表面より70μm離れるように近接配置した以外は、実施例42と同様に評価を行なった。
初期及び30000枚後における画像は、いずれも良好であった。また、実施例42の場合に比べ、帯電ローラの汚れがほとんど認められなかった。このため、実施例42の30000枚後にごく僅かに認められた帯電ローラ汚れに基づく、地汚れが実施例47では全く認められず、更に良好であった。
しかしながら、30000印刷後にハーフトーン画像を出力したところ、ごく僅かであるが、帯電ムラに基づく、画像ムラが認められた。
【0234】
(実施例48)
実施例42における帯電条件を以下のように変更した以外は、実施例42と同様に評価を行なった。
帯電条件:DCバイアス:−900V
ACバイアス:1.8kV(peak to peak)、周波数2kHz
初期及び30000枚後における画像は、いずれも良好であった。実施例46で認められた帯電ローラ汚れに基づく地汚れ、実施例47で認められた帯電ムラに基づく画像ムラは全く認められなかった。
【0235】
【発明の効果】
以上、詳細かつ具体的な説明から明らかなように、本発明によれば、高感度を失うことなく繰り返し使用によっても帯電性の低下を生じない安定な光導電材料の製造方法が提供され、また、これら光導電材料の特性を生かし切った分散液が提供され、そして、これを使用した感光体は、高感度を失うことなく繰り返し使用によっても帯電性の低下と残留電位の上昇を生じない安定な特性を有するという極めて優れた効果を奏するものである。
また、特定の製法により作製されたチタニルフタロシアニンを用いることによって、これを使用した感光体は、高感度を失うことなく繰り返し使用によっても、帯電性の低下と残留電位の上昇を生じず、また、耐摩耗性が高く、帯電性の低下と残留電位の上昇を生じない安定したものである。さらに本発明により、高感度を失うことなく繰り返し使用によっても、帯電性の低下と残留電位の上昇を生じない安定な電子写真装置および電子写真装置用プロセスカートリッジが提供されるという極めて優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の電子写真感光体を表わす断面図である。
【図2】 本発明の電子写真感光体の別の構成例を示す断面図である。
【図3】 本発明の電子写真感光体の更に別の構成例を示す断面図である。
【図4】 本発明の電子写真プロセス及び電子写真装置を説明するための概略図である。
【図5】 本発明による電子写真プロセスの別の例を示した図である。
【図6】 本発明におけるプロセスカートリッジを示した一般的な図である。
【図7】 本発明における合成例1で作製した顔料のX線回折スペクトルを示した図である。
【図8】 本発明におけるウェットケーキ乾燥品のX線回折スペクトルを示した図である。
【図9】 本発明におけるウェットケーキ乾燥品のX線回折スペクトルを示した別の図である。
【図10】 本発明における合成例5で作製した顔料のX線回折スペクトル示した図である。
【図11】本発明における比較合成例7で作製した顔料のX線回折スペクトル示した図である。
【図12】 本発明における比較合成例8で作製した顔料のX線回折スペクトルを示した図である。
【図13】 本発明における比較合成例9で作製した顔料のX線回折スペクトルを示した図である。
【図14】 本発明の電子写真感光体の更に別の構成例を示す断面図である。
【図15】 本発明の電子写真感光体の更に別の構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 感光体
2 除電ランプ
3 帯電チャージャ
4 イレーサ
5 画像露光部
6 現像ユニット
7 転写前チャージャ
8 レジストローラ
9 転写紙
10 転写チャージャ
11 分離チャージャ
12 分離爪
13 クリーニングチャージャ
14 ファーブラシ
15 クリーニングブラシ
16 感光体
17 帯電チャージャ
18 クリーニングブラシ
19 画像露光部
20 現像ローラ
21 感光体
22a 駆動ローラ
22b 駆動ローラ
23 帯電チャージャ
24 像露光源
25 転写チャージャ
26 クリーニング前露光
27 クリーニングブラシ
28 除電光源
31 導電性支持体
33 感光層
35 電荷発生層
37 電荷輸送層
39 保護層

Claims (31)

  1. CuKαの特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有する不定形チタニルフタロシアニンを水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行なうCuKαの特性X線に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンの製造方法において、該有機溶媒中に酸化防止剤を含有することを特徴とするチタニルフタロシアニンの製造方法。
  2. 前記7.0〜7.5゜の回折ピークの半値巾が1゜以上である不定形チタニルフタロシアニンを水の存在下で有機溶媒により結晶変換を行なうことを特徴とする請求項1に記載のチタニルフタロシアニンの製造方法。
  3. 前記不定形チタニルフタロシアニンが、アシッドペースト処理により作製されたものであることを特徴とする請求項1又は2に記載のチタニルフタロシアニンの製造方法。
  4. 前記不定形チタニルフタロシアニンが、ハロゲン化チタンを用いずに合成されたものであることを特徴とする請求項1乃至3の何れか1に記載のチタニルフタロシアニンの製造方法。
  5. 前記酸化防止剤が、ヒンダードフェノールあるいはヒンダードアミンであることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1に記載のチタニルフタロシアニンの製造方法。
  6. 請求項1乃至5の何れか1に記載の製造方法にて作製されたチタニルフタロシアニン結晶を含有することを特徴とする電子写真感光体用分散液。
  7. 前記分散液に含有される分散媒が、少なくともケトン系あるいはエステル系有機溶媒の中から選ばれる一種を含むことを特徴とする請求項6に記載の電子写真感光体用分散液。
  8. 前記分散液に含有されるバインダー樹脂が、少なくともアセチル化度が4mol%以上のポリビニルアセタールを含むことを特徴とする請求項6または7に記載の電子写真感光体用分散液。
  9. 導電性支持体上に、少なくとも感光層を設けた電子写真感光体であって、該感光層が、請求項6乃至8のいずれかに記載の電子写真感光体用分散液を用いて形成されたことを特徴とする電子写真感光体。
  10. 導電性支持体上に少なくとも感光層を設けた電子写真感光体において、該感光層中に電荷発生物質として、CuKαの特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有する不定形チタニルフタロシアニンを水の存在下で酸化防止剤を含有する有機溶媒により結晶変換を行なったCuKαの特性X線に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンを含有することを特徴とする電子写真感光体。
  11. 前記不定形チタニルフタロシアニンにおいて、7.0〜7.5゜の回折ピークの半値巾が1゜以上であることを特徴とする請求項10に記載の電子写真感光体。
  12. 前記不定形チタニルフタロシアニンが、アシッドペースト処理により作製されたものであることを特徴とする請求項10又は11に記載の電子写真感光体。
  13. 前記不定形チタニルフタロシアニンが、ハロゲン化チタンを用いずに合成されたものであることを特徴とする請求項10乃至12の何れか1に記載の電子写真感光体。
  14. 前記酸化防止剤がヒンダードフェノールあるいはヒンダードアミンであることを特徴とする請求項10乃至13の何れか1に記載の電子写真感光体。
  15. 前記結晶変換後のチタニルフタロシアニンが、CuKαの特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、7.5゜より低角側にピークを有し、そのピーク強度が27.2゜のピーク強度の10%以下であることを特徴とする請求項10乃至14の何れか1に記載の電子写真感光体。
  16. 前記感光層が電荷発生層と電荷輸送層の積層構成からなることを特徴とする請求項10乃至15の何れか1に記載の電子写真感光体。
  17. 前記電子写真感光体の電荷輸送層に含有される高分子電荷輸送物質が、少なくともトリアリールアミン構造を主鎖および/または側鎖に含むポリカーボネートであることを特徴とする請求項16に記載の電子写真感光体。
  18. 電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行なう電子写真方法であって、該電子写真感光体が請求項9に記載のものであることを特徴とする電子写真方法。
  19. 電子写真感光体に、少なくとも帯電、画像露光、現像、転写を繰り返し行う電子写真方法において、該電子写真感光体の感光層に電荷発生物質として、CuKαの特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有する不定形チタニルフタロシアニンを水の存在下で酸化防止剤を含有する有機溶媒により結晶変換を行った27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンを含有することを特徴とする電子写真方法。
  20. 少なくとも電子写真感光体、帯電手段、画像露光手段、現像手段および転写手段を具備してなる電子写真装置であって、該電子写真感光体が請求項記載のものであることを特徴とする電子写真装置。
  21. 前記電子写真感光体の感光層上に保護層が設けられた電子写真感光体を具備することを特徴とする請求項20記載の電子写真装置。
  22. 前記感光体の保護層にフィラーを含有することを特徴とする請求項21に記載の電子写真装置。
  23. 前記フィラーが無機フィラーであることを特徴とする請求項22に記載の電子写真装置。
  24. 前記感光体の保護層に電荷輸送物質を含有することを特徴とする請求項21乃至23の何れか1に記載の電子写真装置。
  25. 前記感光体の保護層に含有される電荷輸送物質が高分子電荷輸送物質であることを特徴とする請求項21乃至24のいずれかに記載の電子写真装置。
  26. なくとも帯電手段、画像露光手段、現像手段、転写手段および電子写真感光体を具備してなる電子写真装置であって、該電子写真感光体の感光層に電荷発生物質として、CuKαの特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有する不定形チタニルフタロシアニンを水の存在下で酸化防止剤を含有する有機溶媒により結晶変換を行った27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンを含有することを特徴とする電子写真装置。
  27. 前記画像露光手段がLDあるいはLED等を使用することによって感光体上に静電潜像の書き込みが行なわれる、所謂デジタル方式の電子写真装置であることを特徴とする請求項26に記載の電子写真装置。
  28. 前記帯電手段が帯電部材を感光体に接触もしくは近接配置したものであることを特徴とする請求項26または27に記載の電子写真装置。
  29. 前記帯電部材に直流成分に交流成分を重畳し、感光体に帯電を与えることを特徴とする請求項26乃至28の何れか1に記載の電子写真装置。
  30. 電子写真感光体を具備してなる電子写真装置用プロセスカートリッジであって、該電子写真感光体が請求項に記載のものであることを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ。
  31. 電子写真感光体を具備してなる電子写真装置用プロセスカートリッジであって、該電子写真感光体の感光層に電荷発生物質として、CuKαの特性X線(波長1.541Å)に対するブラッグ角2θの回折ピーク(±0.2゜)として、少なくとも7.0〜7.5゜に最大回折ピークを有する不定形チタニルフタロシアニンを水の存在下で酸化防止剤を含有する有機溶媒により結晶変換を行なった27.2゜に最大回折ピークを有するチタニルフタロシアニンを含有することを特徴とする電子写真装置用プロセスカートリッジ。
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