JP2009222800A - 電荷発生層形成用塗布液、電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

電荷発生層形成用塗布液、電子写真感光体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】感度変化の小さい、かつ画像出力時に黒ポチのような画像欠陥の少ない電子写真感光体を製造しうる電荷発生層形成用塗布液を提供することを課題とする。
【解決手段】導電性基体上に少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を含む感光層を有する電子写真感光体の電荷発生層形成用塗布液であって、前記電荷発生層形成用塗布液が、電荷発生物質としての顔料粒子及び結着樹脂を含み、かつろ過処理されており、前記顔料粒子が、1次粒子及び2次凝集粒子を含み、1.0μm以下の平均粒子径を有し、かつろ過前の累積90%粒子径に対するろ過後の累積90%粒子径の比率として、65〜90%を示すことを特徴とする電荷発生層形成用塗布液により上記課題を解決する。
【選択図】図4

Description

本発明は、電荷発生層形成用塗布液、電子写真感光体の製造方法に関する。
複写機、プリンタ又はファクシミリ装置等として用いられる電子写真方式の画像形成装置(以下、電子写真装置とも称する)では、以下のような電子写真プロセスを経て画像を形成する。
まず、装置に備わる電子写真感光体(以下、単に感光体とも称する)の感光層を、帯電器により帯電させ、画像情報に応じて照射されるレーザ光のような光によって露光することで、感光層に静電潜像を形成する。形成された静電潜像に対応する感光体の表面に現像剤成分であるトナーを付着させることによって静電潜像を現像する(トナー画像として顕像化する)。形成されたトナー画像を、記録紙のような被転写材上に転写し、次いで定着させることで画像が形成される。
転写の際、感光体表面のトナーがすべて被転写材に転写されるのではなく、一部が感光体表面に残留する。また、被転写材に由来する紙粉のような異物が感光体表面に付着することもある。このような感光体表面の残留トナー及び付着紙粉等の異物は、形成される画像の品質に悪影響を及ぼすので、クリーニング装置によって除去される。クリーニングされた感光体を除電することで、静電潜像を消失させる。
また、電子写真技術の中核をなす感光体は、通常、アルミニウム材料からなる基体と、基体上に形成された有機光導電性材料やα−Siのような無機材料からなる感光層とを備えている。その内、有機光導電性材料からなる有機感光体は、無公害、製造の容易さ、安価なコスト、設計自由度等の利点から、近年、感光体の主流を占めている。特に、有機感光体の性能は、電荷発生機能と電荷輸送機能とを別々の物質にそれぞれ分担させた機能分離型感光体の開発によって著しく改善されている。機能分離型感光体は、有機感光体の有する前述の利点に加え、感光層を構成する材料の選択範囲が広く、任意の特性を有する感光体を比較的容易に作製できるという利点も有している。
機能分離型感光体には積層型と単層型とがある。
積層型の機能分離型感光体では、電荷発生機能を担う電荷発生物質を含有する電荷発生層と、電荷輸送機能を担う電荷輸送物質を含有する電荷輸送層とが積層されている。電荷発生層及び電荷輸送層は、通常、電荷発生物質及び電荷輸送物質がそれぞれ結着剤である結着樹脂中に分散された構成を有している。
また、単層型の機能分散型感光体では、電荷発生物質と電荷輸送物質とが結着樹脂中に共に分散されている。
場合によっては、オゾン暴露に対する耐久性の向上や機械強度の向上のために、感光体の最上層に保護層を設ける場合がある。この機能分離型の有機感光体の製造のほとんどが、各層の形成用の塗布液に浸漬塗布し、塗膜を乾燥させることにより各層を形成している。
詳細には、アゾ系顔料やフタロシアニン系顔料等の電荷発生材料(顔料粒子)と結着樹脂溶液を混合分散して電荷発生層形成用塗布液を調製し、また、ヒドラゾン系化合物やスチルベン系化合物等の電荷輸送材料と結着樹脂溶液を混合分散して電荷輸送層形成用塗布液を調製する。基体上に下引き層を形成した後、電荷発生層形成用塗布液、電荷輸送層形成用塗布液の順に、あるいはその逆順で塗布することで、電荷発生層及び電荷輸送層を形成する。
ところで、電子写真感光体には、良好な帯電特性及び光感度、小さな残留電位が求められ、それら特性が疲労後においても変化しないことも求められている。塗布液製造時に原材料に存在する不純物や、塗布液の組成変化によって生じた不純物等により、これらの特性が低下してしまうことがある。また、塗布液に新液(新たに調合した塗布液)を用いる場合、原材料中の極微量な不純物や塗布液中の顔料粒子の1次粒子が凝集することにより生じた粗大な2次凝集粒子により、上記特性が影響を受ける。加えて、極微量な不純物や2次凝集粒子は、画像形成時に黒点等の画像欠陥を生させるという問題を発生させる。
一般的には原材料の精製は十分に行われているが、それでもなお原因不明の特性不良が生じることがある。そのため、塗布液を種々のフィルターを用い、フィルターリングすることで混入した不純物や2次凝集体を除去する方法がとられている。例えば、特開2001-75296号公報(特許文献1)では、塗布液内の粗大粒子が原因となって、画像欠陥が生じることから、その粗大粒子の分布をフィルターリングにより規定することが報告されている。また、カラー化・高解像度化に伴う、出力画像の高度化の要求の高まりから、黒点のような画像欠陥の低減がより必要とされてきている。
特開2001-75296号公報
しかしながら、前述したフィルターリングは、条件によっては電荷発生層塗布液中に分散された顔料を余分に除去してしまう。そのため固形分濃度が変化し、安定して塗布液を調製することが困難となる。また、フィルターリングによる過剰なシェアが顔料結晶型の転移を引き起こし、電子写真感光体として感度劣化等の問題が生じる。また、前述した粗大粒子をただ単に規定値以下にすることだけでは、2次凝集粒子が起因と考えられる黒点等の画像欠陥の低減が、十分ではなかった。
本発明の発明者等は、上記課題を鑑み、塗布工程前にろ過を行い、電荷発生層塗布液中に含まれる粗大な2次凝集粒子を除去し、塗布液に適正な粒度分布を持たせることで、安定した状態の塗布液が得られることを見い出し、本発明に至った。更に、この塗布液を使用すれば、感度変化の小さい、かつ画像出力時に黒ポチのような画像欠陥の少ない電子写真感光体を提供できることも見い出している。
かくして本発明によれば、導電性基体上に少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を含む感光層を有する電子写真感光体の電荷発生層形成用塗布液であって、
前記電荷発生層形成用塗布液が、電荷発生物質としての顔料粒子及び結着樹脂を含み、かつろ過処理されており、
前記顔料粒子が、1次粒子及び2次凝集粒子を含み、1.0μm以下の平均粒子径を有し、かつろ過前の累積90%粒子径に対するろ過後の累積90%粒子径の比率として、65〜90%を示すことを特徴とする電荷発生層形成用塗布液が提供される。
更に、本発明によれば、導電性基体上に少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を含む電子写真感光体の製造方法であって、前記電荷発生層が上記電荷発生層形成用塗布液を用いて形成されることを特徴とする電子写真感光体の製造方法が提供される。
本発明によれば、顔料粒子の2次凝集粒子の含有量が低減されるため、顔料粒子の粒度分布がシャープ化された電荷発生層形成用塗布液を提供できる。この塗布液を使用することで、均一性の高い、感度変化の小さい、安定した特性の感光体を提供できる。
また、顔料粒子がフタロシアニン顔料である場合、高感度で化学的安定性に優れ、かつ長期的にも高感度を維持できる感光体を提供可能な塗布液を提供できる。また、このような塗布液を用いて形成された感光体は、上記特徴に加え、画像欠陥を少なくできる。
更に、ろ過前の累積90%粒子径が、1.0μm以下である場合、結晶系が変化しない程度の比較的穏やかな条件下で、ろ過による最適な粒度分布へと調整可能な塗布液を提供できる。また、このような塗布液を用いて形成された感光体は、上記特徴に加え、画像欠陥を少なくできる。
また、ろ過が、デプスフィルターを用いて行われる場合、凝集体を短時間に効率よく、捕捉除去することが可能である。そのため、長期的なろ過条件においても耐久性が高く、網目状構造より細部にまで充分なろ過が可能である。その結果、より均一性の高い膜形成が可能な塗布液を提供できる。
更に、ろ過が、循環ろ過であり、かつ5μm以下の平均孔径のフィルターを用いて行われる場合、画像に欠陥をもたらす粒子径が3μm以上の著しく大きい凝集体を補足除去できる。そのため、均一性の高い膜形成が可能な塗布液を提供できる。
また、ろ過が、循環ろ過であり、かつろ過前の累積90%粒子径より小さい平均孔径のフィルターを用いて行われる場合、凝集体を短時間に効率よく、捕捉除去できる。そのため、ろ過後における顔料粒子の粒度分布がシャープ化され、より均一性の高い膜形成が可能な塗布液を提供できる。
更に、上記塗布液を使用して感光体を製造するため、均一性の高い、感度変化の小さい、安定した特性の感光体を高い生産性で製造できる。
また、電荷発生層が浸漬塗布法によって製造されることにより、より高い均一性で、感度変化の小さい、安定した特性の感光体を高い生産性で製造できる。
更に、上記方法により得られた感光体は、電荷発生層がきれいに製造されるため、画像欠陥が抑制されている。
また、上記感光体を反転現像法を採用した画像形成装置に使用することで、デジタルタイプの画像形成装置に搭載される結晶型の維持と微粒子化が困難な感光体であっても、画像欠陥のない画像形成装置を提供できる。
具体的には下記するが、本発明は、1次粒子及び2次凝集粒子を含み、1.0μm以下の平均粒子径を有し、かつろ過前の累積90%粒子径に対するろ過後の累積90%粒子径の比率として、65〜90%を示す顔料粒子を使用することを特徴の1つとしている。
本発明において規定する顔料粒子の平均粒子径(体積平均粒子径)及び累積90%粒子径とは、1次粒子及び2次凝集粒子に係る値であって、以下の内容を意味する。すなわち、粒子の全体積を100%として粒子径の累積カーブを試算する。得られた累積カーブが50%となる点の粒子径を体積平均粒子径とし、累積カーブが90%となる点の粒子径を累積90%粒子径とする。これらの値は、重量沈降法、動的光散乱法等の粒度分布測定等の公知の方法により測定可能である。
2次凝集粒子は、地肌汚れや黒ポチ等の欠陥を画像に与えるためになんらかの方法で除去及び発生防止する必要がある。その除去及び発生防止方法としては、分散時に電荷発生物質の粒子を小径化する方法、フィルターによるろ過を行う方法等が挙げられる。
詳細には、前者は、結晶型が安定な材料かつ分散時間の最適化により、分散と凝集のバランスを保ちながら、粒子の小径化をはかる方法である。また、後者は、ある一定粒子径まで分散された粒子のうち2次凝集粒子をフィルターを用いてろ過による除去する方法である。但し、場合によってはこれらの方法は分散時間の長期化やシェアによる過剰なストレスにより、塗布液の顔料粒子に結晶転移を発生させてしまうことがある。
従来、チタニルフタロシアニン等の粒子を用いた分散液においては、高感度化や分散安定性の向上を目的として粒子の平均粒子径の制御が行われてきたが、これら粒子径と黒ポチとの間での画像欠陥に関する充分な理解がされていなかった。同時に、同一種の顔料であり、平均粒子径が同等であった場合においても、その時々で最終画像の画像欠陥に差が生じることから、更に微視的な対策が必要とされ、平均粒子径のみの規定では充分ではないことを発明者等は見い出している。
本発明は、上記問題点を解決し、分散により結晶型の転移がなく、凝集体の残存が少ない電荷発生層形成用塗布液を実現した。
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
ただし、以下に説明する実施の形態は、本発明の趣旨に順ずる範囲において、変形可能であり、限定されるものではない。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態である電子写真感光体1の構成を簡略化して示す部分断面図である。本実施の形態の電子写真感光体1(以下、感光体1と略称する)は、導電性材料からなる円筒状の導電性基体11と、導電性基体11の外周面上に積層される層であって電荷発生物質を含有する電荷発生層12と、電荷発生層12の上に更に積層される層であって電荷輸送物質を含有する電荷輸送層13とを含む。電荷発生層12と電荷輸送層13とは、感光層14を構成する。すなわち、感光体1は、積層型感光体である。
また、図2に示すように、導電性基体11と電荷発生層12との間に中間層15を設けた積層型感光体であってもよい。
(導電性基体)
導電性基体11は、感光体1の電極としての役割を果たすとともに、他の各層12、13の支持部材としても機能する。なお導電性基体11の形状は、図1では円筒状であるけれども、これに限定されることなく、円柱状、シート状又は無端ベルト状等であってもよい。
導電性基体11を構成する導電性材料としては、例えばアルミニウム、銅、亜鉛、ニッケル、チタン等の金属単体、アルミニウム合金、ステンレス鋼等の合金を用いることができる。またこれらの金属材料に限定されることなく、ポリエチレンテレフタレート、ナイロンもしくはポリスチレン等の高分子材料、硬質紙又はガラス等の表面に、金属(アルミニウム、金、銀、銅、亜鉛、ニッケル、チタン)箔をラミネートしたもの、金属(アルミニウム、金、銀、銅、亜鉛、ニッケル、チタン)材料を蒸着したもの、又は導電性高分子、酸化スズ、酸化インジウム等の導電性化合物の層を蒸着もしくは塗布したもの等を用いることもできる。これらの導電性材料は所定の形状に加工されて使用される。
導電性基体11の表面には、必要に応じて、画質に影響のない範囲内で、陽極酸化皮膜処理、薬品もしくは熱水等による表面処理、着色処理、又は表面を粗面化する等の乱反射処理を施してもよい。レーザを露光光源として用いる電子写真プロセスでは、レーザ光の波長が揃っている。そのため、感光体表面で反射されたレーザ光と感光体内部で反射されたレーザ光とが干渉を起こし、この干渉による干渉縞が画像上に現れて画像欠陥となることがある。導電性基体11の表面に前述のような処理を施すことによって、この波長の揃ったレーザ光の干渉による画像欠陥を防止できる。
(電荷発生層)
電荷発生層12は、光を吸収することによって電荷を発生する電荷発生物質を主成分として含有する。主成分とは、その成分がその主たる機能を発現できる量を含有することを意味する。電荷発生物質として有効な物質としては、有機顔料が挙げられる。有機顔料としては、モノアゾ系顔料、ビスアゾ系顔料、トリスアゾ系顔料等のアゾ系顔料、インジゴ又はチオインジゴ等のインジゴ系顔料、ペリレンイミド又はペリレン酸無水物等のペリレン系顔料、アントラキノン又はピレンキノン等の多環キノン系顔料、金属フタロシアニン又は無金属フタロシアニン等のフタロシアニン系顔料が挙げられる。これら有機顔料を単独で使用してもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。
有機顔料に加えて、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルー、ビクトリアブルー等に代表されるトリフェニルメタン系色素、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジ、フラペオシン等に代表されるアクリジン系色素、メチレンブルー、メチレングリーン等に代表されるチアジン系色素、カプリブルー又はメルドラブルー等に代表されるオキサジン系色素、スクアリリウム色素、ピリリウム塩類及びチオピリリウム塩類、チオインジゴ系色素、ビスベンゾイミダゾール系色素、キナクリドン系色素、キノリン系色素、レーキ系色素、アゾレーキ系色素、ジオキサジン系色素、アズレニウム系色素、トリアリルメタン系色素、キサンテン系色素、シアニン系色素、トリフェニルメタン系色素等の有機光導電性材料、ならびにセレン及び非晶質シリコン等の無機光導電性材料等の他の電荷発生物質も使用できる。これら他の電荷発生物質を単独で使用してもよく、2種以上組み合わせて使用してもよい。
上記の電荷発生物質の中でも、下記一般式(A):
(式中、X1、X2、X3及びX4は、それぞれハロゲン原子、アルキル基又はアルコキシ基を示し、r、s、y及びzは、それぞれ0〜4の整数を示す。)
で示されるオキソチタニウムフタロシアニン化合物を用いることが好ましい。
一般式(A)における、X1、X2、X3及びX4が示すハロゲン原子としては、フッ素、塩素、臭素及びヨウ素原子が挙げられる。
また、X1、X2、X3及びX4が示すアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、t−ブチル基のようなC1〜C4のアルキル基が挙げられる。
更に、X1、X2、X3及びX4が示すアルコキシ基としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、イソブトキシ、t−ブトキシ基のようなC1〜C4のアルコキシ基が挙げられる。
一般式(A)で示されるオキソチタニウムフタロシアニン化合物は、高い電荷発生効率と高い電荷注入効率とを有する電荷発生物質である。そのためこの化合物を用いた電荷発生層12は、光を吸収することによって多量の電荷を発生すると共に、発生した電荷をその内部に蓄積することがない。そのため、電荷を電荷輸送層13に含有される電荷輸送物質に効率よく注入できるので、電荷を感光層14表面に円滑に輸送できる。
前記一般式(A)で示されるオキソチタニウムフタロシアニン化合物は、例えばMoser, Frank H及びArthur L. ThomasによるPhthalocyanine Compounds、Reinhold Publishing Corp.、New York、1963に記載されている方法等の公知の製造方法によって製造できる。
例えば、前記一般式(A)で示されるオキソチタニウムフタロシアニン化合物のうち、r、s、y及びzが0である無置換のオキソチタニウムフタロシアニンの場合は、フタロニトリルと四塩化チタンとを、加熱融解するか又はα−クロロナフタレン等の適当な溶剤中で加熱反応させることによってジクロロチタニウムフタロシアニンを合成した後、塩基又は水で加水分解することによって得られる。
またイソインドリンとテトラブトキシチタン等のチタニウムテトラアルコキシドとを、N−メチルピロリドン等の適当な溶剤中で加熱反応させることによっても、オキソチタニウムフタロシアニンを製造できる。
主成分として含まれる電荷発生物質以外の任意成分としては、増感染料、結着樹脂、レベリング剤、可塑剤等が挙げられる。
増感染料としては、メチルバイオレット、クリスタルバイオレット、ナイトブルー及びビクトリアブルー等に代表されるトリフェニルメタン系染料、エリスロシン、ローダミンB、ローダミン3R、アクリジンオレンジ及びフラペオシン等に代表されるアクリジン染料、メチレンブルー及びメチレングリーン等に代表されるチアジン染料、カプリブルー及びメルドラブルー等に代表されるオキサジン染料、シアニン染料、スチリル染料、ピリリウム塩染料又はチオピリリウム塩染料等が挙げられる。増感染料は、電荷発生物質100重量部に対して、10重量部以下の割合で使用することが好ましい、0.5〜2.0重量部の割合で使用することがより好ましい。
電荷発生層12の形成方法としては、電荷発生物質を適当な溶剤中に分散して得られる電荷発生層形成用塗布液を導電性基体11の表面に塗布する方法が挙げられる。これらの中でも、結着剤である結着樹脂を溶剤中に混合して得られる結着樹脂溶液中に、電荷発生物質を従来公知の方法によって分散して電荷発生層形成用塗布液を調製し、得られた塗布液を導電性基体11の表面に塗布する方法が好適に用いられる。以下、この方法について説明する。
電荷発生層12に用いられる結着樹脂としては、例えばポリエステル、ポリスチレン、ポリウレタン、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、アクリル樹脂、メタクリル樹脂、ポリカーボネート、ポリアリレート、フェノキシ樹脂、ポリビニルブチラール及びポリビニルホルマール、ならびにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体等を挙げることができる。共重合体の具体例としては、例えば塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、塩化ビニル−酢酸ビニル−無水マレイン酸共重合体及びアクリロニトリル−スチレン共重合体等の絶縁性樹脂を挙げることができる。結着樹脂はこれらに限定されるものではなく、一般に用いられる樹脂を結着樹脂として使用できる。これらの樹脂は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。
電荷発生層形成用塗布液の溶剤には、例えばテトラクロロプロパン又はジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、アセトン、イソホロン、メチルエチルケトン、アセトフェノン、シクロヘキサノン等のケトン類、酢酸エチル、安息香酸メチル、酢酸ブチル等のエステル類、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、ジベンジルエーテル、1,2−ジメトキシエタン又はジオキサン等のエーテル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、テトラリン、ジフェニルメタン、ジメトキシベンゼン、ジクロルベンゼン等の芳香族炭化水素類、ジフェニルスルフィド等の含イオウ溶剤、ヘキサフロオロイソプロパノール等のフッ素系溶剤、N,N−ジメチルホルムアミド又はN,N−ジメチルアセトアミド等の非プロトン性極性溶剤等が用いられる。また、これらの溶剤を2種以上混合した溶剤を用いることもできる。これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。
電荷発生物質と結着樹脂とを含んで構成される電荷発生層12において、電荷発生物質の重量W1と結着樹脂の重量W2との比率W1/W2は、100分の10(10/100)以上100分の200(200/100)以下であることが好ましい。前記比率W1/W2が10/100未満であると、感光体1の感度が低下することがあるので好ましくない。前記比率W1/W2が200/100を超えると、電荷発生層12の膜強度が低下するだけでなく、電荷発生物質の分散性が低下して粗大粒子が増大することがある。そのため、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷が減少し、画像欠陥、特に白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ぽちと呼ばれる画像のかぶりが多くなることがある。比率W1/W2は、50/100以上、150/100以下であることがより好ましい。
電荷発生物質は、結着樹脂溶液中に分散される前に、予め粉砕機によって粉砕処理されていてもよい。粉砕処理に用いられる粉砕機としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル及び超音波分散機等を挙げることができる。
電荷発生物質を結着樹脂溶液中に分散させる際に用いられる分散機としては、ペイントシェーカ、ボールミル及びサンドミル等を挙げることができる。このときの分散条件としては、用いる容器及び分散機を構成する部材の摩耗等による不純物の混入が起こらないように適当な条件を選択することが好ましい。
また、上記分散機により電荷発生物質は結着樹脂溶液中に分散されるが、分散が進み安定化されるのと同時に凝集して2次凝集粒子を発生することがある。特に高感度を有するチタニルフタロシアニン顔料は非常に凝集力が大きいために凝集体ができやすい。本発明では凝集した電荷発生物質の塗布液中の量を抑制できる。
電荷発生層形成用塗布液中に分散されている顔料粒子の平均粒子径は可能な限り小粒径であることが好ましく、かつ粒度分布もシャープであることが好ましい。具体的には、平均粒子径は1.0μm未満であることが好ましく、0.5μm以下であることがより好ましい。
また、ろ過前の累積90%粒子径に対するろ過後の累積90%粒子径の比率は、65〜90%であることが好ましい。比率が65%未満の場合、顔料を余分に除去することで感度劣化を起こすことがある。比率が90%より大きい場合、充分なろ過効果が得られないことがある。比率は、75〜85%であることがより好ましい。
更に、ろ過前の平均粒子径に対するろ過後の平均粒子径の比率は、75〜95%であることが好ましく、85〜95%であることがより好ましい。
また、ろ過前の累積90%粒子径は1.0μm以下であることが好ましく、0.8μm以下であることがより好ましい。一方、ろ過後の累積90%粒子径は1.0μm以下であることが好ましく、0.8μm以下であることがより好ましい。
前記のようなシャープ化された分布状態にすることで、平均粒子径が同一な場合であっても、画像欠陥を引き起こす凝集体の比率は極めて少なくなり、しいては最終画像への影響を抑制できる。
本発明における条件にてろ過を行う場合において、ろ過前後の粒度分布の一例を図3(a)及び図3(b)に示す。図3(a)はろ過以前の状態であり、図3(b)はろ過以後の状態であり、ろ過は循環ろ過である。両図を比較すると、ろ過後の粒度分布がシャープになっていることが分かる。
また、図3(a)及び図3(b)のろ過前後の塗布液を用いて形成された電荷発生層を備えた感光体を用いて、反転現像方式により画像形成を行った場合に出力された画像データを図4(a)、図4(b)に示す(最も黒ポチ等が発生する領域での条件を選択している)。図4(a)はろ過前の塗布液を用いた場合を、図4(b)はろ過後の塗布液を用いた場合を示している。両図を比較すると、ろ過後は、ろ過前に比べて有意に黒ポチを減少できていることがわかる。
塗布液のろ過方法としては、自然ろ過、加圧ろ過、減圧ろ過、遠心ろ過等が挙げられる。ろ過は循環方式を採用してもよい。ろ過効率は分離、除去、回収等の用途によって選定される。また、ろ過効率は使用するフィルター孔径により大きく変化し、孔径が大きすぎると、不純物の除去効率が低下し、小さすぎると、フィルターに目詰まりが生じることがあり除去効率が低下する。そのため、所望する範囲の粒子径に見合った形で、孔径を選択する必要がある。
ろ過に使用するフィルターとしては、メンブレンフィルター、デプスフィルター等が挙げられる。フィルターは、塗布液製造後に行う1次ろ過(メディア等で発生した不純物や初期的な異物の除去)においても使用できる。また、本発明に使用される塗布工程以前に行われるろ過においては、デプスフィルターを用いることが好ましい。デプスフィルターは、ろ液が透過する方向にある一定の厚みをもったろ材を使用したフィルターである。このフィルターは、粒子捕捉性能が高く、耐久性にも優れていることから、長時間の循環ろ過に使用できる。また、循環ろ過に使用するデプスフィルターの平均孔径は5μm以下であることが好ましく、0.2〜5μmであることがより好ましく、0.2〜3μmであることが特に好ましい。
また、循環ろ過に使用するフィルターの平均孔径は、ろ過前の累積90%粒子径より小さい平均孔径であることが好ましい。
図5はフィルターを有する塗布液循環ろ過装置の構成を示す概略図である。一定量の液量を循環するのに必要な塗布槽21に塗布液が収容されている。一定の液量の循環を行うために、ポンプ22にて塗布液が加圧される。加圧された塗布液は、フィルター23を通過することで、塗布液製造時にできる凝集体が除去される。除去後の塗布液は、塗布槽21へと戻る。循環ろ過では、このろ過を繰り返し行う。
ここで、ろ過はろ過前後の累積90%粒子径の比率が65〜90%の範囲内にありさえすれば、ろ過を1回行なう(すなわち、1パス処理)だけでもよく、ろ過を複数回行なってもよい(すなわち、循環ろ過してもよい)。ろ過の回数は、例えばフィルター種に応じて適宜設定できる。ところで、発明者等によれば、ろ過の前後で粒子径が同一であったとしても、循環ろ過を行なった方が、1パス処理より良好な結果が得られることを見い出している。この理由は、発明者等は、一定の流速のもとでは、凝集した粒子がフィルターに捕捉されやすいこと、数度のろ過(フィルターパス)は粒度分布をシャープな形状にできること、でよりその効果が改善されていると推測している。
なお、循環ろ過条件として、塗布液の圧力を制御する流量は2.0〜10Kg/分とでき、循環時間は12〜72時間とすることができ、更に3.0〜6.0Kg/分、24〜72時間とすることもできる。但し、これら流量及び循環時間は、例えば配管等の装置形状に応じて適宜設定できる。
電荷発生層形成用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法及び浸漬塗布法等を挙げることができる。これらの塗布方法から、塗布液の物性及び塗布の生産性等を考慮に入れて最適な方法を選択できる。これらの塗布方法の中で、浸漬塗布法は、塗布液を満たした塗布槽に基体を浸漬した後、一定速度又は逐次変化する速度で基体を引上げることによって、基体の表面上に層を形成する方法である。浸漬塗布法は、比較的簡単で、生産性及び製造コストの点で優れているので、電子写真感光体を製造する場合に多く利用されている。なお、浸漬塗布法に用いる装置には、塗布液の安定に分散させるために、超音波発生装置に代表される塗布液分散装置を設けてもよい。
電荷発生層12の膜厚は、0.05〜5μmであることが好ましく、より好ましくは0.1〜1μmである。電荷発生層12の厚さが0.05μm未満であると、光吸収の効率が低下し、感光体1の感度が低下することがある。電荷発生層12の厚さが5μmを超えると、電荷発生層12内部での電荷移動が感光層14の表面電荷を消去する過程の律速段階となり、感光体1の感度が低下することがある。
(電荷輸送層)
電荷発生層12上には電荷輸送層13が設けられる。電荷輸送層13は、電荷発生層12に含まれる電荷発生物質が発生した電荷を受入れ、これを輸送する能力を有する電荷輸送物質と、電荷輸送物質を結着させる結着樹脂とを含みうる。
電荷輸送物質としては、ホール輸送物質及び電子輸送物質を用いることができる。
具体的には、エナミン誘導体、カルバゾール誘導体、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体、トリアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、イミダゾロン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ビスイミダゾリジン誘導体、スチリル化合物、ヒドラゾン化合物、多環芳香族化合物、インドール誘導体、ピラゾリン誘導体、オキサゾロン誘導体、ベンズイミダゾール誘導体、キナゾリン誘導体、ベンゾフラン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、アミノスチルベン誘導体、トリアリールアミン誘導体、トリアリールメタン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、スチルベン誘導体及びベンジジン誘導体等が挙げられる。
また、上記化合物の基本構成を主鎖又は側鎖に有するポリマー、例えばポリ(N−ビニルカルバゾール)、ポリ(1−ビニルピレン)及びポリ(9−ビニルアントラセン)等も電荷輸送物質として使用できる。
結着樹脂には、主にポリカーボネートが用いられる。その他に、ポリカーボネートに添加しうる第2成分として、例えばポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のビニル重合体及びこれらを構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体樹脂、ならびにポリエステル、ポリエステルカーボネート、ポリスルホン、フェノキシ樹脂、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリアリレート、ポリアミド、ポリエーテル、ポリウレタン、ポリアクリルアミド及びフェノール樹脂等が挙げられる。またこれらの樹脂を部分的に架橋した熱硬化性樹脂も使用できる。
結着樹脂は、電荷輸送層全量に対して、好ましくは30〜80重量%の範囲で使用できる。
電荷輸送層13には、必要に応じて各種添加剤を添加してもよい。例えば、成膜性、可撓性又は表面平滑性を向上させるために、可塑剤又はレベリング剤等を添加してもよい。可塑剤としては、例えばフタル酸エステル等の二塩基酸エステル、脂肪酸エステル、リン酸エステル、塩素化パラフィン及びエポキシ型可塑剤等を挙げることができる。レベリング剤としては、例えばシリコーン系レベリング剤等を挙げることができる。
また機械的強度の増強及び電気特性の向上を図るために、無機化合物又は有機化合物の微粒子を電荷輸送層13に添加してもよい。
電荷輸送層13は、電荷発生層12を塗布によって形成する場合と同様に、塗布法により形成できる。例えば、適当な溶媒中に、電荷輸送物質及び結着樹脂、ならびに必要な場合には添加剤を溶解又は分散させて電荷輸送層形成用塗布液を調製し、得られた塗布液を電荷発生層12上に塗布することによって電荷輸送層を形成できる。
電荷輸送層形成用塗布液の溶剤としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン及びモノクロルベンゼン等の芳香族炭化水素、ジクロロメタン及びジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、ジオキサン及びジメトキシメチルエーテル等のエーテル類、ならびにN,N−ジメチルホルムアミド等の非プロトン性極性溶媒等を挙げることができる。これらの溶媒は、1種が単独で使用されてもよく、また2種以上が混合されて使用されてもよい。また前述の溶媒に、必要に応じてアルコール類、アセトニトリル又はメチルエチルケトン等の溶媒を更に加えてもよい。これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。
電荷輸送層形成用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法及び浸漬塗布法等を挙げることができる。これらの塗布方法の中でも、特に浸漬塗布法は、前述のように種々の点で優れているので、電荷輸送層13を形成する場合にも多く利用されている。
電荷輸送層13の膜厚は、5〜40μmであることが好ましく、より好ましくは10〜30μmである。電荷輸送層13の膜厚が5μm未満であると、帯電保持能が低下することがある。電荷輸送層13の膜厚が40μmを超えると、感光体1の解像度が低下することがある。
(電子受容物質、増感剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤)
感光層14の各層には、感度の向上を図り、更に繰返し使用による残留電位の上昇及び疲労等を抑えるために、電子受容物質及び色素等の増感剤を1種又は2種以上添加してもよい。
電子受容物質としては、例えば無水コハク酸、無水マレイン酸、無水フタル酸、4−クロルナフタル酸無水物等の酸無水物、テトラシアノエチレン、テレフタルマロンジニトリル等のシアノ化合物、4−ニトロベンズアルデヒド等のアルデヒド類、アントラキノン、1−ニトロアントラキノン等のアントラキノン類、2,4,7−トリニトロフルオレノン、2,4,5,7−テトラニトロフルオレノン等の多環もしくは複素環ニトロ化合物、又はジフェノキノン化合物等の電子吸引性材料等を用いることができる。またこれらの電子吸引性材料を高分子化したもの等を用いることもできる。
色素としては、例えばキサンテン系色素、チアジン色素、トリフェニルメタン色素、キノリン系顔料又は銅フタロシアニン等の有機光導電性化合物を用いることができる。これらの有機光導電性化合物は光学増感剤として機能する。
また感光層14の各層12、13には、酸化防止剤又は紫外線吸収剤等を添加してもよい。特に電荷輸送層13には、酸化防止剤又は紫外線吸収剤等を添加することが好ましい。これによって、オゾン、窒素酸化物等の酸化性のガスに対しての劣化を少なくすることができる。また各層を塗布によって形成する際の塗布液の安定性を高めることができる。
酸化防止剤としては、フェノール系化合物、ハイドロキノン系化合物、トコフェロール系化合物又はアミン系化合物等が用いられる。これらの中でも、ヒンダードフェノール誘導体もしくはヒンダードアミン誘導体、又はこれらの混合物が好適に用いられる。これらの酸化防止剤の使用量は、電荷輸送物質100重量部当たり、0.1〜50重量部であることが好ましい。酸化防止剤の使用量が0.1重量部未満であると、塗布液の安定性の向上及び感光体の耐久性の向上に充分な効果を得られないことがある。また、50重量部を超えると、感光体特性に悪影響を及ぼすことがある。
紫外線吸収剤としては、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤、ベンゾエート系紫外線吸収剤、アクリルニトリル系紫外線吸収剤等が用いられる。これらの紫外線吸収剤の使用量は、電荷輸送物質100重量部当たり、0.1〜20重量部であることが好ましい。紫外線吸収剤の使用量が0.1重量部未満であると、塗布液の安定性の向上及び感光体の耐久性の向上に充分な効果を得られないことがある。また、20重量部を超えると、感光体特性に悪影響を及ぼすことがある。
(実施の形態2)
図2は、本発明の第2の実施の形態である電子写真感光体2の構成を簡略化して示す部分断面図である。本実施の形態の電子写真感光体2は、第1の実施の形態の電子写真感光体1に類似し、対応する部分については同一の参照符号を付して説明を省略する。
電子写真感光体2において注目すべきは、導電性基体11と感光層14との間に、中間層(下引き層)15が設けられていることである。
導電性基体11と感光層14との間に中間層15がない場合、導電性基体11から感光層14に電荷が注入されることがある。この結果、感光層14の帯電性が低下し、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷が減少し、画像にかぶり等の欠陥が発生することがある。特に、反転現像プロセスを用いて画像を形成する場合には、露光によって表面電荷の減少した部分にトナーが付着してトナー画像が形成される。そのため、露光以外の要因で表面電荷が減少すると、白地にトナーが付着し微小な黒点が形成される黒ぽちと呼ばれる画像のかぶりが発生することになる。この画像のかぶりは、画質を著しく劣化させることがある。
電子写真感光体2では、導電性基体11と感光層14との間には中間層15が設けられているので、中間層を備えない場合より、導電性基体11からの感光層14への電荷の注入をより防止できる。従って、感光層14の帯電性の低下を防ぐことができ、露光によって消去されるべき部分以外の表面電荷の減少を抑え、画像にかぶり等の欠陥が発生することを防止できる。
また、中間層15を設けることによって、導電性基体11表面の欠陥を被覆して均一な表面を得ることができるので、感光層14の成膜性を高めることができる。加えて、感光層14の導電性基体11からの剥離を抑え、導電性基体11と感光層14との接着性を向上できる。
中間層15には、各種樹脂材料からなる樹脂層又はアルマイト層等が用いられる。
樹脂層を構成する樹脂材料としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂、酢酸ビニル樹脂、ポリウレタン、エポキシ樹脂、ポリエステル、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール及びポリアミド等の樹脂、ならびにこれらの樹脂を構成する繰返し単位のうちの2つ以上を含む共重合体等を挙げることができる。また、カゼイン、ゼラチン、ポリビニルアルコール及びエチルセルロース等も挙げられる。これらの樹脂の中でも、ポリアミドを用いることが好ましく、特にアルコール可溶性ナイロン樹脂を用いることが好ましい。好ましいアルコール可溶性ナイロン樹脂としては、例えば6−ナイロン、11−ナイロン及び12−ナイロン等の単独重合ナイロン、6,6−ナイロン、6,10−ナイロン等の共重合ナイロン、ならびにN−アルコキシメチル変性ナイロン及びN−アルコキシエチル変性ナイロンのように、ナイロンを化学的に変性させた樹脂等を挙げることができる。
中間層15は、金属酸化物粒子のような粒子を含有してもよい。中間層15に粒子を含有させることによって、中間層15の体積抵抗値を調節し、導電性基体11からの感光層14への電荷の注入を防止する効果を高めることができるとともに、各種の環境下において感光体の電気特性を維持できる。
金属酸化物粒子としては、例えば酸化チタン、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム及び酸化スズ等の粒子を挙げることができる。
中間層15は、例えば樹脂材料を適当な溶剤中に溶解又は分散させて中間層形成用塗布液を調製し、この塗布液を導電性基体11の表面に塗布することによって形成できる。中間層15に粒子を含有させる場合には、例えば樹脂材料を適当な溶剤に溶解させて得られる樹脂溶液中に、これらの粒子を分散させて中間層形成用塗布液を調製し、この塗布液を導電性基体11の表面に塗布することによって中間層15を形成できる。
中間層形成用塗布液の溶剤には、水もしくは各種有機溶剤、又はこれらの混合溶剤を使用できる。例えば、水、メタノール、エタノールもしくはブタノール等の単独溶剤、又は水とアルコール類、2種類以上のアルコール類、アセトンもしくはジオキソラン等とアルコール類、ジクロロエタン、クロロホルムもしくはトリクロロエタン等の塩素系溶剤とアルコール類等の混合溶剤を使用できる。これらの溶剤の中でも、地球環境に対する配慮から、非ハロゲン系有機溶剤が好適に用いられる。
粒子を樹脂溶液中に分散させる方法としては、ボールミル、サンドミル、アトライタ、振動ミル、超音波分散機又はペイントシェーカ等を用いる一般的な方法が挙げられる。
中間層形成用塗布液中において、樹脂材料及び粒子の合計重量Cと、中間層形成用塗布液に使用されている溶剤の重量Dとの比率C/Dは、1/99〜40/60であることが好ましく、より好ましくは2/98〜30/70である。また樹脂材料の重量Eと粒子の重量Fとの比率E/Fは、90/10〜1/99であることが好ましく、より好ましくは70/30〜5/95である。
中間層形成用塗布液の塗布方法としては、スプレイ法、バーコート法、ロールコート法、ブレード法、リング法及び浸漬塗布法等を挙げることができる。これらの中でも、特に浸漬塗布法は、前述のように、比較的簡単で、生産性及び原価の点で優れているので、中間層15を形成する場合にも多く利用されている。
中間層15の膜厚は、0.01〜20μmであることが好ましく、より好ましくは0.05〜10μmである。中間層15の厚さが0.01μmよりも薄いと、実質的に中間層15として機能しないことがある。また、導電性基体11の欠陥を被覆することで、均一な表面性が得難いことがある。その結果、導電性基体11からの感光層14への電荷の注入を防止することが困難となり、感光層14の帯電性の低下が生じることがある。中間層16の厚さが20μmよりも厚いと、中間層15上に感光層14を均一に形成し難く、感光体の感度が低下することがある。加えて、中間層15を浸漬塗布法によって形成し難くなる。
(乾燥工程)
本発明の感光体の製造方法には、電荷発生層12、電荷輸送層13、中間層15等の各層の乾燥工程が含まれていてもよい。乾燥温度としては、約50℃〜約140℃が適当であり、特に約80℃〜約130℃の範囲が好ましい。乾燥温度が約80℃未満では乾燥時間が長くなることがある。また、乾燥温度が約130℃を越えると、各層の繰返し使用時の電気的特性が悪くなることがあり、感光体を使用して得られる画像も劣化することがある。
(画像形成装置)
図6は、本発明の画像形成装置の一例の構成を簡略化して示す側面図である。図6に示す画像形成装置30は、第1の実施の形態の感光体1を搭載するレーザプリンタである。以下、図6を参照してレーザプリンタ30の構成及び画像形成動作について説明する。なお図6に記載のレーザプリンタ30は、本発明の例示であり、以下の記載内容によって本発明の画像形成装置が限定されるものではない。
レーザプリンタ30は、感光体1、半導体レーザ31、回転多面鏡32、結像レンズ34、ミラー35、帯電手段であるコロナ帯電器36、現像手段である現像器37、転写紙カセット38、給紙ローラ39、レジストローラ40、転写手段である転写帯電器41、分離帯電器42、搬送ベルト43、定着器44、排紙トレイ45及びクリーニング手段であるクリーナ46を含んで構成される。半導体レーザ31、回転多面鏡32、結像レンズ34及びミラー35は、露光手段49を構成する。
感光体1は、図示しない駆動手段によって矢符47の方向に回転可能なようにレーザプリンタ30に搭載される。半導体レーザ31から出射されるレーザビーム33は、回転多面鏡32によって感光体1の表面に対してその長手方向(主走査方向)に繰返し走査される。結像レンズ34は、f−θ特性を有し、レーザビーム33をミラー35で反射させて感光体1の表面に結像させて露光させる。感光体1を回転させながらレーザビーム33を前述のように走査して結像させることによって、感光体1の表面に画像情報に対応する静電潜像が形成される。
コロナ帯電器36、現像器37、転写帯電器41、分離帯電器42及びクリーナ46は、矢符47で示す感光体1の回転方向上流側から下流側に向ってこの順序で設けられる。コロナ帯電器36は、レーザビーム33の結像点よりも感光体1の回転方向上流側に設けられ、感光体1の表面を均一に帯電させる。従って、レーザビーム33が、均一に帯電された感光体1表面を露光することになり、レーザビーム33によって露光された部位の帯電量と露光されなかった部位の帯電量とに差異が生じて静電潜像が形成される。
現像器37は、レーザビーム33の結像点よりも感光体1の回転方向下流側に設けられ、感光体1表面に形成された静電潜像にトナーを供給し、静電潜像をトナー像として現像する。転写紙カセット38に収容される転写紙48は、給紙ローラ39によって1枚ずつ取出され、レジストローラ40によって感光体1への露光と同期して転写帯電器41に与えられる。転写帯電器41によって、トナー像が転写紙48に転写される。転写帯電器41に近接して設けられる分離帯電器42は、トナー像が転写された転写紙を除電して感光体1から分離する。
感光体1から分離された転写紙48は、搬送ベルト43によって定着器44に搬送され、定着器44によってトナー像が定着される。このようにして画像が形成された転写紙48は、排紙トレイ45に向けて排紙される。なお分離帯電器42によって転写紙48が分離された後、更に回転を続ける感光体1は、その表面に残留するトナー及び紙粉等の異物がクリーナ46によって清掃される。クリーナ46によってその表面が清掃された感光体1は、クリーナ46と共に設けられる図示しない除電ランプによって除電された後、更に回転され、前述の感光体1の帯電から始まる一連の画像形成動作が繰返される。
レーザプリンタ30に備わる感光体1の表面は、表面自由エネルギーが前述の好適な範囲に設定されているので、レーザプリンタ30による画像形成において、トナー画像を形成するトナーは、感光体1表面から転写紙48上へ容易に移行転写されて残留トナーが発生しにくく、また転写時に接触する転写紙48の紙粉等も感光体1表面に付着しにくい。また感光体1表面に付着したトナー及び紙粉等の異物は、トナー画像を転写後の感光体1表面を清掃するために設けられるクリーナ46のクリーニングブレードによって容易に除去される。従って、クリーニングブレードの研磨能力を弱く設定することができ、またクリーニングブレードの感光体1表面に対する当接圧力も小さく設定することができるので、感光体1の寿命が延長される。更に、クリーニング後の感光体1表面は、トナー及び紙粉等の異物の付着が無く、常に清浄な状態に保たれるので、画質の良好な画像を長期間安定して形成することが可能である。
従って、レーザプリンタ30では、各種の環境下において、長期間に亘り安定して画質低下のない画像形成が可能である。また感光体1の寿命は長く、クリーナ46も簡易な構成で済むことから、低コストでメンテナンス頻度の少ない画像形成装置30が実現される。また感光体1の電気特性は、光に曝されても低下しないので、メンテナンス時等に感光体1が光に曝されることに起因する画質の低下が抑えられる。
(他の画像形成装置)
レーザプリンタ30は、図6に示す構成に限定されるものではなく、本発明の感光体を使用できるものであれば、他の異なる構成であってもよい。
例えば、感光体1の外径が40mm以下の場合には、分離帯電器42を設けなくてもよい。また、感光体1を、コロナ帯電器36、現像器37及びクリーナ46のうちの少なくともいずれか1つと一体的に構成して、プロセスカートリッジとしてもかまわない。例えば、感光体1とコロナ帯電器36と現像器37とクリーナ46とを組込んだプロセスカートリッジ、感光体1とコロナ放電器36と現像器37とを組込んだプロセスカートリッジ、感光体1とクリーナ46とを組込んだプロセスカートリッジ、感光体1と現像器37とを組込んだプロセスカートリッジ等が挙げられる。このようないくつかの部材を一体化したプロセスカートリッジを用いることによって、装置の保守管理が容易になる。
また、帯電器としては、コロナ帯電器36に限定されることなく、コロトロン帯電器、スコロトロン帯電器、鋸歯帯電器、ローラ帯電器等を用いることができる。現像器37としては、接触式及び非接触式のうち少なくともいずれか一方を用いてもかまわない。クリーナ46としては、ブラシクリーナ等を用いてもかまわない。また現像バイアス等の高圧をかけるタイミング等を工夫することによって、除電ランプを省く構成としてもよい。特に感光体の直径が小さいもの、低速のローエンドプリンタ等では、省スペース化の観点から除電ランプが設けられないものが多い。
以下、実施例を用いて本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、以下の記載内容に限定されるものではない。
まず、直径:30mm、長さ:362mmのアルミニウム製導電性基体上に種々の条件にて感光層を形成し、実施例及び比較例として準備した感光体について説明する。実施例及び比較例中、「部」は重量部を意味する。
(実施例1)
TTO−MI−1(石原産業製):酸化チタン3部、CM−8000(東レ社製):アルコール可溶性ナイロン樹脂3部、メタノール60部、1,3−ジオキソラン40部とをペイントシェーカにて10時間分散処理し、中間層形成用塗布液を調製した。調整した中間層形成用塗布液を、直径30mm、長さ362mmのアルミニウム製円筒状支持体上に膜厚0.9μmとなるように浸漬塗布法によって成膜し、中間層を形成した。
次に、ポリビニルブチラール樹脂(エスレックBMS:積水化学社製)2部、構造式(A)で示されるペリレン顔料3部と1,3−ジオキソラン95部とをボールミルにより72時間分散し、電荷発生層形成用塗布液を作製した。平均粒子径及び累積90%粒子径は、粒度分布測定器(マイクロトラックUPA150:日機装社製)を用いて測定した。分散終了時の累積90%粒子径は0.82μm(平均粒子径:0.35μm)であった。その後、この塗布液をフィルター孔径1.0μmのデプスフィルター(ザルトファインPP:ザルトリウス社製)を用い、流量を3.0〜6.0Kg/分とし、循環ろ過を24時間行った。循環ろ過終了時の累積90%粒子径は0.70μm(平均粒子径:0.32μm)であった。ろ過後の塗布液を中間層を設けたアルミ製円筒状支持体上に浸漬塗布法により膜厚が0.2μmとなるように塗布することで電荷発生層を成膜した。
次に、ポリカーボネート樹脂(TS2040:帝人化成社製)0.18部及びシリカ(TS−610:キャボット・スペシャルティ・ケミカルズ社製)0.18部をテトラヒドロフラン3.24部に混合して、ボールミルにて5時間分散処理して電荷輸送層用一次分散塗布液を調整した。次に、電荷輸送物質として下記構造式(B)で示されるトリアリールアミン系化合物100部、ポリカーボネート樹脂(TS2040:帝人化成社製)138.2部及び酸化防止剤(スミライザーBHT:住友化学製)5部をテトラヒドロフラン984部に混合して溶解した。この溶解液に前記電荷輸送層用一次分散塗布液を混合して、ボールミルにて更に1時間分散処理することで電荷輸送層用二次分散塗布液を調製した。この塗布液を、浸漬塗布法にて前述の電荷発生層上に塗布し、130℃で1時間乾燥して厚さ28μmの電荷輸送層を形成した。
以上の工程により、実施例1の感光体を作製した。
(実施例2)
電荷発生物質として下記構造式(C)で示される下記に示すチタニルフタロシアニンをボールミルにより72時間分散し、電荷発生層形成用塗布液を作製したこと以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。分散終了時の累積90%粒子径が0.81μm(平均粒子径:0.37μm)であり、循環ろ過終了時の累積90%粒子径が0.68μm(平均粒子径:0.33μm)であった。
(実施例3)
循環ろ過時間を48時間に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、感光体を作製した。分散終了時の累積90%粒子径が0.83μm(平均粒子径:0.36μm)であり、循環ろ過終了時の累積90%粒子径が0.63μm(平均粒子径:0.29μm)であった。
(実施例4)
循環ろ過時間を72時間に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、感光体を作製した。分散終了時の累積90%粒子径が0.89μm(平均粒子径:0.37μm)であり、循環ろ過終了時の累積90%粒子径が0.60μm(平均粒子径:0.27μm)であった。
(実施例5)
ボールミルによる分散時間を48時間に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、感光体を作製した。分散終了時の累積90%粒子径が1.12μm(平均粒子径:0.61μm)であり、循環ろ過終了時の累積90%粒子径が0.99μm(平均粒子径:0.57μm)であった。
(実施例6)
フィルター種をメンブレンフィルター(MCF-100:アドバンテック社製)に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、感光体を作製した。分散終了時の累積90%粒子径が0.83μm(平均粒子径:0.36μm)であり、循環ろ過終了時の累積90%粒子径が0.74μm(平均粒子径:0.34μm)であった。
(実施例7)
フィルター孔径を3.0μm(ザルトファインPP:ザルトリウス社製)に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、感光体を作製した。分散終了時の累積90%粒子径が0.86μm(平均粒子径:0.39μm)であり、循環ろ過終了時の累積90%粒子径が0.77μm(平均粒子径:0.36μm)であった。
(実施例8)
フィルター孔径を0.5μm(ザルトファインPP:ザルトリウス社製)に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、感光体を作製した。分散終了時の累積90%粒子径が0.84μm(平均粒子径:0.38μm)であり、循環ろ過終了時の累積90%粒子径が0.69μm(平均粒子径:0.33μm)であった。
(比較例1)
循環ろ過を行わないこと以外は、実施例1と同様にして、感光体を作製した。分散終了時の累積90%粒子径が0.82μm(平均粒子径:0.35μm)であった。
(比較例2)
循環ろ過を行わないこと以外は、実施例2と同様にして、感光体を作製した。分散終了時の累積90%粒子径が0.81μm(平均粒子径:0.37μm)であった。
(比較例3)
循環ろ過を行なわないこと以外は実施例5と同様にして、感光体を作製した。分散終了時の累積90%粒子径が1.02μm(平均粒子径:0.61μm)であった。
(比較例4)
フィルター孔径を5.0μm(ザルトファインPP:ザルトリウス社製)に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、感光体を作製した。分散終了時の累積90%粒子径が0.85μm(平均粒子径:0.38μm)であり、循環ろ過終了時の累積90%粒子径が0.83μm(平均粒子径:0.37μm)であった。
(比較例5)
フィルター孔径を0.5μm(ザルトファインPP:ザルトリウス社製)に変更し、循環ろ過時間を72時間に変更したこと以外は、実施例2と同様にして、感光体を作製した。分散終了時の累積90%粒子径が0.86μm(平均粒子径:0.36μm)であり、循環ろ過終了時の累積90%粒子径が0.48μm(平均粒子径:0.24μm)であった。
実施例1〜6及び比較例1〜5の各感光体を、試験用に改造したカラータンデムデジタル複合機AR−C260(シャープ社製)(露光光源はSONY製半導体レーザ:780nm)に装着し、5万枚画像形成することによって、感度の評価試験を行った(サンプル画像出力及び画像形成時すべてモノクロ印字)。
次に、各性能の評価方法について説明する。
[電気特性評価]
試験用複写機から現像器を取外し、代わりに現像部位に表面電位計(トレック・ジャパン社製:model 344)を設ける。この複写機を用い、温度25℃、相対湿度50%の常温/常湿(N/N:Normal Temperature/Normal Humidity)環境中において、レーザ光による露光を施さなかった場合の感光体の表面電位を−600Vに調整する。その状態でレーザ光により露光(0.4μJ/cm2)を施した場合の感光体の表面電位を露光電位VL(V)として測定する。露光電位VLの絶対値が小さい程、高感度であると評価する。5万枚疲労後に同様にVL(V)を測定する。電気特性の評価基準としては以下の通りとする。
○:初期、疲労後ともに |VL|<100(V)
△:初期、疲労後のいずれか1つ以上 100(V)≦|VL|<130(V)
×:初期、疲労後のいずれか1つ以上 130(V)≦|VL|
[画像評価]
1)画像判定(白ベタ画像(黒点/地肌汚れ))
試験用複写機にて、温度30℃、相対湿度80%の高温/高湿(H/H:High Temperature/High Humidity)環境中において、白ベタ画像を出力し、画像評価を行う。5万枚疲労後に上記内容と同様の画像評価を行う。黒点/地肌汚れの評価基準としては以下の通りとする。
5:目視にて、サンプル画像上に地肌汚れ(黒点)の画像欠陥がない。
4:目視にて、サンプル画像上に地肌汚れ(黒点)ほとんどみられない。
3:目視にて、サンプル画像上に地肌汚れ(黒点)があるが、実使用上問題ないレベル。
2:目視にて、サンプル画像上に多数地肌汚れ(黒点)がみられ、実使用上問題となるレベル。
1:目視にて、サンプル画像上に全面に地肌汚れ(黒点)がみられ、実使用上問題となるレベル。
[総合評価/(電気特性、画像評価)]
上記2項目の判定結果を基に、下記のとおり判定する。
◎:電気特性が○、かつ地肌汚れレベルが4〜5。
○:電気特性が○、かつ地肌汚れレベル3、又は電気特性が△かつ地肌汚れがレベル4もしくは5。
△:電気特性が○もしくは△、かつ地肌汚れレベル2
×:電気特性が×、又は地肌汚れレベル1
[評価結果]
評価結果を表1に示す。
実施例1〜8の塗布液中の累積90%粒子径において、ろ過後/ろ過前の比率が、65〜95%の範囲である電子写真感光体は、範囲外の比較例1〜5と比較すると、ろ過前後で電位変動が抑制されていることがわかった。また、疲労後においても、ろ過前後で同等の特性を示すことがわかった。加えて、高温高湿な劣悪な環境下での出力された画像においても、黒ポチのような画像欠陥の発生が抑制されていることがわかった。
また、実施例1及び2の比較より、チタニルフタロシアニンを用いた場合、高感度で化学的安定性に優れ、かつ長期的にも高感度を維持できることがわかった。
また、実施例2〜4の比較より、ろ過前後での粒子径比率が小さいほど、画像欠陥が少なくなる傾向があることがわかった。
また、実施例2と5の比較において、分散工程で、ある一定粒子径まで小粒径化されている方が、ろ過においてフィルターの目詰まりがしにくい。そのため、2次凝集体粒子を効率よく、捕捉除去できるため、均一な膜が形成でき、その結果、画像欠陥が少ないことがわかった。
実施例2及び6の比較より、デプスフィルターは2次凝集体粒子を短時間に効率よく、捕捉除去することが可能であり、その網目状構造より細部にまで充分なろ過が可能である。そのため、このフィルターを使用すれば、画像欠陥を少なくできる傾向があることがわかった。一方、メンブレンフィルターは長時間ろ過ではフィルター表面に2次凝集物粒子の堆積がみられる。そのため目詰まりによる循環時の流速が減速し、ろ過効率が低下することがあった。
実施例2、7及び8の比較より、フィルター孔径が3μm以下である場合(一定条件下)、画像欠陥の発生率は減少することがわかった。更に、フィルター孔径が小孔径化されればされるほど、より画像欠陥の発生率は減少することがわかった。
比較例1〜5においては、充分満足できる電気特性及び画像評価は得られなかった。詳細には、比較例1〜3は、平均粒子径及び累積90%粒子径の大小に関わらず、ろ過による処理がなされておらず、いずれも画像欠陥が発生し、品質上問題となるレベルであった。
また、比較例5のようにろ過による処理がなされた場合であっても、累積90%粒子径のろ過後/ろ過前の比率が、90%を超えている場合、画像欠陥の抑制が不十分であることがわかった。
加えて、比較例6のように過剰なろ過を行われると、電荷発生に必要な顔料粒子まで除去してしまうために、感度劣化が起こる問題が発生した。
上記評価結果から、本発明の優位性を十分認識することができる。
実施の形態1の電子写真感光体の部分断面図である。 実施の形態2の電子写真感光体の部分断面図である。 電荷発生層形成用塗布液のろ過前後の粒度分布を示すグラフである。 ろ過の有無で画像データが異なることを示す写真である。 電荷発生層形成用塗布液の循環ろ過装置の概略図である。 画像形成装置の側面図である。
符号の説明
1,2 電子写真感光体
11 導電性基体
12 電荷発生層
13 電荷輸送層
14 感光層
15 中間層
21 循環用塗布槽
22 循環用ポンプ
23 循環用フィルター及びフィルターハウジング
30 レーザプリンタ(画像形成装置)
31 半導体レーザ
32 回転多面鏡
34 結像レンズ
35 ミラー
36 コロナ帯電器
37 現像器
38 転写紙カセット
39 給紙ローラ
40 レジストローラ
41 転写帯電器
42 分離帯電器
43 搬送ベルト
44 定着器
45 排紙トレイ
46 クリーナ
49 露光手段

Claims (8)

  1. 導電性基体上に少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を含む感光層を有する電子写真感光体の電荷発生層形成用塗布液であって、
    前記電荷発生層形成用塗布液が、電荷発生物質としての顔料粒子及び結着樹脂を含み、かつろ過処理されており、
    前記顔料粒子が、1次粒子及び2次凝集粒子を含み、1.0μm以下の平均粒子径を有し、かつろ過前の累積90%粒子径に対するろ過後の累積90%粒子径の比率として、65〜90%を示すことを特徴とする電荷発生層形成用塗布液。
  2. 前記顔料粒子が、フタロシアニン系顔料からなる粒子である請求項1に記載の電荷発生層形成用塗布液。
  3. 前記ろ過処理前の累積90%粒子径が、1.0μm以下である請求項1又は2に記載の電荷発生層形成用塗布液。
  4. 前記ろ過処理が、デプスフィルターを用いて行われる請求項1〜3のいずれか1つに記載の電荷発生層形成用塗布液。
  5. 前記ろ過処理が、循環ろ過処理であり、かつ5μm以下の平均孔径のフィルターを用いて行われる請求項1〜4のいずれか1つに記載の電荷発生層形成用塗布液。
  6. 前記ろ過が、循環ろ過であり、かつ前記ろ過前の累積90%粒子径より小さい平均孔径のフィルターを用いて行われる請求項1〜5のいずれか1つに記載の電荷発生層形成用塗布液。
  7. 導電性基体上に少なくとも電荷発生層及び電荷輸送層を含む電子写真感光体の製造方法であって、前記電荷発生層が請求項1〜6のいずれか1つに記載の電荷発生層形成用塗布液を用いて形成されることを特徴とする電子写真感光体の製造方法。
  8. 前記電荷発生層が、浸漬塗布方法によって製造される請求項7に記載の電子写真感光体の製造方法。
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